テレ朝強し! フジテレビは凋落……「2016年ドラマ視聴率ランキング」

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NHK『あさが来た』番組サイトより
 今年の連続ドラマがすべて終了した。平均視聴率ランキング形式で振り返ってみると、テレビ朝日の強さと、フジテレビの凋落ぶりが如実に示される格好となった。  年間の視聴率首位は、波瑠主演のNHK連続テレビ小説『あさが来た』の23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、2位は高畑充希主演『とと姉ちゃん』の22.8%でワン、ツーフィニッシュ。朝ドラは2013年前期『あまちゃん』以降、好調が続いている。  3位は、2年ぶりに復活した米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の21.5%で堂々の民放トップ。4位は嵐・松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)の17.2%、5位は堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』の16.6%、6位は水谷豊主演『相棒season14』(テレビ朝日系)の15.3%。  7位には、初回10.2%でスタートも、その後グングン右肩上がりで視聴率を上げ、最終回では20.8%と大台を突破した新垣結衣主演『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が14.6%を記録してランクイン。あらためて、その存在がクローズアップされた新垣には、今後オファーが殺到しそうな公算。  8位は嵐・大野智主演『世界一難しい恋』(日本テレビ系)の12.9%、9位はSMAP・草なぎ剛主演『スペシャリスト』(テレビ朝日系)の12.7%で、ジャニーズ勢が続いた。  10位は石原さとみ主演『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の12.4%。ここのところ、すっかり“恋愛ドラマ”専門女優の印象が強くなっていた石原だが、今回、恋愛部分は弱めで、基本的には“お仕事ドラマ”。それでもしっかり高視聴率をマークしたことで、評価を高めた。  トップ20を局別で見ると、『ドクターX』や『相棒』などのキラーコンテンツを持つテレ朝が8作入り、ぶっちぎりのトップ。続いて、TBSで5作ランクイン。年間視聴率3冠王狙いの日テレは4作で、今年のドラマはあまり振るわなかった。NHK総合は3作入ったが、朝ドラ、大河以外の連ドラは不振だった。昨年、『銭の戦争』など5作が入っていたフジは今年は1本も入らず、壊滅状態となってしまった。  なお、NHKを除く民放の連続ドラマ(プライム帯)で最下位は、芦田愛菜&シャーロット・ケイト・フォックス主演『OUR HOUSE』(フジテレビ系)で4.5%だった。 (文=田中七男) <2016年連続ドラマ平均視聴率ランキング> ※2016年中に放送を終えたドラマのみが対象 1位 『あさが来た』(NHK総合)23.5% 2位 『とと姉ちゃん』(同)22.8% 3位 『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)21.5% 4位 『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)17.2% 5位 『真田丸』(NHK総合)16.6%  6位 『相棒season14』(テレビ朝日系)15.3% 7位 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)14.6% 8位 『世界一難しい恋』(日本テレビ系)12.9%  9位 『スペシャリスト』(テレビ朝日系)12.7%  10位 『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)12.4%  11位 『警視庁・捜査一課9係』(テレビ朝日系)12.2%  12位 『家売る女』(日本テレビ系)11.6% 13位 『科捜研の女15』(テレビ朝日系)11.0%  14位 『怪盗 山猫』(日本テレビ系)10.9% 15位 『グッドパートナー 無敵の弁護士』(テレビ朝日系)10.8%  16位 『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)10.7% 17位 『仰げば尊し』(TBS系)10.6% 18位 『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)10.2%  19位 『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)10.0% 20位 『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系)9.9%

「同じ幕末なのに……」 絶好調・朝ドラ『あさが来た』と比較され、ますます叩かれる『花燃ゆ』と井上真央

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あさが来た公式サイト(NHK)
 結果的に“仲間”からも攻められるとは、気の毒で仕方がない。  NHK・朝の連続テレビ小説『あさが来た』の視聴率が上昇気流にのっている。第4週の週間平均視聴率は22.3%を記録し、伸び悩んだ前クール『まれ』の流れを完全に払拭しつつある。 「アクティブで後先考えないあさ(波瑠)と、慎重で陰のあるはつ(宮崎あおい)の対比をうまく描いていると評判です。脇を固める玉木宏や近藤正臣、萬田久子、柄本佑の演技も期待通り。朝ドラ初の『幕末』が舞台ということで、開始前は心配もされましたが、視聴者を順調に増やしています。今後さらに視聴率が伸びる可能性も十分ですね」(芸能記者)  朝ドラ人気健在を証明した『あさが来た』。NHKもスタートダッシュを決めてまずは一安心といったところだろうが、「NHK・幕末」と聞くと、どうしても“あのドラマ”が頭をよぎってしまう。  現在放送中の大河ドラマ『花燃ゆ』である。『あさが来た』が高視聴率をキープする裏で、『花燃ゆ』は低空飛行を続けたまま終盤に突入。大きく浮上することのないまま番組終了を迎えそうなほど、勢いがない。 「放送開始から現在まで、ほとんど明るい話題のない『花燃ゆ』ですが、『あさが来た』の好調でその“明暗”はあまりにもクッキリと分かれてしまいました。今やトップクラスの人気を誇っているとはいえない井上真央に『大河の主役』は重責過ぎた、という意見も多いですが、そもそもこのドラマの『幕末男子の育て方』というキャッチコピーや、吉田松陰の妹が主人公という設定そのもので大河ファンも“食わず嫌い”した感があります。大河と朝ドラを一概に比べることはできませんが、『あさが来た』は『花燃ゆ』の反省を生かしてるようにも思えますね」  年末の『紅白歌合戦』では、来年の大河ドラマ『真田丸』を猛プッシュするというウワサもあるNHK。好調ぶりをみるに、『あさが来た』も多くの出番が与えられるはずだが、『花燃ゆ』は完全に“スルー”するという情報も。NHKも残酷な対応をするものだと思うが、ここまで視聴者の反応が明らかな状況では、致し方ないのかもしれない。  ただ、ひたすらに設定がスベッていた『花燃ゆ』のせいで、「松本潤との結婚に暗雲」「精神状態が不安定」「ギャラ高騰で今後出番なし」など、マイナスな情報ばかりが出てしまう井上真央は少しかわいそうだ。『花燃ゆ』の打ち上げでは、朝まで飲みまくっても全く変わらない「酒豪」っぷりを披露したというが、それがストレスからくるものでないことを願いたい。

「待たせたな!」久々に帰ってきた“ザ・王道”朝ドラ『あさが来た』

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NHK連続テレビ小説『あさが来た』
「待たせたな!」  山本耕史演じる新選組副長・土方歳三が、画面に向かって叫んだ時、「待ってました!」と多くのドラマファンが歓喜した。なにしろ、10年余りの時を経て蘇ったのだ。  2004年に放送された三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『新選組!』で、山本は土方を演じた。この作品はドラマファンの記憶に深く刻み込まれており、放送終了から10年以上たった今でも語り草になっている名作だ。主演の香取慎吾はもちろん、このドラマで一躍知名度を上げた堺雅人や藤原竜也、オダギリジョーといった若い世代の俳優たちが、瑞々しい青春群像劇のような大河ドラマを作り上げた。その中で山本は、ドラマ上でもドラマ外でも、チームのまとめ役としてドラマを引っ張る存在だった。正直、放映開始前は他の主役級のキャストと比べると格落ち感があり、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)での車いすの内気な弟役のイメージが強く、彼が“鬼の副長”役でホントに大丈夫かという不安が拭えなかった。だが、終わってみれば、山本主演のスピンオフドラマが作られるほど、彼の土方歳三はハマり、愛されたのだ。  その山本演じる土方が、まさかNHK朝ドラで“復活”するなど、思いもよらなかった。朝ドラで初めて江戸時代後期、つまり幕末を舞台にした『あさが来た』ならではのことだ。だが、単に“幕末の京都・大阪が舞台だから、新選組を出してドラマファンにサービスしよう”というだけなら、ファンはそこまで歓喜しない。むしろ、安易に大事なキャラクターを使うな、と反発していただろう。そうならなかったのは、彼の登場に“必然性”があったからだ。  それはまず、“史実”通りという点だ。『あさが来た』は、起業家の広岡浅子をモデルにしたあさ(波瑠)がヒロインの物語である。モデルの浅子は、両替商の加島屋(ドラマでは加野屋)に嫁ぐ。その加島屋で、新選組が金を借りた借用書が土方歳三の署名入りで見つかっているのだ。だから、ドラマで土方が登場するのは必然だ。  だが、それだけでは物語上の必然性はない。“史実にあるから土方を出します”“どうせ出すなら、土方役で人気のある山本耕史にやってもらいましょう。同じNHKだし”というような安易な登場の仕方では、途端に安っぽくなってしまうし、その場面だけが浮いてしまう。  そこで『あさが来た』では、この土方の登場が、物語上大きなターニングポイントになるように脚色したのだ。ヒロインのあさは、自由奔放でおてんば。彼女と結婚した新次郎(玉木宏)から見ると、“子ども”でしかなかった。実際、結婚後も新次郎はあさと夜を共にすることなく、毎夜のように出歩いていた。  そんな時、やって来たのが新選組だ。当時の新選組は、町民にとっては絶対的存在で恐怖の対象だ。問答無用で幕府再興のために金を貸せと迫る新選組に対し、加野屋の面々はおびえながら言う通りにしようとする。  だが、ここであさが、新選組の土方ら猛者たちを前にして問いただすのだ。 「もし幕府に何かあったら、その400両ホンマに返してもらえるんだすやろか?」  新選組が信用できないのか、と刀を構えすごむ隊士に毅然として言う。 「謝れまへん! 刀と信用は真逆のもんだす!」  その姿を見て、新次郎は「あんたは芯のある大人のおなごはんや。惚れてしもうた」と、初めて大人の女性としてあさを意識し、一夜を共にするのだ。こうして物語上にも必然性を持たせたことで、山本演じる土方の登場をただの“サービス”で終わらせず、「待ってました!」と歓喜させる本当の意味でのファンサービスに仕立てたのだ。  思えば『あさが来た』には、この「待ってました!」と感じさせる王道の展開が張り巡らされている。  例えば、おてんばなヒロインと清楚な姉・はつ(宮崎あおい)との対比や、その嫁ぎ先も陽気な新次郎と陰気なはつの旦那・惣兵衛(柄本佑)という対比も、いわばベタな設定だ。ヒロインの明るく元気で前向きな性格も、いわゆる「朝ドラヒロイン」の典型だ。  長い歴史のある朝ドラにとって、ここまで王道だと、逆に冒険だ。マンネリの謗りを受けてしまう。だが、舞台を幕末からスタートさせたことで、そこからうまく逃れ、懐かしさと安心感とともに新鮮味を出すことにも成功している。時代が変わったことで、王道の設定でも、違和感を覚えないのだ。  両替商は「信用が第一」と繰り返し語られる。一方であさは「変わらなければ生き残れない」と言う。『あさが来た』は、そのどちらも否定しない。それはドラマでも同じだ。ベタを丁寧に描くことで信用を手にし、マンネリを避けるために舞台を変えたりする工夫を施すことで新鮮さと必然性を生んでいく。 『あさが来た』は、まさに「待ってました!」と思える、王道朝ドラなのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

「待たせたな!」久々に帰ってきた“ザ・王道”朝ドラ『あさが来た』

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NHK連続テレビ小説『あさが来た』
「待たせたな!」  山本耕史演じる新選組副長・土方歳三が、画面に向かって叫んだ時、「待ってました!」と多くのドラマファンが歓喜した。なにしろ、10年余りの時を経て蘇ったのだ。  2004年に放送された三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『新選組!』で、山本は土方を演じた。この作品はドラマファンの記憶に深く刻み込まれており、放送終了から10年以上たった今でも語り草になっている名作だ。主演の香取慎吾はもちろん、このドラマで一躍知名度を上げた堺雅人や藤原竜也、オダギリジョーといった若い世代の俳優たちが、瑞々しい青春群像劇のような大河ドラマを作り上げた。その中で山本は、ドラマ上でもドラマ外でも、チームのまとめ役としてドラマを引っ張る存在だった。正直、放映開始前は他の主役級のキャストと比べると格落ち感があり、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)での車いすの内気な弟役のイメージが強く、彼が“鬼の副長”役でホントに大丈夫かという不安が拭えなかった。だが、終わってみれば、山本主演のスピンオフドラマが作られるほど、彼の土方歳三はハマり、愛されたのだ。  その山本演じる土方が、まさかNHK朝ドラで“復活”するなど、思いもよらなかった。朝ドラで初めて江戸時代後期、つまり幕末を舞台にした『あさが来た』ならではのことだ。だが、単に“幕末の京都・大阪が舞台だから、新選組を出してドラマファンにサービスしよう”というだけなら、ファンはそこまで歓喜しない。むしろ、安易に大事なキャラクターを使うな、と反発していただろう。そうならなかったのは、彼の登場に“必然性”があったからだ。  それはまず、“史実”通りという点だ。『あさが来た』は、起業家の広岡浅子をモデルにしたあさ(波瑠)がヒロインの物語である。モデルの浅子は、両替商の加島屋(ドラマでは加野屋)に嫁ぐ。その加島屋で、新選組が金を借りた借用書が土方歳三の署名入りで見つかっているのだ。だから、ドラマで土方が登場するのは必然だ。  だが、それだけでは物語上の必然性はない。“史実にあるから土方を出します”“どうせ出すなら、土方役で人気のある山本耕史にやってもらいましょう。同じNHKだし”というような安易な登場の仕方では、途端に安っぽくなってしまうし、その場面だけが浮いてしまう。  そこで『あさが来た』では、この土方の登場が、物語上大きなターニングポイントになるように脚色したのだ。ヒロインのあさは、自由奔放でおてんば。彼女と結婚した新次郎(玉木宏)から見ると、“子ども”でしかなかった。実際、結婚後も新次郎はあさと夜を共にすることなく、毎夜のように出歩いていた。  そんな時、やって来たのが新選組だ。当時の新選組は、町民にとっては絶対的存在で恐怖の対象だ。問答無用で幕府再興のために金を貸せと迫る新選組に対し、加野屋の面々はおびえながら言う通りにしようとする。  だが、ここであさが、新選組の土方ら猛者たちを前にして問いただすのだ。 「もし幕府に何かあったら、その400両ホンマに返してもらえるんだすやろか?」  新選組が信用できないのか、と刀を構えすごむ隊士に毅然として言う。 「謝れまへん! 刀と信用は真逆のもんだす!」  その姿を見て、新次郎は「あんたは芯のある大人のおなごはんや。惚れてしもうた」と、初めて大人の女性としてあさを意識し、一夜を共にするのだ。こうして物語上にも必然性を持たせたことで、山本演じる土方の登場をただの“サービス”で終わらせず、「待ってました!」と歓喜させる本当の意味でのファンサービスに仕立てたのだ。  思えば『あさが来た』には、この「待ってました!」と感じさせる王道の展開が張り巡らされている。  例えば、おてんばなヒロインと清楚な姉・はつ(宮崎あおい)との対比や、その嫁ぎ先も陽気な新次郎と陰気なはつの旦那・惣兵衛(柄本佑)という対比も、いわばベタな設定だ。ヒロインの明るく元気で前向きな性格も、いわゆる「朝ドラヒロイン」の典型だ。  長い歴史のある朝ドラにとって、ここまで王道だと、逆に冒険だ。マンネリの謗りを受けてしまう。だが、舞台を幕末からスタートさせたことで、そこからうまく逃れ、懐かしさと安心感とともに新鮮味を出すことにも成功している。時代が変わったことで、王道の設定でも、違和感を覚えないのだ。  両替商は「信用が第一」と繰り返し語られる。一方であさは「変わらなければ生き残れない」と言う。『あさが来た』は、そのどちらも否定しない。それはドラマでも同じだ。ベタを丁寧に描くことで信用を手にし、マンネリを避けるために舞台を変えたりする工夫を施すことで新鮮さと必然性を生んでいく。 『あさが来た』は、まさに「待ってました!」と思える、王道朝ドラなのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから