マニアックすぎ!! ネタの「狭さ」で勝負をかけるNHK『球辞苑』とフジ『スポーツの神様たち』

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NHK-BS『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』
 年末年始はスポーツ系特番も花盛り。12月5日放送のテレビ朝日系『中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!』を皮切りに、ここから怒濤のようにアスリートを「ネタ」にした特番でにぎわうはずだ。  プロ野球やJリーグが束の間のオフシーズンを迎える今、アスリートの素顔に迫るコンテンツは、それはそれで価値がある。ただ、年末特番という性質上、ターゲットを広く構える必要があるため、どうしたって薄くてぬるくて物足りない企画に陥りがちだ。  冒頭で挙げた『中居正広のスポーツ!』にしても、その内容に「スクープ」と呼べるようなネタは(当たり前だが)なく、むしろ、TBSの『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』と『壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち』の二番煎じ的な話題も多かった。個々のキャラクターでの面白さや発見はあっても、見終わった後に何か心に残るものはほとんどない。  そんな低温調理が並ぶスポーツ特番をあざ笑うかのように、レギュラー番組で圧倒的な熱量を誇るスポーツ番組がある。NHK-BS『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』(毎週土曜23時~)だ。  究極の野球辞典「球辞苑」の編さんを目的に、野球界で話題となったキーワードを、選手・研究者のVTR証言を基にスタジオトークで研究していく、というこの番組。2014年から不定期な特番として回を重ね、今年7月、第6回衛星放送協会オリジナル番組アワードで「情報番組・教養番組部門」の最優秀賞を獲得。この受賞が決め手となったのか、11月から満を持してのレギュラー昇格を果たしたのだ。野球ファンが今、最も見るべき番組が、この『球辞苑』だと思う。  ランチビュッフェのように、企画もタレントもとにかく数を並べようとする多くのスポーツ特番と違い、『球辞苑』の魅力は「一品」勝負であること。そしてその「一品」が、本来であればメニューの裏面に小さく載っているようなキーワードばかりなのがたまらない。  たとえば、レギュラー放送1回目のテーマが「クイックモーション」。MC(球辞苑編集長)のチュートリアル・徳井義実をして、「第1回にして、くっそ地味でしょ!」が第一声だった。ちなみに、先週放送の第3回テーマ「インハイ」では、「また狭いですねぇ……球種でもなく、コースに絞ってお送りするという」が第一声。自ら重箱の隅をつついていくようなこの「狭さ」こそが、『球辞苑』の肝だ。狭い分、とにかく深く深く掘り下げていく。  野球という競技は、プレーや試合の価値を「技術」「データ」「歴史」「キャラクター性」など、さまざまな側面から語り合えるのが魅力のひとつだ。そこで『球辞苑』では、「技術」については解説者と現役選手が、「データ」についてはアナリストが、「歴史」は野球ライターが、「キャラクター」は徳井とリポーターのナイツ・塙宣之が……といった具合にうまく役割分担がなされていて、にぎやかしの女性タレントなどひとりもいないが、見ていて飽きることがない。  そして、取材VTRがまた見どころばかりで、名言もよく飛び出す。稀代の名捕手・野村克也が語った「クイックモーション開発秘話」は、さながら同局の『プロジェクトX~挑戦者たち~』のようだったし、世界の盗塁王・福本豊がいたからこそクイックモーションは生まれた、として語った「ライバルこそが最大の功労者」は、さすがの野村節だ。  今後の放送予定はというと、明日12月10日が「外野手の補殺」。以降、「リード(離塁)」「ホームランキャッチ」「ファウル」「球持ち」……と渋すぎるラインナップが続く。このままブレずに続いてほしい。  この『球辞苑』同様、「狭さ」勝負を挑んでいるのがフジテレビ系『村上信五とスポーツの神様たち』だ。この秋から新企画「○○だけで30分」がスタート。「他のスポーツ番組ではぜったいに扱わないネタだけで構成。果たしてこれで30分持つのか!?」というコンセプトで、ここまで「ヒーローインタビュー」「胴上げ」「ユニフォーム」「ロッテファン」の4回を放送。ひな壇のタレントの数も少しずつ減らし、洗練度も増してきている。 『球辞苑』がどちらかといえば、データと理論、VTRが中心とすれば、『スポーツの神様たち』はパッションとエピソード重視。「ロッテファン」の回では、熱狂的ロッテファンとして知られるリットン調査団・藤原光博がプレゼンター。地上波は4年ぶりの出演だったというが、タレントありきではなく、企画ありきだからこその人選は好感が持てた。  にぎやかしばかりの特番が続いて、食傷気味になりそうな年末年始。コツコツと地道な企画を積み重ねるレギュラー番組たちの狭くて深い魅力も、ぜひとも味わってもらいたい。 (文=オグマナオト) ◆「熱血!スポーツ野郎」過去記事はこちらから◆

