江頭2:50を最も輝かせる『「ぷっ」すま』というホーム

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「この中で死にます! そういう画が見たいんでしょ?」  7月26日に放送された『武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)に“乱入”した江頭2:50は、目の前に用意された自分が潜るための水槽を指さしてそう宣言した。そして、それに「えー」と反応した女性客に「だから伝説作れないんだよ!」とツバを吐き捨てた。  江頭がその潜水対決の対戦相手に指名したのは、やはり草なぎ剛だった。 「今から14年前、『「ぷっ」すま』で共演して以来の長ーい付き合いなんだよ。しかーし! その『「ぷっ」すま』でずーーっと思ってたことがあるんだ。俺とお前はかぶってるんだよ!」   江頭は、今後の『「ぷっ」すま』の出演権、果ては自らの芸人生命を賭けて“ライバル”草なぎと対戦。そんな江頭にとって、安全を考慮して決められた1分30秒という制限時間は、やはり短すぎた。草なぎも江頭も制限時間を潜り切り、その後も潜り続ける二人をライフセーバーが制止する。しかし、江頭はその救出の手を最後まで拒んだ。結果、二人の対決はドローに終わった。  戦いを終えた江頭は「(『「ぷっ」すま』に)出させてくれるよね?」と草なぎに問うと、草なぎは「いいよ!」と軽い口調で即答。江頭は「あ! 『「ぷっ」すま』のPと飲みに行く時間だ!」と言い残し、嵐のように去っていった。  いま最も江頭2:50を継続的に光り輝かせている地上波のテレビ番組は、間違いなく『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)だろう。番組に初登場したのは先の本人の発言通り、14年前の2000年2月29日だった。  「命がけレシピ対決」という企画で、ユースケ・サンタマリアとレギュラーを賭けて対戦したのだ。  「こいつ嫌いなんだよ、九州から出てきてテンションだけで生き残る! (俺と)かぶってるんだよぉ」と、この時はまだ、江頭の標的は草なぎではなく、ユースケだったのだ。この対戦に勝利した江頭は、実はわずか2週間であるが「ナギガシラ」として番組の“レギュラー”になっている。  その3年後の03年、思わぬ形で再び「ナギガシラ」が復活する。ユースケがインフルエンザで番組を欠席。その日、ゲストとして途中“乱入”予定だった江頭が、その代役を務めたのだ。  しかし、ボケが必要なクイズに、早々に正解してしまうなど気合は空回り。 「俺、間違ってるでしょ? 誰か言ってくれよ! ホント、俺分からなくなってるんだよ!」 「今日、俺、雰囲気悪くして……ごめんなさい」 と、弱々しく反省するなど、自分では散々な出来だったため、以来「レギュラーになりたい」と口にすることはなくなったという。もしかしたら、それがその後の『アメトーーク!』(同)で飛び出した、それ自体が伝説の名言「1クールのレギュラーより、1回の伝説」につながったのかもしれない。  『「ぷっ」すま』での江頭は、まさにその名言を地で行く活躍を見せている。特に彼の本領が発揮されるのが、人気企画「ギリギリマスター」だ。ある事柄をいかに限界寸前で止められるかを競うこの企画に、江頭はたびたび“問題”として登場する。江頭がどこまで記録を伸ばせるかを、回答者が見極めるのだ。  これまで江頭は「ギリギリリンボーダンス」「ギリギリ人間ブリッジ」「ギリギリ運河渡り」「ギリギリダンクシュート」などに挑戦。そのほとんどで、「俺は驚かせてナンボじゃ!」という言葉通り、予想をはるかに超える超人的な記録を叩き出す。そして、スタジオにいる全員が驚きと歓喜で「ドーン!」と拳を突き上げる、異様なテンションの空間に変えるのだ。笑いと驚きが共存することこそ、江頭の真骨頂だ。  8月29日、9月5日の放送は「イカ部」。イカを愛する草なぎがイカを釣る、という企画だ。『27時間テレビ』での“約束”を果たすかのように、そこに“乱入”した江頭。江頭は「イカ部」そっくりの番組企画「エガ部」を立ち上げたという。 「このエガ部は、YouTubeで番組を持つためにいま動いてるんだよ!」  全員からツッコまれると「YouTubeはなんでもあり!」と叫びながら、やはり大暴れし始める江頭。実にイキイキしている。  江頭はかつてインタビューで「こんなこと言っちゃダメなんですけど」と前置きしつつ、「正直な話、いっぱい仕事が来たとしても選ばせてもらって」いると明かしている。なぜなら「キンタマ据わってる人としかやりたくない」からだ。彼が「無茶」をして笑いを取っても、それが使われなければ「俺の存在価値はなくなる」と。(「hon・nin」Vol.05/太田出版)  そんな江頭が“選ぶ”数少ない番組の一つが『「ぷっ」すま』だ。そして、江頭の「無茶」を誰よりも爆笑しているのが草なぎだ。彼は江頭が“暴走”しても、決してありきたりのツッコミで止めようとしない。いきなり、江頭がタイツを脱いでバリカンで陰毛を剃り始める暴挙に出て、他の共演者が呆然となりその行動に引いていても、草なぎだけは屈託なく笑っている。また「物件拝見トレジャーバトル」などでよく見られる草なぎとの相撲対決も、いつだって“ガチンコ”勝負だ。だから、江頭は思い切り戦うことができるのだ。まさに江頭にとって、『「ぷっ」すま』は“ホーム”なのだ。  江頭はかつて、この番組のカメラの前で堂々と宣言した。 「これからも俺、命を張っていくから、殺していい! ちゅうか殺せ! 死ぬトコ見たくない? いいよ、俺(の命を)差し上げる!」  江頭は信頼するスタッフと共鳴するライバルがいるからこそ、命がけで“伝説”を作ることができるのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから