「初音ミク」長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略?

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) アイドル・谷桃子も被害、芸能人を狙う窃盗詐欺の手口を告白「怪しいと思わなかった」 ANAに聞く、AKBとの共同プロジェクトの狙いとは? 搭乗客に握手会取材の権利も 不動産バブルの様相 今は買い時ではないワケ…買ってよい/ダメなエリアとは? ■特にオススメ記事はこちら! 「初音ミク」長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略? - Business Journal(5月12日)
筆者提供
 こんにちは、江端智一です。  前回、記事『初音ミクの画像は勝手に使ってよい? 「初音ミク」の販売元のクリプトン社に聞く』では、「初音ミク」の販売元であるクリプトン社への取材をもとに、『初音ミク』の絵の権利を有するクリプトン社へ許諾の申し入れをすることなく、その絵を自由に使えることを保証する「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)」についてお話しました。  しかしその最後で、次のような疑問が残ったままでした。 ========================= --「どうしても、PCLから、「初音ミク」のN次著作【編註:初音ミクを使用した他の人の作品を取り込んで、さらに新しい自分の作品を生み出す、いわゆる「他人の著作に依拠して創作された創作物」】が安心して自由に創成される世界が導き出せないのです」と、泣きを入れた私に、クリプトン社の方は、親切に答えてくれました。 「N次創作は、『ピアプロ』(後述参照)が担保しているのです」 --はい?「ピアプロ」って、「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)」のことではないのですか? 「違います。『ピアプロ』とは、弊社が開発したコンテンツ投稿サイトのことです」 もう、この辺から、私の混乱の度は、最大級に達するのです。 ========================= ※当サイト記事『初音ミクの画像は勝手に使ってよい? 「初音ミク」の販売元のクリプトン社に聞く』(4月16日付)より抜粋  そこで今回は、上記の「ピアプロ」の私の理解のプロセスと、「初音ミク」ブームを支えるクリプトン社のライセンス戦略について、ご説明します。 ●「ピアプロ」とは「文化祭期間中の体育館」である  さて、まず「ピアプロ」の解説から始めます。 「ピアプロ」というのは、クリプトン社が開発したコンテンツ投稿サイトです。  投稿サイトというイメージがつかみにくい人もいると思いますので、誤解を恐れずに言い切ってみますと、生徒全員の作品(絵や、彫刻や、手芸)などを展示している、「文化祭期間中の体育館」です。要するに、クリプトン社の常設展示の体育館です(ここでは誰もスポーツができないので、体育館としては機能しませんが)。さらに、この体育館、かなりバラエティに富んでいまして、カラオケボックス、図書閲覧室までが併設されています。  この「クリプトン社の常設展示専用の体育館」(以下、クリプトン社の体育館)は、北海道札幌市中央区にあるクリプトン本社の隣に建てられている、というわけではなく、インターネットに接続したサーバの中につくられています。この「クリプトン社の体育館」が、「コンテンツ投稿サイト『ピアプロ』」のことです。  あなたが、自分の作品を展示してもらうためには、以下の条件が必要となります。 (1)「クリプトン社の体育館(=ピアプロ))の入館証を持っていること  つまり、ピアプロの会員になることが必要です。これはクリプトン社のホームページから簡単に入会できます。これで「体育館」に自由に出入りでき、作品を自由に楽しむことができるようになります。 (2)「クリプトン社の体育館(=ピアプロ)」に、インターネット経由で自分の作品を持ち込むこと  自分の作品を「ピアプロ」のサーバにアップロードすることで、作品を持ち込みます。つまり、パソコン上でつくられたもの、加工されたものであって、ファイルとして転送できるもの(電子情報財)に限定されるということで、自分自身で「サーバに持ち込むこと」が必要となります。これを「アップロード」または「投稿」と言います。  ですから、クリプトン社に、自分の絵画や彫刻や、あるいは自分の歌をカセットテープに録音したものを送りつけても、受理してもらえません。 「クリプトン社の体育館」、つまり「ピアプロ」に展示されている作品は、バラエティに富んでいて華やかで楽しいです。  まず、絵画は当然として、音楽、小説(これらは、まとめて「コンテンツ」と呼ばれます)など、パソコンのファイルとして取り扱えるコンテンツであれば、動画以外はほとんど投稿できます。  例えば、「小説」なら、「初音ミク」を主人公とした恋愛小説だけでなく、冒険、推理、SFなど、公序良俗に反しない限りはなんでもOKです。さて、その中でも、ちょっと珍しいコンテンツとして、「歌詞だけの出品」とか、その逆に「歌詞の付いていない楽曲だけの出品」などという、未完成であることを表明した作品の投稿が挙げられます。  これは、「コンテンツ投稿サイト『ピアプロ』」の特徴を説明する上で、極めて重要なことなので覚えておいてください。 ●ピアプロに投稿できない作品 「公序良俗」に反するものは、ピアプロに投稿できません。  第一に、道徳観に反するもの、猥褻なもの、嫌悪感を催させるものを投稿することはできません--といっても、まあ、成人向け同人誌の作者の中には、「これは『エロ』ではない。『愛』だ」と主張する人もいるようですが、最終的には「ピアプロ」の管理人が必要に応じて削除してしまうと思います。  第二に、法律に違反する作品を投稿することはできません。  例えば、「他人の著作物に依拠して創作された著作物のうち、当該他人の許諾を得ていないもの」を投稿することはできません。著作権者に「ピアプロに投稿・第三者に開示すること」の許諾を得ていないドラえもんやワンピース、ポケモンを使った作品は、即時アウトです。  では、著作権的に適法な作品とは、どのようなものでしょうか。  もちろん、あなたが他人の著作物を利用せずに、すべて100%オリジナルの作品であれば、完全に適法な作品です。  また、「初音ミク」を利用した作品も適法です。前回、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)について説明した通り、公序良俗に反しないで非営利であれば、「初音ミク」を翻案し、または二次的利用した作品は適法です。  しかし、PCLは、別に「クリプトン社の体育館」つまり「ピアプロ」の中だけで有効であるというわけではありません。日本中、いつでもどこでも有効で、YouTubeやニコニコ動画に投稿しようが、まったく問題ありません。 ●「ピアプロ」に投稿するメリットとは?  では、わざわざ「ピアプロ」に投稿することのメリットとはなんでしょうか。  まず一つには、初音ミク等以外にも、自由に使えるボーカロイドキャラクター(音声合成ソフトウェアパッケージの箱に描かれているキャラクター)たちがたくさんいるからです。  私が初めてボカロを体験した「結月ゆかり」、歌手で俳優のGACKTさんが音声を提供した「神威がくぽ」ほか、実に、35人のキャラクター【註1】を、「ピアプロ」の中であれば自由に使ってよいことになっています。ですから、この「結月ゆかり」と「神威がくぽ」の2人を主人公とした恋愛小説も、2人の結婚式のイラストも、2人がデュエットしている歌をつくって投稿してもOKです。  仮に、このキャラクターリストの中に「サザエさん」が入ってくれば、当然に「サザエさん」のキャラクターも自由に使えることになるのですが、まあ、ありえないだろうと思います。長谷川町子財団に、このような使用許諾をするメリットがないからです。  比して、コンテンツ投稿サイト「ピアプロ」は、クリプトン社には大きなメリットがあります。クリプトン社にとって、「PCL」と同様に、「ピアプロ」は初音ミクの最大の広告宣伝の場になるからです。 ●前回の「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)の限界」を復習する  さて、ここで前回の問題提起を思い出していただきたいと思います。 「初音ミク」の父方の兄弟の娘であるオリジナルのキャラクター「初芽ミロ」というキャラクターを、「初音ミク」といっしょに記載したAさんのマンガがあったとします。  このAさんのマンガを利用して、さらにあなたがその従兄弟のアパートの隣の住人である第3番目のキャラクター「初出ミレバ」を「初芽ミロ」と「初音ミク」の3人で登場させたマンガを創作したとします。  整理します。 (1)一次著作物:「初音ミク」(権利者はクリプトン社) (2)二次著作物:「初音ミク」+「初芽ミロ」(←Aさんが創作したマンガ) (3)三次著作物:「初音ミク」+「初芽ミロ」+「初出ミレバ」(←あなたがつくったマンガ)
筆者作成
 あなたは、PCLに基づき「初音ミク」の利用に関しては、クリプトン社への許諾申し入れの電話は不要となりますが、Aさんへの「初芽ミロ」の利用に関しては、許諾申し入れの電話やメールでの交渉は必須となるはずです。  これが、私が問題提起した、「PCLの限界」です。  PCLは「初音ミク」の利用しか担保してくれません。Aさんの創作した「初芽ミロ」については、著作権法(ここでは、21、27、28条)が適用され、あなたのつくったマンガは、Aさんの許諾がない限り、世の中に発表することはできません。つまり、「N次創作の問題」は、解決されていないのです。 ●「PCL」+「ピアプロ」連携によるN次創作問題の解決  コンテンツ投稿サイト「ピアプロ」が、その機能を最大限に発揮するのは、ここからです。  先ほど、「クリプトン社の体育館(=ピアプロ))には、どんな作品を持ち込んでもよい、というお話をしました。しかし、あなたが、自分の作品を体育館に持ち込んだまさにその瞬間、以下のライセンス条項(ピアプロ利用規約第11条第6項)【註2】が発動してしまうのです。 『Aさんが自分の作品を「クリプトン社の体育館(=ピアプロ)」持ち込んだ瞬間、Aさんは、体育館の入館証を持っている全ての人に対して、(1)Aさんの作品を利用して新しい作品をつくることと、(2)その新しい作品が世界中に公開されることを、原則として許諾しなければならない』【註3】 つまり、こういうことです。 (1)Aさんもあなたもピアプロの会員であって、 (2)Aさんが、「初音ミク」+「初芽ミロ」のマンガの作品を「ピアプロ」に投稿している場合、 (3)あなたは、Aさんの許諾をもらわなくても「初芽ミロ」を使用できて、 (4)「初音ミク」+「初芽ミロ」+「初出ミレバ」のマンガの作品を、あなたのホームページで公開することも、また、ピアプロや、他のマンガ投稿サイトでも投稿することができる。  もう一度、説明しますと、「クリプトン社の体育館」に展示された絵を摸写して、ちゃっかり自分の絵に取り込んだ作品を創作して、世界中のどこで公開したとしても、その絵の作者から「おい、なに、人の絵を勝手に使ってやがるんだよ」と文句は言われることは、基本的にはないということです。  整理しますと、 (1)「初音ミク」を利用する作品に関しては、「初音ミク」の利用を許諾するという「PCL」によって保護されることになります→「初音ミク」を利用した2次著作の創作と公開の自由の担保の実現 (2)さらに上記(1)の作品がピアプロに投稿された場合には、その作品を利用した新しい作品は、著作権上の使用許諾の問題がクリアされた状態になっており、全世界への公開が可能となります→「ピアプロ利用規約」による、N-1次著作を利用したN次著作の創作と公開の自由の担保の実現  ここに、「PCL」と「ピアプロ利用規約」の連合チームによって、現行著作権法と一切の齟齬(そご)を起こすことなく、世界に対して完全に開かれた「初音ミク」に関係する著作物の創作の自由が、見事に実現されることになるわけです。 ●「ピアプロ」の厳しい掟  しかし、ピアプロが、「初音ミク」に関係する創作の自由を認められる場所であったとしても、その運用については、以下の厳しいルールが課せられています。 (1)公序良俗に反しないものであること  これは、すでにお話ししたので割愛します。 (2)非営利目的に限ること 「私の作品を見たい者は、1回につき10円払え」とかいうような条件を付けることはできません--というのは、まあ普通に理解できますよね。また、ピアプロに投稿されていない創作物を取り入れてN次創作物をつくろうとすれば、当然、前々回に説明した、「N次創作のための、果てしない『お願いツアー』」を行わなければなりません。  ならば、ピアプロの中で無料の広告コンテンツを作って、それを展示すればよい--という、ズルいことを考える人が出てくるかもしれません。例えば、「初音ミク」と「初芽ミロ」と「初出ミレバ」の3人のキャラクターの動画をつくって、「会社の宣伝」や「自社製品の紹介」をさせれば、美味しい広告ができるという発想です。当然、このような行為はアウトです。  また、以下については、ルールではありませんが、強く推奨されています。 (3) ある作品を使用したら、その作者に連絡をすること  これも、常識的に当たり前といえば当たり前です。「初音ミク」+「初芽ミロ」+「初出ミレバ」のマンガを発表するのに、使わせてもらった「初芽ミロ」の作者の名前を表示せずに、「自分で全部つくった」というふうに振る舞われたら、誰だって腹が立ちます。  しかし、実は、ピアプロに投稿された作品については、そのすべてに氏名表示の義務があるわけではありません。投稿者は、他者が作品を利用する際に、自分の氏名を表示させることを義務付けするか否かを選ぶことができます。これは、氏名表示を義務化している「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」などとは大きく異なるところです。クリプトン社によると、ピアプロを開設した当時、氏名表示を義務付けするか否かは投稿者の選択に任せたほうがよいと考えてそのようにしたとのことです。  ただ、作者の氏名表示は、最低限の礼儀と言えるでしょう。クリプトン社も、仮に作品の作者が氏名表示を義務付けていないとしても、作品の利用者はできるだけ作者に感謝を伝えることを推奨しています。  また、興味深い選択可能なルールとしては、以下のようなものがあります。 (4) 利用してもよいが、改変してはならない  これは、作品を利用したい側から見ると、かなりキツイ条件になります。  例えば、絵画の場合、「初芽ミロ」を使ってもよいが、その場合でも、表情を変えても、ポーズを変えても、ダメということです。「そのまま」を使えということです。  ここで、「歌詞だけの出品」とか、逆に「歌詞の付いていない楽曲だけの出品」などという、未完成であることを表明した作品があったことを思い出してください。このような「未完成作品」などでは、このライセンスは、逆に有効に機能する場合があります。 「歌詞は一文字も変えてほしくない」けど「曲はつくってほしい」とか、逆に、「曲は楽器も音符もリズムも何も変えてほしくない」けど「詞を付けてほしい」というような共同創作を行う場合には、このような「改変禁止」は有効に働くからです。  以前インタビューに応じていただいた、ボカロPさん(ボーカロイドパッケージソフトを使って、ボーカロイド音楽を創作<プロデュース>する人)が、「自分の作品を使って創作された作品が、非常に低レベルなもので、がっかりしたことがある」とおっしゃっていました。    これは、N次創作に自由を与える「ピアプロ」の本質的な問題点ではありますが、しかし、「低レベルとなる作品には許諾しない」などという条件を許せば、ピアプロの理念が崩壊することになります。  だから、ボカロPさんは、「これは、我慢しなければならないことだ」とも、おっしゃっていました。これもまた、「ピアプロの厳しい掟」とも言えると思います。  あと、これはルールでもなんでもないのですが、私からの個人的なお願いとしては、 (5) ピアプロの作品を利用してつくった作品なら、ちゃんとピアプロに投稿しようね! とは言いたいです。  他の人のN-1次の著作物を利用して、自分のN次の著作物をつくって、それを世界に羽ばたかせているなら、当然自分の作品も、他の人が利用できる状態に置いてほしいと思うのが人情です。「人のものを使ったなら、自分のものも使ってもらう」、これが正しい姿であり、ピアプロの理念だと思うからです。 では、最後にまとめたいと思います。 「ピアプロ」とは、 (1)作品が単に展示されているサイトにとどまらず、 (2)その作品を使って、自由に別の作品を創作することが許されており、 (3)その創作された作品は、他人の著作権との調整がすでに完了しており、 (4)誰からもどこからも文句の出ない、世界に公開可能な作品の創作を可能とする、    N次著作物問題を一元的に解決する「ピアプロクリアランス」を発動する、コンテンツ投稿サイトです。 「初音ミク」を提供するクリプトン社は、複雑で難しいコンテンツビジネスの著作権の問題を逆手に取って、 ・著作権の保護と利用の利害関係を調整するライセンス(PCL)を創成し、 ・創作者に、大量の著作物の利用環境と新しい創作意欲を促す場(ピアプロ)を育成し、  ビジネスモデルとして組み上げました。 「初音ミク」ブームが、コンテンツビジネスとしては驚異的に長い期間(5年以上)も続き、そして、今なお発展を続けているのは、関係者全員にメリットを与えるために周到に準備された法律上の仕組みが、精緻に動き続けているからなのです。  では、次回は、クリプトン社が仕掛ける、さらなる2つの仕組み--「創作ツリー」と「ピアプロリンク」についてご説明をして、「初音ミクと著作権」シリーズ最後のまとめをさせていただこうと思います。 (文=江端智一) ※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。 ※後編へ続く。 【註1】投稿可能な他社キャラクターについて http://piapro.jp/license/other_character_guideline 【註2】「会員は、会員コンテンツをアップロードする際にライセンス条件を選択することができるものとし、他会員がライセンス条件の範囲内で会員コンテンツを再複製・再頒布することに合意するものとします。」 http://piapro.jp/user_agreement/ 【註3】厳密にいうと、「許諾しない」というライセンスを選択することも可能です。 ■おすすめ記事 アイドル・谷桃子も被害、芸能人を狙う窃盗詐欺の手口を告白「怪しいと思わなかった」 ANAに聞く、AKBとの共同プロジェクトの狙いとは? 搭乗客に握手会取材の権利も 不動産バブルの様相 今は買い時ではないワケ…買ってよい/ダメなエリアとは? ブラック企業化する医療現場 勤務医や看護師への患者の暴言・セクハラ、長時間労働 ドコモ、iPhone販売拒む3重の壁…「今年確実」「絶対ない」業界内で割れる見方

次世代技術の結晶「初音ミク」を、“文化”にまで昇華させた者は単なるオタク?

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フィギュア『キャラクター
ボーカルシリーズ01 初音ミク』
(グッドスマイルカンパニー)
 前々回の『初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…』、前回の『キャラ設定はない?ボカロPが語る「初音ミクの作り方」〜AKBファンと同じ?』に続き、今回も「初音ミクとは何か?」に迫るべく、楽器メーカーのエンジニア、初音ミクのファンやボーカロイド愛好家に行った、インタビューの内容を書かせていただきます。  そして本シリーズの最後として、「なぜ初音ミクは、最高水準の技術に支えられるまでに至ったのか?」「なぜ文化にまで昇華されたのか?」などについて、まとめさせていただきます。 【楽器メーカー技術者Oさん(仮名)へのインタビュー】 ーー最近の楽器メーカーは、ボーカロイド(ボカロ)という新しいメディアの登場を、どのように考えているのでしょうか? Oさん 正直、「現状では、状況を見守る以上のことはできない」が答えになると思います。  初音ミクで採用されている、ボーカロイド音源については、ヤマハさんが事実上の独占状態ですし、ヤマハさんが、初音ミクでこれからどのようなビジネスモデルを展開する予定なのかは、わかりません。 ーー情報処理技術を前提とするボーカロイド音源やMIDI音源によって、従来の楽器は、その存在意義を失なっていくことにはならないでしょうか? Oさん 確かに、マイコン等によって音声が自由につくられる以上、未来の楽器が、従来のギターやドラムのような有体物である必要は必ずしもない、ともいえそうですね。  しかし、演奏の世界においてボーカロイド音源やMIDI音源を中心とする楽曲作成は、まだまだメジャーにはなっていないと思います。  ですから、我々は現在、「アコースティック感覚の電子楽器」の製品開発を行っているのです。 ーーアコースティックとはなんですか? Oさん 電気的な処理によって作り出された音ではなく、楽器本来の音のことです。多くの人は、ドラムを叩けば1つ音しか出ないと思っていますが、実は、ドラムは叩き方の強弱やスピード、叩く位置によって、無限のパターンの音をつくり出すことができるのです。ピアノもギターも同様です。私達はこのような、楽器本来の音を再現できる電子楽器の開発を進めています。  併わせて、現実のピアノやギターと同じ演奏感覚で扱えるようなインターフェースの研究も行っています。楽器は、決められた音を出すだけの道具ではなく、楽器からの振動を、直接身体で感じて楽しむものでもあるからです。 ーーでは、当面はアコースティック感覚の電子楽器の開発に注力していくのですか? Oさん 難しい質問ですね。「楽器は音が出れば良く、インターフェースなどは、どうでもよい」と考える世代が現れていることを考えると、このような製品開発にはリスクがあるかもしれません。だからといって、従来の楽器が完全になくなっていくと考えることも難しいのです。  何しろ、楽器とは数百年の時を経て、なおかつ生き残ってきた究極のインターフェースですからね。 ーーアコースティック感覚の電子楽器を志向するということは、演奏の形もこれまでと同様のままであるということになりますか? Oさん 必ずしも、そうとも言えないと思います。まず、巨大ディスプレイに表示される初音ミクはもちろんですが、 ・自分の素顔をまったく見せないままで演奏 ・自分のシルエットだけを見せて演奏 ・楽器の形をした物体を「持っているだけ」、演奏する「フリすらしない」 など、ボカロでない演奏であっても、その表現方法は実に多様化しています。 ーーそれでは最後に。ボカロは次世代の楽曲として主流となると思いますか? Oさん わかりません。ボカロが当然となっている若い世代にとっては、ボカロは別段異様なメディアではありません。このような世代もいずれは中高年世代となるわけですから、ボカロと従来の楽曲は、今後も矛盾なく併存していくのではないかと思っています。 ーー本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

【ボカロファンへのインタビュー】

 さて、ここからは、ボカロを愛好しているAさん、Bさん(ともに仮名)へのインタビューを紹介します。別段「隠れていた」というわけではないでしょうが、少し探してみると、私の周りにも結構な数の初音ミクファンを見つけることができした。 ーーこれは「隠れ蓑(みの)」ならぬ、「隠れミク」だななどと考えつつ(後で調べたら「隠れミク」は慣用名称となっていました)、インタビューをさせていただきました。 ーーボカロに対して、どのような魅力を感じますか? Aさん 独特のリズムに魅了されます。特にアップテンポの曲は人気があり、変拍子の曲も面白いです。 ーー変拍子ですか? Aさん 厳密に言うと曲の途中で拍子を変えることですが、例えば7/4拍子などでつくられた曲などもあります。 ーーそんなリズムの曲が成立するのですか? Aさん 複雑なリズムがもたらす感覚は、好きな人にはたまらないものなのです。理解できない人には、永遠に理解できないとは思いますけど。 ーーほかには、どのような魅力があるでしょうか? Aさん 歌詞というか、言葉に魅了されます。これまでの歌では決して表現されることのなかった言葉が胸を打つのも、ボカロならではの魅力であると思います。  このような言葉がメディアミックスを生み出してもいます。例えば、ボカロ曲の内容を受けた小説が発刊されたり、演劇になったりもしてもいます。 ーーさいたまスーパーアリーナで開催された、1万人の観客を動員した初音ミクコンサートに行かれたそうですが、やはり男性が多いのですか? Bさん 先日行ったコンサートは、初音ミクだけではなく、アニソン(アニメソング)の歌手も出演されていたこともあり、男女比率は7:3くらいでした。初音ミクだけのライブだと9:1となり、やはり男性が多いです。時間は3~4時間程度でした。 ーー観客の世代としてはどうでしょうか? Bさん そうですね。入場料が7000円程度ということもあり、大学生、若手の社会人の世代が多かったように思います。全体としてはハイティーンから30歳代前半といった感じだったと思います。もちろん年配の方もいらっしゃいましたが。 ーー初音ミクのファンであることをカミングアウトするのは、恥ずかしいことなのですか? Aさん まだ一般的に受け入れられていないため、少なくとも初対面の人には言いづらいです。少しでも自分を知っている人でないと、あらぬ誤解を受けそうという恐怖はあります。  なぜなら、中高生時代には、いわゆる「『オタク』というレッテルを貼られること=いじめの対象」となるという現実的な脅威がありました。自分は、その時代の恐怖体験を今なお引きずっているのだろうと思っています。 Bさん 私は、初音ミクの文化を認めないなら、そこで生まれた優れた音楽を自己否定することなり、自分がその音楽を楽しむことができなくなります。そんなことは嫌です。  私自身は、初音ミクのファンであることを恥ずかしいと思いませんが、それをカミングアウトするか否かは、次元の異なる話ではないか、と考えています。これは、「私がどう思われるか」という話ではなく、「相手がどう思うか」という問題だと思うのです。  相手がいわゆるオタク文化に寛容であれば、ボカロ好きを隠す理由はありませんが、相手がそうでない場合は、オタク文化に触れていること自体を隠す(=ボカロ好きであることも隠す)ことになっても良いのかな、と。  なぜなら、オタク文化に不寛容な人に、わざわざ苦痛(不快な気分にさせる等)を与える必要はないと思うからです。 ーー 色々なご意見をいただき、誠にありがとうございました。 ●まとめ  今回、3回にわたり初音ミクについて考察してきましたが、最後に筆者が至ったボカロに対する感想を述べさせていただきます。 【1】初音ミクを具現化しているボカロ技術は、最先端マルチメディア&ネットワーク技術の集大成である。  前回、前々回でご紹介させていただきました通り、初音ミクを支える三大技術は、エンジニアとしての私を震撼させるすごい技術です。  ・歌唱音声技術は「コンピュータにしゃべってもらう」程度の技術とは次元の異なる高みーー「コンピュータに歌ってもらいたい」ーーというエンジニアたちの執念の産物です。  ・また、動画映像技術は「絵心」を母親の胎内に置き忘れてきた私にすら、たった一枚の絵を描くことなく初音ミクのアニメーションの作成を可能にさせました。  ・そして、ソフトウェアのインストール後30分で、生まれて初めての作曲を完了してしまったという、作曲演奏技術に至っては、もう「魔法」と断言してよいと思います。

 加えて、あまりに高速になったパソコンの演算能力と、優れたマルチメディアデバイス、膨大な情報転送を可能とするインターネット回線、そして情報圧縮転送技術がなければ、初音ミクは、あなたの自宅にやってくることもなかったでしょう。 【2】かかる最先端技術を、研究機関などに閉じることなく、(サブ)カルチャーとの見事な融合を果たし、アミューズメントの一大産業にまで発展させたのは、若い世代の人間である。  このようなコンピュータの人工歌唱を「気持ち悪い」と切り捨てることは簡単なことですし、「そんな市場はない」との経営的な判断をする方が楽に決まっています。  しかし、我が国には、 ・この得体の知れないボーカロイドという技術を信じ、それを文化として昇華するまでコンテンツ(ボカロなど)をつくり続けたボカロP ・そのボーカロイド技術を心の底から愛して研究開発を続けたエンジニア ・技術開発に出資を決断した経営者 ・信じられないほど高機能なソフトウェアを無償で公開するプログラマー ・ボカロのコンテンツを発表する場を提供するプロバイダ ・N次創作を支えるコミュニティメンバー そして、 ・その文化を、辛抱強く、しかし温かく見守り続けたファン の、初音ミクを守る「7人のサムライ」がいたのです。  彼らの、技術力、企画力、創作能力、コミュニティ力、そして、新規の文化をすぐに取り入れられる柔軟性、そしてN次創作を許容できる認容性。 ーー本当にすごいじゃないか、この国の若者たち。  彼らは、世界に対して胸を張って自慢できる若者たちであると、私は断言します。 【3】ボーカロイドや初音ミクコンサートなどを異端視する人は多い。しかし、その理由は観念の域を出ず、論理的でない  第一にボカロを異端視する人は、きちんとこのボカロ文化と正面から向き合っていないのではないかと思います(それを一概に「悪い」とは言いませんが)。  私は、このコラムの執筆が決まってから、中学2年生の娘に、初音ミクの歌を5曲選曲してもらい、人生最初のボーカロイドの試聴に挑戦しましたが、結論から言いますと「歌詞が、全くわからん」という感想でした。楽曲の嗜好以前の問題でした。初音ミクの歌より「TOEICリスニング」のほうがはるかに簡単と思えるくらいでした。  私は、娘に対して、 「YouTubeとかニコニコ動画では、歌詞がタイトル(字幕)で出てくるから、みんな歌詞を理解できるのだよね。最初から歌詞は聞き取れないよね」 と言ったのですが、娘はキョトンとした表情をして、不思議そうに尋ね返してきました。 「なんで? 字幕なんかなくても、最初から歌の内容は聞き取れるよ」  そう言った娘の顔は、特別な勉強をすることなく、毎回TOEICスコア900点台を叩き出していた、あの同僚の顔とそっくりでした。  なんてこった。娘は「ボーカロイドに愛される中学生」であり、私は「英語」ばかりではなく「ボーカロイドにも愛されないエンジニア」であったのです。 ーーなんか、面白くない。  私は、昨年のコラムの執筆開始時から、正月休みの全期間を通じて、娘の選曲した5曲、 『千本桜』 『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』 『はちゅねミクのうた』 『ブラック★ロックシューター』 『初音ミクの暴走』 を、何度も何度も聞きまくり(多分、200回以上は繰り返したと思う)、ようやく歌詞の9割を聴取できるに至りました。  何事も「正面から向きあうこと」でなんとかなる(場合もある)のです。  歌詞が理解できてくれば、「おお、これはこれで、実に味わいのある歌だ」と、縁側でお茶菓子を嗜むご老公のような気分で、初音ミクを楽しむことができるようになりました(もちろん、私にははなはだしく聞くに堪えない曲もありますが)。  さて、話を戻しまして、ボカロ曲を「気持ち悪い」、初音ミクのコンサートで「愛しているよー!ミクー!!」と絶叫する観客を「怖い」と思う人がいるのは、当然だと思います。正直、これだけの徹底した調査とインタビューを実施したと考える、この私でさえも、まだ「引きます」。

