
沈没事故の直前に撮影された乗客たちの様子。乗客全員ライフジャケットを着用している様子はない
湖に浮かぶ船のデッキでくつろぐ家族連れ。これは6月4日、中国四川省広元市の白龍湖で発生した遊覧船沈没事故の直前に撮影されたとされる写真である。乗員乗客18人のうち1人が死亡、3人が救出され、14人が行方不明となっているが、ここに写っている子どもたちの安否は明らかにされていない。
この写真からは、いずれの乗客もライフジャケットを身に着ていないことがわかる。白龍湖を管理している行政関係者への取材によると、遊覧船の船長に対し、乗客には必ずライフジャケットを着用させるよう指導していたという。事故当日の気温は30℃を超えていたため、乗客らは暑くてすぐにライフジャケットを脱いでしまったことがわかっている。

事故前に撮影された乗客の子どもたち。現在も警察による捜索活動が続いている
ネットメディア「網易」などが生存者の証言として伝えたところによると、当日は風が非常に強く、船は大きく揺れていたといい、強風が沈没の直接の原因だった可能性が指摘されている。
救助隊によると、沈没から10時間以上が経過した時点で、事故を起こした遊覧船は水深65メートルの深さまで沈下していたが、船内からは生命反応が確認できなかったという。

救助隊による救出活動の様子
中国では昨年6月、南京から重慶に向かっていた客船が沈没し、442名が死亡する事故が発生したばかりだが、この時も悪天候が事故の原因だったとされている。
中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は、悪天候の中で出航した挙げ句の重大事故が相次ぐ背景についてこう話す。
「中国の空港では、悪天候によるフライトの遅延やキャンセルが起きるたびに、足止めを食らった乗客らが暴れだすという騒ぎが起きている。観光船などでも同じで、悪天候が予報されていても、船を出さなければ乗客が納得しないんです。また、乗客を束ねる旅行代理店が、船会社に出航を強要することもある。そのため、かなり危険な状況とわかっていても出航してしまうケースが多く、重大事故の要因となっている」
ちなみに中国では、毎年5~6月にかけ、船の事故が多発する傾向にある。この時期には、船を利用しないことをお勧めする。
(文=広瀬賢)