気配りの人、中居正広が語った「野球と自分とSMAPと」

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 SMAP・中居正広にとって激動の1年が、間もなく終わろうとしている。振り返れば今年、彼は自分の境遇が騒がれているはずなのに、周りを慮ってばかりだった。  SMAP解散騒動に揺れる中、むしろ番組では、それをネタにして場を和ませる姿を何度となく披露した。またある時は、引退危機にすら追い込まれていたベッキーのテレビ復帰を、見事にプロデュースした。先月放送された『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2016』(フジテレビ系)では、徳光和夫とみのもんたという、立教大学放送部の先輩後輩による不毛ないざこざを軽快にいなしていた。  解散決定の報が世に出たのは、自身がTBSの五輪キャスターを務めているまっ最中。だからこそ彼はラジオ番組を通して、「リオのオリンピックの期間中に発表ということになったことを、スポーツ関係者の皆さま、アスリートの方々、それを支える方々、そして日本中で応援している方々、自分がキャスターとしてやらせてもらっているにもかかわらず、水を差すような時期だったことは申し訳なく思っております。深くお詫び申し上げます」と謝罪した。  いつも、周りの誰かに気を使っていた。  そんな中、先日放送された、フジテレビ系『たまッチ!』(11月13日深夜)では、今年現役引退を表明した巨人・鈴木尚広を交えて、こんなやりとりがあった。 「でもね、会見すら、試合すら、コメントすら残らず、本当に1行で『戦力外通告・引退』。これすら載らない選手のほうが、圧倒的に多いんですよね。そういう選手もいるっていうことを、頭に入れてほしいなって」  今の中居が発するからこそ、より重みのあるメッセージだった。  言いたいことも言えない状況だからなのか、野球を通して、何かを伝えようとする姿が目立った1年でもあった。そんな彼にとって救いだったのは、雑誌「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)で月1連載コラム「中居正広のとことん野球好き!!」が始まったことだったのではないだろうか。  好きな野球について、好きに語れる場。テレビでもその機会はあるだろうが、野球専門誌という立ち位置で語れることに対する喜びも大きかったはず。だが、彼の書くコラムは、マニアックな内容ではあるものの、決して好き勝手な話題ではなく、野球選手への配慮と尊敬、そしてここでも「気配り」が前に出る内容ばかりだった。 《(選手や監督と)仕事でご一緒することはありますけど、彼らと僕とでは立っているステージがまったく違うもの。それこそ1球で自分だけでなく、周りの人生にまで影響するような、すごい勝負をしているわけですから。あくまでも僕は一ファンとして「ああだ、こうだ」と考えて野球を満喫しているだけ。でも、それこそが野球ファンの醍醐味でもあるんですよね》(コラム第1回より)  そんな彼は、この連載コラムを通して、野球以上に「自分」を語っていた。 自分が野球を好きになったキッカケ。 父親との、野球を通したコミュニケーション。 元野球少年から、今の野球少年へのメッセージ……etc.  それは、SMAPファンやジャニーズファンでなくとも、ひとりの野球少年の歩んできた道程として、味わい深いものだった。  そして、ときにSMAPについての言及もあった。 《野球漬けの生活を過ごした小学校時代、僕は野球を通して学んだことがたくさんありました。その中の1つが「全員がエースや四番にはなれない」ということです。(中略)そのとき、ようやく分かったんです。自分の役割は“エースで四番”ではないんだ、ということが。(中略)例えばSMAPの中で僕の役割って何なのかなと考えたときに、まず歌ではないなと(笑)。もちろん僕だってセンターで歌いたいと思っているんですよ、一番華のあるポジションですからね。でも、まあ違うなと。(中略)歌は他のメンバーに任せて、自分はおしゃべりで一番になれるように精いっぱい頑張ろうと。》(コラム第4回より)  大好きな野球というフィルターを通して語る、大好きな(はずの)SMAPについて。それは、中居だからこそできる芸当であり、今さらながら伝わるものがあった。  そんな彼が、SMAPのメンバーであるのは、残り1カ月。いまや彼のライフワークのひとつともいえる『たまッチ!』は、12月30日にも放送される。NHK紅白出場がなくなった(とされる)今、ひょっとして「SMAP中居」としては、最後のテレビ出演かもしれない。好きな野球を通して、ファンにどんなメッセージを届けるのか? SMAPファンでなくても、注目して待ちたい。 (文=オグマナオト)

いまだに「宇野ヘディング事件」頼みって……フジ『プロ野球珍プレー好プレー大賞2016』に足りないもの

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『プロ野球ニュースで綴るプロ野球黄金時代 vol.13』(ベースボールマガジン社)
 2016年も残りわずかだというのに、いまだに80年代・90年代を生きる放送局がある。ご存じ、フジテレビのことだ。  11月5日、『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2016』がゴールデン帯(21時~)で放送された。が、その内容は「2016」よりも「在りし日のプロ野球」を振り返ってばかりだった。  伝説のスポーツ番組『プロ野球ニュース』の番組内コーナーだった「珍プレー好プレー」が特番化され、人気を博したのは1983年のこと。以降、年2回のペースで放送され、野球人気の下支えに貢献してきた。  ところが、球界再編騒動が起きた翌年の2005年、プロ野球が新しく生まれ変わろうというときに、まるで役目を終えたかのように終焉を迎えた。  そんな名物番組が中居正広をMCに据え、『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2015』としてゴールデンで復活を果たしたのが昨年のこと。だが、「2015」をうたいながら、その年の名場面は少なく、ただただ往年(『プロ野球ニュース』と『珍プレー好プレー大賞』が人気だった80年代中盤~90年代)のプロ野球名珍場面を振り返るばかり。  その番組構成に、多くの野球ファンは失望を覚えた。  野球はこんなにも進化しているのに、スポーツバラエティのあり方だって進化しているのに、なぜ90年代で時を止めてしまうのか?  ただ、副題として「安心してください!33年分ありますよSP」と掲げていただけに、過去を振り返ることは想定内だった。だからこそ、今年の番組に期待していたのだ。  ちなみに、今年の副題は「番組史上初!プロ野球選手が投票No.1を決定」というもの。現役選手500人にアンケートを行い、「これぞ!」と思う珍プレー好プレーに投票してもらったことを“売り”としていた。  てっきり、『すぽると!』時代の名物企画、「プロ100人が選ぶ部門別トップ5 1/100」に倣ったものだと期待していたら、それは完全なる見込み違い。いや、勝手に期待したこちらが悪いのだが、それにしたって、現役選手が選ぶNo.1珍プレーが「1981年・宇野ヘディング事件」って本気だろうか?  確かに、「宇野ヘディング事件」は球史に残る“名・珍場面”であり、『珍プレー好プレー大賞』の代名詞的存在でもある。これまでにも何度もリプレイされているからこそ、現役選手が選んだ、ということは考えられる。  だが、プロ野球選手の平均年齢は27.5歳。つまり、1980年代後半生まれがボリュームゾーンだ。そんな選手たちが、自分が生まれる前の珍場面をNo.1に選ぶとは、とてもではないが、考えにくい。申し訳ないが、「宇野ヘディング事件」ありきのアンケート作り、番組作りをしていた、と疑わざるを得ない。  そもそも、「宇野ヘディング事件」と宇野勝選手については、珍プレー好プレー大賞への貢献が大きいとして、過去に「珍プレー名人」として番組で表彰したはずだ。なのに、なぜまた引っぱり出す必要があるのか? 過去の番組スタッフにも、宇野選手にも失礼だし、過去の資産に頼りすぎだ。  冒頭でも触れたが、この「宇野ヘディング事件」以外でも、今回番組で取り上げたプレーの半分近くが80年代と90年代のもの。監督コーナーで登場したのは長嶋茂雄、野村克也、星野仙一の3人だった。  2016年の今、それらを見せられてどうすればいいのだろう? 野球ファン・スポーツファンが見たい・知りたいことは、「今」の野球界のことなのに。プレーの質も、記録も、身体能力レベルも、プロ野球はこの10年で間違いなく一段階上がった。だが、番組が、そこに追いついていないのだ。  競技も観客もレベルが上がったことで、「珍」プレーが少なくなった、ということはあるかもしれない。であるならば、番組タイトルのもう一方である「好プレー」のほうを増やせばいいのだ。  今回、「好プレー」で取り上げられた選手はたったの10名のみ。圧倒的に少なすぎる。500人アンケートを行ったのであれば、「選手が選ぶ好プレー50選」くらいやってほしい。今年の日本シリーズが高視聴率を生んだように、質の高いプレーを見たい視聴者の数は少なくないはずだ。  実際、NHKでは、今年『NHKドキュメンタリー 3000本へ!見せますイチロー全安打』なる、気が狂っているとしか思えない番組をつくって、野球ファンをうならせていた。  視聴者が求めているのは、使い古した映像でも、知ったかぶりの知識で番組の流れを止めていたタレントでも、無駄な演出でもない。熱量なのだ。 「珍プレー好プレー大賞」の“生みの親”でもあり、この日も「珍の殿堂」として登場したみのもんた自身が、かつて野球報道のあり方について、こんなコメントを残していたので最後に引用したい。 《司会者と解説者とプレーヤーは三位一体。『プロ野球ニュース』はこのバランスが抜群だったと思う。それがいつしか、解説者やキャスターと呼ばれる人がメインになり始め、バランスが崩れだした。演出に走りすぎる姿勢も気になる。(中略)生感覚を大事にし、もっと誠実に、そしてシンプルに》(『野球小僧』2010年12月号「プロ野球ニュース革命」より) (文=オグマナオト)

過剰なテロップで肝心な場面が台無し! 日本シリーズ中継に見る、民放各局の「足し算」体質

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『THE TRIUMPH of 真赤激! ~CARP2016リーグ制覇の軌跡~』(広島ホームテレビ)
 今年の日本シリーズは、きっと面白い……ファンの間ではそんな話で持ち切りだった、プロ野球日本シリーズ・広島東洋カープ対北海道日本ハムファイターズ。戦前の見立て通りの「熱戦」が続いている。  逆転劇あり、延長あり、采配の妙あり、と、さまざまな点で見どころが多い。それなのに、中継する側は、どこまでも画一化して伝えようとしている。  民放中継だけを見ていると、今年の日本シリーズは「広島対日本ハム」ではなく、「男気対二刀流」であるらしい。  とにかく「男気」と「二刀流」、つまり“黒田博樹と大谷翔平を扱わなければいけない病”にかかっている状態だ。  たとえば第2戦のフジテレビ。黒田は第3戦の先発が発表されていたため、この日の登板は絶対にない。だからなのか、「黒田の思いを受け継ぐ野村が先発」といったテロップを何度も差し込んでいた。こうなるから、黒田は日本シリーズ前に引退発表をしたくなかったはずなのだ。  一方、日本ハムの攻撃では、こんなところで大谷を出すわけがない、という場面で「大谷の代打はあるのか?」とミスリード。同様に第4戦のTBS中継では、テロップで何度も「日本ハム3番大谷でタイへ」と表示。結果、大谷はノーヒットに終わり、中田とレアードのホームランで、日本ハムは2勝2敗のタイへと持ち込んだ。  民放よ、そんなに野球の力を信じられないのか? と言いたくなる。  野球の力を信じられないから、過剰なテロップで「演出」しようとする。もっといえば、野球の力を信じていないから、クライマックスシリーズ・ファイナルステージ中継をしない、という失態を演じてしまうのだ。  テレビ局側の言い分があるとすれば、プロ野球は人気がなく、視聴率が取れないから、というものがあるだろう。野球初心者も興味が湧くように、黒田と大谷の看板を掲げているのだ、との考えもあるかもしれない。  だが、本当に面白い試合は、それだけで優良なコンテンツだ。ましてや、舞台は日本シリーズ。視聴者は、演出された感動ではなく、もっと野球の機微を伝えてほしいのだ。  過剰なテロップは目にうるさいだけでなく、肝心な場面でプレーの上にかぶさり、細かい部分が見えないことがある。試しにNHK-BSの日本シリーズ中継とワールドシリーズ中継を見ると、その差は歴然。「BSO」「ランナー」「得点」「イニング」表示以外に無駄な情報やテロップのないNHKの中継画面は、野球が持つ「時間にも空間にも縛られない」魅力を伝えてくれる。  優れたデザイナーほど引き算でデザインし、要領を得ないデザイナーは足し算のデザインをするというが、もっと引き算の野球中継を民放にも目指してほしい。  もし、野球を知らない人にも興味が持てるように……と考えるのなら、野球中継以外でそういった番組を組むべきだ。好例は、クライマックスシリーズ前に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「広島カープ芸人」だろう。残念なことに、日本シリーズ前、民放テレビでそのような番組は見つけられなかったが、NHK-BSとラジオでは野球の魅力を伝える好番組があったので紹介しておきたい。  ひとつは、NHK-BSで21日に放送された『スポーツ酒場“語り亭”』の「名捕手が語る日本シリーズ」。野村克也、古田敦也、里崎智也の3名の元捕手が、日本シリーズを捕手目線で語る、という内容だった。  この番組で、古田と里崎が注目選手として挙げたのが、広島はエルドレッド、日本ハムはレアード、という「恐怖の下位打線」。この2人をどんなリードで抑え込めばいいのか、という議論が交わされていた。  果たして、エルドレッドは3戦連発弾を放り込み、レアードは第4戦で決勝ホームランを放った。名捕手の見立ては正しかったわけだ。  もうひとつが、TBSラジオで21日放送された『荻上チキ・Session-22』の「久米宏&伊集院光&えのきどいちろう&加藤弘士!開幕前夜に熱く語る『プロ野球・日本シリーズ』」。芸能界屈指のハムファンである伊集院とえのきどが涙ながらに語る日本ハムについての熱量は、『アメトーーク!』における「カープ芸人」に引けを取らなかった。  そして、とにもかくにも久米宏だ。あの冷静な久米が妙にテンション高く、トークも若干上滑りする興奮具合は聴いていておかしかったし、リスナーが日本シリーズに向けてテンションを上げる効果を含んでいた。  TBSラジオでは、翌22日も『久米宏 ラジオなんですけど』を広島から生中継。久米はその後、同局の野球中継『エキサイトベースボール』にもゲスト解説として出演。「久米祭り」が展開された。 「リーグ優勝して、99%満足してるんです。でも思いのほか、残りの1%が大きかった(笑)」と語る声は、野球がどんな大人も純朴な少年にしてしまう無垢な魅力を代弁していた。  かつてカープ優勝を賭け、『ニュースステーション』(テレビ朝日系)で坊主頭にまでなった男・久米宏のカープ話を、なぜテレビは扱わないのだろうか?  いずれにせよ、日本シリーズの足し算演出は今さら変わらないだろう。となると、気がかりなのは、来年のWBCだ。きっと、ごてごてと余計な装飾が施されてしまうのだろうなぁ……。 (文=オグマナオト)