 しかし、初音ミクが気持ち悪くて、アニメ映画やアイドルのコンサートなら気持ちが悪くない、というのは論理的に筋が通らないのです。これに対しては、「それは、『質の問題』ではなく『程度の問題』なのだ」とおっしゃる方もいると思います。  そこで、以下に一つテーゼを提示しますので、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。 「私は、ディズニーランドで、嬌声を上げながら、ネズミのぬいぐるみに抱き付いていく成人女性に対しても、同程度に『引きます』」 【4】あなたが「初音ミク」を理解できないのは仕方がない。しかし彼らの邪魔をしてはいけない。  私が生まれて初めてワープロで実験レポートを提出した時、友だちは私をオバケのように見ました。  私が電子メールの便利さを周囲に説いて回ったとき、「オタク」のレッテルを貼られて、大変冷たい対応をされました。  また、私が、自分のパソコンで統計処理ソフトを自作して、バイト先の学習塾の生徒の成績管理に使った時、人でなしのように言われました。  上記と同様に、みなさんが、新しい技術または文化である「初音ミク」を理解できなかったとしても、それは仕方のないことだと思います。  しかし、初音ミクの技術は、未来の情報処理技術の根幹です。  さまざまな分野(人工同時通訳、自動音声応対システム、VR(Virtual Reality)遠隔医療、QOL(Quality Of Life技術)への適用が考えられ、それらの技術の進歩は、人類の幸福に資するはずです。一人のエンジニアとして、これらの技術の発展を邪魔するものを、私は許しません。  そして、新しい文化をつくり出して、発展させ続けている若者たちに、冷水をぶっかけるようなマネをしないでください。新しいメディアの先行者であり続けようとし、そして常に冷遇され続けた私には、もうわかっているのです。  間違っているのは、いつだって、新しい技術とメディアを忌避する「あなた」です。 (文=江端智一) ※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。 ■おすすめ記事 コンビニのエロ本が売り場から消える日 メインは中高年で熟女系が人気 NTT社長、ドコモのiPhone導入に期待を表明「ニーズに応えることも必要」 バレンタインに異変? 友チョコ、ファミチョコ、豪華女子会で男いらず? 気になる男性をオトすテクニックとは? マックが急速にカフェ化 セブンにローソン、モスもコーヒー導入の背景

キャラ設定はない?ボカロPが語る「初音ミクの作り方」〜AKBファンと同じ?

