次世代の天才憑依型芸人 ロバート秋山「僕が一番クリエイターなのかもしれない……」

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撮影=後藤秀二
 最近、この男の周囲がなんだか騒がしい。ロバート秋山。デビュー間もない段階で『はねるのトびら』(フジテレビ系)に抜擢され、2011年には「キングオブコント」で完全優勝。常にお笑いの一線で活躍してきた秋山が、いま「天才」という称号で再び注目を集めている。毎回さまざまな「クリエイター」になりきってインタビューを受ける「クリエイターズ・ファイル」(https://www.youtube.com/channel/UCJk8dZsM8SIGzIBJ-rDcB3Q)をきっかけに「天才憑依型芸人」の名をほしいままにしている彼に、今あらためてその胸の内を訊いた。 ――今年も「THE EMPTY STAGE」が開催されますね。秋山さんは、栄えあるトップバッターということで。 ロバート秋山(以下、秋山) 本当に、単純に30分間フリーにしゃべるだけなんですよ。このステージは全体的に即興というノリで、お題もお客さんにその場でもらったり、ルールがない。ただいつものライブ会場とはちょっと違う、大人な空間で、みんなドレスアップして来てるので、その空気に負けないようにしないとな、とは思ってます。 ――「大層なことをやらなきゃいけないんじゃないか」みたいな圧力でしょうか? 秋山 そう。かといって「私はこんなドレスアップしてきてるのに、あなたそんなしょうもないことやるの?」とか思われるのもイヤだから、プレッシャーはありますよ。「THE EMPTY STAGE」はBGMも生演奏なので、ミュージシャンとセッションはしたいですね。あと、即興でやるコントブロックも相当な見もの。お客さんからお題をもらって、設定もその場で決めて、BGMが即興で合わせて。これはすごい。とにかく、僕自身が一番楽しみにしているかもしれない。 ――「クリエイターズ・ファイル」がインターネットから火がついて、いま取材などでお忙しいのではないですか? 秋山 いやいや、全然。ネットの記事は取材もなしに勝手に広まったので、一番効率いいかな(笑)。俺、SNSとか、まったくやってないんですよ。スマホに替えて3カ月くらいたちますけど、やっぱりまだガラケーとの2台持ちですもん。ブログもやったことない。でも、1年以上やってた「クリエイターズ・ファイル」がじわじわ広がって、世間に見つかった時にはもう十何本ネタがあったんで、いいバレ方したなと思います。この十何回続いたタイミングでバレてよかった。「こいつは何やってたんだ」「何じわじわやってたんだよ」って思ってもらえるのが。 ――「天才秋山」という評価に対しては? 秋山 あの記事見た時、すぐに覚えたての“スクリーンショット”しました(笑)。いつか自分の娘が大きくなった時に「パパ、こんなふうに言われていた時があったんだぜ」って見せるために。 ――一視聴者から見ると、ずっと一線で活躍されていて、今なぜ爆発的に……と思うのですが、ご自身はこの「バレ方」をどのように分析されていますか? 秋山 正直なところ、やってる芸風を変えているつもりもないし、ずっとあんなんばっかりやってきたんですよ。最近、たまたま「自分の時間を好きに使ってください」という番組に出させてもらったり、あと芸歴が積み重なってきたこともあって、いいように出せたんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」だって、昔からコントであんなことばっかりやっていて、それを、ただただ紙面上でもやってみようと思ったのがきっかけですし。「TOKAKUKA」も、あんな変な歌は前からずっと作ってましたし。なんでしょうね、見てもらえるサイクルが、ちょうど合ったんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」も、気づかれないまま、中途半端に終わる可能性もあったでしょうし。たぶん自分でガツガツいかないほうが、重なったときに「うわ、何やってんの?」っていう驚きがあると思う。どうしてもイヤなんですよね……SNS。
