『過保護のカホコ』三田佳子 vs 黒木瞳の「冷戦報道」はスタッフリークの“フェイクニュース”だった!?

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 ドラマが高視聴率を記録する裏には、スタッフによる巧妙な“宣伝戦略”があった!?  高畑充希の主演ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が絶好調だ。9日に放送された第5話では、過去最高の視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。すべての回で2ケタオーバーを続けている。  同ドラマといえば、放送からほどなくして話題となったのが、高畑の祖母役を務める三田佳子と、母親役の黒木瞳との「ばばママ」バトルだった。 「複数の週刊誌などが報じたところによれば、2人は現場では一切口を利かず、報道の扱いや差し入れの豪華さなどをけん制し合うなど“冷戦状態”が続いているといいます。実際、三田の衣装のほうが目立つという理由で、黒木が光沢のある衣装に急きょ変更させたということもあったようです。スタッフはプライドの高い2人に気を使いまくっていて、入り時間をズラしたり、ロケ弁のグレードまで横並びになるよう、とにかく神経質な対応を余儀なくされているのだとか」(芸能記者)  こうした「犬猿バトル」は、主婦層などの大好物。自然とドラマへの注目度も高くなったようだ。 「実は、こうした一連の不仲騒動は番組スタッフが意図的に雑誌メディア関係者にリークした“フェイクニュース”だったといいます。報道を知って、三田と黒木は『私たちは仲良しで、不仲ということはない』『局のほうから抗議してほしい』との要望を出したそうですが、スタッフは右から左に受け流していたそうです」(テレビ関係者) 『過保護のカホコ』が本当にそれを利用して高視聴率に結びつけたとしたら、今後、ドラマの改編期にはこの手のスクープが乱立するようになるかもしれない!?

12.1%好調キープの高畑充希『過保護のカホコ』徹底的に破壊されたママ黒木瞳が見たくなる

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 高畑充希が過保護に育てられた女子大生・カホコを怪演している『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第5話まできました。視聴率は12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。遊川和彦脚本のドラマはいつも手堅いですね。急落したケースって、最近ではちょっと記憶にないです。というわけで、今回も振り返りです。 (前回までのレビューはこちらから)  せっかくママ(黒木瞳)と仲直りしたのに、今度はパパ(時任三郎)が急にブチ切れて家を飛び出してしまったことに戸惑うカホコ。パパの気持ちはわかりませんが、とにかく心配です。なんでママは平気な顔で「ほっとけば」とか言ってるのか、それもよくわかりません。  そんなパパは実家にいました。昨夜のブチ切れについては「お灸をすえただけだ」と思っています。そのうちママが謝ってくるだろうと。まさかママはママで「反省するのは、ひどいことを言ったパパのほう」と思っているなんて、想像もしていません。  どうしたらいいかわからないカホコは、フラれたけど友だちでいることになったハジメくん(竹内涼真)に相談しますが、やはり「ほっとけば」と。父親を早くに亡くし、7歳で母親に捨てられたという過去を持つハジメにしてみれば、その程度の家庭内トラブルは「心温まるエピソード」だと言います。 「おまえにはわかんないんだよ。親に愛されて育つのが、どれだけ幸せなのか」  ママの言う「ほっとけば」は、「親は子を愛して当然」という認識から来ています。パパは1日だってカホコに会わなきゃ生きていけない。どうせ帰ってくる。パパがカホコを捨てることなんて、絶対にないと確信している。そんなママと、実際に親に捨てられたというハジメが、同じように「ほっとけば」と言うのです。  思えばハジメは、初めてカホコに出会ったときから「過保護だ」「おまえのような過保護が日本をダメにする」と言い続けてきました。その意味が、ようやくカホコにもわかり始めてきました。 「パパ、カホコは過保護だと思う?」  カホコはパパにメールします。 「今までハッキリ言えなかったけど、そう思う。もちろんパパも責任あるけど」 「そうなんだ、ありがとう」  どうやら自分は過保護らしい、と気づき始めたカホコ。家に帰ればママがいつものように「お風呂入りなさい」「ボタン取れかかってるから出しときなさい」と世話を焼いてきます。これまで、なんの疑問も抱いてこなかったママのこれらの行為に、カホコは違和感を抱き始めます。  パパはまだ帰ってきませんが、そんなカホコの変化に、敏感に気付いてくれたのも、やはりハジメでした。会話の端々からカホコの成長を読み取り「大人になってるねー」とホメてくれます。 「この機会に、親に甘えるのをやめて将来のことをちゃんと考えたほうがいい」  カホコはハジメの進言に従って、インターンシップの仕事を探すことにしました。  