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フィギュア『キャラクター
ボーカルシリーズ01 初音ミク』
(グッドスマイルカンパニー)
【前編はこちら】 『初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…』  こんにちは。江端智一です。  前編に続き、中編の今回は「ボーカロイド」の「How to make(作り方)」について、ボーカロイドの制作プロデューサ、いわゆる「ボカロP」へインタビューを行った内容を書かせていただきます。  前編でも申し上げた通り、今回のテーマである「初音ミクとボーカロイド」は、 ・単なる技術論では閉じることできず、 ・文化論にするには領域が広すぎ、 ・一般化できる程度にまでまとめられた文献がない という特徴を持っています。 「これは、助けてくれる人が必要だ」と直感し、初音ミクを創作する人や、愛好している人を探しました。  まず、勤務先の若手エンジニアたちに、「ボーカロイドの制作者か、そのような人にコネがある人は、私に紹介してほしい。取引条件は、『餃子の王将、食べ放題』でどや?」と、一斉にメールを出しました。すると同僚が1日を待たずに、知り合いで初音ミクを制作している人を紹介してくれました。「さすがは、ITエンジニア業界」というべきでしょう。 【ボーカロイドプロデューサ・Pさんへのインタビュー】  今回取材に応じていただいたのは、ボーカロイドの制作プロデューサ、いわゆる「ボカロP」といわれている方です。匿名をご希望とのことでしたので、以下、「Pさん」と記載させていただきます。  Pさんは、27歳の独身男性。IT企業に勤める研究員で、コンピュータのオペレーティングシステムの研究員をされています。ハードウェアシーケンサーやパソコンで、コンピュータを使って作成する音楽(DeskTop Music、以下DTMという)を始めた後で、ギターやキーボードを始めたという異色の経歴をお持ちの方です。 ーーまず、今回Pさんが匿名でのインタビューに応じていただいた理由を教えてください。 Pさん 私が今回お答えする内容は、私の所感に基づくものであり、まだ一般論にまでは至っていないと思います。このような内容をしゃべっていたとバレますと、色々とネット上でも叩かれることもありますので……。 ーーそもそも「ボーカロイド」とはなんでしょうか? Pさん 厳密な意味ではパソコンによって歌を生成するソフトウェアの名称(例えば、マイクロソフト社のワードやエクセルなどと同様の)ですが、現状では、ボーカロイド、特にボカロと呼ばれているものは、初音ミク等のキャラクターや、それらを含む文化そのものの総称であると思います。 ーーでは、ボカロの歴史について簡単に教えてください。 Pさん 2004年にヤマハ株式会社(以下、ヤマハ)が、ボーカロイドという名称で初めてソフトウェアをリリースしました。ボカロにとっての転機は、2007年8月、VOCALOID2「初音ミク」のデモソングがニコニコ動画(ニコ動)にアップロードされ、その滑らかな歌声とキャラクターに多くの人が魅了されたことだと思います。  その影響もあり、現役でDTMをやっている層のみならず、若い頃にDTMをやっていた中高年層にも、もう一度音楽を作るきっかけを与えることになり、多くの人がニコ動に初音ミクを使用した楽曲を投稿するようになりました。  そうした中で生まれた楽曲の中でも、特に「みくみくにしてあげる』はブームとなりました。その後、09年8月に、音楽イベント『ミクフェス‘09(夏)』で、初めて透過型スクリーンを用いたコンサートが行われ、2300人を動員しました。その後も、さいたまスーパーアリーナ等で、1万人オーダーの初音ミクコンサートが行われています。 ーーボカロにとってのエポックポイントはどこにあったのでしょうか? Pさん ニコ動というボカロ曲を発表する場が登場したことと、クリプトンの「ピアプロ」というコラボレーションを推進する枠組みができたことではないかと思います。 ●コラボレーションで作り上げていく ーーそれは、ボカロPが作成した初音ミクなどの作品を、公開できるようになったということでしょうか? Pさん 単なる作品の公開に留まらず、「コラボレーション(共同作業)」ができるようになったことです。例えば、初音ミクの楽曲をニコ動にアップロードすると、その楽曲に対して、プロモーションビデオ(PV)、イメージ画像を描いてくれる人や、ソフトウェア「ミクミクダンス」で、初音ミクを踊らせてくれる人が出てきます。  または歌詞がついていない曲をアップすると、歌詞をつくってくれる人もいるのです。 ーーボカロは、「一人で閉じた世界での創作活動」であるからこそ、現在1万曲を超える音楽が誕生したのだと思っていましたが……。 Pさん ボカロは、ある人の創作物に対して、さらに色々な変更を加えていくという、いわゆる「N次創作」に特徴があります。これは「一人で閉じた世界での創作活動」を妨げませんし、むしろ、そのように改変され続けていくところに、ボカロの魅力があると思います。 ーーボカロが、わずか数年でここまで世間に浸透したということには、脅威というか、ちょっとした恐怖を感じます。 Pさん そうですね。例えば初音ミクなどに関しては、ゲーム化され、またアニメ化もされています。このようなN次創作は、これまでの創作物では例がないのではないでしょうか。 ●独立した一個の人格 ーーでは、次に初音ミクについてお伺いしたいと思います。初音ミクとは、「人間の言語という音声信号を発する新種の楽器」という解釈も可能かと思うのですが。 Pさん 当初は、ただ人間の代わりに歌ってくれる楽器という考え方もあったようですが、現在では、独立した一個の人格として取り扱われていると思います。これに最も近い概念は、「好きなアニメのキャラクター」だと思います。 ーーしかし、初音ミクは、アニメのストーリーの中で、笑ったり、泣いたり、恋をしたりして、活躍するキャラクターではありません。そもそも、キャラクターとしての設定が存在していないように思います。これを「好きなアニメのキャラクター」と同様に取り扱うのは、ちょっと無理があるように思えるのですが。 Pさん 初音ミクに初期設定はありませんよ。 ーーえ? 「キャラクター設定定義書」みたいなものがあるでしょう。例えば、16歳の少女で、葱(ネギ)を振り回すのが好きである、とか……。 Pさん 初音ミクに最初に与えられたものは、原則としてソフトウェアパッケージに描かれている初音ミクの外観と情報(年齢、身長、体重等)だけです。そこから、多くの人が、初音ミクには「こうあってほしい」「こうだったらおもしろい」というキャラクターとしての性格づけが行われて、その中で、多くの人によって受け入れられた性格だけが生き残って、今の初音ミクの設定に至っているのです。 「葱を振り回す初音ミク」は、後発的に設定され、それが多くのユーザに支持された結果、設定に至ったものです。初音ミクなどの人格は、いわばユーザの支持という自然淘汰によって決定されているのです。 ーーこれもバーチャルアイドルならではの設定ですね。人間のアイドルでは難しそうです。では、そもそもPさんがボカロPを始められたきっかけを教えていただけますか? Pさん 私は、ゲーム音楽のアレンジなどのインストゥルメンタルな音楽をやっていたのですが、ずっと歌モノを作ってみたいとも思っていました。ただ、歌モノを作った経験もないし、いきなり歌手さんにお願いするのも気が引けるということで始めました。はやっていたから、というのもありますね(笑)。 ●ボカロPになる人々 ーーどういう人がボカロPになっているのですか? Pさん 最近はバンドをやっていた流れで始める人も多いようですが、やはり、DTMから入ってきた人が多いように思います。ボカロPになるには、一定のパソコンスキルが必要となるのは事実ですから。  業種でいうと、IT系の会社員や理工系の学生が多い気がします。ギターやピアノの先生という人もいます。また、30歳前後の方々には、リズムゲームに影響されて始める人、40歳前後の中高年世代においては、マイコン時代の打ち込みからやっている人が多いようです。 ーーボカロ楽曲を作って公開に至るまでに、必要となる「道具」はなんですか? Pさん 3つあります。 (1)「ボーカロイドパッケージ」が必要です。初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカに歌を歌ってもらうためのソフトウェアです(例:ボーカロイドパッケージ『初音ミク』<定価1万5750円>)。 (2)楽曲を作るのであれば、DAW(Digital Audio Workstation:コンピュータを使用した統合型の音楽楽曲制作ソフトウェア)も必要になります(例:『Music Maker MX』<1万5000円程度>)【註1】。 (3)歌って踊る初音ミクの動画を作りたいのであれば、「ミクミクダンス」という無料ソフトウェアを使うことも可能です。しかし、絵師さんと呼ばれるイラストレーターにお願いして、それを動かす動画のほうが多いようです【註2】。  いずれも体験版がありますので、無料で試すことができます。 ーーそれでも、3万円程度でボカロPを始めることができるのですね。具体的には、どのような手順で、歌を作ればよいのですか? Pさん まず楽曲を作ってから、歌詞を決めて、歌声を作ることになります。私は、ミクミクダンスなどを使った初音ミクの動画は作っていません。 ーー1曲作るのに、どの程度の期間が必要なのですか? Pさん 私の場合で、3カ月程度です。もちろん他のボカロPには、1週間で作成する人もいます。 ーーボカロを作るのに、どんな苦労がありますか? Pさん そうですね。ボーカロイドのキャラクター(初音ミク、鏡音リン・レン等)によって、音域に制限があることに注意する必要があります。常に、最適な音域を考えて、発音の不自然さをチェックする必要もあります。また、キャラクターに応じた曲や詞を考えることも重要です。 