遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第2話。視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、初回から0.8ポイント下げたものの2ケタキープです。 第2話は、「アレ?」と思うようなナレーションから始まりました。 「小さな王国に棲んでいるお姫様が、このお話の主人公だ」 声の主は主人公・カホコの父親である正高(時任三郎)。GoogleMapsのキャプチャ画面にCGで描きこまれているのは、歪んだハート型に囲われたエリア。このエリアの外に出てしまうと、すっかり人が変わったようにおとなしくなってしまうので、この内側が“王国”というわけです。 しかし、このエリアから外に出ると人が変わってしまうのはカホコではなく、カホコに異常な愛情を注ぐ過保護な母親・泉(黒木瞳)です。父・正高が「女王様」と呼ぶ泉は、確かにエリア内では生き生きと自己主張を繰り広げますが、一歩外に出ると夫の実家であってもしおらしくなってしまい、相手が聞き取れないような小声でしか話さなくなります。一方の「お姫様」カホコは、エリア外の大学に通っていますし、家にいても外に出ても、同じように「ぽや~ん」としているだけ。とりたてて変化はありません。 なので、このナレーションを聞いたとき、「アレ? 主人公って、母親の泉だったっけ?」と、ちょっと思ってしまったんです。メーンビジュアルはカホコですし、タイトルも『過保護のカホコ』なのでそんなわけないんですけど、第2話はちょっと誤読したまま、母・泉の視点からストーリーを振り返ってみます。 さて、今日も今日とてカホコはひとりじゃ朝も起きられません。泉は目覚まし時計の鳴り響く娘の部屋に乗り込んでむずがる我が子(22)を叩き起こし、大学に着ていく服を選んであげて、車で駅まで送っていきます。いつもの日常です。 娘は就活もうまくいってないし、もう花嫁修業をして専業主婦になればいい。泉はそう考えています。家庭を支えるのだって、立派な仕事だし。 しかし娘は「それじゃダメだって同級生の麦野くん(竹内涼真)が言ってる」などと、意味のわからないことを言い出します。娘によれば麦野くんに「社会に出て働くのが怖いんだよ、違うか?」と言われたそうです。 そんなの、違います。だいたい娘は昨夜、遅く帰ってきたと思ったら「人を幸せにする仕事がしたい」とか言い出しましたが、そんな仕事、どうやって探すつもりなのか。「何かある気がする」とか言ってるけど、なんなのか。専業主婦でいいじゃないか。それでも「パパの会社に見学に行きたい」と言い張るので、まあ、とりあえず連れて行くことにしました。あと、2人の妹の旦那さんがお巡りさんと看護師なので、そっちにも連れて行くことにします。 娘は、パパの保険の仕事には興味がなさそう。お巡りさんと看護師の2人の親戚は、ともに「この仕事は娘には向いてない」と言います。やっぱり専業主婦がいいんじゃないのか。 パパの実家にも娘を連れて行きます。パパの実家はエリア外ですし苦手ですが、ひとりで行かせるのも変なので一緒に行きます。お婆ちゃん(パパのママ)は、こともあろうか「専業主婦だけはやめたほうがいい」などと言い出しました。エリア外なので泉はろくに反論もできませんが、何を言い出すのかこのババアは、と思っています。ババアの家に問題があるだけで、うちみたいな幸せな家庭だったら専業主婦がいちばんなのに。 翌日、大学から帰ってきた娘は、『13歳のハローワーク』を読みふけっています。本屋にも滅多に行かない娘なのに、珍しいこともあるものです。娘はページをめくりながら「ケーキ屋」「保母」「宇宙飛行士」「フラワーアレンジメント」「教師」「大工」「僧侶」など、さまざまな候補を挙げて意見を求めてきますが、どれもこれも娘に向いているとは思えません。向いていない理由を教えてあげると、娘はいい子なので納得してくれます。本当にいい子です。 次の日曜、親戚の女子高生・糸ちゃん(久保田紗友)が出場するチェロのコンクールが開かれました。もちろん、親戚一同仲良しなので、みんなで応援に駆けつけました。といっても、パパの実家のほうには声もかけてません。苦手だし、エリア外の人間だし。当然です。 一同、糸ちゃんの優勝を信じて疑いません。娘のカホコだけトイレを我慢しているのか終始モジモジしていますが、まあ糸ちゃんならやってくれるでしょう。 演奏が始まります。最初はよかったのですが、急に音が歪んだと思ったら、糸ちゃんが弓を落として手首を押えています。チェロも倒れてしまいました。なんということでしょう。演奏は中断。もちろん、優勝もできませんでした。娘はまだモジモジしています。トイレに行きたきゃ行けばいいのに。 病院での診断によれば、糸ちゃんは神経障害を患っていて、もうチェロは弾けないのだそうです。幸い、日常生活に支障はないものの、ずいぶん前から痛みがあって隠していたのだと。糸ちゃんパパ(夙川アトム)は、「気付いてやれなかった自分が悪い」と落ち込んでしまいます。糸ちゃんは安定剤を飲んで寝ているそうです。明日、詳しい検査があって、しばらく入院になると。 それにしても、この親戚一同の落ち込みっぷりはなんなのか。落ち込んでいる場合じゃないだろう。この人たちは、ホントに私がいないと何もできないのだ。こんなときこそみんなで力を合わせて、糸ちゃんのためにできることをしてやらなきゃいけないのに。 泉はひとりひとりに「糸ちゃんを元気づけてやる計画」の指示を与え、明日もう一度集まって、全員で糸ちゃんを見舞う段取りをつけます。泉が仕切らないと誰も動かないので、もう仕切る仕切る。泉のママ(三田佳子)が「しばらくそっとしてあげておいたほうが、いいんじゃないの? 糸もショックで、誰とも会いたくないかもしれないし」などとアホみたいなことを口走りますが、家族が困ってるのにほっとけというのでしょうか。こんなときこそ、なんでもしてあげるのが家族なのです。 ■というのが、このドラマで描かれている泉の考え方です。 あー、書いてて気持ち悪くなってきた。 要するに自分の行動の正しさに対する盲信。「よかれと思って」という気持ちの独善性。そういうものを、遊川は嫌というほど泉に背負わせることにしたようです。 そういう泉が大切に大切に育ててきたカホコは、実は糸ちゃんの手首のことを知っていました。モジモジしていたのは、トイレに行きたいのではなく、「手首のことをみんなに言わなくていいのかな、糸ちゃんは演奏大丈夫なのかな」という心配のそぶりだったのです。 カホコも、糸ちゃんのためにできることを考えます。麦野くんは画家志望だし、同じ芸術家として、糸ちゃんに言えることがあるんじゃないかとカホコは考えています。しかし麦野くんは、「夢破れたばかりの者は慰められてもムカつくだけなので、向こうが必要とするまでほっといたほうがいい」と言います。泉とは、まるで真逆のことを言うので、カホコは混乱します。 それでも必死に考えて、でも、ママに頼らずひとりでできることなんてほとんどなくて、結果、麦野くんと2人で千羽鶴を折ることに。麦野くんは優しいので、貯金を下ろして5万円のバイト代を支払うと、半分の500羽を折ってくれました。 というわけで、糸ちゃんのお見舞いに。麦野くんから「余計なこと言うなよ」と釘を刺されたカホコは、お花と千羽鶴だけ置いて帰ろうとしますが、糸ちゃんに「もう帰るの? (手首のこと)黙っててって言ったの、気にしないでね」と気を使われ、さらに「もう弾けないなんて笑っちゃう、ほかに何しろって言うんだよって感じ」などと悲しい笑顔を見せられてしまっては、どうにもたまりません。 堰を切ったように、糸ちゃんを励まし出すカホコ。「片手で弾けるピアノもある」「歌を歌うこともできる」などと人生を賭けてきた夢が破れたばかりの糸ちゃんの神経を逆なですると、ネットで探してきたジャッキー・ロビンソン(黒人初のMLBプレーヤー)の「不可能の反対は可能ではない、挑戦だ」という名言を披露。さらに「糸ちゃんは絶対に大丈夫」「大人だし強いし奇跡を起こせる」などとのたまいます。 はい、糸ちゃんブチ切れ。 主に「親戚全員嫌い」「特に、何もできないのにカワイイカワイイ言われてるカホコが嫌い」といったメッセージを、ありったけの罵詈雑言を用いて送出しました。病室を貫く果てしない叫び。カホコは生まれて初めて自分に向けられた“嫌悪の感情”というものに、もう耳をふさぐしかありませんでした。麦野くんのアトリエで見たムンクの「叫び」のように、もう耳をふさぐしかありませんでした。 ママに相談したら、ママはきっと糸ちゃんママ(ママの妹)を責めるでしょう。誰にも相談できないカホコの頭にまた、あの糸ちゃんの叫びが蘇ります。 そんなとき、助けてくれるのはやっぱりヒーロー麦野くん。心配してマンションの下まで来てくれた麦野くんと、神社で向き合います。 「どんな人間にも、裏表や二面性がある」 カホコは麦野くんの胸を借りて、思いっきり泣くのでした。 ■母・泉の人生の“副産物”としての娘・カホコ 今回、もちろんカホコに悪意があったわけではありません。単純に、母の信念である「なんとかしてやるのが家族」という哲学と、徹底的な過保護によって育まれた性根の良さが表れてしまっただけでした。 前回のティッシュ配りやピザ配達といった労働体験では良い方向に現れたカホコの性根の良さが、まるまる逆の効果を生んでしまった。そして、交通事故みたいに糸ちゃんの逆鱗に触れてしまった。 だから糸ちゃんの「叫び」は、本当はカホコに向けられたものではありません。それは親戚一同の思想的な旗手である泉の哲学に向けて放たれたものであり、その思想哲学をもっとも強く受け継いで育ったカホコは、人の心について無知なまま大人になってしまった「過保護の犠牲者」として描かれました。ひとつの人格ではなく、まるで母の人生の副産物であるかのような、残酷な描写です。カホコの純粋な、とても純粋な「よかれと思って」が、結果として糸ちゃんにとっては極めて強烈な暴力になってしまった。 冒頭で記したGoogleMapsに描かれた「歪んだハート」型のエリア。このエリアの中でだけ発揮される、母・泉の歪んだ愛情。 正直、第2話の段階でここまで泉の過保護の弊害をストレートに描いてくると思わなかったので、驚きました。何しろ、この作品は展開が速い。あと10話近く残っている中で、泉の善意はどんどん嫌われていって、ズタボロにされていくことでしょう。黒木瞳にとっては、なかなかタフな役回りですが、そのへんは遊川さんとの信頼関係もあるんでしょうね。このドラマは面白いです。はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
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7.9%スタートの窪田正孝主演『僕たちがやりました』9時台で「不快な人間を見せる」という試みは成功するか
エログロ、陰惨、登場人物はクズだらけ……でも、ちょっと爽快な原作コミックを映像化したカンテレ制作の「火9」ドラマ『僕たちがやりました』も、18日からスタート。第1話の視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ややコケな数字でした。9時台としては、最近では珍しいくらいの不快な暴力描写なんかもあって、途中離脱した視聴者も少なくなかったと想像します。不良高校生・市橋(新田真剣佑)の喫煙シーンなんて、例の「BPナントカO」あたりに「けしからん!」的な御意見が殺到しそうです。 物語の主人公は「人生そこそこでいい」と考え、特にやりたいことも夢もない凡下(ボケ)高校の2年生・トビオ(窪田正孝)。彼女もいないし童貞ですが、とりあえずエロDVDを見て、毎日そこそこ楽しく生きているようです。そんなトビオといつも一緒に遊んでいるのが、ヤリチンモテ男の伊佐美(間宮祥太朗)と、キノコ頭のヒヨワ男子・マル(葉山奨之)という2人の同級生。そして、この3人の高校生活を「そこそこ楽しい」たらしめているのが、すでに凡下高を卒業しているのに、3人が所属するフットサル部(主に部室でエロDVDを見るなどの活動をしている)の部室に入り浸っているパイセン(今野浩喜)です。 パイセンは20歳ですが、働いていません。親が大金持ちらしく、真っ白な高級BMWで凡下高に通っては、後輩3人と連れ立って「トランプしようや!」「金ならあるんや!」「カラオケや!」「ボウリングや!」と、楽しくやっています。ほかにこの男を相手にしてくれる友達もいませんし、3人もパイセンの金が好きなだけで、パイセン本人が好きなわけじゃないようです。パイセンはそんな3人の気持ちも薄々わかっていますが、ほかにやることがないのでしょう、毎日彼らを誘っては、湯水のようにお金を使ってスポッチャに通っています。 ところで、凡下高から道路を挟んで向かい側には、矢波(ヤバ)高校という、いかにもヤバイ高校があります。その中でも、とりわけヤバイのが冒頭で記した市橋という生徒が仕切っているグループ。たまり場にしている倉庫を「矢波高コロシアム」と名付け、そこらへんの弱っちい男子高校生を拉致してきては、素手で殺し合わせるというヤバさです。 ある日、凡下高の3人とパイセンは、いつものようにスポッチャで楽しく遊んでいました。すると、トイレに立ったキノコ頭のマルが、市橋一派に拉致されてしまいます。コロシアムには、すでに、ひと目でそれとわかるマルの対戦相手が用意されていました。その名も、ウンコ(加藤諒)。キノコとウンコは、殺し合いを命じられます。市橋いわく「3分で決着がつかなければ、両方殺す」と。いやー、不快です。趣味が悪い。 ウンコはウンコなりの卑怯な手を使ってキノコを殺しにかかりますが、どうにもケンカ慣れしていない2人。決闘はグダグダになりつつ、キノコが馬乗りでパウンドを連打し、不器用なフロントチョークを繰り出してウンコがタップ。見事、決着が付きました。両手を上げて、雄叫びを上げるキノコ。 しかし、市橋は納得しません。「まだ死んでねえぞ」と、さらなる首絞めを要求。怖いので従うしかないキノコはウンコを失神させて完全勝利を収めると、「帰っていいぞ」という許可を得ました。しかし次の瞬間、そこらへんで懸垂運動をしていたマッチョマンが「ちょっと待った!」と登場。「初めて会ったときから殺したいって思ってました!」