カープ特需に沸くNHKに今こそ放送してほしい、過去の名作「カープ特集」

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広島東洋カープ公式サイトより
 プロ野球はペナントレースが終わり、いよいよ8日から日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)に突入する。注目はなんといっても、25年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を決めた広島東洋カープだ。  現在、各メディアでは「カープ特需」ともいうべき現象が起きている。雑誌を開けば女性誌でもカープ特集が組まれ、書店のスポーツコーナーも赤い色が目立つ。テレビでは、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)が「広島カープ芸人」の第3弾を緊急放送。広島での視聴率は23.6%(ビデオリサーチ調べ/以下同)と、シリーズ過去最高を記録した。  今回の『アメトーーク!』内でも話題になっていたが、「カープ芸人」の第1弾が放送された2012年はカープがまだ連続Bクラスを続け、「カープ女子」という言葉も生まれる前。それから4年間のカープ球団と世の中の変遷を振り返ることができ、充実した内容だったのは間違いない。  だが、この「カープ特需」に最もあやかっているテレビ局は、実は民放ではなくNHKだ。  そもそも、9月10日の優勝決定試合の中継権を持っていたのがNHK、という引きの強さ。現在、2ケタも難しいとされるプロ野球中継にあって、関東地区の視聴率は16.8%。広島地区では瞬間最高で71%を記録した。  この熱狂ぶりを受け、10月10日深夜にはNHK広島限定ではあるが、優勝試合の再放送をするという。五輪やW杯の日本戦以外で、スポーツ中継の再放送なんて聞いたことがない。  また、こちらもNHK広島限定ではあるが、11日の夜10時25分というプライムタイムに、『激闘カープ!クライマックスシリーズは?』なる特番が放送される。“公共”放送として、そこまで一球団に偏っていいのか? という疑問も頭をもたげるが、広島ではそれが公共、ということなのだろう。  カープ色に染まっているのは、NHK広島だけではない。10月4日の『うたコン』では、歌謡番組なのにカープコーナーを設け、広島出身の世良公則がカープ帽をかぶって1979年のヒット曲「燃えろいい女」を熱唱。その世良を呼び込むのがカープの緒方孝市監督夫人で、タレントの緒方かな子、というこだわりよう。そもそも、この『うたコン』のMCを務める谷原章介が『アメトーーク!』にも出演した熱狂的カープファン。「相好を崩す」とはこういうときに使うんだな、と実感するほどの笑顔で司会を務めていた。  今後、カープが日本一になった場合、世良が『紅白』に出場し、かな子婦人もカープ女子代表として登場。で、審査員席には緒方監督……なんてことを今から考え、その予行練習をしていたのではないだろうか、と邪推してしまう。  ほかにも、『おはよう日本』や『サラメシ』『ブラタモリ』などでも9月下旬に広島特集が組まれ、カープにまつわる演出が施されていた。  こういった、兎にも角にもカープ特集、を批判したいのではない。25年ぶりの歓喜、それくらいあってもいいと思う。ただ、NHKでしかできないことがもっとあるはず、と歯がゆくなってしまうのだ。  NHKでしかできないこと……その好例が、9月25日放送の『NHKアーカイブス』。この回の放送では、1994年放送のNHKスペシャル『もう一度投げたかった ~炎のストッパー 津田恒美の直球人生』を取り上げていた。今回の優勝でカープに興味を抱いた、というファンにとっては、初めて津田を知る機会となったかもしれない。また、古くからのカープファンであれば、前回優勝した1991年は津田が病魔に倒れ、生涯最後の登板となった年。チームは「津田のために」に一丸となることで強さを発揮したシーズンだった……。そんなことを思い出したのではないだろうか?  闘病生活の中、広島市民球場のカクテル光線を眺めては「俺、あそこで投げてたんだよなぁ……」とつぶやいたという津田。日本シリーズを戦うチームメイトたちの姿をテレビで見て、「どんなに野次られてもいいから、もう一度投げたいよ」と吐露したという津田。25年ぶりの歓喜の重さを理解する上で、25年前にあった出来事を知ることは、間違いなく意義があるはずだ。  こういった優れたカープ特集、もっと日の目を見てほしいカープ特番がNHKには実に多い。それらの番組に、あらためて光を当ててほしいのだ。  たとえば、『プロジェクトX 挑戦者たち』の初期の名作「史上最大の集金作戦-広島カープ~市民とナインの熱い日々」。カープの創成期を題材としたイッセー尾形主演のドキュメンタリードラマ『鯉(こい)昇れ、焦土の空へ』。1975年の球団創設初のリーグ制覇を特集した『スポーツ大陸「赤ヘル旋風 昭和50年・広島初優勝」』。そして、スポーツドキュメンタリーの金字塔『NHK特集・江夏の21球』などなど。  カープ以外で、これほど多様な側面からNHKで特集が組まれ続けてきた球団はほかにないはずた。ここからも、カープがいかに語り継ぎたい「物語」に恵まれ、ファンに愛されてきた存在かがより明確になるはずだ。  権利関係など、クリアしなければならない問題もあるのかもしれない。だが、歴史的偉業だからこそ、歴史的な意義や物語を掘り起こし、今この時代とどうつながっているかを示すのが、公共放送の役割なのではないだろうか? (文=オグマナオト)

プロバスケット「Bリーグ」開幕戦で“お祭り騒ぎ”! フジテレビに、バスケへの愛はあったのか?