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――なぜ、そんなにイヤなんでしょう? 秋山 本当に苦手なんですよ。だから、今さら覚えたくないというのもあります……基本的に「こっそりやりたい」みたいな。こっそりやって、気づく人だけ気づいてくれたほうが、居心地がいいのかもしれないですね。6年くらい月イチでやっている「ロバート企画」、これは本当に自分たちがやりたいことだけをやるライブなんですけど、全然客席は埋まらず。それが最近、徐々に埋まり始めていて、そうなると、もともと遊んでた感じじゃなくて、大がかりな感じになってしまう。深夜からゴールデン行く、みたいなね。だから、そこは変えないように気をつけていますけど。 ――秋山さんはお笑い好き以外にも知名度がとても高いのに、絶妙な地下感を残している、稀有な芸人さんだと思います。 秋山 それはありますね(笑)。意図的じゃないけど、好みがそっち方向なんですよね。そういうお笑いが好きなの。 ――『はねるのトびら』でブレークしたとき、戸惑いはなかったですか? 秋山 芸人でもいろいろなタイプがいて、ウワァ~って盛り上がるのが得意な人と、そうじゃない人と。自分はどちらかというと後者だから、メインじゃない二番手、三番手くらいで「お前、勝手にやって」って言われるのが好きなんです。『はねる』の深夜時代は、まさにそんな感じでやらせてもらいましたが、ゴールデンになって、出演者みんな、だいぶ意識はしましたよね。お茶の間も見ているし、みたいな。そうなるとわかりやすいほうに行ってしまう。現実問題として、深夜やっているようなものだけじゃ、番組継続は無理ですし。 ――痛しかゆしだなぁ。 秋山 だから「クリエイターズ・ファイル」はどこまで知られようと、まったくクオリティを変えません。普通なら編集されるような間を使ったり、なんかヘンな感じに。 ――秋山さんは、どのようにキャラクターを作り上げているのですか? 秋山 「よし1本作ろう」って感じでもないんですよね。一応メモってはいますよ。気になるやつとか。「クリエイターズ・ファイル」でいえば「インディアンジュエリーのショップオーナー」とかはほとんど決めつけなんですけど「一回どこかで修行してそうだな」とか。大御所のファッションデザイナーは、黒ずくめでパッツンパッツンの髪形で、とか。決めつけ(笑)。「こういう人って、こういうこと言いそうだな~」の要素が多そうなものをまず集めて、「言いそうだな~」がたくさんたまってから出すときもありますし、ほとんどゼロに近いのに、ただただその衣装を着てみたいからやることもある(笑)。ただただウソの塊のやつ。でも「っぽく」無理やり言い切ると、なんとなくそう見えてくるから不思議です。 ――無理やり言い切る。 秋山 そう、俺ビジネスで契約取るとか、案外イケそうな気がしますもん(笑)。 ――すごい契約取れそうですね(笑)。 秋山 何も中身はないけど、それっぽいこと言って、お客さんを納得させていたかもしれないですね。「僕は、契約をさせたくはない。なぜなら味方だから」「上の人間は契約契約と言うだろうけど、気にしないでください。僕が全部かぶりますから」みたいなことあえて言っちゃうと、この人信頼できる……ってなるじゃないですか。そういう手法をバンバン使うかもしれないですね。一流の詐欺師になれるかもしれないです。 ――一流の詐欺師……。 秋山 ウエディングプランナーとか会ったことないですけど、この間たまたまウエディングプランナーの方が『情熱大陸』(TBS系)に出ていたのを見たんですよ。でもそうやって本物と偽物で答え合わせすると、俺がテキトーに言ったことを本物の人が言ってたりする。
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――やっぱり「憑依」してるんですね。 秋山 わりと俺自身は冷静なんですよ。「何ペラペラと言ってんだ、俺」「待てよ、覚えておかなきゃだな、この流れを」とか、しゃべりながら考えてる。もともと「素」を見せるのが苦手なんです。すぐ扮しちゃう。だから、ドッキリとかリアクションは、まぁ面白くない(笑)。それは、馬場や山本がやったほうが面白い。それぞれフィールドが違うんですよ。 ――自分をも欺くのが、一流の詐欺師であると(笑)。 秋山 以前、深夜番組でマルチ商法のネタをやったことがあるんですけど、その時にね、喫茶店で本業の方からスカウトされたことがあるんですよ。スーツ着た2人組の方に「……秋山さんですよね?」って。 ――怖っ! 秋山 名刺出されて「見てます。うまいですよね。僕もそういうビジネスやってるんですけど、もしよかったら、やってみませんか?」って。いやいやいや。 ――でもそれ、最高評価ってことですよね。 秋山 最高評価ですけど、そりゃそうですよ。よく行く喫茶店でネタ作ってたら、まさにそういう勧誘されている方が隣にいて、盗み聞きしてただけなんだから。完コピ(笑)。 ――秋山さんは、もともとお笑い芸人という職業に憧れていたのですか? 秋山 ウケを取るのは好きでした。学校の集会とかキャンプファイアの出し物とか体育祭とか、そういう行事で積極的に何かやってましたね。ただフザケたい。そして、卒業文集の「ひょうきんランキング」に入りたい。まぁ、2位どまりだったんですけど(笑)。でも、まさか職業にするとは思っていなかったですよ。上京してアルバイトしている時に、たまたまお笑い雑誌を手に取って、「おお」と。 ――上京してからだったんですか。 秋山 ご存じかもしれませんが、うちはオヤジが変わってて「就職するな」「とにかくアメリカに行け」って、それしか言わない。「学資保険貯めたけど、大学に行くならあげない」とか、「何言ってんだ?」っていう感じでしたもん。大人になればなるほど思いますよ。子どもに「勉強すんな」って親が言うの、相当だよなと。 ――(笑)。その、お笑い雑誌を手に取って、決意はすぐに固まりましたか? 秋山 単純に「やってみたい」と思いました。まだ10代でしたし、やってみてイヤだったら逃げればいいしって。イヤなヤツからは結構逃げてきました。バイトでも「うわ、マジめんどくさい」と思ったら、すぐ逃げ出してきました。
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――トリオとピンで、ネタはどう分けているんですか? 秋山 そうですね。やっぱりネタにおいて確実にウケるのは、トリオのときなんですよ。馬場が乗っかって、山本がツッコんで……。だから、思い浮かんだネタは、まずロバートのところに持っていく。そこで3人で「これ使えないな」「3人いらねぇな」ってなったら、俺一人でやります。逆に、一人でやって見つけたネタを、3人でやることもあります。「体ものまね」はまさにそうで、「お面を渡す役」を作ったほうが面白かった。 ――「体ものまね」は、『はねるのトびら』の番組終了あたりから始めたんですよね。 秋山 『はねる』が続いて、レギュラーはほぼそれしかなかったし、終わった時に「あいつら、ほかに何もねぇな」って言われるのイヤだなぁって思っていたんです。その時に、たまたまテキトーにやったのが「体ものまね」だったんですよ。だからちょうどいい感じに、途切れずにこの世界にいれたっていう感じですかね。『はねる』の最終回で「好き勝手やってください」って言われたからこそ、出せた。 ――秋山さんは「好き勝手やってくれ」と言われたほうがいいんですね。 秋山 もう完全にそう(笑)。僕の場合は、自由になる時間をいただいて、話しやすい相手……僕だったらずっと一緒にやっている同年代の作家さんがいるんですけど、その作家さんと雑談しながら、お互いにわかり合ったネタをチョイスして……っていうのが最高ですね。全権限こちらにいただければ、それだけ濃いものができる。 ――秋山さん自身が、一番のクリエイターじゃないですか。 秋山 そう、僕が一番クリエイターなのかもしれません(ニヤリ)。でも、やりたいことをただやってるだけなんですよ。 ――悪意ギリギリのところを突いてくるキャラクターのクリエイション、すごい(笑)。 秋山 根本的に、バカにしてるんだと思います。ちょっとカッコつけすぎてる人とか、絶対に忘れないですから(笑)。 ――いかに相手にバレないようにバカにするか、ですよね。 秋山 そうなんですよ。だけど、それをあえて言っちゃう人とか、いるじゃないですか。「バカにしてますよ~」って。直接「こういう人っていません?」とは言わずに、温度と空気わかってくれる人たちとそれを共有するところに面白さがあると思うんだけど。 ――そういう芸風が出せるようになるには、確かに時間が必要だったかもしれませんね。 秋山 ある程度の「味」みたいなものは必要だと思います。だってこれ、若造がやったら鼻につきますよ。かといって、おじさんすぎてもダメだろうし。ちょうどいい年齢になったんだろうなと思う。 ――このインタビューも、どこかの誰かになりすましていたりして……。 秋山 それは否定できない(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●「THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER」 日時:8月1日(月)~14日(日) 平日19:30開演、土日祝13:00/17:00開演 場所:「BENOA銀座店」(東京都中央区銀座6-13-16パセラリゾーツ銀座店B3F) 主催:吉本興業株式会社/株式会社フジテレビジョン チケット:前売3,900円/当日4,300円 HP:http://the-empty-stage.jp/

次世代の天才憑依型芸人 ロバート秋山「僕が一番クリエイターなのかもしれない……」

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撮影=後藤秀二
 最近、この男の周囲がなんだか騒がしい。ロバート秋山。デビュー間もない段階で『はねるのトびら』(フジテレビ系)に抜擢され、2011年には「キングオブコント」で完全優勝。常にお笑いの一線で活躍してきた秋山が、いま「天才」という称号で再び注目を集めている。毎回さまざまな「クリエイター」になりきってインタビューを受ける「クリエイターズ・ファイル」(https://www.youtube.com/channel/UCJk8dZsM8SIGzIBJ-rDcB3Q)をきっかけに「天才憑依型芸人」の名をほしいままにしている彼に、今あらためてその胸の内を訊いた。 ――今年も「THE EMPTY STAGE」が開催されますね。秋山さんは、栄えあるトップバッターということで。 ロバート秋山(以下、秋山) 本当に、単純に30分間フリーにしゃべるだけなんですよ。このステージは全体的に即興というノリで、お題もお客さんにその場でもらったり、ルールがない。ただいつものライブ会場とはちょっと違う、大人な空間で、みんなドレスアップして来てるので、その空気に負けないようにしないとな、とは思ってます。 ――「大層なことをやらなきゃいけないんじゃないか」みたいな圧力でしょうか? 秋山 そう。かといって「私はこんなドレスアップしてきてるのに、あなたそんなしょうもないことやるの?」とか思われるのもイヤだから、プレッシャーはありますよ。「THE EMPTY STAGE」はBGMも生演奏なので、ミュージシャンとセッションはしたいですね。あと、即興でやるコントブロックも相当な見もの。お客さんからお題をもらって、設定もその場で決めて、BGMが即興で合わせて。これはすごい。とにかく、僕自身が一番楽しみにしているかもしれない。 ――「クリエイターズ・ファイル」がインターネットから火がついて、いま取材などでお忙しいのではないですか? 秋山 いやいや、全然。ネットの記事は取材もなしに勝手に広まったので、一番効率いいかな(笑)。俺、SNSとか、まったくやってないんですよ。スマホに替えて3カ月くらいたちますけど、やっぱりまだガラケーとの2台持ちですもん。ブログもやったことない。でも、1年以上やってた「クリエイターズ・ファイル」がじわじわ広がって、世間に見つかった時にはもう十何本ネタがあったんで、いいバレ方したなと思います。この十何回続いたタイミングでバレてよかった。「こいつは何やってたんだ」「何じわじわやってたんだよ」って思ってもらえるのが。 ――「天才秋山」という評価に対しては? 秋山 あの記事見た時、すぐに覚えたての“スクリーンショット”しました(笑)。いつか自分の娘が大きくなった時に「パパ、こんなふうに言われていた時があったんだぜ」って見せるために。 ――一視聴者から見ると、ずっと一線で活躍されていて、今なぜ爆発的に……と思うのですが、ご自身はこの「バレ方」をどのように分析されていますか? 秋山 正直なところ、やってる芸風を変えているつもりもないし、ずっとあんなんばっかりやってきたんですよ。最近、たまたま「自分の時間を好きに使ってください」という番組に出させてもらったり、あと芸歴が積み重なってきたこともあって、いいように出せたんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」だって、昔からコントであんなことばっかりやっていて、それを、ただただ紙面上でもやってみようと思ったのがきっかけですし。「TOKAKUKA」も、あんな変な歌は前からずっと作ってましたし。なんでしょうね、見てもらえるサイクルが、ちょうど合ったんでしょうね。「クリエイターズ・ファイル」も、気づかれないまま、中途半端に終わる可能性もあったでしょうし。たぶん自分でガツガツいかないほうが、重なったときに「うわ、何やってんの?」っていう驚きがあると思う。どうしてもイヤなんですよね……SNS。
