競争激化するソーシャルゲーム業界の舞台裏〜失速するグリー、独自路線で参入の任天堂…

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
パズル&ドラゴンズ(「ガンホー・オンライン・エンターテイメント HP」より)
 「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/7月27日号)は、『主役交代 ゲームウォーズ』という特集を組んでいる。  「ゲーム業界における『ゲームのルール』が変わりつつある。クラウドをはじめとするネットワーク環境の整備、スマートフォンやタブレットといった情報端末の技術革新と急速な普及、ソーシャルメディアの浸透によるコミュニケーションの変化と、遊びの概念の広がり……。あらゆる要素が一気に押し寄せているためだ。この波に乗って成長を遂げる新興勢力と、任天堂、ソニー・コンピュータエンタテインメントといった老舗企業の間で、熾烈な戦いが繰り広げられている」ゲーム業界に迫った特集だ。  火付け役は、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(ガンホー)のスマートフォン(スマホ)向けゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」だ。ガンホーは、2013年度第1四半期の売上高が前年同期比800%超、営業利益7000%超と、驚異的な飛躍を遂げ、新興企業向け株式流通市場JASDAQにおける同社の株価は上昇し、5月14日に年初来高値の163万3000円をつけた。 つづきを読む

資産売却で“ゴキブリ企業”となったソニー テレビは今期も赤字?

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) “つぶやき”“ウィキ”等ネット情報から重大事件を予測する、国家プロジェクト始まる 30歳の平均貯蓄額は約330万円!! 貯蓄出来る人と出来ない人の違いとは? 「表紙は山岸舞彩」「GOETHE」の秘書特集に垣間見るオヤジリビドーのほとばしり具合 ■特にオススメ記事はこちら! 資産売却で“ゴキブリ企業”となったソニー テレビは今期も赤字? - Business Journal(6月11日)
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プレステ頼み。(「ソニーHP」より)
 ソニーは2014年3月期決算で「テレビ事業は黒字化。エレクトロニクス部門も黒字」との見通しを発表した。テレビが黒字になると信じているアナリストは皆無に近い。10年連続してテレビは赤字になると予想する。テレビ部門の累積赤字は9年間で7000億円に上る。9年間の金融部門の累計の黒字額、8800億円を、テレビという名のモンスターが喰い潰してしまった。  液晶テレビの14年3月期の販売台数(予想)は1600万台。13年同期は1350万台を売って696億円の営業赤字だ。12年同期(1960万台を売って2075億円の大赤字)に比べて「赤字幅は縮小した」と書いた全国紙が多かったが、「4Kテレビ」で黒字になることは絶対にない。経済に絶対はないから、ほぼ100%ないと言っておく。  加藤優CFO(最高財務責任者)は「エレクトロニクス部門で今期1000億円規模の営業利益を見込んでいる」と黒字化に自信をみせた。他方、「同部門の赤字は圧縮されるだろうが、300~400億円の赤字は残る」とみるアナリストが多い。「1000億円規模の赤字が続く」という悲観的な見方さえある。会社側の発表は楽観的すぎる。  その根拠は13年3月期決算にある。売り上げ全体の7割を占めるエレクトロニクス事業を見渡すと、テレビなどが赤字を計上。平井一夫社長の“故郷”であるゲーム事業の営業利益はたった17億円だった。 ●ソニーの主要商品の販売台数(今期は見通し)(単位万台)          14/3   13/3  12/3 液晶テレビ    1600  1350  1960 スマートフォン  4200  3300  2250 デジタルカメラ  1350  1700  非公表 ビデオカメラ    300   370   440 パソコン      750   760   840 据え置き型ゲーム 1000  1650  1800 携帯型ゲーム    500   700   680  今期、スマートフォンは30%近く(27.2%)伸ばす計画だが、アップル、サムスンとの差は大きい。世界第3位の座を中国勢に奪われる月もあり、巻き返しは容易ではない。  為替想定レートは1ドル=90円前後、1ユーロ=120円前後だが、スマホはドル建てで部品を調達して、製造コストの低い海外で生産して、国内で輸入販売している。想定レート以上に円安が進むと、ドルに対して1円の円安で営業利益は年間30億円のマイナスになる。円安万々歳とはいえないのだ。  13年3月期決算の最終利益は430億円となり、08年同期以来5期ぶりに黒字に転換した。営業利益は2301億円で2期ぶりの黒字だ。売上高も5期ぶりに増え、前期比4.7%増の6兆8008億円。いいことずくめのようだが、内実はニューヨークの米国本社ビルやJR大崎駅前のソニーシティ大崎など資産の売却と金融事業の稼ぎが上振れしたからにすぎない。子会社、エムスリーの株式の売却益も寄与した。5期ぶりに黒字に転換した企業を“ゴキブリ”と呼ぶが、ソニーも立派な“ゴキブリ”企業である。 「ソニーは電機メーカーなの? それとも金融会社なの?」(ソニーの若手社員)、「何をやりたい会社なのかが、よくわからない」(中堅社員)。「ソニー製品で欲しいものがありますか?」(ソニーの有力OB)。資産売却がなくなる今期の営業利益の予想は2300億円で、前期とまったく同じ数字だ。たぶんこれも希望的な数字なのだろう。というのも、前期には資産売却分だけで2000億円超の増益要因になっていたからだ。  今期は、資産売却分(2000億円の増益要因)を本業で稼ぎ出さなければならない。決算の数字を見る限り、14年3月期のエレキの黒字は一筋縄ではいかない。ソニー全体で2000億円の営業利益を叩き出せば、実質的には大幅な増益になるわけだが、それでもピーク時(98年3月期)の4割の利益水準にすぎない。  ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は10日(日本時間11日午前)、新型ゲーム機「プレイステーション4」(PS4)を世界最大のゲーム見本市「E3」に合わせてロサンゼルスで初公開した。価格は399ドル(約3万9000円)。年内に発売して2年後にはゲーム事業で200億円の営業利益を上げると強気だが、新型機の発売当初は認知させるための広告宣伝費もかさむ。価格を抑える必要があって利益は出にくい。「スタートダッシュできるかどうかは不透明だ」とソニーに超優しい朝日新聞(11日付夕刊1面)でさえ書いている。ゲーム愛好家がゲーム専用機よりスマホで手軽に遊ぶようになっていることもあって、据え置き型のゲーム機市場はここ数年、右肩下がり(マイナス成長)が続いている。  結論を急ごう。ソニーは金融事業会社であり、本業といわれてきたエレクトロニクス部門の低空飛行は今期も続く。 ●ソニー、ストリンガーの退職金はどうなる?  ハワード・ストリンガー氏は05年にソニーの経営トップに就任した。13年6月まで8年間、実質トップにあった。  この間、ソニーの株価は1000円割れという歴史的な安値をつけた(12年11月の安値は772円)。12年10~12月には月間高値が900円台で1000円に届かないという惨状を呈した。13年1月まで月間安値は900円台。13年2月になってやっと同1265円に回復した。12年の株主総会では株主から「株価1000円割れは(我々にとっても)屈辱以外の何者でもない」という発言が飛び出したほどだ。  米国のヘッジファンドの物言う株主からの「映画・音楽事業を分離して、米国で株式を上場せよ」という提案が現実味を帯びてきたことから、久しぶりにソニー株式が人気化。5月22日には一時、前日比約250円高の2413円まで急伸した。しかし、その後の急落で6月7日に1810円まで下げた。  疫病神のストリンガーが去り、ソニーは事業再編に踏み出す。だが、そう、シナリオ通りにはならないし、平井一夫社長は動かないだろうから残念である。物言う株主が発言したことで、本当に久しぶりにソニーに日が当たったことだけは間違いない。 (文=編集部) ■おすすめ記事 “つぶやき”“ウィキ”等ネット情報から重大事件を予測する、国家プロジェクト始まる 30歳の平均貯蓄額は約330万円!! 貯蓄出来る人と出来ない人の違いとは? 「表紙は山岸舞彩」「GOETHE」の秘書特集に垣間見るオヤジリビドーのほとばしり具合 東京チカラめしへの逆風 出店ペース鈍化、大幅減益…御三家の包囲網でブームに陰り? 歴史ある巨大ホテル、ホテルニューオータニの運営の裏側と、優秀なホテルマンの条件