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フジテレビ公式サイトより
 分裂していた2リーグを統一し、「B.LEAGUE」(Bリーグ)をつくった川淵三郎初代チェアマンは試合前、「15%を狙う」と宣言していた。しかし、結果は5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。「歴史的開幕」とうたい、フジテレビがゴールデンで勝負をかけたプロバスケットボール・Bリーグ開幕戦の視聴率だ。  この数字は、いちバスケファンとして、いささかショックだった。NHK BSでも同時中継、さらにソフトバンクが運営する「スポナビライブ」でも無料配信されていたとはいえ、さすがにもう少し数字が取れると思っていた。  だが、フジテレビのショックたるや、もっとすさまじいのではないだろうか? この2週間、さまざまな番組を横断して、バスケPR企画を実施。深夜帯では特別番組まで放送して、「プロバスケ開幕」を訴えていたからだ。  まず、8日(木)の『VS嵐』にバスケ日本代表が出演。11日(日)深夜には開幕戦のスペシャルブースターを務める3名を起用した『広瀬アリス・すず・中村雅俊のバスケ愛 一生に一度の歴史的開幕戦』なる特番を放送。17日(土)は早朝から『新・週刊フジテレビ批評』に、Bリーグの大河正明チェアマンが出演。昼には『広瀬アリス&すずの「バスケ、キテるね!」』。18日(日)は初代チェアマン・川淵三郎デー。『ワイドナショー』『劇的スイッチ!』『スポーツLIFE HERO'S』へ、立て続けに出演。18日から21日の深夜帯には、4夜連続で『Bリーグ 元バスケ部美女トークドキュメンタリー』という名のガールズトーク。  19日(月)には『ネプリーグ』と『SMAP×SMAP』で、またまた広瀬姉妹。また、深夜帯には『スポーツジャングル』で、大河チェアマンと五十嵐圭選手が出演。そして、19日から21日にはキスマイ・藤ヶ谷太輔、山本美月、元AKBの川栄李奈らを起用した3夜連続スペシャルドラマ『バスケも恋も、していたい』を放送した。  これ以外にも、『めざましテレビ』『とくダネ!』『ユアタイム』といったニュース・情報番組に、広瀬姉妹や選手たちがコーナー出演。恐らく、ほかにもあったはずだ。  さすがにこれは、節操がなさすぎやしないだろうか? むしろ、視聴者の見る気がうせやしないか、かえって心配になってしまったほどだ。    気になったのは、その「量」だけではない。「質」の部分で、どうにもバスケへの愛情や情熱を感じられる企画が少なかったからだ(もちろん、愛ある企画もあったが、おざなりに「バスケ扱えばいいんでしょ」といったものも少なからずあった)。  たとえば、ハリセンボン近藤春菜、おのののから4名がガールズトークを繰り広げるという『Bリーグ 元バスケ部美女トークドキュメンタリー』。進行は完全に春菜頼みで企画にひねりはなく、最後にはなぜか寸劇が始まる始末。一体、誰に何を訴求したいのかわからなかった。  理念のない番組は、ただの時間泥棒でしかない。結果、番宣にもならなかったのは明らかだ。  開幕中継にも、納得がいかないことは多かった。広瀬姉妹がコートサイドに並び、何度もカメラに抜かれる姿は、どこか往年のK-1中継を見ているようだった。そして、番組MCはジョン・カビラ。“なんだ、サッカーでも始まるのか?”と思った視聴者もいたのではないか(そして、それが狙いだったのではないか)。  サッカーにはないエンタテインメントの魅力を発揮すべく、レーザー光線を駆使した華やかな会場演出や、世界初の全面LEDコートなど、新しい見せ方を創意工夫したBリーグ。ならば、それを伝える側も、従来のスポーツ中継の二番煎じではないもの、バスケットとしての新しい文脈をつくるべきだ。    もし、既存のコンテンツ、それこそ、サッカー番組から学ぶべきことがあるとすれば、セルジオ越後的な辛口批評だったのではないだろうか。  お世辞にも、試合は素晴らしいプレーが多かったとはいえない。パスミスが目立ち、トラベリングも多く、勝利チームにもかかわらず、フリースロー成功率は50%を切っていた。  まだ開幕したばかりとはいえ、プロリーグを標榜するのならば、もっと質の高いプレーを目指してほしい。そのとき、それを伝える側に求められるのは、愛ある批評だ。未来を見据えた論考だ。それがなければ、選手のプレーの質も、リーグの質も向上は望めない。放送のあり方ひとつで、リーグのレベルアップにもつながることを忘れないでほしい。  ……と、ここまで書いて、今後フジテレビでのBリーグ中継予定はなく、NHKとスポナビライブが中心になると気づいた。一回こっきりの放送だとしたら、そりゃ未来を見据えた番組づくりを望むほうが酷なのかもしれない。 (文=オグマナオト)

