サイゾー読者の皆様、こんにちは。早くも今年の流行語大賞の有力候補に、「センテンススプリング」や「ゲス不倫」といったワードが入ってきそうな勢いを感じるほど、あの人気タレントも、あの政治家も、あの師匠も、そしてあのスポーツライターも、みんな不倫、不倫、不倫だらけの昨今。「あれ!? 日本って、一夫多妻制だったっけ?」と、勘違いするレベルですね。 「不倫=バレたら破滅」というのは散々歴史が証明しているところですが、それでも不倫がなくならないところを見ると、やはり「不倫は文化」というフレーズは正しいのでしょう。そして、マンガの世界に目を移してみると、やはり多くのマンガで不倫は背徳行為のシンボルとして扱われています。しかし、もしかしたら唯一? といっていいほどポジティブに不倫と向き合っているマンガが存在しました。その名も『フリンジマン』。これを読めば、あなたも愛人が作れるかもしれない!? 『フリンジマン』の設定をご紹介しましょう。とある雀荘で卓を囲む男4人。しかし、彼らは、卓を囲みながらもお目当ては麻雀ではなく、ほかのところにありました。そう、一度不倫をしてみたい、愛人を作ってみたい男たちの密会が行われていたのです。 卓を囲んでいたのは、同時に最高5人の愛人と付き合う「愛人教授(ラ・マン プロフェッサー)」と呼ばれる不倫のエキスパート・井伏真澄。そして、不倫に憧れる田斉、満島、安吾という、3人の迷える子羊たちです。ここで、井伏の教えを請いながらお互いの愛人作りをサポートする「愛人同盟」が結成されます。 早速、愛人教授・井伏が繰り出す、数々の不倫名言が弟子たちの不倫モチベーションを高めます。 「愛人にどう告白すべきかでしたっけ?…愚問ですね。いらないんですよ、告白なんて」 「愛人にするのは好きな女ではありません、都合の良い女です」 「感情を捨てなければ愛人関係という任務は遂行できません。マシーンになるのです」 こんな感じで、思いっきり不倫に前向きなのです。教授いわく、不倫とは「ウニを食べる」「海外旅行に行く」「グリーン車に乗る」などと同様、少し手を伸ばせば手に入る、オトナだけに許された悦楽なのであります。そう考えると、全然ゲスな行為ではないんですね。 田斉をはじめとした弟子たちの愛人作りを通して、より実践的なレクチャーへと進んでいきます。例えば、田斉は会社の新人OL、山口詠美がターゲット。愛人教授によるGPSとイヤホンを駆使した的確な遠隔指示、さらに愛人同盟の協力体制により、着実に愛人作りを遂行していきます。 ところで、愛人作りにおいてまず課題となるのは、結婚している男に一体どんな女(ヒト)が興味を持ってくれるのかということですが、そこで役に立つのが「愛人の原石の見分け方」です。 「オハヨウゴザイマスの後にアナタの名前を呼ぶ女は愛人の原石」 「曲がっているネクタイを自ら直接直しに来る女は愛人の原石」 などなど。つまり、会社で単なる「おはようございます」ではなく「おはようございます○○主任」と名前まで呼んでくれる女性、あるいは曲がったネクタイを指摘するだけでなく、わざわざ直してくれる女性は間違いなく自分に好意があり、愛人候補として大いにチャンスがある! という理屈です。なるほどなるほど、つまり不倫をしたければネクタイは曲げておくべし、ということですね。実に勉強になります。 そして、自分に好意を持ってくれる愛人の原石を見つけたら、給湯室などの2人きりになれる場所で世間話をし、擬似不倫体験を共有する……これぞまさに、明日からすぐに(愛人を)探せるテクニックです。 しかし、愛人作りのためには、注意点も数多くあります。 ・待ち合わせ場所は書店がオススメ。道端、居酒屋などは避ける ・宝飾店や指輪は2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがあるため、愛人との会話では厳禁 ・デパートの受付嬢は店舗案内…「店案」と呼ばれ、愛人にするには最も手ごわい職種のひとつ などなど。そうですか、デパートの受付嬢は手ごわいですか。覚えておいて損はない知識ですね。個人的には、役に立つ日が来るとは到底思えませんけど。 こんな感じで、かつてないほど実践的なレクチャーがちりばめられている「HOW TO 不倫」なマンガ『フリンジマン』なのです。不倫スキャンダルで芸能ニュースをにぎわせたタレントたちも、このマンガを一読してさえいれば、あんな悲劇は起こらなかったかもしれません。……と言いたいところですが、実は不倫をネタにしたギャグマンガなので、どこまで本気にするかはアナタ次第です。 ちなみにこの「愛人教授」ですが、恋愛だけでなく仕事のほうもデキる男なのかと思えば、仕事のほうはからっきしダメで、新人レベルの間違いで上司に怒られたり、全国の愛人行脚のために長期休暇を取って同僚に迷惑をかけたりと、ダメダメ男なのです。デキる男がモテるのかと思いきや、現実は案外そういうものではないのかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『フリンジマン』(青木U平/講談社)
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「愛人の作り方、学べます!」不倫とポジティブに向き合うマンガ 『フリンジマン』
サイゾー読者の皆様、こんにちは。早くも今年の流行語大賞の有力候補に、「センテンススプリング」や「ゲス不倫」といったワードが入ってきそうな勢いを感じるほど、あの人気タレントも、あの政治家も、あの師匠も、そしてあのスポーツライターも、みんな不倫、不倫、不倫だらけの昨今。「あれ!? 日本って、一夫多妻制だったっけ?」と、勘違いするレベルですね。 「不倫=バレたら破滅」というのは散々歴史が証明しているところですが、それでも不倫がなくならないところを見ると、やはり「不倫は文化」というフレーズは正しいのでしょう。そして、マンガの世界に目を移してみると、やはり多くのマンガで不倫は背徳行為のシンボルとして扱われています。しかし、もしかしたら唯一? といっていいほどポジティブに不倫と向き合っているマンガが存在しました。その名も『フリンジマン』。これを読めば、あなたも愛人が作れるかもしれない!? 『フリンジマン』の設定をご紹介しましょう。とある雀荘で卓を囲む男4人。しかし、彼らは、卓を囲みながらもお目当ては麻雀ではなく、ほかのところにありました。そう、一度不倫をしてみたい、愛人を作ってみたい男たちの密会が行われていたのです。 卓を囲んでいたのは、同時に最高5人の愛人と付き合う「愛人教授(ラ・マン プロフェッサー)」と呼ばれる不倫のエキスパート・井伏真澄。そして、不倫に憧れる田斉、満島、安吾という、3人の迷える子羊たちです。ここで、井伏の教えを請いながらお互いの愛人作りをサポートする「愛人同盟」が結成されます。 早速、愛人教授・井伏が繰り出す、数々の不倫名言が弟子たちの不倫モチベーションを高めます。 「愛人にどう告白すべきかでしたっけ?…愚問ですね。いらないんですよ、告白なんて」 「愛人にするのは好きな女ではありません、都合の良い女です」 「感情を捨てなければ愛人関係という任務は遂行できません。マシーンになるのです」 こんな感じで、思いっきり不倫に前向きなのです。教授いわく、不倫とは「ウニを食べる」「海外旅行に行く」「グリーン車に乗る」などと同様、少し手を伸ばせば手に入る、オトナだけに許された悦楽なのであります。そう考えると、全然ゲスな行為ではないんですね。 田斉をはじめとした弟子たちの愛人作りを通して、より実践的なレクチャーへと進んでいきます。例えば、田斉は会社の新人OL、山口詠美がターゲット。愛人教授によるGPSとイヤホンを駆使した的確な遠隔指示、さらに愛人同盟の協力体制により、着実に愛人作りを遂行していきます。 ところで、愛人作りにおいてまず課題となるのは、結婚している男に一体どんな女(ヒト)が興味を持ってくれるのかということですが、そこで役に立つのが「愛人の原石の見分け方」です。 「オハヨウゴザイマスの後にアナタの名前を呼ぶ女は愛人の原石」 「曲がっているネクタイを自ら直接直しに来る女は愛人の原石」 などなど。つまり、会社で単なる「おはようございます」ではなく「おはようございます○○主任」と名前まで呼んでくれる女性、あるいは曲がったネクタイを指摘するだけでなく、わざわざ直してくれる女性は間違いなく自分に好意があり、愛人候補として大いにチャンスがある! という理屈です。なるほどなるほど、つまり不倫をしたければネクタイは曲げておくべし、ということですね。実に勉強になります。 そして、自分に好意を持ってくれる愛人の原石を見つけたら、給湯室などの2人きりになれる場所で世間話をし、擬似不倫体験を共有する……これぞまさに、明日からすぐに(愛人を)探せるテクニックです。 しかし、愛人作りのためには、注意点も数多くあります。 ・待ち合わせ場所は書店がオススメ。道端、居酒屋などは避ける ・宝飾店や指輪は2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがあるため、愛人との会話では厳禁 ・デパートの受付嬢は店舗案内…「店案」と呼ばれ、愛人にするには最も手ごわい職種のひとつ などなど。そうですか、デパートの受付嬢は手ごわいですか。覚えておいて損はない知識ですね。個人的には、役に立つ日が来るとは到底思えませんけど。 こんな感じで、かつてないほど実践的なレクチャーがちりばめられている「HOW TO 不倫」なマンガ『フリンジマン』なのです。不倫スキャンダルで芸能ニュースをにぎわせたタレントたちも、このマンガを一読してさえいれば、あんな悲劇は起こらなかったかもしれません。……と言いたいところですが、実は不倫をネタにしたギャグマンガなので、どこまで本気にするかはアナタ次第です。 ちなみにこの「愛人教授」ですが、恋愛だけでなく仕事のほうもデキる男なのかと思えば、仕事のほうはからっきしダメで、新人レベルの間違いで上司に怒られたり、全国の愛人行脚のために長期休暇を取って同僚に迷惑をかけたりと、ダメダメ男なのです。デキる男がモテるのかと思いきや、現実は案外そういうものではないのかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『フリンジマン』(青木U平/講談社)
過激発言連発!! 打ち切り&発禁になった伝説の女装男子マンガ『ストップ!!ひばりくん!』『おカマ白書』
いまテレビで一番勢いのあるバラエティタレントといえば、マツコ・デラックスですね。かつてはおすぎとピーコの独壇場であったオネエ枠ですが、今では多数のタレントがおり、エンタメの世界になくてはならない存在となっています。 こういったマスコミの取り上げ方や、コスプレイヤーが世間で認知されるようになるとともに女装のハードルも下がり、「女装男子」とか「男の娘」が普通に話題となる、いわゆる女装のカジュアル化が起こっています。 しかし1980~90年代は『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「Mr.レディー」ブームこそあったものの、まだまだ女装が何かまがまがしいものであるかのような扱いを受けていた時代です。そんな時代にあえて女装男子をテーマとした伝説的2作品を、今回はご紹介します。 ■『ストップ!!ひばりくん!』 女装男子をテーマにした作品で最も有名なものといえば、おそらく江口寿史先生の 『ストップ!!ひばりくん!』でしょう。81~83年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された後、アニメ化されてゴールデンタイムで放映されました。よくよく考えれば、これはすごいことですね。 主人公・坂本耕作は両親を亡くし、母親の知人の家に居候することになります。その知人とは、関東大空組というヤクザの組長。ですが、そこにいたのは、つばめ・つぐみ・ひばり・すずめと美人ぞろいの大空家姉妹。その中で一番の美少女・ひばりが、実は男だったのです。ヤクザの組長の息子が女装男子。しかも、とびきりの美少女という、当時としては相当のブッ飛び設定でした。 ひばりは、街を歩けば周りの注目を浴びる完璧美少女(※ただし女装)です。しかし、ひばりや耕作が通う若葉学園では、ひばりは男であることを隠して女子として通っていたため、周りの男子たちからはモテまくり、女子からは嫉妬されまくりです。さらに、ひばりをよく思わない女子たちがひばりの正体を暴こうとし始めて、そこに耕作が巻き込まれて右往左往するドタバタコメディです。 ひばりは設定こそ「男」ですが、画的に男性っぽさを感じさせる部分はほぼ皆無。実際、ひばりをかわいく描くための江口先生のこだわりがアシスタントの使用を困難にしたというエピソードもあるぐらい、少年マンガ屈指のかわいさ(だけど男)なのです。さらに、全体的にライトでポップな作風のため、「女装」のイメージが醸し出すいかがわしさとか背徳感みたいなものはありませんでした。だからこそ、ゴールデンで放送できたのでしょう。 基本的にギャグマンガなのですが、女装とかおカマをいじったネタよりも、ヤクザをネタにしたギャグのほうが過激です。ひばりの父親(大空組の組長)が、ひばりの女装姿にショックを受けて心臓発作を起こした時、覚せい剤を注射して蘇生するシーンとか……。ギャグとして描かれていますが、今のご時世なら絶対シャレになりません。 ちなみに、本作は当時から休載を繰り返していた江口先生が最終的にギブアップし、未完のまま打ち切り終了しているのですが、09年に発売された『ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション』では、掲載されなかったエピソードが加筆されて完結しています。『ストップ!!ひばりくん!』(小学館)
■『おカマ白書』 こちらは89~91年に「週刊ヤングサンデー」(小学館)誌上に連載されていた作品です。作者は『殺し屋1(イチ)』『ホムンクルス』の山本英夫先生です。いわゆる、マスコミが煽るような「おカマ」的要素をふんだんにちりばめたお下品ネタが満載で、近年のギャグマンガにはない、独特の破壊力を持っています。 主人公は岡間進也(おカマ・しんや)という大学生。いかにもな名前がナイスです。大学の飲み会の席で、イタズラで女装させられた自分の姿があまりにかわいく、自分の女装姿に惚れてしまうほどだったため、親友・田中の勧めでおカマバー「モーリス」で源氏名「キャサリン」としてバイトを始めます。そこに客として現れた女子大生・ミキちゃんが、なんとキャサリンと瓜二つのカワイコちゃん。進也は自分の女装姿にそっくりのミキちゃんに一目惚れし、キャサリンの姿でミキちゃんに接近する……という話です。 とにかく表現がお下品かつ、過激。聞いたことがない専門用語がビシバシ登場して、ノンケの読者は困惑必至です。 「ママリンの男のタイプはね…サラマンは絶対条件ね。あと乳首に毛がはえてればグッド&テイスティーね」 「いいカラダしてるわね、おじさんとビビンバしない?」 「サラマン」とか「ビビンバ」って、一体なんなの……? すごくいかがわしい感じがビンビンしますね。 作品中に出てくるおカマたちの恋愛対象は、当然ながら全員男性です。しかし、主人公の進也は女の子に近づく手段として女装を使っており、あくまでも恋愛対象は女子(ミキちゃん)なのです。 モーリスのママの、「女の子っていうのはね、男に対しての警戒心が…おカマに対してだと、ほとんど消えちゃうのヨ!!」というセリフの通り、女装効果は絶大。キャサリンに対し、親友としてすっかり心を許しているミキちゃん。しかし、キャサリンとミキちゃんの距離があまりに近くなりすぎてしまったため、岡間進也として告白ができずに思い悩むことになるのです。お下品おカマコメディである半面、「性」が複雑に交錯するセンシティブな一面ものぞかせる作品です。 この作品では「女装」も「ゲイ」も「ニューハーフ」も区別せず、一括りで「おカマ」として変態扱いされています。もちろん当時はLGBTなんて言葉も知られておらず、マスコミも含め、世間一般的にその程度の認識だったわけですが。それが、後に大騒動に発展します。 「エイズでもくれてやろうかしら!」 「カマはカマ同士仲良くやってな」 「チンポねーちゃん」 といった、数々のおカマをいじった過激な表現が、マイノリティの人たちに侮蔑的と捉えられ、抗議を受けて単行本3巻以降の発売が白紙になってしまいます。それどころか、すでに発売されている1、2巻まで書店から回収されるという異例の事態へと発展します。 最終的に、一部過激な表現が修正され、巻末には「おカマ白書における男性同性愛者の描かれ方について」という文章が「動くゲイとレズビアンの会」監修の下で挿入されてようやっと復刊されることになるのです。こういった発禁エピソードに加え、読者が誰も予想しなかったであろう衝撃のラストシーンは、『ひばりくん』とは別の意味でレジェンドと呼ばれるにふさわしい作品といえるでしょう。 というわけで、オネエタレントや女装が珍しくなくなってしまった今だからこそ、あえて読みたい伝説の女装男子マンガ2作品をご紹介しました。あなたもこれを読んだら、新しい人生の扉が開けるかもしれませんよ?(モロッコ的な意味で) (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『おカマ白書』(小学館)
壮絶! リストラ漫画家のお遍路旅『55歳の地図』で知る、四国の人のあったかさ
人が人生の岐路に立った時に選ぶ道のひとつに、「お遍路」というものがあります。いわゆる四国八十八カ所のお寺を回る、日本最大規模のスタンプラリーです。最近は旅行会社のツアーなんかもあったりして、大変人気があるようですね。 今回ご紹介するのは、お遍路をテーマにした漫画『55歳の地図』という作品。「実録!リストラ漫画家遍路旅」というサブタイトルがついており、仕事がなくなり、食えなくなってしまった漫画家、黒咲一人先生が自分探しのためにガチの「お遍路さん」をする、壮絶なドキュメント漫画なのです。 黒咲先生は2003年ごろから原稿の新規依頼が途絶え、連載していた雑誌が廃刊になったりと、漫画の仕事が徐々になくなっていきます。そして、ついに完全に廃業状態となった黒咲先生は、身辺整理を始めます。しかし、ハローワークに行っても、漫画しか描けない55歳のオッサンに職が見つかるはずもありません。 そんな黒咲先生の窮状を心配して駆けつけてきたのが、漫画家仲間のさとう輝先生。『江戸前の旬』がロングヒットしており、リストラとは無縁なお方です。さらに御大、本宮ひろ志先生も、ビルのワンフロアーをタダで貸してくれるなどと言ってくれます……。うーん、いい人たちだ。 さらに、犬漫画の帝王『銀牙』『銀牙伝説WEED』などでおなじみ高橋よしひろ先生も、「仕事を手伝わないか?」と電話をかけてきてくれました。 せっかく心配して声をかけてくれているんだから、素直に高橋先生の仕事を手伝えばいいじゃないかと思うのですが、そこはかつて自分も第一線で描いていた漫画家だというプライドがあるのでしょう。結局、自分探しの道、四国遍路の旅を選びます。 『55歳の地図』というタイトルで思い出すのが、尾崎豊の名曲「十七歳の地図」です。尾崎は「盗んだバイクで走りだす」のですが、黒咲先生の場合は「5,000円で買った中古三輪チャリ」で走りだします。これが55歳の青春なんでしょうか……。あまりの先行き不透明感で、読んでいるこっちも暗澹たる気分になります。 それにしても黒咲先生、どうも要領が悪すぎるというか、自らピンチを招き入れている感があります。出発の日は冬が差しせまる11月、どう考えても春や夏に比べて、放浪旅をするにはつらい時期です。さらに土砂降りの雨。何も、こんな日を選ばなくても……って気がしますが。しかも、運が悪いことに途中で三輪車のタイヤがパンク。 タイヤを修理するために土砂降りの中を右往左往し、予定のフェリーの時間に間に合わず……。まだ東京なのに、すでに瀕死状態です。大丈夫なのか、こんなんで。 四国へ上陸後、旅路用にホームセンターでテントを買って一国一城の主気分になるも束の間、相変わらず大ピンチです。なにしろ、総重量20キロの全財産を自転車に積んでいるため漕ぐことができず、結局、常に自転車を手押しして移動することになります。案の定、徳島で早速、死にそうになります。朝から胃袋に入れたのは、缶コーヒーとビールのみ。カロリーメイトぐらい買っておけばいいのに……。 ようやくスタート地点である、第一番札所「霊山寺」(徳島)に到着。ここでお遍路さんのコスプレ、もとい衣装に着替え、お遍路さんに変身。しかし、延々と続く山道を20キロの重量を積んだ自転車を押し続けるわけですから、相当大変です。 せっかく有り金をつぎ込んで宿に泊まっても風邪を引いてしまい、食事も取れずボロボロに。死に装束風のお遍路さんのカッコも相まって、いつ逝ってもおかしくない雰囲気です。そんな常に瀕死の黒崎先生を見るに見かねたのか、謎のオヤジが登場。 「死ぬで!!」 ハードボイルドなホームレス風のオッサンは一心さんという人で、さまよえるお遍路さんに付き添ってアドバイスしてくれる、お遍路の「先達さん」をライフワークにしている人でした。まさに、黒咲先生の命の恩人。 作品の中盤まで、ラーメンを作ってくれたり、テントを張るベストポジションを教えてくれたり、効率のよい寺の回り方などをアドバイスしてくれたり、お供え物のゲットの仕方まで、とにかく至れり尽くせりで生きる伝授してくれます。さらに、この一心さん以外にも、無料宿泊所のリストをくれる人、自転車をタダで修理してくれる自転車屋さん、自転車をタダで修理してくれた上にミカンまでくれる町工場の人、自転車を家族総出でタダで直してくれる地元の駐在さんと、四国の人あったかすぎて泣ける! そんな感じで何度も死にそうになりながら88カ所の寺を回り切り、真のゴールである高野山(和歌山)へ。その高野山が、完全に冬登山モードで遭難必至。あまりの寒さに、何度も三途の川を渡りそうになります。ゴールを目前にして息絶えるのか……というところで、間一髪。通りがかった車に乗せてもらい、なんとか高野山にたどり着くのでした。最後まで人の優しさに頼り切って、見事ゴール! 本当によかった、よかった。 冷静に考えると、数々の申し出を振り切ってまでお遍路さんに行って、自分探しはできたけど職は探せていなくて、実はなんの解決にもなってないという、元も子もないオチなのですが、結局、お遍路ネタでこの漫画が描けているのですから、これこそがまさにお遍路さんのご利益なのかもしれませんね。皆さんも人生に行き詰まったら「お遍路さん」。覚えておいて損はありません。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『55歳の地図』(黒咲一人/日本文芸社)
嗚呼、清原……『かっとばせ!キヨハラくん』で、かつてのプロ野球界のアイドルの全盛期を振り返る
ご存じの通り、清原和博が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された事件は、日本列島に衝撃を与えています。10代の若者からすれば「元野球選手かなんか知らないけど、ヤクザみたいなオジサンが逮捕されて、なんでこんな大騒ぎになってるの?」という感じかもしれません。しかし、我々アラフォー世代にとっては、清原といえば、野球に興味があるなしにかかわらず、誰でも知っている国民的大スターだったわけです。 そんな清原の全盛期の人気ぶりを象徴するのが、なんといっても、マンガ『かっとばせ!キヨハラくん』でしょう。1987年から94年まで「月刊コロコロコミック」(小学館)で、単行本にして15巻分の長期連載がなされていたのですから、当時の子どもたちへの影響力は絶大だったといえます。今でいうピカチュウ、ジバニャンと同等レベルの知名度といって差し支えないでしょう。 連載がスタートした87年ごろといえば、清原がシャブではなくホームランを打ちまくっていた時代。くしくもお笑い界では、マーシーこと田代まさしが「ギャグの王様」「ダジャレの帝王」と呼ばれてバラエティ番組を席巻し、アイドル界ではのりピーこと酒井法子が「のりピー語」をひっさげて衝撃のデビュー。歌謡界ではCHAGE and ASKAが「恋人はワイン色」「LOVE SONG」「SAY YES」を立て続けにヒットさせていました。 『かっとばせ!キヨハラくん』の主人公は、西部ライアンズの四番打者キヨハラ。第1話からファンの女の子にキャーキャー言われているシーンが、当時のアイドル的人気を物語っています。そのほかには、モリ監督、ピッチャーのクドー、イシゲ、アキヤマといったライアンズの面々や、パ・リーグ、セ・リーグの有名選手たちが登場し、毎回彼らとのドタバタギャグが繰り広げられます。内容はといえば、子どもたちが好きそうな下ネタあり、ダジャレありの、くっだらないギャグのオンパレードです。 たとえば、先発ピッチャーに悩むモリ監督が、クドーやワタナベに打診したところ拒否されてしまいます。そこで、「代わりにやりましょうか?」とキヨハラ。おもむろにモリ監督の頭をシャンプーしだします。「洗髪=センパツ」というわけです。 ほかにも、モリ監督が出したスクイズのサインを見てウグイスと間違えて「ホーホケキョ」と言ってみたり……。クドーの投げた牽制球がキヨハラの股間に当たり、チ●チンが膨れ上がったり……。いかにも小学生が大好きそうなギャグなのですが、大人が読んでも十分笑えるクオリティです。 そしてなんといっても、学生時代からのライバルである東京カイアンツのクワタの存在が作品の面白さを際立たせています。天然ボケで肉体派のキヨハラと、根暗でネガティブなクワタの掛け合いがバツグンに面白いのです。 クワタのキャラクターはかなりエキセントリックで、五寸釘を藁人形に打ち込んだり、いつもブツブツ言ってる不気味なキャラで、助っ人外国人や審判に変装したり、時にはウグイス嬢に女装するなど、ありとあらゆる手段でキヨハラの練習や試合を妨害します。主役のキヨハラを食うレベルの活躍で、作品中で『がんばれ!クワタくん』というスピンオフ作品を生んだほどでした。 このように、子ども向けギャグマンガの王道を行く『かっとばせ!キヨハラくん』でしたが94年に一旦終了。その後は、松井秀喜をモデルとした後継作品『ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん』がしばらく連載されます。しかし、2003年に松井が大リーグ入りしたタイミングで、巨人に移籍した清原がモデルの『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』が開始されます。 ……しかし、この『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』がエライことになっていました。タイトルの通り、番長キャラに変貌した主人公キヨハラ。モトキをはじめとした舎弟たちを引き連れ、丸刈り、関西弁、目は据わっており、やたら裸になって筋肉を誇示します。ハラ監督やヨシノブ(高橋由伸)をはじめとした気の弱そうなキャラクターたちを恫喝して笑いを取るギャグが多く、『かっとばせ!』時代とは完全に別のキャラクターとなっているのです。ある意味、リアルさを追求した結果といえなくもないですが、これはこれでちゃんと笑えるギャグになっているところが、作者・河合じゅんじ先生の職人技なのかもしれません。 まるで何かのクスリをやっているのではないかと思うほどのキャラの変貌ぶりで、バイオレントに暴れまくるキヨハラですが、ここでもクワタが、暴走するキヨハラのストッパー役として登場。2人の掛け合いで、見事にギャグが成立しています。まるで長年連れ添った夫婦のようなコンビネーション。光と影、陰と陽。やはり、この2人は切っても切れない関係なのです。リアルの清原も、釈放されてイチから人生をやり直すとしたら、やっぱり一番頼りになる存在は桑田なのかもしれませんね。 ちなみに、14年から刊行されている大人版のコロコロコミックである「コロコロアニキ」では、番長時代ではないほうのマンガ『かっとばせ!キヨハラくん』が復活し、好評連載されていました。そして今回の事件を受けてその存続が心配されていましたが、残念ながら「諸般の事情」により休載が発表されています。一応「休載」ですから、いつの日か復活するかも……。そんなわずかな望みにかけて、再開を待ちたいと思います。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『かっとばせ!キヨハラくん』、『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』(小学館)
ダメ。ゼッタイ。 怖すぎドラッグマンガ 『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』
リスクをお忘れだ! 快楽だけじゃ、都合良すぎるぜ!! かねて薬物使用のウワサがあったプロ野球界の大物OBが、ホームランだけでなくクスリも打っていたということで、ついに逮捕されました。一昨年は、同じく覚せい剤所持容疑で逮捕された大物ミュージシャンが、供述で「SAY YES!」と言ったとか言わないとか(たぶん言ってない)という話もありましたし、危険ドラッグの影響と思われる交通事故も多数発生しましたね。 ということで、ドラッグの恐ろしさをあらためて皆さんと共有すべく、世にも恐ろしいドラッグがテーマのマンガをご紹介いたします。その名も『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』。やだ……タイトルがすでに怖い! 本作はそのタイトルの通り、麻薬撲滅のために闘う男が主人公です。主人公、財前要は、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の麻薬取締官。いわゆる麻薬Gメンとか、マトリと呼ばれる人です。麻薬捜査官は警察ではないんですが、逮捕権や拳銃の所持も認められているんですね。 財前は、単なるマトリの捜査官とは比較にならないほど、尋常じゃないドラッグへの憎悪を燃やしています。それもそのはず、自分自身が過去に捜査中にハメられてシャブを大量に投与されてしまい、生死をさまようことに。10年以上たった今も、後遺症で恐ろしいフラッシュバック(幻覚症状)に悩まされているのです。主人公の麻薬捜査官が元シャブ中……とんでもなく、ダークなマンガです。まさに、エンドレス・ドラッグ・ウォーズ。 作中で表現されているフラッシュバックのシーンが、またヤバいです。体中の至るところを虫が這い回ったり、時には人の顔が歪んだり、目が3つになったり……。財前は、自分の身にフラッシュバックが起こると、正気を保つために、ある行為に出ます。 それは、サックスを思いっきり吹くこと! そのため財前は、捜査中でも常にサックスをケースごと持ち歩いています。どう考えても捜査のジャマだろうと思うところですが、ジャンキーに襲われた時にサックスのケースで思いっきりブン殴るなど、武器としても役に立ちます。 その財前の宿敵が、関東仙石会幹部ヤンマ組組長である鬼山丈。通称、鬼ヤンマ。街をシャブで埋め尽くし、日本の麻薬王になる! と息巻く武闘派ヤクザです。鬼ヤンマの覚せい剤への入れ込みようはハンパではなく、言ってることもやってることもムチャクチャ。とんでもなくクレイジーな男で、もちろん自分自身もシャブを打つという筋金入りのジャンキーです。この鬼ヤンマの、シャブ中名言がスゴいです。 「シャブは基本的に無害なんだよ!」 「ヴーーーーーッ 来た来た来たあ 上がって来たぞォ」 「シャブは最高の貿易だ!! 広告も宣伝もいらなけりゃ、ジャロに苦情も来ねえ」 「オレにはシャブは現実(リアル)へのパスポートだ!」 こんなヤバいやつですので、怒らせると世にも恐ろしい拷問が待っています。それが「眼球シャブ注射」です。ギャーーー! ダメ! ゼッタイ!! そして、こういうマンガですから、麻薬にハマって人生が崩壊する悲惨な人たちがワンサカ登場します。いくつかご紹介していきましょう。 大手広告代理店にお勤めの城野チーフ、プレゼン絶不調で、もう3日寝ていない状況です。そしてフラフラと、飯も食わずにトイレに行ってしまいました。しかし、トイレに行った後の彼は全然違いました! シャッキーン! 別人のような輝き!! 劇的ビフォーアフター。 「ホラ、メシなんか食ってないでガンガンいくぞ」 3日間不眠不休の男が、数分で見違えるほどに元気になるとは……。シャブの効果恐るべし。 しかし、コトがバレれば、もちろん会社はクビです。あとは転落するのみ。これからが本当の地獄の始まりなのです。仕事のために頑張っても、全然報われません。 若者向けドラッグといわれているMDMA(通称エクスタシー)も出てきます。しかも、舞台は高校の学校内です。最初は離婚の寂しさを紛らわすために使っていた体育教師から、女子高生……そして、男子高生へと段階的に波及していきます。こんな広がり方もあるのか。身近なだけに、恐ろしいですね。 MDMAは覚せい剤ほど強烈ではありませんが、本人が感じてなくても異常に発汗していたり、少しずつ異常な行動が増えていくようです。そして最悪なパターンは、ウワサによく聞く、いわゆる「アイ・キャン・フライ」です。 高校生が給水塔からダイブして、死亡。本人が飛べると思っちゃってるんだから、助かりようがないですよね。この男子生徒が大物政治家の息子だったため、マスコミや政界を巻き込んだ大問題に発展していきます。こんな感じで、基本的にいろいろなクズ野郎が出てくるマンガではあるのですが、この作品の中でも最凶最悪なクズ・オブ・クズで、キング・クズなキャラクターがいます。それが、御手洗光司という男。 麻薬中毒患者の更生施設「メシア」を運営し、何人も麻薬中毒から立ち直らせた人格者。しかし、実はこの男自身がいつのまにか覚せい剤にハマり、ジャンキーになってしまっていたのです。ミイラ取りがミイラにとは、まさにこのことです。 幼い一人娘に飲ませるフルーツミックスジュースも、なんとシャブ入り。おかげで、8歳にして娘もジャンキーです。いかにこの男が、キング・クズであるか伝わりましたでしょうか。 「キャハハハハハ 気持ちいーィ」 めちゃくちゃ楽しそうにブランコに乗る娘。そんな気持ちいいブランコ、おかしいから!! 実は、若かりし頃の財前をシャブ中にしたのも、この御手洗です。ウワサを聞いて内偵していた財前に一服盛って、財前に致死量寸前のシャブを投与したのでした。 ……というわけで、エンドレスで危ないドラッグマンガ『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 気の利いたキャッチコピーで「ダメ。ゼッタイ。」を連呼するよりも、一発こういう超おっかないマンガを読ませたほうが、よっぽど抑止効果があるような気がします。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』
“SMAPタブー”に触れて打ち切り!? 伝説のパロディマンガ『平成義民伝説 代表人』
ここ数日、世間はすっかりSMAP騒動一色。多くのマスコミにとって、SMAPやその他のジャニタレのスキャンダルを報じることはタブーであるというのは小学生でも知っている一般常識ですが、マンガの世界ではどうだったのでしょうか? 実は、ジャニーズをイジったマンガとしては、90年代にオッサンが美少年たちを次々と手込めにするホモネタを描いた4コママンガの怪作『ジャニーさん』(データハウス)という作品が存在しましたが、残念ながら、これはあまり一般には知られていません。 しかしその後、2002年にメジャー誌である「週刊少年マガジン」(講談社)で、堂々とSMAPをイジリ倒すという、神をも恐れない所業のマンガが連載されました。その名も『平成義民伝説 代表人』。『幕張』(ジャンプ・コミックス)、『喧嘩商売』(ヤンマガKCスペシャル)などの代表作を持つ木多康昭先生の作品で、単行本が2巻まで刊行されています。 もともと木多先生は、芸能・時事ネタを絡めたブラックジョークや、漫画界の暴露ネタを披露する作風で、発表される作品はことごとく問題作なのですが、かつて誰も触れることのなかった“SMAPタブー”に触れまくっている、この『平成義民伝説 代表人』こそが、木多作品の中で最もデンジャラスな存在といえます。では、一体どんな作品だったのでしょうか? 作品の冒頭は、こんなプロローグから始まります。 「皆様は覚えているだろうか!!? 今や芸能界の頂点に君臨しているIGARASHIが6人組だったことを!!」 「子供の頃からの夢、宇宙飛行士になるためにトップアイドルを辞めた米良君を!!!」 ……どこかで聞いたことがあるエピソードですね。そう、「IGARASHI」は嵐……の兄貴分「SMAP」に、「米良君」は「森君」(め→も、ら→り)と読み替えると、あることに気がつきます。これは、かつてSMAPに所属し、1996年にオートレース選手となるために脱退した6人目のメンバー、森且行の境遇によく似ているのではないかと。本作品はそんな元アイドル森且行……もとい米良勝男(めら・かつお)君が主人公の物語なのです。 ちなみに、国民的アイドルグループ「IGARASHI」の残る5人のメンバーはというと……。 ●小紫太郎(こむらさき・たろう)……愛称はコム太君。メンバーNo.1のイケメンで、SMAPでいうとキムタク的な存在です。 ●大井健次郎(おおい・けんじろう)……IGARASHIのリーダー。大井→中井→中居……ということで、中居君的ポジションと思われます。 ●六角武(ろっかく・たけし)……顔がホームベースのように六角形に角張っているが、性格は「良い人」。もちろん、草なぎ君でしょう。 ●菅野隊員(かんの・たいいん)……過去にトラブルを起こして謹慎していたが、復帰した過去を持つ。昔、菅野美穂と付き合っていた稲垣君に相当? ●ドク・サバラス……なぜか、メンバー唯一の外国人名。そういえば香取君が、『ドク』というフジテレビ系ドラマで主演していましたね。 という感じになっております。この時点で、固有名詞を巧みにカモフラージュしているようで全然隠しきれていない、かなり危険な作品であることはおわかりいただけると思います。 ストーリーはこんな感じです。人気絶頂から一気に転落した「ホタル源氏」のようになりたくないと、「IGARASHI」を脱退し、宇宙飛行士を目指すことになった米良君。「IGARASHI」を辞めたせいで彼女にフラれたりと散々でしたが、いつか見返してやるとばかりに、めげずに宇宙飛行士の訓練を続けます。しかし、ある日の訓練中、テレビをつけるとこんなニュースが……。 「今回、IGARASHIが日本製のスペースシャトルのパイロットに選ばれたことを発表します!!」 なんと、訓練など一切なしで、米良君より先にあっさりスペースシャトルに搭乗する権利を得てしまったIGARASHIメンバー。さらに、インタビューでリーダーの大井君が衝撃の発言。 「米良? もともとIGARASHIは5人組ですが?」 完全に存在をなかったことにされています。 怒り狂った森君……もとい米良君は、SMAP……もといIGARASHIのメンバーが搭乗するスペースシャトルに日本刀を持って忍び込み、ハイジャックならぬスペースジャックを行います。そして、スペースシャトル内は生き残るためにメンバー同士が殺し合う、バトルロワイヤル状態になっていきます。相当ムチャクチャなストーリーですね。 そう、ストーリー自体はハナから破綻しており、いかに作品中にブラックジョークをブチ込むかという一点に注がれたような作品なのです。 「IGARASHIのSはスポーツのSだ!」というセリフがあったり、菅野隊員が不祥事を起こした時の謝罪会見のシーンが描かれたり、六角の顔を引き合いに出して「人は、このような骨格を愛することはできない」って言ってみたり、「元ホタル源氏の星川君」なる人物が登場したり……明らかに、SMAPやジャニーズを小バカにする、センスあふれるパロディが満載です。 ただし、単行本2巻以降は「大人の事情」により、IGARASHIメンバーの登場回数が激減。SMAPと全然関係ない芸能ネタやほかの漫画家に対する愚痴(『GTO』藤沢とおる先生の休載が多すぎるとか)、マガジン編集部の暴露ネタだらけのマンガとなり、当初のコンセプトとは完全に別物になってしまいます。 そして、最後は作者の木多先生がなぜか訴訟を起こされ、裁判所に出頭するシーンが描かれます。そして、打ち切り同然で終了してしまうという謎のオチ。まあ、こんな内容の作品ですから、当然といえば当然なのかもしれませんが。 とにかく、ほぼ全編にわたってちりばめられているパロディの元ネタを調べて、ニヤニヤしながら読むというのがこの作品の正しい楽しみ方であり、何よりもマンガ界で唯一、SMAPをバカにした「世界に一つだけのあだ花」であるという意味で、歴史的意義のあるマンガといえるでしょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『平成義民伝説 代表人』(講談社)
“ダサイタマ”をメッタ斬り!! 伝説の埼玉ディスマンガ『翔んで埼玉』
皆さんは、埼玉県について、どのような印象をお持ちでしょうか? 僕のようなサラリーマンですと、都心へのアクセスもよく、お手頃な物件がある住みやすい県、という印象です。結構レジャーも充実してますし、ハマっ子神奈川や、ディズニー千葉と比べて気取った感じがしないところも好印象です。 そんな素晴らしい彩の国・埼玉県にお住まいの皆様に、本日は大変うれしくないマンガをご紹介したいと思います。いや、むしろここから先は読まないほうがいいかもしれません。これを読んでしまったら、あなたは絶望のあまり埼玉県から引っ越してしまいたくなるかもしれない、そんな恐るべき埼玉県の真実を描いた作品『翔んで埼玉』(宝島社)をご紹介しましょう。 『翔んで埼玉』は、もともとは『パタリロ!』を生んだ巨匠、魔夜峰央先生の短編集『やおい君の日常的でない生活』(白泉社)に収録されている作品でした。連載が増え、上京しようと考えていた魔夜先生が、「花とゆめ」(同)の編集長の勧めで新潟県から埼玉県の所沢市に引っ越したところ、それが実は恐ろしいワナで、所沢には編集長と編集部長が住んでおり、精神的に完全に勾留状態だった……という極限のストレスから生まれた作品なのです。なるほど、埼玉でそんなにひどい目に遭ったから、このような作品を。おいたわしや……。 あまりに過激な内容で、発表当時から賛否を呼んだ本作ですが、昨年11月に『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で紹介されるや否や、ネット上を中心に話題沸騰。ついには、宝島社より、単行本として復刊されるに至ったのです。 舞台は、埼玉県民が徹底的に迫害される都市、東京。主人公は、都内の名門校白鵬堂学院に転校してきたアメリカ帰りの美少年、麻実麗(あさみ・れい)。容姿端麗、スポーツ万能の秀才である麗は、学校でも一躍注目の存在になるのですが、実は、本名を西園寺麗といい、所沢生まれで、アメリカに留学後、麻実家の養子になるという徹底的な出身地ロンダリングを経て入学していたのでした。 しかし、東京での埼玉県民のひどい仕打ちに、麗の所沢出身者としての怒りが爆発。埼玉県民の権利を取り戻すためのレジスタンス、「埼玉県解放連盟」のリーダーとして活動することになるのでした。 ……さて、ストーリーがざっくりわかったところで、この漫画の肝である、悲惨な埼玉差別ネタをいくつかご紹介していきましょう。 「最近やっと電気が通うようになった、まだテレビは珍しい」 「県知事に年貢を納めている」 「埼玉から東京に行くには通行手形が必要」 「埼玉にタクシーはない、あるのは牛車か馬車のみ」 などなどは、まだ序の口。 「三越は東京都民の行く所だ! 埼玉県民は星友(せいゆう)へ行け!」 なんと、埼玉県民は三越へ行くのも禁止のようです でも、星友(西友?)はOKって……。 埼玉県民への侮辱は、まだまだ続きます。麗の転校先では、父親の仕事の関係などで今は都内に住んでいる元埼玉県民の生徒は皆、Z組に集められ、学内でのけ者にされる始末。制服はなんと、モンペにゲートル、地下足袋です。 麗に学内を案内する役を買って出た女生徒は、 「だめよ!あんな物(Z組)なんて見ちゃ目がけがれるわ!」 「ああ、いやだ、埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」 学校で急に腹痛を訴える生徒に、学園の自治会長は、 「医務室を利用できるのは東京都民だけだ 出て行け!」 「そこらへんの草でも食わせておけ! 埼玉県民ならそれで治る!」 草食うだけで治すって、ドラクエ並みの薬草の効能ですね。 さらに東京のレストランは、どうやら都民向けのメニューと埼玉県民向けのメニューに分けられているようです。 都民用は、和風ステーキ、ヒレカツ定食、刺身定食、うな重といったメニューがずらりと並ぶのに対し、埼玉県民用は「残飯定食」「サンマの骨定食」「下水ライス」「犬のよだれご飯」……といった、見るからに吐き気をもよおすメニューばかり。 魔夜先生はいったい、所沢でどんなひどい目に遭ったんでしょうか……。 こんな感じで、散々な扱いを受けてきた埼玉県民の皆様のダメージは計り知れないことと思いますが、他県民だって油断してはいけません。実は、作品中で埼玉よりもひどい扱いを受けている県がひとつだけ存在するのです。それは、「気の弱い女性は、その地名を聞いただけで卒倒してしまう」という茨城県です。 「茨城では納豆しか産出しないから貧乏」 「茨城の原住民の食事は一日一回、水と納豆のみ」 「若者の夢は、白米にしょうゆをかけて食べること」 などなど、ボロクソです。 というわけで、埼玉県だけでなく、茨城県も巻き込んでエライことになっている悪夢のケンミンSHOW『翔んで埼玉』、いかがだったでしょうか? 実はこの作品、3話目の中途半端なところでストーリーが中断しています。その理由がなんと、魔夜先生が「横浜に引っ越し、悪口を書きづらくなったから」だそうです……。ちなみに関連作品として、『パタリロ』で、“日本のノースダコタ”こと千葉県をディスっている話もあるので、埼玉・茨城ディスだけでは飽き足らない皆さんには一読をお勧めします(http://blog.livedoor.jp/textsite/archives/55417447.html)。 レビューしておいてなんですが、この作品が広く知られることで、埼玉県(と茨城県)の人口がごっそり減らないことを祈るばかりです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『翔んで埼玉』(宝島社)
80年代エッチマンガのレジェンド後編『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』
『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』……1980年代に少年誌に連載され、少年達の股間を熱くした伝説のエッチマンガ4作品。前回(参照記事)はそのうちパイオニア的存在の2作品『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』をご紹介しました。 今回は、レジェンドエッチマンガ紹介の後編として、前2作品よりさらにエッジが利いている2作品、『やるっきゃ騎士』と『いけない!ルナ先生』をご紹介します。 『やるっきゃ騎士』(集英社)の作者は、みやすのんき先生。青年誌では『冒険してもいい頃』『AVない奴ら』などのエッチなマンガも描かれていますが、メジャー誌でのデビュー作は本作です。 『やるっきゃ騎士』がほかの3作品と違うのは、掲載誌が「月刊少年ジャンプ」(集英社)だったことです。『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』により、エッチな少年マンガ誌としての確固たる地位を築いていた「月刊少年マガジン」(講談社)に対し、このジャンルで後塵を拝していた「月刊少年ジャンプ」がエッチマンガの起爆剤として送り込んだ刺客が『やるっきゃ騎士』だったというわけです。 当時の多くのエッチマンガが1話完結型になっていたのに対し、『やるっきゃ騎士』の場合は複数話にまたがるストーリー仕立てが中心となっています。キャットファイト的なバトルマンガ色が強いのも特徴です。 そして、なんといってもこの作品の魅力は、学園を仕切る気高い女リーダー・美崎静香を、主人公・誠豪介をはじめとしたスケベな男子キャラクターたちが陵辱するシーン。手がつけられないほど気が強い女の子を、すっぽんぽんにして手込めにする……男子の思い描く願望のひとつが、この作品でかなえられているのです。 みやす先生の描くプルンとした体つきの美少女と背徳的なストーリーの絶妙なバランスが、大ヒットの要因だったと分析するわけですが、個人的に衝撃的だったのは、静香ちゃんがパンツを脱がされ、股間があらわになったシーン。なんと、股間部分が真っ白でした。男子が一番気になる女の子のアソコの部分が、実は真っ白だったことは当時の僕にとってかなりのトラウマでした。まあリアルに描いちゃうと少年誌に掲載できないわけですから、当然といえば当然なのですが……。 エッチマンガ“ファンタスティック・フォー”最後の刺客は、86年から「月刊少年マガジン」に連載された、上村純子先生の『いけない!ルナ先生』(講談社)です。 主人公は、勉強が大嫌いなダメ中学生の神谷わたる。わたるは幼い頃に母を亡くしており、さらに父親が海外に転勤することになったため、わたるの勉強や身の回りの世話まですべてやってくれる美人女子大生・葉月ルナ先生が住み込みでやって来ることになったのです。そして、夜な夜なムチムチプリンなボディを装備したルナ先生による手取り足取りおっぱい取りな過激なレッスンが行われる……そんな作品です。 イ 住み込みで身の回りの世話までする人を先生と呼ぶのが適切かどうかはともかく、これは男子にとっては理想的すぎるシチュエーションですよね。まさに、究極の女教師エロス。これでエッチな妄想をするなという方が無理というものです。まあ、現実にこんなことが起こる確率は宝くじよりも低そうですけど。 『いけない!ルナ先生』は、考えようによっては若者の持つリビドーを偏差値アップに変換するための巧妙に計算された学習メソッドが紹介されている、歴史的に見ても大変意義深いマンガであるといえます。すなわち、ルナ先生=学習マンガ、とすら言えるのです。では、具体的にはどのようなレッスンが行われていたのか、ご紹介しましょう。 テスト0点→落第→退学→人生の落伍者→孤独な人生→自殺 「たっ大変~! わたしがなんとかしなくっちゃ」 というルナ先生の意味不明な思考回路によりレッスンが開始されます。 ・数学の授業では分数の問題を出題。分母がパンティで分子がブラジャー、答えはパンティの中に書かれている。 ・物理の授業では、穴あき磁石をルナ先生の乳首に装着。おっぱいをくっつけたり離したりして、N極とS極の勉強。 ・体育の授業では風呂場で野球の特訓。紙の下着をつけたルナ先生に向かって、濡れたスポンジボールを投げます。ちなみに左のブラがアウトコース高め、右のブラがインコース高め、そしてパンティが真ん中低めです。 ・家庭科の授業では、エビフライを揚げる練習。エビになるのは、もちろんルナ先生。セリフは「うふ、じょうずにむいてね」。 などなど。驚いたことに、ルナ先生ひとりで数学から体育まで全科目を担当するという多才さを発揮しています。しかも、すべての授業で男子がやる気を出さざるを得ないエッチな創意工夫が満載。ルナ先生はある意味、究極の教師だったのです。 というわけで、1980年代の見えそうで見えない、やってそうでやってない寸止めエッチな少年マンガの代表作をご紹介しました。当時はそのほかにも、井沢まさみ先生の『どっきんロリポップ』、川原正敏先生の『パラダイス学園』、小原宗夫先生の『瞳ダイアリー』などもあり、巨人のV9時代に匹敵するエッチマンガの層の厚さだったといえます。まさに、エッチマンガが栄華を誇った素晴らしき黄金時代だったのです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) ※「月刊サイゾー1月号」でも、「マンガのマル禁事情」という特集で80年代エッチマンガを紹介しています。左『いけない!ルナ先生』(上村純子/講談社)、右『やるっきゃ騎士』(みやすのんき/集英社)
80年代エッチマンガのレジェンド前編『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』
『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』……1980年代に少年誌に連載され、少年たちの股間を熱くした伝説のエッチマンガ4作品。日刊サイゾー読者の中にも、お世話になった人がいるんじゃないでしょうか。僕はこの4作品を80年代エッチマンガの“ファンタスティック・フォー”と勝手に命名しているわけですが、今回はそのうち『Oh!透明人間』と『ハートキャッチいずみちゃん』について、どんな作品だったっけ? と皆さんに思い出していただくべく、ご紹介します。 『Oh!透明人間』(講談社)の作者は中西やすひろ先生。中西先生のその他の代表作としては『温泉へゆこう!』『めぐり愛ハウス』などがありますが、圧倒的知名度を持つ作品といえば、やはりこの『Oh!透明人間』をおいてほかにありません。 もし、男の子が透明人間になる能力を持っていたとしたら……。とりあえず、女子更衣室とか女風呂に潜入するに決まってますよね。そんな健全な男子の願望をダイレクトにかなえたエッチなマンガ……これはヒットしないはずがありません。実際、本作品は当時の「月刊少年マガジン」(講談社)の部数を爆発的に底上げした立役者でもありました。 作品の設定は、女だらけの家に居候する高校生の主人公、荒方透瑠(あらかたとおる)が、イクラを食べると透明になれるという超能力をフル活用し、ヒロインの良江ちゃんをはじめとした女子たちにエッチないたずらをしまくるというドタバタラブコメディです。透瑠という、いかにも透けそうな名前もナイスですよね。 しかし、この透明人間には、興奮すると元に戻ってしまうという致命的な弱点があります。あまりにハイリスクハイリターンな能力。しかし男子たるもの、そんな危険を冒してでも女風呂がのぞきたいもの。この男子が持つピュアなリビドーこそが、『Oh!透明人間』という作品のパワーの源なのです。 やはり特筆すべきは、透明人間だからこそ実現可能な、伝説のエッチシーンの数々。女子更衣室、女風呂に潜入するのは日常茶飯事として……。 ・日焼けマシーンの中に侵入し、素っ裸でいたずらする ・獅子舞の中に潜り込んで、おっぱいを触りまくる ・コインランドリーの中に閉じ込められた状態でグルングルン回る などなど、ハイレベルすぎるシチュエーションも登場。長期連載作品だけあって、エッチなシーンのインフレが半端じゃありません。 作品後半では、ヒロインの良江ちゃんが強盗に襲われる、吊り橋が崩落する、ロープウェイのゴンドラが墜落するなど、さまざまなトラブルに遭遇。透明になった透瑠君による『ダイ・ハード』顔負けの救出劇があるのですが、ここで手を放したら落ちる! という状況にありながら、「これはパンツを脱がすチャンス!」という衝動が抑えられず、「脱がす→手が離れる→落ちる」といった様式美が展開されます。自分の命よりもエロを優先する透瑠君の姿勢は、今どきの草食系男子にぜひ見習ってほしいハングリーさです。 『ハートキャッチ』(講談社)といえば、平成女子にとってはプリキュアですが、昭和男子にとっては遠山光先生の『ハートキャッチいずみちゃん』ですよね。『Oh!透明人間』と共に、80年代の「月刊少年マガジン」を盛り立てた作品で、主人公の原田いずみと幼なじみのエッチな男子・明智菊丸を中心としたドタバタラブコメディです。 ヒロインのいずみちゃんは、人の心が読めるというエッチマンガとしては反則すぎる超能力を持っており、いずみちゃんにエッチなことをしようとするスケベな男子たちは最後の最後に超能力で心を読まれ、ことごとく寸止めで涙をのむのです。 『いずみちゃん』の特徴は、エロ男子・菊丸による趣向を凝らしたオールラウンドな女体いじりで、エッチなシチュエーションのバラエティの多彩さはある意味、『Oh!透明人間』をも凌いでいるといえます。具体例を挙げると、 ・女体をゴルフコースに見立てて、グリーン、バンカー、池などを設置する「女体ゴルフコース」 ・車のフロントガラスに張り付いたおっぱいがワイパーで左右に揺らされる「おっぱいワイパー」 ・乳首に針をつけて壁にはめ込こんだ「おっぱい壁時計」 ・数珠つなぎになった豆電球で大事なところを隠す「豆電球水着」 ・股間と股間の間に張り付いた餅をはがそうとして、押したり引いたりしている間に餅がつきあがる「股間餅つき」 などなど、思春期男子にとっては神シチュエーションのオンパレード。とにかく女体のエロ表現に対する情熱は、計り知れません。 ちなみに遠山先生の代表作としては、犯人が近くにいると乳首がピキューンと立つ女刑事のマンガ『胸キュン刑事』もあります。乳首を使って犯人解決という設定は画期的すぎて、特許申請してもいいレベルです。 こうやって紹介してみると、今だったらわりとシャレになってないような過激なシーンがてんこ盛りなわけですが、80年代少年マンガにおいてはエロ描写の免罪符となる重要なキーワードがありました。それは「寸止め」。少年誌においては、裸は出てくるけど性行為シーンはない、女性器は描かないといった「寸止め」が鉄則なのです。『Oh!透明人間』における興奮すると元に戻るギミックや、『ハートキャッチいずみちゃん』のスケベ心が読めてしまう超能力などの設定が、ここで効いているのです。 作品を読めば、絶対に見えてなきゃおかしい女性の股間部分が、他のキャラの頭や、お風呂の泡、お尻側からのアングルなどで巧みにカバーリングされていることがわかると思います。少年エッチマンガの巨匠は「股間隠しの匠」といっても、決して過言ではなかったのです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) ※「月刊サイゾー1月号」でも、「マンガのマル禁事情」という特集で80年代エッチマンガを紹介しています。左『Oh!透明人間』(中西やすひろ/講談社)、右『ハートキャッチいずみちゃん』(遠山光/講談社)









