偏差値78の売れっ子AV男優・森林原人 8,000人超とヤッてたどり着いた「セックスの本質」とは?

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 偏差値78の超進学校を卒業しながら、なぜかAVの道へと進み、今までに8,000人以上の女性とセックスをしてきた、売れっ子AV男優・森林原人(もりばやし・げんじん)。  仕事でそれだけセックスをしていれば、さすがにプライベートでセックスする気なんてなくなるだろう……と思いきや、彼女やセフレともガンガンヤリまくっているという。彼女はともかく、セフレまで作るなんて、なんという性獣っぷり!    そんな森林原人が、初の書き下ろしエッセイ『偏差値78のAV男優が考える セックス幸福論』(講談社)を上梓した。  心からセックスを愛し、セックスをしまくってもいる男の考える「セックス幸福論」とは、どんなものなのか!? ■社交ダンスサークルに絶望してAV男優に ――今回の本、要は「いろいろあるけど、セックス最高!」という内容だと思いますけど、あまり原人さんのプライベートなセックスについては書かれていなかったので、まず童貞喪失について教えてください。 森林原人(以下、原人) 童貞喪失は高1です。中学から筑駒(中学受験の最難関校)という男子校に入ったせいで、女の人との接点がなくなっちゃって、唯一のチャンスが文化祭に来た女子だったんです。それで、文化祭に来た桜蔭学園(超難関女子校)の中3の子と仲良くなって、なんとかペッティングまではできたんですけど、門限にうるさい家で、ダメになっちゃって……。しばらくして、その子の友達から連絡が来たんですよ。「○○から聞いたんだけど、キミってエロいんだって?」って。会ったこともないのに! ――女子校の情報網って、スゴイですね。 原人 怪しいなとは思ったのですが、「私、Fカップなんだ」って言うんですよ。おまけに「早稲田の大学生と半同棲している」とも。これはめちゃくちゃエロい女だぞと。もう童貞喪失のチャンスだと思って、高1と中3で渋谷・道玄坂のバーに行きましたね。でも、酒飲んだら一杯で真っ赤になっちゃうし、話も進展しないしヤバイなーって……。それから宮益坂のカラオケボックスに行って「ここしかない!」と、ガッと抱きついてFカップを激モミしました! ――展開が急! 原人 さらに股間を触ったんですけど、AVじゃモザイクがかかっていたから、クリトリスと穴を探しても全然わからないんですよ。でも、わからないなりに必死でまさぐっていたら「じらさないで」って(笑)。 ――すごい高等テクニックだと勘違いされたんですね。 原人 それで、あっちから「もう我慢できない、ホテル行こ」と言われ、円山町のホテルに行ったんですけど、童貞だからコンドームの着け方もわからないんですよ。焦れば焦れるほど、チンポはしぼんできちゃうし……。    結局、女の子から「表裏逆なんじゃない?」と指摘されて、フニャフニャになってるチンコの上にゴムを着けて。もちろんスカスカですよ。そんな状態なのになんとかねじ込み、先っちょだけが辛うじて引っかかってるだけなんですけど、AVの見よう見まねで腰を振りました。そしたら全然気持ちよくないんですよね……。当然っちゃ、当然なんですが、童貞だったからよくわからなくて、仕方ないからイッたフリをして「今までで最高のセックスだったよ」と腕枕しながら言ってみました。その後、連絡が取れなくなっちゃったんで、童貞だってバレてたんでしょうね。まあ、それでボクの中では童貞を捨てたってことになりました。 ――え、それで童貞喪失オッケーなんですか? 原人 いま思うと童貞喪失できてないですけどね、射精してないんだから。それからお年玉を持って、横浜・黄金町のちょんの間に行きました。さすがに最初から風俗っていうのはイヤだったけど、もう素人の子で童貞喪失したんだから、ということで。黄金町ではキレイなお姉さんは1万円、おばちゃんは8,000円、さらに奥に6,000円でいいよというデブのババアがいて……6,000円でいこうと! そこで本当の意味での童貞を捨てましたね。それからはもう、黄金町に通いまくり! 家庭教師のバイトした金でちょんの間に行って、お気に入りのタイ人に「いつか結婚しよう」みたいな話までしていましたから。 ――高校生の時ですよね!? 相手は何歳だったんですか? 原人 33歳くらいですかね。いま思えば故郷に旦那や子どもがいたんでしょうけど、当時のボクは、それが愛なんだって思ってたんですよ。そんなことやってるから当然、大学受験にも失敗して、一浪して専修大学文学部心理学科に入りました。  大学では社交ダンスサークルに入ったんですけど、なぜかボクだけパートナーを組んでもらえず、ひとりで鏡に向かって練習していて……。みんながキャッキャしている中、先輩から「ほら~、彼も仲間に入れてあげなよ、かわいそうじゃん」みたいなことを言われて、いたたまれなくなっちゃったんですね。「もう、こんなところにはいられない!」と。そんな時、エロ本に男優募集が載ってたんで、ヤケクソで応募したんです。そこからずっとAV男優一本ですね。 ――社交ダンスサークルがきっかけで、AV男優に!
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■不倫のほうが真実の愛! ――セックスをヤリたくて仕方がなかった人生から、ヤリまくりのAV男優になれて大満足という感じですか? 原人 うーん……確かに性欲が満たされるのはうれしかったんですけど、だんだんとそこに心のスキマができて、彼女が欲しくなってくるんですよ。 ――AVの現場でセックスするだけじゃなくて、愛情が欲しくなっちゃう? 原人 なっちゃう、なっちゃう! ――女優さんも、現場でセックスしたからって、本気になられても困るでしょう。 原人 はい。ハメ撮りの時、女優さんの耳元で「本気で好きになっちゃいそうだよ」ってささやいたら、「あの男優、なんだか勘違いしていて気持ち悪いです」ってNG食らったりしました。そういう失敗もありつつ、セックスしたからって通じ合えたわけじゃないとか、いい意味でセックスに失望できた。それと、AV現場でのセックスだけじゃなく、プライベートのセックスもそれなりにあったからこそ、幅広くセックスを知れたのかなと思いますね。  AVでのセックスって、見せるための「プレイ」ですから。プライベートな、密室での1対1のセックス、同棲して「子どもができてもいいね」みたいな話をしながらの中出しセックス、ケンカをした後の仲直りセックス……そういったものとは全然違いますね。 ――本の中では、愛情と性欲を分けて考えたほうがいいと書かれていましたけど、やっぱり愛情があるセックスのほうがいい? 原人 まあ、愛情と性欲が合致しているセックスが理想だとは思います。でも、それがセックスの唯一のあり方だとは考えないほうがいいということですね。愛情と性欲が切り離されたセックスも、それはそれでアリと考えれば楽になれるし、結婚とセックスも切り離して考えられるようになる。そっちのほうが自然じゃないですか。 ――セックスする相手は、恋人や結婚相手に限定しなくてもいいんじゃないかと。 原人 そうそう! AV女優さんって、彼氏とか旦那さんに内緒で来てる人がすごく多いんですよ。……たまに旦那さん公認、彼氏がスカウトマンっていうような人もいますけど。基本的には、本命の彼氏なり、旦那さんなりがいるのに、内緒で来ている。そういう人たちがなんでAVに出るのかというと、お金もありますけど、最近の人はほとんど性欲からなんですよね。 ――そうなんですか!? 確かに、今はAVに出たところで、そんなに儲かるイメージもないですが。 原人 儲かる人は儲かりますけど、パンツを脱げば誰でも仕事があるっていう時代じゃないですからね。「ヤリたい」っていうモチベーションがないと、続けられない仕事だと思います。そういう女性たちが、ボクたち男優と絡んで「今までで一番気持ちよかった!」とか言ってくれるんですよ。本命の彼氏が別にいるのに! だから、愛がなくても気持ちよくはなれるんですよね。それに、外でセックスしてくることで、愛する相手に全部を求めなくて済むようになり、優しくできるみたいなこともあるし。1対1の関係で性欲を満たし続けるのは、至難の業ですよ。 「愛がなくちゃダメ」とか「好みのタイプじゃないと感じない」みたいな要素を引っぺがしていくと、セックスの核が見えてくるんです。その結果、ボクがたどり着いたセックスの本質とは「孤独の克服」ですね。 ――それは、承認欲求みたいなものですか? 原人 うーん……ちょっと違いますね。承認欲求っていうのは、どちらかというと思考とか理性の動きなんですよ。孤独の克服は、もっと本能的なところです。よく「生まれてくるのもひとり、死んでいくのもひとり」って言いますけど、赤ちゃんは、お母さんから生まれた時点で孤独になるんです。その孤独を、親に抱きしめられることによって克服する。もうちょっと大きくなったら、家族に囲まれたり、友達を作って克服する。セックスってそれと同じことで、孤独の克服をするために、肉体を通して2人が深くつながる行為なんだと思うんですよね。 ――愛情とか結婚とか関係なく、もっと本能的にセックスを考えたほうがいいと。 原人 本能的に興奮して、そこに感情からくる欲情が混ざるのが理想ですね。いま言われているような、セックスは愛の行為だとか、証しだとか、そういった常識を一回取っ払ったほうが、セックスをもっと楽しめると思います! 愛がなくても気持ちよくなれるし、愛があっても気持ちよくなれないこともある。 ――じゃあ、ベッキーやファンキー加藤も、オッケーということになりますよね? 原人 ボクから言わせたら、不倫のほうがよっぽど真実の愛の可能性が高いですよ! 結婚っていうのは、社会的制度に縛られているだけですからね。不倫は、そういう制度を飛び越えてでもくっつきたいという純粋な愛の場合もありますし、デキ婚のほうが純粋な愛の順序として正しいんですよ。不倫は、ロミオとジュリエットの愛に近いですよ。家柄に縛られて、結ばれてはいけない禁断の関係。今の人たちだって、自由に恋愛しているようで、社会が決めたなんらかのルールや価値観に縛られてる。 ――計画的に避妊したり、結婚したから子ども作ろうというのは不純だと。 原人 不純とまでは言いませんし、もちろん、子どもを作る気もないのに避妊しないのは無責任だと思いますけどね。後悔したり、どちらか一方でも傷ついたりするセックスはよくないので、99%欲望に突き動かされたとしても、1%の理性でコンドームはしたほうがいいとは思います。
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■最近のヤリマンは、ポジティブにセックスを楽しんでいる 原人 人間の三大欲求って食欲、睡眠欲、性欲なんですよ。趣味・特技で「食べ歩き(=食欲)」「どこでも寝れる(=睡眠欲)」とか書いている人がいますけど、これって「セックス好き(=性欲)」って言ってるようなもんじゃないですか。「大食い選手権」なんて、「ヤリマン選手権」ですよ! それなのに、どうして性欲だけが後ろめたいことになっちゃっているのか!?  性欲だけが唯一自分ひとりで完結できない欲求だから、というのはあります。相手の自由を奪う可能性もあるし、暴力性も含んでくるから、社会的に性欲は制限しなくちゃいけないと考えられてしまう。でも、もっとシンプルに、性欲を本能的な欲求として考えたほうがいいと思うんですよね。もっと性についてオープンに話せる場があったほうがいいし、もっと女性の性欲もオープンになってほしい。……まあ、そうなると、男の肩身は狭くなりますけどね。今までは、一方的に男の性欲を押しつけていればよかったんだから。 ――男のセックスやチンコを評論する女性が出てきていますからね。 原人 性にオープンな女性が出てきたことで「ヤレる女が増えた!」と思いきや、男が評論される側になってしまったんです。でも、それも含めて楽しまないと。男にも女にも拒否権があるし、積極的になってもいい。そういうセックスがいいですよね。「あの男イカせてくれないんだよね」なんて女性がいますけど、実はそれって男の理屈にハマッてるだけなんですよね。イケるように、自分からどんどん働きかければいいんです。 ――そういう、性に積極的な女性が増えている実感はありますか? 原人 ありますね。ヤリマンの歴史をたどるとわかるんですけど、20世紀のヤリマンは、男に利用されるヤリマンだったんです。「アイツ、いつでもヤレるから」みたいな利用のされ方をしていた。それが21世紀に入って、承認欲求のためのヤリマンになってくる。「私はヤリマン」みたいな雰囲気を出すと、男からはチヤホヤしてもらえるから。    そして最近のヤリマンは、ホントにポジティブにセックスを楽しんでいるんですよ。「セックスって楽しいじゃん!」「誰とでもヤレばいいじゃん!」って。その代わり「アイツはヘタだから、もうやらない」みたいなことも言われてしまうんです。 ――草食系男子と呼ばれている、あまりセックスをしない若者って、その変化についていけていないのかもしれませんね。 原人 セックスをすることによって傷ついたり、リスクを負うことを、極端に怖がっている人はいますよね。確かに病気や妊娠のリスク、自分が傷ついてしまうこともあるかもしれない。でもそれ以上に、セックスをすることによって、いいことも多いんですよ。  ボクなんか、人生の挫折をたくさん味わってきて、それこそネットとかでしょっちゅう「アイツ死ね」とか「クソ原人め」とか書かれて落ち込んだりもするんですけど、あらゆる世の中のイヤなこと全部が、セックス一発で克服できたりするんです! それがセックスの持つパワーですね。特に、幸せなセックスで得られる「全肯定感」で、落ち込んでても、将来への不安でいっぱいになっていても、いいセックス一発することによって、全部受け入れてもらえたと思え、吹っ切れるんです。もちろん一時のことですが、その感覚って、ほかではなかなか味わえないですよ。  極端な話、戦争している国のトップがセックスすれば、すぐに仲良くなれますよ! ベネトンが、そんな意図があるんじゃないかって広告出していたけど、それくらいの全肯定感があるし、理屈じゃない部分で納得できるんです。仲直りセックスって、そういうことですよね。 ――問題がまったく解決してなくても、セックスしたらごまかされちゃいますもんね。 原人 今の子たちって情報が多すぎて、セックスをしてなくてもわかったような気になっていると思うんですよね。こんなもんだろ、とか、こんな面倒くさいことがあるらしいぜって。でも、知ってるのと経験しているのは、全然違いますから。「食べログ」をどんなに見ても、実際に食べてみなければ、どれほどおいしい料理なのか、もしかしたらマズいけど自分は好きな味なのか、わからないですもん。だから、風俗でも彼女でもいいので、どんどんセックスしてみてほしいです!
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■愛している人がほかの男とセックスしたら……燃えちゃう! ――原人さんは、セックス経験は豊富ですけど、結婚はまだですよね。もし結婚することになったら、どんな結婚生活を送ると思いますか? 原人 もしボクが結婚するなら、男優を続けていようがいまいが関係なく、ボクもほかの人とセックスするし、奥さんにも「してきていいよ」って言いますね。 ――それが自然な結婚の形だと? 原人 結婚自体が社会制度だから、“自然な結婚”って言葉自体が意味をなしていないんですが。ボクは現行の結婚なんて、制度自体無理があると思っています。理想は不動産の賃貸みたいに2年更新制。けど、現実問題として今の日本で子どもを育てていくには、制度に乗っかっていたほうがいい。だから結婚した上で、お互い自由にセックスを楽しむという関係性がいいんじゃないですかね。ほかの人とセックスしてもいいけど、子どもは作ってこないでね、病気は持ってこないでね、って。そして、ほかの家庭には迷惑かけないから、うちはうちで、好きなスタイルでやらしてほしいと。 ――自分の愛する人がほかの男とセックスすることに関して、嫉妬とかは感じない? 原人 ……燃えちゃう! ――ああー(笑)。 原人 セックスしたからって、心まで持っていかれるわけじゃないですからね、男も女も。セックスは、たかがセックス。ただの行為ですよ。その上で、されどセックスだとも知っています。それに、いい女っていうのは、誰とセックスしても気持ちよくなれる女なんですよ。相手を選んで気持ちよくなる女なんて、ただのワガママ! それなら、誰とやってもマグロな女のほうがいいです。これ、モテないブ男の恨みつらみもこもってますが。  一徹というイケメンAV男優がいたんですけど、一徹と3Pするといつも女の子が一徹ばっかり見てるんですね。キスも必ず一徹と先にやる。「ボクともして~」って迫っても、すぐに一徹に戻っちゃう。最初はそういうのがイヤだったんですけど、今は「寝取り」みたいな楽しみ方ができるようになりましたね。「本当は一徹がいいんでしょ? でも、いま入っているチンポはボクので、それでキミは声を出している……。それを一徹に見られているよ~」って。 ――その境地にまで達するのは、なかなか難しそうです! (取材・文=北村ヂン)

二極化する世界への違和感──『FAKE』森達也が“ゴーストライター”佐村河内守を撮ったワケ

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撮影=後藤秀二
 オウム真理教の信者を追ったドキュメンタリー映画『A』『A2』の森達也監督にとって15年ぶりとなる単独監督作『FAKE』が、6月4日から渋谷・ユーロスペースほか全国で順次公開される。  今回は、あのゴーストライター騒動でおなじみの、元“現代のベートーベン”佐村河内守を追ったドキュメンタリー映画。  騒動の大きさとともに、あまりにもうさんくさすぎるルックスのせいで「ミスター・ペテン師」として日本中に知られることとなった佐村河内氏を、森監督がどう料理するのか!? いろんな疑惑を暴いてくれるんじゃないか? ……と、公開前から期待が高まりまくっている『FAKE』だが、森監督のカメラに切り取られた佐村河内氏は、ワイドショーなどで繰り返し紹介されていた「ペテン師」キャラクターとはまた違った面を見せており、映画を見た人は良くも悪くも、佐村河内氏をちょっと好きになってしまうことだろう。  とにかく、何がフェイクで何がフェイクじゃないのか? そもそも、これは本当にドキュメンタリー映画なのか!? ……など、余計なことまで深読みしまくって、いろいろと語りたくなってしまう映画『FAKE』が、今年最大の話題作となるのは間違いなさそうだ。  ……というわけで、公開を記念して森達也監督に『FAKE』について話を訊いてきたのだが、訊けば訊くほど、ズブズブとフェイクな沼にハマっていくような感覚も……。とりあえずみんな、映画を見て、自分で判断してくれ! ■「フォトジェニックだな」と思ったから ――まずは、『A』『A2』『311』ときて、なぜいきなり佐村河内さんだったのかというのを聞きたいのですが。  彼に会ったから。 ――それだけですか?  はい。 ――もうちょっと何かあるのでは?  ……そもそも、彼のことを知りませんでした。新垣(隆)さんの記者会見に端を発して例の騒動になったときも、「へえ、こんな人がいたのか」くらいの感じです。それからしばらく過ぎて、2014年の8月頃に、知り合いの編集者から「佐村河内さんの本を書きませんか?」って依頼が来たのだけど、最初は断りました。忙しかったし、あまり興味もなかったし。 ――あのゴーストライター騒動自体には、興味がなかった?  はい。でも、その編集者が、とても熱心に誘ってくれたんですね。「メディアの報道とはまったく別な面が見られるから、一度会ってみてほしい」と。それで、話のタネになるかな……くらいのレベルで、佐村河内さんの家に行った。2時間くらい話してから、「あなたを映画に撮りたい」と言いました。 ――そのとき編集者は?  隣の椅子で呆然としていました。申し訳ないことをしちゃった。 ――本を書いてほしいと頼んでいたのに……! 会う前は興味のなかった佐村河内さんを、急に撮りたいと思ったのはなぜですか?  彼が話す内容自体よりも、「フォトジェニックだな」って思ったんです。佐村河内さんだけじゃなくて奥さんもいて、猫もいて、ベランダに出たら、すぐそこに電車が走ってて……そういった、いろんな要素がね。これは活字じゃなくて、映像向きだなと思ったんです。 ――佐村河内さんは、すぐにオッケーしてくれたんですか?  その場では、即答してくれなかったですね。奥さんも嫌がった。でも、奥さんが撮れないんじゃ、成立しないと思っていた。 ――まあ、奥さんからしたら、撮られるメリットはないでしょうからね。  マイナスですよ。佐村河内さんはほとんど部屋から外に出ないけど、奥さんは買い物や銀行に行ったりする。この映画で顔を出したことによって、もしかしたら買い物にも行けなくなるかもしれないですから。 ――奥さんがオッケーした決め手は、なんだったんでしょうか?  明確に許可はもらっていないです。なし崩しです。映画の冒頭で、テーブルの上にカメラを置いて「たぶんここは使わないから」とか言い訳をしながら撮影しているカットがありますけど、あの時点では、奥さんの撮影はダメだったんです。その後、なし崩し的にオッケーにしちゃったんです。
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■当たり前だけど、全部グラデーションなんです ――やっぱりみんな気になるのは「耳は聞こえるのかどうか」「作曲しているのかどうか」という点だと思いますけど、森さん自身はこの疑惑に対して、どういったスタンスで撮影をしていこうと思っていたんでしょうか?  うーん、事実なんて僕にはわからないですから。それまでいろんな報道を見てきて「ずいぶんウソをついている人なんだな」と思っていたけど、実際に会って話を聞いたら「そうではない」と彼は言う。それで、映画の中にも出てくるいろんな資料を見せられたりして……。それ自体には強い興味を惹かれなかったんですが、一生懸命それを説明している彼と、手話通訳する奥さんと、向こうにいる猫と……その状況が面白かったんです。  まあ、いずれにしても、「どっちが正しい、どっちが間違っている」と決めつけるメディアや社会に対して、違和感があったことは確かです。佐村河内騒動が起こるちょっと前に、食品偽装問題ってあったでしょ? 大正エビと思って食べていたら、別のエビだったからけしからんとみんなは怒っていた。でも、おいしければどっちでもいいじゃんと思うんだけどね。STAP細胞騒動もほぼ同じ時期です。それから朝日新聞の従軍慰安婦報道騒動。あの時は産経、読売……とほぼ全メディアが、「国賊」とか「反日」などの語彙を使いながら朝日を罵倒しました。でも「吉田証言」を根拠にした記事を出したのは、ほかのメディアも同様です。確かに朝日は回数が少し多かったかもしれないけれど、それを理由になぜここまで無邪気に叩けるのか、僕にはさっぱりわからない。  これら全部に共通していることは、真実か虚偽か、正義か悪か、極端に二分化されているということです。それがとても気持ち悪くて。現実ってそんな単純なことじゃないはずなのに、なんでこんなに二極化が進行しているんだろうっていう気持ちがあったんですね。  もしかしたら、彼を撮ることで、そういうことに対しての違う視点みたいなものを提示できるんじゃないか……という、直感みたいなものがあったのかもしれないですね。……まあ、半分は後付けの理屈だけど。 ――ネット時代になって価値観が多様化したかと思いきや、「叩いていいぞ」っていう人が出てきたらみんなで一斉に叩きまくって、擁護する人間は許さない……みたいな傾向は強くなっていますよね。  葉っぱを絵に描こうと思った時に、緑色の絵の具をそのまま使う人はまずいないでしょ? そこに茶色を足したり、黄色を足したりするじゃないですか。それがリアルであって、世界なんです。でも今のメディアは、わかりづらいとの理由で、情報を四捨五入して簡略化してしまう。その帰結として、世界が原色になる。雪は白だし空は青。つまり世界が矮小化される。ならば、それこそがフェイクです。しかも扁平。どんどん世界がつまらなくなって、息苦しくなっているなと感じています。別に、みんなが「黒だ」と言っていることを「白だ」と言うつもりはないけれど、「もっと間にいろんな色があるんだよ」とは言いたいですね。 ――聞こえる、聞こえないの間に、いろんな要素があるということを言いたかったと?  佐村河内さんの症状は、「感音性難聴」です。聞こえる音と聞こえない音があるらしい。たとえば、こういう音(机をコンコン叩く)は聞こえるんですね。彼は「曲がって聞こえる」と言っていますが。体調によっても、聞こえる日と聞こえない日があったり。それに彼は口話ができるから、相手の口の動きで、言っていることが読み取れたりもする。でも、初対面の相手だとほとんど読み取れない。……だから、全部グラデーションなんです。さまざまな色があるんです。当たり前のことだけど、1か0かじゃない。  でも、メディア的には「聞こえるか聞こえないか」になってしまう。それまでは「全聾の天才作曲家」と呼ばれ、騒動後は「聞こえているのに聞こえてないフリをしていたペテン師」です。間の領域が見事にない。 ――そういう症状について、映画の中では、あまり細かく解説はしていないですよね? 解説があったほうが、わかりやすいかなとも思うのですが。  もちろん、わかりづらいよりはわかりやすいほうがいいけれど、わかりやすさを求めるベクトルは、四捨五入や単純化と同義です。慎重さは必要です。  実際に存在するものしか撮れないからこそ、ドキュメンタリーにおいてはメタファーが重要だと僕は思っています。つまり暗喩。何かを撮りながら、違う何かを想起させる。その意味で、この映画では、聴覚障害は重要な要素ではあるけれど、メタファーの材料でもあるわけです。それを正確に理解することへの優先順位は、必ずしも高くはない。  最初に撮影を依頼したとき、同時に「あなたの名誉を回復する気は全然ない。自分の映画のために、あなたを利用したい」と僕は言いました。彼も、それは納得してくれました。そもそも感覚は、他人には絶対に共有できない。僕が見る黒色は、誰かにとってピンク色かもしれない。正解は誰にもわからない。どこまで行ってもグレーゾーン。そこを白黒ハッキリさせるということが、この映画のテーマじゃないので。 ――森さんの表現のために佐村河内さんを利用するということですが、映画の中で、いろいろと演出をしているじゃないですか。「アレをやってください」「コレをやってください」って。ドキュメンタリーを撮るにあたって、撮影者の作為が入ってくるのはアリだと思いますか?  全然アリというか、それが当たり前です。辞書で「ドキュメンタリー」って引くと、演出や脚色の一切ない客観的な……どうのこうのって書かれていますけど、ならばそれは監視カメラの映像です。映画は作品ですから、僕の作為や視点は当然反映されます。  ドキュメンタリーの演出は、化学の実験に似ていると思います。ここにフラスコがある、そこに被写体を入れます、それを火であぶったり冷却したり振ったり、場合によっては、僕がカメラを持ってフラスコの中に入っていったりもする。その過程とか相互関係を描くのがドキュメンタリーだと思っています。そもそもカメラが撮れるのは、カメラによって変容した事実です。人は誰だって演技します。だから、こっちから仕掛けるのは当たり前のことです。客観的にカメラを回しても、作品になるわけがない。というか、主観がなければ、編集はワンカットもできないし、カメラもフレームを決めることはできません。 ――だからこそ、森さんから「アレをやってください」と提案しているところまで含めて映画の中に入れているんですね。  だって相互関係だから、僕の座標軸も示さなくちゃいけない。『A』も『A2』も、全部その座標軸を出しているはずです。でも、テレビのつまらないドキュメンタリーって、作為や主観を隠して、カメラをないものとしてしまう。そのほうが客観的に見えるから。でも、客観的な映像などありえない。 ――新垣さんが浮かれたテレビ番組に出ているのを佐村河内夫妻が見ているシーンなんかも、森さんからの提案なんでしょうか? 佐村河内さんからしたら、あまり見たくない番組だと思いますが。  意図的に見せようとしたわけじゃないですが、あの頃は、ほぼ毎日のように新垣さんがテレビに出ていたんで、撮影している中でテレビをつけると、相当な確率で新垣さんが出てくるんです。確かに佐村河内さんは「あまり見たくない」とは言っていましたけど、「見ましょうよ」くらいの提案はしましたね。 ――佐村河内さんが出演を断ったバラエティ番組に、代わりに新垣さんが出ていじられまくっているのを、暗い部屋の中で佐村河内夫妻が見ているのは、いろいろと印象的なシーンでした。  映画の中ではフジテレビのバラエティ番組がたまたま俎上に載っていますけど、メディアに関わっている人だったら、あの人たちと自分との違いなど口にできないはずです。僕だってあの立場なら、きっとああいうことをやりますよ。本人に悪意はなくても、表現は絶対に誰かを傷つけるんです。テレビの場合は、忙しすぎてルーティーンになっちゃってますから、そればっかり考えていたら前に進めなくなるというのはわかりますけど、たまには自分たちが人を傷つけているんだっていうことを意識したほうがいいと思います。  僕がテレビをやっていた時代の先輩たちは、そういう意識があったと思う。「どうせオレたちはハイエナだ」とか「人の不幸を飯の種にしているんだ」などと。つまり、後ろめたさです。メディアに携わるのなら、この意識だけは持ち続けたほうがいい。でも、今はテレビ局が超優良企業になってしまい、その意識がとても淡くなってしまった。後ろめたさをなくしたら、報道は正義になってしまう。それは絶対に違います。 ――あのバラエティ番組のほかに、報道番組からの出演オファーがあって、そっちには佐村河内さんが出演したらしいですね?  その番組では彼のインタビューを、僕から見ても、とても公正に紹介しました。ところが、その番組は、まったく話題にならなかった。誰かを叩いたり、ちゃかしたりする番組は話題になるのに、真摯に彼の言葉を紹介した番組だと全然話題にならない。 ――そうなると、視聴率を追い求めるテレビ番組では、そういう言葉を紹介できなくなっちゃいますよね。  つまり市場原理です。メディアは社会の合わせ鏡として機能する。よく「マスゴミ」などと嘲笑する人がいるけれど、それは自分たちをゴミと言っているに等しいんです。
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■佐村河内さんはチェックしていません ――映画の中で、森さんが佐村河内夫妻に向かって何度も「僕のことを信じていますか?」と言っていますが、あれはやはり信頼関係を築かないと、この映画は撮れないと思ったからですか?  うーん……。信頼関係ってよくみんな言うけど、信頼関係なんてなくてもドキュメンタリーは撮れるんです。だって、『ゆきゆきて、神軍』の原一男さんと奥崎謙三に信頼関係があるかっていったら…… ――ないでしょうね(笑)。  それでも、あんなにスリリングなドキュメンタリーが成立する。みんな「被写体との信頼関係が前提」とか言うけど、僕は全然そう考えてないですね。 ――じゃあ、なぜ「信じていますか」と、しつこく言ったんでしょうか?  誘導や挑発かもしれないし、手練手管かもしれないし、でもどこかで本音かもしれない……。自分でもわからないですよ。さらに、その場面を映画の中で使っているということにも、何か意味があるのかもしれない。編集には、必ず意味はありますから。説明できるかどうかは別にして。 ――映画の着地点はどこにしようと考えながら撮影していたんですか?  撮り始めた頃は、全然想像つかなかったですね。多くのドラマだったら「ラストはこうしよう」と決めてから撮りだしますけど、ドキュメンタリーですから。まったく手探りで始めています。 ――ある時点から、佐村河内夫妻のラブストーリーを撮ろうという意図を感じたんですが。  うん、そういえばそうだ。ラブストーリーが撮りたかったんだと思いますよ、最初から。 ――本当ですか?  北村さんの誘導かもしれない。 ――(笑)。ラスト近くに、森さんはいなくて、夫妻がお互いに撮影をし合っているという、いいシーンがありましたけど、あれはカメラを預けて撮ってもらったんですか?  カメラを預けたんじゃなくて、2人が自主的にスマホで撮っていたんです。あの時期、もうどうにもこの映画を終わらせられそうになくて、僕は行き詰まっていた。だから、しばらく会いに行かなかったんです。でも、僕が行かない間に彼は、ある行動を起こしていた。何度か「来てください」っていう連絡は来てたんだけど、行く気がしなくて、ほったらかしにしていたんです。  それで、しばらくぶりに行ったら、随分進行しちゃってて。その間の映像がないのはマズイなと思っていたら、奥さんがスマホで撮っていたというんで、それを使わせてもらったんです。 ――そこで、落としどころが見つかったなというのはありましたか?  そうですね。ひとつの終わりにはなるかもな、って感じはしましたね。 ――ところでこの映画、佐村河内さんは内容のチェックをしているんですか?  今の段階では、厳格にはしていません。音が聞こえないんだから、見てもわからないでしょ? まあ、簡易なテロップをつけたものは見てもらいましたけど。ただ撮影中から、「映画は監督のものなので、自分は何も言いません」とは言っていました。その覚悟はしてくれていたと思います。