ーー作ったボカロは、どのように公開するのですか? Pさん ニコ動やYouTubeで公開します。リアルタイムで配信される映像を視聴しながら、コメントやアンケートを楽しむことのできる、ニコニコ生放送(ニコ生)で、紹介用のビデオクリップを公開することもあります。また、プールバーなどでのボカロP同士による披露会もあります。 ーー作品のフィードバックは、どのようにもらうのですか? Pさん ツイッターでのフィードバックが一般的ですね。先ほども説明しましたが、やはりニコ動の影響は大きいです。これが登場する前は、いただいたフィードバックは1年に1回程度しかありませんでしたが、楽曲を投稿した日などは1日数十のツイートや、ニコ動上でのコメントをもらうこともあります。 ーーフィードバックの内容はどのようなものでしょうか? 厳しい批評をもらったようなことはありますか? Pさん 厳しい内容のコメントをもらったという記憶はありませんが、アドバイスのようなコメントをいただくことはあります。ただ、自分の作品の二次利用で、クオリティの低い作品が出てきたときはがっかりすることもあります。しかし、私もかつて通ってきた道なので、複雑な心境ではありますが、次世代を育てるという意味で「がんばれ」と思うことにしています。 ●ボカロでは儲けられない? ーーボカロで収入を得る手段は、確立しているのでしょうか? Pさん 基本的には、ボカロは儲からないと思います。もっとも、CD作成費用を回収する程度の金額をいただく場合はありますが、ボカロPをやっている人のほとんどはノンプロで、趣味でやっています。少数ではありますが、プロになる足掛かりと考えている場合もありますし、プロが自分を売り込むために活動しているボカロPもいます。 ーーでは、ボカロPを続けるモチベーションは、どうやって維持しているのですか? Pさん やっぱりリアクションですね。高い評価をもらえるとうれしいです。また、ボカロP同士のコミュニティで、音楽CDの合作に参加させてもらったり、自分の作品に画像をつけてくれることもとても楽しくて、嬉しいです。 ーーボカロPを続ける上でのデメリットありますか? Pさん やはり時間が取れないことですね。仕事との棲み分けが難しいことがあります。 ーーその他、ボカロPならではの、お話をご存じでしたら教えてください。 Pさん 演歌や昭和歌謡など、若年層向けでない音楽をやっているボカロPの方もいらっしゃいます。おそらく、中高年の方が作られているのだと思います。作曲ソフトとしては、「ぼかりす」という自分の歌声をメロディとしてキャプチャーしてくれるソフトウェアもあります。まだあまり使われてはいないようですが。  ほかには、初音ミクコンサートで使われている巨大なディスプレイですが、あれは「透過型ディスプレイ」といって、レンタルであっても大変高価なものだそうです。このディスプレイが故障したら、コンサートは一瞬で台無しになりますので、3重化して使っていたという話があります。 ●ボカロはサブカルか、カルチャーか? ーーボカロは、オタク文化(サブカルチャー)なのでしょうか? 私が調べた限り、新しい表現方法として確立しつつある、立派な文化(カルチャー)であると思いますし、すでにマジョリティ(多数)を獲得できていると思いますが。 Pさん 新しい文化は、それがマジョリティになりつつあっても、一定の時間を経ないと社会全体に認知されません。実際に初音ミクのようなバーチャルアイドルを、しかも、それをプロデュースする側にいるということ自体、一般的には異端であると思われているは事実ですから。 ーーそれはわかります。私も初音ミクコンサートをYouTubeで見た時のことはよく覚えているのですが、大型ディスプレイに表示された映像に対して熱狂している観衆は、はっきりいって怖かったです。正直、「一体、何考えているのだろう」と思いました。 Pさん まあ、それは仕方がないことかもしれません。しかし、アニメのキャラクターや映画のスクリーンに出てくる俳優に声援する心情と、あまり変わりはないと思います。 ーーそれにしても、アニメのキャラクターに対する思い入れと、初音ミクコンサートで観客が見せる初音ミクへの思い入れは、ちょっと異質(異様)すぎる感じがするのです。うまく表現できないのですが。 Pさん それは、先ほど申し上げた、初音ミクの「無設定」にあると思います。コンサートに集った観客は、同じ初音ミクを見ているわけではないのです。 ーーえっと、よくわからないのですが……。 Pさん 初音ミクというキャラクター設定には、観客一人一人の接し方によって、無限のパターンが生まれます。つまり、1万人のコンサート会場においては、1万パターンの「自分だけの初音ミク」を見ているのです。「自分だけの初音ミク」に熱狂するというのは、ある種、自然なことです。 ーー「自分だけの初音ミク」ですか。それはもう、完全な「恋愛プロセス」ですね……。 Pさん AKB48などのアイドルファンと、あまり変わりはないと思いますけどね。 ーーそれでは最後の質問をさせてください。ボカロは、これから広い世代に広がっていくべきだと思いますか? 例えば、私の娘(中学2年生)などは、ボカロ曲を毎日聴いているのですが、「パパの世代に、無理して理解してもらう必要はない」と言い切っています。 Pさん そのような意見もあると思います。実際に新しい文化、しかも、コンピュータリテラシーを前提とする文化に対して、世代の異なる人が冷淡であるばかりでなく、批判をしてくることは事実です。  しかし、私個人としては、もっと多くの人に、ボカロ楽曲を聞いてもらいたいのです。ボカロ曲のリスナーの多くは若い人たちですが、これはちょっと残念なことだと思うのです。事実、ボカロの曲(歌詞)は「ハイティーン」世代を狙って作成されたものが多く、ジャンルがひどく偏っています。私がやや年齢層高めの人たちにウケるジャンルの楽曲を作っていることもありますが、私としては、どの世代においても、誰もが楽しめるボカロになっていってほしいと願っているのです。 ーー「誰もが楽しめるボカロ」という観点を、もう少し説明してください。 Pさん リスナーの層が偏ると、例えばジャズのような若年層にウケない楽曲はいくらクオリティが高くても評価されないことになり、そのようなボカロPが離れていき、徐々に楽曲の多様性が失われていくのではないかと危惧しています。  そこで、さまざまな世代がボカロ楽曲を聴くようになり、若年層向けでない音楽にもフォーカスが当たるようになれば、もっとボカロの世界は楽しくなると思っています。 せっかくメジャーシーンと違う世界が与えられたのだから、その世界とは違う音楽が評価され、はやってほしいのです。 ーー本日は、ありがとうございました。 ●ボカロPへのインタビューを終えて  インタビューに応じていただいたPさんは、挑発的に仕掛けた私の質問に対しても、終始、穏やかな雰囲気で対応されていました。そこにはボカロという新しい文化を、論理で論破して押しつけるような態度はなく、むしろ、このような新興の文化を受け入れ難い人がいるという事実を、寛容的に理解されている様子が、とても印象的でした。  また、「ボカロは素晴しいものなのだから、どの世代のどんな人でもボカロを楽しんでほしい」という想いは、「無理して理解してもらう必要はない」という我が家の娘のスタンスとは随分違うようでした。  このインタビューでは、「コラボレーション」というボカロの進化の形態が紹介されました。ソフトウェアの世界においても「オープンソース」という似たような文化がありますが、それはしょせん「技術」の世界に閉じる文化です。 それにくらべて、このボカロ文化の「コラボレーション」とは、例えるのであれば、 ーーフレーズを口ずさんでいたら、どこからともなくフレーズを完成させてしまう人が来て、気がついたら誰かがフレーズに歌詞をつけてしまい、さらに、わらわらとバンドのメンバが集まってきて演奏を始めて、気がついたら武道館コンサートの舞台に立っていたーー というくらい、開放的で、荒唐無稽で、カオスで、アバンギャルドで、何より、みんながとても楽しそうな「コラボレーション」のように感じました。  またボカロの創作にかかわる方の、その「大らかさ」にも感銘を受けました。自分の著作物の二次的利用を「黙認」ではなくて「奨励」するその精神は、やはり賞賛に値すると思うのです。 灰かぶり姫のお城や、ネズミの着ぐるみの写真をブログにアップロードすると、たちまち警告状を飛ばし、著作権の保護期間を法律で延長させてしまうほどの政治力を持つ、千葉県にあるアミューズメント施設の法人とは、見事な好対照を成しているように思えます【註3】。     それでは、次回の後編(最終回)では、楽器メーカの技術者やボカロ愛好者の方へのインタビューを交えながら、我が家の中学2年生の娘とのボカロをめぐる騒動などを描きつつ、ボカロ文化についてまとめさせていただきたいと思います。 (文=江端智一) 【前編はこちら】 『初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…』 ※後編へ続く ※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。 【註1】「DAW」ではCubaseやSONARが有名です。 【註2】Adobe After Effectsや、フリーであればAviUtl、ニコニコムービーメーカー、MacではiMovie等がよく使われます。ミクミクダンスはそれだけで完結するものではなく、上記ソフトウェアに読み込ませる素材を作成するツールとして位置付けられます。 【註3】http://biz-journal.jp/2012/11/post_1020.html ■おすすめ記事 学校教師のトンデモ実態&発言!塾任せ、使い込み、授業放棄、生徒数水増し… ボーイング787トラブル 原因は“ボーイング社による”ヒューマンエラー!? マクドナルド、既存店売上高減で、“無料”を積極活用し戦略転換を模索 就活生が知るべき“採用情報”のブラックな内実 夜に書くラブレター、恥ずかしくなるのはなぜ?

