目標は「費用対効果の高い女」!下田美咲の2014年

shimodamisaki0813.jpg  2013年、自作の宣伝カーと、飲み会の「コール」を武器に、流星の如く現れたタレント・下田美咲。その尋常ではない気合と溢れ出るパワーで『ズームイン!!サタデー』(日本テレビ)、『アウト×デラックス』(フジテレビ)、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)、『ゴッドタン』(テレビ東京)など、人気番組を次々と制覇し、ブレイクを果たした。  そんな下田が、初の写真集となる『食べごろ美咲』とBlu-ray『美咲のためならバリ島へ』(ポニーキャニオン)を同時リリース! その実力は本物なのか!? それともただの一発屋なのか!? 本人を直撃すると、意外な素顔が見えてきた……。 ──初となる写真集の出版おめでとうございます! 今回、どうしてバリ島を舞台に選んだのでしょうか? 下田 この人生で写真集を出せる機会があるとも思っていなかったので、どこの国が良いという理想とかもなくて、でも海が綺麗な国が良さそうとは思ったので、そう希望したらスタッフさんによってバリが選ばれました。  2013年には、奇跡的に世の中に知られることができましたが、Blu-rayや写真集が出せるのは今回が最初で最後かもしれないので、出し惜しみせず、やりたいことは全部詰め込みました。 Blu-rayの方は「ドキュメンタリー」をコンセプトにしたのですが、というのも、私は、演技が全く出来ないんです。普段から「口調が棒読み」って言われるのに、演技をしようとしたら、棒読みどころの騒ぎじゃなくなる……。こういう商品の定番の撮影法だと、私の場合はどれだけ時間をかけても、まともなクオリティになる可能性が無い。この素質で面白いものを、と考えたら、ドキュメンタリーしかないだろうという結論に至りました。ただ、そうは言ってもグラビアカテゴリの商品なのでドキュメンタリーの撮影法でも、しっかり「カラダ感」を出すための、特殊シーンを複数入れました。耳かきとかマッサージとか。 ──「ドキュメンタリー」としていい反応を引き出すために、大好きなお酒も禁止したそうですね。 下田 撮影前の10日間は禁酒したのですが、かなりストレスでした……。ただ、その分、バリで飲んだビールは心から美味しくて、いい表情が撮れてます! その後は浴びるように飲んでいましたね(笑)。 ──禁酒のほかには、どのような努力をしたんでしょうか? 下田 身体づくりです。撮影の1カ月前にワンマンライブがあったので、それ用のボディーに仕上げてあって、2時間歌って踊っても息が上がらないだけの筋肉が付いていたんです。でも、それだと見た感じが固い質感になってしまうので、ライブが終わってからは、走らず歩かず、徹底的に怠けて、筋肉を脂肪に変えました。 ──写真集のために人体改造を!? 下田 後から「ああしておけばよかった」とは思いたくないんです。 ──バリ島の撮影で、印象に残っている出来事は何でしょうか? 下田 象に乗ったことやマリンスポーツをしたことが印象に残っていますね。バナナボートに乗った時はコールをしたくなりました! ──え、どうしてですか!? 下田 本当にテンションが上がるとコールをしたい衝動に駆られるんだなーって今回気付きました。これまでは、私にとってコールはひとりでやることではなく、あくまで仲間とすること、コミュニケーションの一種だったので、テレビの演出で「ひとりでにコールをやりだしてください」と言われたりすると拒んできたのですが。でも、この時はひとりでもやりたくなりました。 ──今回は下着姿にもこだわったそうですね。 下田 下着は最も盛れる衣服なので、見せたかったんですよねー! 水着と下着ではワイヤーの入り方も違うし胸の盛れ方も違います。普段から下着で海に入りたいくらい下着が好き。機会があれば積極的に脱ぎたいです。 ──ぜひお願いします!! 他にお気に入りのカットはいかがでしょうか? 下田 写真集の中でイチオシは、ビール瓶で胸を隠した写真と、チョコレートソースとホイップクリームで女体盛りにしたカットです。他の写真は、基本的にディレクターに任せていましたが、この2枚だけは私のディレクション。私が企画しました。  ビール瓶ブラは、アルコールによってチャンスを掴めた人生だったから、お酒に敬意を払う意味で実現させたかったんです。「女体盛り」の方は、世のカップルがバレンタインデーにやりがちなことですよね。 ──いえ、普通やらないと思います……。 下田 絶対やってますよ! 少なくとも私はやったことがあります!! バレンタインの時に、チョコレートソースだけ持ってきてって言われてやったんですが、あれは今思えばエロいことだったな~と思ったんです。生クリームやチョコレートソースの滴りで、通常は写真には写らない体温を表現することに成功したので、よかったです。温かさって、ひとつのエロさですよね。 ──意外にも、下田さんの考え方は、とてもロジカルなんですね。 下田 美咲は、スーパーロジカル野郎なんです。コールで世に出たのでノリと勢いの人と思われがちなんですけど、全然そんなことないんですよ。 ──Blu-rayではマッサージ姿やホテルで飲んでいる素の表情も見られますね。 下田 飲みのシーンは、何時間も飲んで喋っているから普段カメラの前では出せない深いところが出ています。マッサージでは、肌というか肉というか、それの弾力が写っているので、触り心地が想像できると思いますね。 ──今回、「究極の1冊」という目標は達成できましたか? 下田 もちろん! ■ネバーランドを作りたい! ──写真集に収められたエッセイでは「ウォルト・ディズニーくらいこだわりたい」と語っていますね。 下田 ウォルト・ディズニーくらいこだわって、マイケル・ジャクソンみたいな存在になるのが目標です。10年以内にはネバーランドを作りたいんです! ──壮大すぎる目標ですが……。 下田 けど、ただのニートだった去年の今頃に「バリに行って写真集を出したい!」って言ったら、「壮大すぎる」って笑われてますよね。それが実現できてるんだからネバーランドもあり得るはずです。 ──Blu-rayでも「なんでバリに行けるのかわからない」と話していました。 下田 こんなにたくさんのクルーを連れて行って、お金はちゃんと回収できるのか? どうやって採算が合わせられるのか全然わからなかったんですよ。 ──さすが個人事務所「ミサキ式」の社長! 制作原価も考慮しているんですね。 下田 だって、ちゃんと採算が取れないと、第2弾が作れないじゃないですか! ──ところで、2013年に大ブレイクを果たしましたが、2014年の活動は順調でしょうか? 下田 半年前までは、2014年春以降の下田美咲はないと思っていたんです。4月まではDVDやCDなどのリリースが決まっていたから活動できると思っていたんですが、それ以降は、すっかり世間から消えてると思っていました。今も活動できていることにびっくりしてます。 ──自分でも「一発屋」という危機感があったんですね。 下田 先日『めざましどようび』のレギュラーになることも決定して、少なくともあと数年はチャンスがつながりました。この間に、究極のエンタメ花火大会もつくりたいし、フェス好きじゃない人でも行ける音楽フェスもつくりたいし、世代を越えた名曲も作りたいし、全国ツアーもしたい。ロボットレストランを超える宣伝カーもつくりたいし、モンドセレクションも受賞したい! 手近なところでは、新幹線から見える看板広告を買って「下田美咲」って書きたいんですよ。あれを買えば名物になるし、ファンの人も喜ぶと思うんです。 ──すごい……やりたいことが多すぎます! では、下田さんの究極の目標は何ですか? 下田 「下田美咲の関わったものは全部売れる」と言われたいですね。費用対効果の高い女になりたいんです。だから宣伝大使とかCMキャラクターとか沢山やりたいですね。キャッチコピーから絵コンテまで全部私が担うので、予算も少なくて済みますよ! オファー待ってます!

