抗日戦争勝利70周年を前に国内大混乱中! 大規模“反日”デモも準備着々……

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「抗日戦争勝利70周年」を祝う閲兵式が9月3日に行われますが、それに向けて、中国国内は慌ただしくなっています。  中国の入学式は日本と違って9月初旬からなのですが、BBCの報道によると、中国共産党中央宣伝部は、全国の大学や高校、中学校、小学校に対して「入学初日の授業では昔の日中戦争を忘れてはならぬ国の恥として教え、愛国主義や愛党精神を再び強化するように」と通達したようです。70周年の式典を機に、国を挙げて反日精神を叩き込もうというわけなのでしょう。  また、この式典においては、北京の日本領事館前で反日デモをやろうという動きも盛り上がっています。このデモのターゲットとなる日本の行いは、以下の3つです。その1、安倍首相が閲兵式に参加しないこと。その2、日本政府が、出席を表明した国連事務総長の潘基文氏を叩いたこと。その3、天皇が謝罪の表明をしていないこと。  中国ではデモが法的に禁じられていますが、この事前の動きが全く取り締まりを受けていません。中国政府公認のデモなのです。9月3日に大規模な反日デモが起こる可能性は高いといえるでしょう。  そして現在、天安門広場の近辺では厳戒態勢が敷かれています。  広場周辺の数十キロは封鎖され、立ち入り禁止となりました。その区域には立ち入ることができないため、タクシーもバスも目的地に向かうためには大回りしなければなりません。  悲惨なのは、その封鎖区域内に住んでいる人たちです。コンビニもスーパーも営業していないため、その外の地域へ買い出しに行かなければならないのですが、周辺のセブン-イレブンなどには大量の人々が行列をなしており、まるで大震災で物資が不足しているような事態となっているのです。  さらには、テロに利用されたらまずいということで、ガソリンスタンドが広い範囲で営業停止となりました。北京市内で中華包丁を購入する際には、申請の用紙に記入し、身分証を提示しなければならないとも定められました。その用紙には民族名も記入しなければならないため、ウイグル人だと購入を断られる可能性もあるでしょう。封鎖区域の周囲のレストランで食事をする際にも、身分証を提示しなければなりません。  今回の式典は、中国のメンツをかけたものなので、北京市内の大半のレストランが、ご飯を炊く際には薪を使用してはならないと通達され、政府の役人によって、かまどに封印の紙が貼られていきました。せめて式典の間ぐらいは北京の空気をきれいにしようという思惑のようですが、これは意外と効果があったみたいで、確かに最近の北京の空は少しきれいになったようにも思えます。  現在、ヘリコプターと戦闘機のリハーサルも頻繁に行われていますが、市民がそれを撮影してネット上などに投稿しようものならば、すぐに削除されます。現場でも多くの赤い腕章を付けた婦人風紀委員が監視していて、写真を撮る人々を注意します。中国機関メディアの正式報道以外は、報道してはならないのです。実はこのリハーサルによって一機のヘリコプターが墜落していますが、それはすぐさま報道禁止となりました。  こうした情報統制をはじめ、市民の生活を顧みない営業停止措置に対しては、国民から多くの批判の声が上がっています。 「この抗日戦争勝利70周年イベントは、反ファシストに対する勝利イベントのはずだ。なのに、中国政府がやっていることはファシストそのものだ!」  といった皮肉めいた批判が渦巻いています。全くその通りで、おかしな話です。  では肝心の閲兵式の様子はどうかというと、テレビの訓練の報道を見る限りでは、それはそれは立派なものです。兵士たちは一列に並んでいるのですが、その立っている位置は1センチたりともズレがなく、身長もデコボコではなくてぴったりと揃っているのです。見事なまでの統制です。実は、全員が揃うように、並んでいる列の前には細い糸が引かれていたようです。  さらに、そこには女性兵士も混じっていますが、その胸の部分だけを切り取った写真がネット上にアップされたところ、ネット住民たちの驚嘆を呼ぶこととなりました。なんと、バストのサイズもぴったりと揃っていたのです。こんなところまで統制するとは、中国共産党の力は恐るべしといったところです。ネット上では「そんなバカバカしいところに細かくこだわって、なぜ、天津爆発事件の死者数が適当なのか?」という声が上がっています。  こうして全体主義国家の威信を見せつけるべく準備が進められている式典ですが、天津爆発事件や株価暴落など、きな臭い空気が蔓延している国内においては、それが無事に執り行われるかどうかは全く保証がありません。異様な緊迫を孕んだまま、その日を迎えようとしています。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

