ベストセラー作家・海堂尊に聞く「“チーム・バチスタ”シリーズ、そして日本エンタメ界の未来」

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 2006年に刊行された、海堂尊さんのメディカル・ミステリー『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)。「東城大学医学部付属病院で相次いで発生している術中死を、心療内科医・田口公平と厚生労働省の役人・白鳥圭輔のコンビが調査してゆく」というこの作品は、スピーディな展開と魅力あふれるキャラクター、医療現場のリアルな描写が話題を呼び、デビュー作ながら大ヒットを記録した。  以降、『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』(すべて宝島社)と相次いで続編が刊行され、今日までシリーズ累計1,000万部超という驚異的なセールスを誇っている。08年に竹内結子&阿部寛主演で映画化、同じく08年に伊藤淳史&仲村トオル主演でドラマ化もされているので、ご覧になった方も多いだろう。  そして今年7月に刊行された最新作『ケルベロスの肖像』は、シリーズ第6作にして完結編。田口&白鳥コンビの物語にピリオドを打った理由とは? そして気になる今後の展開は? 著者の海堂尊さんにインタビューした。 ■シリーズ完結にふさわしい盛り上がり 海堂尊(以下、海) シリーズをこういう形で終わらせよう、というのは、実はデビュー前から考えていたことです。『チーム・バチスタの栄光』、『螺鈿迷宮』(角川書店)、そしてこの『ケルベロスの肖像』はさまざまな医療の崩壊を描いた三部作になっている。当初は、この三作を書き上げて、覆面作家のままソッと消えてゆこうと思っていました。でも、いざデビューしてみるとそうは問屋が卸さなくて……(笑)。ほかの作品を書いていたせいで、三部作の完結までこんなに時間がたってしまったんです。  シリーズ完結の経緯について、こう語ってくれた海堂さん。作品の舞台となるのは、今回も東城大学医学部付属病院だ。ある日、病院長のもとに「八の月、東城大とケルベロスの塔を爆破する」という謎めいた脅迫状が届けられる。誰が、何のために? 「ケルベロスの塔」が意味するものとは? これまで数々の事件を解決してきた心療内科医・田口公平は、院長の命を受け、密かに調査を開始することになる。  爆破予告があり、それを田口が調査するというアイデアも、デビュー前に考えていた通り。考えてみると、構想7年の作品ということになりますね。一度「これだ」と思ったアイデアは忘れないんですよ。7年前に思いついた大枠に、デビュー後に書いてきたさまざまな作品の要素が入り込んで、今ある物語が出来上がりました。  同一の世界観のもと、すべての作品が(出版社の壁すら越えて)リンクし合っているのも海堂ミステリーの大きな特徴だ。中でもこの『ケルベロスの肖像』は、『ブラックペアン1988』(講談社)や『螺鈿迷宮』など、他社のシリーズで描かれた事件にもあらためてスポットが当てられ、一大フィナーレを飾るのにふさわしい盛り上がりを見せている。  現実世界では、地球上のあらゆる出来事が同じ時間軸の中に存在していますよね。例えば今ここで僕がインタビューを受けている間も、ほかのどこかではプロ野球選手の秘密特訓が行われているかもしれないし、将棋の重要な対局も指されていたりするわけです。虚構世界も現実世界と同じような構造じゃないかな、と思ったりするんですよ。バラバラに見える物語世界も、どこかではつながり合っているはず。僕はそれを統一したいんです。とはいえ、デビュー以来20作も書いてくると、登場人物だけでも1000人近くと、なんだかものすごい数になっています。執筆前におさらいするだけでも大変ですね(笑)。三部作のゴール地点として、今回の『ケルベロスの肖像』のことはずっと頭にありました。『ブラックペアン1988』や『螺鈿迷宮』を書いていた時も、これは『ケルベロス』に絡めたら面白くなりそうだ、と考えていましたしね。  シリーズ当初はやや頼りないキャラクターとして描かれていた主人公・田口公平も、病院内の濃すぎる面々に揉まれるうち、次第に人間的に成長。今作では病院内の重要ポストを担う人物として、頼りがいのある一面を見せている。  確かに、ずいぶん成長してくれたなと思います。『チーム・バチスタの栄光』には「願いごとは叶う。ただし半分だけ」っていう田口のセリフが出てくるんです。今回の作品にも、まったく同じセリフが出てきますが、さらにもう一行つけ加えられているんですね。ここを書くことができた時は、「ああ、いよいよ終わるんだな」と、ちょっと感慨深いものがありました。ひょっとしたら、この一行をつけ加えるために、シリーズ6作を書き継いできたのかもしれません。 ■とにかく面白い物語を書きたい  本シリーズでは、死体を画像解析することによって死因を特定しようという新技術「Ai」(オートプシー・イメージング)が、非常に大きな役割を果たしている。これまでほとんど一般に知られることのなかったAiも、『チーム・バチスタの栄光』の成功によって、かなりポピュラーなものになった。そして海堂さん自身、医師として長年Aiの普及・推進に努めてきたという経歴を持つ。  よく誤解されるんですが、Aiを普及させようと思って『チーム・バチスタの栄光』を書いたわけではないんですよ。長年Aiの普及に関わってきたのは事実ですし、それがあったからこそ思いついた物語だったんですが、そもそもの動機は「面白い物語を書きたい」ということ。「あまり知られていないAiという技術を使えば、面白いミステリーが書けるんじゃないか」と思ったんです。「これはAiの普及に使えるな」と気づいたのは、本が出てからですね。  今作では、田口が所長を務める「Aiセンター」が建設され、いよいよAiが本格的に医療の現場に導入され始める。一方、現実社会でもAiの実用化をめぐって大きな変化があった。  今年の5月に、死因究明関連法案という法律が国会で可決されました。不備の多い法律ですが、とりあえずAiを軌道に乗せるところまでは来た。これまで作家をしながら、Ai導入のために働いてきましたが、個人でできる範囲は一段落。あとは現場の専門家の方々に任せる段階が来たのかなと思っています。 バチスタ・シリーズが終わり、Aiの仕事が終わり、長年関わってきたものが続けて手を離れた、そんな12年でした。
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勤務風景
 こう聞くと、シリーズの展開と海堂さん自身のプロフィールが重なっているようだが、作品はあくまでフィクション。キャラクターに特定のモデルなどは存在しないそうだ。  特定のモデルを念頭に置くと、逆に動かしにくくなってしまうんですよ。大学病院内でのゴタゴタを描いてはいますが、人が集まる組織ならどこでも起こり得ること。医療関係以外の方に「こういう人っていますよね」と言っていただくと、「普遍的な事件を書いているんだな」とあらためて思います。僕はあまり出世欲がなかったので、大学病院内の生々しい事件って、実際にはそれほど目にしていないんです(笑)。  あくまで主眼は、面白い物語を描くこと。医療をめぐるさまざまな問題を取り上げながら、海堂さんの姿勢は一貫して変わらない。  物語って、現実を忘れさせなければ意味がないと思うんです。本1冊の値段は、ちょうど映画1本と同じくらい。映画の世界にひたるように、小説でも現実を忘れてハラハラドキドキしてもらいたい。そのためにはストーリーはもちろん、文章の細かな部分にもかなり気を使っています。「ミステリー」というジャンルは僕にとって、エンターテインメントの王様。すいすい読めて、とにかく面白い。そんな物語を書きたいと思っています。 ■エンタメ、そして今後の展開  長びく不況のため、本やCDが売れないといわれて久しい。エンターテインメントの第一線で活躍してきた海堂さんには、今日のエンタメ業界はどう映っているのだろうか?  難しい質問ですが、もっと活気があってもいい気はしますね。ミリオンセラーがどんどん出る世の中のほうが、賑やかで面白いに決まっている。特に最近は、コンテンツを無料で楽しもうという風潮が強くなってきていて、正直どうなんだろうなと思います。エンタメにもっとお金を使って、本やCDを思いっきり買って、「ああ、俺ってバカだなあ」と反省する(笑)。そういう世の中であってほしいですね。  ちなみに海堂さんは大の音楽ファン。毎回、作品を書く際に聴く“テーマソング”を決めていることでも知られている。 海 今回のテーマソングは、ポルノグラフィティの「EXIT」。執筆中はエンドレスで流していたので、400~500回は聴いているでしょうね。今でもまだ「EXIT」を聴くと手が動きます。音楽はどんなジャンルも好きですが、うまくても下手くそでも、ピンで勝負しているアーティストが好きですね。ひとりで勝負している姿って、やっぱり心を動かされるものですから。アイドルでいうと、最近はやりのグループアイドルよりも、きゃりーぱみゅぱみゅが好き、という感じかな(笑)。  ユーモラスな掛け合いで人気を博した、田口公平&白鳥圭輔の名コンビ。その活躍は、もう読むことができないのだろうか? 海 そこは堅苦しく考えず、書きたくなったらチャレンジします。こう言うと「完結編詐欺だ」なんて叱られるかもしれませんが(笑)、気長にお待ちください。これから「野性時代」(角川書店)で連載を再開する作品「輝天炎上」は、『ケルベロスの肖像』を別の角度から描いたもの。同じ事件を、もうひとつの当事者の側から描いてゆくつもりです。 クライマックスのシーンなどは『ケルベロスの肖像』と共通しているので、当然田口・白鳥コンビも登場します。そちらも併せて読んでいただけるとうれしいですね。 海堂尊(かいどう・たける) 1961年、千葉県生まれ。千葉大学、同大大学院医学系研究科博士課程修了。その後外科医、病理医を経て、現在、独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センターAi情報研究推進室室長。05年に『チーム・バチスタの崩壊』で、『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。その後、数々のミステリー小説を発表すると共に、『死因不明社会ーAiが拓く新しい医療』(講談社)で08年度科学ジャーナリスト賞を受賞するなど、幅広く活躍中。

「とっとと英語話せるようになって海外に出たいんです」注目の若手女優、二階堂ふみが見据える世界とは

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撮影=佐藤裕之
 二階堂ふみ。もうすぐ18歳を迎えるこの女優について、すでに説明は不要かもしれない。今年1月に公開された園子温監督の『ヒミズ』に、同世代の新進俳優・染谷将太と共にW主演。全身全霊での演技は海を超えて称賛を受け、第68回ヴェネチア国際映画祭で日本人初のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を染谷と共に受賞。その名を日本中、いや世界中に一気に知らしめた。  しかしそこに甘んじることなく、その後もさまざまなタイプの映画やドラマに果敢に取り組んでいる彼女。9月22日(土)から公開される映画『王様とボク』は、事故によって12年間眠り続けていた青年モリオの突然の目覚めが、周囲を変えていく青春ストーリー。二階堂は、モリオの目覚めに生き方を変えていく幼なじみミキヒコの恋人、キエを演じる。そんな彼女に映画のこと、私生活のこと、そして女優としてのこれからについて、思うままに話してもらった。18歳とは思えない、素直でしっかりとした語り口にも注目してほしい。 二階堂ふみ(以下、二階堂) 私サイゾー大好きなんですよ。イラついてる感じがいいですよね。 ――最高の褒め言葉、ありがとうございます(笑)。いつから読んでくれてるんですか? 二階堂 中学生からです。事務所の人が読んでて、読んでみたら「何これ、超面白い」って。だから今回、日刊サイゾーに載れるのもすごくうれしいです。 ――こちらこそ出ていただいてありがたいです。『王様とボク』、ファンタジーなテイストなのかなと思ったら、ちょっと違いましたね。意外なストーリーの映画でした。 二階堂 そうなんです。生っぽさのある映画ですよね。前田哲監督とは以前ご一緒してたこともあって、またお仕事したいなって。それに、やまだないとさんの原作だったので。 ――二階堂さんが演じたキエという女の子、どう思いましたか? 二階堂 別に不思議な子ではないんですよ。監督が、普通の女の子としての感覚を持っている前提で演じさせてくれたんです。ミキヒコとの関係を一番大事にしながらお芝居をしました。
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――この映画は「大人になりたいか、なりたくないか」がテーマのひとつでした。キエも二階堂さんも、子どもと大人の間にいる年齢ですが。 二階堂 あまり役と自分を照らし合わせたりはしないので、共感することはなかったですけど。私は大人になりたくないとも、大人になりたいとも思わないので。子どもには子どもの良さが、大人には大人の良さがあるので、今のうちに楽しんでおこうって感じですね。 ――二階堂さんは、大人に対するイメージってありますか? 二階堂 ちゃんと常識を持っている人が大人なんじゃないかな、って思います。人に迷惑をかけないというか。 ――となると、世の中には大人ではない人が多い? 二階堂 そうそう。そういう人はね、カスですよ。別に人に迷惑をかけることはあってもいいと思うんです。でもそれを反省しないで何度もやっちゃったり、無差別に人を殺したりする人いるじゃないですか。酔っぱらって人に迷惑かけてばかりの人とか、ああいうだらしない大人には絶対になりたくないなと思いますね。 ――『ヒミズ』以降、世界的に注目されるようになりましたが、それを実感することはありますか? 二階堂 そうですね。でもあの後からどんどん、世界が広がっているような気がします。やりたい監督ともできるようになったり、いろんなところで自分を発信できる場が増えたことは、身をもって感じてます。賞自体もとてもうれしいことでしたし。でも、通過点にしかすぎないですね。確かにあそこで何かが変わったと思うけど、それにすがりつくことなく、どんどん進んでいければなと思います。 ――でも、あれからお仕事は忙しくなったんじゃないですか? 二階堂 いや、あの後は全然ヒマでしたよ。冬休みもグータラしてて、ヒマ人の極みでしたね。ずっと寝てて、あとは映画を見たり本を読んだりしてました。 ――趣味についても聞かせてください。映画がお好きだそうですね。 L1000606.jpg 二階堂 時間があれば映画館に行きますね。映画館派なんです。最近は『ゴッド・ブレス・アメリカ』を見たんですけど、超面白かったです。映画館には、だいたいひとりで行きますね。見終わってから人と討論し合うのとか、好きじゃないんですよ。自分の思想を人に押しつけるのも好きじゃないし。だから、ディベートとかも好きじゃないんです。学校でやるんですけど、「意味わかんない」とか思ってて(笑)。十人十色、いろんな考えを持った人が集まったら、それはそれで面白いだろうなとは思うんですけどね。 ――本やマンガも大好きだとか。 二階堂 マンガよりは本、活字のほうが好きなんです。だから古本屋さんにもよく行きます。今は、室生犀星の『性に目覚める頃』を読んでますね。前に一度読んでるんですけど、こないだ金沢の室生犀星記念館に行ったんですよ。作者の背景を知った後だと感じ方が違ってくるかなって思って、読み直してます。 ――昔の日本文学を読むことが多いんですか? 二階堂 いろんなのを読むけど、比較的そういうのが多いですね。言葉がきれいな文学が好きなので。室生犀星も言葉がきれいだし。現代の小説も読むけど、言葉があまり美しくないものは好きじゃないです。一日に2冊ぐらい読めちゃうときもあれば、じっくり読むときもあるし、マイペースで読んでいますね。橋本治の『二十世紀』とかいまだに全部読めてなくて。 ――部屋には本がたくさんあるんですか? 二階堂 そうなんですよ。こないだ引っ越ししてちょっと捨てたんですけど、読み返したくなる本が多すぎて捨てきれなくて。グータラしてた冬休みなんて、枕の周りが本であふれてました。友達が家に来た時、「相変わらず娯楽の少ない家だね」って言うから、「ゲームがないだけで娯楽がないとか言うんじゃないよ」って。 ――話しているうちに、二階堂さんが18歳ということを忘れそうになりました(笑)。年齢差を超えてお話しできるのがすごい。 二階堂 でも、人とあんまりぶつからないようにしないと、とは思ってますよ。じゃないと、いろいろめんどくさいじゃないですか。私、そこらへんにいる子より、ずっと言うこと聞きますよ(笑)。「これやって」って言われたら、「はい、わかりました」ってちゃんとやるし。 L1000627.jpg ――そうなんですか。じゃあ、意外とストレスがたまってたりして……。 二階堂 大丈夫です。それでもうまいこと発信していくのが、プロだと思ってるので。妥協するところは妥協して、妥協したくないところは絶対に妥協しないっていうポリシーを持っておけば、ブレないんじゃないかな。 ――無理に自分を曲げたり、カッコつけてる感じにも見えないですしね。 二階堂 うん、まっすぐ生きてるつもりですよ。ふふふ。 ――理想の女性像はありますか? 二階堂 高峰秀子さんですね。あとジーナ・ローランズ。その2人を兼ね備えてる女性がいたら最強だなって思います。 ――2人ともスクリーンに映える、真の女優ですね。 二階堂 うん、女優としての理想です。あと、この『王様とボク』で共演した松田美由紀さんも理想の人ですね。精神が強くて、本当に素敵な人でした。美由紀さんのことが好きすぎて、美由紀さんがクランクアップするとき寂しくて泣いちゃったほどです。 ――女優としての、近い未来の目標を教えてください。 二階堂 とっとと英語話せるようになって、海外の監督と仕事しようと思ってます。そのために、まずは英語。それがあれば、壁をぶち抜けると思うので。そういうところからちゃんとやらないと話にならない。ただ「世界に行きたい」なんて誰でも言える。どれだけ実力をつけてそこに近づけるかっていうのは、努力次第だなと思うから。 ――受験勉強の真っ最中だそうですが、大学では何を勉強したいですか? 二階堂 文章を書くのが好きなので、文学部に入って、あと倫理学も学びたいです。ロシアが好きなので、第二外国語でロシア語もとれたら素敵だなって思いますけど……これ、入れたらの話なんですよねぇ(笑)。まずは勉強を頑張ります……。 ――最後にサイゾー読者に向けて、「二階堂ふみ」のPRをお願いします。 二階堂 そろそろ思春期から抜けてきた頃なので、しっとり系の女子を目指したいと思います。またサイゾーに出たいので、応援よろしくお願いします。 (取材・文/大曲智子) ●にかいどう・ふみ 1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。ティーン誌のモデルとして活動した後、2009年『ガマの油』(監督:役所広司)で劇場映画デビュー。2011年『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(監督:入江悠)、『指輪をはめたい』(監督:岩田ユキ)などに出演。2012年1月公開の『ヒミズ』(監督:園子温)に染谷将太とW主演。第68回ヴェネチア国際映画祭で、染谷と共に日本人初のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。現在放映中のNHK大河ドラマ『平清盛』に出演中。待機作は、『悪の教典』(監督:三池崇史、11月10日公開予定)。 ●『王様とボク』 監督:前田 哲/原作:「王様とボク」やまだないと(イースト・プレス刊)/出演:菅田将暉 松坂桃李 相葉裕樹 二階堂ふみ 中河内雅貴 松田美由紀/配給:ユナイテッド エンタテインメント 9/22(土)ユナイテッド・シネマ、シネマートほか全国順次ロードショー 公式サイト <http://www.o-boku.com>

「嫁が久々に笑ってくれて……」“調子に乗れない芸人”AMEMIYAインタビュー

 7月25日、ピン芸人のAMEMIYAが『日本の歴史はじめました』(双葉社)を出版した。「冷やし中華はじめました」という歌ネタで一世を風靡した彼が、日本の歴史を歌にするという大胆な試みに挑戦。付属のDVDにはAMEMIYAが熱唱する映像も収録されていて、一石二鳥の内容となっている。この本が完成するまでの知られざる苦労について聞いてみた。 ――この本では50個のテーマごとに歴史的事実をもとにした歌が載っていますね。これは受験勉強などの役に立つと思いますか? AMEMIYA まあ、覚えておくと多少は役に立つのかなと思うんですけど、史実が入ってるのは歌の中の前半だけですからね。後半はAMEMIYAの妄想です。豆知識とかではないので、えっ、大丈夫かな、という不安はこの仕事のお話を頂いたときからありましたし、今もありますね。 ――ある意味では、AMEMIYAさんの歌ネタが50本入っている「ネタ本」という感じですよね。 AMEMIYA そういうことになりますね。 ――ということは、ネタを作る苦労は相当あったんじゃないですか? AMEMIYA はい、非常に苦労しました。これをやるというお話を頂いたとき、結構忙しい時期だったというのもあって、50曲作るのに時間が3日ぐらいしかなくて。非常に苦労したんですけど、何とか作って収録に臨んだんですね。そうしたら、最初の10曲ぐらいを録ったときに監督さんに「AMEMIYAさん、このネタってこれでいいですか? もうちょっといけるんじゃないですか?」って言われたんですよ。それで僕も「その言葉を待っていた」って思ったんですよ。やっぱり妥協するわけにはいきませんから。そこからは直しながらやっていったので、朝から始まって夜の9時ぐらいまでに終わる予定だったのが、結局は次の日の朝までかかりましたね。だから、DVDを見ていただくとわかるんですけど、曲によって元気良く声が出ているのもあれば、声がかすれてるところもあるんですよね。そこも楽しんで見ていただければいいかなと。 ――完成したDVDはご自分でもご覧になったんですか? AMEMIYA 久々に僕の部屋に嫁を入れて、一緒に見ましたね。それまであんまり口をきいてくれなかったんですけど、このDVDを見て久々に笑ってくれたので良かったです。これを出すときは本当に不安だったんですよ。「大丈夫かな?」って。自分で一生懸命考えて出してるわけですけど「面白いのかな?」みたいな。 ――他の人がどう思うかわからない、ということですか? AMEMIYA 自分ではそのときは面白いと思って出してるんですけど、その後に「これ、面白いのかな?」みたいな気持ちになりますね。「冷やし中華はじめました」も、最初は面白いかどうかわからなくて。 amemiya002.jpg ――最初から自信があったわけじゃない、と。 AMEMIYA そうですね。『あらびき団』で最初にやらせていただいて、反応を見て、ああ、これは面白いんだなって気付きましたね。ボケもツッコミもないし、そんなにわかりやすい笑いじゃないと思うんですよ。はじめは自分でツッコんでたんです。「12月20日 うちのラーメン屋でもとうとう 冷やし中華はじめました」「いや、遅いわ!」って(笑)。でも、『あらびき団』でやるときにああいう形になって。最初は大丈夫かなあって思ってました。そしたらすごくウケて。そこから徐々に自信をつけていった気がします。 ――それ以降は一気にテレビに出る機会も増えて、最近は充実していたんじゃないですか? AMEMIYA でも、危機感はすごい持ってますね。普通の芸人じゃないって思ってるところがあるんで、あんまり調子に乗れないんですよ。トークも苦手だし、そういうことで笑いを取ってきたタイプじゃないですから。やっぱり自分しかできない何かを作って、自分なりの生き方を確立しないといけないと思うんです。だからとにかく、お仕事をやらせていただくときは全力でやってます。なんか、みんなにもっと安心してAMEMIYAで笑ってほしいんですよ。でも、なかなか笑ってくれないなあ、って思ってますね。 ――まだ試行錯誤している? AMEMIYA そうですね。とにかく一個一個全力でがんばって、この道を極めたいと思ってます。……こんな真面目なこと言ってていいのかな?(笑) (取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●AMEMIYA(あめみや) 1978年、千葉県生まれ。高校卒業後、東京NSCを経てワタナベエンターテインメントに所属。03年からミュージシャンとして活動し、10年にふたたびお笑い活動を再開する。『R-1ぐらんぷり2011』準優勝。

家元・立川談志が落語界に遺したものとは? 『立川流騒動記』立川談之助インタビュー

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談志のDNAを継ぐ立川談之助
 落語家の立川談志さんが亡くなって、はや10カ月が過ぎようとしている。  その間、談志さんを振り返る書籍・DVDが多数発売されているが、今年6月「決定版談志本」と称し、ある1冊の書籍が発売された。その名は『立川流騒動記』(メディア・パル)。著者は、談志さんの弟子の一人である、落語家の立川談之助。談之助は1974年7月、立川談志に入門。当時、談志さんは参議院議員としても活動しており、談之助は談志さんの弟子兼私設秘書として3年間も国会に通うという、弟子の中でも異色の存在であった。  高座でもその異色ぶりは発揮され、「トンデモ落語」と称される現代風の改作落語や新作落語を数多く発表。さらには本業の落語以外にもパソコンゲームや美少女ゲームのレビュー、宇宙人の本を執筆するなど、マルチな才能で落語界を駆け抜けるベテラン芸人だ。師匠・談志は談之助を、愛着を込めてこう呼んだ「邪道真打ち」と……。  『立川流騒動記』は発売直後、落語ファンの間でまたたく間に話題となり、談志マニアの心をつかんだ。そんな「邪道真打ち」談之助にインタビューを試みた。 ──出版のきっかけは? 談之助 前々から、うちの師匠のことは書こうと決めていたんですよ。私はドキュメンタリーものが好きなんで、自分が書くとしたらやっぱり「実録物」しかないかなと。友人の唐沢俊一さんの助言もあって、去年の春先から書き始めて、秋先には出そうじゃないかと。もともと唐沢さんからは『(談志が死ぬ前に)文章として功績を残しておこうじゃないか』と言われていたんですが、執筆の最中に師匠が死んでしまいまして。それまでは師匠に読まれたらマズいなと思って、5割以上のブレーキをかけていたんですが、『もう気にすることは何もない』と思い、全力でアクセルを踏みました(笑)。ほら、うちの師匠はほかの師匠と違って、怒ったらカネを取りますから(苦笑)。 ──確かに『騒動記』はほかのお弟子さんの本と違って、資料的な意味でも楽しめました。 談之助 ウィキペディアの情報とか見ていても、間違いだらけで……。評論家の本なんかでも、間違っている部分が多いですから。もちろん、内部の話だから当事者でも真実の片側しか知らないものなんですが、三遊協会設立騒動(真打ち大量昇進制度に反発した六代目三遊亭圓生が、落語協会とは別に新たな協会を発足させた騒動)の時は、私はまだまだ前座の見習いみたいな存在でしたから、周りの動きを結構客観的に見られていたんですね。談志サイドにいても、「うちの師匠ひどいことするなぁ」と思っていたりね(笑)。落語家はどうしても我が強いものなんで、本当のことを書くと怒るんですよ。だから、圓生、志ん朝、圓楽、談志が生きていたら、ものすごいクレームの嵐だったと思いますよ(笑)。 ──落語家さんからのクレームは来ていますか? 談之助 今のところないですね。我々は、面と向かって文句は言わないですから(笑)。でも、志ん朝師匠の弟子は怒っているでしょうね。ほら、この本で志ん朝唯一ともいえる汚点を書いちゃったから(笑)。 ──確かにあのシーンは衝撃的でした。あのキチッとした志ん朝師匠とは思えない行動で……。 談之助 でも、私ウソは書きませんから(笑)。 ■立川談志の教え ──立川流創設後、立川志の輔、談春、志らく、談笑と売れっ子を多く輩出した談志師匠ですが、独立した後、何か教えに変化があったんでしょうか? 談之助 特にはないですね。というよりも、昔から談志は弟子に何も教えていません。ですが、志の輔以降、変わったことといえば、多くの弟子がセルフプロデュースを意識しだしたという点でしょうね。志の輔は28歳の入門で奥さんもいたから、落語の実力以上にセルフプロデュース力を高めるための努力をしていました。談春にしても、志らくにしても、志の輔の背中を見て育っているので、努力の方向性がセルフプロデュースのほうに向かっていたんです。でも、実はその努力の方向性はうちの師匠も同じ考えだったんですね。だから師匠はよく言っていましたよ、『おまえら、真打ちになりてえなら、アイドルと結婚するか、刑務所へ1年間行ってこい。すぐに真打ちにしてやる』とか(笑)。 ──談志師匠は立川流創設後、セルフプロデュースのほか、「唄・踊り・落語」ができることが条件だと言っていましたが、それはなぜでしょうか? 談之助 世間から師匠は「唄・踊り・落語」を条件に昇進を決める、芸に厳しい師匠といわれていましたが、実は違うんです。「唄・踊り・落語」というのはセルフプロデュースのできない弟子へ課した最低条件なんですね。自分の名前も売れない、スキャンダルも起こせない落語家なら、せめてそのくらいやれば飢え死にしないだろうという最低の条件。それが「唄・踊り・落語」なんです。今でいえば、生活保護のようなものです(笑)。現に、談春や志らくは、唄も踊りも何もできないですから。 ──確かにセルフプロデュースでいえば、談志師匠はズバ抜けたものがありましたね。 談之助 あれは「すごい」と、弟子から見ても思いますよ。師匠が志の輔に対してよく言っていたのは「NHKのレギュラーで名前が売れる奴は、ただの一流。だが、超一流ならばNHKのレギュラーすらすっぽかす」とか。そんなもん、うちの師匠しかできないですよ(笑)。 ■立川談志の都市伝説 ──昔、何かの本で「談志師匠はインターネットに興味がある」と読んだ気がするのですが、これは本当ですか? 談之助 これはウソです。うちの師匠はまったくと言っていいほど、デジタルがわからない人ですから。ウワサによると、電球すら換えられない(笑)。でも、パソコンは持ってましたよ。昔、SMAPの香取慎吾君と共演したパソコンのCMでプレゼントされたものが、自宅にありました。でも、師匠には一回も触れられずにほこりをかぶっていて、師匠の息子さんがそれでネットゲームをしてました。でも一回、師匠から「メールをやりたい」と相談を受けたことがあります。ですが、家族から「絶対にイライラするからやめて」と止められたようです(笑)。 ──そうなんですか。談志師匠は、流行り物とか結構好きそうなイメージがあるのですが……。 談之助 ウチの師匠はドケチで世界的に有名ですから(笑)。車も買わないし、日用品は使えればそれでいい。デジタルも苦手でしたが、実は自転車も苦手なんじゃないか? という話がありますよ。先代の圓楽師匠とウチの師匠が「どっちが自転車を乗れるか」で口論しているのを見たことがあります。現に、師匠の息子さんが自転車を欲しがっていたのですが、買ってもらえなかったそうですから。恐らく自分が乗れないのがばれたくないから、買ってやれなかった(笑)。 ■談志没後、立川流はどうなる? ──談志師匠が亡くなって半年以上がたちました。立川流は一番弟子の土橋亭里う馬師匠が代表として就任しましたが、何か変わったことはありましたか? 談之助 これまた特にはないですね(笑)。理事は世代別で6人(立川左談次、談四楼、談幸、志の輔、志らく、雲水)が就任しましたが、何も決まっていません。ただ、上納金は廃止したので、これだけは本当よかったです(笑)。主だったものはこれだけですね。 ──立川流が、芸術協会と圓楽党と組んで新宿末廣亭で興行を打つという話もありましたが……。 談之助 うーん。まあ寄席が好きな人は出るでしょう。ただ、現実問題として寄席はギャラが安いので、全員が全員出ることはないと思います。 ──志らく師匠が「立川流は最終的に流れ解散になる」と言っていましたが、これについては? 談之助 これは私もそう思います。なんといっても、師匠は「勝手に生きろ」とよく言っていて、本当にその言葉通りに生きて、その言葉通りに死んじゃった。だから、弟子にも死ぬことを伝えなかったし、葬式にも呼ばなかったんです。自分が一番勝手なんですよ。本当に弱りましたよ(笑)。ですが、これは談志の愛情なんじゃないかと、最近は思っています。生きている間は「俺の言っていることを守るんだ」と言っていましたが、死んでしまったら、もうおしまいでいい。「解散するも勝手だし、立川流を守るのも勝手にしろ」と、あの世で言っているような気がしますね。だから、私個人は「解散でもいい」と思っていますよ。そもそも立川流は立川談志がひとり作り上げたものですからね。しかも、私は落語協会を抜けて勝手に独立した立川談志の弟子なんだから(笑)。しかしねぇ、あの突然の死に方はやっぱり驚きましたよ。 ──某新聞には「死」を隠すのは、「談志のダンディズムだった」と書かれていましたが……。 談之助 ダンディズムなんかじゃないですよ。だって、隠す理由がまったくないんですもん(笑)。「隠してどうすんだ?」と、こっちが聞きたいくらいです(笑)。だから、これこそが「立川談志」だと、私はあらためて知ることになった。「俺は冗談なんだ。世の中を騒がして、舐めて生きたんだ」という言葉を自分の死で表現しちゃった。あれは弟子から見ても「やられた!」って感じですよ。私なんかもう40年近くも弟子でいるのに、ひっくり返っちゃいましたから(笑)。もう、最高のギャグですよ。参りました! ──あらためて立川談志のすごさがわかりました。ありがとうございました。では最後に一言お願いいたします。 談之助 そうですね。落語に興味のある、もしくは興味をもち始めた方にぜひ読んでいただきたいですね。戦後の落語界を騒がした大きな騒動、大量真打ち昇進問題、圓生の独立、そして立川流創立。この本に書いてあることは全部事実ですから。なぜ今の落語界はこんな状態なのか? という疑問は、この本を参考にしていただいたらわかると思います。皆さん、何卒よろしくお願いします。 『立川流騒動記』出版記念 「どうする?どうなる?立川流!」 【出演】唐沢俊一、立川談之助、立川談笑ほか 日時:9月17日(月/祝)OPEN 12:00 / STRAT 13:00 前売¥1800 / 当日¥2000(共に飲食代別) (会場/お問い合わせ)新宿ロフトプラスワン 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 TEL 03-3205-6864 web http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/

大ブレイク前夜!? “自然界のピラミッドを歪ませる男”武井壮を直撃!!

