着ぐるみってどうやって作ってるの? 着ぐるみ制作会社に潜入!

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この、オサレな工房で着ぐるみを作っているのだ。
もっと町工場みたいなところを想像してた!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第15回は、着ぐるみ制作会社に潜入してきました。 ■ゆるキャラ&着ぐるみを作って儲けたいのだ  長引く不況でもはや死に体の地方経済を活性化すべく、ご当地B級グルメやローカルアイドル、街コンなど、さまざまな企画が打ち出されているけれど、そんな中でも、ご当地の知名度アップ、経済効果ともに大きく貢献しているのが「ゆるキャラ」だろう。  一時のブームで終わるかなー……という予想を覆し、最近では完全に一般層にまで定着してきているようで、各地方自治体がどんどん新しいゆるキャラを生み出し、ますます盛り上がりを見せているご様子。
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我が地元のゆるキャラ・もんじゃ焼きの「もじゃろー」。
手作り感あふれ過ぎてる着ぐるみ!
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着ぐるみのゆる過ぎ感もさもさることながら、足下が
またねぇ……もうちょっと気を遣って下さいッ!
ゆるいにもほどがあるよ。
 着ぐるみはもちろん、グッズやお土産なども作られ、人気ゆるキャラはテレビやイベントにも引っ張りだこ。……いやあ、銭ッコのニオイがプンプンするじゃないですか! そもそも、ああいう行政の仕事ってギャラよさそうだし。  ボクも一応、イラストなんかを描く仕事をしているもんで、いつか、どっかのゆるキャラのデザインをして、ボロ儲けした……いやいや、着ぐるみ化されたらうれしいなぁ、なんて思っているのだ。自分のデザインしたキャラクターが着ぐるみになって、子どもたちに囲まれているのを見たら、お金なんかには代えられない喜びがあると思うんですよね。……お金も欲しいけど!
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まあ、銭のニオイはしないね……。
 しかし、そもそも着ぐるみって、どこで、どんなふうに作ってるのか? そして、作るのにはどれくらいお金がかかるものなのか? 全然分からないでしょ。  というワケで今回は、着ぐるみの制作からショーのプロデュースまでを一手に請け負っている「ゴーゴープロダクション」の二村直範社長に、突撃取材してきた! ■表に出られない! 着ぐるみアクターの苦悩 ――着ぐるみ専門の会社を作ったきっかけは、なんだったんですか? 「もともとは、僕自身が着ぐるみのアクターだったんです。でも、着ぐるみの世界って難しくて、優秀なアクターがいてもなかなか認めてもらえないんですよ。表に出るわけにいかないから名前が知られることもなく、だから頑張っていても、なかなかギャラを上げてもらえないし……」 ――ああ、「中に人なんか入ってない!」ということになってますからね。 「呼んでくれる側からも『人気キャラクターの着ぐるみを着て、それなりに演技してくれれば』程度のことしか期待されていないですからね。だから、もっと着ぐるみアクターの地位向上ができないかなと思ったわけです。そんな時に、以前から考えていた『着ぐるみがプロダンサー並みのダンスを踊ったらショーとしても話題になるし、認めてもらえるんじゃないか』というコンセプトを実現するために会社を立ち上げたわけです」
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こんな本格的ダンススタジオが、着ぐるみ工房に併設されているのだ。
――アクターとして立ち上げた会社で、オリジナルの着ぐるみを作るようになったきっかけは? 「当時、デパートの屋上ショーで使われているような着ぐるみって、ものすごくレベルが低かったんですよ。背中のファスナーは丸見えだし、口の穴や首のスキマから中が見えちゃったりとか……。某・夢のランドに、着ぐるみのリサーチをしに行ったら、日本で作られている着ぐるみとは全然レベルが違っていて、ビックリしましたから」 ――確かに、あのランドの着ぐるみは相当レベルが高そうですね。 「一方、日本で着ぐるみを作っている会社って『着ぐるみってこんなもんでしょ』という感覚のところばっかりだったんです。だから、着ぐるみを作り始めるにあたっても、従来の着ぐるみ工場ではなく、それぞれの素材を扱っている工場に行って技術を教えてもらいました。そもそも、ダンスみたいな激しい動きができる着ぐるみなんてなかったですし。ウチの着ぐるみはヒップホップ、タップ、ジャズ……それぞれ得意のダンスが設定されていて、その動きを邪魔しないような設計になっています。ダンスに対する理解がない人には絶対作れないと思いますよ」
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ゴーゴープロダクションのオリジナル着ぐるみ。
手足の可動性が違うらしいです。
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こんな、着ぐるみの粋を超えたダンスパフォーマンスを
やっているそうです。
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ものすごく小さい人が入ってるように見えるけど、
胴体まで頭部に入ってるんですね。
■オリジナル着ぐるみを制作するには? ――ちなみに、オリジナルの着ぐるみ制作をお願いする場合、いくらくらいかかるんですか? 「大体、50~60万くらいですね」 ――思ったよりは……という感じですね。 「発泡スチロールの削り出しで作る場合の値段なんですが、もっと作りを精巧にしたり、複数体を制作する場合には、型を作ってFRPという素材で作ることになるので、また変わってきますけど」
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コレが制作途中の着ぐるみ。
中身はこんな感じなんすね。
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FRP素材で製作する場合は、こういう型を使って作ります。
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天井まで着ぐるみのパーツがギッシリと……。着ぐるみは
置き場所に困るので、完成したらすぐに発送
しちゃうんだそうな。
――作りやすいキャラクター、作りにくいキャラクターってあるんでしょうか。 「最近はCGで制作されているアニメもありますけど、ああいうのって難しいんですよ。着ぐるみは人が着ることが前提なので、どこかに関節やのぞき穴を作らなきゃいけないんですが、CGのキャラだと3Dのデータが存在しているせいで、ごまかせないんですよ。実は、平面的にデザインされているキャラクターのほうが自由度が高くて作りやすいんです」 ――着ぐるみを制作する上で、一番気にするポイントはどこですか? 「のぞき穴の位置ですね。着ぐるみの中に入っていると、生活している上で普段どれほど目に頼っているかって分かりますよ。多少、動きづらかったり、換気が悪かったりしてもなんとかなりますが、視界が悪いとホントに大変なんです」 —――ああ、前が見えないと、子ども蹴り倒しちゃったりしそうですしねぇ。 「いや、着ぐるみの中に入っている時に必要な視界って、実は前方よりも足元が重要なんですね。だから、口の部分をうまくのぞき穴にして、足元が見えるようにしています。口を閉じているキャラクターだとそれができないので、お願いしてデザインを変えさせてもらったりすることもあるんですよ」
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口の部分にこんな透ける素材を貼って、のぞき穴にするんだとか。
――はーっ、どうも目がついている着ぐるみだと、そこから見ているイメージを持っちゃいますけど、実は口から見ているんですね。それじゃ最後に、今後の目標なんかがありましたら……。 「やっぱり、着ぐるみアクターの地位向上ですね! ゆるキャラブームなどのおかげで着ぐるみ自体の需要は増えてはいるんですけど、着ぐるみだけ作っちゃえば、あとはバイトや社員さんが着ればいいだろう……くらいに考えている方がすごく多いんですよ。ちゃんとプロのアクターが中に入ってキャラクターの魅力を引き出さないと、せっかく作った着ぐるみも活かせないと思います。理想としては、ひとつのキャラクターは同じ人しか演じない、というのが一番いいと思うんですけどね。ウチのアクターたちにも『この人で』と指名されるようなアクターになれって、いつも言ってますから!」  な、なるほどー。自腹でもなんでも着ぐるみさえ作っちゃえば、あとはそれを自ら装着していろんなところに出没してれば、たとえば最近ネットで話題の勝手ご当地キャラ「にしこくん」みたいに人気キャラになれるんじゃ……なんてスイートな考えを持っていたんだけど、そりゃ確かに動きまで含めてのキャラクターだもん、中に入る人も人気キャラになる重要な要素なんだろうな……。 ――ま、それはそれとして、せっかく着ぐるみ工房に来たんだから、着ぐるみをかぶってみたいんですけど……。 「ああーっ、どうぞどうぞ!」  ……と、着ぐるみの頭部を持ってきてくれたんですが、いざかぶってみようと思ったら、頭が引っかかって入らないの。ボ、ボクの頭、そんなにデカイのかな。
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仕方ないので取材に同行していた編集部のK女史にかぶってもらいました。
(取材・文・写真・イラスト=北村ヂン) ●株式会社ゴーゴープロダクション 住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-33-10丸二ビル1F 電話:0422-27-5523 <http://www.myquee55.com/> i04gogo.jpg ●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第14回】プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る 【第13回】名古屋駅より徒歩5分。1泊1,500円〜のバカ安ホテルに泊まる 【第12回】大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた! 【第11回】藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市! 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

着ぐるみってどうやって作ってるの? 着ぐるみ制作会社に潜入!

