『コウノドリ』(TBS系)は、周産期医療センター(産科と新生児科が組み合わされ、一貫した体制が取れる医療施設/周産期=出産の前後の期間)を舞台に、生命の誕生となる出産の素晴らしさや難しさ、妊婦やその家族だけでなく、医師や助産師たちの喜びや苦悩を、現代の出産事情を踏まえつつ丁寧に描き、女性を中心に評判の高かった医療ヒューマンドラマだ。 原作は「モーニング」(講談社)で連載中の鈴ノ木ユウによる同名コミックで、2年前の2015年10月期に初めてドラマ化され、続編となる今回のシリーズも、その2年後を描く。第1話目が13日に放送され、視聴率も12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進。その内容を振り返ってみたい。 ■Dr.コトー?? 前作から2年、頼りない研修医だった下屋加江(松岡茉優)と白川領(坂口健太郎)も正式な医師となり、ペルソナ総合医療センターの周産期医療を支える立派な戦力として働いている。 一方、主人公である産科医師・鴻鳥サクラ(綾野剛)は、ある離島(島根県隠岐島)にいた。輸血設備のない離島の病院で緊急の帝王切開手術を行い、無事成功させる。相変わらず、まっすぐ患者と向き合っているようだ。 もしや、シーズン2は離島がメイン舞台なのか? 鴻鳥は古巣の病院から巣立ってしまったのか? かつての仲間とはもう会わないのか? と勝手にそわそわしていたら、いつもの職場(ペルソナ)にお土産を持った鴻鳥が突然登場、あっさりと復帰。 どうやら離島には先輩医師(佐々木蔵之介)のサポートとして、ほんの一時的に訪れていただけのようで、ドラマ初回ならではの「つかみ」にやられる。 後輩の下屋や先輩の助産師・小松(吉田羊)らと冗談を言い合う場面を見ていると、この2年で主要キャラの関係性に大きな変化はないようだ。 離島で、たった一人で奮闘する先輩医師の活動に触れ、想うところがありそうな鴻鳥に、「産科医一人でできることなど限られてる」と冷たい意見をぶつけつつも、「背負いすぎるな、サクラ」と、まっすぐすぎる鴻鳥を気遣うなど、ライバル的な立ち位置の産科医師・四宮春樹(星野源)のツンデレ具合も相変わらずだ。2人の距離感は、前作よりも縮まっているようにもみえる。よその病院の院長の息子で、今回新人研修医として赴任して来た赤西吾郎(宮沢氷魚)を、四宮が「ジュニア」と呼んできつく当たるのにも、何か理由がありそうだ。ちなみに宮沢氷魚はTHE BOOM・宮沢和史の本当の「ジュニア」だ。 ■ライバルのツンデレ このドラマの大きな見どころの一つが、ライバルであり(おそらく)親友でもある2人の同期医師の関係性だ。 親を知らずに生まれ、養護施設で育った過去を胸にしまい、誰にでも物腰やわらかく、まるで往年の西田敏行や林家こん平のような笑顔で接する主人公・鴻鳥と、かつて自身の甘さゆえに患者を亡くしてしまった自分を責めるあまり、感情を捨て、(出産を舐めた)患者にとことん冷たく接する医師・四宮との、噛み合わないようで噛み合っているぎこちない信頼関係が、前作で好評だった。外に出す態度やアプローチは違うが、内に秘めた想いは同じという意味では、桜木花道に対する流川楓だったり、ルーク・スカイウォーカーに対するハン・ソロだったり、かなり広くいえばブラック・ジャックに対するDr.キリコなど、青年誌連載原作だけあって、男子が好む正当なライバルものの一面もあると言えるだろう。 序盤、設備の整った環境で、成長した後輩らと手術をする四宮と、離島の乏しい設備で急遽輸血を募りながら手術をする鴻鳥とを交互に見せるシーンは、『ロッキー4/炎の友情』(1985)で、コンピューターを駆使した近代設備で専門トレーナーに囲まれ淡々とトレーニングするドルフ・ラングレンと、何もない雪山で、ただ丸太を切ったり、ただ丸太を持ち上げたり、ただ丸太を運んだりする原始的なトレーニングをひたすら繰り返すシルヴェスター・スタローンとの対比シーンのようだったと言ったら絶対に言い過ぎだが、多少そう感じた。 ■育児を「手伝う」は地雷 今回、登場する妊婦は心室中隔欠損(新生児の心臓の心室に穴が空いてしまっている)の子どもを身ごもっていることが発覚した佐野彩加(高橋メアリージュン)。 生まれてくる子どもの疾患もあるが、キャリアウーマンゆえに産休前の仕事の引き継ぎや復帰の時期の見えなさで、かなり焦っているようで、その態度に「仕事より赤ちゃん優先してあげたらいいのに」と、思わず裏で愚痴る下屋に、先輩医師・今橋(大森南朋)は「今まで一生懸命頑張ってきた彼女に、それをいうのは酷じゃないかな? 病気の重さと患者さんが抱える心の重さは、必ずしも一致しないから」と、職を抱えつつ出産する女性への理解を口にする。 このドラマの評判がいいのは、こういうところではないだろうか? とにかく妊婦や育児をする女性の側に立った言葉を出演者がズバリと言ってくださる。 他にも、疾患のある子どもの育児を不安がる佐野に対し、幾度となく「俺も手伝うから」と励ます夫に、四宮がぶち切れて言ったこの一言。 「『手伝う』じゃないだろ? あんたの子どもだよ」 おそらく夫は悪気なく言っているのだろうが、苛立つ人も多いこの「他人事」発言を、ズバリ斬ってくださった。しかも今をときめく星野源様にだ。デリケートな題材なだけに、ともすると女性視聴者から「出産のこと何もわかっていない」と言われ、炎上などのリスクも多々あるはずだが、リスクどころか「ほんとそう!」「よくぞ言ってくれた!」との声がネットに溢れていたのは、このような、原作以上に女性の側に寄り添う姿勢を強調した作りが大きいのではないだろうか。 しかし、時間の都合もあるのだろうが、この夫の他人事感が「手伝う」発言以外さほどしっかり描かれていないため、「よくぞ言ってくれた」を頂戴したいためだけに、夫に地雷を踏ませ、咬ませ犬に仕立てた感じを若干受けてしまった。 ちなみに、嫁の前であんた呼ばわりされ、真っ二つに叩き斬られ、言い返すこともできなかったこの不憫な夫を演じていたのは、まさかのナオト・インティライミ。髪型が違うせいか、一瞬、キングカズがドラマに!? と目を疑ったのだが、同じサッカー馬鹿でもナオトの方でした。夫が出てくるたびに「こんな顔だったか……」と気になってしまい、やや集中できなかったのは、おそらく見慣れぬ真顔がずっと続くことの違和感だと思います。 ■14才で「出産」してる志田未来 そして今回もう一組出産する夫妻は、早見マナ(志田未来)と早見健治(泉澤祐希)のろうあ者同士の夫妻。 マナは、その曲が胎教にいいと話題になりつつある謎の人気ピアニストBABYのことが気にかかっている様子だが、実はこのBABYは産科医・鴻鳥サクラのもう一つの顔で、それは一部の人間以外には秘密である。前シーズンでは、ちょくちょくバレそうになったり、なんなら2度ほどバレたりもしている。BABYのライブシーンでは、毎回変装のためにヅラをかぶっているのだが、前シーズンでは金髪ロン毛だったのに、今回はなぜか黒のややロン毛。おそらく前回のヅラがあまり評判よくなかったためだと思われるが、今回は似合ってかっこいい分、あまり顔に変化がなく、さすがにバレないのか心配だ。 志田未来は10年ほど前に『14才の母』(日本テレビ系)で妊娠、出産を経験しているからか、今回も見事な産みっぷり。話せない役柄ながら、障害が子どもに遺伝していないかという母親の不安や、出産の苦しさうれしさを表情だけで見事に演じ切っていた。 ちなみに泉澤祐希は、先日終わったばかりのNHK朝ドラ『ひよっこ』の米屋のみつお。佐々木蔵之介(シェフ)といい、最後の最後に一瞬登場した松本穂香(澄子)といい、やけにメンバーが揃っていたのは偶然だろうか。 ■塩顔天国 揃っていたといえば、今回男性陣はとにかく塩顔が揃いまくり。主演の綾野剛、星野源、そして後輩の坂口健太郎に、とどめの佐々木蔵之介(今回だけかもだが)と、とにかくアクを抑えた薄い顔の配役。男性俳優のラインナップには、かなりのこだわりを感じます。 ちなみに原作コミックでは、主役の鴻鳥サクラは当初アクの強い骨ばった造形だったのだが、2年前の初ドラマ化あたりから明らかに主人公の顔が綾野剛に寄りだし、最新の連載付近では、もはや綾野剛そのもののような美しい顔になった。ドラえもんでジャイアンが「綺麗なジャイアン」になってしたった回を思い出すほどの美的進化。連載とともに絵柄が進化するのは新人漫画家にはよくあることだが、ここまで元の絵柄がドラマの役者に寄って行くのも珍しいと思う。ぜひコミックを手に確認していただきたい。 ■原作との違い 今回の序盤の離島パートは、原作では鴻鳥ではなく後輩医師(赤西)が研修として訪れる設定となっており、それを収録した17巻は、まるまる赤西が主人公のスピンオフ作品に近い内容で、全作品の中でも異色の巻となっている。ドラマよりも、離島の生活や、そこで暮らす医師の現実、さらには赤西の恋の芽生えなどを描いており、じっくり描けばこれだけで映画化できそうなほどの内容の濃さだ。 まだ医師になりたてで漠然とした日々を過ごす赤西が、自分の立ち位置ややりがいを見つけ、将来への展望をつかむ意味のある原作の話に比べると、今回ドラマで鴻鳥が離島に行った脚本上の意味は正直あまりなかったように感じた。 新人の赤西なら、活躍できずとも、それにより打ちのめされたりして見せ場になるのだが、鴻鳥は医師としては特に欠点のみられないキャラだけに、さほど心情の揺れもなければ、かといって特に彼でなければという見せ場があったとも思えない。 おそらく時間拡大枠での初回の「つかみ」ということで画的に島という舞台が欲しかったのだろうが、中途半端な印象は拭えなかった。 しかし、全体に丁寧に描かれている良質なドラマなので、次回以降も楽しみ。途中から見てももちろんわかる作りだが、前回の終盤で登場したナオト君親子がさりげなく登場していたり、意外な発見もありそう。個人的には、前シリーズで根を詰めるあまり挫折してしまった山口紗弥加演じる新井医師が出てくるのかが気になるところだ。 (文=柿田太郎)TBS系『コウノドリ』番組サイトより
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やっぱり芦田愛菜は別格!? ブレーク果たした松岡茉優と、逆転された“天才子役たち”の現在
「昨年は中学受験のため露出は控えめでしたが、現在は芸能活動に理解ある慶応中等部に入学したことで、以前のように仕事を入れているようです。近年で、子役からここまで順調に“成長”しているのは彼女くらいじゃないでしょうか」(テレビ局関係者) いまや、テレビで見ない日はないというくらい目覚ましい活躍を見せている芦田愛菜。 「子役からのブレークというのは芸能界でも王道中の王道ですが、彼女ほど見事に成長した人は、安達祐実さんくらいしか例がないんじゃないでしょうか。芦田さんのあとに続くといわれていた小林星蘭さんも、デビュー当時とはずいぶん印象が変わってしまいましたからね。いま活躍中の松岡茉優さんも子役時代はパッとしなかったのですが、NHK朝ドラ『あまちゃん』の出演を機にブレークしてますから、読めないところもあるんですよね」(芸能事務所関係者) その松岡と同時代に天才子役といわれていた美山加恋や大後寿々花とは、いまや完全に立場が逆転している。 「男性で子役から順調に成長したのは、神木隆之介クンくらいじゃないでしょうか。須賀健太クンも舞台等で活躍していますが、イケメンという感じではないですからね。子役は成長期に声や体形が変わってしまうことで、売れる、売れないがはっきりしてしまいます。そういう意味では、子役でブレークするも引退した大橋のぞみさんなんかは、ある意味、成功例かもしれませんね。現在活躍中の本田三姉妹も『あくまでスケート』が一番と言っていますからね」(広告代理店関係者) やはり、芦田愛菜は別格ということか。
やっぱり芦田愛菜は別格!? ブレーク果たした松岡茉優と、逆転された“天才子役たち”の現在
「昨年は中学受験のため露出は控えめでしたが、現在は芸能活動に理解ある慶応中等部に入学したことで、以前のように仕事を入れているようです。近年で、子役からここまで順調に“成長”しているのは彼女くらいじゃないでしょうか」(テレビ局関係者) いまや、テレビで見ない日はないというくらい目覚ましい活躍を見せている芦田愛菜。 「子役からのブレークというのは芸能界でも王道中の王道ですが、彼女ほど見事に成長した人は、安達祐実さんくらいしか例がないんじゃないでしょうか。芦田さんのあとに続くといわれていた小林星蘭さんも、デビュー当時とはずいぶん印象が変わってしまいましたからね。いま活躍中の松岡茉優さんも子役時代はパッとしなかったのですが、NHK朝ドラ『あまちゃん』の出演を機にブレークしてますから、読めないところもあるんですよね」(芸能事務所関係者) その松岡と同時代に天才子役といわれていた美山加恋や大後寿々花とは、いまや完全に立場が逆転している。 「男性で子役から順調に成長したのは、神木隆之介クンくらいじゃないでしょうか。須賀健太クンも舞台等で活躍していますが、イケメンという感じではないですからね。子役は成長期に声や体形が変わってしまうことで、売れる、売れないがはっきりしてしまいます。そういう意味では、子役でブレークするも引退した大橋のぞみさんなんかは、ある意味、成功例かもしれませんね。現在活躍中の本田三姉妹も『あくまでスケート』が一番と言っていますからね」(広告代理店関係者) やはり、芦田愛菜は別格ということか。
“演技力に賛否”壇蜜がまさかの出ずっぱり! 錦戸亮『ウチの夫は~』1ケタ落下で暗雲
コメディ調の妄想シーンや、同居する男女が敬語で話す点など、随所から『逃げ恥』(TBS系)臭を漂わせている『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)。第2話の平均視聴率は初回から1.9ポイントダウンの9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。 前回のレビューでは、主演の関ジャニ∞・錦戸亮の“しょんぼり顔”の素晴らしさについて熱く語らせていただきましたが、今回はどんなしょんぼり顔を見せてくれるでしょうか? あらすじを振り返ります。「日テレ無料 by 日テレオンデマンド」より
オープニングタイトルが最高
司(錦戸)が所属するイベント制作部署が、大型イベント「東京おもちゃエキスポ」を手掛けることに。すっかり信用を失った司は「自分は、頑張りたいと思ってます」と上司にアピールしますが、黒川(壇蜜)から「は? あんたは弁当発注でもやってて」と下っ端の仕事を押し付けられてしまいます。 空を見上げ、本日初のロングしょんぼり(目線上気味)をキメる司。すかさず、顔の横にオープニングタイトルが表示されます。いやあ、これですよ。わかりやすくて、平和なオープニング。植田まさしの4コマ漫画でも見ているような気分になります。 妊娠中の妻・沙也加(松岡茉優)は、マタニティー友だちのあかり(イモトアヤコ)たちとランチへ。前回、司に「司さんの良さがわからない会社なんて、辞めていいです!」と啖呵を切っていた沙也加ですが、マタ友から再就職の難しさを聞き、大ショック。『ウチしご』名物の“妄想ミュージカル”へと突入し、貧乏生活の中で「輝きは全て 失われた~♪」「無い 未来が無い 無い お金が無い♪」と歌いだします。 司の崖っぷち加減に焦った沙也加は、本屋で“グッドジョブ博士”なる人物の著書『できない男からできる男への道』を購入。この本のおかげで活路を見いだした沙也加は、本日2度目の“妄想ミュージカル”を開演。司ができる男になって大統領にまで伸し上がるまでのサクセスストーリーを妄想し、「期待のー! プレジデント! 輝くー! プレジデント!」とバックダンサーを従えて踊りだします。 「東京おもちゃエキスポ」当日、司は複数の弁当業者に発注。スタッフが自由に選べるよう、5種類のお弁当を用意しますが、土方チームリーダー(佐藤隆太)は「弁当に金かけてどうすんだよ!」と激怒(司はしょんぼり)。イベントに遊びに来ていた沙也加は、マタ友たちと共にこの現場を目撃してしまいます。 しかし後日、イベントのクライアントが「弁当がよかった」「弁当ひとつで士気が上がった」と司が用意した弁当を絶賛。ただ、クライアントが若手の田所(Hey! Say! JUMP・薮宏太)の仕事だと勘違い。田所に手柄を取られてしまいますが、なぜかそんなにしょんぼりしていません。 この夜、司はこの出来事を沙也加に報告。手柄を取られても「僕はいい仕事ができた」「こんな誇らしい気持ちになったのは初めて」と嬉しそうな司を前に、沙也加は涙。土方から怒られている司を目撃した際、マタ友に「自分の夫です」と言えなかった自分を悔やみ、第2話は終了です。深刻な“壇蜜、クセ強すぎ問題”
初回放送以来、「しゃべり方にクセがありすぎ」「演技が気になって、ストーリーが頭に入ってこない」とネット上で賛否を巻き起こしている壇蜜の演技ですが、まさか2話目にしてこんなに出ずっぱりとは……。 壇蜜が出ずっぱりになった理由は、今回から黒川が司の“教育係”に任命されたから。これから沙也加が黒川に嫉妬する展開も予想されるため、登場シーンは今後も多そう。これが同作のネックとならなければいいですが……。 それにしても、沙也加のような能天気で優しい奥さんって素敵ですね。胎児にもストレスかからなさそうだし。筆者は子ありの妻ですが、もし旦那が上司に怒鳴られている場面を目にしたら、まず旦那に怒りの感情が沸き上がり、帰ってくるなり「この、役立たず!」と、ほかほかご飯を顔面に投げつけてしまいそうです。 しかし、このドラマを見ているから、もう大丈夫。これからは沙也加を見習い、旦那のいいところをしっかり見て、悪いところを見ても旦那を傷つけることなく、さりげなくフォローしていきたいと思います!! って、ムーーリーーー。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)そこはかとなく漂う『逃げ恥』臭! 関ジャニ∞・錦戸亮&松岡茉優『ウチの夫は~』が好発進
関ジャニ∞・錦戸亮主演の連続ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)の全話レビュー。8日放送の初回は、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタ発進となりました。 「笑って泣ける新感覚! お仕事ホームドラマ」をうたう同作ですが、脚本は昨年の朝ドラ『べっぴんさん』(NHK)や、AKB48・渡辺麻友主演『戦う!書店ガール』(フジテレビ系)などを手掛け、羽鳥慎一の妻でもある渡辺千穂氏。主題歌は、さだまさしが作詞作曲を手掛ける関ジャニ∞の楽曲「奇跡の人」です。 タイトルだけ見ると、話題の投稿サイト「旦那デスノート」ばりの暴言が飛び出しそうですが、一体、どんなドラマなのでしょう?
随所から漂う『逃げ恥』臭
大手イベント会社で働く司(錦戸)の妻・沙也加(松岡茉優)は、理想の夫と結婚できたことで幸せいっぱい。さらに、司は会社で一番の花形部署に異動が決まり、沙也加の頭は完全にお花畑。妄想の中で「期待のーシャイン! 輝くーシャイーン! ツカサコバヤシ シャイン!」とミュージカルをおっぱじめます。 しかし、司の正体は「働くことで、会社に損害を与える男」として知られるダメ社員。7年前の入社以降、部署をたらい回しにされており、今回の異動は根を上げさせるための肩たたき人事なんだとか。同僚の田所(Hey! Say! JUMP・薮宏太)から「お荷物社員のニモちゃん」と揶揄された司は、言い返せずに肩を落としてしょんぼり顔をキメるしかありません。 とはいえ、新部署で早速「森を生きる展」のチラシ制作を任された司。キノコや粘菌のマニアである司は、デザイナーの宮坂にイメージを伝え、順調に仕事を進めていきます。あら、仕事できるじゃない。 そして、納期までにチラシが完成。すると、宮坂は「実は、入院中の母親の容態が急に悪化してさ」と告白。母のいる青森へ行くといいます。この直後、上司の黒川(壇蜜)から電話で「クライアントが急きょ、コンセプトを変えたいって言ってきた」「デザイナーは変えるな」との連絡が。しかし、司は慌ててタクシーに乗ろうとする宮坂を引き止めることができません。 そのまま帰社し、上司に宮坂が青森に行ったことを報告する司。それを聞いたチームリーダーの土方(佐藤隆太)は、「(黒川が)連絡したときに、どうして言わなかった」「そのときに伝えていれば、すぐにほかの方法を考えることができた。デザイナーに意思疎通を取れる仲間を紹介してもらうことも、こちらで探す時間もあった」とピシャリ。司はこの案件から外されてしまいます。 退職を決意し、しょんぼり顔で帰宅する司。しかし、沙也加が妊娠したことを報告してきたため、言い出せません。 あくる日、釣り銭を切らし客から怒鳴られている弁当屋に遭遇し、わざわざ銀行(?)で1万円をくずして渡す司。その弁当屋は、「正直でいることだ」と一方的に夫婦円満の秘訣を説き始めます。 これに感化された司は、その夜、沙也加に「僕は仕事ができません」とカミングアウト。これに沙也加は、「今日ね、デザイナーの宮坂さんがうちに来ました。司さんのおかげで最後にお母さんに会えたって」と切り出し、「司さんの良さがわからない会社なんて、辞めていいです!」「優しすぎて、損することがあってもいい」「もう立派な夫を演じる必要はありません」と畳み掛けます。不気味なほどに理想的すぎる妻! そして、「なんでも話せる夫婦になりましょう」と約束し、抱き合う2人。司は「まだ頑張りたい」と退職を取りやめ、初回は終了しました。錦戸のしょんぼり顔の価値
底抜けにかわいい奥さんである沙也加の妄想シーンが毎週出てきそうな予感の『ウチしご』(『しごでき』?)。藤島ジュリー景子副社長の「ウチの錦戸に『逃げ恥』みたいなドラマやらせたいんだけど。新垣結衣と交際報道あったのに、なんだけど」という声が、終始こだましていたような、していないような同作ですが、筆者は錦戸のしょんぼり顔がこんなにクオリティー高いとは今まで知りませんでした。制作サイドも、「これが見どころ」と言わんばかりに、しょんぼり顔のアップを長めに回し、サービスしてくれます。 しかし、司が仕事ができないデクノボーなのか、はたまた仕事は普通にできるけど、いい人すぎるがゆえに損害をもたらす社員なのか、初回では判断がつかず、モヤモヤ……。 土方の口ぶりだと、今回の司のミスは、黒川への折り返し電話を怠ったことであり、デザイナーの宮坂を青森に行かせたことではないっぽいんですよね。しかし、沙也加は完全に、司が宮坂を青森に行かせたから、仕事が滞ったと思い込んでる……。この相違って、わざとなんでしょうか? モヤモヤが止まりません。 とはいえ、土曜の夜に幸せそうな美男美女夫婦のやり取りを見るのは、気分がいいですね。特に日頃、夫に悪態をついてる妻が見たら、「もう少し亭主に優しくしてやろうかしら?」と思えたり思えなかったりしそうです。ちなみに、ネット上では「こんなの、仕事ができないとかの問題じゃなくて、ただのパワハラ会社だろ」「壇蜜のしゃべり方、変だろ」といった声が目立ちますが、筆者は後者しか気になりませんでした。 それに、転んだ小学生に手を差し伸べたり、弁当屋に釣り銭を作ってあげたりと、“いい人”行為を連発する錦戸を見ていると、錦戸に対しても「本当に純朴でいい人なのかも」「酒癖悪くなさそう」「赤西軍団なんかにいなさそう」「スマホなんて奪わなさそう」と思ってしまうから不思議です。 というわけで、早くも錦戸の代表作になりそうな予感の『ウチの夫は仕事ができない』。「日刊サイゾー」では、最終回までレビューしていきます。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)“第二の松岡茉優”になれるか? 朝ドラ『まれ』一子役の清水富美加にビッグチャンス到来!
2015年度前期のNHK連続テレビ小説『まれ』で、主人公・まれ(土屋太鳳)の同級生・一子役を演じて、脚光を浴びた女優・清水富美加にビッグチャンスが到来した。 本業の女優としては、4月期の注目ドラマ『世界一難しい恋』(大野智主演/日本テレビ系/水曜午後10時~)に出演。4月5日放送のスペシャルドラマ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系/竹野内豊主演)にも、重要な役どころで登場する。5月14日公開予定の鈴木亮平主演映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』ではヒロイン役を務める。 バラエティでは、休養中のベッキーの事実上の後釜として、4月からフジテレビ系『にじいろジーン』(土曜午前8時30分~)のレギュラーに起用されることが決まった。 『世界一難しい恋』では、34歳の一流ホテルの若社長・鮫島零治(大野)の恋の相手となるヒロイン・柴山美咲(波瑠)と同期入社のホテルウーマン役を演じる。立場的には脇役だが、話題作だけに、清水への注目度が高まるのは必至。 『にじいろジーン』でのベッキーの代役候補には、多くの女性バラエティタレントの名が挙がったようだが、最終的に選ばれたのが清水。これまで、清水はバラエティ番組にも頻繁に出演しており、その潜在能力が買われた格好だ。 女優、バラエティタレントとしてのみならず、清水はニッポン放送『清水富美加 みなぎるPM』でラジオ番組のパーソナリティも務めており、さまざまなジャンルで活躍中。今後はマルチタレントとして、飛躍する可能性が十分だ。 マルチな活躍といえば、今その筆頭格は女優・松岡茉優だ。松岡も、朝ドラ『あまちゃん』(13年度前期)への出演をきっかけにして、ブレイクを果たした。ドラマ、映画、CM、ラジオ、バラエティなどで多彩な才能を発揮する松岡は、NHK大河ドラマ『真田丸』では、主人公・真田信繁(堺雅人)の正室・春役に抜擢された。清水も、その幅広い活躍で、“第二の松岡茉優”となれるか注目が集まる。 『まれ』では、ある意味、ヒロインの土屋を食うほどの存在感を発揮していた清水。4月以降に訪れるチャンスで、インパクトを残すことができれば、ドラマや映画の主役の座も転がり込んできそうな勢いだ。 (文=森田英雄)『SHIMIZU FUMIKA 1st Photobook 清水富美加』(マガジンハウス)
“第二の松岡茉優”になれるか? 朝ドラ『まれ』一子役の清水富美加にビッグチャンス到来!
2015年度前期のNHK連続テレビ小説『まれ』で、主人公・まれ(土屋太鳳)の同級生・一子役を演じて、脚光を浴びた女優・清水富美加にビッグチャンスが到来した。 本業の女優としては、4月期の注目ドラマ『世界一難しい恋』(大野智主演/日本テレビ系/水曜午後10時~)に出演。4月5日放送のスペシャルドラマ『素敵な選TAXI』(フジテレビ系/竹野内豊主演)にも、重要な役どころで登場する。5月14日公開予定の鈴木亮平主演映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』では、ヒロイン役を務める。 バラエティでは、休養中のベッキーの事実上の後釜として、4月からフジテレビ系『にじいろジーン』(土曜午前8時30分~)のレギュラーに起用されることが決まった。 『世界一難しい恋』では、34歳の一流ホテルの若社長・鮫島零治(大野)の恋の相手となるヒロイン・柴山美咲(波瑠)と同期入社のホテルウーマン役を演じる。立場的には脇役だが、話題作だけに、清水への注目度が高まるのは必至。 『にじいろジーン』でのベッキーの代役候補には、多くの女性バラエティタレントの名が挙がったようだが、最終的に選ばれたのが清水。これまで、清水はバラエティ番組にも頻繁に出演しており、その潜在能力が買われた格好だ。 女優、バラエティタレントとしてのみならず、清水はニッポン放送『清水富美加 みなぎるPM』でラジオ番組のパーソナリティも務めており、さまざまなジャンルで活躍中。今後はマルチタレントとして、飛躍する可能性が十分だ。 マルチな活躍といえば、今その筆頭格は女優・松岡茉優だ。松岡も、朝ドラ『あまちゃん』(13年度前期)への出演をきっかけにして、ブレイクを果たした。ドラマ、映画、CM、ラジオ、バラエティなどで多彩な才能を発揮する松岡は、NHK大河ドラマ『真田丸』では、主人公・真田信繁(堺雅人)の正室・春役に抜擢された。清水も、その幅広い活躍で、“第二の松岡茉優”となれるか注目が集まる。 『まれ』では、ある意味、ヒロインの土屋を食うほどの存在感を発揮していた清水。4月以降に訪れるチャンスで、インパクトを残すことができれば、ドラマや映画の主役の座も転がり込んできそうな勢いだ。 (文=森田英雄)『SHIMIZU FUMIKA 1st Photobook 清水富美加』(マガジンハウス)
『真田丸』低調は地上波だけ!? 気分上々の三谷幸喜は「松岡茉優を第2の戸田恵子にする!」
「今回、視聴率では自己最低を更新しましたが、BSでは最高を更新しました。BSは地上波よりも2時間早く放送しているので、早く見たいという人がBSに流れて地上波の視聴率が減ったと考えるのが普通です。局内でも気にしている人はいませんよ」(NHK関係者) 俳優の堺雅人が主演を務めるNHK大河ドラマ『真田丸』の第10話が13日に放送され、平均視聴率は16.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった一方、午後6時から放送されるBSプレミアムは4.7%と同番組最高を記録した。 「これだけ数字もよくて内容も評判がいいので、三谷さんもかなり気分をよくしているようです。先月は新たに追加キャストで松岡茉優さんが発表されましたが、彼女は今、三谷さんが一番のお気に入りで『彼女を第二の戸田恵子にする!』と周囲には話しているようです」(芸能事務所関係者) 基本的に三谷幸喜の脚本は当て書きといって、演じる役者を想定して脚本を書いている。 「つまり、今回発表された堺雅人さん演じる真田信繁の正室となる春は、物語の上でもかなり重要な役です。そこに彼女をキャスティングしたあたりに、その期待度がうかがえますね。彼女も『大河への出演は目標でした。三谷さんとご一緒するのは野望でした』と物怖じすることなく発言してます。若手女優の中ではバラエティにも積極的に出て、その“コメディエンヌ”としての能力を三谷さんが買っているわけですから、出演シーンが今から楽しみですね」(番組スタッフ) 朝ドラで飛躍して、大河出演を果たした松岡茉優。三谷の手によって“第二の戸田恵子”になれるのか――。『NAKUNA』(KADOKAWA)
松岡茉優『真田丸』起用で『あまちゃん』女優の出世争い激化! 一方、能年玲奈は……
本業の女優のみならず、CM、バラエティ、ラジオのパーソナリティなどマルチな活躍ぶりを見せている松岡茉優が、NHK大河ドラマ『真田丸』(日曜午後8時~)に出演することが決まった。 役どころは、豊臣秀吉(小日向文世)の家臣・大谷吉継(片岡愛之助)の娘で、主人公・真田信繁(後に幸村=堺雅人)の正室となる春(竹林院)役で、非常に重要なポジション。NHKの松岡に対する、期待の表れといえる。 2008年、テレビ東京系『おはスタ』での「おはガール」として本格的にデビューした松岡は、13年度前期のNHK朝ドラ『あまちゃん』で注目を集めた。同ドラマでは、主人公・天野アキ(能年玲奈)が所属したアイドルグループ・GMT47のリーダー・入間しおり役を演じた。 これを契機に、次々にオファーが入るようになり、『斉藤さん2』(13年/日本テレビ系)、『GTO』(14年/フジテレビ系)、『問題のあるレストラン』(15年/同)などに出演。15年4月期には深夜ドラマ『She』(同)で連ドラ初主演、同10月期の『コウノドリ』(TBS系)ではヒロインを務めた。 この4月にスタートするフェイクドキュメンタリードラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(金曜深夜0時52分~/テレビ東京系)では、本人役で主演することも決定した。 NHKとのかかわりも深く、『あまちゃん』以降、木曜時代劇『銀二貫』(14年4~6月)、『限界集落株式会社』(15年1~2月)、「経世済民の男」第一部『高橋是清』(同8月)に出演しており、2月27日から放送開始の特集ドラマ『恋の三陸 列車コンで行こう!』(土曜午後10時~/全3話)にもキャスティングされている。 着実にキャリアアップを積んできた松岡だけに、大河ドラマで重要な役どころに抜擢を受けても違和感はない。『真田丸』のヒロインは、信繁の幼なじみ・きり(長澤まさみ)だが、役柄的にも、長澤と張り合うことになりそうだ。 松岡同様、『あまちゃん』から飛び出した福士蒼汰や有村架純は、ゴールデン帯の連ドラで主演を務めるまでに成長。特に同性の有村とは今後、比較されることも多くなりそうで、タイプこそまったく違うが、熾烈な出世争いが繰り広げられるだろう。 『あまちゃん』といえば、主役を務めた能年は所属事務所とのトラブルもあり、開店休業状態。松岡や有村と、能年との立場の差は広がるばかりだ。 (文=森田英雄)ヒラタオフィス公式サイトより
女優・松岡茉優のロケが面白すぎる3つの理由 フジテレビ系『正直さんぽ』(4月11日放送)を徹底検証!
ここ数年、いわゆる“女性タレント枠”は群雄割拠の時代が続いている。女たちが血で血を洗う、まさしく戦国時代だ。今年2月に放送された『時間がある人しか出れないTV』(TBS系)で真のワイプ女王に輝いたベッキーを筆頭として、指原莉乃や嗣永桃子、菊地亜美といったアイドル勢、ローラやSHELLYなどのモデル勢、鈴木奈々をはじめとするおバカ勢、そして小島瑠璃子やおのののかなどのグラビア勢の躍進も目覚ましい。そんな戦いに今、ひとりの女優が足を踏み入れようとしている。若手女優、松岡茉優がその人である。 もともとは子役としてキャリアを始めたが、脚光を浴びたのはテレビ東京『おはスタ』。ここでバラエティの感覚を培った松岡茉優は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』への出演で一気にブレイク。数々の映画やドラマにも出演し、女優としての評価も高いわけだが、彼女の実力はそこに留まらない。それが明らかになったのが、4月11日に放送された『正直さんぽ』(フジテレビ系)だ。この番組において松岡茉優は、ロケタレントとしての才能を見事に開花させている。 『正直さんぽ』で松岡茉優が出演する回は『正直女子さんぽ』と銘打って、柳原可奈子と関根麻里と一緒に街を散歩するという主旨の番組である。ずんの飯尾和樹もお目付役として出演。極めて実力の高い布陣となるメンツではあるが、それでも松岡茉優の存在感と結果の残し方は目を見張るものがある。決して負けていない、どころかしばしば共演者を食っている。ロケという戦場において、松岡茉優の魅力は見事に炸裂しているのだ。 ロケにおける松岡茉優の魅力は、いわゆる“女性タレント枠”の近年の活躍とは少し違うところにある。ワイプという手法が当たり前になった現代のテレビにおいては、天性の才能ではなく、研ぎすまされた技術力が必要とされているのが実情だが、松岡茉優のロケに技術はない。むしろ天性の人間力で見せている。これはかつて“バラドル”と呼ばれた人々のやり方に近い。例えて言うならば、井森美幸の系譜を引き継いでいる。それは技術というよりも、人としての面白さを打ち出すという手法だ。松岡茉優はいわば、先祖返りした稀有な存在だと言えるだろう。 それでは、ロケにおける松岡茉優の一体どこがすごいのか? 彼女のロケが面白すぎるのは、一体なぜだろうか?以下、3つの点に分類して論じていきたい。 (1)独特の言語センスが面白すぎる 番組の性質上、さまざまな店を訪ねて料理を食べるという場面が多々あるわけだが、そのときに述べる感想がいちいち独特である。たとえば「もちパイ」という、中がアツアツのお菓子を食べたときの感想はこうだ。 「とろっとしたのが中に入ってて、それがマグマなんです」 熱さをたとえるときに、「マグマ」という単語をすぐに繰り出せる人間はそうはいない。さらに言えば、普通こういった際は「マグマみたいなんです」とたとえるわけだが、それを省略して一気に「マグマなんです」と言い切る。これは、技術でできることではない。天性の勘で、自身の感情を最短距離で見つける。これは、女優としてのセンスとしか言いようがない。通常の食レポの常套手段とは異なるが、しかしこれこそが、松岡茉優の個性でもある。このほかにも、 「私、塩分大好きなんで」(店頭に並んだわさび塩を見つけて) 「よかったぁ、成長期で」(ステーキがたくさん食べられる自分の胃を評価して) 「男の子の発想ですよ!」(鉄板焼きのステーキをパンの上に載せるというアイデアに対して) など、ちょっと名言がすぎる。ある意味で出川哲朗的なテイストも感じさせるわけだが、弱冠20歳の女優が発言することによって、それはツッコミどころではなく、シンプルな魅力となる。この独特の言語センスは、やはり松岡茉優ならではのものだ。 (2)無言のリアクションが面白すぎる ワイプ全盛時代の現在において、基本的には無言というリアクションはあり得ない。よっぽどのことでもない限り、その場で求められた的確な言葉を発して、カメラを自分に向けさせるというのが現代の主流である。 だが松岡茉優は、ワイプタレントとは一線を画している。あまりにも堂々と、無言でリアクションを行う。たとえば柳原可奈子がおかしなことを口にしたとき、何も言わずに目を見開いて「?」という顔を向けるというリアクションを披露する。決して出しゃばらない。そしてそれは、言葉によるツッコミが応酬する現代の流れとは別軸にあり、どこか懐かしく、ほっとさせてくれるものでもある。 おいしいものを食べたときもそうだ。ステーキ店で肉を食べた際、何も言わずに無言でガッツポーズをする。それだけで、おいしいということは伝わるのだった。想いを伝えるのに、言葉が必要だというのは錯覚である。松岡茉優は言葉に頼らず、表情や動きで感情を表現する。それは、女優としての顔も持つ松岡茉優だからこそできる、新たなリアクション像なのだ。 (3)無意識な自然体が面白すぎる すでに述べたように、松岡茉優のロケの面白さは、人としての面白さだ。もちろん『正直さんぽ』の独特な自由な雰囲気がそれを可能にしているわけだが、それでもやはり、松岡茉優の無意識な自然体はちょっとどうかと思うくらいには面白い。たとえばこの回は、いちご狩りでいちごを食べる。そのときの松岡茉優の感想はこうだ。 「目がしみるぐらい! あん? 目がしみる……? (気付いて)目が覚めるぐらい甘いです!」 完全に間違っている。人はあまり、いちごを食べて目がしみるということはない。だがまあ、そこはよい。重要なのは、この間違ったセリフを口にした後に、一切何もなかったかのようにそのまま次の動作に移るという点だ。ここで、誰かにツッコミを入れさせたり、あるいは自分で、おかしなこと言っちゃった的なフォローを入れることがない。ここがすごい。つまり松岡茉優は、笑いを取りに行っているわけではない。カメラの前で、そのままの姿で、普通に過ごしているのだ。 それが最も分かりやすく映ったのが、同じくイチゴ狩りの場面だ。松岡茉優は「あれ食べたい!」と少し遠くのイチゴを目にして畝(うね)をまたぐのだが、そのときに完全に尻をカメラに向けている。共演者や視聴者どころか、カメラすら気にしていない。だが、それがまったくく下品ではないのだ。松岡茉優にはよこしまな気持ちなどなく、ただ単純に遠くのイチゴを取ろうとしている。その純粋な欲求が伝わるからこそ、下品には映らない。女性タレントというよりも、むしろ子どもや動物を見る感覚に近い。この無意識な自然体は、やはりほかのタレントでは真似ができないのだった。 松岡茉優は人間の面白さを見せる。そのロケのスタイルは現在の主流とは少し離れているが、しかしどこか懐かしい面白さにあふれている。この純粋な面白さは、これから先どのような形で進化を遂げるのか。いずれにせよ松岡茉優、2015年再注目の女性タレントであることは間違いないだろう。 【検証結果】 冒頭でも述べた通り、現在の“女性タレント枠”に最も必要とされている資質はワイプにある。あるいは、ワイプは女性タレント、ロケは芸人さん、という形での棲み分けが暗黙のうちにされている空気があると言っていいだろう。そしてワイプ芸とは、批評的な感覚が必要とされる。もちろんその感覚とそこで研ぎすまされた技術は評価されるべきだが、テレビはそれだけではない。ひな壇では輝かない才能もある。松岡茉優という才能はまさしくそういった種類のものであり、これから先、ロケという戦場で彼女が新しいテレビのあり方を提示してくれることを願ってやまない。 (文=相沢直) ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaaヒラタオフィス公式サイトより






