フジテレビ月9『突然ですが、明日結婚します』第4話。視聴率は、ついにこれまでの同枠単話最低だった『ラヴソング』6・7話の6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を下回る6.6%を記録しました。 ちなみにメーンの脚本家は、どちらも倉光泰子さん。『ラヴソング』では途中から大幅なプロット変更を迫られ、今作では急ごしらえの企画に据えられ……と、その境遇には同情を禁じ得ません。 しかし、同情を禁じ得ないからといって、このドラマを楽しめるかといえば、まったく別の話。『突然ですが、明日結婚します』は、どうひいき目に見ても長所を探すのが難しい作品となっております。 前回、どうやら付き合うことになったらしい“ナナリュー”こと名波竜(flumpool・山村隆太)とあすか(西内まりや)。今回はその、初デートからスタートです。 あすかの母・典子(石野真子)いわく「四捨五入したら30の娘」ことあすかは、初のデートに大はしゃぎ。一方、キー局の人気アナであるナナリューも気合を入れた変装で表参道に現れます。 2人は、ナナリューが先輩からチケットをもらったプライベートスパへ。個室の岩盤浴でイチャつきますが、ナナリューのスマホに、かつての不倫相手である女優・桜木夕子(高岡早紀)から着電。スルーするも「もう、ダメみたい」というショートメールが入ると、やにわに立ち上がり「桜木さんのとこ行ってくる」と、あすかを置き去りにしてしまいます。 「桜木さんのとこ行ってくる」って。 なんで言うの、それ? 今週はもう、このシーンで見ている私の心が折れてしまいました。オープニングテーマより前です。 終始このパターンなんです。このドラマは美男美女の人形をゴムひもでつないで(そもそも大して美男じゃない)、引っ張ったりくっつけたりする作業をしているだけなんです。 「桜木さんのとこ行ってくる」という非常識でリアリティゼロのセリフを吐かせないことには、そのゴムひもが伸びないから、そうしているだけなんです。 初デートで少女のようにウキウキしているあすかを演出した直後に、「バレンタインのこういう感じイヤ、クリスマスイブとか、雰囲気勝負みたいな感じしない?」と言わせます。「私には期待しないでね」と。キャラ的にまるで整合性がありませんが、これは今回のラストでコンビニを駆け回ってナナリューの好きなコインチョコを買い漁る行動とのコントラストのためだけに追加されたセリフでしょう。 もう原作なんて関係ありません。かといって、オリジナルの物語をつづろうという意識もありません。バレンタインに近い放送日だから、「バレンタインなんてくだらない」と思っている女性が、好きな男性にチョコをあげるシーンをロマンチックに撮り上げようという、そういう単純な意図だけが全編にわたって露見している空虚な回でした。 最初と最後が決まっていて、その間を埋めるだけのために2人をケンカさせ、仲直りさせる。そんなんじゃ1時間ももたないのに、もたせるために、ナナリューに携帯電話を放置させたり、ナナリューと夕子が笑顔で語り合っているところに、あすかを狙っている神谷(山崎育三郎)を登場させて目撃させたり……放送時間でいうところの21時45分くらいまで2人を仲直りさせるわけにいかないので、脚本はあの手この手でゴムひもを伸ばし続けました。最後の最後にゴムが縮んで、顔面と顔面が接触して、大団円です。 しかし、また次回に向けてゴムひもを伸ばしておかないといけないので、後日ナナリューの見ている前で、神谷があすかに強引にキスして終了。普通に強制わいせつ罪ですが、そんなツッコミさえ入れる気力がなくなるほど、脱力感に包まれてしまいました。 途中、飲み屋で飲んだくれているあすかの携帯に、ナナリューから「会って話したい」というLINEが届きます。それにあすかの友人が、こう言います。 「『りょ』って返せばいいだけじゃん。2文字だよ、2文字」 LINEでのコミュニケーションで「りょ」という2文字が「了解」の意味であることがわかる層だけをターゲットにしていることが、明確に語られる場面です。 でもさ、そういう層にだってバレますよ。こんな作り方してたら、見捨てられますよ。 作り手側が「T層とF1層だけ狙ってるんだから、これでいいんだ」と思っているなら、視聴率も評価も、そうとう厳しいことになると思います。はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより
「12501」カテゴリーアーカイブ
13.9%……視聴率回復の『A LIFE~愛しき人~』木村拓哉より“マサオ”浅野忠信に要注目!?
木村拓哉主演の日曜劇場『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)第5話の視聴率は13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回より1.6ポイントも回復しました。先週20時~22時で高視聴率を叩き出した『イッテQ!』(日本テレビ系)の2時間スペシャルが、今週は19時~21時に移動していたのが要因かと思われますが、この日テレの編成には、何か不思議な力が働いているんでしょうか。 さてさて、第5話まで見てきて、このドラマの楽しみ方もわかってきました。木村拓哉はだいたい同じような役しかしないですし、今作は第1話から何やら悟りきった人物として登場しているので、木村が演じる“職人外科医”沖田を追いかけていると、だいぶ飽きます。 一方で、いかにも目に楽しいのが壇上記念病院の副院長・壮大(浅野忠信)です。壮大と書いて「マサオ」。沖田とは幼なじみで、沖田の元カノで壇上院長(柄本明)の娘でもある深冬(竹内結子)に婿入りした野心あふれる実業家にして、有能な脳外科医。脳外科医なのに右手で壁をブン殴って穴を開けちゃったり、ことあるごとに沖田に「まだ好きなのか、深冬のこと……(ぐぎぎ)」と嫉妬丸出しでからんだり、すぐ取り乱すくらい深冬のことが大好きなのに女弁護士(菜々緒)と不倫をしていたり、なかなか起伏に富んだ人物となっております。 今回は、そんなマサオの全力疾走からスタート。髪を振り乱し、深冬が横になっている病室に駆け込んできました。 そんなマサオに、深冬は「もう大丈夫」と言いますが、ぜんぜん大丈夫ではありません。深冬の脳には腫瘍があり、いきなり意識を失ってしまうほどに進行しています。マサオが全力疾走していたのも、深冬が倒れたという連絡を受けてのことでした。 マサオと沖田は、深冬に脳腫瘍であるという告知をしていません。腫瘍が難しいところにあり、沖田が手術の方法を見つけられないでいるからです。脳外科はマサオの専門ですが、「家族は切れない」という理由で沖田に執刀医を任せています。 沖田は、オペの方法が見つかるまで告知をするつもりはありません。しかし、焦るマサオは「もう俺が切るよ!」と言い出しました。 「俺だってオペのことは考えてるんだよ!」 そう怒鳴りながら、自分で考えたオペ方法の紙束を頭上に掲げると、それをビリビリに破きながら「わかってるよ、こんなんじゃダメだってことくらい!」……うーん、こんな様子では、とても手術は任せられません。いよいよ告知する段になったら、膝小僧を握りしめて泣いちゃうし。 そうして妻の治療が進まないことに超絶イラつきながらも、同時進行で病院経営には冷徹なまでの手腕を発揮するのがマサオの魅力です。 今回、マサオの大学時代の恩師である桜坂中央病院の権威・山本輝彦(武田鉄矢)が医療事故を犯した疑いが浮上しました。しかも、よりによってその事故を調査する外部メンバーに、壇上の外科部長である羽村(及川光博)が選ばれています。 羽村とマサオは大学時代からの仲。つまり山本先生は羽村にとっても恩師なわけですが、調査の結果は「黒に近いグレー」。羽村は「先生を守るため」に「白」という報告書を上げようとしますが、マサオはこれを利用することにしました。 恩師に対して「ミスを隠してほしくば、壇上と提携せよ」と持ちかけるのです。実に腹黒い。 しかし、山本先生の手術に疑問を持っていた患者・風間(須田邦裕)が壇上を訪れ、沖田が開腹したことで「黒」であることが明確に。沖田はひねりのない性格なので、そのまま風間に「山本先生のミスだよ」と伝えることにしました。そうなると、羽村も報告書に「白」と書くわけにはいきません。 羽村の報告書によって、山本先生は桜坂を辞めることに。羽村は「君がひとりの優秀な外科医を殺したんだ!」と言いながら沖田に殴りかかったり(猫パンチビンタ。ミッチーだけにミッチー・ローク風)、山本先生から「おかげで権威から解放された」と許しの留守電を受けて泣き崩れたりと、ナイーブさを発揮しますが、マサオはこの事態すら逆手に取ります。外科医がひとり減った桜坂に羽村を兼任外科部長として送り込むことで、まんまと提携話をまとめてしまいました。 その間にも、不倫中の女弁護士と一夜を過ごしたり、ニヤニヤしながら水槽の手入れをしたり、何かと挙動不審なマサオ。浅野忠信は、このドラマのクランクイン後、取材に対して「監督が3人いることで、役が回ごとに変わって戸惑った」「台本が撮影と同時進行で上がってくるなんて映画ではありえない」と、3年ぶりとなるテレビドラマの現場について語っていましたが、ヤケクソなのか楽しんでいるのか、あんまり見たことのない浅野が見られて楽しい限りです。 物語は、沖田がいよいよ深冬に脳腫瘍を告知したところまで。深冬は前もって自分でCTを撮り、絶望的な状況であることを自覚しています。で、そのCTを見たときに思い出したのが、沖田に「結婚します」メールを送って「おめでとう」って返信されたことなんだって。 このへんの沖田と深冬の未練エピソードって、無理やりねじ込んでいる感じがしてドラマそのものを薄っぺらくしている気がするんですが、まあ我らがマサオの嫉妬心を煽ってくれるので歓迎したいところでもあるんですよね。 マサオ、次回も大暴れお願いします! (文=どらまっ子AKIちゃん)TBS系『A LIFE~愛しき人~』番組サイトより
低空飛行続く月9『突然ですが、明日結婚します』 その“重度のセクハラ行為”は大丈夫なのか
フジテレビ月9『突然ですが、明日結婚します』も第3話。視聴率は7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、少し盛り返しました。 お話は、前回のラストでスーパーエリート神谷(山崎育三郎)が、主人公・あすか(西内まりや)に突然プロポーズした続きから。付き合ってもいないのに、なんで? と訝しがるあすかに、神谷は「素敵な専業主婦になって温かい家庭を築いてくれる、そんな気がするから」と、まっすぐに目を見つめて告げるのでした。 しかし、あすかは“ナナリュー”こと人気アナ・名波竜(flumpool・山村隆太)に、すっかりお熱。ママのアドバイスでナナリューに味噌汁を振る舞うと、「あすか」と呼ばれてドギマギ赤面。帰り道には手をつなぐなど、いい感じになっております。 なので、あすかは神谷からのプロポーズを断ることに。仕事で一緒に外出した際に、「好きな人がいるので」とストレートに告げました。すると、そこにテレビの取材班が現れて「カップルの結婚事情」について街角インタビューをお願いされます。 当然、あすかは神谷と付き合っていないのでお断りしますが、神谷はなぜか「面白いじゃん、人助けだよ」「記念になるから」と言って、取材に応じることにしました。 現れたインタビュアーは、よりによってナナリュー。神谷はなぜかカメラの前であすかの肩を抱き寄せたり、「5年のお付き合い」とウソを言ったり。けっこう重度のセクハラ行為ですが、なぜかあすかも、されるがままです。ナナリューは仕事としてインタビューを継続します。 インタビューが終わり、スタッフが「OAは2月6日です」と言って、取材班は去っていきます。 カメラが止まってからでも、別に「OAしないで」って言えばいいのに、あすかは言いません。神谷に「ふざけすぎじゃないですか?」と言うものの、怒ってもいないそうです。怒れよ。 すごく奇妙なシーンだし、あすかの気持ちも、神谷の気持ちも、まったく理解できない一連のやり取りでした。ちなみに神谷があすかにプロポーズした理由は「好きかどうかもわかんないけど、条件が合ってるから」だそうです。あすかは、その部分だけ「ありえないありえない」と言ってますが、テレビでさっきのやつを放送されるほうが、よっぽどありえないでしょう。なんなのこれ。 その後、flumpool・山村隆太にとって、非常につらいシーンが訪れました。ナナリューにとって、ではなく山村にとってです。 仕事をしているナナリューが同僚アナにランチに誘われて断り、その後、打ち合わせに呼ばれて立ち去るシーンがありました。 ごくごく平素のナナリューの振る舞いなんですが、その直後に同僚アナが、こう言うんです。 「名波さん、なんか不機嫌じゃない?」 ふ、不機嫌だったのか……。セリフで別の役者に補足させないと、ナナリューが不機嫌であるという芝居すら伝わらない現実。現場の苦労が垣間見えますし、今回の月9の闇を見た思いです。 その後、不機嫌なナナリューは仕事がバタバタなのもあって、なかなかあすかと会う時間を作れません。かつての不倫相手である女優・桜木夕子(高岡早紀)とともに司会を務める番組で、夕子が楽屋に閉じこもるなどのトラブルもあり、寝る時間すらまともに取れない多忙ぶりです。 で、ようやく会えて、紅茶を飲みながらイチャイチャしてキスして、朝帰りして、あすかもナナリューもゴキゲンになりました。あすかは、ナナリューの「結婚したくない」気持ちを「変えてみせます」と宣言。とりあえず付き合うことになったようです。 その翌朝、ナナリューが司会を務める朝のワイドショーで、夕子の夫である女好きの舞台俳優が“ゲス不倫”をしていたというニュースを放送していました。どうやら、夕子の楽屋立てこもり事件は、これが原因だったようですね。 若手アナが原稿を読む一方、ナナリューが何かを考えている顔が、さまざまなアングルから抜かれます。その画面を見ているあすかの顔と、カットバックしながらどんどんアップになっていきます。 しかし、ここでも山村の顔は「平素のナナリュー」でした。全然、どんな感情を表現しようとしているのか読み取れない。読み取れないまま、エンドテーマに……。 なんだろう。3話までの印象として、ホントに捉えどころのないドラマだな、という感じです。設定も芝居もセリフも地に足が着いていないし、原作からの改変も含めて、作り手側のなんの意図も感じられない。「とりあえずこの企画で決まったから、話数を埋めるだけ埋めようぜ」感というか、おもしろいとかつまらないとか、好きとか嫌いとかでなく、それ以前のところに視聴者を置き去りにしているような、そんな気がします。そもそも「楽しませよう」ということすら、あきらめちゃってるような。 flumpoolのメンバーはこの作品、どんな風に見てるのかな。一緒にロックバンドやってて、ボーカルが月9に出てこんな感じで、ケンカにならないのかな、とも思いましたが、もともとNON STYLE・井上裕介さんをメンバーに加入させたりとか、そういうバンドでしたね。心配ないか。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより
いよいよ草なぎ剛『嘘の戦争』に抜かれる!?『A LIFE~愛しき人~』過去最低も、内容は……
もう何度もいわれていることですが、いよいよ“キムタク神話崩壊”が現実味を帯びてきたようです。日曜劇場『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)第4話の視聴率は、12.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と過去最低を更新。いちおうまだ今期の連ドラではトップを走っていますが、草なぎ剛主演の『嘘の戦争』(フジテレビ系)、好評を得ている『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)の足音が聞こえてきました。 とはいえ今回は、本来なら21時台にかぶってこない『世界の果てまでイッテQ!10周年アワード イモトWT99か国の奇跡2時間SP』(日本テレビ系)がスペシャルで裏に入り、しかも22.5%という番組史上2位の高視聴率を残していることを見れば、健闘といえるのかもしれません。 実際、内容的には今回の『A LIFE』は充実していたと思います。 第4話でフィーチャーされたのは、壇上記念病院のオペナース・柴田(木村文乃)。外科手術について熟知し、常に先回りして器械出し(メスなどを執刀医に手渡す役割)を行う技術には、主人公・沖田(木村)をはじめとする壇上記念病院の外科医たちも全幅の信頼を寄せています。 しかし、今回はそんな柴田の“有能ぶり”がアダとなることに。 副院長の壇上壮大(浅野忠信)は、片山関東病院という中規模医院との提携を画策中。まずは挨拶代わりに世界的な実績のある沖田を送り込み、壇上のレベルの高さを見せつけてやることになりました。 その沖田に、オペナースとして同行することになった柴田。しかし、手術中に前立ち(助手のこと)を務めていた片山の院長の息子である外科医・孝行(忍成修吾)に背き、指定されたものとは別の器械を差し出します。 「サテンスキーのほうが、いいと思いますよ(キッパリ)」 その場こそ、沖田が柴田の判断を支持したため手術は滞りなく終わりますが、孝行は当然ブチ切れ。院長パパ(鶴見辰吾)に告げ口し、パパは壇上との提携話を白紙に戻そうとします。 これに慌てたのが壮大でした。片山での手術を見学に行っていた井川(松山ケンイチ)から事情を聞き出すと、柴田をオペから外すことに。ちなみに井川は副院長に告げ口したのではなく、柴田のことが大好きなので「柴田さんが優秀すぎるんですよー」と、手柄として報告したのでした。 柴田の言い分はシンプルです。 「沖田先生が執刀医だったので、いつも使ってるものをと出しました」 そして、オペから外されることを告げられると「辞めます」と踵を返して部屋を出て行きました。ちなみに壮大は沖田からは何も話を聞いていませんが、このとき柴田に「沖田は何も言ってなかった」と言います。聞いてないんだから何も言ってないに決まっているんですが、沖田がフォローしてくれなかったと思い込んだ柴田は、深く傷つきました。 実は柴田は、医者になりたかったのだそうです。親が医者で、自分も当たり前に医者を目指したのに、ひとつの医療ミスで実家の医院が潰れてしまい、高額な医学部の学費を払えず、奨学金をもらって看護学校に行くしかなかった。そうした過去を、ヤケクソでOKした井川との砂浜デートでぶちまけます。 井川も医者の息子で、親は今も大病院の院長で、親の金で当たり前に医者になった人間です。だから柴田は井川に、ずっとムカついていました。でも、気持ちを全部吐きだしたことで楽になったようです。突然の告白にうろたえる井川に背を向けて、 「おなかすいた!」 と、今の素直な気持ちを、もうひとつ吐きだすのでした。 今回、主役はほとんど井川と柴田でした。同じ医者の家の生まれなのに、片や医者、片やナース。柴田には、どうしたって拭えないコンプレックスがある。一方の井川は柴田の知識や技量にほれ込んでいるし、たぶん性格や顔にも惚れ込んでいる。 そういう2人を、木村文乃は徹底的に仏頂面に、松山ケンイチはコロコロと表情を変えながら、2人とも感情表現を全面に出して演じていました。環境が変わる、心持ちが変わる、関係性が変わる、そうすると人間というのは、顔が変わるんだということが、実に丁寧に演出されていたし、演じられていました。 さらに表情の芝居といえば、孝行を演じた忍成修吾もすごかった。登場シーンは少ないし、手術中はほとんど顔が見えないのに、一瞬で視聴者に「イヤな奴ですよ」という主張を伝えてくる。 この3人の演技合戦が、第4話を1本のお芝居として見応えあるものにしたと思います。 一方、沖田を演じる木村拓哉はといえば、キャラ設定として「芯が通っている」ので、特に変化はありません。なんか、壁打ちの壁みたいな感じです。そういう役だからそういう芝居をしているのか、そういう芝居しかできないからそういう役を与えられるのか、それはまあ、とりあえず置いておきます。 というか、実は4話になって沖田にも小さな変化が与えられました。壮大の妻で壇上院長の娘である深冬(竹内結子)と10年前に付き合っていたわけですが、「お互いにフラれた」と思い込んでいたことが明らかになったのです。 深冬は脳腫瘍を患っていて、沖田が執刀予定。なんか面倒なことにもなりそうですが、これってどうなんですかね。柴田の抱えていた深い挫折と劣等感に比べれば、いかにも軽く映ってしまいます。このドラマに登場するいろいろな事情の中で、「沖田が深冬に未練があるかも?」って、もっともどうでもいいことに見えてしまう。ここまでの沖田なら、そんなことでブレが生じるとは思えないし、ブレが生じたらキャラ矛盾だし、ブレが生じないなら無駄な設定ということになるし……。 ともあれ、柴田はいろいろあってオペナースとして壇上での仕事を続けることになり、深冬は沖田の目の前でブッ倒れて、今回はおしまい。 あ、あと、いちおう言っときますけど、今回も浅野忠信は最高でしたよ。 (文=どらまっ子AKIちゃん)TBS系『A LIFE~愛しき人~』番組サイトより
視聴率「2割減」……6.9%に沈んだ月9『突然ですが、明日結婚します』テーマに合わない西谷まりやの“カンタンな女”度
これはちょっと、どこまで落ちるのかなと思ってしまいますね……。 フジテレビ系の月9『突然ですが、明日結婚します』第2話の視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、同枠史上最低スタートだった前回の8.5%から、約2割減です。たった1話で2割減って、なかなかの数字です。このペースで減っていったら5話くらいでゼロになりそうです。 ともあれ、そんな第2話を振り返ってみましょう。 前回、すこぶるイケメン(という設定らしい)の“ナナリュー”こと名波竜(flumpool・山村隆太)と偶然出会った銀行員・高梨あすか(西内まりや)は、「結婚して専業主婦になることが夢」の女のコ。一方のナナリューは「結婚なんて絶対したくない」と言い張るキー局の人気男性アナです。 あすかの先輩である小野さん(森田甘路)とナナリューが同居していたことから、接点ができた2人。ナナリューは、あすかの夢が「専業主婦」だと知ると、「結婚のきれいなところ並べてるだけだよ」「結婚の夢なんて聞いてもおもしろくないよ」「結婚なんて意味がない」「もしかして永遠の愛とか信じてる?」「紙っペラ1枚でお互いを縛って」「呪いだよ」「人を不幸にする」などなど、言葉のプロであるアナウンサーの語彙力を存分に生かした罵詈雑言を浴びせたため、あすかの第一印象は最悪でした。 しかし、あすかはナナリューにちょっと優しい言葉をかけられたり、買い物にいったスーパーでポテチに伸ばした手が触れあったり、雨の中で傘を持って待っていてくれたり、ビン詰めのキャンディをプレゼントされたことにより、ナナリューを好きになってしまいました。ろくに話をしていなくても、その程度のことで27歳の女性が好きになっちゃうくらい、ナナリューはイケメンだという設定になっているのです。 ちなみにナナリューも結婚願望こそないものの、あすかのことを好きみたいです。そりゃ、西内まりやはかわいいですからね。ろくに話をしていなくても、好きになっちゃうのはしょうがないと思います。 そんなある日、あすかは街で偶然、系列会社のスーパーエリート証券マン・神谷(山崎育三郎)と遭遇します。聞けば神谷は、BSの経済番組に出演することになったそうです。流れで、2人で近所のスイーツ屋さんでお茶などすることに。 そこに偶然、ナナリューが通りかかりました。ナナリューを見てびっくりしたあすかは、コーヒーをこぼしてしまいます。するとナナリュー、懐からウェットティッシュを取り出して、なんとあすかの手を拭き拭きしてあげます。なんで拭き拭きしてあげるんでしょう。男性がティッシュで女性の手を拭き拭きしてあげるシーンなんてAVでしか見たことありませんが、とにかくナナリューは、あすかが別の男といるのを発見して、ちょっと嫉妬しているようです。 一方あすかは、結婚願望優先なので料理婚活などに参加してみますが、なしのつぶて。後日、小野さん家の飲み会で「仕事で来れない」はずだったナナリューが偶然、早上がりになって帰ってくると、目をキラキラさせて喜びます。 ナナリューは、そんなあすかの女心を手玉に取ることにしたようです。あすかが料理をすると聞けば、「今度作ってよ」と思わせぶりに甘えたり、あすかが婚活に参加したことに「ムカついた」と言ってみたり、先日さんざんコケにした「専業主婦の夢」も「スゴイと思ってる」と理解を示してみたり、「ごめん、でも一緒にいたい」と流し目でつぶやいてみたり。あすかは、口では「あの人とはもう無理、合わない」とか言ってますが、仕事中もポーっとしちゃうくらいナナリューに夢中です。 その後、あすかは偶然、エリート神谷に届け物をすることになりました。すると偶然、神谷はすでに外出していて、ホテルのラウンジで打ち合わせをしているようです。さらに偶然、そのホテルではナナリューと、かつて不倫していた女優・桜木夕子(高岡早紀)も、共演する番組の打ち合わせをしていました。偶然、あすかがホテルに着いたのと、ナナリュー&夕子が出てきたタイミングが一致してしまい、あすかは2人がタクシーに乗り込むのを見てしまいます。神谷に届け物をしたあすかは、偶然その場にナナリューの先輩アナ・三上(沢村一樹)がいたこともあって、神谷と3人で痛飲することに。 途中で、2人に「付き合っちゃえば」と言い残して退散した三上は、翌日の現場でナナリューに「あすかと神谷がイイ感じ」と伝えると、ナナリューはあすかを食事に誘うことにしますが、あすかはそのメールを無視します。ナナリューと夕子がホテルから出てきたところを見たからです。 しかし偶然、帰り道に2人は出会ってしまいました。気まずい雰囲気に……すると偶然、そこにあすかの父親が通りかかり、偶然にも「うちの嫁が大ファン」だったため、強引にナナリューを家に連れて帰ってしまいます。こんなに偶然が重なること、あるんですね! ないですよ。 今回、このドラマで特に顕著だったのが、「偶然」の乱用です。 あらゆる展開が、登場人物の行動や心理ではなく「偶然」によって転がっていきます。偶然によって「胸キュン」「嫉妬」「胸キュン」「嫉妬」という記号が繰り返し提示されるだけ。それでも、これが単なるティーン向けの恋愛ドラマだったら別にいいと思うんですが、「結婚」という積極性と決断を必要とする大人のテーマと、どうしてもつながってこないんです。 終盤、あすかの家で晩ごはんとお風呂をいただいたナナリューが、あすかの部屋で結婚観に理解を示すくだりもありますが、すでにナナリューから見たあすかが「ヤレる女」になってしまっているので、まるで説得力がない。あすかの感情の流れとして「結婚観は相容れないけど、理解を示してくれるから好きになった」のであれば説得力も出るものですが、「好きな人が理解を示してくれた」というこのシーンは、男から見れば「ヤレそうだから適当に話を合わせた」ようにしか見えないんです。 案の定、すっと手を握ったナナリューを、あすかは拒否しません。その直後、偶然、階下から大きな笑い声が聞こえてきて、それに驚いたあすかが偶然、ナナリューの身体にのしかかってしまうわけですが(もうむちゃくちゃ)、そのままナナリューが抱きしめてきても、あすかは拒否しません。はい、この女、もういつでもヤレます。ナナリューが部屋から出て行った後も、身体が火照って眠れません。 ここまでコロッと恋に落ちるカンタンな尻軽女として高梨あすかが描かれると、視聴者も「専業主婦が夢」というキャラクターの背骨そのものに疑いを持ってしまうのではないかと思うんですよね。だって、そういう夢の持ち主なら、身持ちは固そうですもん。 で、そんなこんなのあとにエリート神谷が、あすかにいきなりプロポーズして今回はおしまい。 まだ第2話ですが、いろいろ失敗してるなー、という印象しかないです。フジテレビの月9にとってこの布陣、この企画がベストの選択でなかったことは察するにあまりありますが、それにしても、もうちょっとね、なんとかならなかったのかしら、というのが正直なところで。 あと、身もフタもないけど、このナナリューって、やっぱり、ぜんぜんイケメンじゃないですよね……。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより
視聴率「2割減」……6.9%に沈んだ月9『突然ですが、明日結婚します』テーマに合わない西内まりやの“カンタンな女”度
これはちょっと、どこまで落ちるのかなと思ってしまいますね……。 フジテレビ系の月9『突然ですが、明日結婚します』第2話の視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、同枠史上最低スタートだった前回の8.5%から、約2割減です。たった1話で2割減って、なかなかの数字です。このペースで減っていったら5話くらいでゼロになりそうです。 ともあれ、そんな第2話を振り返ってみましょう。 前回、すこぶるイケメン(という設定らしい)の“ナナリュー”こと名波竜(flumpool・山村隆太)と偶然出会った銀行員・高梨あすか(西内まりや)は、「結婚して専業主婦になることが夢」の女のコ。一方のナナリューは「結婚なんて絶対したくない」と言い張るキー局の人気男性アナです。 あすかの先輩である小野さん(森田甘路)とナナリューが同居していたことから、接点ができた2人。ナナリューは、あすかの夢が「専業主婦」だと知ると、「結婚のきれいなところ並べてるだけだよ」「結婚の夢なんて聞いてもおもしろくないよ」「結婚なんて意味がない」「もしかして永遠の愛とか信じてる?」「紙っペラ1枚でお互いを縛って」「呪いだよ」「人を不幸にする」などなど、言葉のプロであるアナウンサーの語彙力を存分に生かした罵詈雑言を浴びせたため、あすかの第一印象は最悪でした。 しかし、あすかはナナリューにちょっと優しい言葉をかけられたり、買い物にいったスーパーでポテチに伸ばした手が触れあったり、雨の中で傘を持って待っていてくれたり、ビン詰めのキャンディをプレゼントされたことにより、ナナリューを好きになってしまいました。ろくに話をしていなくても、その程度のことで27歳の女性が好きになっちゃうくらい、ナナリューはイケメンだという設定になっているのです。 ちなみにナナリューも結婚願望こそないものの、あすかのことを好きみたいです。そりゃ、西内まりやはかわいいですからね。ろくに話をしていなくても、好きになっちゃうのはしょうがないと思います。 そんなある日、あすかは街で偶然、系列会社のスーパーエリート証券マン・神谷(山崎育三郎)と遭遇します。聞けば神谷は、BSの経済番組に出演することになったそうです。流れで、2人で近所のスイーツ屋さんでお茶などすることに。 そこに偶然、ナナリューが通りかかりました。ナナリューを見てびっくりしたあすかは、コーヒーをこぼしてしまいます。するとナナリュー、懐からウェットティッシュを取り出して、なんとあすかの手を拭き拭きしてあげます。なんで拭き拭きしてあげるんでしょう。男性がティッシュで女性の手を拭き拭きしてあげるシーンなんてAVでしか見たことありませんが、とにかくナナリューは、あすかが別の男といるのを発見して、ちょっと嫉妬しているようです。 一方あすかは、結婚願望優先なので料理婚活などに参加してみますが、なしのつぶて。後日、小野さん家の飲み会で「仕事で来れない」はずだったナナリューが偶然、早上がりになって帰ってくると、目をキラキラさせて喜びます。 ナナリューは、そんなあすかの女心を手玉に取ることにしたようです。あすかが料理をすると聞けば、「今度作ってよ」と思わせぶりに甘えたり、あすかが婚活に参加したことに「ムカついた」と言ってみたり、先日さんざんコケにした「専業主婦の夢」も「スゴイと思ってる」と理解を示してみたり、「ごめん、でも一緒にいたい」と流し目でつぶやいてみたり。あすかは、口では「あの人とはもう無理、合わない」とか言ってますが、仕事中もポーっとしちゃうくらいナナリューに夢中です。 その後、あすかは偶然、エリート神谷に届け物をすることになりました。すると偶然、神谷はすでに外出していて、ホテルのラウンジで打ち合わせをしているようです。さらに偶然、そのホテルではナナリューと、かつて不倫していた女優・桜木夕子(高岡早紀)も、共演する番組の打ち合わせをしていました。偶然、あすかがホテルに着いたのと、ナナリュー&夕子が出てきたタイミングが一致してしまい、あすかは2人がタクシーに乗り込むのを見てしまいます。神谷に届け物をしたあすかは、偶然その場にナナリューの先輩アナ・三上(沢村一樹)がいたこともあって、神谷と3人で痛飲することに。 途中で、2人に「付き合っちゃえば」と言い残して退散した三上は、翌日の現場でナナリューに「あすかと神谷がイイ感じ」と伝えると、ナナリューはあすかを食事に誘うことにしますが、あすかはそのメールを無視します。ナナリューと夕子がホテルから出てきたところを見たからです。 しかし偶然、帰り道に2人は出会ってしまいました。気まずい雰囲気に……すると偶然、そこにあすかの父親が通りかかり、偶然にも「うちの嫁が大ファン」だったため、強引にナナリューを家に連れて帰ってしまいます。こんなに偶然が重なること、あるんですね! ないですよ。 今回、このドラマで特に顕著だったのが、「偶然」の乱用です。 あらゆる展開が、登場人物の行動や心理ではなく「偶然」によって転がっていきます。偶然によって「胸キュン」「嫉妬」「胸キュン」「嫉妬」という記号が繰り返し提示されるだけ。それでも、これが単なるティーン向けの恋愛ドラマだったら別にいいと思うんですが、「結婚」という積極性と決断を必要とする大人のテーマと、どうしてもつながってこないんです。 終盤、あすかの家で晩ごはんとお風呂をいただいたナナリューが、あすかの部屋で結婚観に理解を示すくだりもありますが、すでにナナリューから見たあすかが「ヤレる女」になってしまっているので、まるで説得力がない。あすかの感情の流れとして「結婚観は相容れないけど、理解を示してくれるから好きになった」のであれば説得力も出るものですが、「好きな人が理解を示してくれた」というこのシーンは、男から見れば「ヤレそうだから適当に話を合わせた」ようにしか見えないんです。 案の定、すっと手を握ったナナリューを、あすかは拒否しません。その直後、偶然、階下から大きな笑い声が聞こえてきて、それに驚いたあすかが偶然、ナナリューの身体にのしかかってしまうわけですが(もうむちゃくちゃ)、そのままナナリューが抱きしめてきても、あすかは拒否しません。はい、この女、もういつでもヤレます。ナナリューが部屋から出て行った後も、身体が火照って眠れません。 ここまでコロッと恋に落ちるカンタンな尻軽女として高梨あすかが描かれると、視聴者も「専業主婦が夢」というキャラクターの背骨そのものに疑いを持ってしまうのではないかと思うんですよね。だって、そういう夢の持ち主なら、身持ちは固そうですもん。 で、そんなこんなのあとにエリート神谷が、あすかにいきなりプロポーズして今回はおしまい。 まだ第2話ですが、いろいろ失敗してるなー、という印象しかないです。フジテレビの月9にとってこの布陣、この企画がベストの選択でなかったことは察するにあまりありますが、それにしても、もうちょっとね、なんとかならなかったのかしら、というのが正直なところで。 あと、身もフタもないけど、このナナリューって、やっぱり、ぜんぜんイケメンじゃないですよね……。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより
過去最低の13.9%……木村拓哉『A LIFE~愛しき人~』ドラマの根幹を揺るがす、院長の“キャラ変更”
木村拓哉が、手術の腕に絶対の自信を持つ“職人外科医”を演じている日曜劇場『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)。キムタクにとってSMAP解散後初のピン仕事ということもあって注目が集まっていますが、第3話の視聴率は13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、過去最低に。ガッツリ予算をつぎ込んでいるTBSさんの心中お察しするばかりであります。 今回のゲスト患者は、謎の腹痛に苦しむ小学生・友梨佳ちゃん(石井小咲)。お母さんの実家に預けられているときだけお腹が痛くなるので、どうやら原因は心因性らしいということでしたが、その診断に納得ができないお母さんがセカンドオピニオンを取りに来院しました。 何を隠そう、沖田(木村)の専門は小児外科。今回も、院長の娘である小児科医・深冬(竹内結子)とともにサクっと原因を突き止め、さっそく手術の準備を進めます。 しかし、ここで問題が。 友梨佳ちゃんの腹痛を「心因性」と判断した以前の担当医が、小児外科治療学会の重鎮である蒲生教授なる人物だったのです。この病院で友梨佳ちゃんのお腹を開くということは、蒲生教授に逆らうということ。蒲生教授に逆らうと小児外科治療学会に居場所がなくなるのだそうです。深冬が小児科の指導医を目指していることもあって、沖田が所属する壇上記念病院では、友梨佳ちゃんの手術ができないという結論に。ひどい話です。 ひどい話なので、沖田は「だったら俺はここを辞める」と言い出しました。別の病院で、自分が友梨佳ちゃんの手術をすると。 しかし、沖田が病院を辞めると困るのが、副院長で深冬の入り婿でもある壮大(浅野忠信)です。深冬の脳には腫瘍があり、その手術ができるのは沖田しかいない。院長の娘であり副院長の妻である深冬を、壇上以外の病院で手術させるわけにもいきません。 そこで、副院長・壮大は独断で、沖田に友梨佳ちゃんの手術を許可します。ただし、小児科医としての将来がある深冬を手術に参加させないことを条件としました。 一度は深冬自身、「手術ができない」という結論を飲みこんでいましたので、沖田にとっては、なんの問題もない条件です。しかし、一本気な沖田の医師魂に心を打たれた深冬は直前になって翻意。「医者として一番大切なこと忘れてた」「目の前の命を救うことに一生懸命の医者でありたい」と言って手術への参加を沖田に直訴し、メスを握ります。ちなみにここまで、深冬が脳腫瘍による激しい頭痛に襲われて動きが鈍くなるシーンがたびたび描かれていますが、術中はなぜか大丈夫なようです。脳内麻薬が出てるとか、そういう理屈なんでしょうか。わかりません。 ところでこの病院の院長室と副院長室には、外科手術を生中継しているモニターがあります。院長・虎之介(柄本明)と副院長・壮大はそれぞれの部屋でモニターを眺めていましたが、友梨佳ちゃんの手術が行われていることを知らされていなかった院長は、沖田が執刀している姿を見て激昂! しかも…… 「深冬までいるじゃないかー!」 勢い込んで手術室に乗り込み「すぐに(腹を)閉じるんだ!」と怒鳴りつけるのでした。 今回、最初から最後まで蒲生教授に気を使って、友梨佳ちゃんの命を危険にさらしたのは、院長・虎之介でした。もともと「ビジネスよりも医療の本質を追及せよ」というキャラクターとして登場した院長でしたが、3話にして、もう「人の命」を蔑ろにしてしまった。これ、ドラマの根幹を揺るがすキャラ変更だと思うんですよね。 結果、友梨佳ちゃんの手術は成功します。院長が小学生の命を犠牲にしてまで守ろうとした「小児外科治療学会での娘・深冬の立場」も、電話一本でどうにでもなる問題でした。 「目の前の命を救う」ことが絶対的信念の沖田にとって、今回の院長の判断は、心の底から軽蔑すべきものだったはずです。