“ドッキリ芸人”小峠&アントニー「TBS藤井健太郎、ハゲ=面白いと思ってる説」

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撮影=尾藤能暢
 世の中に潜むさまざまな「説」を、アカデミックかつシュールかつ執拗に検証する『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。斬新な切り口と抜群のくだらなさで確固たる地位を築いたこちらの番組で、たびたびドッキリを仕掛けられているのがこの2人、バイきんぐ・小峠英二とマテンロウ・アントニーである。渦中の芸人にとって、この『水曜日のダウンタウン』は、どのような番組なのだろうか? そして、番組の仕掛け人である演出家・藤井健太郎の素顔とは? DVD6巻「ドッキリSP!」、7巻「松野明美SP!」巻発売記念のスペシャルインタビュー! *** ――小峠さんとアントニーさん……ちょっと不思議な組み合わせですね。 マテンロウ・アントニー(以下、アントニー) 小峠さんとは以前、別の番組で、一緒にずっとドミノ並べてましたよね。 バイきんぐ・小峠英二(以下、小峠) 丸2日間泊まり込みでね。最下層のロケだね。 アントニー 最下層(笑)。もう二度とやりたくない。スタッフさんに「アントニーは手も指もデカくて(こういうのが)苦手なのわかっててオファーしてるから。たくさん先輩に迷惑かけるところ見たいんだよ」って言われて……。本当につらかったです。 小峠 実際、迷惑かけたしね(笑)。最後のほうは、みんな「またアントニーかよ!」ってなってたし。 アントニー 思い出しただけでも胃が痛くなります。夢も、ずっとドミノでしたもん。 小峠 あの後は、しばらくみんなドミノの夢見てたらしいよ。 ――そのドミノのロケに比べたら、『水曜日のダウンタウン』の企画は、だいぶ優しい……? アントニー ジャンルが違いますね。また違うエグさが。こんなこと言ったらあれですけど「いま一番好きな番組が『水曜日のダウンタウン』」っていう人、性格悪そうですよね。 小峠 ちょっと信用できないね。 ――一体全体、ほかの番組と、どういうところが違うのでしょうか? 『水曜日のダウンタウン』は。 小峠 よくもまぁ、こんなに変なこと考えつくよなって思いますね。企画会議とか、どうなってるんだろう? たぶん、めちゃくちゃ出してると思うんですよ、ネタを。それを削って削って残った……って感じじゃないですか? とんでもないアイデアが飛び交ってると思う。 アントニー ボツになった案、見てみたいですよね(笑)。 小峠 「それはマジで死んじゃうね」「あぁ、死ぬね」みたいなやつがあると思うよ。 アントニー 死んじゃうからボツ(笑)。 ――めちゃくちゃオーソドックスなネタも、ボツになってそうですね。「いやいや、こっちでよかったんじゃ……」っていう。 アントニー 「自分の家を開けたら人がいる」(※「『開けたら人がいる』が結局一番怖い説」)って、相当ギリギリだと思うんですよ(笑)。 小峠 カメラ回ってなかったら、普通に犯罪だからね。 アントニー 芸人だったら何やってもいいと思っているのか、とにかくダメですよ。またいつかあるんじゃないかと思うと、おちおち寝てもいられない。AVも見られない。自分の家が自分の家じゃないみたい。住み心地がすごく悪くなりました。
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――テレビのドッキリをかなりの数こなされているお2人でも、やっぱり慣れませんか? アントニー というか、普通の番組のドッキリとは全然違うので。 小峠 異質だね。予告ドッキリとか。「ドッキリをやります」ってことだけ知らせておいて、後で答え合わせをするという。そんなの、見たことも聞いたこともない。斬新な切り口ですよ。 アントニー 『有吉弘行のドッ喜利王』(TBS系)って覚えてます? 藤井(健太郎)さん演出の。自分が大喜利で答えた現象が、後日、本当に起きるというドッキリ。あれとか無茶苦茶ですよ。 小峠 あれ、何やられたの? アントニー 僕は「タクシーに知らない黒人が乗ってくる」(笑)。小峠さんはアレですよね。かみつかれて……。 小峠 そう、「病院で看護師さんがかみついて採血する」(笑)。 アントニー あと、これはドッキリじゃないですけど、やっぱり松野明美さんシリーズはすごい。DVD7巻の「松野明美SP!」に収められているやつ。「未来の自分からの電話信じてるやつ」(※「松野明美、何でも信じる説」)とか、たまらなかった。マジで、日本一ピュアな人なんじゃないですか? 小峠 この前やった、「足に鉄球つけられたことある日本人まだギリいる説」っていうのも、はっきり言って「何それ?」だよね。それを「おお!」と思う? 足に鉄球つけてるやつ「おお!」って思う? アントニー なんないっすね(笑)。 小峠 なんて言ったらいいかな、そう言われればそんなこともあったな、映画のワンシーンで見たことあったなレベルのものを、あんだけ広げるっていうのは……すごいよね。 アントニー 誰が最初にその企画を口にするのか(笑)。マジで勇気要りますよね。「何言ってんの?」ってなりますよね、普通。 小峠 「足に鉄球つけてる人なんですけど……」とか言うわけでしょ。会議とかで(笑)。『クイズ☆タレント名鑑』(同)の松島トモ子さんとかもそう。よく掘り起こしてきたなと思いますよ。よく思いついたな、そのキャスティングっていう(笑)。 アントニー あと、『水曜日のダウンタウン』はタブーに触れることが多い。僕、これは完全にタブーだと思ったのが「事故物件に霊媒師を集めてどんな事故があったか当てる」(※「事故物件 霊能者なら部屋に入るだけで何があったか分かる説」)っていうやつ。 小峠 あったね~。 アントニー 呼ぶまではいいんですよ。それ、全部外すんですよ。ダメでしょ、その人たち、仕事なくなっちゃうでしょ(笑)。面白かったですけど、外したときの霊媒師さんたちの表情が忘れられない。自信満々で「首吊りです」って答えて、正解が「病死」とか。 小峠 俺はね、意外と食べる企画が多くて。相方と2人で、西村は食べ続ける、俺は食べられないっていう企画とか。あと食べ物に名前が入っている有名人と会えばそれが食べられる、それ以外は食べられないっていうやつ。もう、わけがわからない。サンドウィッチマンだったらいいですけど、メイプル超合金でメイプルシロップもらってもね……。 アントニー 結局、どっちが勝ったんでしたっけ? 小峠 あれは俺(食べないほう)が勝った(笑)。最初はスゲェ腹減るんだけど、途中からさ、平気になるんだよね。腹減ったという感覚が底までくると、そこから何も感じなくなる。俺はそれを「空腹の向こう側」と呼んでいる。 アントニー 空腹の向こう側(笑)。
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――『水曜日のダウンタウン』の影響力って、感じますか? アントニー 街中で、ちょっとヤバそうな人に声かけられるようになりました。キャップを目深にかぶってマスクして若干前かがみで歩いている人から、ものすごいちっちゃい声で「……『水曜日のダウンタウン』見てます」って(笑)。支持層が独特……。 小峠 周りの人からしたら、ヤベェやつがヤベェやつに声かけてるように見えるだろうね(笑)。俺はプレゼンテーターのほうで呼んでもらうことも多いんですけど、出るたびに松本(人志)さんが、俺のことを「ちんちん」「ちんちん」言うから、一時期「ちんちん」のウィキペディアに名前載ってたんですよ(笑)。 ――ちんちんのウィキペディア!! 小峠 俺、衝撃のあまりスクショしたよ。ほら。 ――……これ「あなたの探しているちんちんはどれですか?」のページですよね(笑)。 アントニー だから「ウィキペディアを編集する人たち」っていうのが、この番組を見ている層なんですよ。 小峠 まずさ、ちんちんのウィキペディアを探そうっていう時点でイカれてる(笑)。結構面倒くさい作業をしてまで、俺の名前をちんちんのページに載せたい。そんな人たちに支持されている番組ということですね。 ――視聴者が、作り手に引っ張られている(笑)。 小峠 スタジオ行くと、藤井さんがいるわけじゃないですか。何考えてるかわからない目ぇしてるもんな。 アントニー 不気味ですよね。『DEATH NOTE』のLと同じ目をしてる。 小峠 めちゃくちゃ笑うわけでもなく。叩けばなんか出るだろう、あの人(笑)。 アントニー さらに、そこにダウンタウンさんがいらっしゃるわけで。結局、藤井さんがダウンタウンさんをバックにつけて好き勝手やってるっていう構図ですよね。 小峠 確かにね(笑)。まぁでも、結局、芸人冥利に尽きるというか、やっぱりそうやって面白い、斬新なお笑いの企画に参加させていただけるっていうのは名誉なことだよね。 アントニー あんまり自分の努力や能力に限らず面白くしてもらえるので、僕は結構ありがたい。 小峠 ありがたいよね。ポテンシャル以上のものを引き出してもらえるもん。 ――最後に、『水曜日のダウンタウン』には、どんな芸人さんが向いていると思いますか? アントニー それはアレです。丸坊主の芸人(笑)。 小峠 あばれる君、クロちゃん、アントニー、俺……なぜかハゲが多い。 アントニー これはもう、藤井さんの趣味嗜好でしょう。 小峠 あんだけの奇才なのに、「ハゲ=面白い」っていうベタな方程式が、どっかにあるんだろうね(笑)。スーパーベタな。 (取材・文=西澤千央)
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『水曜日のダウンタウン6』
●DVD『水曜日のダウンタウン6』 <ドッキリSP!>どっきりかけられ王、バイきんぐ・小峠英二が大活躍!? ・2014年一番ドッキリにかけられたの俺説 ・2015年一番ドッキリにかけられたの俺説 ・どんなにバレバレのダメドッキリでも芸人ならつい乗っかっちゃう説 ・「お会計はもう頂いております」のやつ、毎食続いたらめちゃくちゃ怖い説 ・逆ドッキリ、逆逆逆くらいまでいくと疑心暗鬼になる説 ・「開けたら人がいる」が結局一番怖い説 【未公開】バイきんぐ小峠への予告ドッキリ未公開集
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『水曜日のダウンタウン7』
●DVD『水曜日のダウンタウン7』 <松野明美SP!>女王、松野明美を超える仕掛け人はいるのか? ・アスリートが仕掛け人のドッキリ、大根すぎて逆に面白いんじゃないか説 ・松野明美を超える大根などいない説 ・有名人の身内、気をつけないと悪いモノマネ芸人にオレオレ詐欺で騙される説 ・モノマネオレオレ電話 第2弾 ・松野明美、何でも信じる説 【未公開】ガチっぷりが伝わる松野明美のオフショット 価格 2,700円(税込) 発売元 TBS/よしもとアール・アンド・シー

地獄のような空気が漂う『水曜日のダウソタウソ』に見る、藤井健太郎「地獄の軍団」の真髄

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『水曜日のダウンタウン』TBSテレビ
「若林は、歌ヘタくそやもんね」 「そうなんですよ、すごい透明感あるなと思って。隣に“奇跡の歌声”いますからね」  そうオードリー若林正恭が振ると、すかさずハリセンボン近藤春菜がお決まりのフレーズを言う。 「いや、スーザン・ボイルじゃねーわ!」  さらに、宮川大輔が「あれ、ギターは?」と追随。 「いや、サンボマスターでもねーわ!」  そのやりとりに「あははは」と笑う浜田雅功。あえてキョトン顔をする松本人志。  そして、松本が口を開く。 「浜田のそっくりさんが、浜田の嫁に電話するとかはどう? 『こいつ、女いるで』って」 「やめろ! そこは……そこはアカン言うてるやろ!」  すごむ浜田に、松本が「よかった、この距離で」と、大げさにおびえる。その姿に、浜田が「ニャハハハ」と笑う。  文字で見ると、よく見る鉄板のやりとりだ。  だが、実際の映像では、猛烈に違和感がある。“間”がなんだかおかしく、流れが悪いから、地獄のような空気が漂っている。  なぜなら、それを演じているのがすべて、モノマネ芸人だからだ。  これは、9月21日放送の『水曜日のダウソタウソ』(TBS系)の一幕。『水曜日のダウンタウン』ではない。「ダウソタウソ」だ。ラテ欄には「今日は『水曜日のダウンタウン』は休止で……『水曜日のダウソタウソ』をお送りします」とある。番組名が変わっているので、録画機によっては毎週録画の設定も解除されてしまう。総合演出・藤井健太郎率いる「地獄の軍団」(番組で、出演者らにそう呼ばれている)は、視聴者を、いや録画機までも混乱に陥れる“いたずら”を仕掛けてきたのだ。  司会はもちろん、ダウンタウンのそっくりさんのダウソタウソ。プレゼンターには、宮川大輔のそっくりさんの宮川大好。パネラーには、若林や近藤、キャイ~ンウド鈴木、そして松田聖子のそっくりさんが並ぶ。オープニング曲なども、なんだかいつもとテンポや曲調がアレンジされている(ちなみに音楽担当はPUNPEE「パンピー」だが、今回のエンドロールではちゃんと「パソピー」とクレジットされていた。細かい!)。番組のロゴも、ちょっとだけ変わっている。  番組全体に、絶妙なパチもん感が漂っている。喩えるなら、中国のディズニーランドそっくりなテーマパーク「石景山遊楽園」を見ているときの居心地の悪さだ。  番組の流れは“本家”と同じ。プレゼンターがある“説”を提唱し、それをVTRで検証する。  この日、宮川大好が提唱した説は「水曜日のダウンタウン モノマネ芸人に頼りすぎ説」である。  そこから、検証VTRとして、「有名人の身内 気をつけないと悪いモノマネ芸人に オレオレ詐欺でだまされる説」「野球モノマネ芸人 リアルにバッティングうまい説」「歌うま外国人なら日本人アーティストのモノマネもうまい説」、そして謎の感動を呼ぶ名作「ものまねショーに本人がそっくりさんとして出ても、意外と気づかれない説」など、過去に『水曜日のダウンタウン』でモノマネ芸人が登場した説を振り返っていく。  もう、お気づきだろう。    これは、説立証に見せかけた『水曜日のダウンタウン』の総集編である。  番組改編期などには、多くのバラエティ番組が総集編を放送する。出演者やスタッフを休ませる、という意味合いもあるのだろう。だから、普通の番組であれば、ただ過去のVTRを再編集して流すだけだ。気の利いた番組でも、それに出演者のコメントを挟んだり、後日談を挿入したりする程度だろう。  総集編である以上、その番組の中で面白かったシーンがまとめられているので、一定の面白さは保証される。視聴者としても、見逃した面白いシーンを見られるというメリットがあるから、そういうもんだと思って別に文句は言わない。  だが、『水曜日のダウンタウン』は、ただの総集編で終わらせようとはしないのだ。それは、今回に限らない。  たとえば、同局の人気番組『ランク王国』とコラボレーションし、ダウンタウンがパジャマ姿で『ランク王国』の看板キャラ「ラルフ」と“共演”。お決まりのフレーズで、VTRフリなどを行ったりもした(ちなみに番組では、それ以前に「ランク王国のテーマどうでもよすぎる説」を提唱し、番組をイジっている)。  また、別の回では「パー子の笑い声を足したらVTR3割増しで面白くなる説」を提唱。「ロメロスペシャル相手の協力なくして成立しない説」や「大友康平普通にも歌える説」などの、過去の名作VTRに林家パー子のあの笑い声を足すという暴挙。途中から、その笑い声にも、ある仕掛けがあったことが明かされるという遊びまで。確かに、3割増しに、というか、別の意味でも面白いVTRに仕上がっていた。  前述のように、総集編なんて手を抜こうと思えばいくらでも手を抜ける。だが、逆に工夫をしようと思えばいくらでも工夫できてしまうものだ。でも、そんな工夫、普通の番組はやらない。やらなくてもいいことだからだ。けれど、普通はやらないからこそ、それをやったら目立つ。ほかの番組との差別化ができる。  思えば『水曜日のダウンタウン』は、いつもそういったこだわりが細部まで行き届いている番組だ。隙あらば、ふざけてやろう。それも、ほかの番組とは違う切り口で、と。  それこそが、「地獄の軍団」と呼ばれる藤井健太郎チームの真髄だ。  そうした番組の精神が総集編にも、いや総集編だからこそ如実に表れているのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

TBSバラエティ好調の立役者・藤井健太郎に訊く「サンプリング世代のテレビの作り方」

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撮影=尾藤能暢
 ちょっぴり下世話、ほどよい悪意、わかりやすさと深さの両立……。好調をキープするTBSバラエティの中心にいる男、藤井健太郎。『クイズ☆タレント名鑑』『水曜日のダウンタウン』『クイズ☆正解は一年後』など多くの人気番組を手がける彼が、このたび初の著書『悪意とこだわりの演出術』(双葉社)を上梓した。「日本のバラエティ界を担う若手ディレクターの雄」などと書かれるのを一番嫌がりそうな彼に、あえて聞いてきました。「今のテレビって、どうなんですか?」 *** ――本書の中に「100人が1面白いと感じたことと、1人が100面白いと感じたことには同じ価値がある」とあって、藤井さんの番組の根底にあるものはこれだよなぁと、勝手に納得してしまいました。 藤井健太郎(以下、藤井) 面積論でいったら、一緒ですよね。どっちをよしとするかは人それぞれだし、テレビ局の商売としては広く浅くのほうがいいのかもしれないけど、有料のコンテンツは“少ないところからたくさん取る”というほうへ移ってきていますよね。みんなが共通で楽しめるものが少なくなっているから。目指すべきはもちろん、多くの人に面白いと思ってもらうことですけど、現状では僕らが得意とする方法でどれだけ面積を広げられるか、ですよね。僕はどちらかというと、広く浅く楽しめるものより、狭く深く……のほうが得意なのかも。とはいえテレビなので、狭くなりすぎることはない。あまりに狭かったら視聴率も取れなくて、自然淘汰されていくので。 ――今テレビマンたちは、「視聴率」というものを、どのように捉えているのでしょうか? 藤井 もちろん、みんな視聴率で動いていますよ。制作の中心にあることは否めない。ただ一方で、商売としてはCMが売れればいいわけじゃないですか。だから、たとえ視聴率が取れていても、あまりに見ている層がお年寄りに偏っていると、意外とCMは売れなかったりする。視聴率とCMの売れ行きは、完全なイコールではないんですよ。そこに矛盾が出てきているのは確か。まぁ、そのうち変わってくるとは思いますが、今のところは視聴率が唯一の指標ではあるので「視聴率なんて関係ない」っていうのは、やっぱり違うかなと。それを成立させながら、その枠の中で何をやるのか、ですよね。 ――「自分がトップで作っている番組より、誰かの下についた番組のほうが、視聴率がいい」とも書かれていました(笑)。 藤井 もうちょっと色が薄まったほうが、幅広く受け入れられるいい感じのやつができるんでしょう(笑)。とはいえ、自分は、自分が面白いと思う番組を作りたいわけで。 ――藤井色を120%出したくなっちゃう。 藤井 出したくなるっていうより、気になっちゃうんですよ。「こうしたい」というより「これがイヤだ」のほうが強い。これイヤだ、これ気になる……ってやっていくと、結局自分っぽいものが残る。 ――それで、編集なども、すべてご自身がやるということにつながっているんですね。ものすごい作業量なのでは? 藤井 めちゃめちゃ働いてますね(笑)。でも、誰かに「やれ」と言われたわけじゃなく、自分が気になるから、だけなんですよ。自己満足なんで、仕方ない。人が書いたナレーションも“てにをは”とかが気になって細かいところを直しだしたら、「あとはやっとくわ」って、自分で書いてしまう。ほら、ペンだこありますから。 ――おお! 藤井 手書きかい! っていうのもあるんですけど(笑)。 ――あと、すごく気になった箇所があったんですけど…… 藤井 なんでしょう? ――「正直、テレビ業界の人はダサイ人が多いです」という。 藤井 そこか……これ、詳しく言わないとダメですか?(笑) ――ぜひ……。
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藤井 広告代理店系のダサイ感じってあるじゃないですか。チャラいノリの“ヨイショ~”みたいな。そういう部分とクリエイティビティって、本当は離れているはずのものなのに、テレビ局って意外と近かったりする。そういうノリの人が、作り手に混ざり込んでいる。特に昔は、そちら側の人のほうが多かった気がするんですよ。あとは……見た目とかも。テレビって、途端に洒落てないですよね。ほかのいろいろなカルチャーと比べて。そう思わないですか? ――ちょっと、マッチョな感じのイメージはあります。 藤井 そうですね。わかりやすさ、とっつきやすさに特化したメディアなので、そっちに特化していった過程で忘れられていったものはあると思います。 ――繊細さ、とか。 藤井 ビジュアル面のセンスとか、ビジュアルだけじゃなく、表現そのものがダサかったり。 ――たとえば、ネットなどでひとしきりはやったものが、少し遅れてテレビで取り上げられたりしますよね。そういう「時差」は、少しダサいような気がします。 藤井 昔はまだ人々が情報にたどり着く手段が少なかったからよかったかもしれないけど、なんでも入ってくる時代に、後追いでやるのは、なかなか厳しいところがある。速さの競争には勝てないけど、テレビには拡散力をはじめ、優位なところもあるんだから、もっと堂々と言っちゃえばいいと思うんですよ。「これTwitterではやったやつです」って。自分の手柄みたいに言うから、かっこ悪い。 ――藤井さんの番組は、そのあたりがすごく正直だなぁと思います。 藤井 なんていうか、そういうことに関する世間とテレビの温度感が開いてしまっているところはあると思います。別にウソついちゃいけないとは思わないですけど、その温度感の読み違えがあると、よくないんだろうなと。だって、正直に言ってくれたほうが、見ているほうは気持ちいいじゃないですか。 ――スカッとします。 藤井 テレビが上から言ってる感じがね。腹の中見せない、偉そうな感じにつながる部分なんじゃないですかね。 ――一方で、視聴者のほうもあら探しというか、素直に楽しんでいないような。藤井さんは「視聴者のレベルを下げないようにするのも役目のひとつなのかな……」と書かれていましたが。 藤井 視聴者に、合わせすぎないことでしょうか。常に「こんなものもあるよ」と提示していく、みんながまだ見たことないものを見せるほうが大事じゃないかと思います。 ――普段は、どうやって企画を考えているんですか? 藤井 僕の場合、ほとんど今まであったものの組み合わせです。ゼロからひらめく、発明みたいなものはほとんどない。この要素とこの要素をくっつけたら……って。テレビを中心に、テレビ以外の分野からも引っ張ってきて。その組み合わせ方によって、新しいもののように見せているだけだと思います。 ――もともと、バラエティ番組は好きだったんですか? 藤井 そうですね、小さい頃からよく見てました。 ――どういう見方を? 藤井 普通ですよ(笑)。そりゃそうでしょ。
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――でも、小さい頃のエピソードを読むと、当時から視点がユニークだなぁと。 藤井 あまり、かわいくない子どもですよね(笑)。 ――小さい頃のエピソードも手掛けられた番組も含めて、この本のタイトル『悪意とこだわりの演出術』の“悪意”という言葉は、藤井演出にぴったりの言葉だと。“毒舌”ではなく、“悪意”。 藤井 “毒舌”ってワードも、もう古臭いですよね。そういう温度感だと思います。ただ、“悪意”っていう言葉が好きなわけでもないんです。勝手に周りが言うだけで。番組でもよく出てきますけど、自分としては、わりと無自覚なんですよ。笑いへのアプローチの仕方として、わざと悪く言う手法が得意ってことなんだと思います。 ――「こだわり」という部分でも、藤井さんは誰も気づかないような細かいところにも仕掛けを入れてきますよね。 藤井 本にも書きましたけど、わかんなきゃダメな作りにならないようにはしてます。知らない人は、ただ普通に気づかず通り過ぎてくれるような。 ――わからない人を置いてけぼりにするようなやり方ではなく。 藤井 「わかる人だけついてこい」はエゴだと思うので、別にそういうつもりでもないし。「わかる人にはわかる人用に、細かいところまで作っていますよ」が基本。 ――いわゆる「テレ東的なもの」が至高……みたいな風潮も、今は少しズレてきていますよね。 藤井 テレビって、脱線メインになっちゃうと、意外と面白くないと思うんです。きちんとしたレールがあった上で、脱線するから面白い。僕の好みは、わりとしっかりスタートがあって、結論がある、最終的に答えが出るもの。その間で、どれくらい遊べるか。 ――いまTBSのバラエティ番組は非常に好調ですが、藤井さんは、その理由はどんなところにあると思いますか? 藤井 なんですかね。企画の中身が、正当に評価されるようになっている気はしますね。僕の立場で偉そうに言うのもなんなんですが。上の人たちが、面白いものにちゃんと価値を見いだすようなジャッジの仕方をしてくれている。そして、その感覚が、(視聴者と)そんなにズレてないということじゃないでしょうか。 ――フジテレビのバラエティに元気がないのは、そういう要因もあるのでしょうか? 藤井 う~ん。これは僕個人の感覚ですけど、おそらくどんどん目先の数字にとらわれて、とりあえず数字が取れそうな、しかも、あまりフジテレビが得意じゃないことに手を出して、さらに泥沼にハマっていっている感じはしますね。 ――悪循環ですね。 藤井 余裕があるときは、ちょっとくらい数字が悪くても、中身が良ければいいかってなるんですけどね。『オモクリ監督 ~O-Creator's TV show~』が終わったのは象徴的だった気がします。数字はよくなかったけど、フジテレビらしくて、とても面白い番組でした。ああいう番組は一定量続けておかないと、そういうものを作るノウハウすらなくなってしまう。
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藤井健太郎 著『悪意とこだわりの演出術』(双葉社刊/1400円+税)
――得意じゃないことというのは、「猫番組」ですか? 藤井 別に猫限定じゃないです(笑)。ただ、猫が大好きな人が作れば、いい猫番組になると思うんですけど。「いま一番取れそうなのは猫だ!」っていって、付け焼き刃でやっても、うまくいかないんじゃないですかね。 ――たとえば、藤井さんに憧れた若いディレクターが藤井さん的な番組を作りだしたら、どう思われますか? 藤井 よくないなとは思いますよ。そもそも、人それぞれ得意なものが違いますから。自分に向いてることをやらないと。僕だけではないですけど、ちょっとくさすようなナレーションとか編集の仕方が、うっすら業界ではやってる感じもあるじゃないですか。で、安易にマネして、スゲエヘタなやつとかがありますから。 ――明らかにやりすぎてしまってるやつとか……。 藤井 それはきっと、本人が得意じゃないからですよ。形とか仕組みはいろいろ取り入れてもいいと思いますけど、本質的な部分はね、やっぱり人それぞれなんで。 ――センスって、磨けるものだと思いますか? 藤井 どうなんですかねぇ……ただ、センスがない人は、センスが関係ないものをやればいいんだとは思う。苦手なことは、無理にやらなくていいんじゃないかなぁ。テレビは特にある種チーム戦でもあるので、たとえばデザイン的なものが苦手なら、それを得意な人に任せればいいわけだし。そういうチームを組織できるプロデューサー、っていう戦い方もありますからね。 ――藤井さんが今のテレビに感じる魅力は、なんでしょう? 藤井 深くは、なってるんじゃないですか。成熟というか。昔の番組は大味ですもん。今のほうが、圧倒的にこまやかにはなってる。それはテレビに限らずかもしれないけど。 ――逆に問題点があるとすれば? 藤井 面白い番組の絶対数が多くないことかな。 ――二極化されている? 藤井 う~ん。一方では「いかにチャンネルを止めるか」っていう作業がいまだに続いているわけで、しかも、それがお年寄り中心になってきたから、タチが悪いところもある。昔よりもね。そういうテクニック……“見続けさせる”テクニックに特化した番組も、たくさんある。どの瞬間も、何かが引っ張られているという作り。何かが発表されたら、次の何かが隠されてる。いつ見ても何かを待ってる状態を作るという手法には、すごいものがありますよね。それもルール(視聴率)が変われば廃れていくのかもしれませんけど。そう考えると、今は過渡期なのかもしれませんね。 (取材・文=西澤千央)

TBS『水曜日のダウンタウン』芸人拉致企画で警察沙汰に!? 一般人にまたまた謝罪で、8月打ち切りか

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『水曜日のダウンタウン』公式Twitterより
 これまで数々のトラブルを起こしてきたTBS系のバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』が、企画検証中に無関係の一般人に迷惑をかけたとして、また謝罪した。  同番組の公式Twitterは、5月31日17時頃に「現在『クロちゃん、どこかに閉じ込められてもTwitterさえあれば助けてもらえる説』の検証中です。とあるマンションの1室に閉じ込められたクロちゃんを、本人の呟きを頼りに皆さんの力で救出してあげてください」とツイート。以降、芸人の安田大サーカス・クロちゃんのTwitterからは、部屋の特徴や、そこから聞こえる音などがツイートされ続けた。  ネット上では、いくつかのマンションが候補として割り出されるなど、盛り上がりを見せたが、開始から7時間弱がたった深夜0時47分頃、番組Twitterが突如として企画の中止を発表。「開始以来数多くの誤情報により、関係のない一般の方にご迷惑をおかけする事態が発生しております。この状況を重く受け止め、この時点をもって企画を中止・終了させて頂きます」とし、「ご迷惑をおかけした皆様、並びに企画にご参加頂いた方々に深くお詫び申し上げます」と謝罪した。  実際、どんな迷惑がかけられたかは不明だが、ネット上では21時前に、クロちゃんの居場所として疑われていた厚木駅近くのマンションに人が集まってしまったため、警察が駆けつけたとの報告が複数見て取れる。  この出動騒ぎについて、当サイトが厚木署に確認したところノーコメントだったため、企画との関連性は定かではないが、もし何も知らない一般人の住居に、夜突然、どこからともなく人が集まってきたとしたら、それは恐怖でしかないだろう。 「夕方に企画が発表された時点で、『他人を巻き込むのでは?』と不安視する声が多く、詰めの甘さが多数指摘されていました。『水曜日のダウンタウン』は、昨年2月に一般人を巻き込んだヤラセが発覚し、2度の謝罪文を掲載。その時、TBS内で打ち切りが検討されたが、『もうヤラセはしない』として、クビの皮1枚つながった状態で続けてきた。しかし、今回はあらゆる事故が想定される危険な企画な上、実際に警察沙汰にまでなっていたとしたら、いよいよ存続もヤバイ。8月終了の可能性も十分ありそう」(テレビ誌記者) 『水曜日のダウンタウン』といえば、3月にも、水戸黄門関連の企画が「視聴者に水戸市は粗暴な若者が多く、治安も悪いと誤解させた」として、水戸市から放送倫理・番組向上機構(BPO)に意見書が提出されたばかり。随一のお騒がせ番組が、いよいよ打ち切り寸前といえそうだ。

TBS『水曜日のダウンタウン』芸人拉致企画で警察沙汰に!? 一般人にまたまた謝罪で、8月打ち切りか

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『水曜日のダウンタウン』公式Twitterより
 これまで数々のトラブルを起こしてきたTBS系のバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』が、企画検証中に無関係の一般人に迷惑をかけたとして、また謝罪した。  同番組の公式Twitterは、5月31日17時頃に「現在『クロちゃん、どこかに閉じ込められてもTwitterさえあれば助けてもらえる説』の検証中です。とあるマンションの1室に閉じ込められたクロちゃんを、本人の呟きを頼りに皆さんの力で救出してあげてください」とツイート。以降、芸人の安田大サーカス・クロちゃんのTwitterからは、部屋の特徴や、そこから聞こえる音などがツイートされ続けた。  ネット上では、いくつかのマンションが候補として割り出されるなど、盛り上がりを見せたが、開始から7時間弱がたった深夜0時47分頃、番組Twitterが突如として企画の中止を発表。「開始以来数多くの誤情報により、関係のない一般の方にご迷惑をおかけする事態が発生しております。この状況を重く受け止め、この時点をもって企画を中止・終了させて頂きます」とし、「ご迷惑をおかけした皆様、並びに企画にご参加頂いた方々に深くお詫び申し上げます」と謝罪した。  実際、どんな迷惑がかけられたかは不明だが、ネット上では21時前に、クロちゃんの居場所として疑われていた厚木駅近くのマンションに人が集まってしまったため、警察が駆けつけたとの報告が複数見て取れる。  この出動騒ぎについて、当サイトが厚木署に確認したところノーコメントだったため、企画との関連性は定かではないが、もし何も知らない一般人の住居に、夜突然、どこからともなく人が集まってきたとしたら、それは恐怖でしかないだろう。 「夕方に企画が発表された時点で、『他人を巻き込むのでは?』と不安視する声が多く、詰めの甘さが多数指摘されていました。『水曜日のダウンタウン』は、昨年2月に一般人を巻き込んだヤラセが発覚し、2度の謝罪文を掲載。その時、TBS内で打ち切りが検討されたが、『もうヤラセはしない』として、クビの皮1枚つながった状態で続けてきた。しかし、今回はあらゆる事故が想定される危険な企画な上、実際に警察沙汰にまでなっていたとしたら、いよいよ存続もヤバイ。8月終了の可能性も十分ありそう」(テレビ誌記者) 『水曜日のダウンタウン』といえば、3月にも、水戸黄門関連の企画が「視聴者に水戸市は粗暴な若者が多く、治安も悪いと誤解させた」として、水戸市から放送倫理・番組向上機構(BPO)に意見書が提出されたばかり。随一のお騒がせ番組が、いよいよ打ち切り寸前といえそうだ。

金型屋兼プロレスラーで、“最強プレゼンター”!? 「スーパー・ササダンゴ・マシン」って?