と熱烈な告白をして、結局マルはボコボコにされてしまいました。 マルがそんなことになっているとも知らず、ローラースケートに興じながら光GENJIの往年の名曲を熱唱したり、カラオケで郷ひろみの往年の名曲を熱唱したりしていたパイセンとトビオ、伊佐美でしたが、大満足して帰ろうとしたらBMWの前に大きな段ボール箱が置いてあります。パイセンは「サプライズか!?」と喜びますが、箱の中身はボコられたマルでした。向こうでは市橋ら、矢波高の連中がゲラゲラ笑いながらバイクで去っていきます。 「あいつら殺そう、俺たちで」 そこそこ楽しければそれでよかったトビオが、そんなことを言い出すのでした。ここまでが冒頭のネタ振り。いわゆる導入部分です。 ■28歳の窪田くんに高校生役が務まるのかという問い 放送前からあちこちで取り沙汰されていたのが、実年齢28歳の窪田正孝が高校生を演じることへの違和感でした。しかし、ここまで見た限り、印象としては全然大丈夫。もともと、いい意味で色味の薄い俳優さんでもありますし、みんなで大ハシャギしながら歌っているのが全部懐メロなこととか、そのへんが人物観をちょっと年齢高めに寄せている感じになっていて、それにマッチしているのかもしれません。 そして何より、窪田くんより10コ年上の実年齢38歳なのに、20歳のパイセンを演じている今野浩喜が横にいるので、細かいことはどうでもよくなってしまいます。何しろ、この今野がピンズドなんです。ダミ声なのに聞きやすい独特の声で発せられる胡散臭い関西弁も、やけに上手いタンバリンさばきも(練習したそうです=記事参照)、ハシャいでいるのにどこか寂しげで、他に類を見ない独特な造形の顔面も、まるでコミックからそのまま立ち上がってきたようなパイセンそのもの。実に信用できる配置です。 というか、この『僕たちがやりました』という物語で、もっとも深く背景を掘り下げられる人物は、原作通りなら、実はパイセンなのです。パイセンの金によって目的のないモラトリアムを楽しく過ごしていた高校生3人が、パイセンのチョンボによって“逃亡犯”に仕立て上げられる。逃亡中もパイセンの金に振り回され、パイセンの心情や行動や環境に影響を受けながら、生き方を模索する話。つまり、パイセンというキャラクター造形の成否が、このドラマの核になる部分だったわけです。 「だったわけです」と過去形で書いたのは、とりあえず成功していると思ったからです。展開が、というか、原作の改変がどう転んでも、このパイセンだけ愛でていればドラマを完走することができそうです。後輩芸人のネタである「ダンソン!」とか「空前絶後のー!」とかを全力で演じちゃう今野パイセン。「塀を乗り越えて高校に侵入する」という、何か遠い記憶が甦りそうなシーンを嬉々として演じる今野パイセン。かわいいよパイセン。 ■第1話は、きっちりコミック第1巻まで 「あいつら殺そう、俺たちで」 そう決意したトビオたちでしたが、もちろん、本当に殺すことなんてできません。パイセンの金にモノをいわせて、ちょっとガラスが割れる程度の簡易爆弾を作って、夜中に矢波高に忍び込むことにしました。 馬など、思い思いの動物マスクをかぶって、そこらじゅうに爆弾を仕掛けます。起爆スイッチは、リモコン操作で。翌日の昼休みに、凡下高の屋上でポチポチしながらビビる矢波高生を眺めようという算段です。仕掛けている途中で不用意にマスクを外したパイセンが矢波高の宿直さんとトビオの担任・菜摘ちゃん(水川あさみ)に目撃されますが、あんまり気にしてません。 そしていよいよ祭りの当日。起爆スイッチを押す順番は、ボコられたマルからです。続いてトビオ、もちろん伊佐美も、パイセンも。 ポチ、パリーン。ポチ、パリーン。 スイッチを押すたびに、矢波高の窓ガラスが割れます。矢波高生たちは、「狙撃されてる!」とビビりまくり。トビオたちは大喜びです。 「人がゴミのようだー!」「バルス! バルス! バルス!」 調子に乗りまくったパイセンが「どうも、あご乗せ太郎です」などと意味不明な自己紹介をしながら、あごでスイッチを押すと、なぜか矢波高は空爆に遭ったように激しく爆発し、大炎上。こんな強力な爆弾作ってないし、作れるわけもないのに……。 憎き市橋は倒れて動きません。何人もの不良たちが火だるまになっています。トビオの「俺の人生、そこそこでよかったんですけど……」というモノローグで、第1話はここまで。きっちりコミック1巻分を忠実に再現した感じです。ドラマオリジナルキャラである菜摘ちゃん先生がパイセンたちを目撃していたことで、ちょっと原作から展開が変わってくるのかもしれません。 第1話ではあんまり目立ちませんでしたが、物語にヒロインは2人。伊佐美の彼女でヤリマン巨乳の女子高生は川栄李奈がおっぱいに夢をいっぱい詰めて演じ、トビオの幼なじみには永野芽郁がブッキングされました。原作のエロシーンを、9時台でどれくらい再現してくるのかにも期待したいところです。特に川栄が演じる今宵ちゃん! 頼むよ! ■「不快な人間を見せる」という試みは成功するのか 公式ホームページに「ハチャメチャな若者エンターテインメントに見えるが、(原作漫画を)読み進めていくと人間の業が見えてくる。ドラマは結果的に人間のどうしようもなさ、心の中をのぞいているみたい。一皮めくると見えてくる、人間の本質的な部分を、若者たちが演じることでむき出しになる」というプロデューサー・米田孝氏のコメントがありました。 このレビューの冒頭で、エログロや陰惨な暴力描写を、最近では珍しいくらい不快に描いていると書きましたが、この原作でもっとも不快なのは、何しろトビオたち4人の身勝手な行動原理です。 彼らは「そこそこでいい」とは思っていても「そこそこの人生がいい」と積極的に願っていたわけではありません。要するに、何も考えていませんでした。そうした彼らが事件を経てみると、もう自分の保身しか考えられず、平気で誰かを裏切り、結論を先送りにし、欲望の赴くままに女を抱きます。自分たちのせいで何人も人が死んでいるのに、です。 9時台で、そうした4人の若者たちの不快な身勝手さをどれくらい再現してくるのか、そして、それが確かな意思と技術でもって再現されて「むき出し」になったとき、どれくらい視聴者に受け入れられるのか。 この国の何人の若者を、途中で脱落させずに物語の結末まで導いていくことができるのか。『僕たちがやりました』が、昨今、日増しに浄化されていくテレビ画面を汚してまで伝えたいと願っているメッセージは、誰に届くのか。米田氏のいう「エンターテインメント」の力が試されることになりそうです。あと、劇伴がいちいちカッコよくていいなと思いました。 (文=どらまっ子AKIちゃん)関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより
視聴率12%の好スタート! 要潤のクズ夫ぶりが光るも、主演・渡辺直美の演技力には疑問……TBS『カンナさーん!』第1話
お笑い芸人の渡辺直美が主演を務めるドラマ『カンナさーん!』(TBS系)の第1話が18日に放送されました。原作は、月刊誌「YOU」(集英社)にて、2001年から07年まで連載されていた、漫画家・深谷かほるによる同名の人気コミックです。初回平均視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好スタートを切りました。 今回、渡辺が演じる鈴木カンナは、夫・礼(要潤)の浮気が原因で離婚し、ファッションデザイナーとして働きつつ1人息子・麗音(川原瑛都)を育てていく超ポジティブなシングルマザーという設定です。深谷いわく「誰がどう見てもブスでありながら、でも可愛いという女性」をイメージしてキャラ形成したとのことで、原作のビジュアルはお世辞にも美しいとはいえません。ただ、そのバイタリティーと前向きな性格は素晴らしいの一言。世のシングルマザーを勇気づけるような力強さが感じられます。 そんな役を独身の渡辺が演じきれるのかと疑問を抱いていたのですが、案の定、渡辺からは母親らしさや生活感がまったく感じられませんでした。麗音を迎えに保育園を訪れるシーンが何度か流れるのですが、親子の親密さのようなものが伝わってこないため、母親の代理で来た叔母か何かのように見えてしまいました。 まあ、一言で片づけてしまえば演技力がないということになるのですが、礼の浮気が発覚した時も怒りの感情を出すのが下手だなと思いました。今年3月に放送された『ダウンタウンなう』(日本テレビ系)では、人生で1度も彼氏ができたことがなくワンナイトラブばかりだと語っていましたが、あながち嘘ではないのかもしれません。異性と深い交際をしたことがないから裏切られた時の感情がわからない。想像ができない。だから、嘘くさい演技になってしまうのではないでしょうか。 ネット上での評価をざっと見たところ、「ウザい」だの「演技が暑苦しい」だのといった批判が目立っていますが、むしろその逆で渡辺の演技は控えめだと感じました。あくまでも原作のカンナと比べてですよ。ただ、シングルマザーをメインターゲットにしているのであれば、もっと図太さのようなものを見せていかなければ支持は得られないのではないでしょうか。 その一方で、“クズ夫”礼役を演じる要はバッチリはまっている印象。学生時代に付き合っていた元カノの草壁真理(シシド・カフカ)と仕事上で繋がりができたことをいいことに浮気をしてしまうのですが、それをカンナに咎められた際、「恋って名前の病なんだ」と真顔で言ってのけます。 さらに、カンナとヨリを戻すために母・柳子(斉藤由貴)と父・徹三(遠山俊也)を引き連れ家に戻った際には、「今回のことは浮気じゃない、本気だ」とぶっとんだ発言をします。そうかと思えば、その話を聞いた真理から、「私も本気になっていいってこと?」と訊かれると、「うん、まあ……」と何だか煮え切らない態度を見せるんですね。 礼はCG制作会社を経営しているのですが、その社員の片桐裕太(シソンヌ・じろう)からも「仕事は完璧だけど、プライベートはホント、クズっすね」と言われてしまう始末。今回の役を演じるにあたって要は、「全ての女性を敵に回す覚悟はできています」と語っていましたが、見事にクズ夫を演じきっていると思います。 それだけに、母親役の斉藤のキャラクターが中途半端なんですよね。原作では息子愛しの感情が強いため、カンナとバチバチとバトルを繰り広げるのですが、ドラマでは現実の斉藤そのままといった感じで天然キャラの要素が強く、カンナに強く反論されるとすぐに引いてしまう弱さも見せていました。 嫁姑の確執は、ホームドラマでは描き尽くされた対立。とはいえ、この作品には欠かせない要素です。また、憎たらしい姑にカンナが立ち向かうことで、世のシングルマザーのみならず主婦たちのカタルシスになり、支持を得られるポイントになると思うのですが、柳子のキャラクターではこの先、盛り上がりに欠けてしまうのではないでしょうか。 とはいえ、ドラマはまだ始まったばかり。回を重ねる毎に渡辺が母親らしく見えてくるかもしれません。今回、礼に正式に離婚を言い渡したカンナですが、次回は礼の浮気相手である真理と鉢合わせしてしまうシーンもあるようなので、どんな対立が生まれるのか、また、そこでゲス夫がどんな対応をするのかにも注目していきたいと思います。 (文=大羽鴨乃)TBS系『カンナさーん!』番組公式サイトより
視聴率12%の好スタート! 要潤のクズ夫ぶりが光るも、主演・渡辺直美の演技力には疑問……TBS『カンナさーん!』第1話
お笑い芸人の渡辺直美が主演を務めるドラマ『カンナさーん!』(TBS系)の第1話が18日に放送されました。原作は、月刊誌「YOU」(集英社)にて、2001年から07年まで連載されていた、漫画家・深谷かほるによる同名の人気コミックです。初回平均視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好スタートを切りました。 今回、渡辺が演じる鈴木カンナは、夫・礼(要潤)の浮気が原因で離婚し、ファッションデザイナーとして働きつつ1人息子・麗音(川原瑛都)を育てていく超ポジティブなシングルマザーという設定です。深谷いわく「誰がどう見てもブスでありながら、でも可愛いという女性」をイメージしてキャラ形成したとのことで、原作のビジュアルはお世辞にも美しいとはいえません。ただ、そのバイタリティーと前向きな性格は素晴らしいの一言。世のシングルマザーを勇気づけるような力強さが感じられます。 そんな役を独身の渡辺が演じきれるのかと疑問を抱いていたのですが、案の定、渡辺からは母親らしさや生活感がまったく感じられませんでした。麗音を迎えに保育園を訪れるシーンが何度か流れるのですが、親子の親密さのようなものが伝わってこないため、母親の代理で来た叔母か何かのように見えてしまいました。 まあ、一言で片づけてしまえば演技力がないということになるのですが、礼の浮気が発覚した時も怒りの感情を出すのが下手だなと思いました。今年3月に放送された『ダウンタウンなう』(日本テレビ系)では、人生で1度も彼氏ができたことがなくワンナイトラブばかりだと語っていましたが、あながち嘘ではないのかもしれません。異性と深い交際をしたことがないから裏切られた時の感情がわからない。想像ができない。だから、嘘くさい演技になってしまうのではないでしょうか。 ネット上での評価をざっと見たところ、「ウザい」だの「演技が暑苦しい」だのといった批判が目立っていますが、むしろその逆で渡辺の演技は控えめだと感じました。あくまでも原作のカンナと比べてですよ。ただ、シングルマザーをメインターゲットにしているのであれば、もっと図太さのようなものを見せていかなければ支持は得られないのではないでしょうか。 その一方で、“クズ夫”礼役を演じる要はバッチリはまっている印象。学生時代に付き合っていた元カノの草壁真理(シシド・カフカ)と仕事上で繋がりができたことをいいことに浮気をしてしまうのですが、それをカンナに咎められた際、「恋って名前の病なんだ」と真顔で言ってのけます。 さらに、カンナとヨリを戻すために母・柳子(斉藤由貴)と父・徹三(遠山俊也)を引き連れ家に戻った際には、「今回のことは浮気じゃない、本気だ」とぶっとんだ発言をします。そうかと思えば、その話を聞いた真理から、「私も本気になっていいってこと?」と訊かれると、「うん、まあ……」と何だか煮え切らない態度を見せるんですね。 