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この、オサレな工房で着ぐるみを作っているのだ。
もっと町工場みたいなところを想像してた!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第15回は、着ぐるみ制作会社に潜入してきました。 ■ゆるキャラ&着ぐるみを作って儲けたいのだ  長引く不況でもはや死に体の地方経済を活性化すべく、ご当地B級グルメやローカルアイドル、街コンなど、さまざまな企画が打ち出されているけれど、そんな中でも、ご当地の知名度アップ、経済効果ともに大きく貢献しているのが「ゆるキャラ」だろう。  一時のブームで終わるかなー……という予想を覆し、最近では完全に一般層にまで定着してきているようで、各地方自治体がどんどん新しいゆるキャラを生み出し、ますます盛り上がりを見せているご様子。
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我が地元のゆるキャラ・もんじゃ焼きの「もじゃろー」。
手作り感あふれ過ぎてる着ぐるみ!
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着ぐるみのゆる過ぎ感もさもさることながら、足下が
またねぇ……もうちょっと気を遣って下さいッ!
ゆるいにもほどがあるよ。
 着ぐるみはもちろん、グッズやお土産なども作られ、人気ゆるキャラはテレビやイベントにも引っ張りだこ。……いやあ、銭ッコのニオイがプンプンするじゃないですか! そもそも、ああいう行政の仕事ってギャラよさそうだし。  ボクも一応、イラストなんかを描く仕事をしているもんで、いつか、どっかのゆるキャラのデザインをして、ボロ儲けした……いやいや、着ぐるみ化されたらうれしいなぁ、なんて思っているのだ。自分のデザインしたキャラクターが着ぐるみになって、子どもたちに囲まれているのを見たら、お金なんかには代えられない喜びがあると思うんですよね。……お金も欲しいけど!
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まあ、銭のニオイはしないね……。
 しかし、そもそも着ぐるみって、どこで、どんなふうに作ってるのか? そして、作るのにはどれくらいお金がかかるものなのか? 全然分からないでしょ。  というワケで今回は、着ぐるみの制作からショーのプロデュースまでを一手に請け負っている「ゴーゴープロダクション」の二村直範社長に、突撃取材してきた! ■表に出られない! 着ぐるみアクターの苦悩 ――着ぐるみ専門の会社を作ったきっかけは、なんだったんですか? 「もともとは、僕自身が着ぐるみのアクターだったんです。でも、着ぐるみの世界って難しくて、優秀なアクターがいてもなかなか認めてもらえないんですよ。表に出るわけにいかないから名前が知られることもなく、だから頑張っていても、なかなかギャラを上げてもらえないし……」 ――ああ、「中に人なんか入ってない!」ということになってますからね。 「呼んでくれる側からも『人気キャラクターの着ぐるみを着て、それなりに演技してくれれば』程度のことしか期待されていないですからね。だから、もっと着ぐるみアクターの地位向上ができないかなと思ったわけです。そんな時に、以前から考えていた『着ぐるみがプロダンサー並みのダンスを踊ったらショーとしても話題になるし、認めてもらえるんじゃないか』というコンセプトを実現するために会社を立ち上げたわけです」
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こんな本格的ダンススタジオが、着ぐるみ工房に併設されているのだ。
――アクターとして立ち上げた会社で、オリジナルの着ぐるみを作るようになったきっかけは? 「当時、デパートの屋上ショーで使われているような着ぐるみって、ものすごくレベルが低かったんですよ。背中のファスナーは丸見えだし、口の穴や首のスキマから中が見えちゃったりとか……。某・夢のランドに、着ぐるみのリサーチをしに行ったら、日本で作られている着ぐるみとは全然レベルが違っていて、ビックリしましたから」 ――確かに、あのランドの着ぐるみは相当レベルが高そうですね。 「一方、日本で着ぐるみを作っている会社って『着ぐるみってこんなもんでしょ』という感覚のところばっかりだったんです。だから、着ぐるみを作り始めるにあたっても、従来の着ぐるみ工場ではなく、それぞれの素材を扱っている工場に行って技術を教えてもらいました。そもそも、ダンスみたいな激しい動きができる着ぐるみなんてなかったですし。ウチの着ぐるみはヒップホップ、タップ、ジャズ……それぞれ得意のダンスが設定されていて、その動きを邪魔しないような設計になっています。ダンスに対する理解がない人には絶対作れないと思いますよ」
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ゴーゴープロダクションのオリジナル着ぐるみ。
手足の可動性が違うらしいです。
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こんな、着ぐるみの粋を超えたダンスパフォーマンスを
やっているそうです。
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ものすごく小さい人が入ってるように見えるけど、
胴体まで頭部に入ってるんですね。
■オリジナル着ぐるみを制作するには? ――ちなみに、オリジナルの着ぐるみ制作をお願いする場合、いくらくらいかかるんですか? 「大体、50~60万くらいですね」 ――思ったよりは……という感じですね。 「発泡スチロールの削り出しで作る場合の値段なんですが、もっと作りを精巧にしたり、複数体を制作する場合には、型を作ってFRPという素材で作ることになるので、また変わってきますけど」
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コレが制作途中の着ぐるみ。
中身はこんな感じなんすね。
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FRP素材で製作する場合は、こういう型を使って作ります。
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天井まで着ぐるみのパーツがギッシリと……。着ぐるみは
置き場所に困るので、完成したらすぐに発送
しちゃうんだそうな。