リオは一味違う? 「パラリンピック報道」に新たな視点を作る、風間俊介とマツコ・デラックス

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NHKリオデジャネイロパラリンピックより
 ロンドン大会で約45時間だったNHKの放送時間は、リオでは120時間以上へ激増。過去、最も注目を集めるであろう、リオデジャネイロ・パラリンピックが開幕した。  開会式では、車いす選手が観客席に作られた巨大スロープから一気に滑り降り、そのままジャンプ。ど派手なパフォーマンスが、さっそく話題を呼んでいる。  ただ、そのパフォーマンス以上に開会式でうならされたことがある。NHKの現地リポーターを務める俳優、風間俊介のコメント力だ。 「パラリンピックを見るたびに“障害を持った方は助けてあげなさい”という常識が覆される。僕ができないことを軽々とやってのける超人たち。もちろん、何か手助けできることがあれば手を差し伸べたいのですが、“手助けさせていただく”、そんな気持ちにすらなる、尊敬する存在です」  また、過去にパラスポーツの取材に行った際のエピソードとして、こんな発言もしている。 「お前は手がないんだ。その義手、カッコいいね。 お前は車椅子なんだ。その車椅子カッコいいね。 お前は……ノーマルなんだ。その空気が悔しかった。 みんながあまりにカッコ良くて、自分だけ個性がないような感覚に襲われたんです。多くの人に経験してほしい、不思議な感覚でした」  ここで挙げたのは、ほんの一例。入場行進で各国代表選手が入場すると、その国に合わせたコメント、過去の取材経験に基づくエピソードを披露してくれた。  風間のコメントが響くのは、付け焼き刃ではないからだ。風間は2014年から、障害や病を抱える人、支える人々に向けたNHK Eテレの情報番組『ハートネットTV』でMCとナレーションを担当。またこの番組の企画で、昨年カタール・ドーハで開催された障害者陸上の世界選手権も現地取材をするなど、経験を重ねてきた。  NHKとしても今回、風間を現地リポーターとして起用しているのは、決してジャニーズ所属だから、といった話題性だけでないのだ。  風間といえば、TBS系『3年B組金八先生』(第5シーズン~)での問題児・兼末健次郎役、フジテレビ系『それでも、生きてゆく』では殺人犯の雨宮健二役、NHK朝ドラ『純と愛』での待田愛役など、ダークな面のある役を演じることが多かった。これまで培ってきた俳優としての二面性も、パラリンピックという画一化しにくいテーマを扱うのに功を奏しているのではないだろうか。  パラリンピック期間中、風間はNHKで毎日放送される「パラリンピックタイム」に出演し、現地から生の声を届ける。彼が何を目撃し、どう語るのか、引き続き注目してほしい。  これまで培った経験でパラスポーツを語る人間がほかにもいる。マツコ・デラックスがその一人だ。  パラリンピック開幕前の2日、『リオ2016パラリンピック開幕直前SP~マツコが全力応援宣言!みんな凄いじゃないのDX~』(フジテレビ系)でスポーツ番組初MCを担当。番組冒頭、「パラリンピックを盛り上げようとしてるのに、中継が1本もないんでしょ? フジテレビ」といじり、番組中何度も、「でも、フジじゃ競技見られないんでしょ。NHKの番組表出したほうがいいわよ」と、いつものマツコ節を披露していた。  もっとも、これまで培ってきた経験が生きた、というのは、マツコ節だけではない。あまり知られてはいないが、マツコは2020年東京パラリンピックに向けて設立された「日本財団パラリンピックサポートセンター」において、タレントとして唯一、「顧問」に名を連ねている。また、今年6月からは朝日新聞紙上で、パラアスリートの対談企画もスタート。すでに多くのパラアスリートや、その関係者らと密接な関係性を築いているのだ。  だからこそ、障害者であってもその容姿やキャラクターをいじり、スポーツバラエティとしての質の高い笑いに変えることができる。  今回の特番でも、選手の勝負下着の話で盛り上がり、「義足はヌーブラみたいなもの」といった発言を引き出し、アスリート特有の野心やエゴイスティックな側面を明け透けにしていた。そういった、人間としての生々しい側面がこれまでのパラスポーツ報道に足りなかった部分ではないだろうか?  マツコは常々、「自分は常軌を逸した人間だ」といった趣旨の発言を繰り返している。そんな「常軌を逸した人間」だからこそ、パラアスリートの外見よりも内面を客観視でき、いかに人間くさく、愛らしい存在かに迫っていく。  パラアスリートを「超人」として語る風間俊介。「普通の人々」として扱うマツコ・デラックス。接し方はそれぞれ違うが、「障害者=大変そう」「障害者番組=感動、家族愛」となりがちな従来の番組作りと比較しても、視聴者に新たな視点を投げかけてくれるのは間違いない。 (文=オグマナオト)

フジ「タレントなし」で大丈夫!? キャスター人選に見る、リオ五輪民放各局の思惑

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イメージ画像(Thinkstockより)
 ついに開幕したリオ五輪。1秒、1センチの差に命を懸けて4年分の思いをぶつけるアスリート同様、数字をめぐる攻防を繰り広げるのがテレビマンたち。そんな各局のキャスター人選、テーマソング、注目競技から、それぞれの思惑を予想したい。 ■日本テレビ  メインキャスターを務めるのは嵐・櫻井翔。北京大会から数えて、冬季も含めると5大会連続でのキャスター就任だ。キャプテンを明石家さんま、スペシャルサポーターを『Going! Sports&News』でおなじみのくりぃむしちゅーの上田晋也。アスリートキャスターを田中理恵(元体操代表)が務める。  テーマソングはもちろん嵐で「Power of the Paradise」。先日、櫻井翔がMCを務めた『THE MUSIC DAY』(7月2日放送)でテレビ初披露したが、こう見ると、歌にスポーツ、先日の選挙特番と、櫻井翔の「日テレの顔」ぶりはすさまじい。  日本テレビ担当の注目競技は、なんといっても8月18日、19日の「レスリング女子53キロ級/63キロ級/75キロ級」。女子では、前人未到の4連覇に挑む吉田沙保里が53キロ級に登場する。  昨秋放送の『掟上今日子の備忘録』でドラマ初出演を果たすなど、日本テレビとは吉田の関係性は良好。今後、日テレ系番組から秘蔵写真や独占コメントなどが出てくる可能性は高い。  民放各局による「五輪中継担当クジ引き」が行われたのはこのドラマ出演の1カ月後なので、この「出会い」はある意味、偶然。ただ、この偶然を引き当てるところに、日本テレビの強さを感じずにはいられない。4連覇達成後の「日テレ吉田祭り」に期待したい。 ■テレビ朝日  メインキャスターは松岡修造。五輪キャスターは今回で7大会目。フィールドリポーターに寺川綾(元競泳代表)を起用。そして、スペシャルキャスターを務めるのが福山雅治。シドニー大会から数えて、夏季では5大会連続で「テレ朝の顔」を務める。同局テーマソング「1461日」も、福山の書き下ろしだ。  テレビ朝日の担当競技は、競泳と柔道が中心。それ以外では、開会式前の「開幕直前スペシャル」、翌日の「開会式ハイライト」、小池百合子新都知事も登場予定の「閉会式ハイライト」(22日)と、競技以上に「儀式」に焦点を当てているのが面白い。  実際のところは、担当したかった注目競技のクジ引きを外してしまった……というのが本音だろうが、だからこそ期待したいのが、日本選手団結団式で応援団長も務めた松岡の存在。リオが盛り上がるかどうかは、松岡にかかっている。 ■TBS  メインキャスターを務めるのはSMAP・中居正広。2004年のアテネ大会から数え、夏季・冬季通じて7大会連続出場だ。また、スペシャルキャスターを高橋尚子(元マラソン代表)が務める。  TBSの注目競技は、なんといっても14日夜の女子マラソン。今大会で最も高視聴率が望める、といわれている。女子マラソンは北京で28.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、ロンドンで22.5%と高視聴率を続けて獲得しているからだ。  TBSといえば世界陸上。それだけに、マラソン競技にかける想いは強い。ちなみにTBSが以前、五輪で女子マラソン中継を担当したのはアテネ五輪。このときは、野口みずきが金メダルを獲得。瞬間最高視聴率29.2%を記録しているだけに、その再現を狙いたい。  そんなTBSで、どうしても気になってしまうのが、放送テーマを「感謝」と設定し、テーマソングをSMAPの「ありがとう」にしたこと。この曲がリリースされたのは06年。確かに今年は解散騒動に揺れて新曲どころではなかったが、それにしても10年前の曲というのは……。 ■フジテレビ  今回、最も意外なキャスター陣で臨むのがフジテレビ。タレントキャスターを起用せず、野村忠宏(元柔道代表)、高橋大輔(元フィギュアスケート代表)、小谷実可子(元シンクロ代表)の3名が「オリンピアンキャスター」を務め、脇をアナウンサー陣が固めるという、NHKのような布陣で臨む。  フジテレビの五輪キャスターといえば、これまで毎回、TOKIO・国分太一の独壇場だった。ただ、国分がMCを務めていた『すぽると!』も終わり、今ではTBSで朝の顔を務める身。さすがに今回のキャスター就任は難しかった。  であるならば、「国分のポジションを奪いたい」と宣言し、実際にフジでスポーツ番組も担当する関ジャニ∞の村上信五を起用する線もあったはず。だがフジは今回、その道を選ばなかった。  フジテレビ担当の注目競技は、日本人メダル第1号の期待がかかる柔道男子60kg級・女子48kg級(6・7日)、金メダル有力とされる内村航平が出場する体操男子個人総合決勝(11日)、五輪の花形・陸上男女100m決勝と、注目競技・種目が実に多い。コンテンツがしっかりしていればにぎやかしなど不要、という原点に気づいてくれたのだと信じたい。  テーマソングはEXILEで『Joy-ride ~歓喜のドライブ~』。EXILEは昨年、日本テレビ系ラグビーW杯のテーマソングを担当。日本代表と五郎丸歩フィーバーも手伝って予想以上に地上波で流れただけに、その再現を狙いたいはず。 ■テレビ東京  最も味のある人選で臨むのがテレビ東京。メインキャスターを小泉孝太郎。アスリート(?)キャスターを照英(やり投げ元国体選手)と織田信成(元フィギュアスケート代表)が務める。涙・感動担当が照英&織田。その脇で小泉がスマートに進行する、という流れが早くも想像できる。  小泉の五輪キャスターは今回が初。ただ、10年から6年間、同局が放送する「柔道グランドスラム東京」でメインキャスターを担当。また、過去には他局ではあるが「熱闘甲子園」でナビゲーターを務めたこともあり、スポーツにも造詣は深い。ただにぎやかすだけのタレントを使われるよりは、実直な放送が楽しめそうだ。  テレビ東京担当の注目競技は、メダルのかかった卓球・女子シングルス準決勝、男子団体準決勝の大一番だ。柔道同様、卓球はここ数年、テレビ東京が力を入れて中継していた競技だけに、その努力が実る瞬間を期待したい。 ***  見比べると、おなじみの布陣で臨む日テレ・テレ朝・TBS対、新布陣で臨むフジ。テレ東、といった構図。視聴率好調の3局は安定志向。一方、苦戦する2局は攻めの姿勢、といった感じだ。試合結果によるところも大きいが、各局の思惑がどう視聴率や話題性喚起につながっていくのかも注目していきたい。 (文=オグマナオト)

『アメトーーク!』だけじゃない! “継続は力なり”で人気をつかんだ「高校野球大好き芸人」たち

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『渡部・ザキヤマの高校野球研究部』より
「スポーツを語る」番組は年々増えている。だが、熱狂的なマニアやファンも多いだけに、ときに大きなバッシングを受ける。  12日深夜に放送された日本テレビ系『ナカイの窓』の「野球 VSサッカー企画」が、その顕著な例だ。  SMAP・中居正広を筆頭とする野球好き、ペナルティ・ヒデをはじめとするサッカー好きの芸能人、アスリートに分かれて「それぞれの競技の魅力」を語り合うというこの企画。いいとこ取りをしようとして内容が薄くなったばかりか、結果的に相手競技をけなす方向に走ってしまい、双方のファンから反感を買った。  中居は、芸能界きっての野球好きであるし、深い知識があるのは間違いない。今年からは「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)で連載コラムも始まった。披露すべきは、その深い野球愛と知識のはず。これは、中居の問題というよりも企画の問題ではあるのだが、実にもったいなかった。  一方、ネットを中心に好評だったのが、16日に放送されたテレビ朝日系『アメトーーク!』の「高校野球大好き芸人SP」。筆者は野球媒体での仕事もしているが、野球ライター、編集者といった専門の人間からも評価する声が多かった。  ひな壇に座ったのは、アンジャッシュ・渡部建、大友康平、長島三奈、TIM・レッド吉田、山崎弘也、いけだてつや、トータルテンボス・藤田憲右、バブルズマンション・池田和希、かみじょうたけし。  彼らが語る高校野球の話がなぜ面白いかといえば、普段から、そして何年も前からこの「高校野球トーク」に磨きをかけていたからだ。そして、世の高校野球マニアに負けず劣らず、芸人たちのマニア度、高校野球愛はすさまじい。その愛情をストレートに、出し惜しみすることなく披露するから、「高校野球大好き芸人」企画は毎回、好評を博している。 『アメトーーク!』で高校野球企画がスタートしたのは2014年。だが、彼らはそれ以前、10年頃から、どうすれば高校野球の魅力が伝わるのか、舞台や雑誌を中心に挑戦し続けてきた。だから、年期も違うし、必死さも違う。  今回の「高校野球大好き芸人SP」で彼らの話術に興味が湧いたとすれば、普段から続けている「高校野球トーク」にも目を向けてもらいたい。  たとえば、「芸人×高校野球」の旗印のような存在になった渡部は先月、『ワタベ高校野球の味方です。』(KADOKAWA/角川マガジンズ)を上梓。Amazonレビューは、驚くほどの高評価ばかりだ。  この渡部を筆頭に、いけだなどのプロダクション人力舎の面々が手弁当で始めたトークイベント「人力高校野球観戦部 高校野球大好き!!ナイト」はもう5年以上続く人気企画。今月のイベントはすでに終了しているが、甲子園大会終了後の8月26日には大会振り返りイベントが予定されている。  このイベント、来場者の半数が女性。しかも、しっかりと知識を備えたファンが多い。そんな来場者を満足させるため、渡部は忙しい今も地方大会を追いかけるし、いけだは甲子園期間中、球場そばで野宿をしながらベストポジションでの観戦を続ける。  トータルテンボス藤田は今月、『ハンパねぇ!高校野球』(小学館よしもと新書)を上梓。これを記念して、7月30日からの1週間、東京・神保町花月で高校野球がテーマのミュージカルやトークイベントを実施。また、今年公開された高校野球の伝説的監督にまつわるドキュメント映画『蔦監督』をプライベートで応援するなど、公私にわたっての高校野球漬けだ。  彼らの高校野球への深い知識量と愛情に目を向けたのが、夏の甲子園大会主催者である朝日新聞と、『熱闘甲子園』を制作する朝日放送。『渡部・ザキヤマの高校野球研究部』なる無料動画を、両社が手がける高校野球情報専門サイト「バーチャル高校野球」で公開。渡部と山崎、いけだの3人がAKB48・入山杏奈も交えて、高校野球のディープな話題を饒舌に紹介する。この企画は甲子園開幕の前日、8月6日にもABCテレビで放映予定だという。  高校野球の映像は、これまでバラエティで使用するのは御法度だった。それがここ数年、高野連の対応が急に軟化。テレビ朝日・ABC系列を中心に使用許可が下りるようになってきた。昨年の「高校野球100年」、さらには2年後に控える「第100回 記念大会」を前に、高校野球人気をより盛り上げようという狙いがあるのは明白。そこに、芸人たちの長年の努力がピタッとハマった形だ。  彼らを見ていると、「継続は力なり」という言葉を素直に実感することができる。それが、芸事の本来あるべき姿でもあるはずだ。 (文=オグマナオト)

