国際暗黒プロデューサー・康芳夫が語る“怪優業”と『家畜人ヤプー』を書いた覆面作家の正体!!

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ここ数年は、怪優として抜群の存在感をみせている康芳夫。熊切監督が撮る『家畜人ヤプー』にも出演する予定だ。
 康芳夫といえば、伝説の興行師だ。モハメド・アリを日本に呼ぶために、イスラム教に入信。アントニオ猪木とアリとの異種格闘技戦ではフィクサーとして暗躍した。ネッシー探検隊の結成、人間かチンパンジーかで世間を騒がせたオリバー君を日本に連れてきたのもこの人。戦後最大の奇書と呼ばれる『家畜人ヤプー』の出版者としても知られる。国際暗黒プロデューサー、虚業家など様々な呼称を持つ康氏だが、中島哲也監督の『渇き。』(14)や熊切和嘉監督の『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』(16)などに出演し、新たに“怪優”という肩書きも最近は手に入れている。今年80歳を迎えた康氏が、初の悪役に挑戦した最新出演作『干支天使チアラット』、そして実写映画化の準備が進む『家畜人ヤプー』について大いに語った。 ──河崎実監督の『干支天使チアラット』を拝見しました。主人公たちを苦しめる悪役として、抜群の存在感を放っていますね。 康芳夫 ははは、楽しんでもらえましたか。河崎監督は出版社を通じて僕に出演のオファーをしたんだけど、これは実に奇妙な作品ですね。パロディーというかナンセンスというか、これまでの日本映画では見たことのないタイプの作品になっています。僕が出演したのは1日だけだったけれど、思っていたよりもカット数は多かったし、河崎監督がいろいろと考えてくれた台詞もあってね、楽しい撮影現場でしたよ。 ──これまでにも中島監督の『渇き。』にチラッと登場し、『ディアスポリス』では裏都知事役を演じました。 康 僕が俳優デビューした経緯をお話すると、中島監督から手紙が届いたことがきっかけでした。中島監督のことを僕は知らなかったんだけれども、彼の事務所を訪ねたところ、『下妻物語』(04)や『嫌われ松子の一生』(06)など僕が面白いなぁと思っていた映画のポスターが貼ってあり、「あぁ、僕が面白いと思った映画を撮っていたのが中島監督だったのか」と分かったんです。それで中島監督から「ぜひ映画に出てください」と言われ、「いや、こちらこそ」と俳優デビューすることが決まったわけです。実際には何カットか撮影したんですが、編集の都合で僕が映っているのは一瞬だけになった。その後、ドキュメンタリー映画『酒中日記』(15)にも南伸坊と一緒に出ています。それから熊切監督が僕のところに『家畜人ヤプー』を映画化したいと現われ、その際に俳優としても出演してほしいと頼まれて、『ディアスポリス』にも出演することになったんです。熊切くんが今度撮る『家畜人ヤプー』とは別の新作にも出演する予定です。新興宗教の教祖を演じることになりそうです。
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クラウドファンドで製作された『干支天使チアラット』。希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香ら人気セクシー女優が大活躍。
■リアルと虚構との境界線上を生きる男 ──これまでの出演作は素の康さんがそのまま映画に出ている感じでしたが、『干支天使チアラット』ではフィクションならではの悪役を楽しまれたのではないでしょうか。「この世界は無意味なものだ」などの台詞は康さんが口にすると、すごく意味深に聞こえます。 康 あの台詞はね、僕がふだん考えていることを河崎監督がうまく台詞として盛り込んでくれたんです。他にもね、河崎監督がカットしてしまったけど、いろいろ撮りました。「内田裕也に僕が似ているんじゃない。内田裕也が僕に似ているんだ」とかね(笑)。あとね、「ばくちの貸しを返せ」なんて台詞を僕は言ったんだけど、それもカットされてしまいました。実際、彼は賭けポーカーで1億円くらい借金しているからね。まぁ、大昔の話だから時効でしょう(笑)。 ──賭けポーカーで1億円の借金!! 康 僕らがやっていたのは「ハイロー」という複雑なポーカーで、芸能人やヤクザ、もしくはプロのポーカープレイヤーしかやらないものでした。素人はやりません。作家の色川武大は分かりますか? 彼に賭けポーカーを紹介したのは僕なんだけど、それでポーカー場に出入りするようになった彼は膨大な借金を抱えて、一時期姿を消したんです。しばらくして、阿佐田哲也と名前を変えました。『麻雀放浪記』を書く前のことです。賭けポーカーは非常にスリリングなゲームで、動く金額も大きいんですよ。 ──国際暗黒プロデューサーという肩書きは、伊達ではないと。 康 国際暗黒プロデューサーというのは、マスコミが僕に付けたあだ名みたいなものです。まぁ、ボクシングの興行の世界は以前はやっかいなこともあり、裏社会との繋がりもありましたから。でも、僕がボクシングのプロモートをしていたのは50年近く前のことです。今はボクシングの世界も変わったでしょう。 ──康さんの言動には、どこまでがリアルでどこからがフィクションなのか分からない魅力があります。 康 おっしゃる通りです。いわゆるマージナルライン、リアルとフィクションとの狭間をさまよっているのが僕という存在です。虚実皮膜の世界で僕は生きているので、いったいどこまでがリアルで、どこからがフィクションなのやら(笑)。河崎監督もね、そこを狙って僕を起用したようです。撮影したのは僕の80歳の誕生日でした。合成シーンが多かったので現場ではよく分からなかったけど、今日の舞台挨拶には女優のみなさん(希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香)も集まって、キレイな方たちばかり。もう一人の女優さん、姫乃たまさん。彼女が書いた本(『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』)は読みました。彼女が書いた本も、彼女もなかなか面白いですよ。
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康芳夫が『干支天使チアラット』で演じるのは、敵役である“風のマンチカン”。原作では半裸の美少年だったが……。
──でも、なぜ80歳近くになって“怪優業”に目覚めたんでしょうか? 康 もともと大島渚監督や若松孝二監督からは映画に出るように言われていたんです。彼らとは一緒に毎晩のように新宿で呑んでいましたから。映画の製作を手伝ったりしていました。久世光彦(TBSドラマ『ムー』『寺内貫太郎一家』の演出、プロデューサー)を知っていますか? 彼は僕と大学(東京大学)で同期だったんです。彼のほうがちょっと年上だったけど。彼からもドラマに出るようにしつこく言われました。でも、その頃は仕事が忙しかったし、彼らにイジられるのがいやだったので、それで断っていたんです。別に俳優業がいやで断っていたわけじゃありません。大島くんが『戦場のメリークリスマス』(83)を撮るときは僕からアドバイスしたんだけど、それで喧嘩別れしてしまってね。その後、彼は病気になって亡くなったでしょ。若松くんも交通事故で亡くなってしまった。最近はね、オファーがあれば出演するようになりました。まぁ、いい時間潰しになりますよ(笑)。僕も80歳。この年齢の新人俳優を使おうなんて、ありがたいことです。撮影現場は肉体的にしんどいこともあるけど、なかなかエキサイティングな世界だと思っています。新しいことに挑戦できるなんて楽しいですよ。
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戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の作者の正体は誰なのか? その秘密を知っているのは康芳夫だけである。
■『家畜人ヤプー』に魅了された奇才たち ──チアラット(希崎ジェシカ)たちと対立するシャノワール(姫乃たま)に、マンチカン(康芳夫)が「ヤプーは読まれましたか?」と尋ねるシーンがありますね。何度も噂が流れては消える『家畜人ヤプー』の映画化はどうなっているんでしょうか? 康 5年前に熊切監督が僕のところに来て、「どうしても映画化したいんです」と頼みにきてね。熊切監督は大阪芸術大学出身で、大学時代の教官が中島貞夫監督です。中島貞夫が『家畜人ヤプー』を映画化したいと言ってきた最初の監督でした。実際に僕のところに来たのは中島貞夫ではなく、天尾完次プロデューサーでしたが、面白い縁だなと思いました。ちなみに中島貞夫の次に名乗りでてきたのは中平康監督。彼は若くして亡くなったけど、彼が病気にならなかったら、映画は完成していたはずですよ。その後が『太陽を盗んだ男』(79)の長谷川和彦監督。彼も僕の大学の3つほど下の後輩。長谷川くんとうまくいかなかったのは予算の問題もあったけど、彼は勝手に動いて振り回すわけですよ。それでね、僕から言って降りてもらいました。アニメ化の話も幾つかありました。スタンリー・キューブリック監督のエージェントからも打診を受けていた時期もありましたが、キューブリックは『アイズ ワイド シャット』(99)を撮って亡くなってしまった。最近『ツイン・ピークス』がまた話題になっているデヴィッド・リンチ監督からも、映画化したいと言われていました。でも、デヴィッド・リンチが撮ると、僕のイメージとは別のものになってしまうなと思い、断りました。熊切くんはね、信頼できる監督です。彼が大学時代に撮ったデビュー作『鬼畜大宴会』(88)を観て、彼なら『ヤプー』の映画化を任せられると思ったんです。 ──舌人形や肉便器がどのように実写化されるのか、今からドキドキします。 康 出版した当時(1970年)、僕は右翼に襲われたんです。『家畜人ヤプー』で描かれた未来世界では白人が最高位、黒人は奴隷、黄色人種はそれより下の家畜人となっているわけです。『家畜人ヤプー』を書いた作者は日本人なんだけれども、日本人に対する大変な侮蔑感と同時に白人への反感も持っている人物でした。日本でいちばんの神様であるアマテラスオオミカミですが、『家畜人ヤプー』ではアナテラスオオミカミとなっています。それで右翼が怒って、僕の事務所を襲撃してきました。「康が仕込んだんじゃないか」と噂されましたが、これは本当の話でNHKニュースにもなりました。まぁ、『家畜人ヤプー』の映画化については、近いうちに正式発表されるでしょう。そうそう、日本でいちばん有名なアニメ『君の名は。』(16)を撮った新海誠監督がいるでしょ。彼の奥さんは三坂知絵子という女優で、彼女は高取英の劇団「月蝕歌劇団」で『家畜人ヤプー』を舞台化したときに出演してくれたんです。過去には寺山修司、唐十郎も舞台化したがっていました。『家畜人ヤプー』には日本の文壇、文化人のほとんどの人が関わり、エピソードに事欠かない作品なんです。 ■覆面作家にまつわる二重三重の秘密 ──『家畜人ヤプー』の原作者である沼正三から、康さんは出版権や映像化権など全権を委任されたわけですが、康さんは覆面作家・沼正三の正体を知っているんですよね? 康 もともとは三島由紀夫が「面白い小説がある」と、SM雑誌「奇譚クラブ」に連載されていた『家畜人ヤプー』の切り抜きを僕のところに持ってきたことが始まりだったんです。三島由紀夫がプロデューサーでした。それで僕は大阪にいた「奇譚クラブ」のオーナーを訪ねて、彼は関西で有名な相場師だったんですが、あらゆる手段を使って僕は彼から『家畜人ヤプー』の原作者・沼正三の連絡先を聞き出したんです。最終的には沼さんに直接会うことができました。どういう人物かということは、今はまだ話せません。沼さんは8年前に亡くなりました。沼さんの本当の正体を知っているのは僕だけです。 ──そこをもう少しお願いします。沼正三=新潮社の社員校閲者だった天野哲夫説、東京高等裁判所の判事だった倉田卓次説……など、いろんな説が流れました。 康 天野さんが沼正三の代理人だったことは事実です。面白い話をしましょう。沼さんが亡くなったときに、僕から共同通信の記者に情報を流したんです。その記者は『家畜人ヤプー』の熱心なファンだったので、彼に沼正三の死亡記事を書かせようと思ったわけです。ところがその記者の上司が「また康にハメられるぞ」と言い出し、なかなかOKしなかった。結局、記事は掲載されましたが、それは世にも奇妙な死亡記事でした。記者は共同通信社のスクープ賞をもらったそうです。 ──沼正三の代理人を名乗っていた天野哲夫さんは、2008年11月30日に亡くなっています。やはり沼正三=天野哲夫なのか、それともまだ秘密が隠されているのか? 康 こう考えていただきたい。『家畜人ヤプー』はコラボレーションから生まれた作品だと。当時の高等裁判所の主席判事だった倉田卓次さんは、雑誌「諸君!」(82年11月号)で“覆面作家は東京高裁判事”という記事が出て、そのせいで最高裁判所の裁判官になることが決まっていたのに、流れてしまったんです。でも彼はそのことを恨んではいなかった。彼自身は「僕は書いていません」と言うだけでしたが、僕は「倉田さんは関係ない」とは一度も言っていません。彼が作者ではないことは事実ですが、英語でいうところのバイタルロール、とても重要な役割を果たしています。だからコラボレーションなんです。倉田さん以外にも関わっている人物はいますが、まだ存命で、社会的地位もあるので実名を出すことはできません。僕に何かあったときには真相が分かるようにと、遺書を弁護士に預けています。 ──いずれにしろ『家畜人ヤプー』が映画化されたときは、「猪木vs.アリ」戦のように世界中に衝撃が走ることになりそうですね。 康 そうです。『家畜人ヤプー』のフランス語版、中国語版はすでに出版されています。中国語版は台湾だけでの発売だけど、一説によると中国大陸では地下出版され、2,000万部の大ベストセラーになっているらしい。契約していたNYの出版社が倒産して立ち消えになっていた英語版も、近いうちに出版される予定です。どうか楽しみにしていてください。 (文=長野辰次/写真=尾藤能暢) ●康芳夫(こう・やすお) 1937年生まれ、東京都出身。東京大学在学中に五月祭の企画委員長を務める。大学卒業後、興行師・神彰のもとでソニー・ロリンズなどの呼び屋として活躍。独立後はモハメド・アリ対マック・フォスター戦、トム・ジョーンズの来日公演を実現させた。1973年は石原慎太郎を隊長にした「国際ネッシー探検隊」、76年はオリバー君の日本招聘とアントニオ猪木対モハメド・アリの異種格闘技戦のコーディネーターとして注目を集めた。また、70年にはSF・SM小説『家畜人ヤプー』を単行本化し、原作者・沼正三から映像化権をはじめとする全権を委任されている。2016年には著名人との対談のほかに沼正三の生原稿なども収録した『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー康芳夫と各界の巨人たちとの響宴』(辰巳出版)を上梓している。 http://yapou.club
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■映画『干支天使チアラット』 原作/中川ホメオパシー 脚本/海神える、河崎実 監督/河崎実  出演/希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香、掟ポルシェ、ルノアール兄弟、ベッド・イン、姫乃たま、康芳夫 製作・配給/リバートップ 9月3日(日)渋谷ユーロスペースにて舞台挨拶つき上映イベントあり

目指すは「あいちゃん104歳」!? 父性を刺激されまくる話題の最年少アイドル・あいちゃん7さいに突撃!