――作りやすいキャラクター、作りにくいキャラクターってあるんでしょうか。 「最近はCGで制作されているアニメもありますけど、ああいうのって難しいんですよ。着ぐるみは人が着ることが前提なので、どこかに関節やのぞき穴を作らなきゃいけないんですが、CGのキャラだと3Dのデータが存在しているせいで、ごまかせないんですよ。実は、平面的にデザインされているキャラクターのほうが自由度が高くて作りやすいんです」 ――着ぐるみを制作する上で、一番気にするポイントはどこですか? 「のぞき穴の位置ですね。着ぐるみの中に入っていると、生活している上で普段どれほど目に頼っているかって分かりますよ。多少、動きづらかったり、換気が悪かったりしてもなんとかなりますが、視界が悪いとホントに大変なんです」 —――ああ、前が見えないと、子ども蹴り倒しちゃったりしそうですしねぇ。 「いや、着ぐるみの中に入っている時に必要な視界って、実は前方よりも足元が重要なんですね。だから、口の部分をうまくのぞき穴にして、足元が見えるようにしています。口を閉じているキャラクターだとそれができないので、お願いしてデザインを変えさせてもらったりすることもあるんですよ」
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口の部分にこんな透ける素材を貼って、のぞき穴にするんだとか。
――はーっ、どうも目がついている着ぐるみだと、そこから見ているイメージを持っちゃいますけど、実は口から見ているんですね。それじゃ最後に、今後の目標なんかがありましたら……。 「やっぱり、着ぐるみアクターの地位向上ですね! ゆるキャラブームなどのおかげで着ぐるみ自体の需要は増えてはいるんですけど、着ぐるみだけ作っちゃえば、あとはバイトや社員さんが着ればいいだろう……くらいに考えている方がすごく多いんですよ。ちゃんとプロのアクターが中に入ってキャラクターの魅力を引き出さないと、せっかく作った着ぐるみも活かせないと思います。理想としては、ひとつのキャラクターは同じ人しか演じない、というのが一番いいと思うんですけどね。ウチのアクターたちにも『この人で』と指名されるようなアクターになれって、いつも言ってますから!」  な、なるほどー。自腹でもなんでも着ぐるみさえ作っちゃえば、あとはそれを自ら装着していろんなところに出没してれば、たとえば最近ネットで話題の勝手ご当地キャラ「にしこくん」みたいに人気キャラになれるんじゃ……なんてスイートな考えを持っていたんだけど、そりゃ確かに動きまで含めてのキャラクターだもん、中に入る人も人気キャラになる重要な要素なんだろうな……。 ――ま、それはそれとして、せっかく着ぐるみ工房に来たんだから、着ぐるみをかぶってみたいんですけど……。 「ああーっ、どうぞどうぞ!」  ……と、着ぐるみの頭部を持ってきてくれたんですが、いざかぶってみようと思ったら、頭が引っかかって入らないの。ボ、ボクの頭、そんなにデカイのかな。
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仕方ないので取材に同行していた編集部のK女史にかぶってもらいました。
(取材・文・写真・イラスト=北村ヂン) ●株式会社ゴーゴープロダクション 住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-33-10丸二ビル1F 電話:0422-27-5523 <http://www.myquee55.com/> i04gogo.jpg ●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第14回】プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る 【第13回】名古屋駅より徒歩5分。1泊1,500円〜のバカ安ホテルに泊まる 【第12回】大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた! 【第11回】藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市! 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る

趣味を押しだし過ぎですよ、店長さん!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第14回は、プロマイドの殿堂・マルベル堂に行ってきました。 ■ちょっと変なことになっている最近のプロマイド  アイドルにまつわるグッズは数あれど、ファンにとって最もうれしいグッズといえば、やはりアイドルの姿をバッチリ拝むことができる、いわゆる「生写真」ってヤツだろう。飾ってよし、眺めてよし、持ち歩いたってバッチグー。中にはペロペロハムハムしちゃっているファンもいるんじゃないだろうか。  まあ、それくらいファンが狂喜乱舞するグッズだけに、近年では非常にビジネス臭プンプンなアイテムと化しており「全144種類の生写真がランダム封入!」みたいな売られ方をしているケースも少なくないんだけど。「そんなのコンプするためにはいくら銭ッコをつぎ込めばいいんだ!」ということで、「生写真は麻薬。一度手を出したら後戻りできない!」などという裏・スローガンがアイドルファンの間で口伝されているほどなのだ。それでもやっぱ、他のファンがナイスな生写真を持っているのを見るとうらやましいやら欲しいやらでねぇ……。レアな生写真はリアルに麻薬級のプライスで取引されているとかいないとか。
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プロマイドといえばココ! マルベル堂。
 最近ではそんな殺伐としちゃっている生写真界隈だが、芸能界がもうちょっと牧歌的だった昭和時代、アイドルグッズの代表格だったのがいわゆる「プロマイド」と呼ばれる生写真。もちろん当時はランダム封入なんてことはなく、好きな写真を好きな枚数買えるというよい子のお財布にも優しい親切システムで、プロマイドの売上枚数がそのままアイドル人気のバロメーターとなっていたらしい。  そんなプロマイドの元祖といえば「マルベル堂」。名前くらいは聞いたことがあるんじゃないかと思うけど、昭和の頃から自社でプロマイドを撮影・製造しているマルベル堂は今でも浅草で店舗を営業していて、8万種類以上もの懐かしいスターたちのプロマイドを買うことができる。
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スターのプロマイドが所狭しと……
 しかし、こんな伝統あるマルベル堂が、最近ちょっとどーかしちゃってるみたいなのだ。だって、店頭にズラッと並んだ昭和スターたちに混じって、なぜか掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪といった、ロフトプラスワン、新宿歌舞伎町地下2階感のただようサブカル者たちのプロマイドが置かれているんだもん。しかも掟さん、杉作さんにいたっては尻丸出し状態の写真まである始末!
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真ん中へんに明らかに昭和スターじゃない人が……。
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アラカンや秀樹に混じって掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪
のプロマイドが……どーなってるの!?
