
マイケル・ジャクソン
各国に比べて世襲議員が多いと言われる日本の政界。同じように、芸能界にも2世3世タレントがあふれている。特殊な状況とも言われるが、当然ながら世界の注目を集めるセレブたちにもジュニアはいる。そのひとりが、09年に急逝した「キング・オブ・ポップ」ことマイケル・ジャクソンの息子であるプリンスだ。
そのプリンスが、ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで将来の展望について語った。2世といえば、父の跡を継ぐことも多そうだが、19歳のプリンスにそういった考えはまったくないようだ。
「みんなは僕が音楽やダンスをやると思っているよね。もちろん、音楽は僕の人生において重要な役割を占めているよ。家系上、僕という人間を形成してくれたものだからね。でも、僕は(子供のころから)映画の製作スタジオで働きたいと思っていたんだ。父に『将来、何になりたいか?』と聞かれたときには、いつもプロデューサーか監督と答えていたよ」
歌手として伝説的な存在にまでなった亡き父の強い影響を認めながら、自らの道を模索し続けてきたプリンス。何とも頼もしいジュニアと言えそうだが、それでもマイケルは息子の将来を危惧していたようだ。プリンスは、父から受けたアドバイスの中で「誰も信じるな」という言葉が忘れられないという。
「聞こえは悪いけど、多くの人は自分のことばかり考えているものだからさ。父は『良い話に聞こえるからって簡単に信じるな』『自分でリサーチしろ』と言っていたね。(マイケルの)経歴が理由で、僕(や兄弟と)関わろうとする人はたくさんいるからね」
マイケルといえば、82年のアルバム『Thriller(スリラー)』が前人未到の1億1000万枚という売り上げを記録。そのほか2000万枚以上のメガヒットアルバムがいくつもあり、累計売り上げは2億1200万枚に上る。もちろん資産も莫大で、89年ころには1000億円以上あったという。
スーパースターにありがちな浪費グセもケタ違いだったとのことだが、亡くなった際の純資産は約230億円と言われる。ちなみに、ビートルズの作品などの著作権を管理する会社の保有株のほか、何台もの高級車や趣味が高じて買い漁った美術品などだけでも約590億円の資産になるとの説もある。
これだけの資産があれば、いかがわしい輩が寄ってくるのも当然。負債も340億円以上あると言われるが、数々のヒットナンバーを世に送り出したマイケルは、今後も毎年100億円以上の売り上げは確実と見られており、一滴でも甘い汁をいただこうと考える人はいるだろう。マイケルはそんな人々から息子を守ろうと、アドバイスを送ったのかもしれない。
プリンスは今年初め、自身の夢を実現させるために制作会社を設立。その屋号は“キングの息子”を意味する「King’s Son Productions」で、父への強い尊敬の念を感じさせるものだ。
LAタイムズ紙のインタビューでプリンスは、父の衝撃的な死を乗り越えられる日は来ないとしながらも、「父を失った悲しみを受け入れるには、あらゆる方法で父を自分の生活の中に取り込んでいくことだと思うんだ。僕の会社のロゴにも父のシンボルを使っているし、父から教えられたことをすべて守ろうとしているよ」と語っている。妹のパリスと弟のブランケットとは異なる方法で父の死に向き合っているとのことだが、それも長男としてのプライドや責任感からなのかもしれない。
世界的スターの子どもともなれば、そのプレッシャーは計り知れないものがあるはず。それでも自らの道を歩み始めたプリンスの話を聞き、頭が痛い日本の2世タレントは多いのではないだろうか。