
死亡した少年。事件が大きく報道されたことにより、両親は見つかったが……
姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」が、市から年間約5,000万円の給付金を受け取りながら、給食では0~1歳児にスプーン1杯ほどのおかずしか与えていなかったことが明らかとなり、社会に衝撃を与えた。
一方、中国では、生活困窮者や育児放棄された子どもたちを保護するべき社会福祉施設の運営者が、補助金を横領するために食事や衛生管理をないがしろにした結果、100人以上の収容者が死亡していたことが判明した。
国営メディア「央視網」(3月22日付)によると、広東省韶関市内にある社会福祉施設で、15歳の自閉症の少年が死亡した。この事件をきっかけに、施設内で起こった不可解な出来事が次々と発覚しているという。

入居当初の少年(左)は体格がよかったが、病院で撮影された際の少年(右上)はガリガリにやせてしまっていた
2016年8月、少年は自宅の場所がわからなくなり、広州市内の路頭をさまよっていたところ行政に保護され、この施設に送られた。施設で生活を始めた少年だったが、昨年11月に体調不良となり、施設付近にある人民病院に入院することとなった。当時の担当医師によると、少年は入院当時、栄養失調で立っていることもできない状況だったという。
精密検査の結果、少年の体は細菌性の病原体に侵されていることが判明。治療のかいもなく、入院から9日後、腸チフスが原因で死亡してしまった。病院は少年の詳しい死因を調査するため、提供されていた食事に関する記録を求めたが、施設側はこれを拒否。不信感を覚えた病院が行政に連絡し、調査が行われると、衝撃の実態が明らかになった。

6年間で収容者の半数が死亡した施設。外からもわかるほどの悪臭が漂っていたという
10年から運営されているこの施設では、昨年までの6年間で約200名が入居し、その半数に上る約100名の収容者が死亡していることがわかったのだ。さらに、今年1月から2月の間には20名の収容者が死亡していることもわかり、地元警察による捜査が開始された。
すると、施設で死亡した収容者たちが、梅毒、肺結核、チフス、肝炎に感染していたことや、現在の収容者の中には、HIVに感染している者も確認されたという。施設関係者のひとりは、施設内では個室サイズの狭い部屋に複数の収容者が押し込まれて生活しており、刑務所よりひどい環境だと証言している。トイレの下水管からは悪臭が漂い、衛生状態は最悪だったという。
地元当局は、政府から与えられる補助金を運営者らが横領し、劣悪な施設運営がされていたと断定。現在までに、施設の運営者や地元政府の民生部(日本の総務省に相当)の責任者ら4名が逮捕された。政府は施設に毎年200万元(約3,200万円)を補助金として支給しており、逮捕された施設の運営者とその家族は、この金を不正に流用していたとされる。
中国メディアは、施設を《地獄の収容所》と形容し、事実上の大量殺人事件だと厳しく非難している。だが、100名近い収容者が亡くなるまで発覚しなかった事件の闇は、もっと深いのかもしれない。
(文=青山大樹)