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 39歳にして100メートルを10秒台で疾走! 驚異の身体能力と、明るく特異なキャラクターが注目を浴び、近頃『うもれびと』や『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』(いずれもフジテレビ系)など、バラエティ番組への出演が続いている武井壮。  大学で始めた陸上では、たった2年半で最も過酷とされている十種競技の日本チャンピオンに。陸上界を離れてからも、独自の運動理論に基づくトレーニングを寝る間も惜しみ重ね続け、肉体を進化させてきたのだという。  それもこれも、彼が繰り返し叫ぶ「目指せ!百獣の王」という無謀なターゲットに向けられたもの。彼はなぜ人生を賭けてまで、その称号にこだわるのか? 自然界のピラミッドを歪ませる男・武井壮を直撃した。 ――あのー、「百獣の王」を目指すとは、一体どういうことなのでしょうか? 武井壮(以下、武井) どういうことってなんすか!(笑) 「百獣の王」って、今はライオンでしょ? その社会的地位を武井壮がゲットしてやろうっていう、極めて純粋なプロジェクトです(真っすぐなまなざしで)。 ――本気なんですね。 武井 本気っすよ! 「百獣の王」目指すために、日々猛烈にトレーニングに明け暮れてますからね。100パー本気っす! ……すいません、興奮しちゃって。 ――いえ。ライオンって、実際に最強なんでしょうか? 武井 あいつ、まあ強いんすけど、イメージ先行っすね。たてがみが冠みたいだから王様っぽいね、っていう。だって、ライオンが牛とかバッファローにツノでパカーンて跳ね上げられてる映像がYouTubeに載ってますし、最強かどうかはね……。 ――武井さんは、ライオンを超えられそうですか? 武井 もう超えましたね。ネット上では。 IMG_0214_.jpg ――どういうことですか? 武井 GoogleやYahoo!JAPANで「百獣の王」って検索してみてください。すると、武井壮がライオンの上に出てくるんですよ。日本における世間のイメージはそうなってるってことですから、これはデカイですよ。もう名刺の肩書に「百獣の王」を名乗ってもOKじゃないかと思うんすけど。ダメっすかね? ――ダメじゃないです。 武井 そもそも僕が「百獣の王」になりたいと思ったのは、世界を平和にしたいからなんですよ。ヤンキーのお兄ちゃんだって、絶対勝てなさそうな奴が歩いてきたら、ビビッて目そらすでしょ? そしたら争いは起きないんですよ。人間同士で殴り合うなんておかしいですから。俺が王になったら、平和になる。そういうことです。それに、昔から「王」にはこだわりがあるんですよ。大学の陸上部で十種競技を選んだのも、「キング・オブ・アスリート」と称されてるからなんです。その競技でキングになったわけですから、その後も王様になりたいなと思って。陸上の後に、ゴルフ留学でアメリカに行ってるんですけど、それもタイガー・ウッズに憧れたわけじゃなくて、「帝王」ジャック・ニクラスに憧れてですから。さらにゴルフの後は、台湾プロ野球のコーチをやってたんですけど、台湾といえば「世界のホームラン王」王貞治がいるでしょ! ――一貫して「王」なわけですね。 武井 人生「王」だらけですよ。30代になって「あとどんな王があるかな?」って考えた時に、「やっぱ『百獣の王』っしょ」と思って。「海賊王」とかもありましたけど、それは『ONE PIECE』(集英社)に寄せ過ぎだろうと思ってやめました。まあ、ゴム人間には負けたくないっすけど(笑)。 ――「百獣の王」になるため、日々、あらゆる動物と戦うシミュレーションをしているそうですが、今、戦ってみたい動物は? 武井 もうねえ、自然界にいる動物たちとは、全部(脳内で)やってるんですよねえ。あとはもう、映画や漫画のキャラクターですよ。とんでもねえ奴がいっぱいいますから、そろそろ視野に入れていかないといけないんじゃないかって思ってます。 ――例えば、どのキャラクターが強そうですか? IMG_0246_.jpg 武井 まあ、悟空(『ドラゴンボール』)は強いっしょ。空飛ぶし、かめはめ波撃ってくるし、大猿になるし。あと『アベンジャーズ』のハルクはヤバイでしょ。建ってるビルをちょっとこするだけでビルが壊れちゃうし、ジャンプしたらビルの上まで跳ぶんですよ。まあ、シミュレーション上では僕が勝ちましたけどね。 ――ハルクに勝てたんですか? 武井 『アベンジャーズ』って、ヒーローが4人いるんで、4対1でやってやったんですよ。マイティ・ソーのハンマーと、キャプテン・アメリカの盾さえ手に入れちゃえば、ハルクにも勝てますよ。 ――なんか納得できないんですけど……。ちなみに、牛とは実際に戦ったことがあるそうですね。その際は、武井さんが倒されてしまったとか。 武井 あれは、牛と対峙してから、後輩にiPadを渡して「戦ってるとこを写真に撮ってくれ。そうじゃない、横向きで撮ってくれ」なんていうやり取りをしてたら、もう牛の顔面が目の前10センチのとこにあったんですよ。そんなの誰だって及び腰になるでしょ。で、そのまま倒されて、ツノでゴリゴリゴリーッて10メートルくらい押し込まれて。ぶっちゃけ死にかけましたよ。 ――負けちゃったわけですね。 武井 いや! 牛の完全な不意打ちですから、ノーコンテストですよ。これをOKとするなら、俺だって木の上で待ち伏せして、のろのろ歩いてる牛の上に飛び降りて、頚椎(けいつい)にズドーンッて肘ぶち込んでやりますよ! だから、むしろ不意打ちを受け切ってから脱出した、オレの勝ちでしょ。 ――実際に見てないので分からないです。ところで、武井さんが唱えている「パーフェクトボディーコントロール」理論とは、なんでしょうか? 武井 自分の身体を頭で思った通りに動かす技術と、いつでも100%の力を出せるコンディションにしておく技術。この2つを融合させたもので、最短で自分のパフォーマンスを高めていくことができる、僕の独自のトレーニング理論ですね。例えば、「目の前の水が飲みたい」と思ったら誰でも飲めるんですけど、「シュートを入れたい」と思っても外れるじゃないですか? それを全部成功させるためには、技術練習をするんじゃなくて、その「○○したい」を実現する能力を高めたほうが早いんですよ。つまり「自分を思い通り動かす能力」です。だから僕は十種競技でも、2年半という短い時間でチャンピオンになれたんです。 IMG_0223_.jpg ――最近は、どんなトレーニングをしているんですか? 武井 もっぱらダッシュが多いですね。100%の力を出すので、パワーもスピードもすべてが上がる、万能なトレーニングなんです。 ――武井さんは、睡眠時間がとても少ないそうですね。 武井 例えば「眠いな~」って時に、自分が憧れてる芸能人が隣にやってきたら、一発で目覚めるでしょ? そんな眠気なんて、「べつに寝てもいいよ」くらいの軽いサインでしかないんです。そんなんでいちいち寝てたら、人生のほとんどを寝てることになっちゃいますよ。どんなに憧れの人が隣に来ても、「もう無理です!」バタンッて寝ちゃうのが睡眠ですよ!  僕はそういう時しか寝ないってことです。 ――みんな簡単に寝過ぎってことですか? 武井 大して運動もしてないのに、「本当の眠りではない眠りをむさぼっている」ってことですね。食べ過ぎと一緒ですよ。僕は「眠いなあ」と思ったらダッシュか腹筋をして、さらに疲れるんです。それから寝て回復すると、昨日の眠気じゃもう眠くなくなる。それがもうずーっと続いてるんで、昔「眠いな」と思ってた地点は、今の僕にとっては、朝起きて歯磨きして「もう眠くてダメだ~」って言ってるのと同じなんですよ。しかも僕はトレーニングをし過ぎて、寝ないでいいボディーが仕上がってますし、「パーフェクトボディーコントロール」によっていつでも絶好調なんで、回復も早いし、ケガもすぐ治るんです。あ、昨日ね、椅子に手をかちあてて、血がドバーッて出て、紫色に腫れ上がったんですけど……(傷を見せながら)。 ――あれ? ほとんど治ってるじゃないですか。 武井 この尋常じゃない回復力! ウルヴァリン(映画『X-メン』等に出てくるキャラクター)か俺か、みたいなとこありますよね。 ――トレーニングで、人間はここまで変われるんですね。武井さんは何歳まで鍛え続けるんですか? 武井 そんなもん、一生ですよ! エンドレス! ――じゃあ、あと40~50年くらいですかね。 武井 いや! 俺、「絶対に死なない」って決めてんすよ! みんな「死ぬ」と思って生きてるから死ぬんですよ。最悪死ぬとしても、ミニマムで200歳までは絶対に生きてやろうと思ってます。ただ、マックスで不死。あるっしょ、不死。 ――話がすごいところに……。 武井 地球上で65億人が暮らしてる中で、「俺は死なないだろう」とふんでるのは俺くらいでしょうね。ってことは、死なない可能性が残されてるのは、現存する人類で俺だけってことですよ。どんなことでも、信じた奴しか叶えられないんです。「十種競技で日本チャンピオンになれる」と信じてたら、実際になれましたから。 ――今日は、貴重なお話ありがとうございました。「百獣の王」目指してこれからも頑張ってください。 武井 オレ地球が大好きなんです! だから世界が一つになって、みんなが仲良く平和に楽しく生きられるように、俺が「百獣の王」になりてえなあ、と思ってるんですよ。世界中の全員に「Oh! king of beast! So Takei~!」と言われる日が来るまで、「百獣の王」一本でいくんで、応援よろしくお願いします! (取材・文=林タモツ) ●たけい・そう 1973年、東京都生まれ。元陸上・十種競技日本チャンピオン。独自の「パーフェクトボディーコントロール」理論をもって、ゴルフ、野球、ボクシング、柔道などさまざまなスポーツにチャレンジし続けている。また、あらゆる動物との戦いをシミュレーションしており、地上最強の“百獣の王”を目指して日々トレーニングに励んでいる。 twitterアカウント @sosotakei / 公式ブログ<http://ameblo.jp/zenkaiman/

「お兄ちゃん、好きー!」で話題沸騰中! 女子中学生アイドルラップユニット・ライムベリーって?

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 AKB48を筆頭とした空前のグループアイドルブームの中、突如としてシーンに現れた中学生ユニット・ライムベリーが、先物買い好きなアイドルファンの間で大きな話題を呼んでいる。アイドルであるにもかかわらず基本的には歌わず、ラップのみを行う3人のMCと1人のDJで構成された4人組。  8月4日・5日に開催された日本最大のアイドル・フェス「TOKYO IDOL FESTIVAL2012」のステージでもその姿勢は貫かれ、それまで彼女たちのことを知らなかったアイドルファンの度肝を抜いた、グループアイドル界の“異物”として人気急上昇中の彼女たちを直撃した。 ──ライムベリーのプロフィールに、「さんピンキャンプ【編注】を軸とした日本語ラップなどからの影響多数」とあります。プロデューサーであるE TICKET PRODUCTION氏が影響を受けた、という意味だと思いますが、ご本人たちはもともとラップは好きなんですか? MIRI はい、好きです。私はリップスライムさんが好き。 YUKA 最近聴いたのは、ライムスターさんとスチャダラパーさん。 HIKARU この間、ZEEBRAさんの「Do What U Gotta Do feat.AI、安室奈美恵 & Mummy-D」という曲がカッコイイなって思いました。 HIME 私はヒルクライムさんが大好きです! HIKARU ライムベリーをやる前から、もともとみんなヒップホップダンスを習ってたんですよ。 MIRI だから曲を聴くと踊りたくなっちゃう。 HIME でもみんなまだまだ全然ラップには詳しくないので、これから楽しみながら勉強していけたらなって思ってます。 ──なるほど。ライムベリーといえば、まず目に付くのがDJ役のHIKARUさんの存在です。ステージ上を元気に動き回るMC3人とは対照的に、黙々と後方のDJブースでプレイする「三つ編みでメガネ」姿のHIKARUさんは、ライムベリーを初めて見た者には大きなインパクトを与えますね。 HIKARU 去年の8月にusa☆usa少女倶楽部【ライムベリーが所属するアイドルグループ。ライムベリーは同ユニット内の派生ユニットである】のメンバーでオーディションを行ったんですよ。自己紹介と課題曲「HEY!BROTHER」をラップして。だから最初は、ラップがダメだったからDJにさせられたのかなと思って、泣いてしまって。MIRIちゃんに電話したんです。 MIRI 熱が出たんだよね。 HIKARU でも今は一番イイと思ってます。逆に目立つし、面白いなって。 raimuberi-03.jpg HIME 私は最初から「めちゃおいしいな」って思ってたよ! ──ライムベリーのステージは、MCの3人が楽しそうに、自由に、アグレッシブにステージを動き回りつつ、怒涛のようにラップを繰り出すのが魅力です。そのステージは、ライブアイドルの中でもトップクラスに面白いと思います。 MIRI ありがとうございます! ダンスや振り付けは、基本的に全部自分たちで考えてるんです。 HIME ライブの後には、メンバー同士でダメ出しをし合ってて。 YUKA 毎回成長していくところを見てほしいなって。それと最近、ラップがすごい好きになって。ステージに出ることが楽しくて仕方ないんです。 HIKARU 難しい曲にチャレンジさせてもらえるのがうれしい。 MIRI ライブはどんどんやっていきたいよね。ライブが一番楽しい。 ──デビューシングル「HEY! BROTHER」が7月11日に発売されました。「HEY! BROTHER」を「ねえお兄ちゃん!」と訳し、「妹がお兄ちゃんへの恋心をラップする」というコンセプトが衝撃のこの曲ですが、初めて聴いた時は、ぶっちゃけどんな印象でした? MIRI 「え、何? お兄ちゃんって誰?」みたいな感じでした(笑)。 HIME YUKA以外は、実際にお兄ちゃんいないしね。 YUKA 「お兄ちゃん、好きー!」っていう歌詞があるんですけど、家で練習しててお兄ちゃんに気付かれたときは、すごく気まずかったです。実際はそこまで仲良くないので(笑)。だから、ラップする時はお客さんをお兄ちゃんだと思って「好きー」って言ってます。 HIME 私は妹しかいないから、すっごくお兄ちゃんが欲しくって。だから、想像の中だけど、気持ちは入れやすかったです。ラップは前から好きだったし。でも自分にできるかは不安だったかな。 YUKA あと、ちょっと恥ずかしかったよね。 MIRI リハが恥ずかしいよね(笑)。 usa☆usaメンバーが観てる中で、「ねえお兄ちゃん!」って歌うのは……。お客さんがいれば大丈夫なんだけど。 ──CDにはほかに、「RHYMEBERRY IZ NO.1(2012 LIVE TAPE)」と「Ich liebe dich(HIKARU MIX)」の2曲が収録されています。 MIRI 「IZ NO.1」は自己紹介曲で、ライブで収録したんですけど、すごい本当にライブに来てるみたいな音になってます。ファンの人の声も入っていて。 HIKARU うれしいよね。 YUKA うれしい。 HIME 「次はMIRI~」って言った後、私たちが何をしてるかは、音だけだとわからないと思うんですよ。だから、ライブに来て確かめてほしいです。 HIKARU 「Ich liebe dich」は私のソロ曲で、ポエトリーリーディングっぽい曲です。歌詞の内容が、本当に本当にHIKARUのことを言ってるんですよ。「部活も途中でやめちゃった」とか「それでもわたしはステージに立つ」とか。「私は普通の女の子だよ、だけどみんなの気持ちにはこたえられるような気がする」っていう、そういう感情をちゃんと言葉に込めて言わないと伝わらないと思って、頑張りました。 raimuberi-02.jpg ──音源化された以外にも、ラストでBOYS TOWN GANGの「Can't Take My Eyes Off You」が大胆にサンプリングされた、パーティーについての曲「MAGIC PARTY」や、スチャダラパーの「サマージャム'95」への多大なリスペクトを感じさせる「WJ」など、ライムベリーには面白い楽曲がたくさんあります。中でもお気に入りはどの曲ですか? 全員 SUPERMCZTOKYO!! MIRI カッコイイよね。 HIME ノリがいいし、「オレンジジュースが飲み足りない」っていう歌詞が好き。 HIKARU 「MAGIC PARTY」も好き。私がステージの前に出て行くところがあるから。 MIRI 「MAGIC PARTY」だとYUKAパートの「あなたはまだ勉強部屋? だったら早く飛び出したら?」がスキです。なんか「勉強部屋に閉じこもってないで、こっちに出てきてみんなで踊ろうよ」って、そういう自由な感じがライムベリーに合ってていいなって思う。 YUKA 「WJ」も好き。元気系な曲が多い中で、「WJ」はすごい静かで、聴かせる曲なので。いい歌だなって思うし。歌詞だと「昨日より少し成長した? 大丈夫きっとしてるよ今」っていうところ。私たちも、昨日に比べて少しずつでも成長していきたいから。 ──では、ライムベリーは今後、どのようなアイドルを目指しますか? MIRI いい意味で他とは違うアイドルになれればいいなって。 HIME ラップでフリースタイルってありますよね。私もいつかできるようになりたいです。 YUKA ライブを楽しみたいです。 HIKARU そうだね。とにかく日々のライブを頑張ります。 ***  ヒップホップのクラシック「MASS対CORE」を生み出したECDは、この曲にオマージュを捧げたライムベリーの楽曲「まず太鼓」の動画をチェックし、自身のTwitter上で、「『マス対コア』→『まず太鼓』ってセンスはかなりECDっぽい」と、好意を感じさせるツイートをしている。  現時点でのライムベリーはまだ、ライブハウスを主軸に活動する、いわゆる「地下アイドル」と呼ばれるジャンルのアイドルにすぎない。しかし、彼女たちのライブを見ていると、AKB48やももいろクローバーZに勝るとも劣らない“熱”がギンギンに感じられる。  ライムベリーのことがもし少しでも気になったなら、ぜひ一度ライブ会場に足を運び、その熱くて楽しいライブを体験してほしい。 (文=岡島紳士) 【編注】「さんピンCAMP」 96年7月に日比谷野外音楽堂で開催された伝説的なヒップホップイベント。提唱者のECDや、YOU THE ROCK、LAMP EYE、ZEEBRA(キングギドラ)、ライムスターなど、今でも活躍する名だたるアーティストが集結した。 ライムベリー 2011年に結成された、中学生4人によるアイドルラップユニット。MC MIRI、MC HIME、MC YUKAの3人のMCと、DJ HIKARUの4人で構成されている。7月に発売された、お兄ちゃんへの恋心を歌ったデビュー曲「HEY!BROTHER」が、早耳のアイドルファンやクラブDJなどの間で話題沸騰中。E TICKET PRODUCTIONがプロデュースを手がける。 公式Twitterアカウント<http://twitter.com/RHYMEBERRY1> YouTube公式チャンネル<http://www.youtube.com/rhymeberry1/> usa☆usa少女倶楽部公式ブログ<http://ameblo.jp/usausa-girls/> <ライブ情報> 「ライムベリー×lyrical school 2マン アイドルラップナイト」 日時:2012年9月17日(月・祝) 場所:新宿MARZ(東京都) 開場:17:15、開演:START 17:45 出演:ライムベリー / lyrical school 料金:前売 2500円 / 当日 3000円(ドリンク代別) 主催:NI(F)MP編集部<http://nifmp.blog57.fc2.com/> チケットは完売。ただし若干数当日券が出る可能性も。

「お兄ちゃん、好きー!」で話題沸騰中! 女子中学生アイドルラップユニット・ライムベリーって?