礼はCG制作会社を経営しているのですが、その社員の片桐裕太(シソンヌ・じろう)からも「仕事は完璧だけど、プライベートはホント、クズっすね」と言われてしまう始末。今回の役を演じるにあたって要は、「全ての女性を敵に回す覚悟はできています」と語っていましたが、見事にクズ夫を演じきっていると思います。 それだけに、母親役の斉藤のキャラクターが中途半端なんですよね。原作では息子愛しの感情が強いため、カンナとバチバチとバトルを繰り広げるのですが、ドラマでは現実の斉藤そのままといった感じで天然キャラの要素が強く、カンナに強く反論されるとすぐに引いてしまう弱さも見せていました。 嫁姑の確執は、ホームドラマでは描き尽くされた対立。とはいえ、この作品には欠かせない要素です。また、憎たらしい姑にカンナが立ち向かうことで、世のシングルマザーのみならず主婦たちのカタルシスになり、支持を得られるポイントになると思うのですが、柳子のキャラクターではこの先、盛り上がりに欠けてしまうのではないでしょうか。 とはいえ、ドラマはまだ始まったばかり。回を重ねる毎に渡辺が母親らしく見えてくるかもしれません。今回、礼に正式に離婚を言い渡したカンナですが、次回は礼の浮気相手である真理と鉢合わせしてしまうシーンもあるようなので、どんな対立が生まれるのか、また、そこでゲス夫がどんな対応をするのかにも注目していきたいと思います。 (文=大羽鴨乃)TBS系『カンナさーん!』番組公式サイトより
山下智久“ポスト木村拓哉”確定か!? 新垣結衣、フジ月9『コード・ブルー』16.3%の好発進!
山Pこと山下智久主演の人気シリーズ最新作『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)が17日にスタート。“月9”は2016年1月クール以降、全話平均視聴率で1ケタが続いていますが、『コード・ブルー』初回は平均視聴率16.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率を記録しました。 同シリーズは08年に第1シーズン、09年にスペシャルドラマ、10年に第2シーズンが放送され、今回、約7年半ぶりに復活。その間、ガッキーが『逃げ恥』(TBS系)で再評価されたり、比嘉愛未が斉藤工から福士誠治に乗り換えたり、山Pが書類送検されたりといろいろありましたが、主要キャストはほぼ再集結しました。 とはいえ、脚本家はこれまでの林宏司氏から、小雪主演『大貧乏』(フジテレビ系)や、嵐・松本潤主演の月9『失恋ショコラティエ』(同)を手掛けた安達奈緒子氏に変更。過去の作品をざっと見る限り、医療系の作品は見当たりませんが、大丈夫でしょうか……?
山Pの登場シーンがやばい!
ドクターヘリを運航する千葉の翔北救命センターは、人手不足でてんてこ舞い。フライトスタッフリーダーの白石(新垣結衣)を中心に、医師の藤川(浅利陽介)、看護師の冴島(比嘉愛未)らが奮闘するも、新人フェロードクターの名取(Hey! Say! JUMP・有岡大貴)や灰谷(成田凌)、横峯(新木優子)、看護師の雪村(馬場ふみか)はまるで使い物にならず、脳外科医の新海(安藤政信)も「想像以上にヤバイね、今の救命」と危機感を口にします。 で、ドラマ開始6分で藍沢(山下)の着替えシーンがドーン! お椀のように盛り上がった大胸筋ドーン、ドーン! はい、これで女性視聴者はチャンネルを替えられない呪いにかかりました。 山Pがムキッとしている最中も、患者は次々と運ばれてきますが、開始10分も経たぬうちに2人もお亡くなりになりました。悔しそうなガッキー。 また、医師の三井(りょう)が休職することに。入れ替わりで、産婦人科医として別の病院で働いていた緋山(戸田恵梨香)が救命に戻ってきます。が、あまりの忙しさに「やってらんないんだけど!」とイライラ。白石に「あんたスタッフリーダーでしょ? 言ってきてよ。藍沢に戻ってこいって!」とキレまくりです。 そんな中、七夕祭の山車が横転し、民家に突っ込む事故が発生。現場に駆けつけるも、無残な状況に新人のダメフェローたちはオロオロするばかり。特に横峯は、山車と家の壁に挟まった血まみれの子どもを発見するも、トランシーバーを使わずにトコトコと歩いて白石に報告しに来たため、温厚な白石が「(子どもを)放ってきたの!?」と叱咤するほどのダメっぷりです。 重傷人が多い上に、その中の妊婦がいきなり破水したり、軽傷だと思っていた人の意識レベルが急に下がるなど、現場は大わらわ。人手が足りず、窮地に追い込まれた白石は、藍沢に電話。ヘリで駆けつけた藍沢は、山車に挟まったままの子どもの頭に、その場でドリルでギリギリと穴を空け、血の塊を除去。一命をとりとめました。特に大掛かりな検査もせずに、頭蓋骨に穴空けちゃうなんてすごいですね。救急ではよくあることなんでしょうか? 教えて、脳外科医の人! 後日、みんなが集まる中、部長の橘(椎名桔平)が「フェローたちに、新しく加わる指導員を紹介したい」と発表。すると、画面がスローモーションになり、おもむろに藍沢がとーじょー!! ぶっきら棒に「よろしく」と自己紹介し、ついに主役が救急に合流しました。ICONIQが出てる
以前から、ジャニーズ事務所が“ポスト・キムタク”として売ろうとしているとウワサされてきた山下ですが、同作初回の山Pはまさに“ポスト・キムタク”的な扱い。1月クールの木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)では、キムタク演じる天才外科医がシアトルから日本の病院に呼び戻されるところから物語が始まりますが、これとダブりました。 ただ、いくらジャニタレを完全無欠のヒーローとして描きたくても、それはドラマのクオリティが伴っていなければお寒いドラマになりがち。14年に大コケした関ジャニ∞・大倉忠義主演『Dr.DMAT』(TBS系)なんかが、その失敗例なんだと思います。 その点、『コード・ブルー』は本格派の雰囲気ながら、設定も脚本も演出もわかりやすく、10代や老人にも優しい作り。初回では、畳み掛けるように次々と感情を揺さぶる展開が用意され、スピード感溢れる仕上がりに。また、新人フェローたちのダメっぷりが“これでもか!”と描かれ、新キャラの人物説明もばっちりでした。 そんな中、気になる新キャラが。ヘリのGOサインを出すコミュニケーションスペシャリストの町田役を、ICONIQ改め伊藤ゆみが演じているではありませんか。昨年、ICONIQの名前を捨て、女優業再開宣言と同時にヌードを披露した伊藤ですが、以降、ゲスト出演ばかりで目立った活躍はなし。『コード・ブルー』は、改名後初の連ドラレギュラーなので、もっとスポーツ新聞とかは騒いであげたほうがいいと思います。 そんなこんなで、ネット上でも「面白い!」「毎週、見る!」「山Pかっこいい!」と大評判の『コード・ブルー』。“月9”の窮地を救えるといいですね。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)山下智久“ポスト木村拓哉”確定か!? 新垣結衣、フジ月9『コード・ブルー』16.3%の好発進!