『アメトーーク!』だけじゃない! “継続は力なり”で人気をつかんだ「高校野球大好き芸人」たち

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『渡部・ザキヤマの高校野球研究部』より
「スポーツを語る」番組は年々増えている。だが、熱狂的なマニアやファンも多いだけに、ときに大きなバッシングを受ける。  12日深夜に放送された日本テレビ系『ナカイの窓』の「野球 VSサッカー企画」が、その顕著な例だ。  SMAP・中居正広を筆頭とする野球好き、ペナルティ・ヒデをはじめとするサッカー好きの芸能人、アスリートに分かれて「それぞれの競技の魅力」を語り合うというこの企画。いいとこ取りをしようとして内容が薄くなったばかりか、結果的に相手競技をけなす方向に走ってしまい、双方のファンから反感を買った。  中居は、芸能界きっての野球好きであるし、深い知識があるのは間違いない。今年からは「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)で連載コラムも始まった。披露すべきは、その深い野球愛と知識のはず。これは、中居の問題というよりも企画の問題ではあるのだが、実にもったいなかった。  一方、ネットを中心に好評だったのが、16日に放送されたテレビ朝日系『アメトーーク!』の「高校野球大好き芸人SP」。筆者は野球媒体での仕事もしているが、野球ライター、編集者といった専門の人間からも評価する声が多かった。  ひな壇に座ったのは、アンジャッシュ・渡部建、大友康平、長島三奈、TIM・レッド吉田、山崎弘也、いけだてつや、トータルテンボス・藤田憲右、バブルズマンション・池田和希、かみじょうたけし。  彼らが語る高校野球の話がなぜ面白いかといえば、普段から、そして何年も前からこの「高校野球トーク」に磨きをかけていたからだ。そして、世の高校野球マニアに負けず劣らず、芸人たちのマニア度、高校野球愛はすさまじい。その愛情をストレートに、出し惜しみすることなく披露するから、「高校野球大好き芸人」企画は毎回、好評を博している。 『アメトーーク!』で高校野球企画がスタートしたのは2014年。だが、彼らはそれ以前、10年頃から、どうすれば高校野球の魅力が伝わるのか、舞台や雑誌を中心に挑戦し続けてきた。だから、年期も違うし、必死さも違う。  今回の「高校野球大好き芸人SP」で彼らの話術に興味が湧いたとすれば、普段から続けている「高校野球トーク」にも目を向けてもらいたい。  たとえば、「芸人×高校野球」の旗印のような存在になった渡部は先月、『ワタベ高校野球の味方です。』(KADOKAWA/角川マガジンズ)を上梓。Amazonレビューは、驚くほどの高評価ばかりだ。  この渡部を筆頭に、いけだなどのプロダクション人力舎の面々が手弁当で始めたトークイベント「人力高校野球観戦部 高校野球大好き!!ナイト」はもう5年以上続く人気企画。今月のイベントはすでに終了しているが、甲子園大会終了後の8月26日には大会振り返りイベントが予定されている。  このイベント、来場者の半数が女性。しかも、しっかりと知識を備えたファンが多い。そんな来場者を満足させるため、渡部は忙しい今も地方大会を追いかけるし、いけだは甲子園期間中、球場そばで野宿をしながらベストポジションでの観戦を続ける。  トータルテンボス藤田は今月、『ハンパねぇ!高校野球』(小学館よしもと新書)を上梓。これを記念して、7月30日からの1週間、東京・神保町花月で高校野球がテーマのミュージカルやトークイベントを実施。また、今年公開された高校野球の伝説的監督にまつわるドキュメント映画『蔦監督』をプライベートで応援するなど、公私にわたっての高校野球漬けだ。  彼らの高校野球への深い知識量と愛情に目を向けたのが、夏の甲子園大会主催者である朝日新聞と、『熱闘甲子園』を制作する朝日放送。『渡部・ザキヤマの高校野球研究部』なる無料動画を、両社が手がける高校野球情報専門サイト「バーチャル高校野球」で公開。渡部と山崎、いけだの3人がAKB48・入山杏奈も交えて、高校野球のディープな話題を饒舌に紹介する。この企画は甲子園開幕の前日、8月6日にもABCテレビで放映予定だという。  高校野球の映像は、これまでバラエティで使用するのは御法度だった。それがここ数年、高野連の対応が急に軟化。テレビ朝日・ABC系列を中心に使用許可が下りるようになってきた。昨年の「高校野球100年」、さらには2年後に控える「第100回 記念大会」を前に、高校野球人気をより盛り上げようという狙いがあるのは明白。そこに、芸人たちの長年の努力がピタッとハマった形だ。  彼らを見ていると、「継続は力なり」という言葉を素直に実感することができる。それが、芸事の本来あるべき姿でもあるはずだ。 (文=オグマナオト)