12.1%好調キープの高畑充希『過保護のカホコ』徹底的に破壊されたママ黒木瞳が見たくなる

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 高畑充希が過保護に育てられた女子大生・カホコを怪演している『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第5話まできました。視聴率は12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。遊川和彦脚本のドラマはいつも手堅いですね。急落したケースって、最近ではちょっと記憶にないです。というわけで、今回も振り返りです。 (前回までのレビューはこちらから)  せっかくママ(黒木瞳)と仲直りしたのに、今度はパパ(時任三郎)が急にブチ切れて家を飛び出してしまったことに戸惑うカホコ。パパの気持ちはわかりませんが、とにかく心配です。なんでママは平気な顔で「ほっとけば」とか言ってるのか、それもよくわかりません。  そんなパパは実家にいました。昨夜のブチ切れについては「お灸をすえただけだ」と思っています。そのうちママが謝ってくるだろうと。まさかママはママで「反省するのは、ひどいことを言ったパパのほう」と思っているなんて、想像もしていません。  どうしたらいいかわからないカホコは、フラれたけど友だちでいることになったハジメくん(竹内涼真)に相談しますが、やはり「ほっとけば」と。父親を早くに亡くし、7歳で母親に捨てられたという過去を持つハジメにしてみれば、その程度の家庭内トラブルは「心温まるエピソード」だと言います。 「おまえにはわかんないんだよ。親に愛されて育つのが、どれだけ幸せなのか」  ママの言う「ほっとけば」は、「親は子を愛して当然」という認識から来ています。パパは1日だってカホコに会わなきゃ生きていけない。どうせ帰ってくる。パパがカホコを捨てることなんて、絶対にないと確信している。そんなママと、実際に親に捨てられたというハジメが、同じように「ほっとけば」と言うのです。  思えばハジメは、初めてカホコに出会ったときから「過保護だ」「おまえのような過保護が日本をダメにする」と言い続けてきました。その意味が、ようやくカホコにもわかり始めてきました。 「パパ、カホコは過保護だと思う?」  カホコはパパにメールします。 「今までハッキリ言えなかったけど、そう思う。もちろんパパも責任あるけど」 「そうなんだ、ありがとう」  どうやら自分は過保護らしい、と気づき始めたカホコ。家に帰ればママがいつものように「お風呂入りなさい」「ボタン取れかかってるから出しときなさい」と世話を焼いてきます。これまで、なんの疑問も抱いてこなかったママのこれらの行為に、カホコは違和感を抱き始めます。  パパはまだ帰ってきませんが、そんなカホコの変化に、敏感に気付いてくれたのも、やはりハジメでした。会話の端々からカホコの成長を読み取り「大人になってるねー」とホメてくれます。 「この機会に、親に甘えるのをやめて将来のことをちゃんと考えたほうがいい」  カホコはハジメの進言に従って、インターンシップの仕事を探すことにしました。  カホコが突然そんなことを言い出したのはハジメの影響だと、ママは見抜いています。当然、よい顔はしません。働くことは渋々認めたものの、勤務先はママが決めるし、ママが決めた学童保育で働いているカホコの一挙手一投足にも、まるでどこかの家政婦のように目を光らせています。子どもが転んで泣き出してしまえば、もうたまらず飛び出してきて、カホコを助けてしまうのです。この人だけは、最初っから全然変わりません。そして、カホコもパパも、ママのこうした行動の問題点を具体的に指摘することはできません。パパはパパで数日会わないだけで号泣しちゃうくらいカホコを愛しているし、カホコはずっとママの言う通り生きてきて幸せだったので、どうしても説得力がないのです。  そんなママに忠告できる人が、ひとりだけいました。ママのママであるばあば(三田佳子)です。「カホコにできるだけのことをしてあげたい」「後悔したくない」というママに、ばあばは「子育てで後悔しない母親なんていない」「最後は覚悟を決めるしかない」と告げます。実際、ママはこの人に子育てされてきたわけなので、うっとおしいと思いつつも聞き流すことができません。 「子どもが転んでも立ち上がると信じて。愛するより、信じるほうが難しいんだから」  ママの心が揺れ始めます。そして、カホコにお願いされて帰ってきたパパに、こう尋ねるのです。 「パパ、あたし、カホコを甘やかし過ぎなのかな、ちょっと……」 ■「幸せが壊れるのが怖い」  そうして、ママの過保護鉄仮面にヒビが入り始めたころ、同じように幸せだったはずのママの妹2人の家にも波乱が訪れていました。節ちゃん(西尾まり)は、病気でチェリストの夢が断たれた一人娘・糸ちゃん(久保田紗友)が大荒れ。出会い系に手を出してホテルの前で男とモメて補導されたかと思えば、親に対して「親と思ってない」とか「どうしたらそんな退屈な人間になれるの」とか「恥ずかしいと思わないの」とか「死んでもアンタたちみたいな大人にならないから」とか、傍から見れば中二病爆発でほほえましい限りだけど当の親たちにとっては超絶ショックであろう罵倒を繰り広げました。  また、もうひとりの妹である環ちゃん(中島ひろ子)は、持病のぜんそくが悪化して入院生活に。夫・衛くん(佐藤二朗)の飲酒癖に悩んで、あまり眠れないそうです。「(衛くんを)怒らないであげて、反省してるし」と言うカホコに、環ちゃんはこうつぶやくのです。 「怒ってるわけじゃないのよ。幸せが壊れるのが怖いの、悪いことが起きそうで……」  妹たちがそれぞれに悩んでいる中、いよいよママのところにも「幸せを壊す悪魔」がやってきました。そうです、ハジメくんです。  なぜかずぶ濡れになっているカホコと一緒に、ハジメが玄関先までやってきました。 「これ以上、関わらないで! 心配なの、これからどうなるか、怖くて……」  ばあばに忠告されて、ママはいつになく弱気です。一方のハジメは超強気です。 「娘さんともう会えなくなるのは嫌です(キッパリ)」 「できれば交際を許してほしいと思ってますけど(キッパリ)」  そして、「また改めてお願いしに来ます」と礼儀正しく言い残して去っていきます。  この上なく心がザワザワするママですが、努めて平静を装いながら「ほら、早くお風呂入んなさい」とカホコの腕を引きます。壊されたくない日常を継続しようと必死です。しかし、ずぶ濡れになったカホコには大きな異変が現れていました。 「カホコ、もうママに甘えないようにする」  なんと、朝は自分で起きるし、洋服も自分で決めるし、食器も自分で洗ってお弁当も自分で作る。駅までも自分で歩く。花嫁修業のことも就職のことも、一回自分で考えてからママに伝えるようにする。と言うのです。なんということでしょう。  ママの顔面は再び鉄仮面と化し、「そう、わかった」と言い残すと荷物をまとめ、家を出て行ってしまったのでした。何を考えてるんだ、どんな気持ちなんだ、ママ! ■カホコとハジメに何があったかは、わりと重要ではない  以前にも書きましたが、ハジメという人物は、このドラマでほとんど唯一の“外部”として登場しました。つまりは、カホコにとっての社会そのものと言っていい存在です。  そのハジメとカホコが影響を与え合うことで、関係が結びついていく。それは、カホコと社会の関係が結びついていくことと同義として描かれています。カホコがいちいち新鮮に「こんなの初めて!」とリアクションを取りながら世界を広げる様がみずみずしく描かれることで、そして高畑充希と竹内涼真という2人の役者さんがみずみずしく演じ上げることで、『過保護のカホコ』は鮮やかな成長ストーリーとして成立しています。  しかし、ドラマが訴えようとするのは、あくまでママの変化であるように見えます。もっといってしまえば、「ママの狭い世界を破壊する」というところにゴールを設定しているように見える。そして、ママが徹底的に破壊されて、そこからささやかに再生する姿が見たくなってくるのです。やっちゃえ、遊川! って感じで。今回はここまで。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

窪田正孝が尻を剥かれても5.8%!『僕たちがやりました』尻より気になる、マルの“童貞問題”