中国政府の「安倍談話」批判はヤラセ!? 9.3抗日戦争勝利70周年を前に揺れる屋台骨

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 先日の安倍首相の戦後70周年談話は、中国でも大きく報道され、ネット上では「不誠実」「反省していない」という声が多く上がりました。「子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」という、安倍さんの言葉に対する反発です。ですが、このように批判の声が大勢を占めている状況は、一般の中国人の感覚からすると違和感も覚えました。 「そりゃ、全然関係のない子どもたちの世代が謝る必要はないよな」   というのが、僕や、僕の周りにいる中国人の意見だったからです。もちろん、戦争の歴史は日本にずっと直視してほしいとは思っているけれども、別に謝罪は求めないというのが、一般の中国人の感覚です。  なのに、なぜネット上でこれだけ批判の声が渦巻いたかというと、そのネット上の声は、「五毛頭」と呼ばれているネット工作員が大量に書き込んでいる可能性があるからです。五毛頭とは、ネット上で政府の代弁し、ひとつの書き込みごとに0.5元(約10円)もらえるという裏バイトのこと。その実数は知られていないものの、何万人という数の五毛頭がはびこっているともいわれています。  最近、中国政府は日米に対する反発を強めており、それに比例して、政府が五毛頭に指令する日米憎悪の書き込み案件の数も増加しているものと思われます。ネット上では、中国国民に対する「反米反日」洗脳が日々行われているのです。安倍談話などは、まさに五毛頭にとっては格好の攻撃材料といっていいでしょう。なお、五毛頭ではない、一般の中国人の感想の中には、以下のような書き込みもありました。 「いつまでも日本人の謝罪を求める中共政府。天津爆発事故に対しては、誰か謝罪しますか?」  天津爆発事故に関しては徹底した情報統制により、国民はフラストレーションを募らせています。「安倍談話の批判をする暇があったら、おまえら(政府)のほうこそ、天津爆発事故のことを俺たちに謝れ」というのが、中国国民の本音です。  さて、そんな国民に対してまったく誠意のない中国政府がいま一番力を入れているのが、9月3日の抗日戦争勝利70周年イベントです。その一環として『カイロ宣言』という映画が製作されているのですが、そのプロモーションビデオが公開されるや、中国全土から疑問の声が上がりました。そのビデオの中には、明らかな誤りがあったためです。  カイロ宣言というのは、第二次世界大戦中の1943年、ルーズベルト米大統領、チャーチル英首相、蒋介石主席などによって宣言された連合国の基本方針です。そこに、毛沢東は参加していませんでした。ですが、このプロモーションビデオや、映画のポスターでは、なぜか毛沢東が参加している体裁になっていたのです。  蒋介石率いる国民党は、現台湾の政府。片や毛沢東というのはご存じ、中華人民共和国の建国の父ですので、製作者からしてみれば、たとえ歴史がどうであれ、そこに毛沢東が参加していなければならなかったのかもしれません。ですが、普段から日本に対して「歴史を直視しろ」と言っているくせに、自分たちがやっていることがこれでは、「トホホ……」としか言いようがありません。    現在、ネット上では「カイロ宣言には誰でも参加できる」というアプリも開発されました。例えば、自分の写真などを入れてみると、カイロ宣言のポスターの中に自分の姿をアップすることができるという、映画をちゃかしたアプリです。僕のお気に入りは、北朝鮮の金正恩がポスターになっている画像ですね(笑)。  中国政府は、自身の正当性を示すために映画を製作したのに、これがキッカケとなって政府に対する不信感がますます募りかねない悪循環となっています。そして天津爆発事故や株価の下落、人民元ショックなども合わせ、中国はまさに崩壊の危機になっているのです。抗日戦争70周年を期に、そんな国内の不協和音の対抗策として、中国政府がさらなる反日や安倍談話バッシングに走ることは容易に想像がつきます。日本は、警戒を強めなければならないでしょう。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

漫画家・孫向文が大放言「反米感情高まる中国相手に、憲法9条は役に立たない!」

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 日本では安保法案をめぐり賛否両論が渦巻いていますが、昨今の中国の動きを見れば、この法案の衆院通過は正しかったと思えてきます。僕は日々、中国の報道を見ていますが、日本人が想像している以上に中国は危険な兆候を強めています。  7月27日、朝鮮戦争勝利62周年記念イベントが催され、習近平政権が「この戦争は、朝鮮の“民主主義”のために、帝国主義を推し進める鬼畜米帝を退治した記念すべき戦いだった」と発表しました。東西が対立していた冷戦時代ならまだしも、この現代において、アメリカをここまで敵視したコメントを発表するのは、異常なことです。  今、中国政府はアメリカに対する反発を急速に強めており、機関メディアでは、事あるごとに、アメリカを敵国と位置付けた報道がなされています。いくつか例を挙げていきましょう。  先月の中国の株価暴落の際には、「アメリカがネガティブな報道ばかりしたせい」とすべてアメリカに責任を押し付けました。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関しては、中国はこれをAIIB(アジアインフラ投資銀行)のライバルだと見なしています。先日、TPPの条件が見合わずに保留となったことが発表されましたが、中国国内では、「ざまあみろ、そのまま頓挫しろ」という意見が大半を占めています。  また現在、中国国内では人権弁護士が200人以上拘束されていますが、それに対してアメリカ国務省は直ちに解放するように中国に強く求めています。なぜ、国家を分裂させようとする重罪人の弁護士たちを取り締まっているのに、外国から偉そうに言われなければならないのか、中国政府にとっては我慢のならないことです。  そしてグーグルは、グーグルマップ上にて、中国とフィリピンとの間で領有権をめぐり係争中である島の中国名「黄岩島」を削除し、国際的に知られている名前「スカボロー礁」に変更しました。これも、中国にとってはかんに障る話です。それに、中国政府が海外の教育機関と提携している孔子学園が、アメリカで相次いで閉鎖されていますが、これに対しても、中国側は「アメリカは排外主義だ」と非難しています。  こうした数々の対立があり、今、中国国内では「アメリカ、憎し!」の感情が渦巻いています。日本では、中国が覇権主義を強めていると報道されていますが、中国の機関メディアでは「中国は平和主義であり、被害者である」と常日頃から報道されていて、国民もそれを信じています。双方の報道は、まったく逆の立場です。 「これまで世界は、アメリカを中心とする西側諸国のルールで動いてきた。しかし、そんな中、中国が急激に力を付け、ヨーロッパを巻き込んでAIIBの設立を打ち出した。アメリカはそれが面白くないのか、AIIBには一切協力しないばかりか、妨害行為ばかり繰り返してきている!」  それが中国側の見方なのです。  しかし、中国も負けているわけにはいきません。7月、「国家安全法」が全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で採択され、中国国内で経済活動をするIT企業の規制や情報監視の強化が盛り込まれました。その中では、海外企業に情報開示を義務付ける条文も盛り込まれています。グーグルやアップル、アマゾン、マイクロソフトなどのIT企業は、今後、大きなダメージを受けることでしょう。中国にとって、これは「正義の反撃」です。  そして現状、中国はアメリカを「敵」だと位置付けており、さらなる実力行使に出てもおかしくない状況になっています。どう反撃するかというと、その取っ掛かりとして、「尖閣諸島」が真っ先に挙げられます。尖閣諸島は、日本の管轄下に置かれていますが、中国政府は、日本の先にあるアメリカを見据えています。かねてから領有権を主張している中国政府が、この島を獲得すれば、アメリカに一矢報いることができるのです。  以上、中国人から見た世界情勢を書いてみましたが、いかがでしょうか? 株価暴落やTPPや、人権弁護士など全ての要素が絡み合い、中国とアメリカが一触即発の状況になりつつあることを、日本国民はもっと認識すべきだと思います。その上で、安保法案について考えるべきです。中国は虎視眈々と憎きアメリカに対する反撃のチャンスをうかがっており、そんな中、日本とアメリカとの絆に綻びが見えたとしたら、一気に尖閣諸島に行くでしょう。  憲法9条は、戦争の引き金になることこそあれ、日本という国を守る上では役に立たないのは、中国人の感覚としてははっきりとわかります。この危険な状況の中、日本はガッシリとアメリカと連携し、隙を見せないことが重要なのです。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

漫画家・孫向文が大放言「反米感情高まる中国相手に、憲法9条は役に立たない!」

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 日本では安保法案をめぐり賛否両論が渦巻いていますが、昨今の中国の動きを見れば、この法案の衆院通過は正しかったと思えてきます。僕は日々、中国の報道を見ていますが、日本人が想像している以上に中国は危険な兆候を強めています。  7月27日、朝鮮戦争勝利62周年記念イベントが催され、習近平政権が「この戦争は、朝鮮の“民主主義”のために、帝国主義を推し進める鬼畜米帝を退治した記念すべき戦いだった」と発表しました。東西が対立していた冷戦時代ならまだしも、この現代において、アメリカをここまで敵視したコメントを発表するのは、異常なことです。  今、中国政府はアメリカに対する反発を急速に強めており、機関メディアでは、事あるごとに、アメリカを敵国と位置付けた報道がなされています。いくつか例を挙げていきましょう。  先月の中国の株価暴落の際には、「アメリカがネガティブな報道ばかりしたせい」とすべてアメリカに責任を押し付けました。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関しては、中国はこれをAIIB(アジアインフラ投資銀行)のライバルだと見なしています。先日、TPPの条件が見合わずに保留となったことが発表されましたが、中国国内では、「ざまあみろ、そのまま頓挫しろ」という意見が大半を占めています。  また現在、中国国内では人権弁護士が200人以上拘束されていますが、それに対してアメリカ国務省は直ちに解放するように中国に強く求めています。なぜ、国家を分裂させようとする重罪人の弁護士たちを取り締まっているのに、外国から偉そうに言われなければならないのか、中国政府にとっては我慢のならないことです。  そしてグーグルは、グーグルマップ上にて、中国とフィリピンとの間で領有権をめぐり係争中である島の中国名「黄岩島」を削除し、国際的に知られている名前「スカボロー礁」に変更しました。これも、中国にとってはかんに障る話です。それに、中国政府が海外の教育機関と提携している孔子学園が、アメリカで相次いで閉鎖されていますが、これに対しても、中国側は「アメリカは排外主義だ」と非難しています。  こうした数々の対立があり、今、中国国内では「アメリカ、憎し!」の感情が渦巻いています。日本では、中国が覇権主義を強めていると報道されていますが、中国の機関メディアでは「中国は平和主義であり、被害者である」と常日頃から報道されていて、国民もそれを信じています。双方の報道は、まったく逆の立場です。 「これまで世界は、アメリカを中心とする西側諸国のルールで動いてきた。しかし、そんな中、中国が急激に力を付け、ヨーロッパを巻き込んでAIIBの設立を打ち出した。アメリカはそれが面白くないのか、AIIBには一切協力しないばかりか、妨害行為ばかり繰り返してきている!」  それが中国側の見方なのです。  しかし、中国も負けているわけにはいきません。7月、「国家安全法」が全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で採択され、中国国内で経済活動をするIT企業の規制や情報監視の強化が盛り込まれました。その中では、海外企業に情報開示を義務付ける条文も盛り込まれています。グーグルやアップル、アマゾン、マイクロソフトなどのIT企業は、今後、大きなダメージを受けることでしょう。中国にとって、これは「正義の反撃」です。  そして現状、中国はアメリカを「敵」だと位置付けており、さらなる実力行使に出てもおかしくない状況になっています。どう反撃するかというと、その取っ掛かりとして、「尖閣諸島」が真っ先に挙げられます。尖閣諸島は、日本の管轄下に置かれていますが、中国政府は、日本の先にあるアメリカを見据えています。かねてから領有権を主張している中国政府が、この島を獲得すれば、アメリカに一矢報いることができるのです。  以上、中国人から見た世界情勢を書いてみましたが、いかがでしょうか? 株価暴落やTPPや、人権弁護士など全ての要素が絡み合い、中国とアメリカが一触即発の状況になりつつあることを、日本国民はもっと認識すべきだと思います。その上で、安保法案について考えるべきです。中国は虎視眈々と憎きアメリカに対する反撃のチャンスをうかがっており、そんな中、日本とアメリカとの絆に綻びが見えたとしたら、一気に尖閣諸島に行くでしょう。  憲法9条は、戦争の引き金になることこそあれ、日本という国を守る上では役に立たないのは、中国人の感覚としてははっきりとわかります。この危険な状況の中、日本はガッシリとアメリカと連携し、隙を見せないことが重要なのです。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