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撮影=荻窪番長
「最年少アイドル」というキャッチフレーズでテレビ番組にも取り上げられるなど、色んな意味で話題となっている「あいちゃん6さい」。  初めて存在を知ったときには「アイドル業界も行くとこまで行ったな……」と思ったものだが、実際にライブを見てみると「幼稚園児に群がるロリコン集団」というよりは、姪っ子の学芸会を見守るおじさんたちといった雰囲気で、アットホームな空気が流れている現場だった。  そんな「あいちゃん」が今年小学校に入学し、7月には誕生日も迎えて「あいちゃん7さい」に進化した!? ……ということで、「日刊サイゾー」最年少インタビュー(たぶん)を敢行しました! ***
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8月5日、池袋ルイードK3で開催された「太陽さんさん!夏祭りスペシャル」にて。
■将来の夢は……「ペットショップ」!? ――4歳からアイドルをやってるんだよね? その前から歌ったり踊ったりするのが好きだったの? あいちゃん うん、好きだったよ。「さんぽ」(『となりのトトロ』のテーマ曲)とか。 ――他に好きな歌は? あいちゃん アニメの歌は好き! 『アイカツ!』とか『プリパラ』!(ともにテレビ東京系) ――ああ、アイドルのアニメを観て、アイドルになりたいって思ったのかな。はじめてやったライブは覚えてる? あいちゃん ウクレレ! 大隈秀徳(あいちゃん6さいのプロデューサー) ウクレレを演奏しながら「カエルの歌」と「さんぽ」を歌ってたよね。 ――緊張しなかった? あいちゃん わすれちゃった。 ――今、歌っている歌はあいちゃんが決めてるの? 大隈 あ、ボクです。 ――難しい曲が増えているけど、歌詞を覚えるのは大変じゃない? あいちゃん 大変! 「メランコリック」とか。メランコリックって……メロンジュース? ――7歳で「メランコリック」なんて言葉知らないよね(笑)。これから、自分で曲を作ったりしたいと思う? あいちゃん あんまり思わない。
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ハイタッチをしようとファンに駆け寄るあいちゃん。ファンサービスも忘れません!
――お父さんやお母さんより年上のお客さんもいると思うけど、そういうおじさんたちと話すのは大丈夫? あいちゃん 大丈夫! 仲良くできる! ――アイドルはずっと続けていきたいと思ってるの? あいちゃん うん。 ――じゃあ、将来の夢は? あいちゃん ペットショップ! ――あ、そうなんだ(笑)。 あいちゃん ケーキ屋さんも! 動物とお料理が好きなんで、だからそういうお店。 ――得意な料理は? あいちゃん オムライス! ――これからアイドルとしてテレビに出たり、ドラマに出たりとかも興味あるのかな? あいちゃん 演技? やりたい! テレビにも出たい! ――それじゃ最後に、お客さんへのメッセージを。 あいちゃん いつも応援してくれてありがとう!
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ライブ後の物販では、チェキを撮ったりサインを書いたり、ファンのみなさんと楽しそうに交流していました
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■目標は「あいちゃん104歳」  さすがに、あいちゃんに話を聞くだけだと細かい情報を聞き出せなかったので、プロデューサーの大隈秀徳と、あいちゃんママ26さい(!)にも話を聞きました。 ――もともと、あいちゃんは大隈さんの教室へ、レッスンに来ていたんですよね。 大隈 もともとの話で言うと、あいちゃんママが12歳の頃からボクの生徒だったんですよ。それで14歳の時に「12.ヒトエ」というガールズバンドでメジャーデビューして。まあ、そのバンドはあまり売れなくて解散しちゃうんですが。それから19歳であいちゃんを産んで、「この子が大きくなったら何かやらせようね」っていう話はしていたので、3歳の時に「そろそろ楽器をやらせてみようか」ということで、ギターは大きくてまだムリなのでウクレレを始めたんです。
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――その頃はアイドルというより、アーティスト的な方向性で考えていたんですか? 大隈 特にどっちと決めていたわけではないですね。その頃、ボクが小学生アイドルバンドをプロデュースしていたので、そういうアイドルのライブに行くことも多かったんです。その子たちは小学5年生だったから、最年少かなと思っていたら、共演するアイドルの子たちに小学校1年生の子がいて。アイドルが低年齢化しているんですよね。だったらもう、あいちゃんを出しちゃってもいいのかなって。その頃、ちょうど誕生日がきて4歳になったので「あいちゃん4さい」としてライブに初出演したんです。 ――名前に年齢を入れたというのは、そこが売りになると思ったからですか? 大隈 それはまったく考えてなかったですね。ボク的には修行じゃないけど、舞台慣れさせようくらいの気持ちだったので。でも、いざステージに出てみたら“4歳”っていうことがすごい騒がれて。最初はみんな「あいちゃん4さい」なんてふざけた名前だなと思ってたみたいなんだけど。 ――大人がネタとしてそういう芸名をつけてるんじゃないかと。 大隈 そうしたら、本物の4歳が出てきて衝撃を受けたみたいですね。「ガチの4歳出てきた」ってTwitterで騒がれていましたよ。
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――ライブでは最初からちゃんと歌えていたんですか? 大隈 そうですね、意外と度胸があるんですよ。普通、4歳の子ってなかなかママから離れられないと思うので、お客さんがいっぱい待っているステージに出ていくなんてできるのかなって思っていたら、堂々と出ていって「こんにちは、あいちゃん4さいです」ってあいさつして。この調子で成長していけば、10年経っても14歳だからスゴイぞと思いました。 ――14歳で芸歴10年ですからねー! 大隈 だから、長期計画で育てていこうと思っていたんですけど、思いのほか人気が出ちゃって。でも、普通のアイドルの年齢になるまでに色んな楽器をやらせて、踊りとかも本格的に踊れるようになってもらいたいんですけどね。 ――芸名は、たとえば20歳になっても「あいちゃん20さい」でいくんですか? 大隈 とりあえずはこの路線で行こうと。「あいちゃん○さい」というのがブランドみたいになってるんで。あいちゃんが104歳になって「芸歴100年のあいちゃん104さいです」って言うのが夢ですね。ボクは生きていないでしょうけど(笑)。 ――プロデューサーとしてのこれからの目標は? 大隈 先のことを考えないで始めちゃったんで、まだ「こういう風にやっていこう」とは考えていないですね。 ――初期は「幼稚園で歌ってるんだろうな」という感じの童謡が多かったですけど、最近はボカロ曲や「ももいろクローバーZ」の曲など、難しい曲が増えていますよね。 大隈 そうですね、さすがに小学1年生になって童謡もないだろうと思って。本当はオリジナル曲をやりたいんですけど、経済的な問題で……。今は1曲、ボクが作った「ハイパーランドセル」という曲を歌っていますが、本当は著名な作曲家さんに頼みたいんですけどね。 ――クラウドファンディングで支援者を募ったら、みんな親戚のおじさん気分でお金を出してくれるんじゃないですかね。 大隈 そういうこともやりたいんですけど、ボクがネットに弱くって……そういうことに詳しいスタッフが来てくれるといいんですけど。
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アンコールではピアニカの演奏も
――あいちゃんママは過去に芸能活動をされていましたが、娘にもやらせるというのは、芸能活動はいい思い出だったということでしょうか? あいちゃんママ いや、辛い思い出がいっぱいありますよ。でも、もともとの性格が「人と会話ができない」「人と目を合わせるのも苦手」「人前に出るのも大嫌い」……そんな感じだったので、自分を変えるためには辛い思いをするのなんて当たり前じゃないですか。いろんなことを努力してやってきたからこそ、自分が変われたって思っているんで。 ――確かに、お話をしていて、すごくコミュニケーション能力高そうだなと。 あいちゃんママ だから、娘にもそういう経験をしてもらいたいんですよね。おかげで、レッスンを休んだこともないし、仕事がいっぱい入っていても「疲れた」の一言も言ったことがないんで。そういう姿を見ているから、ウチの子は絶対大丈夫だなと。 ――そういう経験をしていれば、将来的にアイドルにならなくても意味があると。 あいちゃんママ うん。何事にも一生懸命がんばることができれば、意味がありますよね。 ***  7歳にして芸歴3年という「あいちゃん7さい」。このくらいの年齢だと、ちょっと目を離したスキにメチャクチャ成長しちゃうので、今すぐ会いに行くしかないぞ!? (取材・文=北村ヂン)
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■あいちゃん7さい 2014年10月よりライブ活動を開始。「アキバ・アイドルフェスティバル」にて最年少アイドルとしてライブデビューを果たし、イベント初のアンコールが起きて話題となる。 ライブ活動以外にもテレビやラジオ番組、舞台に出演するほか、モデルとしても活躍中。 http://rainbowmusic-production.com/ai_profile.html Twitter @aichan20100725

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「最年少アイドル」というキャッチフレーズでテレビ番組にも取り上げられるなど、色んな意味で話題となっている「あいちゃん6さい」。  初めて存在を知ったときには「アイドル業界も行くとこまで行ったな……」と思ったものだが、実際にライブを見てみると「幼稚園児に群がるロリコン集団」というよりは、姪っ子の学芸会を見守るおじさんたちといった雰囲気で、アットホームな空気が流れている現場だった。  そんな「あいちゃん」が今年小学校に入学し、7月には誕生日も迎えて「あいちゃん7さい」に進化した!? ……ということで、「日刊サイゾー」最年少インタビュー(たぶん)を敢行しました! ***
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8月5日、池袋ルイードK3で開催された「太陽さんさん!夏祭りスペシャル」にて。
■将来の夢は……「ペットショップ」!? ――4歳からアイドルをやってるんだよね? その前から歌ったり踊ったりするのが好きだったの? あいちゃん うん、好きだったよ。「さんぽ」(『となりのトトロ』のテーマ曲)とか。 ――他に好きな歌は? あいちゃん アニメの歌は好き! 『アイカツ!』とか『プリパラ』!(ともにテレビ東京系) ――ああ、アイドルのアニメを観て、アイドルになりたいって思ったのかな。はじめてやったライブは覚えてる? あいちゃん ウクレレ! 大隈秀徳(あいちゃん6さいのプロデューサー) ウクレレを演奏しながら「カエルの歌」と「さんぽ」を歌ってたよね。 ――緊張しなかった? あいちゃん わすれちゃった。 ――今、歌っている歌はあいちゃんが決めてるの? 大隈 あ、ボクです。 ――難しい曲が増えているけど、歌詞を覚えるのは大変じゃない? あいちゃん 大変! 「メランコリック」とか。メランコリックって……メロンジュース? ――7歳で「メランコリック」なんて言葉知らないよね(笑)。これから、自分で曲を作ったりしたいと思う? あいちゃん あんまり思わない。
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ハイタッチをしようとファンに駆け寄るあいちゃん。ファンサービスも忘れません!
――お父さんやお母さんより年上のお客さんもいると思うけど、そういうおじさんたちと話すのは大丈夫? あいちゃん 大丈夫! 仲良くできる! ――アイドルはずっと続けていきたいと思ってるの? あいちゃん うん。 ――じゃあ、将来の夢は? あいちゃん ペットショップ! ――あ、そうなんだ(笑)。 あいちゃん ケーキ屋さんも! 動物とお料理が好きなんで、だからそういうお店。 ――得意な料理は? あいちゃん オムライス! ――これからアイドルとしてテレビに出たり、ドラマに出たりとかも興味あるのかな? あいちゃん 演技? やりたい! テレビにも出たい! ――それじゃ最後に、お客さんへのメッセージを。 あいちゃん いつも応援してくれてありがとう!
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ライブ後の物販では、チェキを撮ったりサインを書いたり、ファンのみなさんと楽しそうに交流していました
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■目標は「あいちゃん104歳」  さすがに、あいちゃんに話を聞くだけだと細かい情報を聞き出せなかったので、プロデューサーの大隈秀徳と、あいちゃんママ26さい(!)にも話を聞きました。 ――もともと、あいちゃんは大隈さんの教室へ、レッスンに来ていたんですよね。 大隈 もともとの話で言うと、あいちゃんママが12歳の頃からボクの生徒だったんですよ。それで14歳の時に「12.ヒトエ」というガールズバンドでメジャーデビューして。まあ、そのバンドはあまり売れなくて解散しちゃうんですが。それから19歳であいちゃんを産んで、「この子が大きくなったら何かやらせようね」っていう話はしていたので、3歳の時に「そろそろ楽器をやらせてみようか」ということで、ギターは大きくてまだムリなのでウクレレを始めたんです。
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――その頃はアイドルというより、アーティスト的な方向性で考えていたんですか? 大隈 特にどっちと決めていたわけではないですね。その頃、ボクが小学生アイドルバンドをプロデュースしていたので、そういうアイドルのライブに行くことも多かったんです。その子たちは小学5年生だったから、最年少かなと思っていたら、共演するアイドルの子たちに小学校1年生の子がいて。アイドルが低年齢化しているんですよね。だったらもう、あいちゃんを出しちゃってもいいのかなって。その頃、ちょうど誕生日がきて4歳になったので「あいちゃん4さい」としてライブに初出演したんです。 ――名前に年齢を入れたというのは、そこが売りになると思ったからですか? 大隈 それはまったく考えてなかったですね。ボク的には修行じゃないけど、舞台慣れさせようくらいの気持ちだったので。でも、いざステージに出てみたら“4歳”っていうことがすごい騒がれて。最初はみんな「あいちゃん4さい」なんてふざけた名前だなと思ってたみたいなんだけど。 ――大人がネタとしてそういう芸名をつけてるんじゃないかと。 大隈 そうしたら、本物の4歳が出てきて衝撃を受けたみたいですね。「ガチの4歳出てきた」ってTwitterで騒がれていましたよ。
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――ライブでは最初からちゃんと歌えていたんですか? 大隈 そうですね、意外と度胸があるんですよ。普通、4歳の子ってなかなかママから離れられないと思うので、お客さんがいっぱい待っているステージに出ていくなんてできるのかなって思っていたら、堂々と出ていって「こんにちは、あいちゃん4さいです」ってあいさつして。この調子で成長していけば、10年経っても14歳だからスゴイぞと思いました。 ――14歳で芸歴10年ですからねー! 大隈 だから、長期計画で育てていこうと思っていたんですけど、思いのほか人気が出ちゃって。でも、普通のアイドルの年齢になるまでに色んな楽器をやらせて、踊りとかも本格的に踊れるようになってもらいたいんですけどね。 ――芸名は、たとえば20歳になっても「あいちゃん20さい」でいくんですか? 大隈 とりあえずはこの路線で行こうと。「あいちゃん○さい」というのがブランドみたいになってるんで。あいちゃんが104歳になって「芸歴100年のあいちゃん104さいです」って言うのが夢ですね。ボクは生きていないでしょうけど(笑)。 ――プロデューサーとしてのこれからの目標は? 大隈 先のことを考えないで始めちゃったんで、まだ「こういう風にやっていこう」とは考えていないですね。 ――初期は「幼稚園で歌ってるんだろうな」という感じの童謡が多かったですけど、最近はボカロ曲や「ももいろクローバーZ」の曲など、難しい曲が増えていますよね。 大隈 そうですね、さすがに小学1年生になって童謡もないだろうと思って。本当はオリジナル曲をやりたいんですけど、経済的な問題で……。今は1曲、ボクが作った「ハイパーランドセル」という曲を歌っていますが、本当は著名な作曲家さんに頼みたいんですけどね。 ――クラウドファンディングで支援者を募ったら、みんな親戚のおじさん気分でお金を出してくれるんじゃないですかね。 大隈 そういうこともやりたいんですけど、ボクがネットに弱くって……そういうことに詳しいスタッフが来てくれるといいんですけど。
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アンコールではピアニカの演奏も
――あいちゃんママは過去に芸能活動をされていましたが、娘にもやらせるというのは、芸能活動はいい思い出だったということでしょうか? あいちゃんママ いや、辛い思い出がいっぱいありますよ。でも、もともとの性格が「人と会話ができない」「人と目を合わせるのも苦手」「人前に出るのも大嫌い」……そんな感じだったので、自分を変えるためには辛い思いをするのなんて当たり前じゃないですか。いろんなことを努力してやってきたからこそ、自分が変われたって思っているんで。 ――確かに、お話をしていて、すごくコミュニケーション能力高そうだなと。 あいちゃんママ だから、娘にもそういう経験をしてもらいたいんですよね。おかげで、レッスンを休んだこともないし、仕事がいっぱい入っていても「疲れた」の一言も言ったことがないんで。そういう姿を見ているから、ウチの子は絶対大丈夫だなと。 ――そういう経験をしていれば、将来的にアイドルにならなくても意味があると。 あいちゃんママ うん。何事にも一生懸命がんばることができれば、意味がありますよね。 ***  7歳にして芸歴3年という「あいちゃん7さい」。このくらいの年齢だと、ちょっと目を離したスキにメチャクチャ成長しちゃうので、今すぐ会いに行くしかないぞ!? (取材・文=北村ヂン)
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■あいちゃん7さい 2014年10月よりライブ活動を開始。「アキバ・アイドルフェスティバル」にて最年少アイドルとしてライブデビューを果たし、イベント初のアンコールが起きて話題となる。 ライブ活動以外にもテレビやラジオ番組、舞台に出演するほか、モデルとしても活躍中。 http://rainbowmusic-production.com/ai_profile.html Twitter @aichan20100725

美少女たちの心は“闇”だらけ!? 「ミスiD 2017」受賞者が本音ぶっちゃける!

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撮影=尾藤能暢
 8月19日(土)~9月1日(金)にキネカ大森で開催される毎年恒例の「夏のホラー秘宝まつり2017」で、梅沢壮一監督の映画『血を吸う粘土』が上映される。  ドラマ『妖怪人間ベム』や映画『桐島、部活やめるってよ』などなど、数々の作品で特殊造型&特殊メイクを手がけてきた梅沢監督だけに、悪魔の粘土「カカメ」がみんなに取り憑いていって……という、造型&メイクにこだわりまくったこの作品。  主演は「ミスiD 2017」グランプリの武田杏香。さらに「ミスiD 2017」を受賞した杉本桃花、藤田恵名、牧原ゆゆが出演する。 ……ということで「ミスiD」の4人に、『血を吸う粘土』&「ミスiD」への思いを語ってもらった。 ■頭ぶっ飛んでるな、この人(監督)
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武田杏香
――今回の『血を吸う粘土』は「夏のホラー秘宝祭り2017」というイベントの一環として作られた映画ですけど、みなさんホラー映画は大丈夫なんですか? 武田 キライです! 昔、怖い話を聞かされて、しばらくお風呂にもひとりで入れなくなったくらいなんで……。 藤田 私も怖いのは本当にダメで……。台本を読んで「どういうこと?」って思いました(笑)。すごいことがいっぱい書いてあるんですよ。やっぱり監督さんが特殊造型出身の方だから、そういうところにはすごくこだわっていて……。「頭ぶっ飛んでるな、この人」と。 杉本 私は大丈夫です。好きでもないですけど、ホラー映画は日本のも海外のも見ていて『saw』みたいなグロいのも平気なんで、台本を読んで「楽しそうだな」って思いました(笑)。
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牧原ゆゆ
――牧原さんは、ホラー映画大好きなんですよね? 牧原 毎日見ています! 本当にホラー映画が好きで、この作品は襲われるだけじゃなくて、自分が怪物に取り憑かれて他人を襲えるというのが楽しみでしたね。いつも見ながら「私だったら、こう演じたいな」なんて考えていたので、今回はサイコパスっぽい感じで演じました。 ――撮影もハードそうでしたけど、大変だったことは? 武田 特殊メイクをして焼かれるシーンがあるんですけど、焼かれる気持ちってわからないじゃないですか。 ――……まあ、そうですね。 武田 監督から「とりあえず苦しんでください」って言われたんで、自分の中で一番低い声を出してうめいたんですけど、なかなかカットかからなくて大変でした。 杉本 私は自分に近い性格の役だったので、演技自体はやりやすかったんですけど、最後まで残って叫んでいるキャラクターだったんで、それが苦しくて……。酸欠になって頭クラクラになっちゃいましたよ。 藤田 撮影に入る前まで髪が明るかったんですけど、「役柄が10代だから、黒くしてくれ」って言われて。せっかくブリーチしてたのに、黒く染めたんですよ……。それがつらかったですね。 ――そこ!? ハムスターを口に入れられたり、いろいろやらされてましたけど。 藤田 もちろん本物のハムスターじゃないですけど、ゴムなのか粘土なのかよくわからない素材のものを口の中に入れられるとは……。「ウソだろー!?」って思ってました(笑)。まあ、普段から「NGなしです」って言ってる手前、「イヤです」とも言えないですから。 牧原 私は男の子の顔についた血をなめるシーンがあったんですけど、人の顔をなめたことがなかったから、どうなめたらいいかわからなくって。それが難しかったです。
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藤田恵名
■「ミスiD」を受けるような子たちは、何かしら闇を抱えていそう ――みなさんの共通点として、「ミスiD」というのがあります。アイドルオーディションとしてはかなり特殊なオーディションだと思いますが、なんで受けようと思ったんですか? 武田 オーディションを受ける1年くらい前に、実行委員長の小林司さんにイベントで呼んでいただいたことがあったので「ミスiD」の存在は知ってたんですが、コネとかがまったくないオーディションだと聞いていたので受けてみたいと思ったんですね。私、オーディションでちゃんと受かったことがないという意識があって、そういうコネがない場所で自分がどう評価されるのか知りたかったんです。 杉本 私はオーディションを受けたのが人生初めてだったんですが、なんで受けたのかって聞かれると……。当時、高校2年生で、将来の話とかで親や先生たちとぶつかることが多くて、「大人は、こんなに話が通じないのか」と悩んでいたんです。そんな時、「ミスiD」の募集要項を読んだら、「なんでもありで、かわいくなくても、スタイルがよくなくてもOKな、固定概念のないオーディションだ」って書いてあったんです。「ここなら自分の中身をちゃんと見てもらえるのかな」と思って応募しました。結果的に、ひねくれている審査員のみなさんをはじめとして、自分のことを理解してくれる人たちと出会えて、いい居場所ができたなと思いました。 ――オーディションの動画では、かなり挙動不審でしたけど、今日はだいぶ普通にしゃべれていますね。 杉本 最近まで本当に家から出られなくて……。こういう仕事をしようと決めてから、「頑張らなくちゃ」って、Twitterとかを頻繁に書くようにしているんですが、まだリハビリの真っ最中です。 ――藤田さんは、「ミスiD」にかなり思い入れがあったようですが。 藤田 「ミスiD」に携わっている、カルチャーに精通した人たちに自分の存在を届けたいって思ったんですよね。昔から女の子の集団って苦手で、いじめられて転校した経験もあるんですけど、「ミスiD」を受けるような子たちは何かしら闇を抱えていそうだから、この人たちの中だったらやっていけるんじゃないかなって。だから「ミスiD獲って、一花咲かせるぞ」とかじゃなくて、「ミスiD」という仲間に入りたかったんです。 牧原 私は以前、AKB48のオーディションを受けてメンバーに選ばれたんですけど、直後に元カレが私との写真を流出させて炎上してしまって、メンバーになれなくて……。その後、別のアイドルグループにも入ったんですけど、体が弱くてそこでやっていくのもキツイということになり、いったん夢をあきらめたんです。その結果、すごくネガティブな情報だけがネットに残ってしまい、挑戦したことがすべてマイナスになってしまったんですね。こんなことなら最初からこの世界に入らなければよかったって思っていたんですけど、「ミスiD」はそんなふうに失敗しても頑張っている姿を見てもらえるオーディションだと感じたので、そこに賭けてみようかなと思いました。 ――オーディションでは自分の病気のことなど、思い切ったカミングアウトもしていましたね。 牧原 そうです。自分にあるものは、いいものも悪いものも全部告白して……。すごく勇気がいったんですけど、その結果、周りの人たちが応援してくれたり、同じような境遇にある人が共感してくれたり。私が失敗してきたことも無駄じゃなかったな、と思えました。
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杉本桃花
■オーディション中、審査員全員、敵にしか見えなかった ――「ミスiD」界隈には変わった大人がたくさんいると思いますが、その人たちの印象は? 杉本 ホント、みなさんクセしかないですよね。Twitterを見ててもわかるじゃないですか、大森靖子ちゃんとか……。でも、こういう変な人たちだからこそ、モデルや女優に求められる外見的なものとか、そういうのは関係なく審査してくれるだろうなって感じました。過去に受賞した人たちも、そんな固定概念をぶっ壊してきた人だからこそ魅力的だと思えるし、可能性を感じますね。 藤田 私も、もともとは王道な歌手しか聴いてこなかったんですけど、今はサブカルな審査員のみなさんに影響されて、みうらじゅんさんやリリー・フランキーさんみたいになりたいと思っています。 ――だいぶ変な影響受けましたね! 藤田 正直、自分でもどこに行きたいのかわからないんですけど。私の新しい扉を開いてくれるサブカルな人たちは、すごく素敵で……。仕事相手としてはどうなの? って思うところもあるけど、大好きです。 ――武田さんは、サブカルとは縁のなさそうな世界で活動してきた人ですが、どうでしたか? 武田 私は、サブカルはキライですから。なんかジメジメしているイメージ。だからといって、私がキラキラしているというわけではないんですけど、オーディション中も審査員全員、敵にしか見えなかったですね。でも、だからこそ、「信頼できる人たちだな」って思いました。私は、芸能界芸能界しているのが苦手だったので。 ――「ミスiD」を受賞して最初の仕事が今回の映画でしたが、今後はどんな活動をしていきたいですか? 武田 今回の映画のようなお芝居もいいですけど、基本的には音楽を中心に活動していきたいなと思って準備中です。普段、童顔なので幼く見られがちなんですが、性格的にはそんなことは全然ないので。そういう、自分の内面を含めた部分を生かして活動していきたいなと思っています。 杉本 こういう人になりたいというのは今のところなくて、ふんわりしているんですけど、演技をやってみたら楽しかったし、芸能に携わることは今後もやっていきたいですね。 藤田 ずっと音楽をやってきたので、引き続きやっていきたいです。わりと何を言われても断れなくって、ラップをやってみたり、パチスロや麻雀の仕事をやってみたり……。でも、ここまできたら、求められることは自分なりになんでもやっていきたいなと思っています。そして、いつかはコラムとかを書いてみたいです。 ――ああ、やっぱり目標は、みうらさんとリリーさんなんですね。 牧原 私はこの4月に「永遠少女症候群ゆゆ」というソロアイドルとして活動を始めたばっかりで、ソロでやっていくのは本当に難しいなと思っている最中なんです。いろいろと悩んでいることも多いですが、やっぱり芸能は続けていきたいなと思っているんで、頑張りたいです! (取材・文=北村ヂン) ●『夏のホラー秘宝まつり2017』 開催概要 期間:8月19日(土)~9月1日(金) 場所:キネカ大森 料金:新作1500 円、旧作1100 円 公式サイト http://horror-hiho.com Twitter @horror_hiho 提供:キングレコード 配給・宣伝:ブラウニー

相方に触発され……“ピン芸人”又吉直樹の新たなる挑戦! 文章とお笑いを融合させた「朗読会」とは?