カホコが突然そんなことを言い出したのはハジメの影響だと、ママは見抜いています。当然、よい顔はしません。働くことは渋々認めたものの、勤務先はママが決めるし、ママが決めた学童保育で働いているカホコの一挙手一投足にも、まるでどこかの家政婦のように目を光らせています。子どもが転んで泣き出してしまえば、もうたまらず飛び出してきて、カホコを助けてしまうのです。この人だけは、最初っから全然変わりません。そして、カホコもパパも、ママのこうした行動の問題点を具体的に指摘することはできません。パパはパパで数日会わないだけで号泣しちゃうくらいカホコを愛しているし、カホコはずっとママの言う通り生きてきて幸せだったので、どうしても説得力がないのです。  そんなママに忠告できる人が、ひとりだけいました。ママのママであるばあば(三田佳子)です。「カホコにできるだけのことをしてあげたい」「後悔したくない」というママに、ばあばは「子育てで後悔しない母親なんていない」「最後は覚悟を決めるしかない」と告げます。実際、ママはこの人に子育てされてきたわけなので、うっとおしいと思いつつも聞き流すことができません。 「子どもが転んでも立ち上がると信じて。愛するより、信じるほうが難しいんだから」  ママの心が揺れ始めます。そして、カホコにお願いされて帰ってきたパパに、こう尋ねるのです。 「パパ、あたし、カホコを甘やかし過ぎなのかな、ちょっと……」 ■「幸せが壊れるのが怖い」  そうして、ママの過保護鉄仮面にヒビが入り始めたころ、同じように幸せだったはずのママの妹2人の家にも波乱が訪れていました。節ちゃん(西尾まり)は、病気でチェリストの夢が断たれた一人娘・糸ちゃん(久保田紗友)が大荒れ。出会い系に手を出してホテルの前で男とモメて補導されたかと思えば、親に対して「親と思ってない」とか「どうしたらそんな退屈な人間になれるの」とか「恥ずかしいと思わないの」とか「死んでもアンタたちみたいな大人にならないから」とか、傍から見れば中二病爆発でほほえましい限りだけど当の親たちにとっては超絶ショックであろう罵倒を繰り広げました。  また、もうひとりの妹である環ちゃん(中島ひろ子)は、持病のぜんそくが悪化して入院生活に。夫・衛くん(佐藤二朗)の飲酒癖に悩んで、あまり眠れないそうです。「(衛くんを)怒らないであげて、反省してるし」と言うカホコに、環ちゃんはこうつぶやくのです。 「怒ってるわけじゃないのよ。幸せが壊れるのが怖いの、悪いことが起きそうで……」  妹たちがそれぞれに悩んでいる中、いよいよママのところにも「幸せを壊す悪魔」がやってきました。そうです、ハジメくんです。  なぜかずぶ濡れになっているカホコと一緒に、ハジメが玄関先までやってきました。 「これ以上、関わらないで! 心配なの、これからどうなるか、怖くて……」  ばあばに忠告されて、ママはいつになく弱気です。一方のハジメは超強気です。 「娘さんともう会えなくなるのは嫌です(キッパリ)」 「できれば交際を許してほしいと思ってますけど(キッパリ)」  そして、「また改めてお願いしに来ます」と礼儀正しく言い残して去っていきます。  この上なく心がザワザワするママですが、努めて平静を装いながら「ほら、早くお風呂入んなさい」とカホコの腕を引きます。壊されたくない日常を継続しようと必死です。しかし、ずぶ濡れになったカホコには大きな異変が現れていました。 「カホコ、もうママに甘えないようにする」  なんと、朝は自分で起きるし、洋服も自分で決めるし、食器も自分で洗ってお弁当も自分で作る。駅までも自分で歩く。花嫁修業のことも就職のことも、一回自分で考えてからママに伝えるようにする。と言うのです。なんということでしょう。  ママの顔面は再び鉄仮面と化し、「そう、わかった」と言い残すと荷物をまとめ、家を出て行ってしまったのでした。何を考えてるんだ、どんな気持ちなんだ、ママ! ■カホコとハジメに何があったかは、わりと重要ではない  以前にも書きましたが、ハジメという人物は、このドラマでほとんど唯一の“外部”として登場しました。つまりは、カホコにとっての社会そのものと言っていい存在です。  そのハジメとカホコが影響を与え合うことで、関係が結びついていく。それは、カホコと社会の関係が結びついていくことと同義として描かれています。カホコがいちいち新鮮に「こんなの初めて!」とリアクションを取りながら世界を広げる様がみずみずしく描かれることで、そして高畑充希と竹内涼真という2人の役者さんがみずみずしく演じ上げることで、『過保護のカホコ』は鮮やかな成長ストーリーとして成立しています。  しかし、ドラマが訴えようとするのは、あくまでママの変化であるように見えます。もっといってしまえば、「ママの狭い世界を破壊する」というところにゴールを設定しているように見える。そして、ママが徹底的に破壊されて、そこからささやかに再生する姿が見たくなってくるのです。やっちゃえ、遊川! って感じで。今回はここまで。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

11.1%で2ケタキープの『過保護のカホコ』“ブチ切れ”時任三郎に見た「本当の意味でホラー」

