韓国中を混乱に陥れた「中東呼吸器症候群(MERS)」が沈静化を見せており、8月上旬~中旬には終息宣言が発表される可能性が高いという。その裏で、韓国ではまた新たな感染症が密かに広がっている。“殺人ダニ”によって感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」だ。 韓国の疾病管理本部によると6月14日、済州島のある農場で働いていた74歳の男性がSFTSを発症して死亡。今年に入ってから初の死亡者で、その後、慶尚南道、京畿道、慶尚南道などでも感染者の死亡が相次いでいるという。 そもそもSFTSとは、SFTS ウイルスを保有しているダニにかまれることで感染する病気。ダニといっても家庭内にいるようなものではなく、森林などの屋外に生息している比較的大型の「マダニ」が主な媒介者だ。日本では2013年1月に、韓国では同年5月に初めての国内感染者が報告されている。SFTS ウイルスに感染すると、どのような症状が出るのだろうか? 「SFTSウイルスに感染すると、6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、そのほか頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血といった出血症状を起こす」(日本の国立感染研究所) 最悪の場合、死に至ることもある恐ろしい病気なのだが、SFTSウイルスは2011年に初めて特定されたばかりの新しいワクチンということもあってか、治療については「対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない」(同)そうだ。実際に韓国では、現在17人が感染し、そのうち4人が死亡している。SFTSウイルスを保有するマダニは、まさに“殺人ダニ”といえるだろう。 “殺人ダニ”に対して韓国の疾病管理本部は注意を呼びかけているが、「予防ワクチンがないのでかまれないことが一番重要」とお手上げの様子。現在のところ、首都ソウルから離れた地方での感染にとどまっているが、「都市近郊にもマダニ」などと報じるメディアもあり、今後はどうなるかはわからない。 MERSの拡散で自ら世界中に証明してしまったように、韓国の感染症対策は非常に心もとない。MERSが終息したと思ったら、今度はSFTSウイルスが拡散するなんて事態にならないことを祈るばかりだ。韓国人が恐れる“殺人ダニ”
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MERS拡散、Galaxy S6不調……泣きっ面に蜂のサムスンが、いよいよピンチ!?
韓国一の財閥グループ、サムスンがMERS(中東呼吸器症候群)で苦しんでいる。7月3日、韓国中央MERS管理対策本部によると、サムスンソウル病院の看護師がMERSに感染していることが判明。これで韓国のMERS感染者は計184人に増えたことになり、韓国のMERS終息にブレーキがかかっているのが現状だ。 サムスンソウル病院は院内感染防止策が穴だらけで、いまやMERS感染を広げる“拡散地”と揶揄されている。同病院からは89人の感染者が出ており、そのうち医者や看護師など病院関係の感染者は14人に上った。今回発覚した184番目の感染者は24歳の女性で、サムスンソウル病院でMERS感染者を看護する過程で自らも感染したと推測されている。 サムスンといえばスマートフォンや半導体が有名だが、韓国一の財閥グループであるだけに、その事業は手広い。韓国最大の保険会社であるサムスン生命、ホテル関連事業、さらに病院事業も手がけている。 振り返れば6月23日、サムスン電子イ・ゴンヒ会長の長男で、後継者と目されるイ・ジェヨン副会長は記者会見を開き、「私たちのサムスンソウル病院が国民のみなさんにあまりに大きな苦痛と心配をかけました」と頭を下げて謝罪している。サムスングループのオーナー家の謝罪は、ゴンヒ会長が政界への賄賂などの疑いから強制捜査を受け、会長職から退いた2008年4月以来、7年ぶりの大ごとだ(10年3月に復帰)。にもかかわらず、その直後に同病院から再び新たな感染者が発見されたのだから、面目次第もないだろう。 MERS拡散という想定外の事態に苦しむサムスンに、さらなる追い打ちが。韓国の金融投資会社「HMC投資証券」は7月3日、全体的な需要が不振としてサムスン電子の目標株価を下げた。HMC投資証券の研究員は、「Galaxy S6の出荷量も需要鈍化で、従来の予想値(1,700万台)を下回るだろう」と話している。そして「サムスン電子の第2四半期の売り上げと営業利益は、それぞれ予想値から3.5%、4.3%下げた額に変更される」と指摘した。Galaxy S6の売れ行き不振を受けて、小型電池事業を担っているサムスンSDI社の第2四半期売り上げ額は、前年同期比マイナス7.3%、営業利益は38.8%も減少するとされている。世界のスマホ市場で伸び悩みを見せているサムスンにとって、Galaxy S6にかける思いが強かったのは日本でも知られるところ。しかし、その希望は、どうやら空振りに終わってしまいそうだ。 MERS拡散、そしてGalaxy S6の不調と、このところまったくいいところがないサムスン。韓国一の財閥グループのつまずきだけに、経済に与える影響も少なくない。一時は“巨人”ともてはやされたサムスンが、再び立ち上がる日は来るのだろうか?サムスン電子本社(「Wikipedia」より/Roakr)
マスクバカ売れ、繁華街はガラガラ、海外避難組まで……韓国「MERSショック」現地レポ
感染が拡大しているMERS(中東呼吸器症候群)によって、さまざまな分野でダメージを受けている韓国。感染者は122人を超え、隔離者は3,400人を超えている(11日時点)。筆者はソウルから遠く離れた釜山に暮らしているが、釜山でも患者が出ており、ウイルスは事実上全国に広まっているといえる。初期対応が遅れた政府への怒りとウイルス感染への恐怖で震えている韓国国民だが、この事態に日常生活にも変化が起きている。 例えば、風邪をひいてもめったにマスクを使わない韓国人だが、さすがに致死率40%のウイルスはインパクトが強かったのだろう、全国的にマスクがバカ売れしている。特に「医療用のN95マスクがいい」というウワサが広がり、薬局などに問い合わせが殺到。「マスクは不要だ」と公言しておきながら、N95マスクを着けて公の場に現れた保健福祉部長官の姿がさらに火をつけ、品切れ騒ぎが起こった。 こうしたこともあり、街を歩く人の半分以上はマスクを着用。地下鉄などでは、マスクをしないまま、あるいは、せめて口を手でふさがないままクシャミや咳をすると、周りから冷たい目で見られたり、文句を言われたりするほどだ。 また、MERS感染者と確認された医師が1日に江南区で行われた大型地区イベント(1,500人規模)に参加していたことが発覚したことから、“MERSショック地域”といわれるソウル・江南のマンションでは「エレベーターのボタンは指ではなく、ヒジで押してください」と貼り出された案内文が登場。ここまでくると少しやりすぎな気もするが、住人たちは手袋をはめてボタンを押すなど、他人が触れたものは極力避けている様子である。 ちなみに韓国といえば、一つの鍋や大皿料理をみんなでつつきあう食文化であるが、それにも変化が。最近は、なるべく一緒につつかないメニューを選び、他人の箸やスプーン、唾液を警戒しながら食事をする人が多いようだ。同じメンバーでランチをすることの多いサラリーマンたちは、特に気をつけているとか。 ところで、MERSの一番の予防策は、他人との接触を避けることだが、最近は外出を控える韓国人が増えている。地下鉄の代わりに車を利用する人が増え、通勤ラッシュ時も地下鉄はさほど混んでいない。駅や公園、映画館、デパート、大型スーパーなど、いつも混雑しているはずの場所は、人影が通常の3分の1程度。おかげで、ネット通販が盛況だという。 さらには、外に出ないだけでは安心できないという“MERS避難民”まで登場。ブログやSNSでは、長期休暇を取って子どもたちを連れて田舎に帰ったり、当分の間、海外に滞在することにした人たちの報告があふれる。