 従来のプロマイドといえば、スターがキッチリポーズをつけてニコパチ……というのが常識だったが、平成のプロマイド業界はこんな方向に進化を遂げていたとは。  こりゃあ取材しておかなきゃなるまい、ということでマルベル堂の店長・武田さんと、30年間スターのプロマイドを撮り続けてきたカメラマンの中村さんに話を伺った。 ■新旧プロマイド事情を訊く ――あの、明らかに昭和スターという枠から外れているイカれたプロマイドはどうして作ることになったんですか。 武田さん 偶然、掟ポルシェさんを電車でお見かけしまして、その場で「プロマイドを作りませんか?」と声をかけて……まあナンパですね(笑)。実は以前からロマンポルシェ。のライブに行ったりするくらいファンだったので。 ――あ、やっぱり店長さんの趣味なんだ……。 武田さん ちょうど、方向性を模索している時期でもあったんですよね。昔は各芸能事務所からデビューする新人アイドルさんはウチでプロマイドを作るというのが恒例になっていたんですけど、ある頃から事務所さん自身で生写真を作って売るようになってしまって、マルベル堂で新たにプロマイドを作ることってなくなってしまったんです。 中村さん 昭和のアイドルはみんなプロマイドを作ってたんだけどね。俺も、山口百恵ちゃんから、キャンディーズ、ピンク・レディー、郷ひろみ、西城秀樹……ジャニーズ系もかなり撮ってきたけど、最後は男闘呼組くらいかな? 光GENJI以降は作らなくなっちゃったんだよ。 武田さん なので、新たにプロマイドを作らせてくれる人はいないかな……と考えていたときに、人を通じてDDTプロレスリングの高木三四郎さんと知り合って、DDTのレスラーさんのプロマイドを作ることになったんです。アイドルだけじゃなく、そういうサブカル路線っていうのもアリかなと思い、掟さんたちのプロマイドも作らせてもらったんですが、バカ売れってほどではないですけど、コンスタントに売れ続けていますよ。 中村さん でもあの撮影はまいったよね。男の尻を撮ったのなんて初めてだからさぁ。 ――サブカル寄りな人以外だと、やはり昭和スターのプロマイドが中心ですけど、今でも売れているのはどなたですか。 武田さん やっぱりジュリーこと沢田研二さんが圧倒的に強いですね。キャンディーズあたりの人気も根強いですが、それは「キャンディーズのプロマイドが欲しくて」と狙ってウチに来てくださるお客さんがメインなんですね。でもジュリーの場合、通りがかりの観光客の方がフラッと見かけて買っていくことも多いんですよ。やっぱり今見てもカッコイイですし、スター性が違うんですかね? ――やっぱりジュリーは永遠のスターですねぇ。昭和のプロマイド全盛期にもやはりジュリーが売れていたんでしょうか。 武田さん 昔もジュリーはすごく売れていたらしいですけど、ピンク・レディーが出てきた頃はもっとすごかったみたいですね。 中村さん あの頃、マルベル堂のプロマイドを扱っているお店が全国で2,000店舗以上あったんだけど、生産が全然追いつかなかったから。当時は一枚しかないネガを使って手作業で写真を焼いていたんで、大量生産するのは本当に大変だったんだよ。 ――いろんなスターを撮ってきた中でもとくに印象に残っている人は。 中村さん みんなそれぞれ印象に残ってるけど……、西城秀樹なんかは自分をプロデュースする能力がすごくあったね。普通の新人アイドルだったらこっちの指示するポーズを取るので精一杯なのに、秀樹は「こういうポーズはどうですか?」って自分から提案してくるんだよ。それがまたファンの心理をちゃんとつかんでるポーズで、よく売れたんだ。 ――最近の生写真とプロマイドの違いってなんだと思いますか。 中村さん 完全に別物だと思ってるよ。プロマイドと生写真の一番の違いって、ポーズを取っているかどうか。今の生写真って、まあ言っちゃえばスナップ写真みたいなものだけど、プロマイドはキッチリとポーズを決めて作られたものだから、頭の先から爪先まで神経を配って撮っているからね。昔、ジャニー(喜多川)さんから「ユー、ただの写真を撮ってほしいんじゃない、プロマイドを撮って欲しいんだ!」って言われたのはよく覚えている。ファンがほしがっているのはただの写真じゃなくて、キッチリ作り込まれたプロマイドなんだってことだよね。……それを言われたとき、ジャニーさんと夜中に部屋でふたりっきりだったからいろいろと緊張したけどねぇ(笑)。 ――最近のアイドルでプロマイドを作れるとしたら誰のものを撮りたいですか。 中村さん やっぱり嵐かな。それはオレが撮りたいかどうかっていう話じゃなくて、子どもたちが喜んでくれるプロマイドを作りたいんだよ。今だったら嵐のがあったらうれしいでしょ。 武田さん せっかくお店に来てくれたお客さんに「嵐のはないんですか?」って聞かれるのはやっぱりつらいですよね。 中村さん ジャニーさんも、その辺のところを考えてくれて、プロマイドを作らせてくれればいいんだけどね。 ■ついに俺プロマイドの撮影……そして販売開始!?  ……と、こんな感じで今昔のプロマイド事情を聞かせてもらったのだが、なんとマルベル堂では最近、スターのプロマイドを販売するだけではなく、「あなたのプロマイド撮影します」というサービスもやっているそうなのだ。  その名の通り、数々のスターを撮影してきた中村カメラマンがオリジナルのプロマイドを撮影してくれるというこのサービス。プロのカメラマンさんに撮影してもらう機会なんて滅多にないし、ましてやプロマイドを作ってもらうことなんてこのチャンスを逃したら二度となさそう! ……ということで、取材のついでにこのサービスも体験させてもらった。
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スタジオにはこんな年代物のカメラまで。
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ここがスターたちもやって来たスタジオ……。
 幾多のスターたちがプロマイドを撮影してきたスタジオにドキドキしながら足を踏み入れると、ものすごいゴツいカメラが。さすがに最近では予備でデジカメも用意されてはいるらしいが、やはりプロマイドを撮影するのはフィルム。しかもポスターサイズまで引き伸ばしても粒子が粗くならないほどの巨大なフィルムを使用しているんだとか。
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この巨大なフィルムがプロマイドの美しさの秘密!
 デジカメが主流になってからはとくに、シャッターをバシバシ切るカメラマンが多くなったけど、この道30年以上の中村さんは一枚入魂!(フィルムも高いし)「もうちょっと身体をひねって……指は伸ばして」などと細かくポーズや衣装を指示して、なかなかシャッターを切らないのだ。
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細かいポーズ指導が……
ホントにコレでいいの!? バカみたいじゃない?
 あまり写真を撮られ慣れてないモンで、ボクも言われるがまま、カウボーイハットをかぶらされ、ギターを持たされ、椅子に足を乗せられ……こんなヤツが道を歩いていたら大バカ丸出しとしか形容しようのない珍妙な格好&ポーズを決めた状態で撮られてしまったのだが、出来上がりを見ると……確かに顔はともかくとして、昭和スター感がちゃんと出ていてプロマイドっぽい!
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おおっ、格好よ……くはないけど、それっぽい!
「こういうポーズのパターンっていっぱいあるんだけど、ワイルド系、ブリッ子系、女優系……と相手に合わせたポーズを選んで撮っていくんだよ。じゃあ次はブリッ子っぽいので撮ってみようか」  「なんで俺がブリッ子!?」と文句を言う間もなく、持ってこられた椅子がまたすごかった。かつて、キャンディーズや近藤真彦、吉永小百合も座ったという、まさにスターのみが座ることを許された(!?)椅子なのだという。
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こ……この椅子にキャンディーズがッ!?
 この椅子にまたがって、またしても中村さんの言われるがままにブリッ子っぽいポーズを取っていく。 「あーカワイイ! そうそうカワイイ!」  ……中村さんも、30代男を前にしてどんな気持ちでそんなことを言っていたのかは分からないが、意外とうれし恥ずかしいモンで「いやいや、何言ってんですかー」と言いつつも顔はニヤニヤしてしまい、先ほどよりも自然な笑顔を作ることができたような気がする。おお、コレが数々のスターを撮ってきたプロフェッショナルの技か。
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またしてもポーズ指導。この左手がかわいさのポイント。
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「最後に店長さんたちの写真も……」と言ったら、パッとこの
ポーズを。さすがです! 左から武田店長と中村カメラマン。
 約一週間ほどで完成した俺プロマイドは、どれも撮影の腕もさることながら、やはりポーズの指示が的確で実に昭和感あふれる、プロマイドらしい出来栄えに。いやぁ、なかなかイイものができたんじゃないの!?  そこで調子に乗って、店長の武田さんに「あのー……せっかくなんでボクのプロマイドも店頭に置いて売ってくれませんかねぇ……スターたちの中にシレッと紛れ込ませて」とダメ元で頼んでみたところ、「いいですよー!」と快諾!  ……というわけで、浅草・マルベル堂さんの店頭でしばらくボクのプロマイドが販売されているようです。30代半ばの男が必死にアイドルポーズを決めている写真が欲しい、バカなプロマイドが欲しいという方は、ぜひお買い求めを!(一枚くらい売れないとさすがにマルベル堂さんに申し訳ないんで……) (取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
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店頭でバッチリ販売されていました。
掟さん、杉作さん、豪さんという思いっきりサブカルゾーンですが……(妥当)。
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しかも、まさかの全3種類販売中!
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みなさん、よろしくお願いしまーす!
■マルベル堂 新仲見世店 住所:東京都台東区浅草1-30-6 電話・FAX:03-3844-1445 営業時間:平日11:00~19:00  土日祝10:30~19:00 年中無休 <http://marubell.co.jp/> i01maruberu.jpg
アイドル生ブロマイド ARASHI 15パック入1箱 ジャニさん、どうっすか? amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第13回】名古屋駅より徒歩5分。1泊1,500円〜のバカ安ホテルに泊まる 【第12回】大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた! 【第11回】藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市! 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る

趣味を押しだし過ぎですよ、店長さん!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第14回は、プロマイドの殿堂・マルベル堂に行ってきました。 ■ちょっと変なことになっている最近のプロマイド  アイドルにまつわるグッズは数あれど、ファンにとって最もうれしいグッズといえば、やはりアイドルの姿をバッチリ拝むことができる、いわゆる「生写真」ってヤツだろう。飾ってよし、眺めてよし、持ち歩いたってバッチグー。中にはペロペロハムハムしちゃっているファンもいるんじゃないだろうか。  まあ、それくらいファンが狂喜乱舞するグッズだけに、近年では非常にビジネス臭プンプンなアイテムと化しており「全144種類の生写真がランダム封入!」みたいな売られ方をしているケースも少なくないんだけど。「そんなのコンプするためにはいくら銭ッコをつぎ込めばいいんだ!」ということで、「生写真は麻薬。一度手を出したら後戻りできない!」などという裏・スローガンがアイドルファンの間で口伝されているほどなのだ。それでもやっぱ、他のファンがナイスな生写真を持っているのを見るとうらやましいやら欲しいやらでねぇ……。レアな生写真はリアルに麻薬級のプライスで取引されているとかいないとか。
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プロマイドといえばココ! マルベル堂。
 最近ではそんな殺伐としちゃっている生写真界隈だが、芸能界がもうちょっと牧歌的だった昭和時代、アイドルグッズの代表格だったのがいわゆる「プロマイド」と呼ばれる生写真。もちろん当時はランダム封入なんてことはなく、好きな写真を好きな枚数買えるというよい子のお財布にも優しい親切システムで、プロマイドの売上枚数がそのままアイドル人気のバロメーターとなっていたらしい。  そんなプロマイドの元祖といえば「マルベル堂」。名前くらいは聞いたことがあるんじゃないかと思うけど、昭和の頃から自社でプロマイドを撮影・製造しているマルベル堂は今でも浅草で店舗を営業していて、8万種類以上もの懐かしいスターたちのプロマイドを買うことができる。
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スターのプロマイドが所狭しと……
 しかし、こんな伝統あるマルベル堂が、最近ちょっとどーかしちゃってるみたいなのだ。だって、店頭にズラッと並んだ昭和スターたちに混じって、なぜか掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪といった、ロフトプラスワン、新宿歌舞伎町地下2階感のただようサブカル者たちのプロマイドが置かれているんだもん。しかも掟さん、杉作さんにいたっては尻丸出し状態の写真まである始末!
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真ん中へんに明らかに昭和スターじゃない人が……。
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アラカンや秀樹に混じって掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪
のプロマイドが……どーなってるの!?
 従来のプロマイドといえば、スターがキッチリポーズをつけてニコパチ……というのが常識だったが、平成のプロマイド業界はこんな方向に進化を遂げていたとは。  こりゃあ取材しておかなきゃなるまい、ということでマルベル堂の店長・武田さんと、30年間スターのプロマイドを撮り続けてきたカメラマンの中村さんに話を伺った。 ■新旧プロマイド事情を訊く ――あの、明らかに昭和スターという枠から外れているイカれたプロマイドはどうして作ることになったんですか。 武田さん 偶然、掟ポルシェさんを電車でお見かけしまして、その場で「プロマイドを作りませんか?」と声をかけて……まあナンパですね(笑)。実は以前からロマンポルシェ。のライブに行ったりするくらいファンだったので。 ――あ、やっぱり店長さんの趣味なんだ……。 武田さん ちょうど、方向性を模索している時期でもあったんですよね。昔は各芸能事務所からデビューする新人アイドルさんはウチでプロマイドを作るというのが恒例になっていたんですけど、ある頃から事務所さん自身で生写真を作って売るようになってしまって、マルベル堂で新たにプロマイドを作ることってなくなってしまったんです。 中村さん 昭和のアイドルはみんなプロマイドを作ってたんだけどね。俺も、山口百恵ちゃんから、キャンディーズ、ピンク・レディー、郷ひろみ、西城秀樹……ジャニーズ系もかなり撮ってきたけど、最後は男闘呼組くらいかな? 光GENJI以降は作らなくなっちゃったんだよ。 武田さん なので、新たにプロマイドを作らせてくれる人はいないかな……と考えていたときに、人を通じてDDTプロレスリングの高木三四郎さんと知り合って、DDTのレスラーさんのプロマイドを作ることになったんです。アイドルだけじゃなく、そういうサブカル路線っていうのもアリかなと思い、掟さんたちのプロマイドも作らせてもらったんですが、バカ売れってほどではないですけど、コンスタントに売れ続けていますよ。 中村さん でもあの撮影はまいったよね。男の尻を撮ったのなんて初めてだからさぁ。 ――サブカル寄りな人以外だと、やはり昭和スターのプロマイドが中心ですけど、今でも売れているのはどなたですか。 武田さん やっぱりジュリーこと沢田研二さんが圧倒的に強いですね。キャンディーズあたりの人気も根強いですが、それは「キャンディーズのプロマイドが欲しくて」と狙ってウチに来てくださるお客さんがメインなんですね。でもジュリーの場合、通りがかりの観光客の方がフラッと見かけて買っていくことも多いんですよ。やっぱり今見てもカッコイイですし、スター性が違うんですかね? ――やっぱりジュリーは永遠のスターですねぇ。昭和のプロマイド全盛期にもやはりジュリーが売れていたんでしょうか。 武田さん 昔もジュリーはすごく売れていたらしいですけど、ピンク・レディーが出てきた頃はもっとすごかったみたいですね。 中村さん あの頃、マルベル堂のプロマイドを扱っているお店が全国で2,000店舗以上あったんだけど、生産が全然追いつかなかったから。当時は一枚しかないネガを使って手作業で写真を焼いていたんで、大量生産するのは本当に大変だったんだよ。 ――いろんなスターを撮ってきた中でもとくに印象に残っている人は。 中村さん みんなそれぞれ印象に残ってるけど……、西城秀樹なんかは自分をプロデュースする能力がすごくあったね。普通の新人アイドルだったらこっちの指示するポーズを取るので精一杯なのに、秀樹は「こういうポーズはどうですか?」って自分から提案してくるんだよ。それがまたファンの心理をちゃんとつかんでるポーズで、よく売れたんだ。 ――最近の生写真とプロマイドの違いってなんだと思いますか。 中村さん 完全に別物だと思ってるよ。プロマイドと生写真の一番の違いって、ポーズを取っているかどうか。今の生写真って、まあ言っちゃえばスナップ写真みたいなものだけど、プロマイドはキッチリとポーズを決めて作られたものだから、頭の先から爪先まで神経を配って撮っているからね。昔、ジャニー(喜多川)さんから「ユー、ただの写真を撮ってほしいんじゃない、プロマイドを撮って欲しいんだ!」って言われたのはよく覚えている。ファンがほしがっているのはただの写真じゃなくて、キッチリ作り込まれたプロマイドなんだってことだよね。……それを言われたとき、ジャニーさんと夜中に部屋でふたりっきりだったからいろいろと緊張したけどねぇ(笑)。 ――最近のアイドルでプロマイドを作れるとしたら誰のものを撮りたいですか。 中村さん やっぱり嵐かな。それはオレが撮りたいかどうかっていう話じゃなくて、子どもたちが喜んでくれるプロマイドを作りたいんだよ。今だったら嵐のがあったらうれしいでしょ。 武田さん せっかくお店に来てくれたお客さんに「嵐のはないんですか?」って聞かれるのはやっぱりつらいですよね。 中村さん ジャニーさんも、その辺のところを考えてくれて、プロマイドを作らせてくれればいいんだけどね。 ■ついに俺プロマイドの撮影……そして販売開始!?  ……と、こんな感じで今昔のプロマイド事情を聞かせてもらったのだが、なんとマルベル堂では最近、スターのプロマイドを販売するだけではなく、「あなたのプロマイド撮影します」というサービスもやっているそうなのだ。  その名の通り、数々のスターを撮影してきた中村カメラマンがオリジナルのプロマイドを撮影してくれるというこのサービス。プロのカメラマンさんに撮影してもらう機会なんて滅多にないし、ましてやプロマイドを作ってもらうことなんてこのチャンスを逃したら二度となさそう! ……ということで、取材のついでにこのサービスも体験させてもらった。
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スタジオにはこんな年代物のカメラまで。
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ここがスターたちもやって来たスタジオ……。
 幾多のスターたちがプロマイドを撮影してきたスタジオにドキドキしながら足を踏み入れると、ものすごいゴツいカメラが。さすがに最近では予備でデジカメも用意されてはいるらしいが、やはりプロマイドを撮影するのはフィルム。しかもポスターサイズまで引き伸ばしても粒子が粗くならないほどの巨大なフィルムを使用しているんだとか。
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この巨大なフィルムがプロマイドの美しさの秘密!
 デジカメが主流になってからはとくに、シャッターをバシバシ切るカメラマンが多くなったけど、この道30年以上の中村さんは一枚入魂!(フィルムも高いし)「もうちょっと身体をひねって……指は伸ばして」などと細かくポーズや衣装を指示して、なかなかシャッターを切らないのだ。
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細かいポーズ指導が……
ホントにコレでいいの!? バカみたいじゃない?
 あまり写真を撮られ慣れてないモンで、ボクも言われるがまま、カウボーイハットをかぶらされ、ギターを持たされ、椅子に足を乗せられ……こんなヤツが道を歩いていたら大バカ丸出しとしか形容しようのない珍妙な格好&ポーズを決めた状態で撮られてしまったのだが、出来上がりを見ると……確かに顔はともかくとして、昭和スター感がちゃんと出ていてプロマイドっぽい!
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おおっ、格好よ……くはないけど、それっぽい!
「こういうポーズのパターンっていっぱいあるんだけど、ワイルド系、ブリッ子系、女優系……と相手に合わせたポーズを選んで撮っていくんだよ。じゃあ次はブリッ子っぽいので撮ってみようか」  「なんで俺がブリッ子!?」と文句を言う間もなく、持ってこられた椅子がまたすごかった。かつて、キャンディーズや近藤真彦、吉永小百合も座ったという、まさにスターのみが座ることを許された(!?)椅子なのだという。
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こ……この椅子にキャンディーズがッ!?
 この椅子にまたがって、またしても中村さんの言われるがままにブリッ子っぽいポーズを取っていく。 「あーカワイイ! そうそうカワイイ!」  ……中村さんも、30代男を前にしてどんな気持ちでそんなことを言っていたのかは分からないが、意外とうれし恥ずかしいモンで「いやいや、何言ってんですかー」と言いつつも顔はニヤニヤしてしまい、先ほどよりも自然な笑顔を作ることができたような気がする。おお、コレが数々のスターを撮ってきたプロフェッショナルの技か。
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またしてもポーズ指導。この左手がかわいさのポイント。
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「最後に店長さんたちの写真も……」と言ったら、パッとこの
ポーズを。さすがです! 左から武田店長と中村カメラマン。
 約一週間ほどで完成した俺プロマイドは、どれも撮影の腕もさることながら、やはりポーズの指示が的確で実に昭和感あふれる、プロマイドらしい出来栄えに。いやぁ、なかなかイイものができたんじゃないの!?  そこで調子に乗って、店長の武田さんに「あのー……せっかくなんでボクのプロマイドも店頭に置いて売ってくれませんかねぇ……スターたちの中にシレッと紛れ込ませて」とダメ元で頼んでみたところ、「いいですよー!」と快諾!  ……というわけで、浅草・マルベル堂さんの店頭でしばらくボクのプロマイドが販売されているようです。30代半ばの男が必死にアイドルポーズを決めている写真が欲しい、バカなプロマイドが欲しいという方は、ぜひお買い求めを!(一枚くらい売れないとさすがにマルベル堂さんに申し訳ないんで……) (取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
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店頭でバッチリ販売されていました。
掟さん、杉作さん、豪さんという思いっきりサブカルゾーンですが……(妥当)。
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しかも、まさかの全3種類販売中!