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(c)2016「Fake」製作委員会
■僕の手のひらの上で勝手にやってね ――「誰にも言わないでください、衝撃のラスト12分間」というキャッチコピーがつけられているので、よっぽどのことがあるのかと試写会で身構えてしまったんですが、僕個人としては、別に言ってもいいんじゃないかなと思ったんですが……。  編集が終わって、宣伝についての打ち合わせの段階で、「ホラーかサスペンス映画で、こういうフレーズがあったよね」ということでつけただけのキャッチコピーなんです……。どうせ(試写を見た)誰かが言っちゃうだろうと思っていたけれど、今のところは誰も言ってないですね。まあ約束うんぬんのレベルではなくて、知らずに見たほうがいいかなと自制してくれたような気がします。それは、とてもありがたいです。 ――『FAKE』というタイトルも相まって、サブカル界隈の著名人たちがいろいろと深読みをしていますが、このタイトルには、どういう意味があるんでしょうか?  深い意味はないです。最近、誰かに言われて気づいたのだけど、僕の映画って今回だけでなく、『A』『A2』『311』と、全部アルファベットと数字しか使ってない。意識のどこかで「意味を出したくない」というのがあるんだと思います。普通、タイトルって、映画全体の意味を凝縮させるわけでしょ? でも「凝縮しちゃダメだろ」と常々思っていて。本来もっと多面的なのに、なんで凝縮しちゃうんだと。今のメディアに対する違和感と同じですね。だから本当はタイトルなしが一番いいんですけど、さすがにタイトルがないと興行できないから、とりあえず『FAKE』と。それも相まってなのか、多くの人が深読みしすぎて、「あそこがフェイクじゃないか」「外国人記者がフェイクだ」「奥さんがニセモノなんじゃないか」とか、いろいろ言われていますけれど……。 ――町山智浩さんが『オーソン・ウェルズのフェイク』との関連性を指摘していましたが、そんなことは……?  その映画、見たことないです。 ――ああー! みんな考えすぎですね。  チラシに「視点や解釈は無数です」と書きましたけど、ちゃんと作品で誘導しているつもりですから、本気で自由に解釈してほしいと思って書いているわけじゃないです。「自由に解釈してもいいけど、僕の手のひらの上で勝手にやってね」というレベルです。まあ深読みする人がいたら、それはそれでいいかなとも思いますが。映像って、そういうものですから。最初に活字じゃなく、映像にしようと思ったのは。そういう想像を広げる余白がいっぱいある素材だなって思ったからです。 ――それでは、次に撮りたいと思っている題材は?  ……これもよく聞かれるけど、今は何も考えられないですね。さっきも言ったように、表現は必ず人を傷つけます。『A2』から15年間も新作を撮れなかった理由のひとつは、『A』と『A2』でたくさんの人を傷つけたという自覚があるからです。HPがほぼゼロになってしまった。今もまた、新作を撮り終えてほぼゼロになっちゃってるんで、ある程度時間がたって、また人を傷つける覚悟ができたら、次の題材を考える余裕が出てくるんだと思います。 (取材・文=北村ヂン) ●『FAKE』 監督・撮影:森達也 主演:佐村河内守 プロデューサー:橋本佳子 撮影:山崎裕 編集:鈴尾啓太 制作:ドキュメンタリージャパン 製作:「Fake」製作委員会 配給:東風  6月4日(土)よりユーロスペースにてロードショー、ほか全国順次公開 <http://www.fakemovie.jp/●同時公開『A2』完全版 森達也監督15年ぶりの新作『FAKE』公開に合わせ、2002年の劇場公開時カットされた幻のシーンを加えた完全版を、ユーロスペースにて上映。 6/18(土)~24(金)21:00 7/9(土)~15(金)21:00

ヘビメタ風衣装に奇妙なメイクで、珍奇な歌を熱唱! 謎のおじさん・ジャガーさんを直撃

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今日もキマってます!
 1980~90年代にかけて、千葉テレビやテレビ埼玉、テレビ神奈川で放送されていた自主制作番組『ハロー・ジャガー』の、あまりにもアバンギャルドな内容に、一部の好き者たちの間でカルト的な人気を誇っていたジャガーさんだが、最近『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)に登場して、再ブレークを果たしているらしい。  こんな、明らかにデンジャラスなおじさんが普通にテレビに出ているのもヤバイし、それが子どもからお年寄りにまで人気を得ているというのは世も末! 大丈夫か、日本!?  ジャガーさんのビジュアルや歌は見たことがあっても、実際問題どんな人なのか知らない人も多いと思うので、千葉県の本八幡にあるジャガー基地(?)に潜入して、ジャガーさんの正体に迫った。 ■ルーツはボブ・ディランやビートルズ!? ――ジャガーさんが一般に認知されたのは、千葉テレビで『ハロー・ジャガー』が放送されてからだと思いますが、その前は何をやっていたんですか? ジャガーさん ずっとバンドをやっていましたよ。バンド活動をしてて、インディーズで自主制作盤のレコードを出して、それを売るためにテレ東やテレビ神奈川、千葉テレビ、テレビ埼玉とかで、テレビCMを流したんです。 ――CMって、相当お金がかかりますよね? ジャガーさん かかりますよ! だったら、千葉テレビで番組を作ったほうが安いっていう話になって、1985年から番組(『ハロー・ジャガー』)に切り替えたんです。 ――番組枠を買い取るのも、それはそれで高そうですけどね。 ジャガーさん でも、スポットCMだと15秒。番組だったら、5分流せますから。 ――もちろん、そんなにバンドが儲かっていたわけじゃないですよね? ジャガーさん 本業が儲かってたんですね。昔は洋服直しからレストラン、美容室、看板製作とか、いろいろやってましたから。でも、今はもう全然ダメよ。 ――すごい実業家じゃないですか! ここも持ちビルですもんね。親から引き継いだ会社だったりするんですか? ジャガーさん いやいや、ひとりで。 ――一代でそれだけ儲かったんですね、スゴイ! 本業で儲かった分、バンド活動につぎ込もうという感じで? ジャガーさん バンドにお金をつぎ込んでましたねぇ~。もちろん、商売にも投資してましたけど。 ――バンドが売れたら、相乗効果で商売もさらに繁盛するんじゃないかみたいな思惑も? ジャガーさん いや、バンドと本業は別ですよね。 ――若い頃聴いていた音楽は、どのあたりなんですか? ジャガーさん ビートルズとか、ボブ・ディランとか、プレスリーとか……そういうのですね。 ――王道! ビートルズやボブ・ディランとは、まったく関係ない衣装じゃないですか。 ジャガーさん うーん、関係ないですね(笑)。自分の意思そのままですから、他人のマネをしたわけじゃないし。 ――着たい服を着たらこうなった、ということですね。ジャガーさんの「ジャガー」は、ミック・ジャガーから……というわけじゃないんですか? ジャガーさん 違います。 ――あ、そうなんですか? ジャガーさん まあ、ミック・ジャガーが好きだったから、ジャガーにしようかっていうのはあったんですけど……。 ――じゃあ、ミック・ジャガーのジャガーじゃないですか! ジャガーさん でも、もともとはジャガー星のジャガーですから。 ――ああ、そういう設定ありましたね。 ジャガーさん ジャガー星から来たんです!(このへんから設定を思い出したジャガーさん)
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12面マルチモニターを自由自在に操る、ジャガーさん。
■子どもの頃っていうのはない、最初からジャガー ――バンドを始めた当初から、ジャガー星から来たという設定だったんですか? ジャガーさん そうです。 ――じゃあ、バンドメンバーもジャガー星から来た? ジャガーさん バンドメンバーはジャガー星じゃないです。国内です。 ――国内で結成したと。ジャガーさんの出身は足立区北千住って聞いたんですけど、その辺りで? ジャガーさん (笑)。いや、ジャガー星です! ――なんでそこで笑っちゃうんですか(笑)。じゃあ、どうしてジャガー星から本八幡に来たんですか? ジャガーさん えーっと……昔、よくみうらじゅんに説明してたんだけど……。 ――ブハハハハ! 設定忘れちゃダメですよ! ジャガーさん あ、そうだ。ジャガー号という宇宙船に乗ってきました。千葉県の鋸山の頂上に着陸したわけであります。それが千葉県に来たきっかけでありますね。 ――子ども時代は、ジャガー星で過ごしたんですか? ジャガーさん 子どもの頃っていうのはないです。人間とは違います。最初からジャガーになってるんです。 ――ご結婚は? ジャガーさん そういうのはありません。 ――地球の女性には興味がない? ジャガーさん ありません(笑)。 ――好きな女性のタイプは? ジャガーさん ありません(笑)。ウフフフ……。 ――そういう話は、ちょっと恥ずかしいと。性欲とかはないんですか? ジャガーさん ウフウフフフ……ありません(笑)。一切ないですね、そういうことは。
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ジャガーマネキンまで!
■千葉のもおいしいけど、新潟の魚もおいしい ――ジャガー星から来て、バンドを組んで、テレビ番組を始めて……。知り合いからの反応ってありましたか? ジャガーさん 知り合いからの反応はないけどね。番組を始めたら、一般のファンからファンレターが来たりとか、ライブのお客さんが増えたりとか。すごかったですよ。 ――まあ、すさまじいインパクトの番組でしたもんね。あれは、全部自分で撮影して編集してたんですか? ジャガーさん そうですね。スタジオを作って、機材も買って。 ――大変ですよね。本業だけでも忙しそうなのに、さらにバンドをやって番組まで自分で作って。 ジャガーさん 自分の時間がない感じですね。バンド練習して録音して番組を作って……本当に大変でした。 ――しかも、放送枠を買い取って自主制作している番組だから、ギャラが出るわけじゃないですもんね。 ジャガーさん それもあって、全部やめちゃったんですよ、20年前くらいに。番組もやめて、バンドも解散して。そういう時期もありました。 ――それからは、どんな生活を? ジャガーさん ジャガーは、本当に一般の民間人みたいな生活をしていました。やんなっちゃったんだよね、あん時。レコード会社からCDを出したけどギャラもくれなかった。そういうこともあって、イヤになっちゃったの。テレビ番組の視聴率もパッとしなかったし、ライブにもお客さんがあんまり来ないし……。 ――活動を再開したのは、いつ頃からなんですか? ジャガーさん 活動は……10年前からですね。10年くらい休んで、10年前に「ファイト!ファイト!ちば」っていう曲を出して。 ――そこでかなり曲調が変わりましたよね。もはや、ロックでもなんでもないという。 ジャガーさん あれは、千葉テレビのキャンペーンに合わせて作ったから。 ――あ、千葉テレビからオファーがあって作った曲だったんですか? ジャガーさん 曲のオファーがあったわけじゃないんだけど、千葉テレビが「ファイト!ファイト!ちば」っていうキャンペーンをやるから、番組に出てくれって言われて。 ――やっぱり千葉テレビといえば、ジャガーさんだと。 ジャガーさん どうなんだろうな? 千葉に住んでる芸能人……マイク眞木とか何人かに声をかけてたみたいだけど。でも、カメラの前でしゃべってもつまんないから、じゃあ曲作ろうかって「ファイト!ファイト!ちば」を作ったの。そしたらすごく話題になって、ブレークしたんですね。それからボチボチ活動を再開したんです。 ――復帰してからのお客さんの反応は、どうでしたか? ジャガーさん うん、違いますね。 ――どう違いました? ジャガーさん そうだなー、基本的には一緒ですけどね。 ――どっちですか!? ジャガーさん でもちょっと違うのかな~? 前は、若い人がやたらと多かったよね。今は中年から子どもから、いろんな人が来てるから。 ――若い頃に『ハロー・ジャガー』を見ていた人も多いでしょうね。最近はチーバくんと絡んだりして、千葉県のローカルスターとしても定着していますけど。 ジャガーさん あー、あれは船橋ロフトが勝手に呼んだんだよね。なんかアレ、ぬいぐるみを貸してくれるから簡単に呼べるらしいよ。中身も、ロフトでよく使う人がいるからって。 ――それ、言っちゃっていいんですか!? ジャガーさん (笑)。ダメなの? ――曲を作るくらいだから、千葉県への思い入れは強いんですよね? ジャガーさん そうですね。今年は千葉テレビが45周年ということで「スマイルwithYOU」というキャンペーンをやるんですけど、それに合わせて、また千葉県の曲を作っていますから。 ――でも、千葉県出身じゃなくて、足立区北千住出身ですよね? ジャガーさん (笑)。ジャガー星! ――まあ、千葉県に長く住んでますからね。どの辺がオススメですか? ジャガーさん 全部いいですよ、全部いい。山もいいし、海もいいし。木更津に行けば、氣志團の翔くんがいるし……。 ――いるわけじゃないでしょ!? ジャガーさん 館山も富津も鴨川も白浜も勝浦も銚子も……海がいいですね。 ――ジャガーさん、魚が好きらしいですからね。どんな料理が好きなんですか? ジャガーさん お刺身。カツオが一番好きですね。この前、日テレのロケで越後湯沢に行ったんだけど、おいしいね、あっちの魚。 ――千葉の魚は、どうなったんですか! ジャガーさん 千葉のもおいしいけど(笑)。新潟の魚も、すっごいおいしかった。
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スマホケースやTシャツなど、ライセンス契約依頼がどしどし来ているそう。
■どんどん芸能界に、ジャガーが氾濫するんじゃないですか? ――そして、最近では千葉県出身のマツコ・デラックスさんの番組(『月曜から夜ふかし』)に出演してブレークしていますが、やはり反響はすごかったですか? ジャガーさん すごかったですね。去年の11月くらいからちらほら出るようになったんだけど、それからスゴイ! イベントやっても、すごい来る! レコード買った人にジャガーが握手したり、写真を撮ったりっていうイベントをやったんですけど、ららぽーと(TOKYO-BAY)の広場に1,000人くらい来ましたよ! 無料でしたけどね。ほかにもジャガーがカレーを作るイベントがあったり、ショッピングモールでトークショーがあったり……全国各地で、いろいろイベントがありますね。 ――この調子で海外に進出しよう、みたいなのは? ジャガーさん 海外には興味がないですね。食事が違うし、大変ですよ。 ――ジャガー星から千葉に来てるじゃないですか! ジャガーさん 普段、外食もしないし、外出もしないですからね。 ――いつもここにいるんですか? ジャガーさん 秘密の場所が、また別にあるんですよ。そこで曲を作ったりしています。 ――『月曜から夜ふかし』で披露した新曲「お母さん」にしてもそうですが、最近、曲調も歌詞もマイルドになっているような気がするんですが、何か心境の変化があったんですか? ジャガーさん 心境の変化じゃないよ、頭に思い浮かんだから。 ――昔は「バカヤロー!」みたいな歌詞だったじゃないですか。 ジャガーさん あの頃は機嫌が悪かったの。 ――機嫌の問題なんですか!? 「お母さん」は病気のお母さんに捧げるような歌詞でしたが、本当にお母さんがご病気に? ジャガーさん そういう設定になっています。 ――(笑)。設定で病気にしちゃダメですよ! ジャガーさん それは……空想のお母さんです。 ――せっかくこれだけブレークしたんだし、これから挑戦したいことはありますか? ジャガーさん いやー、あとは同じですね。CDを作って番組やって。ニューアルバムはあと2カ月くらいで出せるんじゃないかな? 自主制作だから、締め切りとかも別にないんですよね。 ――アルバムのテーマは? ジャガーさん 『お母さん』っていうタイトルにしようと思ってます。 ――曲のジャンルとしては、なんなんですか? ジャガーさん うーん……スローバラード……? でも、ジャガーのアルバムは、基本的に「ロック」というジャンルに入っています。iTunes Storeでも「ロック」に入っていますから。 ――アルバムが出たら、ライブもやって? ジャガーさん いや、やらない。 ――あ、ライブはやらない(笑)。 ジャガーさん バンドを解散しちゃったから、ライブはやらない。 ――カラオケでいいじゃないですか。 ジャガーさん ああ、そういうのはやりますよ。呼ばれたら、そこに行ってひとりで歌うのはやりたいですね。バンドはリハーサルやらなくちゃいけないし、ひとりが一番いいですよ。あとは、本とかジャガーグッズとかキーホルダーとか、オファーがいろいろ来てますから。決まれば、どんどん芸能界にジャガーが氾濫するんじゃないですか? ――あ、出版の話もあるんですね。どんな本になる予定なんですか? ジャガーさん フォトエッセイみたいなの? ――フォトエッセイ!? ……楽しみにしています。 (取材・文・写真=北村ヂン) 公式HP<http://jaguar.o.oo7.jp/> 公式ブログ<http://ameblo.jp/jaguar-official/> Twitter<https://twitter.com/jaguardes?lang=ja

「歩くコラ画像」筋肉アイドル・才木玲佳の、負けず嫌いすぎる日常とは?

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撮影= 長谷英史
『有吉反省会』(日本テレビ系)や、「週刊プレイボーイ」(集英社)のグラビアで話題の筋肉アイドル・才木玲佳を知っているだろうか?  武藤敬司が旗揚げしたプロレス団体・WRESTLE-1を応援する公式サポーターとして結成された「Cheer(ハートマーク)1」のメンバーで、ロリ系の笑顔がかわいいアイドルでありながら、信じられないほどムキムキな筋肉の持ち主。  その、顔と体のあまりのギャップに「歩くコラ画像」なんて呼ばれ、マニアックな男子たちの心をわしづかみにしているのだ。  さらに、筋肉を鍛えるだけでは飽き足らず、最近ではプロレスデビューまで果たしてしまったという彼女。  アイドルなのに、どうしてここまで筋肉を鍛えてしまったのか? 果たして、どこに向かっているのか……? れいたんこと才木玲佳を直撃した! ■アイドルなのに、筋肉ついちゃってヤバくな~い? ――今はこんな感じで“筋肉アイドル”なんて呼ばれていますけど、もともとは普通のアイドルだったんですよね? れいたん そうです。就職活動をしようかどうしようか迷っている時に「格闘技を応援する」という、Cheer(ハートマーク)1のコンセプトに惹かれてオーディションに応募して、普通にアイドルしてました。 ――応援するだけで、格闘技をやるアイドルではないですよね? れいたん ないですね(笑)。ほかのメンバーを見ていただければわかるように、普通のアイドルユニットなんで。私だけちょっと異常……みたいな(笑)。 ――普通のアイドルだったのが、なぜこうなっちゃったのかというのが問題なんですが……。 れいたん まずはダイエット目的で、K-1のジムに通い始めたんですよ。ボクササイズとかがはやっていたんで、ちょっと人と違うことをしたいなと思ってキックボクシングを。そしたら、性格的に負けず嫌いなので、試合にも出てみたいな~と思うようになって。 ――そこが唐突なんですよ! ダイエットするのと格闘技の試合に出るのって、全然違いますよね!? れいたん いやぁ~、実際にやってみて、ミットを強く殴ったり蹴ったりしてると、血が騒いでくるんですよ! それで、試合に出たいと思って本格的なウエイトトレーニングを始めたら、ドンドン(筋肉が)大きくなってきて。 ――ウエイトトレーニングを始める前に、事務所へ相談したりはしなかったんですか? れいたん しなかった、勝手にやった(笑)。 ――じゃあ、事務所やほかのメンバーからしたら、れいたんが急に筋肉質になったぞと。 れいたん おへそを出すような衣装も多いんで、みるみる腹筋が割れてきちゃって! 「アイドルなのに、こんなに筋肉ついちゃってヤバくな~い?」って思ってました(笑)。 ――その頃の宣材写真は、マネジャーさんが修整していたらしいですね。 れいたん 今では筋肉を容認されてますけど、当時はメッチャ細く修整されてたんですよ。私、知らなかったですもん、修整されてたの。「メッチャいい筋肉撮れた~!」とか思ってたら、それがなかったかのように修整されてたらしくって! ――そりゃ、事務所的にはそうしますよ。アイドルですもん。 れいたん まあ私自身も、こんなに筋肉アイドルとしてキャラが確立するとは思ってなかったですね。「試合に勝ちたい」「いい体を作りたい」って頑張っていたら、いつの間にかこうなっちゃったという感じ。
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筋肉担当! 元気! やる気! 才木玲佳です!
■スクワット500回くらい、笑顔でできます! ――試合をやってみて、どうでしたか? れいたん 試合はね~……チョー緊張したんですよ。後楽園ホールでやったんですけど、初めての試合だし、独特の雰囲気もあって、ゴングが鳴った瞬間に頭が真っ白になっちゃって。練習でやってたことも全然出せなくて、2分間ただひっちゃかめっちゃかって感じでしたね。 ――殴られて痛かったり、怖かったりということは? れいたん 全然感じなかったですね。試合中って、アドレナリンが出てますから。でも結局負けちゃって、メッチャ悔しかった……チョー泣きましたよ! その次の日は目が腫れちゃって、友達と予定があったのにキャンセルしたくらい。 ――ちなみに、アイドル活動で、うまく踊れなかったとかで泣いたことは……? れいたん ない(笑)。アハハハハ! うーん、ないな! ――それから、格闘技にさらに本格的に取り組むため「プロレス総合学院」に入学したんですよね。 れいたん そうです、去年の10月に。 ――アイドルがプロレスの学校に入るって……事務所から止められなかったんですか? れいたん 結構、話し合いはしましたね。アイドルだし、ケガをしちゃいけないし、仕事との兼ね合いもあるし。月曜から金曜まで、毎晩通う学校なんで、それを半年間もやっていけるのか? って。でも、最終的には「そこまでやりたいのなら、背中を押してやる」って言ってもらえて。 ――じゃあ事務所的にも、筋肉キャラがメンバーにいてもいいやってことになったんですかね? れいたん 私はやると言いだしたらやっちゃうから、しょうがないと思ってもらえたんじゃないですかね。 ――プロレス総合学院には、どれくらい生徒さんがいるんですか? れいたん 入った時には男の子が10人、女の子が3人いたんですけど、途中でついてこれなくなって減っていき、卒業試験を合格できたのは4人でした。男2人、女2人。 ――その内のひとりに残れたんですか、スゴイ! 学校では、どんな授業をやるんですか? れいたん 最初は延々と、基礎体力をつけるためにスクワット300回とか、腹筋100回とか、受け身の取り方とか……。 ――スクワット300回って、素人がいきなりできないでしょ? れいたん みんなゼエゼエハアハア言ってましたね。でも、私は平気でできましたよ! ――ええーっ!? れいたん 日常生活で、スクワット100回くらいはやってるんですよ。 ――なんで? れいたん お風呂上がりに、ドライヤーをしながらスクワットを。 ――なんで!? れいたん 鍛えるため(笑)。キックの試合に出ようと思ってから、それを始めたんですけど、私、スクワットが得意らしくて、100回とか500回とか笑顔でできるんですよ。 ――学生時代に運動部をやっていたとかは? れいたん 全然。中学高校はずっと帰宅部で、運動もほとんどやってなかったですね。家でゲームやったり、友達と買い食いしておしゃべりしたり……そういう学生生活でした。 ――そんな学生時代を送ってきたのに、ちょっと鍛えだしたらこんなに筋肉がついて、運動能力を発揮したって……。運動部に入ってたら、オリンピックくらい行けたんじゃないですか? れいたん 確かに~。2020年に出られたかもしれない! ――プロレス総合学院を卒業して、ほかの生徒さんたちはプロレスラーになるんだと思いますが、れいたんはどうするんですか? れいたん 私も、月1回くらいのペースでは試合をしていきたいと思っています! 学校は卒業しましたけど、今も月に何回かはプロレスの練習に行ってますよ。 ――普通のアイドルは、ダンスレッスンだけでも大変って聞きますけど、それに加えてプロレスの練習が……。 れいたん 今日だって、午前中にダンスの練習をしてて、このインタビューがあって、その後、プロレスですから。
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実は慶応義塾大学卒なんです
■目指すはインテリ筋肉アイドル ――筋肉がついて、格闘技の試合にも出るようになって、ファンの人たちの反応はどうだったんですか? それまでは、普通のアイドルとして応援してたわけですよね。 れいたん うーん、ファンの人たちからは、困惑しているという声もあって……。「れいたん、どこに向かっているの?」とか「かわいかったれいたんが、どんどんムキムキになっていく……」とか。 ――(笑)。リアルな意見ですね。 れいたん そういう声もある一方、「ムキムキの筋肉と笑顔のギャップが最高だね」って応援してくれる方もいます。差し入れも、それまでは甘いお菓子とかだったのが、プロテインとかアミノ酸とかになって(笑)。 ――筋肉がついてからファンになったという人もいますよね? れいたん 『有吉反省会』に出てからは増えましたね。Twitterのフォロワーが一気に1万人くらい増えたし。複雑なのが、アイドルだから自撮りを載せるじゃないですか、でも顔の自撮りよりも、筋肉を載せたほうが圧倒的に「いいね」が多いんですよ。 ――顔よりも筋肉を求められてると! れいたん 私も筋肉を見せたいし、うれしいんだけど、アイドルだから顔も好きになってほしい……。 ――今後は、筋肉とアイドルの2本立てでやっていくという感じですかね? れいたん アイドルしつつ、プロレスもしつつ……。でも、慶應義塾大学を出ているんで、インテリキャラも出していけたらなって思っています。 ――要素が多すぎて、よくわからなくなってますよ! れいたん インテリ筋肉アイドルですね(笑)。……あっ、アクション女優とかもやりたい! 刑事役で犯人をヤーッて捕まえたりとか。「マッスルミュージカル」みたいなものにも出てみたいですね。 ――なんでもやれることはやりたいと。一番出たい番組はなんですか? れいたん うーん……この番組というより、全テレビ局のクイズ番組制覇かな。 ――そこは筋肉関係ないんだ!
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ファンのみなさま、差し入れはヴァセリンでお願いします!(筋肉をきれいに見せるために塗ってるそうです)
(取材・文=北村ヂン) ●れいたんオフィシャルブログhttp://ameblo.jp/saikireika0519/

「ダイエットのつもりが、プロレスデビュー!?」“歩くコラ画像”こと筋肉アイドル・才木玲佳の、負けず嫌いすぎる日常

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撮影= 長谷英史
『有吉反省会』(日本テレビ系)や、「週刊プレイボーイ」(集英社)のグラビアで話題の筋肉アイドル・才木玲佳を知っているだろうか?  武藤敬司が旗揚げしたプロレス団体・WRESTLE-1を応援する公式サポーターとして結成された「Cheer(ハートマーク)1」のメンバーで、ロリ系の笑顔がかわいいアイドルでありながら、信じられないほどムキムキな筋肉の持ち主。  その、顔と体のあまりのギャップに「歩くコラ画像」なんて呼ばれ、マニアックな男子たちの心をわしづかみにしているのだ。  さらに、筋肉を鍛えるだけでは飽き足らず、最近ではプロレスデビューまで果たしてしまったという彼女。  アイドルなのに、どうしてここまで筋肉を鍛えてしまったのか? 果たして、どこに向かっているのか……? れいたんこと才木玲佳を直撃した! ■アイドルなのに、筋肉ついちゃってヤバくな~い? ――今はこんな感じで“筋肉アイドル”なんて呼ばれていますけど、もともとは普通のアイドルだったんですよね? れいたん そうです。就職活動をしようかどうしようか迷っている時に「格闘技を応援する」という、Cheer(ハートマーク)1のコンセプトに惹かれてオーディションに応募して、普通にアイドルしてました。 ――応援するだけで、格闘技をやるアイドルではないですよね? れいたん ないですね(笑)。ほかのメンバーを見ていただければわかるように、普通のアイドルユニットなんで。私だけちょっと異常……みたいな(笑)。 ――普通のアイドルだったのが、なぜこうなっちゃったのかというのが問題なんですが……。 れいたん まずはダイエット目的で、K-1のジムに通い始めたんですよ。ボクササイズとかがはやっていたんで、ちょっと人と違うことをしたいなと思ってキックボクシングを。そしたら、性格的に負けず嫌いなので、試合にも出てみたいな~と思うようになって。 ――そこが唐突なんですよ! ダイエットするのと格闘技の試合に出るのって、全然違いますよね!? れいたん いやぁ~、実際にやってみて、ミットを強く殴ったり蹴ったりしてると、血が騒いでくるんですよ! それで、試合に出たいと思って本格的なウエイトトレーニングを始めたら、ドンドン(筋肉が)大きくなってきて。 ――ウエイトトレーニングを始める前に、事務所へ相談したりはしなかったんですか? れいたん しなかった、勝手にやった(笑)。 ――じゃあ、事務所やほかのメンバーからしたら、れいたんが急に筋肉質になったぞと。 れいたん おへそを出すような衣装も多いんで、みるみる腹筋が割れてきちゃって! 「アイドルなのに、こんなに筋肉ついちゃってヤバくな~い?」って思ってました(笑)。 ――その頃の宣材写真は、マネジャーさんが修整していたらしいですね。 れいたん 今では筋肉を容認されてますけど、当時はメッチャ細く修整されてたんですよ。私、知らなかったですもん、修整されてたの。「メッチャいい筋肉撮れた~!」とか思ってたら、それがなかったかのように修整されてたらしくって! ――そりゃ、事務所的にはそうしますよ。アイドルですもん。 れいたん まあ私自身も、こんなに筋肉アイドルとしてキャラが確立するとは思ってなかったですね。「試合に勝ちたい」「いい体を作りたい」って頑張っていたら、いつの間にかこうなっちゃったという感じ。
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筋肉担当! 元気! やる気! 才木玲佳です!
■スクワット500回くらい、笑顔でできます! ――試合をやってみて、どうでしたか? れいたん 試合はね~……チョー緊張したんですよ。後楽園ホールでやったんですけど、初めての試合だし、独特の雰囲気もあって、ゴングが鳴った瞬間に頭が真っ白になっちゃって。練習でやってたことも全然出せなくて、2分間ただひっちゃかめっちゃかって感じでしたね。 ――殴られて痛かったり、怖かったりということは? れいたん 全然感じなかったですね。試合中って、アドレナリンが出てますから。でも結局負けちゃって、メッチャ悔しかった……チョー泣きましたよ! その次の日は目が腫れちゃって、友達と予定があったのにキャンセルしたくらい。 ――ちなみに、アイドル活動で、うまく踊れなかったとかで泣いたことは……? れいたん ない(笑)。アハハハハ! うーん、ないな! ――それから、格闘技にさらに本格的に取り組むため「プロレス総合学院」に入学したんですよね。 れいたん そうです、去年の10月に。 ――アイドルがプロレスの学校に入るって……事務所から止められなかったんですか? れいたん 結構、話し合いはしましたね。アイドルだし、ケガをしちゃいけないし、仕事との兼ね合いもあるし。月曜から金曜まで、毎晩通う学校なんで、それを半年間もやっていけるのか? って。でも、最終的には「そこまでやりたいのなら、背中を押してやる」って言ってもらえて。 ――じゃあ事務所的にも、筋肉キャラがメンバーにいてもいいやってことになったんですかね? れいたん 私はやると言いだしたらやっちゃうから、しょうがないと思ってもらえたんじゃないですかね。 ――プロレス総合学院には、どれくらい生徒さんがいるんですか? れいたん 入った時には男の子が10人、女の子が3人いたんですけど、途中でついてこれなくなって減っていき、卒業試験を合格できたのは4人でした。男2人、女2人。 ――その内のひとりに残れたんですか、スゴイ! 学校では、どんな授業をやるんですか? れいたん 最初は延々と、基礎体力をつけるためにスクワット300回とか、腹筋100回とか、受け身の取り方とか……。 ――スクワット300回って、素人がいきなりできないでしょ? れいたん みんなゼエゼエハアハア言ってましたね。でも、私は平気でできましたよ! ――ええーっ!? れいたん 日常生活で、スクワット100回くらいはやってるんですよ。 ――なんで? れいたん お風呂上がりに、ドライヤーをしながらスクワットを。 ――なんで!? れいたん 鍛えるため(笑)。キックの試合に出ようと思ってから、それを始めたんですけど、私、スクワットが得意らしくて、100回とか500回とか笑顔でできるんですよ。 ――学生時代に運動部をやっていたとかは? れいたん 全然。中学高校はずっと帰宅部で、運動もほとんどやってなかったですね。家でゲームやったり、友達と買い食いしておしゃべりしたり……そういう学生生活でした。 ――そんな学生時代を送ってきたのに、ちょっと鍛えだしたらこんなに筋肉がついて、運動能力を発揮したって……。運動部に入ってたら、オリンピックくらい行けたんじゃないですか? れいたん 確かに~。2020年に出られたかもしれない! ――プロレス総合学院を卒業して、ほかの生徒さんたちはプロレスラーになるんだと思いますが、れいたんはどうするんですか? れいたん 私も、月1回くらいのペースでは試合をしていきたいと思っています! 学校は卒業しましたけど、今も月に何回かはプロレスの練習に行ってますよ。 ――普通のアイドルは、ダンスレッスンだけでも大変って聞きますけど、それに加えてプロレスの練習が……。 れいたん 今日だって、午前中にダンスの練習をしてて、このインタビューがあって、その後、プロレスですから。
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実は慶応義塾大学卒なんです
■目指すはインテリ筋肉アイドル ――筋肉がついて、格闘技の試合にも出るようになって、ファンの人たちの反応はどうだったんですか? それまでは、普通のアイドルとして応援してたわけですよね。 れいたん うーん、ファンの人たちからは、困惑しているという声もあって……。「れいたん、どこに向かっているの?」とか「かわいかったれいたんが、どんどんムキムキになっていく……」とか。 ――(笑)。リアルな意見ですね。 れいたん そういう声もある一方、「ムキムキの筋肉と笑顔のギャップが最高だね」って応援してくれる方もいます。差し入れも、それまでは甘いお菓子とかだったのが、プロテインとかアミノ酸とかになって(笑)。 ――筋肉がついてからファンになったという人もいますよね? れいたん 『有吉反省会』に出てからは増えましたね。Twitterのフォロワーが一気に1万人くらい増えたし。複雑なのが、アイドルだから自撮りを載せるじゃないですか、でも顔の自撮りよりも、筋肉を載せたほうが圧倒的に「いいね」が多いんですよ。 ――顔よりも筋肉を求められてると! れいたん 私も筋肉を見せたいし、うれしいんだけど、アイドルだから顔も好きになってほしい……。 ――今後は、筋肉とアイドルの2本立てでやっていくという感じですかね? れいたん アイドルしつつ、プロレスもしつつ……。でも、慶應義塾大学を出ているんで、インテリキャラも出していけたらなって思っています。 ――要素が多すぎて、よくわからなくなってますよ! れいたん インテリ筋肉アイドルですね(笑)。……あっ、アクション女優とかもやりたい! 刑事役で犯人をヤーッて捕まえたりとか。「マッスルミュージカル」みたいなものにも出てみたいですね。 ――なんでもやれることはやりたいと。一番出たい番組はなんですか? れいたん うーん……この番組というより、全テレビ局のクイズ番組制覇かな。 ――そこは筋肉関係ないんだ!