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 遊川和彦脚本の『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第4話まできました。視聴率は11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや落としたものの2ケタキープです。この出来で、なんで落ちるかね~、と思うくらい面白いのだけど。 (前回までのレビューはこちらから)  さて、今回は時任三郎演じるパパのお話なので、パパ目線で振り返ってみます。  前回、初めて人に恋をして、その相手をママ(黒木瞳)にボロクソにけなされてブチ切れちゃった愛娘のカホコ(高畑充希)。見たこともない顔で「これ以上、カホコの邪魔しないで!」と絶叫すると、家を飛び出して行ってしまいました。  数時間後、マンションの下に降りてみると、エントランスのところにママがいました。どうやらカホコを探しに出たようですが、「ゴミ捨てに出た」とか言って、部屋に戻ってしまいます。見ると、汗だくのカホコがそこに佇んでいました。  とりあえず家に連れ帰って寝かしつけましたが、翌朝から我が家では前代未聞の冷戦が始まります。なんと、朝なのにママがカホコを起こしません。ママはいつも通りカホコの服を選んであげますが、あろうことかカホコは、好きになった麦野くん(竹内涼真)のために買った緑のワンピースを着て起きてきます。ママは朝ごはんこそ作ってあげてるし、カホコもそれを食べてはいるけど、お互いパパを通してしか会話をしません。いつも通りママは駅までカホコとパパを車で送ってくれるものの、車内の雰囲気は最悪。 「ママがいっくら反対しても、絶対カホコ付き合うからね、麦野くんと!」  駅に着くと、カホコはそう言い残して車を降ります。もう耐えられない。  その夜の帰路、マンションに続く石段に、カホコの姿を見つけました。カホコはまるで、魂が抜けたように視線が定まらず、フラッフラです。  家に着くと、ママの機嫌も直っていません。それでもカホコの大好物であるオムライスを作って待っていますが、カホコは「ママに言っといて、ご飯いらないって」と言い残して部屋にこもってしまいます。その前に、もう一言ありました。 「ついでに言っといて、カホコ、フラれたから安心してって」  どうやらカホコは、麦野くんにフラれたようです。カホコの部屋からは、すすり泣く声が漏れてきます。一方ママはゴキゲンな鼻歌を一節やると、顔面にパックをして寝てしまいました。  カホコの部屋に入ると、カホコは床にうずくまって、まだ泣いていました。しかし話を聞くと、フラれたショックで落ち込んでいるのではなく、フラれてショックでもう二度とご飯なんか食べたくないと思っていたのに、お腹がぺこぺこになってしまったことが悲しいのだそうです。ママにバレないようにコンビニでオムライスなどを買ってきて食べさせます。そのゴミを捨てようとしているところをママに見つかりますが、特に咎められることはありませんでした。しかし、ママはこんなことを言うのです。 「過保護なんだから、パパは」  こういうとき、パパはパウエル長官の言葉を思い出すのでした。 「大事なのはいつも冷静でいることと親切でいることだ」  冷戦が続く日曜日。部屋にこもりきりのカホコを、ママの実家に連れて行くことにしました。何しろママの方のじいじとばあばは、無条件にカホコを「かわいいかわいい」と肯定してくれる貴重な存在。カホコもそれを自覚していて、ネットで調べた失恋からの立ち直り方に「自分を肯定してくれる人と会って、自信を取り戻す」とも書いてあったので、着いて行くことにします。  しかし、ばあばがなんだか元気がありません。じいじが呼んだママの妹夫婦2組も、ちょっと雰囲気が悪いです。せっかくカホコを元気づけようと思って連れてきたのに……と思っていたら、カホコが「ビールを飲んでみたい」と言い出しました。一杯だけのつもりが、パパも含めてみなさんいろいろ溜まっていたようで、全員泥酔してしまいました。勢い、カホコは酔っ払ったままじいじの家を飛び出していきます。追いかけようにも、カホコは脚が速い!  その晩、カホコは酔いつぶれたまま、麦野くんに背負われて帰宅しました。何があったかわかりませんが、カホコにはどうしても麦野くんが必要なようです。  カホコとママの冷戦だけでも耐えられないのに、パパの実家でも面倒事が。出戻りの妹・教子(濱田マリ)が300万円の借金を作っていて、もう家庭内はボロボロです。パパの中で、危機感が募ります。 「このままだと我が家も、こんなことになるぞ……」  パパ、家族のために一念発起です。恥を忍んで大学に麦野くんを訪ねます。そして、「友だちでいいから、カホコにまた会ってやってくれ」「正直言うと、妻と娘が口をきかずにこのままずっと最悪の雰囲気を続けるのが耐えられなくて」と頭を下げます。  麦野くんは、快く受け入れてくれました。やっぱり、自分は家族の大黒柱なのだ。これからは、家族でなんでもよく話し合って生きていこう。そして、家族を幸せにしてやろう。パパはそう思ったはずです。  しかし、家に帰るとママとカホコはもう仲直りしていました。2人でホームビデオを見ながら、カホコは何事もなかったかのように「ピカソの画集を一緒に買いに行ってほしい」と笑顔を見せますし、ママはママで「そのグラス使わないでって何回言えばわかるの?」とか「明日は夕飯いるの?」とか、こっちを見もしないで言い放ってきます。  ああ、パパ、キレちゃった。  思えば、そうだ。専業主婦のくせに前の日に言わなきゃ夕飯が出てこないってどういうことだ。何か買ってほしいときだけ甘えてくるこの娘はいったいなんなんだ。俺は単なるスポンサーか。なんでそんな顔してられんだ。お前たちが愛しているのは俺が稼いでくる金で、俺じゃないんだ。俺はもう嫌だ、疲れた! ■それはパパが望んでいたはずの幸せな日常  パパは、ママとカホコに仲直りしてほしいと願っていたはずでした。なのに、お望み通りに2人が仲直りしたら、キレちゃった。  ママもカホコも、別にパパの感情を逆なですることを言ったわけではありません。普通に、この家の女性が行ってきた振る舞いをしただけです。  つまり、いよいよ本音が出ちゃったわけです。  このシーンは、パパがずっと本音を言わずに生きてきたことを表現しています。本音を言わないことで保ってきた平穏な家庭、幸せな日々、変わらない日常、そういうものがカホコの初恋とママへの初謀反によって一時的に麻痺しました。パパには、その麻痺を自分の手で改善したという強烈な自負が生まれます。俺が家族を守ったのだ、と。その自負が踏みにじられたことが、許せなかったのです。  だけどママの側からすれば、パパがキレてる意味はわからないでしょう。そんなのは、専業主婦として、これまでずっと自分が当たり前にやってきたことだからです。平穏な家庭、幸せな日々、変わらない日常が、ママのたゆまぬ努力によって守られていたことに、パパは気づいていません。だからパパは2人のケンカが「耐えられない」し、ママは「別に平気」なのです。  遊川さんの脚本は、カホコとママの断絶を「本当の破綻」にならないように丁寧に描きました。ご飯も作るし、駅までも送る。カホコの留守には、あの緑のワンピースにだってアイロンをかけてあげる。今回描かれた母娘ケンカの顛末は、もっとも2人の関係が悪化している時点でさえ、一般的に見れば極めて良好で、幸せな家庭環境です。むしろ、一時的にママの過保護が止んで、「ごく一般的な仲良し中流家庭(たまにケンカもするし)」くらいのところに、注意深く着地させているように見えます。  パパは、そんな普通の状態を「耐えられない」と感じて奔走し、頑張って頑張って守り切ったと思ったら、目の前には許しがたい光景が広がっていた。それまでずっと幸せだと思っていた光景が、幸せじゃなかった。これ、超怖いです。本当の意味でホラーですよ。 ■一方そのころ、カホコの初恋は  パパの見ていないところでカホコは失恋し、それでも麦野くんに「お前が必要だ」と言われて人生に意味を見出したりするという、大変正しい成長が情感たっぷり素敵な感じで描かれましたが、このくだりはホントにいいので、TVerとかで実際に見たらいいと思いますよ。来週も楽しみです。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

第3話12.0%の好調『過保護のカホコ』高畑充希の“怪演”と「セーフティネット」としての竹内涼真

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 現実では、あんまり子育てが上手くいかなかったっぽい三田佳子お婆ちゃんの娘役が、これまた現実では子育てでいろいろあったっぽい黒木瞳ママ。で、その黒木瞳が演じる母親・泉によって過保護に過保護に育てられた結果、なんだかぽやーんとした娘に育ってしまったカホコ(高畑充希)の成長を描く遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第3話。視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、過去最高を記録しました。  前回、神経の病気でチェリストの夢破れた従妹の糸ちゃん(久保田紗友)に、よかれと思って余計なおせっかい発言を連発し、ブチ切れられてしまったカホコ。生まれて初めて真正面から嫌悪の感情をぶつけられて、大変ショックを受けてしまいました。これまでは何かあればいつだって泉ママに相談していましたが、今回の件はママに言うと、ママと糸ちゃんママの節ちゃん(西尾まり)との関係が悪くなりそうなので、相談できません。  そんなカホコを救ってくれたのが、同じ大学に通う画家志望の麦野くん(竹内涼真)です。話を聞いてくれて、「思い切り泣け」「ママに言えないことはなんでも相談しろ」と言ってくれた麦野くん。泣き疲れて眠ってしまった自分を、二度も家まで背負って届けてくれた麦野くん。カホコはその夜、麦野くんの夢を見ました。夢の中でカホコは、麦野くんにキスを求めていました。現実のカホコは恋もキスもしたことがありません。  目覚めても、麦野くんのことを考えると胸がドキドキします。カホコが、これが初恋なのだと知るのに時間はかかりませんでした。  しかし、ママはカホコと麦野くんが会うことすら許してくれません。なぜなら、あの年頃の男の子はみんなオオカミだから、何かあったあとじゃ遅いからだと言います。ママは、カホコが恋愛することは別にいいと思っているし、カホコが選ぶ男の人なら誰でもOKだと言います。ただし、長男と一人っ子はNGで、お金はあったほうがいいけど社長は何があるかわからないからNGで、容姿は人並みであればいいけど下品なのはNGで、優しくて頭がよくてママのことも大事にしてくれる人がよくて、遠くに住んでいる人もNGなんだそうです。で、カホコにはママがいい相手を見つけてくれるんだそうです。まるで、麦野くんには当てはまりません。  一方、カホコが恋をしてしまった麦野くんのタイプは、清楚で頭がよくて、サバサバしていて、そこはかとないエロさがあって、夢とかやりたいことをちゃんと持っている女の子だそうです。これはカホコが直接麦野くんから聞き出した情報ですが、まるでカホコには当てはまりません。麦野くんはカホコに好きな人ができたことは察しますが、まさかそれが自分だとは思っていません。  そんな折、カホコは糸ちゃんママに「糸のお見舞いに行ってあげて」と頼まれます。つい先日ブチ切れられたばかりなので、超行きづらい。カホコは麦野くんに、代わりに行ってもらうことにしました。  夢を追う画家志望の麦野くんと、夢に破れたばかりの糸ちゃん。2人は芯の部分で共鳴したのでしょう、すっかり意気投合してしまいました。しかも、糸ちゃんは麦野くんのタイプにピンズドです。麦野くんはカホコの気持ちも知らず、「ぼやぼやしてると、(好きな男を)ほかの女に獲られちゃうよ」とか言ってきます。  ネットで「片想いの人に告白する方法」も調べました。パパに頼んで、素敵なワンピースも買ってもらいました。しかし、ママに接見禁止令を出された後も麦野くんとコソコソ会っていたことがバレてしまいました。 「今まではそんなことなかったじゃない」 「ママは一番傷ついたの、カホコに裏切られたみたいで」  ママは完全に被害者みたいな振る舞いです。今までだってカホコの言うことをちゃんと聞いてくれたことなんてなかった。今だって「世の中で一番関わっちゃいけないのは役者とミュージシャンと画家の卵なの」とかワケのわからない理由で麦野くんを罵倒してる。麦野くんのこと、なんにも知らないくせに……。 「あたし、こんなの初めて……」  カホコの瞳に火が灯ります。今日までカホコがママの言うとおり生きてきたのは、ママと思っていることが同じだからでした。初めて、ママが自分の気持ちと違うことを言っている。その事実がカホコを興奮させているようです。 「麦野くんの悪口はやめてくれないかな」 「ママが何言おうと、カホコは麦野くんと会いたいから、会うから」  ママが「ちょっとカホコ……」と口を挟もうとすると、カホコの興奮は頂点に達します。 「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ! うるさいうるさいうるさい! もうこれ以上カホコの邪魔しないで!」  カホコはそのテンションのまま家を飛び出し、いつもは電車で通っている大学まで疾走。いつものようにアトリエにこもっている麦野くんに「ハジメくん!」と駆け寄ります。ちなみにカホコが麦野くんを「ハジメくん」と呼ぶのは、告白するときは下の名前で呼んだ方がいいとネットに書いてあったからです。  勢いでそのまま「カホコが好きなのはハジメくんなの!」と言い切ってしまい、「あああああああああああ」となって、カホコは家まで逃げ帰ったのでした。 ■高畑充希の“怪演”と、がっつり噛み合う竹内涼真が尊い  このドラマの主人公であるカホコは、純粋無垢なぶっ飛びトリックスターとして登場しました。いわば、自我がゼロの状態からさまざまな事態にリアクションを取っていくことで、人物を変化させていくわけです。そうした特異な人物に実存感を与えている高畑充希の怪演には、毎回目を瞠ります。  パソコンで「告白の方法」を調べているときにパパが部屋に入ってくる。あるいは、秘密のワンピースを着てみているときにママが部屋に入ってくる。そのときに慌てふためいたカホコが出した奇声は、あれは脚本で書ける言葉ではないですもんね。でも、カホコならあんな感じだろうなって、自然と受け取れますもんね。  一方で竹内涼真が演じる麦野くんは、母・泉の“王国”の外にいる、ほとんど唯一の人物として登場します。つまり、カホコと世界を結ぶ唯一の接点が彼なのです。その竹内が、常識から外れない範囲で、かつ好感度が高く、まるでリアクション芸ともいうべき芝居を披露していることが作品の“地に足が着いてる感”にすごく貢献していると思います。カホコならずとも、麦野くんに嫌悪感を抱く視聴者はほとんどいないんじゃないかと思います。  今回、黒木瞳の泉ママは、パパを落とすためのお弁当を実はお母さんに作ってもらってたことがバレてしまったり、糸ちゃんがチェロを弾けなくなって以来、なんだか張り切っていることを喝破されたり、どんどんイヤな奴になってきています。  もとよりカホコは理解不能だし、時任パパは頼りないし、この家族にはなかなか感情移入しづらい設定のドラマだと思うんですが、とりあえず麦野くんが画面に現れると、「こいつは信用できるな」という気がしてくる。安心できる。ドラマでどこまで人間を醜く描いても、こういう信用できる人がひとりいると、視聴者としても救済される感じがしてすごく見やすいんです。ひとりの役者の芝居が、作品全体のセーフティネットとして機能している。竹内涼真は今回、役割以上に大きな仕事をしているように思います。  ともあれ、かなり面白いので次回も楽しみですよ~。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