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撮影=尾藤能暢
 物書きであれば誰もが憧れる「芥川賞作家」という肩書を手に入れてもなお、この人の「芸人」「コント」そして「ピース」への熱が冷めることはない。相方である綾部祐二が単身ニューヨークへ、その時期に又吉直樹もまた芸人としての原点ともいえるユニットコントライブ『さよなら、絶景雑技団』の再演と、又吉自身の新たな挑戦となる『「やぁ」、朗読会』の開催を決めた。淡々と話すその言葉一つ一つに、大きな野望が垣間見えるスペシャルインタビュー。 *** ――『さよなら、絶景雑技団』のリリースのコメント(「今、自分が思いつくことを全部やってみようとおもいます。今、こうしてるあいだにも何か思いつきそうな気配を感じています。毎秒、何かを思いつきそうな予感が増しています。まだ何も思いついていないことが不思議なほど、何か思いつきそうな雰囲気が溢れています」)が、とても面白かったんですけど、これ、要するにまだ何も決まってないということですよね(笑)。 又吉 そういうことですね(笑)。 ――2009年、11年、そして今回で3回目の公演。 又吉 だいぶ期間が空いてしまいました。 ――11年から今回まで、確かにいろいろなことがありました。 又吉 僕らがピースとしてテレビによく出るようになったのは10年くらいだったんで、1回目、2回目当時はまだメディアへの露出もそんなになくて。あれから6年かぁ……。 ――ファンにとっては、まさしく「待ってました!」だと思います。 又吉 「待ってました」ってなってくれる人がいたらいいですけど。待たせすぎて、もうみんなどっか行ってしまったかもしれない。 ――プレッシャーは感じてらっしゃいますか? 又吉 う~ん、そうですね。僕が作るものなので、根本のところは前回と似てると思うんですけど、新しいものもできるだけお見せしたいなと。いわゆる「絶景」って、日常的な一瞬だったりするんですけど、その一瞬を「あぁ、こういうものを見せたかったんやな」っていう風景や場面みたいなものがあるコントにしたいなと思っています。 ――日常の中の絶景。 又吉 お客さんからしたら「これのどこが絶景?」って思うものがあるかもしれませんが、この人たちはこれを絶景と思ってるんだな、というのを楽しんでもらえたらいいですね。 ――『「やぁ」、朗読会』も、とても気になります。 又吉 朗読会だけをするのは初めてです。ライブの中で10分、20分朗読をすることは、これまでもあったんですけど。今のところ、僕とあと芸人2人(グランジ・五明拓弥、しずる・村上純)、今回の「絶景」メンバーですが、それぞれが自分で書いたものを読みたいなと。ただ、まだ書いてないんで(笑)。 ――すごい、朗読会のためだけの書き下ろし! 又吉 難しさは感じてます。そもそもよみうりホールは、かなり広いので朗読に適した小屋ではないと思うので、何かしらの演出はあったほうがいいかなとも思います。でも、いわゆる朗読に向いた狭い空間以外でもやってみたかったんです。今後を見据えて。『「やぁ」、朗読会』も、絶景雑技団と同じように継続してやっていきたいと考えています。
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――絶景雑技団のメンバーは、どのように集めたのですか? 又吉 09年に初めてやった頃は……情けない話なんですが、全然世に出れてなくて。ライブばっかりやってまして。みんな劇場でネタをやって、営業に行って、それをずっと繰り返している日々の中で、「ほんまにオレたち面白いことできてんのかな?」みたいな焦りがあったんだと思います。そんな中で、親しい後輩たちが「又吉さん、もっと面白いことやりたいですよね」って言ってきてくれて。でも、僕から見たらみんなすごい面白いから、こいつらの言う「もっと面白いこと」ってなんなんやろ? って、実はすごい怖かったんですよ。 ――(笑)。 又吉 「やりましょうよ」って言われて「そうやな」って答えたんですけど、内心「怖っ」って(笑)。みんな現状に納得していなくて、「又吉さん、このままじゃダメですよね?」って言われても「なんでみんな俺に言ってくるの?」みたいなことが最初にあって。だから濁していたんです。「せやな、いつかやろな」って、トーンを合わせながら。ちょうどそんなときに、会社の人から「又吉君、劇場が空いてるから、後輩たちとトークライブやってくれへん?」って話があったんですよ。 ――ついにその時が来てしまった(笑)。 又吉 もう逃げられない(笑)。それで「コントも何本かやっていいですか?」って了承もらって。メンバーに話したらみんなすごい盛り上がってもうて、「やりましょう!!」って。もうこれは腹をくくるしかない、自分を信じてやるしかないと思って必死でいろいろ考えましたね。とにかく、そういう始まり方なんです。 ――ほかのメンバーとの温度差が。 又吉 いざ作り始めたらコントがいっぱいできて、結局トークをすることなく全部コントで通しました。あの時のメンバーがね、みんなその後、有名になってしまって。ライスは『キングオブコント』で優勝したし、パンサー向井も世に出て、しずるも順調で、 井下好井の好井も『(人志松本の)すべらない話』(フジテレビ系)で活躍してる。囲碁将棋も『THE MANZAI』で決勝まで行きました。それなのに、会うたびに「又吉さん忙しそうですけど、来年あたり『絶景』どうですか?」って言ってくる。これ以上時間が空くともうできなくなるなと思いました、恐怖で。 ――恐怖ですか? 又吉 後輩のみんなとは違う戦いが、僕の中であるんですよ。お客さんの期待にも応えたいし、後輩の期待にも応えたいという。メンバーは気心も知れている分、僕にとっては緊張感がある。 ―― なるほど。 又吉 ……ライスの『キングオブコント』優勝が、僕に緊張感をもたらしているんですよ!! ――ああ(笑)。 又吉 ライスは本当に面白いんですけど、なかなか思うような結果が出てなくて。小説の新作を描き上げたらまた「絶景」をやろうって決めてたので、ライスに「『絶景』またやりたいんだけど」って相談したら、めちゃめちゃ喜んでくれて。「こんな状況なのに、又吉さんはまだ僕らのことを見捨てないでいてくれる」って。そしたら、優勝しちゃったんですよ。僕はチャンピオンとコントしなきゃいけなくなったんです(笑)。
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――日刊サイゾーのインタビューでも、ライスさん、「又吉さんに、とてもお世話になった」と話されていました(参照記事)。 又吉 うれしいですね。あの頃ってまだみんな20代だったので、それぞれのコンビの活動も大事じゃないですか。あくまでユニットなんで、「絶景」は。だからメンバーには「コンビやトリオの活動のほうが大事だから、そっち優先してもらってええねんけど、もしも相方に了承してもらえるんだったら、一緒にやってほしい」って伝えました。それでもみんな『やりたい』って言ってくれて。ただね、一番先輩なんですけど、本来僕はそういうみんなをまとめるリーダー的タイプじゃないんですよ。いろいろ考えちゃうんですよ。「俺の言う通りにしろ」みたいなことは言えない……。 ――「自分がこれを言ったら、相手はこういうふうに考えちゃうんじゃないか」ということを考えてしまう……。 又吉 そうなんです。「絶景」のグループLINEがあるんですけど、誰かがそこにネタを出して僕が『面白い』って返すじゃないですか。「あれ、こいつのネタを“面白い”って言っちゃったら、ここから全部に俺、“面白い”って言わなきゃバランス取られへんわ」とか思ってしまう(笑)。 ――気遣い(笑)。 又吉 今回、みんなが思うそれぞれの“絶景”を舞台でやるんですよ。そのネタが面白いから、いま自分のネタを出すタイミングを完全に見失ってます。 ――小説を書くことと、コントを書くこと、やはりギアは違うんですか? 又吉 そうですね。小説はやっぱり長いですからね。途中でやめられないというか、いったん書き始めたら書き終えないといけないじゃないですか。そこが大変ですね。一日で終わるものではないんで、体調が悪い時もあったり、精神的に今やらんほうがええなという時もあったり、その中で仕上げていくので。でも、コントはこれでええんかな? と疑問に感じたら突き詰めて考えてもいいですし、思い切って違うものに変えてもいい。そのへんが違うかもしれないですね。 ――小説を書きながら合間にコントを書くとか、逆にコントを書きながら合間に小説を書くとか、そういう同時進行は難しそうですね。 又吉 小説を書きながら合間にコントはできるかもしれませんが、コントを考えてる時に合間に小説は……できないかなぁ。コントは僕にとって日常ですが、小説はやっぱり体力がいるので。仕事部屋として借りているアパートの書斎でずっと新作を書いてたんですけど、書き終わってからその書斎にまだ2回しか行ってないですもん。小説書いてた時期のこと思い出して憂鬱になるから(笑)。 カツアゲされたことのある駅に大人になっても行かれへんのと一緒です。 ――(笑)。コントの場合は演じる人ありき……みたいなところもありそうです。 又吉 それがですね……僕が作っているのに、僕が出ないコントができてしまったんですよ。 ――そうなんですか! 又吉  これだけ達者なメンバーがいるんで、ほんまは出たいんですよ、出たいんですけど……。コントの配役をメンバーに伝えるとき、「又吉さんも出たほうがいいんじゃないですか?」って誰か言ってくれるかなと、かすかに期待していたんですけど、見事に誰も言ってくれなかった(笑)。僕が出ないコントが生まれてしまいました。 ――先ほど又吉さんは「20代はコンビとしての活動が一番大事」とおっしゃっていましたが、コンビとしての活動をお休みしている今、あらためて考えることはありますか? 又吉  これは相方もそうだと思いますが、今まではコンビの仕事をとにかく優先していたんですよ。コンビの仕事と個人の仕事がかぶっていたら、コンビの仕事を優先する。ただ今はそういうのがなくなったので、どれを優先するかは自分で決めなければいけない。コンビのときネタは僕が作るんですけど、どんな仕事をやるとかそういうことは綾部が決めていたんですよ。 ――コンビとしてのプロデュースみたいな。 又吉 プロデュースって、めちゃめちゃ難しいなと思います。今でもコンビ優先という気持ちは変わってませんし、できればこの『絶景雑技団』を本公演という形で、年1くらいでやっていきたい。さらにこの本公演を母体として、それぞれのコンビに負担がかからない形で、どんどん派生させていきたいですね。 ――その時の又吉さんは、プロデューサー的立ち位置ですね。 又吉 そうかもしれません。これからももちろんテレビに出たいですし、綾部がスターになって帰ってきてくれたら、また一緒にやりたい。今までピースとしてルミネで月に10本ぐらいはネタをやっていて、営業もあって、そういうのがなくなるわけで、お笑いの仕事を一人でやらないとダメじゃないですか。それで考えたんです。たとえば朗読会を定期的に続ければ、ライブで読むことを目的として書かれたテキストもたまっていくわけで、今までそういうことをやった人はあまりいないじゃないですか。自分の書いたものを持っていろいろな場所へ行って朗読をする。それなら文章とお笑いを融合させられるというか、60越えても歯が残ってる限り本は読めるので、そういうのはずっとやっていきたいなと。 ――ピン芸人として何ができるか……。 又吉 ピン芸人の人が漫談でお客さんを楽しませているとか、ミュージシャンが一人でギターだけ持って弾き語りしてるとか、ああいうのを見ると本当にすごいなと思うんです。僕は「一人でなんかやれ」って言われても、何もできないから。たとえ屋根がある劇場がなくても、道行く人に何かをやって収入を得ることができるタイプの芸人とそれができないタイプの芸人がいて、僕はそれができる芸人さんに対する憧れがすごくあります。「漫談やれ」って言われても、声もちっさいしちょっと暗めやし、でも朗読やったら、みんな「何話してるんやろう」って、耳を傾けてくれるかもしれない。だから、この朗読会は文学的なアプローチというよりは、ピン芸人の人の漫談とか、手品師やミュージシャンの感覚に近いものだと僕は思ってます。綾部は一人でアメリカで挑戦している。だったら僕も一人でお客さんの前で、自分で作ったもので勝負したいと。……と言いながら、最初の朗読会は3人でやるんですけど。 ――あ……確かに(笑) 又吉  綾部がニューヨークに行くタイミングで自分もチャレンジしようと意気込んで、「9月にやります」とか言ってしまったけど……でも……正直もうちょっとゆっくりでも良かったかな……張り切ってもうた(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●『さよなら、絶景雑技団』 【会場】よみうりホール(東京都千代田区有楽町1−11−1 読売会館) 【日時】9月 9日(土)開演 18:30 9月10日(日)開演 18:00 【出演】ピース・又吉直樹 グランジ・五明拓弥、しずる、ライス、サルゴリラ、 囲碁将棋・根建太一、ゆったり感・中村英将、 井下好井・好井まさお、パンサー・向井慧、スパイク・小川暖奈 【料金】前売6,000円/当日6,500円(税込・全席指定) ●『「やぁ」、朗読会』 【会場】よみうりホール 【日時】2017年9月10日(日)開演 13:30 【出演】ピース・又吉直樹 グランジ・五明拓弥、しずる・村上純 【料金】前売3,000円/当日3,500円(税込・全席指定)

