障害者も健常者も関係ない! リリー・フランキーと清野菜名が不器用に愛を叫ぶ!!

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(c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
 9月29日より全国公開される映画『パーフェクト・レボリューション』は、幼いころに脳性麻痺を患い、手足を自由に動かすことができなくなったクマ(リリー・フランキー)と、人格障害を抱えた風俗嬢のミツ(清野菜名)が、互いの障害を乗り越えて本当の幸せをつかもうとする物語だ。  クマのモデルとなったのは、脳性麻痺を抱えながら障害者の性への理解を訴える活動を続ける熊篠慶彦氏。そして本作の監督を務めたのが、東京大学工学部建築学科卒ながら、吉本総合芸能学院(NSC)12期生という、異色の経歴を持つ松本准平氏だ。  そんな松本氏と、本作の企画の段階から関わり、クマの従弟・東海林二郎役として出演した増田俊樹氏に見どころを聞いた。 *** ――非常にエッジの効いた映画ですが、どういうキッカケで企画を? 松本 増田と熊篠さんが旧知の中で、紹介してもらったのがきっかけです。そのとき、熊篠さんが障害者の映画を作りたいと話していて、そこから話が進んだんです。僕は当初、プロデューサーとして入る予定でした。 ――それが、なぜ監督を? 松本 仕事仲間にお願いしてプロットを書いてもらったんですが、それを読んだとき、ちょっと違うなあと感じたんですね。そのプロットは健常者から見た障害者問題だったんですが、この映画をやるなら、熊篠さんを等身大でナチュラルに描かないといけない。そう考え、自分でやろうと思い始めたんです。 ――それは松本監督ご自身が、熊篠さんと接するうちに、熊篠さんのことを障害者ではなくて、一人の友人として接するようになったからということでしょうか? 松本 そうですね。世間一般には、障害者というと、『24時間テレビ』(日本テレビ系)で目にするような障害者像を思い描かれるかもしれません。聖人君子的で、言い方は悪いかもしれないけれど、感動ポルノ的に理解しているケースも多いと思います。でも、モデルとなった熊篠さん自身は「障害者だってセックスをしたい」と、障害者の性問題を世間に訴えている。こうしたことから考えても、この映画を作るに当たっては、障害者と健常者を分け隔てちゃダメなんです。そこで、友人がじかに体験した恋愛物語をベースにして、その目線で話を作って撮りました。 ――映画の中のクマは、皮肉屋でリアリストですが、ミツと出会ってから変わっていきますね。 松本 今の時代、いろんなことにあきらめていたり、不自由なものを抱えている人がたくさんいると思います。本作は障害者同士が恋をする話ですが、この不自由な感じって、健常者の人も同様に持っているテーマだと思うんです。ただ、クマとミツは、普通の人よりもより多くの困難を抱えているだけで。 ――ラストは印象的ですね。 松本 試写会をご覧になった方からは賛否両論が出ていますが、僕はラストにはありがちな<物語の結末>を描くのではなく、「この瞬間、あなただったらどうする?」と観客に問いかけるものにしたかったんです。「ここから先は、あなたのストーリーですよ」って。
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左から増田俊樹氏、松本准平氏
■不器用で不細工、だからかっこいい ――映画では、リリー・フランキーさんがクマを演じられていますね。 松本 リリーさんは、クマのモデルとなった熊篠さんとロフトプラスワンのトークショーなどで親交を重ね、長年の付き合いがありました。こうしたこともあって、僕が「熊篠さんの実話を元にした映画を考えている」と話したときに、すごく興味を持ってくれたんです。僕はリリーさんのユーモアをまぶした性格とか、顔立ちとかも熊篠さんと似ていると思っていたから、クマはリリーさんが演じるしかないと企画当初から思っていました。リリーさんは一見クールに見えるけれど、実は熱い人です。リハーサルのたびに2人で飲みに行って、脚本のことを語り合っていましたね。例えば、熊篠さんは普段、「夢は立ちバックで」って言ってるんですけれど、リリーさんは「ここは映画に入れたい」と言ったことから、脚本に盛り込んだりもしました。 増田 僕は長い間、ロフトプラスワンでトークライブの企画を手掛けてきて、リリーさんも熊篠君もずっと近くで見てきた人間なんですけど、撮影中のリリーさんからは少し違ったオーラが漂っていました。熊篠君が現場を訪れた際、電動車椅子に乗ったままの2人を遠目に見ると、どっちがどっちだか見分けがつかないくらい似ていましたよね。松本監督が描こうとする突き抜けた世界観に、一表現者として懸命に応えるリリーさんの姿勢が、とても素敵でした。 ――清野菜名さんとの相性は、どうでしたか? 松本 リリーさんと清野さんは本当に仲が良くて、最後のほうは本当にクマとミツのようでした。そんな2人の雰囲気が映画の画面にも表れ、僕が想像していたよりも生き生きとしたクマとミツになったんです。おかげで演出が楽でしたね。待ち時間に、2人でよくわからないCMソングを歌っていたんですが、それがやけに耳に残っています(笑)。 ――松本監督はキリスト教徒ということもあり、これまで『まだ、人間』や『最後の命』などの作品に、自身の思想を色濃く反映させていました。そこが一部で難解とも称される作風になっていましたが、今回はダイレクトに人間の生きざまを描き、エンタテインメント色が非常に強い作品になっています。 松本 そうですね。今回は、誰もが楽しむことのできるエンタテインメントであること、そしてポップであることを心がけました。ポップっていうのは、ダサさだと思うんですよね。かっこいいだけだど、ポップにならない。どこかダサくないと。その不器用さとか、不細工さが、この作品にマッチすると思ったんです。まず、タイトルが『パーフェクト・レボリューション』なんですけれど、このタイトルはダサさがあると思うんですね。ミツが「革命を起こす」と言ってるのも、実はダサい。カメラもほぼ手持ちでしたが、かっこよく撮ろうという意識もありませんでした。単純に人間としてクマとミツが向き合って、ぶつかり合うというところで作っていきました。そんな2人の生き方は不器用だけれど、泥まみれになってもがいているから、逆に一番かっこいいと思うんです。今のように息苦しい時代、そんな2人の生き方が、お客さんの心にどう響くのか、とても楽しみな半面、興行的な成否も気になってプレッシャーにもなっていますよ(苦笑)。 (取材・文=井川楊枝) ●『パーフェクト・レボリューション』 9月29日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー 監督・脚本 松本准平  企画・原案 熊篠慶彦 出演 リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、丘みつ子、下村愛、増田俊樹、螢雪次朗、石川恋、榊英雄、余貴美子 ほか 配給/東北新社 PG12  (c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会 http://perfect-revolution.jp/

障害者も健常者も関係ない! リリー・フランキーと清野菜名が不器用に愛を叫ぶ!!

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(c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
 9月29日より全国公開される映画『パーフェクト・レボリューション』は、幼いころに脳性麻痺を患い、手足を自由に動かすことができなくなったクマ(リリー・フランキー)と、人格障害を抱えた風俗嬢のミツ(清野菜名)が、互いの障害を乗り越えて本当の幸せをつかもうとする物語だ。  クマのモデルとなったのは、脳性麻痺を抱えながら障害者の性への理解を訴える活動を続ける熊篠慶彦氏。そして本作の監督を務めたのが、東京大学工学部建築学科卒ながら、吉本総合芸能学院(NSC)12期生という、異色の経歴を持つ松本准平氏だ。  そんな松本氏と、本作の企画の段階から関わり、クマの従弟・東海林二郎役として出演した増田俊樹氏に見どころを聞いた。 *** ――非常にエッジの効いた映画ですが、どういうキッカケで企画を? 松本 増田と熊篠さんが旧知の中で、紹介してもらったのがきっかけです。そのとき、熊篠さんが障害者の映画を作りたいと話していて、そこから話が進んだんです。僕は当初、プロデューサーとして入る予定でした。 ――それが、なぜ監督を? 松本 仕事仲間にお願いしてプロットを書いてもらったんですが、それを読んだとき、ちょっと違うなあと感じたんですね。そのプロットは健常者から見た障害者問題だったんですが、この映画をやるなら、熊篠さんを等身大でナチュラルに描かないといけない。そう考え、自分でやろうと思い始めたんです。 ――それは松本監督ご自身が、熊篠さんと接するうちに、熊篠さんのことを障害者ではなくて、一人の友人として接するようになったからということでしょうか? 松本 そうですね。世間一般には、障害者というと、『24時間テレビ』(日本テレビ系)で目にするような障害者像を思い描かれるかもしれません。聖人君子的で、言い方は悪いかもしれないけれど、感動ポルノ的に理解しているケースも多いと思います。でも、モデルとなった熊篠さん自身は「障害者だってセックスをしたい」と、障害者の性問題を世間に訴えている。こうしたことから考えても、この映画を作るに当たっては、障害者と健常者を分け隔てちゃダメなんです。そこで、友人がじかに体験した恋愛物語をベースにして、その目線で話を作って撮りました。 ――映画の中のクマは、皮肉屋でリアリストですが、ミツと出会ってから変わっていきますね。 松本 今の時代、いろんなことにあきらめていたり、不自由さを抱えている人がたくさんいると思います。本作は障害者同士が恋をする話ですが、この不可能性みたいなものは健常者の人も同様に持っているテーマだと思うんです。ただ、クマとミツは、普通の人よりもより多くの困難を抱えているだけ。そんな2人だけれど、それでも挑戦し続けていきます。 ――ラストは印象的ですね。 松本 試写会をご覧になった方からは賛否両論が出ていますが、僕は、少し専門的な言い方をすると、ナラティブをディスクールにしたかったんです。 増田 監督は難しい言葉を使うので簡単に説明すると、僕は、ラストにありがちな<物語の結末>を描こうとはせず、『この瞬間、あなただったらどうする?』と観客に問いかけているような気がしました。それって、まさにロックンロールでしょ? ロールしているんだから、イメージがどんどんつながっていく。こちら側に向かって、『ここから先は、あなたのストーリーですよ』って、思わずバトンを渡されたような感じでしたね。
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左から増田俊樹氏、松本准平氏
■不器用で不細工、だからかっこいい ――映画では、リリー・フランキーさんがクマを演じられていますね。 松本 リリーさんは、クマのモデルとなった熊篠さんとロフトプラスワンのトークショーなどで親交を重ね、長年の付き合いがありました。こうしたこともあって、僕が「熊篠さんの実話を元にした映画を考えている」と話したときに、すごく興味を持ってくれたんです。僕はリリーさんのユーモアをまぶした性格とか、顔立ちとかも熊篠さんと似ていると思っていたから、クマはリリーさんが演じるしかないと企画当初から思っていました。リリーさんは一見クールに見えるけれど、実は熱い人です。リハーサルのたびに2人で飲みに行って、脚本のことを語り合っていましたね。例えば、熊篠さんは普段、「夢は立ちバックで」って言ってるんですけれど、リリーさんは「ここは映画に入れたい」と言ったことから、脚本に盛り込んだりもしました。 増田 僕は長い間、ロフトプラスワンでトークライブの企画を手掛けてきて、リリーさんも熊篠君もずっと近くで見てきた人間なんですけど、撮影中のリリーさんからは少し違ったオーラが漂っていました。熊篠君が現場を訪れた際、電動車椅子に乗ったままの2人を遠目に見ると、どっちがどっちだか見分けがつかないくらい似ていましたよね。松本監督が描こうとする突き抜けた世界観に、一表現者として懸命に応えるリリーさんの姿勢が、とても素敵でした。 ――清野菜名さんとの相性は、どうでしたか? 松本 リリーさんと清野さんは本当に仲が良くて、最後のほうは本当にクマとミツのようでした。そんな2人の雰囲気が映画の画面にも表れ、僕が想像していたよりも生き生きとしたクマとミツになったんです。おかげで演出が楽でしたね。待ち時間に、2人でよくわからないCMソングを歌っていたんですが、それがやけに耳に残っています(笑)。 ――松本監督はキリスト教徒ということもあり、これまで『まだ、人間』や『最後の命』などの作品に、自身の思想を色濃く反映させていました。そこが一部で難解とも称される作風になっていましたが、今回はダイレクトに人間の生きざまを描き、エンタテインメント色が非常に強い作品になっています。 松本 そうですね。今回は、誰もが楽しむことのできるエンタテインメントであること、そしてポップであることを心がけました。ポップっていうのは、ダサさだと思うんですよね。かっこいいだけだど、ポップにならない。どこかダサくないと。その不器用さとか、不細工さが、この作品にマッチすると思ったんです。まず、タイトルが『パーフェクト・レボリューション』なんですけれど、このタイトルはダサさがあると思うんですね。ミツが「革命を起こす」と言ってるのも、実はダサい。カメラもほぼ手持ちでしたが、かっこよく撮ろうという意識もありませんでした。単純に人間としてクマとミツが向き合って、ぶつかり合うというところで作っていきました。そんな2人の生き方は不器用だけれど、泥まみれになってもがいているから、逆に一番かっこいいと思うんです。今のように息苦しい時代、そんな2人の生き方が、お客さんの心にどう響くのか、とても楽しみな半面、興行的な成否も気になってプレッシャーにもなっていますよ(苦笑)。 (取材・文=井川楊枝) ●『パーフェクト・レボリューション』 9月29日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー 監督・脚本 松本准平  企画・原案 熊篠慶彦 出演 リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、丘みつ子、下村愛、増田俊樹、螢雪次朗、石川恋、榊英雄、余貴美子 ほか 配給/東北新社 PG12  (c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会 http://perfect-revolution.jp/

“モノノフ”作者がドルヲタの悲哀を描くマンガ『堂々とアイドル推してもいいですか?』小城徹也氏インタビュー

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 人は誰しも秘密がある。それは、家族の間でも同じだ。  しかし、人に知られずに味わう楽しみには、また違った面白さがあることも事実だ。  今、アイドルヲタク(通称:ドルヲタ)界隈で「けもの道」と呼ばれる人たちがいる。奥さんや子どもに内緒にしつつ、アイドルを楽しむ人のことである。  そんな「けもの道」の悲哀を描き、話題となっているマンガがある。  その名も『堂々とアイドル推してもいいですか?』(KADOKAWA)、通称『堂推し』。  家族に隠れて、アイドルを楽しむことの苦労はどんなところにあるのか? 今まであまり公にされることがなかった人たちの生体はどんなものなのか?  それらを知るため、作者の小城徹也さんにインタビューを行った。 * * * ――この作品を描くことになった経緯を教えてください。 小城徹也(以下、小城) 以前、“アイドルヲタク”をテーマにしたファンタジーマンガを描いたことがあるんです。宇宙人がやってきて、アイドルについて学ぶみたいな。それをKADOKAWAさんに持ち込んだ時に、編集の方から「リアルなアイドルヲタクについて描いてみてはどうか」と言われたのがきっかけですね。 ――製作にあたり、実際にヲタクの方に取材をしたのでしょうか? 小城 元々私の周りにドルヲタの方がいたというのもありますし、より詳しく話を聞くために協力してもらったりしました。ちょうど「けもの道」の方も多かったので。その後は、ツイキャスや、飲み会などでも情報収集しましたね。 ――9月5日には、「マンガワールド」というイベントに出演されましたね。 小城 以前描いていた『ももプロZ』(講談社)というマンガを出した時に、このイベントの関係者の方がモノノフ(ももいろクローバーZのファン)で、そこからお話をいただきました。『堂推し』の連載が始まった時に「コミックスが出たらまたやりたいね」という話をしていたんです。 ――『堂推し』に出てくるアイドル(あらたなチューズ)が架空のグループなのは、何か理由があるのでしょうか? 小城 例えば、「ももクロ」と名前を出しちゃうと、そのファンしか見てもらえないのではないかという懸念がありましたね。ただ、描き始めた当初は、ももクロしかアイドルに詳しくなかったので、ベースはももクロになってます(笑)。 ――モノノフになったきっかけは? 小城 2012年の夏ぐらいに、ももクロがたくさんテレビ番組に出ていた時期があるんです。今思うと、アルバムが発売されて、その宣伝もあったようですが、『しゃべくり007』(日本テレビ系)とか、『ゴッドタン』(テレビ東京)を見ていて、「なんだか変わった子たちだな」と思いまして。  それまで、バラエティ番組に出ているアイドルというと、芸人においしくいじってもらって終わる、みたいな感じだったじゃないですか。でも、ももクロは逆に芸人の方があたふたしちゃうようなトークをしていて、そこが新鮮だと思いました。それまで見たことないアイドルだなと感じました。 ――それから曲を聴き始めたということですか? 小城 そうですね。それまでのアイドルって、恋愛ソングみたいのが多い印象だったのですが、歌もちょっと変わってる感じで良かったですね。ライブに行ったのは、関係者席で見た「男祭り 2012-Dynamism-」が一番最初でした。コールはすごいし、お神輿が客席に入ったりで、カルチャーショックでしたね。他のアーティストのライブとはだいぶ違いました。 ――マンガだと、主人公の奥さんはアイドル嫌いですが、小城さんがももクロにハマった時、奥様の反応はいかがでしたか? 小城 それが、資料でいただいたライブDVDを家に置いておいたら、妻が勝手に見て勝手にハマってくれたんですよ(笑)。仕事という免罪符もあったんで、うちはけもの道を免れました(笑)。 ――ヲタク同士の横のつながりみたいなものは、すぐにできたんでしょうか? 小城 2013の日産スタジアムの「夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013.8.4」が最初ですね。『堂推し』を描き始めた頃、ももクロはもう「握手会」とか「特典会」をやってなかったので、それがどういうものかわからなかったんです。なので、そうやって広がっていった横のつながりだったり、Twitterでもオススメを聞いたりして他の現場に行ってみました。  周りに元々スタダDD(ももクロが所属するスターダストプロモーションのアイドルを追いかけている人)界隈の方が多かったので、最初に行ったのは3Bjunior内の「ロッカジャポニカ」だったかな? その次が確か、「GRAZIE4」。あと、アイドルにもモノノフの方が多いので、「この子、モノノフでアイドルだから来て欲しい」という声も多くて、ライブを観に行ったりしましたね。 ――今年の夏は、アイドルフェスなども行かれていたようですね。 小城 7月の「アイドル横丁夏まつり!!」では「プレイボールズ」が一番気になりました。Twitterでオススメを聞いて、自分なりのタイムテーブルを作ったりしました。あとは、ドルヲタのみなさんとの交流を含めて行った部分もあったので、そこでも楽しみがありました。 ――今作では、「まだ描きたいことがある」という終わりになっていましたけど、具体的には今後どんなことを描きたいですか? 小城 ドルヲタあるあるでいったら、まだ山ほどネタがあるので、それは描いていきたいです。あとは、「会社バレ」とか「親戚バレ」みたいなのは面白いかなと思います。主人公を苦しめる展開にしたいので(笑)。  やっぱり、“アイドル”というよりは“アイドルヲタク”を描きたくて。今Twitterに、『ガチ恋40』っていうアイドルにガチ恋したおっさんのマンガをアップしています。アイドルのものは今までもありましたが、アイドルヲタクものっていうのはあまりないので、そっちの方が自分には向いてるのかなと。  アイドルや、アイドル運営目線のものも描いてみたんですけど、あまりピンとくるような感じじゃなかったんですよね。自分はドルヲタの知り合いが多くて、そっちの方が合ってるのかなと感じているので、その方面の方に喜んでもらいたいなと思っています。 ――このマンガを通して伝えたいことは何でしょうか。 小城 やはり、世間的には、ヲタクに対する偏見があるじゃないですか。そういうのがなくなったらいいですよね。 ――ただ、ちょっとした後ろめたさって、逆に楽しみが増幅される感じもありますよね。 小城 ちょっとしたところだったらいいですよね。「離婚届がどうの……」みたいなヘビーな話も聞いているんで、一概には言えませんが(笑)。 ――小城さんから見て、「アイドルとヲタク」の関係性とは? 小城 キレイに言うと「心の支え合い」じゃないでしょうか。今作品でも、単に「この子カワイイな!」という理由ではなく、心を病んでいる時に偶然目にしたり、耳にしたことがきっかけでファンになる過程を描いています。実際に、そういったきっかけでファンになったという話はよく聞きますしね。 ――“ドルヲタの良さ”は何だと思いますか? 小城 「いい意味で変わった人はいるけど、怖い人がいないところ」ですかね。初対面でも接しやすいです。もう、初めての現場に行くと、アイドルよりヲタクを見ちゃうくらい。すごい奇抜な格好してる人もいたりして(笑)。 ――最近のアイドルで、面白いなと思う子はいますか? 小城 「アイドルネッサンス」の石野理子ちゃんのTwitterは面白いですね、尖ってて(笑)。アイドルもキャラが被るくらいだったら、ありのままの自分を好きになってもらう方がいいと思っているんじゃないかと思います。他には「notall」と「きゃわふるトルネード」ですね。本を書かせていただいたりもしてますし、きゃわふるトルネードのかれんちゃんのお父さんがドルヲタなんですよ。お話もしたんですけど、「今度そういうマンガ描いてよ」と言われちゃいました。 ――最後に、改めて今作の紹介をお願いします。 小城 やはり、好きなことをやっていけるのは一筋縄ではいかないということを知ってほしいです。偏見もありますし。でも、やっぱり好きなことはやっていった方がいいと思いますよ。くじけずに頑張って欲しい、そんな気持ちを込めたマンガです。 * * *   インタビューを通して、「アイドルヲタクのあるある」を描いた作品ながら、小城さんのアイドルに対する思い、アイドルヲタクに対する思いがあふれた作品であることに、あらためて気付かされた。 アイドルファン、そしてアイドルファンの気持ちを知りたい人には必読の一冊であろう。 (取材・文=プレヤード)
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『堂々とアイドル推してもいいですか?』(KADOKAWA)
■『堂々とアイドル推してもいいですか?』 著 者:小城徹也 Twitter:@kojotetuya 出版社: 株式会社KADOKAWA 価 格:580円(税別)

コアマガジンも参入で注目されるエロマンガ定額読み放題サービス「Komiflo」の挑戦

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「Komiflo」より
 今年1月にサービスを開始した、エロマンガ初の定額読み放題サービス「Komiflo」が好調だ。今月には、アダルト系大手のコアマガジンが発行する「コミックホットミルク」が新たなラインナップとして加わった。サービス開始以来、ワニマガジン社の月刊誌を提供していた「Komiflo」への、新規かつ大手の参入である。オープンから9カ月。高い定着率を維持するこのサービスは、さらなる飛躍を迎えようとしているようだ。 「この半年間でユーザー数は25%増。継続的な利用者が多く、顧客維持率は90%以上を維持しています。最初は不安があったのですが、順調な滑り出しと考えています」  そう話すのは、サービスを運営する株式会社Komifloのマーケティング担当者である。  史上初となる定額「エロマンガ読み放題サービス」が開始されたのは今年1月14日。月額980円(税別)で、ワニマガジン社の発行している月刊誌「快楽天」「失楽天」「快楽天BEAST」「X-EROS」が読み放題。それも最新号だけでなく、バックナンバーも読むことができるというサービスは注目を集めた。配信のタイミングは雑誌によって異なるが、紙の発売日と同日。あるいは、3日以内である。  これまで紙の雑誌を購入していた読者にとっては、紙よりも安いという利点がある。けれども、ユーザーは意外な形で伸びているようだ。 「顧客層のデーターを見ると、若い世代の割合が多いのです。80%以上が34歳以下、その40%近くが25歳以下のユーザーです。さらに、10%近くが女性ユーザーになっています。これは、これまで紙媒体を購入していた読者の割合とはまったく異なるものです」(同) ■海賊版対策としても有益なシステム  では「Komiflo」のメリットはどこにあるのか? まず考えるのは実用面。スマホで見るとすれば、紙よりも「実用」の時には利点がある。けれども、それや価格面だけでユーザーに支持されることにはならないはずだ。 「ひとつに、好みの作品をネットサーフィンのようにたどって、新しい作家や好みのシチュエーションを見つけることができます。また、気に入ったジャンルやシチュエーションなどから新しい作品に出会うことも容易な設計になっています。さらに、コメント機能を通じてユーザー同士で交流することもできるんです。そうした<自分の欲求を再認識できる>ことが、ウケているように思えます」(同)  ブラウザで閲覧するシステムを通じ、あたかもネットサーフィンをしているかのように、作家名やシチュエーションから次々と作品に出会える。これは、今までのダウンロード販売サイトでは味わえなかった手軽さといえるだろう。  そして、作家側にもメリットになる点が多い。一つは、pixivなどの外部サービスともリンクしていること。これによって、作家が新たなファンを獲得できることは間違いない。さらに「海賊版対策」としても「Komiflo」があるのだという。 「これまでネットで課金を行ってこなかったユーザーが、利便性や画質の面で<Komiflo>を選択していると見ています。そうしたユーザーを取り込むことは、海賊版対策にも有効だと考えています」(同)  現在でも、悪名高い違法アップロードサイトは幾つも存在している。多くの人々は「手に入らないから」などの理由で、ほとんど罪悪感なく利用しているハズだ。そうした人々に「たったこれだけ支払えば、こんなによい画質で多くの作品を読むことができる」と提示することの効果は高いだろう。 「そのために、価格は相当考えました」(同)  ユーザーだけでなく作家もまた従来のダウンロード販売サイトとは違うメリットを享受できる「Komiflo」。そこに、新たにコアマガジンが加わることで、サービスはどう変化していくのか? 「多くの読者から支持を受けている、コアマガジン様の参加はサービス当初からの念願でした。ファンは、雑誌ごと、作家ごとに存在しているわけですが、それぞれのファンが新しい作品に出会える機会が増えることになると思っています。すぐに劇的な変化は起こらないでしょうが、それが文化にとってプラスとなることは間違いありません」(同)  そのためにも、サービスの継続が重要だともいう。さらに、海外でのサービス開始も既に実現段階に入っているというのだ。海外の読者にとって、アダルトコミックは、それこそ違法にアップロードされ、勝手に翻訳されたものを読むしかないという人が多かった。海外でのサービス開始は、そうした歪んだ文化の受容を変化させるに違いない。  現在、人気の高いオリジナルコンテンツも今後強化していくという「Komiflo」。読者と作家と出版社と「三方よし」のサービスを実現しているように見える。電子出版市場がコミックによって右肩上がりの中、今後、参入社の増加でさらに大きく化けるのではなかろうか。 (取材・文=昼間たかし) ■Komiflo 公式サイト:https://komiflo.com/ 「エロ漫画を、もっと自由に。」をコンセプトに実用性の高い成人向雑誌の配信を行うウェブ・サブスクリプションサービス。