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撮影=河野英喜
 人気プロレス団体、DDTプロレスリング(以下、DDT)で、パワーポイントを駆使してプレゼンを披露する異色のマスクマン、スーパー・ササダンゴ・マシン。『アフロの変』(フジテレビ系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などのバラエティ番組にも出演し、話題を集めているが、本業は家業である新潟の金型工場・坂井精機株式会社の専務取締役だ。  そんな謎に包まれたこのスーパー・ササダンゴ・マシンがこのたび、なぜか『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』(ポニーキャニオン)なるDVDをリリースした。一体どんな人物で、何が目的なのか――。その実像に迫る。 ――バラエティ番組などへの露出も増えて、認知度が上がった一方で「スーパー・ササダンゴ・マシンって何者?」という疑問を持つ人も多いと思います。金型工場とプロレスラーと芸能活動、どれが本業なんでしょうか? スーパー・ササダンゴ・マシン(以下、ササダンゴ) 今は金型工場がメインですよ。プロレス活動や芸能活動でもらったギャラは、すべて坂井精機株式会社の口座に入るようになっていますから。完全にビジネスマンです。資本主義の豚です。 ――すべては、金儲けのためにやっていると。 ササダンゴ それと、承認欲求を満たしたい、自己実現をしたいから、マスクをかぶってプロレスや芸能活動をしているようなもんです。 ――今は松竹芸能に所属していますけど、なぜ松竹に? ササダンゴ 今のマネジャーに「我々と一緒に手を組みましょう、一緒に儲けましょう」と声をかけられまして。「一緒に面白いことをしましょう」はいろいろと言われますけど、ストレートに「手を組んで儲けましょう」と言われたのは初めてだったので、「ここだ!」と。 ――そっちのほうが、ビジネスマンとしてはわかりやすいですね。今回リリースしたDVD『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』は、どんなきっかけで制作することになったんですか? ササダンゴ 『アフロの変』のプロデューサーに、私がDDTでやっている「煽りプレゼン」(編注:プロレス会場でササダンゴが客に向けて、相手とどのような試合を行うかをパワーポイントを使ってプレゼンする定番パフォーマンス)を、別の方法で形にしたいと言われまして。 ――DVDでは老舗プロレス雑誌「週刊プロレス」(ベースボール・マガジン社)編集部への自分自身のプレゼン、ケンタッキーフライドチキン(日本KFCホールディングス株式会社、以下KFC)への新商品の、焼肉店でどのように注文を組み立てるかという「孤独の焼肉」プレゼンの3本立てになっていますが、KFCがこの企画を受けてくれたのが、失礼ながら意外でしたね。 ササダンゴ そうなんですよ! あのKFCさんが! 企画段階で、上場企業にもプレゼンしようということになっていまして。まぁ、ぶっちゃけ、私くらいになると大企業のトップにも知り合いがいるわけですよ(本当に)。でも、それは「使っちゃダメ!」というルールを設けられまして。それやっちゃうと、実際にプレゼンするときの緊張感がなくなっちゃいますから。それで、スタッフが100社以上の企業、具体名は出せませんが、KFCクラスの有名企業なんですけど、そこにオファーを出しまして、唯一OKしてくれたのがKFCさんなんですよ。 ――KFCに新たなメニューをプレゼンしていましたが(詳細、結果はDVDをご覧ください)、やはりプロレス会場で行うものと違いますよね。 ササダンゴ ちゃんとした偉い人も出席してくれましたからね。プロレス会場とは、真逆ですよ。プロレスは客層がわかっていて、そこに合わせて雰囲気を作っていくんですけど、今回は偉い人もいて、しっかりしたプレゼンの現場に私が放り込まれ、果たしてどうなるか!? という内容ですからね。 ――DVD内でのプレゼンの内容も、実際に見るとわかりやすいというか、親しみやすい感じで、すごく好感が持てました。 ササダンゴ 構成がどうだとか、こういうテクニックを使って効果的に魅せるとか、そういった技術的な話はしていないですからね。そこは、マイクロソフトとかアップルの仕事だと思うんで、私はただ実験して検証してるといった感じです。
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――そういったアプローチの仕方が、逆に現役のサラリーマンには新鮮に映るんじゃないかと思います。本業でも、プレゼンしたりする機会は多いんですか? ササダンゴ 本業では一切やっていません! ――え!? ササダンゴ 金型産業は基本的に受注生産ですし、もともと仕事で得意げにプレゼンしてる奴が大嫌いですから。 ――え!? ササダンゴ ドラマとか見てても、プレゼンする奴ってだいたい嫌な奴じゃないですか。老舗旅館を買収しに来た外資企業の奴で、最終的には東京から帰ってきた若女将にやっつけられたり。 ――まぁ、ドラマとかのイメージだと、そうかもしれませんね。 ササダンゴ プレゼンする奴は悪役なんですよ。でも、それがプロレスラーだったら、成立するじゃないですか。 ――なるほど。では、実際にちゃんとしたプレゼンをしてみて、いかがでしたか? ササダンゴ 手応えしかないですね。 ――ちょろいもんだと! ササダンゴ 感覚的な話になりますけど、プレゼンって魔法、黒魔術みたいなもんで、人の心を簡単に魅了してしまうんですね。だから私くらいのレベルになると、安易に使っちゃいけないなと。ここぞというときに使うべきだということを実感しました。 ――では、いずれ本業で発揮するときが来るということですね? ササダンゴ いや、やりません。やっちゃうと忙しくなっちゃうから! ――忙しいのは、喜ばしいことじゃないんですか? 芸能活動も、あまり忙しくしたくないんですか? ササダンゴ はい、あまりやりたくありません。 マネジャー いや、やりますよ!? やりますからね!? ササダンゴ ……。はい。やっぱりやります。 ――(笑)。芸能活動でいえば、『NHK高校講座』の「社会と情報」(4月28日放送スタート、全20回)でプレゼンターを務めますよね。 ササダンゴ 今の高校って、“社会と情報”という授業もあってですね。現代の高校生は生まれたときからインターネットやSNSがあって、「どうやったら炎上しないか」や「ネット上の画像を二次使用するときのルールとエチケット」なんかも教えているんですよ。そのカリキュラムに「プレゼンテーションの仕方」も入っていて、今は“プロレスラーもプレゼンができる時代”ということで声をかけられたみたいです。 ――2008年に刊行した著書『八百長★野郎』(エンターブレイン)の中で、ミスター高橋さん(編注:元新日本プロレスのレフェリー。2001年にプロレスの舞台裏を語った著書『流血の魔術 最強の演技 すべてのプロレスはショーである』(講談社)で物議を醸した)と対談してて、その中で「今の高校生はプロレスをまったく見たことがない」という話をしていましたよね。今の高校生もプロレスは見ないのかなと思ってしまうんですけど、感触としてどうですか? ササダンゴ どうなんでしょうかね。でも、私は高校生にプロレスを見てほしいとは思ってないですから。 ――え!? そうなんですか!? ササダンゴ うちの団体(DDT)でも、小学校~高校の間にプロレスしか見ていないような奴、飯伏幸太はじめみんな頭おかしいですから。人としてどうかしてるんで、若いうちは見ちゃダメだと思います。映画やライブやテレビ番組を見て、部活、恋愛をちゃんとするべきですよ。
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――意外ですね。プロレスラーの方は「若い人たちにも見てほしい」と、口をそろえて言いますけど……。 ササダンゴ 高校生にプロレスを見せようとしている大人たちは、全員悪魔ですよ! 真面目に「若年層を取り込もう」と言っている奴は、たいていクズ野郎です。 ――僕も子どもの頃からプロレスを見ているので、いささかショックです。 ササダンゴ あなたもクズですよ! 若年層を取り込もうとするな! 金のある奴をしっかり押さえろ! ということですよ。プロレスファンに若い女の子が増えていると言いますが、では「30~40代男性が、金を払って見てくれているか?」というのが私のテーマです。その世代が金を払って見たいものをちゃんと作れていますか? と。若い女の子に人気なのもいいですが、その世代のおじさんたちが楽しめるものを、私はちゃんと作りたいんです。 ――ちなみに僕もそうですが、この「日刊サイゾー」の読者層っていうのが、ちょうどその世代、30~40代男性なんですよ。 ササダンゴ 女の子にキャーキャー言われているプロレスラーは、かっこいいですよ。でもね、男として、彼女や女友達に「プロレス面白いから一緒に見に行こうよ。かっこいいんだよ」って誘われても嫌でしょう? 女の子が騒いでいるのを見て楽しんでくれるおじさんファンもいるけど、それはそれで変態の部類でしょう。 ――ま、言わんとしていることは、なんとなくわかります……。今の30~40代って、もともとプロレスが好きで、でも今はプロレスから離れてしまった人も多いんですけど、そういったファンが戻ってきていると思いますか? ササダンゴ 思わないです。みんなアイドルに行って、戻ってこないですよ。プロレスや総合格闘技を見ていた人は、ハロプロやAKBに行き、マッスル(編注:DDT内で行われていたエンタテインメント性の高いプロレス興行)を見ていた人は、BiS(2014年に解散)とか過激なほうに行って、そこを卒業したら今度は、生ハムと焼うどんに行ってますよ。DDTのスタッフたちですら「生ハムと焼うどん、いいよね!」って言ってますから。 ――そのアイドルに奪われたファンを取り戻すには、どうすればいいですかね? ササダンゴ もう戻ってこないですよ。戻ってこないくていい! いま私が考えているのは、そういったファンから、アイドルそのものを奪うしかないということです。アイドルの貞操を奪うしかない! 復讐ですよ! 共存共栄はないですから! ――……。ちょっと過激になってきたので話題を変えます。ずばり、今後の展望は? ササダンゴ 当然、ありますよ。 ――お! なんですか? ササダンゴ 2020年の東京オリンピックに、照準を合わせています。 ――突然、壮大になりましたね。 ササダンゴ 開会式や競技のすべてに、演出で総合格闘技でやっているような“煽りVTR”が導入されるんじゃないかとにらんでいるんですよ。それとプレゼンをセットにして、世界に発信すればいいんじゃないかと。 ――実現したら盛り上がりますね。 ササダンゴ あとは、開会前と開会後にスポーツニュースに呼んでもらえるように、仕掛けていきたいですね。フジテレビの『すぽると!』あたりが……。 ――『すぽると!』は終わりましたよ……。 ササダンゴ ……。じゃあ『Going! Sports&News』(日本テレビ系)で……。 ――では、そういった番組にも、ぜひプレゼンを。期待しています! (取材・文=高橋ダイスケ) ●DVD『スーパー・ササダンゴ・マシンによるコミュ障サラリーマンのためのプレゼン講座』 発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン 価格:3,240円 好評発売中 ●マッスル坂井Twitter @abulasumasi