『ガキの使い』『さんま御殿』名物プロデューサーが語る「視聴者との“握り”ができていないテレビに未来はない」

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撮影=梅木麗子
 『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』や『踊る!さんま御殿!!』など数多くの人気バラエティに企画段階から携わり、現在視聴率で独走する日本テレビの屋台骨を長らく支え続けてきた“ガースー”こと菅賢治プロデューサー。会社からの慰留を断り、今年フリーとして活動を始めた彼が最初に手掛けた仕事は、テレビマンとしての知恵や経験を余すことなく詰め込んだ異色のビジネス書『笑う仕事術』(ワニブックスPLUS新書)だった。フリーになったことで見えてくるテレビの、バラエティの現状は? 来るべき未来の姿は? テレビを愛するがゆえのビターな提言も含めて、たっぷり話を伺った。 ――菅さんの『笑う仕事術』を含め、今テレビマンの書く仕事術や企画論が人気を集めています。 菅賢治氏(以下、菅) 僕、それが不思議なんですよ。テレビなんか誰も見ないと言われている中で、今テレビ屋に何か聞いて役に立つのかなって思うんですよ。僕らがやっていることが世の中の役に立つとはこれっぽっちも思ってないですけど、テレビマンとして30年以上やっていたことが何かのヒントになるんだったら、という感じですね。“テレビって、いい加減に作っているんだろう”って思われているところを、ネタばらししちゃいけないんですけど。 ――本当は真剣に真面目に作っているっていうことを。  そう。テキトーにヘラヘラやってて楽しそうでいいよな、でいいんですよ。テレビは。だって、苦労が見えるとうんざりするじゃないですか。 ――2014年の上半期は、ゴールデン(午後7~10時)、プライム(午後7~11時)、全日帯(午前6~翌午前0時)のすべてで全局視聴率1位になるなど、日本テレビは安定して強いですね。  日本テレビには6~7人のド天才がいるんですよ、今ね。これだけの人間がそろってるって、すごいなって思いますよ。僕らが初めてフジテレビさんから四冠を奪取したときに、『エンタの神様』をやった五味一男がいて、『世界まる見え!テレビ特捜部』をやった吉川圭三がいて、『進め!電波少年』の土屋敏男がいて、『伊東家の食卓』の雨宮秀彦がいて、そういう連中がこれだけ集まるってすごいよね、とはよく周りから言われていました。だけど、今はもっとすごい。ぶっちぎりなのも、当たり前じゃないですか? だけどね、テレビって商店街だから。 ――商店街、ですか?  そう。だから一つの局がぶっちぎりになっても、ダメなんですよ。いろんなお店があるから、テレビという商店街にみなさん足を運ぶんです。 ――日本テレビが突出した理由は、どういうところにあると思われますか?  まず、オリジナリティじゃないですか? ほかの真似ではないということ。『ガキ(の使いやあらへんで)』なんか、ホント真似しようがない。僕が企画書を書いた『踊る!さんま御殿!!』にしたって、司会者一人にゲスト12人という形態なんて、それまでどこにもなかった。ゴールデン番組でトークしかやらないっていうのもなかったですしね。 ――当時、東京ではほとんど知られていなかったダウンタウンで企画を立てるなど、菅さんの考えるオリジナリティの源流には直感や勘があるのだと思うのですが。  そんなものはないですよ。僕はすごい人のそばにいたい、それを生で見たい。ダウンタウンに関しては、ツッチー(土屋敏男)が二人の漫才のVHSを貸してくれたのが始まり。衝撃を受けました。なんじゃこの人たちは……と。それでツッチーと二人でダウンタウンに会いに行って、そこからです。二人の漫才を生で見るための番組を作ろうと生まれたのが『ガキ』でした。 140731_01_S_0006.jpg ――菅さんは、もともとミュージシャンを目指されていたと本の中でも触れられていますが、自分の中で方向転換はすんなりいったと思いますか?  全然ですよ。テレビは、いつ辞めてやろうかと思っていました。大学も放送学科でしたけど、プロの仕事を教わるものでもないから、いつも失敗して怒られてばかり。ワイドショー番組のD卓に座っているときにも、急に大きな事件が飛び込んできて、台本が一切チャラになってしまったのに、ディレクターである僕が何も指示ができなかったことがありました。でも、その時番組を担当していた加藤光夫プロデューサーの一言でしょうね、今までやってこられたのは。青ざめながら謝る僕に、加藤さんは「生放送のテレビ面白いだろ?」って言ったんですよ。あぁこんな人がいる世界だったら、俺はここで一生生きてやろうと思った。心のどこかでずっと加藤さんに褒められたいっていう、それだけでした。いつもけちょんけちょんだから、たまに「あれ面白かった」って言われると、すっごいうれしかった。僕やヘイポー(齋藤敏豪プロデューサー)は、特にくそみそに言われてましたからね。 ――でも、その時は怒られなかったんですね。  普通だったら「バカヤロウ! 辞めちまえ!」ですよ。そう言われて当然くらいのことをしてしまいましたし。あの時は、僕の器ではどうにもならなかった。台本がすべて白紙になるって、経験したことありませんでしたから。だけど、あれで度胸がついたのかもしれない。台本なんて、しょせんいらないものなんだって。それから何年も、僕とヘイポーで生放送やりました。大事件が飛び込んでくるたびに、台本は白紙になる。それをむしろ楽しめるくらいになりましたよ。 ――「楽しむ」ということに関していえば、本の中の「仕事は遊びだ」という考え方もまた衝撃的でした。「仕事と遊びを混同するな」と教えられて育ってきた世代にとっては。  真面目にふざけることだと思うんですよ。たとえばこういうインタビューでも、ごく普通の日常を書いても誰も喜ばないですよね。非日常とか、現実離れしてることがあるから面白いわけで。そう考えると、それはもう遊び。仕事という概念の捉え方なのかもしれない。仕事だからイヤなこともガマンしなきゃいけない、真面目にやらなきゃいけない。でも、僕に言わせたらそれは仕事じゃない。遊びだからみんなではしゃごうよ。僕らは正しく「はしゃぐもの」を作るわけですから。それをしかめっつらしながら作ったって仕方ないでしょ。だから、会議はだいたい爆笑ですよ。みんなで、できっこないことを真剣に話し合う。 ――会議も長い時間はやらないと。  ヘイポーが1時間もたないから(笑)。ヘイポーとは30年以上の付き合いですけど、本当に一貫してるんです。あいつがテレビに入ったきっかけは、「楽して金もうけて、ちやほやされて、アイドルと結婚したい」。これには確固たるものがある。一切ブレない。最近ヘイポーが「俺2~3日前に気づいたんだけど……アイドルとは結婚できねぇんだよ」って。それに60になって気づくとは(笑)。 ――それが真剣だから面白いんですよね。 140731_01_S_0019.jpg  そう。僕たちは、ふざけたことを考えたりトークしたりするわけでしょ。それは真剣にやらないとつまらない。昔アイドルだったタレントさんが離婚したとしますよね。誰かが「○○さん離婚したんだってね~」って言ったら、それはもうフリ。飲みながら「どうする、お前?」「どうするって……まずは、かみさんに事情話して離婚しなきゃいけないし」っていうのを、本当アホみたいに真剣にしゃべるんです。「そんなことあるわけないじゃん」なんて言ったら身もふたもない。真剣にしゃべってるからこそ、「お前んとこの夫婦関係って、実はそうだったの?」とかバレたり、面白い。 ――すごい会話(笑)。  テーマは、なんでもいいんですよ。その当事者に自分がなる。自分が身ギレイになったらアイドルと結婚できる、という大前提でしゃべる。そうするとね、自分でもびっくりするようなフレーズが、自分の口から出てきたりするんです。「あ、俺こんなこと考えてたんだな」っていう、そういう発見も楽しい。 ――それが、今まで見たことのない企画につながったりすると。  番組も、特にお笑い番組なら、真剣にふざけることが大事です。そこをチャラくふざけちゃうと、方向性を見失う。 ――この本の中でも「昔は視聴者がちゃんとテレビを見下してくれていた」と書かれていて、だからこそ制作側も真剣にふざけることができたのだと思いますが、菅さんは現在のテレビバラエティはどういう状況に置かれていると思いますか?  「視聴者って、今こういうのが好きなんだよね」というような思い上がりも甚だしい、お前に視聴者の何が分かるんだ、みたいな作り方を続けていくと視聴者に舐められますよね。視聴者ってそんなにバカじゃないから、「こういうの好きでしょ?」ってやられると、「うるせえよ」「お前ごときに決められたくないよ」ってなっちゃう。かつては「見下してくれていた」からこそ、腹くくっていろいろなことができたんです。今は何やってもごちゃごちゃ言われます。だけど、そこにすり寄っていっても、何も新しいものは生まれないんじゃないですか? 僕は、テレビという媒体がぶっちぎりでナンバーワンだという事実は、今もこれから先も変わらないと思う。一度に1000万人以上の人が見る媒体なんて、ほかにない。ただ、テレビのすごさは箱としては変わらないけど、内容をいかにその箱に見合ったものにしていくかですよね。今そのソフトがつまらないって言われてるわけだから。そういう責任は、僕を含めて全テレビ屋にあると思う。 ――フリーになり、たとえばBeeTVのような新しい媒体でも仕事をされるようになって、テレビはどういう方向に進んでいると感じていますか?  今後はスマートテレビが主流になるんじゃないですか。これからは、チャンネルを自分で選ぶ時代になると思います。僕もひかりTVに入ってますけど、やっぱり見ちゃいますもん。民放とか地上波とか見なくなってるもんな……これはいかんなと思いますが(笑)。別に、スマートテレビがバカみたいに面白いわけじゃないんですよ。ただ、地上波ではできないようなことをやってるなとは思う。BeeTVをやりたかったのは、そういう理由もあります。太田君(爆笑問題)と上田君(くりぃむしちゅー)の二人っきりで番組やるとか(『太田と上田』)、関根さん親子もそれまで二人で出ることはなかった(『発掘!ブレイクネタ 芸人!芸人!!芸人!!!』)から、そういうのがやれるっていうのはBeeTVならではかもしれない。 ――テレビがそうやってどんどん自由になっていく中で、かえって視聴者、特に若者たちのエネルギーが一つに集中しにくくなっている側面もあるのかなと思います。菅さんも本の終盤に「若者は健全に世間を恨むべき」ということを書かれていましたが、「健全に世間を恨む」とは具体的にどういうことでしょうか?  もちろん法に触れるようなことではなくて、ある程度世間には恨みを持っていたほうがいいと思います。「俺が今パッとしないのは世間のせいだ。よし、見返してやろう」って、それがモチベーションになればいい。もともとテレビって、そうだったんですよ。映画会社受けて落ちた人たちが来たり、ミュージシャン崩れの人がいたり。逆さ言葉なんて、ミュージシャン用語ですからね。そういう吹きだまりの中で世間に対してすねているところが、テレビのエネルギーだったんですよ。何かを恨んでないと、面白いものは作れないと思うんですよ。 ――今の若者も十分厳しい状態に置かれていると思いますが、世間を恨む前に、そういうもんだとあきらめてしまうような気がします。もっと恨んでいいんですね。  健康的に恨めばいいんです。ソーシャルメディアの悪いところって、とりあえず発信はできるじゃないですか。言いたいことは言える。それは別に誰に対して言っているわけじゃないし、その発言に対して責任を求められることもない。でもテレビっていうのは、クレジットが流れる以上、自己責任です。変なことしたら、あっという間に干されますし。だからこそ、みんな腹くくって作ってます。チマチマ隠れながら自分の意見を言うなら、自分の職業において発信してほしい。世間に対する恨みのエネルギーを、そっちに使ってほしいと思うんです。“当事者”として。 ――外野からのヤジだけでなく、視聴者ももっと“当事者”として積極的にテレビに関われれば、もっとテレビを楽しめるようになれるのかもしれません。  今テレビがごちゃごちゃ言われる最大の理由は、視聴者とルールの“握り”ができてないことなんですよ。「この番組の楽しみ方はこう」っていうのを視聴者と握ってないから、トラブルになる。『絶対に笑ってはいけない』なんて、一件もクレーム来ないですよ。なんなら「ダウンタウンももう年なので、今年からあまりひっぱたかないようにします」ってするほうが、クレームが来るでしょう。一番エラいダウンタウンが一番ひっぱたかれてるから成立してるんです。だから、いじめに見えるわけがない。50過ぎて、昔だったら大師匠って言われる人たちが、アザできるほどひっぱたかれるわけでしょう。そりゃ痛快ですよ。ヒット番組、長寿番組は、ちゃんと視聴者と握れている。“握り”ができれば、番組は勝手に成長してくれます。 ――過去のヒット作の焼き直しに頼るなど、いろいろと苦戦を強いられているフジテレビは、そうした視聴者との“握り”が弱くなっていると考えられますか?  たとえば“焼き直し”に関していうと、視聴率が悪くなって終わった番組を焼き直しして一体誰が見るんですか? っていうことです。テレビも60年以上やっていて、オリジナルが難しくなってはきてると思いますけど、でも新しいものは絶対にあるはず。とにかくバラエティは、やっぱりフジテレビがナンバーワンなんですよ。そしてナンバーワンでなきゃいけないんです。テレビがシャッター通りにならないためにも。 (取材・文=西澤千央)

キレキレ&コミカルダンスでアイドル界に新旋風!? ネットで話題の黒人ハーフダンサーの正体とは……

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撮影=後藤秀二
 最近、バラエティ番組で引っ張りだこのEXILE・関口メンディー。一度見たら忘れられないインパクト大のビジュアルとユニークなキャラクター、そして類いまれな身体能力で、EXILEの“バラエティ班”として活躍している。そんなメンディーを横目に、ネット上でひそかに話題を集める、もう一人の黒人ハーフダンサーがいる。その男の名は、えんどぅ。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、モデル顔負けの整った容姿とバツグンのスタイルだが、メンディー同様、英語はまったく話せない。2012年に結成した少女時代のカバーダンスチーム「遠藤時代」がYouTubeやニコニコ動画で話題となり、そのキレキレかつコミカルな要素を取り入れたパフォーマンスで、K-POPファンをはじめ、知る人ぞ知る存在に。さらに昨年12月には、横浜アリーナで本家とのコラボも果たすなど快進撃を続けたえんどぅが、最近、じわじわとバラエティ界に進出している。少女時代のコスチュームを脱いだえんどぅの素顔を探るべく、インタビューを敢行した! ――まずは、簡単な自己紹介からお願いします。 えんどぅ えっと、アーティストのバックダンサーやショーで踊ったり、ダンスのお仕事を中心に活動しています。少女時代のコピー動画がきっかけで、テレビにも出してもらえるようになりました。肩書としては、プロダンサー、振付師、タレント……かな。 ――安室奈美恵さんをはじめ、加藤ミリヤさん、三浦大知さん、さらには郷ひろみさん(!)といった、そうそうたるアーティストのライブやPVに出演されているんですよね。 えんどぅ はい。ご縁がありまして……(照)。 ――そもそもダンスを始めたきっかけは? えんどぅ 小学校1~2年生の頃に、安室さん、MAX、SPEEDのフリをずっとマネして踊ってたんです。学校から帰ってきては踊って、ご飯食べては踊って。一日中やってたんで、親が「うっとうしいから、どこかに習い行け」って、地元のダンススクールに通いだしたんです。当時はまだ、子どもがダンスを習うのは珍しかったんで、高校生とか大人に混ざって踊ってましたね。でも、その頃はダンサーになるのが夢だったわけじゃなくて、テーマパークダンサーになりたかったんです。それが17歳のときに、安室さんの『SO CRAZY tour』のDVDを見て、“あー、安室さんと一緒に踊りたい!”っていう衝動に駆られちゃったんです。それでオーディションを受けたり、有名なダンサーさんのレッスン受けに行くようになりました。 ――その安室さんのPVやライブにも、何本か出演されてますね。 えんどぅ はい。17歳からずっと夢見てきた舞台でしたが、やっぱりステージから見る景色はぜんぜん違いましたね。それと、安室さんは、やっぱりかわいかった! ――えんどぅさんといえば、キレキレダンスが特徴的ですが、これは昔からなんですか? えんどぅ いやいやいやいや! 僕なんて、ぜんぜんぬるま湯ですから!!  よくTwitterとかでも「えんどぅさんのキレって、どこから来るですか?」って聞かれるんですけど、ガタイが大きくて手足が長い分、昔は動きがすごく小さかったんです。それでよくダンスの先生に「なんでもっと大きく動かないの?」って言われてて。それで、大きく動こうというのは常に意識しているので、その影響かもしれないですね。
――振り付けを担当されている男性ダンス&ボーカルユニット「超特急」のダンスにしても、えんどぅイズムが伝承されている気がします。特に、最新曲「Believe×Believe」では、キレッキレなのはもちろん、サビでは白目をむいて頭を振ったりしてますが……。 えんどぅ 白目むくアイドルなんて、ほかにいないですからね(笑)。でも、彼らは“非アイドル”なので、かっこいいのにどこかコミカルというか、超特急らしさというのをいつも入れるようにはしてます。振り付けから入って超特急が好きになって、僕のことを知ってくれる人も増えているので、すごくうれしいですね。 _MG_1890.jpg ――ダンス業にとどまらず、現在は『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)や『5時に夢中!』(TOKYO MX)、CMにも出演されていますね。 えんどぅ 『志村どうぶつ園』では、「日本犬の里」という企画をやらせていただいているんですが、これはきゃりーぱみゅぱみゅさんを村長として、6匹の日本犬の子犬と、僕を含めた3人のハーフタレントが築100年以上の日本屋敷で一緒に生活し、その姿をFacebookで配信。世界中に日本犬の素晴らしさを知ってもらい、世界遺産登録しようという企画なんです。僕が担当しているのは、北海道犬のヘンダーと四国犬のヤンちゃん。自宅でも洋犬を2匹飼っているんですが、日本犬はぜんぜん違うので、すごくビックリしました。主人に忠実ということもあるんですが、誰にでも懐っこいわけじゃないし、すごく賢い。人の心もすぐ読むので、初めは戸惑いました。“なんで言うこと聞いてくれないの~!?”って。 ――この番組で、だいぶ知名度も上がったのでは? えんどぅ でも、こないだ共演しているアマンダとプライベートで遊んでたら、アマンダは子どもに気づかれて「わぁ~、『志村どうぶつ園』のお姉ちゃんだ」って騒がれてたんですけど、僕はマスクしていたこともあって、ぜんぜん気づかれなくて。悲しかった……。 ――一方『5時に夢中!』の「ダンシング天気予報」では、天気そっちのけで披露される、キレッキレのダンスが人気を集めていますが、あれは毎回アドリブなんですか? えんどぅ はい。最初は普通に原稿読んでるだけだったんですが、スタッフさんから「えんどぅダンスやってるなら、踊っちゃえば?」って言われて、今年からやってます。最近では毎週、スタジオ前にギャラリーの方がたくさん集まってくれるのでうれしいですね。火曜コメンテーターの岡本夏生さんも気に入ってくれているみたいで。 ――ネット上では、動画を集めてDVDにしてほしい、という意見もあるみたいですね。さて、バラエティでも活躍中のハーフで踊れる面白い人といえば、EXILEの関口メンディーさんがいますが、彼の存在は気になりますか? えんどぅ いやいや、ぜんぜん別ジャンルですし。でも、ぜひ一緒にお仕事してみたいですね。 ――これからチャレンジしたいことは? えんどぅ ダンスを軸に、楽しくお仕事したいです。あと、僕“引き笑い”なので、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)で、さんまさんと引き笑いの合唱したいですね。まだまだ僕のことを知らない人も多いと思いますが、頭の片隅にでも置いておいてもらえるとうれしいです。 _MG_2030.jpg ◆えんどぅTwitter <https://twitter.com/ENDo_peace>

