DJ KOOの面白さを見事に引き出す、関ジャニ・横山裕 『ヒルナンデス!』(10月16日放送)を徹底検証!

yokoyamayuu1026.jpg  ふと気付くと、あるタレントがテレビに出ずっぱりになっている、という現象がまれに起こる。半年前まではテレビで見る機会がほとんどなかったタレントなのに、ある日突然、テレビで見ない日はないというほど露出している。DJ KOOは、まさにその最たるものだ。これほどまでに、さまざまな番組に出演している自分の姿を、おそらく半年前のDJ KOOは想像さえしていなかっただろう。    ここで言いたいのは別に、テレビ制作者は創造性に欠けているため売れているタレントを取りあえずブッキングする、ということではない。そうではなく、テレビ番組はその本質として、番組自体がタレントの取扱説明書になるのだ。原則としてテレビ番組は、収録した素材の中から面白い部分だけを抽出して放送する。そのため、このタレントはこう調理すれば面白くなるのだということが認知され、それはテレビ業界にとっての常識となる。そしてそのタレントは、さまざまな番組に呼ばれることになる。一般的に、タレントが売れる、というのは、このようなプロセスを踏む。  それでは、DJ KOOの取扱説明書とはどういったものか? 一言で表すなら、「キャリアのある年輩のカリスマDJだけど、実は残念な人」ということになるだろう。実際に、今回の検証のために日本テレビ『ヒルナンデス!』(10月16日放送)、フジテレビ『ライオンのごきげんよう』(10月22日放送)、日本テレビ『ダウンタウンDX』(10月23日放送)を確認したが、DJ KOOの紹介として必ず、「カリスマDJ」という肩書と、「53歳」という年齢が紹介される。これが言わばフリとなる形で、それなのに実際は残念な人間である、というオチが強調される。  この取扱説明書に応じる場合、DJ KOOのタレントとしての面白さを引き出すためには、客観的にDJ KOOを見ながらその残念さを紹介する、あるいはさらなる面白さを引き出すことのできる、実力のある人間がそばに必要となる。『ヒルナンデス!』においては、関ジャニ∞の横山裕がその役割を見事に務め、バラエティ能力の高さを見せつけた。  「100円で乗れるミニバスで東京散策」という、言ってみればありがちというか、フォーマットとしては既視感のあるコーナーだが、そこにDJ KOOという異物を投入する。その異物感を、横山裕は抜群のバランスで紹介し、DJ KOOの手綱を握る。DJ KOOが和菓子屋のレポートをするのをモニタリングしながら的確なツッコミを入れ、食レポの感想の際はDJ KOOに「DJ風に言うとしたら、なんですか?」と笑いどころを用意し、「マジハンパカナイス!」という名言を引き出す。このバランス感覚は、さすがとしか言い様がない。  そして、この番組の中で横山裕はDJ KOOに対して「バラエティの型を破ってくれて感謝してますよ」と述べている。これはまさに、バラエティ番組の本質を、あるいはDJ KOOになぜこれほどまでの需要があるかを感覚的に理解していないと出てこない言葉だ。バラエティは、ただ破壊すればいいというものではない。出来上がったものを破壊するからこそ、バラエティは番組として成立する。たとえば「100円で乗れるミニバスで東京散策」というコーナーは、以下のような過程を経ている。 (a)コーナーのフォーマットとしては特に斬新ではなく、既視感のあるもの (b)既視感のあるコーナーにDJ KOOという異物を投入する (c)DJ KOOは異物ではあるが、「53歳のカリスマDJ」というしっかりしたバックボーンを持っている (d)「53歳のカリスマDJ」というバックボーンを裏切るようなDJ KOOの残念さを、横山裕が視聴者に呈示する  視聴者として印象に残るのは(b)と(d)だが、それをしっかりと見せるためには(a)と(c)が必要となる。横山裕はそれを理解した上で、自分が前に出ることなく、そして(a)と(c)の土台を壊さぬようにバランスを取りながら、コーナーを成立させている。であるからこそ、このコーナーにはDJ KOOだけでなく、横山裕が必要なのだ。  今後もDJ KOOはテレビに出演し続けるのか? それは間違いなく、横山裕のような「相方」を各番組で見つけられるかによるだろう。53歳のカリスマDJに、素敵な出会いが訪れることを願ってやまない。 【検証結果】  今回『ヒルナンデス!』における横山裕の仕事ぶりについて取り上げたが、以上のことをスタッフサイドも理解しているというのが『ヒルナンデス!』のすごさだ。番組としての「名物」を作り、それをなるべく大事にする。DJ KOOの面白さを使い捨てにせず、その取扱説明書を上書きしようとする精神もある。『ヒルナンデス!』が放送をスタートして3年半。密かに、だがしっかりと、長寿番組への道を歩いている。 (文=相沢直) ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa