ネット広告市場が8600億円超えで急成長 鉄槌を振るう電通と博報堂の目論見

【サイゾーpremium】より
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『最新図解「進化するネット広告」のすべて』(技術評論社)
 2012年、ネット広告最大手のサイバーエージェントが1411億円の売り上げを計上。ネット広告市場全体でも8600億円を超えるほどに成長している。一方、ネットなどでは「電通・博報堂はネット広告に弱く、今後弱体化する」という見方もなされているが、広告業界を牛耳ってきたこの2社は本当に衰退していくのか――?  電通、早期退職100人募集――新年早々、こんなニュースがネット上を賑わせた。ガリバー企業の崩壊の始まりか、構造改革の一手か。多くのメディアがそうした予見を書きなぐったことは、記憶に新しい。  だが電通はこの騒動を尻目に、その翌月の2月に「2012年 日本の広告費」を発表。景気後退のあおりを受けつつ、東日本大震災の反動増もあり、「総広告費は5兆8913億円で、5年ぶりに前年実績を上回った」と報じ、多くのメディアやエコノミストたちもまた、一転して希望的観測を述べるのであった。しかし、リーマンショック以前の総広告費には、依然1兆円以上及ばない。  日本経済を測るバロメーターでもある広告業界の市場規模だが、果たしてアベノミクス効果を追い風とし、再び躍動し始めているのだろうか? 現場の声を拾いつつ、広告業界の行く末をみていこう。 「今、広告業界は、IT技術を駆使し、広告の効果を数値化できる広告プランニングに移行しているため、メディアの枠買いという直接的な効果が見出しにくい受動的なビジネスモデルに見切りをつけないと、活路を見出せない状況にまで追い詰められています。電通、博報堂、ADKの大手3社はさておき、大広や読売広告社など業界4位以下の会社は大型の広告取引の立案が難しい。サイバーエージェント(CA)やオプトなど、ネットでの広告プランニングを手がける代理店が業界上位に食い込んできている一方で、今でも メディアバイイング力=広告会社の規模 という旧来型の図式が支配的な広告業界では、ネットでのノウハウや独自の媒体を持たない中小が上位に食い込む可能性はゼロ。名も知れぬ第三極ローカルや、売り上げ5億円未満の中小は、数年以内にどんどん倒れていくでしょう」  そう話すのは、電通の某アカウント・プランナーだ。 「東芝エージェンシーやアイプラネットなど、特定の企業としか仕事をしないハウス・エージェンシーは、自社メディアを開発しない限り、窮地に立たされるのは時間の問題。今年1月、相鉄エージェンシーが身売りしたことからも、それは見て取れます。博報堂と経営統合して10年がたつ大広、読売広告社も、統合直後の営業利益に戻ってしまった。12年、10位圏内で明るい話題があったのは、グループ企業が『渋谷ヒカリエ』を開業させた東急エージェンシーぐらいでしょう。数多くのナショナルクライアントとつながりが深く、マスコミ4媒体の内情にも詳しい、電博以外で躍進する総合広告代理店はない。電博が市場シェアの50%近くを寡占している状況下、中小が活路を見出すなら、電博から仕事を受注するか、海外にジョイントベンチャーを作ることぐらいしかないんじゃないかな」(同)  電通・博報堂とその他。広告業界の二極分化は、拡大していくばかりなのだ。 ■結局市場を握るのは電博とグーグル・ヤフー  このように、電通と博報堂DYグループというガリバー2社の寡占が進み、それ以外が衰退をし始めるという業界にあって、前年比107.7%を計上し、テレビに次ぐ第二の広告メディア に成長したのが「インターネット広告」である。  黎明期(96年)には16億円だった市場規模も、2年後に114億円、03年には1000億円を突破し、急速に拡大。12年には8680億円を計上した。一見すると好調をキープし、右肩上がりの業界のようだが、さていかに?  大手ネット広告代理店の社員は「クライアントの争奪戦は、今もって熾烈です」と、話す。  12年の売上高が1400億円を誇ったサイバーエージェントのように、ネット広告を主軸としながらも、PCやスマホ向けのメディア事業も手がけるネット広告代理店はごくわずか。DACやオプト、GMO、セプテーニなどのネット広告業界で上位の代理店では、営業力や技術開発力といった自社の強みを生かしながら、覇権争いに日々奔走中だという。  そんな状況であるにもかかわらず、現在でも新規参入を試みる会社が雨後のタケノコのごとく現れているのだ。 「彼らはネット上には市場拡大の余地があり、いまだ収益源になりそうな対象を獲得できるチャンスが転がっている、という幻想を抱いているようです。実際にはすでにレッドオーシャン化しており、激しい競争にさらされるのですが……」(前出・電通プランナー)  こうしたトップランナーたちの苦悩を知ってか知らずか、インターネット広告業界の勢力図は、今もってアップデートされ続けているのである。  このようにネット広告代理店は、機動力と専門性を武器に、広告業界全体でも上位を占めるようになってきた。今後の発展のキーポイントは、日進月歩で進化するIT技術をいかにキャッチアップできるかによるところが大きいという。一方で前述の通り、ネット広告業界内での競争は熾烈を極めている。  バナー広告が主だったゼロ年代半ばまでは、送り手側が一方的に情報を露出し、それをクリックしてもらえば、広告主のサイトに誘導できる時代だった。広告代理店の仕事も、メディア・レップ(メディア側を代理する会社)が買い付けてきた媒体の広告枠をクライアント(広告主)に売るというビジネスが主流。広告主のマーケティングROI(効果測定)を高めることを第一に考える現在とは違い、代理店の仕事は枠買いにとどまっていた。  だが、こうした広告手法に転機が訪れる。ネット広告が、ユーザーの興味や関心にターゲティングした、リスティング広告の時代に入ったのだ。 「特に08年に起こったリーマンショック以降、純広告の予算が激減したことで広告主側は、ユーザーアクションと連動して課金される『クリック課金制度』に活路を見出し、アドネットワークにシフト。広告の「運用」という概念が一般化しました。この動きは、現在のネット業界の考え方の根幹になっています」(業界に詳しいジャーナリスト)  リスティング広告は「アドネットワーク配信型広告」と「検索連動型広告」という2種類の広告配信方法に大別できる。前者はウェブページのコンテンツや文脈、ユーザーの行動履歴に連動した広告を表示し、後者はヤフーやグーグルで検索されたキーワードに連動した表示がなされる。双方ともにサイトへのアクセスを増やすためには、広告主への専門性の高いアドバイスが必要となる。  ネット広告の初期は、広告主の媒体への信用度も低く、中小の広告主を開拓することが中心。大手広告代理店の手がけるマス広告とは別の世界を形成していた。そんなさなか、少ない投資でも効果が視覚的にわかるリスティング広告が誕生。大企業もネット広告に関心を示し始めるのだった。 ■新興ネット企業は電博が買いあさり淘汰  そして現在、ネット広告は、さらに進化を遂げている(現在の業界の勢力図は、@hirohirokon氏によって作成された「カオスマップ」<http://www.venturenow.jp/main-img/tsubaki_100728-02-1.jpg>に詳しい)。大手広告代理店とネット専業広告会社の棲み分けが進み、市場にプレイヤーが溢れているのだ。  各社が新たなビジネスモデルを模索する中、電通や博報堂がネット系代理店を買収し、傘下に収めることも常態となった。これは、ノウハウの蓄積に乏しい企業が淘汰されていくことを意味する。  機動力、専門性を要求されるネット広告業界では、今後も大小さまざまな提携劇が続くことは間違いない。 「ネット広告業界の勝ち組は、ナショナルクライアントの予算を握る電通と博報堂DYグループです。なぜならいまだ、ナショナルクライアントの上層部はネットに対する信頼は低く、つながりの深い代理店にあずけてしまう実情がある。ですが、この2社に加えて、世界基準のポータルサイトを運営するヤフーとグーグルが、ネットでは真の覇者だと思います。さまざまなツールの受け皿として機能するヤフーとグーグルは、黙っていても莫大なマージンを手にすることができる。ネット専業のツールベンダーがどんなに先鋭的な技術を開発しても、所詮は彼らの手の平で転がされているに過ぎません。厳しい見方をすれば、売上高100億円規模以下のネット専業の広告会社は、ここ数年のうちに業界から淘汰されるか、資本力のある代理店に買収されていくのは確かでしょう」(前出・大手ネット広告代理店社員)  果たして広告業界に夢物語は存在するのか。アベノミクス効果を追い風としつつも、生きる会社・死ぬ会社はすでに決まっているのかもしれない。 (文/メコン伝太)  「サイゾーpremium」では他にも有名企業の経営に斬り込む記事が満載です!】電博は逃げ切り! サイバーが追い上げ!? 広告代理店の勝ち馬企業をオッズで大予想「コンパでは目立たない……」 レッドオーシャンと化した広告代理店社員座談会独占レンタルで非難轟々 死にゆく市場にCCCが放つ生き残り策
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フジ『最高の離婚』、“実際の”視聴率は2倍? 正確な視聴率調査が行われないワケ

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 眞鍋かをり、吉井和哉との破局報道を否定「破局はない。情報違う」 AKB、学力テストで大崩壊!?小嶋陽菜は高橋みなみに「いつもバカだと思ってた」 日産、振るわぬEV、目標先送り……カルロス・ゴーン長期政権の弊害 ■特にオススメ記事はこちら! フジ『最高の離婚』、“実際の”視聴率は2倍? 正確な視聴率調査が行われないワケ - Business Journal(4月21日)
「Thinkstock」より
  テレビ視聴率とは、番組の人気度を測る重要な指標であり、調査会社ビデオリサーチが関東地区、関西地区、名古屋地区で各600世帯、それ以外の地区では各200世帯、全国27地区で計6600世帯を対象に、地区ごとに調査している。  このテレビ視聴率において、テレビ朝日は4月1日、2012年度の平均視聴率が、ゴールデンタイム(午後7~10時)とプライムタイム(午後7~11時)において、1959年の開局以来初の首位を獲得したと発表した。また、全日帯(午前6時~深夜0時)では42年ぶりの2位を獲得した。  しかし、テレビ視聴率には録画視聴者数が含まれていないため、テレビ業界内では、「実際の視聴率では、録画視聴者数が多いドラマに強いフジテレビやTBSのほうが、上回っているのでは」との見方もある。  このように、最近、現在のテレビ視聴率調査が、デジタル化による録画視聴者数の増加や、スマホやワンセグなどの視聴スタイルの多様化などに追いついておらず、「実態を反映していないのではないか」という指摘が増えている。テレビ業界からも、「反響が大きい割に、視聴率が伸び悩むケースも多い」との声も上がっている。  そこで今回、テレビ視聴率調査に詳しいリサーチ評論家の藤平芳紀氏に 「なぜ現在のテレビ視聴率調査は、実態を反映できていないのか?」 「リアルタイムより録画で視聴する人が多いドラマの、本当の視聴率とは?」 「より正確な視聴率調査が実施されない理由とは?」 などについて聞いた。 --現在ビデオリサーチにより行われている視聴率調査について、「実態を反映していない」と指摘する声も聞かれますが、どのようにお考えでしょうか? 藤平芳紀氏(以下、藤平) 去る2月1日、NHKのテレビ放送が始まって60年の歳月がたちました。この間、視聴率調査はテレビの進歩・発展とともに歩を進めてきました。しかし、テレビにデジタル化という大きな波が押し寄せてきたとき、視聴率調査はその波に上手く乗ることができませんでした。  これまでテレビの視聴者は、テレビ局から一方的に送られてくる番組を視ていました。つまり、限られた選択肢の中から視たい番組を選ばざるを得ませんでした。ところが、デジタル化によって、多メディア化・多チャンネル化になり、視聴者のテレビを視るスタイルや環境は、多様化しました。選択肢が大きく増えたわけです。  例えばワンセグ放送が始まり、携帯電話やスマホでもテレビ視聴が可能になり、自宅以外の場所でテレビを視る機会が増えました。加えて録画装置も進化して、外で働いている人は、番組は録画して、時間ができたときにそれを再生して視るというような傾向も加速していることはご存じの通りです。 --現行の視聴率調査は、そうした多様化をカバーしきれていないということでしょうか? 藤平 そう思います。ビデオリサーチ社がよりどころとしている視聴率調査の定義は、50年前の創業時に取り決めた「自宅の据え置き型テレビで、番組を放送とリアルタイムで視聴した世帯の測定」です。つまり、世帯別に自宅のテレビに取り付けた視聴率測定機の稼働状況を捉えたチューニング・データなのです。  ビデオリサーチは、1962年に視聴率調査を開始しましたが、その当時は、テレビはお茶の間に鎮座していて、家族全員でそろって番組を視ていましたから、テレビの電源が入っているのに、きちんとそれを視ている人がいない、という状態はなかったのです。ですから、視聴率調査は、「世帯の視聴を測定する調査」でも十分でした。  しかし今はどうでしょう。テレビがついていても、誰もきちんと視ていないケースも多いですよね。つまり、従来の定義では今日の多様なテレビ視聴を捉えきれない時代になっているのです。「視聴者はどのような視聴環境で、どういうテレビの視方をしているか」を捉えるビューイング・データでなければ、十分ではなくなっているのです。 --つまり、現在広く使われている「視聴率」は、実際の視聴率とはかなりかけ離れたものになっているというのでしょうか? 藤平 その通りです。今の視聴率調査では先にご説明した視聴の「定義」が邪魔をして、例えば職場や公共の場所など、自宅以外で視る番組の視聴もそうですが、携帯電話やスマホ、自動車搭載テレビの視聴や、録画したものを再生で視るケースの測定は、すべて「uncounted viewing」、つまり「視聴の測定漏れ」となってしまっているのです。 --実態を反映させた視聴率を測定するには、どういう調査が望ましいとお考えですか? 藤平 ひとつの例として、データニュースという会社が行っている「テレビウォッチャー」というウェブ調査があります。この調査は、20歳以上の男女を対象に、毎日、地デジ7局とBS7局の計14局すべての番組表を送信して、彼らが視た番組をクリックしてもらいます。その上で、どのくらいその番組を視たのか、つまり「全部視た」のか、「半分以上視た」のか、または「3分の1程度」だったのか、あるいは録画で視たのかなどを回答してもらいます。  また、その番組を視た人には満足度を5点法で評価してもらい、具体的な感想も記述してもらいます。この調査は視聴率ではなく、「回答者数3000人の中で、実際に何人がその番組を視たのか」を調べる視聴者数をカウントするもので、接触数という呼び方をしていますが、「テレビの視られ方」をより具体的に反映しているのではないでしょうか。テレビの視られ方が多様化した今日、このように実際に視た人のデータを読み取る指標が必要になっていると思います。しかも、より大きなサンプル数の調査なので、性別や年齢別に詳しく分析することもできます。近く5000にまで拡大する計画にあるとも聞いています。  ただ、このデータはインターネット調査ですから、調査サンプルに代表性がないという欠点もあります。しかし、今の時代に「サンプルの代表性」が得られる調査は存在しなくなっているのです。であるならば、「経済性」と「迅速性」、「有用性」がニーズに合致していれば、十分に使えるデータになり得ると思います。そのためにもしっかりとした「ノーム値」を持っておかねばなりません。この調査は、例えば月曜日の番組は木曜日に結果が出ますので、発表までに3日を要しますが、番組の視られ方のほか、視た番組の評価や具体的な感想、録画の状況を測定できるのであれば、それは大きな進歩ではないかと思います。 ●ドラマでは、録画視聴者のほうが多い番組も --この調査結果をみると、やはりドラマは録画で視る人が多いようですね。 藤平 ドラマの中でも、『夜行観覧車』(TBS系)や『最高の離婚』(フジテレビ系)、それから『母。わが子へ』(TBS系)など、ヒューマン・ドラマ色が強く、最初からじっくり視たい内容のものは録画で視る人が多い傾向が現れています。  例えば、『最高の離婚』の2月14日の結果は接触者数(自宅の内外を問わず視聴した人数)145人に対して録画で視た人は209。3月1日の『夜行観覧車』は接触者数159人に対し、録画で視た人187人と録画で視た人のほうが多い。『とんび』(TBS系)も、第1回放送は接触者198人に対し録画182。最終回は接触者230人に対して録画166人と、録画で視る人が結構多い。低視聴率と言われていた『サキ』(フジテレビ系)も同様(最終回:接触者数139人、録画数151人)の傾向です。  一方で、同じドラマでも、『相棒』(テレビ朝日系)やNHKの大河ドラマ『八重の桜』、朝の連続ドラマ『あまちゃん』のような番組は、録画する人は逆に少なくなっていますね。アニメやスポーツ、ニュース、バラエティーなども同様です。番組によって、どういう視られ方をしているのか、特徴がハッキリわかるのです。  --これだけ録画でテレビを視る人が増えているのに、そうした事情を加味した視聴率調査はできないのでしょうか? 藤平 やろうとすれば、すぐにでもできますよ。すでにアメリカやイギリスでは数年前からやっていますし、それをもとにしてCMは売り買いされているのですから。そうした調査をビデオリサーチ社が開発できないのであれば、そのシステムを買いさえすればいいわけです。そうすれば、  ・ライブ視聴率  ・ライブ視聴率プラスセイムデイ   …24時間以内に録画された番組の視聴率+ライブ視聴率  ・ライブ視聴率プラス3デイズ   …3日以内に録画された番組の視聴率+ライブ視聴率  ・ライブ視聴率プラス7デイズ   …1週間以内に録画された番組の視聴率+ライブ視聴率 の4つの視聴率の算出が可能になります。 --できるのに、行われない理由はなんですか? 藤平 理由は2つあります。まず、一番手っ取り早いのは番組にコード付けして、それを読み取る方法があるのですが、電波法の規制により、これができないことが第一です。映像が劣化する危険性があるからと、番組内へのエンコードが禁じられています。  次は視聴率調査会社ビデオリサーチの背景を知る必要があります。同社の創立以前、大手広告代理店・電通やテレビ局は独自に視聴率調査を行っていました。しかし、それでは信用性に欠けるということから、第三者機関による視聴率調査を行おうということになり、電通の吉田秀雄社長(当時)が主導的役割を果たし、民放18社に加え電通と東京芝浦電氣(現東芝)が出資してビデオリサーチを設立したわけです。ところが独立した第三者の調査機関であったはずなのですが、現在、ビデオリサーチは大株主の電通が支配的な経営を行うようになっているため、その意向を無視できないのです。  忘れてならないのは、視聴率というのは、人々の番組の嗜好を測定する指標であると同時に、テレビ局や広告代理店にとってはスポンサーのCM料金、すなわちテレビ局の売り上げにかかわる重要な広告効果の指標の1つでもあるわけです。そういう視聴率調査に、CMは早送りで視る人が多い録画で視る人の数を加味しても、彼らにとっては意味のない調査になるのでしょうね。「録画で視る人を視聴率調査する必要がない」という電通の意向が、このシステムの導入を大きく阻害しているのだと思います。一刻も早く、真のテレビの視られ方の尺度が確立されることを望みますね。そうでなければ、ビデオリサーチは番組の視聴を調べるのではなく、CMの視聴率を測定する道を選ぶことです。実情に合わないテレビの視られ方を調べて、「これがこの番組の視聴率です」とは言えません。 (構成=編集部) ■おすすめ記事 眞鍋かをり、吉井和哉との破局報道を否定「破局はない。情報違う」 AKB、学力テストで大崩壊!?小嶋陽菜は高橋みなみに「いつもバカだと思ってた」 日産、振るわぬEV、目標先送り……カルロス・ゴーン長期政権の弊害 「君、もういいから…」上司から見放されないため心がけることとは? 実は売れてない!? ヨイショ記事で不動産バブルをあおるメディアの狙いは広告費

「五輪は東京で決定しました!」 電通でウワサの”怪情報”を追う

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ロンドン五輪で活躍したメダリストを
多数起用した東京五輪招致ポスター。
首都圏ではいたるところで目にするこ
とができる。
「私、浜田雅功は東京招致できたら、開会式のどこかのシーンで必ず見切れます」(ダウンタウン・浜田雅功) 「私、吉田沙保里は東京招致できたら、8年後、止められても出ます」(レスリング・吉田沙保里)  首都圏に住んでいれば、駅や街の掲示板で、こうしたキャッチコピーを見かけた向きも多いだろう。これは、”東京2020オリンピック・パラリンピック招致アンバサダー”に就任した著名人による、同大会の招致プロモーション『楽しい公約プロジェクト』での公約だ。  浜田の”ドヤ顔見切れ”はさておき、公約を順守するならば、レスリング・吉田選手は、38歳の体に鞭を打ち、五輪に挑戦しなければならなくなった……という話題が、大手広告代理店の電通で囁かれているという──。  11年9月の立候補都市申請を皮切りに始まった、20年夏季五輪招致レース。12年5月の1次選考を経て、現在、候補地として残っている都市は、スペインのマドリッド、トルコのイスタンブール、そして東京の3都市だ。  今後の選考スケジュールは、「今年3月にIOC(国際オリンピック委員会)の評価委員会が3都市を現地視察。7月に各都市がプレゼンテーションを行い、9月7日のIOC総会において開催都市が決定する」(スポーツ紙記者)という流れだが、広告制作関係者のA氏は、今年の年明け早々こんな話を耳にしたという。 「電通内にある五輪絡みの部署では、『五輪が東京に決まった』という話が、まことしやかに囁かれているそうです。すでに電通は、東京五輪開催決定で業務を動かしており、同社にはCM料等、2000億円もの大金が入るとか」  スポーツビジネスに明るい別の大手広告代理店関係者に話を聞くと、「常識的には、この段階で決まるということはまずあり得ない。ロンドン五輪に出場した選手らの告発によって暴力やパワハラが明らかになり、全日本女子柔道の園田隆二監督が辞任した件で、むしろ開催は厳しいという見方もある」と語り、一見、眉唾の与太話にも聞こえる。だが、2000億円という金額と、五輪、そして”広告界のガリバー”電通との関係をひもとけば納得できる部分も少なくはないという。本誌でも再三指摘した電通をめぐる五輪ビジネスについて、まずはその歴史を再考してみよう。  11年に亡くなった電通のドン・成田豊元会長の、「権利の根っこをつかむ」という志とともに、84年ロサンゼルス五輪から始まった電通のスポーツビジネス。それ以降、電通はサッカーW杯、世界陸上などの国際的なスポーツイベントのスポンサーシップ販売権、テレビ放送権を獲得してきた。  06年トリノ五輪と08年北京五輪の2大会で198億円、10年のバンクーバー五輪と12年のロンドン五輪で325億円、14年のソチ五輪と16年のリオデジャネイロ五輪で360億円と、大会ごとに高騰を続ける五輪の放送権料だが、「放送権料は、NHKと民放が共同で番組制作をする放送機構・JC(ジャパンコンソーシアム)がIOCに支払っていますが、日本国内における五輪のテレビCM販売権は電通が独占的に持っています。電通はCM枠を売る際、約20%の手数料を取るといわれますが、そのCM料は、五輪の放送権料によって決まります。それ故、五輪の放送権料が上がれば上がるほど、電通の取り分は多くなることに。04年のアテネ五輪における電通の大会売上高は150億円超といわれますが、大会ごとにその額は増えていっていることになります」(全国紙運動部記者)  このように、五輪とは切っても切り離せない電通だが、20年の五輪が東京開催となれば、その売上額の桁はまるで違ってくるという。 「五輪の大会演出・プロデュース、20年までの7年間に行われる五輪関連イベントのコーディネート、グッズのライセンス契約ビジネス、そして広告需要の拡大……数えきれないほどの五輪関連ビジネスが発生するはずです。事実電通は、自社が仕掛けて開催された02年の日韓共催サッカーW杯では、4年の準備期間でCMやライセンス契約などにより、計1000億円もの収入を得ています。倍近い準備期間がある東京開催の五輪では、当然ながら収入も倍額に達すると考えているようです」(同)  日韓W杯の倍──つまりそれは前述の電通社員が発した「2000億円」と確かに合致するのだが……。 「スポーツ局や関連部署の社員の間では、東京開催決定は周知の事実だそうです。確率でいうと、99%とのこと」(前出・A氏)  怪情報のひと言では片付けられない、とまではいわないが、少なくとも電通社員の中には”その気”になっているおめでたい輩もいるということだ。が、なぜここまで早く東京開催が決定したというのか。前出の運動部記者は、五輪の実態を踏まえて、こう口にする。 「76年モントリオール五輪で10億ドルもの赤字を出したIOCは、未来永劫五輪を継続開催させていくために、84年のロス五輪以降、大会収支の黒字を目指し大会を商業化していきました」  そのためには、大会運営費の半分以上を、各企業からのスポンサー収入で賄う必要があるというが、「スポンサーとして五輪にカネを出す企業は、当然ながら投資額以上のリターンを求めますよね。その効果値がダントツで高い開催地が、今世界経済を最も牽引している東南アジア市場に近く、密接な関係を持つ東京だったということです](同)  財政破たん間近とも囁かれるスペインでは話にならず、経済発展著しいトルコでも、6億人の人口を持つ東南アジアの消費市場には太刀打ちできないのだ。「安倍首相が連携強化を進める東南アジア諸国連合の存在が、『東京五輪開催』の力強い後押しになった」(同)ようなのだ。  さらに、12年5月の1次選考時、”原発事故による夏季のピーク時における電力不足”と”国民及び都民の低い支持率”の2つが東京の”課題”とされていたが、「電力は、昨夏も原発が止まっていたにもかかわらず問題なかったし、安倍首相は原発の新設まで示唆しています。支持率も、1月30日、都民を対象にした世論調査で、五輪招致の支持率が73%と初めて70%を超えたことを招致委員会は発表しました」(同)と、すでに2つとも解決済みの感すら漂っている。  こうした流れについて、前出の大手広告代理店関係者は「経済状況が不安定なスペインでの五輪開催は難しいだろうが、何らかの政治的理由でトルコが辞退すれば、東京での開催は充分に考えられる」というが……。このご時世、景気の良い話に鼓舞する一部の電通マンの気持ちはわからなくもないが、さすがに早計ではなかろうか? (構成/編集部) 【今なら無料で読める!「サイゾーpremium」では他にもスポーツの闇に迫った記事が満載です!】中田英寿の祖父は朝鮮総督府のエリートだった!? 覗き見厳禁! 狂気のスポーツタブー本もはや広告ではペイできない? 325億円にまで高騰する日本の放映権料 不良債権化する五輪放送五輪の申し子・橋本聖子が壮絶な五輪愛を激白!「生理も止まった執念の十二年史」
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実力はあっても「フジテレビと電通」で大丈夫? ボクシング五輪金・村田諒太の不確かな未来

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日本オリンピック協会公式HPより
 先日、正式にプロ転向を表明したロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリスト・村田諒太。五輪後、一度はプロ転向を否定して現役引退を示唆していたものの、一転プロ入りを表明した背景には、フジテレビの多大なバックアップがあった。 「どうやら、電通とフジががっちりタッグを組んで村田をフジの子会社に入社させ、フジと太いパイプがある三迫ジムに預ける。フジは4月にアマ7冠の井上尚弥の3戦目を異例のゴールデン全国中継するが、村田と井上の二枚看板で、いずれはW世界戦を視野に入れてボクシングブーム再燃を狙っている。子会社とはいえ、フジの正社員同様の好待遇で迎えるようだ」(スポーツ紙デスク)  日本チャンピオンになっても、なかなか競技に専念するほどのファイトマネーが得られない日本のボクシング界にあって、村田の待遇はまさに“破格”といえる。だが、こうした待遇がプロキャリアの足かせになる可能性もあるのだという。 「フジや電通が金を出すということは、当然、マッチメイクにも口を出してくることになる。ボクサー村田が話題として“持つ”のは長くても次の五輪までだし、中継番組に“史上最短記録”などといった見栄えのいいキャッチフレーズを付けるためにも、村田はキャリアを重ねるより前の6戦目あたりで世界挑戦させられる可能性が高い。しかも、その世界戦までに負けさせるわけにもいかないので、骨のある相手との試合も組まれないだろう。プロとしての実力を試されないまま世界チャンピオンに挑めば、結果は見えている」(同)  では、実際に村田の実力はどの程度なのだろうか? 日本のボクシング史上でただ一人、ミドル級の世界王者を経験した竹原慎二氏は五輪直後、「(プロに転向すれば)日本・東洋太平洋王座は問題なく獲れる。まだ26歳。アマチュアの指導者になるには早いよ」と、その実力に太鼓判を押しているが……。 「五輪金メダリストの技術がプロに入ってもトップレベルにあることは間違いないが、だからといって、すぐに世界チャンピオンになれるわけではない。アマチュア228戦223勝という圧倒的な成績でバルセロナ五輪を制し、プロでも6階級制覇を成し遂げたオスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)でさえ、最初のベルトまで12戦を費やしている。特に、本場米国ではミドル級近辺の有力選手はプロ志向が強く、五輪予選に出場せずにプロ入りする傾向にある。村田にとって都合がいいのは、日本ボクシングコミッションが従来のWBA、WBCに加えて、WBOとIBFも世界王者の認定団体として公認し、加盟したこと。これでターゲットとなる“世界王者”は2人から4人になり、選択肢は広がった」(専門誌記者)  17階級4団体、計68人の世界王者が乱立するプロボクシングの世界では近年、チャンピオンベルトの有無や本数より、実力者同士の好試合にこそ注目が集まるようになってきている。TBSと亀田家のような安易なベルトコレクションに走らせるか、真の実力を蓄えて1試合で数十億円が動く本場ラスベガスでも通用するような選手に育て上げるか、ボクシング界の“至宝”はフジテレビと電通に託された。

やっぱり黒幕は電通だった! 五輪金メダリスト・村田のプロ転向騒動の舞台裏

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日本オリンピック協会公式HPより
 ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリスト・村田諒太(27歳)のプロ転向騒動。すでに報道にあるように、日本アマチュアボクシング連盟(日連)は秘密裏に計画を進めた末にプロ入りを表明した村田に対し、アマチュア選手としての引退勧告を言い渡すなど、厳しい態度を示している。特に同連盟の山根明会長(73歳)の怒りは収まらない。  ある関係者はこう証言する。 「山根会長以下、日連側はロンドン五輪終了後から、アマチュアの国際機関である『国際ボクシング協会(AIBA)』が今年立ち上げるプロ団体『AIBAプロフェッショナルボクシング(APB)』に参加するよう、村田に2度にわたり要請していました。山根会長としては、村田がプロになるなら絶対にAPBで、という考えがあったのです。しかし、村田は『現役を引退するので、プロになるつもりはない』と断った。日連はAIBAにその旨を伝え、山根会長としても村田はプロにならないと信じていたんです。にもかかわらず、別ルートでプロ転向の話が着々と進んでいた。山根会長からすれば騙されたという気持ちもあるでしょうし、AIBAに対しても顔が立たない。怒るのは当然でしょう」    とはいえ山根会長の怒りの矛先は、村田本人にではなく、村田の背後にいる「仕掛け人」に向いているという。 「会長は『五輪金メダリストを引き抜く行為は盗っ人、泥棒だ!』とまで言っています。一部報道では、村田のプロ転向はフジテレビ主導ってことになっていますが、本当の黒幕は電通。山根会長は、電通のボクシング担当チームの一連のやり口に、怒りを爆発させているんです」(同)  複数の関係者の話によると、一連の交渉は昨秋から続けられていたようだ。電通サイドは、プロデビュー以降はフジテレビが村田の試合を放映、さらに彼を同局へ入社させる「ウルトラC」を含め、引退後の面倒まで見るという破格の条件を提示していたという。 「巨額の契約金が動くという派手な話ではなく、またフジテレビ社員として採用するというプランも流れるかもしれませんが、それでもAPBの選手としてプロのリングに上がるより格段に条件がいい。村田の決断そのものは、至極当たり前の話だと思います」(ボクシングに詳しいフリーライター)  村田プロ転向計画は現在、アマ側との調整に難航しつつも、フジテレビと関係の深い三迫ジム入りを軸に最終段階に入っている。  だが、この話にはまだ続きがある。実は4月2日に女子アマチュアボクシングの大会が後楽園ホール(東京)で開催されるのだが、この大会を主催しているのが渦中の電通。しかし、あろうことかこの大会に、電通は日連から引退勧告を受けたばかりの村田を登場させると言い始めたのだ。  ある業界関係者はこう漏らす。 「あの大会、いまだにスポンサーが決まってないんですよ。そこで電通は、アマチュア最後の晴れ舞台として村田を出せばスポンサーもつくとアマ側に持ちかけた。ですが、山根会長は『一度去った男を、再びアマのリングに上げるわけにはいかない! もう大会も止める!』とブチ切れ。さすがに村田登場の話はすぐなくなったようですが、今まさに同大会が消滅するか否か、電通とアマ側で瀬戸際の交渉が続けられているんです」  仮に同大会が開催中止に追い込まれることになったら、泣くに泣けないのは出場予定の女子ボクシング選手たちだろう。「しずちゃん」こと芸人ボクサーの山崎静代(梅津倶楽部)もそのひとりだ。 「同大会は昨年の全日本女子選手権の各階級の優勝者を揃えており、中でもミドル級王者の山崎はメーンイベンターとして大会最大の見どころになる予定でした。これで本当に大会が中止になれば、山崎にとって、どんなパンチよりも痛い。そもそも女子ボクサー山崎の五輪挑戦は、電通が仕掛けた壮大なスポ根ストーリー。山根会長も、電通の手による『しずちゃん物語』を、女子ボクシングの普及に貢献しているとして高く評価していた。でも、今回の件で山根会長の電通ボクシングチームに対する評価は一変。このままだと、しずちゃんのプロジェクトも、どうなるかわかりませんよ」(某ボクシング関係者)  村田プロ入り騒動の思わぬ余波。一番の被害者が、しずちゃんってことにならなければいいが。

株価半値のフェイスブック”最強代理店”電通はLINEへ乗り換え!?

【サイゾーpremiumより】
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「週刊ダイヤモンド」2011年1月29日号
 9月1日、アメリカの株式市場「ナスダック」において、投資家たちがため息を漏らした。今年5月の株式公開後ずっと値下がりを続けていたフェイスブック(以下、FB)の株価が19ドルまで下落、ついに公開価格の半値を切ってしまったからだ。  アップルが時価総額で世界一の企業となったように、20世紀末以降のアメリカ経済はIT産業が牽引してきた。多くのIT企業が株式公開し、その後の株価上昇によって莫大な利益が生み出されてきたのである。 「マイクロソフトやグーグルなど著名なIT企業があらかた株式公開してしまった中、9億人が利用する世界最大のSNSという『最後の大物IT企業』。当然投資家たちも大きな期待を寄せ、ヘッジファンドから個人投資家までが、FBの公開株に殺到しました」(証券アナリスト)  ところがFBの株価は、上場初日こそ38ドルという公募価格を上回ったものの、その後は連日最安値を更新し続け、わずか4カ月足らずで半値にまで下落した。上場時で約1000億ドル(約7兆8000億円)だった時価総額は、9月には約400億ドル(約3兆1000億円)にまで下落してしまったわけだ。  その要因としては、スマートフォンへの対応の遅れや創業者マーク・ザッカーバーグの経営手腕への不安などが挙げられている。しかし、最も大きいとされるのが、FB上での広告の収益力の弱さである。 「SNSを活用した広告は、従来のマス広告よりも購買行動につながりやすいといわれている。企業の宣伝よりも友人からの推薦のほうが信頼できるから、というわけですね。ところが、FBの広告は思ったよりも効果がないとして、米ゼネラル・モーターズがFBでの広告を打ち切ってしまったんです」(同)  このFBの株価騒動を、太平洋を挟んだ日本から不安げに見つめる企業がある。日本最大の広告代理店である電通だ。同社は、日本におけるFB掲載広告を一手に取り仕切っている。FBのページにはいくつかの広告が掲載される設定になっているが、電通は日本ユーザー向けの広告表示枠をすべて買い切る独占的な契約【1】をFBと締結。このため、日本企業がFBで日本人向けに広告を出すためには、すべて電通を通す必要があるのだ。  インターネットにおける広告は、グーグルでおなじみの「キーワード広告」のように、低価格かつ低単価で、中小企業でも手軽に宣伝が行えるのが特徴だった。このため「ウチの会社は、テレビCMや大型キャンペーン広告など、大きな予算がつく広告がメインです。それに比べるとネット広告の予算は小さいので、ウチの会社では積極的には扱ってきませんでした」と、ある電通社員は説明する。しかし、テレビ・新聞・雑誌・ラジオという、いわゆる4大マス媒体のメディアパワーが下がり、一方でネットがメディアとしても広告媒体としても大きく伸びてくると、ネット広告に消極的だった電通は、大きく出遅れる結果となった。 「完全にネット広告に出遅れたため、会社全体にもかなりの危機感がありましたね」(電通社員)  その起死回生の手段が、FB広告枠の買い切りだったというわけだ。 ■“センス”がない電通という企業  しかし、2010年の時点で米国ではすでにSNSの最大手となっていたFBだが、日本ではミクシィやモバゲーなど国内企業によるSNSが大きく普及しており、FBの躍進は困難に見えた。そこで電通は、FBを「ビジネスユーザーのための最新鋭サービス」と定義して売り込む作戦に出た。具体的には、経済系ニュース番組や雑誌などに、FBを大きく扱うよう売り込んだのだ。10〜11年にかけて、「週刊ダイヤモンド」から「GQ」「anan」に至る複数の雑誌で、「FB大特集」が繰り返されたことを覚えている読者も多いだろう。そのウラには、FBの認知度を高めたい電通による、メディアの熱心な誘導があったのだ。もちろん、取り上げる側のメディアにもメリットはある。FBと近しい距離にある電通が取材の便宜を図ることによって、それまであまり日本メディアには露出しなかったFB日本支社、さらにはFBを活用している企業の取材が可能になったのだ。さらに、”天下の電通”ならばこそ、他のページに入る広告に関しても、なんらかの優遇策を”おまけ”としてつけるなどしていることも容易に想像できるだろう。  電通によるこうした売り込み、そしてFB自体が他のSNSよりも使いやすいこともあって、日本でのユーザー数は11年末には1000万人を突破、12年8月末時点では1500万人を超えたといわれている。またユーザー層も、各メディアへの大量露出の効果もあって、20代後半から40代前半の働く世代が過半数を占めており、可処分所得の高い層が集まるSNSという、電通の狙い通りの広告媒体に育ちつつある。  そうした折も折に起こったのが、5月のFB上場であり、その後の株価下落だったのである。 「ウチの会社はしょせん”日本的”な営業の会社。ITやネットを活用することは不向きなんです。先物買いのつもりでFBに投資しましたが、このままでは持ち出しに終わってしまいそうですよ」(電通社員)  ところが、電通も懲りずに次の狙いを定めているという。それがスマホでヒットしているチャットアプリ「LINE」だ。韓国系企業NHNの日本支社が開発したアプリで、高校生や大学生、女性などを中心に急速に普及している(詳細は「サイゾーpremium」で9月28日より更新予定のNHN特集を参照)。そのLINEの広告は当初、博報堂がメインで扱っていた。ところが、LINEが成功を収めつつあるのを見た電通が、「ウチにもやらせろ」と食い込もうとしているというのだ。 「海の向こうのFBよりはコントロールしやすそうということで、目をつけたようです。だけど問題は、そもそもネットのセンスに電通がついていけてないことなんですよ。FBのように国内メディアを総動員して知名度を上げたところで、『広告媒体としてあんまり価値がなかった』ではねえ……」(同)  社員が呆れるほどネットのセンスに欠けているという電通。テレビや新聞など旧来型の媒体が本格的に崩壊する前に新たな広告枠を、とネットに飛びついているが、FBについては失敗に終わる気配が濃厚である。  ネット上では、”アヤしい”宣伝活動はすべて「電通の陰謀」「ステマ」などと揶揄されがちだ。しかし、FBにおける同社の暗躍を見れば、それもあながちデマではないということになる。いわば、火のないところに煙は立たぬ。しかし、その火も実は、風前のともし火なのかもしれないのである。 (三森黒介)
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【1】独占的な契約 広告枠の「買い切り」は、電通に限らず大手広告代理店がよく行う手法である。人気のテレビ番組や新聞の紙面広告、雑誌の裏表紙など、多くの人の目に触れやすく、広告を出す側にも人気が高い広告のスペース、いわゆる”枠”をまるごと買い切って独占することで、広告料金をコントロールし、高値を維持しやすくなるのである。 ■下落し続けるフェイスブックの株価 「久しぶりの大型株上場」「第2、第3のアップル、グーグル」。鳴り物入りで5月18日に上場したフェイスブック。公募価格38ドルに対し一時は45ドルまで上昇したが、結局同日は38・23ドルで終了。メディアでは、一気に「期待はずれ」感が広まった。その後は30ドル前後をうろうろしていたが、8月以降は20ドル台前半にまで低迷していたのだ。 【「サイゾーpremium」では他にも話題のニュース記事が満載!】ブランド価値”1500億円”日経 の失態 読売と「リーク元公開」で業界騒然!第2のリクルート事件?”疑惑にまみれた”JAL再上場の舞台裏“脱税””隠し子”騒動でGACKTがピンチ! ベールは剥がされるのか
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博報堂OBが語る「震災でボロ儲けした電通、大損した博報堂」

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) トーハン会長の引退で出版界の地殻変動が始まった! グーグルが社員がもっとも最悪だったと思う仕事とは? アップルも認めた!? 遅れる日本の携帯電磁波リスク予防 ■特にオススメ記事はこちら! 博報堂OBが語る「震災でボロ儲けした電通、大損した博報堂」 - Business Journal(8月31日)
「博報堂HP」より
 広告代理店・博報堂(博報堂DYホールディングス)――「広告界のガリバー」の異名を持つ、広告代理店国内トップの電通と双璧をなす存在だ。  連結売上高9783億円(2012年度)、マーケットシェアは約3割(電通に次ぐ2位)で、マスメディアに対して大きな影響力を持っており、「デンパク(電通と博報堂)」は広告代理店の代名詞ともなっているほどだ。一流上場企業をはじめ、政治、メディアにも広く深くネットワークを持つといわれる博報堂について、同社OBにして、著書に『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト)もある本間龍氏に、「リアルな博報堂社内の実態」を語ってもらった。 ――電通と博報堂の特徴の違いは、どのあたりにあるのでしょうか? 本間龍氏(以下、本間) わかりやすくいうと、電通はバイタリティにあふれ、ガツガツしている。一方の博報堂はクール。私がいた頃は、電通は会社の名前に誇りを持っているためか、はたまた自己顕示欲が強いせいか、胸にCED(コミュニケーション・エクセレンス・デンツーの頭文字)と書かれた社章をつけている社員が非常に多かった。一方の博報堂は、社章をつけていない方がほとんどです。博報堂がクールなのは、慶應義塾大学などの有名私大出身者が男女とも多いために、裕福な家庭の出身者が多く、給料レベル以上の服や車を持っていて、どことなく余裕のある感じがあるためかもしれません。 ――代理店といえばコネ採用が多いといわれ、電通は通称「コネツー」ともいわれていますが、博報堂はどうでしょうか? 本間 広告代理店は何が明日の仕事につながるかわからないと、仕事に関して貪欲な電通は、得意先の子弟はもとより、政治家、スポーツ選手、タレント、作家など、各界の有名人の子弟を大量に入社させています。電通の場合、政治家のボンボンが多く、特に自民党とは関係が深い。このため、自民党の広報宣伝は、ずっと電通が担当しています。一方の博報堂は政治家よりも得意先の子弟が多く、男子の場合、毎年の新卒採用が約100人だとすると、コネは1~2割です。大卒女子の場合は、20名程度のうち半分程度がコネ。ただし、博報堂の場合は、大得意先社長の子弟などでない限りは、基礎学力の低い者は2次試験までに落とされることがほとんどです。  しかも入ってからも、社内での出世は完全な実力主義で、能力がないと、子弟とはいえ本当にきつい。かといって、成績優秀な実力入社組にとっても、裕福な同僚に生活レベルを合わせる必要があるために、出費がかさむ。接待などでも身銭を切らざるをえないので、サラ金などで無用の借金をしてしまい、身を持ち崩す人もいましたね。一方のコネ入社組は、接待などで身銭を切っても平気ですが。 ――接待でいえば、「タクシー券(タク券)」をめぐっても、両社の間で違いがあったとか。 本間 最近、ついになくなったらしいですが、以前の電通は営業フロアにタク券が積まれていて、平社員でもガンガン使えたそうです。片や博報堂は、昔から部長職以上でないと使えませんでした。この差は得意先との接待ではもちろん、合コンでもタク券をばらまけるかどうかで、大きな評価の差になったのです。ただ、合コンの席でも、電通マンは昼間の仕事同様に欲望丸出しでガツガツしていて、女性相手に上から目線で威張るために、評判は悪かった。そのおかげで、そういったことをしない博報堂が紳士的だと評価が上がることはありましたね。 あえて電通が受けなかった事業で、博報堂は大損? ――最近、本間さんは『電通と原発報道』(亜紀書房)という著書も執筆されました。同書によると、原発事故後の広告代理店のビジネスをめぐっても、両社の間では大きな特徴の違いがあるということですが。 本間 7~8月にかけて全国11カ所で、エネルギー政策の意見聴取会がありました。聴取会で、電力会社の社員が参加して相次いで意見を表明して問題になり、「この運営を請け負っているのは博報堂だ」と報道されましたが、資料を見ると、あの資源エネルギー庁の入札に参加したのは電通と博報堂だけでした。電通の入札価格は1億2000万円、博報堂の入札価格は7480万円で落札しました。この結果を見て驚いたのは、電通と博報堂の入札価格の差です。というのも現在は、両社それぞれの協力会社(ビジネスパートナー)のレベルが上がっていて、内容に差がなければ、入札価格にもほぼ差がなくなってきています。にもかかわらず、今回の入札では、ほぼ5000万円の差になっていたのです。  経験者の目から見れば、全国11カ所で会場を借りて、数百人の応募がきたら、データの作成・分析・報告という面倒な作業が発生します。実際に意見聴取会の参加者を選ぶのは政府ですが、それをサポートする事務的な作業も必要になってくる。直接この業務に関わる社員は2〜3人。1カ所の正味原価500万円で、博報堂のマージンとされる最低15%を上乗せした価格として、1カ所700万円弱は妥当なところです。  一方で、電通の1億2000万円は高めの入札価格ですから、最初から今回の入札は捨てにかかっていたのではないでしょうか。確かに、今回の意見聴取会の仕事は回数が多く煩雑だし、広告代理店にとっては叩かれるだけでなんの得にもならない。そう考えて、電通は高めの価格を設定し、博報堂は愚直にも適正価格で入札して、世の中の批判を浴びてしまった。そこがマジメな博報堂らしいともいえるのですが、これだけ注目を浴びると、社員2〜3人では足らず、部長級、局長級の人間と、その関係するスタッフも含めると、10人以上は関わることになる。単体では完全に赤字でしょう。 ――この入札と同日に、エネルギー政策に関わる、もうひとつの入札も行われました。8月に行われた討論型世論調査です。これはスタンフォード大が開発した手法を用いて、討論する前と後ではどのように人々は意見が変わるのか、という分析を行うことで、議論を深めたり、その結果を利用してメディアコントロールする手法です。 本間 討論型世論調査で原発比率を探ろうという試みだったようですが、「感情的」脱原発論者を「現実的」推進論者が説得する手法があるかどうかを探る目的があったのでしょう。非常にマーケ的であり、博報堂らしい仕事です。この入札では、博報堂が5500万円、アサツーディ・ケイが5900万円で入札し、400万円差で博報堂が落札しています。博報堂は意見聴取会と討論型世論調査をセットで落札しようと考えていたのでしょう。 震災ビジネスでも堅実に稼ぐ電通 ――一方の電通は、しっかりと原発事故後のビジネスで儲けています。環境省「除染情報プラザ」事業です。環境省との単年度契約で、除染と汚染された災害廃棄物の処理についての広報を、同省が電通に運営委託。このうち、情報収集と専門家派遣を担当するのが「除染情報プラザ」(福島市)ですが、そのスタッフを、電通は人材派遣会社のパソナに委託。14 人のプラザスタッフはすべて派遣社員で、除染・放射能の専門家はゼロだったということが、朝日新聞の取材で明らかになっています。この業務の今年度の契約金は、約15億円です。 本間 電通の利益率は慣例で20%以上ですから、この事業での利益はざっと3億円とみることができます。入札しただけで実働はパソナに丸投げして利益3億なんて、(あくまでも予想ですが)さすが電通、実においしい商売ですよね。それを受けたパソナも派遣社員ばかりで専門家を1人も用意してないんだから、お手軽なものです。朝日新聞が電通・パソナ両社の名前を出したのも、あまりに安易に儲けすぎだと記者が憤慨したからではないでしょうか。  環境省には12年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算が計上されていますから、単純に電通がすべて引き受けたとして計算すると、6億円の利益になるわけです。それだけのお金があるのなら、政府は電通に回さずに直接被災者のために使ってほしいものです。  本間氏によると、原発事故前の原発PR広告制作だけでなく、全国の原発所在地にある「電力(原子力)PR館」の施工から運営までも、広告代理店の重要な仕事だったという。原発事故後、東京電力を中心とした原発PRの広告が減った分、原発事故後のビジネスで儲けるという動きが電通、博報堂ともに始まったといえそうだ。 (構成=松井克明/CFP) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) トーハン会長の引退で出版界の地殻変動が始まった! グーグルが社員がもっとも最悪だったと思う仕事とは? アップルも認めた!? 遅れる日本の携帯電磁波リスク予防 ユニクロの激安ジーンズに敗れたエドウインの焦り 広木隆「『悪事は成功のカギ』とのたまう金融機関幹部たち」 放送と通信の融合? 津田大介が見た、あるNHK番組の可能性 なぜあのベンチャーは、スタバから高額出資を受けられたのか?

電通社員「新人は毎日朝まで伝統“血みどろ”研修in飲み屋」

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 【特集】実はブラック?人気企業社員が語る我が社のタブー 大阪市職員「公明党より低レベルな維新の会と、クレイジーな市民」 野村社員「部下は監禁・罵倒し、顧客に損さてもノルマは死守」 ■特にオススメ記事はこちら! 電通社員「新人は毎日朝まで伝統“血みどろ”研修in飲み屋」 - Business Journal(8月2日)
「電通HP」より
「広告界のガリバー」の異名を持つ、広告代理店国内トップの電通。連結売上高1兆7000億円(2011年度)は、2位の博報堂の約2倍と、圧倒的なシェアを持つ。名だたる一流上場企業をはじめ、政治、メディアにも広く深く根を張っているといわれる電通の実態とは?今回は、現役社員・A氏に、素顔の電通について語ってもらった。 ――電通はコネ入社が多いと聞きますが、実際はどうなのでしょうか? A氏(以下、A) 詳しくはわかりませんが、全体の2〜3割くらいでしょうか。「コネだから仕事ができない」ということはなく、かなり優秀な人もいますよ。やはり、それなりに血筋がいいということなんでしょうかね。中には、人質のような人もいたりします。すぐにコネとわかる人もいれば、自分から言う人もいますね。あまりいない名字の人だと、「父親が〇〇テレビの役員」とか、すぐにわかっちゃったりしますが……。もちろん、コネかどうかわからない人もたくさんいます。 ――どういう関係のコネ入社が多いのでしょうか? A メディア関係がほとんどで、大口クライアント(顧客)関係もいますね。それこそテレビ局なんてコネ入社だらけですが、お互いに子どもや親戚を入れ合ったりしてるんでしょうね。ただ、広告代理店として、メディアや大口クライアントとの関係を維持していく中で、コネがある人材を年間1000万円の給料払って留めておけば、年間何百億円もの利益が上がるのであれば、ある意味合理的なシステムかなと思いますね。 新人研修のために車を売る? ――入社後の新人研修では、何か独特なことはやるのでしょうか? A 新人全員が一斉に受ける研修が1カ月間あり、一般的なマナー研修や広告の勉強などをします。ウチには「リーダー・サブリーダー制」という伝統があり、新人10人弱くらいでひとつの班をつくるのですが、そこに先輩社員であるリーダー、サブリーダーが研修期間中ずっとついてくれます。そこで、社会人の基礎とか、電通マンのマインドを徹底的に叩き込まれるわけです。通常の研修は17時半に終わるのですが、その後に班単位で毎日飲みに行くわけです。それこそ、移動はすべてタクシーで、毎日朝4時まで飲むんですよ(笑)。単に飲むだけではなく、リーダーが社内外のゲストや知り合いの芸能人を呼んだりするわけです。彼らのネットワークが試されることにもなります。 ――それはすごいですね。費用は会社から出るのですか? A 少しは補助が出ますが、ほとんどはリーダー、サブリーダーのポケットマネーですね。お金を調達するために、車を売った人もいたようです。お店の選び方とか、酒の飲み方とか、実践の場を通じて電通イズムを継承するわけです。本当の研修はこっちのほうだと思いますね。でもそうして、それまで学生だった新人が、今まで行ったこともないようなお店をたくさん知って、普通だったら会えないような人たちに会い、人脈をつくり、お酒の飲み方を含めた社交術を1カ月で学ぶのです。そうやって、研修後に実際のビジネスの場に投げ込まれたときに、夜の席含めて、取引先などとの会合に出しても大丈夫なレベルにまでもって行く。ある意味、ものすごくよくできたシステムだと思います。 ――でも、毎日朝までだと、大変ですよね。 A 例えば前夜のゲストが社内の人だと、次の朝は必ずその人のところにお礼に行かなければいけないんです。不在なら手紙を置いとけと。それを知らなくてやらないと、ものすごく怒られたりしました。だから、4月の電通社内は、毎朝集団で右往左往する新人たちでにぎわいます。今はコンプライアンスの問題とかありますので、だいぶ変わってきているようですが。 血みどろで出社する新人 ――入社して、電通に対しどんな印象を持ちましたか? A 超体育会の会社だなと。上下関係は厳しいです。例えば、職場に配属された初日に開いてくれた歓迎会では、記憶がなくなるくらい飲まされましたね。その店にある酒をすべて飲みきったので、コンビニで酒を買ってきてまで飲んでましたね。すごかったのは、ある新入社員が酔っ払って吐いて寝てたら、先輩から「お前!何してるんだ!」と言われて思い切り殴られていました。あれはやりすぎかなと思いました(笑)。そのほかにも、飲んだ翌朝にワイシャツが血だらけで出社した人がいたんです。飲みすぎて血を吐いたらしいのですが、「なんで着替えてこなかった?」と聞いたら、鍵も財布もすべてなくして、どうしようもなくてそのまま来たと。帰りのタクシーで一緒に乗っていた人に聞いても、誰も何も覚えてなかったそうです(笑)。 ――普段も、そんな感じなんですか? A 入社して数年間は、夜中12時前に帰った記憶はないですね。12時前に仕事が終わると、「早く終わったー」「じゃ飲みに行こう!」ってなっちゃうんです。それは、研修で朝まで飲んでいた頃の感覚が染み付いて、常識的な感覚がなくなっているんですね。なので、仕事があろうとなかろうと、結局帰宅は3〜4時になってしまいます。 ――それでも、皆さん朝早くちゃんと出社するんですよね? A これも研修の時に教わるんですが、「新入社員とか若手は、どんなに前夜酔っ払っても気持ち悪くても、礼儀として朝はちゃんと来る」ということが、叩き込まれています。「一瞬でも、朝職場に顔を見せれば、あとはずっとトイレにこもっていてもいいから」と言われますね(笑)。 「全裸で銀座を疾走」伝説 ――よく、「接待でクライアントを喜ばせるために、電通社員が全裸で銀座を疾走する」などという伝説も聞きますが、本当でしょうか? A 電通は、「2001年の上場前=バブル世代」「上場〜リーマンショック前」「リーマンショック後」の3つの時代で、まったく雰囲気が違います。「銀座で全裸」は、まさにバブル世代。その時代を謳歌した人たちは、いま部長クラスになっていますが、彼らは今でも部下とカラオケに行くと、全裸になってそのままお会計に行こうとしたりします。しかし上場後は、やはり社会の目もあり、「コンプラが大事」などと社内でも言われ、そうしたイケイケさは減りました。そしてリーマンショック後、さすがにウチも業績が下がり、まず使い放題だったタクシー券がなくなった。それまでは、飲んでいても仕事していても「終電を気にする」という感覚がなかったのが、「そろそろ終電だから……」とか言いだすようになった。そうすると、一気に社内が静かになり、最近ではますます「普通の会社」になりつつあります。先ほどお話しした「新人研修で毎日朝まで」という伝統も、なくなってしまったようです。「1年目はイッキ飲み禁止」とかいう訳のわからない社内規則もできましたし。“イケイケさ”というのは、まさにビジネスにおける電通の強さの源でしたが、こうした「普通化」が、企業としても電通の弱さにつながらないか、とても心配です。 ――電通ならではの、仕事のやり方はありますか? A 義理人情の“ヤクザ”な世界が結構ありますね。簡単に言うと、平気で人を追い込むことが多々あります。例えば、新聞の広告枠を取る際、どの面にしたいというクライアントの希望があるわけです。その中で、対博報堂との戦いも当然ありますし、社内的にも部署同士で良い枠の取り合いで争うこともあります。そういう時に、どんな手を使ってでも自分のクライアントの希望を優先させるために、相手を潰しにかかるわけです。それが博報堂相手ならまだいいんですけど、同じ電通内で潰し合うのは、会社全体ではどうなのかなとは思いますね。緻密ながらも時には大胆に、傲慢に、相手にプレッシャーを与えたりするわけで、まさに命をかけている感じです。その執念、マインドは凄まじいものがあります。 コンペで博報堂に負けたら… ――博報堂に対しては、どのように思っているんですか? A この業界では、明確に1位(電通)と2位(博報堂)の関係なわけで、入社前は「余裕があるのでは」と思っていました。しかし、博報堂と競合する時などは、それこそ敵意丸出しで「絶対に負けるな!」「負けたら死ぬんだ」という強い意気込みがあるんですね。「絶対に負けてはいけない戦い」なわけです。そうした“凄み”は、あまり博報堂からは感じられません。博報堂は、もっとクールですね。 ――そうした違いは、ほかのシーンでも感じることはありますか? A たまに、クライアントさんとの飲み会で、博報堂など他社と一緒になることがあるのですが、博報堂はそんなにこっちを意識していなくても、うちは火花を散らして「お前ら、今日はわかっているな! 絶対に負けるな!」となるわけです。「やつらに1分も活躍の時間を与えるな」と(笑)。もはや、何を競っているのかわかんないくらいです。まあ、ウチがそんなことしても、クライアントさんがどう評価しているか不明ですが……。 ――すごいですね…。 A あるクライアントさんの担当者が異動することになり、送別会をするとなれば、もう毎晩夜中12時から部内で企画会議です。「どうすれば、その人を感動させられるか?」あらゆる出し物を考えるのです。メモリアル映像まで制作して、そのクライアントさんのCMに出演したタレントに出てもらうところまでします。でも、同僚の結婚式の2次会でも、電通マンは同じようにやっちゃうんですよね。こうした根っからの“企画屋”精神を持った社員の集まりだということが、間違いなく電通の強さだと思います。 ――電通は、「日本のCIA」ともいわれ、裏社会含めてあらゆる世界とつながって、オリンピックをはじめとした巨大利権を握っているという話もありますが、実際はどうなのですか? A そうあってほしいですが、残念ながら、少なくとも現場レベルでは、今はそんなパワーはないですね。もはや、普通の会社になってしまったのではないでしょうか。 (構成=編集部) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 【特集】実はブラック?人気企業社員が語る我が社のタブー 大阪市職員「公明党より低レベルな維新の会と、クレイジーな市民」 野村社員「部下は監禁・罵倒し、顧客に損さてもノルマは死守」 大手広告代理店Dの“伝説の”合コンをついに実況中継! グループリーグ突破の五輪代表に吹く追い風を分析 短寿命・低価格で凋落したパナソニックとソニーは復活なるか? 商社の双日に尖閣諸島周辺ビジネスでチャンス到来

