孤高の発明家の脳内世界に呆然とする「デロン展示館」

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情報が多すぎて、何がなんだか……
 ソウルの人気スポットである弘大エリアからちょっと外れたところにある、時代から取り残されたような雑居ビル。1階は在来市場となっており、天井の低い湿った空間には、4,500ウォン(450円)とソウルでは激安の定食を出す食堂や、埃をかぶった衣料品店、業者向けの卸売店などが並んでいる。そしてその一角に、ひときわ異彩を放つ空間があった。
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すでになかなか香ばしい空間なのだが、さらに奥には……
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異界への扉が!
 規則的にうねうねと反復される赤・黄・緑のパイプ。サイケデリックで宇宙的、どこか触手のようでもある謎のオブジェを中心に、人形・造花・CDなど統一性のない小物や、手書きのメッセージがびっしりと視界を埋め尽くす。  作品が発する尋常ならぬエネルギーに、思わず打ちのめされそうになる。どこから突っ込んでいいのかまったくわからない。
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人形の頭は、逆さにした壺
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ヨン様と、折り鶴と、シースルーすぎる帽子
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もう無理
 あちこちに掲げられたメッセージを読むに、メイン展示物は「デロン」と呼ばれるパイプのようだ。子ども向けの玩具だろうと想像する一方で、「デロンは産業の原動力」「デロンは働き口を創出」といったメッセージも並び、混乱させられるばかり。  さらに作品は、「デロン展示館」と書かれた扉の周辺のみならず、市場内に点在していた。住人は気にならないのかと心配する一方で、隣の食堂も、明らかに自分のエリアではないデロン展示館の前に机を並べてるわけだから、お互い様か。
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ほとばしるメッセージ
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ここは桃源郷か
 謎を解明すべく、半開きになっている恐る恐る扉を開けてみる。そこには外部以上に複雑なデロンで囲まれた圧迫感ある空間があり、初老の男性がひとりデスクで昼寝していた。この男性こそが、「ワールドデロンシステム」を開発した発明家、パク・シンジェさん(73歳)だ。
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熱弁をふるう発明家
 アポなしで訪れたにも関わらず、快くインタビューに応じてくれたパク博士。彼の話によると、デロンは8つの接続部分と6つの連結部分からなり、これだけでどんな形でも簡単に作れるという。大きさは3種類あり、教育用玩具にもインテリアにもなる(コーティングすればお風呂にもなるとか)。  彼はもともとは大工だったが、木と木を連結するのにこの形のパイプさえあれば、安価なうえどんな形にも対応できることに思い至り、1985年から研究を開始。92年には商標も登録し、特許も持っているそうだ。  と、ここまでの取材は順調だったのだが、博士のマシンガントークはいよいよ加速し、話はビッグバンのように膨らんでいくので、私の乏しい理解力と語学力では正直ついていけなかったことを告白する。  朦朧とする頭でなんとかキャッチできたのは、「デロンが住宅問題を解決し、貧富の差を解消」「誰でも簡単に扱えるから、働き口の創出にもなる」「デロンが人間らしく生きられる世界を創造」「デロンは世界の共通言語となる」「ギネスにもユネスコにも登録されるべき発明」……。
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隣をふと見ると、人形の着ている服がデロン模様
 質問を挟む余裕を与えない怒涛の1時間が過ぎ、おなかがキリキリと痛くなった私は、話の途中だったが、礼を言っておいとました。  デロンがどれだけすごいのか何もわからなかったが、しかし70を過ぎても衰えない博士の想像力と情熱は、リスペクトに値するものがあった。いつの日かデロンがギネスに載り、世界中の人々がデロンを使ってコミュニケーションを取る時代に備え、あなたも一度デロン展示館を訪れてみてはいかがだろう。 (文・写真=清水2000) ●デロン展示館(ワールドドローンシステム) 住所 ソウル市麻浦区東橋路12キル21(西橋洞485-14) サイト http://www.derong.kr

Mr.トイレットの私宅はうんこまみれ「トイレ文化展示館 解憂斎」

Mr.トイレットの私宅はうんこまみれ「トイレ文化展示館 解憂斎」の画像1
Mr.トイレット、そしてうんこ
 地味に20回目を迎える今回は、水原(スウォン)市に位置する有名スポット「トイレ文化展示館 解憂斎(ヘウジェ)」を訪れた。市街地から外れた森の中、洋式便器の形をした2階建ての建物が、メルヘンのように登場する。
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うんこに国境はない
 ここは、「世界トイレ協会」なるものを設立し、世界のメディアから「Mr.トイレット」と呼ばれるまでに至る沈載徳(シム・ジェドク)さんが、2007年に自宅を改築した建物だ。Mr.は09年に亡くなってしまうが、建物は彼の遺志により市に寄贈され、翌年には「トイレ文化展示館」として一般開放されることになる。
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いい表情の野グソ少年がお出迎え
 館内は、トイレやうんこにまつわる真面目なパネル展示が並ぶ。見どころは、Mr.が実際に使っていたトイレであろう。大きなフロアのど真ん中にトイレットルームが鎮座し、壁には大きなガラスがあしらわれ、外から丸見えとなっている。  このドへんた……いや、排泄というアンダーグラウンドカルチャーを世に開放する、Mr.の哲学がここにある。なお、ボタンを押せばガラスを不透明にできる仕掛けも。
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便器前の等身大パネルが、Mr.の放尿シーンを連想させる
 トイレやうんこにまつわるスポットと聞いて、B級テイストのものを期待してしまったが、実際にはキッズ向けのお勉強スポットという様子だ。家族連れが多く、和気あいあいと展示物を楽しんでいる。  お次は、展示館の横に12年に完成した「トイレ文化公園」へと向かった。パンフレットを見ると「東西トイレ史の変遷が一目でわかる」とあるが、果たしてどうだろう。  小さな庭園には、トイレやうんこのオブジェ、さまざまなスタイルで排泄を試みる人々の像が並んでいた。
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よっしゃー!
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わーい
 なんか細部が必要以上にリアルなんですけど、これ大丈夫なの?  匂ってきそうなほどリアルなうんこオブジェから、ファンシーすぎて腰が砕ける石像、うんちのゆるキャラまで、排泄物及び排泄行為のオンパレードだ。  訪れた子どもたちは楽しそうにはしゃいでいるが、よくよく考えるとちょっとまずいのではと心配になる、奇妙なこだわりのつまった展示物の数々に、正直「東西トイレ史の変遷」どころではなくなってしまった私がいた。
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子どもの肛門から、まっすぐなボルトがにょきりと
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考える人は洋式トイレで……って、あなたはなぜうんこ色なのか?
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突然現れたリス、かわいいなあとよく見たら、性器の描写がすごい
 最後に、15年に追加された展示施設「ヘウジェ文化センター」もチェック。こちらは「子ども体験館」や「糞図書館(日本語パンフ原文ママ)」もあり、キッズ向けのお勉強色をさらに強めている。
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肛門からぼろぼろ出てきたボールを、再び口の中に押し込むという謎のプレイに熱中する少年。「触ってみよう!」と書かれた、感触をも再現したのであろうリアルなうんこ模型もあった。
 子どもたちの未知の扉を開いてしまうのではと思わせる、ストレンジな何かがつまったテーマパーク。ここが奇異に思えるのは、私たちが大人になってしまったから?  帰りのバスを待ちながら、しばらく本気でうんこのことを考えた。 (取材・文=清水2000) ●トイレ文化展示館 解憂斎 住所 水原市長安区長安路458番キル9 営業時間 10:00~18:00(11~2月は10:00~17:00) 休館日 月曜 サイト http://www.haewoojae.com/

日本初公開! 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」

日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像1
作品名は「ヨガ」
 まだ日本のメディアやブロガーには知られていないだろうと思われる、韓国珍スポライターとっておきの秘宝館を紹介したい。ソウル西部の江華島(カンファド)にひっそりと存在する、「江華セックスミュージアム」がそれだ。  ソウル中心部の新村から2000番のバスに乗り、約2時間。パワースポットとしても知られる摩尼山(マニサン)入り口のバス停で降車し、来たのとは逆方向にちょっと歩くと、畑の中に派手な垂れ幕が現れた。  その先には「GSM」と、アートな様子で壁に描かれた真新しい建物がたたずんでいる。最初は何かわからなかったが、よくよく考えたら「江華(G)」「セックス(S)」「ミュージアム(M)」の頭文字だ。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像2
GSM!
 なお、この私設博物館は「世界春画博物館」という看板も掲げており、どっちなのかはっきりしてほしいところだが、そのGSMがあまりに神々しかったので、この原稿では「江華セックスミュージアム」に統一させていただく。  植木の間にミロのビーナスやらモアイ像やらマネキンやらが乱立する、夢があふれる不穏な小道を進む。すると奥の建物から、宮崎駿先生を連想させる、髭と眼鏡のロマンスグレーの男性がひょこっと登場。素敵な笑顔で「不思議な博物館へようこそ!」と迎えてくれた。彼こそが館長、オ・ジヨルさんだ。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像3
素敵な笑顔
 入場料7,000ウォン(約700円)を支払い、見学を開始。1階は教室ぐらいの大きさとなっており、性をモチーフにした世界の民俗品を始め、伝統的な春画、大人のおもちゃ、性器のついたヤカンや杖、木彫りの像などが、洋の東西を問わず展示されている。  歴史的なものもチープなものもごった混ぜで、中には高そうな器やスフィンクスなどエロとはまったく関係なさそうな展示物も並び、統一感は何もない。しかし、ひとつひとつをじっくり眺めていると、宇宙から地球を俯瞰しているようでまったく飽きない。
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地球はピンク色だった!
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これでお茶飲みたくない
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「恥ずかしいの、触らないで!」とある。それにしても達筆
 目の前に繰り広げられる視覚情報とは異なり、館内には映画『タイタニック』のテーマ(インスト版)らしきものが流れており、耳はさわやかだ。  次は階段を上り、2階へ。そこには1階と同じ大きさのワンフロアがあり、壁一面に世界160カ国の春画が印刷されたタイルがずらりと並んでいる。その数なんと5,000点もあり、壮観な眺めだ。  わざわざタイルにして焼かなくてもと思う一方で、行ったことのない国の個性あふれるエッチな絵に、「ウルグアイって、触手×鋼鉄スーツ×尼が好まれるのか……」など想像をかきたてられる(たぶん間違っている)。
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タイルのほかにも日本のエロ漫画、昭和なエロ本、世界のエロトランプ、ネットから拾ったような作品まで、さまざまな絵が飾られる
 またこの部屋にも、セクシーなオブジェや小物が所狭しと展示されている。中でも目を引いたのは、どこかで見たことのある海賊の等身大の像(性器まる出し)や、ヨガのポーズをとるガンジーみたいな人の像(性器まる出し)。これって、大丈夫なのだろうか?
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のびるところが違う
 1階と2階の見学を終えたら、館長の強烈な存在感のために思わず見損なった、博物館前の庭園へ。緑あふれる庭園には、性器が異常に強調されていたり、先っぽから水が噴き出したりと、セクシーながらもどこかマヌケな石像がものすごい密度で並んでいる。
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韓国のジブリの森と呼びたい
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像10
わーい
 博物館見学はこれで終わり。興味がなければ10分ほどで一周してそそくさと帰れる規模だが、私などは1時間以上かけてたっぷり楽しめた。ここまで過剰な、そしてどこかぼんやりとした夢の博物館を、現実のものとしてしまう館長は一体どんな人物なのだろう?  チケットブースの中で動画を見ていた館長に声をかけると、快くインタビューに応じてくれた。  博物館を作ったきっかけについて質問すると、「韓国は少子化が問題になっています。若者に性的な衝動を感じてもらうことはお国のため。一種の愛国心ですよ」と館長。エロで愛国活動とは、なんて素敵な話だろう。  さらに館長は、博物館を開業するまではソウルの有名大学に勤めており、韓国文学や詩を教えていたという。例の海賊やガンジーは、学生が造った作品だとか。  もともとは、コレクションしていた水石(観賞用の石)の博物館を造ろうと考えていた館長。しかし、日本を訪れた同僚から、「日本はセックスミュージアムが盛り上がっている」と聞き、一気に方針転換。27年かけて、世界から8,000点以上の展示物を収集した(ここに展示されていないコレクションが、さらに1,000点ほどコンテナにしまってあるという)。  大学の職を辞め、借金をして縁のなかった江華島の土地を購入し、2011年ついに開館。挑戦を続けるその行動力には、尊敬せざるを得ないものがある。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像11
博物館の管理のほか、農作業も営み生計を立てている。博物館入り口には、エログッズと一緒にジャガイモが売られていた
 貴重な作品を紹介してもらいながら、再び館内を見学する。「これはかなり貴重な文化財」と、歴史がありそうなひとつの壺を指さしおっしゃったが、どのあたりが性的なのか、じっくり見てもよくわからない。  聞いてみると「全部エロティックだったら、飽きるじゃないですか」と館長。あの、愛国心は……。  インタビューをしている間、予想以上に多くの観光客が博物館を訪れ、そのたびに館長は定位置に戻り、「不思議な博物館へようこそ!」と笑顔を振りまいた。  こんな素敵な江華セックスミュージアムに、皆さんもぜひともカップルで訪れ、愛国心をしっぽりと育んでほしい。 (取材・文=清水2000) ●江華セックスミュージアム(江華性博物館、世界春画博物館) 住所 仁川市江華郡華道面摩尼山路657-6 営業時間 9:00~20:00 入場料 大人7,000ウォン サイト http://www.ghsexmuseum.com/

日本初公開! 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」

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作品名は「ヨガ」
 まだ日本のメディアやブロガーには知られていないだろうと思われる、韓国珍スポライターとっておきの秘宝館を紹介したい。ソウル西部の江華島(カンファド)にひっそりと存在する、「江華セックスミュージアム」がそれだ。  ソウル中心部の新村から2000番のバスに乗り、約2時間。パワースポットとしても知られる摩尼山(マニサン)入り口のバス停で降車し、来たのとは逆方向にちょっと歩くと、畑の中に派手な垂れ幕が現れた。  その先には「GSM」と、アートな様子で壁に描かれた真新しい建物がたたずんでいる。最初は何かわからなかったが、よくよく考えたら「江華(G)」「セックス(S)」「ミュージアム(M)」の頭文字だ。
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GSM!
 なお、この私設博物館は「世界春画博物館」という看板も掲げており、どっちなのかはっきりしてほしいところだが、そのGSMがあまりに神々しかったので、この原稿では「江華セックスミュージアム」に統一させていただく。  植木の間にミロのビーナスやらモアイ像やらマネキンやらが乱立する、夢があふれる不穏な小道を進む。すると奥の建物から、宮崎駿先生を連想させる、髭と眼鏡のロマンスグレーの男性がひょこっと登場。素敵な笑顔で「不思議な博物館へようこそ!」と迎えてくれた。彼こそが館長、オ・ジヨルさんだ。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像3
素敵な笑顔
 入場料7,000ウォン(約700円)を支払い、見学を開始。1階は教室ぐらいの大きさとなっており、性をモチーフにした世界の民俗品を始め、伝統的な春画、大人のおもちゃ、性器のついたヤカンや杖、木彫りの像などが、洋の東西を問わず展示されている。  歴史的なものもチープなものもごった混ぜで、中には高そうな器やスフィンクスなどエロとはまったく関係なさそうな展示物も並び、統一感は何もない。しかし、ひとつひとつをじっくり眺めていると、宇宙から地球を俯瞰しているようでまったく飽きない。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像4
地球はピンク色だった!
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像5
これでお茶飲みたくない
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像6
「恥ずかしいの、触らないで!」とある。それにしても達筆
 目の前に繰り広げられる視覚情報とは異なり、館内には映画『タイタニック』のテーマ(インスト版)らしきものが流れており、耳はさわやかだ。  次は階段を上り、2階へ。そこには1階と同じ大きさのワンフロアがあり、壁一面に世界160カ国の春画が印刷されたタイルがずらりと並んでいる。その数なんと5,000点もあり、壮観な眺めだ。  わざわざタイルにして焼かなくてもと思う一方で、行ったことのない国の個性あふれるエッチな絵に、「ウルグアイって、触手×鋼鉄スーツ×尼が好まれるのか……」など想像をかきたてられる(たぶん間違っている)。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像7
タイルのほかにも日本のエロ漫画、昭和なエロ本、世界のエロトランプ、ネットから拾ったような作品まで、さまざまな絵が飾られる
 またこの部屋にも、セクシーなオブジェや小物が所狭しと展示されている。中でも目を引いたのは、どこかで見たことのある海賊の等身大の像(性器まる出し)や、ヨガのポーズをとるガンジーみたいな人の像(性器まる出し)。これって、大丈夫なのだろうか?
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像8
のびるところが違う
 1階と2階の見学を終えたら、館長の強烈な存在感のために思わず見損なった、博物館前の庭園へ。緑あふれる庭園には、性器が異常に強調されていたり、先っぽから水が噴き出したりと、セクシーながらもどこかマヌケな石像がものすごい密度で並んでいる。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像9
韓国のジブリの森と呼びたい
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像10
わーい
 博物館見学はこれで終わり。興味がなければ10分ほどで一周してそそくさと帰れる規模だが、私などは1時間以上かけてたっぷり楽しめた。ここまで過剰な、そしてどこかぼんやりとした夢の博物館を、現実のものとしてしまう館長は一体どんな人物なのだろう?  チケットブースの中で動画を見ていた館長に声をかけると、快くインタビューに応じてくれた。  博物館を作ったきっかけについて質問すると、「韓国は少子化が問題になっています。若者に性的な衝動を感じてもらうことはお国のため。一種の愛国心ですよ」と館長。エロで愛国活動とは、なんて素敵な話だろう。  さらに館長は、博物館を開業するまではソウルの有名大学に勤めており、韓国文学や詩を教えていたという。例の海賊やガンジーは、学生が造った作品だとか。  もともとは、コレクションしていた水石(観賞用の石)の博物館を造ろうと考えていた館長。しかし、日本を訪れた同僚から、「日本はセックスミュージアムが盛り上がっている」と聞き、一気に方針転換。27年かけて、世界から8,000点以上の展示物を収集した(ここに展示されていないコレクションが、さらに1,000点ほどコンテナにしまってあるという)。  大学の職を辞め、借金をして縁のなかった江華島の土地を購入し、2011年ついに開館。挑戦を続けるその行動力には、尊敬せざるを得ないものがある。
日本初公開? 韓国の宮崎駿が笑顔で出迎える「江華セックスミュージアム」の画像11
博物館の管理のほか、農作業も営み生計を立てている。博物館入り口には、エログッズと一緒にジャガイモが売られていた
 貴重な作品を紹介してもらいながら、再び館内を見学する。「これはかなり貴重な文化財」と、歴史がありそうなひとつの壺を指さしおっしゃったが、どのあたりが性的なのか、じっくり見てもよくわからない。  聞いてみると「全部エロティックだったら、飽きるじゃないですか」と館長。あの、愛国心は……。  インタビューをしている間、予想以上に多くの観光客が博物館を訪れ、そのたびに館長は定位置に戻り、「不思議な博物館へようこそ!」と笑顔を振りまいた。  こんな素敵な江華セックスミュージアムに、皆さんもぜひともカップルで訪れ、愛国心をしっぽりと育んでほしい。 (取材・文=清水2000) ●江華セックスミュージアム(江華性博物館、世界春画博物館) 住所 仁川市江華郡華道面摩尼山路657-6 営業時間 9:00~20:00 入場料 大人7,000ウォン サイト http://www.ghsexmuseum.com/

リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」

リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像1
相原コージ的なワンシーン
 ソウル市の東にはずれにある「ソウル岩寺洞(アムサドン)遺跡」を訪れた。韓国を代表する新石器時代の遺跡なのだが、原始人ファンを魅了してやまないスポットというウワサである。  地下鉄8号線の終点「岩寺(アムサ)」駅で下車し、徒歩15分。空き地だらけの牧歌的なエリアにそれは現れた。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像2
見た目は普通の公園
 券売所でチケット500ウォン(50円)を購入。「ユネスコ世界遺産登録を推進します」という看板が掲げられた、チケットをチェックする人は誰もいないゲートをくぐると、そこには一見、ただの公園が広がっていた。発掘中のエリアや竪穴式住居も少しあるが、そこまで原始推しではない。お年寄りがベンチで囲碁をし、家族が散歩する、普通の公園だ。  さらに進むと、新石器時代を紹介する真面目な展示館が現れるが、原始マニアを興奮させるほどの目新しさはない。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像3
展示館内。目が怖いよ
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像4
お決まりの原始人顔ハメ
 徒歩でも無理なく一周できる規模で、貴重な出土品が発掘されているとしても、ユネスコ世界遺産を目指すには地味すぎるんじゃないの? と思っていたところ、公園の一番奥に、これまでとは力の入れ具合が全然違うテンションの高いエリアが!
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像5
原始、きたー!
 目を凝らすと、原始人がウヨウヨ……。こここそが岩寺洞遺跡の要、2010年に登場した「体験村」だ。 新石器時代の村を再現したエリアに、リアルすぎる実物大の原始人像が乱立! そのあまりの生々しさに、あちこちから「うほーい」と叫び声が聞こえてきそう。  最高なのは、それぞれの像にほとんど説明がないということ。だだっ広い空の下に、原始人たちはただいるだけだ。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像6
ウッチャン?
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像7
竹中直人?
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像8
「それは置いといて」の子ども。なんかむかつく
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像9
うさぎ死んでる
「韓国はゆるキャラではなく、マジキャラの国」というのは私の持論だが、必要以上にリアルな原始人たちに、時折イラっとしながらも大興奮。なんの曇りもない素敵なお顔に囲まれているうちに、こちらも全裸になって原始と交わりたい気分になった。原始、いいよね!  最初に公園を見た時はどうかと思ったが、こんなハイクオリティの原始人像をもっともっと増やせば、本気でユネスコ世界遺産をゲットできるのではと思った。新石器時代の出土品がかすんで見えるような、兵馬俑クラスの大遺跡を目指してほしいものだ。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像10
公園の端っこに恐竜戦車みたいなのが放置されていた。しかし、トリケラトプスは原始人と関係ないのでは……。
(取材・文=清水2000) ソウル岩寺洞遺跡 住所 ソウル市江東区オリンピック路875 営業時間 9:00~18:00 定休日 月曜、1月1日 入場料 成人500ウォン アクセス 地下鉄8号線「岩寺」駅4番出口から徒歩15分

リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」

リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像1
相原コージ的なワンシーン
 ソウル市の東にはずれにある「ソウル岩寺洞(アムサドン)遺跡」を訪れた。韓国を代表する新石器時代の遺跡なのだが、原始人ファンを魅了してやまないスポットというウワサである。  地下鉄8号線の終点「岩寺(アムサ)」駅で下車し、徒歩15分。空き地だらけの牧歌的なエリアにそれは現れた。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像2
見た目は普通の公園
 券売所でチケット500ウォン(50円)を購入。「ユネスコ世界遺産登録を推進します」という看板が掲げられた、チケットをチェックする人は誰もいないゲートをくぐると、そこには一見、ただの公園が広がっていた。発掘中のエリアや竪穴式住居も少しあるが、そこまで原始推しではない。お年寄りがベンチで囲碁をし、家族が散歩する、普通の公園だ。  さらに進むと、新石器時代を紹介する真面目な展示館が現れるが、原始マニアを興奮させるほどの目新しさはない。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像3
展示館内。目が怖いよ
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像4
お決まりの原始人顔ハメ
 徒歩でも無理なく一周できる規模で、貴重な出土品が発掘されているとしても、ユネスコ世界遺産を目指すには地味すぎるんじゃないの? と思っていたところ、公園の一番奥に、これまでとは力の入れ具合が全然違うテンションの高いエリアが!
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像5
原始、きたー!
 目を凝らすと、原始人がウヨウヨ……。こここそが岩寺洞遺跡の要、2010年に登場した「体験村」だ。 新石器時代の村を再現したエリアに、リアルすぎる実物大の原始人像が乱立! そのあまりの生々しさに、あちこちから「うほーい」と叫び声が聞こえてきそう。  最高なのは、それぞれの像にほとんど説明がないということ。だだっ広い空の下に、原始人たちはただいるだけだ。
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ウッチャン?
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竹中直人?
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「それは置いといて」の子ども。なんかむかつく
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像9
うさぎ死んでる
「韓国はゆるキャラではなく、マジキャラの国」というのは私の持論だが、必要以上にリアルな原始人たちに、時折イラっとしながらも大興奮。なんの曇りもない素敵なお顔に囲まれているうちに、こちらも全裸になって原始と交わりたい気分になった。原始、いいよね!  最初に公園を見た時はどうかと思ったが、こんなハイクオリティの原始人像をもっともっと増やせば、本気でユネスコ世界遺産をゲットできるのではと思った。新石器時代の出土品がかすんで見えるような、兵馬俑クラスの大遺跡を目指してほしいものだ。
リアルすぎる原始人がウヨウヨ……「ソウル岩寺洞遺跡」の画像10
公園の端っこに恐竜戦車みたいなのが放置されていた。しかし、トリケラトプスは原始人と関係ないのでは……。
(取材・文=清水2000) ソウル岩寺洞遺跡 住所 ソウル市江東区オリンピック路875 営業時間 9:00~18:00 定休日 月曜、1月1日 入場料 成人500ウォン アクセス 地下鉄8号線「岩寺」駅4番出口から徒歩15分

トリップ必至!? 濃厚すぎるファンタジーワールド「松月洞童話村」

トリップ必至!? 濃厚すぎるファンタジーワールド「松月洞童話村」の画像1
夢であってほしい
 童話村のことを聞いた時は、正直「またか……」という思いしかなかった。  お年寄りしかいない寂れた町や、いわゆる貧民街を、「アート」と称する派手なばかりの壁画で埋め、観光客を呼び込もうとする手法は、韓国では実にありがちだ。  前回の碑石文化村(参照記事)のように、日本人の墓石の1つや2つあればいいのだが、壁画だけでは珍スポと言うには物足りず。むしろ美大生が描いたようなしょぼいイラストで、せっかくの趣が台無しになった古い町を数多く見てきたものだ。  だから仁川駅前の「松月洞(ソンウォルドン)童話村」も、似たり寄ったりだろうとタカをくくっていた。  しかし、その町が近づくにつれて、私の思いは間違っていたことを知る。
トリップ必至!? 濃厚すぎるファンタジーワールド「松月洞童話村」の画像2
ゲートの向こうは童話村。遠目に見ても、浮かれっぷりが異常
トリップ必至!? 濃厚すぎるファンタジーワールド「松月洞童話村」の画像3
城まで建てちゃう?
トリップ必至!? 濃厚すぎるファンタジーワールド「松月洞童話村」の画像4
一般住宅が並ぶ細道までハイテンション
 壁画だけにとどまらず、町の至るところに、ものすごい密度で立体物が投入されている! これはアートなんかじゃない。むき出しのファンタジーそのものだ。  そして特筆すべきなのは、店舗がある大通りばかりではなく、一般住宅しかない細い通りまでファンタジーに侵食されているということ。住民たちは、どんなテンションで毎日を過ごしているのだろう?
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一見ラブホテルのようだが、普通のアパート
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ライフラインは電気ガスではなく、魔法
 そして気になるのは、「童話村」と言いつつ、ディ●ニーっぽいキャラクターが多いということである。激似というわけではないので、あくまでインスパイアの範囲ということだろうか? あまりの物量に圧倒され、脳の判断を司る部分が衰弱している私がいる。  気を確かに持って、前に進む。童話村は、30分ほどでぐるりと一周できる。
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「花壇にゴミを捨てるな」との警告文が乱立するおじいちゃんの家、というのは日本でもよくある日常だが、その家もファンタジーに侵されており……
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トタン屋根をブロックで固定する家もファンタジー仕様に。お金をかける場所はそこなのか
 この松月洞、かつては外国人の居住地として栄えたが、近年は若者が減少し、建物も老朽化。町を活性化するため、2013年から童話をモチーフにした壁画を描き始めたことから、現在の童話村になったという。それにしても、この手加減のなさは一体どこから?
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建物の屋上から童話村を見下ろす。明らかに老朽化が進む一帯と、きらびやかな一帯とのギャップがすごい
 探訪の最後に、序盤に出会ったお城に行ってみた。こちらはカフェとなっていたのだが、明らかにメニューがおかしい。
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ドラッグコーヒー?
 英語で「DRUG COFFEE」、韓国語で「麻薬コーヒー」とある! そんなのが普通に売ってたら、そりゃ住民の皆さんもファンタジー過剰になるよ!   さっそく注文してみる。
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注射器がぶっ刺さっております
 ソフトクリームの乗ったアイスコーヒーに、なんと注射器がささっている。なんでも、この液体を少しずつかけて食べるとヤバいとか……。  味見すると、普通のチョコレートソースのようにも感じたが、童話村のハイテンションな空気にやられた私の脳に、サイケデリックなイメージがぶわーっとひろがっては消えていった。 (取材・文=清水2000) ●松月洞童話村 住所 仁川市中区自由公園西路45番キル、51番キル

テトリスのように積まれた日本人の墓石にドキッ!「峨嵋洞碑石文化村」

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右の家、どう見てもfeaturing 墓
 韓国珍スポの旅を続けて悩むのが、これは果たして珍スポなのかどうかということだ。 廃墟もミステリースポットも軍事施設も大好きだが、それは珍スポではない。訪れる人を珍妙な気分にさせる、ほほえましくもストレンジな何かがあってこそ「珍スポット」と言えるわけで。  釜山(プサン)は「峨嵋洞(アミドン)碑石文化村」を訪れた。日本統治時代に日本人の共同墓地があった山の斜面に、1950年の朝鮮戦争で家を失った人々が居を構えた集落であり、なんと日本の墓石が建材としてあちこちに使われているという。  それだけ聞くとダークツーリズムスポットのようだが、果たしてどうだろう? 釜山駅前から市内バスに乗り20分で下車、下町風情の坂道をぐいぐい登ってたどり着いたそこには、ほほえましくもストレンジな光景が広がっていた。
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墓石がある位置を示した町内マップ
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墓石のキャラクター「ソギ」(日本語に訳せば「石クン」というところか)
 予想以上の軽やかさ……こりゃ、珍スポだ。  地図をデジカメに収め、墓石を探しながら集落を歩く。斜面の敷地に自由自在に建てられた小さな家々の間、カラフルな壁画があちこちに描かれた、人ひとり通るのもやっとの狭い通路を進んでいくと……あった!! これは間違いなく、日本の墓石だ。石垣の一部として、上下左右関係なく、テトリスのように積まれている。
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「丸に横木瓜」って、うちの家紋と同じだ……まさか、リアルご先祖様がここに?
 集落は30分ほどで一周できそうな大きさであり、地図を頼りに行ったり来たりする。階段や家の基礎、ガスボンベの下の土台など、あらゆる場所に墓石を発見。  これ、何も情報がないところにいきなり出てきたら本気で怖いと思うが、町内に設置された地図や説明、そして壁画のおかげでネガティブな印象はあまりない。行政も歴史の保存に積極的だという。
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浮かれた壁画で容赦なく飾られた、迷路のような通路を行く
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墓石である。日本人としては何ともコメントしづらいビジュアルだが、近くのお寺では毎年、ここに眠っていた日本人のための慰霊祭を行っているとか
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ガスボンベの下に墓石の一部
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カタカナのお名前が書いてある! 歩いているうちに目が肥えてきて、地図には紹介されていない場所にも墓石を見つけられるように
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家々の間の謎の敷地に、町民のための運動器具が設置されていた。生と死のコントラストに頭がクラクラする
 そうこうしているうちに坂を登りきり、集落を見下ろす丘の上に到着。そこは展望台となっており、ポップなキャラクターが私を出迎えてくれた。昔の暮らしをイメージしたキャラクターなのだろうが、「カンナムスタイル」っぽいポーズを取っているあたり、はっきりいってめんどくさい。  石クンだけにしておけばいいのに……。この蛇足感に、珍スポとしての本領を見た気がした。
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とはいえ、ここから一望できる釜山市内の景色は素晴らしい。墓地がここにあった理由もうなずける
 なお、峨嵋洞碑石文化村は今のところ、観光地のような雰囲気はまったくなく、歩いていても地域住民しか見かけない。しかし、ここから徒歩5分ほどのところに位置する、町全体が壁画でカラフルに装飾された、墓石がないだけで似たようなコンセプトの「甘川(カンジョン)文化村」は、原宿のようにごったがえしており、何かのきっかけで世界の観光客が峨嵋洞碑石文化村に押し寄せる可能性もなくはない。墓石と共存する人々の素朴な生活に触れたいのなら、早めに訪れたほうがよいだろう。 (文・写真=清水2000) ●峨嵋洞碑石文化村 住所 釜山西区峨嵋路49

