「性表現ガイドライン」の疑問にGREEが回答  「遵守に努めていただけるようお願いしていきます」

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GREE公式サイトより
 一部の開発者から「キャラクターの表現が制限される」と不安の声が上がっているソーシャル・ネットワーキング・サービス「GREE」などを運営する、大手インターネット企業・グリー株式会社の、開発者に向けた「GREEデジタルコンテンツ内の性表現に関するガイドライン」。前回に引き続き、今回はガイドラインに関するグリーからの回答を報告する。 ──「強調表現」について、イラストのポーズをかなり制限する可能性があると思われますが、どうお考えでしょうか? グリー広報 当社としましては、お客様へサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供する上で、必要かつ適切と考えられる事項についてガイドラインを作成しました。そのガイドラインを公開し、審査基準の明確化を図り、濫用による弊害の防止に努めています。 ──「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」とありますが、イラストである以上「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」第2条における児童ポルノの定義「写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物」と整合性が取れませんが、どうお考えでしょうか? グリー広報 ご指摘のとおり、日本の児童買春・児童ポルノ処罰法の規制対象は実在の児童に関する写真等に限定されており、漫画、イラスト等は対象となっていませんが、法令の趣旨を踏まえ、安心してご利用いただけるコンテンツを提供する上で、必要かつ適切と考えられる事項についてガイドラインを作成しました。 ──今回のガイドラインは、どういった経緯で作成されたものですか? グリー広報 ソーシャルゲームをはじめとしたコンテンツに対するさまざまなご指摘等に謙虚に耳を傾け、お客様へのサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供していくために、必要かつ適切と考えられる事項について、利用環境向上委員会による検討などを踏まえて作成しました。 ──ガイドラインの作成過程を教えて下さい。 グリー広報 利用環境向上委員会をはじめ、社内で各種法令・条例を踏まえて、当社が運営するプラットフォームに提供されているコンテンツ向けに作成しました。 ──デベロッパーが制作したデジタルコンテンツに対して、公開までにどういった立場の人物による、どのような審査を行っていますか? グリー広報 利用環境向上委員会による検討などを踏まえて作成されたガイドラインに則したかたちで、社内の審査部門の担当者がコンテンツの審査を行っています。 ──今回のガイドラインに関して、すでにデベロッパーから「キャラが描きにくくなる」との声がありますが、どのようにお考えでしょうか? グリー広報 当社としましては、お客様へのサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供していくために、必要かつ適切と考えられる事項についてのガイドラインを作成しましたので、策定の趣旨および内容をご理解いただき、遵守に努めていただけるようお願いしていきます。  * * *  今回の回答に対して、新たな疑問も見えてくる。従来、IT業界では、ほかの業界に比べると、少し厳しめのガイドラインを策定する傾向がある。問題が起きる前に対応するのは企業の姿勢としては正しいが、それがどういった結果をもたらすのか。いずれにしても、今回の回答から見えてきた疑問点に対しては、あらためて取材してみたい。 (取材・文=昼間たかし)

イラストなのに「児童ポルノ」? 「GREE」性表現ガイドラインは業界に有益か?

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 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「GREE」などを運営する、大手インターネット企業・グリー株式会社が、開発者に向けて「GREEデジタルコンテンツ内の性表現に関するガイドライン」を示していることが、明らかになった。  編集部が入手した資料によれば、 「本ガイドラインの目的は、グリー株式会社(以下、「当社」といいます)が定めた性表現に関する使用禁止行為を、GREEデベロッパー様にご理解いただき、本ガイドライン準拠により、青少年の保護、およびGREE Platformの健全性を向上させていくことを目的としています」  と、目的を述べた上で、下着表現・性行為表現・強調表現・裸体表現・児童ポルノ表現・留意すべきワードの項目ごとに禁止表現を定めている。  「下着表現」では「下着の露出が確認できる、または下着の露出を想起させると当社が認めた場合は、禁止表現とします」として、その定義を「下着が露出している」とするほか、例として「下着露出想起 衣服の下(隙間)から水着が露出している」「下着の一部が露出していることを想起させる」「水着がレース生地のような素材で描写されている」「水着やショーツの上にスカートのような衣服を着用している」「衣服の表現が濡れて透けている」「水着と下着の見分けがつきにくい」を挙げている。  また「性行為表現」では「性行為想起 液体のようなものが身体に付着している」のほか「棒状の物や食べ物などを局部に見たてた描写」「下腹部や胸部の周辺に手を添えたり、挟んでいる」「下腹部や胸の間に武器や棒などの物を挟んでいる」「触手のようなものが身体に巻き付いている」「日常的には通常行わない不自然な体勢」「抱擁の描写において衣服がはだけるなどの描写」「ベッドシーンでのキスや抱擁などの描写」を定める。  「強調表現」では「ポーズやしぐさにより、誘惑行為や強調行為にあたると当社が認めた場合は、禁止表現とします」として「誘惑表現 胸を寄せ、且つ露出が高い」「臀部を向けた表現で、且つ突き出している」「赤面、舌を出す、上目遣い、よだれや汗を流すなどの表情」「露出が多く、且つ著しく胸部を大きく描写している」「著しく開脚をした姿の描写」「強調表現 下半身を上半身よりも前面に突き出している」「衣服着用の有無に関わらず、ボディライン(筋肉や局部など)が著しく強調されている」「胸部の先端に突起がある」「脱衣行為想起 画像単体では問題なくとも、進化合成などにより衣服が脱げていく様子」「脱衣を想起させる描写」を挙げている。  「裸体表現」では「局部露出想起 モザイクやアイコン、衣服ではない物で局部が隠れている」「身体の一部で局部が隠れており、その下に衣服の着用が確認できない・液体状のもので局部が隠れている」「露出過多 胸部全体の約4割以上が露出している」「胸部の下側が露出している」「衣服の着用が全身の約1~2割前後しかない」「下半身が腰骨のあたりまで露出している」としている。  さらに「児童ポルノ表現」の項目では、「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」とし「未成年想起 一般的なものより露出している・破けている学生服、または学生服を想起させる描写」「スクール水着やブルマなど、未成年のみが着用する表現であり、且つその利用用途に必要性がない場合」「未成年を想起させる表現に該当し、露出度が高い」とし、さらに「未成年を想起させる表現の要素」として「鼻がない、もしくはないに等しい」「5等身程度」「目の大きさが頭部全体の5分の1以上」「乳房がない」を示している。  「留意すべき用語」の項目では「一般的に認識されている禁止用語以外であっても、次の表現については基準に抵触する可能性が高いため、原則利用を控えてください」として「エロ、すけべ、エッチ、セクシー、お色気など、性を表す、または想起させる」「胸部を表す、または想起させる」「臀部・下腹部周辺を表す、または想起させる」「AV、アダルト、ラブホテルなど、性行為を直接的・間接的に想起させる」「脱衣、脱ぐなど、脱衣を表す、または想起させる」「大人限定、大人の~~、夜の~~、など、年齢制限を表す、または想起させる」「幼女、児童、ロリコンなど、児童ポルノを想起させる」「SM行為を想起させる」「女性器、男性器を表す、または想起させる」を挙げている。  このガイドラインが示されたのは昨週だが、さっそくある開発者に話を聞いてみたところ 「これは、非常に厳しいガイドラインです。キャラクターを描くのが、かなり制限されることになるのでないでしょうか」  と話した。いうまでもなく、ソーシャルゲームの基本はカードバトルである。そのため、カードに描かれるキャラクターのイラストは重要である。また、最近ではソーシャルゲーム発のキャラクタービジネスも模索されている。つまり、メディアミックス戦略が形成される途上にあるのだが、このガイドラインは、新たな展開に、いきなり水を差すものになろうとしているのだ。  また、このガイドラインで最も気になったのが、「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」としていること。国が決めた法律である「児童ポルノ禁止法」でも、イラストは「児童ポルノ」の対象外である。「未成年を想起させる表現の要素」の部分も含めて、どうやってガイドラインを策定したのか、謎だ。また、このガイドラインに基づいて、誰がどのように判断するのかも見えてこない。  筆者は、引き続きグリー株式会社に対して、取材を申し込み中だ。 (取材・文=昼間たかし)