「不便だけど、不幸じゃない――」義足カメラマンが語る、11人のカッコイイ“義足美女”

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モデル=高桑早生さん
 義足に対して、マイナスなイメージを持つ人は少なくないだろう。不幸にも足を切断することになってしまい、義足生活を「余儀なく」される……。だが、必ずしもそうなのだろうか?  写真家・越智貴雄氏による写真集『切断ヴィーナス』(白順社)を見れば、もしかしたらそんな認識は覆ってしまうかもしれない。義足をつけた11人の美女たちは、サッカーやスノーボード、水泳などのアクティビティを楽しんだり、神輿を担いだり、ライブを行ったりと、誰もが健常者と変わらない姿を見せているのだ。  いったい、越智氏は義足の女性たちの姿を通じて何を表現したかったのだろうか? そして、その撮影からは何が見えてきたのだろうか? ――まず、義足の女性たちを撮影しようと思ったきっかけを教えてください。 越智貴雄(以下、越智) 2000年のシドニーからずっと、パラリンピックの写真を撮り続けてきました。その中で出会った義肢装具士の臼井二美男さんが作る義足がカッコイイと思ったんです。臼井さんに写真を撮影させてほしいと話したところ、義足を使用している女性を紹介していただくことができ、このプロジェクトがスタートしました。昨年写真展を開催したところ大好評で、写真集にしようという話が持ち上がったんです。 ――写真集のタイトルは『切断ヴィーナス』。障害者に対して、「切断」という言葉を使うことにためらいはなかったのでしょうか? 越智 「切断」という言葉は、どうしても使いたかったですね。最近ではだんだんと使われるようになりましたが、かつては「切断者」という言葉すらタブーでした。でも、本人たちは、それを現実として受け止めています。臼井さんとも話し合いを重ねて、このワードを使おうと決めました。 ――本作のこだわりは、どんなところですか? 越智 一番大切にしようと考えたのは、本人たちの個性を表現すること。撮影前に本人たちを何回も取材し、ヒアリングを重ねました。好きな食べ物、好きな写真、好きな音楽、彼女たちの個性を写真に収めたいと思ったんです。「僕のことをプリクラと思って」と話しながら撮影を行ったんです。 ――そこまでモデルの「個性」にこだわった理由は? 越智 義足って、本人の個性が詰まったものなんです。義足を作るときにも、その人が何をしたいか、その人の目的によって、ひとつひとつ違います。速く走りたいという人もいれば、おしゃれに見せたいという人もいるし、リアルな足に見せたいという人もいます。そんな義足の個性を、写真で表現したかったんです。  例えば、義足でお祭りに参加している女性のカットは、彼女が義足になった現在でも夢をかなえながら生活しているということを表現したいと考えました。また、銀座で撮影した女性は、この義足姿で通勤しているので、その日常に密着したいと思ったんです。モデル本人たちが服も全部用意して、彼女たちのイメージ通りに撮影しています。
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モデル:小林久枝さん
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モデル=村上清加さん
――一番印象に残っているカットは? 越智 それぞれ思い入れはあるのですが、竹下通りで撮影した一枚でしょうか。モデルの女性が「ターミネーターになりたい」と言ったので、特殊メイクを施して撮影しました。撮影中、人だかりができてしまったんですが、周囲の若い女の子たちが口々に「カッコイイ!」「すごーい!」と言っていたんです。それにはびっくりしましたね。
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モデル:大西瞳さん
――まさに、もくろみ通りですね。 越智 本人の姿勢がしっかりしていたからこそ、そうやって周囲に伝わったんです。 ――世の中の義足に対するイメージは、少しずつ変わりつつあるのでしょうか? 越智 変わってきているという印象はありませんね……。女性が足を切断したという事実だけ聞き、「大変そう」「かわいそう」と思ってしまう人は多くいます。けれども、彼女たちに関して言えば、義足は不便なものだけど、第三者が勝手に考えるように「不幸」とか「かわいそう」といったものではないんです。 ――「不便だけれども不幸じゃない」という視点は、実際に触れ合った越智さんならではの視点ですね。モデルになった女性の誰もが堂々と振る舞っており、それが写真の力になっているように感じます。 越智 そうですね。ただ、地方に行けば行くほど、義足を隠さなきゃならない人はまだ大勢います。だから、堂々とした義足の女性たちの姿を見せたいんです。あるモデルは、今では大丈夫だけど、切断した時にはすごく落ち込んでいた。だからこそ、当時落ち込んでいた自分のような人に写真集を見てほしいと話していました。 ――この写真集を、どのような人に見てほしいですか? 越智 これがきっかけになって、世の中の人に義足で生活する人々を知ってもらえたらいいなと思います。彼女たちは、同じ境遇の人に対して大きなメッセージとなり、憧れを持たれるような存在だと思います。社会のいろんな場所に出て行って表現してほしいですね。 ――「憧れられる存在」というのは、今までにない障害者像ですね。 越智 アメリカには義足のモデルがいますし、イギリスにも車椅子のモデルがいます。今回モデルを務めた11人のような女性が、一般のモデルとして活躍できる世の中になったらうれしいですね。バイクにまたがっている写真なんて、ハーレーの広告にぴったりじゃないですか?
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モデル=村上清加さん
――確かに、ハーレーに対するイメージも、ガラッと変わってしまいますね。ところで、今後、越智さんはどのような撮影をしていこうと考えているのでしょうか? 越智 パラリンピックについては、ライフワークとして撮影を続けようと思います。僕は、かつてパラリンピックという未知の世界を知ることで、世界が変わったような気がしました。パラリンピックを実際に見るまでは、障害者スポーツ=リハビリの延長という認識でしたが、実際にパラリンピックの競技を見たら、面白くて仕方がなかった。義足の人が100mを11秒台で走り、車椅子バスケでは、片輪でシュートを決める、走り高跳びでは片足で190cm跳んでしまったりするんです。 ――スポーツエンタテインメントとして、パラリンピックに魅力があるんですね。 越智 ロンドンではスタジアムに満員の観客が押し寄せ、テレビでも朝から晩まで中継をしていました。そういった状況を2020年の日本に起こすためにも、選手本人たちの個性を見せる写真を撮っていきたいです。こんなに面白いパラリンピックの魅力を知らないのは、もったいないですよ! (文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●おち・たかお 1979年、大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、東京に拠点を移し、ドキュメンタリーフォトグラファーとして活動開始。ライフワークとして、2000年から国内外のパラリンピックスポーツの撮影取材に携わる。04年、パラリンピックの競技スポーツとしての魅力を多くの人に伝えたいとパラリンピックスポーツ情報サイト「カンパラプレス」を立ち上げる。12年には、陸上アスリート中西麻耶選手の競技資金集めに協力するため「セミヌードカレンダー」を1万部出版し、国内外で話題に。13年9月にブエノスアイレスで開催された2020年東京五輪パラリンピック招致の最終プレゼンテーションで、佐藤真海選手のスピーチ中に「北海道で撮影した跳躍写真」が使用された。

これってトム・クルーズ版『時をかける少女』!? 日本のライトノベルが製作費178億円の超大作に

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大阪・福岡・東京と弾丸ツアーを敢行したダグ・ライマン監督(画面左)、トム・クルーズ、プロデューサーのアーウィン・ストフ。「最高の映画をつくろう」が合い言葉だった。
 桜坂洋原作、トム・クルーズ主演のSF超大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が7月4日(金)の日本公開を前に、世界興収が2億4,000万ドルを越える好調ぶりを見せている。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の面白さをごく簡単に説明するなら、スピルバーグ監督の戦争大作『プライベート・ライアン』(98)をSFに置き換えたような壮絶な戦闘シーンと、タイムループものの傑作『時をかける少女』を思わせる切ないラブロマンスが掛け合わされているということ。いわば、日本のポップカルチャー的要素とハリウッドスタイルが融合した、新感覚のSFアクション映画なのだ。ギタイと呼ばれる異星人に侵略されている近未来の地球が舞台。熾烈さを極める戦場でタイムループ能力を身に付けた兵士が何度も何度も殺されながら、ヒロインとの出会いと別れを繰り返すというシュールかつブラックユーモアに溢れた作品となっている。  殺されまくる主人公・ケイジを演じたトム・クルーズのへたれ具合、エミリー・ブラントの颯爽とした女戦士ぶり、パワードスーツ(強化スーツ)のリアリティーに目が奪われる本作だが、メガホンをとったダグ・ライマン監督もハリウッドで注目の存在だ。わずか2万ドルの予算で取り上げたコメディ映画『スウィンガーズ』(96)やケイティ・ホームズ主演の『go』(99)などのインディペンデント作品を足がかりに、マット・デイモン主演の『ボーン・アイデンティティー』(02)の成功で一躍ハリウッドのヒットメーカーに。『Mr.&Mrs.スミス』(05)などのアクションコメディを大ヒットさせる一方、イラク戦争をめぐるブッシュ政権の陰謀を告発した実録サスペンス『フェア・ゲーム』(10)といった骨太な作品も手掛けている。ハリウッドの王道を歩みながらも、どこかインディペンデント臭を感じさせるクリエイターなのだ。ダグ・ライマン監督にハリウッドで成功する秘訣を聞いてみた。 ──『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の製作費は1億7,800万ドルだそうですね。2万ドルの予算で『スウィンガー』を撮っていた頃は、自分が将来トム・クルーズ主演のSF超大作を撮ることを想像していました? ダグ そうだね、確かに『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はかつての自分には想像もできないような予算を投じているよね(笑)。でも僕は子どもの頃から、ちょっと知的で、かつキャラクターが物語を動かすアクションものを撮りたいとずっと思っていたんだ。それに近未来の戦争を描いた大作映画ではあるけれど、実はとてもパーソナルな物語、たったひとりの人物を描いた作品でもあるんだ。『スウィンガーズ』以来、主演俳優といちばん親密に作品内容やキャラクターについて語り合った作品でもあるんだ。トム・クルーズは大スターだけれども、脚本づくりから美術デザインの打ち合わせまで全部参加して、いろんなアイデアを出してくれた。「今までなかった最高の映画をつくるにはどうすればいいか」を、トムと常に話し合って完成させた作品なんだ。
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異星人と繰り広げられる過酷な戦場に放り込まれたケイジ(トム・クルーズ)。強化スーツを使いこなす余裕もなく瞬殺されてしまう。
──ハリウッド超大作だけど、インディペンデント精神が込められているということですね。 ダグ そういうことだね。トムは僕とは違う世界の住人だと思っていたんだけど、今回はいい作品をつくるためにお互いをリスペクトし合うことで、素晴しいコラボレーションになったと思うよ。今回、トムからはいろいろと学んだ。彼は脚本づくりの段階から、「このシーンのこの台詞は、日本語字幕になったときどうなる?」なんて尋ねてくるんだ。翻訳されることでユーモア感覚がうまく伝わるのか、字幕に目がいって大事な瞬間を見逃さないかといった細部まで、彼はすごく気を配っていたんだ。僕も映画を撮っている際に「僕の友人はこのシーンを観てどう思うかな?」とよく考えるけど、僕の頭に浮かんでいる友人の数は10人程度。その10人を楽しませるために、僕は映画をこれまで作ってきたわけなんだ(笑)。でもトムは違った。トムは1億人以上いる日本人のことを常に意識しながら映画を作っていたんだ。これは僕にはまったくなかった発想。彼との共同作業は大変な刺激になったよ。 ■メジャースタジオの上から目線な態度はスルーせよ ──トム・クルーズがメジャー中のメジャーである理由を、間近で知ったわけですね。インディペンデント出身監督の多くはメジャーシーンで自分らしさを失いがちですが、ダグ・ライマン監督は『ボーン・アイデンティティー』を大ヒットさせて以降、確固たる道を歩んでいる。ダグ監督がハリウッドでサバイバルできている秘訣を教えてください。 ダグ ハリウッドで生き残る秘訣……、僕の場合で言えば「メジャースタジオを恐れない」ということかな。僕は『スウィンガーズ』みたいな変わったインディペンデント映画を撮るのが本当に大好きなんだ。だから、メジャースタジオが「あーだこーだ」と口を挟んでくることを気にしない。メジャースタジオの上から目線な態度は、いつもスルーしているよ(笑)。そんなの物づくりの現場には必要ないからね。僕はメジャースタジオを恐れない。だから、彼らは僕をコントロールできないってわけさ(笑)。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は僕がこれまでやったこともないような超大作だけれども、『スウィンガーズ』を撮っていた頃と同じような情熱とディテールへのこだわりをとても大事にした作品だよ。 ──出資者の顔色をうかがっていては、面白い作品は作れないということですね? ダグ メジャーのスタジオシステムに呑み込まれるな、ということだね。彼らは「オリジナリティーの強い作品を愛している」と言う一方で、オリジナリティーの強すぎる企画を恐れているんだ。だから本当にオリジナリティーのある作品をハリウッドで作ろうとするなら、メジャースタジオを恐れることのない監督を起用せよってことだよね。今回はワーナー・ブラザーズ作品になるわけだけど、メジャースタジオの中にあって、ワーナーは数多くのインディペンデント系の映画監督たちを起用してきたと思うよ。アルフォンソ・キュアロン監督の『ゼロ・グラビティ』(13)や、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』(08)や『インセプション』(10)もワーナー作品だしね。
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いつものように撮影現場でカメラを回すダグ・ライマン監督。メジャー大作でも、気分はインディペンデント監督なのだ。
──『ゴジラ』など過去のヒット作のリメイクやアメコミの映画化などが最近のハリウッドでは顕著ですが、オリジナリティーのある企画があまりに少ないんじゃないですか? ダグ 知名度のあるリメイクものや人気アメコミの映画化は、実際問題としてお客さんが入っているからね。お客さんが集まる企画を映画にするというのはメジャースタジオの昔からの変わらないスタンスだよ。でも、確かにもっともっと新鮮みのあるオリジナル作品に挑むべきだろうね。 ■映画はセカンドチャンスが許される夢の世界 ──今回の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は日本のライトノベルが原作。パワードスーツもいっぱい出てきます。トム・クルーズは大の親日家で有名ですが、ダグ監督の目には日本のポップカルチャーはどのように映っているんですか? ダグ 日本のポップカルチャーは僕も大好きだよ。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のようなユニークな物語がいっぱいあると感じている。アニメ版『時をかける少女』(06)もそのひとつだよね。今回は『時をかける少女』をはじめ、日本のポップカルチャーの影響をかなり強く受けながら作ったんだ。それに日本のSFファンが、ハリウッド映画にはパワードスーツが活躍する実写作品があまりないことを不満に思っていることも充分理解しているつもりだよ(笑)。だから今回の作品は、日本のポップカルチャーと共に育った日本の若者たちがハリウッドに望んでいるものを映画にしたんだ。 ──タイムループしている限りは主人公のケイジは何度でも生き返り、またヒロインに逢うことができる。でも、ケイジは最終的にはタイムループの輪から脱することを決意する。これは「慣れ親しんだ現状と決別し、新しい環境に挑もう」というダグ監督からのメッセージが込められている? ダグ そうだね。原作は桜坂洋さんが書いたものだけれども、これは僕自身のとてもパーソナルな物語でもあるんだ。もちろん、僕にはケイジみたいなタイムループする特殊能力はない。けれども、一度撮影したシーンが気に入らなければ、気に入るテイクが撮れるまで何度も繰り返す。それでも、まだ気に入らなければ編集段階で手を加える。そうやって、自分が納得できる作品を作り上げていくことができる。いわば、映画の世界はセカンドチャンスが許される夢の世界なんだ。まぁ、それは作品の世界の中だけであって、撮影所を出ていけば実際の人生は一回限りであることを思い知るわけなんだけどね(笑)。でも、新しい作品に取り掛かる度に「今までにない最高の作品にしよう」と思っている。そんな僕自身の姿が投影されていると思うよ。 ──最後にもうひとつ。エミリー・ブラントが基地内で汗だくになってプッシュアップしている姿がめちゃめちゃ印象に残ります。あの姿はダグ監督の会心のショットではないでしょうか? ダグ 僕は強くて美しい女性が大好き(笑)。そんな僕のこだわりが出ているショットだね。実は、あのシーンは最初からあったものじゃなかった。撮影していたロンドンで、みんなと一緒に和食レストランで食事をしたんだ。そのとき、たまたまヨガの話題になったんだけど、エミリーはレストランの中で突然ヨガのポーズを実演し始めたんだ(笑)。エミリーはヨガに精通していて、びっくりするようなヨガのポーズをいろいろと披露してくれた。とても優雅でパワーが漲ったポージングだったんだ。その姿は、すごくオリエンタル風だったし、日本の文化に通じるものを感じたんだ。それで彼女がプッシュアップしているポージングを劇中にも取り入れたというわけさ。ストーリー以外にも様々なジャパニーズテイストを散りばめているから、そこらへんもじっくり楽しんでほしいな。
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戦場で目覚ましい活躍を見せるリタ(エミリー・ブラント)。なぜか、彼女だけはケイジにタイムループ能力があることを見抜いていた。
──これからもインディペンデント精神溢れる作品をつくり続けてください。 ダグ もちろん、そのつもりさ。ハリウッドに居座って、これまでなかったようなユニークな作品をつくり続けていくつもりだよ(笑)。 (取材・構成=長野辰次) allyouneed_04.jpg 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 原作/桜坂洋 監督/ダグ・ライマン 出演/トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン、ジョナス・アームストロング、トニー・ウェイ、キック・ガリー、フランツ・ドラメー、ドランゴミール・ムルジッチ、シャーロット・ライリー 配給/ワーナー・ブラザーズ映画 7月4日(金)より全国ロードショー  http://wwws.warnerbros.co.jp/edgeoftomorrow ●ダグ・ライマン 1965年米国NY出身。『アイアンマン』シリーズや『アベンジャーズ』の製作総指揮で知られるジョン・ファブローが主演した『スウィンガーズ』(96)でのコメディセンスが高く評価された。ケイティ・ホームズ主演の『go』(99)を経て、製作総指揮も兼任した『ボーン・アイデンティティー』(02)が大ヒット。ブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが共演した『Mr.&Mrs.スミス』(05)、ヘイデン・クリステン主演の『ジャンパー』(08)なども手掛けた。ナオミ・ワッツ主演の『フェア・ゲーム』(10)は、ブッシュ政権が「フセイン政権は大量破壊兵器を保有している」とイラク戦争を正当化したのは情報操作であることを告発した実録サスペンスで、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で「表現の自由賞」を受賞している。

前田日明激白!「警察は地下格闘技を潰す方針」7年目の苦悩と不変の理念

maedaakira0618.jpg  リングス・前田日明が主催するアマチュア総合格闘技大会『THE OUTSIDER』(以下、アウトサイダー)。暴走族、チーマー、ギャングなどの「不良」をリングで戦わせ、格闘技を通じた更生を促すイベントとして人気を集めているが、7年目に突入した今、前田は何を思うのか? 昨年起きた乱入事件の顛末と余波、大会維持の苦労と今後の展望、そして多くの不良と接することで学んだ子育ての神髄などを、格闘王が語り尽くす! ──2008年3月に産声を上げたアウトサイダーも、いよいよ7年目に突入。安定期に入ったと言えるのでは? 前田日明(以下、前田) 全然安定期に入ってないですね。やはり世間の目ですよね。以前から何も変わってなくて……。昨年9月の大阪大会で事件【編注:大阪の地下格闘技団体『強者』の関係者がアウトサイダーの会場に乱入し暴れた事件】があって、世間が我々をどういうふうに見ていたのかということを、強く再確認しましたね。選手から一銭も取らずに、安いチケット料金で応援団も入りやすくして、選手のやる気を出すために賞金まで出して……。ランニングコストを入れると、ディファ有明なんかでは満員になっても赤字ですよ。そういう大会をコツコツ真面目にやってきたつもりなんですけど、世間はそうは見てくれていなかった。 ──と申しますと? 前田 事件のあと、スポンサーが3分の2、いなくなりました。放映権料も減額です。正直言って、興行を維持するのが苦しい状態ですよ。だから今、スポンサー探しに孤軍奮闘してますけど、これがなかなか……。 ──スポンサーを降りた人たちの声は? 前田 みな、コンプライアンスの問題だと言いますね。格闘技を通じた不良更生という大会趣旨を重々承知の上で協賛してくれていたはずなのに、今さらなんで? とビックリですよ。 ──前田さんは一貫して、コンプライアンスを徹底していますよね? 前田 徹底してますよ。今回の事件についても完全に対処しました。事情聴取のために大阪府警の方々が東京まで何度も来てくれたし、自分らも大阪まで何度も足を運びました。 ──昨年12月の大阪大会は厳戒態勢でしたね。 前田 アウトサイダーが用意したセキュリティーは110名。全員プロです。警察も90名ほど来て、機動隊のバスも2台。警察からも「サミットができる」と言われましたよ(笑)。 ──結局、あの乱入事件の犯人たちは、何が目的だったのでしょう? 前田 俺を挑発して、暴れさせたかったんでしょう。俺が問題を起こせば、アウトサイダーが興行を打てなくなる。彼らは自分たちの団体から、アウトサイダーに選手が流れるのを恐れて、アウトサイダーを潰しにかかった。やり方が用意周到でしたね。ある一班が外で不法駐車して警察を巻き込んで暴れる、別の一班が近くのマンションから消化器を盗んで会場でぶちまける、そして別の一班が消防署に「火事です」と通報する……といった感じに、分担して計画的にやったみたいですね。 ──事件後も、彼らから嫌がらせは? 前田 ありましたよ、いっぱい。昨年12月の大会前には、地元・大阪の選手全員や、うちの中心選手に、「(アウトサイダーには)出るな」という脅しが入りました。結果、地元の選手も出ない、地元選手の応援団のチケットも売れない、さらには警備上の問題で2階席も使えないという三重苦で、アウトサイダーの資金を全部吐き出しちゃった感じですね。今はなんとか存続させるために必死でやってます。俺、今年の1月から給料を取ってないんですよ。本当に。
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選手からの信頼も厚い
■アウトサイダーにはヤクザのヤの字もない ──今回の事件を踏まえて、地下格闘技とアウトサイダーの違いをあらためて教えてください。 前田 地下格(闘技)は結局、金儲けじゃないですか。リングサイド、いくらですか? 3万とか5万円とかで売ってるでしょう? アウトサイダーは1万円ですよ。地下格で賞金、いったいいくらですか? 出ないでしょう。そのくせ彼らは選手たちに切符を売るノルマを課して、売りに行っても売れないから暴れたりする。うち、そんなことしませんよ。リングスのほうから何枚売ってくれとか一度もない。あり得ない。 ──その他、違うポイントは? 前田 少なくとも、人から感謝されることはあっても、非難されることはないですね。過去にいろんな親御さんから感謝の手紙をもらったこともありますし。それに、地下格はほぼ例外なくヤクザとつながってるけど、うちはそういうつながりは一切ない。なんなら自分の身辺調査をすればいいですよ。ヤクザのヤの字も出てきませんから。うち、選手に弁護士もいるんですよ。弁護士が、黒い大会に出るわけがないでしょう。 ──アウトサイダーで名を売ったあと、各分野で活躍している選手も多いですね。 前田 黒石(高大)は俳優として頑張って前田敦子のPVにまで出るようになったし、武井(勇輝)なんかはアパレルの世界で成功してる。そういう選手が、地下格にいますか? 選手に正当な道を歩ませるような大会が、ありますか? ないでしょ。せいぜいヤクザの言いなりになって暴力振るって、逮捕される子が出るぐらいのもんでしょう。 ──乱入事件の実行犯らも続々と逮捕されていますね。 前田 警察は地下格を全部潰していく方針らしいですね。うちでも使ってるあるレフェリーは、いろんな地下格でもレフェリーをやってたらしいんですけど、先日とうとう彼にも警察から指導が入りました。「もし今後も地下格でレフェリーをするなら、暴力団と利益を共有する密接交際者と認定する」と。そうなると、銀行取引や保険取引が一切できなくなるんですよ。 ──警察はそこまで来てますか。 前田 来てます。 ──そんな中、アウトサイダーにもゲスト来場し、前田さんとも親しかった出版プロデューサーの高須基仁さんが、地下格闘技の興行に乗り出すという話があります。 前田 あれも結局、警察に潰された連中が、自分たちでは興行を打てないから、高須さんに目を付けて、担ぎ上げただけのことでしょう。高須さん、わかってないんですよ。一度そういう(密接交際者の)認定を受けちゃうと、彼が経営するモッツ出版も終わりますよ。本当にヤバい。軽い気持ちでやると、えげつないことになりますよ。それぐらい暴力団排除条例はハンパじゃないです。それをみんな、わかってない。わかってるのはヤクザだけです。だからヤクザは半グレの子たちを手先として使うんです。そこへノコノコ、高須さんのようなノリのいいおひとよしが来たら、まさに飛んで火に入る夏の虫ですよ。 ──高須さんの主催大会は8月に開催予定らしいです。 前田 やったところで大赤字ですよ。そのへんのガキンチョの集まりに、誰が3万や5万出します? 1万円でさえ、チケットを売るのは大変なのに。アウトサイダーがこうして何年も続いてるのは、利益を度外視してやってるからですよ。金がなくなれば、身銭を切ってるからですよ。 ──そうまでして続けたいと思う動機は? 前田 動機もクソもないですよ。アウトサイダーをやるまでは、平成の満ち足りた世の中で何をグレることがあるんだろうと不思議だったんですけど、よくよく話を聞くと、本当に不幸な連中も大勢いるんですよね。例えば宮永(一輝)っていう選手は、生まれてこの方、父親の顔も母親の顔も知らない。そのくせ彼は「若いときは両親を恨んだが、今は元気で幸せでいてほしい」なんてことを、リング上でスピーチしたんですよ。彼は以前、実家らしき場所を探して訪ねていったら門前払いされたこともあるのに、そういうけなげなことを言う。これは不幸の闇が深いな、と。なんとかしてやんないといけないな、と。アウトサイダーを通じて、そういう子たちに寄り添ってやりたいんです。 ──アウトサイダーの出場者に話を聞くと、前田さんのことを「心の父」と思っている選手が多いです。 前田 確かに、親に反抗するみたいな感じで突っ張ってくる子が多いですよね(笑)。彼らと付き合って、ひとつわかったことがあってね。子どもを育てるときに一番大事なことは何かというと、その子の反抗期に親が真摯に受け止めてあげることなんですよ。あとは、幼児期のスキンシップ。幼児期の深い傷は、人格的なトラウマになる。そして反抗期の受け止め方を間違えると、その子はもう価値観がひっくり返ってしまって、あらぬ方向に行ってしまうんですよね。 ──具体的に、どう受け止めるべきだと考えますか? 前田 ダメなことはダメだということを、はっきり教えてやるべきですよ。親はね、特に父親は、自分の子どもに対して、これを言ったら嫌われるだとか、これをしたら嫌われるだとか、そんなことはどうでもいいんですよ。父親の言うことを理解してもらうのは、父親が死んだあとでいいんです。でも言わなきゃいけないし、やらなきゃいけないんですよ。言って聞かなきゃ、殴らなきゃいけないんです。 ■6月22日大会の見どころは? ──選手に説教したことは? 前田 しょっちゅうです。このあいだも、ある選手の応援団がリングに椅子を投げ込んで、それがラウンドエンジェルに当たった事件があったんです。で、ラウンドエンジェルの所属事務所から、賠償だなんだで100万200万請求される事態になって……。だから、椅子を投げた奴と、その友人の選手を呼びつけて土下座させて、2時間みっちり説教しました。 ──一件落着しましたか? 前田 一件落着させました。ちゃんと金も出させました。何百万ではないけどね。二人とも猛省してましたよ。椅子を投げた奴は26歳。小2で父親を亡くすなど複雑な家庭で育ってはいるんだけど、それにしたって26歳にもなって何をやってるんだ、と。女手ひとつでお前を育ててきた母親の気持ちを考えたことがあるのか、と。思いっきり怒りましたよ。 ──いろいろと大変ですね……。 前田 昔は構われすぎて反抗して一時的に不良になるけど、ある程度の年齢になったら親の言ってることの意味がわかって、「あ、俺、格好わりーな」と気付いて更生するパターンが多かった気がするんです。それが今は、放任主義の名の下の無関心なんですよね。子どもに対して。精神的な捨て子が多いんですよ。だからみんな、根を下ろす場所を探してる。だけど根を下ろせない。だから不安定なんです。自分の好きなことをやりたいけど、それさえもわからない。それを見つけたところで、根を下ろせるかどうか不安なんです。 ──不良の質が昔と変わってきている、と。 前田 昔の不良には帰る場所があった。「家」ですよ。頑固オヤジに5~6発ドツかれるけど、謝れば家に入れてくれる。今はそれさえもない。家に帰っても真っ暗で誰もいない、っていうケースが多いんですよ。 ──そういう若者たちにとって、アウトサイダーが「家」になっているのかもしれませんね。父親役ともいえる前田さんが2時間本気で説教すると、人の心は変わるものですか? 前田 変わると思いますよ。俺ははっきり言いますからね。ダメなもんはダメ、ならぬことはなりませぬ、と。椅子を投げた奴も刺青入った不良でしたけど、俺に叱られて泣いてましたよ。きっとこれまで真摯に向き合ってくれる大人がいなかったんでしょう。子どもって、ムキになって向き合ってほしいんですよ。生の感情でね。怒ったなら怒った感情で怒ってほしいし、褒めるなら褒める感情で褒めてほしい。怒ってるのに褒めるとかのウソは俺も嫌だし、子どもたちにも逆効果ですよ。 ──そんなアウトサイダーですが、6月22日にディファ有明で行われる次回大会では、初めて女子選手が出場しますね? 前田 更生はいいけど、なんで男女差別するのか? と言われて、それもそうだな、と(笑)。俺は感覚が古い部分もあって、女の子が殴り合って顔が腫れるのはどうなんかな、見てられないな、と最初は思ったんだけど、いろんな人に話を聞いたら、今は女性モデルがボクシングをやるような時代ですよ、と言われて。ああ、そういう時代なのか、と。 ──女子選手は、どこで探したんですか? 前田 公募しました。一人は武井(勇輝)の道場からのエントリーです。女子の試合は初めてなんで、危険要素をなるべく減らして、とりあえず1試合、様子見でやってみます。で、回を追うごとに女子の試合を増やしていって、応募者が増えてきたら女の子だけの大会をやっても面白いかもね。 ──そのほか、近未来のビジョンは? 前田 不良だけに限定せず、まだ見ぬ才能を発掘して世に送り出す場として定着させていって、やがてアウトサイダーという大会を海外にも広めていけたらいいですね。 (取材・文=岡林敬太) 【次回大会告知】 『THE OUTSIDER第31戦』 2014年6月22日(日曜日)東京・ディファ有明 14:00開場(予定)15:00開始(予定) SRS席/10,000円 RS席/7,000円 S席/6,000円 リングス公式サイト http://www.rings.co.jp

「ファンクラブは球団の写し鏡!?」10年間プロ野球全球団のファンクラブに入り続けた男の軌跡

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“ファンクラブジャンキー”長谷川晶一氏。
 かつてよりもその人気が低迷しているとはいえ、やっぱり日本人は野球好き。今年も、大注目“二刀流”大谷翔平(北海道日本ハム)の投打にわたる活躍や、広島カープ23年ぶりのリーグ優勝なるか!? などなど、セパともに話題沸騰中だ。そんな野球ファンたちの中でも、ノンフィクションライターである長谷川晶一氏の活動は類を見ない。先日上梓した新刊『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)のタイトル通り、すべての球団のファンクラブに10年にわたって入り続けているのだ!  ヤクルトファンだった彼が、12球団のファンクラブに入ったのは2004年の終わり。この直前、オリックスと近鉄が合併され、新たに東北楽天ゴールデンイーグルスが創設されるなど、球団再編の嵐が吹き荒れた。さらに、史上初のストライキが断行され、「ファンサービスとは何か?」という議論が噴出。くしくもその年、長年ヤクルトファンクラブに入っていた長谷川氏は、ファンクラブに対する不信感を感じ始めていたのだった。「なぜ、こんなに特典がしょぼいのか?」「他の球団のファンクラブでは、どんな特典があるのか?」――。  10年間で63万円もの私財をつぎ込み、前人未到の(たぶん)ファンクラブ人生を歩んできた長谷川氏を直撃すべく待ち合わせ場所に向かうと、挨拶代わりに、ユニークなファンクラブグッズが次々と飛び出してきた! ――えっと……このユニフォームは……? 長谷川 広島カープがファンクラブ会員のために作った、オリジナルグッズの「カオシマ」ユニフォームです。ホームで着るユニフォームと、ビジターで着るユニフォームをつなぎ合わせたところ、「Carp」と「Hiroshima」が結合されて、「Caoshima」という意味がわからないユニフォームが出来上がってしまったんです。あまりに好きすぎて、「ヤフオク!」で、もう1着購入してしまいました。この布地を触ってみてくださいよ! ――ペラッペラですね……。 長谷川 でしょ!! おそらく1回洗ったらダメになってしまうくらいの品質の悪さ。怖くて洗濯もできません。また、カープでは、「タオルポンチョ」なるグッズも作っています。タオルに穴を開けてポンチョにしたものなんですが、全然吸水性がない。いったいどうやって使えばいいんだか……。僕はこういうカープグッズを「カープクオリティ」と名づけて大絶賛しています。 ――のっけからすごいグッズが登場しますね。本に紹介されていた楽天の「カラスコマスク」も、野球とは関係がなく、使い道がさっぱりわからない逸品です。 長谷川 これを身に着けていると、本当に痛い野球マニアっぽいですよね(笑)。楽天ではこのほかに、ラジコンヘリも特典にしています。これがまた、なかなか飛ばなくて……。 ――なんでこんなもの作っちゃったんですかね(笑)。ほかの球団のグッズも、こんなにユニークなんですか? 長谷川 巨人はタカラトミーとコラボしてジャイアンツユニフォームを着た「黒ひげ危機一発」を付けていますし、ドラゴンズでは、スタジオジブリとコラボしたぬいぐるみを作っています。ジブリの鈴木(敏夫)プロデューサーによれば、このキャラのモデルは落合(博満)GMということです。 ――これが、落合さん……。各球団、趣向を凝らして、さまざまなグッズを作っているんですね。 長谷川 ファンクラブは、その球団らしさを如実に反映します。西武やロッテ、楽天、巨人などでは予算も潤沢で、センスもいいし、力も入っている。中日は予算があるはずなのに、いかんせんデザインが古臭い。カープには予算の面で制約があるから、カープクオリティという独自の進化を遂げたんです(笑)。 ――本にも書いてあった通り、これまで親会社のゴタゴタに振り回され、ファンクラブも迷走を続けていたベイスターズのここ3年間の躍進は、感動的ですらありますね。 長谷川 昨年末に募集要項を見て、我が目を疑いました。これまでは、5000円で会員証が1枚だけという年もあったのに、今年は3000円で観戦チケット2枚と、アースミュージック&エコロジーとコラボしたバッグとポーチ、さらに球場に足を運べばさまざまなグッズがもらえるようになったんですよ!  ――長谷川さんの家には、いったいどれくらいファンクラブグッズがあるんですか? 長谷川 ユニフォームやバッグなどで300点くらい、ピンバッジやカードなども入れると800点は下らないと思います。送られてきたグッズは積極的に使うようにしていて、西武ライオンズのパーカーを着て、オリックスのバッグを持ち、中日の帽子をかぶっているなんていうこともしょっちゅうです。 ――どこのファンだか全然わかりません! でも、ファンクラブに入ると、数千円の入会金でユニフォームやバッグなどがもらえちゃうって、かなりコスパがいいですよね。 長谷川 球団の人に話を聞いたんですが、各球団ともファンクラブで儲けようとは思っていないんです。ファンクラブに入る熱狂的な人々をリスト化できるだけでも球団としてはメリットになりますし、球場に足を運んでもらうことは、飲食や物販の売上向上にもつながります。そういった部分を見越して、各球団では豪華なファンクラブグッズを作成しているんです。 ――なるほど。そもそも長谷川さんはなぜ、「12球団のファンクラブに入る」という活動を10年間も続けてこられたんですか? 長谷川 子どもの頃からヤクルトのファンクラブには入会していて、会報が届いたり、開幕前にファンクラブグッズが届くのを楽しみにしていました。12球団のファンクラブに入れば、これが単純計算で12倍になる。毎日のようにメールや手紙が届くのがたまらないんです! もしも、この活動をやめてしまったら、喪失感に襲われそうで怖いですね ――もはや依存症……。 長谷川 ファンクラブジャンキーなんです(笑)。 ――ただ、好きじゃないチームにも、お金を払ってファンクラブに入り続けるというのは、なかなかできることじゃありません。 長谷川 いまや、マザー・テレサやガンジーのように、博愛の気持ちで野球界を見守っているから大丈夫です! 初めはアンチ巨人だったので、ヤクルトファンとしては巨人のファンクラブに入会することに抵抗がありました。それでも、巨人のグッズはクオリティが高く、アンチの気持ちが和らいでしまう。金で魂を買われているような気がして、背徳感がありました……。  それが変化したのが2011年。巨人のファンクラブから開幕戦の観戦チケットをもらったんですが、それが震災のために中止になってしまったんです。その時、丁寧な詫び状とともに、ボールペンが送られてきて、巨人という球団の素晴らしさを実感しました。無料でもらったチケットで、しかも巨人のせいで中止になったわけじゃないのに、こんなにしっかりとした対応ができるなんて……。その時、意固地になっている自分の小ささに気づき、「いいものはいい」と認めようと思えたんです。 ――各球団では、ファンクラブ会員にグッズの送付のほかにも、ファンクラブ限定のイベントなども開催していますね。 長谷川 西武やオリックスでは試合後のグラウンドをファンに開放して、OBの選手がノックをするイベントを企画しています。かつての有名選手が「ナイスキャッチ!」と声援を送ってくれるんですよ。また、他球団でも新入団選手の記者会見への招待や、キャンプ見学、始球式やホームランを打った選手に対する花束贈呈などのイベントが用意されています。 ――なかなか楽しそうですね。では、長谷川さんが考える「いいファンクラブの条件」というのは? 長谷川 僕の勝手な思いですが、無料の観戦特典、グッズの品質や品数、サイン会や撮影会などの触れ合い系イベント、ノックやグラウンド見学などの体験系のイベントが満遍なくそろっているのが、最もいいファンクラブだと思います。例を挙げると、オリックスはもらえるグッズはほかに比べて少ないんですが、球場に行けば、たくさんの来場特典があり、さらにさまざまなイベントを行っています。僕は東京在住のため、京セラドームにしょっちゅう行くことができず、なかなか恩恵を受けられないんですが……。もしも大阪在住だったら、一番好きになっちゃうかもしれないファンクラブですね。 ――“球界のマザー・テレサ”として、ファンクラブを見続けてきた長谷川さんが考える「真のファンサービス」とは? 長谷川 球場に来たお客さんを、満足して帰らせることです。スポーツなので、ボロ負けすることもあるし、応援している選手が活躍しないこともあります。それでも「楽しかった」と思わせるために、試合とは別の満足感を与えることが大事なのではないかと思うんです。それは、思い出でもいいし、ピンバッジでもいい、体験イベントでもいい。お客さんを手ぶらで帰さずに何かを持ち帰ってもらって、「また球場に来たい」と思わせることが一番のファンサービスなのではないかと思います。このチャレンジは今後も続けて、20年目で第2弾を出せたらいいですね。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●はせがわ・しょういち 1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務を経て、03年にノンフィクションライターに。04年よりプロ野球12球団のファンクラブすべてに入会する試みを始め、14年まで10年連続で継続中。現在、「12球団ファンクラブ評論家」の肩書で商標出願中。 ●発売記念イベント 長谷川晶一×菊地選手(ナックルボールスタジアム)トークバトル&サイン会 6月25日(水) 開場18:30/スタート19:00 芳林堂書店高田馬場店8F 詳細はこちら<http://www.horindo.co.jp/2014/05/1295/