庶民の愛国心は「株」次第!? カネがなくても中国人が株に手を出すワケ 

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イメージ画像(Thinkstock」より)
 中国株の価暴落は、中国国内で大混乱を巻き起こしました。とあるマンションは、「株価暴落のために、屋上を閉鎖します」という張り紙を貼りましたが、これは冗談でもなんでもありません。株の暴落に絶望した中国人たちが、この数週間で次々と命を絶っていったのです。  中国政府は株価暴落を阻止するため、あらゆる手を尽くしました。株の取引センターでは警察官が目を光らせ、株を売ろうとする人がいたら、その売買行為に干渉する強硬手段まで発動しました。  中国の株売買の8割は個人投資家です。僕の周りでも株をやっている人はたくさんいますが、特に多いのが、50代以上の世代です。公園に行くと、定年退職したおじさんやおばさんが新聞を見て株価をチェックしています。四川大地震の際にも、仮設住宅の中で株価をチェックする人たちの様子がネット上にアップされましたが、あのときは、いかにも中国らしいと、僕は苦笑したものでした。  日本の場合は、大卒の経済に関心のあるサラリーマンが、資産運用として株に手を出していると日本の友達から聞いたことがありますが、中国では全然そんなことはありません。パソコンもろくに使えず、株がなんなのかよくわかっていない主婦やら老人やらが、儲かると言われて財産をつぎ込んでいます。5年ほど前、僕の母が同窓会に行くと、旧友同士の話題は、8割以上が株だったようです。株を購入していなかった母は、家に帰ってくるなり「みんな儲かっていてうらやましい!」とヒステリックに泣きながら父と僕に愚痴を言い、僕はあきれて聞いていたものでした。  それにしても、なぜ中国人はこれほどまで株が好きなのか? その背景には、90年代から中国の株価は上昇続きで、ほとんど損をすることがないという状況がありました。「簡単に大金を稼ぐ方法」が株なのです。    中国社会には、大金を稼ぐための抜け道がたくさんあります。企業のお偉いさんだったら、共産党員に賄賂を渡して、食品偽装やら手抜き工事やらといった不正を働くのです。官僚は当然、賄賂でぼろ儲けです。ですが、学歴もない、偉い人とのコネもない庶民はというと、こうした抜け道に巡り会うことができません。自分たちだけ、このインチキ大国である中国社会の恩恵にあずかれていないのです。そんな中、唯一の旨みが「株」でした。そこで、庶民たちが、出遅れてはいけないとばかりに金をかき集め、持ち金の何倍ものお金を運用することができる信用取引などに手を出してしまったわけです。  そんな株の売買を加速させたのが、極端なインフレでした。例えば、2008年ごろは10元(約200円)で購入できていたパンが、15年には18元(約360円)出さなければ購入できないほど物価が上昇したのです。つまり、手元にあったお金の価値が、たった5年間で4割ぐらい目減りしました。こうなると、そのお金を使わずに眠らせているのはバカのやることで、さらに株を買いまくります。このように今回の株暴落によって最も損失を被ったのは、お金に余裕のない庶民だったのです。  先日は、株をやっているおばさんたちが、証券取引所の前でずっと「株価よ、上昇しろ!」と歌っていました。そして株価が5パーセント上昇した際には、全員、歓喜して中国国歌を歌い始めました。つまり、彼らにとっての愛国心というのは「株」次第なのです。株価が下がったら、中国への感謝の気持ちなど起こりようがありません。  中国政府も、株価暴落に対しては異常なまでに注意を払っています。機関メディアは、「株価暴落はアメリカのせい」とまくし立てて報道しました。アメリカのメディアが中国株の悪口ばかり報道したことにより、一部の企業がたくさん売り払い、中国の株価が下落したという論理でした。それに対して、ある程度の知識がある中国人は、「今度は安倍(総理)に責任転嫁するぞ」と皮肉っぽくネットに書き込んでいます。  現在、中国政府は「中国の株はまだまだ希望があり、上昇する」と語っています。確かに株価は持ち直しましたが、これが中国政府の必死な対応によるものであることは言うまでもありません。もしも、また大暴落するようなことがあれば、中国の庶民たちの愛国心は一気に消えうせ、全国で暴動が起こる可能性は十分にあるでしょう。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

『STAND BY ME ドラえもん』が大ヒット!  “ダメ人間”のび太が中国人に支持されるワケ

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『STAND BY ME ドラえもん』(ポニーキャニオン)
 日本の3Dアニメ『STAND BY ME ドラえもん』が中国で大ヒットを記録し、6月30日の時点で興行収入も100億円を突破しています。僕の幼少期、『ドラえもん』は中国で放映されていました。今回の映画においては、僕のような30歳を過ぎた大人が映画館に足を運び、懐かしんで見ているという傾向があります。特に今回の内容が、しずかちゃんとの結婚や、ドラえもんとの友情や離別をテーマにしているので、大人も十分に楽しめる内容になっているのが大ヒットの要因でしょう。  それにしても、『ドラえもん』は不思議な作品です。主人公ののび太くんは、本当にダメな人間です。テストの点数はゼロばかりですし、運動もからっきしダメですし、しずかちゃんのお風呂をのぞこうとします。中国のアニメや一般映画においては、こういう主人公はほとんど存在しません。優等生タイプか、あるいは、視聴者が感情移入しやすい一般人のタイプが大半を占めています。  中国の場合、「早く大人になって、成熟した価値観を身に付ける」という「老成」という価値観が何よりも重要視され、子どもたちも常日頃からそう教え込まれます。子どもが見る「アニメ」であれば、なおさら、そういう主人公が好ましいとされるのは当然です。しかし、いつもドラえもんに頼ってばかりであまり成長しないのび太くんは、そんな「老成」とは真逆にいる主人公です。中国人のクリエーターがのび太くんのような主人公を作ると、共産党から注意を受ける可能性は十分にあります。だからこそ『ドラえもん』は、多くの中国人の心をつかんだのだと思います。のび太くんはダメ人間だけれど、「人の気持ちを思いやる」という彼ならではの良さがあり、そういう彼の好ましい美点を、しずかちゃんをはじめとする周りの人たちも認めています。精一杯格好つけて生きるように言われている多くの中国人が、『ドラえもん』を見ることによって、肩の荷が下りるような思いを抱き、まるで自分のことのようにのび太くんに感情移入したのです。  さて、そんな『ドラえもん』ではありますが、昨年、「成都日報」をはじめとする中国の機関紙が、「中国の若者は『ドラえもん』を無条件に愛するべきではない」と批判的な論調で報道しました。  2008年、ドラえもんは日本の初代アニメ文化大使に選定され、さらに2020年の東京オリンピックにおいては、「招致スペシャルアンバサダー」に就任することが決定しました。ドラえもんは、単なるアニメのキャラクターの枠を超え、日本の顔にもなっているため、それに対して、中国側は警戒感を強めているのです。中国の機関紙の論調としては、以下のような具合でした。 「『ドラえもん』は『(人間同士の)尊重』や『友好』をテーマにしている。しかし、安倍政権は過去の戦争を反省しないで美化し、集団的自衛権をはじめとして右翼的な傾向を強め、中国や韓国との緊張を生み出している。『ドラえもん』が表現している『尊重』や『友好』とはまったく逆の道を歩んでいるのに、日本政府は、平和的な『ドラえもん』を利用している。中国国民はその偽りの日本の姿に惑わされず、真実を見なければならない」  中には、『ドラえもん』に対する憎しみのあまりか、「青いデブ」と蔑む記事もありました。  今回の映画の大ヒットにおいて、中国政府がさらに『ドラえもん』に対する危機感を募らせていることは容易にうかがい知れます。今のところ、前出のような批判的な論調の記事は出ていませんが、今後、映画の熱狂が冷めた頃合いを見計らい、また一斉に『ドラえもん』に対するネガティブキャンペーンが繰り広げられるのではないかと不安でなりません。せっかく中国国民が映画に感動したというのに、その感動に冷や水を浴びせるような報道はしないでほしいものだと願ってやみません。
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【中国旅客船転覆事故】遺族を徹底的にマーク!? 絶対に報じられない、中国共産党の“醜悪”事故対応

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事故現場を訪れた李克強首相
 6月1日、中国湖北省で458人を乗せた旅客船「東方之星」が転覆、沈没しました。この一件は、日本でも大きく報道されましたが、事故後の共産党による醜悪な対応は、僕の見る限り報じられていませんでした。2008年の四川大地震、11年の温州市鉄道衝突脱線事故など、中国で大きな災害や事故が起こった際、中国政府は決まってある対処方法を取ります。今回もその例に漏れず、同様の行為を行ったので、ご紹介しましょう。  今回の沈没事故が起こった際、人民日報をはじめとする各紙の1面に以下の文字が躍りました。 「習近平主席が迅速に救援の指示を出した」 「李克強(国務院総理)が現場を訪れ、救助隊を勇気付けた」  そして紙面上には、事故の処理にいそしむ中国の指導者たちの写真が大きく掲載されていました。こうした記事を読むと、中国の指導者がいかに人民のことを考えているか実感することができます。中国に生まれてきてよかった……と思う人も中にはいるでしょう。ですが当然のことながら、それは政府の策略にすぎません。  中国共産党は、大事故や大災害が起こると、まず何よりもその後の対応を共産党の手柄にして、それを宣伝に使うことを考えるのです。現場の詳細を見てみましょう。  李克強が事故現場を訪れると、救助隊は全員、救助活動の作業を止め、軍隊のように整列してその到着を熱烈に歓迎します。そして記者たちは、政府の関係者から、英雄が到着する瞬間の雄姿を記事で強調するようにきつく言い伝えられます。  記者たちはその後も救助隊ではなく、李克強を追い続けます。そして、この一国のナンバー2が、生死の狭間を漂う庶民のため、汗をだらだら流しながら真剣に救援活動に取り組んでいたことを、まるで英雄ドラマの主人公のように賛美的に紙面で描き出すのです。とりわけ李克強が弁当を食べながらも指示を出している写真は、各紙で大きく使用されました。この英雄は、食事の時間ですら休むことなく現場に張り付いていたのです。  当たり前ですが、国民は李克強が何をやったかなんて興味はありません。なぜ、この事故が起こったのか、その原因や、救援活動の実態を知りたいのです。ですが、僕たちが知りたい真実が明らかにされることはありません。  まず、今回の事件においては、はなから「竜巻に船が巻き込まれたせい」と報道されました。ですが、その周辺の道路や木々などにまったく被害が出ていないことから、竜巻が起こった可能性はかなり低いと推測されます。政府サイドや旅客船関係者にとって最も好都合だったのが、「竜巻」だったのでしょう。このように、大事件や大災害の際には「自然災害だから仕方ない」の一言で片づけられるのが常で、避難誘導はどうだったのかとか、船に問題はなかったのかといった問題にはまったく目を向けられません。四川大地震の際には、学校の手抜き工事が疑われましたが、それを指摘した建築家の艾未未氏は軟禁されました。また、鉄道衝突脱線事故の際には「落雷」と結論付けられ、政府側はそれ以上の議論を拒みました。  報道は規制され、政府にとって都合の悪い情報は決して表に出ないように配慮されます。その上で徹底的にマークされるのが「遺族」です。遺族が妙なことをしゃべらないように厳重な注意が施され、1人の遺族に対して4人の国家安全局工作員がつけられます。彼らがメディアと接触しようとした際には、この工作員たちは妨害行為を働きます。被害者だというのに、まるで犯人扱いです。  また今回、中国の地方紙の記者が自身のブログ上にて「取材が立ち入り禁止になった。中央テレビの記者しか入れない」と苦情を訴えましたが、海外メディアも含め、各メディアは、中央テレビの取材資料しか発表できませんでした。そのため、どのメディアを見ても、同じ原稿と写真、そして同じ映像が流れるという事態になりました。  ネット上においても、今回の事件の目撃者や関係者が書き込んでいましたが、それらはすべて「デマ」と認定され、強制削除されるに至りました。    今回の事故における、新聞各紙の見出しを以下に書き出しましょう。 「中国人に生まれて幸せ」(中華網) 「4日3夜、感動する瞬間」(人民日報) 「中国政府の救援の決心を世界に見せつけた」(★球网/★はおうへんに不) 「同じ客船事故なのに、なぜタイタニックだけが忘れられないの?」(捜狐)  安全面に対して問題提起する批判的な論調は一切なく、すべて感動的なエピソードにまとめられていますね。  2014年の韓国のセウォル号事故の際には、韓国中から非難の声が渦巻きましたが、一国の首相が遺族に対して謝罪するという点においては、中国の旅客船事故よりもはるかに素晴らしい対応だったと思います。「民主国家に生まれたかった」と、あらためて思わざるを得ません。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

禁断の「整形旅行」を打ち出した“ジリ貧”韓国に、中国人の大半は失笑?

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イメージ画像 Photo By Simon Williams-Im from Flickr.
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。  多くの中国人が相変わらず日本に観光で押し寄せ、大量の日本製品を購入しています。5月20日付の「環球時報」においては、米メディアを引用する形で、韓国がそんな状況に対して忸怩たる思いを抱いているということを記載していたので、今回はそれについて紹介しようと思います。  概略を話しますと、韓国の観光業界は、中国人観光客を日本から奪うため、「整形大国」をアピールしているとのこと。中国の旅行会社に対しても「韓国整形旅行」などと銘打って宣伝を打ったようです。中国観光業界の統計によると、2014年、韓国で整形をした中国人は、5.6万人。これは、韓国における整形客の7割を占めるまでに至っています。韓国の観光業としては、ここでさらに「整形」を押し出して、新たな中国人観光客をつかみ取ろうというわけなのでしょう。  ですが、この記事に対する中国人のネットユーザーの反応は散々なものでした。もともと、中国人の伝統として、親から授かった体を変えることは「親不孝」だという考え方があります。韓国ですと、親が成人した子どもに整形代をプレゼントするケースもあるみたいですが、中国の封建的な家庭ですと、もしも、親が整形した子どもの顔を見たら、親不孝者として絶縁するケースも多々あることでしょう。最近は韓流ドラマの影響により、そんな考えも一部では変わりつつあるとはいえ、やはり、一般的な中国人は整形と聞いてあまりいいイメージを抱くことはありません。  このニュースを見たとき、僕は、韓国の観光業界は整形を押し出さなければいけないほど苦しい状況なのだろうかと思ったものでした。そして確かに言われてみれば、韓流ドラマやK-POPをはじめ、韓国のエンタテインメントは依然として中国でも人気はありますが、ここ数年、韓国の電化製品は急激に人気を落としていることに気づきます。  中国におけるスマホのシェアランキングを見ると、数年前までは、GALAXYがiPhoneとトップの座を争っていましたが、いまや4位にまで転落。1位がiPhone、2位が中国メーカーの小米、3位がやはり中国メーカーの華為、そして、ようやくGALAXYなのです。もはや「高い金を出してGALAXYを買うんだったら、それより安くても中国メーカーの携帯を買ったほうがマシ」と中国人ユーザーは考えています。韓国が誇るスマホですらこんな具合ですから、「電化製品を爆買いするんだったら、韓国製品よりも日本製品! 高い韓国製品ならば、安い中国製品のほうがマシ」というのが、中国人の一般的な考え方になりつつあるのです。  また、韓国旅行に訪れた友人の話を聞きましたが、そんなにいいものではなかったようです。 「韓流ドラマに出てくる風景を期待していたけれど、そんなになかった。街並みは、香港よりもみすぼらしい感じがした」 「食事はキムチや野菜ばかりで、肉が少なかった」 「買い物をしていたら、韓国人店員からさげすまれるような目で見られた。街で韓国人のおじさんとぶつかっても、彼はまったく謝らなかった」  韓国というと、サムギョプサルのイメージがありますが、意外と一般料理店における肉の割合が少ないようで、彼はそれが不満だったようです。  また、韓国人としては、中国よりも文化が進んでいるという意識があるせいでしょう、どうも中国人観光客を見下す風潮があるようです。日本人の場合、たとえそう思っていても態度に表さないのですが、韓国人店員や韓国人の中には、少なからずそういう感情を表に出してしまう人がいるのでしょう。もっとも、それは韓国人のみならず、香港人にも同じことが言えます。僕ら中国人は、香港旅行に行った際には蔑視の視線を受けるハメになるのです。  これはたまたま友人が行った場所や、出会った人が悪かったという可能性もあるでしょう。韓流好きの女の子の話を聞いたら、まったく別の答えが返ってくるかもしれません。  僕も一度は、韓国にも旅行してみたいと考えています。ただ、この数年の間に、かつてほど中国人にとって韓国が魅力的な国ではなくなりつつあるのかもしれないと、「整形旅行」の記事を見ながら考えてしまったのでした。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

「架空の“欧米系住人”をエサに……」中国人のコンプレックスにつけ込む悪徳商法が蔓延中

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イメージ画像 Photo By Tim Evanson from Flickr.
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。  先日、アメリカに移民した国籍別の人数が発表され、中国がメキシコを抜いて1位を獲得したことが国内メディアで報道されました。これはいかに中国人が自分の国を抜け出したいと思っているか、そしてアメリカに対して憧れを持っているかということを表していると言っていいでしょう。  中国に住んでいると、この10年ぐらいで、欧米に対する憧れが急速に強まったことを実感します。僕が住む杭州市の家の近くにも、テーブルチャージ(入場料)だけで250元(約5,000円)かかる高級バーがあります。このバーは、欧米人エリートをターゲットにした装いやBGMで、多くの欧米人が訪れています。それを知った中国人が、こうした欧米人と知り合うために、中国人の平均給料からするとバカ高いそのバーに通い詰めているのです。  男性の場合、欧米人エリートと組んで、海外で事業を開拓するため。そして、女性の場合、欧米人と結婚して海外に移民したいという打算があるためです。僕の周りの未婚女性は、みんな結婚適齢期ですが、「外国人と結婚して外国で暮らしたい」と夢物語を語ります。低年収の漫画家である僕などは、見向きもされません(泣)。 ■欧米コンプレックスにつけ込んだ悪徳商法が蔓延中  最近は、そんな中国の欧米コンプレックスにつけ込んだ悪徳商法が国内で蔓延しています。その実情がニューヨークタイムズによって取材され、中国のサイト上に動画がアップされて話題を呼んでいるのでご紹介しましょう。  近年、中国では無計画な都市開発により、ゴーストタウンがたくさん生まれています。不動産バブルはもはや終焉を迎え、不動産業者は、あの手この手を使ってマンションを売ろうとしているのです。そこで利用されるのが欧米人です。  例えば、福建省の不動産を見に行くと、欧米人がマンションの前を散歩しています。 「マンション買われるんですか? 私はドイツからやってきて、このマンションで暮らしているエンジニアです」  聞いてもいないのに、彼らはそんなことを話しかけてきたりします。すると、中国人としては、急にそのマンションが高級感あふれるものに見えてきて、自分も欧米人エリートが住むマンションに住んでみたいと考えるのです。ですが、実は、その白人は、エンジニアでもなんでもなく、ただの無職の貧乏人。不動産業者が雇ったサクラだったというオチでした。  こんなこともありました。中国では、マンションを購入するのはオバサンが多いことから、そんなオバさんたちの心をつかむため、筋肉質の白人が海パン姿でマンションの前を歩くイベントを催したのです。その折には「全米スーパーモデル」というウソっぱちの経歴がしたためられ、おばさんたちは大興奮で黄色い声援を送っていました。  移民できない中国国民は、せめて欧米エリートが暮らすような高級マンションを購入したい。ですが、そんな夢は無残にも打ち砕かれ、ゴーストマンションで寂しい暮らしをするハメになってしまうのです。  こんな同胞たちを騙しまくる国を一刻も早く出たいと考えるのは、当たり前ですよね。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

「第2の文化大革命」が起こる可能性も!? “毛沢東信仰”深まる中国は大丈夫か

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 今回は、中国の各メディアが「レーニン誕生145周年記念日」の模様を報道していたので、これについて書いてみたいと思います。一見、中国とは関係なさそうなニュースですが、実は、中国国民にとっては他人事ではない話でした。  2015年4月22日は、レーニン誕生145周年記念日。ロシア政府は、モスクワにあるレーニンの墓を一般市民に公開しました。レーニンの遺体は、死亡してから91年たった現在も、まるで生きているかのように水晶の棺桶の中で保存されています。室温は16度に保たれ、定期的に化粧が施されています。体内の内臓と血液と体液はすべて抜き取られ、代わりに化学物質が注入され、漂白剤や防腐剤が大量に使用されています。そのメンテナンス料はバカにならないでしょう。  遺体を維持するなんて、考えただけでもゾッとする話ですが、それと同じことをやっている国があります。それは、中国(毛沢東)、ベトナム(ホー・チ・ミン)、北朝鮮(金日成、金正日)です。  これらの国に共通するのは、共産主義(社会主義)国家であること、そして、保存されている遺体は独裁者か、独裁者にまつわる家系の人物であることです。つまり、いまだに過去の独裁者を崇め、その独裁者の価値観に縛られている国なのです。ロシアの場合、ソ連体制が崩壊後、資本主義体制に移り変わりましたが、今も社会主義の名残が残っているという点で、ほかの3国と大差ありません。 ■“毛沢東信仰”を深めている中国人  ここ2年ほど、中国においては、“毛沢東信仰”が日増しに強まっているのを感じています。昨年12月26日、毛沢東の生誕祭の際には、「毛沢東の生誕を祝おう」という書き込みが中国のネット上で渦巻きました。中には「毛沢東の遺体から遺伝子を取り出し、クローン毛沢東を作ろう!」といった、本気なのか冗談なのかわからないような書き込みもありました。  毛沢東時代は、文化大革命や、大躍進政策の失敗による大飢饉が起こり、6,000万人もの中国人が亡くなりました。毛沢東は間違いなく、世界でもワースト5に入る独裁者でしょう。  ですが、格差社会やら大気汚染やら、少数民族の反乱やら、さまざまな問題を抱えている現代の中国において、多くの国民がこの悪魔のような毛沢東の再来を望んでいるのです。毛沢東のような強い指導者であれば、この最悪な事態を打開してくれるのではないかという期待を抱いているのです。  現中国のトップである習近平も、毛沢東への憧れを隠そうともせず、「毛沢東語録」を真似て習近平語録(『習近平の治国と理政』)を作ったり、毛沢東を真似て文化人を集めて文芸講話を行っています。  そして、13年の毛沢東生誕祭の折、習近平は、毛沢東のご神体(遺体)を崇めにいきました。この日は奇しくも安倍総理の靖国参拝と日にちが重なったのですが、中国の良識ある人の中には「自国民を大量虐殺した毛沢東を弔う習近平よりも、敵国(中国人)を殺した日本兵を弔う安倍のほうがまとも」という皮肉を漏らす人もいました。  今、中国はかつてないほど不穏な方向へと進んでいるようにも思えます。ネットもエンタテインメントも規制に次ぐ規制。このままだと、「第2の文化大革命」が起こるのではないかと危惧する声も国民の間から上がっています。  それを食い止める最も有効な手立ては、ご神体として祀られている毛沢東の遺体を焼き払い、毛沢東の呪縛から国民を解き放つことでしょう。学校教育で幼いころから毛沢東の素晴らしさを叩き込まれてきた僕ら中国人は、「毛沢東教」を信仰している民族だと言っても過言ではありません。  なお、今回のレーニンの報道に関しては、ネット上でこんな声が上がっていました。 「独裁者の遺体を保存している国家の国民は、まず幸せになれない」 「死体のメンテナンス費用は国民の税金の無駄遣いだ」 「なるほど、これが独裁を維持する手口なんだな。ロシアと中国は全く同じ手を使っている!」 「ネクロフィリアだ、気持ち悪い!」  いやはや、本当に気持ち悪いですね。
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>