すでに休校している学校も多いが、10代の患者も出たということで、保護者たちは夏休みの繰り上げを要求。昨年のセウォル号転覆事故の影響で全面中止された修学旅行は、今年もやはり禁止になった。 盛り上がっていた韓国プロ野球も、大ダメージを受けている。筆者が暮らす釜山は、韓国で最も熱狂的なファンが多いロッテ・ジャイアンツの本拠地であり、ホームスタジアムである社稷野球場は連日満員を記録していたが、すっかりガラガラ状態。先日も試合を見に行ったが、数少ない観客がまばらに座って試合を眺めていたほど。こうした光景は釜山だけではなく、全国の野球場で、今シーズン観衆動員数ワースト記録を更新中である。 また、韓国は熱心なクリスチャンが多いことでも有名だが、教会では日曜の定期礼拝に空席が続出。ある信者は「散々悩んだ挙げ句、出席することにした」と言ってマスクを着けたまま礼拝に参加していた。多くの教会では事態を考慮し、インターネットで礼拝のライブ中継を実施。MERSが信仰心を揺るがしかねないという、笑えない状態なのである。 セウォル号転覆事故に続き、今年はMERSショックが起き、もはや厄災ノイローゼとなっている韓国。政府がこの事態をどう解決するのか、注目したいところだ。 (取材・文=李ハナ)イメージ画像(anytka / PIXTA)
「2年前から対策を練っていたのに、なぜ?」MERS感染拡散で判明した、韓国政府の無能ぶり
韓国で「MERS(マーズ=中東呼吸器症候群)」感染防止のために隔離されている人数が3,000人に肉薄している。保健福祉部によると、6月9日午前までで隔離者は2,892人に達し、今後も続々と増えていく可能性があるとの予測も出ている。 非常事態の中、朴槿恵大統領は9日、国務会議を開いて「MERSは確実な統制が可能な状況」と語り、「過敏に反応して経済活動が萎縮してはならない」と強調した。また、「我々は世界的な水準の医療技術と防疫体制を備えており、政府は国民のみなさんとともにこの状況を必ず克服する」と決意した。 韓国の医療技術が世界レベルにあるかどうかはさておき、MERS感染者が増え続けている現状を見る限り、最も信用できないのは韓国政府だと言わざるを得ない。というのも、政府は2013年からすでにMERS対策を練っていたからだ。 韓国の健険福祉部は13年5月に「MERS対策班」を結成し、昨年8月までに6回の対策会議を行っていた。また、専門家による懇談会も2度にわたって開いており、各種フォーラムを開催するなどして、「MERS対策マニュアル」を作成していたという。つまり、韓国政府は以前からMERSの危険性を十分に認識しており、必要な対策案も準備していたわけだ。しかし現実は、感染者と接触した人たちを見逃しただけでなく、感染力を過小評価し、初期対応にも失敗している。今回のMARS拡散によって、政府が作成していた対策マニュアルが無意味であることが証明されてしまったわけだ。 実際に、教育部(日本の文部科学省に相当)は6月5日、全国各地の教育庁に「MERSの学校対応マニュアル-幼・初・中等学校用」を送付。慶尚南道庁などは、そのマニュアルを2日後の7日に各学校へ送っている。しかし、教育部は8日にマニュアルの“修正バージョン”を再送。なんでも、発熱確認の措置条項にミスがあったそうだ。 例えば、最初のマニュアルには「37.5℃以上の発熱がある場合は(生徒を)帰宅させ、保護者に連絡して、近くの医療機関で診察を受けるようにする」とある。しかし、修正されたマニュアルには、「37.5℃以上の発熱がある場合は(生徒を)帰宅させ、任意で医療機関を訪問するのではなく、コールセンターに連絡して、医療チームが訪問するまで待機する」となっている。いかに韓国政府側が右往左往しているかが、手に取るようにわかるだろう。事前に対策を練っていたにもかかわらずこのありさまなのだから、政府に対する不信が高まるのも無理はない。 朴大統領の強気な発言とは裏腹に、現状、政府には具体的な対策案がまったくない可能性すらある。これ以上の感染者を出さないためには、国家的な対策が急務なのだが……。イメージ画像(anytka / PIXTA)