コアマガジンも参入で注目されるエロマンガ定額読み放題サービス「Komiflo」の挑戦

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「Komiflo」より
 今年1月にサービスを開始した、エロマンガ初の定額読み放題サービス「Komiflo」が好調だ。今月には、アダルト系大手のコアマガジンが発行する「コミックホットミルク」が新たなラインナップとして加わった。サービス開始以来、ワニマガジン社の月刊誌を提供していた「Komiflo」への、新規かつ大手の参入である。オープンから9カ月。高い定着率を維持するこのサービスは、さらなる飛躍を迎えようとしているようだ。 「この半年間でユーザー数は25%増。継続的な利用者が多く、顧客維持率は90%以上を維持しています。最初は不安があったのですが、順調な滑り出しと考えています」  そう話すのは、サービスを運営する株式会社Komifloのマーケティング担当者である。  史上初となる定額「エロマンガ読み放題サービス」が開始されたのは今年1月14日。月額980円(税別)で、ワニマガジン社の発行している月刊誌「快楽天」「失楽天」「快楽天BEAST」「X-EROS」が読み放題。それも最新号だけでなく、バックナンバーも読むことができるというサービスは注目を集めた。配信のタイミングは雑誌によって異なるが、紙の発売日と同日。あるいは、3日以内である。  これまで紙の雑誌を購入していた読者にとっては、紙よりも安いという利点がある。けれども、ユーザーは意外な形で伸びているようだ。 「顧客層のデーターを見ると、若い世代の割合が多いのです。80%以上が34歳以下、その40%近くが25歳以下のユーザーです。さらに、10%近くが女性ユーザーになっています。これは、これまで紙媒体を購入していた読者の割合とはまったく異なるものです」(同) ■海賊版対策としても有益なシステム  では「Komiflo」のメリットはどこにあるのか? まず考えるのは実用面。スマホで見るとすれば、紙よりも「実用」の時には利点がある。けれども、それや価格面だけでユーザーに支持されることにはならないはずだ。 「ひとつに、好みの作品をネットサーフィンのようにたどって、新しい作家や好みのシチュエーションを見つけることができます。また、気に入ったジャンルやシチュエーションなどから新しい作品に出会うことも容易な設計になっています。さらに、コメント機能を通じてユーザー同士で交流することもできるんです。そうした<自分の欲求を再認識できる>ことが、ウケているように思えます」(同)  ブラウザで閲覧するシステムを通じ、あたかもネットサーフィンをしているかのように、作家名やシチュエーションから次々と作品に出会える。これは、今までのダウンロード販売サイトでは味わえなかった手軽さといえるだろう。  そして、作家側にもメリットになる点が多い。一つは、pixivなどの外部サービスともリンクしていること。これによって、作家が新たなファンを獲得できることは間違いない。さらに「海賊版対策」としても「Komiflo」があるのだという。 「これまでネットで課金を行ってこなかったユーザーが、利便性や画質の面で<Komiflo>を選択していると見ています。そうしたユーザーを取り込むことは、海賊版対策にも有効だと考えています」(同)  現在でも、悪名高い違法アップロードサイトは幾つも存在している。多くの人々は「手に入らないから」などの理由で、ほとんど罪悪感なく利用しているハズだ。そうした人々に「たったこれだけ支払えば、こんなによい画質で多くの作品を読むことができる」と提示することの効果は高いだろう。 「そのために、価格は相当考えました」(同)  ユーザーだけでなく作家もまた従来のダウンロード販売サイトとは違うメリットを享受できる「Komiflo」。そこに、新たにコアマガジンが加わることで、サービスはどう変化していくのか? 「多くの読者から支持を受けている、コアマガジン様の参加はサービス当初からの念願でした。ファンは、雑誌ごと、作家ごとに存在しているわけですが、それぞれのファンが新しい作品に出会える機会が増えることになると思っています。すぐに劇的な変化は起こらないでしょうが、それが文化にとってプラスとなることは間違いありません」(同)  そのためにも、サービスの継続が重要だともいう。さらに、海外でのサービス開始も既に実現段階に入っているというのだ。海外の読者にとって、アダルトコミックは、それこそ違法にアップロードされ、勝手に翻訳されたものを読むしかないという人が多かった。海外でのサービス開始は、そうした歪んだ文化の受容を変化させるに違いない。  現在、人気の高いオリジナルコンテンツも今後強化していくという「Komiflo」。読者と作家と出版社と「三方よし」のサービスを実現しているように見える。電子出版市場がコミックによって右肩上がりの中、今後、参入社の増加でさらに大きく化けるのではなかろうか。 (取材・文=昼間たかし) ■Komiflo 公式サイト:https://komiflo.com/ 「エロ漫画を、もっと自由に。」をコンセプトに実用性の高い成人向雑誌の配信を行うウェブ・サブスクリプションサービス。

“元アウトローのカリスマ”瓜田純士『君の膵臓をたべたい』を酷評も、肩にカメムシが付いていた

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 厳しさと優しさと素直さを併せ持つ“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(37)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回は「とにかく泣ける」と話題の映画『君の膵臓をたべたい』を鑑賞してもらい、率直な感想を聞いてみた。果たして、「鬼の目にも涙」となったのか……?  現在公開中の『君の膵臓をたべたい』は、本屋大賞第2位の大ヒット小説を実写化した青春映画(原作/住野よる、監督/月川翔)。 「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」  それが映画のキャッチコピーだ。Twitter上では「感動した」「泣いた」の声が続出し、9月8日現在、Yahoo!映画のレビューでも5点満点で平均4.12点という高評価を得ている。原作未読の瓜田の耳にもそうした評判は届いていたらしく、「俺も泣いてしまうかもしれない」と言いながら、ポケットティッシュ持参で愛妻と共に劇場入りした。  ところが、映画が終わるなり真っ先に劇場を飛び出した瓜田は、「膵臓たべたい、膵臓たべたい、しつけえなぁ。しば漬けたべたい、を思い出したわ」と白けた顔で不満を表明。その後も映画の気に入らない点を次から次へと並べ立てた。 ――涙もろいところもある瓜田さんですが、今作では泣けなかったですか? 瓜田純士(以下/純士) よし、集中して泣くぞ!……と思ったら、北川景子が出て来たから、DAIGOの「ういっしゅ!」を思い出しちゃって、泣けなかったです。というのは半分冗談ですが、俺、病気モノが嫌いなんですよ。病気にかこつけてどうのこうのってのが、とにかくダメ。 ――それはなぜですか? 純士 俺、基本的に他人に冷たいんですよ。昔から近所の誰かが病気で死んでも「マジか。香典代がもったいないな」と思うだけ。ぶっちゃけ、人が死ぬのは仕方がないことだし、どうでもいいことだと思ってますから。余命何カ月とか、不慮の事故とか、そういうので泣かそうとするのって、なんかムカつく。そんな俺がその概念を忘れて、いいところをピックしようと最後まで真剣に隅々まで見た。それでもこのつまんなさ。いいところはほぼ皆無でした。 ――そんなにつまらなかったですか? 純士 ええ。だってあの女、病気にかこつけて男を口説いてるだけ。病気をネタに2時間たっぷり、男を振り回してるだけじゃないですか。男を振り回すなら振り回すなりの魅力がほしいけど、ただのワガママ女が自分に酔って傍迷惑なことをしてるだけだから、付き合い切れませんよ。
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――傍迷惑なこと、していましたか? 純士 「三番目に好き」じゃ満足できずに「一番目に好き」って言わせようとしたり、酒飲んでゲームまでして無理やりベッドに誘い込もうとしたり、謎を残したまま消えたり、挙げ句の果てには男の進路にまで影響を及ぼしたりしてたじゃないですか(笑)。きっと世の女性から見たら、一番イラッとくるタイプ。男の俺もイラッときた。あの朴訥とした真面目な男に何を言わそうとしてんだ? おまえ、女のやらしさみたいなもんをめちゃくちゃ秘めてないか? って思いながら見てました。行動すべてが、ケガで気を引こうとするリストカッターそのもの。マジで好感持てないです。作品としても粗が多いし。 ――たとえば、どんな粗がありましたか? 純士 あそこまで、膵臓、膵臓、連呼するんだったら、もっとちゃんと膵臓のなんという病気で、原因は何々で、何万人に何人ぐらいの病気で、だいたい余命いくばくで……とかのドクターの解説がないと、こっちは感情移入できないですよ。病気モンだったら、そのへんの説明は不可欠なのに、ほとんどあの子の一人称というか、自称だけで進んでいくから、重みがないし現実味もない。でっかい家に住んでるけど、親は何者なのかわからないし。そうした情報が不足してる割に、無駄な場面が多いんですよ。 ――何を無駄だと感じましたか? 純士 あれだけ膵臓で引っ張っといて、終盤のあの事件は、要りますかね? 強引すぎるし不自然すぎる。人生いつ何が起こるかわからないから今日を大切に生きましょうってことが言いたいんだろうけど、あの一件があろうがなかろうが時間の問題だったんだから、陳腐なショッキング展開をトッピングするんじゃねえよ、と思いました。 瓜田麗子(以下/麗子) あ、純士。ちょっと待って。肩にカメムシがついてるで(と言って指先で弾く)。 純士 カメムシをトッピングしてる俺のほうが陳腐じゃねえか……という問題はさておき、とにかくあの事件は要らないし、北川景子が泣く場面も要らないですよ。あの場面であんなもん見て泣き崩れるって、そこまでの思い入れ、その年齢のおまえにはもうないはずだろ、って思います。 ――奥様にお聞きしますが、ああいう女性同士の友情って、実際にあるものですか? 麗子 あると思います。
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――奥様はこの映画で泣きましたか? 麗子 泣きました。私はさっきのカメムシが死んでも泣くような人間ですから。 純士 ウチの嫁は、雰囲気に弱いんですよ。ストーリーはチンプンカンプンだとしても、泣ける音楽が流れて登場人物が泣き始めると、それにつられて泣くんです。でも今日の泣きレベルは5段階評価で1ぐらいでしょ? いつもはもっと泣くもんね? 麗子 そやな。中学生と私は騙せても、人生経験豊富な大人は泣かへんかも。でも、めっちゃええ場面もあったやん。急に見舞いに来られて、身だしなみをしてないから、と照れるフリしてベッドの中で泣くシーンとか。 純士 ああいう本音というのかな、「みんなの前では強がってるけど本当はこういう葛藤があって苦しいんだ」というシーンが多くあったら、俺も泣けたかもしれない。なんでそういうシーンが少なかったのかというと、答えはひとつで、「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」とキャッチコピーで謳ってる通り、最後に種明かしをする構造になってるから、途中、途中で本音を描けなかっただけのこと。大いなる失敗ですよ、これ。便宜上、ヒロインの苦しい心模様を終盤まで出せなかったから、話が全体的に軽く薄くなってしまった。そもそもこのキャッチコピーもどうかと思う。泣く・泣かないはこっちが決めるのに、製作陣が泣くタイミングまで勝手に決めるんじゃねえよ、と言いたいです。 ――ホテルでの男女のやりとりに、キュンと来ませんでしたか? 純士 ああいう男女のバカげたやりとりに小説で何ページも割いたのかな、と思うとゾッとしますね。 ――何か一つぐらいは、褒める点はなかったですか? 純士 おっ! と思ったのは、登下校の描写がリアルだった点。ヒロインの名前が桜良(さくら)だから、桜をバックにした通学路のシーンが多かったですよね。ああいうシーンってたいていの邦画だと、エキストラが嘘くさい言動をしちゃうんだけど、この作品では自然な動きと自然な会話をしてたから、どこかの学校の本当の日常を切り取ったように見えた。そういう見せ方にはこだわってるな、と思いました。あと、小栗旬と北川景子はさすがの貫禄で、若いふたりに比べると、画面に出たときの迫力が違いました。ただ、今回の小栗くんの役柄は、主体性のない、振り回されるだけの可哀想な男って感じで、魅力的ではなかったですけどね。 ――瓜田さんは、恋愛映画が苦手なんですかね? 純士 いや、そんなことないですよ。小学校のころから、男女間の、目と目が合ったとか、気があるとかないとか、そういう少女漫画みたいな世界に憧れてましたから。ただ、いい思い出はないです。学校に行くと、よく一緒にしゃべる女子っていたじゃないですか。俺はそういう子たちから好かれてると思ってたんですけど、あるときからみんなが急に冷たくなり、ほぼ同時にその子らの親戚のおやじとかが出て来て、「ちょっかい出すな」と釘を刺された。どうやら「瓜田くんは怖すぎるから、なんとかしてほしい」と、女子グループが共闘を決意して大人にチンコロしたらしい。それほどまでに俺、嫌われてたんですよ(笑)。 麗子 でも、純士のことを好きって言う子もおったみたいやん。 純士 あぁ、あれか……。たいして可愛くもないくせに、イニシャルで「U・Jが好き」みたいなことを小学校の卒業アルバムに書いたバカ女がいるんですよ。U・Jなんて俺しかいないから、今後一生、クローゼットから卒アルが出てくる度に、当時のクラスメイトは俺とその女を思い出して笑いものにするでしょう。その女のいっときの自己陶酔のために、この俺に何十年単位で恥をかかせやがって……。今回の映画でもヒロインの綴った文章が物語の肝になってますが、ああいう物証を残すのは野暮ですよ。色恋に関することは「聞くな、言うな、書くな」が基本で、当事者の心の中だけにそっとしまっておくからこそ美しいもんだと俺は思いますけどね。 ――そういう瓜田さんは、ブログの文末でほぼ毎回、決め台詞のように「ひよっけ(奥様の愛称)が大好きです」と書いていますが、あれはどういう了見なのでしょう? 純士 アントニオ猪木に「元気ですかー!?」の意味を聞くバカはいないでしょ。それと一緒です。くだらないことを聞かないでください。 (取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
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※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。 http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/ ※瓜田純士公式ブログ http://junshiurita.com ※瓜田純士&麗子Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/