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愛知県で坂上忍の「ザ・黒歴史」発見! 謎の広告ビデオが物語る、元天才子役の迷走期

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パッケージからしてツッコミどころ満載だが、注目すべきは協賛・協力企業の多さ!
■坂上忍の代表作ってなんだよ!?  フジテレビお昼のバラエティ番組『バイキング』の司会を務めるなど、テレビで見ない日はない状態となっている坂上忍。  毒舌・潔癖キャラでブレークして以降、バラエティ番組への出演が増え、すっかり司会者、コメンテーターという役回りが定着した坂上だが、本業は一応役者さんだ。……でも、役者としての代表作って何? 「天才子役」ということで子ども時代にはメチャクチャ活躍していたらしいけど、大人になってからは……ドラマ『地獄先生ぬ~べ~』(日本テレビ系)で変な鬼の役をやっていたのくらいしか記憶にないよ!?  妙に大物俳優感を出しているけど、実体がよくわからない坂上。そんな彼のザ・黒歴史的な主演作を発見したので紹介しよう。  それが、オリジナルビデオ作品『天界戦士ファンタジー伝説<レムリアの陰謀>』!  有名俳優がくすぶっている時期にB級映画やVシネマで変な役をやっていたなんて話はよくあるけど、このビデオはVシネですらない。……というか、おそらく流通にすら乗っていないシロモノだ。だって、バーコードがついてないんだもん。  じゃ、コレはなんなのかというと、愛知県蒲郡市で変なテーマパークやお土産屋、レストランを運営していた「(株)蒲郡フラワーパーク」(倒産)という会社が企画し、地元企業やホテル、観光協会などが協賛して作られたオリジナルドラマ+観光地紹介といった感じの謎ビデオなのだ。おそらく、制作に関わったお店や観光協会のみで売られていたのだろう。  パッケージにもエンドロールにも制作年度が書かれていないが、消費税がまだ3%であること、出演者の活動期間、ビデオの終わりに収録されているCMに森高千里の「気分爽快」が使われていることなどから推測するに、1994年頃に作られたビデオだと思われる。  坂上が天才子役と呼ばれていた時期はとっくに過ぎ去って、中途半端に大人になってしまい、迷走していた時期だ。 ■メチャクチャなストーリーとステマで理解不可能!  坂上のキャリア以上に、ビデオの内容も迷走しまくっている。  周りの友達にいじめられている車椅子の少女・雪(そそぐ)からのヘルプミー電波を受信した天界に住む暴れん坊・タケル(坂上)が、人間界にやってきて雪を救うというストーリーなのだが、まず根本的な問題として、主演であるはずの坂上が途中で出てこなくなっちゃうのだ。  ギャラの折り合いがつかなかったのか、スケジュールが押さえられなかったのか……。  雪を助けにきたはずのタケルが、開始15分くらいでキチガイおじさん風の敵キャラ・魔神土蜘蛛の攻撃を受けて寝込んでしまう。しかも、呪いを解かないと、あと7日で死んじゃうという状態に!  その後は、助けられるはずの車椅子女子・雪が、兄&その彼女と一緒にタケルを助けるという話にすり替わっていく。
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坂上が、このメガネっ娘を助けにきたはずが……
 車椅子生活をしていた少女が、なんの前触れもなくいきなり立ち上がっちゃうわ、敵と激しいバトルアクションを繰り広げるわ……「クララが立った!」の10倍は衝撃的な展開だ。そもそも、タケルが来る必要なかったんじゃないの?  タケルの呪いを解くため、なんだかんだで魔神土蜘蛛の居場所を突き止めた雪たちだったが、兄の彼女は土蜘蛛に腹を食い破られちゃって、それを見ていた兄は失神。そして雪も、せっかく立てるようになった足を食われちゃうという……エグすぎるクライマックス!  しかし、ラスト3分で唐突にタケルが復活、敵を倒してめでたしめでたし。……とまあ、こんなストーリーなのだ。
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兄は失神、その彼女は腹を食いい破られ、雪は足を食われ……という阿鼻叫喚のクライマックスをパッケージに載せちゃってるのもスゴイ
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ご丁寧に「クライマックス」と書かれているのもさることながら、このスチル写真、日付入っちゃってない?
 こう書いちゃうと(メチャクチャだけど)単純な話っぽいのだが、実際にビデオを見ていると全然ストーリーが理解できないのもまたスゴイ。 ……というのも、このビデオはただのオリジナルドラマではなく、いろんなスポンサー企業の思惑が渦巻くプロモーションビデオでもあるからだ。  たとえば、天界から人間界に降りてきたタケルが、まず向かうのが、なぜか「ウォッチマン」(当時、愛知県を中心にチェーン展開していた時計屋)。  もちろん、こんなのストーリー的にはまったく必要のないシーンなので、店内をひととおり見回して「人間界にも面白いところがあるじゃないか……」と言うだけ。  そんな感じの、今でいうステマ的なシーンがやたらと多い。  企画をした「(株)蒲郡フラワーパーク」が運営しているテーマパークやお土産屋、レストランにも当然意味なく訪れるし、観光協会が推してきたと思われるホテルや観光地もキッチリ訪問&紹介。   さらに、各スポットで、そこの社長さんや社員さんがチョイ役で登場するという(スポンサーへの)サービスっぷり。  そのたびに本筋のストーリーが中断されてしまうため、話の展開を覚えていられないのだ。   ■社長の愛人を出演させてないか?  プロットだけ見れば単純なはずの本筋に、余計な要素をガンガン詰め込んでしまっているのも、話が理解できない要因のひとつ。  坂上演じる主人公がタケルで、アマテラスやスサノオも出てくるということで、『日本書紀』をモチーフにしているのかなと思いきや、敵たちが住んでいるのはレムリア(海に沈んだとされる伝説上の大陸)だし、そいつらが狙っているのはラ・ムー(ムー大陸)。さらに、古代シュメール文明のペトログリフの謎うんぬんまで絡んできて……。  いろんな神話が出てくるくせに、そのほとんどがストーリー上なくてもいい要素。ただ単に「レムリア」とか「ラ・ムー」とか言いたかっただけでしょ!?  明らかに必要ないのに、やたらと登場人物が多いのもややこしい。  主演の坂上とその付き人である武井情(武井壮の兄)、あと何人か以外は、おそらく完全な素人! 高校演劇部でも、もうちょっと演技できるだろうという、信じられないような大根役者が次々と登場するのだ。
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この青い人が武井情っぽいけど、確証持てず
 各スポンサー企業の社長あたりが「飲み屋のねーちゃんに『ドラマ出してやる』って言っちゃったから、役を作ってやってくれよ~」みたいな感じでムリヤリねじ込んできたんじゃ……と勘ぐりたくなるレベル!  そんな素人役者の滑舌が悪すぎて、ますます話が見えなくなってくるのだ。  ボクもストーリーを理解するまでに3回も見直したもん。メチャクチャ苦痛だった……!  このほかにも、剣でバトルしているはずなのに、コツンコツンと木がぶつかり合う音がバッチリ入っていたり、90年代の洋楽PVかと思うような変すぎるCGが多用されていたり、伝説の魔除けの呪符に書かれている文字がヘタすぎたりと、90分間ツッコミどころが満載で頭がクラクラしてくる。  Amazonでもヤフオクでも売られていないけど、倒産した「(株)蒲郡フラワーパーク」から引き継いで運営されている「竹島ファンタジー館」というところで投げ売りされているので、ぜひそこまで行って購入&見てもらいたいビデオだ。 ■監督は詐欺師でした  最近、ネットでは「ネイティブアド」とかいって「広告なのにこんな変なことやっちゃいました~」的な記事や動画がはやっているようだけど、そんなもん、この『天界戦士ファンタジー伝説』の足下にも及ばないよ!  観光協会や地元企業など、地域を挙げての広告ビデオなのに、ここまでクレイジーなものを作っちゃってるんだもん。しかも90分も。  異常な映像とはいえ、なんだかんだでCGやセット、衣装など、かなりの費用がかかっていると思われ、バブルの残り香を感じさせてくれる。  ちなみに、こんなモンを作ったスタッフはどんな人なのかと、エンドロールで流れてくる人名をひとりひとりググッてみたところ、ほとんどのスタッフは消息不明だったものの、唯一、監督の小佐内直哉さんだけ情報を発見できた。  ……なんと、2003年に起こしたWeb技術関連の特許詐欺で、一部Web界隈で有名な人らしいよ(「NAOシフト詐欺」でググろう!)。  坂上忍にとってホントに忘れたい……もしかしたらリアルに忘れちゃってるかもしれない黒歴史でした。 (文=北村ヂン)

中年アイドルオタは本当に迫害されているのか?『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』

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『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』(ワニブックス)