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――なぜ、そんなにイヤなんでしょう? 秋山 本当に苦手なんですよ。だから、今さら覚えたくないというのもあります……基本的に「こっそりやりたい」みたいな。こっそりやって、気づく人だけ気づいてくれたほうが、居心地がいいのかもしれないですね。6年くらい月イチでやっている「ロバート企画」、これは本当に自分たちがやりたいことだけをやるライブなんですけど、全然客席は埋まらず。それが最近、徐々に埋まり始めていて、そうなると、もともと遊んでた感じじゃなくて、大がかりな感じになってしまう。深夜からゴールデン行く、みたいなね。だから、そこは変えないように気をつけていますけど。 ――秋山さんはお笑い好き以外にも知名度がとても高いのに、絶妙な地下感を残している、稀有な芸人さんだと思います。 秋山 それはありますね(笑)。意図的じゃないけど、好みがそっち方向なんですよね。そういうお笑いが好きなの。 ――『はねるのトびら』でブレークしたとき、戸惑いはなかったですか? 秋山 芸人でもいろいろなタイプがいて、ウワァ~って盛り上がるのが得意な人と、そうじゃない人と。自分はどちらかというと後者だから、メインじゃない二番手、三番手くらいで「お前、勝手にやって」って言われるのが好きなんです。『はねる』の深夜時代は、まさにそんな感じでやらせてもらいましたが、ゴールデンになって、出演者みんな、だいぶ意識はしましたよね。お茶の間も見ているし、みたいな。そうなるとわかりやすいほうに行ってしまう。現実問題として、深夜やっているようなものだけじゃ、番組継続は無理ですし。 ――痛しかゆしだなぁ。 秋山 だから「クリエイターズ・ファイル」はどこまで知られようと、まったくクオリティを変えません。普通なら編集されるような間を使ったり、なんかヘンな感じに。 ――秋山さんは、どのようにキャラクターを作り上げているのですか? 秋山 「よし1本作ろう」って感じでもないんですよね。一応メモってはいますよ。気になるやつとか。「クリエイターズ・ファイル」でいえば「インディアンジュエリーのショップオーナー」とかはほとんど決めつけなんですけど「一回どこかで修行してそうだな」とか。大御所のファッションデザイナーは、黒ずくめでパッツンパッツンの髪形で、とか。決めつけ(笑)。「こういう人って、こういうこと言いそうだな~」の要素が多そうなものをまず集めて、「言いそうだな~」がたくさんたまってから出すときもありますし、ほとんどゼロに近いのに、ただただその衣装を着てみたいからやることもある(笑)。ただただウソの塊のやつ。でも「っぽく」無理やり言い切ると、なんとなくそう見えてくるから不思議です。 ――無理やり言い切る。 秋山 そう、俺ビジネスで契約取るとか、案外イケそうな気がしますもん(笑)。 ――すごい契約取れそうですね(笑)。 秋山 何も中身はないけど、それっぽいこと言って、お客さんを納得させていたかもしれないですね。「僕は、契約をさせたくはない。なぜなら味方だから」「上の人間は契約契約と言うだろうけど、気にしないでください。僕が全部かぶりますから」みたいなことあえて言っちゃうと、この人信頼できる……ってなるじゃないですか。そういう手法をバンバン使うかもしれないですね。一流の詐欺師になれるかもしれないです。 ――一流の詐欺師……。 秋山 ウエディングプランナーとか会ったことないですけど、この間たまたまウエディングプランナーの方が『情熱大陸』(TBS系)に出ていたのを見たんですよ。でもそうやって本物と偽物で答え合わせすると、俺がテキトーに言ったことを本物の人が言ってたりする。
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――やっぱり「憑依」してるんですね。 秋山 わりと俺自身は冷静なんですよ。「何ペラペラと言ってんだ、俺」「待てよ、覚えておかなきゃだな、この流れを」とか、しゃべりながら考えてる。もともと「素」を見せるのが苦手なんです。すぐ扮しちゃう。だから、ドッキリとかリアクションは、まぁ面白くない(笑)。それは、馬場や山本がやったほうが面白い。それぞれフィールドが違うんですよ。 ――自分をも欺くのが、一流の詐欺師であると(笑)。 秋山 以前、深夜番組でマルチ商法のネタをやったことがあるんですけど、その時にね、喫茶店で本業の方からスカウトされたことがあるんですよ。スーツ着た2人組の方に「……秋山さんですよね?」って。 ――怖っ! 秋山 名刺出されて「見てます。うまいですよね。僕もそういうビジネスやってるんですけど、もしよかったら、やってみませんか?」って。いやいやいや。 ――でもそれ、最高評価ってことですよね。 秋山 最高評価ですけど、そりゃそうですよ。よく行く喫茶店でネタ作ってたら、まさにそういう勧誘されている方が隣にいて、盗み聞きしてただけなんだから。完コピ(笑)。 ――秋山さんは、もともとお笑い芸人という職業に憧れていたのですか? 秋山 ウケを取るのは好きでした。学校の集会とかキャンプファイアの出し物とか体育祭とか、そういう行事で積極的に何かやってましたね。ただフザケたい。そして、卒業文集の「ひょうきんランキング」に入りたい。まぁ、2位どまりだったんですけど(笑)。でも、まさか職業にするとは思っていなかったですよ。上京してアルバイトしている時に、たまたまお笑い雑誌を手に取って、「おお」と。 ――上京してからだったんですか。 秋山 ご存じかもしれませんが、うちはオヤジが変わってて「就職するな」「とにかくアメリカに行け」って、それしか言わない。「学資保険貯めたけど、大学に行くならあげない」とか、「何言ってんだ?」っていう感じでしたもん。大人になればなるほど思いますよ。子どもに「勉強すんな」って親が言うの、相当だよなと。 ――(笑)。その、お笑い雑誌を手に取って、決意はすぐに固まりましたか? 秋山 単純に「やってみたい」と思いました。まだ10代でしたし、やってみてイヤだったら逃げればいいしって。イヤなヤツからは結構逃げてきました。バイトでも「うわ、マジめんどくさい」と思ったら、すぐ逃げ出してきました。
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――トリオとピンで、ネタはどう分けているんですか? 秋山 そうですね。やっぱりネタにおいて確実にウケるのは、トリオのときなんですよ。馬場が乗っかって、山本がツッコんで……。だから、思い浮かんだネタは、まずロバートのところに持っていく。そこで3人で「これ使えないな」「3人いらねぇな」ってなったら、俺一人でやります。逆に、一人でやって見つけたネタを、3人でやることもあります。「体ものまね」はまさにそうで、「お面を渡す役」を作ったほうが面白かった。 ――「体ものまね」は、『はねるのトびら』の番組終了あたりから始めたんですよね。 秋山 『はねる』が続いて、レギュラーはほぼそれしかなかったし、終わった時に「あいつら、ほかに何もねぇな」って言われるのイヤだなぁって思っていたんです。その時に、たまたまテキトーにやったのが「体ものまね」だったんですよ。だからちょうどいい感じに、途切れずにこの世界にいれたっていう感じですかね。『はねる』の最終回で「好き勝手やってください」って言われたからこそ、出せた。 ――秋山さんは「好き勝手やってくれ」と言われたほうがいいんですね。 秋山 もう完全にそう(笑)。僕の場合は、自由になる時間をいただいて、話しやすい相手……僕だったらずっと一緒にやっている同年代の作家さんがいるんですけど、その作家さんと雑談しながら、お互いにわかり合ったネタをチョイスして……っていうのが最高ですね。全権限こちらにいただければ、それだけ濃いものができる。 ――秋山さん自身が、一番のクリエイターじゃないですか。 秋山 そう、僕が一番クリエイターなのかもしれません(ニヤリ)。でも、やりたいことをただやってるだけなんですよ。 ――悪意ギリギリのところを突いてくるキャラクターのクリエイション、すごい(笑)。 秋山 根本的に、バカにしてるんだと思います。ちょっとカッコつけすぎてる人とか、絶対に忘れないですから(笑)。 ――いかに相手にバレないようにバカにするか、ですよね。 秋山 そうなんですよ。だけど、それをあえて言っちゃう人とか、いるじゃないですか。「バカにしてますよ~」って。直接「こういう人っていません?」とは言わずに、温度と空気わかってくれる人たちとそれを共有するところに面白さがあると思うんだけど。 ――そういう芸風が出せるようになるには、確かに時間が必要だったかもしれませんね。 秋山 ある程度の「味」みたいなものは必要だと思います。だってこれ、若造がやったら鼻につきますよ。かといって、おじさんすぎてもダメだろうし。ちょうどいい年齢になったんだろうなと思う。 ――このインタビューも、どこかの誰かになりすましていたりして……。 秋山 それは否定できない(笑)。 (取材・文=西澤千央) ●「THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER」 日時:8月1日(月)~14日(日) 平日19:30開演、土日祝13:00/17:00開演 場所:「BENOA銀座店」(東京都中央区銀座6-13-16パセラリゾーツ銀座店B3F) 主催:吉本興業株式会社/株式会社フジテレビジョン チケット:前売3,900円/当日4,300円 HP:http://the-empty-stage.jp/