『アイマス』愛を高らかに宣言する元タカラジェンヌ・彩羽真矢の、華麗なるガチオタ人生に迫る!

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撮影=後藤秀二
 今年4月、人気アイドル育成ゲーム『アイドルマスター』の楽曲に合わせて踊る男装の麗人の動画が、突如ネットに出現。あまりにも華麗な姿とキレキレのダンスに、「クオリティが高すぎる!」「かっこいい!」「リアルまこりんだ!(同ゲームに登場する、ボーイッシュなアイドル・菊地真の愛称)」などネットは騒然。動画は5月末時点で30万再生を突破している。  動画の主の名は、彩羽真矢。2004年に宝塚歌劇団に入団。男役として08年まで舞台に立った後、退団。その後はタレント、モデルとして活躍する女優だ。そんな華やかな世界で活躍する彼女は何を思って、「踊ってみた」動画をアップしたのだろうか? 単なる話題作りか。それとも、本物の愛情からなのか――。その真意を尋ねるべく、インタビューを敢行した! 彩羽真矢(以下、彩羽) 以前、サイゾーさんもFLASHゲームとか出されてましたよね? ──(取材に同席していた編集も忘れてた模様)そんなところまでチェックされているとは……。ということは、彩羽さんは、やはり本物のゲーマーなんですね。 彩羽 どうでしょうね……。でも、いわゆるRPGみたいなのは得意じゃなくて、音楽ゲームや育成ゲームを中心にプレイしています。とにかく、常にどこかにゲームがあるような状態で生活していますね。
──インタビューの前に撮影を行ったわけですが、本当に(『アイマス』の)真みたいでした! 彩羽さんは4月にニコニコ動画に「【踊ってみた】元・宝塚 彩羽真矢がGO MY WAY!!を踊ってみた【一発撮り】」(http://www.nicovideo.jp/watch/sm23221788)をアップしたことで、ネットユーザーの間での知名度を一気に上げたワケですが(「GO MY WAY!!」はゲーム『アイドルマスター』の楽曲の一つ)、もともと『アイドルマスター』はお好きだったのでしょうか? 彩羽 宝塚に入ったばかりの20歳過ぎくらいの時から『アケマス』(2004年に稼働スタートしたアーケードゲーム版『アイドルマスター』の通称)をやってます。私が宝塚に入団したのも04年だったんですが、初舞台が終わってから次の公演まで3カ月くらい空いたんですよ。若手の頃は小さな公演とかに出られない場合もあるので、1カ月くらい間が空く人が多いんです。その時に海外に行ったりする人もいるんですが、その間、私は梅田のネットカフェに泊まって、カラオケとゲーセン通いしてました(笑)。 ──うははは! いきなり(笑)。 彩羽 はい。ただのオタク活動していました(笑)。そこで、出たばかりの『アケマス』に出会いました。まだオンラインでしたし、プレイヤーもたくさんいましたね。 ──ちなみに、最初に使ったキャラは誰ですか? 彩羽 雪歩ちゃんです(登場アイドルの一人・萩原雪歩のこと)。あのしおらしさがいいんですよね……。この子をどうプロデュースしたらトップアイドルになれるんだろうって考えながら、1年くらい育ててたんですが、ある日キャラクターの育成データを記録していたカードをなくしてしまったんです。それで大ショックを受けていた時に、春香ちゃんに出会ったんです(登場アイドルの一人・天海春香のこと)。それからずっと、春香ちゃんのP(プロデューサーの略称。ファンの間では『アイマス』プレイヤーのことをこう呼ぶ)です。 _MG_1663.jpg ──いきなり用語解説しないと一般読者さんには分からないトークがバンバン飛び出してますが(笑)、そこまで『アイマス』にハマった理由は? 彩羽 ただただ、私自身がアイドルになりたかったからです。“自分は宝塚にいるからアイドルになれない代わりに、アイドルをプロデュースしよう”という感じでした。実は小さい頃からずっと、アイドルとかモデルみたいなきらびやかな職業に憧れていたんです。小学校の頃はずっと「セーラームーン」になれるって思って生きてましたし、中学生の時はSHAZNAなどのヴィジュアル系にハマりつつ、モーニング娘。