10.8%で2ケタキープ『過保護のカホコ』が描く「よかれと思って」という気持ちの“暴力性”

10.8%で2ケタキープ『過保護のカホコ』が描く「よかれと思って」という気持ちの暴力性の画像1
日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第2話。視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、初回から0.8ポイント下げたものの2ケタキープです。  第2話は、「アレ?」と思うようなナレーションから始まりました。 「小さな王国に棲んでいるお姫様が、このお話の主人公だ」  声の主は主人公・カホコの父親である正高(時任三郎)。GoogleMapsのキャプチャ画面にCGで描きこまれているのは、歪んだハート型に囲われたエリア。このエリアの外に出てしまうと、すっかり人が変わったようにおとなしくなってしまうので、この内側が“王国”というわけです。  しかし、このエリアから外に出ると人が変わってしまうのはカホコではなく、カホコに異常な愛情を注ぐ過保護な母親・泉(黒木瞳)です。父・正高が「女王様」と呼ぶ泉は、確かにエリア内では生き生きと自己主張を繰り広げますが、一歩外に出ると夫の実家であってもしおらしくなってしまい、相手が聞き取れないような小声でしか話さなくなります。一方の「お姫様」カホコは、エリア外の大学に通っていますし、家にいても外に出ても、同じように「ぽや~ん」としているだけ。とりたてて変化はありません。  なので、このナレーションを聞いたとき、「アレ? 主人公って、母親の泉だったっけ?」と、ちょっと思ってしまったんです。メーンビジュアルはカホコですし、タイトルも『過保護のカホコ』なのでそんなわけないんですけど、第2話はちょっと誤読したまま、母・泉の視点からストーリーを振り返ってみます。  さて、今日も今日とてカホコはひとりじゃ朝も起きられません。泉は目覚まし時計の鳴り響く娘の部屋に乗り込んでむずがる我が子(22)を叩き起こし、大学に着ていく服を選んであげて、車で駅まで送っていきます。いつもの日常です。  娘は就活もうまくいってないし、もう花嫁修業をして専業主婦になればいい。泉はそう考えています。家庭を支えるのだって、立派な仕事だし。  しかし娘は「それじゃダメだって同級生の麦野くん(竹内涼真)が言ってる」などと、意味のわからないことを言い出します。娘によれば麦野くんに「社会に出て働くのが怖いんだよ、違うか?」と言われたそうです。  そんなの、違います。だいたい娘は昨夜、遅く帰ってきたと思ったら「人を幸せにする仕事がしたい」とか言い出しましたが、そんな仕事、どうやって探すつもりなのか。「何かある気がする」とか言ってるけど、なんなのか。専業主婦でいいじゃないか。それでも「パパの会社に見学に行きたい」と言い張るので、まあ、とりあえず連れて行くことにしました。あと、2人の妹の旦那さんがお巡りさんと看護師なので、そっちにも連れて行くことにします。  娘は、パパの保険の仕事には興味がなさそう。お巡りさんと看護師の2人の親戚は、ともに「この仕事は娘には向いてない」と言います。やっぱり専業主婦がいいんじゃないのか。  パパの実家にも娘を連れて行きます。パパの実家はエリア外ですし苦手ですが、ひとりで行かせるのも変なので一緒に行きます。お婆ちゃん(パパのママ)は、こともあろうか「専業主婦だけはやめたほうがいい」などと言い出しました。エリア外なので泉はろくに反論もできませんが、何を言い出すのかこのババアは、と思っています。ババアの家に問題があるだけで、うちみたいな幸せな家庭だったら専業主婦がいちばんなのに。  翌日、大学から帰ってきた娘は、『13歳のハローワーク』を読みふけっています。本屋にも滅多に行かない娘なのに、珍しいこともあるものです。娘はページをめくりながら「ケーキ屋」「保母」「宇宙飛行士」「フラワーアレンジメント」「教師」「大工」「僧侶」など、さまざまな候補を挙げて意見を求めてきますが、どれもこれも娘に向いているとは思えません。向いていない理由を教えてあげると、娘はいい子なので納得してくれます。本当にいい子です。  次の日曜、親戚の女子高生・糸ちゃん(久保田紗友)が出場するチェロのコンクールが開かれました。もちろん、親戚一同仲良しなので、みんなで応援に駆けつけました。といっても、パパの実家のほうには声もかけてません。苦手だし、エリア外の人間だし。当然です。  一同、糸ちゃんの優勝を信じて疑いません。娘のカホコだけトイレを我慢しているのか終始モジモジしていますが、まあ糸ちゃんならやってくれるでしょう。  演奏が始まります。最初はよかったのですが、急に音が歪んだと思ったら、糸ちゃんが弓を落として手首を押えています。チェロも倒れてしまいました。なんということでしょう。演奏は中断。もちろん、優勝もできませんでした。娘はまだモジモジしています。トイレに行きたきゃ行けばいいのに。  病院での診断によれば、糸ちゃんは神経障害を患っていて、もうチェロは弾けないのだそうです。幸い、日常生活に支障はないものの、ずいぶん前から痛みがあって隠していたのだと。糸ちゃんパパ(夙川アトム)は、「気付いてやれなかった自分が悪い」と落ち込んでしまいます。糸ちゃんは安定剤を飲んで寝ているそうです。明日、詳しい検査があって、しばらく入院になると。  それにしても、この親戚一同の落ち込みっぷりはなんなのか。落ち込んでいる場合じゃないだろう。この人たちは、ホントに私がいないと何もできないのだ。こんなときこそみんなで力を合わせて、糸ちゃんのためにできることをしてやらなきゃいけないのに。  泉はひとりひとりに「糸ちゃんを元気づけてやる計画」の指示を与え、明日もう一度集まって、全員で糸ちゃんを見舞う段取りをつけます。泉が仕切らないと誰も動かないので、もう仕切る仕切る。泉のママ(三田佳子)が「しばらくそっとしてあげておいたほうが、いいんじゃないの? 糸もショックで、誰とも会いたくないかもしれないし」などとアホみたいなことを口走りますが、家族が困ってるのにほっとけというのでしょうか。こんなときこそ、なんでもしてあげるのが家族なのです。 ■というのが、このドラマで描かれている泉の考え方です。  あー、書いてて気持ち悪くなってきた。  要するに自分の行動の正しさに対する盲信。「よかれと思って」という気持ちの独善性。そういうものを、遊川は嫌というほど泉に背負わせることにしたようです。  そういう泉が大切に大切に育ててきたカホコは、実は糸ちゃんの手首のことを知っていました。モジモジしていたのは、トイレに行きたいのではなく、「手首のことをみんなに言わなくていいのかな、糸ちゃんは演奏大丈夫なのかな」という心配のそぶりだったのです。  カホコも、糸ちゃんのためにできることを考えます。麦野くんは画家志望だし、同じ芸術家として、糸ちゃんに言えることがあるんじゃないかとカホコは考えています。しかし麦野くんは、「夢破れたばかりの者は慰められてもムカつくだけなので、向こうが必要とするまでほっといたほうがいい」と言います。泉とは、まるで真逆のことを言うので、カホコは混乱します。  それでも必死に考えて、でも、ママに頼らずひとりでできることなんてほとんどなくて、結果、麦野くんと2人で千羽鶴を折ることに。麦野くんは優しいので、貯金を下ろして5万円のバイト代を支払うと、半分の500羽を折ってくれました。  というわけで、糸ちゃんのお見舞いに。麦野くんから「余計なこと言うなよ」と釘を刺されたカホコは、お花と千羽鶴だけ置いて帰ろうとしますが、糸ちゃんに「もう帰るの? (手首のこと)黙っててって言ったの、気にしないでね」と気を使われ、さらに「もう弾けないなんて笑っちゃう、ほかに何しろって言うんだよって感じ」などと悲しい笑顔を見せられてしまっては、どうにもたまりません。  堰を切ったように、糸ちゃんを励まし出すカホコ。「片手で弾けるピアノもある」「歌を歌うこともできる」などと人生を賭けてきた夢が破れたばかりの糸ちゃんの神経を逆なですると、ネットで探してきたジャッキー・ロビンソン(黒人初のMLBプレーヤー)の「不可能の反対は可能ではない、挑戦だ」という名言を披露。さらに「糸ちゃんは絶対に大丈夫」「大人だし強いし奇跡を起こせる」などとのたまいます。  はい、糸ちゃんブチ切れ。  主に「親戚全員嫌い」「特に、何もできないのにカワイイカワイイ言われてるカホコが嫌い」といったメッセージを、ありったけの罵詈雑言を用いて送出しました。病室を貫く果てしない叫び。カホコは生まれて初めて自分に向けられた“嫌悪の感情”というものに、もう耳をふさぐしかありませんでした。麦野くんのアトリエで見たムンクの「叫び」のように、もう耳をふさぐしかありませんでした。  ママに相談したら、ママはきっと糸ちゃんママ(ママの妹)を責めるでしょう。誰にも相談できないカホコの頭にまた、あの糸ちゃんの叫びが蘇ります。  そんなとき、助けてくれるのはやっぱりヒーロー麦野くん。心配してマンションの下まで来てくれた麦野くんと、神社で向き合います。 「どんな人間にも、裏表や二面性がある」  カホコは麦野くんの胸を借りて、思いっきり泣くのでした。 ■母・泉の人生の“副産物”としての娘・カホコ  今回、もちろんカホコに悪意があったわけではありません。単純に、母の信念である「なんとかしてやるのが家族」という哲学と、徹底的な過保護によって育まれた性根の良さが表れてしまっただけでした。  前回のティッシュ配りやピザ配達といった労働体験では良い方向に現れたカホコの性根の良さが、まるまる逆の効果を生んでしまった。そして、交通事故みたいに糸ちゃんの逆鱗に触れてしまった。  だから糸ちゃんの「叫び」は、本当はカホコに向けられたものではありません。それは親戚一同の思想的な旗手である泉の哲学に向けて放たれたものであり、その思想哲学をもっとも強く受け継いで育ったカホコは、人の心について無知なまま大人になってしまった「過保護の犠牲者」として描かれました。ひとつの人格ではなく、まるで母の人生の副産物であるかのような、残酷な描写です。カホコの純粋な、とても純粋な「よかれと思って」が、結果として糸ちゃんにとっては極めて強烈な暴力になってしまった。  冒頭で記したGoogleMapsに描かれた「歪んだハート」型のエリア。このエリアの中でだけ発揮される、母・泉の歪んだ愛情。  正直、第2話の段階でここまで泉の過保護の弊害をストレートに描いてくると思わなかったので、驚きました。何しろ、この作品は展開が速い。あと10話近く残っている中で、泉の善意はどんどん嫌われていって、ズタボロにされていくことでしょう。黒木瞳にとっては、なかなかタフな役回りですが、そのへんは遊川さんとの信頼関係もあるんでしょうね。このドラマは面白いです。はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感の画像1
日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。  物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。  そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。  一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい  ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。  今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。  こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。  そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図  そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。  ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。  無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」  ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」  世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。  だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。  子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。  過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。  奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感の画像1
日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。  物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。  そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。  一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい  ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。  今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。  こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。  そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図  そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。  ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。  無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」  ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」  世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。  だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。  子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。  過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。  奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)