今後、どれだけこの院長がいいことを言おうが、医師として正しい判断をしようが、「あのとき、友梨佳ちゃんを見殺しにしようとした」という事実は消えません。つまり、この序盤の段階で『A LIFE』は、院長という“理想の医師”を1人、殺してしまったということです。 まともに辻褄を合わせていくなら、もうこの病院の経営陣に沖田が信頼すべき人物はひとりもいません。院長と副院長のソリが合わないことも語られましたが、どちらも「患者の命が最優先」の医者ではないので、沖田が同調すれば矛盾が生じることになります。よって、ひとつの大きな流れになるはずだった「院内の派閥争い」に、沖田が積極的に関係することはできなくなったわけです。まあ、今回の院長のアレを気の迷いだったことにして、強引に進めるのかもしれませんが。 一方、もうひとつの流れである「深冬の脳腫瘍」については、壮大の沖田に対する嫉妬に火が付き始めていて、苦虫をかみ潰しながら「まだ好きなのか、深冬のこと……」とか言い出しました。もう絵に描いたようなメロドラマですが、こちらは浅野忠信のテンション芝居に見応えがあるので、まだまだ楽しめそうです。今回はそんなところで! (文=どらまっ子AKIちゃん)TBS系『A LIFE~愛しき人~』番組サイトより
過去最低の13.9%……木村拓哉『A LIFE~愛しき人~』ドラマの根幹を揺るがす、院長の“キャラ変更”
木村拓哉が、手術の腕に絶対の自信を持つ“職人外科医”を演じている日曜劇場『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)。キムタクにとってSMAP解散後初のピン仕事ということもあって注目が集まっていますが、第3話の視聴率は13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、過去最低に。ガッツリ予算をつぎ込んでいるTBSさんの心中お察しするばかりであります。 今回のゲスト患者は、謎の腹痛に苦しむ小学生・友梨佳ちゃん(石井小咲)。お母さんの実家に預けられているときだけお腹が痛くなるので、どうやら原因は心因性らしいということでしたが、その診断に納得ができないお母さんがセカンドオピニオンを取りに来院しました。 何を隠そう、沖田(木村)の専門は小児外科。今回も、院長の娘である小児科医・深冬(竹内結子)とともにサクっと原因を突き止め、さっそく手術の準備を進めます。 しかし、ここで問題が。 友梨佳ちゃんの腹痛を「心因性」と判断した以前の担当医が、小児外科治療学会の重鎮である蒲生教授なる人物だったのです。この病院で友梨佳ちゃんのお腹を開くということは、蒲生教授に逆らうということ。蒲生教授に逆らうと小児外科治療学会に居場所がなくなるのだそうです。深冬が小児科の指導医を目指していることもあって、沖田が所属する壇上記念病院では、友梨佳ちゃんの手術ができないという結論に。ひどい話です。 ひどい話なので、沖田は「だったら俺はここを辞める」と言い出しました。別の病院で、自分が友梨佳ちゃんの手術をすると。 しかし、沖田が病院を辞めると困るのが、副院長で深冬の入り婿でもある壮大(浅野忠信)です。深冬の脳には腫瘍があり、その手術ができるのは沖田しかいない。院長の娘であり副院長の妻である深冬を、壇上以外の病院で手術させるわけにもいきません。 そこで、副院長・壮大は独断で、沖田に友梨佳ちゃんの手術を許可します。ただし、小児科医としての将来がある深冬を手術に参加させないことを条件としました。 一度は深冬自身、「手術ができない」という結論を飲みこんでいましたので、沖田にとっては、なんの問題もない条件です。しかし、一本気な沖田の医師魂に心を打たれた深冬は直前になって翻意。「医者として一番大切なこと忘れてた」「目の前の命を救うことに一生懸命の医者でありたい」と言って手術への参加を沖田に直訴し、メスを握ります。ちなみにここまで、深冬が脳腫瘍による激しい頭痛に襲われて動きが鈍くなるシーンがたびたび描かれていますが、術中はなぜか大丈夫なようです。脳内麻薬が出てるとか、そういう理屈なんでしょうか。わかりません。 ところでこの病院の院長室と副院長室には、外科手術を生中継しているモニターがあります。院長・虎之介(柄本明)と副院長・壮大はそれぞれの部屋でモニターを眺めていましたが、友梨佳ちゃんの手術が行われていることを知らされていなかった院長は、沖田が執刀している姿を見て激昂! しかも…… 「深冬までいるじゃないかー!」 勢い込んで手術室に乗り込み「すぐに(腹を)閉じるんだ!」と怒鳴りつけるのでした。 今回、最初から最後まで蒲生教授に気を使って、友梨佳ちゃんの命を危険にさらしたのは、院長・虎之介でした。もともと「ビジネスよりも医療の本質を追及せよ」というキャラクターとして登場した院長でしたが、3話にして、もう「人の命」を蔑ろにしてしまった。これ、ドラマの根幹を揺るがすキャラ変更だと思うんですよね。 結果、友梨佳ちゃんの手術は成功します。院長が小学生の命を犠牲にしてまで守ろうとした「小児外科治療学会での娘・深冬の立場」も、電話一本でどうにでもなる問題でした。 「目の前の命を救う」ことが絶対的信念の沖田にとって、今回の院長の判断は、心の底から軽蔑すべきものだったはずです。今後、どれだけこの院長がいいことを言おうが、医師として正しい判断をしようが、「あのとき、友梨佳ちゃんを見殺しにしようとした」という事実は消えません。つまり、この序盤の段階で『A LIFE』は、院長という“理想の医師”を1人、殺してしまったということです。 まともに辻褄を合わせていくなら、もうこの病院の経営陣に沖田が信頼すべき人物はひとりもいません。院長と副院長のソリが合わないことも語られましたが、どちらも「患者の命が最優先」の医者ではないので、沖田が同調すれば矛盾が生じることになります。よって、ひとつの大きな流れになるはずだった「院内の派閥争い」に、沖田が積極的に関係することはできなくなったわけです。まあ、今回の院長のアレを気の迷いだったことにして、強引に進めるのかもしれませんが。 一方、もうひとつの流れである「深冬の脳腫瘍」については、壮大の沖田に対する嫉妬に火が付き始めていて、苦虫をかみ潰しながら「まだ好きなのか、深冬のこと……」とか言い出しました。もう絵に描いたようなメロドラマですが、こちらは浅野忠信のテンション芝居に見応えがあるので、まだまだ楽しめそうです。今回はそんなところで! (文=どらまっ子AKIちゃん)TBS系『A LIFE~愛しき人~』番組サイトより
8.5%ショック!史上最低スタートの月9『突然ですが、明日結婚します』の“危うい”原作改変とは
いろいろ悶着があってスタートの遅れた月9『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)も、ようやく開始。西内まりやとflumpool・山村隆太がメーンキャストという前代未聞のバリューのなさもあって、第1回の視聴率は8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同枠の第1話史上最低を記録。なんかもう、去年から何度「月9ブランド崩壊か!?」って書いたかわからないですが、今年はホントに月9枠の存亡が問われることになりそうな雲行きです。 それはそうと、このドラマの制作発表があったとき、「おっ」と思ったんですね。脚本のクレジットに倉光泰子さんが入ってる。去年の春クールの福山雅治主演『ラヴソング』で、当時の通話最低記録である8.5%を記録した脚本家さんです。この名前を見て「おっ」と思ったんです。 とはいっても、「フジテレビどんだけ人材不足なんだよプゲラwww」というわけではありません。『ラヴソング』の最終話レビューでさんざん書き散らかしましたが(記事参照)、あのドラマって、明らかに4話あたりから変節していったんですね。 後になって、いろんな都合があったであろうことは垣間見えてきましたが、とにかく脚本家が場当たり的な制作陣の要求に苦しんで、無理くりに急ごしらえの脚本を組み立てていたのが、視聴者にも丸わかりな出来だったんです。8話以降はもう、物語の体裁をなしていない状態でした。だから、倉本さんは悔しかっただろうな、フジテレビはもう1回、ちゃんとこの脚本家さんにリベンジの機会を与えるべきだな、と思ってた。そんなこともあって、1年もたたない間に、ふたたび倉本さんにチャンスを与えたフジテレビに(もちろん人材不足もあるんでしょうけれども)、「おっ、やるじゃん」「筋を通したな」と思ったんです。 そんなわけで、『突然ですが、明日結婚します』第1話です。 27歳の高梨あすか(西内)は成績優秀な銀行員。夢は「結婚して専業主婦になること」ですが、5年付き合った彼氏に誕生日デートでいきなりフラれ、傷心中です。 そんなあすかが参加した友人の結婚式で、司会を務めていたのが“ナナリュー”こと名波竜(山村)。赴任先のニューヨークから帰国したばかりの人気アナウンサーです。 式は大詰め、恒例のブーケトスに。あすかは花嫁の投げたブーケを横っ飛びでキャッチしますが、そのままプールにドボン! ナナリューの「おおーっと、これは想定外のハプニング!」「すばらしいサプライズ演出!」という実況に、会場は大いに沸きました。あすかは当然、ナナリューに対してムカついています。 このナナリューという男は、「結婚のことしか頭にない女なんてほんとやだよ」という人物。つまり、あすかとは対照的な結婚観を持っているわけです。 2人の再会は、意外な形で訪れました。 あすかは、先輩・小野広紀(森田甘路)の家に同僚女性2人とともに集まって「傷心飲み会」をしていたところ、飲み潰れてしまいました。朝方、家主の小野を「小野さーん」と起こしにいくと、いきなり首を引っ掴まれてキスされてしまいます。このキスしたのが、小野ではなくナナリューだったのです。聞けばナナリューは小野の大学時代の親友で、同居中なのだとか。寝ぼけてキスするのは癖だそうで、小野にも10回以上キスしているそうです。 この2度の邂逅を経て、あすかが抱くナナリューの印象は最悪に。一方のナナリューは、あすかの印象なんて特にありません。 後日、改めて小野さんの部屋で「バスケを見る会」が開かれることに。いきなりバスケなのは唐突な感じがしますが、フジテレビは昨年からBリーグ推しなので「若者にBリーグが人気だ」という、いわゆるステマです。 で、その会でナナリューは、先輩キャスター三上(沢村一樹)に「あすかにしろ」「あすかを狙え」とそそのかされ、ソファに座るあすかの横に陣取ってグイグイ来ます。バスケの前半が終わり、あすかは逃げるようにベランダに。 ナナリューがベランダについてきて、あすかにちょっと優しい言葉をかけると、あすか泣いちゃいました。そして、それからあすかは、ナナリューを恋する乙女的な目線で眺めることになります。イチコロです。すっごく簡単な女として描かれてます、このへん。 その後も、ナナリューと一緒に飲み会の買い出しに出ればポテチに伸ばした手がぶつかっちゃって胸キュン。重い荷物を持ってくれれば胸キュン。ついでに、かわいいパッケージのキャンディを見つけて勝手に胸キュンと、27歳の大人とは到底思えない落ち着きのなさを披露。勢い余って、ナナリューに「結婚して専業主婦になる夢」を滔々と語り出してしまいました。 するとナナリューは、「幻想でしょ、そんなの」と、ヒステリーを起こし「結婚のきれいなところ並べてるだけだよ」「結婚の夢なんて聞いてもおもしろくないよ」「結婚なんて意味がない」「もしかして永遠の愛とか信じてる?」「紙っペラ1枚でお互いを縛って」「呪いだよ」「人を不幸にする」などと、あすかの夢をフルボッコにし、ビンタを食らってしまいました。ふたたび、あすかのナナリューに対する印象は「最悪」に。 雨の中、ひとり帰路につくあすか。元カレの家から持って帰ってきた荷物を抱えて、雨に濡れながらトボトボ歩いていると、目の前に傘を持ったナナリューが現れます。傘を差し出し、「さっきはごめん」とナナリュー。あすかのポケットに何かを突っ込んで去っていきます。 ナナリューがポケットに入れてくれたのは、あすかが先ほど「かわいい」と胸キュンしていたキャンディでした。誕生日に失恋したあすかを気遣い、ナナリュー手書きの文字で「happy birthday」と書いてあります。 はい、胸キュン。 で、まあなんやかんやあってナナリューがあすかを抱きしめて「好きになってもいい?」と言いながらキスしようとし、あすかが「私と、結婚する気ありますか」と問い質し「無理」「ふんが!」「最低!」で第1話終了。 ちなみに、ナナリューのニューヨーク行きは栄転ではなく、年上既婚の人気女優・桜木夕子(高岡早紀)と不倫したことによる懲罰だったそうです。 その夕子とナナリューが一緒にMCを務める番組も、もうすぐ始まるそうです。このナナリューの不倫の過去と結婚アレルギーも何か関係あるんでしょうね、というフリになっています。 さて、どうしたものでしょう。 結婚したい女と結婚したくない男……つまり、結婚に対する価値観を共有できない男女が付き合うことになって云々というドラマなわけですが、第1話を見る限り、あすかとナナリューは結婚以外の価値観についても、何も共有していないんですね。何も共有していないというか、話をしてもいない。あすかは寝起きに出会い頭でキスして、優しいこと言われて泣いちゃって、雨の中で傘を差し出されてキャンディをもらったら、もう「急に優しくされたりすると、わけわかんなくなっちゃって」状態で、周囲から「恋の始まりね」と冷やかされる始末。到底、専業主婦を夢見る大人の振る舞いじゃない。 このあたり、気になったので原作をチェックしてみると、こちらでは「結婚以外の価値観」は共有しているんですね。ナナリューが他人の考えを尊重して自分の価値観を押し付けない人であることを、けっこうなページ数をかけて説明したうえで、あすかに「ナナリューが好き」と言わせている。理屈として、原作のあすかはナナリューを「こういう価値観の人と結婚したい」と思ったから「好き」なのであって、合わないのは「結婚に対する考え方」だけ。だからこそ、もどかしい。 という話なのだけど、ドラマ版のナナリューは、めっちゃヒステリックに、あすかと違う価値観を押し付けてくる。ほとんど言葉の暴力ともいうべき勢いで、相手の気持ちを考えることなく、持論を投げつけまくる。で、そのあとに優しい一面を見せて、あすかはコロッといっちゃう。なんだかDVの予感がしますし、「結婚」を語っていくドラマで“イケメンに優しくされたら、理屈抜きに好きになっちゃう”女のコが主人公というのは、これはすごく展開に不安を残す原作改変だと思った次第です。 あと、じゃあナナリューを演じる山村氏がイケメンなのかという問題がありますが、これは個人の趣味趣向もありますのでなんともいえませんけれども、顔面に緊張感がないのが少々気になりました。 かつての不倫相手・夕子と局の廊下ですれ違うシーンがあって、「ピキーン!」という感じのスローモーションで演出しているわけですが、山村氏、口が半開きなんですよね……。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより
8.5%ショック!史上最低スタートの月9『突然ですが、明日結婚します』の“危うい”原作改変とは