 日本人は、何かと卒業したがりだ。  学校の卒業はともかくとして、暴走族、番組、アイドルグループ、この支配からの……などなど、いろんなものから卒業していく。  何かに関するオタクを辞めることを「オタ卒」なんて言ったりもする。卒業とはいうものの、「もう○○歳だし、オタクやってる年でもないよな」的な意味合いのほうが強い言葉だといえるだろう。  まあ、何をやる上でも「年齢」っちゅうのは判断基準のひとつとなるもんで、「だいたい○○歳くらいまでには、こういうことをやるのは辞めましょうね」的な暗黙の了解というのは世の中にたくさん存在する。  ただ、インターネットが一般に普及して以降、さまざまなジャンルにおいて「もう○○歳だし」というハードルが、かなり低くなっているのではないだろうか。  だって、ネットの世界を見渡せば「いい年こいて」なことを、キーポン○○な精神でずーっとやり続けているスゴイ先達がいっぱいいるのがわかっちゃうんだもん。  そんな感じで、かつては「いい年こいて」と言われていたようなジャンルにも、いい年こいた人たちがわんさか残っていて、エイジレス状態となっているのだ。 ■中年アイドルオタクって、迫害されてる?  で、この本『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』(ワニブックス)だ(コレのレビュー記事を頼まれていたんだった!)。  プロレスファンならば「週刊プロレス」(ベースボール・マガジン社)の、アイドル好きならば、ももクロの公式記者としておなじみのライター・小島和宏さんの新刊。  ボクも、ももクロ好きとして小島さんの記事はしょっちゅう読んでいたので、小島さんの語る中年アイドルオタク論とはどんなものかと期待していたのだが……。すみません、正直あんまピンとこなかったっす。  本書の中では、 ・中年アイドルオタクは冷たい目線にさらされている ・世間の理解がまったく進んでいない ・「恥じらい」や「うしろめたさ」を抱いていたほうがアイドルを楽しめる というのが前提としてあり、そのアンチテーゼとして『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』となっていくのだが、本当に中年アイドルオタクって、そんなに冷たい目線にさらされているだろうか?  もちろん、中年アイドルオタクに対して「キモイ!」「大人げない!」「ロリコン!」という偏見全開で接してくる人も少なくない……というか、結構多いとは思う。  でもそれが、ハロウィンにドンキで買ったコスプレを着て渋谷を闊歩するヤングたちに向けられる「ウザイ!」「邪魔!」「頭悪そう!」「どーせこれからセックスするんだろ!? ハロウィンでもクリスマスでも、なんでもいーんじゃねーか!」という偏見と、どっちが多いかといえば、まあ同じようなもんなんじゃないだろうか?  取り立てて中年アイドルオタクが迫害されているわけでもなく、価値観が多様化しまくって小さなジャンルの村社会が大量に作られた結果、なにかっちゅうと村人同士が石を投げ合っているのが現代なのだ。  アイドル界隈だけでいっても、中年アイドルオタクはピンチケ(AKB48劇場で販売される中高生向けのチケットのこと。転じて、マナーを守らない若者を揶揄する言葉として使われる)をバカにしがちだし、モノノフ(ももクロのファン)はCDを大量買いするAKBオタクをバカにしがち。かと思えば、他のアイドルグループのファンは、やたらとももクロだけを神聖視するモノノフをウザがったり……。  もちろん、アイドルとかにまったく興味のないリア充は、そんなオタクたちをひとまとめにして「キモイ!」と思っているし、オタクのほうはオタクのほうで、Facebookでステキな飲み会写真ばっかりアップしているリア充をバカにしまくっていることだろう。  以前、アニメオタクの友人と話している時に、 「アイドルオタクはバカだ。いくらCD買ったってアイドル自身には金なんか入らないで、秋元康みたいなおっさんが儲かるだけだろ?」 「だったらオメーの買ってる美少女フィギュアも、作ってるおっさんに金入るだけだろーが!」  みたいな不毛極まりない議論となり、つかみ合いになりそうになったが、もうね……オタクもリア充もヤンキーも意識高い系も、人間は理解し合えないと考えたほうがいい。  こんな時代なんだから、村の外の人たちの目線を気にしても仕方がないのだ(「清潔感」とか、最低限のラインは守りたいところだが)。  学校や会社で、周囲から冷たい目で見られたとしても、気持ちの通じ合える仲間はネットや現場でいくらでも探せるし、もちろん「いい年こいて……」という世間の目を気にしてオタ卒する必要もない。 『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』……と、最終的なところで小島さんと意見が一致するんだけど。 ■アイドル記者奮戦記として読もう 『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』の帯には「アイドルを追いかけることは大人の立派な“たしなみ”である!」とのキャッチフレーズが書かれているが、同時期に発売された、大森望さんの『50代からのアイドル入門』(本の雑誌社)の帯にも「アイドルは大人のたしなみだ!」との文字があるのも興味深い。  まあ「中年がアイドルを追いかけるなんてキモイ!」という声に対しての理論武装として「大人のたしなみだ!」なんだろう。  小島さんも大森さんも、ボクのひとまわりぐらい上の世代の方たちなのだが、「上の人たちって、周りの目をいろいろ気にして大変そうだなぁ~……」と思ってしまう。 「大人のたしなみだ!」なんて強がらなくても、周りが何と言おうと「ボクは好きだから好きなんだもーん!」でよくない? ……ほら、理解し合えないでしょ?  ちなみに本書は、中年アイドルオタク論うんぬんは置いといて、ももクロをはじめとしたアイドルに密着取材してきた、アイドル記者である小島さんの奮闘記として読めばすごく面白いよ。 (文=北村ヂン)

中年アイドルオタは本当に迫害されているのか?『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』

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『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』(ワニブックス)
 日本人は、何かと卒業したがりだ。  学校の卒業はともかくとして、暴走族、番組、アイドルグループ、この支配からの……などなど、いろんなものから卒業していく。  何かに関するオタクを辞めることを「オタ卒」なんて言ったりもする。卒業とはいうものの、「もう○○歳だし、オタクやってる年でもないよな」的な意味合いのほうが強い言葉だといえるだろう。  まあ、何をやる上でも「年齢」っちゅうのは判断基準のひとつとなるもんで、「だいたい○○歳くらいまでには、こういうことをやるのは辞めましょうね」的な暗黙の了解というのは世の中にたくさん存在する。  ただ、インターネットが一般に普及して以降、さまざまなジャンルにおいて「もう○○歳だし」というハードルが、かなり低くなっているのではないだろうか。  だって、ネットの世界を見渡せば「いい年こいて」なことを、キーポン○○な精神でずーっとやり続けているスゴイ先達がいっぱいいるのがわかっちゃうんだもん。  そんな感じで、かつては「いい年こいて」と言われていたようなジャンルにも、いい年こいた人たちがわんさか残っていて、エイジレス状態となっているのだ。 ■中年アイドルオタクって、迫害されてる?  で、この本『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』(ワニブックス)だ(コレのレビュー記事を頼まれていたんだった!)。  プロレスファンならば「週刊プロレス」(ベースボール・マガジン社)の、アイドル好きならば、ももクロの公式記者としておなじみのライター・小島和宏さんの新刊。  ボクも、ももクロ好きとして小島さんの記事はしょっちゅう読んでいたので、小島さんの語る中年アイドルオタク論とはどんなものかと期待していたのだが……。すみません、正直あんまピンとこなかったっす。  本書の中では、 ・中年アイドルオタクは冷たい目線にさらされている ・世間の理解がまったく進んでいない ・「恥じらい」や「うしろめたさ」を抱いていたほうがアイドルを楽しめる というのが前提としてあり、そのアンチテーゼとして『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』となっていくのだが、本当に中年アイドルオタクって、そんなに冷たい目線にさらされているだろうか?  もちろん、中年アイドルオタクに対して「キモイ!」「大人げない!」「ロリコン!」という偏見全開で接してくる人も少なくない……というか、結構多いとは思う。  でもそれが、ハロウィンにドンキで買ったコスプレを着て渋谷を闊歩するヤングたちに向けられる「ウザイ!」「邪魔!」「頭悪そう!」「どーせこれからセックスするんだろ!? ハロウィンでもクリスマスでも、なんでもいーんじゃねーか!」という偏見と、どっちが多いかといえば、まあ同じようなもんなんじゃないだろうか?  取り立てて中年アイドルオタクが迫害されているわけでもなく、価値観が多様化しまくって小さなジャンルの村社会が大量に作られた結果、なにかっちゅうと村人同士が石を投げ合っているのが現代なのだ。  アイドル界隈だけでいっても、中年アイドルオタクはピンチケ(AKB48劇場で販売される中高生向けのチケットのこと。転じて、マナーを守らない若者を揶揄する言葉として使われる)をバカにしがちだし、モノノフ(ももクロのファン)はCDを大量買いするAKBオタクをバカにしがち。かと思えば、他のアイドルグループのファンは、やたらとももクロだけを神聖視するモノノフをウザがったり……。  もちろん、アイドルとかにまったく興味のないリア充は、そんなオタクたちをひとまとめにして「キモイ!」と思っているし、オタクのほうはオタクのほうで、Facebookでステキな飲み会写真ばっかりアップしているリア充をバカにしまくっていることだろう。  以前、アニメオタクの友人と話している時に、 「アイドルオタクはバカだ。いくらCD買ったってアイドル自身には金なんか入らないで、秋元康みたいなおっさんが儲かるだけだろ?」 「だったらオメーの買ってる美少女フィギュアも、作ってるおっさんに金入るだけだろーが!」  みたいな不毛極まりない議論となり、つかみ合いになりそうになったが、もうね……オタクもリア充もヤンキーも意識高い系も、人間は理解し合えないと考えたほうがいい。  こんな時代なんだから、村の外の人たちの目線を気にしても仕方がないのだ(「清潔感」とか、最低限のラインは守りたいところだが)。  学校や会社で、周囲から冷たい目で見られたとしても、気持ちの通じ合える仲間はネットや現場でいくらでも探せるし、もちろん「いい年こいて……」という世間の目を気にしてオタ卒する必要もない。 『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』……と、最終的なところで小島さんと意見が一致するんだけど。 ■アイドル記者奮戦記として読もう 『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』の帯には「アイドルを追いかけることは大人の立派な“たしなみ”である!」とのキャッチフレーズが書かれているが、同時期に発売された、大森望さんの『50代からのアイドル入門』(本の雑誌社)の帯にも「アイドルは大人のたしなみだ!」との文字があるのも興味深い。  まあ「中年がアイドルを追いかけるなんてキモイ!」という声に対しての理論武装として「大人のたしなみだ!」なんだろう。  小島さんも大森さんも、ボクのひとまわりぐらい上の世代の方たちなのだが、「上の人たちって、周りの目をいろいろ気にして大変そうだなぁ~……」と思ってしまう。 「大人のたしなみだ!」なんて強がらなくても、周りが何と言おうと「ボクは好きだから好きなんだもーん!」でよくない? ……ほら、理解し合えないでしょ?  ちなみに本書は、中年アイドルオタク論うんぬんは置いといて、ももクロをはじめとしたアイドルに密着取材してきた、アイドル記者である小島さんの奮闘記として読めばすごく面白いよ。 (文=北村ヂン)