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関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより
 8日に放送された『僕たちがやりました』(フジテレビ系)の第4話。視聴率は5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回から0.8ポイントダウンでした。面白いけどなー。見てて気持ちのいいドラマじゃないから、仕方ないかなーという感じで。今回も振り返りです。 (前回までのレビューはこちらから)  いたずらで仕掛けた小型爆弾がプロパンガスに引火して10人の死者を出してしまった矢波高爆破事件から数日。パイセン(今野浩喜)は捕まっちゃうし、家には警察が来てるから帰れないし、パイセンからもらった300万円の口止め料はマル(葉山奨之)に持ち逃げされちゃったし、爆破で大ケガを負って車イスが必須になった矢波高の番長・市橋(新田真剣佑)は「殺す……!」とか言ってくるしで、今日も元気に逃亡生活中のトビオ(窪田正孝)。しかし、どうやら自分たちが“真犯人ではない”可能性が出てきて、ほんのひととき罪悪感から解放されます。  トビオたちの計画では、プロパンの近くに爆弾を仕掛ける予定はありませんでした。どうやら、あの夜トビオたちとばったり出会って目撃者になった矢波高教師の熊野(森田甘路)が、仕掛けられた爆弾を移動させたのではないか、というのがトビオの見方です。熊野は矢波高生たちにボコられていたので、復讐の動機はある。トビオは熊野が真犯人だと確信し、伊佐美(間宮祥太朗)とともに熊野のアパートに忍び込み、証拠をつかむことにしました。  しかし、いざ忍び込んでみると、熊野のパソコンに残っていたのは、まったく逆の証拠でした。男子生徒を性的な感じで盗撮した動画の中に、1本だけ様子の違うファイルが。再生してみると、パイセンらしき人物がトコトコ走りながら爆弾を落とし、それをプロパンのほうに蹴飛ばしている様子がばっちり映っていたのです。動画の中のパイセンは気づいていないようですが、これは完全に、やっぱり「僕たちがやりました」状態となってしまいました。  一方、トビオたちを殺したくて仕方がない市橋は、トビオの幼なじみである蓮子(永野芽郁)を呼び出し、トビオの居場所を吐くように迫ります。しかし、蓮子はマジで知らないし、知ってても教えないと言う。市橋は立ち去る蓮子を追いかけようとしますが、車イスから転がり落ちてしまいます。  地べたに這いつくばった市橋の口から、嗚咽が漏れます。 「なんで、なんで俺なんだよ……」  いわく、あの程度のゴミどもに何もかも潰されたことが許せないそうです。あいつらがのうのうと生きていくのを考えたら、心臓がきゅーってなって死にたくなると、涙、涙で訴えるのです。  蓮子はそんな市橋に、ある提案をしました。 「一緒にトビオ、捜さない? あんたは殺すため、あたしは告るため。あたし、トビオのこと好きみたいだからさ」  永野芽郁ちゃんにそんなことを言われたら、それこそもう死んでもいいくらい幸せなはずですが、もちろんトビオにその言葉は届きません。「完全に殺人犯じゃん、俺」と、再び罪悪感に苛まれることになったトビオはビルの隙間で廃棄のドーナツをかじったり、「ヤング」と名乗ったヤングなホームレス(桐山漣)と仲良くなったり、あまりに頼りになるヤングさんを「ニューパイセン」として崇めることにしたり、要するにもうドン底となっていました。  一方そのころマルは、トビオの300万円を持ち逃げして計600万円の逃亡資金を懐に、どこに身を隠しているかと思ったら、熱海の高級クラブで豪遊中。うららちゃんというホステス(おのののか)に入れあげ、ピンドン入れまくりで、あっという間に全額溶かしてしまいました。  うららちゃんは言います。 「うち、マルくんのこと大好きやで。せやけど、お金がないと、もう会われへんやん」  要するに店外で会う意思など一切ないという宣言なのですが、マルは理解しません。そういえば、伊佐美はまだ300万円持っているはずです。次はあいつから盗めばいいや、と心に決めたようです。  取り調べを受けているパイセンは、弁護士に「自白しなければ大丈夫」と言われたこともあって、RG的な「犯罪者あるある」を言いたがってみたりしていましたが、証拠の動画を見せられて完落ち寸前。ところが、そこらへんの交番に「真犯人」を名乗る男が出頭してきたことで、事態は大きく動くことになりそうです。というところまでが、クロスカッティングを多用しながらテンポよく描かれました。 ■あと、尻。  あと、実はゲイだったヤングさんにトビオが尻を剥かれるというサービスカットもありましたよ。  さて、前回のレビューでは、原作にあった苛烈な罪悪感についてのお話をやめて「真犯人は誰だ!」的なポップでテレビ向きのミステリーに傾いていくのかなと書いたんですが、熊野への疑いはあっさり晴れてしまいました。  今のところ熊野の登場は単なる尺の引き伸ばし以上の役割を果たしていませんが、この作品って面白みの部分がかなり原作に頼り切った形で、改変した部分があまり上手くいっていないような気がするので、けっこう先行きが心配になる回でした。  俳優部がハマっている分、原作と切り離して見るのは難しいので、あんまりプロットの正確性とか辻褄とかは厳密に求めず、シーンの楽しさとテンポのよさを楽しむのがよいかもしれません。うーん、マルがこの時点で風俗で童貞を捨ててるかどうかって、後半に向けてけっこう重要なポイントだと思うんですけど、どうするんだろうか。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

11.1%で2ケタキープの『過保護のカホコ』“ブチ切れ”時任三郎に見た「本当の意味でホラー」

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 遊川和彦脚本の『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第4話まできました。視聴率は11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや落としたものの2ケタキープです。この出来で、なんで落ちるかね~、と思うくらい面白いのだけど。 (前回までのレビューはこちらから)  さて、今回は時任三郎演じるパパのお話なので、パパ目線で振り返ってみます。  前回、初めて人に恋をして、その相手をママ(黒木瞳)にボロクソにけなされてブチ切れちゃった愛娘のカホコ(高畑充希)。見たこともない顔で「これ以上、カホコの邪魔しないで!」と絶叫すると、家を飛び出して行ってしまいました。  数時間後、マンションの下に降りてみると、エントランスのところにママがいました。どうやらカホコを探しに出たようですが、「ゴミ捨てに出た」とか言って、部屋に戻ってしまいます。見ると、汗だくのカホコがそこに佇んでいました。  とりあえず家に連れ帰って寝かしつけましたが、翌朝から我が家では前代未聞の冷戦が始まります。なんと、朝なのにママがカホコを起こしません。ママはいつも通りカホコの服を選んであげますが、あろうことかカホコは、好きになった麦野くん(竹内涼真)のために買った緑のワンピースを着て起きてきます。ママは朝ごはんこそ作ってあげてるし、カホコもそれを食べてはいるけど、お互いパパを通してしか会話をしません。いつも通りママは駅までカホコとパパを車で送ってくれるものの、車内の雰囲気は最悪。 「ママがいっくら反対しても、絶対カホコ付き合うからね、麦野くんと!」  駅に着くと、カホコはそう言い残して車を降ります。もう耐えられない。  その夜の帰路、マンションに続く石段に、カホコの姿を見つけました。カホコはまるで、魂が抜けたように視線が定まらず、フラッフラです。  家に着くと、ママの機嫌も直っていません。それでもカホコの大好物であるオムライスを作って待っていますが、カホコは「ママに言っといて、ご飯いらないって」と言い残して部屋にこもってしまいます。その前に、もう一言ありました。 「ついでに言っといて、カホコ、フラれたから安心してって」  どうやらカホコは、麦野くんにフラれたようです。カホコの部屋からは、すすり泣く声が漏れてきます。一方ママはゴキゲンな鼻歌を一節やると、顔面にパックをして寝てしまいました。  カホコの部屋に入ると、カホコは床にうずくまって、まだ泣いていました。しかし話を聞くと、フラれたショックで落ち込んでいるのではなく、フラれてショックでもう二度とご飯なんか食べたくないと思っていたのに、お腹がぺこぺこになってしまったことが悲しいのだそうです。ママにバレないようにコンビニでオムライスなどを買ってきて食べさせます。そのゴミを捨てようとしているところをママに見つかりますが、特に咎められることはありませんでした。しかし、ママはこんなことを言うのです。 「過保護なんだから、パパは」  こういうとき、パパはパウエル長官の言葉を思い出すのでした。 「大事なのはいつも冷静でいることと親切でいることだ」  冷戦が続く日曜日。部屋にこもりきりのカホコを、ママの実家に連れて行くことにしました。何しろママの方のじいじとばあばは、無条件にカホコを「かわいいかわいい」と肯定してくれる貴重な存在。カホコもそれを自覚していて、ネットで調べた失恋からの立ち直り方に「自分を肯定してくれる人と会って、自信を取り戻す」とも書いてあったので、着いて行くことにします。  しかし、ばあばがなんだか元気がありません。じいじが呼んだママの妹夫婦2組も、ちょっと雰囲気が悪いです。せっかくカホコを元気づけようと思って連れてきたのに……と思っていたら、カホコが「ビールを飲んでみたい」と言い出しました。一杯だけのつもりが、パパも含めてみなさんいろいろ溜まっていたようで、全員泥酔してしまいました。勢い、カホコは酔っ払ったままじいじの家を飛び出していきます。追いかけようにも、カホコは脚が速い!  その晩、カホコは酔いつぶれたまま、麦野くんに背負われて帰宅しました。何があったかわかりませんが、カホコにはどうしても麦野くんが必要なようです。  カホコとママの冷戦だけでも耐えられないのに、パパの実家でも面倒事が。出戻りの妹・教子(濱田マリ)が300万円の借金を作っていて、もう家庭内はボロボロです。パパの中で、危機感が募ります。 「このままだと我が家も、こんなことになるぞ……」  パパ、家族のために一念発起です。恥を忍んで大学に麦野くんを訪ねます。そして、「友だちでいいから、カホコにまた会ってやってくれ」「正直言うと、妻と娘が口をきかずにこのままずっと最悪の雰囲気を続けるのが耐えられなくて」と頭を下げます。  麦野くんは、快く受け入れてくれました。やっぱり、自分は家族の大黒柱なのだ。これからは、家族でなんでもよく話し合って生きていこう。そして、家族を幸せにしてやろう。パパはそう思ったはずです。  しかし、家に帰るとママとカホコはもう仲直りしていました。2人でホームビデオを見ながら、カホコは何事もなかったかのように「ピカソの画集を一緒に買いに行ってほしい」と笑顔を見せますし、ママはママで「そのグラス使わないでって何回言えばわかるの?」とか「明日は夕飯いるの?」とか、こっちを見もしないで言い放ってきます。  ああ、パパ、キレちゃった。  思えば、そうだ。専業主婦のくせに前の日に言わなきゃ夕飯が出てこないってどういうことだ。何か買ってほしいときだけ甘えてくるこの娘はいったいなんなんだ。俺は単なるスポンサーか。なんでそんな顔してられんだ。お前たちが愛しているのは俺が稼いでくる金で、俺じゃないんだ。俺はもう嫌だ、疲れた! ■それはパパが望んでいたはずの幸せな日常  パパは、ママとカホコに仲直りしてほしいと願っていたはずでした。なのに、お望み通りに2人が仲直りしたら、キレちゃった。  ママもカホコも、別にパパの感情を逆なですることを言ったわけではありません。普通に、この家の女性が行ってきた振る舞いをしただけです。  つまり、いよいよ本音が出ちゃったわけです。  このシーンは、パパがずっと本音を言わずに生きてきたことを表現しています。本音を言わないことで保ってきた平穏な家庭、幸せな日々、変わらない日常、そういうものがカホコの初恋とママへの初謀反によって一時的に麻痺しました。パパには、その麻痺を自分の手で改善したという強烈な自負が生まれます。俺が家族を守ったのだ、と。その自負が踏みにじられたことが、許せなかったのです。  だけどママの側からすれば、パパがキレてる意味はわからないでしょう。そんなのは、専業主婦として、これまでずっと自分が当たり前にやってきたことだからです。平穏な家庭、幸せな日々、変わらない日常が、ママのたゆまぬ努力によって守られていたことに、パパは気づいていません。だからパパは2人のケンカが「耐えられない」し、ママは「別に平気」なのです。  遊川さんの脚本は、カホコとママの断絶を「本当の破綻」にならないように丁寧に描きました。ご飯も作るし、駅までも送る。カホコの留守には、あの緑のワンピースにだってアイロンをかけてあげる。今回描かれた母娘ケンカの顛末は、もっとも2人の関係が悪化している時点でさえ、一般的に見れば極めて良好で、幸せな家庭環境です。むしろ、一時的にママの過保護が止んで、「ごく一般的な仲良し中流家庭(たまにケンカもするし)」くらいのところに、注意深く着地させているように見えます。  パパは、そんな普通の状態を「耐えられない」と感じて奔走し、頑張って頑張って守り切ったと思ったら、目の前には許しがたい光景が広がっていた。それまでずっと幸せだと思っていた光景が、幸せじゃなかった。これ、超怖いです。本当の意味でホラーですよ。 ■一方そのころ、カホコの初恋は  パパの見ていないところでカホコは失恋し、それでも麦野くんに「お前が必要だ」と言われて人生に意味を見出したりするという、大変正しい成長が情感たっぷり素敵な感じで描かれましたが、このくだりはホントにいいので、TVerとかで実際に見たらいいと思いますよ。来週も楽しみです。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

“巨乳エロギャル”川栄李奈が股間をぺろーん!『僕たちがやりました』原作改変の功罪は?

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関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより
 1日に放送された『僕たちがやりました』(フジテレビ系)第3話の視聴率は6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ほぼ横ばいでした。相変わらずJK今宵ちゃん(川栄李奈)が主人公・トビオ(窪田正孝)のおちんちんを「うえーい」したり、伊佐美(間宮祥太朗)がおちんちんに導かれて帰宅したりと、健全なご家族から敬遠されそうな演出てんこ盛りですが、ドラマそのものは面白いので、数字はあんまり下がらないと思います。めっちゃ上がることもないと思うけど。 (前回までのレビューはこちらから)  さて、ほんのイタズラ心で仕掛けたおもちゃの爆弾が謎の大爆発を起こして、矢波(ヤバ)高生10人を殺害してしまったトビオ、伊佐美、マル(葉山奨之)の凡下(ボケ)高2トリオ。彼らの手元には各々300万円の現金と、重すぎる罪悪感が残っています。  彼らに300万円の口止め料を渡してプーケットに高飛びしようとしていた主犯格のパイセン(今野浩喜)は、空港のロビーであえなく逮捕。一緒に行こうと思っていたトビオは、途方に暮れてしまいました。伊佐美は300万円を受け取った日に「これからは赤の他人ってことで」と言い残して姿を消してしまったし、マルも携帯を解約してしまったようで、連絡が付きません。  街中の誰もが自分を監視しているような強迫観念にかられているトビオに、非通知の着信が。受話器の向こうでは、聞き慣れたベソ泣き声が聞こえます。 「マルか?」  マルでした。マルも一緒にプーケットに行くと言っていましたが、ハナから行く気はなかったそうです。パイセンとトビオの2人が日本から消えれば、自分は自由になれる。そう思って連絡を絶ったものの、パイセンが逮捕されたニュースを見て、いてもたってもいられなくなったそうです。  トビオはマルをいつものカラオケボックスに呼び出すと、ブスかわいい金髪の女がやってきました。女装したマルでした。ひとしきり爆笑したトビオは、とりあえず2人で逃亡することを決意。死ぬまでにやりたいことを全部紙に書き出して、あみだくじで初手を決めることにしました。  美術館で壺を割る、京都で舞妓さんと野球拳……2人とも無理やりテンションを上げながら、夢を書き連ねていきます。 「オレがホントにやりたいことは、時間を巻き戻したい。そこそこ楽しかったあの時に戻ってやり直したい。それが俺のホントにやりたいことだ」  トビオの心中はそんな感じでしたが、あみだの行方は「SEX」。それはそれで、やりたいことには変わりありません。  童貞なので、どんな店に行けばSEXができるのかわからない2人。間違えてキャバクラに行ってしまいます。トビオは、こうした行為が単なる現実逃避であるという自身の姑息さにテンションが下がってきますが、お気楽なのはマルです。嬢のおっぱいを触りまくっていると、卓越したマイクパフォーマンスで店内を盛り上げていたボーイさん(とろサーモン・久保田和靖)につまみ出されてしまいました。  その後、2人でネット喫茶に入って、風俗サイトを見ながらSEX作戦を練り直しますが、トビオが寝ている隙にマルは姿を消します。テーブルの上には、ヘタクソな字で「ごめん」と書かれた万札が1枚だけ。トビオがマルに裏切られたのは、プーケットの件に続いて2回目です。まるで学習能力がありません。もう金もありません。  これ以上ないほど途方に暮れたトビオの前に現れたのは、伊佐美の彼女・今宵ちゃんでした。伊佐美とは連絡が付かないし、もう別れたつもりでいるんだそうです。今宵ちゃんは巨乳でヤリマンのくせにすごくいいやつで、トビオにシャワーを貸してくれ、バスタオルを持ってきてくれ、ついでにおちんちんをぺろーんと触ってくれました。あと、レバニラ炒めを作ってくれて、家に泊めてくれました。  夜中にふとトビオが目を覚ますと、今宵ちゃんの巨乳が目の前に。思わず手を伸ばそうとすると、巨乳も目を開けますが、そのまま「いいよ」とか言ってくれます。すわ、童貞喪失か!  と思ったら、玄関のドアが乱暴に開いて、伊佐美がなだれ込んできました。トビオには目もくれず、“元カノ”である今宵ちゃんに襲い掛かります。必死で抵抗する今宵ちゃん。トビオも、嫌がる女性に強引な行為をしようとする伊佐美に激怒しますが、いつの間にか今宵ちゃんが「さみしかった~」とか言いながら伊佐美の首に腕を回して抱きついたりしてるので、すごすごと押入れの中で時を過ごすしかありません。  伊佐美はあの日の後、街をさまよって、あちこちで吐いたりしながら、結局首を吊って自殺を図ったのだそうです。それで、ロープがほどけて気を失って、気が付いたら「生きてる!」そんで、「やりたい!」と思って、走って帰ってきて今宵ちゃんを抱いたと、そういうことのようです。  3人は、しばらく今宵ちゃんの家に住むことにしました。翌日、ニュースを見ていると、爆破事件の詳細について報道されています。どうやらトビオたちが仕掛けた爆弾がプロパンガスに引火したことは間違いないようですが、その設置場所が、なんか変です。パイセンが作った計画書では、プロパンの近くに設置する予定はありませんでした。  パイセン逮捕の決め手になったのは、目撃者である矢波高の教師(森田甘路)からの聞き取りによって描かれた似顔絵でした。あの日あの場所には、自分たちのほかに、あの教師もいたのです。そういえば、担任の菜摘ちゃん(水川あさみ)も、「なんであんな時間にいたのかしら?」と疑問を持っていたし、あの教師が自校の生徒にボコられていたことも知っています。  あいつが、爆弾をプロパンの近くに移動したのか。復讐したのか。  真犯人は、俺たちじゃない。トビオと伊佐美の顔が、みるみる罪悪感から解放されていきます。「僕たちはやってませんでした」というわけです。  しかし、そんなこと知らんのが当の矢波高生たちです。瀕死の重傷を負って車いすの市橋(新田真剣佑)らが、「逮捕される前に処刑する」と、トビオたちを追い詰めるのでした。というところで、第3話はおしまいです。 ■トビオだけが、何も自分で決めていない  さて、事件を起こした4人が最初にとった行動については、いちおうの決着を見ました。  パイセンはプーケットに高飛びしようとして失敗、逮捕され、取り調べでは意味不明な言語を発したり、何かを吟じたりしています。  マルはパイセンの誘いに乗るフリをして、パイセンとトビオの2人を国外に追い出し、身の安全を確保しようとしましたが、逃げ切れませんでした。  伊佐美は、ほかの3人と縁を切ることで生き抜こうとしましたが、それは無理でした。そして、一度死んで、生き返りました。  それぞれに事件を深刻に受け止め、もうどうにも戻れないことを悟り、「こう生きていく」あるいは「もう死ぬ」と、能動的に決めて動いている中で、主人公のトビオだけが受け身です。この期に及んで「そこそこでいい」「そこそこの人生を歩みたい」という未練が捨てられません。要するに、本気じゃないんです。どこかで、いつも「時間を戻したい」という妄想に逃げ込んで、ヘラついているんです。  で、何が言いたいかというと、何事にも本気じゃない人の芝居にリアリティを出すのって、本気の人を演じるより、ずっと難しいんだろうなということで。生き返った伊佐美の雄叫びも、怯えきったマルの泣き言も、やりきってしまえばいいわけですが、トビオという人物は、常に余白を残している。状況的にとことん追い詰められながら、余白がある人、という風にトビオが見えるので、窪田くんはすごく役に合致したお芝居をしているのだと思います。 ■ところで、原作の根底を覆す改変が行われました  第2話まで、ほぼ原作をトレースしてきた『僕たちがやりました』でしたが、小さな改変は行われていました。原作では、パイセンの似顔絵は防犯カメラから割り出されていましたが、ドラマでは、ここに目撃者の矢波高教師を配置していたのです。この意図が、この第3話で明らかになりました。  それが、この教師を“真犯人の疑いのある人物”とすることだったわけです。  これ、すごく大きな改変だと思うんです。トビオたちは原作では終始、「どう考えても僕たちがやりました」という重すぎる現実から逃れられない人物でした。他の可能性がゼロだったからこそ、激しく自責し、激しく荒れ、激しく苦しむことになった。  前回のレビューで、彼らはその苛烈な罪悪感から過剰なセックスに走ることになるが、過激なエロを出せないドラマでその心情を描き切れるのか、といったことを書きました。  今回の改変で、とりあえずですが、トビオたちは苛烈な罪悪感から解放されることになります。物語の根底にあった「枷」が外されたのです。「描き切れなそうな罪悪感をどう描くか」ではなく「あんまり描かない」という方向に舵が切られたということです。そのかわりに「真犯人を探せ!」というミステリー要素がプラスされました。  決して悪いことじゃないと思うんです。『僕たちがやりました』という原作のグロさは、トビオたちの心理描写のグロさです。追い込まれ過ぎた彼らの頭には、ちょっとこれはテレビドラマには耐えられないよなーというくらいグロい思考が次々に浮かんできます。  それをそのままやらずに、ポップな方向で「ミステリー&逃亡劇」っぽいドラマを作っていくことにしたのだとしたら、それはそれでテレビ向けに正しい改変だと思いますし、よりドラマオリジナルの展開が楽しみになりました。あと、毎度ですがパイセンラブです。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