電通社員「新人は毎日朝まで伝統“血みどろ”研修in飲み屋」

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「電通HP」より
「広告界のガリバー」の異名を持つ、広告代理店国内トップの電通。連結売上高1兆7000億円(2011年度)は、2位の博報堂の約2倍と、圧倒的なシェアを持つ。名だたる一流上場企業をはじめ、政治、メディアにも広く深く根を張っているといわれる電通の実態とは?今回は、現役社員・A氏に、素顔の電通について語ってもらった。 ――電通はコネ入社が多いと聞きますが、実際はどうなのでしょうか? A氏(以下、A) 詳しくはわかりませんが、全体の2〜3割くらいでしょうか。「コネだから仕事ができない」ということはなく、かなり優秀な人もいますよ。やはり、それなりに血筋がいいということなんでしょうかね。中には、人質のような人もいたりします。すぐにコネとわかる人もいれば、自分から言う人もいますね。あまりいない名字の人だと、「父親が〇〇テレビの役員」とか、すぐにわかっちゃったりしますが……。もちろん、コネかどうかわからない人もたくさんいます。 ――どういう関係のコネ入社が多いのでしょうか? A メディア関係がほとんどで、大口クライアント(顧客)関係もいますね。それこそテレビ局なんてコネ入社だらけですが、お互いに子どもや親戚を入れ合ったりしてるんでしょうね。ただ、広告代理店として、メディアや大口クライアントとの関係を維持していく中で、コネがある人材を年間1000万円の給料払って留めておけば、年間何百億円もの利益が上がるのであれば、ある意味合理的なシステムかなと思いますね。 新人研修のために車を売る? ――入社後の新人研修では、何か独特なことはやるのでしょうか? A 新人全員が一斉に受ける研修が1カ月間あり、一般的なマナー研修や広告の勉強などをします。ウチには「リーダー・サブリーダー制」という伝統があり、新人10人弱くらいでひとつの班をつくるのですが、そこに先輩社員であるリーダー、サブリーダーが研修期間中ずっとついてくれます。そこで、社会人の基礎とか、電通マンのマインドを徹底的に叩き込まれるわけです。通常の研修は17時半に終わるのですが、その後に班単位で毎日飲みに行くわけです。それこそ、移動はすべてタクシーで、毎日朝4時まで飲むんですよ(笑)。単に飲むだけではなく、リーダーが社内外のゲストや知り合いの芸能人を呼んだりするわけです。彼らのネットワークが試されることにもなります。 ――それはすごいですね。費用は会社から出るのですか? A 少しは補助が出ますが、ほとんどはリーダー、サブリーダーのポケットマネーですね。お金を調達するために、車を売った人もいたようです。お店の選び方とか、酒の飲み方とか、実践の場を通じて電通イズムを継承するわけです。本当の研修はこっちのほうだと思いますね。でもそうして、それまで学生だった新人が、今まで行ったこともないようなお店をたくさん知って、普通だったら会えないような人たちに会い、人脈をつくり、お酒の飲み方を含めた社交術を1カ月で学ぶのです。そうやって、研修後に実際のビジネスの場に投げ込まれたときに、夜の席含めて、取引先などとの会合に出しても大丈夫なレベルにまでもって行く。ある意味、ものすごくよくできたシステムだと思います。 ――でも、毎日朝までだと、大変ですよね。 A 例えば前夜のゲストが社内の人だと、次の朝は必ずその人のところにお礼に行かなければいけないんです。不在なら手紙を置いとけと。それを知らなくてやらないと、ものすごく怒られたりしました。だから、4月の電通社内は、毎朝集団で右往左往する新人たちでにぎわいます。今はコンプライアンスの問題とかありますので、だいぶ変わってきているようですが。 血みどろで出社する新人 ――入社して、電通に対しどんな印象を持ちましたか? A 超体育会の会社だなと。上下関係は厳しいです。例えば、職場に配属された初日に開いてくれた歓迎会では、記憶がなくなるくらい飲まされましたね。その店にある酒をすべて飲みきったので、コンビニで酒を買ってきてまで飲んでましたね。すごかったのは、ある新入社員が酔っ払って吐いて寝てたら、先輩から「お前!何してるんだ!」と言われて思い切り殴られていました。あれはやりすぎかなと思いました(笑)。そのほかにも、飲んだ翌朝にワイシャツが血だらけで出社した人がいたんです。飲みすぎて血を吐いたらしいのですが、「なんで着替えてこなかった?」と聞いたら、鍵も財布もすべてなくして、どうしようもなくてそのまま来たと。帰りのタクシーで一緒に乗っていた人に聞いても、誰も何も覚えてなかったそうです(笑)。 ――普段も、そんな感じなんですか? A 入社して数年間は、夜中12時前に帰った記憶はないですね。12時前に仕事が終わると、「早く終わったー」「じゃ飲みに行こう!」ってなっちゃうんです。それは、研修で朝まで飲んでいた頃の感覚が染み付いて、常識的な感覚がなくなっているんですね。なので、仕事があろうとなかろうと、結局帰宅は3〜4時になってしまいます。 ――それでも、皆さん朝早くちゃんと出社するんですよね? A これも研修の時に教わるんですが、「新入社員とか若手は、どんなに前夜酔っ払っても気持ち悪くても、礼儀として朝はちゃんと来る」ということが、叩き込まれています。「一瞬でも、朝職場に顔を見せれば、あとはずっとトイレにこもっていてもいいから」と言われますね(笑)。 「全裸で銀座を疾走」伝説 ――よく、「接待でクライアントを喜ばせるために、電通社員が全裸で銀座を疾走する」などという伝説も聞きますが、本当でしょうか? A 電通は、「2001年の上場前=バブル世代」「上場〜リーマンショック前」「リーマンショック後」の3つの時代で、まったく雰囲気が違います。「銀座で全裸」は、まさにバブル世代。その時代を謳歌した人たちは、いま部長クラスになっていますが、彼らは今でも部下とカラオケに行くと、全裸になってそのままお会計に行こうとしたりします。しかし上場後は、やはり社会の目もあり、「コンプラが大事」などと社内でも言われ、そうしたイケイケさは減りました。そしてリーマンショック後、さすがにウチも業績が下がり、まず使い放題だったタクシー券がなくなった。それまでは、飲んでいても仕事していても「終電を気にする」という感覚がなかったのが、「そろそろ終電だから……」とか言いだすようになった。そうすると、一気に社内が静かになり、最近ではますます「普通の会社」になりつつあります。先ほどお話しした「新人研修で毎日朝まで」という伝統も、なくなってしまったようです。「1年目はイッキ飲み禁止」とかいう訳のわからない社内規則もできましたし。“イケイケさ”というのは、まさにビジネスにおける電通の強さの源でしたが、こうした「普通化」が、企業としても電通の弱さにつながらないか、とても心配です。 ――電通ならではの、仕事のやり方はありますか? A 義理人情の“ヤクザ”な世界が結構ありますね。簡単に言うと、平気で人を追い込むことが多々あります。例えば、新聞の広告枠を取る際、どの面にしたいというクライアントの希望があるわけです。その中で、対博報堂との戦いも当然ありますし、社内的にも部署同士で良い枠の取り合いで争うこともあります。そういう時に、どんな手を使ってでも自分のクライアントの希望を優先させるために、相手を潰しにかかるわけです。それが博報堂相手ならまだいいんですけど、同じ電通内で潰し合うのは、会社全体ではどうなのかなとは思いますね。緻密ながらも時には大胆に、傲慢に、相手にプレッシャーを与えたりするわけで、まさに命をかけている感じです。その執念、マインドは凄まじいものがあります。 コンペで博報堂に負けたら… ――博報堂に対しては、どのように思っているんですか? A この業界では、明確に1位(電通)と2位(博報堂)の関係なわけで、入社前は「余裕があるのでは」と思っていました。しかし、博報堂と競合する時などは、それこそ敵意丸出しで「絶対に負けるな!」「負けたら死ぬんだ」という強い意気込みがあるんですね。「絶対に負けてはいけない戦い」なわけです。そうした“凄み”は、あまり博報堂からは感じられません。博報堂は、もっとクールですね。 ――そうした違いは、ほかのシーンでも感じることはありますか? A たまに、クライアントさんとの飲み会で、博報堂など他社と一緒になることがあるのですが、博報堂はそんなにこっちを意識していなくても、うちは火花を散らして「お前ら、今日はわかっているな! 絶対に負けるな!」となるわけです。「やつらに1分も活躍の時間を与えるな」と(笑)。もはや、何を競っているのかわかんないくらいです。まあ、ウチがそんなことしても、クライアントさんがどう評価しているか不明ですが……。 ――すごいですね…。 A あるクライアントさんの担当者が異動することになり、送別会をするとなれば、もう毎晩夜中12時から部内で企画会議です。「どうすれば、その人を感動させられるか?」あらゆる出し物を考えるのです。メモリアル映像まで制作して、そのクライアントさんのCMに出演したタレントに出てもらうところまでします。でも、同僚の結婚式の2次会でも、電通マンは同じようにやっちゃうんですよね。こうした根っからの“企画屋”精神を持った社員の集まりだということが、間違いなく電通の強さだと思います。 ――電通は、「日本のCIA」ともいわれ、裏社会含めてあらゆる世界とつながって、オリンピックをはじめとした巨大利権を握っているという話もありますが、実際はどうなのですか? A そうあってほしいですが、残念ながら、少なくとも現場レベルでは、今はそんなパワーはないですね。もはや、普通の会社になってしまったのではないでしょうか。 (構成=編集部) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 【特集】実はブラック?人気企業社員が語る我が社のタブー 大阪市職員「公明党より低レベルな維新の会と、クレイジーな市民」 野村社員「部下は監禁・罵倒し、顧客に損さてもノルマは死守」 大手広告代理店Dの“伝説の”合コンをついに実況中継! グループリーグ突破の五輪代表に吹く追い風を分析 短寿命・低価格で凋落したパナソニックとソニーは復活なるか? 商社の双日に尖閣諸島周辺ビジネスでチャンス到来