いろいろ悶着があってスタートの遅れた月9『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)も、ようやく開始。西内まりやとflumpool・山村隆太がメーンキャストという前代未聞のバリューのなさもあって、第1回の視聴率は8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同枠の第1話史上最低を記録。なんかもう、去年から何度「月9ブランド崩壊か!?」って書いたかわからないですが、今年はホントに月9枠の存亡が問われることになりそうな雲行きです。 それはそうと、このドラマの制作発表があったとき、「おっ」と思ったんですね。脚本のクレジットに倉光泰子さんが入ってる。去年の春クールの福山雅治主演『ラヴソング』で、当時の通話最低記録である8.5%を記録した脚本家さんです。この名前を見て「おっ」と思ったんです。 とはいっても、「フジテレビどんだけ人材不足なんだよプゲラwww」というわけではありません。『ラヴソング』の最終話レビューでさんざん書き散らかしましたが(記事参照)、あのドラマって、明らかに4話あたりから変節していったんですね。 後になって、いろんな都合があったであろうことは垣間見えてきましたが、とにかく脚本家が場当たり的な制作陣の要求に苦しんで、無理くりに急ごしらえの脚本を組み立てていたのが、視聴者にも丸わかりな出来だったんです。8話以降はもう、物語の体裁をなしていない状態でした。だから、倉光さんは悔しかっただろうな、フジテレビはもう1回、ちゃんとこの脚本家さんにリベンジの機会を与えるべきだな、と思ってた。そんなこともあって、1年もたたない間に、ふたたび倉光さんにチャンスを与えたフジテレビに(もちろん人材不足もあるんでしょうけれども)、「おっ、やるじゃん」「筋を通したな」と思ったんです。 そんなわけで、『突然ですが、明日結婚します』第1話です。 27歳の高梨あすか(西内)は成績優秀な銀行員。夢は「結婚して専業主婦になること」ですが、5年付き合った彼氏に誕生日デートでいきなりフラれ、傷心中です。 そんなあすかが参加した友人の結婚式で、司会を務めていたのが“ナナリュー”こと名波竜(山村)。赴任先のニューヨークから帰国したばかりの人気アナウンサーです。 式は大詰め、恒例のブーケトスに。あすかは花嫁の投げたブーケを横っ飛びでキャッチしますが、そのままプールにドボン! ナナリューの「おおーっと、これは想定外のハプニング!」「すばらしいサプライズ演出!」という実況に、会場は大いに沸きました。あすかは当然、ナナリューに対してムカついています。 このナナリューという男は、「結婚のことしか頭にない女なんてほんとやだよ」という人物。つまり、あすかとは対照的な結婚観を持っているわけです。 2人の再会は、意外な形で訪れました。 あすかは、先輩・小野広紀(森田甘路)の家に同僚女性2人とともに集まって「傷心飲み会」をしていたところ、飲み潰れてしまいました。朝方、家主の小野を「小野さーん」と起こしにいくと、いきなり首を引っ掴まれてキスされてしまいます。このキスしたのが、小野ではなくナナリューだったのです。聞けばナナリューは小野の大学時代の親友で、同居中なのだとか。寝ぼけてキスするのは癖だそうで、小野にも10回以上キスしているそうです。 この2度の邂逅を経て、あすかが抱くナナリューの印象は最悪に。一方のナナリューは、あすかの印象なんて特にありません。 後日、改めて小野さんの部屋で「バスケを見る会」が開かれることに。いきなりバスケなのは唐突な感じがしますが、フジテレビは昨年からBリーグ推しなので「若者にBリーグが人気だ」という、いわゆるステマです。 で、その会でナナリューは、先輩キャスター三上(沢村一樹)に「あすかにしろ」「あすかを狙え」とそそのかされ、ソファに座るあすかの横に陣取ってグイグイ来ます。バスケの前半が終わり、あすかは逃げるようにベランダに。 ナナリューがベランダについてきて、あすかにちょっと優しい言葉をかけると、あすか泣いちゃいました。そして、それからあすかは、ナナリューを恋する乙女的な目線で眺めることになります。イチコロです。すっごく簡単な女として描かれてます、このへん。 その後も、ナナリューと一緒に飲み会の買い出しに出ればポテチに伸ばした手がぶつかっちゃって胸キュン。重い荷物を持ってくれれば胸キュン。ついでに、かわいいパッケージのキャンディを見つけて勝手に胸キュンと、27歳の大人とは到底思えない落ち着きのなさを披露。勢い余って、ナナリューに「結婚して専業主婦になる夢」を滔々と語り出してしまいました。 するとナナリューは、「幻想でしょ、そんなの」と、ヒステリーを起こし「結婚のきれいなところ並べてるだけだよ」「結婚の夢なんて聞いてもおもしろくないよ」「結婚なんて意味がない」「もしかして永遠の愛とか信じてる?」「紙っペラ1枚でお互いを縛って」「呪いだよ」「人を不幸にする」などと、あすかの夢をフルボッコにし、ビンタを食らってしまいました。ふたたび、あすかのナナリューに対する印象は「最悪」に。 雨の中、ひとり帰路につくあすか。元カレの家から持って帰ってきた荷物を抱えて、雨に濡れながらトボトボ歩いていると、目の前に傘を持ったナナリューが現れます。傘を差し出し、「さっきはごめん」とナナリュー。あすかのポケットに何かを突っ込んで去っていきます。 ナナリューがポケットに入れてくれたのは、あすかが先ほど「かわいい」と胸キュンしていたキャンディでした。誕生日に失恋したあすかを気遣い、ナナリュー手書きの文字で「happy birthday」と書いてあります。 はい、胸キュン。 で、まあなんやかんやあってナナリューがあすかを抱きしめて「好きになってもいい?」と言いながらキスしようとし、あすかが「私と、結婚する気ありますか」と問い質し「無理」「ふんが!」「最低!」で第1話終了。 ちなみに、ナナリューのニューヨーク行きは栄転ではなく、年上既婚の人気女優・桜木夕子(高岡早紀)と不倫したことによる懲罰だったそうです。 その夕子とナナリューが一緒にMCを務める番組も、もうすぐ始まるそうです。このナナリューの不倫の過去と結婚アレルギーも何か関係あるんでしょうね、というフリになっています。 さて、どうしたものでしょう。 結婚したい女と結婚したくない男……つまり、結婚に対する価値観を共有できない男女が付き合うことになって云々というドラマなわけですが、第1話を見る限り、あすかとナナリューは結婚以外の価値観についても、何も共有していないんですね。何も共有していないというか、話をしてもいない。あすかは寝起きに出会い頭でキスして、優しいこと言われて泣いちゃって、雨の中で傘を差し出されてキャンディをもらったら、もう「急に優しくされたりすると、わけわかんなくなっちゃって」状態で、周囲から「恋の始まりね」と冷やかされる始末。到底、専業主婦を夢見る大人の振る舞いじゃない。 このあたり、気になったので原作をチェックしてみると、こちらでは「結婚以外の価値観」は共有しているんですね。ナナリューが他人の考えを尊重して自分の価値観を押し付けない人であることを、けっこうなページ数をかけて説明したうえで、あすかに「ナナリューが好き」と言わせている。理屈として、原作のあすかはナナリューを「こういう価値観の人と結婚したい」と思ったから「好き」なのであって、合わないのは「結婚に対する考え方」だけ。だからこそ、もどかしい。 という話なのだけど、ドラマ版のナナリューは、めっちゃヒステリックに、あすかと違う価値観を押し付けてくる。ほとんど言葉の暴力ともいうべき勢いで、相手の気持ちを考えることなく、持論を投げつけまくる。で、そのあとに優しい一面を見せて、あすかはコロッといっちゃう。なんだかDVの予感がしますし、「結婚」を語っていくドラマで“イケメンに優しくされたら、理屈抜きに好きになっちゃう”女のコが主人公というのは、これはすごく展開に不安を残す原作改変だと思った次第です。 あと、じゃあナナリューを演じる山村氏がイケメンなのかという問題がありますが、これは個人の趣味趣向もありますのでなんともいえませんけれども、顔面に緊張感がないのが少々気になりました。 かつての不倫相手・夕子と局の廊下ですれ違うシーンがあって、「ピキーン!」という感じのスローモーションで演出しているわけですが、山村氏、口が半開きなんですよね……。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『突然ですが、明日結婚します』番組サイトより