「ファンクラブは球団の写し鏡!?」10年間プロ野球全球団のファンクラブに入り続けた男の軌跡

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“ファンクラブジャンキー”長谷川晶一氏。
 かつてよりもその人気が低迷しているとはいえ、やっぱり日本人は野球好き。今年も、大注目“二刀流”大谷翔平(北海道日本ハム)の投打にわたる活躍や、広島カープ23年ぶりのリーグ優勝なるか!? などなど、セパともに話題沸騰中だ。そんな野球ファンたちの中でも、ノンフィクションライターである長谷川晶一氏の活動は類を見ない。先日上梓した新刊『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)のタイトル通り、すべての球団のファンクラブに10年にわたって入り続けているのだ!  ヤクルトファンだった彼が、12球団のファンクラブに入ったのは2004年の終わり。この直前、オリックスと近鉄が合併され、新たに東北楽天ゴールデンイーグルスが創設されるなど、球団再編の嵐が吹き荒れた。さらに、史上初のストライキが断行され、「ファンサービスとは何か?」という議論が噴出。くしくもその年、長年ヤクルトファンクラブに入っていた長谷川氏は、ファンクラブに対する不信感を感じ始めていたのだった。「なぜ、こんなに特典がしょぼいのか?」「他の球団のファンクラブでは、どんな特典があるのか?」――。  10年間で63万円もの私財をつぎ込み、前人未到の(たぶん)ファンクラブ人生を歩んできた長谷川氏を直撃すべく待ち合わせ場所に向かうと、挨拶代わりに、ユニークなファンクラブグッズが次々と飛び出してきた! ――えっと……このユニフォームは……? 長谷川 広島カープがファンクラブ会員のために作った、オリジナルグッズの「カオシマ」ユニフォームです。ホームで着るユニフォームと、ビジターで着るユニフォームをつなぎ合わせたところ、「Carp」と「Hiroshima」が結合されて、「Caoshima」という意味がわからないユニフォームが出来上がってしまったんです。あまりに好きすぎて、「ヤフオク!」で、もう1着購入してしまいました。この布地を触ってみてくださいよ! ――ペラッペラですね……。 長谷川 でしょ!! おそらく1回洗ったらダメになってしまうくらいの品質の悪さ。怖くて洗濯もできません。また、カープでは、「タオルポンチョ」なるグッズも作っています。タオルに穴を開けてポンチョにしたものなんですが、全然吸水性がない。いったいどうやって使えばいいんだか……。僕はこういうカープグッズを「カープクオリティ」と名づけて大絶賛しています。 ――のっけからすごいグッズが登場しますね。本に紹介されていた楽天の「カラスコマスク」も、野球とは関係がなく、使い道がさっぱりわからない逸品です。 長谷川 これを身に着けていると、本当に痛い野球マニアっぽいですよね(笑)。楽天ではこのほかに、ラジコンヘリも特典にしています。これがまた、なかなか飛ばなくて……。 ――なんでこんなもの作っちゃったんですかね(笑)。ほかの球団のグッズも、こんなにユニークなんですか? 長谷川 巨人はタカラトミーとコラボしてジャイアンツユニフォームを着た「黒ひげ危機一発」を付けていますし、ドラゴンズでは、スタジオジブリとコラボしたぬいぐるみを作っています。ジブリの鈴木(敏夫)プロデューサーによれば、このキャラのモデルは落合(博満)GMということです。 ――これが、落合さん……。各球団、趣向を凝らして、さまざまなグッズを作っているんですね。 長谷川 ファンクラブは、その球団らしさを如実に反映します。西武やロッテ、楽天、巨人などでは予算も潤沢で、センスもいいし、力も入っている。中日は予算があるはずなのに、いかんせんデザインが古臭い。カープには予算の面で制約があるから、カープクオリティという独自の進化を遂げたんです(笑)。 ――本にも書いてあった通り、これまで親会社のゴタゴタに振り回され、ファンクラブも迷走を続けていたベイスターズのここ3年間の躍進は、感動的ですらありますね。 長谷川 昨年末に募集要項を見て、我が目を疑いました。これまでは、5000円で会員証が1枚だけという年もあったのに、今年は3000円で観戦チケット2枚と、アースミュージック&エコロジーとコラボしたバッグとポーチ、さらに球場に足を運べばさまざまなグッズがもらえるようになったんですよ!  ――長谷川さんの家には、いったいどれくらいファンクラブグッズがあるんですか? 長谷川 ユニフォームやバッグなどで300点くらい、ピンバッジやカードなども入れると800点は下らないと思います。送られてきたグッズは積極的に使うようにしていて、西武ライオンズのパーカーを着て、オリックスのバッグを持ち、中日の帽子をかぶっているなんていうこともしょっちゅうです。 ――どこのファンだか全然わかりません! でも、ファンクラブに入ると、数千円の入会金でユニフォームやバッグなどがもらえちゃうって、かなりコスパがいいですよね。 長谷川 球団の人に話を聞いたんですが、各球団ともファンクラブで儲けようとは思っていないんです。ファンクラブに入る熱狂的な人々をリスト化できるだけでも球団としてはメリットになりますし、球場に足を運んでもらうことは、飲食や物販の売上向上にもつながります。そういった部分を見越して、各球団では豪華なファンクラブグッズを作成しているんです。 ――なるほど。そもそも長谷川さんはなぜ、「12球団のファンクラブに入る」という活動を10年間も続けてこられたんですか? 長谷川 子どもの頃からヤクルトのファンクラブには入会していて、会報が届いたり、開幕前にファンクラブグッズが届くのを楽しみにしていました。12球団のファンクラブに入れば、これが単純計算で12倍になる。毎日のようにメールや手紙が届くのがたまらないんです! もしも、この活動をやめてしまったら、喪失感に襲われそうで怖いですね ――もはや依存症……。 長谷川 ファンクラブジャンキーなんです(笑)。 ――ただ、好きじゃないチームにも、お金を払ってファンクラブに入り続けるというのは、なかなかできることじゃありません。 長谷川 いまや、マザー・テレサやガンジーのように、博愛の気持ちで野球界を見守っているから大丈夫です! 初めはアンチ巨人だったので、ヤクルトファンとしては巨人のファンクラブに入会することに抵抗がありました。それでも、巨人のグッズはクオリティが高く、アンチの気持ちが和らいでしまう。金で魂を買われているような気がして、背徳感がありました……。  それが変化したのが2011年。巨人のファンクラブから開幕戦の観戦チケットをもらったんですが、それが震災のために中止になってしまったんです。その時、丁寧な詫び状とともに、ボールペンが送られてきて、巨人という球団の素晴らしさを実感しました。無料でもらったチケットで、しかも巨人のせいで中止になったわけじゃないのに、こんなにしっかりとした対応ができるなんて……。その時、意固地になっている自分の小ささに気づき、「いいものはいい」と認めようと思えたんです。 ――各球団では、ファンクラブ会員にグッズの送付のほかにも、ファンクラブ限定のイベントなども開催していますね。 長谷川 西武やオリックスでは試合後のグラウンドをファンに開放して、OBの選手がノックをするイベントを企画しています。かつての有名選手が「ナイスキャッチ!」と声援を送ってくれるんですよ。また、他球団でも新入団選手の記者会見への招待や、キャンプ見学、始球式やホームランを打った選手に対する花束贈呈などのイベントが用意されています。 ――なかなか楽しそうですね。では、長谷川さんが考える「いいファンクラブの条件」というのは? 長谷川 僕の勝手な思いですが、無料の観戦特典、グッズの品質や品数、サイン会や撮影会などの触れ合い系イベント、ノックやグラウンド見学などの体験系のイベントが満遍なくそろっているのが、最もいいファンクラブだと思います。例を挙げると、オリックスはもらえるグッズはほかに比べて少ないんですが、球場に行けば、たくさんの来場特典があり、さらにさまざまなイベントを行っています。僕は東京在住のため、京セラドームにしょっちゅう行くことができず、なかなか恩恵を受けられないんですが……。もしも大阪在住だったら、一番好きになっちゃうかもしれないファンクラブですね。 ――“球界のマザー・テレサ”として、ファンクラブを見続けてきた長谷川さんが考える「真のファンサービス」とは? 長谷川 球場に来たお客さんを、満足して帰らせることです。スポーツなので、ボロ負けすることもあるし、応援している選手が活躍しないこともあります。それでも「楽しかった」と思わせるために、試合とは別の満足感を与えることが大事なのではないかと思うんです。それは、思い出でもいいし、ピンバッジでもいい、体験イベントでもいい。お客さんを手ぶらで帰さずに何かを持ち帰ってもらって、「また球場に来たい」と思わせることが一番のファンサービスなのではないかと思います。このチャレンジは今後も続けて、20年目で第2弾を出せたらいいですね。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) DSC_3160xs.jpg ●はせがわ・しょういち 1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務を経て、03年にノンフィクションライターに。04年よりプロ野球12球団のファンクラブすべてに入会する試みを始め、14年まで10年連続で継続中。現在、「12球団ファンクラブ評論家」の肩書で商標出願中。 ●発売記念イベント 長谷川晶一×菊地選手(ナックルボールスタジアム)トークバトル&サイン会 6月25日(水) 開場18:30/スタート19:00 芳林堂書店高田馬場店8F 詳細はこちら<http://www.horindo.co.jp/2014/05/1295/

徳間ジャパンに移籍の“トラウマテクノポップバンド”アーバンギャルド、ニューアルバム『鬱くしい国』で新境地に挑戦

urbangarde061601.jpg  デビュー4年目を迎え、徳間ジャパンに移籍したアーバンギャルドが今月18日に3rdアルバム『鬱くしい国』をリリースする。  2011年にユニバーサルJよりシングル「スカート革命」でメジャーデビュー。ガーリーかつ病的な世界観で10代の女性層を中心に支持を集めた彼ら。これまでに『メンタルヘルズ』『ガイガーカウンターカルチャー』の2枚のアルバムと、ベストアルバム『恋と革命とアーバンギャルド』を発表し、本作ではレーベルを移籍。新たなサポートメンバーを迎えて新境地に挑戦している。 ──まずはニューアルバムのリリースおめでとうございます。徳間ジャパンに移籍して最初のアルバムですが、手応えはいかがでしょうか? 浜崎容子(Vocal 以下浜崎) めちゃくちゃあります。今回初めて、レコーディングにディレクターが付きっきりで見てくださって、一曲のうちにたくさんのことをいろいろ試すことができました。録音のシステムとかレコーディングの環境とか、以前よりも上に行けたし、何よりよかったと思うのは、新しいナイフを取り出せたというか、アーバンギャルドの鋭さが新しい形で見えたことです。アーバンギャルドって、そっち行くのかなって思ったらこっちだったみたいな、そんな作品になっているんじゃないかなって思っています。 松永天馬(Vocal 以下松永) 前作の『ガイガーカウンターカルチャー』は現代社会を網羅するようなアルバムだったんですけど、そこからさらに突き詰めて、丸ごと日本をテーマにしようと思ったんです。サウンド面ではバンド感を増しつつも、世界的に台頭してきているEDMや日本独自のボカロ、アイドルソングに対するアーバンギャルドからの回答のような作品になっています。バンドというものをベーシックに置きながら、いろんな音楽の遊び方をするスタンスは、インディーズで初めて出したアルバム『少女は二度死ぬ』(2008年)の頃に近いです。ある意味、それを今の自分たちの力でアップデートしたような作品になったと思います。 ──今回、ユニバーサルJを離れて徳間ジャパンからのリリースになりましたが、レコード会社移籍の理由はなんだったんでしょうか? 松永 ちょうど、ユニバーサルJでベストアルバム(2013年6月)を出した時に、契約が一段落したんです。その後、いろいろな方に相談していく中で、徳間ジャパンさんにお願いしますということになりました。 ──移籍する不安なんかはありましたか? 契約を終えて次が決まるまでの間とか、いろいろと落ち着かない時期だったりしたのでは? 松永 移籍の話が出た頃、ちょうど「ジャパン・エキスポ2013」のためにフランスに行ったり、戻ってきて全国ツアーをやっていた時期で、それほどでもなかったですね。結構忙しくて、ツアーのことで頭がいっぱいでした。 urbangarde061602.jpg ──ユニバーサル時代の活動を今振り返ると、どんな状況だったんでしょうか? 松永 やはり、それまでと環境が大きく変化した時期でしたね。今までアーバンギャルドを見る機会がなかった人たちにも見てもらえる機会が増えましたし、リリースもたくさんさせてもらえました。何よりも海外に進出するきっかけを作ってくださったのがユニバーサルJで、そういう意味ですごく感謝しています。でも、僕らは音楽性もファン層もちょっと特殊なバンドで、ユニバーサルJとしてはどう売っていくか、すごく難しかったでしょうね。正直、アーバンギャルドをどう扱っていいのかわからない部分があったと思います。 浜崎 音楽的な環境でいえば、きちんとしたスタジオでレコーディングさせてもらえて、感動しました。インディーズの頃はできなかったこともできるようになり、メジャーに行った手応えも感じました。周囲のいろいろな方の協力も得られて、音楽的な幅がすごく広がったと思います。でも、数字の面に関しては、アーバンギャルドは結構普通のアーティストさんだと知らないような裏方の内情のようなものまでメンバーが知ってしまって、新たなプレッシャーがやってきたという感じもありました。スタッフさんがお金のことだったり、数字のこととかを全部話してくれて、結果を出さなきゃっていうような焦りを持ったんです。でも、メジャーに行くと、みんなこれと戦っているのかと思う半面、ほかのアーティストさんと話した時、そんな話全然知らないというギャップもあったりして、いろいろ知りすぎたりしていることがしんどくなる時がありました。 ──瀬々さんや鍵山さんはどうでしたか? ヴォーカルの2人に対して、それぞれギターやドラムの立場から。 瀬々信(Guitar 以下、瀬々) 僕もすごく手応えは感じましたね。それまで自分たちだけで作っていた作品のチームが大きくなって、レコーディング環境も変わり、大きな進展があったと思います。チームが大きくなることについては、そういうことに慣れていなかったので、それに対して右往左往するということも多々ありました。どれだけ多くの人たちが関わっているのかということも、最初は全然わかりませんでしたし。でも、最近になってようやく自由に動けるようになってきました。立ち振る舞い方がメジャーと合ってきたというところなんでしょうね。 鍵山喬一(Drums 以下、鍵山) 自分も個人的にはすごく手応えがあったし、楽しかったですよ。 ──鍵山さんはちょうどメジャーデビューのタイミングで、正式にアーバンギャルドのメンバーとして加入されました。当時の心境は、どんな感じだったんですか? 鍵山 実は、最初はアーバンギャルドにあんまり入りたくはなかったんです(笑)。インディーズ時代から有名なバンドというのはもちろん知っていましたし、それまでに別のバンドで対バンをしたり、サポートで入ったりしてよく知っていたんですけど、あるイベントで対バンをした時に、楽屋で大げんかをしていて、「うわーっ」て思ったことがあったんです。ステージ直前なのにいがみ合っていて、仲が悪いのかなって思って。その後もしばらくそういうイメージが強かったので、入るのは嫌でした(笑)。もちろん、今ではそういう部分も、バンドの音楽に対しての真剣さという意味できちんと理解できるようになりましたし、加入した結果、すごく楽しんでやれていますよ。 urbangarde061603.jpg ──移籍した徳間ジャパンについてですが、どんな印象でしょうか? 松永 徳間ジャパンのカラーはアーバンギャルドと近い部分があると思っています。今回の作品には大槻ケンヂさんにも参加していただきましたけど、筋肉少女帯も同じ徳間ジャパン。アーバンギャルドが来るべくして来たレーベルかもしれない(笑)。 浜崎 私たちはバンドとして自分たちがかっこいいとか、これがすごくいいと思うっていう作品を作り続けていけたらなって、いつも考えているんです。今回徳間さんとやらせていただいて、それができると感じましたし、「これがアーバンギャルドだ」じゃないけれど、そういうものを追求し続ける姿勢さえ見失わなければ、どこへ移籍しても、自ずと道が見えてくるんじゃないかなって思っています。 ──レーベルが変わったことや、サポートメンバーが加わったことで、新作について変化を恐れるファンもいるかもしれません。 浜崎 それは私たちに限らず、いろんなアーティストさんやバンドが直面する問題ですね。 松永 逆説的な言い方ですが、コンセプチュアルなものがコンセプチュアルであり続けるためには、あまり凝り固まったイメージを持たないほうがいいと思っています。常に風が吹いていて、その風の音に耳を澄ませていられる、その風の強さや冷たさを感じられる状況にしていないと成り立っていかないんじゃないかと思うんです。なぜならアーバンギャルドはやっぱり、時代であるとか現代であるとか、その少し先にあるものを常に見据えているんです。それを内にとどめておいてはいけない、常に路上に出しておかないといけないと思っているので、変化については、それはもう楽しんでくださいとしか言えないですね。もしくは怒ってくださいとか。 ──反対にバンドとして、ここは絶対に変えたくないものというのはあるんですか? 松永 自分の作りたいものを作るということが、僕の中では変わらないポリシーですね。自分の作りたいものが結果的に今までのアーバンギャルドを変えたとしても、僕の中でつじつまが合ってればそれは作ります。納得のできないものをこれまでも作ってきたことはないですし、これからも作りません。 浜崎 私は自分がアーバンギャルドのボーカルになった時から思ってることですけど、「アーバンギャルドって、なんか面白そうだぞ」っていう気持ちを自分の中でずっと持ち続けたいと思っています。そこを変えたくないですね。そこがなくなってしまったら、自分はもうやること終わっちゃったなって思う瞬間なのかもしれないって。 瀬々 僕はアーバンギャルドの詞の世界ですね。思想は変わってもいいかもしれないけど、その世界観は変えちゃいけないと思っています。それプラス個人的にはテクノに対して、ギターは派手にやるというのも変えたくないですね。(笑)。 鍵山 僕はライブをし続けたいです。 urbangarde061604.jpg ──今回、レコード会社やメンバーの変化などがあった中で、ニューアルバムを制作したわけですが、レコーディングでは苦労などありましたか? 瀬々 苦労はいろいろとありましたね。一番はやっぱりギターのアレンジとレコーディングだったんですけど、もうひとつ、作品の生みの苦しみというのもありました。やっぱりいいものを作ろうと考えているので、その生みの苦しみというのが今回わりと大きめだったんじゃないかと。 浜崎 最後の最後まで納得いきたかったから、みんなで何度も何度も話し合って作ったんです。 松永 最初にミックスした曲を最終的にアレンジし直して、さらにリミックスしたりね。こだわって作れたと思います。 鍵山 周囲の方の協力もありがたかったですよ。サポートメンバーの方含め、いい先輩をたくさん持ったなと。 松永 今回たくさんのサポートミュージシャンが参加してくださって、外部の血が入りました。でもどんなに外部の血が導入されても、アーバンギャルドはアーバンギャルドだったという結論にはなっているんじゃないかな。 ──ジャケットには、現代美術家の会田誠さんの作品『群娘図’97』の一部が使用されています。このチョイスについては、どういう意図だったんでしょう? 松永 僕の十代の時の思い入れが反映されたジャケットです。会田さんの絵を中学生の時に見て、一番衝撃を受けた作品が『群娘図’97』で、おそらく1997年当時の渋谷とかにいそうな女子高生を描いたものだと思うんですけど、それが一周回って今、新しいなと。あと、会田さんがTwitterでつぶやかれていて衝撃を受けたんですけど、この作品を描いたのが17年前で、当時生まれた子たちが今ちょうど17歳でJKになっていると。その事実が、僕の中ではつじつまが合っているように感じられて……。 ──先ほどお話のあった大槻ケンヂさんですが、収録曲の「戦争を知りたい子供たち」に語りで参加しています。 松永 大槻さんとのレコーディングは、僕と大槻さんが「詩のボクシング」のような、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)みたいなことをしたら面白いんじゃないかというアイデアから始まって、結果的にスタジオにマイクを立ててドアを隔てて対面式にしゃべるというスタイルでやりました。息もぴったりで、大槻さんも楽しんでくださったと思います。筋少の曲の中によく入る語りのようなものを、ぜひ自分たちの作品の中にも取り入れたいと思ったんです。 urbangarde061605.jpg ──アーバンギャルドと筋肉少女帯は以前も一緒にライブをしたりしていますが、7月から予定されているアーバンギャルドの全国ツアーに大槻さんが飛び入り参加なんてことはあるんでしょうか? 松永 それ実現できたら面白いですね(笑)。まだ何も決めていませんが。 ──7月からは再び全国ツアーが始まります。ライブへ向けての意気込みなどもお聞かせください。 松永 今回のアルバムはとにかく音で遊んだアルバムなので、これをどうライブで演奏していくかを試行錯誤していきたいですね。アーバンギャルドはアイドルとバンドのどちらの側面も持っている、あるいは、ニコ動系とも近い側面を持っている新しいタイプのグループだと思っているので、その良さを出していけたらいいなと思っています。あと、どのジャンルにも属さないエンタテインメントを作っていけたらと。 鍵山 今回のアルバムは、結構どうやってライブするのかなっていうのが自分でも、ほかのメンバーも楽しみだと思うので、それをどう再現するのか楽しみにしていてください。 瀬々 今まで以上にギターのフィーチャーされた曲が多いので、まずはパワーアップしたギターを聴きにこいと(笑)。あとは、新しい楽曲をどうやって演奏するのか楽しみにしていてほしいですね。 浜崎 アーバンギャルドのライブってこうだよねっていうのがきっとあると思うので、それをいい意味で裏切っていけるよう、新しいものをみなさんに届けられたらいいなって思ってます。いろいろとありましたけど、今は自分たちの活動に迷いはないです。  4人プラスサポートメンバー、スタッフのみんなで、去年一年、アーバンギャルドというチームはいったいなんなのかということをよく考えていたりもしたんですけど、考える中で、必ずしも全員が同じ考えでなくちゃならないということはないと学べました。ただひとつ絶対みんなの中で同じだなというものが、いい音楽とかいいものを届けたい、いいライブがしたい、いい作品を作りたいとか、その部分があればいいんじゃないかと。そこの部分さえブレなければ、アーバンギャルドというチームがこれからもっともっと一丸となってやっていけるんじゃないかと思っています。 (取材・文=名鹿祥史) アーバンギャルド公式ホームページ http://urbangarde.net/

バブル臭ムンムン♪ セクシーアイドルユニット「ベッド・イン」が日本の下半身を元気にしちゃうゾ!

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撮影=尾藤能暢
 1980年代中期~90年代初頭にかけて、日本人はみんな、肩パットを入れまくってワンレン&ボディコンでブイブイいわせていた!? いわゆる「バブル」ってヤツだ。  タクシーで通勤していた。でも、万札を見せびらかさないとタクシーも止まってくれなかった。忙しすぎて風呂に入れないから、風呂代わりにソープに行って体だけ洗ってもらって帰った。ボーナス袋が直立した……などなど、どこまでホントでどこまでウソなのか分からないバブル伝説は数々あるが、そんな景気のいい時代を経験できなかった側からすると、とにかくうらやましいとしか言いようがない!  そんなドリーミングなバブル時代をもう一度とばかりに、バブルのオイニーをプンプンにまき散らす2人組が誕生した。デカパイなアーパー担当・中尊寺まいと、美脚なタカビー担当・益子寺かおりによるバブル系セクシーアイドル「ベッド・イン」だ!  グラビアアイドルの主戦場がイメージDVDに移行している時代にあって、わざわざ紙の写真集を(自費)出版したり、CDを出すにしても、あえて8cmの短冊形シングルをリリースしたりと、バブルな「あの頃」にこだわった活動を繰り広げている2人。明らかに21世紀とは思えないような格好をしてはいるが、2人ともまだ20代なんだとか!?  それがどうして、こんなバブリーなことになってしまったのか――。 ■お互いのバブル顔にビビビッときた! ――いやぁー、サイゾーの会議室にこんな派手な人がいるの、初めて見ましたよ。 かおり ど~も~! こにゃにゃちは~! サイゾーさんにマブいナオンのお出まし、ってか……!? ウチら、いつだってデーハーにブイブイ言わせちゃってますヨ! ブイブイっ♪ ――まず、根本的なことを聞きたいんですけど、お2人は何者なんですか? バンド? アイドル? まい 昭和末期から平成初期に「エロいモノこそエライ!」的なセクシーアイドルが幅を利かせていた時代っていうのがあるんですけど、それをコンセプトにした自称「地下セクシーアイドルユニット」です。なんてっ勃ってアイドル……なんつって~(笑)。 ――もともと、別々のバンドをやってたということですけど、コレをやることになったきっかけっていうのは? かおり まいは「例のK」というイカしたバンドのギターをやっていて、私は「妖精達」というギラギラしたバンドでボーカルをやってるんですけど、4年くらい前にライブハウスで出会って、お互いのバブル顔にそれはもうビビビッときまして。 まい まるで歯医者と出逢った松田聖子さんみたいでしょ? 突然、炎のように……ネ♪ かおり そうそう♪「あなた、バブル顔って言われな~い?」って聞いたら「昔からよく言われる~」って。 ――その頃は、こんなメイクをしてたわけじゃないですよね? かおり ロンモチですわ! こんなケバいメイクじゃなくて、バブル・オフな状態だったんですけど、十分バブリーなオイニーがムンムンにじみ出ていて……。それで、ソッコー意気投合! 翌週にはボディコン着て、ジュリ扇持って、オケカラ行って~みたいな遊びをおっ始めたワケです。 まい そんな時、一晩限りの企画バンドをやろうっていう話が持ち上がって、こういうデーハーな格好でSHOW-YAさん、浜田麻里さん、本田美奈子.さんのWILD CATS、ガールズさんなどのいわゆる歌謡ロックのコピーをやったんです。 かおり 『夜ヒット』のアン・ルイスさん&吉川晃司さんのエアセックスも、チリバツに再現したりして。それが予想以上に評判よくて、みんなの欲しがる声をギンギンに子宮で感じちゃったモンだから、もうワンナイトじゃ終われないカラダになっちゃいました……(笑)。 まい これぞ、一念勃起…ってか!? ――とはいえ、お2人的にはバブル時代って、全然タイムリーじゃないですよね。 378A8411.jpg かおり ええ、オコチャマな頃に、微か~に記憶があるくらいですね。 まい ちゃんまい(=まい)は昔から昭和歌謡がDAISUKI! だったんですけど、学生時代にバドガールのアルバイトを始めた途端に「ボディコンの荒木師匠(荒木久美子さん)に似ているね」って言われるようになって。 かおり 私もいつからか、青田典子さんに似てるって、しょっちゅう言われるようになりまして。 まい それでバブル期の平成あたりまで興味を持つようになりましたネ! トレンディドラマも昔から好きだったので、その辺にもビンビンに影響受けているのかもしれないです。『東京ラブストーリー』はロンモチで、『男女7人秋物語』『もう誰も愛さない』『抱きしめたい!』とか♪ かおり なので、当時を知っている人にハウトゥ~してもらったり、時代をさかのぼってお勉強、お勉強の日々でございます! あとは、当時の記憶といえば、幼少期に『ギルガメッシュないと』や『トゥナイト2』を親に隠れてコッソリ見てたくらいですかねぇ~。 ――それ、バブルじゃなくて、ただのエロ番組ですよ! かおり んもう、サイゾーさんったら、いけずぅ~! そう、バブル時代の深夜番組! ああいうアーパーな、あっけらかんとしたスケベさに惹かれるんです。思わず元気が出る、笑いを交えた大味なエロというか……。 まい C.C.ガールズさんとか、T-BACKSさんとかギリギリガールズさん、イケイケガールズさん、平成おんな組さんなど当時のセクシーアイドルグループも大好きになりました♪ あの頃のアイドルって、絶対に紙媒体の写真集を出してたじゃないですか? だから、ウチらもそれに憧れて、今の時代にあえて紙の写真集を作ることにしたんです! ――あ、それでこの写真集が。こんなバブルな衣装、よく手に入りましたねぇ。 かおり んもう、大変でしたヨ! アッシーくんを使わず、自分たちの足で衣装や水着をそろえたんですけど、こういうシンプルな蛍光三角ビキニって今、ホントに売ってないんで、アダルトショップのプレイ用水着を買って自分でパットを入れたりして、ザ・DIY精神!(笑)。アクセサリーは母親のお下がりを使ったり。 まい 2人ともリアルなバブル期は体験してなくても、バブル期の恩恵を受けていた母の背中を見て育ったっていうのも大きいですね! ブイブイ言わせて甘いエキスを吸っていた世代だと思うので。 かおり ウチの母親なんて当時、外車のスポーツカー乗ってましたヨ! まだおチビちゃんの頃、夏になるとユーミンの「中央フリーウェイ」を流しながら逗子に連れて行かれるのがお決まりっていう。そういうナオン像に、潜在的に憧れがあったんでしょうね。……と、話がそれましたが、そんなこんなでいろいろチョメチョメありまして、写真集の印刷費も自分たちで現ナマはたいて作ったっていうのにディスクユニオンさんしか取り扱ってくれず……。ヴィレッジヴァンガードさんからは「得体が知れない」という理由で、写真集がすべて戻ってきてしまうというチン事も! ――まあ、ヴィレヴァンの気持ちも分からなくはないですが……。 かおり ホームページもなくて、おツイ(=Twitter)しかやってないアイドルなもんで、そりゃ得体が知れないですよね(笑)。でも、写真集もありがたいことに性徒諸クン(=ファン)がいっぱい買ってくれたので、本格的にアイドル活動をしていくにあたって「いっちょオリジナル曲を作ろうか!」って、ね? まい 見切り発射で写真集からおっ始めちゃったから、ライブをやるにしても、オリジナル曲が1曲もなかったんで。コンセプトとしては、90年代の夜っぽい曲。アーバンでトレンディな歌詞が理想なんですよね。大人の男女の駆け引きが、ちゃんと入っているような。 かおり WinkさんとかW-NAOさん、BaBeさんみたいに踊れる曲っていうのも意識しました。まあ、バンドでのおギグしかしたことなかったんで、ダンスはうまく踊れないんですけどね。持ち前のドヤ顔で、すべて乗り切ってま~す! まい そのちょっと「できない感じ」も、90年代っぽくていいのかなって(笑)。今後はダンスも、下のおクチをWinkさせながらガンバルマン精神でやっていこうと思ってますので「見逃してくれよぉ~!」って感じです、てへ♪ ■8cmシングル&VHSでリリース! ――さらに、8cmシングルでリリースっていうのがいいですよね! まい お褒めにあずかりサンクスモニカです! ちゃんまい、とにかく8cmシングルが好きなんですよ! 集めたり、貢いでもらったり、家におそらく500枚以上はあるんですが、この形じゃないとできないジャケットデザインに惹かれていて。短冊は日本にしかないし、とても憧れていたのでどうしても出したい、と! かおり CoCoだけのショナイの話、12cmのアルバムを作るよりも断然お高いんですけどね~! しかも、もう工場が日本に1カ所しかないというウワサが……。もはや絶滅危惧種ですよ。 ――8cmシングルなんて、もう聴けないプレイヤーもあるんじゃないですか? まい リンゴのマークがついたシャレオツなパソコンには、うまく挿入できないかもです……。 ――昔はアタッチメントをつけて聴いたりしてましたもんね。 まい なので、そこはナウでヤングな皆さんに迎合して、ダウンロードコードもつけてます! 8cm CDが聴けない人はダウンロードしていただいて、CD自体はインテリアとして飾ってもらえたら下半身がハートカクテル状態になるほどマンモスうれPです♪ ――またPVも、今のパソコンじゃ作れないんじゃないかっていう、バブルっぽい変なエフェクトを使ってて。
まい 昔は最先端だったんだろうな……というエフェクトを、ふんだんに使ってもらいました。後期のWinkさんみたいに、背景にあえてチープなCGを入れてもらったり。 かおり しかも、ディスクユニオンさん限定の初回特典で、メイキングのVHSもつけたんですよ(※すでに完売)。 ――VHS! 8cmシングル以上にハードルが高いですよ! かおり これも作ってくれる業者さんがなかなかなくて、お一人様で経営しているようなところに自らTELしてダビングを頼みました(笑)。 ――ちょっと前までは、懐かしいメディアということで、わざとカセットテープやレコードでリリースするアーティストがいましたけど、ちょっと時代が進んで、今ではそれが 8cmシングルとVHSなんですね。 まい 次はテレカを作りたいと思ってますので!!! ――ますます使い道ない! そうやって、消えていったメディアでどんどんリリースしていってほしいですよ。 かおり となると、残るはレーザーディスクの出番、ってか!? LDこそホントに見られる人が限られるでしょうねぇ(笑)。 378A8634.jpg ■ビーチクとヘアだけは死守、絶対♪ ――それじゃ、今後の活動の展望は……? かおり 今のところは音楽活動がメインなんですけど、近いうちに自分たちでトレンディドラマを作ろうかなと思ってます。 まい ちゃんまいが今、脚本を書いていて、バブルっぽい部屋も作り込んでますよ! ラッセンのポスターはゲット済み♪ かおり ぜひW浅野みたいなイキフンに仕上げたいですね~! ――お2人はこのままでいいですけど、バブル顔の男を見つけるのが大変そうですね。 まい 何人かトッポいメンズの候補はいるんですよ~! 岩城滉一さんみたいな知り合いがいるんで。あとは吉田栄作さんを探して、石田純一さんも……。 かおり あら、イイわねぇ~♪ プライベートでも、おいしく頂きたいところだわ! それこそスケベなオーディションとか、やっちゃう~? ――もう、小石田純一でいいんじゃないですか? かおり それをちょっとずつ撮って、動画サイトとかで配信していきたいですね♪ まいい 実はそのために、この曲を作ったので! ――あ、ドラマの主題歌という設定なんですね。 かおり そんなふうに枠にとらわれず、いろいろな形で活動する「マル痴タレント」を目指したいですね! 今度、浅草のマルベル堂さんからウチらのプロマイドも発売していただけちゃうんですよ。 まい ちゃんまいはローバー・美々さんみたいに、股をパカッと開いて……みたいなバラエティ動画も作りた~い♪ きゃ~のきゃ~の♪ ――生着替えとかもいいんじゃないですか? かおり うふふ……生着替えは、もうライブでやってるんですよ。『スーパージョッキー』の「しだるまタイム」よろしく、フラフープにシャワーカーテンつけて、生着替えで水着になるっていう、ドサ回り感ハンパない演出を自ら好んでヤッてま~す! まい 今時、こんなに脱ぐアイドルはなかなかいないんじゃないかなって。いい体かどうかはともかくとして(笑)。 かおり 体当たり取材、ラジオのディスクジョッキー、デルモ、ライター、ハウスマヌカン、大喜利、ひな壇ギャルなどなど、なんでも泥くさくチャレンジさせていただこうと思っています!……あ、でも「ビーチクとヘアだけは死守、絶対♪」がウチらのポリシーです。 378A8613.jpg (取材・文=北村ヂン) ●ベッド・インの「おツイ」 ※バブル用語とアーパーな下ネタが炸裂する注目のTwitterアカウント <https://twitter.com/bed_in1919> ●2014年は夏フェスにも出演予定 2014年7月12日(土)TOKYO BOOTLEG CIRCUIT’14 <http://www.tokyobootleg.jp/circuit2014/> 2014年7月21日(祝)夏の魔物 <http://natsunomamono.com/> ●8cm短冊シングルCD「ワケあり DANCE たてついて/POISON~プワゾン~」 <http://diskunion.net/punk/ct/detail/1006103868?utm_source=rmd&utm_medium=ad&utm_campaign=rmd> ●ファースト自主制作写真集「Bed In」 <http://diskunion.net/punk/ct/detail/PNK1305-061>