「セックスはメールや電話と同じもの」工藤美代子氏が語るこれからの性のあり方

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『男の壁 ED患者1130万人時代を生き
る』/幻冬舎
【サイゾーウーマンより】 (前編はこちら) ――『男の壁 ED患者1130万人時代を生きる』(幻冬舎)に対する反応はさまざまだったそうですね。 工藤美代子氏(以下、工藤) 女性や、30代の若い男性は、いずれ我が身に起きることかもしれないので「読んでおきたい」と好意的に受け取って、「面白い」と言ってくださいました。ところが、60~70代の方たちはみごとに拒絶反応でしたね。ある雑誌で、この本についての対談を企画していただいたんですが、対談相手として依頼した有名なかっこいい男性作家さんは「これは俺が出るテーマじゃない、嫌だ」とお断りになりましたし、各雑誌の編集長に本をお送りしても、いつもは「本届いたよ」とお返事をくださるんですが、今回は一切無視。もしかしたら、「女が興味本位に書いた」と思われたのかもしれません。 ――中高年男性にとっては、EDは触れられたくない話題なのでしょうか。 工藤 さあ、わかりませんね……。一方で、中高年男性の多くは、いつまでも妻とセックスしていることは「みっともない」という感覚もあるようです。若い愛人に対しては「現役」であることを自慢するおじさんがたくさんいますが、「カアチャンとは何年もしてない」と、聞いてもいないのに言うおじさんもたくさんいます。家庭内ED、つまり奥さんに対してだけEDであることは当たり前という感覚があるんですね。中高年男性独特の性の意識だと思います。  しかも平気で「うちには時々着物を着るブタが1匹いる」なんてことを言う。「ちょっとお待ちください。あなたが倒れた時におしめを取り替えてくれるのは、そのブタさんですよ。それを考えたらそういう口は聞けないはずでしょう?」と私はいつも怒っているんですが。 ――それじゃ奥さんがあまりにかわいそうですね。 工藤 本当に、「ブタ」と呼ぶのはひどい話ですよね。でも、こんな本を書いておきながら言うのもなんですが、私自身は、セックスはそんなに大事なことでもないような気がするんですよね(笑)。 ――工藤さんは中高年の性をテーマに数々のルポを発表していらっしゃいますが……。 工藤 たかがセックスじゃないですか。女性の多くは、セックスをしたら「自分は愛されている」と思い、逆に相手がEDになったら、「愛されてない」「自分は女として機能していないのではないか」と不安でいっぱいになる。男性が若ければ多少それもあるかもしれませんが、年配や延々セックスしてきた相手なら、そりゃEDにもなってもおかしくないでしょう。「そんなことで悩まないでよ」と思ってしまうんです。セックス信仰が強いと、いくつになっても女性は不幸になります。セックスをしていれば、「相手は自分のことを愛している」と思うのは大間違い。全然そんなことありません。だって、男はお金で女を買う動物ですよ。 ――本書の中にも不倫相手がEDになり「人生の終わり」と深刻に悩む女性が登場しますが、そこまで悩む必要はないと。 工藤 彼女も、「私は相手の家庭を壊すようなことはしない、割り切って付き合っている」と口では言っていましたが、本当は結婚願望が強かったんだと思うんです。だから、相手のEDは自分の存在証明が揺らぐことだと悩んだ。しかし、その後不倫相手だった男性と結婚して、EDも含めてあらゆることを許すことができました。 ――女性は必ずしも性欲だけでセックスを求めているわけではないんですね。 工藤 もちろん、女性の中にも快楽のためにセックスを求める方もいらっしゃるでしょう。ただ、日本女性の多くは性欲よりも情緒で求めているところがありますね。カナダに長く住んでいたある男性は、「カナダやアメリカの女性は自分がなぜセックスをするかをわかっている。快楽か、相手を愛しているからか、2人の関係を築くためか。日本の女性は情緒過多で、モヤモヤッとセックスするから、後がやっかいでかなわん」と言ってました。確かにそうかもしれない。自分が何を求めているかわからないから、セックスに愛情や結婚など、過剰な期待をしてしまうんですね。通常、男性はソープランドに行って相手に愛情や結婚を求めないでしょう? ――逆に、セックスをしなくてもカップルが成立するいわゆる「草食系」というケースもここ数年の若い世代に見られますが、どう思いますか。 工藤 それはそれでいいと思います。私が若い頃、お友達がセックスしている中で、自分が処女だと「このまま人生終わるのかな」と不安になったものでした。今になって思うと、セックスで自分が救われると思い込んでいたんですね。それでエネルギーや時間を無駄にしてきた気がします。私たちはそういう世代。今、その世代がおばさんになって、同じことを言ってるんです。「ちゃんとセックスをして死にたい」「このまま女の人生が終わっていいんでしょうか?」と。「いいんじゃない」と思いますね(笑)。 ――最後に、まだ現役世代である若者へメッセージをお願いします。 工藤 セックスは、メールや電話といったコミュニケーションのうちの1つぐらいに思っておいた方がいい。男性も女性も、セックスすれば相手のことが全部わかる、愛し合えると思い込んだり、人生が開ける、自分が変われると思ったりしない方がいい。セックスはすべての解答でもないし、解決法でもないと私は思っています。 (構成/安楽由紀子) 工藤美代子(くどう・みよこ) 1950年東京生まれ。チェコスロバキアのカレル大学留学後、カナダのコロンビア・カレッジ卒業。著書に『悪名の棺 笹川良一伝』『絢爛たる悪運 岸 信介伝』(幻冬舎)、『快楽 更年期からの性を生きる』『炎情熟年離婚と性』(いずれも中公文庫)などがある。

袋に埋め込んだ器具のボタンを押したらすぐ勃起!? 驚くべきアジアのED治療事情

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『男の壁』著者・工藤美代子氏
【サイゾーウーマンより】  「ED(勃起不全)」は、中高年の病気だと思ってはいないだろうか。日本におけるED患者数は1,130万人。原因は、大きく分けて「心因性(=精神的な問題)」と「器質性(=肉体的な問題)」の2種類があるが、特に心因性のEDは若年層にも珍しくないという。  ノンフィクション作家の工藤美代子氏は、親友の不倫相手がEDになったことをきっかけに、ソウル、台湾、上海、北京、タイとアジア各地域のED事情を取材し、『男の壁 ED患者1130万人時代を生きる』(幻冬舎)を上梓した。EDの捉え方、治療法も各地域によってさまざまだが、それにまつわるセックス観もさまざまだ。自分に合った治療法を求めて海外に赴くということも可能になった昨今、自分が、あるいはパートナーがEDになった時、どうすればいいだろうか。著者の工藤氏にインタビューした。 ――本書を読むと、近所の国、地域であっても、EDの捉え方が大きく違うので驚きました。 工藤美代子氏(以下、工藤) お国柄が出ていますね。日本では、30代男性でも「EDに悩んだことがある」という方はいらっしゃいますが、韓国で39歳のイケメンにインタビューしたところ、「周りにEDで悩んでいる人なんて1人もいません」と断言していました。考え方がマッチョなんですよね。韓国では、「男性は強くあらねばならない」というところがあるじゃないですか。韓流ドラマを見ててもそうですよね。その気質がよく出ていました。  ところが、実際には韓国は、アジア各国の中でいちばん過激なED治療を実践しています。袋の中に器具を埋め込み、ボタンを押すと勃つようにする手術まである。しかも、お医者様は「韓国は、EDの研究ではアメリカと並んで先進国。悩んでいないでどんどんいらっしゃい」とおっしゃっていました。 ――EDの遠因も、お国柄があるようです。 工藤 そうなんです。韓国は妻が教育ママ化するケースが多く、子どもの勉強のために母親が夜遅くまで起きていたり、子どもの欧米留学に母親が付いていってしまって別居、何年もセックスレスに陥るケースがあります。夫婦が久しぶりに会って、いざという時に、夫はED。夫婦の基本が壊れてしまっているんでしょう。子どもも大切ですが、夫婦関係が基盤にあってこそだと思いました。 ――台湾は、社会や文化的背景が日本と似ていると言われていますが、いかかでしょうか。 工藤 台湾は明るくフレンドリー。女性同士で「主人がEDで……」と平気で話すそうです。日本では相当親しくても隠したがりますよね。台湾は製薬会社が中心となったグループが「EDは恥ずかしいことではないから治療を受けるように」と啓蒙するCMをテレビで流すなどの活動を行っています。その効果があるようです。 ――日本でもある一時期、流れていたCMと同様のものですね。 工藤 このグループは、かつては日本や中国などアジア数国に窓口がありましたが、今は台湾だけが活動を続けています。そのため、1,000万人あたりのバイアグラの平均使用量は世界で最も高いんです。台湾の男性は、バイアグラをお守りのように持っているそうです。背景には、中国大陸に経済的にも政治的にものみ込まれそうな台湾の国際的な脆弱さも反映されているように思います。特に男性は精神的に不安なところがあるのかもしれません。 ――政治が国民のセックス観にも影響を及ぼしているんですね。 工藤 直接影響を与えているのは中国です。人民の不満を爆発させないよう、セックスはオープンにすることが政府の方針らしく、親子連れも歩く大使館前の通りに平気でアダルトショップがネオンサインを付けてるんです。そこに置いてあるものは、非常にプリミティブなものばかり。経済状況も影響しています。上海では、安い漢方薬は貧乏人が使うもの、すぐに効くバイアグラは金持ちが使うものとされています。お金を持っている共産党の幹部らはバイアグラを買っていますね。中国のバイアグラは偽物も多いのですが。 ――ED治療に宗教が影響している国はありますか。 工藤 本書には書きませんでしたが、インドネシア、特にバリ島はイスラム教ではなくてヒンドゥー教徒の多い場所ですが、そこでは「EDは誰かが呪いをかけているからだ」というケースもあります。恨みがある人は、相手の髪の毛などを魔術師のところに持っていって「EDにしてくれ」と頼みにいくんですよ。それが結構、効果があるとされていて、かなりのインテリでも真顔で「自分のおじさんが黒魔術にかけられて数年苦しんだ」などと言う。ひどい時は死ぬこともあると。黒魔術とか白魔術は、完全に土着の信仰だと思いますが、EDは理由がわからない場合も多いので、そうした信仰が今でも信じられているのでしょう。  同じ南国でも、タイは伝統医療による睾丸マッサージが主流。タイは性の売買が根付いているので、商売の方にとっては相手がEDだとチップにも響きますから、そういうマッサージがてっとり早くていい方法なんですね。でも、どこまでが治療でどこから売春行為なのか境界が曖昧でした。日本で何人かの女性にこの話をしたら「マッサージを習いに行きたい」という方もいましたね。 ――EDに対するさまざまな受け止め方を見て、「この国の治療法がいい」あるいは「セックス観が健全である」と感じた国はありますか。 工藤 どうでしょうか……。まず中国は難しいですね。国民のセックスに共産党の独裁国家が大きく影響しているので、性のあり方としてマイナスの面が大きい。例えば、中国人専用のホテルに外国人を連れていくと罰せられるとか、未婚の男女は同室に宿泊できないとか、そういうのは日本では考えられないし、韓国や台湾でもそこまでの話は聞きません。 ――では、日本はどうでしょうか。世界的に見て、日本の性文化は成熟していると思いますか。 工藤 成熟度でいえば、やはり欧米の方が成熟していると思います。しかし、私は日本の性文化が好きです。すべてスパッと割り切るのではなく、恥ずかしがったり、長年夫婦だからセックスしなくてもいいじゃないかと妥協したりして、波風立てないようになんとなく時間が流れて行くという日本の文化が私は好きなんです。  宗教的にも、例えば神道は、あらゆる物に神が宿っているとしてます。たった1つの神を信じるのではなくて、多くの神々がいるのが日本です。だから、私は詳しくは知りませんが、セックスの神様といいますか、男性器や女性器を祭った場所も日本にはあると聞いています。とても大らかでいいですね。それは男女関係にもいえるでしょう。  カナダに長く住んでいたことがあるんですが、昨日まで「アイラブユー」なんてベタベタしていた夫婦が「今日離婚しました」とあっさり別れるケースが結構ありました。そして、あっという間に若い女性と再婚してまた別れて……そんなことがしょっちゅうでしたね。その点、日本の夫婦はあまり問題を突き詰めないで、結婚も男と女の間のトラブルというよりも、家族や会社など社会性を含めて考える。そこが不純だという人もいますが、私は個人的には、まあまあというか、なれ合いで生きてゆく方が楽です。だからEDも、あまり家族の話題にはならないのでしょう。 (構成/安楽由紀子) (後編につづく) 工藤美代子(くどう・みよこ) 1950年東京生まれ。チェコスロバキアのカレル大学留学後、カナダのコロンビア・カレッジ卒業。著書に『悪名の棺 笹川良一伝』『絢爛たる悪運 岸 信介伝』(幻冬舎)、『快楽 更年期からの性を生きる』『炎情熟年離婚と性』(いずれも中公文庫)などがある。

海賊国家といわれるソマリアに林立する「国家のようなもの」その実態に迫る!【後編】

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駐車してある戦車の前でくつろぐ人々(モガディショ)。
【前編】【中編】はこちらから ――『謎の独立国家ソマリランド』では、高野さんの紀行文とソマリランドを学者のように解説するくだりが交互に出てきます。読者のみなさんには、どういうところに注目して読んでもらいたいですか? 高野秀行(以下、高野) SFを読むような気分で読んでもらえると、面白いんじゃないかと思います。この世のことではなくて、別の惑星で起きているみたいな。 ――別の惑星と言われると納得できます。少なくとも、日本人の文化や概念からはほぼ外れていますよね。 高野 僕はこの本で、2つのことをいっぺんにやろうとしたんです。ひとつは専門家が読んでも、役に立つ本であること。従来のソマリアは20年も無政府で、ソマリランドは国家として承認されていない。研究者もいないし、知っているジャーナリストもいない。無政府状態になる以前は軍事独裁政権で、やはりジャーナリストや研究者は自由に入れなかった。わからないことだらけなんですよ。国自体が未知の世界で、まさに政治的秘境になっているから、そこにはいろいろな面白いことがあります。そういう意味で、この本は資料的な価値も絶対あるはずなので、研究者やジャーナリストが読んでも役に立つように書いてあります。  もうひとつは、面白い物語であること。専門書だと、一般の人が読む理由がなくなってきますよね。一般の人はソマリアなんて知らなくてもいい。地理的にも離れているし、商売をしているわけでもない。そういう人には、純粋に冒険物やSFを読むように楽しんでもらいたいです。 ■海外取材における、お金の話 ――著書ではお金、特に取材費の話が出てきますよね。当初持っていった取材費は150万円くらいとのことですが、フリーランスが海外取材する場合の予算や、現金を持ち歩くことのリスクを、どのように考えていますか?
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機関銃を携える民兵。
高野 大都市ではたいていクレジットカードが使えるから多額の現金を持って行く必要はないけど、ソマリアみたいなところではカードが一切使えないから、持って行くしかない。実は送金してもらう手もあったのですが、当時はわからなかったので。 ――現金を、どこに入れていたんですか? 高野 150万をドルにして、分厚いので分散して、腹(腹に巻くタイプの貴重品袋)に入れました。20ドルくらいまでの細かいものはビニール袋に入れてカバンの中に入れ、50ドル以上のお金は身に着けていました。 ――高野さんは「著作を一冊書いても70~80万ぐらいの収入にしかならない」とサラッと書いていますが、衝撃を受ける読者もいると思います。費用対効果は考えていましたか? 高野 まったく考えていませんね。考えたら行けないですよ。今まで出版社からお金をもらって行った取材も何回かあるけど、大半は自分でやっています。企画になるかわからないことに出版社はお金出してくれませんから。 ――それは実際に本になるまでは、高野さんが何を言いたいのか、編集者には伝わらないということでしょうか? 高野 そうそう、そういうことです。いくら説明しても、全然わかってもらえないから。それでも以前は企画にしようと頑張って伝えていたのですが、いくら言ってもわかってもらえない。今でも僕が面白いと思っていることは、だいたい編集者に伝わらなくて。行く前は全然企画として成立していなくて、行って書くと「あぁ」と納得して、ようやくわかってくれる。だから、書いたものを見せないとしょうがないんですよね。 ――企画書だけでは編集者に面白さが伝わらない、ということに苦労しているんですね。 高野 でも、簡単に伝わらないことは、すごくいいことだと思います。人が想像していることをやってもしょうがないから。人が想像できないことをやらなきゃね。 ――実際『謎の独立国家ソマリランド』が売れているのも、人の想像力を超えた物語であるということが大きいと思います。ご自身は、売れている理由をどのように分析されていますか?
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私の面倒をみてくれたモガディショの美人ジャーナリスト(右)。
高野 まあ異様な本でしょ。タイトルが『謎の独立国家ソマリランド』で、こんなしっかりした作りで、帯も「西欧民主主義、敗れたり!!」って言い切っているし。本の雑誌社の担当編集者とも話したんだけど、本当に面白い本はちゃんと売れるんだなって。出版に対して未来を感じたというか、まだまだ捨てたもんじゃないなと思いましたね。 ――存在感がすごくあるというか密度が濃いというか、詰め込まれているというのが厚さだけじゃなくてパッと見でわかりますね。 高野 編集者とレイアウト担当の人と、完璧な本を作りたいと話していたんです。地図なんかも、すごく変で複雑な地図ですが、あれも繰り返し繰り返し直して文字の大きさや色にこだわって、いかにわかりやすくきれいに仕上げるかを徹底してやったんです。地図にはやっぱり色がつかないとわからないということになり、カラーは8ページと決まっているので、最後の写真を削って入れたんですよね。 ――500ページを超える大作ですが、執筆には苦労されたんですか? 高野 自分の中では、苦労は少ないほうですね。書き直しは少なかったです。最初に書くときにものすごくいろいろ書いて、流れを自分の中で考えて作りましたからね。 ――最初から最後まで、ちゃんと考えられているわけですね。 高野 そうです。関係者全員で、完璧に作ろうと頑張りましたから。ソマリはもうこれ一冊でOKなんだ、という本にしたかった。自分の集大成なんですよね。今まで25冊近く書いてきたけど、10年前だったら、この本は書けなかったと思います。理由は、技術的に難しいから。情報だけ並べるのであればそれはできるし、ストーリーだけ書くのであればそれもできるんだけど、情報を入れてそれをストーリーにしていくとなると、こんなに要素が多いと、めちゃくちゃ難しくなってくる。10年前だと、たぶんそれが技術的にできなかったと思うんです。 ――ソマリランドでシリーズ化したいと考えているんですか? 高野 あと6~7冊は書こうかなと。まず銃撃戦を含めた続編を考えていて、それから向こうで親しくなったジャーナリストを日本に呼んで、彼らと一緒に本を作ることを計画しています。来年にはラクダで古代王国を探す旅に出る予定。そんな夢を持てる国なんてないですよね。僕にとってソマリというのはライフワークなので、それだけやるのではなくて、ひとつの大きな縦軸として今後も続けていきます。 (取材・文=丸山佑介/犯罪ジャーナリスト<http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/>) Somali_chosha.jpg ●たかの・ひでゆき 1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに、文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。1992~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。

海賊国家といわれるソマリアに林立する「国家のようなもの」その実態に迫る!【中編】

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“海賊の首都”プントランドのボサソ。
【前編】はこちらから ■海賊と誘拐ビジネスの実態 ――高野さんが見た海賊の実態を教えてください。 高野秀行(以下、高野) 僕も最初は海賊がなんなのかまったくわからなくて、マフィアっぽいのか、あるいは山賊っぽいのかなという漠然としたイメージしかなかったし、かつてのソマリア全土に存在すると思ってました。でも実際には、ソマリランド政府の手が及んでいるところにはいない。 ――報道される海賊の被害が出ているエリアは、どのあたりになるのでしょうか? 高野 海賊のメインはプントランドで、7~8割はそこだと思います。近くの南部ソマリアでもやってはいますが、内戦状態の南部は海賊が少ないです。 ――変な言い方ですが、安定しているから海賊ができるということでしょうか? 高野 因果関係はわからないけど、もしかしたらあるのかもしれない。というのは、海賊をやっていると万事丸く収まるところがあるわけです。これがもし陸地でやったら、地元で敵を作ることになって、復讐を呼んで内戦になる。外国船を捕まえて身代金を要求すれば誰も傷つかないし、それでお金が回るわけだから、みんな丸く収まる。 ――一般にイメージされる海賊は、略奪が基本ですよね。ところが著書を拝見すると、実際にメインなのは誘拐ビジネスとのこと。それもプントランドでは、政府自体が誘拐の交渉を仲介してくれますよね。そうすることで身代金の額は跳ね上がって、交渉もまとまりやすくなる。これは国家事業ということなんでしょうか? 高野 ソマリの氏族社会の伝統なんですよね。昔から敵対している氏族を拉致して、身代金でラクダを10頭とか15頭とか支払わせる。その間、捕虜を傷つけてはいけないという掟がちゃんとある。そういうことに慣れているから、彼らにとって「海賊」はニュービジネスでもなんでもなくて、昔から陸地で散々やっていることを海に当てはめてやっているだけなんです。「不倫は文化」と言った芸能人がいたけど、ソマリでは拉致も文化の一部なんです。 ――身代金の額も大きいし、部族間でトラブルも起きない。いいシステムなんですね。 高野 みんなそのシステムをわかっているから、田舎の漁民とかラクダ使いみたいな人でもできる。海賊は特殊な職業ではなく、いつ誰が転じてもおかしくない。例えば、人手が足りないから手伝ってくれよ、みたいなこともあるんです。 ――著書の中でも「一族の中に一人くらいは絶対いる」と書かれていますよね。 高野 愛知県におけるトヨタ自動車みたいなものだから、みんな何かしら関連しているんですよ。 ――ソマリアの誘拐ビジネスは、金さえ払えば無事に釈放されるのでしょうか? 高野 そうです。殺したら金をもらえなくなる上に、復讐を呼ぶでしょ。彼らは復讐をすごく恐れている。彼らは、いかにリスクをかけずに収入を得られるか常に計算している。非常に合理的な人たちなんです。 ――著書の中で出てきた、高野さんが海賊を雇う計画ですが、どこまで本気なんですか?
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海賊に拉致されたドイツ人とそのヨット。
高野 本気です。ウソは書いていませんから。ただ、海賊をやりたいのではなく、なんとか金を取り返したくて、海賊のドキュメンタリーを撮れないかと思ったんです。地元のジャーナリストに相談したら「海賊を雇えばいい」と言われて、「そうか!」とそのときは目からうろこな気がしたんですよ。いくらくらいかかるのか聞いたら、どんどん見積もりを出してくるから、計算してみたわけです。 ――それは本当に実現可能なんですか? 高野 十分実現可能です。罪の意識が薄い海賊が多いんですよ。まず誰も傷つけない。「人質は大切だから傷つけたりしない」と言うくらいです。しかも外国船を拿捕したところで米軍が復讐に来るわけでもないので、捕まる心配がない。 ――見積もりを取るだけで、海賊の構造がすごくよくわかりますね。 高野 これまでの海賊の話って、いくら聞いてもなんかぼんやりしていて、今ひとつわからなかったんです。世界中のアンダーグラウンドが関わっていると言われても、どうしても陰謀論めいた話になっていくので、具体的にどういうことか全然わからない。でも見積もりを取ったらどんどん見えてきて、取材ではわからなくても見積もりではわかる。見積もりすげぇなって思いました(笑)。 ――見積もりから見えてくることって多いんですね。 高野 バズーカや機関銃はレンタルのほうが安い、とかね(笑)。 ――ソマリランド以外のソマリアでは、治安はどうでしょう。ソマリランドを一歩出ると危険なんでしょうか? プントランドは、やはり危険ですか? 高野 治安の面でいえば、プントランドは護衛なしだと外国人なんか5分と立っていられないと言われましたね。ただし、戦争や内乱の勃発といったことはなく、政情の安定は保たれています。同じ系列の氏族で固めてあるので大きな内戦はありませんが、氏族間の抗争みたいなものはあって、ヤクザの抗争みたいな感じで、関係している人とそうじゃない人がいるんです。トラブルの発端は大体つまらないことで、ラクダの水場を争ってケンカして殺してしまったとか、借金を返さないとかで、誰かひとり殺されると抗争が始まる、ということがプントランドでは結構ありますが、すごく大きな混乱にはならないです。 ――一番治安がヤバイなと思ったのは、南部ソマリアのほうですか? 高野 南部ソマリアは自称国家が乱立しているし、僕が行ったときはアル・シャバーブというイスラム過激派が、かなりの勢力を持っていました。そいつらは簡単に人を殺すし、外国人はすぐに拉致する。自分たちの言うことに従わなければ簡単に殺すというのは、今までのソマリにはなかった価値観なんです。今はアル・シャバーブの勢力が弱まり、今度はまた昔ながらの氏族間による戦争が再開しています。
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プントランド移動中は4人の兵士を護衛につけた。
■経済学の概念をひっくり返す、驚きの通貨事情 ――著書を読んでいて笑ったのが、プントランドの換金レートの変動で身代金の支払いがあったかどうかがわかるという話なんですが、ものすごく単純な市場原理ですね。地元の海賊にお金が入ると換金するから、周りにも回っていくという。 高野 大きい買い物はドルでするのが普通だけど、日用品はソマリア・シリングで買うしかない。洋服を買ったりガソリンを入れたりするのは全部ソマリア・シリングだから、結局換金しないといけないんです。身代金の支払いが発生すると、一度に大量にドルを換金するから、ドルのレートがガクンと下がる。 ――レートのことで気になるのは、買い物するときは大量の紙幣を持ち歩くんですか? 高野 ソマリランドはソマリランド・シリング、プントランドと南部ソマリアはソマリア・シリングと、別々の通貨を使っています。両方とも、100ドルも換金したら片手で持ちきれないほどの札束になる。  それが大変だから、今ソマリア3国で携帯マネーがすごく普及しているんです。バナナ一本でも携帯で買えるんです。「ザード」と呼ばれるシステムで、携帯会社に金を預けておいて、相手の電話番号さえわかれば、今買い物をしている店でも何百キロも離れた町の親戚にでも送金することができる。ソマリランドでもプントランドでも、屋台みたいな店でも張り紙に電話番号が書いてあって、携帯電話を操作して送金して買い物をするんです。 ――最先端の決済システムじゃないですか。まったくイメージできないですよね。 高野 僕が行ったときも、とにかくものすごくシリング札がかさばるけど、ドルを細かくするのも面倒。でも、端数って必ず出るじゃないですか。だから、旅の後半はもっぱら「ザード」に頼っていましたね。キャッシュを持ち歩かなくて済むし。このシステムには前の段階があって、それは氏族の信用取引なんです。同じ氏族同士で使えるアナログのクレジットカードみたいなものがあって、遠くに移動するときに現金を持っていくのが心配な場合、自分と同じ氏族の人にお金を預けて、行った先の同じ氏族の人にお願いするとお金を下ろすことができるんです。 ――アナログなシステムを、最新ツールでやっているんですね。とっぴなことに思えるけど、大本はあるわけですね。 高野 彼らは、借り物でやらないんです。ヨーロッパでやっているからうちでもやる、と飛びつかない。彼らがやっていることは、大体氏族の伝統社会に元がある。海賊も、そのアレンジというわけです。 ――ソマリ人は頭がいいですね。日本では本人確認に手間取ってしまうけど、携帯で電話番号に送金するのは、むしろ簡単じゃないですか。 高野 彼らは、面倒なことが嫌いだから。日本だと、送金するにしても身分証明書だとか口座を作ってとかやらなきゃいけないけど、口座なんていらないからすごく簡単です。 ――海外にお金を持ち出すのも楽ですよね。例えば海賊が5万ドル儲かったからヨーロッパに行くとか、そういうことも向こうにいる同族に預ければいいから、持ち運ぶリスクもなく楽にできる。 高野 マネーロンダリングする必要もない。誰もソマリアに来て調べないし(笑)。
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ソマリ人の生活に欠かせない覚醒植物カートの販売スタンド。
■ソマリランドの名物「カート」とは何か? ――高野さんは覚醒植物「カート」を食べて地元の人と交流していましたが、今後ソマリランドを訪れる人が食べるには難易度高いですかね。 高野 カート居酒屋(カートを提供するカフェ)は、あまりお勧めしないですね。あれは地元民にカートをたかられる(笑)。 ――他の国では、覚醒植物なんかの葉っぱを噛んだらペッと吐き出すことが多いですけど、ソマリアでは食べるそうですね。 高野 全部飲んじゃいますね。 ――おなか痛くならないんですか? 高野 それが、すごく腹の調子がよくて。僕は胃腸が弱くて下痢しやすいんだけど、ソマリアでは一回もなかった。ものすごく胃腸にいいんじゃないかな。砂漠の中をトラックで運ぶから土埃とかいっぱい付いているはずなのに全然平気ということは、多分葉っぱに殺菌作用があるんじゃないかと思います。 ――著書では随所に、どこかに行くと「地元の人とカートやりたい」と書かれていますが、それくらい一般的に普及しているものなんですね。 高野 日本でいうと酒を飲むのと同じ感じです。現地の人と友達になって、その人に「カート食べたい」と言えば連れて行ってくれますよ。楽しいと思いますよ。 ――普通の食事で、お勧めはありますか? 高野 ソマリランドの食べ物は、すごくおいしいです。特に日本人が親しみやすい味で、メインはヤギ肉と、あとはラクダ肉。魚もあります。主食は米・パン・パスタ、あとはアンジェラというトウモロコシを小麦粉で練って引き伸ばして焼いた、インドの主食チャパティみたいなものがおいしいです。 ■旧ソマリアで発揮された日本の存在感 ――ソマリアの三地域における日本の存在感って、どうなんでしょうか? 高野 日本は“すごい国”だと思われていますよ。現地では、車が99%日本車で、みんな日本の中古車に乗っています。ネットは結構普及していますが、まだアップルが入っていないので、パソコンもほとんど日本製です。スマホは、サムスン製品が最近出てきていますけどね。Wi-Fiを使えるところが多く、中級以上のホテルにはまずWi-Fiが通っているので、日本の田舎より全然使えます。砂漠で電波が飛びやすいから、日本みたいにちょっと建物や山の陰に入るとつながらない、みたいなこともない。 ――こうやってみてくると、ソマリランドがかなり身近に感じられるから不思議ですね。ソマリランドに行きたいという人も出てくるかもしれませんが、高野さんお勧めの入国ルートはありますか? 高野 一番面白いのは、僕もまだやっていないんだけど、イエメンから船が出ていて、それで渡るというのを一回やってみたい(笑)。 ――それはちょっと上級編ですね。そういう船は、海賊に拿捕されないんですか? 高野 大丈夫、知っている船は襲わない。だって、復讐されるから(笑)。 (【後編へ続く】取材・文=丸山佑介/犯罪ジャーナリスト<http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/>) Somali_chosha.jpg ●たかの・ひでゆき 1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに、文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。1992~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。

海賊国家といわれるソマリアに林立する「国家のようなもの」その実態に迫る!【前編】

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無政府状態にあるソマリアの首都モガディショ市街。
 海賊が頻出し世界の危険地帯のひとつとして知られるソマリアは、アフリカ大陸東部の突端に位置する国家である。1991年に勃発した内戦によって政権が崩壊し無政府状態となっており、今ではどんな状態なのかすらわからない謎のエリアとなってしまった。  そんな危険地帯に乗り込んだノンフィクション作家の高野秀行氏が『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)を上梓した。  これまで、幻の怪獣ムベンベや怪魚ウモッカなど数々の未知動物を追い続け、常に冒険へと挑む高野氏に、海賊が跋扈する国家の実態はいかなるものか、そして取材時のエピソードや今後の野望などを伺った。 ――そもそも、なぜソマリア(ソマリランド)を目指したのですか? 高野秀行(以下、高野) まず、崩壊していてグシャグシャになっている従来のソマリアの国土内にソマリランドという謎の独立国があり、それが国連の介入を拒否して独自に平和を保っているというのが、すごく不思議だったんです。「そんなものが本当にあるのか? あるとしたら、どうやって成り立っているのか?」そんな疑問が涌き起こってきて、興味を持ったことがきっかけです。 ――「ソマリランド」という単語を初めて耳にしたのは、いつ頃ですか? 高野 訪れる1年前の08年頃のことです。この時点で建国から20年近くたっている計算になるのに、ソマリランドのことがまったくわからない。ガセネタかもしれないなと思っていました。 ――高野さんといえば秘境探検の代名詞ですし、以前は辺境作家と名乗られていましたよね。出演されたラジオ番組で高野さんが目指す秘境のことを説明するのに「政治的秘境」という言葉を使われていましたが、今回もそれに該当すると思われたのでしょうか? 高野 政治的秘境ですよね。20年間も政府がないと、誰も行けないわけですよ。ソマリア自体がブラックボックスみたいな感じでしょ。実際、当時ニュースで報道されていたのも、海賊がいるとか無政府状態だとかで「ソマリランド」という単語すら出てこないので、日本で調べている段階では全然わからなかった。唯一わかっていたのは、旧ソマリア国内に「ソマリランド」と「プントランド」と「南部ソマリア」が三国志状態で乱立しているらしい、ということぐらいでした。 ――高野さんは、アフリカや中東の周辺諸国には何度も行かれていますよね? そこからイメージしたりとかはできなかったんですか?
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ラクダ肉を見せてくれたソマリランドの肉屋の人たち。
高野 いや、もう全然違うと思っていました。周辺国の人も「ソマリ人はイカれてる」って言っていたし、地獄みたいなイメージしかなかった。前に一度飛行機でモガディシュから来たソマリ人と乗り合わせたことがあって、「モガディシュって、すごく危ないんじゃないの?」と聞いたら「いや全然危なくない。武装した護衛を付けていけば全然OKだ」と言うから、「それはOKじゃないだろう!」と(笑)。 ――いざ行くとなったとき、ビザ(査証)はどうされたのですか? 高野 それもわからなかった。でも09年頃にいよいよソマリランドに行こうと思ってネットで調べていたら「ようこそ、ソマリランドへ!」と英語で書かれたソマリランド共和国のホームページが出てきて、そこでビザの用紙をダウンロードできたんですが、今度はどこに申請したらいいのか書いてなかった。一体どうしてほしいんだ? と思いました。  そこで、アフリカでずっとジャーナリストをしている昔からの知り合いで、ケニア・ナイロビ在住のカメラマン中野智明さんに話を聞いてみたら、昔エチオピアのアディスアベバでビザが取れたというので、じゃあそこに行って取ってみるかということになったんです。 ――とはいえ、どうなるかもわからない状態で、行動に移すのを後押ししたのはなんだったのでしょうか? 高野 取材対象が「国」だったことかな。なんせ、未知動物を探すことが嫌になってきて(笑)。というのは、未知動物を探す上で最大の欠点は、見つからないということでしょ。まあ動物は見つからなくてもしょうがないけど、「国」だったらあるだろうと。 ――たまには取材の“取れ高”もあったほうがいいと? 高野 そうそう。たまには見つけてみたいし(笑)。国だったら、「ある」可能性が高いだろうと思ったわけです。 ■実際に訪れて目の当たりにしたソマリランドの現実 ――実際に現地に行ってみて、どうだったんですか? また、入国にはどんな困難がありましたか? 高野 エチオピアでビザを申請したら思いのほか簡単に取れて、その後は入国も普通にできました。その段階では普通の「国」に入るみたいだなと思ったんですよね。正直、思っていたのと違うな、というのはあった。未確認国家を見つけに行ったのに、すんなり入れたので、どうしようかと戸惑ってしまいました。
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ソマリランドを走る車は99%日本車
 入ったらそこがゴールというのをイメージしていたのに、普通に入れて普通に機能している。普通に機能している国の存在を証明するためには何をしたらいいのか、わからなくなってしまったんです。 ――著書によると、ソマリランドに入国し、旧ソマリア時代の首都モガディシュに次ぐ第二の都市であるハルゲイサに着くと、すぐガイドを付けましたよね。東洋人が一人で歩いたら危ないなという感じは受けましたか? 高野 身の危険を感じることは、まったくなかったですね。変な奴が寄ってきて金をせびったり、ぼったくったりということはあるかもしれないけど。そこはアフリカの普通の国という感じでした。力ずくでなんとかするという気配はない。何しろ銃を持っている人間がいないというのが驚異的で、大体アジア・アフリカ・南米といったら民間人は武装していないけど警察や軍隊があちこちでウロウロしているのに、そういうのもない。交通整理のおまわりさんしかいないから。 ――想像していた、ブラックボックスの海賊国家というイメージは完全に打ち砕かれたわけですね。実際にソマリ人と触れ合ってみて、彼らはどんな人たちでしたか? 高野 人種的にはアフリカですが、アラブ人の血も入っているので美男美女が多いんです。性格的には荒っぽい人たちですね。とにかくガーガー怒鳴って、基本人の話は聞かないし、せっかちだし。欲しいものはガッとつかんでから「それちょっと貸して」と言う。部屋はノックしないし。驚いたのは、物乞いがいないんですよ。彼らは、恵んでもらうぐらいだったら盗むから(笑)。そういえば、ソマリ人が荒っぽいという話で本には書かなかったことなんですが、「ソマリ人にはDVがあるか?」と聞いたら「ない」と言われたんです。本当はあるのに隠しているのかと思ったら、「カミさんを殴ったら、カミさんの一族が復讐に来る」って、イカつい男性が本気で言っていて(笑)。実際、南部ソマリアでは、そんな理由から戦争になることが珍しくないんだそうです。 ――言葉や宗教、主な産業などは? 高野 言語はほぼソマリ語のみ、宗教はイスラム教。産業はラクダとヤギの牧畜だけで、工業はなんにもない。 ――高野さんはソマリアを説明するために、著書の中で「氏族」という言葉を使っていますが、この概念がないと意味がわからないですよね。「部族」とは違う。「氏族」だと確かにわかりやすいです。ソマリ人がここまで「氏族」にこだわるのは、中東・アフリカエリアでも特殊なのでしょうか? 高野 「氏族」は、日本でいう「武田氏」や「上杉氏」みたいなものです。氏族が違っても、みんなソマリ人だから言語も文化も同じ。それに対して「部族」というのは曖昧な言葉で、私は「民族」と呼ぶべきだと思いますが、言語と文化を共有する集団。アフリカのほとんどの国は多民族国家です。ソマリアもソマリランドもほぼ単一民族国家だけど、その中で異なった氏族が争っている。昔の日本の戦国時代によく似てます。 (【中編へ続く】取材・文=丸山佑介/犯罪ジャーナリスト<http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/>) Somali_chosha.jpg ●たかの・ひでゆき 1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに、文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。1992~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。

東京03メンバー激白「TSUTAYAを閉店させ、歩道橋を封鎖する」角田晃広はどれだけ天才なのか?

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 今年、結成10周年を迎えた東京03。そんな彼らが3月27日、最新DVD『第14回東京03単独公演「後手中の後手」』(コンテンツリーグ)をリリース。さらに、過去に発売されたDVD11タイトルを詰め込んだ『東京03 DVD-BOX』(同)が、1003セット限定で同時発売されることになった。2010年から始まった全国ツアーも好調で、いまやコントの王者としての風格すら漂っている3人にインタビューを行った。 ――まずは、このDVDに収録されている単独公演についてうかがいたいと思います。ライブのタイトルを『後手中の後手】にした理由は? 飯塚 単独のタイトルは、なんとなく3部作でくくってるんですよ。前回が『図星中の図星』だったので、今回も『○○中の○○』シリーズで考えていて、そこで「後手」っていうキーワードが出てきたんです。うちの角ちゃん(角田)が、何をやっても後手に回ることが多いっていう。 ――「後手に回る」っていうのは、具体的にはどういうことですか? 飯塚 単純に、今これ言っておけば面白かったのに、なんで言わないの? とか。それで「あっ、そうか」って気付いて後から変なタイミングで言ったりしても、それはもう笑えないよ、とか。とにかく後手に回ってるイメージなんですよね。 角田 例えば、食事しに行きたいと思っていたお店があって、今回はそこはやめておこう、って考えて違うところに行く。そうすると、次にもともと行きたかった方のお店に行くと、潰れてたりする。 飯塚 それでしょうがなく別のお店に行ったら、そこがまずかったりとか(笑)。 角田 単純にそういうのが多いんです。後手というより「ツイてない」っていうのもあります。わざわざ遠出して行ったら定休日、とか。引っ越した先にあるレンタルビデオ屋が、引っ越した途端に潰れたりとか。それが3回ぐらい続きましたからね。1回、TSUTAYAもなくなりましたからね(笑)。 ――あのTSUTAYAが!? 飯塚 引っ越されたら、たまったもんじゃないよね。「うちの街に角田が来たぞ!」って(笑)。
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問題の角田晃広
――今は大丈夫なんですか? 角田 今はもう、そもそもレンタルビデオ屋がないところに引っ越しましたから。 豊本 「レンタルビデオ屋がないところ」っていう条件で物件を探したの?(笑) 飯塚 何、その影響力! 角田 引っ越した先が交差点のところにある物件だったんですよ。で、そこに歩道橋があったんですけど、引っ越した途端にその歩道橋で工事が始まっちゃって、使えない状態になって。それで信号待たないといけなくて不便なんですよね。 飯塚 すごいよね。歩道橋を封鎖した。角ちゃんならレインボーブリッジもいけるんじゃないの? 角田 いっちゃう?(笑) 飯塚 でも、それを期待していくと、何もなかったりするんだよね。 角田 そう、狙っちゃうと違うんだよ。
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飯塚悟志
――では、このDVDに収録されている「後手」というコントに出てくる角田さんが演じる人物は、ご本人のキャラクターがそのまま出ているような感じなんですね。 飯塚 そういえば、結構このライブにはそういうネタが多いかも。「余裕」っていうコントもそうですね。角ちゃんの普段考えてる思いのたけをこのネタにぶつけてる。 角田 ぶつけてますね。例えば、この3人で仕事をして、僕がスベったとするじゃないですか。そのときに、とよもっちゃん(豊本)は、僕がスベったことで気が楽になって、余裕が生まれてよくしゃべったりするんですよ。 飯塚 生き生きし始める。 角田 生き生きして、のびのびしやがって、って。それで、その逆の場合もあるし。とよもっちゃんがスベって、僕が……。 飯塚 いや、どんだけスベってるんだよ!(笑) 豊本 でも、そういうことはあるよね。 飯塚 いや、あるんだけど、今の話だけ聞いてると、毎回交互にスベってるみたいになるから。なんのためのトリオなんだよ。 角田 そうやって余裕を出されるとムカつくし、自分で最初から生き生きしろよ、とか思っちゃうし。他人のスベったのを見て気が楽になって生き生きしてんじゃないよ! って思って。……まあ、(器が)小さいんですよね。 飯塚 小さいねー。だから、スベんなきゃいいのに(笑)。そんなことうだうだ考えてる時間があったら、スベんないようにしたほうがいいんじゃない? ――今回の単独公演では、全国18カ所を回るツアーを行ったそうですが、地域ごとに反応の違いなどはありましたか? 飯塚 意外にありますね。だから、毎回新鮮にできて、飽きないんですよ。大阪だとわかりやすくツッコまないと笑ってくれない、とか。あと、今回初めて沖縄でやったんです。沖縄の人ってのんびりしてて、小さいこととかあんまり考えないイメージじゃないですか。でも、僕らのネタって正反対なんですよ。人間の小さい部分ばっかりネタにしてるから、結構やるまで不安だったんですけど。 角田 別にそんな小さいことはいいじゃない、っていう感じになるのかな、って。 飯塚 僕らのネタって「逆なんくるないさー」なので(笑)。でも、意外に受け入れてもらって。出来としては一番良かったんじゃないかなって感じでしたね。 角田 だから、ああ、沖縄の人も結構小さいこと気にしてるんだな、って(笑)。 ――皆さんは今年で結成10年目ということですが、結成当初と比べて変わったことはありますか? 飯塚 角ちゃんは変わったと思う。角ちゃんは本当に面倒くさかった。まあ、わがまま、意固地、短気。大変でしたよ。相当気を使いました。最初はそれぞれ別々のコンビでやっていたから、そんなに角ちゃんの本質みたいなところを知らなかったんですよ。ただのいい人だと思ってたんです。すごい物腰も柔らかいし、いつも笑顔ですし。それが、いざ一緒に仕事をするとなるとなかなかうまくいかなくて、嫌な部分をいっぱい見ましたよ。
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豊本明長
――例えばどんなことですか? 飯塚 こっちの意見を一切聞かないんです。だから、ネタ作りとかも、お互いの意見がぶつかったときには、必ず僕の方が折れてましたし。じゃないと動かないから。単純に「ちょっと間がおかしいんじゃない?」とか僕が言っても「いや、俺は間違ってない」って。 角田 自分が完璧だと思ってたんでしょうね。できる人だと思ってましたから。でも、やっていくうちに、人力舎の先輩とかにも教育を受けて、ああ、違うんだな、って。自分は何もできてないんだな、と。それまでは大変なご迷惑をおかけした時期ですよ。 ――今ご自分で振り返ってもそう思われると。 角田 いやあ、ひどいですね。よく居れてたな、っていう感じです。 ――今はもうすっかり変わった? 飯塚 今は本当にちゃんと、会話というか話し合いができるようになりましたね。僕が全部正しいわけでもないし、話し合いたいんですけど、昔はそれをもう完全にシャットアウトしてましたから。……ただ、角ちゃんは天才だったからなー。今もそうですけど。舞台に立ったらすごいので、それで持ってたようなものですね。これでどうにもなんなかったら、たぶん1~2年で辞めてたと思いますね。 ――豊本さんは、この10年を振り返ってみていかがですか? 豊本 僕は基本、2人が持ってきたものを受け入れるだけなので。それで嫌だと思ったことはないので、それは2人が感覚が合うものを出してくれてるからだろうなと思いますけどね。3人になってから唯一僕が意見を言ったのは、3人になったときに「飯塚さん、トリオだとギャラが三等分になるけどいいですか?」って。それぐらいしか言ってない。 飯塚 豊本は金に汚いんですよ(笑)。 豊本 汚いって言う言い方は聞こえが良くないけどね。 飯塚 いや、汚いですね。僕と角ちゃんはもう、夢と希望しかないもんね。 角田 うん、そりゃそうでしょう! 豊本 いや、それはずるいよ! 確かに金の話はしたから否定はしないけど!(笑) (取材・文=ラリー遠田/撮影=名鹿祥史)
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●とうきょう・ぜろさん 飯塚悟志、角田晃広、豊本明長からなるお笑いトリオ。2003年、飯塚・豊本の「アルファルファ」に「プラスドライバー」を解散した角田が加わる形で結成。06年『お笑いホープ大賞』大賞受賞。『キングオブコント2009』優勝。

「スナックにはスナックの歌がある」酔街が教えてくれる“やらかさない”生き方

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撮影=高橋郁子
 路地裏にネオンがポツリ。エコー強めのカラオケとママの合いの手が、扉の隙間から漏れ聞こえてくる――。日本独自の風俗であるスナックの素晴らしさを世に広めようとさまざまな布教活動を続けている浅草キッド・玉袋筋太郎氏が、初のシングル「酔街エレジー」を発売する。スナックという“こころの港”を求めてさまよう、男たちの悲哀(エレジー)。この曲に玉袋氏が込めた思いとは? あなたの知らない世界“スナック”と“昭和歌謡”の魅力を、玉ちゃんが語り尽くす!! ――「酔街エレジー」拝聴しました。玉袋さんの絶妙な声の枯れ具合が、また沁みます。 玉ちゃん お酒でうがいするとこうなるよ(笑)。かつては、ウィーン少年合唱団みたいな声してたのに……この声を作るのに、どれだけ費用がかかったことか!! この「酔街エレジー」は、そうやって徐々に出来上がっていく曲だと思うんだよ。20代には20代の「酔街エレジー」があり、30代には30代の、40代には40代のね。45歳の「酔街エレジー」が、今の俺が歌うこれ。年を取れば、また違ったものになるんじゃないかな。 ――「酔街エレジー」が生まれたきっかけは? 玉ちゃん 俺は“スナック玉ちゃん”っていうイベントをずっとやってるんだけど、そのバスツアーで、俺が観光大使をやってる檜原村に行ったんですよ。檜原村でスナック玉ちゃんをオープンして、みんなで楽しく飲んで。外でたき火燃やしていいムードのところに、この男(※作詞作曲した、くろやなぎけんろう氏)がギター持ってきて歌いだしたのがこの曲。「玉ちゃんに歌ってほしくて作ったんだ」って。 ――ロマンティックですねぇ。 玉ちゃん たき火から火がついて、それから夜のネオンにも灯がついてってね(笑)。まぁ、ずっと一緒にスナック活動してきた仲間だから、自然と歌詞も曲もできたんじゃないですか。行き当たりバッタリっていうのがイイでしょ。ノープロジェクトで。 ――スナックに入るときも、直感ですか? 玉ちゃん 直感直感。そのセンサーはね、本当はみんな持ってるんだけど、ちょっと鈍っちゃってるんですよ。最近じゃあ、なんでも便利になっちゃってるから。この店は星がいくつ付いてるとかさ。そんなもんに頼っちゃダメですよ。自分のセンサーを持たないと。ぐるなびじゃない、“はーなび”(自分の鼻ナビ)ね。いい店をかぎ分ける嗅覚を持たないと。スナックこそ、そのセンサーを鍛えられる格好の場所ですよ。第六感が磨かれる。 ――すでに超能力の領域ですね。 玉ちゃん そうです。私がスナックメンタリストです(笑)。いいんですよ、分かるやつだけ分かれば。だって、飲食業やサービス業の歴史から見ても、スナックはもっとメインストリームをいくべき業種ですよ。それがさ、路地裏に追いやられて、悪いものみたいなイメージで。それに対してママもマスターも反論せず、そのイメージを背負って生きているっていうのがね、かっこいい。 IMG_0061.jpg ――確かに。コンビニがない村があっても、スナックがない村はないです。 玉ちゃん 俺にとっちゃ、スナックが額を寄せ合っている裏路地を見つけたら、Duty Freeで興奮する女の子の気持ちになるわけですよ。あっちもこっちも行かなきゃと。加齢には誰も逆らえないように、スナックに行きたい気持ちにも逆らえなくなるんだよ。 ――スナックのハードルの高さの一つとして、カラオケがあると思うのですが。カラオケボックスのカラオケとは全然違いますよね。 玉ちゃん コミュニケーションの濃さが全然違うね。カラオケボックスは気ぃ遣わないでしょ。人が歌ってても拍手しねぇし、デンモク見てるだけで。それはそれで仲間内で楽しいのかもしれないけどさ、ノンストレスでさ。だけど、ノンストレスの生活に慣れちゃうと、さっき言っていたセンサーとか鈍ってきちゃうと思うんだよ。初めて入った店でさ、いきなり曲入れられねぇじゃん。常連の人たちが歌ってるの見て、こっちが拍手すれば「お、こいつは味方だな」ってなって、そこからつながりが生まれる。公的なスペースでの自分の出し方を学ぶ場所だね、スナックは。 ――あえて自分にストレスをかけると。 玉ちゃん テンションっていうのは、少しかけといたほうがいいと俺は思うね。人とぶつかったら「ごめんなさい」って反射的に言うのも、人付き合いのテンションがかかってるからだよね。それこそ、日本のお国柄だと思うよ。ここはおもてなしと譲り合いの国だから。スナックにもまた譲り合いがあるよ。一人で3曲も連続で歌わないしさ。小さくても社会なんですよ。 ――社会の中で自分の役割(客)をロールプレイするような。 玉ちゃん スナックの素晴らしいところって、みんなが場の空気を読むってとこなんだよ。スナックでは、あえてわき役を気取るのもいい。いいスナックにはいいわき役がいるんですよ。菅原文太、北大路欣也を生かす、川谷拓三みたいなね。まぁ、ちょっと自虐的かもしれないけど、それこそがエレジーでありロマンなんですよ。スナックでバイプレーヤーの気持ちよさを知ったら、もう戻れませんよ。  スナック自体が一つの社会、そして一つの劇団みたいなもの。誰だって初舞台は恥ずかしくって当然よ。どっ外しで変な空気になっちゃった時は仕方ねぇ、次は違う作戦で行くと。プロみたいな顔した常連さんだって、昔は失敗だらけだったんだから大丈夫。それが分かっちゃえばさ、本当にラクになるよ。本当はこれくらいの湯加減でイイんだって分かるの。スナックはぬるめの半身浴だから。「心の湯治場」ですよ。 ――とはいえ、なるべくならどっ外したくない……。 玉ちゃん なら、潮目見るっていう意味で、まずカラオケの「履歴」をチェックしなさい。俺も必ず目を通しますよ。その店にどんな客が来て、どんな雰囲気なのか一発で分かるからさ。時間によってジャンルがガラっと違ったりもするし、古い曲が毎日入ってたりすると「これは常連さんの曲だな」とか。もう慣れてくると履歴見るだけで「佐久間さん来たな」とか分かっちゃうわけ(笑)。 ――すごい! 履歴探偵!! IMG_0070.jpg 玉ちゃん 履歴でだいたい足がつくっていうね。だから、履歴に残っている歌に近い雰囲気のものを入れておけば、大きく外すことはないわけよ。いきなりEXILEとか歌い出したら、おっちゃんたちは「おお! なんだなんだ!」ってザワザワしちゃうから。手拍子どこで打っていいか分からなくて。 ――やはり、スナックにはスナックの歌がある。 玉ちゃん 昭和歌謡だよね。まるで一本の映画を見ているような、メロディがそれぞれの脳裏に映像となって現れる曲ね。スナックは、それこそいろんな人が来ていろんな歌を歌うから、どんどん知らない世界に出会えるんだけど、そういうことから“鎖国”してる人が多いと思う。心のiTunesの限界を自分で勝手に決めちゃってるっていうか。本当はナンボでも入るのにさ。 ――ママたちに「酔街エレジー」は聴いてもらいましたか? 玉ちゃん もちろん。そしたらさ「やだ、玉ちゃん、アタシ泣いちゃったよ」とか言ってくれるの。ママたちは、飲んでばっかりのアホな俺しか知らないからね。 ――ママを泣かせるとは! 玉ちゃん ママに歌を褒められたら一人前だな(笑)。ママの歌ってさ、人生が匂いたつんだよね。背負ってるものっていうのかな。ママの人生そのものが見えてくる。ママの人生のPVがさ。 ――酔街には、そんなドラマがいくつもあるんでしょうね。 玉ちゃん ぐちゃっと湿ってて、道幅も大人がちょっと譲り合いながらすれ違うくらいの細さで。人生がすれ違うような「酔街」が、今どんどんなくなってるじゃないですか。どこ行っても駅前再開発なんて言ってね。しょうがないよ、時代だからね。この歌を聴いて、「あぁこういう世界もあるんだ」って、一人でも多くの人が気づいてくれたらうれしいですね。 俺自身が「酔街」に育てられたからね。小学生の頃から、新宿のションベン横丁で遊んでるから。昼から酔っぱらってるおじさんを見ては「俺も早くあんなおじさんになりてぇなぁ」ってことばっか考えてた。昼から飲んで、隣の人と肩を組んで、最終的には言い合いになってるんだけどさ。それで翌日にはまた仲良く飲んでる。なんだそりゃ(笑)。憧れたねぇ。そういう幼少期を送って、「玉袋筋太郎」って芸名もらったら、やっぱそういう人間になるでしょう。名前と場所と生き方が「玉袋筋太郎」になったの。でもさ、知っておくといいと思うよ、表だけじゃなくて裏も。面白いからさ。 ――「酔街」は“裏”側にあるんですね。 玉ちゃん そう。“裏”にこそ、表に疲れた人間たちの心の拠り所があったはずなんだよ。それが今じゃ、拠り所がパソコンでしょ。それこそ、向こうさんの思うツボじゃない。 ――「向こうさん」? 玉ちゃん あれですよ。俺たちのことを密かに支配しようとしているヤツら。インターネットっていう集団催眠でさ。 IMG_0081.jpg ――その集団催眠が唯一届かない場所がスナック? 玉ちゃん スナックには結界が張られてるから(笑)。人間力や心のつながりという部分で結界が張られてる。そこにあるのは手つかずの自然。アマゾンのジャングルがなくなったら、地球なんかすぐ滅んじまう。スナックっていうのは、地球上になくてはならない場所なんですよ。世界遺産だね。 ――日本が誇る世界遺産(笑)。 玉ちゃん オリンピック招致の役員なんか、全員スナック連れていけばよかったんですよ。飲ませちゃって歌わせちゃえば。即キマリですよ。もてなし、譲り合い・・・・・・日本のいいところが全部詰まってるじゃないですか。 ――ハイテクな仕掛けなんかより、ずっといいですね。 玉ちゃん さまざま人間模様がそこに現れるし、だからこそ、それを面白いと思えなきゃホントもったいないと思うんだよね。不思議なことにだんだん年取っていくと分かるんだよ、それが。俺だって毎晩銀座で豪遊して、六本木でチャンネーたちをアフターに連れていくとか、そういう酒池肉林の暮らしをしたいですよ。やろうと思えばできないこともないのかもしれないけど、それは自分の身の丈じゃないんですよ。だから、スナックに執着しちゃうっていうのもあるんだと思う。もう一人の自分がさ、言うんですよ。「玉袋、オマエごときがなにやってんだ」って。やらかしちゃったな……っていう人間になりたくない。 ――生き方そのものがスナックを求めるようになる。 玉ちゃん 不思議とそうなんだよね。本当に、そういう人間になってきちゃってるんだよね。自分が小さい頃憧れた、酔街の人間に。かっこつけない、やらかさない生き方の。それは伊集院(光)も作家の西村賢太も、この間飲んだ宇多丸も、分かってくれるんだよ。一から十まで説明しなくてもね。お互い譲り合って、最終的に取っ組み合いになっちゃうような感じ。落語的な与太郎的な、気を使わないように精いっぱい気を使い合うような、俺の周りにいてくれる仲間っていうのも、またすごくスナック的なんだよね。 ――生き方も仲間も、スナックとリンクしていると。 玉ちゃん 年取るに従って、かっこつけた部分とかチャラチャラしたこととか、そういう上っ面の生き方や付き合いが虚しく感じてくるんだよね。そんなエラそうに言う俺だって全然完成してないけどね。早く年取りたくて仕方ないよ。俺、アンチアンチエイジングだから(笑)。 ――「酔街エレジー」もまた、装飾や虚勢を脱ぎ捨てたところにある歌のような気がします。 玉ちゃん 演歌や歌謡曲はどうしても時代から置き去りにされがちなんだけど、結局はブーメランと一緒で、またここに帰ってくるんだと思うよ。歌謡曲もスナックも、根っこは庶民風俗。庶民の生活から自然発生的に生まれたものなんだよね。ファミレスじゃなくて大衆食堂だから、ライスって言えば「大盛りにしてあげて」って勝手に出てくるような世界。それは歴史が作り上げるものでもあるから、ゆっくり地に足つけてね。それってメディアが育てたんじゃなくて、人が育てたものなんだよね。 ――最後に、「酔街エレジー」は、どんなシチュエーションで聴いてほしいですか? 玉ちゃん 「ちょっとやりすぎたな」とか「肩肘張ってんな」っていうときに、チューニングを合わすような感覚で、この曲を聴いてほしいんだよね。まぁ、世の中そんなもんじゃねぇかっていう気持ちになれるように。 (文=西澤千央) ●発売記念イベント 3月20日(祝) 【第1ステージ】11時~赤羽美声堂(北区赤羽2-1-20 ※JR赤羽駅から徒歩4分) 【第2ステージ】13時~ミュージックショップ ダン(北区東十条4-5-25 ※京浜東北線東十条駅から徒歩5分)

アイドル映画監督・梶野竜太郎×ミス東スポ・木嶋のりこ「私って、こんなにかわいかったっけ?(笑)」

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 『ピョコタン・プロファイル』や『魚介類 山岡マイコ』など、あふれんばかりのアイドル愛とニッチさで、アイドルファンはもとより映画マニアの心をくすぐる映画監督・梶野竜太郎。芸能事務所のプロデューサーとしてアイドルを育てつつ、プライベートではアイドルDVDを買いあさる……公私にわたってアイドル三昧な日々を送る梶野監督の最新作『こたつと、みかんと、ニャー。』が、3月30日よりシネマート新宿にて、1週間限定でレイトショー上映される。  百合系SNSで知り合ったこたつ(福見真紀/風男塾)とニャー(木嶋のりこ/ミス東スポ2012)、そしてニャーの彼女・みかん(鎌田紘子/アイドルプロデューサー)の恋愛模様を描いたこの作品だが、いわゆる“百合モノ”とは少し趣が異なる。“百合系ファンタジックムービー”という新たな領域へ踏み込んだ本作の見どころを、梶野監督と主演を務めた木嶋のりこに訊いた。 ――この映画は「アイドルに、女の子同士の恋愛でしか見ることができない顔をさせてみたい」という一念で生まれた企画だそうですが、もともと百合には興味があったんですか? 梶野 百合というか、女の子自体に興味がありますからね。作品としてもビジュアルとしても、この世で一番美しいものは女性ですから。それがダブルですよ? いいに決まってるじゃないですか! 女の子が2人並んでいると、友達同士だけど軽く手を握ったり、何げない仕草に“今、一瞬ドキッとしましたね!”“今の顔、本音が隠れてる!”って勘ぐっちゃうんですよね。そういうところがたまらないっ! 女の子って、男の子に恋している時は弱々しくてかわいらしい目をするけど、相手が女の子になった時、絶対に男に見せない顔するんですよ! 見たいじゃないですか! その後に濡れ場があろうがなかろうが、どっちでもいいんです。女の子が女の子を愛する、という男には開放しない顔とピュアなところを徹底追求したかったんです。 木嶋 もちろん監督のそういう思いは事前に聞いていたんですが、わたしは、こたつ(福見)、みかん(鎌田)が好きという気持ちで、男とか女とかは意識していませんでした。でも、完成版を見て“私って、女の子に対してこんな目をするんだ”という発見がありましたね。監督が言ってたことはコレなのか! と。 IMG_2969_.jpg ――今回は木嶋さんありきで脚本を書き、その後、福見さん、鎌田さんをキャスティングされたそうですね。 梶野 演技がそこそこできる木嶋を中心に、まず、演技よりも自分のキャラを表に出せる子ということで鎌田をキャスティングしました。演技派と勢いがある子、ここに、言い方は悪いんですが、芝居慣れしていない、素でしゃべれる子が欲しいなと思って福見を置きました。全員芝居50、素50ができる子で固めた。やっぱり百合モノなので、芝居で女の子を見つめたってウソだとバレる。だったら、本当の顔ができる女の子を追求したいなって思ったんです。 ――『ピョコタン』では裸足にセーラー服、『マイコ』では制服を濡らすといった、衣装に対しても並々ならぬこだわりを持っている梶野監督ですが、今回もこだわりはあったんですか? 梶野 めちゃくちゃありますよ! 浴衣ですからね。超かわいいじゃないですか!? 鎖骨、うなじ……360度、捨て駒なしで、どこから見ても楽しめる。浴衣って、日本人の体形に一番合ってるんですよね~。まず、女の子同士なら3Pがいいだろうというのが先にあって、そこから、なんとなく和のイメージができてきて、「浴衣脱がせてぇ~!」って。 ――こたつの中で3人の生足が絡み合うオープニング映像は、かなりエロくて興奮しましたが、木嶋さんのお気に入りのシーンは? 木嶋 脱衣所で、まきち(福見)演じるこたつが、「ニャー来てくれた」って、わたしに思いを伝えてくれるシーンが大好きです。本当にまっすぐな視線で、吸い込まれそうになっちゃいました。まきちの声だけが響く心地よい空間で、あのまま押し倒さなくてよかった(笑)。あともう一つ、過去のシーンでひろぴょん(鎌田)演じるみかんとイチャイチャするシーン。全体を通して、みかんって自分のペースを崩さないんですが、それをわたしが“こっち向いて”と一生懸命にやっているところで、そこにこたつとみかんのキャラクターが強く出ていると思います。 ――鎌田さんとのキスシーンはどうでしたか? 木嶋 ひろぴょんとは以前から何度もお仕事をしていたので、「嫌われたくない」とか「大事にしてあげたい」「この子を壊さないようにしなきゃ」っていう気持ちもあって、本番前は緊張や不安でドキドキでした。でも、すごく長い時間カメラを回していたので、だんだん「あれ、私たち、ずっと前からこんなことしてなかったっけ?」という気になっちゃいましたね(笑)。
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――ちなみに、プライベートでの百合経験は……? 木嶋 それは常に……。アイドル好きというか女の子が好きなので、お店でかわいい店員さんを探しちゃいます。いまお気に入りの子が3人いるんですが、仕事帰りに寄って癒やされてます♪ 今は見ているだけで十分だけど……いつか触れてみたいなって(笑)。アイドルだったら、乃木坂46の白石麻衣ちゃんとしてみたいですね。お人形さんみたいですっごくかわいくて……それを私が壊したい! 普段はしない顔をさせてみたい。私、基本的にMなんですが、女の子に対してはSっぽくなるみたいです。 梶野 俺は川口春奈とNMBの山本彩だな。ロングとショート、巨乳と普通。美少女系と元気系……そのギャップがいい。その2人撮れるなら、俺がギャラ払ってもいいや(笑)。 ――どちらも見てみたい組み合わせですね。さて、お2人は『ピョコタン~』以来のお仕事となるわけですが、監督から見て映画女優・木嶋のりこは、どんなところが成長したと思いますか? 梶野 気の抜き方がうまくなったかな。一生懸命さが売りではあるけど、ふわっと抜けるようになった。木嶋が成長しているということは認めてたから書いた台本だし、信用しているからこそのシーンもたくさんあった。ただ今後の課題という意味では、“もっと揉まれてこい”とは思いました。木嶋って、等身大のキャラクターを演じることが多いんですが、時代劇とか弁護士役とか殺人鬼役とか、ぜんぜん関係ないのをやってこい、と。俺自身、木嶋の芝居に慣れちゃっているところもあるから、次に撮るときに、ちょっと違う木嶋のりこを見たいな。 木嶋 殺人鬼かぁ(笑)。私としては、『ピョコタン』撮影時よりも、作品の世界と現実の世界の行き来ができて、課題がたくさん見えました。今までは作品の中の役として生きることに一生懸命になっていたんですが、見てくださる方がいるということをもっと意識できたら変わるのかなー、というのは感じましたね。 IMG_2998_.jpg ――木嶋さんから見て、梶野監督はどんな監督ですか? 木嶋 とにかく優しいんですよ。監督いわく「ピリピリした現場で、女の子のいい表情が撮れるはずがない」って。とにかく現場をいい空気にするために、女の子にもスタッフさんにも優しいんです。あと、もうひとつは『ピョコタン』を撮ってもらっていたときに感じたことなんですが、“あれ、私こんなにかわいかったんだ!”って(笑)。あの頃、私の顔がまん丸だったんですけど、それでもこんなふうに撮ってくれるんだなって。梶野監督の手にかかったら、女の子はかわいくなる。『マイコ』の時の佐武宇綺ちゃん(9nine)のかわいさっていったら、もう~!! 抱きしめたくなるくらい! 「女の子をどれだけかわいく撮れるかグランプリ」があったら絶対1位ですね。 梶野 本当に!? めちゃくちゃうれしいっ! ここ、太字でお願いします!! 怒らないっていうのは、コメディとかやるときって、あれやれこれやれって怒鳴ったら、いくら芝居がうまくたって、絶対役者の目の奥に出るから。芝居でいい顔してるっていうんじゃなくて、和気あいあいとした雰囲気の中から、自然と生まれていく表情を撮りたいんです。 ――それでは最後に、映画のPRをお願いします。 梶野 「こたつ」と「みかん」と「ニャー」ってタイトルは、冬の風物詩をまとめたという表向きの面と、実はスラングで「タチ」(こたつ)と「ネコ」(ニャー)という意味が隠されているんです。みかんのかんは“間”を取るって意味だし。オープニングの映像にも、ちゃんと意味があるんです。そういう仕掛けが随所にちりばめられているので、一度とは言わず、二度三度見ていただけると、“こういうことだったのか”と楽しんでいただけるかと。公開初日には3人の舞台挨拶付き水着撮影会があるので、ぜひお越しください! (取材・文=編集部) sub4s_large.jpg ●『こたつと、みかんと、ニャー。』 出演:木嶋のりこ、福見真紀、鎌田紘子/監督・脚本:梶野竜太郎/製作:村田亮/撮影:西村博光/編集:細野優理子/音楽:コマイヌ、Mai Allesklar 配給・宣伝:ユナイテッド エンタテインメント 2013年/日本語/65分 (c)2013 SAMOVAR <http://www.kotamikanya.net/> 3月30日(土)よりシネマート新宿にて、1週間限定レイトショー ●『こたつと、みかんと、ニャー。』公開記念イベント「アイドル映画を語ろう!」 【日時】3月23日(土)OPEN 12:30 / START 13:00 【場所】新宿ロフトプラスワン 【出演】梶野竜太郎(監督)、北川昌弘(アイドル評論家)、梨田梨子(元「クリーム」編集部員) 【Guest】木嶋のりこ、福見真紀、鎌田紘子 【チケット】前売¥1500 / 当日¥2000(共に飲食代別) ※前売券は2/28(木)10:00よりe+にて発売! イープラスチケット購入(サイトには2/28 0:00より反映されます)

女優・平田薫がバリで大胆写真集を撮影 あのカットはなんと「無修正」だって……!?

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『KAORU』より
 竹中直人監督の映画『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』で、ヒロインに抜擢された平田薫。体当たりの演技で自縛やヌード、ベッドシーンにも挑戦し、新進女優として注目を集める彼女が、写真集『KAORU』(ワニブックス)ではセミヌードを披露!  とはいえ、5年ぶりとなる写真集『KAORU』は、挑戦的な“大人のエロス”を感じさせるものではない。白くしなやかなカラダから立ちのぼるのは、清楚な“ほのエロさ”だ。  少女の殻を脱ぎ捨てて、オトナの女性として歩き出した彼女。話を聞いてみると、意外な一面も見えてきた。 ――今回の『KAORU』は全編バリでのロケだったそうですが、肌の露出も多くて大胆な内容ですね。 平田薫(以下、平田) 全裸でベッドに寝そべったり、シャツの前がはだけていたり、シャワーで濡れて白いシャツが透けていたり。あと、全体的にけっこうスケスケの衣装が多かったなという印象はあります。 ――平田さんのセクシーな一面が。 平田 いやいやいや、セクシーになれるんだったらなりたいですよ!(笑) 普段から色気がないって言われてますし、自分でもカラダには自信があまりないんです。でも今回は、スタイリストさん、ヘアメイクさん、カメラマンさんともにゴッドハンドの持ち主で、正直「こんなに引き上げてもらったら、もしかして色気出ちゃうんじゃない!?」って思っていました。 ――抵抗はありませんでしたか? 平田 なかったです。スタッフさん全員が信頼できる方だったので、すべてを委ねられて、むしろノリノリでした。バリという土地柄もあるかもしれませんね。すごく暖かかったし、日本人観光客があまり来ない地域で撮影をしたので人の視線も気にならかったし。解放的な気分で過ごせた数日間だったので、大胆になれたのかもしれません。シャツの下に何もつけていないのに、ボタンを全部外した状態でフラフラ歩いてましたから。 ――「サイゾー」の男性読者向けに、イチオシの1枚なんてありますか? 平田 この無修正の。 ――無修正!? hiraP31_32.jpg hiraP54.jpg 平田 あ、ごめんなさい(笑)。ベッドに裸で寝転んでいる写真なんですけど、肌に修正を入れていないそうなんですよ。産毛を消したぐらいだそうです。これは、肌がすごくきれいだねって言っていただけて。 ――なるほど、すみません。この透明感のある白い肌は、シミや傷跡を修正で消したものではない、と。それはそれで興奮しますね。 平田 もう1枚、下着で歯磨きをしているショットは、朝の寝起きをのぞいちゃったみたいでイイらしいので、ぜひ見ていただければ! あとは、アンティークやビンテージの衣装、小物、ちょっと移り込んでいる部屋の細部もすごくかわいく作り込んでいただいたので、ぜひ女の子にも見てほしいです。私自身も、撮影しながらすごくテンションが上がったんですよ。一人で旅に来て、きれいなものに囲まれて気分がいいみたいな。 ――そういう意味でも、解放感があったんですね。ところで、普段はどうやって自分を解放しているんですか? 平田 お酒です。ビールと赤ワインと日本酒が大好きなんですけど、いまはいろいろなものを試して、翌日に残らないお酒を探しているところです。 ――翌日に残らないって、いったいどれぐらい飲むんですか? 平田 マネージャーさんの話だと、このあいだは冷蔵庫に冷えていたコロナを20本飲み干していたらしいです。すぐ酔っ払っちゃうので、記憶はないんですけど。 ――酔うと、どうなるんですか? 平田 とっても陽気になります。だれかと一緒に飲んでいると、構ってくれる人を標的にして、延々と絡み酒しちゃうんですよ。普段は、人に対して自分から積極的に行くタイプではないんですが、いろいろな人にずっと同じ話をしたり、人の嫌いなものを食べさせたりしているらしいです。飲んだ翌朝、目覚めて「首が痛いな~」と思って友人に聞いたら、「酔ってコンクリートの上でずっとでんぐり返しをしてたよ」とか。翌日気づいたら擦りむいていました(笑)。 ――その程度で済んでよかったですね……。1人のときは? 平田 1人だと、ひたすら家飲みです。テレビやDVDを観ながらビールを飲んで、何か食べたくなったら唐揚げやトンカツを揚げたり、ギョーザを焼いたりして、またビールを飲んで、たまに赤ワインみたいな。 ――写真集だと、そんな暴飲暴食をしているようには見えないんですが。 平田 映画や写真集、ドラマの撮影があるときは、飲まないようにしています。飲んじゃうと二日酔いで翌日、使い物にならないですし、体型を保つのにはお酒を抜くのが手っ取り早いので。 hiraP73.jpg hiraP19.jpg ――4月からは、レギュラー出演が決定したドラマ『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系、木曜日22時~)が始まりますしね。では、最後に酒豪・平田さんの今後の展望を教えてください。 平田 今年は、なんでも食らいついていくぐらいの気持ちで、必死でお仕事に取り組む年にしたいです。映画、写真集、ドラマと続いたので、好きなお酒を一滴も飲まないぐらいの年に……ビールを20本飲んでる日が続くなんてヒマはない1年間になるようにがんばります! (構成=有馬ゆえ) ●平田薫(ひらた・かおる) 1989年、宮城県生まれ。「CANDy」(白泉社)の専属モデルを経て、『魔法戦隊マジレンジャー』のヒロイン役で女優デビュー。主な出演映画は、『アヒルと鴨のコインロッカー』『るろうに剣心』など多数。その透明感と屈託のない笑顔を武器に、CM・ドラマへの出演など、活躍の幅を広げる。公式ブログ〈http://ameblo.jp/kaoruhirata/●『平田薫写真集 KAORU』 竹中直人監督最新映画『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』で主演を務め、大胆な演技で注目を集めた平田薫の、5年ぶり3作目の写真集が好評発売中。全編バリロケで魅せる23歳の大人の表情に要注目。 3月10日(日)13時からは、文教堂書店渋谷店にて発売記念握手会を開催。整理券はすでに配布中で、会場特典もあり。詳しくはワニブックスのホームページまで。発売/ワニブックス 定価/2940円(税込) ・ワニブックス http://www.wani.co.jp/event.php?id=3821 ・文教堂書店 http://www.bunkyodo.co.jp/

女優・平田薫がバリで大胆写真集を撮影 あのカットはなんと「無修正」だって……!?

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『KAORU』より
 竹中直人監督の映画『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』で、ヒロインに抜擢された平田薫。体当たりの演技で自縛やヌード、ベッドシーンにも挑戦し、新進女優として注目を集める彼女が、写真集『KAORU』(ワニブックス)ではセミヌードを披露!  とはいえ、5年ぶりとなる写真集『KAORU』は、挑戦的な“大人のエロス”を感じさせるものではない。白くしなやかなカラダから立ちのぼるのは、清楚な“ほのエロさ”だ。  少女の殻を脱ぎ捨てて、オトナの女性として歩き出した彼女。話を聞いてみると、意外な一面も見えてきた。 ――今回の『KAORU』は全編バリでのロケだったそうですが、肌の露出も多くて大胆な内容ですね。 平田薫(以下、平田) 全裸でベッドに寝そべったり、シャツの前がはだけていたり、シャワーで濡れて白いシャツが透けていたり。あと、全体的にけっこうスケスケの衣装が多かったなという印象はあります。 ――平田さんのセクシーな一面が。 平田 いやいやいや、セクシーになれるんだったらなりたいですよ!(笑) 普段から色気がないって言われてますし、自分でもカラダには自信があまりないんです。でも今回は、スタイリストさん、ヘアメイクさん、カメラマンさんともにゴッドハンドの持ち主で、正直「こんなに引き上げてもらったら、もしかして色気出ちゃうんじゃない!?」って思っていました。 ――抵抗はありませんでしたか? 平田 なかったです。スタッフさん全員が信頼できる方だったので、すべてを委ねられて、むしろノリノリでした。バリという土地柄もあるかもしれませんね。すごく暖かかったし、日本人観光客があまり来ない地域で撮影をしたので人の視線も気にならかったし。解放的な気分で過ごせた数日間だったので、大胆になれたのかもしれません。シャツの下に何もつけていないのに、ボタンを全部外した状態でフラフラ歩いてましたから。 ――「サイゾー」の男性読者向けに、イチオシの1枚なんてありますか? 平田 この無修正の。 ――無修正!? hiraP31_32.jpg hiraP54.jpg 平田 あ、ごめんなさい(笑)。ベッドに裸で寝転んでいる写真なんですけど、肌に修正を入れていないそうなんですよ。産毛を消したぐらいだそうです。これは、肌がすごくきれいだねって言っていただけて。 ――なるほど、すみません。この透明感のある白い肌は、シミや傷跡を修正で消したものではない、と。それはそれで興奮しますね。 平田 もう1枚、下着で歯磨きをしているショットは、朝の寝起きをのぞいちゃったみたいでイイらしいので、ぜひ見ていただければ! あとは、アンティークやビンテージの衣装、小物、ちょっと移り込んでいる部屋の細部もすごくかわいく作り込んでいただいたので、ぜひ女の子にも見てほしいです。私自身も、撮影しながらすごくテンションが上がったんですよ。一人で旅に来て、きれいなものに囲まれて気分がいいみたいな。 ――そういう意味でも、解放感があったんですね。ところで、普段はどうやって自分を解放しているんですか? 平田 お酒です。ビールと赤ワインと日本酒が大好きなんですけど、いまはいろいろなものを試して、翌日に残らないお酒を探しているところです。 ――翌日に残らないって、いったいどれぐらい飲むんですか? 平田 マネージャーさんの話だと、このあいだは冷蔵庫に冷えていたコロナを20本飲み干していたらしいです。すぐ酔っ払っちゃうので、記憶はないんですけど。 ――酔うと、どうなるんですか? 平田 とっても陽気になります。だれかと一緒に飲んでいると、構ってくれる人を標的にして、延々と絡み酒しちゃうんですよ。普段は、人に対して自分から積極的に行くタイプではないんですが、いろいろな人にずっと同じ話をしたり、人の嫌いなものを食べさせたりしているらしいです。飲んだ翌朝、目覚めて「首が痛いな~」と思って友人に聞いたら、「酔ってコンクリートの上でずっとでんぐり返しをしてたよ」とか。翌日気づいたら擦りむいていました(笑)。 ――その程度で済んでよかったですね……。1人のときは? 平田 1人だと、ひたすら家飲みです。テレビやDVDを観ながらビールを飲んで、何か食べたくなったら唐揚げやトンカツを揚げたり、ギョーザを焼いたりして、またビールを飲んで、たまに赤ワインみたいな。 ――写真集だと、そんな暴飲暴食をしているようには見えないんですが。 平田 映画や写真集、ドラマの撮影があるときは、飲まないようにしています。飲んじゃうと二日酔いで翌日、使い物にならないですし、体型を保つのにはお酒を抜くのが手っ取り早いので。 hiraP73.jpg hiraP19.jpg ――4月からは、レギュラー出演が決定したドラマ『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系、木曜日22時~)が始まりますしね。では、最後に酒豪・平田さんの今後の展望を教えてください。 平田 今年は、なんでも食らいついていくぐらいの気持ちで、必死でお仕事に取り組む年にしたいです。映画、写真集、ドラマと続いたので、好きなお酒を一滴も飲まないぐらいの年に……ビールを20本飲んでる日が続くなんてヒマはない1年間になるようにがんばります! (構成=有馬ゆえ) ●平田薫(ひらた・かおる) 1989年、宮城県生まれ。「CANDy」(白泉社)の専属モデルを経て、『魔法戦隊マジレンジャー』のヒロイン役で女優デビュー。主な出演映画は、『アヒルと鴨のコインロッカー』『るろうに剣心』など多数。その透明感と屈託のない笑顔を武器に、CM・ドラマへの出演など、活躍の幅を広げる。公式ブログ〈http://ameblo.jp/kaoruhirata/●『平田薫写真集 KAORU』 竹中直人監督最新映画『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私』で主演を務め、大胆な演技で注目を集めた平田薫の、5年ぶり3作目の写真集が好評発売中。全編バリロケで魅せる23歳の大人の表情に要注目。 3月10日(日)13時からは、文教堂書店渋谷店にて発売記念握手会を開催。整理券はすでに配布中で、会場特典もあり。詳しくはワニブックスのホームページまで。発売/ワニブックス 定価/2940円(税込) ・ワニブックス http://www.wani.co.jp/event.php?id=3821 ・文教堂書店 http://www.bunkyodo.co.jp/