初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 「六本木襲撃事件」「AKB児童ポルノ騒動」の正しい読み方 大手電機A社、下請けいじめ、代金踏み倒しの実態…元取引先社員が語る プレモル、ラガー抜きトップへ 明暗分けたビール各社の販売戦略とは? ■特にオススメ記事はこちら! 初音ミクを生んだ“革命的”技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲… - Business Journal(1月16日)
フィギュア『キャラクター
ボーカルシリーズ01 初音ミク』
(グッドスマイルカンパニー)
 こんにちは。江端智一です。  台詞が聞き取れない高速のアップビートを、見事なリズム感とダンスを伴いながら完璧に歌い切る、天才パフォーマー(歌手)。サイリュウムを振り回して、「愛しているよー」と絶叫する、興奮した聴衆……  コンサートとは、非日常を体現するリビドー放出の場であり、それは単なるCDやDVDの鑑賞では得られない、生きた(ライブ)の「場」の共有にこそ、その価値があります。しかし私は、そのコンサートの会場の映像をYouTubeで見ながら、人生最大級の驚愕と恐怖の中にありました。
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 そのパフォーマーとは、比喩でも例えでもなく、まぎれもない「コンピュータプログラムのアウトプット」そのものだったからです。聴衆を熱狂させている、その天才パフォーマーは16歳の少女ーーの姿で、透過型スクリーンに投影される、3Dポリゴンのコンピュータグラフィックスだったからです。  それが「初音ミク」と私の、最初の出会いでした。  私は、初音ミクについて、かなりの時間をかけて、書籍やインターネットで調べ始めました。そして、いつもの通り「今回もまた面倒くさいものに手を出してしまったなあ……」という後悔の気持でいっぱいです。初音ミクは単なる技術でもなければ、一過性のブームでもない。パラダイムシフトという言葉でも足りず、あえていうのであれば、「コンピュータと人間のインターフェース革命」と表現してもよいのかと思っています。  そもそも、コンピュータというのは、基本的に人間の能力を越えるものではありません。手書きとワープロソフトの差も、ソロバンと計算表ソフトの差も、絵の具とプレゼンテーションソフトの差も、所詮は人間よりもアウトプットが「早い」「安い」「大量」という定量的な差異でしかないのです。  しかし今や、コンピュータのアウトプットそのものが、人間を感動させる時代に突入したのです。これは、まさにコンピュータ側から人間側への、コンテンツの逆流といってもよいかと思います。まさに「インターフェース革命」といっても過言ではないでしょう。  このような、壮大なテーマを書くのは、正直、憂鬱です。  私は、エンジニアですので、「技術」を解説することはできますが、「文化」を解説する経験もスキルもありません。そして「文化」は、取り扱いが面倒な上、その解釈が人間の数だけ存在するからです。 「こりゃ、書き方によっては、カルトなファンに殺されるかもしれんな」と、私はテロの襲撃までも覚悟しています……  前置きが長くなりましたが、今回は2回に分けて、「ボーカロイドと初音ミク」について書かせていただきたいと思います。前編では、「ボーカロイド」初音ミクの定義とそれを実現する技術を、後編では「ボーカロイド」の「How to make(つくり方)」などを、関係者へのインタビュー内容と併せて、ご説明させていただきます。 ●「ボーカロイド」の定義とは?  さて、本稿で使用する用語の定義をしておきたいと思いますが、これが結構大変です。 まず、「ボーカロイド」とは、私が調べた限り、現在、以下の3つの意味で使われているようです。 (1)歌唱をつくるソフトウェア名(歌声をつくり出すことができる、ヤマハ株式会社が開発したパソコンソフトの名称) (2)そのソフトウェアを使って創作された歌 (3)上記(2)の歌を歌うキャラクター  これだけバラバラのものを、どうして「ボカロ」という言葉で、混乱なく併存できているのか不思議なのですが、本稿では、「(2)そのソフトウェアを使って創作された歌」 と暫定的に定義して使用します。  次に、初音ミクです。初音ミクとは、クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている音声合成・デスクトップミュージック(DTM)ソフトウェアの製品名、およびキャラクターとしての名称です【註1】  わかりにくいので、私なりに、エンジニアとしての定義を試みます。  初音ミクとは、 (1)コンピュータによって作成されたメロディを伴う音声と、 (2)コンピュータによって作成された人間のように動き踊る映像とからなる、 (3)「歌手」という設定のキャラクターで具現化される、マルチメディアのコンピュータ出力の一態様であって、 (4)コンピュータ等によって作成された音楽と併せて表現されるもの と定義できると思います。  つまり、初音ミクとは、 (1)コンピュータがプログラムに基づいて行った演算結果を、 (2)マルチメディア(音声と映像)に変換して、 (3)デバイス(ディスプレイとスピーカ)にアウトプットしたもの にすぎません。  なお、この初音ミクと同じ態様のアウトプットとして、現在36のキャラクターが存在しています。初音ミク「鏡音リン・レン」「がくっぽいど」「巡音ルカ」など、12年12月の段階で私が確認した範囲で、36あります。(以下、初音ミクは、これらのキャラクターの総括名称として扱います)  つまり「『初音ミク』とは、『映画』の一態様にすぎない」ーーこれで正しいはずです。  このようなメディアは、別段目新しいものではありません。アニメや映画も、つまるところ上記の定義で説明できます。  しかしこの説明では、単なる映画にすぎない初音ミクに対して、なぜ「愛しているよー」と絶叫する、興奮した聴衆が存在するのか? をうまく説明できません。  そこで、このテーゼに対して、技術面からのアプローチと、心理面からのアプローチを試みます。 ●初音ミクを支える技術  まず、初音ミクをつくり出す技術について説明させていただきます。

<第一の技術:歌唱音声技術>  歌唱音声技術とは、初音ミクに歌ってもらう技術です。この段階では、初音ミクの独唱(ソロ)をつくることになります。初音ミクが踊っている姿も、楽曲の演奏も生成されません。  特許庁の検索エンジンで、「ヤマハ」「音声」で検索をかけたら、ボーカロイド技術に関する発明は5つありました。注目すべきは、「特許公開2002ー202790 歌唱合成装置」であり、これこそが、現在の初音ミクを成立させる技術と考えられます(2008年1月に日本国の特許権が成立済み)。  初音ミクの歌唱は、コンピュータがつくる声ではなく。現実の人間の声を使って生成されています。具体的には、生の人間の音声をバラバラにパーツ化して、データベース化してあらかじめ保存しておきます。そして、初音ミクに歌わせる時に、それらのパーツを素材として使って、再構成することで「歌」をつくり出すのです。この発明は、それらのパーツを連結する時に発生する「不自然さ」や「ノイズ」を除去するという技術に特徴があります。

 この技術は、現実の人間の音声を「絵の具セット」のようなものとして保存しておき、歌唱をつくる時に、パレットの中でそれらの色を混ぜて、無数の色をつくり出せるようにして、カンバスの上に自由に絵を描けるようにしたもの、という理解でよいと思います。  初音ミクの「声の絵の具」は、藤田咲という声優さんによって提供されています。しかし、その「声の絵の具」の種類が半端ではありません。なんと500種類(英語だと2500種類)もあるのだそうです。  その「声の絵の具」の収集は、相当大変なものだったと推測されます。「あ、い、う、え、お」というような単純な単音の録音では足りず、二音素連鎖というものも必要になるからです。例えば、一般の人は、子音の次に母音がくるような音を発音できません。「た」は「tーa」ですよね。では、それを逆にした「aーt」という音をイメージできますか?「あーた」(「aーtーa」)ではありません。「aーt」です。今では、三音素連鎖という音まで収録して保存しているのだそうです。音声を提供された藤田咲さんの苦労は、かなり大変だった推測されます。  また、「がくっぽいど」というボーカロイドパッケージでは、歌手で俳優のGACKTさんの声が収録されているそうです。発音が難しい上に、楽しくもないだろう500音の録音を、あのクールなGACKTさんが、ひたすら「あーっ」などと発音されていたのかと思うと、なんか「申し訳ありません」という気持ちになります。  それはさておき、こうしてつくられた「声の絵の具」セットのことを、音声ライブラリといいます。  ところが、コンピュータに歌を歌わせるには、500音程度の「音声ライブラリ」だけでは、全然足りないのです。理論上、無限数の「音声ライブラリ」が必要ということになるわけですが、当然そんなものをつくることなど無理に決まっています。  そこで登場するのが「合成エンジン」です。  500の声の「絵の具セット」をベースとして、別の「絵の具」をつくるものと理解していただければ十分です。その「絵の具」の1つの音声を、周波数変換処理します。これを極めて簡単に説明すると、「ド」の音階の音を「ファ」の音階に変換する技術のことです。  さてここから、「特許公開2002ー202790 歌唱合成装置」の本領が発揮されます。  第一の発明:バラバラの「音の絵の具」の音の波形を重ねるようにして、音をスムーズにくっつける。  第二の発明:「t(子音)ーa(母音)」からなる「音の絵の具」の場合は、実際の曲のタイミングよりもほんのちょっとだけ早く声を出させる。  私たちが普段歌を歌っている時も、同じことをしているわけなのですが、カラオケで、ご自分がそのような歌い方していることに、気がついていたでしょうか?  初音ミクは、音程の移動時に位相を一致させることや、子音ー母音音節の場合、曲に先行して声を出す、ということに気を配って、歌を歌っているわけです。しかも、高速フーリエ変換や逆変換という複雑な計算と、ミリ秒のオーダの発生タイミングの精度を維持しながら、です。なんて、けなげで、いじらしい娘でしょうか。  特許明細書から初音ミクにアプローチをかけた人間は、相当少ないと思いますが、この段階で、すでに私は初音ミクのファンになりかけています。  今回、私はこのコラムのために「結月ゆかり」というボーカロイドパッケージソフトウェアの体験版を試しました。彼女に最初の4小節だけ(10秒くらい)を歌ってもらった時の感動は鮮烈でした。  天使が歌っている  こんな美しい声で歌う女性を、私は知らない。私の指示したセリフと音階で独唱する美しい女性の歌声を、少なくとも100回はリピートしてしまいました。 <第二の技術 :動画映像技術>  動画音声技術とは、初音ミクを、ディスプレイ上に実体化して、歌手としての動き(振り付け、ダンス等)を与える技術です【註2】。  映像技術は難しく、その中でも3D映像処理は難しく、さらにそれを動画とする技術はもっと難しく、可動部の種類が30以上もあり、おまけに服や髪の毛のある人間の3D動画作成の難しさは、想像を絶するものでした。  25年前にもなりますが、私も大学の実験レポートの計算結果を、3次元表示させたい一心で、自宅のパソコンを使って計算をしたことがあります。難しくて複雑な変換方程式をそれなりに理解して、プログラミングし、計算結果を一時格納するために夜中に2時間おきに目覚ましをセットして、計算の途中結果の数値をプリンターで印刷しておく等、大変な苦労をした記憶があります。当然、それは線図だけの静止画であり、動画など考えも及ばないことでした。  技術は進歩するものですが、その進歩の度合いは、あまりに衝撃的なものでした。今、私は「ミクミクダンス」という、3Dのコンピュータグラフィックスソフトウェアのデモ画面を見て呆然としています。 「ミクミクダンス」とは、樋口優さんによって作成され、無料配布されている3次元コンピュータグラフィックソフトウェアで、初音ミクを簡単な操作で描くことを可能としたものです。 「ミクミクダンス」の大きな特徴は、2つあると考えます。  まず1つ目は、「ボーン(骨)処理」という技術。  初音ミクの身体を構成する部分(長い髪の毛や、衣装などの動きも含む)を「ボーン」として、ボーンをつなげることで、初音ミクのポーズをつくるのです。初音ミクの映像を作るユーザは、このボーンを自由自在に動かして、そのポーズをつくります。

 要するに、パソコンを使って、「初音ミク人形」でポーズをつくることができる、と考えていただければ概ね正しいと思います。  そして、ここが極めて重要ですが、あなたは初音ミクの絵を「一枚も描く必要がない」のです。「ボーンを動かすだけ」で、初音ミクの静止画像をいくつでもつくり出すことができるのです。ボーンとボーンの接合部(関節部)は、不合理な角度にならないようにあらかじめ制限されており、どのようにボーンを操作しても、「人間らしいポーズ」となるように配慮されています。  おそらく、初音ミクの外観を創作するのに、「これ以上の操作方法は考えられない」であろうと思えるくらいの見事なインターフェースで、とても簡単に初音ミクをディスプレイ上に描くことができます。  2つ目は、「2つ以上の画像を補完して動画(アニメーション)をつくる技術」です。  みなさんもご経験があると思いますが、アニメーションとは、つまるところ「ぱらぱらマンガ」です。アニメーションとするには、最低でも1秒間に10枚、下手をすると30枚の静止画像をつくらなければなりません。1秒間に10枚としても、5分の映像なら、3000枚の画像が必要となります。  私は高校の学園祭の準備で、2分程度のアニメーションの作成を手伝ったことがあります。不眠不休で、セル画(登場人物などの絵を描く透明のプラスチック版)の色づけを手伝っていたのですが、「将来、こんな業界には絶対にかかわるものか」と誓ったものです。 「ミクミクダンス」の偉大な点は、この静止画の枚数を劇的に激減させたことです。代表的な静止画像から、その途中の静止画像を、パソコンが自動的につくってくれるのです。例えば、5分の動画であれば、3秒ごとの静止画像を100枚作成すれば足り(多分使い回しするから、実際はもっと少なくて済むと思います)、残りの2900枚はパソコンが作ってしまうのです。  そして、もはやどのようなアルゴリズムで実現されているのか想像もできませんが、 ・ボーン処理だけで、身体は勿論、髪や衣服の状態まで矛盾なく表現する計算処理 ・リアルタイムで、カメラ視点から見えない領域を表示しないポリゴン処理 など、3D画像処理の肝となる技術が全部搭載されているこのソフトウェアを、なんと“タダ(無料)”で手に入れることができます。  この業界に身を置いていた私の、直感的な「ミクミクダンス」のコストは、1ライセンス200~500万円です。これを無償で提供していること自体、もはや価格破壊などというレベルではありません。  以上をまとめますと、ソフトウェア「ミクミクダンス」とは、 (1)キャラクターを初音ミク等に限定して、非常に簡単な操作で、初音ミクの映像をつくり出すことができる (2)基本的な少ない数の静止画像から、動画(アニメーション)をつくり出すことができる (3)タダ(無料) ということになります。 <第3の技術:作曲演奏技術>  初音ミクに歌ってもらうためには、当然、「曲」を準備しなければなりません。作曲は1人でもできるかもしれませんが、演奏はピアノソロやギターソロでもない限り、複数の楽器によって行われなければならず、そこには複数の演奏者が必要になります。 そんな「曲」を創作する世界にも、ドラム、ベース、ギター、ピアノ、キーボード、パーカッション、その他のいくつもの楽器をたった1人で作曲して演奏する方法が確立されています。 「作曲ソフト」です。 これを使えば、「音符」「五線譜」「コード」「和音」の知識、楽器の演奏技術は一切不要で、作曲が可能となっています。極端な言い方をすれば、「作曲ソフト」とパソコンのマウスが使えれば、ピアノだけ、ギターだけの演奏ではなく、「バンドとしての演奏」までもが可能となります。  本稿執筆のために、私は「Music Maker MX」というソフトウェアの体験版を試したのですが、「歌唱音声技術」「動画映像技術」に続き、再び度肝を抜かれました。  イメージでいうと、ギターと書かれたホルダーから、ギター用の演奏アイコンを楽譜の上にいくつか置くだけで、ギターセクションが完成。同じように、ピアノ用アイコンとドラム用アイコンを置き、それを適当につなげたり延ばしたり縮めたりすることもできます。  これだけのことで、ギター、ピアノ、ドラムのバンドが完成です。それぞれのセクションの音は、自動的に計算されて不協和音も発生させず、立派な曲のように聞こえるのです。これは、魔法か? と本気で思いました。今回、私が生まれて初めてつくった(というか、ソフトウェアにつくらされた)曲は、30秒で完成しました。  しかし、どんなに優れたソフトウェアが開発されたとしても、結局のところ、「歌唱音声技術」と同様に、自分でメロディ(旋律)はつくらなければなりません。ところが、メロディには一種の法則というのがあり、例えば特定の5音を使うだけで「曲のように聞こえる」という技があります。このほか、「悲しい気分になる曲のルール」「楽しい気分になる曲のルール」などの経験則が積み上げられたものを「音楽理論」といいます。 「Music Maker MX」で、私が本当に度肝を抜かれたのは、ここからです。  先ほど書いたピアノ、ギター、ドラムの演奏アイコンを並べたものに対して、「楽しい感じの曲」と指定すると、「Music Maker MX」が、楽しいイメージの曲を勝手につくってしまうのです。  コンピュータは、もはや「音楽理論」をベースに自ら作曲をするレベルに至っているのです。このような優れたソフトウェアがあれば、人生で1回も楽器に触ったことがない人でも作曲は可能である、と私は確信するに至りました。 ●初音ミクを誕生させるモチベーション  さて、今回は初音ミクに関する3つの技術についてご紹介しました。これらの技術に共通するパラダイムは明快です。 「たった1人の、閉じた世界での、『初音ミク』の具現化」 です。  スポンサー(出資者のご意向)も、ヒエラルヒー(上司の承認)も、チームワーク(マネージメント)も、スケジュール管理(進捗の線表)もいらない、自分だけの閉じた世界での初音ミクの具現化。  私は、1人のエンジニアとして、拳を天に向かって突き上げたくなるほど、この「閉じた世界の素晴らしさ」を理解できるのです、自分のアイデアを仕事として提案するためには、他人に説明して、誤解を丁寧な言葉で解いて、稟議を通すために頭を下げて回らなければなりません。面倒くさいですが、組織で何かをつくっていく以上、仕方がないことです。  しかし、自分の考え通りに何かを創作すること(例えば、このコラムを書くこと)には、そのような面倒な手続きは発生しません。私は、自分の世界で、自分自身の意思で、なんでも自由に表現できるのです(時々、編集担当者からストップがかかりますが……)。 「1人で閉じた世界での創作活動」というのは、私のような人間には、「地上に存在する、最後のパラダイス」なのです。そして、この初音ミクが他の創作物と決定的に異なる点は、「自分では表現できないこと(歌唱、ダンス)」を、初音ミクというキャラクターを通じて実現させることができ、それが100%自分の裁量で行えるという点にあります。加えて、このキャラクターを創成する立場であれば、間違いなくキャラクターに「愛」が込められていくのは当然のことです。  前述した通り、私はボーカロイドパッケージ「結月ゆかり」の4小節程度のソロパートの歌唱だけで、いとも簡単に彼女に魅入られてしまいました。私のわがままなプロデュース(音階を変えて、リズムを変えて、歌い方を変えて)に素直に応じて、何度でもやり直す、そのけなげさに胸を打たれるのです。  もちろん、これがプログラミングでいうところのデバッグ作業にすぎないことは十分に分かっています。しかし、そこに、キャラクターという媒体が介在することによって、ボーカロイドへの創作意欲は、他の創作物とは異なる爆発的なパワーを持つことになるのです。  さて、次回後編では、この「1人で閉じた世界での創作活動」の結論を、一度ひっくり返してみます。初音ミクの創作は「たった1人」でありながら、同時に巨大なコミュニティの中の共同作業によって進化していくという、不思議な進化の形態について、初音ミクをプロデュースしている人、「ボカロP」と呼ばれる方のインタビューも含めて、ご説明したいと思います。 (文=江端智一) ※後編へ続く ※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。 【註1】http://ja.wikipedia.org/wiki/初音ミク 【註2】http://dic.nicovideo.jp/a/mikumikudance ■おすすめ記事 「六本木襲撃事件」「AKB児童ポルノ騒動」の正しい読み方 大手電機A社、下請けいじめ、代金踏み倒しの実態…元取引先社員が語る プレモル、ラガー抜きトップへ 明暗分けたビール各社の販売戦略とは? 職場にいると面倒な「自分大好き人間」の特徴 アベノミクス始動で変わる業界勢力図を占う…ニューリーダーは楽天とローソン?

“三流コンビニ”ファミマが初音ミクキャンペーンで起死回生

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) いまだに東電擁護、原発推進に“ご熱心” 東電労組とは何者? 紅茶寿司も? 業界首位回転ずし「スシロー」が外資系企業に 日系企業NY支社社員が見た、駐在社員のトンデモ実態 ■特にオススメ記事はこちら! “三流コンビニ”ファミマが初音ミクキャンペーンで起死回生 - Business Journal(9月11日)
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ミクタソきゃわわ。(「ファミリーマート HP」より)
みっくみくなファミマ@池袋で見つけた ミクさんほぼ全部!! - 週アス+(8月14日)  8月14日から全国のファミリーマートで行われている初音ミクとのコラボキャンペーンは、ボーカロイド(ボカロ)が、CMとしてお茶の間にまで浸透するという画期的な企画となった。このキャンペーンに伴って販売された「はちゅねミク肉まん」も、販売開始当初こそ「グロい……」との声もあったが、20日間で約60万個を売り上げる大ヒット商品となった。  この初音ミクキャンペーンで、力のかけ方が桁外れな店舗が、本記事の取り上げる「東池袋セイコービル店」。ガラス面、店内什器、内装、等身大パネル……と、どこを見回しても“みっくみく”な状態。同店を目指し、全国からファンが集結している。 ファミマ社長「業界3位とは三流ということだ!」 “ゆでガエル社員”を叱咤 - SankeiBiz(8月25日)  2000年より親会社の伊藤忠からファミリーマートに送り込まれた上田準二社長。彼によれば、当時、ファミリーマートは業界3位という現状に甘んじており、社員はお湯の沸騰にも気づかずに死んでいく「ゆでガエル」のような状態だったという。  商品棚の陳列がセブンイレブンやローソンのモノマネばかりだったファミマを変えようと立ち上がった上田。全国の管理部署に自ら足繁く通い、現場担当者と頻繁に意見交換を行った。その結果、ボトムアップの意見を積極採用することに成功し、経営計画未達が当たり前だったファミマ凋落の危機を乗り越えたエピソードをインタビューで語る。 ファミマでPBブランドの統一・「ファミコレ」展開へ - Garbagenews.com(8月30日)  しかし、そんな社長の哲学も、すべての事業には徹底されていないようだ。ファミマでは10月下旬より新たにPBシリーズ「ファミリーマートコレクション」を展開する。これまで販売されていたPBを整理統合し、ブランド力をアップ。日配品、加工食品、パン、飲料などさまざまなカテゴリーで約500種の商品を展開する。  通常の価格を抑えたPBだけでなく、高付加価値商品もシリーズ化することで、さらにブランド力をアップさせたい考えだが、これらの戦法は、すでに、ローソンやセブンイレブンなどで実施済み。業界上位2社をモノマネで追従するファミマ、流行の波に乗り遅れまいとする慌てぶりが目に浮かぶようだ……。 商品開発に高校生の力 ファミリーマート、提携校数4倍に - 中国新聞(8月27日)  地域限定の地産地消商品を高校生とともに開発するファミマ。これまで年間5校前後だった提携数を、一気に20校にまで拡大する。商品開発チームが高校生に向けてマーケティングなどを講義しながら、レシピだけでなくパッケージや商品名まで生徒たちが考案。13年度より高校の新学習指導要領でも「商品開発」の科目が新設されることが決定しており、今後この動きはさらに活発化していきそうだ。  一昨年、島根の高校と開発した「ぜんざい風ミルクプリン」「ぜんざい風シュークリーム」は、その人気から全国販売も行われるほどのヒットを記録した。「ゆでガエル」の社員には思いつかない高校生の柔軟な発想を取り込んで業界3位の座を死守……と、揶揄されないためにも、初音ミクに続く次なる一手を見せてほしい。 (文=萩原雄太/かもめマシーン) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) いまだに東電擁護、原発推進に“ご熱心” 東電労組とは何者? 紅茶寿司も? 業界首位回転ずし「スシロー」が外資系企業に 日系企業NY支社社員が見た、駐在社員のトンデモ実態 雑誌や専門書は買えない!? にみる楽天koboの可能性 韓流に続け!? 政府がTV番組の海外売り出しに本腰 大手総合商社MとI、弱小企業を“恫喝”しブランドを乗っ取り!? 「おだてるとスパイクをくれる」韓国人サッカー選手の海外での悪評

「もはや国民的アーティスト!?」大躍進中の初音ミクにSMAP中居も驚愕

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「Tell Your World EP」(トイズファクトリー)
 海外投票サイトで行われた「ロンドン五輪のオープニング歌手」投票で、"ゴリ推し"K-POP勢を押さえて1位を獲得、米スーパーボウルではハーフタイムに楽曲使用が推奨されるなど、何かと話題を集めている初音ミク。そんなミクが、23日に放送されたSMAP中居正広がMCを務める生放送音楽番組『カミスン!』(TBS系)で紹介され、話題になっている。  これは、音楽にまつわる最新情報を伝える「カミスン!ニュース」コーナー内で、「Google Chrome×初音ミク」のコラボCMが取り上げられたもの。同CMはインターネット上で活躍する次世代クリエーターにスポットを当てたキャンペーンで、これまでレディ・ガガやジャスティン・ビーバーといった海外のビッグアーティストが起用されているプロモーション。今回のミクの起用は"日本人"初となる快挙で、世界中で話題を呼んでいる。ネットの世界を飛び出し、バーチャルライブコンサートを行うミクの映像を見た中居は思わず、「あぁっ? なにこれ......すごいな......なにこれ」とコメント。同番組ではクールなキャラという設定に徹している中居だが、思わぬ新世代アーティストの登場に戸惑いを隠せなかったようだ。  また、翌日には情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)でも同CMを紹介。楽曲を提供したlivetuneのkz氏への潜入取材を行うなど、ネットはもとよりテレビでも注目されている。 「ミクが登場したのは2007年。以降、個人クリエーターがニコニコ動画やYouTube、SoundCloudなどに盛んに作品をアップしています。ミク人気は当時からすさまじいものがありましたが、キャラクター的な側面ばかりがフィーチャーされがちで、ミクを媒介としてイラストや動画、ダンスなど、クリエーター同士がつながっていくという本来の面白さが一般層にはあまり伝わっていなかった。そういう意味では、今回のCMはその過程が非常に分かりやすく描かれており、一般層への訴求に成功しているといえます。ここ最近は海外での評価が高いようですが、そういったニュースが伝えられることによって日本でも人気が出るという、逆転現象が起こりそうですね。バーチャルのミクが、"国民的アーティスト"になる日もそう遠くないのかもしれません」(IT系ライター)  同曲は今月18日から「livetune feat.初音ミク」名義で、日本などで先行配信されており、iTunesランキングでは首位を獲得。25日からは、日本人歌手史上最多となる世界217カ国で配信されるという。  快進撃を続ける初音ミク、今後の展開が楽しみだ。
Tell Your World EP【初回限定盤CD+DVD】 ミニアルバムは3月14日発売。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・SMAP中居もタジタジ......神聖かまってちゃん、TBS生放送で"放送事故寸前"の大暴れ「VOCALOID2」とフルカワミキ そして「サイハテ」、ネットとリアルをめぐる冒険水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

「もはや国民的アーティスト!?」大躍進中の初音ミクにSMAP中居も驚愕


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「Tell Your World EP」(トイズファクトリー)
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