原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル

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『電通と原発報道』
(本間龍/亜紀書房)
 連結売上高約1兆7000億円(2011年度)、単体では世界一の広告代理店・電通。日本の広告の20%以上を取り扱い、その莫大な広告予算を背景に、各企業のみならず政府・政党のメディア対策まで引き受けている。スポンサー収入に頼るメディアにとっては、最大最強のタブーとされている。  原子力発電をめぐっても、電通の影響力は大きい。11年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、産・官・学のいわゆる「原子力ムラ」が長年にわたってメディアに大金をバラまき、原発に反対するような言論を封じ込んでいたその一端が明らかになったが、その背後では電通の暗躍があった。 「なぜメディアが原子力ムラの圧力に萎縮していたか、そのメカニズムを知らなければ、日本はまたいつの間にか連中の思い通りにされてしまう」というのは、『電通と原発報道 巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ』(亜紀書房)の著者・本間龍氏。本間氏は電通に次ぐ国内第2位の広告代理店・博報堂に、約18年間勤務していた人物だ。  今回本間氏に、大手広告代理店の知られざる仕掛けについて語ってもらった。  10年度、東電の広告費は269億円でした。東電は関東地方でしか電気を売らないのにもかかわらず、広告費の全国上位ランキングで10位に入っているのです。このように大量に広告出稿したのは、関東地方の人たち、また関東圏以外の原発立地県(福島・新潟)においても、原発の安全性・重要性をアピールするためでした。それどころか、同時に、その広告を掲載するメディアに、原発に対してマイナスイメージを与える報道をさせないためでもあったのです。 東電のメイン担当代理店は電通だ。東京電力、関西電力など一般電気事業者からなり、全国的なメディアへの広告出稿を引き受けていた電気事業連合会(電事連)も担当代理店は電通だった。  電事連加盟10社のマスコミ広告費など普及開発関係費は 866億円(10年)と、同年広告費1位のパナソニック(733億円)をも軽々と抜いてしまう巨額なものでした。つまり電力業界は、マスコミにとって大スポンサーであり、最大のタブーだったのです。また不況になればなるほど、安定的なスポンサーになってくれる電力業界に対し、都合の悪い記事を書こうとは思わなくなっていく。  ドキュメンタリー番組で反原発をテーマにして反原発の知識人を登場させるような番組は、テレビ局内部でも自粛ムードになりますし、その動きを察知した代理店側も、大スポンサーを刺激しないように暗躍を始める。  こうして、反原発の番組はトーンダウンし、制作を担当したディレクターは左遷されてしまうのです。そして、テレビからは「原発はクリーンで安全です」などと詐欺まがいの広告、ニュースだけが量産されるのです。  つまり、電通を中心に「広告」という手段で「原発安全神話」、原発礼賛キャンペーンを打ち出してきた。利潤追求に狂奔した産官学の原発ムラを、側面から支えていた大手広告代理店とマスメディアの関係を、一人でも多くの方に知っていただきたい。 この本を出版する際にも、露骨な広告代理店側の働きかけがあったという。  私は、06年、博報堂退職後に知人に対する詐欺容疑で逮捕・有罪となり、栃木県の黒羽刑務所に1年間服役。出所後、その体験を紹介した『「懲役」を知っていますか?』(学習研究社)で作家デビュー、その後、文筆活動に入りました。ただし、広告代理店関係の企画を大手出版社に持ち込んでも、編集者レベルでは好感触なのですが、経営レベルでNGになってしまうことがありました。やはり大手出版社では、広告代理店に関する話はタブーになっているということを実感しました。  今回の本を出す過程でも、本書の発売が明らかになると、博報堂の広報室長より出版元に「出版前に本をチェックさせてほしい」旨の要請がありました。博報堂の広報室長は「本間さんとは退職時に『在職中に知り得た、博報堂の機密を漏洩して会社に損害を与えることはしない』という旨の守秘義務の念書を交わしている。本書で情報漏洩しているということはないか」「電通と東京電力も、この件に関しては情報収集をしている」などといった理由で、発売前のゲラの公開、また電通と東京電力という名前を持ち出してプレッシャーをかけてきたのです。  私は博報堂の役員ではありませんでしたし、博報堂社員時代から原発に対して懐疑的で「原子力資料情報室」の会員でしたから、原発のPR活動とは一定の距離があり、原発広報の仕事で「博報堂の機密」などがあるかどうかも知る立場にないのに、です。つまり、広告代理店がこういったプレッシャーをかければ、広告収入をビジネスモデルにしている大方の出版社では「発売自粛」になっていたでしょう。広告代理店側は電話一本で、メディアを意のままに操れるというのが現実です。 こうして電通はメディアを操り、国民を洗脳していくということか。  ただし、私の経験から言えるのは、電通が全社を統合するような1つの意思の下に動いているわけではありませんし、国民を洗脳しようという目的を持って行動しているわけではありません。このあたりの広告代理店マンの考え方は、『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト刊)に書きましたが、ただ単に広告代理店とは、クライアントの意思を忠実に代行するだけの存在なのです。  つまり、クライアントである政府が仮に「反原発」の政策をとり、そのために広告予算を組むようになったら、電通は、これまでの行動を手のひらを返したように「反原発」のキャンペーンを始めるでしょう。広告代理店はそういった存在にすぎないのです。ですから、やはりいちばん重要なのは、政府の姿勢ということになります。  東日本大震災の被災地3県のがれき処理問題で、政府はがれきの広域処理を呼び掛けるメディアキャンペーンを展開していますが、これらのために、環境省には12年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算が計上されています。地方紙を中心に政府の広告予算がバラまかれ、マスコミは再び自由に政府対応への批判ができなくなっていくのです。また電通主導でのキャンペーンが始まりますね。 原発問題も一段落した現在、電通にとって、最大の関心はオリンピックだ。といっても、現在、開催中のロンドンオリンピックではない。20年のオリンピックの開催予定地だ。2013年9月にIOC総会で決定されるが、トルコ・イスタンブール、スペイン・マドリード、そして東京の3都市が正式立候補している。  電通にとっては、オリンピックはテレビ放映権収入などが確実に入るおいしいビジネス。ただし、外国開催のロンドンオリンピックでは想定内の収益しか上がりません。もっと莫大なお金が動くのは、オリンピックの自国開催です。たとえば、16年夏季五輪招致活動だけで、67億円のお金が東京都から入ってきましたが、東京開催ともなれば、JOCを中心とした大会の運営の実働スタッフとなるのは電通です。オリンピックをまるごとプロデュースできるわけですから、丸儲けができるイベントなのです。  現在、20年の開催地候補は3候補に絞られましたが、東京開催が現実味を帯びるためには、支持率が依然として低い状況を打開しなければなりません(五輪開催に「賛成」と答えた都民は47%、マドリード78%、イスタンブール73%)。そこで、電通が考えるのは、ロンドンオリンピックで選手たちに活躍をしてもらって、感動が印象付けられたところで、招致支持率を再調査することです。オリンピックで感動して、東京でも見たいという声を高める作戦です。  ただし、電通にとって悩ましいのは、スポーツの結果は手を回しようがないという点です。電通は「誘拐」と「殺人」以外ならなんでもやるといわれていますが、さすがにスポーツ選手の成績には手の出しようがない。だからこそ、オリンピックの結果が悪くても、日本のマスメディアに感動報道をさせることで、「東京でオリンピックを」という心理にさせようとするのです。 オリンピックでの感動は、電通によって作られたものかもしれないのだ。 (構成=松井克明/CFP) <おすすめ記事> なぜ“汎用技術”iPodがヒットしたのか? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案 LIBOR以上?大企業が日銀短観、景気調査を都合よく操作? 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行