ソニー、リストラ室の実態 2つの意味で天国!?40歳過ぎて仕事はスキルアップ学習だけ…

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) “超肉食系デキ婚”でヒンシュクの仲里依紗は、離婚危機率が30%以上!? 仮釈放の堀江貴文「服役中、人間関係で身につまされた。事業欲が取れなかった」と語る 30代半ば女子には参加できる婚活パーティがない? 迷走するアラサーたちの現実 ■特にオススメ記事はこちら! ソニー、リストラ室の実態 2つの意味で天国!?40歳過ぎて仕事はスキルアップ学習だけ… - Business Journal(3月27日)
仕事があるだけまし?(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。 ダイヤモンド編はこちら  「週刊東洋経済 2013/3/23号」の特集は『入門 日本経済』だ。「円安と株高で日本経済の風景が変わろうとしている。厳選20テーマと40のキーワードで日本経済の今を読み解いた」特集だ。  テーマ「経済政策」では、安倍自民党政権の経済政策・アベノミクスの評価を竹中平蔵慶應義塾大学総合政策学部教授(肯定派)と池尾和人慶應義塾大学経済学部教授(否定派)にインタビュー。  テーマ「デフレ」については「賃金の下落がデフレの原因だ」とする吉川洋東京大学大学院教授と「消費者を“節約病”から解放する」という新浪剛史ローソン社長・CEOなどのインタビューを行っている。そのほかのテーマとして「円安」「消費税」「TPP」といった議論が紹介されている。向学心にもえる春ならではの特集といえるだろう。  残念なのはテーマ「海外経済」だ。「イタリア政治混迷で欧州危機は再燃するか」というタイトルで、2月末のイタリア総選挙で反緊縮財政派が台頭したことにによる緊縮財政の放棄のおそれと南欧諸国のデフレのおそれが紹介されているのだが、キプロスショックについては何も取り上げられていない。  キプロスショックとは、地中海の小国キプロスはギリシャの財政破綻のあおりを受け、財政が悪化し、加盟する欧州連合(EU)に支援を要請。ユーロ圏の財務省会合は16日、最大100億ユーロ(約1兆2300億円)を支援する条件としてキプロス政府に銀行預金に課税するように求めたことで、10万ユーロ超の銀行預金には9・9%、それ以下には6・75%を課税して58億ユーロを徴収することで合意したというニュースで、キプロス国民とキプロスに預金をしているロシアの富裕層はパニックになったというものだ。  特集自体は日本経済総まくり的な内容で、世界情勢分析は二の次になってしまったようだ。キプロスに関しては前号「3/16号」の巻頭のニュースコラム『不安定の中の「安定」 欧州で燻る政治リスク』の中で14行程度紹介されているだけだ。前号の特集は『相続・贈与から税務署対策まで1億人の税』だっただけに、キプロスの預金課税も紹介できたら充実の特集になっているはずだったと、編集者のくやしがる様が目に浮かぶ。  特集記事ではないが、考えさせられたのは、『REPORT ソニー「中高年リストラ」の現場「キャリアデザイン室」で何が行われているか?』だ。  2月末には東京都品川区に持つ自社ビルを三井不動産系のJ-REIT最大手、日本ビルファンド投資法人などに1111億円で売却したソニー。  ソニーは2012年3月期まで4期連続の最終赤字となっており、業績回復が急務だ。「12年度にグループで1万人の人員を削減する計画で、12年5月、9月、そして今年2月末を期限として『勤続10年以上かつ満40歳以上』の社員を対象に3度にわたり早期退職者の募集が行われ」ているのだ。 「東京キャリアデザイン室」という、社内で「戦力外」とされた中高年の社員を集めて、スキルアップや求職活動を行わせることを目的とした部署が設けられているという。東京キャリアデザイン室には午前9時前に出勤すると、自身に割り当てられた席に着き、パソコンを起動させる。 「会社から与えられた仕事はなく、やることを自分で決めなければならない。『スキルアップにつながるものであれば、何をやってもいい』とされているものの、多くの社員が取り組んでいるのは、市販のCD-ROMの教材を用いての英会話学習やパソコンソフトの習熟、ビジネス書を読むことだ」「必然的に転職のための活動を余儀なくされる。『上司』に当たる人事担当者とは1~2週間に1度の個別面談があり、その際に『他社への就職活動はきちんとやっているか』などと説明を求められる」「もし社内に踏みとどまろうとすれば、誰でもできる単調な仕事しか与えられない。『仕事が見つからずにキャリアデザイン室に在籍して2年が過ぎると、子会社への異動を命じられ、そこでは紙文書のPDFファイル化など、ひたすら単純作業をやらされる』」  ……2000年代までであれば、こうした記事は労働者をリストラする企業側とかわいそうな労働者という構図で語られ、読者も共感していただろう。  しかし、「週刊東洋経済 2013/3/2号」の特集『2030年 あなたの仕事がなくなる』にあったように、コンピュータ技術の加速度的な向上が人間にしか出来ない仕事を大きく侵食し始めている。ITの進化スピードに負けない人間になる必要があるのではないか、というのが2010年代の一般的な現状認識になりつつある。『ワークシフト』(リンダ・グラットン著 プレジデント社刊)や『機械との競争』(エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー共著 日経BP刊)といった本もベストセラーになっているのが現状だ。  こうした現実を前にすると「社外で英会話を学ぶ場合には自分で授業料を払わなければならず、近場での無料の講習会に参加する際に交通費が出る程度。社内の仕事を斡旋してくれることも皆無に等しく、自分で探し出さなければならない」(Bさん 40代)といった「みなさん、聞いてください! こんなひどい目に合っているんですよ!」的なエピソードも、すべての自腹でやらなければならない読者にとっては、なんとソニーは面倒見がいいのだろうとさえ思えてしまう。  さらに、「隣の人との会話はなく、電話もかかってこない。まるで図書館のような静けさ。時々、孤立感や言いようのない焦燥感にさいなまれることがある」(Aさん 50代前半)にいたっては、私のようなフリーの自営業者にとっては当たり前の日常。仕事場が静かならば、自己研鑽の読書(とくに『機械との競争』を読むべし)をつめばいいのではないかとツッコミたくもなる。  ソニーという大企業内でリストラ対象とはいえ、保護された正社員とその外側の厳しい労働環境下で働く読者との間で違和感が生じる記事だ。  こうした違和感に一定の説得力を持ってささやきかけるのが、竹中平蔵慶應義塾大学総合政策学部教授だ。特集内で「解雇規制も変えるべきだ。解雇規制を変えるというと労働者をどんどんクビにしていいのか、という極端な議論をする人があるが、これは趣旨を歪めている」という発言をしている。典型的な市場原理主義者の規制緩和論なのだが、たしかに、解雇規制を緩和すれば、ソニー「東京キャリアデザイン室」の労働力を、必要とされるべき環境にシフトすることができて、企業にとっても労働者にとっても理想的だ。  ただし、経済学的に正しくても現実はそうとは限らない。だとすればどうすればいいのか……このあたりまで踏み込まないと、大企業に保護されていない多くの読者の共感を呼ぶ労働問題の記事にはなりにくくなっている。とはいえ、まさにこのREPORTこそ、日本経済の現状を表す取材記事とはいえそうだ。 (文=松井克明/CFP) ■おすすめ記事 “超肉食系デキ婚”でヒンシュクの仲里依紗は、離婚危機率が30%以上!? 仮釈放の堀江貴文「服役中、人間関係で身につまされた。事業欲が取れなかった」と語る 30代半ば女子には参加できる婚活パーティがない? 迷走するアラサーたちの現実 堀江貴文仮釈放受け、ライブドア元取締役・熊谷史人「自分もスタートラインに」 ソフトバンクも積極採用 ビックデータ時代の職業“データサイエンティスト”って?

落第経営のソニー・ストリンガー卒業 赤字続きでも高額報酬で株主やOBから非難轟々

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 未使用テレカで電話料金を支払える! 使用済みは使えない不思議をNTTに直撃! 従業員がガソリンスタンドを占拠して決起! 残業代未払いなど不当労働に抗議 菅野美穂も常連…キャイ〜ン天野の自宅パーティーが、芸能人たちの“出会い”の場に ■特にオススメ記事はこちら! 落第経営のソニー・ストリンガー卒業 赤字続きでも高額報酬で株主やOBから非難轟々 - Business Journal(3月17日)
ナイトの称号を持つ、
サー・ハワード・ストリンガー氏。
(「Wikipedia」より)
 ソニーのハワード・ストリンガー取締役会議長(71)は3月8日、ニューヨークで開かれた日米交流団体で講演し、取締役会議長の任期が満了する6月末の株主総会で「ソニーから卒業しようと考えている」と退任の意向を表明した。2012年4月に就任した平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者、52)が「しっかり足場を固めてソニーをリードするようになった」と指摘。「自らの役割は終わった」と判断したようだ。  ストリンガー議長の退任表明を受け、平井社長兼CEOは9日、「ソニーにおける多大な貢献に心から感謝する」とのコメントを発表した。  だが、ストリンガー氏はソニーに「多大な貢献した」といえるのか。「心から感謝」するようなことがあったのか。断じて「ノー」だろう。  経営者は結果で評価される。ストリンガー氏が取締役兼代表執行役会長兼CEOに就任したのは05年6月22日。その日のソニーの株価の終値は3890円。時価総額は3兆8791億円。12年4月1日、社長兼CEOを退いた。その前日の3月30日のそれは1704円。時価総額は1兆7119億円だった。  CEO在任中に時価総額を2兆1672億円減らした。これが、ストリンガーCEOがソニーにもたらした実績、いや被害である。経営者としての勤務評定は不可。落第点しかつかない。「多大な貢献」どころではないのである。  ストリンガー氏は、ジャーナリスト出身という珍しいキャリアの経営者だった。米国の3大ネットワークのひとつ、CBSで30年以上テレビの報道記者としてのキャリアを積み、88年から95年までCBSの社長を務めた。  CBSを辞めてインターネットテレビ会社の会長兼CEOになった時に、当時、ソニーの社長だった出井伸之氏にヘッドハンティングされた。97年に米国ソニー社長、98年には同社の会長兼CEOに就いた。映画やレコードなど米国の事業をソニーの稼ぎ頭に育てた実績を買われて、99年ソニー本社の取締役、03年に副会長に昇任した。そして05年6月、会長兼CEOに就任。09年4月からは社長も兼務して、全権を一手に握った。 「ストリンガーはカルロス・ゴーンになれるのか?」  これが日米エレクトロニクス業界の最大の関心事だった。カルロス・ゴーン氏が日産自動車のV字回復を果したように、ソニーを復活させるのではないかという、大きな期待を背に華々しく登場した。  だが、ストリンガー氏はゴーン氏にはなれなかった。黒字回復など具体的な数値目標を掲げたゴーン氏は、「達成できなければ退任する」と不退転の決意で改革に取り組んだ。その結果、日産は巨額な赤字から過去最高の利益へと、絵に描いたようなV字回復を果した。  一方、ストリンガー氏がトップとして在籍した7年間のうち、4年間は赤字を計上した。営業赤字の元凶は、主力事業であるテレビの不振にあった。テレビの再建なくしてソニーの再生はなかった。しかし、テレビ事業をどうやって再建させるのかという具体的な道筋を示さなかった。いや、示せなかったのである。  ストリンガー氏は本音の部分では、自分の守備範囲である映画・ソフトなどの事業をソニー本体から切り離して分離・独立、その会社をニューヨーク証券取引所に新規上場して、その経営に当たりたいと考えていたのではないだろうか。東京にいるソニーの日本人の経営幹部は、だから疑心暗鬼になっていた。  ソニーはモノ作りにかかわる技術力や、音楽を携帯して聴くウォークマンのような新製品を生み出す発想力が衰え、製造部門はリストラを繰り返すだけになった。平井体制になった現在でも、基本的には同じパターンである。  結局、主力のテレビ事業を黒字に転換させることができなかった。ソニーは05年3月期の赤字以来、ストリンガー氏がCEOを退任する12年3月期までテレビ事業は8期連続の赤字となった。12年3月期に2700万台の薄型テレビを全世界に売りまくったが、それでも赤字だ。テレビ部門の累積赤字は約7000億円と推定されている。ストリンガー氏がCEOに在職中も、社長を兼務して、文字通りワンマン体制を確立してからも、テレビ事業は一度も水面に浮上したことがないのである。  平井社長に交代した13年3月期も、テレビ事業は赤字の見通しだ。平井社長は来期(14年3月期)はテレビ事業の黒字化を公約しているが、達成できなかったら、ゴーン氏のように腹を切る覚悟はできているのか。はなはだ疑問なのだ。  ストリンガー氏はソニーの再生に失敗した。だが、経営責任を問われることはなかった。ソニーは委員会等設置会社の形態をとっており、取締役の指名・解任権は指名委員会が握っている。指名委員会に名を連ねる社外取締役が首を縦に振らなければ、ストリンガー氏の首を切ることはできない仕組みになっていた。建前上、指名委員会には、それだけの権限がある。  産業界からは「経営責任を取ろうとしないストリンガーCEOの居座りを許した指名委員会とは名ばかりで、まったく機能していないのではないか」との痛烈な批判が起きた。ストリンガー氏の“お仲間”で指名委員会を固めたから、ストリンガー氏は経営責任を問われずに済んのだ。外国人の社外取締役は、ストリンガー氏を護衛する“親衛隊”と揶揄された。  ソニーは12年3月期の連結決算で、過去最悪となる4566億円の最終赤字に陥った。ストリンガー氏は会長にとどまるつもりでいたが、巨額赤字の前に、さすがの指名委員会も続投を認めるわけにはいかなくなった。結果的に会長兼社長兼CEOを外れた。  ストリンガー氏はゴーン氏にはなれなかったが、役員報酬だけはゴーンに倣った。11年3月期の役員報酬(ボーナス、ストックオプションを含む)の8億1650万円は、全上場会社のなかで、ゴーンに次いで第2位だった。高額報酬は、3期連続して赤字経営の“論功行賞”かと皮肉られた。  ストリンガー氏がCEOを退任した12年6月の株主総会では、彼の巨額報酬がやり玉に挙がった。4期連続の赤字を垂れ流しながら4億4950万円の役員報酬を受け取っていたからだ。株主からは「ソニーの企業価値の毀損は、ストリンガー前CEOが進めた“賞味期限切れ”の戦略が原因だ」との批判が噴出した。株主総会で業績不振の原因を超円高や東日本大震災のせいにするなど、言い訳に終始したストリンガー氏は、株主から「資質のあるトップは外部環境のせいにはしない」と説教されるありさまだった。  平井社長は、自分を大抜擢してくれたストリンガー氏に「心から感謝」しているのかもしれないが、何をもって「多大な貢献」をしたといえるのか。そう思っているのは、平井社長とその側近だけではないのか。ソニーのOBや現役の若手幹部は平井社長のコメントにあきれ、深く失望している。平井一夫(カズ)社長の前途は多難である。 (文=編集部) ■おすすめ記事 未使用テレカで電話料金を支払える! 使用済みは使えない不思議をNTTに直撃! 従業員がガソリンスタンドを占拠して決起! 残業代未払いなど不当労働に抗議 菅野美穂も常連…キャイ〜ン天野の自宅パーティーが、芸能人たちの“出会い”の場に がん保険は本当に必要か?“カラクリ”をライフネット生命岩瀬大輔が解説 慶応大、魅力の秘訣は見栄とおカネ好き?学内序列/差別の最下層(?)SFCの言い分

ソニー、携帯音楽プレイヤーでアップル抜きに潜む複雑な事情

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) やはりツイッター! ベトナムにも伝わる池上彰選挙特番 パナソニックとシャープの経営危機…銀行管理も待ったなし 胸キュン必至?の韓国流“ネコマンガ” ■特にオススメ記事はこちら! ソニー、携帯音楽プレイヤーでアップル抜きに潜む複雑な事情 - Business Journal(12月23日)
携帯音楽プレイヤーが好調な
ソニーのHPより
 携帯音楽プレイヤーといえば、「iPod」で知られるアップルが有名だが、国内市場では異変が起きている。「ウォークマン」で知られるソニーがアップルを抜き返し、首位を堅持しているからだ。“元祖”の面目躍如といったところだが、手放しでは喜べない複雑な事情も抱えている。 「もう10ポイント以上は離しているとは思いますよ」。ソニー関係者はこう語る。国内の携帯音楽プレイヤーは2000年代以降、ソニー、アップルの実質2社がつばぜり合いを演じてきた。とはいえ、09年時点では60~70%のシェアを握るアップルに対して、ソニーは30%程度とまったく歯が立たず、大勢は決したとの見方が支配的だった。元量販店店員も次のように語る。 「ハードの機能が大幅に違うわけではないが、ブランドイメージは圧倒的にアップルが上。iTunesのようなネットワークサービスの利便性も高いですしね」 ●ソニーが市場シェア50%に  ダブルスコアで負けていたソニーだが、徐々に差を縮め、12年秋には50%強にまで国内シェアを高めた一方、アップルは30%台後半まで落ち込む。前出のソニー関係者は「本物の音を求める消費者が増えてきて、原点回帰が始まった」と胸を張る。スマートフォン(スマホ)で音楽を楽しむ層が増えたが、スマホの音質では満足できない層が、携帯音楽プレイヤーを新たに買い求めるようになったというわけだ。「当社は音の作り込みは何十年もやってきた。アップルさんとはそこが大きく違う」(同)  一方、証券アナリストは「シェア逆転といっても、あまり喜べる状況ではないのでは」と指摘する。「アップルの顧客層がiPodからiPhoneに流れた結果にすぎない。スマホで音楽を聴くのに満足できなくて2台持ちする消費者は、ごく少数。アップルにしても、iPodの販売が落ち込んでも、iPhoneがこれだけ売れていれば、なんの問題もないでしょう」。逆に言えば、ソニーは自社の携帯音楽プレイヤーからスマホへの誘導がうまくできていないのではとのうがった見方もできる。  実際、ソニーのスマホ事業は苦しい。2012年7~9月期、世界出荷台数では初めて、アップル、韓国サムスン電子に次ぐ3位に浮上したが、シェアはわずか5%。30%前後で競り合う「2強」の背中は見えない。加えて、特にシェアが急伸している欧州の販売では「プライドをかなぐり捨て、たたき売り状態でなんとか販売数を伸ばしているのが実情」(経済紙記者)と前途は明るくない。 ●スマホに浸食される携帯音楽プレイヤー市場  携帯音楽プレイヤーの国内市場は漸減が続く。12年度は11年度の570万台規模に比べて100万台以上落ち込み、400万台前半にとどまる見通しだ。  携帯音楽プレイヤー市場がスマホに浸食され、今後も縮小を続けるのは関係者の誰もが認める。ソニー幹部は、「小型デジタルカメラや携帯ゲーム機器、携帯音楽プレイヤーがスマホと食い合うとの指摘はある。確かにその通りだが、当社の場合、スマホが売れればまったく問題ない」と語るが、前述のようにスマホで2強を急追する抜本策は見当たらない。  衰退市場での実質的なライバルの退場に伴うシェア回復を喜ぶのではなく、競合ががっぷり四つで組み合う主戦場での戦い方を模索しなくては、ソニーの復活は見えてこない。 (文=江田晃一/経済ジャーナリスト) ■おすすめ記事 やはりツイッター! ベトナムにも伝わる池上彰選挙特番 パナソニックとシャープの経営危機…銀行管理も待ったなし 胸キュン必至?の韓国流“ネコマンガ” 大手新聞社幹部、取材しない、記事は書けないが不倫はお盛ん 「ピンからキリまで」の「ピン」て何?

元幹部が語る「内側からみた、ソニー迷走の“本当の”理由と再建策」

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 効果ゼロ、違約金を無心…悪徳SEO業者を告発する 東京スカイツリー、商店街から客を奪い、オフィスビルはガラガラ… ソフトバンク、スプリントとイー・アクセス同時買収ができたワケ ■特にオススメ記事はこちら! 元幹部が語る「内側からみた、ソニー迷走の“本当の”理由と再建策」 - Business Journal(11月21日)
『ソニー 失われた20年』
(さくら舎/原田節雄)
 ソニーの業績がおかしい。  連結売上高は2008年3月期の8兆8714億円から6兆4932億円へ急降下し、4年間で売上の約4分の3が失われた。09年3月期以来4期連続最終赤字で、その額は12年3月期は4566億円という巨額に膨らみ、11月1日に発表された第2四半期決算も401億円の最終赤字だった。シャープやパナソニックの業績の悪さが衝撃的だったので目立たなくなったが、「世界のソニー」もまた、深刻な業績悪化に見舞われている。  かつて、日本を代表するエクセレントカンパニーだったソニーは、どうしてこんなにダメになってしまったのか?   70年に入社以来40年間ソニーに身を置き、技術系幹部も務めた原田節雄氏は、9月、『ソニー 失われた20年ーー内側から見た無能と希望』(さくら舎)という本を出版し、話題になっている。その原田氏に、  「ソニーをこんな状態にしたのは、いったい誰の責任なのか?」  「どこに問題があったのか?」 などについて聞いた。

●ソニーは異質な会社だったから、苦しんでいる

ーーソニーといえば、世界に通用する技術を持ち、斬新なヒット商品を出しては話題を提供し、宣伝が上手でスマートで国際的というイメージがあり、「日本の普通の会社とは違う」と特別視される存在でした。40年在籍されて、実際はどうなんでしょうか? 原田節雄氏(以下、原田) 盛田(昭夫)さんの時代のソニーは、いろいろ失敗を繰り返しながら一生懸命に仕事に取り組む武骨な会社でした。本田宗一郎さんの頃のホンダも多分そうでしょう。それを出井(伸之、元CEO)さんの時代にやらなくなり、うわべだけに走って、恐らくそれが「スマート」と言われるゆえんでしょうか。  しかし、経営はスマートにはできませんよ。ただ、「ソニー異質論」はその通りで、日立、三菱電機、東芝は今も官公庁需要が大きい会社ですが、ソニーは官需に頼らず自由なビジネスをして海外に出て行くようになりました。国内、海外を問わず一般コンシューマー(消費者)が楽しめる製品をつくるというコンセプトを確立して、盛田さんの時代にはすでにドメスティックな会社ではなく、日本企業としては異質だったと思います。外国部の社員は永住覚悟で欧米に出ていき、製品をどんどん売って、それが国際的なイメージになったのでしょうが、出井さんの時代から、逆に徐々にドメスティックになったように感じます。 ーーソニーは異質な会社だった頃のほうがよかった、ということですか? 原田 いや、異質は本当はよくないんです。今のように不況の時代になると、内需で養っていける日立、三菱電機、東芝のほうが潤っています。また、異質なソニーのような会社は輸出が拡大した時代はよかったのですが、今は苦しんでいます。私は、ソニーも内需と外需、官需と民需の両方を、部署を違えながらバランスよく持つべきだったと思います。官需のような安定した部門と、新たにチャレンジするベンチャー的な部門の両方を持つというのは、経営の原理原則ではないでしょうか。ある時は一方に力を入れて、またある時は別のほうに力を入れればいいんです。 ーーそうしなかったから4期連続最終赤字です。今期は、中間期は赤字でも通年の本決算は黒字になる見通しを変えていませんが。 原田 赤字が続く中でトップが非常に高い給料を取り続けては、誰が見てもおかしいと思います。だから黒字にしたいんでしょう。

●期待していた平井社長に裏切られた

ーー今のトップは平井(一夫)社長ですが、彼はソニーを立て直せると思いますか? 原田 CEOですし、手腕は未知数ながら過去の負の遺産を払拭して新しく出直し、1〜2年先の方向を示して、会社を変えられるのは彼しかいないと期待してこの本を書いたのです。しかし、裏切られました。10月19日にソニー美濃加茂の工場閉鎖と2000人のリストラを発表、1週間後にNHKに出演し「ソニーはこうやってよみがえる」と発言しましたが、それはまったくおかしい。社長がやるべきなのは、美濃加茂で全員の前で頭を下げ、働いている人の気持ちを思いやって、「私の力が足りないために、ここまできてしまいました。なんとかがんばるので頼みます」と、詫びてお願いすることだと思うのですが。 ーーこれだけ業績が悪いと、リストラも必要になるかと思いますが。 原田 今の状態だと縮小は仕方ないです。もともと閉鎖予定の工場でしたし、人を減らすのはいいんですが、やり方が問題です。公表する必要は何もない。それに、なんのためにNHKに出たのか? 足元でやるべきことがあるでしょう。働いている人の気持ちを思いやって、「仕方なく人減らしをやります。でも、10年、20年後にはソニーはよみがえります」と、なぜ言えなかったのでしょうか。 ーー株主よりも、まず従業員ですか? 原田 こんな時に、先に見るべきなのは従業員の目です。株主の目ではありません。従業員がハッピーになり、業績が黒字になれば、株主もハッピーになるでしょう。

●出井元CEOの「EVA経営」の根本的な間違い

ーー出井さんの時代に株主重視のEVA経営を目指しましたが、それがそもそも間違いの始まりだった、ということですか? 原田 そうですね。内部に対する数値重視もそうです。企業経営では、決算を赤字から黒字に変えるのは実は簡単で、社長命令で人減らしをして人件費を減らせばいい。でも、製造業は金融や保険とは違います。金融や保険はお金を動かしていて、雇用数は少ない。一方、製造業は大勢の人を雇って、一緒に食べていけて幸せになることも重要な企業目的です。そんな、まるで違うものを一緒にして「あっちは儲かっている」と言うのは間違いです。 ーー出井さんは、ソニーをGEと比較していましたね。 原田 GEは 、その頃すでに製造業ではありませんでした。私は株主や時価総額をまったく無視する必要はないと思いますが、それを中心に据えるのは間違いで、現場を重視するやり方と、両方進めるべきでした。官需と民需、安定とチャレンジのバランスと同じように、どちらか一方に偏るのはよくありません。私はこの本の中で、ソニーは今後、バランスを取るべきだと何度も強調しています。 ーーその出井さん以降、安藤(國威)さん、中鉢(良治)さん、(ハワード・)ストリンガーさんと社長が交代して、ストリンガーさんの時代からずっと最終赤字です。この方の責任も重いのですか? 原田 いいえ、出井さんが陰のトップなのは変わりません。社長が交代しても出井さんが築いたものをずっと踏襲していて、何も変わっていません。ストリンガーさんは、何もせずに座っていただけのような人でした。 ーー出井さんはソニーのアドバイザリーボード議長をまだ続けていますが、今でも影響力は大きいんですか? 原田 アドバイザリーボードは、最初は実態が見えていましたが、今は見えなくなりました。でも、誰が出席しているかもわからないようでは問題です。これを廃止することが改革の第一ステップだと思います。 ーー平井社長は、はたして猫の首に鈴を付けられるか、ということでしょうか? 原田 出井さんに、自分を引き立ててくれて世話になった恩義は感じていても、1人の先輩のことより、グループ全体で何万人もいる従業員のことを考えたら、やらなければなりません。それが経営者というものです。会社の実情を考えたら、出井さんと一切の縁を切るところまでやる必要があると思います。つらく淋しく孤独な決断ですが、リストラされて去っていく従業員がいる中で、高い給料をもらっているトップが果たすべき使命でしょう。やれば、「よし、会社を立て直そう」と社内の士気は高まると思います。

●トップの条件は、社内の人間が見えていること

ーー今のソニーには、どんなタイプの経営者が必要なのですか? 原田 私は、ソニー創業者の井深(大)さんや盛田さんは「いろは坂型社長」だったと思います。社長はいろいろな部門を経験していて、ほとんどの社員と直接話をして人間を知っている。組織は人でできていますが、社長から見れば人間としての人「人間人」を使いこなせた。出井さんは「はしご型社長」でした。ある部門だけで、はしごを頂上まで上がっていったから、ほかの部分は見えないんですね。だから、社長から見れば道具としての人「道具人」を見つけて使う。能力がある人を、使える道具として使います。しかしそれはノコギリと同じで、使う人が下手だったら、うまく切れません。  ストリンガーさんは「パラシュート型社長」でした。落下傘で頂上に降りて、会社の中は何も見えません。どこにどんな人がいるかもわからない。そんな社長にとって、人は機械と同じ。まさに「機械人」です。平井さんも、パラシュート型社長だと思っています。 ーーそうすると、はしご型やパラシュート型の社長ではダメで、昭和の時代のような「いろは坂型社長」でないとソニーの社長は務まらない、ということですか? 原田 いいえ、時代が時代ですから、パラシュート型でもかまわないんです。それでも、着地点が頂上や、副社長や役員のような頂上近くではなく、もっと下の現場のほうで、駆け足でもいいから部署を回ってさまざまな社員と接し、「人間人」を知って、それを使いこなせるようになってくれればいい。本来は、組織を下から走ってきて、社内の人間がちゃんと見えているかどうかが、トップの条件だと思います。 ーー新卒で現場に入って上がっていった人なら、ふさわしいですか? 原田 いや、今の新卒はみんな大卒・院卒で、最初からエリートとして本社の経営・財務・間接部門に入りますから、経営陣は近くで見てますが、現場を知っているとは限りません。子会社の経営を任されても、それは低い山の頂上に降りるパラシュート型社長で、そこの現場は見ていません。昔のソニーはエリートではない現場たたき上げの人でも、役員まで出世できる可能性が大きかったのですが、今は違います。せめてエリートとノン・エリートの間の昇格、降格のしくみがあれば、緊張感があってまだいいのですが……。 ーーエリートはどうしても、権力を持つ上のほうばかり見てしまいますね。 原田 入社した頃はそうでなくても、こんな体質の組織に入るとだんだん変わっていきます。人格も変わります。そうならないように、会社のために貢献して業績が良くなれば自分も幸せになれるという思想をエリートに植え付けるのが、トップの役目です。