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 AKB48を筆頭とした空前のグループアイドルブームの中、突如としてシーンに現れた中学生ユニット・ライムベリーが、先物買い好きなアイドルファンの間で大きな話題を呼んでいる。アイドルであるにもかかわらず基本的には歌わず、ラップのみを行う3人のMCと1人のDJで構成された4人組。  8月4日・5日に開催された日本最大のアイドル・フェス「TOKYO IDOL FESTIVAL2012」のステージでもその姿勢は貫かれ、それまで彼女たちのことを知らなかったアイドルファンの度肝を抜いた、グループアイドル界の“異物”として人気急上昇中の彼女たちを直撃した。 ──ライムベリーのプロフィールに、「さんピンキャンプ【編注】を軸とした日本語ラップなどからの影響多数」とあります。プロデューサーであるE TICKET PRODUCTION氏が影響を受けた、という意味だと思いますが、ご本人たちはもともとラップは好きなんですか? MIRI はい、好きです。私はリップスライムさんが好き。 YUKA 最近聴いたのは、ライムスターさんとスチャダラパーさん。 HIKARU この間、ZEEBRAさんの「Do What U Gotta Do feat.AI、安室奈美恵 & Mummy-D」という曲がカッコイイなって思いました。 HIME 私はヒルクライムさんが大好きです! HIKARU ライムベリーをやる前から、もともとみんなヒップホップダンスを習ってたんですよ。 MIRI だから曲を聴くと踊りたくなっちゃう。 HIME でもみんなまだまだ全然ラップには詳しくないので、これから楽しみながら勉強していけたらなって思ってます。 ──なるほど。ライムベリーといえば、まず目に付くのがDJ役のHIKARUさんの存在です。ステージ上を元気に動き回るMC3人とは対照的に、黙々と後方のDJブースでプレイする「三つ編みでメガネ」姿のHIKARUさんは、ライムベリーを初めて見た者には大きなインパクトを与えますね。 HIKARU 去年の8月にusa☆usa少女倶楽部【ライムベリーが所属するアイドルグループ。ライムベリーは同ユニット内の派生ユニットである】のメンバーでオーディションを行ったんですよ。自己紹介と課題曲「HEY!BROTHER」をラップして。だから最初は、ラップがダメだったからDJにさせられたのかなと思って、泣いてしまって。MIRIちゃんに電話したんです。 MIRI 熱が出たんだよね。 HIKARU でも今は一番イイと思ってます。逆に目立つし、面白いなって。 raimuberi-03.jpg HIME 私は最初から「めちゃおいしいな」って思ってたよ! ──ライムベリーのステージは、MCの3人が楽しそうに、自由に、アグレッシブにステージを動き回りつつ、怒涛のようにラップを繰り出すのが魅力です。そのステージは、ライブアイドルの中でもトップクラスに面白いと思います。 MIRI ありがとうございます! ダンスや振り付けは、基本的に全部自分たちで考えてるんです。 HIME ライブの後には、メンバー同士でダメ出しをし合ってて。 YUKA 毎回成長していくところを見てほしいなって。それと最近、ラップがすごい好きになって。ステージに出ることが楽しくて仕方ないんです。 HIKARU 難しい曲にチャレンジさせてもらえるのがうれしい。 MIRI ライブはどんどんやっていきたいよね。ライブが一番楽しい。 ──デビューシングル「HEY! BROTHER」が7月11日に発売されました。「HEY! BROTHER」を「ねえお兄ちゃん!」と訳し、「妹がお兄ちゃんへの恋心をラップする」というコンセプトが衝撃のこの曲ですが、初めて聴いた時は、ぶっちゃけどんな印象でした? MIRI 「え、何? お兄ちゃんって誰?」みたいな感じでした(笑)。 HIME YUKA以外は、実際にお兄ちゃんいないしね。 YUKA 「お兄ちゃん、好きー!」っていう歌詞があるんですけど、家で練習しててお兄ちゃんに気付かれたときは、すごく気まずかったです。実際はそこまで仲良くないので(笑)。だから、ラップする時はお客さんをお兄ちゃんだと思って「好きー」って言ってます。 HIME 私は妹しかいないから、すっごくお兄ちゃんが欲しくって。だから、想像の中だけど、気持ちは入れやすかったです。ラップは前から好きだったし。でも自分にできるかは不安だったかな。 YUKA あと、ちょっと恥ずかしかったよね。 MIRI リハが恥ずかしいよね(笑)。 usa☆usaメンバーが観てる中で、「ねえお兄ちゃん!」って歌うのは……。お客さんがいれば大丈夫なんだけど。 ──CDにはほかに、「RHYMEBERRY IZ NO.1(2012 LIVE TAPE)」と「Ich liebe dich(HIKARU MIX)」の2曲が収録されています。 MIRI 「IZ NO.1」は自己紹介曲で、ライブで収録したんですけど、すごい本当にライブに来てるみたいな音になってます。ファンの人の声も入っていて。 HIKARU うれしいよね。 YUKA うれしい。 HIME 「次はMIRI~」って言った後、私たちが何をしてるかは、音だけだとわからないと思うんですよ。だから、ライブに来て確かめてほしいです。 HIKARU 「Ich liebe dich」は私のソロ曲で、ポエトリーリーディングっぽい曲です。歌詞の内容が、本当に本当にHIKARUのことを言ってるんですよ。「部活も途中でやめちゃった」とか「それでもわたしはステージに立つ」とか。「私は普通の女の子だよ、だけどみんなの気持ちにはこたえられるような気がする」っていう、そういう感情をちゃんと言葉に込めて言わないと伝わらないと思って、頑張りました。 raimuberi-02.jpg ──音源化された以外にも、ラストでBOYS TOWN GANGの「Can't Take My Eyes Off You」が大胆にサンプリングされた、パーティーについての曲「MAGIC PARTY」や、スチャダラパーの「サマージャム'95」への多大なリスペクトを感じさせる「WJ」など、ライムベリーには面白い楽曲がたくさんあります。中でもお気に入りはどの曲ですか? 全員 SUPERMCZTOKYO!! MIRI カッコイイよね。 HIME ノリがいいし、「オレンジジュースが飲み足りない」っていう歌詞が好き。 HIKARU 「MAGIC PARTY」も好き。私がステージの前に出て行くところがあるから。 MIRI 「MAGIC PARTY」だとYUKAパートの「あなたはまだ勉強部屋? だったら早く飛び出したら?」がスキです。なんか「勉強部屋に閉じこもってないで、こっちに出てきてみんなで踊ろうよ」って、そういう自由な感じがライムベリーに合ってていいなって思う。 YUKA 「WJ」も好き。元気系な曲が多い中で、「WJ」はすごい静かで、聴かせる曲なので。いい歌だなって思うし。歌詞だと「昨日より少し成長した? 大丈夫きっとしてるよ今」っていうところ。私たちも、昨日に比べて少しずつでも成長していきたいから。 ──では、ライムベリーは今後、どのようなアイドルを目指しますか? MIRI いい意味で他とは違うアイドルになれればいいなって。 HIME ラップでフリースタイルってありますよね。私もいつかできるようになりたいです。 YUKA ライブを楽しみたいです。 HIKARU そうだね。とにかく日々のライブを頑張ります。 ***  ヒップホップのクラシック「MASS対CORE」を生み出したECDは、この曲にオマージュを捧げたライムベリーの楽曲「まず太鼓」の動画をチェックし、自身のTwitter上で、「『マス対コア』→『まず太鼓』ってセンスはかなりECDっぽい」と、好意を感じさせるツイートをしている。  現時点でのライムベリーはまだ、ライブハウスを主軸に活動する、いわゆる「地下アイドル」と呼ばれるジャンルのアイドルにすぎない。しかし、彼女たちのライブを見ていると、AKB48やももいろクローバーZに勝るとも劣らない“熱”がギンギンに感じられる。  ライムベリーのことがもし少しでも気になったなら、ぜひ一度ライブ会場に足を運び、その熱くて楽しいライブを体験してほしい。 (文=岡島紳士) 【編注】「さんピンCAMP」 96年7月に日比谷野外音楽堂で開催された伝説的なヒップホップイベント。提唱者のECDや、YOU THE ROCK、LAMP EYE、ZEEBRA(キングギドラ)、ライムスターなど、今でも活躍する名だたるアーティストが集結した。 ライムベリー 2011年に結成された、中学生4人によるアイドルラップユニット。MC MIRI、MC HIME、MC YUKAの3人のMCと、DJ HIKARUの4人で構成されている。7月に発売された、お兄ちゃんへの恋心を歌ったデビュー曲「HEY!BROTHER」が、早耳のアイドルファンやクラブDJなどの間で話題沸騰中。E TICKET PRODUCTIONがプロデュースを手がける。 公式Twitterアカウント<http://twitter.com/RHYMEBERRY1> YouTube公式チャンネル<http://www.youtube.com/rhymeberry1/> usa☆usa少女倶楽部公式ブログ<http://ameblo.jp/usausa-girls/> <ライブ情報> 「ライムベリー×lyrical school 2マン アイドルラップナイト」 日時:2012年9月17日(月・祝) 場所:新宿MARZ(東京都) 開場:17:15、開演:START 17:45 出演:ライムベリー / lyrical school 料金:前売 2500円 / 当日 3000円(ドリンク代別) 主催:NI(F)MP編集部<http://nifmp.blog57.fc2.com/> チケットは完売。ただし若干数当日券が出る可能性も。

「必死にやっていれば、奇跡は起こる」漫談家・コラアゲンはいごうまんの冴えたやり方

IMG_0129_.jpg  9月4日、コラアゲンはいごうまんにとって初めてのDVD『コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談』がリリースされた。自分の体験したことだけをしゃべるという唯一無二のスタイルを築き上げた漫談の達人が、取材相手の心を開くための、とっておきの秘密を伝授する。 ――全国を飛び回って、現地でネタを見つけて漫談ライブをやっているそうですが、ネタ探しは大変じゃないですか? コラアゲン 大変ですよ~。ライブ前日にその町に行って、たった1日で次の日の前半30~40分の時間を埋めるしゃべりを考えないといけないですから。もう、恐怖ですよね。死ぬほど怖いです。 ――どうしてもネタが見つからないときに、切り抜けるためのコツみたいなものはありますか? コラアゲン 何個かはありますね。まあ、有事に備えて。ひとつは、交番に飛び込む。理屈としては「困ってる人を助けるのが交番やろ?」っていうことで(笑)。ライブのネタがなくて、本当に困ってるんでね。この前、北海道のむかわ町というところに行ったときも、名物が「ししゃも」しかないと。でも、ししゃもはもう去年行ったときに取材してたんです。それでどうしてもネタが見つからなくて、当日のギリギリまで動いていて。鬼気迫る状態で交番に飛び込んだんです。なんとかしてもらえませんかね、と。  門前払いでもおかしくないんですけど、そのときはホンマにいい警察官の方がいて、一緒に考えてくれたんですよ。「ちょっと待ってね、うーん、何かあったかな……」って。それで最後には「力及ばず、すいません」って謝ってきたんですよ。「今後は、パトロールするときにも、何か面白いものがないか探すようにします」って(笑)。そう言ってくれるだけで十分じゃないですか。そのことをしゃべれますから。交番にこんなにいい人がいるなんて、この町は最高ですね、って言ったら、やっぱりむかわの人も喜んでくれますやんか。  「これで十分です、今からがんばりますわ」って言って出ようとしたら、その人が「うーん……まあ、使う・使わないは別として、ひとつご提案があります。僕、のび太みたいな顔してますよね?」って。確かに、50代になってやつれた、老け込んだのび太くんみたいな顔をしてはるんですよ。「でも、こんな見た目なのに、僕の本名『高橋克典』っていうんです」って(笑)。これはめちゃくちゃ面白いじゃないですか。必死にやってると、そうやって奇跡が起こるんですよ。 ――コラアゲンさんは、そうやっていろんな人に体当たりで取材をされていますが、人の心を開く秘訣はありますか? コラアゲン 僕も、それがわからんのですよ。ただ、必死で真面目であるということが大事でしょうね。僕らはバカげたことをやってるわけじゃないですか。それだけに、行動だけで判断されないように、本気でこの人はこれをやろうとしてるって思われないといけない。そうするとやっぱり、いい人っているんですよね。 ――必死にやっていると、助けてくれる人が現れると。 コラアゲン まあ、必ずじゃないですけどね。ダメなときの方が多いんですけど。それでも、10回に1回でも助けてくれる人がいたら十分でしょう。僕は、こんな仕事をしてるけど、決して社交的でもないんですよ。初対面の人としゃべるのが、おっくうなんです。打ち解けるまでに時間がかかる。 ――今でもそうなんですか? コラアゲン 今でもそうです。だから、取材に行くときは、相手がヤクザとか宗教関係者とか関係なく、一般家庭の主婦の方に話を聞くだけでも死ぬほど震え上がるんですよ。「盛り上がるんだろうか?」「自分のことを受け入れてくれるだろうか?」とか、不安はいっぱいあります。ただ、社交的でもないし不器用なのに、がんばってそうじゃないように見せたいと思ってるときは、確実に失敗しますね。 ――よく見せようとすると、うまくいかない? コラアゲン 舞台もそうですけどね。笑いを取ろう取ろうとしすぎたり、感動させようとすると、絶対スベりますから。 ――そういう下心が、お客さんに伝わってしまうんですかね。 コラアゲン まあ、バレますよね。結局、良く見せようとしてる時点で、自分のことを考えてるってことですからね。相手を見てない。本当に相手だけを見ていたら、なりふりかまわなくなれますよね。でも、自分のここをこうしよう、こう見せよう、とか気にしている時点で、相手に向き合ってないですよね。そうするとたぶん話を聞き出すこともできないし、相手が警戒心を解くこともない。ある一定の距離を保った質疑応答しかできないですよ。そこで相手の人生に一瞬でも触れようと思ったら、なりふりかまわないで行くしかない。  僕は技術がないから、そうするしかないんですよ。まあ、ある程度は技術もこれから覚えていかなアカンと思うんですけどね。空気は読めないけど正直だとか、悪いことをしたら謝るとか、そこしかないですよ。そういうのを徹底していると、それだけで認めてくれる人もいる。どうしても、あなたに話を聞きたいんです!という覚悟を示すしかないですよね。 (取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●テレビ出演情報 『うもれびと』CX <http://blog.fujitv.co.jp/umorebito/index.html> 放送日:9月5日(水)、12日(水)で2週連続放送 ゲスト:柴田理恵(ワハハ本舗)

「絶望の中の微かな希望」作者が語る『ウシジマくん』と『ドラえもん』の共通点

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(C) 2012真鍋昌平・小学館/映画『闇金ウシジマくん』製作委員会
 ヤミ金業者「カウカウファイナンス」のウシジマ社長を主人公に、欲望に堕ちてゆく人々を描くマンガ『闇金ウシジマくん』(小学館)。コミックスの売り上げは累計500万部を突破、山田孝之主演で映像化されたドラマ版は、深夜ながら高い視聴率を獲得した。  そして8月25日(土)、ウシジマくんが映画となって帰ってくる! ドラマ版を踏襲したキャスト陣に加え、映画版にはAKB48の大島優子が出演。この公開を記念して、日刊サイゾーでは原作者の真鍋昌平氏にインタビュー取材を敢行。顔出しNG、取材時間はわずか20分……。厳戒態勢の中、いま最も冷酷なマンガを執筆する真鍋氏を、固唾をのんで待ち受けた……。  「よろしくお願いしまーす」と入ってきた真鍋先生は、意外にも爽やかな好青年。物腰も柔らかく、笑顔もチャーミングだ。まさかこの人から『闇金ウシジマくん』のような冷酷な物語が生まれているとは、にわかに信じられない……。 ――とても爽やかな人柄に、びっくりしました。てっきり、もっとイカツイ人なのかと……。 真鍋昌平(以下、真鍋) 「こういうヤツが描いているのか……」と思われるのがあまり好きではないんで、顔は出さないようにしているんです。 ――ギャップがありすぎて、逆に好感度が上がりそうです。ところで、映画をご覧になった感想はいかがでしょうか? 真鍋 冒頭のシーンから、すごい作品だなと思いました。セレブたちのパーティーのシーンなのですが、金持ちのおじさんたちはTシャツ姿。彼らはいつも空調の効いた環境で生活をしているから半袖でいいんですよね。また、周囲に集まる女の子たちも、損得で考えるビッチな雰囲気を醸し出している。細部の美術に至るまで、スタッフのこだわりを感じました。こういった仕事は、スタッフ全体の熱量が上がらないと絶対に作れないですよね。 ――映画を見ながら「これはマンガじゃできない」と思う部分はありましたか? 真鍋 大島優子さん演じる鈴木未來が、街を駆け抜けるシーンがあるんですが、あの瞬間は映画ならではの疾走感を感じました。マンガでは、あの表現は難しいですね。
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――映像では、ウシジマ社長の部下である柄崎と加納という2人のキャラが1人に統合されていたり、ウシジマ社長に“野菜嫌い”の設定が加わっています。こういった映像オリジナルの設定については、どのように考えているのでしょうか? 真鍋 あまり気にならないですね。映像は監督の解釈で成立するものなので、問題はないと思います。僕が細部にこだわるというのは、登場人物がどんなスーパーでどんな物を買っているのか、といった部分。自分の中で、そのキャラクターが“存在している”と思えるように設定を作っているんです。原作とまったく同じように映像化してほしいと思っているわけではないので、別の設定が入っても全然構いません。 ――真鍋さんは『闇金ウシジマくん』を描くにあたっては、かなり綿密な取材を重ねているそうですね。
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真鍋 編集部から犯罪系のライターさんを紹介してもらい、さらにライターさんからソッチ系の方々を紹介してもらいながら、いろいろな話を聞き出しています。最新刊でテーマにしている生活保護の受給者にも、実際に会って話を聞いてきました。決してリアルだけを目指しているわけではないのですが、そのキャラクターや、彼らの考えていることに近づけたらと思って取材をしています。会って話したほうが、やっぱり情報量が多いんですよ。 ――実体験をエピソードとして盛り込むこともあるんですか? 真鍋さん自身も借金地獄に苦しめられていたとか……。 真鍋 マンガ家になる前は借金をしていましたが……。 ――えっ、ヤミ金ですか!? 真鍋 いえ(笑)、消費者金融です。マンガ賞に応募する作品を作るためにバイトを辞めて、生活費を借りたんです。賞が獲れなければ借金だけが残る状態だったんですが、無事受賞することができ、その賞金を持ってすぐにATMに行きました。 ――資料によれば、藤子・F・不二雄先生の作品に衝撃を受けたそうですね。世界観としては、藤子不二雄A先生のほうが近い気がしますが……。 真鍋 小学校の頃に、『ドラえもん』を読んで衝撃を受けたんです。未来からやってきたドラえもんが、毎回ひみつ道具でのび太の窮地を一時的に助けますが、必ず最後にはのび太はしっぺ返しを食らう。6巻の「さよならドラえもん」という回で一度エンディングを迎えるんですが、この回はのび太がドラえもんの道具に頼らず、自分の力で戦うというストーリーでした。そこまでの『ドラえもん』が大好きなんです。
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――お話を伺っていると、どことなく『ドラえもん』と『闇金ウシジマくん』が共通するお話のように思えてきます。 真鍋 『闇金ウシジマくん』も『ドラえもん』も「そんなうまい話はない」っていうことを描いているんじゃないかな。そこは共通しているかもしれませんね。 ――『闇金ウシジマくん』のストーリーは、よく「救いがない」と言われます。作者としては、どのような意図から、救いのないストーリーを描いているのでしょうか? 真鍋 まったく救いがないわけではないんです。毎回、ちょっとだけ希望を感じられるような終わり方をしている。登場するキャラクターが、この先もやっていけるんじゃないかという希望を感じさせるための最低限の救いはあります。“絶望の中の微かな希望”というイメージですね。 ――真鍋さんは、人間をどういう生き物だと捉えていますか? 真鍋 最初に『ウシジマくん』を描く時、葛藤している人間を描こうと思っていました。お金で葛藤している人々は、どこか生き生きとしているようにも見えたんです。それに、窮地に追いやられた時に人間の出す力は面白い。『ウシジマくん』では、そういった人間の面白い部分を描ければいいなと思っています。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●まなべ・しょうへい 生年月日非公開。1993年『GOMES』主宰のマンガコンテストにて『ハトくん』がしりあがり寿賞を受賞しデビュー。グラフィックデザインのアルバイトを経て、1998年『憂鬱滑り台」でアフタヌーン四季賞の四季大賞を受賞し、再デビュー。2004年より「ビッグコミックスピリッツ』で『闇金ウシジマくん』を不定期連載、第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門を受賞。 ●『闇金ウシジマくん』 監督:山口雅俊/脚本:福間正浩 山口雅俊/出演:山田孝之 大島優子 林遣都 崎本大海 やべきょうすけ 岡田義徳 ムロツヨシ 鈴之助 内田春菊 市原隼人 片瀬那奈 黒沢あすか 新井浩文/原作:真鍋昌平 『闇金ウシジマくん』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中) /配給:S・D・P  8/25(土)新宿バルト9ほか 全国ロードショー 公式サイト <http://ymkn-ushijima-movie.com/> 公式Facebook <http://www.facebook.com/ymkn.ushijima.movie> 公式Twitter <https://twitter.com/#!/ushijima_movie>

【鳥居みゆき×小明】小説とDVDとゾンビ映画と白ブタと永遠の女子高生についてのパラグラム

torii_akari0001.jpg  小説『余った傘はありません』(幻冬舎)、巨匠・山岸伸によるファースト写真集撮影ドキュメントDVD『世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン』(コンテンツリーグ)、続いて私もゾンビ役で出演させてもらった映画『ゾンビデオ』の公開も控えて絶好調の鳥居みゆきさん。鳥居さんには何回もインタビューさせていただいているし、今日も楽しみだなぁとのんきに扉を開けて元気に挨拶をすると、鳥居さんが「えっ……そんなにフランクにくる感じ?」「なんか、どんどんお金かけない服になってきてるね。一応アイドルなのに」と苦笑いで迎えてくれました。出鼻をくじかれ、とめどなく流れる冷や汗の中で取材スタートです。 小明 このたびは、小説やDVDが立て続けにリリース、そして映画『ゾンビデオ』の公開ももうすぐのようで……。 鳥居 『ゾンビデオ』っていつ公開なの? ℃-uteと一緒に完成披露試写会をやったけど、それもけっこう前なのよ。 小明 それ観に行きましたけど、確か去年の夏でしたよね。公開は今年の春か夏って言ってた気がするんですけど……。 鳥居 夏きちゃったよ! 小明 完成から一年たちますね。鳥居さん、ほぼ主演だったのに。 鳥居 違うよ、主演は℃-uteだよ。みゆきは小明ちゃんと一緒だよ。 小明 私、素顔が一瞬しか映らないゾンビですよ(笑)。ずっと白目のコンタクトレンズで角膜が剥がれるかと思いました。 鳥居 それはそれでいいと思う(興味なさそうに)。 小明 DVD『世界鳥居紀(奇)行 in サイパン』では、海に沈んだり溺れたりとひどい目に遭いすぎて、ゾンビのようになってましたね。あんなに素顔でゾンビっぽくなれる人、他にいないですよ。 鳥居 そんなシーンないよ(きっぱり)。でも本当クソッタレだよ。だって、あんなの、やる予定じゃなかったんだよ。なのにコンテンツリーグさんが宣伝を勝手に進めちゃってさ、そこに「アクティビティに挑戦!」って書いてあってさ。 torii_akari0002.jpg 小明 「アクティビティ」って、また大ざっぱですよね(笑)。具体的に何をやるのか、ちょっとピンとこないですし。 鳥居 どうせ、アクティブな人間がラウンドワンとかでやるようなことでしょ? 宣伝に載っちゃったんなら、やるしかないでしょ。恐ろしいよ、コンテンツリーグ。 小明 前作の『世界鳥居紀(奇)行 in タイ』は、まだ鳥居さんも楽しんでいる感じがしましたけども、今回のは逃げ場なしといった感じで。 鳥居 タイは一応、楽しかった。今回は、楽しめないってことが最初からわかってたから。なんか、カメラが好きなカメラ小僧のおじさんがついてくるっていうし。 小明 山岸伸さんは巨匠ですよ! 山岸さんの撮影はどうでした? 鳥居 汗すげぇかくなぁって思った(笑)。汗かくのに痩せない人っているよね(笑)。 小明 写真の方はさすがにきれいに写ってましたね。 鳥居 ね。あの人、カメラ小僧のわりに意外とうまいよね? 小明 だから巨匠なんですよ! グラビア撮影はどうでしたか? 鳥居 私、毛がないんで、どこが出てもかまわないんですけど、肌が嫌なの。 小明 あの、ほとんど外に出てない感じの肌の質感に親近感が湧きました。 鳥居 バレた? 引きこもってる感あった? 外嫌い(笑)。 小明 でも、今の時代にグラビアでサイパンなんてすごいんですよ。篠崎愛さんとか吉木りささんじゃないと、連れて行ってもらえないんじゃないですかね。 鳥居 ……吉木りさちゃんに似てるよね。言われない? 小明 すごく疲れているときの吉木さんと、すごく調子がいいときの私がたまに似てるって言われます。 鳥居 そういうことだよね。イルカとクジラの境界線みたいなもんでさ。デカさで分けてんじゃん、あれ。それと同じで、めっちゃ疲れさせたら、吉木さんのグレードが下がるから、そのときに小明ちゃんがめっちゃ頑張れば、ギリ。境はあるんだけどね、確実に。 小明 そうなんですよね。境は確実にあるので、並べられたくはないなって思います。吉木さんは自分が勝っているのが本能でわかってるから、似てるって言われてるのを耳にしても「小明さんと絡みたい(笑)」とか言ってくれてるんですよ。でもこっちとしては、それってそうとうキツイんですよ。 鳥居 それは余裕がある人の発言だよね。ドジョウとウナギの差だもんね。ドブだもんね、小明ちゃん。 小明 ドブ……? えっと、DVDの話に戻りますが、海では奇声を上げたり地べたを這い回ったり、けっこうなはしゃぎっぷりで、さぞかし体を傷めたことだと思います。 鳥居 大丈夫、血がちょっと出るぐらいしか。 小明 あ、ちょっと跡が残ってる! っていうか、なんか傷だらけ! 鳥居 そう。毎日、毎日、傷ができるよ。ここも城咲仁のせいでパックリいっちゃうしさ。本の宣伝しようとしたら城咲仁が「おい、今、宣伝するなよ」っておどけてきて、その時に紙で皮膚がやられて城咲仁に「ジーンってやっちゃった」ってナチュラルダジャレ言っちゃって「ああああああ」ってなって……(赤面)! 本当にナチュラルダジャレほど恥ずかしいものはないよ。血も出たし、ちょう痛かった。映像も全然繋がらないし、ぜんぶ仁のせいです。(「実際は血なんて全然出てませんよ」担当マネージャー談) torii_akari0003.jpg 小明 流血といえば、小説で、そっくりな双子が似ていないところを作ろうとリストカットする場面はジーンときました。 鳥居 本当に? 私、全然きてないよジーンと。『余った傘はありません』ってタイトルは、どう取る? 小明 読みはじめは双子が憎み合って「お前にやる傘なんてねぇよ」みたいな意味かと思ってましたけど、ラストまで読んだら違いました。意外とあたたかかったです。 鳥居 よかった、わかってくれて。私が思う『余った傘はありません』っていうのは、例えば、好きな人がいて、私だけが傘を持っている時に「一緒に入ろう」って言えない、ちょっとした心の歪みというか……私が人に対して素直になれない部分が込められています。 小明 やっぱり、ご自分がモデルになった話も多いんですか? 鳥居 なんかね、エッセイって自分を良いように書いちゃうけど、実は小説の方が自分が出ちゃうんだって。 小明 自分が考えていることを整理できて、セラピーにもなるって聞きますよね。小説の中で双子が互いに比べ合って、劣等感から「いい子でいなくちゃ」って追い詰められていく感じはよくわかります。鳥居さんも、お姉さんがいらっしゃいますよね。 鳥居 私、超デブだったの。おねぇは、変わらずキレイなままなの。読者モデルとかいろいろやってて。 小明 読者モデル! それって一番いいやつですよね。あえて女子アナを狙わない、欲のない美しさ。 鳥居 そう! そうなの! 一番モテるもん。そこと比較されて、白ブタって呼ばれてたから、私。 小明 白ブタ(笑)! 奇遇ですね、私もギャルの姉にガンハクトン(意味:顔が白い豚)って呼ばれてました! いつ、お痩せになったんですか? 鳥居 中2になって、背がいきなり伸びて、ちょうどいい感じになりました。よかったー。 小明 いい感じになっても、内面には比べてられていた時期の自分が根付いているから……。 鳥居 そう、暗いんですよね、結局は。すごい暗かったし、髪もどっちが前かわからないビッグフットみたいな感じで、人と目を合わせなくてもいいようにしてました。 小明 未確認動物状態だと、卒業アルバムもつらい感じになりそう。 鳥居 卒アルの集合写真って、目立っている人を重点的に良くしようとしてない? ずるいよね! 私、ひとりだけすげぇブレてるんだもん。あれ、ヒドイよ。でも、写真の上にひとりで載るやつも憧れる。 小明 私、昔それを狙って集合写真の日に学校休んだんですけど、上に別個で掲載もなくて、普通にクラスに存在しない人になってて悲しかったです。 鳥居 それはそれでいいね! ……ねぇ、あれって死んだら白黒? 小明 ひとりだけ白黒の黒縁にされても暗い気持ちになりますし、普通じゃないですか? っていうか、その枠には憧れちゃダメですよ! もう大人なんですから! 鳥居 でもね、私、高校生のとき、何があっても毎日学校行ってたの。で、卒業式だけ行かなかったの。だからね、私、永遠の女子高生なの。まだ、卒業証書もらってないの。すごくない? 「取りに来て」って言われたんだけど、まだ行ってないから、まだ女子高生のままなの。すごくない? 永遠のJK。 torii_akari0004.jpg 小明 ……。小説は、どれぐらいの期間で書かれたんですか? 鳥居 1年くらい幻冬舎で連載してたの。毎月書いてるから、全然繋がってなくて(笑)。いろいろ直して、量も増やして、タイトルも変えたって感じ。前は『4月1日』ってタイトルだったんだけど、「なんか違うな」って思って。「なんだそれ」って。「バカじゃねぇの?」「クソだな」って。 小明 そこまで思わなくても。最後はそれぞれの人生が交差して、ちゃんと繋がってましたよ。泣ける話もあって……。 鳥居 泣ける話あった? ひとつも泣いてないよ。『乾杯』が評判いいんですけど、女の子がすごい「感動した」とか言って、ホロッときてる感を出して、純粋な女の子と思われようとしてるんですよ(笑)。バカだな(笑)。 小明 自分で書いておいて見下すって、もう意味わかんないですよ! 鳥居 ひねくれてるの! あと、わかりづらいよね。『←ラブレター』には、ちょっとした仕掛けがあるのよ。親切心のやじるしがついてるでしょ。 《一部抜粋》 すみません、初めてお手紙を書きます。 きのう駅であなたに財布を拾ってもらった者です。 できたらお礼がしたいのです。 すごく嬉しかったものですから、連絡ください。 小明 わ! 気づかなかった! この章ぜんぶ縦読みじゃないですか! 意味も本文と交差してるんだ、わー!! 鳥居 気づいても気づかなくても楽しめる作品。 小明 テクニカル! お互いに劣等感を持った双子の姉妹を軸に、登場人物のねじれた恋愛模様や心の闇がいくつも交差して、最後はあたたかい気持ちになる、これかなり良い小説ですよね。 鳥居 大人になったからこそわかる余裕みたいな、そういう感じのお話にしました。ふふふ。 小明 たくさん重版がかかりますように! この本は、どんな人に読んでもらいたいですか? 鳥居 子どもから大人まで幅広く読んで欲しいですね(棒読み)。 小明 子ども、歪むなぁー! 鳥居 じゃあ、(村上)春樹に飽きた人とか東野圭吾に飽きた人が読めばいいよ。 torii_akari0006.jpg 小明 投げやり! 個人的には、愛情表現が下手でこじれちゃった人には、きっとハマると思いますよ! 最近は舞台もやられていますし、次の単独もありますし、ずいぶんお忙しそうですね。単独のネタはもう固まりましたか? 鳥居 固まってはきてて、どういう組み立てにしたらいいか考えている。無意義と有意義をプラマイゼロにしたい感じ。メッセージ性ってさ、強く長く出すとダサいじゃん。 小明 努力、希望、仲間、絆、生きていく意味、みたいな? ひねくれた性格だと、メッセージ性が強いと引いちゃいますしね。 鳥居 そうそう。今、舞台の稽古をやってるんですよ。人が書いた本ってものにもまだ馴染めないし、今、けっこうストレス抱えてる。 小明 稽古って時間もかかるし、ギャラも出ないし、知らない人との団結を求められて……よほど好きじゃないと胃にきますよね。 鳥居 そう、「このカンパニーで~」とか言いだすのよ? 最近の劇団は。寒気するわーって思って。 小明 カンパニー? ベビースター? 鳥居 おやつカンパニー以外で聞かないよね? だから、「私、劇団員じゃなくてビジネスなんで。そういうノリじゃないんで」ってハッキリ言いました。そしたら、若い、初めて舞台に出る女の子とかが、「劇団員じゃないけど、みんなでカンパニーとして、仲良くなっていきたくて、前向きにぃ……」とか言いだして、さっきのは全否定かいと思って。(※ちなみに舞台は大好評で幕を閉じたそうです) 小明 うわー、DVDのアクティビティもそうですけど、ストレスになるのが分かってる仕事の前の晩はつらいですよねぇ。 鳥居 あぁ、それは昨日のことだな。 小明 ……もしかして、ちょっと飽きてきてますか? 鳥居 気づいていると思うけど、ちょっとじゃないよ。 小明 わー、どうもありがとうございました!  好きな人に「一緒に入ろう」が言えなくて「余った傘はありません」と突き放す鳥居さんですから、この私とのやりとりの中にも、きっとどこかに不器用な愛が隠れているはず……と一生懸命さがしてみましたが、特には見付からなかったので、本当に早く帰りたかったんだと思います。単独ライブも、昨年秋から一切情報が更新されない『ゾンビデオ』も楽しみですね! (取材・構成=小明) ●とりい・みゆき 1981年、秋田県生まれ。07年頃から、白いパジャマでテディベアを抱えた「マサコ」キャラでブレイク。以降、テレビ、映画、ラジオ、出版など幅広い活動を続けている。近著『余った傘はありません』(幻冬舎)発売中。DVD『世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン』(コンテンツリーグ)は8月22日発売。映画『ゾンビデオ』(http://www.zomvideo.com/)年内公開予定。 鳥居みゆき 単独ライブ 狂宴封鎖的世界「方舟」 9月27日(木)~9月30日(日) 全6回公演 【場所】草月ホール(住所:東京都港区赤坂7-2-21) 【チケット発売情報】8月18日(土) CNプレイガイドにて午前10:00発売!