山Pこと山下智久主演の人気シリーズ最新作『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)が17日にスタート。“月9”は2016年1月クール以降、全話平均視聴率で1ケタが続いていますが、『コード・ブルー』初回は平均視聴率16.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率を記録しました。 同シリーズは08年に第1シーズン、09年にスペシャルドラマ、10年に第2シーズンが放送され、今回、約7年半ぶりに復活。その間、ガッキーが『逃げ恥』(TBS系)で再評価されたり、比嘉愛未が斉藤工から福士誠治に乗り換えたり、山Pが書類送検されたりといろいろありましたが、主要キャストはほぼ再集結しました。 とはいえ、脚本家はこれまでの林宏司氏から、小雪主演『大貧乏』(フジテレビ系)や、嵐・松本潤主演の月9『失恋ショコラティエ』(同)を手掛けた安達奈緒子氏に変更。過去の作品をざっと見る限り、医療系の作品は見当たりませんが、大丈夫でしょうか……?
山Pの登場シーンがやばい!
ドクターヘリを運航する千葉の翔北救命センターは、人手不足でてんてこ舞い。フライトスタッフリーダーの白石(新垣結衣)を中心に、医師の藤川(浅利陽介)、看護師の冴島(比嘉愛未)らが奮闘するも、新人フェロードクターの名取(Hey! Say! JUMP・有岡大貴)や灰谷(成田凌)、横峯(新木優子)、看護師の雪村(馬場ふみか)はまるで使い物にならず、脳外科医の新海(安藤政信)も「想像以上にヤバイね、今の救命」と危機感を口にします。 で、ドラマ開始6分で藍沢(山下)の着替えシーンがドーン! お椀のように盛り上がった大胸筋ドーン、ドーン! はい、これで女性視聴者はチャンネルを替えられない呪いにかかりました。 山Pがムキッとしている最中も、患者は次々と運ばれてきますが、開始10分も経たぬうちに2人もお亡くなりになりました。悔しそうなガッキー。 また、医師の三井(りょう)が休職することに。入れ替わりで、産婦人科医として別の病院で働いていた緋山(戸田恵梨香)が救命に戻ってきます。が、あまりの忙しさに「やってらんないんだけど!」とイライラ。白石に「あんたスタッフリーダーでしょ? 言ってきてよ。藍沢に戻ってこいって!」とキレまくりです。 そんな中、七夕祭の山車が横転し、民家に突っ込む事故が発生。現場に駆けつけるも、無残な状況に新人のダメフェローたちはオロオロするばかり。特に横峯は、山車と家の壁に挟まった血まみれの子どもを発見するも、トランシーバーを使わずにトコトコと歩いて白石に報告しに来たため、温厚な白石が「(子どもを)放ってきたの!?」と叱咤するほどのダメっぷりです。 重傷人が多い上に、その中の妊婦がいきなり破水したり、軽傷だと思っていた人の意識レベルが急に下がるなど、現場は大わらわ。人手が足りず、窮地に追い込まれた白石は、藍沢に電話。ヘリで駆けつけた藍沢は、山車に挟まったままの子どもの頭に、その場でドリルでギリギリと穴を空け、血の塊を除去。一命をとりとめました。特に大掛かりな検査もせずに、頭蓋骨に穴空けちゃうなんてすごいですね。救急ではよくあることなんでしょうか? 教えて、脳外科医の人! 後日、みんなが集まる中、部長の橘(椎名桔平)が「フェローたちに、新しく加わる指導員を紹介したい」と発表。すると、画面がスローモーションになり、おもむろに藍沢がとーじょー!! ぶっきら棒に「よろしく」と自己紹介し、ついに主役が救急に合流しました。ICONIQが出てる
以前から、ジャニーズ事務所が“ポスト・キムタク”として売ろうとしているとウワサされてきた山下ですが、同作初回の山Pはまさに“ポスト・キムタク”的な扱い。1月クールの木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)では、キムタク演じる天才外科医がシアトルから日本の病院に呼び戻されるところから物語が始まりますが、これとダブりました。 ただ、いくらジャニタレを完全無欠のヒーローとして描きたくても、それはドラマのクオリティが伴っていなければお寒いドラマになりがち。14年に大コケした関ジャニ∞・大倉忠義主演『Dr.DMAT』(TBS系)なんかが、その失敗例なんだと思います。 その点、『コード・ブルー』は本格派の雰囲気ながら、設定も脚本も演出もわかりやすく、10代や老人にも優しい作り。初回では、畳み掛けるように次々と感情を揺さぶる展開が用意され、スピード感溢れる仕上がりに。また、新人フェローたちのダメっぷりが“これでもか!”と描かれ、新キャラの人物説明もばっちりでした。 そんな中、気になる新キャラが。ヘリのGOサインを出すコミュニケーションスペシャリストの町田役を、ICONIQ改め伊藤ゆみが演じているではありませんか。昨年、ICONIQの名前を捨て、女優業再開宣言と同時にヌードを披露した伊藤ですが、以降、ゲスト出演ばかりで目立った活躍はなし。『コード・ブルー』は、改名後初の連ドラレギュラーなので、もっとスポーツ新聞とかは騒いであげたほうがいいと思います。 そんなこんなで、ネット上でも「面白い!」「毎週、見る!」「山Pかっこいい!」と大評判の『コード・ブルー』。“月9”の窮地を救えるといいですね。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)そこはかとなく漂う『逃げ恥』臭! 関ジャニ∞・錦戸亮&松岡茉優『ウチの夫は~』が好発進
関ジャニ∞・錦戸亮主演の連続ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)の全話レビュー。8日放送の初回は、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタ発進となりました。 「笑って泣ける新感覚! お仕事ホームドラマ」をうたう同作ですが、脚本は昨年の朝ドラ『べっぴんさん』(NHK)や、AKB48・渡辺麻友主演『戦う!書店ガール』(フジテレビ系)などを手掛け、羽鳥慎一の妻でもある渡辺千穂氏。主題歌は、さだまさしが作詞作曲を手掛ける関ジャニ∞の楽曲「奇跡の人」です。 タイトルだけ見ると、話題の投稿サイト「旦那デスノート」ばりの暴言が飛び出しそうですが、一体、どんなドラマなのでしょう?
随所から漂う『逃げ恥』臭
大手イベント会社で働く司(錦戸)の妻・沙也加(松岡茉優)は、理想の夫と結婚できたことで幸せいっぱい。さらに、司は会社で一番の花形部署に異動が決まり、沙也加の頭は完全にお花畑。妄想の中で「期待のーシャイン! 輝くーシャイーン! ツカサコバヤシ シャイン!」とミュージカルをおっぱじめます。 しかし、司の正体は「働くことで、会社に損害を与える男」として知られるダメ社員。7年前の入社以降、部署をたらい回しにされており、今回の異動は根を上げさせるための肩たたき人事なんだとか。同僚の田所(Hey! Say! JUMP・薮宏太)から「お荷物社員のニモちゃん」と揶揄された司は、言い返せずに肩を落としてしょんぼり顔をキメるしかありません。 とはいえ、新部署で早速「森を生きる展」のチラシ制作を任された司。キノコや粘菌のマニアである司は、デザイナーの宮坂にイメージを伝え、順調に仕事を進めていきます。あら、仕事できるじゃない。 そして、納期までにチラシが完成。すると、宮坂は「実は、入院中の母親の容態が急に悪化してさ」と告白。母のいる青森へ行くといいます。この直後、上司の黒川(壇蜜)から電話で「クライアントが急きょ、コンセプトを変えたいって言ってきた」「デザイナーは変えるな」との連絡が。しかし、司は慌ててタクシーに乗ろうとする宮坂を引き止めることができません。 そのまま帰社し、上司に宮坂が青森に行ったことを報告する司。それを聞いたチームリーダーの土方(佐藤隆太)は、「(黒川が)連絡したときに、どうして言わなかった」「そのときに伝えていれば、すぐにほかの方法を考えることができた。デザイナーに意思疎通を取れる仲間を紹介してもらうことも、こちらで探す時間もあった」とピシャリ。司はこの案件から外されてしまいます。 退職を決意し、しょんぼり顔で帰宅する司。しかし、沙也加が妊娠したことを報告してきたため、言い出せません。 あくる日、釣り銭を切らし客から怒鳴られている弁当屋に遭遇し、わざわざ銀行(?)で1万円をくずして渡す司。その弁当屋は、「正直でいることだ」と一方的に夫婦円満の秘訣を説き始めます。 これに感化された司は、その夜、沙也加に「僕は仕事ができません」とカミングアウト。これに沙也加は、「今日ね、デザイナーの宮坂さんがうちに来ました。司さんのおかげで最後にお母さんに会えたって」と切り出し、「司さんの良さがわからない会社なんて、辞めていいです!」「優しすぎて、損することがあってもいい」「もう立派な夫を演じる必要はありません」と畳み掛けます。不気味なほどに理想的すぎる妻! そして、「なんでも話せる夫婦になりましょう」と約束し、抱き合う2人。司は「まだ頑張りたい」と退職を取りやめ、初回は終了しました。錦戸のしょんぼり顔の価値
底抜けにかわいい奥さんである沙也加の妄想シーンが毎週出てきそうな予感の『ウチしご』(『しごでき』?)。藤島ジュリー景子副社長の「ウチの錦戸に『逃げ恥』みたいなドラマやらせたいんだけど。新垣結衣と交際報道あったのに、なんだけど」という声が、終始こだましていたような、していないような同作ですが、筆者は錦戸のしょんぼり顔がこんなにクオリティー高いとは今まで知りませんでした。制作サイドも、「これが見どころ」と言わんばかりに、しょんぼり顔のアップを長めに回し、サービスしてくれます。 しかし、司が仕事ができないデクノボーなのか、はたまた仕事は普通にできるけど、いい人すぎるがゆえに損害をもたらす社員なのか、初回では判断がつかず、モヤモヤ……。 土方の口ぶりだと、今回の司のミスは、黒川への折り返し電話を怠ったことであり、デザイナーの宮坂を青森に行かせたことではないっぽいんですよね。しかし、沙也加は完全に、司が宮坂を青森に行かせたから、仕事が滞ったと思い込んでる……。この相違って、わざとなんでしょうか? モヤモヤが止まりません。 とはいえ、土曜の夜に幸せそうな美男美女夫婦のやり取りを見るのは、気分がいいですね。特に日頃、夫に悪態をついてる妻が見たら、「もう少し亭主に優しくしてやろうかしら?」と思えたり思えなかったりしそうです。ちなみに、ネット上では「こんなの、仕事ができないとかの問題じゃなくて、ただのパワハラ会社だろ」「壇蜜のしゃべり方、変だろ」といった声が目立ちますが、筆者は後者しか気になりませんでした。 それに、転んだ小学生に手を差し伸べたり、弁当屋に釣り銭を作ってあげたりと、“いい人”行為を連発する錦戸を見ていると、錦戸に対しても「本当に純朴でいい人なのかも」「酒癖悪くなさそう」「赤西軍団なんかにいなさそう」「スマホなんて奪わなさそう」と思ってしまうから不思議です。 というわけで、早くも錦戸の代表作になりそうな予感の『ウチの夫は仕事ができない』。「日刊サイゾー」では、最終回までレビューしていきます。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)そろそろ松重ゴローちゃんの大失敗も見たかったなあ……『孤独のグルメ Season6』を総括する
ああ、ついに深夜の飯テロも終わってしまったか……。 『孤独のグルメ Season6』(テレビ東京系)は、6月30日深夜の「東京都品川区五反田の揚げトウモロコシと牛ご飯」を最後に、今シーズンの放送を終えた。 ついに第6期に突入したドラマ版『孤独のグルメ』であるが、相も変わらず好評であった。第1話では大阪を舞台に、お好み焼きはご飯のおかずであることを知らしめた。 続く第2話では、定番の豚バラ生姜焼き定食を投入。第3話では趣向を変えて、谷村美月が演じる、なんかメンヘラっぽい不安定すぎる店員に目が離せないという、新手のスタイルで物語を紡いだ。さらに、第5話では回転寿司。第9話ではゴローちゃんの過去の恋を描いたり……。 とにかく、制作陣はさまざまなアイデアを投入して物語を濃厚なものにしようと企図していた。 限られた時間とテンプレートの中で試みられたドラマの工夫。その意図は、明らかに視聴者に飽きられることの恐怖であろう。 確かに松重豊演じるゴローちゃんの演技はうまいし、セリフやらダジャレやらは技巧の塊である。でも、ネットでは絶賛される一方で、実際に『孤独のグルメ』フリークに会うと、また別の感想が。大抵の人が毎週番組を楽しみに見ているというものの、「ちょっと、飽きたな……」と口にする人の多いこと。 誰もが口をそろえるドラマ版の問題点は、ゴローちゃんが失敗しないことである。 原作厨というわけではないが、やはり原作との決定的な違いはここである。以前は、アームロックを登場させたり、微妙に原作要素も注ぎ込んでくる制作陣であるが、ドラマゆえにできないことがある。 それは、ゴローちゃんが失敗することだ。 原作において重要な要素は、ゴローちゃんが単に食べて満足するだけではない哀愁である。 原作第1話では、いきなり豚汁とぶた肉いためがかぶったことを後悔。第2話では回転寿司で食べすぎて後悔。第6話では、新幹線でジェットボックスシュウマイの匂いをまき散らして後悔。やたらと後悔することが多い。別に食べたものがマズいわけではない。ゴローちゃんの選択のミス。そこに、人生の何かを感じさせる谷口ジローの作画が冴えるのである。 もともと、仕事を依頼された時には戸惑ったという谷口であるが、作画を谷口に依頼した「PANjA」編集部は冴えていた。原作におけるゴローちゃんの帯びている哀愁は、谷口が関川夏央と組んだ『事件屋稼業』のそれと同等。自由の代わりに孤独を背負った中年男の哀愁こそが本題なのである。 松重ゴローの演技を見るに、その原作における世界観を徹底的に理解していることがわかる。やたらと見ているほうを不安にさせた谷村演じる店員も、原作第10話に出てきた元ヒッピーがやってる自然食の店の女性店員的な危うさを目指しているフシがある。 でも、リアルに存在する店舗を使っている以上、決して注文したメニューが運ばれてきた途端に後悔するなんてシーンは描けない。その制約が、次第に物語展開の幅を狭くしているような気がしないでもない。 松重ゴローの食べっぷりは驚嘆である。よくもまあ、胃袋にあれだけの量を詰め込めるなあと思う放送回も何度もあった。けれども、一度くらい「ああ、やりすぎた……」と、食べすぎを後悔するシーンくらいあってもよいんじゃなかろうか。それをファンは期待しているのだ。 そして、もうひとつ。時代の趨勢ゆえだろうが、松重ゴローは煙草を吸わない。さまざま意見はあるだろうが、ハードボイルドな人生に煙草は欠かせないものとも思うのだ。 いずれにしても、今後とも試行錯誤を重ねて続いていってほしい『孤独のグルメ』。次のクールを期待して待っているぞ。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
そろそろ松重ゴローちゃんの大失敗も見たかったなあ……『孤独のグルメ Season6』を総括する
ああ、ついに深夜の飯テロも終わってしまったか……。 『孤独のグルメ Season6』(テレビ東京系)は、6月30日深夜の「東京都品川区五反田の揚げトウモロコシと牛ご飯」を最後に、今シーズンの放送を終えた。 ついに第6期に突入したドラマ版『孤独のグルメ』であるが、相も変わらず好評であった。第1話では大阪を舞台に、お好み焼きはご飯のおかずであることを知らしめた。 続く第2話では、定番の豚バラ生姜焼き定食を投入。第3話では趣向を変えて、谷村美月が演じる、なんかメンヘラっぽい不安定すぎる店員に目が離せないという、新手のスタイルで物語を紡いだ。さらに、第5話では回転寿司。第9話ではゴローちゃんの過去の恋を描いたり……。 とにかく、制作陣はさまざまなアイデアを投入して物語を濃厚なものにしようと企図していた。 限られた時間とテンプレートの中で試みられたドラマの工夫。その意図は、明らかに視聴者に飽きられることの恐怖であろう。 確かに松重豊演じるゴローちゃんの演技はうまいし、セリフやらダジャレやらは技巧の塊である。でも、ネットでは絶賛される一方で、実際に『孤独のグルメ』フリークに会うと、また別の感想が。大抵の人が毎週番組を楽しみに見ているというものの、「ちょっと、飽きたな……」と口にする人の多いこと。 誰もが口をそろえるドラマ版の問題点は、ゴローちゃんが失敗しないことである。 原作厨というわけではないが、やはり原作との決定的な違いはここである。以前は、アームロックを登場させたり、微妙に原作要素も注ぎ込んでくる制作陣であるが、ドラマゆえにできないことがある。 それは、ゴローちゃんが失敗することだ。 原作において重要な要素は、ゴローちゃんが単に食べて満足するだけではない哀愁である。 原作第1話では、いきなり豚汁とぶた肉いためがかぶったことを後悔。第2話では回転寿司で食べすぎて後悔。第6話では、新幹線でジェットボックスシュウマイの匂いをまき散らして後悔。やたらと後悔することが多い。別に食べたものがマズいわけではない。ゴローちゃんの選択のミス。そこに、人生の何かを感じさせる谷口ジローの作画が冴えるのである。 もともと、仕事を依頼された時には戸惑ったという谷口であるが、作画を谷口に依頼した「PANjA」編集部は冴えていた。原作におけるゴローちゃんの帯びている哀愁は、谷口が関川夏央と組んだ『事件屋稼業』のそれと同等。自由の代わりに孤独を背負った中年男の哀愁こそが本題なのである。 松重ゴローの演技を見るに、その原作における世界観を徹底的に理解していることがわかる。やたらと見ているほうを不安にさせた谷村演じる店員も、原作第10話に出てきた元ヒッピーがやってる自然食の店の女性店員的な危うさを目指しているフシがある。 でも、リアルに存在する店舗を使っている以上、決して注文したメニューが運ばれてきた途端に後悔するなんてシーンは描けない。その制約が、次第に物語展開の幅を狭くしているような気がしないでもない。 松重ゴローの食べっぷりは驚嘆である。よくもまあ、胃袋にあれだけの量を詰め込めるなあと思う放送回も何度もあった。けれども、一度くらい「ああ、やりすぎた……」と、食べすぎを後悔するシーンくらいあってもよいんじゃなかろうか。それをファンは期待しているのだ。 そして、もうひとつ。時代の趨勢ゆえだろうが、松重ゴローは煙草を吸わない。さまざま意見はあるだろうが、ハードボイルドな人生に煙草は欠かせないものとも思うのだ。 いずれにしても、今後とも試行錯誤を重ねて続いていってほしい『孤独のグルメ』。次のクールを期待して待っているぞ。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感
昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。 物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。 そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。 一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。 今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。 こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。 そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図 そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。 ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。 無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」 ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」 世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。 だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。 子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。 過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。 奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより