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が、髪の毛を銀に染めて『銀魂』を見に行った結果……

元アウトローのカリスマ瓜田純士が、髪の毛を銀に染めて『銀魂』を見に行った結果……の画像1
“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回のお題は、大ヒット中の映画『銀魂』だ。「少年ジャンプ」(集英社)の元愛読者であり、主演の小栗旬のことも好きだという瓜田。作品のタイトルに合わせて、わざわざ髪の毛を銀色に染めて劇場入りしたが、鑑賞を終えるなり、「これはヒドい!」と吐き捨てた。  2004年より少年ジャンプで連載が続く超人気漫画を、小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、長澤まさみら豪華キャストで実写化した映画『銀魂』(福田雄一監督)。鑑賞当日、映画.comの注目作品ランキングで「1位」となっていたが、瓜田はこの作品のことをほぼ未知の状態で劇場に現れた。 「テレビのCMで何度か見たことあるけど、内容は全然知らないし、原作を読んだこともないですね。『少年ジャンプ』は愛読してましたけど、それも小学生までの話ですから」  とはいえ、この日を楽しみにしていたようだ。同伴者の奥様と共に、「サカゼン新宿店で買った」というおそろいのTシャツを着て来館。髪の毛の色が先月と変わっていることを指摘すると、瓜田は得意げにこう語った。 「『銀魂』というタイトルにちなんで、昨日、銀色に染めたんですよ。気分はすっかり小栗旬です」  作品のことをよく知らずに、ここまで入れ込む男も珍しい。 【宇宙一バカな“侍映画”だ、このヤロー!!】【笑って、泣いて、アツくなる、天下無敵の痛快アクション・エンターテインメント!】そんなキャッチコピーが踊るポスターを見つめながら、瓜田はこう続ける。 「こういうアホくさい映画は案外、面白いかも。というか、せっかく2時間以上の時間を費やすんだから、面白くあってほしいですね」  しかし、完全なる期待外れに終わったようだ。以下は、鑑賞後の瓜田夫妻へのインタビューである。 ――いかがでしたでしょう? 瓜田純士(以下/純士) なんだ、これは……。あまりにもヒドいな。筆舌に尽くし難いヒドさです。 ――序盤、奥様の笑い声がたびたび聞こえてきたので、瓜田さんも一緒に楽しんでいるのかと思ったのですが。 純士 ウチの嫁はどんな状況でも最後まで楽しもうという性格なんですよ。でも、俺は途中で何度も眠りそうになった。その都度、嫁に揺り起こされて、なんとか最後まで耐えましたが、いやぁ、今回ばかりはキツかったです。マジで……。 ――何がキツかったですか? 純士 いろいろあるけど、まずギャグですね。なんの前情報もなしに来たから違ってたらすいませんが、たぶんこれ、原作がギャグ漫画タッチだと思うんですよ。ギャグって、文化や世代が違うとまったく理解できないもんじゃないですか。たとえば、アキラ100%みたいなのは万国共通でわかるけど、こういうギャグって、そうじゃない。ちょっと前にマレーシアへ行ったときにホテルでテレビを見たら、向こうのダチョウ倶楽部みたいなやつらが出てきて、何をしてるんだかさっぱりわからないことをやって客が大爆笑してて、それを俺は冷めた目でジーッと見てた。そのときと同じ心境ですね。まったくわからないんですよ。一緒になって楽しみたいのに、ついていけないんですよ。
元アウトローのカリスマ瓜田純士が、髪の毛を銀に染めて『銀魂』を見に行った結果……の画像2
――でも、場内のあちこちから笑い声が聞こえてきました。 純士 イケメン好きのバカどもは、お目当ての俳優が何をやっても笑うんですよ。だけど、俺はノンケの野郎じゃないですか。キツいっすよ、正直。たとえば超絶イケメンの、まぁ俺以外の、瓜田純士以外の超絶スタイルよくて超絶イケメンのやつらが3人集まっておでん芸をやって、「アチー!」なんて言ったって、まったく面白くないでしょう。あれ、腹が出ててブサイクなダチョウ倶楽部がやるから超面白いんですよ。 ――確かに。 純士 でも、出てる演者さんたちには、まったくもって非はないです。心の中では「つまんねえ」と思いつつも、彼ら彼女らは渡された台本通りに頑張って仕事をこなしてるわけじゃないですか。立派なもんだと思います。 ――それは皮肉ですか? 純士 いや、本音です。普通、こんな仕事を依頼されたら、原作のファンでもない限り、逃げ出したくなりますよ。それを引き受けたプロの俳優陣は、本当に立派。昔の俺なら、開始1分で帰ったでしょうが、今は違う。仕事だから仕方なく100パーセントの力で演じ切ったあの人たちは、超すごい人たちじゃないですか。生き方として格好いい。嫌なことでもああやって甘んじて受け入れて、それを「面白い」に変えて楽しんでる人たちを尊敬できるし、こっちもそれに対して失礼がないように最後まで見届けないといけない。 ――なるほど……。 純士 それは、嫁から学んだ精神です。でも今回ばかりは、その精神が崩壊しそうになりました。せっかく見てるんだから理解したいんですよ。でも悔しいことに、理解しようがない。たぶん書き手のセンスみたいなもんが、俺とはまったく違うんでしょう。 ――奥様は、けっこう笑っていましたよね。 瓜田麗子(以下/麗子) 私は小洒落たギャグが好きやし、橋本環奈もかわいかったので、ストーリーはわからなくてもそこそこ楽しめました。でも、お金を払ってまで見るようなもんでもないかな、というのが正直な感想ですね。 純士 間(ま)が、あれに近いよな。俺の嫌いな『おそ松さん』に(記事参照)。あと、auのCMにも近い。あの三太郎が出てくるCMが今、一番人気あるらしいじゃないですか。今の子たちは、ああいう間が好きなんでしょう。何が面白いのか俺にはさっぱりだけど。 ――ギャグ以外の不満点は? 純士 役者陣のボディですね。菜々緒なんかテレビで見る限り、一流モデル扱いでチヤホヤされてるけど、あれで「スタイルがいい」っていうんなら、ヴィクシーのモデルたちはどうなるんだ、と言いたいです。世界基準で見たら、菜々緒はただの東洋人です。東洋人で本当にスタイルいいのは、冨永愛かウチの嫁ぐらいのもんですよ。 麗子 えっ!?(と言って、顔を赤らめる) 純士 俺みたいなリアルフィギュア、俺みたいな歩くマネキンから言わせてもらうと、菜々緒は背が高くて細いだけ。小6女子のおなかですよ。あんな上野の膝枕耳かき嬢みたいな、腹出し衣装を着るほどの腹筋じゃない。もっともっと鍛えてから出てこないと。
元アウトローのカリスマ瓜田純士が、髪の毛を銀に染めて『銀魂』を見に行った結果……の画像3
――あれ以上、絞りようがないと思いますが……。 純士 いや、もっと割らないと。16パックとまでは言いませんが、6パックが見えるまで腹筋を割らないと。俺はスタローンのような高みを目指してますから、ボディメイクには滅法厳しいんですよ。スタイルという観点から見て、全体的にキャスティングミスも目立ちましたね。チビな橋本環奈に対し、菜々緒の背が高すぎるから、バトルシーンなのに、子どもと大人が遊んでるようにしか見えない。男もそう。小栗旬は背が高くてスラッとしてるのに、堂本剛がちっちゃすぎて、好敵手に見えないんですよ。 麗子 堂本剛って演技力あるから好きやけど、ちょっとゲイっぽいな。終盤、小栗旬と揉みくちゃになって倒れたとき、小栗はずっとガニ股でのたうち回っとったけど、剛は内股で「いやんっ(ハート)」みたいな感じでうごめいてて、2人はまるでコトを終えたばかりのカップルみたいやったな。 純士 そんなところに目がいくってことは、真剣なバトルとして成立してない証拠でしょ。以前、佐藤健主演の『るろうに剣心』って映画を見たんですけど、あれはキャスティングが成功してたと思うんです。どの登場人物も違和感なかったし、世界観がちゃんとできてた。作品の世界観を保つためには、背格好だったり、出てる人たちの年齢層も重要になってくると思う。その点、『銀魂』は真選組も、小栗を基準にするとみんなちっちゃいから子どもに見えるし、学芸会みたいになっちゃう。だったらいっそのこと、主人公をちっちゃいやつにすりゃよかったのに。そうすりゃ周りが脅威的な敵に見えるのに。そんなことを思いながら見てました。 ――小栗旬って、身長はどれくらいあるんですかね? 純士 184cmですね。俺より1cm高いです。 ――詳しいですね。なぜそんなことを知っているんですか? 純士 俺、小栗旬のこと、好きなんですよ。テレビで公安のドラマ(『CRISIS』)を見て、「こいつ、めちゃくちゃ格好いいな。誰だ?」と思って調べたら、小栗旬だった。それまでは、チビのくせにイキって不良役とかやってる大根役者だと思ってたんだけど、そのドラマを見て好きになり、正しい身長も調べて知ったんです。だから今日も他の役者にはあんまり目がいかず、小栗だけを見てた感じでした。 ――小栗旬のどこが好きなんですか? 純士 まず、声ですね。いい男の声なんですよ。あとはスタイルと雰囲気もいい。独特の色気を放ってますね。 麗子 ちょっと純士の声にも似てるな。 純士 そう。背が高いイケメン特有の声。反町隆史、藤原竜也、江口洋介、阿部寛なんかも同類かな。 ――奥様は、小栗旬を格好いいと思いますか? 麗子 う~ん……私にとっては旦那の純士がズバ抜けて格好いい存在やから、他の男を見てもなんとも思わへんなぁ。 純士 (誇らしげな顔で)キング・オブ・イケメンは俺ですから。申し訳ないけど、小栗くんでは勝ち目がない。それは仕方がない。 ――夫婦で褒め合って気持ちよくなるのはいい加減にして、他の役者陣の評価をお聞かせください。菅田将暉はどうでしたか? 純士 吉野家のキャンペーンボーイですよね。いつになったら出てくるんだと思ってたんですけど、最後のクレジットを見て、やっとわかったんですよ。ああ、あのメガネか、と。最初、芸人の小宮かと思いましたよ(笑)。まぁそれだけ俺の目を欺いたんだから、役者としては一流なのかもしれないけど、イケメンかどうかは評価が分かれるところでしょう。 麗子 今どきの男前、流行りの男前、って感じやな。 純士 CMとかに出続けると、それが一番格好いい男になっちゃうという好例なんじゃないでしょうか。 ――奥様は気に入ったという橋本環奈。旦那様はどう思いましたか? 純士 あの子の芝居はよかったです。あの子が殴ったり蹴ったりすると決まる。菜々緒が大根に見えましたから。 ――さっきから菜々緒に厳しいですが、もしかして瓜田さん、菜々緒のことが逆に好きなんじゃないですか? 純士 ふっ、そんなんじゃありませんよ。ただ、同じフォースを感じるんですよ。ボディメイクのライバルでもありますからね。 ――長澤まさみはいかがでしょう? 太ももを披露していましたが。 麗子 えっ? 出てました? 純士 小栗旬の看病をしながら、少年ジャンプを読み上げてた子いるじゃん。あれが長澤まさみだよ。 麗子 誰この色っぽい人? と思ってたんやけど、長澤まさみやとは気ぃつけへんかった。えらい雰囲気が変わったなぁ。
元アウトローのカリスマ瓜田純士が、髪の毛を銀に染めて『銀魂』を見に行った結果……の画像4
――漫画の実写化が相次いでいますが、それについて思うことは? 純士 原作を知らなくても楽しめる内容であれば、どんどん実写化すればいいんじゃないですか? ただ、今作みたいに、犬だか猫だかよくわかんない巨大キャラ(定春)とか、Q太郎みたいな着ぐるみキャラ(エリザベス)が、実写の人物と混在すると、どうしたって違和感は出ますよね。その違和感を作中では開き直ってギャグにしてましたけど、それにしたって苦しいですよ。 ――ああいう謎のキャラクターが、ファンにはたまらないんですかね? 純士 俺にもオタクの友人や知人がいるんですよ。その人たちの話を聞いてると、オタクが面白いと思う漫画とかって、必ずポケモンみたいに人物とキャラみたいなのがニコイチで出てくるんですって。今日みたいな変な犬猫とか、でかいカブト虫とか、ナウシカでいうと肩に乗ってるリスみないなやつ(テト)とか。そういう違和感のある演出がオタクは好きで、ああいうキャラを待ち受け画面にしたりするんです。その層でしょうね、『銀魂』が狙ってるのは。そんなことは重々承知の上で、今日はイチゲンなりに楽しもうと思ったのに、まったく楽しめませんでした。CGもただただウザいだけだったし。 ――CG、ダメだったですか? 純士 俺ね、行きすぎたCGが嫌いなんですよ。CGなのかどうなのか一瞬わからないものは「おっ、今のすごくない!?」となるけど、実写なのに光線が飛び交ったりするのは興醒めなんですよ。それが『銀魂』は多すぎた。今日見た予告編の『東京喰種 トーキョーグール』も『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』もそうでした。漫画を実写化するってのはそういうことなんだろうし、これから先の映像作品はそれがエスカレートしてく一方なんでしょうね……。ここらでいっぺん、誰かが歯止めをかけてくれよ! と願います。『ウルトラマン』や『スパイダーマン』のCGは迫力あって好きだけど、生身の人間の貧弱なアクションをCGで誤魔化すのは、そろそろナシにしていただきたい。それよりも体をバキバキに鍛えてくれよ、と。 ――今作の中で、気に入った点はありましたか? 純士 冒頭の江戸時代のデニーズみたいなところのシーンはよかったです。お、このまま面白くなるのか? と期待しましたが、残念ながらあそこがピークでした。 ――それでは最後に、今作を総括してください。 純士 小学生のとき俺、『ドラゴンボール』がすごい好きで、近所のコンビニに行ったら、『ドラゴンボール』の悟空とかが表紙になってるファミカセが売ってたんですよ。しかも確か2,000円台という信じられない安さだったから、飛びついて買ったわけです。そしたらそれね、「ファミコンジャンプ」って商品で、少年ジャンプに出てくる主要なキャラ全員集合みたいな、ゲーム会社が遊び心で作ったものだったんです。それを知ったときのガッカリ感が、今回の映画とものすごく似てるな、と思いました。 ――と、申しますと? 純士 全部の売れてるキャラがごちゃ混ぜになって、妙なウケ狙いをしてる商品だったんですよ。悟空やブルマが出てきたのはいいけど、『キャプテン翼』とか『キン肉マン』とか、ついでにとんちんかんの抜作とかまで出てきて、変なギャグを言ったりして。『ドラゴンボール』を純粋に楽しみにしてた俺としては、そんなお祭りみたいにいろんなもんを詰め込まれてハシャがれても、なんにも面白くない。『銀魂』はまさに、「ファミコンジャンプ」ですよ。 ――瓜田さんにも、そんなかわいいらしい時代があったんですね。 純士 ありましたよ。ファミカセに息を「フーッ」とかやってましたもん(笑)。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ) ※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士公式ブログ http://junshiurita.com ※瓜田純士&麗子Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/

日本映画のポスターがダサいのは原因があった!? 『獣道』プロデューサー、アダム・トレルが大放談

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 日本映画ってポスターやフライヤーがダサい。そう感じたことはないだろうか? ネットなどで海外の映画のポスタービジュアルを見ていると、すごくオシャレでかっこいいのに、なんでこうも違うのか。そんな疑問に答えてくれたのは、英国出身の映画プロデューサーであるアダム・トレル氏。日本のインディペンデント映画の秀作を海外へ配給する一方、現代版“男はつらいよ”の世界を描いた藤田容介監督の『福福荘の福ちゃん』(14)や原発問題に真正面から斬り込んだ園子温監督の『希望の国』(12)といった話題作をプロデュースしている。単館系でロングランヒットを記録した『下衆の愛』(16)の内田英治監督と再びタッグを組んだ最新プロデュース作『獣道』は、7月15日より東京での公開が始まったばかり。日本映画をこよなく愛するがゆえに辛辣な意見も口から飛び出すトレル氏に、日本映画界のいい面とダメな面について語ってもらった。  東京で始めたのは2014年からだが、独学で学んだという日本語は流暢で気っ風がいい。まずは日本映画界の“いい面”について。 アダム・トレル「日本人は、みんな映画は映画館へ観に行く。これは素晴しいこと。映画はまず映画館で公開され、半年後にDVD化され、さらにその後にオンデマンド化されるようになっています。日本では昔からのルールが今も守られている。でも、欧米ではNetflixが大きな力を持ち、映画の公開とネットでの配信が同時になっています。みんな自宅で映画を観るようになり、DVDレンタル店はすっかり減り、街から映画館もどんどん消えています。その点、日本では映画館で映画を楽しむという文化が守られている。しかも、日本はインドやハリウッドに次ぐ映画製作本数を誇り、まぁこれは多すぎだと思うけど、『下衆の愛』や今回の『獣道』のような低予算の映画でも、面白い作品は2~3週間やそれ以上上映してくれる。映画館に通って、インディーズ映画を応援する日本の映画ファンは本当に素晴しい」
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映画プロデューサーのアダム・トレル氏。12~13歳で深作欣二や鈴木清順にハマり、日本映画に魅了されたという。
 ゼロ年代の個性豊かな日本映画を英国で配給してきたトレル氏は、園監督が資金集めに苦戦した『希望の国』をきっかけにプロデューサーとして日本映画の製作現場に足を踏み入れるようになった。だが、そこで驚いたのが“製作委員会方式”という日本映画界ならではのシステム。映画会社だけでなくテレビ局、出版社、ビデオメーカーなど様々な企業が製作費を分担し、興行リスクを減らすために編み出されたものだが、映画の内容に興味のない人たちが委員会に参加していることには違和感を覚えたという。 トレル「人気アイドル事務所の誰々が出演すればファンを動員できるとか、製作委員会の参加者はお金のことしか関心がない。クリエイティヴィティなことには興味を持っていない。映画への愛情が感じられない。何十億円も投じた大作映画なら分かるけれど、2,000万~3,000万円規模のインディペンデント作品でも製作委員会方式になっていることにはびっくりした。製作委員会ではA、B、C、D……とフォーミュラ(慣習的やり方)で仕事が進んでいく。製作委員会方式では面白い映画はつくれないと思う。もし、面白い映画ができたとしたら、それは単なる偶然。製作委員会方式が嫌で、内田監督の『下衆の愛』は自主映画として作った。製作費は5万ドル以下で、俺の家や行きつけの居酒屋で撮影した。お金はなかったけど、愛とパッションで撮った映画。海外の映画祭で上映されたし、米国、ドイツ、台湾、香港、中国、韓国へ配給でき、イタリアでのリメイクも決まった。映画が面白いかどうかは、製作費がどれだけあるかではなく、愛とパッションがあるかどうかだよ」 ■日本人も知らない日本文化を伝えたい  内田監督との2度目のタッグ作『獣道』は、愛とパッションに加え、映画的な面白さが溢れた作品だ。地方都市を舞台に、カルト教団で育った少女・愛依(伊藤沙莉)が自分の居場所を求めて、ヤンキーコミュニティーに溶け込こんでいく姿が描かれる。カルト教団や崩壊した家庭といった要素は、園監督の大ブレイク作『愛のむきだし』(08)を彷彿させる。また、英国人プロデューサーのアダム氏がヤンキーカルチャーを題材にした映画を製作するというのもユニークだ。
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現在公開中の『獣道』。どこにも居場所のない愛依(伊藤沙莉)は髪を金髪にして、ヤンキー一家の一員となる。
アダム「園監督の『愛のむきだし』を海外で配給したところ、大変な人気になった。それまでの園監督は『自殺サークル』(02)などエクストリーム系の監督のひとりくらいにしか欧州では認識されていなかったけど、『愛のむきだし』が大ヒットし、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』(11)も当たった。内田監督から『獣道』の内容を最初に聞いたとき、俺も『愛のむきだし』と似ているなと感じた。海外ではカルト宗教は人気の題材なので、すごくいいと思った。『獣道』の英題は『Love and Other Cults』。ヤンキー文化に関しては、俺は素養があった。『ビー・バップ・ハイスクール』(85)や『スケバン刑事』(フジテレビ系)を子どもの頃に観ていたしね。海外の不良はギャングっぽくて怖いけど、日本のヤンキーはどこか可愛げがある。それにヤンキー文化は英国のモッズカルチャーと通じるところがある。どちらも労働者階級の文化で、彼らは月曜から金曜まで一生懸命働いて、週末は稼いだお金でバイクを改造したりファッションに使って、みんなでツーリングする。モッズは黒人音楽が好きで、ヤンキーは永ちゃんが好き。音楽が重要なのも一緒(笑)。すごく通じるところがある。俺、70~80年代の日本のアイドルグループも大好きで、ピンクレディやキャンディーズのグッズをコレクションしていた。メジャーなアイドルだけじゃなくて、キャンディーズの妹分だったトライアングル、フィーバー、キャンキャンまで集めてた。日本人も知らない日本の文化をみんなに伝えたい。自分でもおかしいと思うよ。ヤバいよね(笑)」
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元人気子役の伊藤沙莉と須賀健太がそのポテンシャルを遺憾なく発揮。閉塞的な社会に喘ぐ若者像をリアルに演じている。
 上映時間237分だった『愛のむきだし』に対し、『獣道』は94分で家族や社会に翻弄されながら生きていくヒロイン・愛依の過酷な青春が濃密に描かれていく。愛依を演じた伊藤沙莉はテレビドラマで活躍した人気子役出身だが、『獣道』では金髪に染めてのヤンキーファッション、清純そうな中流家庭風ファッションなど自分を受けいれてくれる環境に応じて次々と擬態していく。自分の居場所を失いたくないために上半身裸になるシーンもあり、まさに体当たりの熱演で『獣道』を完走してみせた。 アダム「伊藤沙莉は本当にヤバいよ(笑)。彼女は女優としてもちろん人気もあるけど、大事なのは人気よりも演技ができるということ。彼女が脱ぐシーンは、脱ぐことで自分の心を見せる重要な場面だった。逆にSEXシーンでは脱いでない。彼女はちゃんとそのことを理解してくれて演じてくれた。彼女の所属事務所は、タレントではなく俳優をマネージメントしている、映画に対して理解のある会社でよかった。これが製作委員会方式だったら、『もっと有名なアイドルを使え』とか言ってきて、その結果このシーンもなくなっていたかもしれない。もしくはセールスのためにヌードシーンを増やすよう言われたかもしれない。内田監督は女優の演出がうまいし、キャスティングのセンスもいい。今回もすごくいいキャストが集まった。ヤンキー役の吉村界人もいいし、演技は初めてのアントニーも悪くない。子役時代も含めて長いキャリアのある須賀健太は安定していて、もう何も言うことがない(笑)。最初の編集段階での『獣道』はすごく長かったけど、俺は編集に関しては厳しい。最近の日本映画はダラダラしたのが多すぎる。映画は映像と音も大事だけど、テンポをよくしないと海外では観てもらえない。最初から最後まで監督と一緒になって映画をよくするための努力を惜しまない、それがプロデューサー」
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ヤンキー映画をプロデュースしたアダム氏に「ヤンキー座り、お願いします」と頼んだところ、こんな感じに……。
■日本のコメディは海外にも需要がある  これまで海外では、日本映画といえば三池崇史監督の『オーディション』(00)をはじめとするエクストリーム系か中田秀夫監督の『リング』(98)のようなホラー作品しか知られていなかったが、日本のインディペンデント系のコメディ作品には個性的な作品が多く、海外でも需要があると話す。 アダム「藤田監督の前作『全然大丈夫』(08)はロンドンで劇場公開されるほど人気が高かったから、『福福荘の福ちゃん』もつくった。三木聡監督も英国で人気がある。三木監督の『亀は意外と速く泳ぐ』(05)、『転々』(07)、『インスタント沼』(09)をDVD-BOXにしたら、すごく売れた。三木監督も藤田監督もモンティパイソンを見て育った世代で、彼らのちょっとブラックな笑いは英国人も大好き。日本のインディペンデント系監督のコメディはとても個性的で、海外でもっと売れる可能性がある。藤田監督や三木監督のオリジナル作品を求めているファンは海外に多い。日本には才能のある監督が他にもたくさんいる」  最後になったが、冒頭で触れた「日本映画のポスターがダサいのはなぜか」という問題について。アダム氏が運営する配給会社「Third Window Films」のwebサイトには日本のポスターとは異なる、オシャレな英語版のポスタービジュアルが並んでいる。日本と海外とでポスターがこうも違うのはどうしてなのか? アダム「日本の映画のポスターやフライヤーはすごく説明的。出演者は誰々で、どんなストーリーかも文字でびっしり説明されている。予告編もそう。日本のフライヤーと予告編を見たら、内容がだいたい分かってしまう。『これはどんな映画なんだろう』と見た人がもっとミステリアスに感じ、興味を持たせるようなものにしないとダメ。海外では日本の出演者が誰かということには興味が持たれないので、日本版のポスターをそのままは使えない。今後はますますオンデマンドが主流化していくから、キービジュルはより重要になってくる。それに映画はアートなんだから、ポスターやフライヤーもアートじゃないとね。日本映画のポスターやフライヤーがダサいのはデザイナーの責任ではなく、ディレクションしている映画会社の宣伝担当者の問題であり、ポスターやフライヤーにまで口を出してくる芸能事務所が大きな問題。主人公だけ映ったポスターを予定していたら、『うちの俳優もポスターに入れろ』『斜めじゃなくて、正面から顔が映ったものにしろ』とか文句を言ってくる。日本映画のポスターがどれもこれも同じように、出演者の顔だらけなのはそのため。映画のクリエイティヴな面にまで口を挟んでくる日本の芸能事務所はおかしい。まぁ、『獣道』のポスターはやり過ぎかもしれないけどね(笑)」  前作『下衆の愛』の上映期間中は、都内の上映館のエントランスにアダム氏が立ち、手作りのポストカードを入場者にひとりずつ配る姿が連日続いた。お客さんと話すことが楽しいし、お客さんから映画の感想や意見を聞いて、次回作はよりよいものにしたいという想いからだった。『獣道』でも都内での上映期間中は基本、映画館でお客さんを出迎え、見送るつもりだという。『獣道』をスクリーンで楽しんだ後は、ぜひアダム氏の生トークにも触れてみてほしい。 (取材・文=長野辰次/撮影=尾藤能暢)
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『獣道』 監督・脚本/内田英治 プロデューサー/アダム・トレル 主題歌/餓鬼連合(餓鬼レンジャーwith伊藤沙莉) 出演/伊藤沙莉、須賀健太、アントニー、吉村界人、韓英恵、冨手麻妙、松本花奈、川上奈々美、毎熊克哉、マシュー・チョジック、矢部太郎、でんでん、広田レオナ、近藤芳正、篠原篤、日高七海、大島葉子、アベラヒデノブ、川籠石駿平、根矢涼香、衣緒菜、森本のぶ、水澤紳吾、松井薫平 配給/スタイルジャム 7月15日よりシネマート新宿ほか全国順次公開中 (c)third window films http://www.kemono-michi.com ●アダム・トレル 1982年英国ロンドン生まれ。22歳のときに配給会社「Third Window Films」を立ち上げる。園子温監督の『愛のむきだし』(08)、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』(11)、『ラブ&ピース』(15)などを英国で配給し、園監督の海外での人気を高めた。資金集めが難航した園監督の『希望の国』(12)には共同プロデューサーとして参加。2014年より日本に来日しての映画製作も始め、『福福荘の福ちゃん』(14)や『下衆の愛』(16)をプロデュースしている。

日本映画のポスターがダサいのは原因があった!? 『獣道』プロデューサー、アダム・トレルが大放談

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 日本映画ってポスターやフライヤーがダサい。そう感じたことはないだろうか? ネットなどで海外の映画のポスタービジュアルを見ていると、すごくオシャレでかっこいいのに、なんでこうも違うのか。そんな疑問に答えてくれたのは、英国出身の映画プロデューサーであるアダム・トレル氏。日本のインディペンデント映画の秀作を海外へ配給する一方、現代版“男はつらいよ”の世界を描いた藤田容介監督の『福福荘の福ちゃん』(14)や原発問題に真正面から斬り込んだ園子温監督の『希望の国』(12)といった話題作をプロデュースしている。単館系でロングランヒットを記録した『下衆の愛』(16)の内田英治監督と再びタッグを組んだ最新プロデュース作『獣道』は、7月15日より東京での公開が始まったばかり。日本映画をこよなく愛するがゆえに辛辣な意見も口から飛び出すアダム氏に、日本映画界のいい面とダメな面について語ってもらった。  東京で暮らし始めたのは2014年からだが、独学で学んだという日本語は流暢で気っ風がいい。まずは日本映画界の“いい面”について。 アダム・トレル「日本人は、みんな映画は映画館へ観に行く。これは素晴しいこと。映画はまず映画館で公開され、半年後にDVD化され、さらにその後にオンデマンド化されるようになっています。日本では昔からのルールが今も守られている。でも、欧米ではNetflixが大きな力を持ち、映画の公開とネットでの配信が同時になっています。みんな自宅で映画を観るようになり、DVDレンタル店はすっかり減り、街から映画館もどんどん消えています。その点、日本では映画館で映画を楽しむという文化が守られている。しかも、日本はインドやハリウッドに次ぐ映画製作本数を誇り、まぁこれは多すぎだと思うけど、『下衆の愛』や今回の『獣道』のような低予算の映画でも、面白い作品は2~3週間やそれ以上上映してくれる。映画館に通って、インディーズ映画を応援する日本の映画ファンは本当に素晴しい」
日本映画のポスターがダサいのは原因があった!? 『獣道』プロデューサー、アダム・トレルが大放談の画像2
映画プロデューサーのアダム・トレル氏。12~13歳で深作欣二や鈴木清順にハマり、日本映画に魅了されたという。
 ゼロ年代の個性豊かな日本映画を英国で配給してきたアダム氏は、園監督が資金集めに苦戦した『希望の国』をきっかけにプロデューサーとして日本映画の製作現場に足を踏み入れるようになった。だが、そこで驚いたのが“製作委員会方式”という日本映画界ならではのシステム。映画会社だけでなくテレビ局、出版社、ビデオメーカーなど様々な企業が製作費を分担し、興行リスクを減らすために編み出されたものだが、映画の内容に興味のない人たちが委員会に参加していることには違和感を覚えたという。 アダム「人気アイドル事務所の誰々が出演すればファンを動員できるとか、製作委員会の参加者はお金のことしか関心がない。クリエイティヴィティなことには興味を持っていない。映画への愛情が感じられない。何十億円も投じた大作映画なら分かるけれど、2,000万~3,000万円規模のインディペンデント作品でも製作委員会方式になっていることにはびっくりした。製作委員会ではA、B、C、D……とフォーミュラ(慣習的やり方)で仕事が進んでいく。製作委員会方式では面白い映画はつくれないと思う。もし、面白い映画ができたとしたら、それは単なる偶然。製作委員会方式が嫌で、内田監督の『下衆の愛』は自主映画として作った。製作費は5万ドル以下で、俺の家や行きつけの居酒屋で撮影した。お金はなかったけど、愛とパッションで撮った映画。海外の映画祭で上映されたし、米国、ドイツ、台湾、香港、中国、韓国へ配給でき、イタリアでのリメイクも決まった。映画が面白いかどうかは、製作費がどれだけあるかではなく、愛とパッションがあるかどうかだよ」 ■日本人も知らない日本文化を伝えたい  内田監督との2度目のタッグ作『獣道』は、愛とパッションに加え、映画的な面白さが溢れた作品だ。地方都市を舞台に、カルト教団で育った少女・愛依(伊藤沙莉)が自分の居場所を求めて、ヤンキーコミュニティーに溶け込こんでいく姿が描かれる。カルト教団や崩壊した家庭といった要素は、園監督の大ブレイク作『愛のむきだし』(08)を彷彿させる。また、英国人プロデューサーのアダム氏がヤンキーカルチャーを題材にした映画を製作するというのもユニークだ。
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現在公開中の『獣道』。どこにも居場所のない愛依(伊藤沙莉)は髪を金髪にして、ヤンキー一家の一員となる。
アダム「園監督の『愛のむきだし』を海外で配給したところ、大変な人気になった。それまでの園監督は『自殺サークル』(02)などエクストリーム系の監督のひとりくらいにしか欧州では認識されていなかったけど、『愛のむきだし』が大ヒットし、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』(11)も当たった。内田監督から『獣道』の内容を最初に聞いたとき、俺も『愛のむきだし』と似ているなと感じた。海外ではカルト宗教は人気の題材なので、すごくいいと思った。『獣道』の英題は『Love and Other Cults』。ヤンキー文化に関しては、俺は素養があった。『ビー・バップ・ハイスクール』(85)や『スケバン刑事』(フジテレビ系)を子どもの頃に観ていたしね。海外の不良はギャングっぽくて怖いけど、日本のヤンキーはどこか可愛げがある。それにヤンキー文化は英国のモッズカルチャーと通じるところがある。どちらも労働者階級の文化で、彼らは月曜から金曜まで一生懸命働いて、週末は稼いだお金でバイクを改造したりファッションに使って、みんなでツーリングする。モッズは黒人音楽が好きで、ヤンキーは永ちゃんが好き。音楽が重要なのも一緒(笑)。すごく通じるところがある。俺、70~80年代の日本のアイドルグループも大好きで、ピンクレディやキャンディーズのグッズをコレクションしていた。メジャーなアイドルだけじゃなくて、キャンディーズの妹分だったトライアングル、フィーバー、キャンキャンまで集めてた。日本人も知らない日本の文化をみんなに伝えたい。自分でもおかしいと思うよ。ヤバいよね(笑)」
日本映画のポスターがダサいのは原因があった!? 『獣道』プロデューサー、アダム・トレルが大放談の画像4
元人気子役の伊藤沙莉と須賀健太がそのポテンシャルを遺憾なく発揮。閉塞的な社会に喘ぐ若者像をリアルに演じている。
 上映時間237分だった『愛のむきだし』に対し、『獣道』は94分で家族や社会に翻弄されながら生きていくヒロイン・愛依の過酷な青春が濃密に描かれていく。愛依を演じた伊藤沙莉はテレビドラマで活躍した人気子役出身だが、『獣道』では金髪に染めてのヤンキーファッション、清純そうな中流家庭風ファッションなど自分を受けいれてくれる環境に応じて次々と擬態していく。自分の居場所を失いたくないために上半身裸になるシーンもあり、まさに体当たりの熱演で『獣道』を完走してみせた。 アダム「伊藤沙莉は本当にヤバいよ(笑)。彼女は女優としてもちろん人気もあるけど、大事なのは人気よりも演技ができるということ。彼女が脱ぐシーンは、脱ぐことで自分の心を見せる重要な場面だった。逆にSEXシーンでは脱いでない。彼女はちゃんとそのことを理解してくれて演じてくれた。彼女の所属事務所は、タレントではなく俳優をマネージメントしている、映画に対して理解のある会社でよかった。これが製作委員会方式だったら、『もっと有名なアイドルを使え』とか言ってきて、その結果このシーンもなくなっていたかもしれない。もしくはセールスのためにヌードシーンを増やすよう言われたかもしれない。内田監督は女優の演出がうまいし、キャスティングのセンスもいい。今回もすごくいいキャストが集まった。ヤンキー役の吉村界人もいいし、演技は初めてのアントニーも悪くない。子役時代も含めて長いキャリアのある須賀健太は安定していて、もう何も言うことがない(笑)。最初の編集段階での『獣道』はすごく長かったけど、俺は編集に関しては厳しい。最近の日本映画はダラダラしたのが多すぎる。映画は映像と音も大事だけど、テンポをよくしないと海外では観てもらえない。最初から最後まで監督と一緒になって映画をよくするための努力を惜しまない、それがプロデューサー」
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ヤンキー映画をプロデュースしたアダム氏に「ヤンキー座り、お願いします」と頼んだところ、こんな感じに……。
■日本のコメディは海外にも需要がある  これまで海外では、日本映画といえば三池崇史監督の『オーディション』(00)をはじめとするエクストリーム系か中田秀夫監督の『リング』(98)のようなホラー作品しか知られていなかったが、日本のインディペンデント系のコメディ作品には個性的な作品が多く、海外でも需要があると話す。 アダム「藤田監督の前作『全然大丈夫』(08)はロンドンで劇場公開されるほど人気が高かったから、『福福荘の福ちゃん』もつくった。三木聡監督も英国で人気がある。三木監督の『亀は意外と速く泳ぐ』(05)、『転々』(07)、『インスタント沼』(09)をDVD-BOXにしたら、すごく売れた。三木監督も藤田監督もモンティパイソンを見て育った世代で、彼らのちょっとブラックな笑いは英国人も大好き。日本のインディペンデント系監督のコメディはとても個性的で、海外でもっと売れる可能性がある。藤田監督や三木監督のオリジナル作品を求めているファンは海外に多い。日本には才能のある監督が他にもたくさんいる」  最後になったが、冒頭で触れた「日本映画のポスターがダサいのはなぜか」という問題について。アダム氏が運営する配給会社「Third Window Films」のwebサイトには日本のポスターとは異なる、オシャレな英語版のポスタービジュアルが並んでいる。日本と海外とでポスターがこうも違うのはどうしてなのか? アダム「日本の映画のポスターやフライヤーはすごく説明的。出演者は誰々で、どんなストーリーかも文字でびっしり説明されている。予告編もそう。日本のフライヤーと予告編を見たら、内容がだいたい分かってしまう。『これはどんな映画なんだろう』と見た人がもっとミステリアスに感じ、興味を持たせるようなものにしないとダメ。海外では日本の出演者が誰かということには興味が持たれないので、日本版のポスターをそのままは使えない。今後はますますオンデマンドが主流化していくから、キービジュアルはより重要になってくる。それに映画はアートなんだから、ポスターやフライヤーもアートじゃないとね。日本映画のポスターやフライヤーがダサいのはデザイナーの責任ではなく、ディレクションしている映画会社の宣伝担当者の問題であり、ポスターやフライヤーにまで口を出してくる芸能事務所が大きな問題。主人公だけ映ったポスターを予定していたら、『うちの俳優もポスターに入れろ』『斜めじゃなくて、正面から顔が映ったものにしろ』とか文句を言ってくる。日本映画のポスターがどれもこれも同じように、出演者の顔だらけなのはそのため。映画のクリエイティヴな面にまで口を挟んでくる日本の芸能事務所はおかしい。まぁ、『獣道』のポスターはやり過ぎかもしれないけどね(笑)」  前作『下衆の愛』の上映期間中は、都内の上映館のエントランスにアダム氏が立ち、手作りのポストカードを入場者にひとりずつ配る姿が連日続いた。お客さんと話すことが楽しいし、お客さんから映画の感想や意見を聞いて、次回作はよりよいものにしたいという想いからだった。『獣道』でも都内での上映期間中は基本、映画館でお客さんを出迎え、見送るつもりだという。『獣道』をスクリーンで楽しんだ後は、ぜひアダム氏の生トークにも触れてみてほしい。 (取材・文=長野辰次/撮影=尾藤能暢)
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『獣道』 監督・脚本/内田英治 プロデューサー/アダム・トレル 主題歌/餓鬼連合(餓鬼レンジャーwith伊藤沙莉) 出演/伊藤沙莉、須賀健太、アントニー、吉村界人、韓英恵、冨手麻妙、松本花奈、川上奈々美、毎熊克哉、マシュー・チョジック、矢部太郎、でんでん、広田レオナ、近藤芳正、篠原篤、日高七海、大島葉子、アベラヒデノブ、川籠石駿平、根矢涼香、衣緒菜、森本のぶ、水澤紳吾、松井薫平 配給/スタイルジャム 7月15日よりシネマート新宿ほか全国順次公開中 (c)third window films http://www.kemono-michi.com ●アダム・トレル 1982年英国ロンドン生まれ。22歳のときに配給会社「Third Window Films」を立ち上げる。園子温監督の『愛のむきだし』(08)、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』(11)、『ラブ&ピース』(15)などを英国で配給し、園監督の海外での人気を高めた。資金集めが難航した園監督の『希望の国』(12)には共同プロデューサーとして参加。2014年より日本に来日しての映画製作も始め、『福福荘の福ちゃん』(14)や『下衆の愛』(16)をプロデュースしている。

ヒトラー&ナチス映画が最近増えているのはなぜ? 「欅坂46」も巻き込んだナチズムの危険な魅力

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ヒトラー、ヒムラーに次ぐ、ナチスの実力者“金髪の野獣”ハイドリヒ暗殺事件を描いた『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』。
 現代社会に甦ったアドルフ・ヒトラーが毒舌コメディアンとして人気を博し、マスメディアをたやすく牛耳っていくブラックコメディ『帰ってきたヒトラー』(15)はドイツ本国で大ヒットしただけでなく、日本でも2016年に劇場公開され、単館系では異例といえる興収2億円のヒット作となった。『帰ってきたヒトラー』のほかにも、ホロコーストを指揮したアドルフ・アイヒマンに焦点を当てた『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(15)や『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』(15)、アウシュビッツ裁判が開かれるまでのドイツの実情を暴いた『顔のないヒトラーたち』(14)、ナチ犯罪の爪痕を描いた復讐劇『手紙は憶えている』(15)など様々なヒトラー&ナチ関連映画が日本で公開され、それぞれ話題を呼んだ。  今年もナチ映画の劇場公開が目立つ。7月8日から公開が始まった『ヒトラーへの285枚の葉書』は平凡な労働者階級のドイツ人夫婦が主人公。それまでナチ政権を支持することに何ら疑問を感じることのなかった夫婦が、ひとり息子を戦争で失ったことからヒトラー批判のメッセージカードをベルリン市中に配り歩くようになった実在の事件を描いた感動作だ。8月12日(土)より公開される『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』はナチスによるチェコ支配に抵抗したレジスタンスたちを主人公にしたスリリングな実録映画。映画の後半には激しい銃撃戦が待っている。やはり実話を基にしたユダヤ人少年少女たちのサバイバルロードムービー『少女ファニーと運命の旅』は8月11日(金)より公開される。ユニークな作品としては、ジョニー・デップとリリー=ローズ・メロディ・デップが父娘共演した『コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団』(公開中)があり、カナディアンナチスを自称した実在の人物エイドリアン・アルカンを元人気子役のハーレイ・ジョエル・オスメントが演じている。
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『ヒトラーへの285枚の葉書』。平凡な労働者階級の夫婦オットーとアンナは、命の危険を省みずヒトラーを批判する。
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1930年代のカナダ、エイドリアン・アルカン(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は反ユダヤ主義を掲げる。『コンビニ・ウォーズ』より。
 なぜゆえ、こうもヒトラー&ナチ関連の映画が最近多いのだろうか。ドイツ現代史研究者で、早稲田大学の非常勤講師を務めている増田好純氏に、日本人があまり知らないドイツの内情について語ってもらった。 増田「ヒトラーやナチスドイツを扱った映画が最近いろいろと作られるようになった背景のひとつとして、戦後70年が経過してドイツでもようやくヒトラーやナチスが歴史として認識されるようになってきたということが言えると思います。戦後のドイツは、ヒトラーやナチスが犯したユダヤ人大虐殺などの大規模犯罪と向き合うことで国際社会からの信頼を得てきたという経緯があります。その反面、自国でヒトラーやナチスを描くことにはとてもナーバスで、タブー視されてきました。『ヒトラー 最期の12日間』(04)は戦後初めてヒトラーを正面から描いたドイツ映画でしたが、政治的な解釈は回避した内容でした。ドイツは戦後ずっとナチ犯罪被害者への補償を続けてきたわけですが、1990年代終わりに持ち上がったナチ政権下における強制労働に対する補償問題は“最後の大規模なナチ犯罪”と呼ばれ、紆余曲折しながらも2001年に基金が設けられ、2007年に補償金の支払いが終了しています。このことから、ドイツ人の喉元にずっと刺さったままだったナチズムの棘が国際政治的にようやく抜けたという感覚になったようです。それ以降、ヒトラーやナチスを題材にした小説や映画などがナチズムの再評価に関わらない限りで容認される雰囲気ができ、ここ数年で次々と形になってきているように感じます」  日本では人気アイドルグループ「欅坂46」が昨年のハロウィンイベントの際にナチス親衛隊を思わせる衣装を着たことが大きな波紋を呼んだが、ドイツでは今でもナチスを連想させる表現は厳しく取り締まられている。 増田「公共の場でヒトラーを賛美したり、ナチスを肯定したりするとドイツでは民衆扇動罪に問われ、逮捕されます。日本は反ユダヤ主義に対して認識がかなり希薄ですが、ドイツでは単なるコスプレでもナチスを思わせる格好で外出することは許されていません。ドイツの学校では現代史の授業に時間が多く割かれますし、生徒が授業中に挙手するときは手を挙げるのではなく、人差し指を立てるようになっています。手を挙げるとナチス式の敬礼を連想させるという理由からです。『帰ってきたヒトラー』はドイツ人の本音をうまく代弁したコメディ映画としてヒットしましたが、ヒトラーに対するドイツでの公的な見識が変わったわけではありません。『帰ってきたヒトラー』はヒトラーを主人公にしたというよりも、ドイツを含めて欧州全体に極右勢力が台頭し、移民を排斥しようとする風潮をタイミングよく風刺した作品だったと思います」  ドイツ国内でナチスに対する歴史的な評価が変わることはないものの、ナチス政権は一般のドイツ市民からは意外なほど高い支持を得ていたことが専門家の研究によって最近明らかになってきたと増田氏は語る。 増田「ナチスドイツは結局、戦争に負けるまではドイツ内部で崩壊することはありませんでした。戦争が始まってからも、ドイツの一般市民の多くはナチス政権を支持していたことが戦後間もなく行なわれた世論調査などで分かっています。占領国から奪った食料や物資でドイツ国内は潤い、戦時中も飢えに苦しむことがなかったんです。戦争体験と飢餓が結びついている日本との大きな違いでしょう。『ハイドリヒを撃て!』ではナチ秘密警察の実力者だったラインハルト・ハイドリヒがチェコレジスタンスたちの暗殺の標的になりますが、37歳でハイドリヒはチェコの統治を任されたように、ナチスは実力のある若い世代を中堅幹部に抜擢していたのも特徴です。若くして責任ある立場に就いたことで、ヒトラーの指示以上に彼らは過激な行動に走っていった傾向があります。ワイマール時代に厳しい貧困生活を強いられた若い世代がナチスを支えていたんです。少子化、高齢者と子どもの貧困問題、外国人を排斥しようとする最近の世界情勢は、ナチスが台頭してきた状況と通じるものがありますね」  これまで多くの映画ではナチスは絶対悪として描かれてきたが、ミルグラム実験を題材にした『es[エス]』(02)や米国の高校で実際に起きた事件に着想を得た『THE WAVE ウェイブ』(08)といったドイツ映画では、ファシズムという状況に簡単に順応し、ナチズムというエリート意識に魅了されてしまう人間の危うい一面が描かれている。また、増田氏が執筆者のひとりとして参加した『教養のドイツ現代史』(ミネルヴァ書房)を読むと、これまでヒトラーやナチスが映画や漫画などの世界でどのように描かれてきたのか、またナチスは同性愛や売春を厳しく取り締まる反面、男女間の婚前・婚外の性的関係には寛容だったなどの興味深いテーマについて知ることができる。大衆を熱狂させたヒトラーとナチスの歴史を含め、ドイツ現代史から学ぶべきことは多そうだ。 (取材・文=長野辰次)
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『ヒトラーへの285枚の葉書』 製作国/ドイツ、フランス、イギリス 監督・脚本/ヴァンサン・ベレーズ 出演/エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール  配給/アルバトロス・フィルム 7月8日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー中 (C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd / Pathe Production / Buffalo Films 2016 http://hitler-hagaki-movie.com
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『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』 製作国/チェコ、イギリス、フランス 監督・脚本・編集/ショーン・エリス 出演/キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ルボン、アンナ・ガイスレロヴァー、ブライアン・カスペ、トビー・ジョーンズ  配給/アンプラグド 8月12日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 (C)2016 Project Anth LLC All Rights Reserved http://shoot-heydrich.com
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『コンビニ・ウォーズ バイトJK vsミニナチ軍団』 製作国/アメリカ 監督・脚本・編集/ケヴィン・スミス 出演/リリー=ローズ・メロディ・デップ、ハーレイ・クイン・スミス、ジョニー・デップ、ジャスティン・ロング、ハーレイ・ジョエル・オスメント 配給/パルコ、ハピネット 7月1日より新宿シネマカリテほか全国順次公開中 (c)2015 YOGA HOSERS,LLC All Rightshojo-fanny-movies Reserved. http://conveni-wars.jp
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『少女ファニーと運命の旅』 製作国/フランス、ベルギー 監督/ローラ・ドワイヨン 出演/レオニー・スーショー、セシル・ドゥ・フランス、ステファン・ドゥ・グルート、ライアン・ブロディ  配給/東北新社 8月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー (C)ORIGAMI FILMS / BEE FILMS / DAVIS FILMS / SCOPE PICTURES / FRANCE 2 CINEMA / CINEMA RHONE-ALPES / CE QUI ME MEUT - 2015 http://shojo-fanny-movie.jp ■イベント情報 2016年12月に開催された「早稲田大学 白バラ・パネル展」が今秋も予定されている。ナチ政権下のドイツで、ヒトラー政権に抵抗するビラを発行し続けた大学生たちを中心にしたグループ「白バラ」の活動内容や時代背景を解説したパネルや写真が展示される。ドイツ映画『白バラの祈り』(05)の主人公のモデルとなったゾフィー・ショルの21歳の生涯に触れたい。 会場/早稲田大学早稲田キャンパス 小野梓記念館(27号館)地下1階ワセダギャラリー

