酒鬼薔薇『絶歌』を絶対に許さない“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新刊発売で怪気炎も路上で急襲される

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 瓜田、かみつき、かみつかれる!――“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(35)の動きが先鋭化してきた。10月頭には太田出版から竹書房に版元を移して、前著『遺書~関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆~』が文庫化されたが、その裏では怒髪天を衝くスッタモンダがあった様子。10月末には同じく竹書房から新著『國殺』が発売されることも決まったが、これまた各方向にケンカを売る作品内容だという。出版の前祝いとばかりにインタビューを行っている最中も、瓜田の怒りは収まらない。さらには取材を終えた直後、瓜田が謎の外国人にかみつかれ、警察が出動するハプニングも発生。筆致も日常もスリリング、これぞ“瓜田文学”だ!
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『遺書~関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆~』(竹書房文庫/650円+税)
 読書の秋。作家・瓜田純士の著書が続々と発売される。ひとつは、関東連合崩壊の真実を描いた前著『遺書』の改訂文庫版(10月1日発売)。もうひとつは、時事問題を“瓜田節”で斬るオール書き下ろしの新著『國殺』(10月30日発売)。いずれも版元は竹書房だという。  それぞれの出版の苦労や、作品の見どころを尋ねるべく、瓜田の自宅からほど近い新宿三丁目の飲食店にてインタビューを行った。 ――まず『遺書』についてお聞きしますが、今回文庫化されるにあたって、版元を太田出版から竹書房へ移したのはなぜでしょう? 瓜田 太田出版とモメて、決別したからです。今年の6月に太田出版から、酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aの『絶歌』という手記が出ましたよね。あんな変態殺人鬼の書いたものでも金になると踏んだら喜んで商品化してしまう、出版人としてのポリシーもクソもないような連中とは、袂を分かちたいと思ったんです。 ――『絶歌』の出版が、それほどまでに許せなかった? 瓜田 はい、絶対に許せませんでした。僕は、仲間同士の殺し合いを終わらせたくて『遺書』という本を太田出版から出した。きれいごとじゃなく、マジでそういう思いがあったからこそ、僕は著者印税をまったく受け取らず、その全額を犯罪被害者遺族支援のために寄付する契約にしたんです。なのに太田出版は、そんな僕の思いを踏みにじった。こっちは殺人の連鎖を止めたい一心で本を書いたのに、同じ版元、しかも同じ編集チームの手によって、似たデザイン、似たような漢字二文字のタイトルで変態殺人鬼のオナニー本を出されたら、僕はどんな気持ちになりますか? ふざけんな! となりますよね。 ――太田出版には、その意志をどのように伝えたんですか? 瓜田 担当者を呼び出して、相手が泣くまでゴン詰めしましたが、その後の会社の対応も不誠実そのもので、僕の怒りに火を注ぎました。ヤツらがいかに金の亡者で、どれだけふざけたマネをしてきたのかについては、『國殺』に実名入りで詳しく書きますので、そちらをご覧ください。 ――『遺書』を文庫化するにあたって、新たに追記したことなどはありますか? 瓜田 本文は同じでも、登場人物はすべてイニシャルから実名表記に直して、顔写真のモザイクも外し、よりリアルでドラマチックな本に仕上がっています。表紙のデザインも、まえがきもあとがきも一新しましたから、まったくのリメイクと言っていい。文庫版の『遺書』のほうが断然カッコよく、絶対に売れると思います。ちなみに『遺書』の版権を移す際にも、スッタモンダがあったんですが、竹書房の取締役にして名物編集者でもある宇佐美和徳さんが、「これだけの金を渡すから手を引け」と、相手の予想を遥かに上回る、誰をも黙らせるケンカの買い方してくれました。 ――問題はクリアになったのでしょうか? 瓜田 双方、条件面の折り合いがついて、あとは印鑑を押すだけです。 ――竹書房との縁は、いつどこで? 瓜田 ちょうど太田出版との関係がこじれて「やってらんねぇ」とイラついていた頃、たまたま竹書房の上層部の方々と酒席を共にする機会がありまして、そこで僕の心情を吐き出したところ、「瓜田純士をアウトローとしてではなく、未来ある作家としてサポートしていきたい」というありがたいお誘いをいただきました。僕を拾い上げてくれた竹書房の宇佐美さんは、かつて「実話ドキュメント」「実話時報」「近代麻雀」などの編集長を歴任されたほか、“雀鬼”こと桜井章一さんの担当編集者もやられていた方で、金よりも義理と人情を重んじるタイプ。出会いで人生は変わるといいますが、35歳にして、こういう心ある方と巡り会えたご縁に感謝しています。
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宇佐美氏(左)とは週に三度は会食し、互いの本音をぶつけ合う。
――竹書房のサポート体制とは? 瓜田 「面倒なことはすべて編集部に任せろ。余計なことは考えるな。小説を書きたいなら、好きなように書けばいい」と言ってくださり、主に心理的なサポートをしてくださる。おかげで僕も、書くことに集中できる。このまま作家としてなんらかの賞を取るまでは、不良っぽい話はないでしょうね。もう以前とは住む世界が違う。あづま(編注:新宿三丁目の洋食店)でビフテキを食う人は、牛丼屋の話をしないでしょ。 ――10月末に発売される新著『國殺』の内容を教えてください。 瓜田 新生・瓜田純士が、アイスピックをペンに持ち替えて、世間にケンカを売っています。酒鬼薔薇聖斗、イスラム国、ネット社会の悪、イジメ、振り込め詐欺、危険ドラッグなど、現代のさまざまな社会問題を“瓜田節”で斬っています。タブーな領域に思い切り踏み込んだ部分も多く、場合によっては問題になって出版停止になることも考えられる。でも、ただ暴露したり毒づいたりすることが目的ではなく、この生きづらい世の中を生き抜くための瓜田流のヒントを、ユーモアも交えつつ随所に盛り込みました。 ――もうすべてを書き終えたんですか? 瓜田 何事もスピード感が命です。版元からは「8月いっぱいでいい」と言われていましたが、7月にはすべてを書き終えました。執筆途中、酒鬼薔薇聖斗に告ぐ、イスラム国に告ぐ……っていう感じでコンテンツが増えていく中、「瓜田純士に告ぐ、っていうページも必要じゃない?」と宇佐美さんから言われたこともあった。冗談めかした口調だったけど、これはきっと重要課題に違いない、この課題を乗り越えた先にきっと何かがある……と確信した僕は、その翌日には自分自身に向けた原稿を書き上げていました。自分という存在に一気に集中して向き合ったから、そのあと精根尽き果ててブッ倒れましたけどね。 ――スピード感を重視する理由は? 瓜田 スピードってのは、気迫になる。気迫は人の心を動かすんです。何事も途切れ途切れにやっちゃうと、ウソになる。でもスピードは本音が出るんです。僕は昔から、今やれることはつらくても今やって、後で倒れりゃいいじゃん、っていう考えなんです。 ――素晴らしい考えですね。 瓜田 実は今日も本当は、嫁に定められた「休肝日」だったんですけど、版権移籍の件がどうにかまとまるメドがついたので、こうして宇佐美さんと前祝いをすることになりまして。「今日は休肝日だから、明日にしましょう」と断ってもよかったんですけど、やはりスピード感が大事なので「明日倒れてもいいから、今日にしましょう」となって、ついでだから情報もオープンにしちゃおうってことで、こうして急きょ、取材も受けることにしたんです。 ――そのスピード感は、いつどこで養われたのでしょう? 瓜田 ヤクザ時代だと思います。切った張ったの世界にいると、「今日という日を逃したら、明日はないかもしれない」という危機感とスピード感が自然と身に付く。実際、いつどこで何があるかわかったもんじゃないですよ。このあと店を出たところで車にひかれて、すべてがオシマイになる可能性だってあるわけですから。 * * *  その言葉を裏付けるような出来事が、直後に起きたから驚いた。取材を終え、瓜田、麗子夫人、宇佐美氏、記者の一行が店を出た途端、どこからともなく現れた酩酊状態の外国人男性が、「ハウッ…ハウッ…ハウッ…ガルルルル!」と獣のようなうなり声を上げながら、瓜田に襲いかかってきたのである。その突然すぎる敵の登場は、まるで『龍が如く』や『バイオハザード』のようであった。  外国人は目を見開き、歯をムキ出しにしたまま獅子舞のように顔を踊らせ、文字通り瓜田にかみつこうとする。宇佐美氏と記者が間に入って制止しようとするが、筋肉質な外国人はそれを弾き飛ばしながら、瓜田目がけてなおも突進。その尋常ならざる目付きや行動から察するに、おそらく危険ドラッグの影響で攻撃性が増し、錯乱状態になっているようだ。  最初のうちは相手を諭すように、冷静に対応していた瓜田。だが、外国人の指が瓜田のネックレスにかかり、そのチェーンが切れると表情が一変した。 「てめぇ、この野郎っ!」  シャドーボクシングを始め、ノーガードの顔面をわざと前に突き出しながら、先に殴らせようとする瓜田。慌てて両者の間に割って入る宇佐美氏。咄嗟にカメラを構える記者。 「純士! 大事な時期やから、絶対に手ぇ出したらアカンで!」  麗子夫人の叫び声がこだました直後、10人ほどの警察官が現場に駆けつけ、外国人は取り押さえられた――。
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外国人はパトカーに乗せられ警察署へ連行された。
 良くも悪くも目立つため、良縁も悪縁も引き寄せてしまう瓜田。竹書房の一件のように幸運な出会いに恵まれる一方で、この日のように街でケンカを売られる場面も相変わらず多い。だが、たとえ絡まれても自分からは手を出さなくなったところが、以前とは大きく変わった点だ。アイスピックをペンに持ち替えた“作家・瓜田純士”。その決意の固さを見た一夜だった。 (取材・文=岡林敬太)

「ウケるってことがすべて」ちまたで話題のカオスバンド・NATURE DANGER GANGってなんだ?

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 男はフロアに飛び込んで服を脱がされ、女は亀甲縛りに、グライダーとシャベルで火花を散らせたかと思えば、着物で踊っている人がいたり……。  メンバー構成も、ラッパー、ドラマー、DJ、漫画家、元・落語家……等々、総勢十数人(不定)とグッチャグチャ! そんな、とにかくメチャクチャで「面白いだけ」なバンドNATURE DANGER GANGが、ちまたのヤングの間で話題となっている。  こんな人たちが、アンダーグラウンドなライブハウスやクラブで活躍しているだけならともかく、アイドルと対バンしたり、夏フェスに出たりするなんて、ホントに世も末だ!  一体、彼らは何者なのか? そして、どういうつもりでやっているのか? リーダー(?)でMCのSEKIを問い詰めた。 ■いろいろ足していったら、変な感じになっちゃった
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――NATURE DANGER GANG(以下、NDG)を始めたきっかけは? SEKI とりあえずライブが決まったんで。 ――え、バンドもないのにライブが? SEKI 「Juke/Footwork」っていうダンスミュージックのジャンルがあるんですけど、そのイベントが新宿ロフトでやっていたんで、よく行って暴れてたら、主催者の人から「今度のイベント、DJで出て」って言われて……。 ――全然DJじゃないですね。 SEKI そのイベントで「どついたるねん」とか「Have A Nice Day!」とかを見てて、「やっぱバンドやりてえ」って思ってたんで、急遽メンバーを集めてバンドで出ることにしたんです。 ――結構メチャクチャなメンバーたちですけど、どうやって集めたんですか? SEKI 単純に知り合いに声をかけて「お前とお前とお前、来てくれ。曲は作るから、ラップなり歌なり勝手にやってくれ!」って。 ――その結果、こういう感じになったと……。 SEKI 最初は「Juke/Footwork」をやりたかったんですけど……できなかったのは、オレの技術不足です! 技術不足を補うためにいろいろ足していったら、なんか変な感じになっちゃって。 ――そもそもメンバーが多すぎですからね。ライブをするにあたって、練習はしたんですか? SEKI 最初のライブをするまでは、すげぇ気合入れて練習してたんですけど、いざライブになったら、練習したことなんてなんにもやってなかった(笑)。だから、ノリで行ったほうがいいんだなって。そこから全員で練習したことはないっすね。 ――じゃあ、ライブ本番に「お前、そんなことやるのかよ!?」みたいなことも? SEKI あります、あります。ユキちゃんが最初に出た時は「金髪のヅラかぶって、おむつはいて出たいと思うんですけど、どうですか?」って相談されてたんですけど、本当におむつをはいてきたのにはビックリしました。 ――もはや、最初にやろうと考えていたものとは、かなり違っちゃってるんじゃないですか? SEKI 全然違いますけど……。まあ。ウケるってことがすべてなんで。そもそも、やりたいことがそこまでないし。
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■「あなたの息子はキチガイです」 ――そんなSEKIさんのルーツを探っていきたいんですけど、子どもの頃はどんな子だったんですか? SEKI 目立ちましたね、すごく。MCをやってる野村ってのが小学生の時から一緒なんですが、アイツいわく「子どもの頃は、本当にただのチンパンジーだった」っていう。 ――チンパンジー!? SEKI 小6の時に三者面談があったんですけど、先生が親に向かって真顔で「関さん、あなたの息子はキチガイです」って言ったんですよ! とにかくずっとしゃべってて、落ち着きがなかったんですよね。 ――触っちゃヤバイ系の子どもとか? SEKI 触っても大丈夫ですけどね。友達にはフレンドリーで、社交性はあったんで。 ――中学で部活はやっていましたか? SEKI バスケ部。『スラムダンク』を読んで「マジ、バスケかっけぇな」って。 ――あ、意外と王道なルートじゃないですか。クラスで目立ってて、バスケやってて。どこで歪んだんですかねぇ? SEKI えー、オレ、歪むことなく真っすぐ来てますよ!? 高校で『BECK』を読んで、「俺らもバンド組もうぜ!」とか。 ――ああー、直球ですね! SEKI で、赤羽の地元の友達と組んで「赤羽ロットンパンクス」っていうパンクバンドを始めました。パートはドラム! ――あ、ドラムだったんですね。「ドラムじゃ、目立てない!」とか思わなかったんですか? SEKI メチャクチャ思ってました! フロントメンバーがすげえ楽しそうにしていても、ドラムは絶対に動くことが許されないじゃないですか。で、NDGでフロントマンになってみたら、ビックリするくらいウケて……。ドラムなんて、さっさとやめておけばよかったですよ。俺の10年間は……っていう感じ。
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■長い飲み会の中で30分ライブする ――こういう過激なパフォーマンスを売りにしていると、どんどんエスカレートしていかなきゃならないという問題がありますよね。「1回脱いだら、もう毎回脱ぐしかない」みたいな。 SEKI ホント、それはありますね。でも、とりあえず脱ぎ続けてればいいかなって……。マンネリ化してきたら新しいことしたいっていうのはありますけど、基本的にいつも思いつきでやってるんで。 ――毎回、どういうモチベーションでライブに臨んでいるんですか? SEKI ただの飲み会って感じですよね。長い飲み会の中で、30分ライブするみたいな。イベントだからいろんな対バンも見られるし、酒もコンビニで買えば安いし、プリングルズ食いながら「ライブの時間だ! やべぇ!」って(笑)。ライブ自体、ボタン押して好き勝手なことをやってるだけですから。 ――ボタン? SEKI 全部曲がつながってるんで、ライブの最初にシーケンサーのボタンをピッて押したら、何があろうが最後まで曲が流れちゃうんですよ。だからその間、何やっててもオッケー! ――ああー……。メンバーがこれだけたくさんいると、ライブのスケジュールを合わせるのも大変そうですよね。 SEKI 最初の頃は「来られないなら来なくてもいい」みたいな感じでしたね。だから、3人の時とかもありましたもん。最近は、ある程度先のスケジュールが立てられるようになったんで、それに合わせて「(仕事)休んでください」とか言ってますけど。
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■黒人とヤギとギタリストを入れたい ――これから追加でメンバーを入れる予定は? SEKI うーん……ギターを入れたいです。 ――今さらギター!? 遅いですねー(笑)。 SEKI メタルみたいな格好で、ピロピロ弾いてくれるギターが欲しくて。もう曲に合ってなくてもいいんで! ギターソロって盛り上がるじゃないですか、とりあえず。あとはまあ……黒人が欲しいですよね。 ――アフリカ系に限定しないで、中東・アジア系まで含めれば結構いそうですけどね。 SEKI あー。中東系でも全然いいっすね。うちの家の真ん前のアパートとか、すごいっすよ。全部、中東の人が入ってて。たまに入国管理局とかが来ると、必ず空っぽになるんですよ。 ――こういうノリが、メディアでは「カオスだ」なんて言われていますが、自分たち的にはどう思っているんですか? SEKI カオスに失礼だなって。この程度で「カオスだ」なんて言われるのはちょっと心苦しいんで、期待に応えられるようにしたいなと。 ――皆さんの期待に応えて、カオスになりたいと。 SEKI カオスになりたいんですけど、難しいっすね。会場が狭かったらまだなんとかなるんですけど、広いとまあ大変ですよ。だだっ広いステージだと、ちょっとやそっとじゃカオスになれない! だからホント、後ろのほうで見ないでほしい。なるべく近くで見て! ――今週末には、青森で行われるフェス「夏の魔物」への出演がありますけど、あの規模になると相当大変ですよね。 SEKI だから、メンバーをもっと入れまくりたいですよ! 30人ぐらいステージにいれば、なんとかなると思うんで(笑)。 ――ステージの大きさに合わせて、どんどんメンバーが増えていくと(笑)。 SEKI 最終的にはやっぱ……150人くらいで武道館ライブをやりたいですね。ノーギャラの150人が武道館でライブをやってたら、面白いじゃないですか。交通費、昼飯代ぐらいは欲しいっすけどね。「いいんすか!?」みたいな感じで、150人が喜々としてお弁当を食ってるという(笑)。 ――じゃあ、今後の目標は武道館ですね。 SEKI あとは、メジャーデビューしたいっすね、いずれは。……avexで! やっぱ憧れですから、TK(小室哲哉)。TKとやりたいです。 ――TK、メンバーで入ってくれないですかね? SEKI TK入ってくれたら、メッチャうれしいですよね。それと、黒人と動物とギターが入ってくれたら完璧です。 ――動物? SEKI ヤギとか入れたいっす。悪魔崇拝的なイメージで。あれ、とんでもない声出すじゃないですか。 ――角の生えた黒人のギタリストがいたら、ちょうどいいですね。 SEKI ああ、それがいいです! そんなメンバーを引き連れて、テレビにも進出したいっすね。『Mステ』に! ――無理でしょう……。 (取材・文=北村ヂン) ●ネイチャー・デンジャー・ギャング ジューク、ゲットーベース、ハードコア、ヒップホップ……といった音楽ジャンルをのみ込み、狂熱のライブ・パフォーマンスが各所で話題となっている東京のバンド。2013年に結成。音源としては、これまでに『THE BEST OF NDG NONSTOP MEGAMIX』(オモチレコード)と『THE BEST OF NDG +α』(ローソンHMVエンタテイメント)を発表。今週末にはロックフェス「夏の魔物」に出演予定。 <http://nature-danger-gang.tumblr.com/>

おっかけは大いなる才能の無駄遣い!? “バンギャルちゃん”蟹めんまに聞く「おっかける」人たちの生態

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 ビジュアル系バンドを偏愛する“バンギャルちゃん”の知られざる生態を描いた『バンギャルちゃんの日常』(KADOKAWA)。このたび、作者である蟹めんま氏がビジュアル系以外の“現場”でおっかけの生態をルポする『バンギャルちゃんの挑戦』(同)が刊行され、話題となっている。ファンたちの特徴、おっかけルール、そしてジャンルへの深くまっすぐな愛――「何かにハマった人たち」の不器用なまでの生きざまを受け止め、取材だけのつもりが作者自らズブズブと沼にハマっていく様子がまたリアル。おっかけとは何かを、蟹めんまが語り尽くす! ――こちらの本には、さまざまなジャンルの「おっかけ」が登場します。そもそも「おっかけ」とは、どういう人たちを指すのでしょう? 蟹めんま(以下、めんま) 私はジャンルを問わず「何かに熱狂的にハマってる人」を、ざっくりまとめてこう呼んでいます。「おっかけ」というと、タレントをあちこちおっかけて日本各地を飛び回ってる人々を想像する人が多いと思うので、ちょっと語弊があるんですけど、一番わかりやすい表現なので、あえて使っています。 ――取材した方々とは、どのようにお知り合いになったんですか? めんま 「ビジュアル系以外のおっかけ本を描くんだけど、どうしよう?」と友人に相談したら「うちのジャンルに来い」と勧誘を受けたりして、調べに行く感じですね。ただ、いざ取材に行くと、深くハマってる人ほど、自分のことを「私なんて、まだまだにわかファンですよ」みたいに謙遜するんですよ。ハマってる人ほど、軽々しくファンを名乗っちゃいけないと思っているみたいですね。現場に何度も通って顔見知りも少しずつできていく中で、自分より明らかに熱狂している人の存在を知るようになると「こんな人たちもいるのに、自分がファンを名乗ってはいけないんじゃないか?」と考えるのかもしれません。気持ちは、よくわかります。 ――取材をされる中で気づいた、「おっかける」人たちの共通点は何かありますか? めんま フットワークの軽さですかね。「あなたのおっかけている○○について教えてほしいんだけど、都合のいい日ある?」って聞くと「今晩でオッケーです」っていう返答が多すぎて驚きました。あと、勉強熱心な人が多いですね。例えば、韓国アイドルにハマったら「自分も韓国語をやってみよう」となったり。 ――文化まるごと知りたくなると。 めんま 好きなアイドルの子たちが出てるバラエティ番組に日本語訳もついてるんですけど、「本当にそういう意味なのか」「もっと面白いことを言ってるんじゃないか」って勘繰ってしまうんです。 ――結構しゃべってるのに、日本語訳を見ると「はい、頑張ります」だけだったり。 めんま そう! 訳だと細かいニュアンスまでわからないので……。それがわかれば、もっと推しメンの魅力がわかるのでは!? と思ってしまうんです。誤解を恐れずにいえば、ハマる気質の人って、大いなる“才能の無駄遣い”をしてると思う。そういう語学の勉強以外にも、制作費をもらえるわけでないのにファンサイトをコツコツ作っていたり、ライブレポを書いてたり。そういう人たちのアツさや、必死さが面白いと思って漫画を描きました。 ■取材というより、「新規顧客を勧誘する会」 ――本では、他ジャンルを漫画にすることに躊躇されている様子も描かれていましたが。 めんま そうですね。描きたい意欲はありつつも、数回の取材で見聞きした程度の知識で、そのジャンルのことを描いてもいいんだろうかと悩みました。ネタにされて不快に思う人も絶対いると思いますので。私の描き方が悪かったがために、ジャンル自体のイメージを悪くする可能性もあるので……。 ――面白く伝えることと誤解を招くことは、紙一重なのかもしれないです。 めんま まさにそうなんです。面白おかしく描くと、少しバカにしたように見えてしまうこともあるじゃないですか。私自身が好きなビジュアル系も、外部からわりと偏ったイメージで語られがちなので、余計にそう考えるのかもしれません。 ――実際に現場に足を運ばれて、いかがでしたか? めんま ファンの方々が皆さんすごく取材に協力的だったので本当にありがたかったんですけど、皆さん漫画のネタになりそうな話より、自分の推しを紹介してくるんですよ。「お前も好きになれ」というテンションで迫ってくる(笑)。「普段おっかけ仲間とどんな話をしているの?」と聞いても、「ところで、これを見てみて」と本やらDVDやらを出して布教してくるんです。取材というより、「新規顧客を勧誘する会」的な扱いでしたね。 ――ウェルカムなんですね。古参と新規のファンは、相いれないイメージもありますが……。 めんま それは、とても難しい問題ですね。そのへんのことは、文字にするとトゲが出るんですよね(苦笑)。今までずっとV系だけにハマっていたせいで、新しい世界をゼロから開拓することがなかったんですけど、今回この漫画を描くに当たっていろいろなジャンルの「新規」になったので、ご新規さんの気持ちがよくわかりました。 ――新規の人は、こういうことをされたらうれしいとか、肩身狭く感じるとか。 めんま そうです。新しいジャンルに行くときって、本当に何もわからないし、緊張するんですよ。「自分の行動がマナー違反だったらどうしよう」みたいな。だから、周囲の人やネットの質問サイトとかで質問したいんですけど、「ググれ」って言われちゃうんじゃないかっていう心配もあったり。ググりたいのはやまやまなんですけど、そういうことって、意外と「暗黙の了解」的なことも多くて、どういうワードで検索したらいいのか、わからないことがありますからね。「ライブマナー」「観戦マナー」「観劇マナー」っていう言葉がどの界隈にもありますけど、そもそも娯楽に「マナー」とか「暗黙の了解」が存在するっていう概念が、過去に何かをおっかけた経験がないと思いつかないんじゃないかなと。それを「そんなの自分でググりなよ」と一言で切り捨てられちゃうと悲しいですし、そのジャンルの敷居が高く感じてしまいますよね。あと、世代のことも……。 ――世代ですか? めんま 歴史が長いジャンルだとファンの世代も幅広いんですが、新規は過去のレジェンド的なエピソードを全然知らないわけじゃないですか。古参の人に「○○の演目はすごい」とか「○○選手の、あの試合は伝説」と言われたとき「○○って誰ですか?」と尋ねると「あぁ、そういう世代?」って驚かれることが多いんです「あぁ、もう○○を知らない世代が来てるよ」「もう世代交代だね~」「俺らおっさんだわ」とか言われると、ちょっと反応に困るんですね。「聞いちゃいけないこと、聞いちゃったかな?」って萎縮しちゃう。向こうに悪気がないのは、よくわかるんですけどね。 ――自虐的な方向に行かれるのはツライ……。 めんま そうなんですよ。私自身も無意識にやりがちなので、気をつけようと思いました。 ■一体自分が何者なのかわからなくなった ――他ジャンルに行かれて、再びビジュアル系に戻ってきたときに「あぁ、やっぱりここがホームだな」と感じることはありましたか? めんま そうですね。「実家感」的なものは感じたかもしれません。ただ、いろいろなジャンルを好きなってしまったせいで、一体自分が何者なのかわからなくなりましたね。こんなに他ジャンルに手を出しておきながら、バンギャルを名乗っていいのか、とか。 ――確かに、自分のアイデンティティに関わりますね。 めんま これまでは自分の中に「ビジュアル系」という柱しかなかったわけですけど、ほかの芽も出てきてしまって戸惑っているのは正直なところです。 ――ビジュアル系ファンの方から「めんまさん浮気してる……」みたいな目で見られることは? めんま それがですね、言われて当然だと思っていたんですが、まったくなくて……。というか、皆さん思ったより複数ジャンル追いかけてることを知った(笑)。だからほかの人に言われるよりは、自分の中で「私はちゃんとバンギャルだよね? 浮気してないよね?」と確認したくなる機会が増えたと思います。 ――常に自分に問いかけるという、生粋のヲタ気質(笑)。 めんま ビジュアル系でも「このバンドに操を立てます!」みたいな感覚は薄くなっているかもしれないですね。かつては「複数バンドの掛け持ちはミーハー」みたいな見られ方をすることも多々あったのですが。今は「忠誠を尽くす=オンリー」という感じではなくなってきていると思います。 ――ジャンルの楽しみ方も変わってきていると。 めんま もちろん誰かを追いかけるのがベースにあると思いますが、それだけじゃない。むしろ、そのジャンルを取り巻くファン文化が楽しかったりするんです。自分も、その世界の住人になれるうれしさ。 ――社交的じゃないと難しいですか? めんま 自分の中にあふれ出る“萌え”をとどめておくのが難しくて、誰かと共有したいので。社交性というか、語り合える仲間がいると楽しいなと思います。あと仲間がいると、いろいろと助け合えるのでいいですね。 ■私、保菌者なんで…… ――人間関係がある以上、そこには明文化されないルールも存在しますか? めんま ルールというほど厳しいものでもないですが、各ジャンル各々のおっかけ作法的なものはありますね。そういうルールをひとつひとつ覚えるのも、面白いところなんですよ。私、最近よく思うんですけど、おっかけの人間関係って、部活のそれに近いのかなって。上下関係に厳しい先輩もいれば、全然そうじゃない人もいる。 ――1年と3年は仲がいいとか(笑)。 めんま そうそう! あと、自分が新規のときに先輩たちからどういう扱いをされたかで、古参になったときの新規との接し方が変わってくる気もしますよ。 ――完全に部活じゃないですか! めんま 私、いま思えばビジュアル系を好きになったばかりの頃、古参の方たちからすごく親切にしてもらったんですよ。それがあるから、極力私も優しくせねばイカンという思いがあります。逆に古参の人たちに厳しくされていたら、私も同じようにしていたかもしれない。「俺の代で甘くしてたまるか!」「これを乗り越えたから強くなるんだ」みたいな。 ――PL学園の付き人制度のようです(笑)。今後、のぞいてみたいジャンルはありますか? めんま これ以上増やしたくはないんですけど……興味あるのは若手俳優かな。私、保菌者なんで。 ――保菌者!? めんま 大学のときに一度『テニミュ』(『テニスの王子様』ミュージカル)とか特撮ヒーローものにハマったので、保菌者。当時若手だったコたちが今結構大きな役についてたりするので、そのあたりに近づいたら、まぁ戻っちゃうだろうなと。 ――なんらかの衝撃で菌が暴れ出す(笑)。 めんま 追いかけ方がなんとなくわかるので、入りやすい。怖い。怖すぎです。 ――続『バンギャルちゃんの挑戦』期待していいですか……? めんま ダメです。死んじゃいます。 ――宝塚ファンたちに、また言われてしまいますよ。 めんま 「死ねばいい!」ですね(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●かに・めんま 奈良県出身。ほんのり漫画家。大阪芸術大学デザイン学科卒。カレー屋店員、不動産広告営業、ウェブ編集などの職を迷走したのち、漫画家に。『バンギャルちゃんの挑戦』で新たな沼にハマったため、漫画家の傍ら、かつて働いていたスーパー銭湯で資金稼ぎに精を出す日々。 ブログ<http://ameblo.jp/menmanomanga/>

犯罪発生率の増加も食料問題もこれで全て解消!? 鬼畜監督が考えたベストアンサー『ムカデ人間3』

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『ムカデ人間』三部作を完結させたトム・シックス監督。あまりに過激な作風のため、1作ごとにロケ地を変えないと撮影ができなくなっている。
 ひとりぼっちはイヤ、誰かと繋がっていないと不安……。そんな現代人にぴったりなスカトロ版“人類補完計画”が『ムカデ人間』シリーズだ。頭のおかしな外科医によって拉致された3人の男女が肛門と口を縫合され、数珠繋ぎ状態のムカデ人間にされるという衝撃的なホラー映画『ムカデ人間』(09)は世界各国で上映禁止になるほどの騒ぎとなった。続く『ムカデ人間2』(11)は前作『ムカデ人間』を観たオタクが模倣事件を引き起こすという、さらに悪趣味なストーリーに。そして、いよいよ『ムカデ人間3』でシリーズが大団円を迎えることになった。  第1作は3人、第2作は12人編成のムカデ人間だったが、シリーズ完結編『ムカデ人間3』は何と500人がひとつに繋がったスーパームカデ人間が登場! また、刑務所を舞台にした本作はただエログロなだけでなく、囚人たちをムカデ人間化してひとつに繋げば、暴動も脱走もできず、食事もひとり分で済み、さらに犯罪に対する抑止力効果も期待できるという“ブラックコメディ”にもなっている。こんなクレイジーな『ムカデ人間』シリーズを考え出したトム・シックス監督とはどんな人物なのか? オランダの自宅で新作の準備を進めているトム監督にスカイプインタビューを行なった。 ──ドイツを舞台にした『ムカデ人間』はナチスドイツが大戦時に行なった人体実験、ロンドンを舞台にした『ムカデ人間2』は英国の保守的な社会の裏側をそれぞれ痛烈に風刺していました。シリーズ完結編となる『ムカデ人間3』は世界唯一の超大国となった米国が舞台。オランダ出身のトム・シックス監督は米国にどのようなイメージを抱いているのでしょうか? トム・シックス とにかく、デカい国だというイメージだね。すべてがXLサイズの国(笑)。ハンバーガーもコーラも、すべてXLサイズ。だから刑務所もやたらとバカデカい。『ムカデ人間3』の舞台となる刑務所は、大統領の名前を拝した「ジョージ・ブッシュ刑務所」という名前なんだ。ブッシュ政権時代の諸外国に対するデカい態度も含めて、やたらとデカい国・アメリカそのものを風刺した作品なんだ。 ──もともと『ムカデ人間』のアイデアは、幼児に対する性的虐待事件にトム監督は怒りを覚え、犯罪者に対する罰として“犯罪者と犯罪者の肛門と口を縫い合わせる”行為を思いついたそうですね。 トム そうだ、その通り! 極悪人に対する罰としてムカデ人間は思いついたんだ。でも、『ムカデ人間』『ムカデ人間2』ではなぜか罪のない人間が事件に巻き込まれて、不条理にもムカデ人間にされてしまった(苦笑)。ようやく『ムカデ人間3』で犯罪者たちへの罰則としてムカデ人間化計画が進むんだ。シリーズ完結編で、自分が本来やりたかった形にすることができたというわけさ。刑務所の囚人たちを全員ムカデ人間化してしまう。素晴しいアイデアだと思わないかい(笑)。犯罪者同士の肛門と口を繋げば、食事代はひとり分で済むし、暴動も脱走することもできない。刑務所全体の予算を抑えることができる。そもそもそんな罰則があれば、誰も刑務所に入ろうとは思わないから、犯罪率も下がる。こんなにいいことはない。米国の刑務所だけでなく、日本でも導入してみたらどうかな(笑)。考えてみれば、刑務所以外でも役立つはずだ。発展途上国の人たちに食料を送りましょうというチャリティー活動をしている人たちがいるが、それよりも彼らがムカデ人間になれば、食料問題はいっきに解決するんじゃないかな(笑)。
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『ムカデ人間』のディーター・ラーザーと『ムカデ人間2』のローレンス・R・ハーヴェィが悪夢の共演。ムカデ人間第1号を演じた北村昭博も参戦。
■天才と呼ばれる人間はみんな変態である ──『ムカデ人間』でクレイジードクターを演じたドイツの怪優ディーター・ラーザーが再び主演。『ムカデ人間2』では脚本内容をめぐってトム監督とケンカになり、『ムカデ人間2』を降板したというネットニュースを見かけましたが、関係を修復できたようですね。とはいえ、刑務所内で独裁者として振る舞う所長役のディーターと本人役で出演したトム監督の間にはリアルな不穏さが感じられましたが……。 トム それは誤解だ。ディーターとは確かにケンカしたが、それは『ムカデ人間2』ではなく、『ムカデ人間3』のクランクイン前だったんだ。僕が書いた台本を彼に渡したところ、彼は最初はすごく喜んで「やりたい」と言っていた。ところが撮影に入る直前になって、「このままの内容では演じることができない」と脚本の変更を要求してきたんだ。彼自身なのか彼の事務所なのかは定かじゃないけれど、内容の過激さに怖じ気づいてしまったようだね。撮影直前だったから僕も怒ってしまい、それで諍いになってしまった。「この脚本でやるべきだ」と必死に説明したところ、ようやく彼は納得してくれたんだ。撮影現場に立つということは勇気を振るわなくちゃいけないということを自覚してくれたんだ。それ以降は僕と彼は良好な関係を保ち、いい友人になれたよ。今回、彼が演じた所長ビル・ボスは映画『ムカデ人間』が大嫌いで、それを撮った監督のトム・シックスのことも嫌っているという設定だったんだけど、彼はとてもリアルに演じてくれたよ(笑)。 ──撮影直前のケンカが役づくりにいい影響を与えたわけですね。ディーター演じる性悪所長が囚人たちの暴動に遭い、デスレイプ(あまりにもインモラルすぎるプレイで説明不可能)されるシーンは強烈です。どうすれば、デスレイプみたいなサディスティックなプレイを思い付くんですか? トム 僕のイマジネーション能力はほとんど病気、いや超能力のレベルに達していると言ってもいいかもしれない。デスレイプ以外にも、まだまだ映像化していないアイデアは豊富にあるんだ。でも、実生活では試そうとは思わないよ。現実世界の僕は小さなネズミ一匹も傷つけることができない。そんな僕だけど、想像の世界では何でもできちゃうし、それを止めることは誰にもできないんだ。 ──とてもストレートな言葉でお尋ねします。トム・シックス監督、あなたは変態ですか? トム YES! 僕は変態です(笑)。そして、そのことを誇りに感じているよ。 ──欧州にはラース・フォン・トリアー、ミヒャエル・ハネケほか変態的な作風で知られる映画監督が多いですね。ある意味、クリエイターはみんな変態なのでしょうか? トム YES! そうだと思うよ。天才と呼ばれる人間はみんな間違いなく変態だよ。まぁ、僕を上回る変態はそうそういないと思うけど、ピエル・パオロ・パゾリーニは本当にクレイジーな監督だったよね。現役の監督でいえば、ポール・バーホーベンだな。ハリウッドで撮った『ロボコップ』(87)や『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)はかなりおかしな作品だっただろ?
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「こんな感じで囚人たちを繋いじゃえば、食費も経費も浮きますよ」。刑務所の会計係ドワイトは楽しそうにムカデ人間計画を提案する。
──バーホーベン監督も、トム監督と同じオランダ出身じゃないですか。 トム そうだね。でも日本人だって、そうとう変態じゃないか。僕から見ても、三池崇史はとてもクレイジーな監督だと思う。それと僕がいちばん好きな日本の監督、えぇと名前が言いにくい……、塚本晋也! 彼の作品もすごく変態チックじゃないか。 ──確かにそうですね。トム監督の場合はみずから変態であることを認められたわけですが、どのような環境で育ったんでしょうか。少年時代について教えてください。 トム OK! 僕はいわば、幸せな少年時代の犠牲者なんだ。僕の両親はとてもいい人で、僕は大切に育てられた。そしてそんな恵まれた環境の中で、僕は逆に幸せに対して怒りを覚えながら育ったんだ。物心が付くようになってから、ビデオレンタルで気味の悪い映画を借りてきて観るようになった。例えば、パゾリーニの『ソドムの市』(75)とかだね。それが、やがてホラー映画への興味へと繋がり、狂った物語にしか僕は興味が持てなくなってしまったんだ。それが今の僕に至る道だというわけさ(笑)。自分が“変態”だと自覚できたときは、とてもハッピーだったよ。完全なる幸せを感じることができた(笑)。人生そのものが悪いジョークみたいなものだし、逆にいえば人生をジョークとして捉えてもいいんじゃないかと考えるようになった。朝9時から夕方5時まで働くような型にハマった仕事は、自分には向かないと気づくこともできたんだ。 ──妹のイローナ・シックスさんは美人プロデューサーと評判ですが、イローナさんも一緒にホラー映画を観ていたわけですか? トム そうだよ。彼女は僕より6歳下。彼女がとても幼いときから、僕が彼女の嗜好性を決めてしまったようなものだね(笑)。たくさんのホラー映画を観せられ、最初は彼女は泣き続けていたんだけど、ある時点から彼女もホラー映画を好きだと思うようになったんだ。僕の嗜好性を彼女も受け入れたんだ。まぁ、兄妹で同じ遺伝子を受け継いでいるわけだしね。そういうふうに考えると僕の両親もある意味ではクレイジーな一面も持っていたな。世代が違うから、僕と違ってもっと落ち着いたものではあるけどね。やがて僕は映画を撮るようになり、イローナがプロデューサーとして映画の予算を管理してくれるようになったんだ。
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ついに完成した500人の囚人たちをひとつに繋いだスーパームカデ人間! 『ムカデ人間』シリーズはここに大団円を迎える!!
──『ムカデ人間』シリーズは、観た人の100人中99人が吐き気を催すけれど、残りの1人は生きる勇気を感じるカルトな作品。これからも、このような作品スタイルを貫く? トム もちろん! 僕にとって「吐き気がする」という言葉はスタンディングオベーションと同じ意味なんだ(笑)。僕の映画を観て本当に吐いた人がいれば、それは僕にとって最高の歓びだよ。まぁ、『ムカデ人間3』はコメディ要素も強いと僕自身は思っているので、単なるホラー映画ではなく、ホラーコメディとして楽しんでくれれば、すごくうれしいよ。それに僕の映画はこれまで誰も見たことのない世界を描いているから、今まで体験したことのない感覚や喜びを感じることができるはず。僕の映画を観て、生きる希望を感じる人もいるかもしれないね。逆に僕の映画を観て、不快に感じたり、怒りを覚える人も少なくないと思う。実際、『ムカデ人間3』は米国を直接的に皮肉っていることから、ニューヨークタイムズといったメジャーなメディアでは酷評された。でも、僕は自分の名前さえ間違っていなければ、映画評で何を書かれても全然かまわないんだ。それに、『ムカデ人間』シリーズを観て強い怒りや不快感を覚えたという人は、僕が風刺した社会そのものに怒りや不満を感じている人なんじゃないかな。「サイコー!」もしくは「サイアク!」、両極端な評価のある作品をこれからも撮り 続けるよ。僕にとっては「平凡」という言葉がいちばんの酷評なんだ(笑)。 (取材・文=長野辰次) 『ムカデ人間3』 監督・脚本/トム・シックス 製作/イローナ・シックス 出演/ディーター・ラーザー、ローレンス・R・ハーヴェィ、エリック・ロバーツ、北村昭博、ブリー・オルソン、ロバート・ラサ、トミー・タイリー・リスター、トム・シックス 配給/トランスフォーマー R18+ 8月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開  (c)2014 SIX ENTERTAINMENT COMPANY http://mukade-ningen.com
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●トム・シックス 1973年オランダ生まれ。オランダのテレビ業界からキャリアをスタート。2001年に妹のイローナ・シックスと映画制作会社シックス・エンターテイメントを設立。オランダで初めてのゲイ映画『Gay』(03)を製作、一般劇場で公開し、物議を醸す。2009年に製作した『ムカデ人間』は世界中で大反響を呼んだものの、劇場公開されたのは日本も含めてわずか4カ国だけだった。『ムカデ人間2』は日本と大幅なカットを余儀なくされた英国と米国の3カ国だけの劇場公開に。次回作『オナニア・クラブ』を現在準備中。

相思相愛コンビ・コロコロチキチキペッパーズは、いろいろと「やっべぇぞ!」

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撮影=後藤秀二
 社会現象化した「ラッスンゴレライ」「あったかいんだから~」に続く、第3の波となるか? 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の人気企画「パクりたい-1グランプリ」で「やっべぇぞ」がブレーク中のコンビ、コロコロチキチキペッパーズ。坊主にトックリセーターでただならぬ雰囲気を醸し出すナダルと、飄々カワイイ佇まいでナダルを操る西野創人。単なるフレーズ先行芸人と侮るなかれ。インタビュー中、いつも無口なカメラマン氏が思わず「本当に面白いですね……」と漏らすほどのトーク力を見せつけられた。来るべき東京コロチキ旋風に備えて、どこよりも早く日刊サイゾーが「やっべぇぞ」の裏側に迫る!! ――『アメトーーク!』以来、ちまたでの「やっべぇぞ」率は確実に上がっています。お2人の生活にも、変化はありましたか? ナダル ありがたいんですが、特に僕らの生活は変わってないですね。 西野創人(以下、西野) いや、ナダルさん、初めて大阪のテレビ出させてもらった次の日、コンビニバイトでマスクしてましたよね? ナダル 何? マスクしちゃアカンの? 西野 あれ……この人もう売れた気になってるの……早っていうか、ダサッ!!  ナダル 喉をやられんように予防してただけや! ――(笑)。まずは、「やっべぇぞ」がどうやって誕生したのか、お聞きしてもいいですか? 西野 僕、カラオケ屋でバイトしてるんですけど、2年くらい前かな、ドリンクを運びに行ったら部屋にすごいギャル男がおりまして。注文したメロンソーダを見て「メロンソーダやっべぇ! やっべぇわマジで」って連呼してたんですよ。メロンソーダの何がやばいんやろって思いながら、あ、これネタにしたらどうかなと。ギャル男さんありがとう。 ――では、ネタは主に西野さんが? 西野 僕が大枠を持ってきて、ナダルさんと相談しながら作っていく感じですね。 ナダル 僕も一応持っていくんですけど、西野のが圧倒的に採用率が高いんです。 西野 ナダルさんの出す意見は、ちょっと飛びすぎてるんですよ。この前は「原始人がオークションに出品したら」という、なかなか意味のわからないものをお持ちになって。で、僕が「ちょっと……」って言うと、スネるんですよ。 ――ナダルっていう芸名も……あ、芸名ですよね? ナダル 芸名です! あの名テニスプレーヤーのように、笑いのラリーを返したいという思いを込めて。 西野 って、本人は言ってますけど、ホンマは僕が「相浦英樹って名前覚えづらいから、なんかカタカナがええんちゃう? ナダルとかどう?」って決めたんですよ。でも8歳年下の僕に付けられたというのが、プライドが許さないらしくて。 ナダル エエやないか、もうそのことは。 西野 ナダルさん、そういうとこホンマにヤバイですよ。ね? ナダル そうかな。 西野 「やっべぇぞ」言わへんし(笑)。でも「やっべぇぞ」をテレビでやってから、ちょっとナダルさんかわいそうなんですよ。ルミネ(theよしもと)のチケット売るのに外に出たら「『やっべぇぞ』言ってください」の行列が。でも、チケットは全然買ってくれない。 ナダル チケット買わずに、写真とやっべぇぞで2時間。 ――芸人冥利に尽きるというか、なんというか……。そもそもお2人が芸人を目指したきっかけは、なんだったんですか? 西野 僕は中学生の時に友達と文化祭で漫才して、めっちゃウケて、それが今まで味わったことのない快感やったんですよ。でも、まさか自分が芸人にはなるとは思ってなかったです。小中高とやっていた野球を大学でもやりたいと思っていたら、親からきっぱり「大学は行かされへん」と言われました。家めっちゃ貧乏だから。それで、NSC受けてみようかなと。大学行ってたら、たぶん絶対考えなかったですね、芸人という生き方は。
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眼力がハンパない、ナダルさん
■漬物屋から芸人へ ナダル 僕もですよ。めちゃめちゃ真面目に育てられてきました。 西野 ナダルさんは、生き方がブレブレだから(笑)。 ナダル 僕の地元は京都に一個だけある村で、すごい自然が豊かなんですよ。で、昔から生き物が好きで、動物園の飼育員になりたいと思っていたんです。魚とか、ペンギン系の。 西野 ペンギン系って何よ。 ナダル だからペンギンとか、カメとか。だけど、飼育員さんってすごい人気高くて、早々にあきらめました。僕は、近畿大学の水産学部に通っていまして。 ――あ! あの近大まぐろの! ナダル はい。でも、僕は“とらふぐ”やっちゃってたんですよ~。まさか、クロマグロがあんなブレークするとは思わなかったんでね。で、食品つながりで最終的には漬物屋さんに就職しました。神戸で有名な奈良漬屋さん。 西野 神戸で奈良漬っておかしない? ナダル おかしない。奈良漬業界では、ごくごく普通。奈良漬の生産量全国1位が兵庫県だから。 西野 知らんがな(笑)。 ナダル で、仕事していたんですけど、ここで新たな夢が登場します。それが消防士です。 ――突然、ブッ飛びますね。 ナダル 勉強もめっちゃしたし、走り込みも筋トレも。筆記試験も体力検査も面接も通過して、あとは小論文だけ……それなのに、小論文で落ちちゃって。しかも、それが2回続いて。 西野 何書いたら、そんなふうになるのよ。 ナダル これはもう「神様が消防士をやめておけ」と言っているのかなと、僕の中で判断したんですよ。 西野 見事に、自分のミスを神様のせいにしたな(笑)。 ナダル その時にね、一緒に風呂入っていた友達に「おまえ、何がしたいんや。一回自分の本当にやりたいことやれや」って言われて、目が覚めた。正直ね、今までも結構笑いを取ってきたんですよ。だから、さっき西野が言ってた「味わったことのない快感」っていうのは、日常的に味わってきたんですよね。 西野 ホンマおそろしい人やな……。 ナダル で、みんなの前で「僕、芸人になります!」って宣言しました。一番の難関は、母親でしたね。 西野 その時、いくつよ? ナダル 26。 ――……結構なイイ年齢ですね。 ナダル 思い切って「実は仕事辞めて、芸人になろうと思ってる」と言ったんですよ。そしたら母親、ガタガタガタガタ震えだして「アンタをそんなふうに育てた覚えはない」って。「お母さん明日から韓国旅行なのに、どうやって飛行機の中とか楽しめばいいの!?」とキレて。 西野 飛行機の中だけなんか(笑)。 ナダル でも、帰ってきたら「アンタの人生やから、やりたかったらやったらええ。ただずっとやるほど甘くないから、ちゃんと時間を決めてやってほしい」と。
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ナダルさんを裏で操る、西野創人
■「ナダルさんの人間性を世に広めるのが僕の指名」西野 ――そんな2人が出会って、コンビを組んだと。 西野 ナダルさんは、僕にとっての「イジれるお兄ちゃん」でした。NSC卒業してお互いコンビ解散して、組んでみよっかってなったんですけど、この人、その1週間後くらいに「俺、お笑い辞めるわ」って言いだしたんですよ。 ナダル (ため息)1カ月くらいちゃう? 西野 なんでも、先輩から「お前は、お笑い芸人になるスピリットがない」って言われたらしいんですよ。それも酔った勢いで、ちょっと言われただけで。メンタルどんだけ弱いねん。 ナダル 丸2年、自分の中で結果出せなくて、初めて絡んだ先輩に「お前、ほんとバイトばっかりしてるやん。芸人って、いっぱいしゃべって何十万と稼ぐ仕事ちゃうんか。辞めたほうがええよ」って言われたんですよ。図星すぎて、胸が痛くて……。俺、西野のことめっちゃ面白いと思ってて、そんな西野に迷惑かけてるんじゃないかと。それで電話した。「辞めようと思う」って。そしたら、めっちゃ反対されました。西野がうちに来て、5時間くらい話し合って。そこで「俺が英さん(※ナダル)売れさすから」って言われたんです。 西野 それ、売れて特番とか組まれて披露するなら、カッコイイエピソードやけどな。 ナダル でも、俺はめっちゃうれしかった。それがあるから、今があるんだから。 ――西野さんは、どんな気持ちだったんですか? 西野 僕は、とにかくナダルさんの人間性が面白いと思っていたんで、フタ開けたら案の定ヘンやったんで、これで辞めたらもったいないって。ナダルさんのお茶の間での評価は「いい声の人」かもしれませんが、この人の人間性を世に広げるのが今の僕の使命だと思っています。 ――ナダルさんの、ヘンなエピソードが聞きたいです……。 西野 基本的にこの人、先輩にめっちゃ失礼なんですよ。 ナダル 基本? 西野 先輩に「ご飯行こう」って。コンビで誘ってもらった時のことです。「どこ食べに行こか」って街を歩いていたんですよ。そしたら、僕らの横を同期の芸人が通った。「おお!」って挨拶して通り過ぎればいいものを、この人「今から飯行くけど、お前も来る?」って言いだしたんですよ。 ナダル 確かに、あれはアカンかったな。 西野 その先輩が器のおっきい人やったから、笑って「ええよ」で済ませてくれましたけど。でも、それでは終わらなかった。次に、後輩の3人組が通ったんです。 ――まさか……。 西野 今度こそ、何事もなくすれ違ってくれよと願っていたら「お前ら何してんの? 飯行く?」と。 ナダル もうやめてよ。 西野 さすがの先輩も「俺はええけど、ほかの先輩にやったら殺されんで」って。 ナダル その時の僕は「みんなで一緒にご飯食べたら楽しいだろな」っていう気持ちだけだったんですよね。だけど、それからは一切やってないですから、信じてください。なんなら、そういうのがダメだぞっていうのを後輩に伝えていくのが僕の役目かなくらいに思っています。 西野 後輩への説得力ゼロでしょ。8.6秒バズーカーにもめっちゃエラそうなんですよ。「お前ら、これからやぞ。ここからが踏ん張りどきやから」とか、誰が言うてんねん! ナダル 俺は心配なのよ、あの2人が。何も知らないまま売れちゃったから。 西野 8.6秒の2人も、「ナダルさん、ナダルさん」って、めっちゃイジってくるんですよ。それに対しては「後輩が俺をイジんな。それで面白くなるんか」とか言う。こんな人、イジるに決まってるじゃないですか。坊主でトックリ着て、変な声のおっさんなんだから。ナダルさんは、もともとはイジりたい側の人。くりぃむしちゅーの上田晋也さんに憧れてこの世界に入ってきたから。 ――本当は仕切りたい。 西野 それが、全部化学反応でおかしなことになってて。 ナダル 後輩だけの時は、僕めっちゃ仕切るんですよ。ただそこに先輩が入ってくると、僕のほころびを全部突いてきて、そこに後輩も乗っかってくるから、もうニッチもサッチも。 西野 ニッチもサッチもやなくて(笑)。ライブの時もそうやで。先輩がネタやってる時に袖のモニターで腕みながら見てて、なんか言ってるでしょ。 ――なんて? 西野 「はぁ~、成長してんな~」 ナダル そんな言い方してない。「目に見えて伸びてる」とは言った。 西野 その言い方のほうがアカンやろ(笑)。 ナダル すごい面白くて、「成長してんな」って思うのの何がアカンのですか? 西野 悪気はない。悪気はないのが本当に悪い。
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■プチブレークに、“あの人”が「待った!」 ――今では8.6秒バズーカーさんをしのぐ勢いで、「やっべぇぞ」がキテますが。 西野 ナダルさんは「『やっべぇぞ』の人だ!」って顔さされることが多くなったし、僕は僕でたまに「やっべぇくねぇ人だ」って言われたり。ただ一人だけ、このプチブレークに不満を漏らしている人がいるんですよ。 ――それは……? 西野 僕のおばあちゃんです。おばあちゃん、ものすごい僕のことかわいがってくれて、いつもカワイイカワイイ言うて。それで『オールザッツ漫才』(MBSテレビ)にも出ました。「この子は神の申し子」って言った(笑)。 ナダル 一度おばあちゃんが単独ライブに来た時に、僕を呼んで「ナダルさん、もうちょっと(西野)創人のセリフ増やしてもらっていい?」って言われましたよ。 西野 「創ちゃんのセリフ少なくて、おばあちゃん寂しい」(笑)。で、「おばあちゃん、ごめんな。でも、これはわざとなんやで。ナダルを目立たせるために、わざとそうしてんねんで」って言ったら、「そうなんか。おばあちゃん、吉本に電話するとこやったわ」って。 ――おばあちゃん面白すぎます(笑)。 ナダル うちの母親も、僕がドッキリにかかったりするの、よく思ってないんですよ。 西野 そういう時、おかんになんて言うんやっけ? ナダル 「ピエロやってます」って。そしたら母親は「ピエロやってたんや~」と。 西野 なんなん、その会話(笑)。 ――おばあちゃんのためにも、お母さんのためにも、これからガンガンいかないとダメですね。 西野 「やっべぇぞ」で、ようやくスタートラインに立てた感じですね。いつまでもダラダラしているわけにはいかないんで。これからどうするかですね。とにかく、ナダルさんの個性をどうアピールしていくか。ドッキリ、催眠術、密着、なんでもこいの人ですよ。 ナダル まぁ西野はまだまだ子どもやけど、こいつのわかってない部分を僕が補っていかないとな、と。コンビってそうやろ? 補い合いしやろ? 西野 “補い合いし”って、なんやねん(笑)。 ナダル ほんまこいつね、うちに来てご飯食べても、絶対ゴミ捨てないんですよ。 西野 ちっちゃいなぁ、なんやこの話。 ナダル あとお前な、飲み物飲むんなら最後まで飲んで、お願い。あれ、最後全部流しに捨てるん俺やから。あと、お前俺のうんこ臭いとか言うけど、絶対にお前のうんこも臭いはずやから。あと…… 西野 めちゃめちゃ言う割には、いつもワケわからない感じで終わる(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●コロチキ出演情報 『大阪よしもと漫才博覧会2』 日程 2015年8月6日(木)~ 7日(金) 時間 開場18:30/開演19:00 場所 ルミネ the よしもと チケット 前売2,500円/当日3,000円 <http://manzai-hakurankai.com/>

「大切なものを取り戻しにきた」今年のライブツアーは原点回帰! “古くて新しい”ジャングルポケットとは!?

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撮影=河野英喜
 斉藤慎二、おたけ(武山浩三)、太田博久のトリオ、ジャングルポケット。2014年には武山浩三がおたけへと改名、また斉藤がバラエティ番組出演ランキングトップ10入りするなど、勢いに乗っているお笑い芸人たちだ。そんな彼らが、8月2日より全国7カ所をめぐるライブツアー「ゲートイン」を開催。なにやら新たな試みや意気込みがあるという今回のツアー。いったい、どんな仕掛けを用意しているのだろうか……? ――2014年はおたけさんの改名があったり、斉藤さんのバラエティ出演が増えたりして、15年はジャングルポケットにとって転機になる年なんじゃないかと思います。上半期が過ぎて、いかがですか?
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リーダーの太田博久
太田 斉藤のテレビ出演ランキング(株式会社エム・データ調べ)が過去最高の6位になって。ありがたいことに『モニタリング』(TBS系)をはじめ、斉藤以外の仕事も入れていただいて、精力的にやらせてもらってます。今までになかった感じですね。斉藤は今までと変わらないところで頑張ってくれてて、僕とおたけと2人で営業に出たりとか。劇場でも2人の出番も増えました。 ――そんな中で「ゲートイン」が、いよいよ始まりますね。 斉藤 本当は、僕とおたけは今年のツアーをやりたくないと言っていたんですよ(笑)。 ――え、どういうことですか? 斉藤 テレビの仕事も増えてきて、ネタもなあなあになってきた部分もありまして……。ネタ番組出た時に、(M-1などの賞レースで)結果を残してる先輩たちがキチンとネタをやっている。でも、自分らはまだ評価されていないのに、そのなあなあになっているところが恥ずかしいっていうのもあって。 おたけ 結構疲れるっていうのもあるんですよね。全国各地に行きたいのはもちろんですけど、単独ライブは2時間もあって、ネタが結果的に薄くなってしまうことが多いんですよ。ライブはネタが8本でひとつの作品になるから、どうしても1本に対する気概に欠けるというか、ふわっとするときもあって。全国行くと各地で笑いの質が変わってくるんで、それに惑わされるのもあって。それだったら、ルミネのライブで月一回一本新ネタ出すとか、もっと違うやり方あるんじゃないかって斉藤と話していたんです。 太田 それを僕は知らなくて、一人でもやる気満々だったんですよ! でも、斉藤もおたけも、普段の雰囲気でそのことを言うのが気まずかったんでしょうね。突然ラジオ番組中に斉藤が「実は、おたけが今年ちょっとツアーはいいんじゃないかって……」と言いだして。「何言ってんだ! 今年頑張んないんでどうすんだ! なぁ斉藤!」って言ったら「実は、これ俺とおたけが話し合った結果なんだ……」と、そこで初めて聞かされるという大変な事件がありまして。
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いまやテレビで見ない日はないほどの売れっ子! 斉藤慎二
――太田さんのやる気を知っているからこそ、言いづらいところもあったんでしょうね。でも、結局はやることになりましたよね。 太田 前回までは、僕が稽古をやりたがりなんで、朝まで打ち合わせして稽古して……を繰り返してたら、斉藤の肌が荒れてしまったりとハードだったんですよ。だから今回は極力3人が集まらないように、要所を効率よく、ストレスのないエコな稽古をやっていくようにしようと。とはいえ、昨日斉藤に今年初のじんましんが出て、休ませないとってなってますけど(笑)。 斉藤 今年は全然、ネタに関しては太田に任せていて、楽ですね。楽をしちゃいけないんですけど(笑)。 おたけ ツアーは決まっちゃったんで、やらざるを得ない。ツアーやることはいいことだし、ネタやらないのはダメだと思うんで。まぁ、僕がネタを考えるわけじゃないですけど。 斉藤 おたけは、夏は花火とか海とかレジャーを楽しみたい人なんで、それがストレスにならなければいいんじゃないかと。おたけは、その計画が潰されるのを嫌がっているんですよ! ――先ほど、全国各地で笑いの質が違うとおっしゃってましたけど、例えばどんなときにそれを感じますか? 太田 大阪はお笑いを見に行く層が多いので変わらないけど、北海道や仙台に行ったときは営業に近いなと思いました。普段お笑いを見ない人たちに向けてやらなきゃいけないんですよ。如実に“斉藤面白ショー”を求められてるな、と感じることが多いですね。 斉藤 それに、やっぱり地方にいてなかなか東京に来れないファンを大事にしなきゃいけないなっていうのは、ずっと思っていて。東京に来るだけでもお金かかるから、学生なんて、どう頑張っても見ることができないじゃないですか。そんなときに、僕らを身近に感じてもらえるのが、このライブなんですよね。 ――地方によってネタを変えたり、違いを加味したりといったことはしますか? 太田 今回はそこ考えたりはしてないです。どんな人たちが来ても笑えるように、とは思っていますけど。 斉藤 賞レース向けにネタも考えていて。ルミネと全国ツアーのお客さんでは全然違いますけど、共通してウケるところは賞レースに使えるかなと思っているんですよ。だから、お金払って見に来てくれるお客さんに申し訳ない気持ちもあるんですけど、結果を出すためにうちらのそんな実験やワガママに付き合ってもらうといいますか。でも、賞レースで結果残したら、ファンの方への恩返しになるかな、と。 太田 だから、スベったとこも評価として受け止めますよ! それに、今までは「賞レースでこういうのいいよね」っていう、ある意味“テクニック”で笑いを作ってたこともあって。言ってしまえば“ブレてた”んですよ。オレたちっぽくないっていうか……。枠にとらわれすぎていたんじゃないかって気づいて。 斉藤 今回は、大切なものを取り戻しにきたんです! 型にはまっていた部分を取り除く作業ですよ。いうなれば、ジャングルポケットの原点回帰、初期衝動ですよ!
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今回のライブツアーでリズムネタに挑む、おたけ
――“古くて新しい”ジャングルポケットが見られるということですね。ほか、なにか新しい試みはありますか? おたけ 僕は、まだどんなネタか知らないんですけど……。実は、今回のツアーでピンのリズムネタをやるんですよ。 太田 本当は、ボケで「ピンでリズムネタをやります!」って言ったんですけど、それがネットニュースになったんで、やらざるを得なくなってしまって(笑)。 おたけ 芸歴9年目で初めてネタ帳買いましたもん。 太田 こんな真剣なおたけは、初めてですよ! 斉藤 本当は、芸人1年目で考えなきゃいけないんですけど。それがようやく30代になってできるようになりましたから(笑)。うれしいですよ! おたけ ネタ作りって難しいんですよ。ノリでやるよりもちゃんと作りたいと思って。僕例えば“あるあるネタ”が全然わからなくて……。あるあるを披露しても「それ全然ないよ」って言われることもしょっちゅうなんで、まずは世間のことをより勉強して、自分が面白いっていうよりも、世間が面白いってなんなんだろうってことを考えています。 太田 まさに、僕と斉藤がやっているのと真逆の作業で(笑)。 斉藤 リズムネタって、若手芸人に感化され始めてますからね。 ――おたけさんのリズムネタも、今回のツアーの見どころですね。ちなみに、ジャングルポケットが、いまライバルとして意識している芸人さんはいますか? 太田 以前は「ライバルはパンサー」って言ってたけど、最近は思ってなくて。誰だろう。 斉藤 パンサーは一応、抜いたのかな? 太田 うーん、抜いたのかな……? 同世代、あんまりいないんですよ。 おたけ 僕は、完全にダチョウ倶楽部さん。一番近いんじゃないかなって。 斉藤 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でブラックマヨネーズの小杉さんや東野幸治さんが「ダチョウ倶楽部」っぽいねって言ってくれてたんで、それに感化されたんじゃないかなって。僕は初めて聞いたんですけど……。前からそう思ってたの? おたけ ダチョウ倶楽部さん的なもの作りたいなって。ここ2カ月くらい思っています。 斉藤 完全に『アメトーーク!』の後に感化されてるじゃねーか!
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(取材・文=高橋ダイスケ) ■ジャングルポケット全国ツアー2015「ゲートイン」 料金:前売3,000円 当日3,500円 ●東京 日時:2015年8月2日(日)18:30開場 19:00開演 会場:東京・ルミネtheよしもと ●沖縄 日時:2015年8月30日(日)19:15開場 19:30開演 会場:沖縄・よしもと沖縄花月 ●広島 日時:2015年9月6日(日)16:30開場 17:00開演 会場:広島・よしもと紙屋町劇場 ●福岡 日時:2015年9月27日(日)16:30開場 17:00開演 会場:福岡・イムズホール ●静岡 日時:2015年10月2日(金)18:30開場 19:00開演 会場:静岡・沼津ラクーンよしもと劇場 ●大阪 日時:2015年10月16日(金)18:30開場 19:00開演 会場:大阪・大丸心斎橋劇場 ●愛知 日時:2015年10月30日(金)18:30開場 19:00開演 会場:愛知・今池ガスホール

踊る授業シリーズは壮大な前フリ……異色のダンスチーム「エグスプロージョン」のブレークはダンス界の夜明けぜよ!?

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撮影=尾藤能暢
 あの伝説のダンス番組『スーパーチャンプル』(中京テレビ)で爆発的な人気を誇り、以後ダンサーとしてはもちろん、振り付け、ショー演出、イベントMC、役者、ダンス講師など多岐にわたり活躍するダンスユニット「エグスプロージョン」。……と、ここまでは通常のダンサーとして珍しいものではないが、なぜかこの2人、ただいま絶賛「芸人枠」で大ブレーク中。歴史上の出来事を、キレのあるダンスとシュールなフレーズでおもしろ動画に仕上げた「踊る授業シリーズ」が中高生の間で人気爆発。おじさんおばさんが今一番知っておくべき芸人……いやダンサー、エグスプロージョンの正体を探る! ――「本能寺の変」をはじめとした授業シリーズのYouTube再生回数が、とんでもないことになっていると聞きましたが……。 エグスプロージョンまちゃあき(以下、まちゃあき) 「本能寺の変」だけで約1,500万回ですね。いやいや、僕らもワケわからないです。 ――しかし、あの『スーパーチャンプル』で初代殿堂入りを果たしたエグスプロージョンが、まさか学ランで「変じゃな~い」しているとは!! まちゃあき 覚えてます? 僕たち出てたの。 ――それがですね……「ひとりでできるもん」さん(元メンバー)のインパクトがすごくて……。 まちゃあき 出た。出た出た。もうあいつとのツアーをやめよう!(笑) エグスプロージョンおばら(以下、おばら) 昔の嫉妬を持ち込むな!(笑) まちゃあき でも、あの頃と基本的には変わってないんですよ。見てる人を楽しませたいという部分は変わらない。 おばら 「踊る授業シリーズ」に関していえば、手法は変わっているかもしれない。我々の本気のバキバキのダンス! っていうわけではないのでね。あれは、いかに歴史を面白く、わかりやすく、ダンスはマネしやすくっていう趣旨なので。 まちゃあき (「踊る授業シリーズ」は)発展系なんだと思います。僕らにはいろいろな見せ方があって、ツアーでは直球で真面目なダンスもやっています。でも、たとえば『チャンプル』みたいな番組で授業シリーズをやるのは、勇気が要るんですよ。そこに、YouTubeっていうすごいツールがあって、やりたいことを全部できるじゃん! って思ったんですよ。 おばら ユルくできるし、そこでどんなハズれ方したってダメージはない。だから思い付いたこと全部やっちゃおう、くらいの勢いなんですよ。 ――YouTubeは実験の場なんですね。 まちゃあき あともうひとつ大事にしているのは「ローカロリー」ってところですね。 おばら ロケーションもカッチリ決めて、振り付けもパッキパキに合わせてっていうと、ひとつの動画を上げるのにすごく時間がかかってしまう。YouTubeは、継続することに意味があると思うので。 ――実際に動画を作るのに、どれくらいの時間がかかるんですか? まちゃあき そうですね。ローカロリーと言いつつも、いまや授業シリーズは時間のかかるものになってしまってますね。ちなみに新作の「関ヶ原の戦い」は、3週間かかりました。 ――一番時間がかかるのは、どの部分ですか? おばら ダントツで作詞ですね。「授業」とうたっているからには、歴史を伝えなきゃいけないし。わかりやすく今風に簡潔で、なおかつ頭に残るようなフレーズっていうと、かなりハードルも上がるんですよ。 ――それ、ダンサーさんのお仕事じゃないですもんね。 まちゃあき そうなんですよね(笑)。でも、大きく「ショー」と考えたら、作詞も含めて、なので。僕たちはショーの演出もしますから。ほかのダンサーさんとはベクトルは違うかもしれませんが、それが僕たちのやり方なのかもしれないです。
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■みんな一度は「へんなおじさん」を踊ってる ――作詞に3週間で、ダンスの部分は……。 まちゃあき 1時間(笑)。 おばら 撮影直前にパパッと作る。 まちゃあき だから、曲ができると「俺たちの仕事終わったな」ってなる(笑)。 ――時間をかけて作ったものをササッと出すのは、とてもカッコイイと思います。 まちゃあき ヘンな話、ひとつの遊びを見つけて、その遊びのルールを考えてるときが一番面白いんですよね。それをクラスで発表してウケたら、次の遊びを考える、みたいな。 ――「本能寺の変」も、そういうノリで出来上がったんですか? まちゃあき そうですね。ただ、あれには「歴史の魅力を伝えたい」という意外と真面目な思いがありまして(笑)。苦手じゃないですか、特に女性の方は。僕はとても歴史が好きなので、熱く語りだすと、まぁ皆さん困りだすんですよ。 ――たまに、飲み屋とかにいますね。 まちゃあき いや、いやいやいや(笑)。 おばら まさにそれですね(笑)。 まちゃあき でもね、日本史をたとえばジャニーズのタレントさんに例えて話し出すと、急に食いつきよくなるんですよ。そういうフィルターを僕らで作ろうと思って、「本能寺の変」なら「シバかれる話」とか、「ハゲ」とか。“人間”的な部分が見えてきたら面白いんじゃないかと。 おばら それまで「織田信長」「明智光秀」っていう歴史上の人名でしかなかったものが、「信長っておっさん」と「光秀っておっさん」という画に切り替わる。そこが大事なのかなって思いますね。 ――この動画を見てたくさんの人たちが、“踊ってみた”動画を上げていますよね。 おばら まさにそういうこと! みたいな。何よりマネしてほしくて、簡単な振り付けにしているんですもん。特に日本人には多いと思うんですけど、踊らない理由が「踊れないから」って言うじゃないですか。それはすごくもったいないと思うんです。体を動かすのは楽しいですし。そもそも踊りに、“合ってる”“間違ってる”なんてないんですよ。 まちゃあき みんなの動画を見ると、本当泣きそうになります(笑)。 おばら 振り付けがない部分も一生懸命ノリで体動かしているのとか見るとね、すごいうれしい。テキトーでいいから、わからなくてもいいから、笑顔でワチャワチャ動いているっていうのがダンスの素晴らしいところだと思うので。 まちゃあき 本当は踊れない人なんていないんですよ。だって、誰もが一回は「変なおじさん」やったことあるじゃないですか。 ――ありますね……。 まちゃあき あれダンスですよ。自由でいいんですよ。 ――じゃあお2人は、“踊ってみた”動画は結構見ているんですね。 おばら かなりの確率で見てます! まちゃあき いまや、オレらエゴサーチの鬼ですから(笑)。面白いと言ってくださる方もたくさんいるんですが、最近はアンチも増えてきまして、それはそれでいいぞと。リズムネタに対するアンチの流れというのもなんとなくわかるし、「歴史的に見て、これは間違ってる」と言われるのも予想はしてました。 ――芸人さんたちの間には今、「リズムネタはあぶない」というスローガンが出回っていますが。 まちゃあき 藤崎マーケットのトキさんが、リズムネタ撲滅運動を展開されております。僕らもトキさんの講座を受けたんですけど。 おばら 「ネタの名で呼ばれ始めたら終わり」とか。僕らだったら「本能寺の変の人だ!」ですかね。
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■『チャンプル』後の浮き沈み期を経て…… ――ブレークには、一方で「一発屋」と呼ばれかねない怖さもあると思いますが、そのことに関してはどう思われますか? まちゃあき 僕らの根本はやっぱりダンサーなので、たとえ「本能寺の変」がドカンといってその後急にしぼんだとしても、ほかのアプローチがあるんですよ。授業シリーズは引き出しの中のひとつにすぎませんから。だから、逆に一発屋であったらいいなと思います。 おばら そうじゃないと、それ系のネタにばっかり引っ張られちゃいますからね。僕らはライブツアーを主として活動していて、そもそもYouTubeをやり始めたのもツアーの集客につなげたいからだったんですよ。「本能寺の変」は、その役割を十分に果たしてくれたと思います。 まちゃあき 芸人さんなら「あのネタを超えるものを作らないと」っていうプレッシャーがあるのかもしれません。僕らはありがたいことに、『チャンプル』時代にその経験をさせてもらったんですよ。代表的なネタがあって、それをどうしても超えられない。あのときは本当に病んだよな。 おばら どんなもの作っても、ダメって思っちゃう。あのネタは超えられないって。 まちゃあき 今こうして取り上げてもらえるのは、僕らにとっては「ふた山目」なんです。かつていい時期があって、落ちて、そして今。その浮き沈みがあったから、意外とどっしりいられるんです。「絶対消えるだろ」って言われても「そうでしょうね」って。 おばら 実際、消えてましたし(笑)。 ――すみません、先ほどから完全に「芸人」さんとしてお話しされていますが(笑)、そもそもダンサーでよしもと所属は珍しいのではないかと。 まちゃあき 自分たちは、芸能界という“オーバーグラウンド”で勝負できるタレントになりたいという気持ちはずっとありました。『チャンプル』時代には、ありがたいことにたくさんのイベントに出させてもらって、芸人さんやタレントさんたちと共演する機会もたくさんあったのですが、どうしてもダンサーは一段低く扱われてしまう。それがちょっと悔しかったんですよね。面白いダンサーだってたくさんいるのに、言葉悪いですけど、踊ってればいいじゃん、踊ったらポイ捨て、みたいな。それを変えるには、自分らのエンタテインメントの幅をもっと広げないとと思いました。しゃべりはもちろん、面白さも演技力も。ちょうどそんな時期に事務所がなくなってしまって、そこで以前からつながりがあったよしもとさんに声をかけてもらったんです。 おばら 学びたかったもののすべてが、よしもとにあったんですよ。ダンス関係、音楽関係のだけの事務所だったら絶対にできないことをやらせてもらえる。芸人さんと一緒にトークライブを作るとか。ダンサーとして固まっていた脳みそをほぐしてくれた気がします。 ――芸人さんと交流することも増えましたか? まちゃあき かなり増えました。でも、最初は難しかったですね。僕らはよしもと入ってすごくうれしいけど、芸人さんの中にはよく思ってない人もいるんじゃないかって怖さもありましたし。 おばら 一緒にライブをやらせてもらったりしながら、段々と僕らのことをわかってもらえるようになったと思います。「関ヶ原の戦い」の最後の「ちょうどええ」も2丁拳銃さんに直接お願いしました。使ってもいいでしょうかと。 まちゃあき 笑いながら「ええに決まっとるやないか」って言ってくれましたけど。今じゃ「よしもとを一番うまく使ってるダンサー」って言われております(笑)。 ――中学校の授業にダンスが取り入れられたり、子どもたちの将来の夢で「ダンサー」と答える子が増えたり、日本のダンス文化もだいぶ変化してきたのではないでしょうか。 まちゃあき エグザイル兄さんをはじめとした偉大な諸先輩方が土壌を作ってくださって、その上に僕ら若手は……若手でもないんですけど、踊らせてもらってるだけなんですよね。だから、僕らは僕らなりのフィルターを通して、フィル、フィルターで合ってる?(小声) おばら 急に声小っちゃくなったな。大丈夫だよフィルターだよ。 まちゃあき 相方~ ――フィルターを通して(笑) まちゃあき 僕らのフィルターを通して、ダンスの面白さを伝えていきたいです。僕らみたいなダンスが好きだっていう子たちもいると思うから。 おばら 表現が正しいかわかりませんが、おバカなダンサーが増えたらいいなとは思います。もっともっといろいろな人がいていいんですよ。日本には素晴らしいダンサーがたくさんいるのに、就職を理由に大半の人がやめてしまう。もったいないなと思います。 ■目標は嵐!? ――ダンサーとして生き残るために必要な資質とは、どんなものだと思いますか? まちゃあき 技術を突き詰めるのもひとつですし、振り付けの妙を理解する生き方もあります。ひとりでできるもんのようにショーダンサーとして引っ張りだこの人もいる。それこそ、知名度も技術もそこそこだけど、ただただマネジメントがうまくて売れてる人も中にはいます。逆にうまいのに仕事ない人も。 おばら どの業界も同じなんじゃないでしょうか。うまいとかヘタだとかだけじゃない何か。 まちゃあき 何がしたいか、何を伝えたいかがブレないことが大事なんだと思う。 ――エグスプロージョンは、これからどんな方向へ向かっていくのでしょうか? まちゃあき 僕たちは毎年ライブツアーをやっているんですけど、ダンサーの可能性として「こんなデカいところでもライブできるんだぞ」っていうことに挑戦したいです。デカいこと言えば、国立競技場とか。生意気なんですけど……嵐さんのように。 ――おお!! おばら あと、ダンスの面白さを伝えることが僕らの義務で使命だと思っているので、ダンス番組はやりたいですね。 まちゃあき 僕らがよしもとで学ばせてもらったエンタテインメントの要素を生かせるような番組ができたら……夢ですね。 おばら 志半ばでダンスをやめてしまう大きな要因って、将来の具体的な絵が見えないこともあると思うんですよ。プロのダンサーってどんな人たち? っていう。だからこそ僕らは「エグスプロージョンみたいになりたい」って言われるような位置にいかなきゃいけない。やっぱり「スター」にならなきゃダメなんですよ。 まちゃあき スターはシンボルですから。日本のサッカーを中田英寿が変え、日本の野球を野茂英雄が変えてくれたように。 ――ダンサー界の野茂英雄に! おばら 野茂になって、嵐のようなステージを国立競技場でって、もうわけがわからない……。 (取材・文=西澤千央) ●エグスプロージョン「踊る授業シリーズ」 iTunes・レコチョクで配信中 レコチョク <http://recochoku.com/y0/egsprosion_sp/> iTunes <https://itunes.apple.com/jp/album/yongru-shou-yeshirizu-ep/id1015827240> ●EDISON presents エグスプロージョン×ひとりでできるもん LIVE TOUR 2015 カメレオン 8月9日(日) あるあるYY劇場 8月14日(金) 名古屋Electric Lady Land 8月15日(土) 心斎橋VARON 8月21日(金) 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE ●オフィシャルHP <http://egu-dekirumon.jp/>

『Mr.タスク』で元天才子役がセイウチ人間と対決? 性格俳優としての大いなる変身ぶり、どーですか!

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かつての人気子役も、今や27歳に。全体的にぽっちゃりした感がありますが、目元には少年時代の面影がしっかり残っています。
 この顔、どっか見覚えあるなぁ。元名子役? あっ、『ホーム・アローン』(90)に主演していた少年だ! 違います、それはマコーレ・カルキンくん。このちょっとぽっちゃりしたヒゲ面の青年は、かつて『シックス・センス』(99)や『A.I.』(01)などの大ヒット作で、名演技の数々を披露したハーレイ・ジョエル・オスメントくん。『ペイフォワード 可能の王国』(00)なんて号泣したよなぁ。18歳のときに飲酒運転で警察騒ぎになったこともあったオスメントくんだけど、本人いわく「若気の至りだった」と反省しきり。その後はハリウッドの人気セレブながら、マーティン・スコセッシらが学んだニューヨーク大学芸術学部でイチから演技について勉強。最近ではエッチ系コメディ『SEXエド チェリー先生の白熱性教育』で童顔を活かした童貞教師役を熱演し、米国でカルト的人気の高いケヴィン・スミス監督の笑撃ホラー『Mr.タスク』ではジャスティン・ロングやジョニー・デップらと共演。性格俳優として再び脚光を集めているのだ。 ──スピルバーグ監督のSF大作『A.I.』では永遠に成長しない少年型ロボットを演じていましたが、今やすっかり大きくなって……! 11年ぶりの来日を熱烈歓迎いたします!! オスメント サンキュー、サンキュー。日本に帰ってくることができて、とてもハッピーです。 ──日本でこれから公開される『Mr.タスク』は世にも恐ろしい“セイウチ人間”が登場する奇妙奇天烈なホラーコメディ。先日公開された『SEXエド』では子どもたちに正しいSEX方法を教える性教育の先生に。どちらも子役時代には考えられなかったユニークなキャラクターですね。作品選びはどのようにして決めているんですか? オスメント まずは脚本を読むことだね。エージェントとマネージャー、それと僕とでそれぞれ脚本を読んでから決めるようにしているんだ。作品選びのポイントは、僕がこれまでに演じたことがないようなキャラクターであること、タイプが異なる作品であるっていう点だね。そういう意味じゃ、『Mr.タスク』と『SEXエド』は僕が演じているキャラクターも作品のタイプもまるで違う好例だと思うよ。『Mr.タスク』はポッドキャストのMCを親友(ジャスティン・ロング)と一緒にやっているオタクチックな若者、『SEXエド』は生徒たちに熱心に向き合うあまり、空振りばっかりしているダメ教師。どちらも演じていて楽しかった。特に『Mr.タスク』の脚本は今までに読んだことのない斬新な内容だったから興奮したなぁ。ジャスティン・ロングやジョニー・デップらの出演も決まっていて、「これは出演するしかないでしょ!」と即決だったよ(笑)。 ──『Mr.タスク』のケヴィン・スミス監督って、コンビニに来店する珍客たちを描いた『クラークス』(94)や自殺願望を持つ堕天使たちとイエス・キリストの末裔である女性堕胎医を主人公にした『ドグマ』(99)など、おかしな映画ばっかり撮っていますよね。 オスメント そうそう(笑)。ケヴィン監督とは『Mr.タスク』で初めて一緒に仕事をしたんだけど、彼とは昔から知り合いのような気がしていたんだ。彼の映画は監督デビュー作の『クラークス』からずっと観ていたし、彼がMCをやっているポッドキャストも昔から聴いていたしね。今回の『Mr.タスク』はケヴィンのファンからの情報がもとになって作られた映画。「セイウチのかっこうで暮らしてくれる同居人募集」という貼り紙をファンが見つけ、その話をケヴィンが面白がって映画化したものなんだ。ポッドキャストでその経緯も聴いていたよ。まさか自分がその映画に出演するとはね(笑)。ジャスティン・ロングとも初共演だったけど、彼はとても気さくだった。ジョニー・デップのアドリブを交えた演技は、目の前で観ていて鳥肌ものだったよ。すごく楽しい撮影現場だった。それで、ケヴィン監督の新作『Yoga Hosers(原題)』にも同じメンバーでまた出演しているんだ。 ──子役時代は「天才少年!」と絶賛されたけど、役づくりの方法や作品との接し方など変わった部分はある? オスメント 演技のキャリアを始めて間もない頃に、素晴しい監督や名優たちと一緒に仕事ができたことは幸運だったと思っているし、そのときの体験は僕にとって大きな財産になっていると思うよ。当時から脚本をまず何度もしっかり読み込むこと、自分なりに役づくりをきちんとした上で、それからリハーサルに取り組むこと。これは子役時代から今も変わらず続けている俳優としての基本的なことだね。この部分に関しては変わらないよ。でも、僕も年齢を重ね、いろんなことを経験したことで、撮影現場での過ごし方は変わってきたんじゃないかな。自分から役についてのアイデアを出すこともあるし、共演者の芝居に合わせて即興的に演技をすることもある。キャリアを積むことで、昔よりも演技は改良されてきていると思うな。
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『Mr.タスク』より。ポッドキャストのMCとして毎日を愉快に過ごすテディ。まさか“恐怖のセイウチ人間”に遭遇するとは夢にも思っていなかった。
──スクリーンから一時的に離れていた頃には、飲酒運転騒ぎもありましたね。でも、その後に入学したニューヨーク大学では充実した時間を過ごしたとのこと。 オスメント 僕はそれまでずっとLAで暮らしていたんだけど、大学進学をきっかけにNYでひとり暮らしを始め、僕にとってそれはとても刺激的な体験だったんだ。NYではいろんなタイプの映画が上映されているし、ブロードウェイでもたくさんの舞台が上演されている。芝居をやっている人間にとっては、最高の環境だったよ。それと僕は子役時代ずっと大人たちと一緒に仕事をしてたわけだけど、大学に入って初めて同年代の仲間たちに出会えたんだ。大学には米国人だけじゃなくて、いろんな国からいろんな学生たちが演技を学ぶために集まっていたんだ。様々なスタイルの演技に触れることができたよ。授業で実験演劇なんてのもやったりしたんだ。同級生の中には、大学卒業後にシルクドソレイユに入ったヤツもいる。舞台、テレビ、映画……みんな、それぞれ違う分野に進んで、頑張っているみたいだね。 ──在学中に自主映画を制作したりはしなかった? オスメント ニューヨーク大学では僕が専攻したのは演劇だったこともあって、在学中はずっと芝居ばかりやっていたんだ。自主映画じゃないけど、自分で台本を書いて、自分で演出した舞台を上演したりしたよ。えっ、どんな内容かだって? すっごいシュールな話で、おかしなキャラクターたちが登場する舞台だよ(笑)。実は今も脚本を書いていて、在学時代に作ったキャラクターを使えないかと思っているところなんだ。できれば、この脚本は自分の手で映画にしたいなと考えているよ。 ■子どもの頃に考えていた以上に、現実世界はヒドいものだよ(笑) ──『Mr.タスク』に話題を戻しましょうか。本作の主人公ウォレス(ジャスティン・ロング)は他人の不幸をポッドキャストのネタにして笑っている。そんな彼が「セイウチのかっこうで暮らしてくれる同居人募集」という奇妙な貼り紙を見つけたことから事件に巻き込まれ、それまでの自分の人生を見つけ直すことに。単なるコメディでもなく、かといって純然たるホラーでもない。かなり変わった作品ですよね。 オスメント 僕もそう思うな。自分を見つめ直すという行為は、常に心掛けておきたいことだよね(笑)。ケヴィン監督の作品は今回だけに限らず、いつも複雑で奥深いんだ。コメディタッチではあるけど、現代人にある種のモラル的なものを問い掛けている作品が多いんじゃないかな。今の時代ってインターネット上でネガティブな発言をすれば、有名になりやすい風潮があるよね。でも、それってどうなんだろう。ネット文化に対するケヴィン監督なりの考えを、ケヴィン監督流に映画化したものじゃないかな。僕はインターネットに関わらないようにしていた時期があったけど、最近になってツイッターを始めたんだ。でも、なるべくネット上ではポジティブなものを発信するように努めているよ。 ──当サイトの編集者に聞かせてやりたい言葉だなぁ。あっ、今のはひとり言です(笑)。『Mr.タスク』を観て感じたことですが、男っていくつになっても子どもっぽさを引きずりがちですよね。でも、この作品は“少年性の喪失”がひとつのテーマじゃないかと個人的に解釈しています。ジャスティン・ロング演じる主人公ウォレスは、以前はクマのプーさんを読んで涙を浮かべるような繊細な若者だったのに、ポッドキャストという新しいメディアで有名になるに従って、ナイーブさを棄てて、人気とお金を手に入れていく。 オスメント 確かにそうかもしれない。大人へと成熟していくことの葛藤が『Mr.タスク』のテーマなのかもしれないね。ウォレスは繊細な心を棄てて、よりタフでクールな大人になろうとする。でも、同時にそれまで付き合ってきたガールフレンドのアリー(ジェネシス・ロドリゲス)に対してひどい扱いをするようになる。そんなときに、僕が演じる親友のテディが彼女を寝盗ってしまう。これって、イノセントさの消失そのものだよね。ウォレスの留守中にテディとアリーは付き合い始めるわけだけど、ウォレス拉致監禁事件が起きてしまう。テディとアリーは罪悪感から、ウォレスを探すことに……。ここまで複雑な内面を抱えたキャラクターは、子役時代には経験したことがなかったよ(笑)。 ──最近の日本では「ずっと子どもでいたほうが楽」と、実家で暮らし続け、親離れしない若者が増えています。大人になるということを、元名子役はどのように受け止めています? オスメント 日本で実家暮らしを続ける若者が多いってニュースは、僕も耳にしたことがあるよ。米国も似たような傾向なんだ。やっぱり経済状態がよくないと、実家を出て独立するのは難しいよね。それに、大人になるといろんなことに自分自身で向き合わなくちゃいけないし、責任も生じるようになる。独立するのは決心がいることだと思うよ。僕の場合はやっぱり実家を出て、大学に通うためにひとり暮らしを始めたことが、とても大きな転機だった。親とはすごく仲がよかったけど、ひとり暮らしにはずっと憧れていたし、NYでの生活はとてもいい刺激を僕に与えてくれた。『Mr.タスク』の場合はウォレスは経済的には自立しているけれど、やっていることは思春期の男の子がやっている悪戯ごっこの延長みたいなもの。今の時代はインターネットが普及しているので、自分の趣味の世界を広げて、その世界の中で暮らそうと思えば暮らせるわけだよね。子どもっぽいことを大人になっても続けることの善し悪しを、ケヴィン監督は映画の中で回答はしてはいないけど、いろいろと考えさせる作品になっていると思うよ。
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「子役時代にいろんな人たちと仕事ができたことは僕の財産」と語るオスメントくん。丁寧な受け答えで、好印象でした。
──最後の質問です。ちょっと恥ずかしいんですが、今でも『ペイフォワード』を見直すと泣けてくるんです。あなたが演じた少年は「世界はクソだ!」と叫びますよね。27歳になったあなたの目には、この世界はどんな風に映っているんでしょうか? オスメント 僕の出演した作品を何度も観てくれて、うれしいよ。確かにあの作品で僕は「世界はクソだ」と言っていたね(笑)。まぁ、あの少年は母親がアルコール依存症で、父親が無職でDV人間という悲惨な家庭で育ったこともあって、世界の嫌な部分を見て、そう叫ばずにはいられなかったんだ。でも、世界はもっと多様で、複雑で、「クソ」というひと言では簡単に言い表せないものだと今の僕は思っているよ。それに『ペイフォワード』はどんなに悲惨な状況にあっても、素晴しいことを考えることは可能だってことを示した作品なんじゃないかな。子どもの頃は親が守ってくれ、嫌なものが目に触れないように遮ってくれていたわけだけど、独立して家を出ると、否応なく嫌なものに出くわすことになる。子どもの頃に感じていた以上に、「現実の世界はもっとクソだ」と思うことは多いはずだよ。でも、世界のすべてがサイアクってわけじゃない。想像以上にヒドい出来事はたくさんあるけど、それを乗り越えて、その先にある楽しいこと、面白いことを自分の目で見つけることが大事なんじゃないかな。 ──なるほどー。それが大人になるってことなんですね。 オスメント うん、できればそうありたいよね。今日は楽しいインタビューだったよ。また取材してもらうことを心待ちにしているよ! (取材・文=長野辰次/インタビュー撮影=後藤秀二) ●ハーレイ・ジョエル・オスメント 1988年米国カリフォルニア州生まれ。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)のガンプJr.役で映画デビュー。M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(99)、スティーブン・スピルバーグ監督の『A.I.』(01)でアカデミー賞助演男優賞に2度ノミネート。舞台俳優だった父親の指導もあり、天才子役として絶大な人気を博した。『ペイフォワード 可能の王国』(00)ではケヴィン・スペイシー、ヘレン・ハントら実力派俳優たちと共演。2015年6月、『Mr.タスク』のプロモーションのため、『ウォルター少年と、夏の休日』(03)の公開以来となる11年ぶりの来日を果たした。コメディ主演作『SEXエド チェリー先生の白熱性教育』(14)は「カリコレ2015/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」で上映。ケヴィン・スミス監督作には『Mr.タスク』に続いて、『Yoga Hosers(原題)』でもジャスティン・ロング、ジョニー・デップ、ジョニー・デップの愛娘リリー=ローズ・メロディ・デップらと共演。1990年代のカナダに実在したファシスト、エイドリアン・アルカンを演じている。性格俳優として、これからますます磨きがかかりそうだ。
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『Mr.タスク』 監督・脚本/ケヴィン・スミス 出演/ジャスティン・ロング、マイケル・パークス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジェネシス・ロドリゲス 配給/武蔵野エンタテイメント PG12 7月18日(土)より新宿シネマカリテ、渋谷シネクイント(レイト)ほかにて公開 (C)2014 Big Oosik, LLC, and SmodCo Inc. All Rights Resereved.

「まさか、自分が園監督の映画に出演するとは……」トリンドル玲奈が語る女優業、プライベート

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撮影=河野英喜
 『新宿スワン』『ラブ&ピース』と監督作が次々と公開され、いよいよ『リアル鬼ごっこ』が公開される。今年は“園子温イヤー”と言っても過言ではないほどだ。そもそも『リアル鬼ごっこ』といえば、2008年に初めて映画化されたのを皮切りに、5作目まで作られた定番のシリーズ。この人気タイトルを、園子温が完全なる我流で作り直してしまったのが、このたび公開される『リアル鬼ごっこ』なのである。原作や、これまでの劇場版とは別物と思ってもらって問題ない。  原作では「全国の佐藤さん」が鬼に追いかけられ殺されるが、園監督版『リアル鬼ごっこ』は、「全国のJK=女子高生」が正体不明の何者かに襲われ続ける。女性しかいない世界で、鬼から襲われ、逃げ、時に勇敢に戦うのがミツコ、ケイコ、いづみの3人の女子高生。作中で終始走り続けるミツコを演じたのが、園組初参加のトリンドル玲奈。女優としての活動の場が増えている彼女に、園監督の現場の様子や女優業への思い、趣味である歌舞伎鑑賞についてなど、率直な気持ちを語ってもらった。 ――まさか、トリンドル玲奈さんが園子温監督の映画に主演するとは……。 トリンドル玲奈(以下、トリンドル) やっぱり日本を代表するすごい監督なので、私も驚きました。満島ひかりさんがすごく好きだったこともあって、園監督の『愛のむきだし』を見ていたんです。そのときは、まさか自分が園監督の映画に出演するとは思ってもいなかったですけど、「いつか出たいな」っていう思いは心のどこかにあった気がしますね。 ――トリンドルさん演じるミツコは、正体不明の鬼から逃げるため、ずっとおびえながら走り続けていますね。 トリンドル 撮影前から、とにかく走るシーンが多いということは聞いていました。走る場所も、平坦な場所ばかりじゃなく山道もあるって。私はあまり運動が得意なほうではないし、アクション監督さんから「ケガをしないためにも、ちゃんとトレーニングをしたほうがいい」とアドバイスがあり、撮影が始まる1カ月ぐらい前から、走ったり、体幹を鍛えるようなトレーニングを教えていただいたりと、体力作りをしていました。トレーニングを始める前は全然走れなかったので、そのときに比べたら成長できたなって思います。
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(c)2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
――ミツコの内面は、役作りが難しそうですよね。 トリンドル こういうふうに演じようとか考えなかったというか、とにかく想像がつかなくて(笑)。でも現場でミツコの衣装を着て、ミツコの顔で入ると、現場の雰囲気も手伝ってスッと役に引き込まれていきましたね。ミツコについては、園監督からの指示もあまりなかったんです。現場に入ってスタートがかかる直前に、「今はこういう状況だから」と説明してくださることが多かったですね。そもそも想像ができない作品だし、園監督ならではの世界観なので、直前に一言二言わかりやすい言葉で言ってくださるというのは、すごくありがたいなって思いました。 ――画面のインパクトもすごいんですが、特徴的なセリフが多い作品だなと感じました。 トリンドル 「運命を変えるためには、自分が普段絶対やらないことを、自分が気づく前にやること」というセリフがあるんですが、私はそれが一番印象的ですね。それって、どういうことなんだろうって。私はどちらかというと、運命は自分で決められないものだと思っているんです。自分で決められないから、運命って言うんだろうなって。“普段絶対やらないことを、自分が気づく前にやってみよう”って、何度か実践したんですけど、そう考えている時点で気づいちゃってるんですよね(笑)。もう何年か自分の中で模索してみて、答えが出なかったら園監督に聞こうって思っています。 ――トリンドルさんは、運命を感じたことってありますか? トリンドル 私は本当にいろんなことに運命を感じますね。このお仕事をいただいて、今こうやってインタビューしていただいていることもそう。全部、運命なんだろうなって思います。もちろん、自分が「こういうお仕事をしたい」と思っていたから今があるけど、自分だけでは絶対にできなかったと思うので。人と出会ったり友達になったりすることは、全部運命なんだろうなって思っています。 ――プライベートでは歌舞伎がお好きだそうで、意外な趣味というか。Instagramにも歌舞伎へ行ったときの写真をアップされてましたね。 トリンドル 歌舞伎のような芸能でも、食べ物でも、日本の文化って知れば知るほど好きになるし、興味が出るんですよね。福岡に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんの家に行くと、いつも朝から和食を作ってくれて、それがすごく好きだったんです。でも食以外に和のものに触れることってあまりなかったんですが、去年お母さんのお友達が初めて歌舞伎に誘ってくれて。行ってみたら、何もかもが素敵だなって思ったんです。目に入ってくるもの、聞こえてくるもの、全部に感動しちゃいました。
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――初めての歌舞伎鑑賞、難しくなかったですか? トリンドル いえ、難しかったです。学校では日本史じゃなく世界史を取っていたので、歴史にも詳しくなかったですし。内容は難しいし、何を言っているかわからないし。でも、誘ってくれた方の説明がよかったんですよ。確かに難しい演目もあるんですけど、ワイドショーに出てくるような俗な内容のものもあったりして。今でもありそうな人間関係の話だったりするんですよ。そういう人間くさいところが意外と多くて。そういうお話も歌舞伎になると、お上品に見える。そういうところにすごく惹かれました。今はもう、ひとりで歌舞伎を見に行くこともあるんですよ。 ――好きな歌舞伎役者さんはいらっしゃいますか? トリンドル 尾上菊之助さんなど、女形さんが好きですね。あの上品さに憧れます。 ――ちなみに最近の歌舞伎界って、どう思われますか? トリンドル 市川海老蔵さんのように、歌舞伎以外の舞台など新しいことに挑戦されている方がすごく多いですよね。自主公演をされていたり、全国を回ったり。きっと、もっともっとたくさんの方に見ていただけるようにって、役者さんたちもいろいろ挑戦なさってるんだろうなってすごく感じます。 ――ドラマや映画に出演される歌舞伎役者さんは多いですから、これから共演する機会が増えるかも? トリンドル 最近、NHK BSプレミアムの『ある日、アヒルバス』というドラマで片岡愛之助さんとご一緒しました。私、愛之助さんの歌舞伎を歌舞伎座で見たこともあるんですけど、今回のドラマでは全然違う雰囲気で演じられていて……びっくりしましたね。近くで見られてうれしかったです。 ――園監督の現場を経験した女優・トリンドル玲奈のさらなる活躍、期待できそうですね。 トリンドル 女優のお仕事では、まだ目標を持てるような段階ではなくて……。こうやって役をいただいて、その役を演じて、監督からOKが出ることに、とにかく安心しています。それが私にとって一番うれしい、達成感を感じる瞬間ですね。
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(取材・文=大曲智子) ●とりんどる・れいな 1992年、オーストリア生まれ。2009年、モデルとして芸能界デビュー。ソフトバンクモバイルのCMで注目を集める。現在、雑誌「ViVi」(講談社)モデルとして活動するほか、CMやドラマ、映画に幅広く出演中。主な出演作に、14年『呪怨 -終わりの始まり-』、ドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)、15年『不便な便利屋』(テレビ東京系)などがある。現在、NHK BSプレミアムにてドラマ『ある日、アヒルバス』、TBSにてドラマ『37.5℃の涙』が放映中。
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●『リアル鬼ごっこ』 監督・脚本/園子温 原作/山田悠介『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫・文芸社刊) 出演/トリンドル玲奈 篠田麻里子 真野恵里菜 桜井ユキ 高橋メアリージュン 磯山さやか 7月11日より全国ロードショー <http://realonigokko.com> (C) 2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会

ネクストブレーク芸人・おかずクラブが語る、「ブスいじり」の終焉と新たなる女芸人の道

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撮影=尾藤能暢
 一度見たら忘れられないほどの強烈な個性を放つオカリナと、若手離れした驚異的な掌握力でトークをコントロールするゆいP。「おかずクラブ」は年末のネタ番組でブレークして以降、現在はトークやバラエティにひっぱりだこである。出世の階段を華麗に駆け上っているように見える2人だが、2度のメンバー脱退、下ネタ迷走期、公園野宿生活など、乗り越えた苦悩は数知れず。女芸人飽和状態の今、おかずクラブが見据える未来とは? ■ゆいPの憧れは、藤井隆 ――年末の『ぐるぐるナインティナイン おもしろ荘』から、先日はあの『しゃべくり007』(ともに日本テレビ系)まで……。このブレークを、ご自身ではどのように分析していますか? ゆいP たぶん『おもしろ荘』で優勝しなければ、今こうして取材していただくこともなかったと思います。1月の半ばくらいから、日テレ系の番組にオーディションなしで呼んでもらえるようになって。それから『ゴッドタン』(テレビ東京系)、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)と、他局にも……。そこで少なからず、私たちのことを覚えてもらえるようなことができたんじゃないかと思います。 オカリナ あまりにも早い展開に、自分自身がついていけてないのは否めませんが。 ゆいP よしもとは渡辺直美さん以降、(女芸人が)出てきてないっていうのもあったのかもしれません。ハリセンボンさんが9期生、渡辺直美さんが12期生で、私たちは15期生なんですけど、その間にいないんですよ。 オカリナ ちょうど、閑散期……っていう言い方はおかしいですけど、そんなにポンポン出てる時じゃなかったから。 ゆいP 大島さん(森三中)が産休に入っていたっていうのも、大きいと思う。 オカリナ 先日『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)の温泉同好会に出させていただいたんですけど、森三中さんがフルメンバーそろっていたら、たぶん入れてもらえない枠だったんじゃないかなって。 ゆいP スタジオ収録の時に、森三中の黒沢さんが「自分たちが昔やってきたことを、こんなふうに楽しくやってくれてるのがうれしい」って言ってくださって、本当にうれしかったですね。 ――『おもしろ荘』の優勝もあり、タイミングもあり、流れがキテると。 ゆいP これが1年目2年目で優勝していたら、もちろんネタが未熟だし、ありえないんですけど、今みたいな形にはならなかったんじゃないかなぁ。6年という芸歴が一応あって、全然順風満帆じゃなかったので。 ――お2人が芸人になろうと思ったきっかけは、なんだったんですか? ゆいP 今日、実はそのきっかけとなった人と初めてお仕事でご一緒したんですよ! 藤井隆さん! もう、キャラから何まで大好きで、憧れてるんです。 ――あぁ、なんかわかるかも……。藤井さんとゆいPさんは、つながる感じはある……。 ゆいP 今日、そのつながった感じで小芝居ができたんです。NSCの願書にも「藤井隆さんに憧れてます」って書いてましたし、夢のようでした。私、芸人になろうと思ったの、大学4年の就職活動中なんですよ。2~3社受けた時に、ハッとなった。全然そんなことないのに「私はリーダーやってました~」みたいなウソがまかり通る世界じゃないですか。要領のいいヤツらが勝つ世界なんだって。だったら私はウソをつかず、自分の好きなことをやろうと。人を笑わせることは好きだったので。 ――オカリナさんは、元ナースとお伺いしましたが。 オカリナ 私は宮崎から上京して看護学校に通っている時に、初めて『M-1』を見たんです。そこに出てたハリガネロックさんが本当に面白くて、「芸人になりたい」とひらめきました。人を笑わせることはできないけど、笑ってもらうことだったらできるかもしれないと思って。でも、その時には看護学校に通っていたし、卒業後は3年働くというレールがあったわけですよ。そこから外れるといろいろな人に迷惑かかるかなと思って、とりあえず看護師になりました。芸人を目指していることは、家族にも言えなかったですね。 ゆいP 無事NSCを卒業した後だよね、宮崎まで親に会いに行って「芸人になります」って宣言したの。お母さんビックリしてた(笑)。お母さんアレなんですよ、どうも山田花子さんとオカリナのイメージがかぶるみたいで……。 オカリナ 新喜劇で山田花子さんがどつかれてるのを見るだけで、涙ぐんじゃうような人なんですよ。そんな人に、「芸人になります」とか言えないじゃないですか。 ――優しいお母様ですね……。
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見ればみるほどじわじわくる、オカリナ。
■NSC時代は、ヤバかった オカリナ 私、小さい頃から、人が普通にできることができないんですよ。人の話も聞いてないし。なぜか私の行動をみんな笑ってて、なんでだろう……みたいな。そんな子だったので。 ゆいP 出会ったばかりの頃、公園でね、スズメが死にかけのセミをつついていたんですよ。それを見たオカリナが、いてもたってもいられなくなったのか、近くにあった木の棒でスズメを追い払ったんです。25歳ですよ。これはヤベぇなと。コイツと組みてぇなと(笑)。だって、こんな人いないですもん。 オカリナ いつもそんなに正義感があふれているわけじゃないんですけど、その時はなんかセミを助けてあげたかったんですよね。 ゆいP でも、道端にいる鳩に忍び寄って、足音で驚かせたりしてるのとか見ると、ちょっとイラッとしますね。子どもがやるようなことを30近い女がやってるんだと思うと、腹立っちゃって。 オカリナ 正直、大人だからやらないという意味がわからない。でも今はやりたいなという気持ちがあっても抑えてますし、だいぶ成長したと思います! ゆいP いや本当、当時に比べたらだいぶマシになりました。遅刻をし、さらに携帯を忘れたオカリナが待ち合わせの駅に6時間突っ立ってたこともあったよね。 オカリナ 連絡しようがないから……。 ゆいP 後で同期から「オカリナが駅前で戦争孤児のように待ってる」って、メールが来た(笑)。変わってるんですよ。学校の近くだったし、知り合いを探して連絡するとか、方法はあると思うんですけど。 オカリナ だって、誰とも仲良くないし。 ゆいP もう、大変。大変です。 ――もともとトリオだったとお聞きしましたが、やはりオカリナパワーを一人で受け止めるのはキツかったということでしょうか……? ゆいP 最初から2人だったら、本当にキツかったと思います。最初に組んだ子がクッション役になってくれてて、なんとか保っていた。 オカリナ そうなんです。 ゆいP 真剣にネタ考えてる時に、トイレ行って寝てたりね。 オカリナ 寝たいって言える雰囲気じゃなかったんで、隠れて寝るしかなかったから。 ゆいP でも、その子が辞めちゃったんですよ。 オカリナ いま思えば、ネタできなくて公園で寝泊まりしたりしたのがツラかったのかもしれない。 ゆいP ゴキブリとか走り回ってたし、精神的にも肉体的にもキツかったのかもね。私たちとは違う感じで、オシャレもちゃんとしてたし、彼氏もいた子だし。そして、普通の体形だったし。 オカリナ ゆいPは、ストイックすぎるんですよ。 ゆいP 確かに、NSC時代はヤバかったです。始発で来て終電で帰ってた。どんだけ頑張ってたんだっていうくらい、頑張ってた。 オカリナ ただただ、ツラかったですね……。 ゆいP みんなが飲み会行ったり、男女で付き合い始めたり、なんなら付き合ってもないのにそういうことしてたり、そういう情報ばっかり聞いてましたけど、でも私たちはね、そういうことじゃないでしょ、何しにNSCに来てるんですか!? っていう。 ――カッコイイ~!
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「痩せたら平愛梨」でおなじみの、ゆいP
■「エリカとすみれ」誕生秘話 ゆいP そんな尖った感じなのに、全身タイツにふんどし巻いてタオルで股をこするみたいな、訳のわからないネタをやっていたわけですけど……。 オカリナ NSCの時はそこそこウケていたネタが、卒業してライブでやってもウケないし、順位も上がらない。 ゆいP 外に出て初めて一般のお客さんの前でネタをやった時、知りました。このままじゃダメなんだなって。 ――その状態から、どうやって立ち直ったんですか? ゆいP 最初の子が辞めて、また新しい子が入ったんだけど、その子ともうまくいかなくて……。それで結局2人になってからだよね、何かを変えなきゃと思ったのは。 オカリナ 2人になってから作家さんがいろいろ手伝ってくれたり、アドバイスくれたりするようになったんですよ。その人がコンビとしてやっていけるように取り持ってくれたんです。それがなかったら解散してたかもしれない。 ゆいP 私たちの恩師、山田ナビスコさんです。いろんな取材で名前出すのに、カットされちゃうんですけど(笑)。“エリカとすみれ”のネタもコンビになってから作って、山田さんにアドバイスもらいながら、ちょっとずつ変えていったんですよ。 ――「エリカとすみれ」は、どういう経緯で生まれたんですか? ゆいP 私たちがいい女ぶった物言いをすると、「腹立つな~」って言われるじゃないですか。でも「腹立つ」って、女芸人にとっては最高の褒め言葉なので、そう言わせるコントを作りたいなと思っていたんですよ。こんな2人が合コンに来て「エステティシャンで~す」とか「アパレルやってま~す」とか言ったら、腹立つだろうな~と思って。そこから逆算してって感じです。 オカリナ 初めてだよね。山田さんに「そうだよ、お前らそういうことなんだよ」って言ってもらえたの。 ゆいP それから山田さんが、いろんな人に「おかずクラブ面白い」って言ってくださったんですよ。「おかずがいいように変わってきた」って。 ――「エリカとすみれ」のネタがきっかけとなって番組に呼ばれると、ネタとトークの両方を求められるわけですよね。 ゆいP トーク番組は本当に怖いです。できれば出たくないと思ってました。 ――どういう部分が一番怖いですか? ゆいP 本来は、オカリナをどう生かすかまで私が考えなきゃいけないんですけど、今まではどうしても自分のことでいっぱいいっぱいで。ようやく最近ですよ。どういうフォローをしたら、オカリナが面白くなるのかに目が向くようになったのは。オカリナが言葉に詰まってたら助けないといけないし、この人、たまにみんなが知ってる体で自分しか知らないことを話すので、それを通訳しないといけないし。かなり勉強になってますね。 オカリナ 私は今までライブでもオチを任されることが多かったんですけど、それをちゃんとできないままここまできちゃって。いまだにオチを振られると、腰が引けちゃう自分がいる。もっとガツガツ行かなきゃいけないことはわかってるんですけど。 ゆいP ケースバイケースですよね。うまい人がイジってくれればなんでも面白くなりますけど、それでも最低限自分で取らないといけない部分は確実にあるわけで。それを見事に空振りしちゃうと……。 オカリナ 空振りどころか、振りもせず見逃し三振で終わってしまう。 ――これからますます露出が増えたら、その分、雑に振られることも多くなりそうです。 オカリナ それが怖いんです。だって私、見た目だけですもん。面白いこと、何一つ言ってないんですもん!! ゆいP でも、たまになんの気なしに言うことや、やることが面白いんですよ。腹立つわ~。
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■おかずクラブが歩む、新たなる女芸人の道 ――では、それも踏まえ(笑)、これからおかずクラブさんは、どういう芸人になっていきたいと考えていますか? ゆいP そうですね、「女芸人」の道は、だいたい森三中さんが開拓してくださったと思いますので、私たちは私たちでちゃんとトークで笑いを取れる芸人になりたいです。見た目が面白ければ、まずは面白く感じてもらえるとは思うんですけど、それだけでやっていけるほど甘い世界ではないから。 ――女芸人を容姿や体形の観点で笑うっていう時代も、徐々に過ぎ去っていますしね。 ゆいP 女芸人がお互いをブスいじりするようなネタは、飽きられてきてますよ。オーディションでも「またそのネタか」って言われる。「女芸人ね、はいはい自分たちの容姿イジるやつね」みたいな。その時点で、見る気うせるって。 ――だからこそ、おかずクラブさんの“ツッコミなき世界”は、とても魅力的に感じます。 オカリナ ただ、どっちもツッコミができないだけなんですけど(笑)。 ゆいP 私たちのこの容姿を生かしつつ、ツッコミなしでどうやってボケればいいのか、これは今後の課題です。ただ「振り切れる」しかないのかな……とも思ってます。演劇なのかもしれない。いろんなアニメやドラマや映画の美しいシーンを、私たちが真剣に再現したら笑ってもらえたという。 ――これからやってみたいことはなんですか? ゆいP 『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の女子プロレス、めちゃ日本女子プロレスに出たいです! 出させてもらえたら、絶対盛り上げる自信あるよな! オカリナ! オカリナ 私は……見たことないんですけど……。 ゆいP ホントね、こういう人なんですよ。 オカリナ 私はいつか『ワンピース』の映画に、ゲスト声優枠で出たいですね~。 ゆいP ……これ、書かなくていいですから!  (取材・文=西澤千央) ●おかずクラブ第二回単独ライブ「もうどうにもとまらない」 日時:8月4日(火) 20:45開場/21:00開演 会場:東京・ヨシモト∞ホール 料金:前売1500円(全席自由)