
撮影=尾藤能暢
「バイクだけにブンブン」赤のラグランTシャツに、サングラス、バンダナを巻いたスタイル、なんでも「BKB」に略すネタで突如バラエティの世界に舞い降りたモーターサイクル天使、バイク川崎バイク。毎年、ブレークする、ブレークすると言われ続けているBKBに、2016年こそは(もう6月だけど)……の意気込みを聞く。意外や意外、BKBのブレークスルーは自己○○にあった!?
バイク川崎バイク(以下、BKB) 以前サイゾーさんに、僕の記事書いてもらったんですけど。
――……なんですか、悪口でしたか?
BKB 僕が「R-1」の決勝に行ったときかなぁ。決勝の前日にBerryz工房と一緒に番組やって、そのことが記事になってた。「BKBが決勝で負けたのは、ももちのせい」みたいなタイトルで(
参照記事)。
――ありました、ありました。
BKB 「Berryz工房がBKBにハマらず、全部ももちに持っていかれた」と。ほんまそうやなと思いながら読んでいたんですけど、ふと違和感があって。「その後、川崎が」とか「川崎が○○を話しても」とか、僕のことずっと「川崎」って書くんですよ。「サイゾーさんは僕のことを『川崎』って書く」とは、舞台でネタにさせてもらいました。
――失礼いたしました。今回は、どの表記でいきましょうか? あえての「川崎」にします?
BKB 誰かわからんくなるので、BKBでお願いします(笑)。
――BKBさん初の全国ツアー、しかも10周年記念ということで、まずはそのお話からお聞かせいただきたいです。
BKB これちょっとややこしいんですけど、“BKBになってから 10年”なんですよ。芸歴自体はもっと長くて、非常にグレーな 10周年記念。一応ピンになってからということで。
――しかし、10年は長いですよね
BKB 長いようで短いと申しましょうか。月並みですが、あっという間でした。「街の帽子屋さん」というコンビを 2~3年組んでいたんですけど、相方(帽子屋お松)に「一人でやりたい」と言われて解消。帽子屋さん時代、僕はネタを書かなかったので、「う~ん」ってなりましたよ。
――それでも一人でやり続けようと思ったのは?
BKB やめたくなかったんですよね。まだ若かったんで、26ぐらいかな。無理やったら(芸人になる前にやっていた美容師に)戻ればエエか、くらいのモチベーションで。
――手に職は強い。
BKB あとは、周りの芸人が「川崎も、なんやかんや味あるし」みたいなことを言ってくれて。いま思えば無責任なねぇ(笑)。あの頃は戸惑いしかなかった。あらためて相方ってすごかったんやなって。僕ももちろんネタを書いたことがなかったわけじゃないんですけど、いきなりピンのネタは難しくて……。
――自分と向き合わなきゃいけない……。
BKB 自分を客観視する方法が、わからなかったんですよ。それで何を思ったか、1発目にやったネタが、妖怪。
――どんな妖怪なんですか?
BKB 妖怪「ひょうすべ」。人を笑い殺す九州の妖怪です。1発目がそれやったんで、みんな「……頑張ってんな」と思ってくれたらしいですが(笑)。
――ひょうすべで、BKBさんのピン芸人としての路線が固まったと。
BKB 漠然とね、インパクトのある格好や見た目じゃないとアカンやろなと。(レイザーラモン)RGさんとか、すごいじゃないですか。いろんなキャラ、面白い見た目、物まねとかどんどん作り出していって、なおかつ自然に演じてる。僕はそんなタイプじゃなかったんで、気質的に。派手なことを思いつく人間じゃないんですよ。

■「ブレーク間近」芸人から一転、ついに何も言われなくなった
――普段のBKBさんは、どんな感じなんですか?
BKB 明るくはないかもしれない……。でもピン芸人って、そういう人多いですよ。もう中学生さんとか、巻き添えにさせる形になりますけど(笑)、明るくない。
――BKBさんのTwitterやインスタグラムを拝見すると、普段の私服めちゃめちゃオシャレですよね。だけど、ウィキペディアには「センスがないから、美容師をやめようと思った」と。
BKB 美容師の免許は、勉強すれば取れるじゃないですか。美容院で3年働いて、シャンプーとか毛染めとか、一通りのことはできるんです。だけど、いざお客さんがフリーでついて「私に似合う髪形を」と言われると、わけわからんくなっちゃって。美容理論というものが。美容師って、美容を好きな人じゃないと絶対続かない。変な話、給料は安い、労働時間は長い。その上で、休日の講習会に自分から参加する人もいる。自分に、その情熱はなかったんですよ。
――なるほど。
BKB でも、そのおかげで、大阪時代は芸人の髪は切りまくってましたけどね。それで仲良くなった人もたくさんいる。飲みに行くのと同じくらいの時間、一緒にいられるんで。「明日なんの仕事なんですか?」とか、ほんまの美容師みたいですけど(笑)。銀シャリの橋本直さんも、それで親友くらい仲良くなって。あと、なんばグランド花月の支配人さんの髪の毛も切ってました。
――偉い人押さえてますね(笑)。
BKB それで「単独やるか?」って言ってもらえた(笑)。いやいや、ウソですけど。
――でも、これだけたくさん芸人さんがいらっしゃると、ただ「面白い」だけでは生き残れないというか、人付き合いや運も大切になってきますよね。
BKB あると思いますよ、流れとか。日ごろの行いとかもあるんかなと。あんまり文句ばっかり言ってたら、アカンよな、とか。言霊ですよ。
――言霊(笑)。
BKB スリムクラブの真栄田(賢)さんがずっとこんなこと言ってくるんですよ。宇宙がどうとか、引き寄せの法則とか、人は鏡とか。
――今回BKBさんをインタビューさせてもらいたいなと思ったのも、BKBさんはずっと「ブレーク間近」と言われ続けてらっしゃるじゃないですか。でも、こう……。
BKB (笑)。2012年の年末の「次来るぞ」が1発目でしたね。13年に入って、今年来る芸人の6位になって。14年は「R-1」の決勝に行って、15年も辛うじて「女子高生に軽くブーム」みたいな枠に入った。そして16年、ついに何も言われなくなりました。
――ブレークしたからではなく……。
BKB してない。ブレークしそう芸人の中では、だいぶ上位だったのに。ブレークしそうでしなかった芸人という枠があるならば、絶対にノミネートされる人間だと思います。
――「ブレークしちゃうと終わっちゃう」みたいな考え方もありますよね。
BKB しすぎるとね、一発屋というね……でも、いいんですよ。もともと一発屋になりたくて、この芸風始めたんで。本来、それでよかったんですよ。ブレークして、このキャラを成仏させられれば。だから正直、考えていた流れではないんですよね。流行語ノミネートもされたかったのに。知ってる人は知ってる。だけど、知らない人はまったく知らない。そんな中途半端な存在です。
――その立ち位置も、なかなかじゃないですか。
BKB 先輩にもそう言われます。「ええとこおると思うで」と。売れているわけじゃないけど、仕事がゼロというわけでもない。

■素の「川崎」も見せたい
――ご本人的には、どのあたりがブレークに足りないところだと思っていますか?
BKB おそらく、BKB以外を見せれてないんですよ。ラジオとか呼んでもらったときに、これも手前みそですけど、「こんなしゃべれるんですね」って言われることが多い。「正直、ずっとテンションの人だと思っていた」と。それは自分で作り出したイメージだからいいんですけど、ただ人間味みたいなものを出せてないんやろな……とも思います。
――人間味かぁ。
BKB そもそもサングラスかけちゃってますしね、これも失敗したなと思っていますよ。ネタ中、たまに外して小笑い取りますけど。
――外して人前に出るのは、不安になりますか?
BKB 恥ずかしいですね。サングラスが良くも悪くもガードしてくれるんで。スベってもウケても。「うらやましいな、サングラス」って言われることもあります。でも、僕からしたら表情を見せられる機会が減ってて、街歩いててもほとんど指さされないですし。ブレークするには、テレビが何を求めているのか、瞬時に察して対応しなきゃいけないんですけど、難しいですよ。BKBを求めているのか、それとも素の川崎を求めているのか。常に頭の中に2つあって混乱するんです。その 0コンマの遅れが、結果スベりにつながる。
――永野さんのブレークをご覧になって、いかがですか?
BKB 永野さんって、ギャガーのようでギャガーじゃない。長い芸歴の中で鬱屈した思いを、ストレートに思いついた順番にババババってしゃべってるイメージがある。決して「善人」キャラではなく。
――BKBさんも、どちらかといえばそちら方面……?
BKB 「幸せみんなハッピー」って、言ってますけどね(笑)。このまま芸歴いったら……いい人ぶってますけど、根の根ではね……そういう気質ですから。
――BKBさんは、最終的にどんな芸人になりたいとお考えですか?
BKB そうですね……欲を言えば狩野英孝さんなんですけど、たぶん無理なんですよ。あの人マジなんで。僕はコントが好きなんで、できればそっち方面でいきたいです。
――バカリズムさんのような?
BKB バカリさんとか、劇団(ひとり)さんみたいなことはできないですけど、好きですね……DVDも全部持ってます。
――BKBとの両立は?
BKB BKBはBKBであって、うまく使い分けられればいいと思うんですよ。盛り上げるときはBKBで。今後はサイゾーさんに書いてもらったように「川崎」の面も出せたらいいですよね。僕、『内村プロデュース』(テレビ朝日系)がすごく好きで、内Pで初めて(さまぁ~ず)三村(マサカズ)さんを知ったんです。むちゃくちゃ腹抱えて笑った。そういう入りをしたもんですから、バナナマンさん、東京03さん、バカリさん……
■鏡は先に笑わない
――東京の香りのする芸人さんたちに憧れると。
BKB ないものねだりなんでしょうけど。今年の「R-1」はBKBを封印してコントで挑戦したんですね。ピンスポに白いドア1枚、シルクハットかぶって正装した僕がドアから出てくる。「おっと部屋を間違えました、失礼」から入るという。
――すごい。
BKB ほぼ小林賢太郎さん(笑)。それこそ周りからは「何してんの?」って言われましたけど。BKB1本で頑張るっていう考えもあるんでしょうけど、でも同期のアキナは昔から「BKBのコント好きやで」「続けてたら、いつか懐刀になるから」と言ってくれていた。今度の全国ツアーではコントもあり、もちろんBKBもありで、やろうと思ってます。観た人から「元気でたよ」って言ってもらえるようなライブにしたいですね。
――すごくポジティブにまとめていただいたのに、すみません……BKBさんとお話ししていると、うっすらした“闇”を感じてしまうのは、なぜでしょうか……?
BKB 闇……確かに自己啓発とか好きですし。「鏡は先に笑わない」っていう言葉知ってます?
――知らないです。
BKB 自分が笑わないと、鏡の中の自分も笑わない。それは、人生においても一番意識しなきゃいけないことなんですよ。なぜなら、人は「鏡」なんで。いい言葉だ。
――BKBさんは、自己啓発キャラもいいと思います。
BKB 一時、BKBでスベったあと名言でフォローするっていう流れは、やってましたよ。「限界ちゃうねん、壁やねん」とか。自分が限界だと思っていることも、単なる壁であり、いつか乗り越えられる。好きなんですよ、名言が。名言があれば、いつでも口角上げること意識できますしね。
――あまり普段口角上げること、意識してないかもしれない。
BKB え? 意識しないで自然に笑えるんですか?
――自然に笑えないんですか?
BKB そう、そうっすね……。でもファンの人、見てても思うんですよ。子どもでもほんと、ある一部の子どもは、すごく喜んでくれる。「部活つらかったけど、BKB見たら頑張ろうと思いました」とか言われたこともあるし。
――ファンの方にも、若干の闇が。
BKB 普通に「面白い~」じゃなくて、一個なんか悩みとかが乗っかってる(笑)。確かに「バイクだけにブンブン」ってお客さん全員でやったりすると、宗教じみてるときありますね。
――BKBさんには、その素質があるのかもしれない……。
BKB バイク教祖バイク。
(取材・文=西澤千央)
●バイク単独バイク「10周年全国ツーリング」(全5都市)
7月2日(土)大阪・ABCホール (前売り完売御礼! 当日券若干あり)
7月18日(月・祝)宮城・仙台福祉プラザふれあいホール
7月30日(土)広島・よしもと紙屋町劇場
8月5日(金)福岡・イムズホール
8月19日(金)東京・ルミネtheよしもと
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