「ブレーク芸人」大量輩出中のTBSラジオ『ラフターナイト』──その“選球眼”の秘密を聞いた!

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 ひところ、「テレビのネタ番組が減った」とよく言われた。それに伴い、若手芸人がテレビに出る機会が減少した、とも。だが、2015年の『M-1グランプリ』復活あたりから潮目が変わり、深夜にネタ番組が増加。『内村てらす』(日本テレビ系)、『こそこそチャップリン』(テレビ東京系/今年4月より『にちようチャップリン』にリニューアル)、『有田チルドレン』『有田ジェネレーション』(TBS系)、『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)内「お願い!マンピンコン」、『新しい波24』(フジテレビ系)など、各局が活きのいい若手を次々と出演させている。  そんな中にあって、お笑い好きの間で注目度の高いネタ番組が、テレビではなくラジオにある。毎週金曜24時からTBSラジオで放送されている『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト)だ。 『ラフターナイト』は15年4月に開始した。毎月40組の芸人がオンエアを争うネタバトルに参加し、観覧客の投票によって20組がオンエアを獲得する。放送後、ホームページで受け付けているリスナー投票と、TBSラジオ・JUNK総合プロデューサーの宮嵜守史氏、『水曜日のダウンタウン』プロデューサー・藤井健太郎氏、『おぎやはぎのメガネびいき』等を担当する放送作家・鈴木工務店氏による番組審査員の審査に基づいて、「月間チャンピオン」が決定する。  当初は毎週土曜日24時から30分間の番組だったが、今年4月から金曜24~25時の1時間枠に拡大。前半30分が5組のネタをオンエア、後半30分が結成6年目のコンビ・空気階段による「空気階段の踊り場」という構成になった『ラフターナイト』がお笑い好きから注目されている理由は、その“選球眼”にある。  歴代月間チャンピオンには、カミナリ、メイプル超合金、相席スタートなどが並ぶ。いずれも『M-1グランプリ』出場前で、ライブに足を運ぶようなお笑いファンにはその実力が知られていたものの、世間的にはまったくの無名だった時期だ。彼ら以外にも、その『M-1グランプリ』をはじめ『キングオブコント』や『R-1ぐらんぷり』ファイナリスト候補と目される若手芸人たちが、月間チャンピオンに輝いている。  コアなお笑いファンを納得させるラインナップは、どのようにして実現しているのか? 同番組を担当する越崎恭平ディレクターに聞いた。
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TBSラジオ『マイナビLaughter Night』の越崎恭平ディレクター
――毎週楽しみに聴いています。毎回出演している芸人さんのラインナップが“的確”すぎて感心するのですが、出場者はどうやって集めているんですか? 越崎恭平氏(以下、越崎) オンエア争奪ライブ自体がオーディションなので、かなり間口を広く受け入れています。ホームページからのエントリー制で、各事務所のマネージャーさんが応募してきますし、フリーランスの芸人さんは自分で送ってきますね。それに加えて、自分がお笑いライブに通って、そこで面白かった人に出場を打診するケースもあります。初めてのメディア出演が『ラフターナイト』という芸人さんも結構いますよ。放送は20組ですが、争奪ライブには40組出られるので、厳選して絞り込んで……ということはしないで済むのが強みですね。 ――ディレクター自らライブに足を運んでいるんですね。確かに、ロビンソンズやエル・カブキ、ヤーレンズなど、ライブシーンで定評のある人が多く出ているな、と思っていました。
越崎 常連になっている芸人さんもいますね。でも、3~4回連続でオンエアを逃していても、出てもらっている人もいます。カミナリも、(所属の)グレープカンパニーの事務所ライブで観て声をかけたんですけど、最初の3~4回くらいは全然オンエアにならなかったんですよ。でもある時、急にドカンとウケて、月間チャンピオンになって。何がそんなに変わったのか、本人たちもあんまりピンと来てなかったみたいですけど(笑)。  テレビのネタ番組だと、やっぱり「ウチの番組から発掘した」と言いたいから、他番組に出ている人にはあまり声をかけなかったりするケースもあるみたいですが、『ラフターナイト』はそのこだわりが全然ないので、テレビで初めて観て面白かった人にも、すぐに連絡してます。もちろん、ウチの番組も最終的にはチャンピオンを決めるので、発掘感は大事なんですが、今のTBSラジオは正直『オールナイトニッポンR』(ニッポン放送)のような若手芸人のお試し枠があるわけではないので、出てもらった人をいっぱい使うという約束はできない。なので、「こういう芸人がいますよ」とお客さんや業界の人に見せる、ショーケースのような役割を果たせればと。 ――それにしても、オンエアを獲得したネタも、テレビだったら放送できないようなギリギリのものが多いように感じます。観覧のお客さんから悲鳴が上がりそうなネタが普通にオンエアされていますし、それで月間チャンピオンになる人もいますよね。それをお客さんが投票で選んでいるというのはすごいと思います。 越崎 ラジオリスナーの方が公開収録に来ているので、ほかのライブ会場と空気が違うというのはあると思います。これは僕たちが操作しているわけでは当然なくて、『ラフターナイト』のお客さんの特性だと思うんですが、コアなネタでもすごく笑っていただけるんですよ。それこそ空気階段も、初めてヨシモト∞ホールで観たときは、客席がシーンとしてたんです。でも面白かったので争奪ライブに呼んでみたら、1回目から大爆笑でした。芸人さんにも、「初めてこのネタでウケました」とよく言われます。本当に毎回温かいお客さんが来てくれるので、ありがたいですね。 ――以前に一度観覧に行ったときは、かなり年齢層が幅広くて、普段若手芸人のライブで見かける客層とはちょっと違うな、と驚きました。 越崎 10代の学生もいるし、年配の方もいますね。アンケートを読むと、「初めて生でお笑いを観た」という人も結構多いです。慣れていない人からすれば、ライブハウスは行きづらいのかもしれません。ラジオの観覧という形であれば来やすいですよね。 ――確かに、高校生がいきなり新宿バティオス(歌舞伎町のライブハウス。よく若手芸人のライブが行われている)に行くのはハードルが高いですもんね。「さすがにこのネタはNG」という線引きは設けているんですか? 越崎 テレビに比べたら相当ユルいと思いますよ。『ラフターナイト』でやったネタを、テレビのオーディションに持っていったらすごく変えられた、という話も芸人さんからよく聞きます。ただ、「ラジオで聴いてわかるように工夫してほしい」というのは事前に伝えていますね。どれだけ面白くても、何が起こっているのかわからないネタは、聴いている人にとってすごくストレスなので。 ――芸人さん側にとっても、自由度が高いのでやりやすそうですね。 越崎 今いちばんスッと出やすい番組だと思ってると思いますよ。テレビだと、ディレクターや作家さんの前でネタ見せをして、後日連絡来なくて落ちて……みたいなのを繰り返しますけど、オンエアになるかは別として『ラフターナイト』は収録にはすぐ出られますから。お笑いライブの関係者の人から「芸人さんたち、楽屋でラフターナイトの話をよくしてますよ」と言われたことがあります。結構力を入れてくれてるんだなぁ、と思えてうれしいですね。それと、TBS局内で収録しているので、普段お客さんが10人くらいのライブハウスに出ている人からすると、すごい気合いが入るそうです。「やっと地上に出てきた感じがします」と。 ――ネタ以外の部分で、番組を作る上でこだわっているところはありますか? 越崎 オンエアには乗らない部分ですが、収録では5組ずつにブロックを分けてネタを披露してもらっていて、その後に5組そろっての告知のコーナーがあるんです。そこを楽しみに来てくれるお客さんも多いし、実際かなりこだわって5組の組み合わせを考えてますね。もちろんコント・漫才・ピン芸とネタの種類のバランスもあるんですが、芸人さんがどういう人なのかわかるように出てもらいたくて。台本もないし事前の打ち合わせもないので、出たとこ勝負ではあるんですが、「このコンビは今は別の事務所だけどNSC(吉本の養成所)通ってたのか。じゃあこの人と同期同士で一緒にしてみよう」とか「この人たち、見た目が似てるな」とか「ツイッターフォローしあってるから実は仲良いのかな」とか、なるべく盛り上がるように設定しています。小森園ひろしさんと、ピーマンズスタンダードの南川さんが高校の同級生だったって情報見つけて組み合わせてみたり、鬼越トマホークの坂井さんとルシファー吉岡さんのスキンヘッド2人で出してみる、とかそれぐらいなんですけど(笑)。 ――「◯◯と△△が実は昔から知り合い」とか、養成所時代の同期・先輩・後輩関係をチェックするのもお笑いファンは好きですよね。 越崎 初めての人にも楽しんでもらいたいのはもちろんですが、お笑いファンにも刺さるように作りたいですからね。「この組み合わせが観られるんだ!」って思ってほしい。 ――今年の4月からは放送枠が拡大になり、後半30分は空気階段の冠番組『空気階段の踊り場』になっていますよね。同じ平日24時台は、火曜がアルコ&ピース、水曜がうしろシティ、木曜がハライチで、圧倒的に知名度のない空気階段がここに並んでいるのはすごい抜擢だと思うのですが。
越崎 2016年のチャンピオン大会で優勝して、その特典として2時間の冠特番『空気階段のRADIO ESCALATOR』を昨年12月に放送したんです。それが好評で、編成部長にも「特番が面白かった」と言ってもらって。『ラフターナイト』の枠拡大に伴って後半30分を誰に任せるか、という話になった時に、「じゃあ空気階段でいこう」と。 ――『RADIO ESCALATOR』は確かに面白かったですが、レギュラーにするのはかなりの冒険だったのでは? と勝手に心配していました。 越崎「やっていいの!?」と正直思いました。相当な思い切りですよね。全然華もないし(笑)。 ――2016年チャンピオン大会にはカミナリも出ていますし、第1回チャンピオン大会(2015年)はニューヨーク、メイプル超合金やANZEN漫才、相席スタートと、その後ブレークした方も多いですよね。ファンとしては、空気階段も同じような勢いで駆け上がってほしいんですが……。 越崎 うーん、どうですかね。もうちょっと時間がかかるんじゃないでしょうか……華もないし、清潔感がないですからね(笑)。 (取材・文=斎藤岬) ●『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト) 放送/TBSラジオにて、毎週金曜24~25時 https://www.tbsradio.jp/warai954/index.html 「第3回チャンピオンLIVE」 日時:2017年10月14日 16時開演 場所:ニッショーホール MC:山里亮太、伊東楓(TBSアナウンサー) ゲスト:アルコ&ピース チケット:前売3,500円 イープラス・チケットぴあ・ローソンチケットにて発売中 ●越崎恭平(こしざき・きょうへい) 1987年生まれ。TBSプロネックス所属。現在の担当番組は『爆笑問題カーボーイ』『爆笑問題の日曜サンデー』ほか。