
古市憲寿氏
近年、若手論客としてテレビや雑誌で人気を集めている社会学者の古市憲寿。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)では若者代表として田原総一朗にかわいがられ、NHK Eテレで放送中の『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』ではMCを担当。しかも最近では、クールジャパン戦略担当相である稲田朋美議員の私的懇談会「クールジャパン推進会議」の第2期メンバーにも選ばれたことが大きなニュースとなったばかり。
しかし、そのニュースが話題を呼んだのは、古市が“クールジャパン批判”の論文を書いた過去があったからだ。それは「新潮45」(新潮社/2013年11月号)に掲載されたもので、タイトルもズバリ『くるくるクールジャパン』。この件について稲田議員は承知済みで、「(論文を)ぜひ読ませていただきたい」と語っている。
だが、一方の古市はこの発言に戦々恐々。なんと、くだんの論文を、今年4月に発売された書籍『だから日本はズレている』(新潮新書)に収める際に“自己検閲”したというのだ。
まず、『だから日本はズレている』を見てみると、『くるくるクールジャパン』という掲載時タイトルは『「クール・ジャパン」を誰も知らない』に変更。書籍にする際に改題するのはよくあることではあるが、問題は原稿内だ。「新潮45」には、初代クールジャパン戦略担当大臣に任命された稲田が、フランスで開かれたイベントでゴスロリのコスプレ姿を披露したことについて触れ、
「世間の生温かい視線を浴びたことは記憶に新しい」
と書いているのだが、『だから日本はズレている』では“生”の部分を削除し、
「世間の温かい視線を浴びたことは記憶に新しい」
と改訂しているのだ。一文字削っただけだが、文脈はまったく違っているではないか。
それに、稲田がコスプレを披露した際には、Twitter上でも「これがゴスロリ??」「児ポ法や漫画・アニメの表現規制を推進する特攻隊長がこういうことやってるとは」などと厳しい意見が寄せられ、決して“温かい視線”は浴びていなかった。
だが、さらなる問題は、古市本人がこの自己検閲について告白してしまっている点だ。それは「an・an」(マガジンハウス/4月16日発売号)に掲載されている小説家・朝井リョウとの対談連載でのこと。朝井から、稲田のコスプレを「生温かい視線」とディスった件をいじられた古市は、「雑誌ではそう書いたけど、本にまとめた時『生』は消したから大丈夫」と、さらっと自白。続けて、「稲田さんとは近々会うんだけど…どうしよう。元の原稿、読んじゃってるかな?」と弱気になったかと思えば、「気まずいなあ。もうちょっと考えて発言したほうがいいと思う?」と、朝井に尋ねる始末なのだ。
そもそも、古市が論文で展開しているクールジャパン政策の「発想の安直さ」や、児童ポルノ禁止法やクラブの深夜営業規制などの「文化の芽がそがれつつある」現状などへの指摘は、至って真っ当、有益な意見だ。なのに、たったこれくらいのことで日和ってしまうとは……。
古市といえば、先日もコメンテーターを務める『とくダネ!』(フジテレビ系)でゴミの分別問題について「(自治体が分別されていないゴミの)開封調査をするのなら、(ついでに)分別してくれればいい」と発言して、プチ炎上騒ぎを起こしたばかり。以前にも、中学生による学校荒らしに対して「正直言って、かっこいい」と語り、批判の声が殺到した。しかし、横並びのコメントが求められる場で堂々と踏み外す古市の態度は、ないよりあったほうがいい。どうかクールジャパン推進会議でも、分別などわきまえず、どんどん発言してほしいものだ。