AVデビューのビッグダディが激白!「美奈子にも子どもたちにも、後ろめたさはない!」

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 テレビ朝日系のドキュメンタリー番組『痛快!ビッグダディ』(2006年~)で一躍有名になり、その後タレント活動も行っていた“ビッグダディ”こと林下清志氏が、10月13日発売の『教えてビッグダディ!林下清志のHow to SEX!』で衝撃のAVデビューを飾ることになった。  大槻ひびき、南梨央奈、阿部乃みくといった人気女優も出演する豪華な内容で、ビッグダディは企画から同作に参加。主演・脚本・監修を務める。  内容的にはビッグダディによるセックスの「How to」物になっており、ビッグダディ自身が男優として絡みを見せることはないが、戸籍上の子どもが13人、7度の離婚を経験するなど女性経験、人生経験ともに豊富なビッグダディの貴重なセックス指南が聞ける内容となっている。  今回はAVデビューまでのプロセスや作品の内容、気になる近況などを聞こうと、ビッグダディを直撃。さっそくインタビューをと思いきや、「サイゾー」に対するビッグダディの強烈な不信感からトークがスタート。ビッグダディの本音の数々に迫ることができた。 ビッグダディ あんた、何? 「サイゾー」の人? ──はい。僕自身はフリーランスですけど。「サイゾー」はご存知ですか? ビッグダディ 知ってるよ。俺のことはあんまりいいこと書いていないイメージだけどな。 ──そんなことはないと思いますよ(笑)。 ビッグダディ 週刊誌とかネットとか……いろんなところで、いろいろ書かれて……しかも、全くない話がそこに書かれていたりするからね。全く嘘のことばかり。 ──一時期、本当にいろんなメディアでビッグダディの記事を見かけましたけど、書き手が取材もせずに勝手に書いたような憶測記事も多かったんでしょうね ビッグダディ うん。あんたもそうじゃないの? ──いやいや(笑)。僕はちゃんと取材をして書きます。ちなみに僕も、ほかの媒体も含めて結構ビッグダディの記事や元奥さんの美奈子さんの記事を書きましたが、ビッグダディに関しては好意的な内容の記事しか書いたことないですよ。 ビッグダディ 嘘つけ。面と向かってそんなこと言うということは、そうじゃないってことだよ(笑)。 ──「サイゾー」もたくさんビッグダディを取り上げているということは、内容はともかくとして、やっぱりビッグダディが好きなんだと思いますよ。 ビッグダディ 本当かな(笑)。 ──美奈子さんの取材も多かったので、あえて聞くのですが、美奈子さんとはその後どうなんですか? 連絡は取ったりしているんですか? ビッグダディ 取ってるよ。子どももいるわけだし。俺はそもそも浮気もしないし、DVもないし、相手の金を使い込んだこともないし、あの時も別に荒れた離婚じゃなかったからね。別れた奥さんとは、ほぼほぼみんな連絡はとってるよ。なんなら元嫁とその前の嫁の3人で飲んだこともあるよ。飲んだ時は、まあ俺の悪口で盛り上がる素敵な飲み会になるわけだけど(笑)。 ──元嫁と久しぶりに会って、ムラムラするなんてことも……? ビッグダディ それはありえないですね。男って、別れた彼女と街でばったり会って「おっ、久しぶりだな。せっかくだからお茶でも」って誘って、「そうだね」って乗ってきた瞬間に、昔しょっちゅうやっていた間柄だから「今日もしかしたら……」なんて可能性を期待するところもあるんだろうけど、女の方にはそういう感情は全くないんだよ。女はそういう感情をきれいに削除できるようにメンタルができてる。別れ方も、もちろん関係してくるけど。俺は男だけど、別れた女に未練はないというタイプ。そういうことはないよ。 ──元カレ、元嫁相手にメソメソするのはかっこよくないと。 ビッグダディ かっこいいとか、そういうことじゃない。それが性分なんだよ。昨日別れたら今日はもう別の誰かを口説いている。それ自体は何も問題ないでしょう。 ──今、独身ですよね。新しい女性を探し続けている感じですか? ビッグダディ いやいや。今はもういるんだよ。付き合っている女がいるんです。世間にも公表していますよ。ブログでも書いています。俺はマ○コはひとつあればいいので、もう新しい女性を口説く必要もない。 ──何歳くらいの人なんですか? ビッグダディ 40代前半かな……。年齢に関してはまあ、そういうことにしときましょう。 ──ちなみにビッグダディが女性を選ぶ時の条件って何ですか? ビッグダディ 選ぶも何も、選んだことなんてないよ。今まで何回も結婚して別れたりを繰り返してきたけど、プロポーズもしたことがない。女に対しては好みもタイプもないんですよ。痩せてようと太っていようと、乳がでかかろうとなかろうと……そんなこと関係ないし、興味もない。 ──セックスが嫌いな女性でもOK? ビッグダディ 今の女がそうだよ。1年半セックスしていないよ。しょっちゅう会っていますけど、していない。
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──性欲がたまった時はどうするんですか? ビッグダディ 俺はそもそも性欲はないんですよ。性欲は、全くと言っていいほどない。ただ精力はあります。やるとなったら朝まででもできますよ。精力と性欲は別物なんです。性欲と排泄欲もまた別物です。 ──では、ビッグダディにとって性欲とは何なんですか? ビッグダディ 本能ですよ。やりたいと思うのは本能なんです。でも、かわいいと思ったりきれいだと思ったりするのは理性。理性は俺にもありますよ。 ──彼女と部屋に一緒にいると、たいていの男はやることをまず最初に考えたりするものですが。 ビッグダディ 俺だって若い頃はそうだったよ。若い頃はそれが人の何倍もあって、それを経て今がある。でも今は違う。みんなそうあるべきだよ。そうしないと50を越えても60を越えても女に引きずられているような人生を歩むことになる。過去には宇野宗佑みたいに総理大臣にまでなっても、たった2カ月でマ○コに引き摺り下ろされたようなやつもいるでしょう。せっかく仕事の能力はあっても、女に対して抱く男のそういう本能は、また別のところから出てくるんだろうね。 ──性欲がないということは、オナニーもしていないんですか? ビッグダディ 俺は嫁さんがそばにいる時しかオナニーはしない。嫁さんがいる時はしょっちゅうやるし、(精子の)製造工場も活発だから、さっき言った排泄欲というのが出てくる。今日は「セックスしたい」まではいかないけど、出したいという気持ちがあるから、出す。でも、嫁さんがいなくなると俺の製造工場は活発じゃなくなるから、オナニーも必要じゃなくなるんだ。 ──オナニーする時は誰を思うんですか? 奥さんの前でするということは奥さんを思うわけですか? ビッグダディ 嫁の前でするんだし、嫁の乳触りながらチューしてもらいながらオナニーするわけですよ。 ──奥さんにオナニー見られるの嫌じゃないですか? ビッグダディ 嫁にオナニー見られたくないという人、結構多いけど、おかしな話だなと思いますよ。オナニー覚えたての頃に、こう思ったことないですか?「やらせてくれなくてもいい、触らせてくれなくてもいい、この距離で胸の谷間だけ見せてくれれば、俺はそれで気持ちのいいオナニーができる」って。 ──はあ……。 ビッグダディ 嫁がいるということは乳を触ってもいい、チューをしてもいい女がそばにいるわけですよ。だから乳触りながらチューしながらオナニーしてもいいんです。でも、女の方は「わたしの立場は?」ってなるわけだけど、そしたら「俺は出したいだけ。排泄処理みたいなセックスは嫌だから」って断ればいい。普段、チ○コ舐めさせてる女にオナニー見られたくないなんて、わけがわからない。歳取って寝たきりになったら、その人に下の世話もしてもらわないといけないかもしれないのに。 ──今の彼女とは結婚する予定とかないんですか? ビッグダディ 今の彼女は自分で結婚に関しては不適格者だって。俺もそう思っているし、お互い結婚願望はない。今の彼女はとにかく自分の子どもが大事。子どもとの生活を変えたくないというのもあってね。 ──今、沖縄で暮らされていて、ジンギスカンのお店をやっているとか。 ビッグダディ はい。 ──今までの仕事より儲かりますか? ビッグダディ 儲けようと思ってやっていない。面白そうだなって思ってやっている。今回のこの仕事もそうだよ。面白そうだなと思ったから引き受けた。物事を判断する基準はいつも面白いかなということ。 ──結構繁盛しているんですか? ビッグダディ そこそこ。もう1年経つんですけどマイナスの月はない。まあまあ成功だと思いますよ。 ──お客さんはやっぱりビッグダディを目当てにやってくる? ビッグダディ 半々ですね。 ──当分は沖縄でお店やりながらタレント活動をしたりこういったAVの仕事をしていこうという考えなんですか? ビッグダディ タレント活動はあんまりなくなると思いますよ。今回AVの仕事をするわけだし、民放からはあんまり声もかからなくなるでしょう。坂口良子の娘もセクシー女優デビューであれだけ騒がれたけど、その後はバラエティへの出演とか一切ないじゃないですか。 ──だけど、今回の作品ならバラエティに呼びたくなる人もいると思いますよ。これはビッグダディのこれまで培ったエッチなノウハウを見せましょうという企画ですよね。面白いじゃないですか。僕は最初、ビッグダディがAVに出ると聞いて、ただお金に困ってAV男優でもするのかなと思っていたので。 ビッグダディ お金には困っていますよ。慢性的にね(笑)。今は子どもらの仕送りも終わったし、俺だけが食えればよくなったんで、店だけで生活はしていけますけど。 ──一番多い時で、仕送りはどのくらいしていたんですか? ビッグダディ 月45万とか。
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──大変ですね。でも、タレントをやって少しは儲かったのでは? ビッグダディ タレントでは儲かってないですよ。月に70~80万というのが1回あったくらいかな。世間は俺がテレビに出ることで、すげえ稼いでると思っているみたいだけど……まあ、思うのは自由ですよ。 ──今回のAV作品ではどうなんですか。結構お金はもらえるんですか? ビッグダディ まあ……そこそこ今回は頂きますね(笑)。 ──本を出した時より儲かった感じですか? ビッグダディ そんなわけねえだろ(笑)。あんた、俺の書いた本がどれだけ売れたと思っているんだよ。12万部も売れたんだぞ。ある日、俺の口座に突然1,000万が入って来たぞ。ポン、とね。そこまで出してはくれないよ。 ──今回はどういう経緯でAVをやろうと思ったんですか? ビッグダディ 最初お話しいただいた時に、一応言うだけ言ってみようと思って、俺に企画させてくれるなら考えてもいいよって言ったら、成立したんだよ。俺は番組に乗って売れただけかもしれないけど、せっかく世間に名前が知られるようになったんだから、何かひとつ作品のようなものを残せればなって気持ちもあってね。特にセックスは子育て本とか子育てビデオと違って、確固たるバイブルもない。セックスは食事とか排泄と同じ、本能ですることだから、人それぞれ。本できちんと書くより、映像である程度のことを投げて、あとは各々で考えてというふうにできるのではと思ってね。ちょっと台本書いてみたら、これでいきましょうって。 ──AVは見たことはあったんですか? ビッグダディ 一切ないですよ。10代の時、まだアダルトビデオと言われていた時代に見たくらいじゃないですか? 後は一切見ないですね。その頃出ていた中沢慶子はよかったですけどね。なんかこう人間味があって陰があって。明るい気持ちでやっていますじゃなくて、借金背負って切ない気持ちでやっていますよという部分が滲んでいてよかったな……。 ──今回、大槻ひびきさん、南梨央奈さん、阿部乃みくという女優さんが出演しています。 ビッグダディ 全く知らなかったんですが、結構有名な女優さんみたいですね。昨日Twitter見たら「ひびきちゃんに近づくんじゃねえ、触るんじゃねえ」って(笑)。 ──触るなって言っても、ビッグダディが実際やっているわけじゃないですもんね。 ビッグダディ まあ、男優さんが3人来て、という感じです。 ──自分では男優をやろうと思わなかった? ビッグダディ 俺がやると多分、ヌケなくなりますよね。それはやっぱり俺の役割じゃない。プロがいるわけですから。 ──制作会社から「男優をしてみたら?」と誘われたりはしなかったんですか? ビッグダディ 言われましたよ。でもそれならしませんって。してもいいけど、そうしたらこの作品は冷やかしとか話題性だけで終わってしまう。でも今回、主演であることは間違いないです。AV主演デビューといううたい文句に嘘はないです。 ──男優をやってみたいとは思わなかったんですか? ビッグダディ まったくなかったです。 ──収録時間は160分。ダディの授業の部分が多いんですか? ビッグダディ 半々じゃないですか。 ──これを見るとエッチはうまくなりますか? ビッグダディ ヘタな人は何も考えないでやっているからヘタなんです。自分の10年前のセックスと今のセックス、何が違いますか? ──相手のこと思いやるようになったところですかね。昔は性欲をぶつけるだけみたいなところがあったんですけど。 ビッグダディ 普通は10年もやっていれば、なんでも相当うまくなるものなんですよ。でもセックスだけは、なぜか成長しない。それは、考えないからなんです。興奮だけのセックスだけだと、何も成長しないですからね。みなさんがこれを通じて、セックスを考えるきっかけになればいいなって。セックスって非日常だと思っているかもしれないですけど、実は日常なんですよ。俺はセックスの時、普通に話をして相手を笑わせることもありますよ。でも今の男は、なかなかそういうセックスはできない。 ──ご自身では自分のセックスはうまい方だと思っているんですか? ビッグダディ 勉強はしていると思っていますよ。セラピストですから。俺は性欲はないと最初に言ったでしょう。冷静に勃起できるんです。相手によってSにもMにもなれる。する前はカウンセリングから入るんです。相手がどういうセックスを求めているか。若い頃は勉強ばかりしていましたよ。女を口説き落として女から聞くというね。 ──そうして培った内容を、今回男優さんに指示して実践してもらうというないようになっているんですよね。 ビッグダディ そうです。
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──「前戯は一定の速度でやるべし!」「電マは指と併用して使え」「Gスポット探しは女性の姿勢が必要」とか、かなり具体的なテクニックの話も出てきますね。 ビッグダディ テクニックというより理屈ですね。若い女がイケない理由は、アンアン言わないといけないとか、男に対するサービス精神が結構ネックになっていて、それが電マを使うことで結構解決するとか、そういう内容を説明しているんです。実際の男のセックスというのは、ちょっと舐めてやめてしまったり、吸ってみたりとか、いろいろやることを変えてしまってダメになる。同じことを同じリズムでやることで、女は勝手に自分で気持ちを作っていってイクとか、そういうことを説明している。イクきっかけ、イク環境を整えてやることが大切なんです。自分がイカせているんじゃないです。相手がイクんです。今の男は本当にダメになっている。女の子の気持ちの中に、もっと入っていかないと。セックスはコミュニケーションツールなんだと、これがパートナー同士で考えるきっかけになればと思っています。 ──AVですけど、ヌケる内容にはなっているんですか? ビッグダディ そこは大丈夫。ちゃんとプロが関わっているから。 ──電マの使い方も詳しく解説しているということは、ビッグダディの家には電マがあるというわけですか? ビッグダディ ないですよ。女も男の家にある誰に使ったかわからない電マを使われたくないでしょう。ホテルに行けば消毒されたものがあるんですよ。そういうものは家に用意しておくべきものでもない。でも、しょっちゅう使うわけではないよ。引き出しを開けて、女がそれを使いたがれば、ですよ。 ──ちょっと耳にしたんですけど、ビッグダディはコンドームを使わない? ビッグダディ はい。俺とのセックスで妊娠を否定する女とのセックスに興味はない。むしろコンドーム使わないからやるんだと思っています。 ──経験値も聞きたいんですけど、経験人数は? ビッグダディ 765人。嘘ですよ(笑)。別の取材でも聞かれたことあったけど数えたことないよ。 ──100はいきますか? ビッグダディ そういうふうに聞かれたりするけど、100なんてたいした数じゃないよ。一週間に一度女を口説いても、たった2年くらいで100はいくよ。若い頃は一週間に3人も4人も口説いているわけだから、夏休み終える頃には100くらいいく。それくらい一生懸命だったよ、俺は。彼女は作らないって決めていたから。彼女を作ると浮気になっちゃうでしょ。コンドームを使わなくなったのは、ちなみに結婚してからだよ。風俗にも行かない。 ──昔、ナンパしていた時代の女性と、今の女性って、やはり違いますか? ビッグダディ 味噌とクソくらい違う。昔はむしゃぶりつきたくなるようないい女がたくさんいましたよ。今は全くいない。見た目も魅力のない女が増えた。昔の女は横から見ても逆三角形。前から見ても逆三角形。今はウエストまでまっすぐで、かろうじてケツで膨らんでって……。小学生の体系ですよ。そこをいうと、ひびきちゃんはいいですね。包容力のある体をしている。そういう意味で、今の俺の彼女も当たりを引いたなと思いますよ。 ──今回の仕事はその彼女の許可を取ったんですか? ビッグダディ もちろん。ああだからこうだからって説明して納得してもらって。そういうの(絡み)は一切ないからって。基本的には反対ではなかったけど、パッケージとか見たら「意外とつらいもんだね」って。俺も「ごめんね」って。でも、やってみたら面白かったですよ。 ──売れたらもう一本作りますか? ビッグダディ 売れたら考えるかもしれないね。 ──ビッグダディは今後どうなっていくんですか? ビッグダディ それがわかる人がいたら、俺にすぐ紹介してください(笑)。 ──人生にレールは敷かない人なんですか? ビッグダディ レールは、そもそもないもの。明日の朝飯のことくらいしか考えない。 ──最後に……怒らないでくださいよ。美奈子さんに関してですけど、これを見たらどういう気持ちになると思いますか? ビッグダディ その前に、『ハダカの美奈子』(美奈子の自伝的映画)で、美奈子の役をやった中島知子がさんが、美奈子の彫り物を忠実に背中に復元してセックスシーンをどんどん流した時に、それを見た俺がどう思ったかを考えてくれ(笑)。 ──どう思ったんですか? ビッグダディ 盗撮されている気分だよ(インタビュー会場にいた一同大爆笑)。 ──そこはお互い様だと。 ビッグダディ そういうこと。後ろめたいことは何もない。 ──子どもが見たらどうしますか? ビッグダディ どうしますかも何も、子どもだって俺がしていることは知っているわけだから。子どもも見ればいいじゃないですか。でも仮に見たとしても、真新しい感じは全くしないと思いますよ。うちは子どもたちにセックスに関するもっともっと深い話はしてありますから。うちはセックスに関して、エロい観念はあまりないんですよ。性教育という感じでもないですけど。そういうことを面白おかしく、いやらしくいじって取り上げる記者が過去にいたけど、うちはそういう意識は全くない。子どもを持ち出せば俺が失敗したと思うだろうって書いているんだろうけど、そんなことは一切ないです。 ──子どもに電マを使っていることを知られますよ。 ビッグダディ 平気です。ほのぼのしますがな。後ろめたい気持ちもない。まあ、覚悟もないですけどね(笑)。 (取材・文=名鹿祥史) 【あのビッグダディーが遂にAV業界進出!! | KMP】特設サイト http://www.km-produce.com/bd2017/

AVデビューのビッグダディが激白「美奈子にも子どもたちにも、後ろめたさはない!」

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 テレビ朝日系のドキュメンタリー番組『痛快!ビッグダディ』で一躍有名になり、その後タレント活動も行っていた“ビッグダディ”こと林下清志氏が、10月13日発売の『教えてビッグダディ!林下清志のHow to SEX!』で衝撃のAVデビューを飾ることになった。  大槻ひびき、南梨央奈、阿部乃みくといった人気女優も出演する豪華な内容で、ビッグダディは企画から同作に参加。主演・脚本・監修を務める。  内容的にはビッグダディによるセックスの「How to」物になっており、ビッグダディ自身が男優として絡みを見せることはないが、戸籍上の子どもが13人、7度の離婚を経験するなど、女性経験、人生経験ともに豊富なビッグダディの貴重なセックス指南が聞ける内容となっている。  今回はAVデビューまでのプロセスや作品の内容、気になる近況などを聞こうと、ビッグダディを直撃。さっそくインタビューをと思いきや、「サイゾー」に対するビッグダディの強烈な不信感からトークがスタート。ビッグダディの本音の数々に迫ることができた。 ビッグダディ あんた、何? 「サイゾー」の人? ──はい。僕自身はフリーランスですけど。「サイゾー」はご存じですか? ビッグダディ 知ってるよ。俺のことは、あんまりいいこと書いていないイメージだけどな。 ──そんなことはないと思いますよ(笑)。 ビッグダディ 週刊誌とかネットとか……いろいろなところで、いろいろ書かれて……しかも、まったく事実ではない話が書かれていたりするからね。ウソばっかり。 ──一時期、本当にいろんなメディアでビッグダディの記事を見かけましたけど、書き手が取材もせずに勝手に書いたような臆測記事も多かったんでしょうね ビッグダディ うん。あんたもそうじゃないの? ──いやいや(笑)。僕はちゃんと取材をして書きます。ちなみに僕も、ほかの媒体も含めて結構ビッグダディの記事や元奥さんの美奈子さんの記事を書きましたが、ビッグダディに関しては好意的な内容の記事しか書いたことないですよ。 ビッグダディ ウソつけ。面と向かってそんなこと言うということは、そうじゃないってことだよ(笑)。 ──「サイゾー」もたくさんビッグダディを取り上げているということは、内容はともかくとして、やっぱりビッグダディが好きなんだと思いますよ。 ビッグダディ 本当かな(笑)。 ──美奈子さんの取材も多かったので、あえて聞くのですが、美奈子さんとはその後どうなんですか? 連絡は取ったりしているんですか? ビッグダディ 取ってるよ。子どももいるわけだし。俺はそもそも浮気もしないし、DVもないし、相手の金を使い込んだこともないし、あの時も別に荒れた離婚じゃなかったからね。別れた奥さんとは、ほぼほぼみんな連絡は取ってるよ。なんなら、元嫁とその前の嫁の3人で飲んだこともあるよ。飲んだ時は、まあ俺の悪口で盛り上がる素敵な飲み会になるわけだけど(笑)。 ──元嫁と久しぶりに会って、ムラムラするなんてことも……? ビッグダディ それはありえないな。男って、別れた彼女と街でばったり会って「おっ、久しぶりだな。せっかくだからお茶でも」って誘って、「そうだね」って乗ってきた瞬間に、昔しょっちゅうヤッてた間柄だから「今日もしかしたら……」なんて可能性を期待するところもあるんだろうけど、女のほうにはそういう感情はまったくないんだよ。女はそういう感情をきれいに削除できるようにメンタルができてる。別れ方も、もちろん関係してくるけど。俺は男だけど、別れた女に未練はないというタイプ。そういうことはないよ。 ──元カレ、元嫁相手にメソメソするのはかっこよくないと。 ビッグダディ かっこいいとか、そういうことじゃない。それが性分なんだよ。昨日別れたら、今日はもう別の誰かを口説いている。それ自体は何も問題ないでしょう。 ──今、独身ですよね。新しい女性を探し続けている感じですか? ビッグダディ いやいや。今はもういるんだよ。付き合っている女がいるんです。世間にも公表していますよ。ブログでも書いています。俺はマ○コはひとつあればいいので、もう新しい女性を口説く必要もない。 ──いくつくらいの人なんですか? ビッグダディ 40代前半かな……。年齢に関してはまあ、そういうことにしときましょう。 ──ちなみに、ビッグダディが女性を選ぶ時の条件って、なんですか? ビッグダディ 選ぶも何も、選んだことなんてないよ。今まで何回も結婚して別れたりを繰り返してきたけど、プロポーズもしたことがない。女に対しては好みもタイプもないんですよ。痩せてようと太っていようと、乳がでかかろうとなかろうと……そんなこと関係ないし、興味もない。 ──セックスが嫌いな女性でもOK? ビッグダディ 今の女がそうだよ。1年半セックスしていないよ。しょっちゅう会っていますけど、していない。
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──性欲がたまった時はどうするんですか? ビッグダディ 俺は、そもそも性欲はないんですよ。性欲は、まったくと言っていいほどない。ただ精力はあります。ヤルとなったら、朝まででもできますよ。精力と性欲は別物なんです。性欲と排泄欲もまた別物です。 ──では、ビッグダディにとって性欲とはなんなんですか? ビッグダディ 本能ですよ。ヤリたいと思うのは本能なんです。でも、かわいいと思ったり、きれいだと思ったりするのは理性。理性は俺にもありますよ。 ──彼女と部屋に一緒にいると、たいていの男はヤルことをまず最初に考えたりするものですが。 ビッグダディ 俺だって若い頃はそうだったよ。若い頃はそれが人の何倍もあって、それを経て今がある。みんなそうあるべきだよ。そうしないと、50を越えても60を越えても、女に引きずられているような人生を歩むことになる。過去には宇野宗佑みたいに総理大臣にまでなっても、たった2カ月でマ○コに引き摺り下ろされたようなやつもいるでしょう。せっかく仕事の能力はあっても、女に対して抱く男のそういう本能は、また別のところから出てくるんだろうね。 ──性欲がないということは、オナニーもしていないんですか? ビッグダディ 俺は嫁さんがそばにいる時しかオナニーはしない。嫁さんがいる時はしょっちゅうやるし、(精子の)製造工場も活発だから、さっき言った排泄欲というのが出てくる。今日は「セックスしたい」まではいかないけど、出したいという気持ちがあるから、出す。でも、嫁さんがいなくなると俺の製造工場は活発じゃなくなるから、オナニーも必要じゃなくなるんだ。 ──オナニーする時は誰を思うんですか? 奥さんの前でするということは奥さんを思うわけですか? ビッグダディ 嫁の前でするんだし、嫁の乳触りながらチューしてもらいながらオナニーするわけですよ。 ──奥さんにオナニー見られるの嫌じゃないですか? ビッグダディ 嫁にオナニー見られたくないという人、結構多いけど、おかしな話だなと思いますよ。オナニー覚えたての頃に、こう思ったことないですか?「やらせてくれなくてもいい、触らせてくれなくてもいい、この距離で胸の谷間だけ見せてくれれば、俺はそれで気持ちのいいオナニーができる」って。 ──はあ……。 ビッグダディ 嫁がいるということは乳を触ってもいい、チューをしてもいい女がそばにいるわけですよ。だから、乳触りながらチューしながらオナニーしてもいいんです。でも、女のほうは「わたしの立場は?」ってなるわけだけど、そしたら「俺は出したいだけ。排泄処理みたいなセックスは嫌だから」って断ればいい。普段、チ○コ舐めさせてる女にオナニー見られたくないなんて、わけがわからない。年取って寝たきりになったら、その人に下の世話もしてもらわないといけないかもしれないのに。 ──今の彼女とは、結婚する予定はないんですか? ビッグダディ 今の彼女は、自分は結婚に関しては不適格者だって。俺もそう思っているし、お互い結婚願望はない。今の彼女はとにかく自分の子どもが大事。子どもとの生活を変えたくないというのもあってね。 ──現在、沖縄で暮らされていて、ジンギスカンのお店をやっているとか。 ビッグダディ はい。 ──今までの仕事より儲かりますか? ビッグダディ 儲けようと思ってやっていない。面白そうだなって思ってやっている。今回のこの仕事もそうだよ。面白そうだなと思ったから引き受けた。物事を判断する基準はいつも面白いかなということ。 ──結構繁盛しているんですか? ビッグダディ そこそこ。もう1年たつんですけどマイナスの月はない。まあまあ成功だと思いますよ。 ──お客さんは、やっぱりビッグダディを目当てにやってくる? ビッグダディ 半々ですね。 ──当分は沖縄でお店をやりながら、タレント活動をしたり、こういったAVの仕事をしていくんですか? ビッグダディ タレント活動はあんまりなくなると思いますよ。今回AVの仕事をするわけだし、民放からはあんまり声もかからなくなるでしょう。坂口良子の娘もセクシー女優デビューであれだけ騒がれたけど、その後はバラエティへの出演とか一切ないじゃないですか。 ──だけど、今回の作品ならバラエティに呼びたくなる人もいると思いますよ。これはビッグダディのこれまで培ったエッチなノウハウを見せましょうという企画ですよね。面白いじゃないですか。僕は最初、ビッグダディがAVに出ると聞いて、ただお金に困ってAV男優でもするのかなと思っていたので。 ビッグダディ お金には困っていますよ。慢性的にね(笑)。今は子どもらの仕送りも終わったし、俺だけが食えればよくなったんで、店だけで生活はしていけますけど。 ──一番多い時で、仕送りはどのくらいしていたんですか? ビッグダディ 月45万円とか。
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──大変ですね。でも、タレントをやって少しは儲かったのでは? ビッグダディ タレントでは儲かってないですよ。月に70~80万円というのが1回あったくらいかな。世間は俺がテレビに出ることで、すげえ稼いでると思っているみたいだけど……まあ、思うのは自由ですよ。 ──今回のAV作品ではどうなんですか? ギャラはいいんですか? ビッグダディ まあ……そこそこ今回は頂きますね(笑)。 ──本を出した時より儲かった感じですか? ビッグダディ そんなわけねえだろ(笑)。あんた、俺の書いた本がどれだけ売れたと思っているんだよ。12万部も売れたんだぞ。ある日、俺の口座に突然1,000万円が入って来たぞ。ポン、とね。そこまで出してはくれないよ。 ──今回はどういう経緯でAVをやろうと思ったんですか? ビッグダディ 最初お話しいただいた時に、一応言うだけ言ってみようと思って、「俺に企画させてくれるなら考えてもいいよ」って言ったら、成立したんだよ。俺は番組に乗って売れただけかもしれないけど、せっかく世間に名前が知られるようになったんだから、何かひとつ作品のようなものを残せればなって気持ちもあってね。特にセックスは子育て本とか子育てビデオと違って、確固たるバイブルもない。セックスは食事とか排泄と同じ、本能ですることだから、人それぞれ。本できちんと書くより、映像である程度のことを投げて、あとは各々で考えてというふうにできるのではと思ってね。ちょっと台本書いてみたら、これでいきましょうって。 ──AVは見たことはあったんですか? ビッグダディ 一切ないですよ。10代の時、まだアダルトビデオと言われていた時代に見たくらいじゃないですか? 後は一切見ないですね。その頃出ていた中沢慶子はよかったですけどね。なんかこう人間味があって陰があって。「明るい気持ちでやっています」じゃなくて、「借金背負って切ない気持ちでやっていますよ」という部分がにじんでいてよかったな……。 ──今回、大槻ひびきさん、南梨央奈さん、阿部乃みくという女優さんが出演しています。 ビッグダディ 全く知らなかったんですが、結構有名な女優さんみたいですね。昨日Twitter見たら「ひびきちゃんに近づくんじゃねえ、触るんじゃねえ」って(笑)。 ──触るなって言っても、ビッグダディが実際やっているわけじゃないですもんね。 ビッグダディ まあ、男優さんが3人来て、という感じです。 ──自分では男優をやろうと思わなかった? ビッグダディ 俺がやると多分、ヌケなくなりますよね。それはやっぱり俺の役割じゃない。プロがいるわけですから。 ──制作会社から「男優をしてみたら?」と誘われたりはしなかったんですか? ビッグダディ 言われましたよ。でもそれならしませんって。してもいいけど、そうしたらこの作品は冷やかしとか話題性だけで終わってしまう。でも今回、主演であることは間違いないです。AV主演デビューといううたい文句に嘘はないです。 ──男優をやってみたいとは思わなかったんですか? ビッグダディ まったくなかったです。 ──収録時間は160分。ダディの授業の部分が多いんですか? ビッグダディ 半々じゃないですか。 ──これを見るとエッチはうまくなりますか? ビッグダディ ヘタな人は何も考えないでやっているからヘタなんです。自分の10年前のセックスと今のセックス、何が違いますか? ──相手のこと思いやるようになったところですかね。昔は性欲をぶつけるだけみたいなところがあったんですけど。 ビッグダディ 普通は10年もやっていれば、なんでも相当うまくなるものなんですよ。でもセックスだけは、なぜか成長しない。それは、考えないからなんです。興奮だけのセックスだけだと、何も成長しないですからね。みなさんがこれを通じて、セックスを考えるきっかけになればいいなって。セックスって非日常だと思っているかもしれないですけど、実は日常なんですよ。俺はセックスの時、普通に話をして相手を笑わせることもありますよ。でも、今の男は、なかなかそういうセックスはできない。 ──ご自身では、自分はセックスうまいほうと思っているんですか? ビッグダディ 勉強はしていると思っていますよ。セラピストですから。俺は性欲はないと最初に言ったでしょう。冷静に勃起できるんです。相手によってSにもMにもなれる。する前はカウンセリングから入るんです。相手がどういうセックスを求めているか。若い頃は勉強ばかりしていましたよ。女を口説き落として女から聞くというね。 ──そうして培った内容を、今回男優さんに指示して実践してもらうというないようになっているんですよね。 ビッグダディ そうです。
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──「前戯は一定の速度でやるべし!」「電マは指と併用して使え」「Gスポット探しは女性の姿勢が必要」とか、かなり具体的なテクニックの話も出てきますね。 ビッグダディ テクニックというより理屈ですね。若い女がイケない理由は、アンアン言わないといけないとか、男に対するサービス精神が結構ネックになっていて、それが電マを使うことで結構解決するとか、そういう内容を説明しているんです。実際の男のセックスというのは、ちょっと舐めてやめてしまったり、吸ってみたりとか、いろいろやることを変えてしまってダメになる。同じことを同じリズムでやることで、女は勝手に自分で気持ちを作っていってイクとか、そういうことを説明している。イクきっかけ、イク環境を整えてやることが大切なんです。自分がイカせているんじゃないです。相手がイクんです。今の男は本当にダメになっている。女の子の気持ちの中に、もっと入っていかないと。セックスはコミュニケーションツールなんだと、これがパートナー同士で考えるきっかけになればと思っています。 ──AVですけど、ヌケる内容にはなっているんですか? ビッグダディ そこは大丈夫。ちゃんとプロが関わっているから。 ──電マの使い方も詳しく解説しているということは、ビッグダディの家には電マがあるというわけですか? ビッグダディ ないですよ。女も男の家にある誰に使ったかわからない電マを使われたくないでしょう。ホテルに行けば消毒されたものがあるんですよ。そういうものは家に用意しておくべきものでもない。でも、しょっちゅう使うわけではないよ。引き出しを開けて、女がそれを使いたがれば、ですよ。 ──ちょっと耳にしたんですけど、ビッグダディはコンドームを使わない? ビッグダディ はい。俺とのセックスで妊娠を否定する女とのセックスに興味はない。むしろコンドーム使わないからやるんだと思っています。 ──経験値も聞きたいんですけど、経験人数は? ビッグダディ 765人。ウソですよ(笑)。別の取材でも聞かれたことあったけど。数えたことないよ。 ──100人はいきますか? ビッグダディ そういうふうに聞かれたりするけど、100人なんてたいした数じゃないよ。1週間に一度女を口説いても、たった2年くらいで100人はいくよ。若い頃は1週間に3~4人口説いているわけだから、夏休み終える頃には100人くらいいく。それくらい一生懸命だったよ、俺は。彼女は作らないって決めていたから。彼女を作ると浮気になっちゃうでしょ。コンドームを使わなくなったのは、ちなみに結婚してからだよ。風俗にも行かない。 ──昔、ナンパしていた時代の女性と、今の女性って、やはり違いますか? ビッグダディ 味噌とクソくらい違う。昔は、むしゃぶりつきたくなるようないい女がたくさんいましたよ。今はまったくいない。見た目も魅力のない女が増えた。昔の女は横から見ても逆三角形。前から見ても逆三角形。今はウエストまでまっすぐで、かろうじてケツで膨らんでって……。小学生の体系ですよ。そこをいうと、ひびきちゃんはいいですね。包容力のある体をしている。そういう意味で、今の俺の彼女も当たりを引いたなと思いますよ。 ──今回の仕事はその彼女の許可を取ったんですか? ビッグダディ もちろん。ああだからこうだからって説明して納得してもらって。そういうの(絡み)は一切ないからって。基本的には反対ではなかったけど、パッケージとか見たら「意外とつらいもんだね」って。俺も「ごめんね」って。でも、やってみたら面白かったですよ。 ──売れたら。もう1本作りますか? ビッグダディ 売れたら考えるかもしれないね。 ──ビッグダディは今後どうなっていくんですか? ビッグダディ それがわかる人がいたら、俺にすぐ紹介してください(笑)。 ──人生にレールは敷かない人なんですか? ビッグダディ レールは、そもそもないもの。明日の朝飯のことくらいしか考えない。 ──最後に……怒らないでくださいよ。美奈子さんに関してですけど、これを見たらどういう気持ちになると思いますか? ビッグダディ その前に、『ハダカの美奈子』(美奈子の自伝的映画)で、美奈子の役をやった中島知子がさんが、美奈子の彫り物を忠実に背中に復元してセックスシーンをどんどん流した時に、それを見た俺がどう思ったかを考えてくれ(笑)。 ──どう思ったんですか? ビッグダディ 盗撮されている気分だよ(一同大爆笑)。 ──そこはお互い様だと。 ビッグダディ そういうこと。後ろめたいことは何もない。 ──子どもが見たらどうしますか? ビッグダディ どうするも何も、子どもだって俺がしていることは知っているわけだから。子どもも見ればいいじゃないですか。でも仮に見たとしても、真新しい感じはまったくしないと思いますよ。うちは子どもたちには、セックスに関するもっともっと深い話はしてありますから。うちはセックスに関して、エロい観念はあまりないんですよ。性教育という感じでもないですけど。そういうことを面白おかしく、いやらしくいじって取り上げる記者が過去にいたけど、うちはそういう意識はまったくない。子どもを持ち出せば俺が失敗したと思うだろうって書いているんだろうけど、そんなことは一切ないです。 ──子どもに電マを使っていることを知られますよ。 ビッグダディ 平気です。ほのぼのしますがな。後ろめたい気持ちもない。まあ、覚悟もないですけどね(笑)。 (取材・文=名鹿祥史) 【あのビッグダディーが遂にAV業界進出!! | KMP】特設サイト http://www.km-produce.com/bd2017/

都市伝説のメリーさんを追い、煩悩だらけの禅僧 最期の夢に伴走した中村高寛監督が20年を振り返る

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“青い目の禅僧”ヘンリ・ミトワの生涯を追ったドキュメンタリー映画『禅と骨』。横浜出身の日系米国人が求め続けた家族像と夢が浮かび上がる。
 都市伝説として知られていた“白いメリーさん”の実像を追ったドキュメンタリー映画『ヨコハマメリー』(06)は、異例のロングランヒットを記録した。横浜の街角に白塗りの街娼として立ち続けたメリーさんは1990年代半ばに姿を消したことから亡くなったと思われていたが、『ヨコハマメリー』のクライマックスには地方都市で元気そうに暮らすメリーさんが登場し、観客は驚くと同時に戦後社会を孤高に生き抜いてきたメリーさんの素顔に胸を打たれた。そして、8年がかりで『ヨコハマメリー』を完成させた中村高寛監督の11年ぶりとなる新作ドキュメンタリーが『禅と骨』。京都・天龍寺の禅僧として修業を積んだ日系米国人ヘンリ・ミトワの生涯を描いたものとなっている。10年に1本ペースながら、誰にも真似できない映画を撮り続ける中村監督がドキュメンタリーへのこだわりについて語った。 ──『ヨコハマメリー』の最後にメリーさんが登場するシーンを撮るため、中村監督はまずメリーさんのいる老人ホームで2週間ボランティアしながら通ったと聞いています。1シーンを撮るために、気が遠くなるような時間と手間を掛けていますね。 中村高寛 『ヨコハマメリー』でのメリーさんの撮影の経緯をお話すると、実はすごく悩んだんです。もともと本人不在のドキュメンタリーとして、メリーさんのことを知る関係者たちの証言で本人像を浮かび上がらせる構成を考えていたんですが、横浜から姿を消したメリーさんの居場所がいろいろ取材しているうちに偶々分かってしまった。そのことを知っているのは僕だけだったので、僕が黙っていれば本人不在のドキュメンタリーとしてきれいな構成で完成するはずでした。でも知ってしまったからには、目を背けることはできない。それで、まずメリーさんのいる老人ホームを訪ね、ただ訪ねるのも何なので、2週間ほど老人ホームで配膳などを手伝うボランティアとして通い、メリーさんとの関係性をつくっていったんです。 ──メリーさんに初めて会ったときはカメラを持って行かなかった? 中村 カメラは持たずに訪ねました。メリーさんの居場所が分かった時点でワイドショー的に取材することもできたんでしょうが、『ヨコハマメリー』にはそういう取材は合わないなと思ったんです。それからメリーさんと親しくしていた映画の出演者たちに、「メリーさんはここにいます」と住所と近況を知らせるという種蒔きをしたんです。種がうまく育つかは分かりませんでしたが、メリーさんと懇意にしていたシャンソン歌手の元次郎さんが一度会いに行き、それから元次郎さんが癌になったことから再び彼にカメラを向けることになり、メリーさんのいる老人ホームでリサイタルを開く様子を撮ることになったんです。メリーさんの居場所が分かったのが2000年で、元次郎さんがリサイタルを開いたのが03年。言ってみれば、時間の演出ですね。 ──メリーさんは映画が劇場公開される前に亡くなったそうですね。 中村 『ヨコハマメリー』は06年に劇場公開したんですが、メリーさんは映画の完成後の05年に、元次郎さんは完成直前の04年に亡くなりました。映画を観た方の中には「この映画は破綻している」という人もいました。本人不在のドキュメンタリーだったのに、メリーさん本人が最後に現われたからです。でも、僕はメリーさんと元次郎さんの再会シーンをどうしても入れたかった。あのシーンがないと、この映画は終われないなと思ったんです。病室にいた元次郎さんがメリーさんに会いに列車に乗るシーンの直前、元次郎さんのいない病室が一瞬だけ映るんですが、そのことを「黄泉の世界へ向かうシーンだ」という見方をする人もいましたね。そういう解釈もありかなと思います。
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『禅と骨』を完成させるまで8年間要した中村監督。「ドラマパートの撮影も充実していました。3日間で集中して撮ったんです」。
■サイアクの出逢いから始まった11年ぶりの新作 ──『ヨコハマメリー』の劇場公開から11年。京都のヘンリ・ミトワさんとはどのように知り合ったんでしょうか? 中村 『ヨコハマメリー』は戦後の日本社会を、戦争を体験していない世代である僕の視点から描いたものだったので、次回作を撮るなら米国という要素は外せないと思っていました。そんなとき、横浜の映画館シネマ・ジャック&ベティでのトークイベントの後、林海象さんと呑みながら、「横浜生まれで横浜育ちの日系米国人の禅僧のドキュメンタリーを撮ってみないか」と言われたんです。僕はそのときヘンリ・ミトワさんのことを知りませんでしたが、『赤い靴』を映画化したがっているという話も聞いて、面白そうだなと思ったんです。それが08年。その年に京都みなみ会館で『ヨコハマメリー』がリバイバル上映されることが決まったので、それで林さんに仲介してもらい、まずはミトワさんに一度会うことにしたんです。 ──禅寺で修業したはずのミトワさんですが、『禅と骨』の中では監督にキレるなど、かなり感情の起伏の激しい人物だったようですが……。 中村 会っていきなり、ミトワさんに叱られたんです。僕のことも知ってもらおうと思って、『ヨコハマメリー』の上映にミトワさんを招待したんですが、上映が終わって会場に残ってくれたお客さんのパンフに僕がサインをしていたところ、「なんじゃい、この映画。ドキュメンタリーなのに、メリーさんは出てこねぇじゃねぇか」と大声でずっと怒鳴っていたんです。それでパンフを買うために残っていたお客さんたちはサァ~と帰ってしまった。みなみ会館の支配人は顔を真っ赤にして怒っていました。そこへ遅れて林さんが現われて、「終わった」と思ったそうです(笑)。林さんは僕にミトワさんのドキュメンタリーを撮らせるつもりだったんですが、その時点でまだミトワさんはドキュメンタリーを撮ることをOKしていなかった。いきなりミトワさんから罵倒され、パンフも売りそびれ、サイアクの出逢いでした。それで横浜に戻って、「もう二度と会うこともないだろう」と思っていたら、1週間ほどして、ミトワさんから「東京に行くので、ぜひ会ってください」というメールが届いたんです。無視してもよかったんでしょうが、当時すでに90歳近かった禅僧のお願いをそう無下には断れませんでした。ミトワさんは童謡の『赤い靴』を映画化したがっていて、スポンサー探しのためにたびたび上京していたんですが、そのときの相談相手に僕を選んだんです。僕をツッコミやすい相手だと思ったんでしょう(笑)。しかも相談に乗ってあげているのに、会う度にコーヒー代を僕が払うはめになってしまった。僕がコーヒー代の伝票を手に取ると「ありがとう」とニコッと笑うんですよ。 ──そうやって、ミトワさんとの関係性ができてしまった。 中村 人間関係って、本当に最初が肝心ですよね(笑)。その頃のミトワさんは『赤い靴』の映画化がなかなか進まず、ストレスがいちばん溜まっていた時期だったようです。僕は僕で、『ヨコハマメリー』の後、次の作品を撮ることができずに悩んでいました。自分の撮りたい映画を撮れずにいるという2人の心境がシンクロしたんです。僕はドキュメンタリーを撮る際に、内面的必然性というものを自分に問うようにしているんですが、『禅と骨』の場合は自分がどうしても撮りたい題材というよりも、「ミトワさんの最後の夢を叶える手助けをしよう」という想いでした。普通のドキュメンタリーに比べるとかなりイレギュラーですが、それが今回の原点でした。
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『禅と骨』のドラマパート。ウエンツ瑛士、余貴美子、緒川たまき、永瀬正敏、佐野史郎……と豪華なキャスティング。
■映像には被写体の念が篭る。だから撮り始めたら必ず形にする ──『赤い靴』の映画化に情念を燃やすミトワさんを中村監督はサポートすると同時に、ミトワさんとその家族を被写体としたドキュメタリーを撮り始める。 中村 『ヨコハマメリー』が話題になったことで、『ヨコハマメリー』を劇映画化しないかという話もいくつかありました。それもあって、ミトワさんのドキュメンタリーをつくり、話題になれば、『赤い靴』の映画化のオファーもくるかもしれないとミトワさんに話したんです。 ──撮影が進んだ後半も、ミトワさんは監督に怒りの感情をぶつけるようになります。あれはミトワさんの体調が悪かったせいですか? 中村 体調の悪化がいちばんの原因だったと思います。撮影を始めてしばらくは好々爺然としていたんです。でも、入院する前後から、僕に怒りの感情をぶつけるようになりました。ミトワさんの考えているドキュメンタリーと、僕が撮っているドキュメンタリーが違うものだったことも要因だったと思います。ミトワさんはテレビや雑誌のインタビューはけっこう受けていたので、取材や撮影は1~2日で済むものと思っていたんです。ところが僕はその頃、すでに4~5カ月はカメラを回していました。ようやくミトワさんに馴染め始めたくらいの感覚だったんですが、ミトワさん的にはもういいだろうと。ずっと撮影されることに飽きてしまっていた。それで僕が「取材はもうやめます」と言い出すように、悪態をつくようになったのかもしれません。そこからはミトワさんと僕との闘いでしたね。 ──被写体が普段隠している顔を見せている。監督としては望むところ? 中村 いや、もっと自然な感じで撮影したかった(苦笑)。 ──途中で、もう止めようとは思わなかったんですか? 中村 ドキュメンタリーって撮影はしたけど、編集しないまま未完成で終わってしまう企画が多いんですよ。でも、僕は一度カメラを回し始めたら、映画としてきちんと形にしたい。写真には被写体の魂が篭るってよく言いますよね。映像にもそれがあると思うんです。その人の念だったり、想いというのが確実に映像の中には残ると僕は思っています。だから、撮ったものはちゃんと作品にしないと成仏しない。僕はそれもあって、撮り始めたものはきちんと完成させるようにしているんです。そうしないと自分の仕事としても完結しない。それまで僕は取材対象者と喧嘩したことはありませんでしたが、ドキュメンタリー映画には“こうでなければならない”という決まった方法論はないと思うので、そのことも含めてミトワさんと改めてしっかり向き合うことにしたんです。僕も本気で怒っていました。自分の怒った声って、こんなんだと分かったときは、恥ずかしかったですね。
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天龍寺の田原住職と対談するヘンリ・ミトワ。撮影中の中村監督にキレるなど、様々な顔をカメラの前にさらけ出してく。
■母への贖罪としての『赤い靴』 ──太平洋戦争直前に米国人の父親に会うために横浜から渡米したミトワさんは、戦時中は日系人収容所に入れられ、戦後はLAのミサイル関連開発会社でエレクトロニクス技師として働き、日本に残した母親の晩年を看取ることができなかった。そんな肉親と生き別れた体験を『赤い靴』として映画化しようとしていた。ままならない人生を歩んできたミトワさんは、せめて映像の世界だけは美しくありたい、夢を叶えたいと願っていたように感じられ、切なくなります。 中村 美しいものを映像に残したいという想いは、確かにあったと思います。ドキュメンタリーの撮影中も、自分のいい姿だけ撮らせようとしていました。それが変わったのは、僕に向かって怒り出したのと同じ頃、長男のエリック夫妻が来日してミトワ家が全員集まった場で、ミトワさんがみんなで一緒にカメラに映ろうとした際に家族間で図らずも諍いが起きてしまってからです。それからは、それまで見せたことのない姿をカメラの前に見せるようになったんです。僕もミトワさんとは本当にガチンコ勝負の日々でしたし、撮っていて葛藤しました。果たして、このドキュメンタリーを観た人は、ミトワさんのことを好きになってくれるんだろうかと。『赤い靴』を映画にしたいという想いは、母親への贖罪の意識が強かったと思います。母親というか、女性への執着みたいなものだったのかもしれません。ミトワ家でミトワさんを支え続けてきた3人の女性たち、妻のサチコさん、長女の京子さん、次女の静さん、彼女たちもミトワさんに振り回され続けた人生でした。サチコさんはクリスチャンだったのに、ミトワさんと一緒に天龍寺で暮らすことになった。京子さんは米国で暮らしていたのに、高校生のときにいきなり言葉の通じない日本に来させられ、高校時代の記憶が欠落しているそうです。静さんの幼い頃、ミトワさんは祇園界隈で遊び回っていて、家にほとんどいない状態だった。それでも静さんは入院したミトワさんの看病は懸命にする。愛憎半ばする関係だったようです。 ──ミトワ家を観ていると、「家族って何だろう?」と思ってしまいます。 中村 ミトワさんは茶道や陶芸に励んだり、禅寺で修業したり、映画をつくろうとしたり、いろんなことに手を出しています。本人も「何でも屋」と自嘲していたように、器用貧乏な人だったのかもしれません。12年にミトワさんが亡くなったとき、「結局、ミトワさんが残したものって何だろうね」みたいなことをスタッフと話していたんです。でも、告別式の場でミトワ家のみなさんが一列に並んでいる姿を見て、その様子をカメラに収めました。ミトワさんが何を残したかは分からないけど、人としての営み、次世代の人たちはちゃんと残したんだなと。これって、ドキュメンタリーをつくること以上にすごいことだと思えたんです。撮影の途中でミトワさんが亡くなり、取材対象者がいなくなったことから僕は虚脱感を覚えましたが、もちろん家族は僕以上だったはず。そんなとき、ミトワさんの遺品の中から、ミトワ家のみんなが映った8ミリフィルムが出てきたんです。これで、すべての点と点が線として繋がったなと思いましたね。 ■ドキュメンタリーとは、自分のはらわたをさらけ出す行為 ──ミトワさん不在の中、『赤い靴』は短編アニメーション『ヘンリの赤い靴』として完成し、14年12月に劇場公開されることに。ドキュメンタリー製作とアニメーションづくりを並行しての作業は大変だったと思います。 中村 7分ほどの短編アニメとして完成させたんですが、製作に1年間要しました。ミトワさんが残した膨大な資料とシノプスをもとに僕が脚本を書き、アニメーション作家に頼んで仕上げてもらった作品です。ドキュメンタリー映画の一環としてやるのなら、1日だけどこかでイベント上映して、満席になった様子を撮ればよかったんですが、1日だけの上映では映画雑誌「キネマ旬報」では劇場公開扱いにならない。それで横浜ニューテアトルで『ヨコハマメリー』と同時上映という形で1週間公開したんです。これでヘンリ・ミトワという名前を「キネマ旬報」に映画人として残すことができた(笑)。『ヘンリの赤い靴』をちゃんと一般公開し、その事実をドキュメンタリー映画として記録したかったんです。 ──ポスターの中のミトワさん、「映画つくってくれて、ありがとな」と笑っているようです。 中村 本当はパソコンをイジりながら、冗談を言い合って笑っていただけなんですけどね。まぁ、せっかくなので、そういうことにしておきましょう(笑)。 ──1本のドキュメンタリーを完成させるために、膨大な時間と労力を費やしている。中村監督自身の生活もあるから、大変じゃないですか。 中村 映画が完成してしまうほうが、僕にとっては大変なんです。ドキュメンタリーを撮っている間は、その製作費を稼ぐために頑張って働く気になれるんです。テレビのドキュメンタリー番組や企業のPRビデオを撮ったり、大学で教えたりしているんですが、それは全てドキュメンタリー映画を撮るというモチベーションがあるからできているんです。映画が完成してしまったら、働く気力も失せてしまう(笑)。基本、僕は自分が撮る映画は自分で製作費を用意しようと考えています。『ヨコハマメリー』がヒットした直後は、「お金は出しますが、口は出しません。ぜひ、中村監督ならではの作品を」などと甘い言葉を掛けられましたが、「お金を出して、口は出さない」なんてことは絶対ありえません(きっぱり)。『ヨコハマメリー』は映画賞を11個ほどいただきましたが、賞をもらっても次の仕事には結びつきませんでした。でも、自分でお金を用意すれば、自分から「負けた、やめた」と諦めない限り、闘いを続けることができる。ドキュメンタリーを撮り続けるということは、自分の闘いを続けるということなんだと思います ──『禅と骨』に続く新作の構想は? 中村 今はまだ『禅と骨』を完成させることに全力を使い果たして、死んだ状態ですね(笑)。「これだ!」と思える取材対象とどうタイミングよく出逢えるかだと思うんです。ここ20年間は取材撮影か映画祭に参加するか以外では旅行をしていないので、普通の旅行がしてみたいですね。 ──『禅と骨』の終盤、ミトワさんの妻サチコさんから「結婚は? ガールフレンドはいないの?」と尋ねられているのは中村監督ですか? 中村 「いません」と答えているのは僕です。サチコさんから、あのとき初めてプライベートなことを質問されて焦ったんです。「もうすぐ、できます」と答えようかと迷ったんですが、正直に答えました。自分のはらわたをさらけ出しているようで、すっごく恥ずかしいですよ(笑)。 (取材・文=長野辰次)
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『禅と骨』 監督・構成/中村高寛 プロデューサー/林海象 ナレーション/仲村トオル ドラマパート出演/ウエンツ瑛士、余貴美子、利重剛、伊藤梨沙子、チャド・マレーン、飯島洋一、山崎潤、松浦祐也、けーすけ、千大佑、小田島渚、TAMAYO、清水節子、ロバート・ハリス、緒川たまき、永瀬正敏、佐野史郎 配給/トランスフォーマー 9月2日(土)よりポレポレ東中野、キネカ大森、横浜ニューテアトルほか全国順次公開 (C)大丈夫・人人FILMS http://www.transformer.co.jp/m/zenandbones ●中村高寛(なかむら・たかゆき) 1975年神奈川県生まれ。97年、松竹大船撮影所よりキャリアをスタート。助監督として、様々なドラマ作品に携わる。2006年にドキュメンタリー映画『ヨコハマメリー』で監督デビュー。ヨコハマ映画祭新人監督賞、藤本賞新人賞などを受賞。NHKハイビジョン特集『終わりなきファイト “伝説のボクサー”カシアス内藤』(10年)などテレビドキュメンタリーも多数手掛けている。

国際暗黒プロデューサー・康芳夫が語る“怪優業”と『家畜人ヤプー』を書いた覆面作家の正体!!

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ここ数年は、怪優として抜群の存在感をみせている康芳夫。熊切監督が撮る『家畜人ヤプー』にも出演する予定だ。
 康芳夫といえば、伝説の興行師だ。モハメド・アリを日本に呼ぶために、イスラム教に入信。アントニオ猪木とアリとの異種格闘技戦ではフィクサーとして暗躍した。ネッシー探検隊の結成、人間かチンパンジーかで世間を騒がせたオリバー君を日本に連れてきたのもこの人。戦後最大の奇書と呼ばれる『家畜人ヤプー』の出版者としても知られる。国際暗黒プロデューサー、虚業家など様々な呼称を持つ康氏だが、中島哲也監督の『渇き。』(14)や熊切和嘉監督の『ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS』(16)などに出演し、新たに“怪優”という肩書きも最近は手に入れている。今年80歳を迎えた康氏が、初の悪役に挑戦した最新出演作『干支天使チアラット』、そして実写映画化の準備が進む『家畜人ヤプー』について大いに語った。 ──河崎実監督の『干支天使チアラット』を拝見しました。主人公たちを苦しめる悪役として、抜群の存在感を放っていますね。 康芳夫 ははは、楽しんでもらえましたか。河崎監督は出版社を通じて僕に出演のオファーをしたんだけど、これは実に奇妙な作品ですね。パロディーというかナンセンスというか、これまでの日本映画では見たことのないタイプの作品になっています。僕が出演したのは1日だけだったけれど、思っていたよりもカット数は多かったし、河崎監督がいろいろと考えてくれた台詞もあってね、楽しい撮影現場でしたよ。 ──これまでにも中島監督の『渇き。』にチラッと登場し、『ディアスポリス』では裏都知事役を演じました。 康 僕が俳優デビューした経緯をお話すると、中島監督から手紙が届いたことがきっかけでした。中島監督のことを僕は知らなかったんだけれども、彼の事務所を訪ねたところ、『下妻物語』(04)や『嫌われ松子の一生』(06)など僕が面白いなぁと思っていた映画のポスターが貼ってあり、「あぁ、僕が面白いと思った映画を撮っていたのが中島監督だったのか」と分かったんです。それで中島監督から「ぜひ映画に出てください」と言われ、「いや、こちらこそ」と俳優デビューすることが決まったわけです。実際には何カットか撮影したんですが、編集の都合で僕が映っているのは一瞬だけになった。その後、ドキュメンタリー映画『酒中日記』(15)にも南伸坊と一緒に出ています。それから熊切監督が僕のところに『家畜人ヤプー』を映画化したいと現われ、その際に俳優としても出演してほしいと頼まれて、『ディアスポリス』にも出演することになったんです。熊切くんが今度撮る『家畜人ヤプー』とは別の新作にも出演する予定です。新興宗教の教祖を演じることになりそうです。
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クラウドファンドで製作された『干支天使チアラット』。希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香ら人気セクシー女優が大活躍。
■リアルと虚構との境界線上を生きる男 ──これまでの出演作は素の康さんがそのまま映画に出ている感じでしたが、『干支天使チアラット』ではフィクションならではの悪役を楽しまれたのではないでしょうか。「この世界は無意味なものだ」などの台詞は康さんが口にすると、すごく意味深に聞こえます。 康 あの台詞はね、僕がふだん考えていることを河崎監督がうまく台詞として盛り込んでくれたんです。他にもね、河崎監督がカットしてしまったけど、いろいろ撮りました。「内田裕也に僕が似ているんじゃない。内田裕也が僕に似ているんだ」とかね(笑)。あとね、「ばくちの貸しを返せ」なんて台詞を僕は言ったんだけど、それもカットされてしまいました。実際、彼は賭けポーカーで1億円くらい借金しているからね。まぁ、大昔の話だから時効でしょう(笑)。 ──賭けポーカーで1億円の借金!! 康 僕らがやっていたのは「ハイロー」という複雑なポーカーで、芸能人やヤクザ、もしくはプロのポーカープレイヤーしかやらないものでした。素人はやりません。作家の色川武大は分かりますか? 彼に賭けポーカーを紹介したのは僕なんだけど、それでポーカー場に出入りするようになった彼は膨大な借金を抱えて、一時期姿を消したんです。しばらくして、阿佐田哲也と名前を変えました。『麻雀放浪記』を書く前のことです。賭けポーカーは非常にスリリングなゲームで、動く金額も大きいんですよ。 ──国際暗黒プロデューサーという肩書きは、伊達ではないと。 康 国際暗黒プロデューサーというのは、マスコミが僕に付けたあだ名みたいなものです。まぁ、ボクシングの興行の世界は以前はやっかいなこともあり、裏社会との繋がりもありましたから。でも、僕がボクシングのプロモートをしていたのは50年近く前のことです。今はボクシングの世界も変わったでしょう。 ──康さんの言動には、どこまでがリアルでどこからがフィクションなのか分からない魅力があります。 康 おっしゃる通りです。いわゆるマージナルライン、リアルとフィクションとの狭間をさまよっているのが僕という存在です。虚実皮膜の世界で僕は生きているので、いったいどこまでがリアルで、どこからがフィクションなのやら(笑)。河崎監督もね、そこを狙って僕を起用したようです。撮影したのは僕の80歳の誕生日でした。合成シーンが多かったので現場ではよく分からなかったけど、今日の舞台挨拶には女優のみなさん(希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香)も集まって、キレイな方たちばかり。もう一人の女優さん、姫乃たまさん。彼女が書いた本(『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』)は読みました。彼女が書いた本も、彼女もなかなか面白いですよ。
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康芳夫が『干支天使チアラット』で演じるのは、敵役である“風のマンチカン”。原作では半裸の美少年だったが……。
──でも、なぜ80歳近くになって“怪優業”に目覚めたんでしょうか? 康 もともと大島渚監督や若松孝二監督からは映画に出るように言われていたんです。彼らとは一緒に毎晩のように新宿で呑んでいましたから。映画の製作を手伝ったりしていました。久世光彦(TBSドラマ『ムー』『寺内貫太郎一家』の演出、プロデューサー)を知っていますか? 彼は僕と大学(東京大学)で同期だったんです。彼のほうがちょっと年上だったけど。彼からもドラマに出るようにしつこく言われました。でも、その頃は仕事が忙しかったし、彼らにイジられるのがいやだったので、それで断っていたんです。別に俳優業がいやで断っていたわけじゃありません。大島くんが『戦場のメリークリスマス』(83)を撮るときは僕からアドバイスしたんだけど、それで喧嘩別れしてしまってね。その後、彼は病気になって亡くなったでしょ。若松くんも交通事故で亡くなってしまった。最近はね、オファーがあれば出演するようになりました。まぁ、いい時間潰しになりますよ(笑)。僕も80歳。この年齢の新人俳優を使おうなんて、ありがたいことです。撮影現場は肉体的にしんどいこともあるけど、なかなかエキサイティングな世界だと思っています。新しいことに挑戦できるなんて楽しいですよ。
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戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の作者の正体は誰なのか? その秘密を知っているのは康芳夫だけである。
■『家畜人ヤプー』に魅了された奇才たち ──チアラット(希崎ジェシカ)たちと対立するシャノワール(姫乃たま)に、マンチカン(康芳夫)が「ヤプーは読まれましたか?」と尋ねるシーンがありますね。何度も噂が流れては消える『家畜人ヤプー』の映画化はどうなっているんでしょうか? 康 5年前に熊切監督が僕のところに来て、「どうしても映画化したいんです」と頼みにきてね。熊切監督は大阪芸術大学出身で、大学時代の教官が中島貞夫監督です。中島貞夫が『家畜人ヤプー』を映画化したいと言ってきた最初の監督でした。実際に僕のところに来たのは中島貞夫ではなく、天尾完次プロデューサーでしたが、面白い縁だなと思いました。ちなみに中島貞夫の次に名乗りでてきたのは中平康監督。彼は若くして亡くなったけど、彼が病気にならなかったら、映画は完成していたはずですよ。その後が『太陽を盗んだ男』(79)の長谷川和彦監督。彼も僕の大学の3つほど下の後輩。長谷川くんとうまくいかなかったのは予算の問題もあったけど、彼は勝手に動いて振り回すわけですよ。それでね、僕から言って降りてもらいました。アニメ化の話も幾つかありました。スタンリー・キューブリック監督のエージェントからも打診を受けていた時期もありましたが、キューブリックは『アイズ ワイド シャット』(99)を撮って亡くなってしまった。最近『ツイン・ピークス』がまた話題になっているデヴィッド・リンチ監督からも、映画化したいと言われていました。でも、デヴィッド・リンチが撮ると、僕のイメージとは別のものになってしまうなと思い、断りました。熊切くんはね、信頼できる監督です。彼が大学時代に撮ったデビュー作『鬼畜大宴会』(88)を観て、彼なら『ヤプー』の映画化を任せられると思ったんです。 ──舌人形や肉便器がどのように実写化されるのか、今からドキドキします。 康 出版した当時(1970年)、僕は右翼に襲われたんです。『家畜人ヤプー』で描かれた未来世界では白人が最高位、黒人は奴隷、黄色人種はそれより下の家畜人となっているわけです。『家畜人ヤプー』を書いた作者は日本人なんだけれども、日本人に対する大変な侮蔑感と同時に白人への反感も持っている人物でした。日本でいちばんの神様であるアマテラスオオミカミですが、『家畜人ヤプー』ではアナテラスオオミカミとなっています。それで右翼が怒って、僕の事務所を襲撃してきました。「康が仕込んだんじゃないか」と噂されましたが、これは本当の話でNHKニュースにもなりました。まぁ、『家畜人ヤプー』の映画化については、近いうちに正式発表されるでしょう。そうそう、日本でいちばん有名なアニメ『君の名は。』(16)を撮った新海誠監督がいるでしょ。彼の奥さんは三坂知絵子という女優で、彼女は高取英の劇団「月蝕歌劇団」で『家畜人ヤプー』を舞台化したときに出演してくれたんです。過去には寺山修司、唐十郎も舞台化したがっていました。『家畜人ヤプー』には日本の文壇、文化人のほとんどの人が関わり、エピソードに事欠かない作品なんです。 ■覆面作家にまつわる二重三重の秘密 ──『家畜人ヤプー』の原作者である沼正三から、康さんは出版権や映像化権など全権を委任されたわけですが、康さんは覆面作家・沼正三の正体を知っているんですよね? 康 もともとは三島由紀夫が「面白い小説がある」と、SM雑誌「奇譚クラブ」に連載されていた『家畜人ヤプー』の切り抜きを僕のところに持ってきたことが始まりだったんです。三島由紀夫がプロデューサーでした。それで僕は大阪にいた「奇譚クラブ」のオーナーを訪ねて、彼は関西で有名な相場師だったんですが、あらゆる手段を使って僕は彼から『家畜人ヤプー』の原作者・沼正三の連絡先を聞き出したんです。最終的には沼さんに直接会うことができました。どういう人物かということは、今はまだ話せません。沼さんは8年前に亡くなりました。沼さんの本当の正体を知っているのは僕だけです。 ──そこをもう少しお願いします。沼正三=新潮社の社員校閲者だった天野哲夫説、東京高等裁判所の判事だった倉田卓次説……など、いろんな説が流れました。 康 天野さんが沼正三の代理人だったことは事実です。面白い話をしましょう。沼さんが亡くなったときに、僕から共同通信の記者に情報を流したんです。その記者は『家畜人ヤプー』の熱心なファンだったので、彼に沼正三の死亡記事を書かせようと思ったわけです。ところがその記者の上司が「また康にハメられるぞ」と言い出し、なかなかOKしなかった。結局、記事は掲載されましたが、それは世にも奇妙な死亡記事でした。記者は共同通信社のスクープ賞をもらったそうです。 ──沼正三の代理人を名乗っていた天野哲夫さんは、2008年11月30日に亡くなっています。やはり沼正三=天野哲夫なのか、それともまだ秘密が隠されているのか? 康 こう考えていただきたい。『家畜人ヤプー』はコラボレーションから生まれた作品だと。当時の高等裁判所の主席判事だった倉田卓次さんは、雑誌「諸君!」(82年11月号)で“覆面作家は東京高裁判事”という記事が出て、そのせいで最高裁判所の裁判官になることが決まっていたのに、流れてしまったんです。でも彼はそのことを恨んではいなかった。彼自身は「僕は書いていません」と言うだけでしたが、僕は「倉田さんは関係ない」とは一度も言っていません。彼が作者ではないことは事実ですが、英語でいうところのバイタルロール、とても重要な役割を果たしています。だからコラボレーションなんです。倉田さん以外にも関わっている人物はいますが、まだ存命で、社会的地位もあるので実名を出すことはできません。僕に何かあったときには真相が分かるようにと、遺書を弁護士に預けています。 ──いずれにしろ『家畜人ヤプー』が映画化されたときは、「猪木vs.アリ」戦のように世界中に衝撃が走ることになりそうですね。 康 そうです。『家畜人ヤプー』のフランス語版、中国語版はすでに出版されています。中国語版は台湾だけでの発売だけど、一説によると中国大陸では地下出版され、2,000万部の大ベストセラーになっているらしい。契約していたNYの出版社が倒産して立ち消えになっていた英語版も、近いうちに出版される予定です。どうか楽しみにしていてください。 (文=長野辰次/写真=尾藤能暢) ●康芳夫(こう・やすお) 1937年生まれ、東京都出身。東京大学在学中に五月祭の企画委員長を務める。大学卒業後、興行師・神彰のもとでソニー・ロリンズなどの呼び屋として活躍。独立後はモハメド・アリ対マック・フォスター戦、トム・ジョーンズの来日公演を実現させた。1973年は石原慎太郎を隊長にした「国際ネッシー探検隊」、76年はオリバー君の日本招聘とアントニオ猪木対モハメド・アリの異種格闘技戦のコーディネーターとして注目を集めた。また、70年にはSF・SM小説『家畜人ヤプー』を単行本化し、原作者・沼正三から映像化権をはじめとする全権を委任されている。2016年には著名人との対談のほかに沼正三の生原稿なども収録した『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー康芳夫と各界の巨人たちとの響宴』(辰巳出版)を上梓している。 http://yapou.club
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■映画『干支天使チアラット』 原作/中川ホメオパシー 脚本/海神える、河崎実 監督/河崎実  出演/希崎ジェシカ、辰巳ゆい、友田彩也香、掟ポルシェ、ルノアール兄弟、ベッド・イン、姫乃たま、康芳夫 製作・配給/リバートップ 9月3日(日)渋谷ユーロスペースにて舞台挨拶つき上映イベントあり