第3話12.0%の好調『過保護のカホコ』高畑充希の“怪演”と「セーフティネット」としての竹内涼真

第3話12.0%の好調『過保護のカホコ』高畑充希の怪演と「セーフティネット」としての竹内涼真の画像1
日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 現実では、あんまり子育てが上手くいかなかったっぽい三田佳子お婆ちゃんの娘役が、これまた現実では子育てでいろいろあったっぽい黒木瞳ママ。で、その黒木瞳が演じる母親・泉によって過保護に過保護に育てられた結果、なんだかぽやーんとした娘に育ってしまったカホコ(高畑充希)の成長を描く遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第3話。視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、過去最高を記録しました。  前回、神経の病気でチェリストの夢破れた従妹の糸ちゃん(久保田紗友)に、よかれと思って余計なおせっかい発言を連発し、ブチ切れられてしまったカホコ。生まれて初めて真正面から嫌悪の感情をぶつけられて、大変ショックを受けてしまいました。これまでは何かあればいつだって泉ママに相談していましたが、今回の件はママに言うと、ママと糸ちゃんママの節ちゃん(西尾まり)との関係が悪くなりそうなので、相談できません。  そんなカホコを救ってくれたのが、同じ大学に通う画家志望の麦野くん(竹内涼真)です。話を聞いてくれて、「思い切り泣け」「ママに言えないことはなんでも相談しろ」と言ってくれた麦野くん。泣き疲れて眠ってしまった自分を、二度も家まで背負って届けてくれた麦野くん。カホコはその夜、麦野くんの夢を見ました。夢の中でカホコは、麦野くんにキスを求めていました。現実のカホコは恋もキスもしたことがありません。  目覚めても、麦野くんのことを考えると胸がドキドキします。カホコが、これが初恋なのだと知るのに時間はかかりませんでした。  しかし、ママはカホコと麦野くんが会うことすら許してくれません。なぜなら、あの年頃の男の子はみんなオオカミだから、何かあったあとじゃ遅いからだと言います。ママは、カホコが恋愛することは別にいいと思っているし、カホコが選ぶ男の人なら誰でもOKだと言います。ただし、長男と一人っ子はNGで、お金はあったほうがいいけど社長は何があるかわからないからNGで、容姿は人並みであればいいけど下品なのはNGで、優しくて頭がよくてママのことも大事にしてくれる人がよくて、遠くに住んでいる人もNGなんだそうです。で、カホコにはママがいい相手を見つけてくれるんだそうです。まるで、麦野くんには当てはまりません。  一方、カホコが恋をしてしまった麦野くんのタイプは、清楚で頭がよくて、サバサバしていて、そこはかとないエロさがあって、夢とかやりたいことをちゃんと持っている女の子だそうです。これはカホコが直接麦野くんから聞き出した情報ですが、まるでカホコには当てはまりません。麦野くんはカホコに好きな人ができたことは察しますが、まさかそれが自分だとは思っていません。  そんな折、カホコは糸ちゃんママに「糸のお見舞いに行ってあげて」と頼まれます。つい先日ブチ切れられたばかりなので、超行きづらい。カホコは麦野くんに、代わりに行ってもらうことにしました。  夢を追う画家志望の麦野くんと、夢に破れたばかりの糸ちゃん。2人は芯の部分で共鳴したのでしょう、すっかり意気投合してしまいました。しかも、糸ちゃんは麦野くんのタイプにピンズドです。麦野くんはカホコの気持ちも知らず、「ぼやぼやしてると、(好きな男を)ほかの女に獲られちゃうよ」とか言ってきます。  ネットで「片想いの人に告白する方法」も調べました。パパに頼んで、素敵なワンピースも買ってもらいました。しかし、ママに接見禁止令を出された後も麦野くんとコソコソ会っていたことがバレてしまいました。 「今まではそんなことなかったじゃない」 「ママは一番傷ついたの、カホコに裏切られたみたいで」  ママは完全に被害者みたいな振る舞いです。今までだってカホコの言うことをちゃんと聞いてくれたことなんてなかった。今だって「世の中で一番関わっちゃいけないのは役者とミュージシャンと画家の卵なの」とかワケのわからない理由で麦野くんを罵倒してる。麦野くんのこと、なんにも知らないくせに……。 「あたし、こんなの初めて……」  カホコの瞳に火が灯ります。今日までカホコがママの言うとおり生きてきたのは、ママと思っていることが同じだからでした。初めて、ママが自分の気持ちと違うことを言っている。その事実がカホコを興奮させているようです。 「麦野くんの悪口はやめてくれないかな」 「ママが何言おうと、カホコは麦野くんと会いたいから、会うから」  ママが「ちょっとカホコ……」と口を挟もうとすると、カホコの興奮は頂点に達します。 「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ! うるさいうるさいうるさい! もうこれ以上カホコの邪魔しないで!」  カホコはそのテンションのまま家を飛び出し、いつもは電車で通っている大学まで疾走。いつものようにアトリエにこもっている麦野くんに「ハジメくん!」と駆け寄ります。ちなみにカホコが麦野くんを「ハジメくん」と呼ぶのは、告白するときは下の名前で呼んだ方がいいとネットに書いてあったからです。  勢いでそのまま「カホコが好きなのはハジメくんなの!」と言い切ってしまい、「あああああああああああ」となって、カホコは家まで逃げ帰ったのでした。 ■高畑充希の“怪演”と、がっつり噛み合う竹内涼真が尊い  このドラマの主人公であるカホコは、純粋無垢なぶっ飛びトリックスターとして登場しました。いわば、自我がゼロの状態からさまざまな事態にリアクションを取っていくことで、人物を変化させていくわけです。そうした特異な人物に実存感を与えている高畑充希の怪演には、毎回目を瞠ります。  パソコンで「告白の方法」を調べているときにパパが部屋に入ってくる。あるいは、秘密のワンピースを着てみているときにママが部屋に入ってくる。そのときに慌てふためいたカホコが出した奇声は、あれは脚本で書ける言葉ではないですもんね。でも、カホコならあんな感じだろうなって、自然と受け取れますもんね。  一方で竹内涼真が演じる麦野くんは、母・泉の“王国”の外にいる、ほとんど唯一の人物として登場します。つまり、カホコと世界を結ぶ唯一の接点が彼なのです。その竹内が、常識から外れない範囲で、かつ好感度が高く、まるでリアクション芸ともいうべき芝居を披露していることが作品の“地に足が着いてる感”にすごく貢献していると思います。カホコならずとも、麦野くんに嫌悪感を抱く視聴者はほとんどいないんじゃないかと思います。  今回、黒木瞳の泉ママは、パパを落とすためのお弁当を実はお母さんに作ってもらってたことがバレてしまったり、糸ちゃんがチェロを弾けなくなって以来、なんだか張り切っていることを喝破されたり、どんどんイヤな奴になってきています。  もとよりカホコは理解不能だし、時任パパは頼りないし、この家族にはなかなか感情移入しづらい設定のドラマだと思うんですが、とりあえず麦野くんが画面に現れると、「こいつは信用できるな」という気がしてくる。安心できる。ドラマでどこまで人間を醜く描いても、こういう信用できる人がひとりいると、視聴者としても救済される感じがしてすごく見やすいんです。ひとりの役者の芝居が、作品全体のセーフティネットとして機能している。竹内涼真は今回、役割以上に大きな仕事をしているように思います。  ともあれ、かなり面白いので次回も楽しみですよ~。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

6.5%急落の『僕たちがやりました』過激なエロが描けないドラマは“罪悪感”をどう伝えるか

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関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより
 窪田正孝主演の『僕たちがやりました』(フジテレビ系)。25日に放送された第2話の視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、初回より1.4ポイントのダウンです。  けっこう面白いと思うんですが、もとより暴力とエログロが満載のコミックが原作ですし、視聴者を選ぶドラマであることは間違いないのでしょう。逆に原作に忠実であればあるほど、拒否感を示す向きも増えるのかもしれません。  第2話となった今回も、ストーリーを転がすのは20歳無職で超絶ボンボンのパイセン(今野浩喜)です。後輩の現役高校生である主人公・トビオ(窪田正孝)、マル(葉山奨之)、伊佐美(間宮祥太郎)を存分に振り回します。  前回、ちょっとしたイタズラ心で隣の不良高校に小型爆弾を仕掛け、窓ガラスが割れる様子をゲラゲラ笑いながら眺めていた4人ですが、なぜか大爆発が起こってしまいました。  そんなにでかい爆弾を作ったわけじゃないし、理由はわかりませんが、とにかくやっちまったようです。どう考えても、4人が用意した爆弾が原因です。しかし、パイセンはとっさの機転で「テロや! テロリストが来たんや!」と断言。とりあえずそう思い込むことにしたようです。  この事件で、その日のうちに6人が死亡。その後、死者はどんどん増えて10人にまで膨れ上がりました。  そんなニュースが流れる中、4人が何をしていたかというと、パイセンの仕業だろうと気付いているトビオは、以前から約束していた幼なじみのJK蓮子ちゃん(永野芽郁)とカラオケで楽しいひと時を過ごすも、家に帰ればやっぱりガクガクブルブル。伊佐美は巨乳彼女の今宵ちゃん(川栄李奈)をやおら押し倒したりしています。いつの間にかテロリストの仕業だと信じ切ってしまったマルは、自分をボコったヤツが死んだことを知ってニヤリと不気味な笑みを浮かべ、パイセンはタワマンの最上階の自室でひとり、ビッグストリームそうめんスライダーを楽しんでいます。似合うなぁ、ビッグストリームそうめんスライダー。  トビオと伊佐美は、これがテロリストの仕業ではなく、「僕たちがやりました」状態であることを確信しています。パイセンにそれを告げると、パイセンはトビオたち3人に300万円ずつの口止め料を渡そうとします。  まず伊佐美が300万円に手を伸ばし「今後、お前らとは赤の他人ってことで」と言い残して部屋を去っていきます。マルとトビオも受け取りますが、2人はこれで全部なかったことにして、今後も友人として「そこそこ楽しい」人生を送っていくことを誓い合いました。これにて、一件落着。  と思ったら、テレビのニュースで爆破事件の容疑者の似顔絵が公開されました。どう見てもパイセンです。パイセンの顔面は大変独特なので、間違いようがありません。  そんなわけで、パイセンはプーケットに逃げることにしました。トビオとマルも誘われますが、マルは直前で携帯を解約してどこかへ逃亡。トビオは旅支度で空港に現れますが、目の前でパイセンが警察に身柄確保されてしまい、どうしようもなくなってしまいました。もっとどうしようもなくなったのが3人と縁を切った伊佐美で、どうやら薄暗い廃工場のような場所で首を吊ってしまったようです。  というわけで、第2話も前回同様コミックの第2巻をほぼトレースした感じでした。ところどころ小技小ネタを盛り込みつつ、罪と向き合うことから逃げようとしまくるクズどもが、テンポよく描かれました。 ■「攻めてる」どころか、すごく保守的な印象でした  第1話では思い切った暴力シーンを描き、昨今すぐに批判の的になる喫煙シーンも盛りだくさんで「攻めてる」という印象だった本作ですが、同じようにコミックのトレースに尽力した第2話は真逆で、ずいぶん保守的だなという印象でした。  今をときめく永野芽郁と川栄李奈を使ってるんで、まあしょうがないんですが、エロ描写がソフトなんですよね。  例えばプーケットに飛ぶ決心をしたトビオが蓮子に「キスしない?」と申し出てOKをもらい、キスをしてたら勢いがついて押し倒そうとしてしまうシーンがあります。ここ、コミックではすんごいネチッこく演出されてるんです。普通にキスして、蓮子のほうが先に盛り上がってきちゃって、積極的にトビオの口の中に舌を入れてきて、それでスイッチが入っちゃったトビオが押し倒すという流れでした。まあ撮れないよなぁとは思うけど、やっぱり普通にキスしているだけでは、機微の表現は薄くなります。  また、トビオよりさらに「やべーことになった」という自覚が強い伊佐美は、そのドロドロしたヤツのすべてを今宵とのセックスに注ぎ込んでいます。伊佐美のセックスの激しさ、露骨な情感の発露は完全に現実逃避であって、追い詰められた伊佐美の心情を表現するためには不可欠なんですが、まあ撮れないですよねぇ。川栄相手には。  暴力シーンは相変わらず『アウトレイジ』ばりの激しさなので、セックスがソフトだとすごくアンバランスに見えてしまう。  で、映像化にあたってソフトにしか描けないエロの代替要素として、彼らの心情を表現するなんらかの演出があれば、見ているほうもお腹いっぱいになれるんですが、何もないのでただ減点されただけに見えるし、「できる範囲でトレースしました」というだけの保守的なドラマに見えてくる。  9時台で『僕たちがやりました』をドラマ化するというだけで大したチャレンジだとは思うし、全体的には出来もいいんですが、この作品で描かれるセックスって、ほとんどは罪悪感に裏打ちされた行為として登場するんですよね。普通じゃないセックスをしている、ということに意味が込められている。ここが弱いと、だいぶ興が削がれるよなぁと心配になる次第でした。今後、強烈なセックスシーンに代わるテレビドラマなりのやり方で、彼らの追い詰められた心情が表現されることを期待します。  あと、今週もパイセンは最高でした。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

10.8%で2ケタキープ『過保護のカホコ』が描く「よかれと思って」という気持ちの“暴力性”

10.8%で2ケタキープ『過保護のカホコ』が描く「よかれと思って」という気持ちの暴力性の画像1
日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第2話。視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、初回から0.8ポイント下げたものの2ケタキープです。  第2話は、「アレ?」と思うようなナレーションから始まりました。 「小さな王国に棲んでいるお姫様が、このお話の主人公だ」  声の主は主人公・カホコの父親である正高(時任三郎)。GoogleMapsのキャプチャ画面にCGで描きこまれているのは、歪んだハート型に囲われたエリア。このエリアの外に出てしまうと、すっかり人が変わったようにおとなしくなってしまうので、この内側が“王国”というわけです。  しかし、このエリアから外に出ると人が変わってしまうのはカホコではなく、カホコに異常な愛情を注ぐ過保護な母親・泉(黒木瞳)です。父・正高が「女王様」と呼ぶ泉は、確かにエリア内では生き生きと自己主張を繰り広げますが、一歩外に出ると夫の実家であってもしおらしくなってしまい、相手が聞き取れないような小声でしか話さなくなります。一方の「お姫様」カホコは、エリア外の大学に通っていますし、家にいても外に出ても、同じように「ぽや~ん」としているだけ。とりたてて変化はありません。  なので、このナレーションを聞いたとき、「アレ? 主人公って、母親の泉だったっけ?」と、ちょっと思ってしまったんです。メーンビジュアルはカホコですし、タイトルも『過保護のカホコ』なのでそんなわけないんですけど、第2話はちょっと誤読したまま、母・泉の視点からストーリーを振り返ってみます。  さて、今日も今日とてカホコはひとりじゃ朝も起きられません。泉は目覚まし時計の鳴り響く娘の部屋に乗り込んでむずがる我が子(22)を叩き起こし、大学に着ていく服を選んであげて、車で駅まで送っていきます。いつもの日常です。  娘は就活もうまくいってないし、もう花嫁修業をして専業主婦になればいい。泉はそう考えています。家庭を支えるのだって、立派な仕事だし。  しかし娘は「それじゃダメだって同級生の麦野くん(竹内涼真)が言ってる」などと、意味のわからないことを言い出します。娘によれば麦野くんに「社会に出て働くのが怖いんだよ、違うか?」と言われたそうです。  そんなの、違います。だいたい娘は昨夜、遅く帰ってきたと思ったら「人を幸せにする仕事がしたい」とか言い出しましたが、そんな仕事、どうやって探すつもりなのか。「何かある気がする」とか言ってるけど、なんなのか。専業主婦でいいじゃないか。それでも「パパの会社に見学に行きたい」と言い張るので、まあ、とりあえず連れて行くことにしました。あと、2人の妹の旦那さんがお巡りさんと看護師なので、そっちにも連れて行くことにします。  娘は、パパの保険の仕事には興味がなさそう。お巡りさんと看護師の2人の親戚は、ともに「この仕事は娘には向いてない」と言います。やっぱり専業主婦がいいんじゃないのか。  パパの実家にも娘を連れて行きます。パパの実家はエリア外ですし苦手ですが、ひとりで行かせるのも変なので一緒に行きます。お婆ちゃん(パパのママ)は、こともあろうか「専業主婦だけはやめたほうがいい」などと言い出しました。エリア外なので泉はろくに反論もできませんが、何を言い出すのかこのババアは、と思っています。ババアの家に問題があるだけで、うちみたいな幸せな家庭だったら専業主婦がいちばんなのに。  翌日、大学から帰ってきた娘は、『13歳のハローワーク』を読みふけっています。本屋にも滅多に行かない娘なのに、珍しいこともあるものです。娘はページをめくりながら「ケーキ屋」「保母」「宇宙飛行士」「フラワーアレンジメント」「教師」「大工」「僧侶」など、さまざまな候補を挙げて意見を求めてきますが、どれもこれも娘に向いているとは思えません。向いていない理由を教えてあげると、娘はいい子なので納得してくれます。本当にいい子です。  次の日曜、親戚の女子高生・糸ちゃん(久保田紗友)が出場するチェロのコンクールが開かれました。もちろん、親戚一同仲良しなので、みんなで応援に駆けつけました。といっても、パパの実家のほうには声もかけてません。苦手だし、エリア外の人間だし。当然です。  一同、糸ちゃんの優勝を信じて疑いません。娘のカホコだけトイレを我慢しているのか終始モジモジしていますが、まあ糸ちゃんならやってくれるでしょう。  演奏が始まります。最初はよかったのですが、急に音が歪んだと思ったら、糸ちゃんが弓を落として手首を押えています。チェロも倒れてしまいました。なんということでしょう。演奏は中断。もちろん、優勝もできませんでした。娘はまだモジモジしています。トイレに行きたきゃ行けばいいのに。  病院での診断によれば、糸ちゃんは神経障害を患っていて、もうチェロは弾けないのだそうです。幸い、日常生活に支障はないものの、ずいぶん前から痛みがあって隠していたのだと。糸ちゃんパパ(夙川アトム)は、「気付いてやれなかった自分が悪い」と落ち込んでしまいます。糸ちゃんは安定剤を飲んで寝ているそうです。明日、詳しい検査があって、しばらく入院になると。  それにしても、この親戚一同の落ち込みっぷりはなんなのか。落ち込んでいる場合じゃないだろう。この人たちは、ホントに私がいないと何もできないのだ。こんなときこそみんなで力を合わせて、糸ちゃんのためにできることをしてやらなきゃいけないのに。  泉はひとりひとりに「糸ちゃんを元気づけてやる計画」の指示を与え、明日もう一度集まって、全員で糸ちゃんを見舞う段取りをつけます。泉が仕切らないと誰も動かないので、もう仕切る仕切る。泉のママ(三田佳子)が「しばらくそっとしてあげておいたほうが、いいんじゃないの? 糸もショックで、誰とも会いたくないかもしれないし」などとアホみたいなことを口走りますが、家族が困ってるのにほっとけというのでしょうか。こんなときこそ、なんでもしてあげるのが家族なのです。 ■というのが、このドラマで描かれている泉の考え方です。  あー、書いてて気持ち悪くなってきた。  要するに自分の行動の正しさに対する盲信。「よかれと思って」という気持ちの独善性。そういうものを、遊川は嫌というほど泉に背負わせることにしたようです。  そういう泉が大切に大切に育ててきたカホコは、実は糸ちゃんの手首のことを知っていました。モジモジしていたのは、トイレに行きたいのではなく、「手首のことをみんなに言わなくていいのかな、糸ちゃんは演奏大丈夫なのかな」という心配のそぶりだったのです。  カホコも、糸ちゃんのためにできることを考えます。麦野くんは画家志望だし、同じ芸術家として、糸ちゃんに言えることがあるんじゃないかとカホコは考えています。しかし麦野くんは、「夢破れたばかりの者は慰められてもムカつくだけなので、向こうが必要とするまでほっといたほうがいい」と言います。泉とは、まるで真逆のことを言うので、カホコは混乱します。  それでも必死に考えて、でも、ママに頼らずひとりでできることなんてほとんどなくて、結果、麦野くんと2人で千羽鶴を折ることに。麦野くんは優しいので、貯金を下ろして5万円のバイト代を支払うと、半分の500羽を折ってくれました。  というわけで、糸ちゃんのお見舞いに。麦野くんから「余計なこと言うなよ」と釘を刺されたカホコは、お花と千羽鶴だけ置いて帰ろうとしますが、糸ちゃんに「もう帰るの? (手首のこと)黙っててって言ったの、気にしないでね」と気を使われ、さらに「もう弾けないなんて笑っちゃう、ほかに何しろって言うんだよって感じ」などと悲しい笑顔を見せられてしまっては、どうにもたまりません。  堰を切ったように、糸ちゃんを励まし出すカホコ。「片手で弾けるピアノもある」「歌を歌うこともできる」などと人生を賭けてきた夢が破れたばかりの糸ちゃんの神経を逆なですると、ネットで探してきたジャッキー・ロビンソン(黒人初のMLBプレーヤー)の「不可能の反対は可能ではない、挑戦だ」という名言を披露。さらに「糸ちゃんは絶対に大丈夫」「大人だし強いし奇跡を起こせる」などとのたまいます。  はい、糸ちゃんブチ切れ。  主に「親戚全員嫌い」「特に、何もできないのにカワイイカワイイ言われてるカホコが嫌い」といったメッセージを、ありったけの罵詈雑言を用いて送出しました。病室を貫く果てしない叫び。カホコは生まれて初めて自分に向けられた“嫌悪の感情”というものに、もう耳をふさぐしかありませんでした。麦野くんのアトリエで見たムンクの「叫び」のように、もう耳をふさぐしかありませんでした。  ママに相談したら、ママはきっと糸ちゃんママ(ママの妹)を責めるでしょう。誰にも相談できないカホコの頭にまた、あの糸ちゃんの叫びが蘇ります。  そんなとき、助けてくれるのはやっぱりヒーロー麦野くん。心配してマンションの下まで来てくれた麦野くんと、神社で向き合います。 「どんな人間にも、裏表や二面性がある」  カホコは麦野くんの胸を借りて、思いっきり泣くのでした。 ■母・泉の人生の“副産物”としての娘・カホコ  今回、もちろんカホコに悪意があったわけではありません。単純に、母の信念である「なんとかしてやるのが家族」という哲学と、徹底的な過保護によって育まれた性根の良さが表れてしまっただけでした。  前回のティッシュ配りやピザ配達といった労働体験では良い方向に現れたカホコの性根の良さが、まるまる逆の効果を生んでしまった。そして、交通事故みたいに糸ちゃんの逆鱗に触れてしまった。  だから糸ちゃんの「叫び」は、本当はカホコに向けられたものではありません。それは親戚一同の思想的な旗手である泉の哲学に向けて放たれたものであり、その思想哲学をもっとも強く受け継いで育ったカホコは、人の心について無知なまま大人になってしまった「過保護の犠牲者」として描かれました。ひとつの人格ではなく、まるで母の人生の副産物であるかのような、残酷な描写です。カホコの純粋な、とても純粋な「よかれと思って」が、結果として糸ちゃんにとっては極めて強烈な暴力になってしまった。  冒頭で記したGoogleMapsに描かれた「歪んだハート」型のエリア。このエリアの中でだけ発揮される、母・泉の歪んだ愛情。  正直、第2話の段階でここまで泉の過保護の弊害をストレートに描いてくると思わなかったので、驚きました。何しろ、この作品は展開が速い。あと10話近く残っている中で、泉の善意はどんどん嫌われていって、ズタボロにされていくことでしょう。黒木瞳にとっては、なかなかタフな役回りですが、そのへんは遊川さんとの信頼関係もあるんでしょうね。このドラマは面白いです。はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

7.9%スタートの窪田正孝主演『僕たちがやりました』9時台で「不快な人間を見せる」という試みは成功するか

7.9%スタートの窪田正孝主演『僕たちがやりました』9時台で「不快な人間を見せる」という試みは成功するかの画像1
関西テレビ『僕たちがやりました』番組公式サイトより
 エログロ、陰惨、登場人物はクズだらけ……でも、ちょっと爽快な原作コミックを映像化したカンテレ制作の「火9」ドラマ『僕たちがやりました』も、18日からスタート。第1話の視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ややコケな数字でした。9時台としては、最近では珍しいくらいの不快な暴力描写なんかもあって、途中離脱した視聴者も少なくなかったと想像します。不良高校生・市橋(新田真剣佑)の喫煙シーンなんて、例の「BPナントカO」あたりに「けしからん!」的な御意見が殺到しそうです。  物語の主人公は「人生そこそこでいい」と考え、特にやりたいことも夢もない凡下(ボケ)高校の2年生・トビオ(窪田正孝)。彼女もいないし童貞ですが、とりあえずエロDVDを見て、毎日そこそこ楽しく生きているようです。そんなトビオといつも一緒に遊んでいるのが、ヤリチンモテ男の伊佐美(間宮祥太朗)と、キノコ頭のヒヨワ男子・マル(葉山奨之)という2人の同級生。そして、この3人の高校生活を「そこそこ楽しい」たらしめているのが、すでに凡下高を卒業しているのに、3人が所属するフットサル部(主に部室でエロDVDを見るなどの活動をしている)の部室に入り浸っているパイセン(今野浩喜)です。  パイセンは20歳ですが、働いていません。親が大金持ちらしく、真っ白な高級BMWで凡下高に通っては、後輩3人と連れ立って「トランプしようや!」「金ならあるんや!」「カラオケや!」「ボウリングや!」と、楽しくやっています。ほかにこの男を相手にしてくれる友達もいませんし、3人もパイセンの金が好きなだけで、パイセン本人が好きなわけじゃないようです。パイセンはそんな3人の気持ちも薄々わかっていますが、ほかにやることがないのでしょう、毎日彼らを誘っては、湯水のようにお金を使ってスポッチャに通っています。  ところで、凡下高から道路を挟んで向かい側には、矢波(ヤバ)高校という、いかにもヤバイ高校があります。その中でも、とりわけヤバイのが冒頭で記した市橋という生徒が仕切っているグループ。たまり場にしている倉庫を「矢波高コロシアム」と名付け、そこらへんの弱っちい男子高校生を拉致してきては、素手で殺し合わせるというヤバさです。  ある日、凡下高の3人とパイセンは、いつものようにスポッチャで楽しく遊んでいました。すると、トイレに立ったキノコ頭のマルが、市橋一派に拉致されてしまいます。コロシアムには、すでに、ひと目でそれとわかるマルの対戦相手が用意されていました。その名も、ウンコ(加藤諒)。キノコとウンコは、殺し合いを命じられます。市橋いわく「3分で決着がつかなければ、両方殺す」と。いやー、不快です。趣味が悪い。  ウンコはウンコなりの卑怯な手を使ってキノコを殺しにかかりますが、どうにもケンカ慣れしていない2人。決闘はグダグダになりつつ、キノコが馬乗りでパウンドを連打し、不器用なフロントチョークを繰り出してウンコがタップ。見事、決着が付きました。両手を上げて、雄叫びを上げるキノコ。  しかし、市橋は納得しません。「まだ死んでねえぞ」と、さらなる首絞めを要求。怖いので従うしかないキノコはウンコを失神させて完全勝利を収めると、「帰っていいぞ」という許可を得ました。しかし次の瞬間、そこらへんで懸垂運動をしていたマッチョマンが「ちょっと待った!」と登場。「初めて会ったときから殺したいって思ってました!」と熱烈な告白をして、結局マルはボコボコにされてしまいました。  マルがそんなことになっているとも知らず、ローラースケートに興じながら光GENJIの往年の名曲を熱唱したり、カラオケで郷ひろみの往年の名曲を熱唱したりしていたパイセンとトビオ、伊佐美でしたが、大満足して帰ろうとしたらBMWの前に大きな段ボール箱が置いてあります。パイセンは「サプライズか!?」と喜びますが、箱の中身はボコられたマルでした。向こうでは市橋ら、矢波高の連中がゲラゲラ笑いながらバイクで去っていきます。 「あいつら殺そう、俺たちで」  そこそこ楽しければそれでよかったトビオが、そんなことを言い出すのでした。ここまでが冒頭のネタ振り。いわゆる導入部分です。 ■28歳の窪田くんに高校生役が務まるのかという問い  放送前からあちこちで取り沙汰されていたのが、実年齢28歳の窪田正孝が高校生を演じることへの違和感でした。しかし、ここまで見た限り、印象としては全然大丈夫。もともと、いい意味で色味の薄い俳優さんでもありますし、みんなで大ハシャギしながら歌っているのが全部懐メロなこととか、そのへんが人物観をちょっと年齢高めに寄せている感じになっていて、それにマッチしているのかもしれません。  そして何より、窪田くんより10コ年上の実年齢38歳なのに、20歳のパイセンを演じている今野浩喜が横にいるので、細かいことはどうでもよくなってしまいます。何しろ、この今野がピンズドなんです。ダミ声なのに聞きやすい独特の声で発せられる胡散臭い関西弁も、やけに上手いタンバリンさばきも(練習したそうです=記事参照)、ハシャいでいるのにどこか寂しげで、他に類を見ない独特な造形の顔面も、まるでコミックからそのまま立ち上がってきたようなパイセンそのもの。実に信用できる配置です。  というか、この『僕たちがやりました』という物語で、もっとも深く背景を掘り下げられる人物は、原作通りなら、実はパイセンなのです。パイセンの金によって目的のないモラトリアムを楽しく過ごしていた高校生3人が、パイセンのチョンボによって“逃亡犯”に仕立て上げられる。逃亡中もパイセンの金に振り回され、パイセンの心情や行動や環境に影響を受けながら、生き方を模索する話。つまり、パイセンというキャラクター造形の成否が、このドラマの核になる部分だったわけです。 「だったわけです」と過去形で書いたのは、とりあえず成功していると思ったからです。展開が、というか、原作の改変がどう転んでも、このパイセンだけ愛でていればドラマを完走することができそうです。後輩芸人のネタである「ダンソン!」とか「空前絶後のー!」とかを全力で演じちゃう今野パイセン。「塀を乗り越えて高校に侵入する」という、何か遠い記憶が甦りそうなシーンを嬉々として演じる今野パイセン。かわいいよパイセン。 ■第1話は、きっちりコミック第1巻まで 「あいつら殺そう、俺たちで」  そう決意したトビオたちでしたが、もちろん、本当に殺すことなんてできません。パイセンの金にモノをいわせて、ちょっとガラスが割れる程度の簡易爆弾を作って、夜中に矢波高に忍び込むことにしました。  馬など、思い思いの動物マスクをかぶって、そこらじゅうに爆弾を仕掛けます。起爆スイッチは、リモコン操作で。翌日の昼休みに、凡下高の屋上でポチポチしながらビビる矢波高生を眺めようという算段です。仕掛けている途中で不用意にマスクを外したパイセンが矢波高の宿直さんとトビオの担任・菜摘ちゃん(水川あさみ)に目撃されますが、あんまり気にしてません。  そしていよいよ祭りの当日。起爆スイッチを押す順番は、ボコられたマルからです。続いてトビオ、もちろん伊佐美も、パイセンも。  ポチ、パリーン。ポチ、パリーン。  スイッチを押すたびに、矢波高の窓ガラスが割れます。矢波高生たちは、「狙撃されてる!」とビビりまくり。トビオたちは大喜びです。 「人がゴミのようだー!」「バルス! バルス! バルス!」  調子に乗りまくったパイセンが「どうも、あご乗せ太郎です」などと意味不明な自己紹介をしながら、あごでスイッチを押すと、なぜか矢波高は空爆に遭ったように激しく爆発し、大炎上。こんな強力な爆弾作ってないし、作れるわけもないのに……。  憎き市橋は倒れて動きません。何人もの不良たちが火だるまになっています。トビオの「俺の人生、そこそこでよかったんですけど……」というモノローグで、第1話はここまで。きっちりコミック1巻分を忠実に再現した感じです。ドラマオリジナルキャラである菜摘ちゃん先生がパイセンたちを目撃していたことで、ちょっと原作から展開が変わってくるのかもしれません。  第1話ではあんまり目立ちませんでしたが、物語にヒロインは2人。伊佐美の彼女でヤリマン巨乳の女子高生は川栄李奈がおっぱいに夢をいっぱい詰めて演じ、トビオの幼なじみには永野芽郁がブッキングされました。原作のエロシーンを、9時台でどれくらい再現してくるのかにも期待したいところです。特に川栄が演じる今宵ちゃん! 頼むよ! ■「不快な人間を見せる」という試みは成功するのか  公式ホームページに「ハチャメチャな若者エンターテインメントに見えるが、(原作漫画を)読み進めていくと人間の業が見えてくる。ドラマは結果的に人間のどうしようもなさ、心の中をのぞいているみたい。一皮めくると見えてくる、人間の本質的な部分を、若者たちが演じることでむき出しになる」というプロデューサー・米田孝氏のコメントがありました。  このレビューの冒頭で、エログロや陰惨な暴力描写を、最近では珍しいくらい不快に描いていると書きましたが、この原作でもっとも不快なのは、何しろトビオたち4人の身勝手な行動原理です。  彼らは「そこそこでいい」とは思っていても「そこそこの人生がいい」と積極的に願っていたわけではありません。要するに、何も考えていませんでした。そうした彼らが事件を経てみると、もう自分の保身しか考えられず、平気で誰かを裏切り、結論を先送りにし、欲望の赴くままに女を抱きます。自分たちのせいで何人も人が死んでいるのに、です。  9時台で、そうした4人の若者たちの不快な身勝手さをどれくらい再現してくるのか、そして、それが確かな意思と技術でもって再現されて「むき出し」になったとき、どれくらい視聴者に受け入れられるのか。  この国の何人の若者を、途中で脱落させずに物語の結末まで導いていくことができるのか。『僕たちがやりました』が、昨今、日増しに浄化されていくテレビ画面を汚してまで伝えたいと願っているメッセージは、誰に届くのか。米田氏のいう「エンターテインメント」の力が試されることになりそうです。あと、劇伴がいちいちカッコよくていいなと思いました。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。  物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。  そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。  一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい  ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。  今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。  こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。  そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図  そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。  ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。  無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」  ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」  世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。  だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。  子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。  過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。  奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。  物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。  そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。  一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい  ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。  今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。  こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。  そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図  そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。  ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。  無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」  ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」  世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。  だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。  子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。  過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。  奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)