ソウルからバスで小1時間、北朝鮮領までたった4kmの場所に位置する「ヘイリ芸術村」を訪れた。 1994年から少しずつ造成されたこの場所、当初は芸術家たちのアトリエやギャラリーが並ぶ本気のアート村だったが、2000年代後半から迷走。おもちゃ博物館、3D恐竜博物館、エルヴィス博物館など、ご家族・カップルに色目を使うベタな個人博物館ばかりが並ぶ、日帰り観光地・デートスポットとなっている。 次々と吸い取られる各館の入場料にため息をつきながら、だだっ広い芸術村をとぼとぼ歩いていたところ、珍スポ趣味をくすぐる博物館を発見。それが「エロティックアートミュージアム」だ。館内には、うす~くK-POPが流れている
入り口にあったパンフレットを読むと、「朝鮮時代の春画から男根女根像、ヨーロッパの性文化、現代作家によるエロティシズムまで」、1,000点を超える展示物を誇るそうで、村上隆、ピカソ、アンディ・ウォーホルといった名前まで並ぶ。えっ、それってかなりすごくない? 入場料を払い、撮影許可を得て最初の部屋へ。まずは韓国の春画コーナー。韓国語だが、それぞれ解説もあり、歴史好きも一見の価値ある内容だ。 次の部屋に行くと、中国、ベトナムを筆頭とした民族的エロアートや、おとぼけ男根像が所狭しと並び、その密度に思わず圧倒される。 ただし、フロアはそれほど大きくなく、胃もたれがするほどではない。ねちっこい時間を過ごす中高年カップルたちとすれ違うのに気を遣いながら、先へと進む。2014年にオープンしたばかりの新物件
性の喜びあふれる、浮かれた展示物にほのぼのとした気持ちになりながら、次の角を曲がったところ、いきなり中国の纏足(てんそく)写真が登場! 心臓が止まるかと思った。これって、エロと関係ないのでは……。 心を落ち着かせ、奥の部屋へ。そこには待望の巨匠コーナーが展開されていた。荒木経惟、ジェフ・クーンズらによる小さな写真がびっしり張ってあるけど、これって雑誌の切り抜き? ピカソの作品とやらも、随分ぞんざいに貼られているのが気になるが……。 続いて2階・3階へと進む。そこにはちゃんと額に飾られた、韓国を中心とする現代エロアート作品がずらりと並んでいた。こちらは、さすがに本物であろう。 あちらに見たことある村上隆の作品があると思ったら、村上フィギュアを韓国の画家がリアルに写生した「パロディ作品」であった。パンフにそう書いてよ……。 それはそれとして、細密に性器を描写した韓国作家のエロアートを鑑賞できるのはなかなか貴重。こんなアーティストもいるのかと、勉強になりました。1910年、韓国で最初に撮影されたエロ写真だとか。エロい顔に、時代も国境もないね!朝鮮戦争に参戦した軍人たちに贈られたハンカチ。この絵で自分を慰めていたのかと思うと、趣き深いエロ切手コーナー。単なる裸婦像ともいえるが、異常な物量がぼんやりとしたエロさを醸し出す
30分ほどの観覧で、ミュージアムは終了。 カップルで楽しむことを目的としたチャラいセックスミュージアムが多い中で、意外にもアカデミックな情報を提供し、あいまにリアル纏足写真を投入するこのエロティックアートミュージアムこそ、ひとりで挑みたい、硬派な性の博物館といえる。 建物を出るとそこはカップルばかりで、そこから遠くにあるバス停まで、纏足を思いながらとぼとぼ歩いた。 ●エロティックアートミュージアム 住所 坡州市炭縣面法興里1652-115 ヘイリ芸術村G-31 営業時間 10:30~19:00 定休日 月曜 料金 8,000ウォン (文・写真=清水2000)韓国作家による裸婦像がずらり。奥にはウォーホルとシャガールの作だというエッチな絵が鎮座する館内で最もキュンときた作品、スク水のオードリー・ヘプバーン(キム・スンファン作)「国内最高のエロティック作家」と紹介されているチェ・ギョンテのコーナー。2001年に発表した女子高生シリーズが物議を呼び、罰金200万ウォンと作品焼却の罰を受けたとか



































































































