13日に放送されたTBS『キングオブコント2014』の平均視聴率が8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、過去最低を記録した。 「視聴率は右肩下がりですね。昨年初めて2ケタを割ったのですが、この流れはしばらく続きそうです。本当に“お笑い冬の時代”ですね」(TBS関係者) 実際、7代目王者となったお笑いコンビ・シソンヌの露出も、これまでの王者たちと比べると明らかに少ない。 「たぶん、顔と名前が一致する人は少ないでしょう。今は、ネタ見せ番組はほとんどないですし、基本的に“売れてる芸人のトーク番組”ばかり。そのため吉本でも、『レッドカーペット』組のフルーツポンチやしずる、はんにゃなど中堅芸人の仕事がなく、ほとんど地方のイベント周りだそうです。ギャラは相変わらず高く、平成ノブシコブシクラスで1本100万円ほど。あくまで本人に入るのは、10万円程度だそうですが(苦笑)。ただそれも、在京事務所の芸人に押されて、危うくなっているとか」(芸能事務所関係者) 日本一の称号を手にした彼らを今後、ゴールデンで見ることはあるのだろうか――。吉本興業公式サイトより
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お笑い評論家・ラリー遠田の『キングオブコント2014』評──シソンヌが魅せた“コントの最先端”
10月13日、『キングオブコント2014』の決勝戦をテレビで見た。その前日、私は『THE MANZAI 2014』の本戦サーキット(準決勝戦にあたる予選)を、ライブで観戦していた。漫才の大会とコントの大会を立て続けに見たことで、漫才とコントの違いについて思いを馳せることになった。 漫才は熱だ。先日の『THE MANZAI』予選を見てそう思った。漫才師たちがセンターマイクの前に立ち、その瞬間に注ぎ込む「熱」が、客席に伝わるかどうかという戦い。技術、センス、声の大きさ、その他さまざまな要素によって、熱が観客に伝染すると、その熱は「笑い声」となって外に発散されていく。 一方、コントはそういうものではないよなあ、と『キングオブコント』を見たときに実感した。コントの笑いは、熱による笑いではない。コントでは、大きな笑い声が聞こえなくても、観客が十分に楽しんでいる、ということがあり得る。漫才ではそれがあまりない。漫才では、笑い声の大きさがそのままウケ具合を示す。コントでは必ずしもそうとは限らない。 いわば、漫才は体感するものだが、コントは鑑賞するものだ。コントでは、ネタを作り込んだり演技を磨いたりすることで、作品としての完成度をどれだけ上げられるかが勝負になる。 優勝したシソンヌのコントは、2本とも作品としてのクオリティが図抜けていた。1本目でギャンブル中毒の中年男性を、2本目で失恋して落ち込む女性を演じた、じろうの演技力が特に素晴らしい。 2本目のコントの冒頭、長谷川忍の演じるタクシードライバーが「こんばんは」と話しかけると、じろうの演じる女性は彼の顔を見て「良さそうな人」と応じる。このせりふで大きな笑いが起こった。特におかしいところもない、こんな何気ないせりふだけで、なぜ笑いが起こったのか? この笑いは「安堵の笑い」だ。じろうの最初の一言を聞いただけで、見る人たちは「あっ、この演技力なら安心して任せられる」という確信を抱いた。女性キャラの芝居のうまさが、多くの人の想像を超えていたのだ。何も心配せずにこのコントにはずっと浸っていていい。そういうお墨付きを与えてくれたのだ。ここでシソンヌは見る者の心をグッとつかんだ。そして、そのまま最後までずっと離さなかった。 このネタが終わった時点で、なかば勝負は決した。シソンヌのネタが終わり、優勝を争っていた暫定王者のチョコレートプラネットにカメラが向けられると、彼らは完全に負けを認めたような、あきらめの笑みを浮かべていた。 シソンヌの1本目のコントも圧巻だった。街でたまに見かけるような、ある種の「厄介」なタイプの人間が登場する。ギャンブル中毒の男性がラーメン屋に押しかけ、パチンコで負けたとグチをこぼし、「くせえラーメン」を食わせろと暴言を吐く。地の底を這うようなひどいキャラクターだ。でも、細部に不思議なリアリティーが宿っている。だから、思わずこの人物に釘付けになってしまう。確かにどうしようもなくひどいけれど、その先にあるもっとひどいものが見たい。そう思わせてくれる。 シソンヌのコントには「笑わせよう、笑わせよう」と待ち構えている感じが一切ない。日常的な設定の中に、いつのまにか引きずり込まれている。グイッと引き込む力が強い。その力の源を分析してみると、演技力、ネタの構成力、キャラの作り込み具合、といった要素が浮かび上がってくるのだろう。 コントは漫才よりも自由度が高い。衣装も小道具も、照明も設定も自由だ。だからこそ、得体が知れない部分もある。コントを見る側は、熱に浮かされるのではなく、技で魅了される。 シソンヌのコントには、2014年時点でのお笑い界の最先端の「技」がギッシリ詰まっていた。決勝10組に面白くない芸人は1組もいない。ただ、大会全体を振り返ってみれば、なるべくしてなった王者、という感じがする。2本目のコントの冒頭、たった一言で会場を揺らしたシソンヌには、すでに王者の風格が漂っていたのだ。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)キングオブコント2014公式サイトより

