元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとしてかわいい声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の41回目! 今回は『テニスの王子様』芝砂織や『ハンター×ハンター』マチ、またエコうたユニット“にゃんたぶぅ”リーダーのんたんとしても活躍中の並木のり子さんが来てくれました! ――デビューした作品のことは今でも覚えていますか? 並木 もちろん覚えていますよ! 『ドラゴンリーグ』(1993年)っていう、サッカーと恐竜ブームが来たときにできたアニメでした。恐竜と動物と人間が一緒にサッカーをするんですけど、私はネズミンっていうネズミの男の子役でデビューでした。けど、すぐに恐竜の三兄弟のイグ・アノ・ドンのアノ役、それからその後に出てきたマリアナ姫の役もやることになって……。 ――えっ、一つの作品でそんなに? ちょっと多すぎませんか? 並木 最初から声を大幅に変えて、いろんな役をやることが多かったんです。 ――デビュー作から大活躍ですね! かなり喉を酷使されませんか? 並木 しますねぇ~。『超ぽじてぃぶ!ファイターズ』(2004年)っていう日本ハムファイターズの応援アニメをやったときは、野球のチーム9人中8人演じてました。1人だけしゃべらないキャラで、あとの8人は全員! あのときはずっと叫んでいたので、喉もカスッカスになってしまって、行きつけのお医者さんに「どうにかして~!」って泣きついたりしてましたよ(笑)。 ――声優さんって、通常は一作品でそんなに何役もやらないですよね?? 並木 たぶん、そのときの監督や脚本の方に「並木のり子にそういうのをやらせる」っていうのが流行っちゃったみたい……(笑)。その後の『RAGNAROK THE ANIMATION』(2004年)っていう韓国のオンラインゲームのアニメ化でも、カプラサービスっていう6人のキャラクターを全員私がやりました。あの時は幸せでした! ――素晴らしい声幅の広さ! やっていて混乱しませんか? 「あ、今はこの声じゃなかった!」みたいな……。 並木 それが、そう思ったことは一度もないんです。わりと頭の中で整理されるみたいで、ある意味ちょっとした特技なのかな? 大変ですけど、声を変えてたくさんのキャラクターを演じるのは大好きなんですよ。 ――なるほど~。ちなみに、並木さんは初めから声優志望だったんですか? 並木 もともとは聖子ちゃんが好きで、歌手になりたかったんです。でも、小学6年生のときに、『セクシーボイスでよかったら』(別冊フレンドKC/1984年/著者かやま ゆみ)っていう単行本を読んで、「声優さんってこういう感じでやってるんだ!!」って衝撃を受けたんです。それからずっと声優志望というか、「自分は声優になる」って決めてましたね。
――入り口がアニメとかじゃなく漫画っていうのが珍しいですね。 並木 もちろんアニメも大好きなんですけど、大好きすぎて「声をやってる人がいる」って全く思ってなかったんですよね(笑)。だから、その後に『鎧伝サムライトルーパー』(1988年)っていうアニメが流行って、その声優さんたちが大ホールでコンサートをしているのをテレビで観たときは「すごい! 役もできて歌も歌えて素敵!! 絶対なるしかない!!」って。だから高校を卒業するとき、進学先は代々木アニメーション学院しか見つからなかった(笑)。 ――おお~! ご両親は反対されなかったですか? 並木 まず「東京に行く」っていうところからすでに反対で、父と母と私で、もう切々と話をして、泣きわめき……。高校の時に父と一緒に体験入学に行ったんですけど、父は「アニメを描く方の人になりたいんだろう」と思って連れてきてくれてたんです。「それなら、手に職だし、まぁいいか」と思っていたら、私に「声優になりたい」って言われたもんだから「え!? なんのこと!?」って。「新聞奨学生制度でもいいから行きたい」って説得を続けたら「じゃあ、大学まで行かせるつもりで行かせてやるか……でも寮だぞ」って。 ――代アニに寮があるんですか? 並木 いろんな学校の混合の寮が埼玉にあったんです。 ――……学校まで遠くないですか? 並木 そこしかもう空いてなかったんですよ! ――代々木アニメーション学院を卒業されて、すぐに声優事務所に入ったんですか? 並木 卒業して一番最初に受けたオーディションが声優の三ツ矢雄二さんが新しく立ち上げた劇団のフリーアトム(現:ミツヤプロジェクト)で、そこに所属して劇団員になったんです。最初からアニメのオーディションを受けさせてもらえたし、演劇もやらせてもらって、あてがきの台本で舞台を踏めたり……大変だった覚えしかないけど、今思えば本当に恵まれた状態でしたねぇ。三ツ矢さんは全員をちゃんと面倒みてくれて、何もかもが目から鱗の毎日でした。 ――勉強しながら仕事もできるし、なんてったって三ツ矢雄二だし、いろいろ豪華すぎますね……! 並木 豪華だし面白かったですよ。役とかも一発芸で決まるんですよ。
――何それ! 並木 「ハイやって!」って言われたら「ハイ!」って何かできる人を育成してたのかな? 瞬発力を上げる、みたいな。そういうのはすごく勉強になりましたよ。一発芸もたくさん覚えたし(笑)。他にも数え切れないくらいの貴重な経験をさせてもらえたので今があるのかなぁ。 ――並木さんは現在は声優の講師もされてるんですよね。その頃の経験はかなり活きてそうです。 並木 そうですね、そのへんは三ツ矢さんに教わったことが、ものすごく活きています。だから、私は先生っていうよりは先輩って感じですね。あと、生徒さんの今の悩みを踏まえた上で、気持ちの整理をさせてあげながら相談に乗ったり。オーディションに受かるために「メイクとかどうしてるの? 衣装は?」とか、そういうアドバイスもしますよ。 ――すごい……! 先生+保健室のお姉さん……! 並木 そうですね。一方的に教えるんじゃなくて、いろいろディスカッションもできて、現場で会ったときに「頑張ったね! 今日は一緒にできるね!」って盛り上がれる関係になりたいです。 ――ファンの人は入学して来ないですか? ご結婚もされましたし、「俺の青春を返せ」みたいな……。 並木 そういうのは全然ないです(笑)! いい年だったから、みんな「良かったね!」って思ってくれてるんじゃないかな(笑)。 ――なら良かったです! 話を戻しますが、その三ツ矢さんの事務所には何年くらい在籍してたんですか? 並木 5年ですね。その後も5年間は他のところに所属して、それからずっとフリーです。 ――フリーになってみて、環境や心情はどう変わりましたか? 並木 目が覚めたって感じ。今までずっと事務所に守られてたので、やっと地に足がついて「仕事ってこういう風にやるんだ!」っていういろんな仕組みがわかりましたね。事務所にいたときは自分で売り込みもしたことなかったし、オーディションも待つだけだったし。だから、フリーになって、やっと“並木のり子”っていう名前を背負って自分の足で歩き始めた感じ。そうしたら「今度は自分で何かを発信しなければ!」と思うようになって、アコースティックやアイドル系のライブを毎月勉強させてもらって、経験値が上がったらオリジナルを作ってもらったり、自分で歌詞を書いたり、朗読会をしたり、バンドをやってみたり……。
――おお~! お仕事の幅がすごく広がりましたね! 並木 もう、20代の終わりから30代は「やらなきゃいけない」って思いと「今やれること」が、ブワワワ~~ッと目まぐるしかったです。毎日が楽しくて、食べるのもとりあえず、眠るのもとりあえずって感じ(笑)。出会った人と何ができるかをいつも考えていたし、経験値が上がっていくのが楽しくて! 何も用意されていないってすごいことだなぁって、毎日がびっくりの連続です。アニメのキャラクターも、昔は可愛らしい役が多かったんですけど、「こんな役もやってみたい」って言ったら応えてもらえたり、お母さん役が増えたり……そんな中で“にゃんたぶぅ”に出会ったんです。 ――“にゃんたぶぅ”! 並木さんがリーダーをやっている歌のユニットですね。どうやって始まったんですか? 並木 『おかあさんといっしょ』のカバーアルバムで歌のお姉さんをしたとき、歌のお兄さんとして来たのが“にゃんたぶぅ”のたくまん、和田琢磨さんだったんです。彼は歌手をしている方なんですけど、たまたま同い年で……あ、一応、私は“にゃんたぶぅ”では名前はのんたんで、年齢も16歳っていうゆるキャラ設定があるんですけど(笑)。 ――たくまんこと和田さんはご一緒した際、「えっ!? 並木のり子じゃん!!」ってならないんですか? 並木 まさにそんな感じで言われましたね、「並木のり子って、あの並木のり子さんですか!? 声優さんなのに、こんなに歌えるんですね!!」って(笑)。それから、彼はエコの活動をずっと個人でやっていたので、「じゃあ、大人になって自然にできるように、子どもに向けてそういうメッセージを伝えようか」って。そこに俳優の森田桂介さんがもりちぃとして加わって、埼玉のイオンのステージから本格始動したんです。 ――活動としては、やはりエコを伝えているんですか? 並木 そうですね、エコをわかりやすく歌ったりお話したりするグループで始まったんですけど、お祭りのステージや保育園なんかは地域に根付いているから、「いっそ地域の大使とかになった方がいろいろと幅広くできるんじゃない?」という助言をいただいて、まずたくまんの地元の埼玉県の県知事から“勝手に埼玉応援隊”っていう役目をいただいて。そのあと私が並木のり子の名義で地元の長野県松川町から環境大使をいただいて、すぐに“にゃんたぶぅ”名義でも広報大使をいただきました。 ――寮があった埼玉県から! ご縁がありますね~! 並木 そうなんです。埼玉はすごく良いところなのに、県民愛は最下位なんですよ……。 ――あ~、バカにされがちですしね、埼玉……。 並木 都心に近い分、東京に働きに行って帰ってくる人が多いみたいなんですよね。だから、もっと「埼玉にもこんなに良いとこあるじゃん!」っていうのを率先して発信してくれる人が欲しいってことで、公式だけど“勝手に”がついてるんです。 ――なるほど~。 並木 そうこうしているうちに、たくまんの地元の蓮田市も、負けず劣らずやりましょうってことで、松川町と蓮田市がのんたんとたくまんをご縁に友好交流都市宣言、災害時相互応援協定を結ぶことになって。そしたら遠く離れたもりちぃの広島県の三原市もにゃんたぶぅをふるさと大使に任命してくれて……。 ――ちょっとちょっと! “にゃんたぶう”の影響力すごすぎません!? 並木 ぶっちゃけそれぞれは芸歴が長いので、活動を本気で頑張ってるのが通じたみたい(笑)! いろんなイベントに呼んでいただいて、地域も盛り上げつつ、エコも発信……ということで、一昨年くらいから、名前を『日本チャチャチャ! 地域活性化GENKI発信☆ECOうたユニット にゃんたぶぅ』にして、ちょっと長いんですけど……
――ちょっとではない長さ! 並木 少しでも抜くと大事な何かが伝わらない気がして(笑)! ――あはは! “にゃんたぶぅ”はすごく性に合ってる感じですね。 並木 フリーで活動していると、常に「私は頑張っています!!」ってしていないと誰にも見てもらえないような強迫観念に苛まれるから、“にゃんたぶぅ”を始めて「そんなに頑張らなくていいから! のんたんは、子どもたちの可愛いアイドルなんだよ!」って、たくまんプロデューサーに呪文のように言われ続けて、「そっか……そうだよね……そうだよね……」ってなってきて。 ――洗脳! 並木 それで髪を伸ばすようにしたり、普段からピンクの服を着たりして、のんたんを体に染みこませて染みこませて、やっと楽になったんですよ。それまで女の子として生きるのをすっかり忘れてたんですよ。 ――ちなみに、その前まで何として生きてたんですか? 並木 なんだろう!? がむしゃらな生き物でしたね(笑)。常に変化してなきゃいけないと思っていて、バンドをしてるときも頭が刈り上がってたり、毎回髪型も色も変わっていたし、ロックスタイルの次にフェミニンとか、とっちらかった人になってました……。よく声優の現場に行って「のりちゃんって声優っぽくないよね」って言われていて、完全に何の人だかわからなかった……。 ――生き急いでたんですね! 並木 まさにそう! たぶんフリーになってからは「今死んでもいいように生きなきゃ!」って思ってやってたから、どっかで何かがおかしくなったんでしょうね。ハムスターが輪の中をカラカラカラカラ回ってるみたいでした。だから“にゃんたぶぅ”をやることで、「あ、生きてる感じがしてきた」って。 ――“にゃんたぶぅ”があって良かった! でも、男女入り交じってるとアレじゃないですか? うっかり恋が芽生えたりとか……。 並木 えっ? 私がまったく趣味じゃないので……ん? 2人も私のことをまったく趣味じゃないし……うん、好みじゃない。好みじゃないんです。きっと好みじゃないから……。 ――そんなに強調しなくてもいいですよ! 並木 変に誤解されたくないというか、本当に気持ち悪いくらい仲が良いんです。尊敬してるし、本当に出逢えてありがとうですよ。
――声優業も歌の活動もお忙しそうですが、休みの日は何をしてるんですか? 並木 趣味も仕事も、全部やりたいことで生きてるので、休みの日も趣味と実益を兼ねることに使ってます。ネイルアートとかも、好きでやってはいるけど、この“にゃんたぶぅ”のカラー(ブルー・ピンク・イエロー)は抜きたくないし……。子どもたちに見られたときに、いつも「のんたん可愛い!」って思ってもらいたいから。 ――私は子どもに見られたくないことしかしてないです! 偉すぎ! そんな並木さんの今後の野望は? 並木 今“にゃんたぶぅ”でできてる仕事にプラスして、ソロの仕事も頑張っていきたいですね。もっと声優の並木のり子としてアニメにもバンバン出て行きたい! それに、“にゃんたぶぅ”は子ども向けの可愛らしいグループに見られがちなんですけれど、私は声優として、たくまんは歌手として、もりちぃは俳優として、それぞれ実力を持っていて、もっともっといろんなことができるんだよって分かって欲しい。目指せ全国区です!!!!!! ――全国区になったら、もっといろんな大使が増えそうですねぇ。 並木 許されるならいくらでも(笑)! 早く紅白も出たいです! ――応援してます! 今日はどうもありがとうございました!! (取材・文=小明/撮影=宍戸留美) ●なみき・のりこ アニメ「赤ずきんチャチャ」(お鈴役)、「テニスの王子様」(芝砂織役)、「るろうに剣心」(すずめ役)、「ハンター×ハンター」(マチ役)、「ハマトラ」(美濃羽役)、「純情ロマンチカ」(相川絵理役)、ゲーム「ぷよぷよ」(ラフィーナ・リデル・おにおん役)など多数担当。 ゲーム、ナレーション、舞台、司会、CM 等でも活躍中。 声優業を中心に、音楽プロジェクトであるエコユニット「にゃんたぶぅ」のリーダー「のんたん」としても活躍中。 新感覚マルチバトルRPG「エルクロニカ」2016年夏サービス開始! 英雄を導く封印の監視者 エル役に決定! プロモーション動画でナレーションも担当。 http://elchronica.gesi.jp/ 2016年12月8日発売予定 25周年記念シリーズ最新作、ニンテンドー3DS用ソフト『ぷよぷよクロニクル』 ラフィーナ●リデル●おにおん役 並木のり子 ■『ぷよぷよクロニクル』公式サイト http://puyo.sega.jp/PuyopuyoChronicle/ ■youtubeゲーム紹介映像 https://www.youtube.com/watch?v=Ane80aylSjI ●ししど・るみ 1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。 ルミネッセンス 形態:8曲入り 定価:¥2,500(税込) 品番:SNDL-0003/JAN:4514306011869 レーベル:sundaliru
詳細は下記リンクまで。 公式ブログ http://s.ameblo.jp/sundaliru/ 最新情報 「東京幻想曲集」とカメラマン増田賢一氏と25年分の宍戸留美を撮りためた「東京幻想写真集」発売中!! ○25周年記念で立ち上げた宍戸留美応援プロジェクト、引き続き、プロモーション応援企画開催中!是非、ご一読下さい。 https://motion-gallery.net/projects/runrun25go ○「宍戸留美、25周年感謝祭〜私はここで生まれました〜」 日程:9/3(土) 会場:LIVLABO 会場:17時半/開演:18時 前売り¥3,500(D別)/当日¥4,000(D別) http://livlabo.wixsite.com/livlabo/93- ○ 9/4(日)13時〜博多でパネル抽選会&お渡し会イベント開催!(8/3から「東京幻想写真集」HMV&BOOKS TOKYOとHAKATAにて、パネル展開催中!) http://ukproject.com/column/2016/07/11358/ ○「ひとりひとりにサリュー!vol.9〜声優編」 日程:9/12(月) 会場:風知空知 開場:18時半/開演:19時 ゲスト:並木のり子 前売り¥4,000(1D別)/当日¥4,500(1D別) http://fu-chi-ku-chi.jp/ ○【GENKI!? Vol.89 森下純菜生誕記念超々々スペシャル】 日程:9/18(日) 会場:渋谷テイクオフセブン 開場:11時半 /開演:11時50分 出演:宍戸留美・森下純菜・中川雅子 前売り ¥3,500(D別)/ ¥4,000(D別) http://kox-radio.jp/takeoff7/ ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。『卑屈の国の格言録』(サイゾー)、『アイドル墜落日記 増量版』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>シングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<http://www.cyzo.com/akr/>。