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みなさん、よろしくお願いしまーす!
■マルベル堂 新仲見世店 住所:東京都台東区浅草1-30-6 電話・FAX:03-3844-1445 営業時間:平日11:00~19:00  土日祝10:30~19:00 年中無休 <http://marubell.co.jp/> i01maruberu.jpg
アイドル生ブロマイド ARASHI 15パック入1箱 ジャニさん、どうっすか? amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第13回】名古屋駅より徒歩5分。1泊1,500円〜のバカ安ホテルに泊まる 【第12回】大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた! 【第11回】藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市! 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る

趣味を押しだし過ぎですよ、店長さん!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第14回は、プロマイドの殿堂・マルベル堂に行ってきました。 ■ちょっと変なことになっている最近のプロマイド  アイドルにまつわるグッズは数あれど、ファンにとって最もうれしいグッズといえば、やはりアイドルの姿をバッチリ拝むことができる、いわゆる「生写真」ってヤツだろう。飾ってよし、眺めてよし、持ち歩いたってバッチグー。中にはペロペロハムハムしちゃっているファンもいるんじゃないだろうか。  まあ、それくらいファンが狂喜乱舞するグッズだけに、近年では非常にビジネス臭プンプンなアイテムと化しており「全144種類の生写真がランダム封入!」みたいな売られ方をしているケースも少なくないんだけど。「そんなのコンプするためにはいくら銭ッコをつぎ込めばいいんだ!」ということで、「生写真は麻薬。一度手を出したら後戻りできない!」などという裏・スローガンがアイドルファンの間で口伝されているほどなのだ。それでもやっぱ、他のファンがナイスな生写真を持っているのを見るとうらやましいやら欲しいやらでねぇ……。レアな生写真はリアルに麻薬級のプライスで取引されているとかいないとか。
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プロマイドといえばココ! マルベル堂。
 最近ではそんな殺伐としちゃっている生写真界隈だが、芸能界がもうちょっと牧歌的だった昭和時代、アイドルグッズの代表格だったのがいわゆる「プロマイド」と呼ばれる生写真。もちろん当時はランダム封入なんてことはなく、好きな写真を好きな枚数買えるというよい子のお財布にも優しい親切システムで、プロマイドの売上枚数がそのままアイドル人気のバロメーターとなっていたらしい。  そんなプロマイドの元祖といえば「マルベル堂」。名前くらいは聞いたことがあるんじゃないかと思うけど、昭和の頃から自社でプロマイドを撮影・製造しているマルベル堂は今でも浅草で店舗を営業していて、8万種類以上もの懐かしいスターたちのプロマイドを買うことができる。
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スターのプロマイドが所狭しと……
 しかし、こんな伝統あるマルベル堂が、最近ちょっとどーかしちゃってるみたいなのだ。だって、店頭にズラッと並んだ昭和スターたちに混じって、なぜか掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪といった、ロフトプラスワン、新宿歌舞伎町地下2階感のただようサブカル者たちのプロマイドが置かれているんだもん。しかも掟さん、杉作さんにいたっては尻丸出し状態の写真まである始末!
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真ん中へんに明らかに昭和スターじゃない人が……。
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アラカンや秀樹に混じって掟ポルシェ、杉作J太郎、吉田豪
のプロマイドが……どーなってるの!?
 従来のプロマイドといえば、スターがキッチリポーズをつけてニコパチ……というのが常識だったが、平成のプロマイド業界はこんな方向に進化を遂げていたとは。  こりゃあ取材しておかなきゃなるまい、ということでマルベル堂の店長・武田さんと、30年間スターのプロマイドを撮り続けてきたカメラマンの中村さんに話を伺った。 ■新旧プロマイド事情を訊く ――あの、明らかに昭和スターという枠から外れているイカれたプロマイドはどうして作ることになったんですか。 武田さん 偶然、掟ポルシェさんを電車でお見かけしまして、その場で「プロマイドを作りませんか?」と声をかけて……まあナンパですね(笑)。実は以前からロマンポルシェ。のライブに行ったりするくらいファンだったので。 ――あ、やっぱり店長さんの趣味なんだ……。 武田さん ちょうど、方向性を模索している時期でもあったんですよね。昔は各芸能事務所からデビューする新人アイドルさんはウチでプロマイドを作るというのが恒例になっていたんですけど、ある頃から事務所さん自身で生写真を作って売るようになってしまって、マルベル堂で新たにプロマイドを作ることってなくなってしまったんです。 中村さん 昭和のアイドルはみんなプロマイドを作ってたんだけどね。俺も、山口百恵ちゃんから、キャンディーズ、ピンク・レディー、郷ひろみ、西城秀樹……ジャニーズ系もかなり撮ってきたけど、最後は男闘呼組くらいかな? 光GENJI以降は作らなくなっちゃったんだよ。 武田さん なので、新たにプロマイドを作らせてくれる人はいないかな……と考えていたときに、人を通じてDDTプロレスリングの高木三四郎さんと知り合って、DDTのレスラーさんのプロマイドを作ることになったんです。アイドルだけじゃなく、そういうサブカル路線っていうのもアリかなと思い、掟さんたちのプロマイドも作らせてもらったんですが、バカ売れってほどではないですけど、コンスタントに売れ続けていますよ。 中村さん でもあの撮影はまいったよね。男の尻を撮ったのなんて初めてだからさぁ。 ――サブカル寄りな人以外だと、やはり昭和スターのプロマイドが中心ですけど、今でも売れているのはどなたですか。 武田さん やっぱりジュリーこと沢田研二さんが圧倒的に強いですね。キャンディーズあたりの人気も根強いですが、それは「キャンディーズのプロマイドが欲しくて」と狙ってウチに来てくださるお客さんがメインなんですね。でもジュリーの場合、通りがかりの観光客の方がフラッと見かけて買っていくことも多いんですよ。やっぱり今見てもカッコイイですし、スター性が違うんですかね? ――やっぱりジュリーは永遠のスターですねぇ。昭和のプロマイド全盛期にもやはりジュリーが売れていたんでしょうか。 武田さん 昔もジュリーはすごく売れていたらしいですけど、ピンク・レディーが出てきた頃はもっとすごかったみたいですね。 中村さん あの頃、マルベル堂のプロマイドを扱っているお店が全国で2,000店舗以上あったんだけど、生産が全然追いつかなかったから。当時は一枚しかないネガを使って手作業で写真を焼いていたんで、大量生産するのは本当に大変だったんだよ。 ――いろんなスターを撮ってきた中でもとくに印象に残っている人は。 中村さん みんなそれぞれ印象に残ってるけど……、西城秀樹なんかは自分をプロデュースする能力がすごくあったね。普通の新人アイドルだったらこっちの指示するポーズを取るので精一杯なのに、秀樹は「こういうポーズはどうですか?」って自分から提案してくるんだよ。それがまたファンの心理をちゃんとつかんでるポーズで、よく売れたんだ。 ――最近の生写真とプロマイドの違いってなんだと思いますか。 中村さん 完全に別物だと思ってるよ。プロマイドと生写真の一番の違いって、ポーズを取っているかどうか。今の生写真って、まあ言っちゃえばスナップ写真みたいなものだけど、プロマイドはキッチリとポーズを決めて作られたものだから、頭の先から爪先まで神経を配って撮っているからね。昔、ジャニー(喜多川)さんから「ユー、ただの写真を撮ってほしいんじゃない、プロマイドを撮って欲しいんだ!」って言われたのはよく覚えている。ファンがほしがっているのはただの写真じゃなくて、キッチリ作り込まれたプロマイドなんだってことだよね。……それを言われたとき、ジャニーさんと夜中に部屋でふたりっきりだったからいろいろと緊張したけどねぇ(笑)。 ――最近のアイドルでプロマイドを作れるとしたら誰のものを撮りたいですか。 中村さん やっぱり嵐かな。それはオレが撮りたいかどうかっていう話じゃなくて、子どもたちが喜んでくれるプロマイドを作りたいんだよ。今だったら嵐のがあったらうれしいでしょ。 武田さん せっかくお店に来てくれたお客さんに「嵐のはないんですか?」って聞かれるのはやっぱりつらいですよね。 中村さん ジャニーさんも、その辺のところを考えてくれて、プロマイドを作らせてくれればいいんだけどね。 ■ついに俺プロマイドの撮影……そして販売開始!?  ……と、こんな感じで今昔のプロマイド事情を聞かせてもらったのだが、なんとマルベル堂では最近、スターのプロマイドを販売するだけではなく、「あなたのプロマイド撮影します」というサービスもやっているそうなのだ。  その名の通り、数々のスターを撮影してきた中村カメラマンがオリジナルのプロマイドを撮影してくれるというこのサービス。プロのカメラマンさんに撮影してもらう機会なんて滅多にないし、ましてやプロマイドを作ってもらうことなんてこのチャンスを逃したら二度となさそう! ……ということで、取材のついでにこのサービスも体験させてもらった。
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スタジオにはこんな年代物のカメラまで。
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ここがスターたちもやって来たスタジオ……。
 幾多のスターたちがプロマイドを撮影してきたスタジオにドキドキしながら足を踏み入れると、ものすごいゴツいカメラが。さすがに最近では予備でデジカメも用意されてはいるらしいが、やはりプロマイドを撮影するのはフィルム。しかもポスターサイズまで引き伸ばしても粒子が粗くならないほどの巨大なフィルムを使用しているんだとか。
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この巨大なフィルムがプロマイドの美しさの秘密!
 デジカメが主流になってからはとくに、シャッターをバシバシ切るカメラマンが多くなったけど、この道30年以上の中村さんは一枚入魂!(フィルムも高いし)「もうちょっと身体をひねって……指は伸ばして」などと細かくポーズや衣装を指示して、なかなかシャッターを切らないのだ。
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細かいポーズ指導が……
ホントにコレでいいの!? バカみたいじゃない?
 あまり写真を撮られ慣れてないモンで、ボクも言われるがまま、カウボーイハットをかぶらされ、ギターを持たされ、椅子に足を乗せられ……こんなヤツが道を歩いていたら大バカ丸出しとしか形容しようのない珍妙な格好&ポーズを決めた状態で撮られてしまったのだが、出来上がりを見ると……確かに顔はともかくとして、昭和スター感がちゃんと出ていてプロマイドっぽい!
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おおっ、格好よ……くはないけど、それっぽい!
「こういうポーズのパターンっていっぱいあるんだけど、ワイルド系、ブリッ子系、女優系……と相手に合わせたポーズを選んで撮っていくんだよ。じゃあ次はブリッ子っぽいので撮ってみようか」  「なんで俺がブリッ子!?」と文句を言う間もなく、持ってこられた椅子がまたすごかった。かつて、キャンディーズや近藤真彦、吉永小百合も座ったという、まさにスターのみが座ることを許された(!?)椅子なのだという。
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こ……この椅子にキャンディーズがッ!?
 この椅子にまたがって、またしても中村さんの言われるがままにブリッ子っぽいポーズを取っていく。 「あーカワイイ! そうそうカワイイ!」  ……中村さんも、30代男を前にしてどんな気持ちでそんなことを言っていたのかは分からないが、意外とうれし恥ずかしいモンで「いやいや、何言ってんですかー」と言いつつも顔はニヤニヤしてしまい、先ほどよりも自然な笑顔を作ることができたような気がする。おお、コレが数々のスターを撮ってきたプロフェッショナルの技か。
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またしてもポーズ指導。この左手がかわいさのポイント。
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「最後に店長さんたちの写真も……」と言ったら、パッとこの
ポーズを。さすがです! 左から武田店長と中村カメラマン。
 約一週間ほどで完成した俺プロマイドは、どれも撮影の腕もさることながら、やはりポーズの指示が的確で実に昭和感あふれる、プロマイドらしい出来栄えに。いやぁ、なかなかイイものができたんじゃないの!?  そこで調子に乗って、店長の武田さんに「あのー……せっかくなんでボクのプロマイドも店頭に置いて売ってくれませんかねぇ……スターたちの中にシレッと紛れ込ませて」とダメ元で頼んでみたところ、「いいですよー!」と快諾!  ……というわけで、浅草・マルベル堂さんの店頭でしばらくボクのプロマイドが販売されているようです。30代半ばの男が必死にアイドルポーズを決めている写真が欲しい、バカなプロマイドが欲しいという方は、ぜひお買い求めを!(一枚くらい売れないとさすがにマルベル堂さんに申し訳ないんで……) (取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
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店頭でバッチリ販売されていました。
掟さん、杉作さん、豪さんという思いっきりサブカルゾーンですが……(妥当)。
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しかも、まさかの全3種類販売中!
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みなさん、よろしくお願いしまーす!
■マルベル堂 新仲見世店 住所:東京都台東区浅草1-30-6 電話・FAX:03-3844-1445 営業時間:平日11:00~19:00  土日祝10:30~19:00 年中無休 <http://marubell.co.jp/> i01maruberu.jpg
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