「なるべくちっちゃいことのほうがいい」あばれる君が生み出す“パンチライン”の秘密

abareru0509.jpg  汗をかきながら全力で演じる「熱血コント」で人気急上昇中のピン芸人・あばれる君。最近では、『なら婚』(日本テレビ)という番組の企画で結婚式を挙げたことでも話題となった。  そんな彼が5月28日、初めてのDVD『あばれる君です よろしくお願いします。』をリリースする。あの珠玉のコントは、どうやって作られているのだろうか? ――街で一般の人に気付かれたり、声をかけられたりすることはありますか? あばれる君  ありますね、ありがたいことに。そういうときは、倍の笑顔で「ありがとうございます!」って返します。 ――どういうふうに声をかけられますか? あばれる君  「あばれる君ですか?」っていうときもありますし、「なんだっけ?」って言われて自分から名乗ることもあります。一番ひどいときには「スタミナさんですか?」って(笑)。雰囲気は近いんですけどね。 ――ネタはどうやって作っていますか? あばれる君  基本的には家で考えますね。パソコンは使わずに、紙に書きます。「人間が追い込まれたときにどうやって脱するか」っていうのをポイントに置いています。 ――なるほど! 確かに、そういう設定のネタが多いですね。 あばれる君  そうですね。追い込まれるときって、できるだけちっちゃいことのほうがいい気がするんです。たとえば、大工がトンカチを忘れて釘打つのどうするのかって考えて、手で打とうとするとか。トイレに行きたいのに先客がなかなか出てこないとか。できるだけちっちゃいことを壮大にやる、っていう感じですね。  小学校のときにダンスのテストみたいなのがあって、体育の先生の前でダンスをしないといけなかったんです。そこで僕の友達が動きをまったく覚えてなくて、アドリブで踊り出したんですよ。その姿がめちゃくちゃ面白くて。覚えてないと怒られるから、どうにかしようとしたんです。追い込まれても決してあきらめない人間って面白いなあ、と思ったのはそれがきっかけですね。 ――あばれる君のネタの中には、「怖くないって言ったらウソになります」とか、妙に印象に残るフレーズが多いですね。 あばれる君  ありがとうございます! 自分ではそういうのを「パンチライン」って呼んでるんですけど。そこが好きですね。それを言いたくて、そこに持っていくにはどうするかって考えます。「俺の尿意は時間を選んでくれない」とか。 ――お笑いをやるきっかけは? あばれる君  お笑いは子どもの頃から好きでした。小学生から『めちゃイケ』(フジテレビ系)見てて、中1で『オンバト』(NHK)ブームが到来して。そのときから「お笑い芸人って最強だな」って思ってたんですよ。歌手だったら歌手だけなんですけど、芸人だったら歌もできるしドラマにも出られるし。 ――小さい頃から芸人になりたいという気持ちはあったんですか? あばれる君  ありましたね。ムードメーカーと呼ばれて、クラスでも目立つほうでした。小4のときに演劇部に入って、「バラ星人」っていう自分の脚本の演劇を披露して、大ウケでした。高校では室伏広治さんのものまねを文化祭でやって、めっちゃウケましたね。大仏の仮面をかぶった状態で、それを脱いでハンマーを投げて「フォー!」って叫ぶ、っていう。 ――高校でウケそうなネタですね(笑)。 あばれる君  そう、あのときはすごかったなあ。高校でブレークしましたから。大学で東京に出てきて、田舎者だと思われたくないっていうのがあって、ちょっとスレました。眠いのに、無理してクラブとか行って、意地張ってるところはありましたね。眠いしうるさいし、ソファと耳栓が欲しかったです。 ――楽しくなかったんですか? あばれる君  まあ、楽しいときもありましたけど、あんまり楽しくはなかったですね。クラブで踊るってことができなかったんで。 ――お笑いの養成所に入ったのは大学時代ですか? あばれる君  はい、大学4年の頃です。ちょうどみんなが就活したりしているときに、僕は養成所に入りました。最初はコンビを組んで、1~2週間ぐらいやってたんですけど、合わなかったですね。相手が仮病使ってネタ合わせを休んじゃったりして。次の日も体調が悪いふりとかしていて。でも、絶対ウソなんですよ。二郎ラーメン大盛りを食べてたし。 abareru05093.jpg ――それでピン芸人になった、と。 あばれる君  はい、それからはずっと1人です。1人のほうが性に合ってましたね。いつでもネタを考えられるし、全部自分の責任だから、ピンのほうが楽です。ウケたときは独り占めですし。 ――でも、逆にスベったときのダメージも1人で引き受けないといけない、っていうのもありますよね。 あばれる君  そのリスクはでかいですね。スベると、次の日の朝まで恥ずかしいときありますからね。家でソファに座っていて、リモコン取るのも恥ずかしい、動きたくない、存在したくないって思って。 ――あばれる君はネタ中にたくさん汗をかきますが、これは体質なんでしょうか? あばれる君  体質ですね。幼稚園の頃から汗かきで。新陳代謝がいいんですよね。あと、舞台で汗かくのは緊張してるからだと思います。緊張しないと、かかないですもん。 ――人前に立つのはいまだに緊張しますか? abareru05092.jpg あばれる君  そりゃあ、しますよ。いつ慣れるんですかね? 慣れたいんですよ。焦ってる中にもキラリと光る冷静さがあるような、そういう男になりたいんです。  中学の頃、理科の時間にプレパラートを割っちゃったときも、汗ダラダラで。そのときにも周りに「なんでそんなに焦ってるの?」って言われましたね。 ――今後の目標は? あばれる君  ネタを英語に訳して、世界進出したいですね。地球の各地で「こいつやばいよ」って言われるくらいになりたいです。そのためには、全人類共通の共感できるところを探していきたいです。  あとは「お前、よくやったな」って言われることにチャレンジしたい。イモトアヤコさんだったら、山に登ってるじゃないですか。あれは壮大ですけど、僕はもっとちっちゃいことでもいいんですよ。最近チャレンジしたのは、ゴルフボールを3つ積み重ねるとか。 ――小さいことだけど、できたらすごい、みたいな。 あばれる君  トランプタワーとか、ドミノとか、24時間けん玉とか。根性でできそうなやつをやりたいですね。 (取材・文=ラリー遠田/撮影=名鹿祥史)