●ソニーが復活を果たすために何をすべきか

ーーソニーが今、復活のために直すべき部分はどこなんでしょうか? 原田 ソニーは昔から研究、製品開発、デザイン、製造、国内営業、海外営業、宣伝など各部署の間のコミュニケーションが弱くて、トップがそれぞれをしっかり見ていた頃はまだうまくいったのですが、そうでない人がトップになるとバラバラになりました。社員が複数の部署を異動して、お互いのコミュニケーションを密にするべきでしょう。それは、本社と主要な子会社の間でも同様だと思います。 ーー部門の収益についてはどうでしょう。 原田 私は、赤字であるべき部門は赤字でいいと思います。子会社もそうです。「健全な赤字部門」は、他事業で補てんすればいいんです。企業全体も10年単位で赤字が続けばおかしいですが、1年だけ赤字なのは問題だと思いません。そこにちゃんとした理由があればいい。総合的にとらえ「これでいい」という判断をするのが経営者です。もしどこかの部門なり子会社なりに黒字化を求めるなら、経営者は「ここをこうしてください」と具体的な方法を示すべきです。もし黒字化しなかったら、それは経営者の責任です。 ーーソニーは企業統治では最先端をいっていると言われてきましたが、いかがでしょうか? 原田 社外取締役を何人も入れても、その人がソニーのことをわかっていなければ無意味です。他の会社とは社風も何もすべて違うんですから。企業統治の制度自体はどうでもいいんです。まともな人を連れてくれば、まったく問題はないんです。 ーー人材育成の方法も変えるべきですか? 原田 ソニーに憧れて入社した若い人が、人間的に成長できるような過程を用意すべきでしょう。まず現場に入れて、光るものを感じたら「海外に行きなさい」「この事業部に行きなさい」と、いろいろな経験をさせ、10〜20年かけて、自分で物を考えられる人間、本物の人材に育てなければいけません。人事は「育てている」と言ってますが、放置しているだけでは人材は育ちません。ただ、優秀な人の能力は、その人より能力がもっと上の人でないと評価できず、経営者は、それに気づかないから過ちを犯すものです。今のソニーのように、経営トップへの出世が、「CEOと顔見知りかどうか?」で決まるような風潮になってしまうのです。 ーー経営者は、どうすればいいんですか? 原田 人を呼びつけて報告させていてはダメです。それをすると、ゴマスリばかり近寄ってきます。自分から、会社のいろいろな場所へ出かけて行かないと。経営者の仕事とは、企業と従業員に愛情を感じて、大切にして、その幸福の実現と維持に我欲を捨てて邁進すること、これに尽きます。 ーーOBとして、ソニーは復活できると信じていますか? 原田 ソニースピリット、ベンチャー魂を忘れることなく、悪い部分を切り捨てて出直せば、世界のトップランナーとして輝いた頃の姿を、きっと取り戻せると信じています。 (構成=寺尾淳/ライター ファイナンシャルプランナー) ■おすすめ記事 効果ゼロ、違約金を無心…悪徳SEO業者を告発する 東京スカイツリー、商店街から客を奪い、オフィスビルはガラガラ… ソフトバンク、スプリントとイー・アクセス同時買収ができたワケ 政権交代をみこんだ? 原発運営会社を買収した日立の思惑 松本大「巨人ファンの方は絶対に読まないでください」

ソネットを完全子会社化したソニー 次のねらいはニフティ!?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 宇多田ヒカルに村上春樹も! なぜDQNネームが批判される? 銀行が勝手に解約できちゃう!?高金利で客を釣るコワ〜い預金 「貯蓄もできる保険」はトクじゃない!?運用に回すほうがマシ ■特にオススメ記事はこちら! ソネットを完全子会社化したソニー 次のねらいはニフティ!? - Business Journal(8月26日)
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久しぶりに見たら意外と充実してる。(「@nifty」より)
 インターネット接続事業を手掛けるソネットエンタテインメントの株に、買い物が殺到し3日連続のストップ高となった。8月15日に、2万4000円高の56万6000円で4日ぶりに値段がついた。  9日の取引終了後、ソニーがTOB(株式公開買い付け)を実施して、ソネットを完全子会社化すると発表。TOB価格を1株56万7500円に設定した。同日の終値、33万2000円を大きく上回っていたことから買いが殺到し、2日間の休みを挟み、14日まで3日連続でストップ高となり、比例配分された。15日はTOB価格に急接近したことから、値ざや稼ぎの買い注文が急減し、やっと取引時間中に売買が成立した。  ソニーは間接持ち分を含めてソネットに58.18%を出資している。611億円を投じ、TOBによってソネット株式の全株の取得を目指す。TOB期間は9月20日までだが、全株を取得できなかった場合は、公開買い付け後にソニー株との株式交換を実施する。  ソネットは2005年12月に株式を公開したが、上場時の公募・売り出し価格は1株34万円。脱テレビを進め、コンテンツ配信などネット事業を強化している最中とはいえ、1株56万7500円を投じて、ソニーがソネットを取り込むねらいはどこにあるのか。  実は、ソネットはプロバイターとは別の顔をもっている。それは投資会社という顔である。これまで同社は、ネットベンチャーに対して積極的に投資を進めてきた。  投資先で大化けした筆頭が、99年の会社設立時期に出資したディ・エヌ・エー(DeNA)だ。ソーシャルゲームで急成長とげたDeNAの時価総額は、3326億円(8月17日時点)。ソネットは、DeNAの発行済み株式の11.75%を保有する第2位の株主で、390億円分の価値がある。  また、もう1つのドル箱は、医療サイト「MR君」を運営するエムスリーだ。00年9月に設立、04年9月に株式を上場した。エムスリーの時価総額は2146億円(8月17日時点)。ソネットはエムスリー株式の55.9%を保有しており1200億円の価値を生み出している。  ソニーがソネットを完全子会社するのはソネットの有望な投資先を取り込むのが狙いだ。TOBに611億円の大金を投じても、元はしっかりとれると、したたかに計算している。  ソニーがソネットを完全子会社化することで、俄然、注目を集めているのがニフティだ。ニフティはプロバイダー事業ではソネットのライバルだが、11年3月期までソネットは、ニフティの発行済み株式の4.90%を保有する第2位の大株主だった。しかし、12年同期には大株主名簿から姿を消している。  ニフティは86年2月、日商岩井(現・双日)と富士通の共同出資で設立。日商岩井の撤退で、99年3月に富士通の子会社となり、06年12月に上場した。現在、富士通が66.59%の株式をもつ親会社だ。だが、ソニーが子会社のソネットをTOBで完全子会社化するように、富士通がTOBを実施してニフティを完全子会社化するというのではない。富士通が保有株を売却する可能性がささやかれているのだ。  これまでにもニフティの売却説は再三あった。売却をめぐり富士通では内紛も起きた。10年3月、前社長の野副州旦(のぞえくにあき)氏が、「最高実力者である秋草直之・取締役相談役に解任された」と爆弾発言を行い内紛が勃発したのだ。  解任理由は、件のニフティの売却問題だった。野副氏が親しいとされる投資ファンドの代表者が売却の話に関わった。富士通は「このファンドについて、複数の金融機関から、好ましくない風評があるとの情報が提供されたため、秋草相談役が野副氏に注意し、野副氏もこれを認め、『このファンドは怪しげなので外す』と明言した」と説明した。  ところが、野副氏はニフティの売却の仲介を引き続き、このファンドの代表に頼んでいた、というのだ。  一方富士通は、解任の理由を「ニフティを売却しようとしたからではない。売却の仲介を頼んだファンドが反社会的勢力との関わりがあるとされたため」と言っている。  富士通にとってニフティの売却は永年の懸案事項である。秋草氏が社長時代の01年、ニフティをソニーに売却しようとしたことがあった。その交渉役を担ったのが、ほかならぬ野副氏だった。  今回、ニフティ売却説が公然とささやかれるようになったのは、ニフティが、今3月期決算から、部門別の業績の開示にクラウド事業を加えたからだ。  クラウドとは、データを自分のパソコンや携帯電話ではなく、インターネット上に保存する使い方、サービスのこと。スマートフォン(高機能携帯電話)からでもデータを閲覧、編集、アップロード(登録)することができる。  クラウドといえば、8月9日には大日本印刷が、三井物産から日本ユニシス株式を取得して19%弱を保有する筆頭株主になると発表した。理由は「クラウド事業の強化」。成長分野であるクラウド事業は引く手あまたなのだ。クラウド狙いでニフティの買収に手を挙げる企業が出るかもしれない。 (文=編集部) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 宇多田ヒカルに村上春樹も! なぜDQNネームが批判される? 銀行が勝手に解約できちゃう!?高金利で客を釣るコワ〜い預金 「貯蓄もできる保険」はトクじゃない!?運用に回すほうがマシ 夏野剛「まだガラパゴス化はiモードのせいというか、愚か者」 低額で、大量の動画がTV・PC・スマホで見放題「hulu」 喫煙・肥満は2倍も損!?しないための賢い保険加入テクニック 低額で、大量の動画がTV・PC・スマホで見放題「hulu」

「鍵はエイベックスの参加?」待望のソニー定額聴き放題サービス開始も、懸念される“邦楽不足”

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ソニー公式サイトより
 ソニーがクラウド型の音楽配信サービス「Music Unlimited」を7月3日より開始。月額1,480円を支払えば、1,000万曲を超える楽曲がPCやスマートフォンで視聴できるようになる。世界的に主流となりつつある定額聴き放題サービスの日本上陸は朗報であるが、現状の楽曲ラインナップは洋楽が中心で、邦楽曲は数万曲にとどまる。今後、邦楽曲がどの程度サービスに加わるかという懸念もある。  そもそも、ソニーが「Music Unlimited」の導入を急いだ背景には、同社などが出資する「レコチョク」に代表される音楽配信会社の低迷がある。スマートフォンの急速な普及に伴い、従来型携帯電話向けの配信サービスの売上高が2010年後半より急速に下降。楽曲提供元であるレコード会社の経営を揺さぶる事態となっている。 「エイベックスなどの上場企業はすでに決算資料で明らかにしていますが、今年に入ってCD販売を含む音楽事業の売り上げが、各社とも前年比20パーセントほど落ちています。これまでCDの売り上げ減少を補ってきた音楽ダウンロード販売の落ち込みが、大きく響いていることは間違いありません」(レコード会社関係者)  音楽配信事業の新たなビジネスモデルを探る必要に迫られたレコード会社各社は、ソニーがすでに世界16カ国で展開中の「Music Unlimited」に乗る形で、クラウド型サービス参加へと舵を切った。しかし、クラウド型のサービスから得られる楽曲使用料は「よく聴かれた楽曲でも数十万円程度。大ヒットクラスでも数百万円止まり」(同)と、ヒットとなれば数億単位の売上高が見込めた従来型の配信モデルとは収益のレベルが異なる。そのため、邦楽曲の原盤権を持つ音楽事業者(レコード会社や事務所など)が「Music Unlimited」に対し、どのような条件で楽曲提供に踏み切るかが今後の焦点となる。 「ソニーはビートルズをはじめとする過去の音源の権利を多数保有しており、グループ全体では定額聴き放題サービスでも収益を上げる可能性は高い。しかし、英語の楽曲に比べると、対象マーケットの狭い邦楽曲ではダウンロード数も限られるため、事業者の収入は相対的に低くなる。今後、邦楽曲のラインナップを増やすためには、邦楽事業者向けに高いレートを設定するかどうかなどの課題が山積みです」(同)  スタート時にはソニーのほか、ユニバーサル、ワーナーなどの外資系メーカーが参加を表明した「Music Unlimited」。今後は“邦楽の雄”エイベックスの本格参加が鍵となりそうだ。いずれにしても、リスナーの視聴環境の変化で、定額聴き放題サービスへの移行が進むことは確実と見られる。各事業者間の利害調整が難航し、「古い名曲はたくさんあるが、最近の聴きたい曲がない」という事態とならないように望みたい。 (文=福田幹太)