テトリスのように積まれた日本人の墓石にドキッ!「峨嵋洞碑石文化村」

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右の家、どう見てもfeaturing 墓
 韓国珍スポの旅を続けて悩むのが、これは果たして珍スポなのかどうかということだ。 廃墟もミステリースポットも軍事施設も大好きだが、それは珍スポではない。訪れる人を珍妙な気分にさせる、ほほえましくもストレンジな何かがあってこそ「珍スポット」と言えるわけで。  釜山(プサン)は「峨嵋洞(アミドン)碑石文化村」を訪れた。日本統治時代に日本人の共同墓地があった山の斜面に、1950年の朝鮮戦争で家を失った人々が居を構えた集落であり、なんと日本の墓石が建材としてあちこちに使われているという。  それだけ聞くとダークツーリズムスポットのようだが、果たしてどうだろう? 釜山駅前から市内バスに乗り20分で下車、下町風情の坂道をぐいぐい登ってたどり着いたそこには、ほほえましくもストレンジな光景が広がっていた。
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墓石がある位置を示した町内マップ
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墓石のキャラクター「ソギ」(日本語に訳せば「石クン」というところか)
 予想以上の軽やかさ……こりゃ、珍スポだ。  地図をデジカメに収め、墓石を探しながら集落を歩く。斜面の敷地に自由自在に建てられた小さな家々の間、カラフルな壁画があちこちに描かれた、人ひとり通るのもやっとの狭い通路を進んでいくと……あった!! これは間違いなく、日本の墓石だ。石垣の一部として、上下左右関係なく、テトリスのように積まれている。
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「丸に横木瓜」って、うちの家紋と同じだ……まさか、リアルご先祖様がここに?
 集落は30分ほどで一周できそうな大きさであり、地図を頼りに行ったり来たりする。階段や家の基礎、ガスボンベの下の土台など、あらゆる場所に墓石を発見。  これ、何も情報がないところにいきなり出てきたら本気で怖いと思うが、町内に設置された地図や説明、そして壁画のおかげでネガティブな印象はあまりない。行政も歴史の保存に積極的だという。
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浮かれた壁画で容赦なく飾られた、迷路のような通路を行く
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墓石である。日本人としては何ともコメントしづらいビジュアルだが、近くのお寺では毎年、ここに眠っていた日本人のための慰霊祭を行っているとか
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ガスボンベの下に墓石の一部
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カタカナのお名前が書いてある! 歩いているうちに目が肥えてきて、地図には紹介されていない場所にも墓石を見つけられるように
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家々の間の謎の敷地に、町民のための運動器具が設置されていた。生と死のコントラストに頭がクラクラする
 そうこうしているうちに坂を登りきり、集落を見下ろす丘の上に到着。そこは展望台となっており、ポップなキャラクターが私を出迎えてくれた。昔の暮らしをイメージしたキャラクターなのだろうが、「カンナムスタイル」っぽいポーズを取っているあたり、はっきりいってめんどくさい。  石クンだけにしておけばいいのに……。この蛇足感に、珍スポとしての本領を見た気がした。
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とはいえ、ここから一望できる釜山市内の景色は素晴らしい。墓地がここにあった理由もうなずける
 なお、峨嵋洞碑石文化村は今のところ、観光地のような雰囲気はまったくなく、歩いていても地域住民しか見かけない。しかし、ここから徒歩5分ほどのところに位置する、町全体が壁画でカラフルに装飾された、墓石がないだけで似たようなコンセプトの「甘川(カンジョン)文化村」は、原宿のようにごったがえしており、何かのきっかけで世界の観光客が峨嵋洞碑石文化村に押し寄せる可能性もなくはない。墓石と共存する人々の素朴な生活に触れたいのなら、早めに訪れたほうがよいだろう。 (文・写真=清水2000) ●峨嵋洞碑石文化村 住所 釜山西区峨嵋路49

トラウマ必至! とある9歳児を大フィーチャーした反共テーマパーク「李承福記念館」

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楳図かずお的な迫力
 タダならぬ表情の少年像。これぞ、李承福(イ・スンボク)クンという9歳の少年が、北朝鮮兵に襲われるも、勇敢に「僕は共産党が嫌い」と訴え、殺されてしまうシーンを再現した像である。……なんだそれ。  平和ボケしている身には理解できない、こんな心穏やかでない像が立つスポットがあると聞き、2018年には冬季オリンピックが行われる平昌(ピョンチャン)郡の山の中まで行ってきた。  ソウルから珍富(チンブ)という、珍スポ趣味者を歓迎するかのような名前の小さな村まで、バスで3時間。そこからさらに村バスに乗り換え、30分ほどで「李承福記念館」に到着だ。
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予想以上に立派な佇まい
 四方を山に囲まれた、がらんとした巨大な駐車場の先に、立派な門構えの公園が待ち構えている。これまた立派な警備室の前を通ると、整えられた広場に立派な少年像が屹立していた。
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真似したくなる、いいポーズ
 事件が起きたのは1968年と、一昔前のこととはいえ、少年、このあと大変な目に遭うんでしょ? と思うと、そわそわする。「勇敢すぎるにもほどがある」と言いたい。  この公園はハイキングコースにもなっており、紅葉はとても美しいのだが、お子様連れのご家族はどのような気持ちでこの像を眺めるのだろう?  少年像をあらゆる角度から激写する私の横を、「僕は共産党が嫌い!」と彼のキメゼリフを楽しそうに口ずさみながら、お年寄りの団体が通り過ぎて行った。
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叫ぶ少年像と、観覧コースを紹介するお姉さんとのギャップがぐっとくる
 記念館はこの像以外にも、李少年に関わる展示がめじろ押しだ。  次に現れたのは、北朝鮮兵の襲撃を受けた自宅を復元したもの。本物の家は、ここから5キロ先の山奥にあったそうだが、「わかりやすいように(日本語パンフより)」ここに設置したのだという。
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いずれにせよ、戸締りはしっかりしたほうがいい
 お次は、記念館のメインコンテンツといえる、李少年の9年間が詰まったミュージアム「本館展示室」だ。  中に入ると、右手には厳かな追悼室があり、左手には映画の上映室があった。先客がいるので扉の外で待っていたところ、中からおどろおどろしい叫び声が聞こえてくる。しかも、テープの延びきったような割れた音で。ここはお化け屋敷か。 『李承福の一代記』というタイトルの、20分ほどの白黒映像を見て、事件のあらましを知り、おなかいっぱいになるが、展示室はここからが本番だ。  薄暗く重々しい雰囲気の中、事件のことはもちろん、李クンの人生や人となり(「成績は良好、性格は活発でおおらか」とある)、家族のその後を紹介する詳細なパネル展示がずらりと並ぶ。さらには、彼が実際に使っていた箸や皿まで……。
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「李承福茶碗」というシュールなキャプション
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そして、この不穏な油絵は……
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ひいいい
 極めつきは、事件の様子を描いた一連の油絵。李クンが北朝鮮兵に口を裂かれるシーンは、トラウマ級のグロさ! あの石像の次の瞬間は、こんなのなのか……。  別のところには、さらりと北朝鮮兵の死体写真も並んでるし、観覧客をビビらそうとしているとしか思えない。  この記念館が生まれたのは、南北関係がもっと緊張していた1982年(翌年には韓国大統領が北朝鮮の工作員に暗殺されかけるラングーン事件が起きる)。李少年とこのスポットを通じて、国民の反共精神を叩きこもうとしたことは間違いない。  ちなみに当時は、韓国の多くの小学校に李承福像が立っていたそう。日本でいうところの、二宮金次郎状態だ。  対北感情がはるかに穏かになった昨今は、グロ絵を用いるほどのスパルタ反共教育はさすがに行われていない。時が止まったようなここ李承福記念館は、当時の韓国のイケイケな雰囲気を味わえる、貴重なスポットといえる。  なお、ウィキペディアによると90年代、とある雑誌が「李承福事件はねつ造である」と書いたことにより、真偽はともかく国民の多くが李承福事件を冷めた目で見るように。小学校にあった李承福像も、大部分が撤去されたとか。  展示館では李クンの性格から愛用していた食器の形まで、思わず詳しくなってしまったが、記念館はこれで終わりではない。敷地の一番奥にはなんと、彼が通っていた小学校までもが復元されている。情報量、濃すぎるのだが……。
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李承福少年の通っていた校舎が丸ごと登場
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校舎の中も見学できる。あらゆる場所に李クンが
 園内には李承福関連以外にも、動植物の剥製や標本が並ぶ「自然学習場」、戦車や戦闘機などが準備されている。さらりと見学した後、1時間に1本あるバスに乗って下山した。  李クンの何倍も長く生きているが、果たしてこれだけ広い庭園を埋めるだけのコンテンツを私は持っているのか、自問自答せざるを得なかった。 ●李承福記念館 住所 江原道平昌郡龍坪面雲頭嶺路500-11 営業時間 9:00~18:00(11~2月、~17:00) (文・写真=清水2000)