も大好きでした。ずっとアイドルのオーディションを受けたいなと思っていた時に、宝塚に出会ったんです。宝塚の娘役って、ちょっとコスプレっぽいですよね。「私もあんなのが着たい」って憧れるようになったんです。 ──もともと芸能界に対する憧れがあったわけですね。その一方で、ゲーセンに通われるくらいゲームも好きなんですよね。 彩羽 両親もゲームが好きで、私もファミコン時代からプレイしていました。一番ハマっていたのがプレイステーション時代で、『チョコボの不思議なダンジョン』とか『モンスターファーム』みたいなやりこみ系のものを中心に、『クラッシュ・バンディクー』みたいなアクションもやっていましたし、『ダンスダンスレボリューション』と『パラッパラッパー』で音ゲーに目覚めました。『桃鉄』もスーファミの頃からずっとやってて、99年設定を一人で2週間くらいかけてクリアしたりしてました。『太鼓の達人』もアーケード版が出た時からやってて、Wiiの専用コントローラも買いましたね。でもある日、コンシューマゲーム(家庭用ゲーム)をやりすぎて、廃人みたいになってしまったんです。全然寝ないで自宅でゲームをして、そのまま宝塚に行くような生活をしてたら本当に倒れそうになって、「私、このままゲームと宝塚を両立させていたら死ぬ!」と思って、レッスンに行かなくなっちゃって……。 ──そっちですか!! 彩羽 自由参加のレッスンがあったんですけど、それに行かずにずっとゲームをやっていたんです。結局、それからコンシューマハードは持たないように決めました。全部手放しました。 ──ちなみに、廃人化の原因となったゲームは? 彩羽 ニンテンドーDSの『どうぶつの森』と『ときめきメモリアル Girl’s Side』。あと『桃鉄』の3本で死にかけました。しかも『桃鉄』は何が面白かったのか今でもわからないんですけど、一番弱いCPUを敵にして、自分は北海道から沖縄までの全物件の制覇を目指すっていうプレイをしていたんです。もう、廃人一直線ですよね。だから、今はゲーセン通いにとどめています。ゲーセンだと、絶対に閉店するじゃないですか。だから、必ず途中でやめられるんです(笑)。そこで(セガが開発したアーケード用音楽ゲーム)『maimai』を中心にプレイしているほか、『モバマス』(モバゲーで配信されているソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』の通称)をやっています。 ──『モバマス』も、かなり危険なにおいがしますが……。 彩羽 でも、無課金で耐えているんですよ! 無課金だと、体力回復を待つ間はゲームをしなくて済むので。「これ以上は、やっちゃだめ」って制限されないと、ずっとやっちゃうんです(笑)。 ──『ときめきメモリアル Girl’s Side』みたいな恋愛ゲームもされているんですね。女性向けの恋愛ゲームというと、現実ではありえない美男子がたくさん出てきて恋愛をするという点で、宝塚に通じるものもありそうですね。 _MG_1594.jpg 彩羽 まさしくそうですね。姫条まどか君が大好きでした。何回も主人公を育てるんですが、なかなか最後のキスまでいけなくて……。これをやっている時が、一番の廃人でした。『桃鉄』と並行してプレイしていたので時間が足りなくて、本番中の楽屋でプレイしたりしていました。 ──ほ、本番中の? 彩羽 はい。出番がないときは楽屋に戻るので、その時に(苦笑)。 ──ええええ! 彩羽 机の下にDSを隠して、こっそりと……。ただ、当時はまだオタク趣味がバレると引かれたり、気持ち悪がられることもあったので、隠れオタクでした。同期にも趣味の話はしていませんでした。 ──それが、いまやオタク趣味を積極的にカミングアウトしている。ありのままの姿を見せているわけですが、どういう心境の変化があったんでしょうか? 彩羽 今年4月に30歳になったんですが、その頃から「30歳になったし、最悪、芸能界でこの先失敗しても、ニコ生主になればいいや」と思うようになったし、別に失敗しても死ぬわけじゃないから、何も怖がらないで全部やろうと思うようになったんです。それで動画をアップし始めたら、何も悩まなくなったんです。私、もともと根暗な性格で、お風呂で頭を洗いながら「嫌われたくない!」って独り言をいうタイプだったんです。でも動画を上げてから、独り言を言わなくなったんです。周りからも、「この1カ月ですごく明るくなった」って言われるようにもなりました。たった1本の動画をアップするだけで、人生がガラリと変わったんです。「ごまえー(ファンの間で使われている『GO MY WAY!!』の愛称)」動画は人生のターニングポイントになりました。だから、これからも一生かけて『アイマス』についていこうと思っています。 ──プロフィールを拝見すると、「ニュータイプアイドルを目指している」とありますね。具体的には、どういうアイドルを目指しているんでしょうか? 彩羽 30歳で既婚なのにアイドル。男装もするし、ニコ生でも漫談でもなんでもやるというアイドルです。特に、ニコニコ動画はベータの頃から見てますし、自分でアカウントを取って毎日ニコ生をやっています。今後はコスプレもどんどんしていきたいですし、ファンの皆さんとオフ会もしようと思っています。そこで皆さんの前でメイクをしたり、一緒に踊ったりもしたいですね。面白そうだと思うことは全部やっていこうと思っています。ほかにも、関西で行われている大喜利の賞レースにも出る予定です。
──以前、『R-1ぐらんぷり』にも出られたんですよね。 彩羽 『R1』では3回戦までいきました。ネタは「宝塚あるある漫談」で、ニコニコ動画でも見られるので、ぜひチェックしてみてください(http://www.nicovideo.jp/watch/sm23458545)。 ──宝塚というと、ファンにとってもタカラジェンヌにとっても神聖な存在で、今まではそういう風にネタ化することがタブー視されていたという印象があります。 彩羽 はい。私の活動については賛否両論あります。新しいことをしてくれてありがとうという方や、宝塚に興味を持ってくださるきっかけにもなったという『アイマス』ファンの方もいますので、「宝塚を広めてくれてありがとう」と言ってくれる人もいる一方、「宝塚の恥さらし」とか「小林一三先生(宝塚歌劇団の創立者)が泣いてる」とか言われたりしています。 ──しかしながら、彩羽さんの活動が宝塚の世界に新風を入れている部分もあるのでは? 彩羽 それは自分でも思います。私自身は宝塚では歩く大道具のような役しかできませんでしたし、若手のうちに退団してしまったわけですが、それでも宝塚が大好きなので、別の形で宝塚を広めていきたいと思っています。今は執事カフェとか男装で踊ったりするのがはやっているので、オタクの人も絶対に宝塚が好きになれると思うんです。だから私は、オタク文化と宝塚、そしてネットやテレビなどのメディアの架け橋のような存在になることが理想です。 ──臆することなく自分を出していこうという彩羽さんの生き方は、自分に自信がない人たちにとっての希望になりますね。例えば、かつての彩羽さんと同じようにオタク趣味をカミングアウトできずに悩んでいる人もいるかと思いますが、そんな読者に伝えたいメッセージはありますか? 彩羽 自分の生き方に悩まれている方は、もう好きなことを思う存分やればいいと思います。それがどこでどう役に立つかはわからないんですけど、好きなことを続けたほうが絶対に自分のメンタルも強くなるし、結果的に幸せになれるはずです。オタク趣味を続けると恋人ができないとか結婚できないという人もいるかもしれないけど、私は結婚できたし、同じような趣味の異性は絶対いるので、どんどん自分を出していくべきだと思います。そのほうが人生を楽しめると思います。私も、もっと早く動画をアップしておけばよかったと思っているんです。 ──今後も、新しい動画をアップしていかれる予定ですか? 彩羽 そうですね。実はオタ芸もけっこう打っているので、最近はそれに宝塚っぽい動きをプラスした動画をアップしたいなと考えています。 ──まさにニュータイプアイドルですね。今後、ますますのご活躍を期待しています! (取材・文=有田シュン[シティコネクション]) ●彩羽真矢ブログhttp://ameblo.jp/chami444/