「めっちゃ楽しい」『THE MANZAI』で見せた、“人生すごろく”レイザーラモンの17年

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吉本興業株式会社 芸人プロフィール | レイザーラモン
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。  『THE MANZAI』(フジテレビ系)決勝の「組み合わせ挑戦会」で、レイザーラモンRGは誰もが嫌がるトップバッターを選択し、『THE MANZAI』あるあるを歌い出した。「めっちゃ楽しい」と。そのあるあるの通り、2013年の『THE MANZAI』は「めっちゃ楽しい」大会になった。優勝したウーマンラッシュアワーはもちろん、最も鮮烈な印象を残したワイルドカード(敗者復活)の流れ星や、たけしイズムあふれる危険なネタを披露した東京ダイナマイトなど、“曲者”揃いの決勝大会は飽きることない楽しい空間だった。  その空気を作った大きな要因のひとつは、トップバッターのレイザーラモンだろう。一般的にレイザーラモンは、「フォー!」の“一発屋”ハードゲイキャラのHGと、「あるある」のRGという印象しかないかもしれない。だから、彼らの決勝進出は驚きだった。だが実は、レイザーラモンは昨年に続き2年連続で認定漫才師に選ばれている。着々と実力を付けてきていたのだ。 「人生すごろくや!」  かつて東野幸治は、レイザーラモンをそう評した。住谷正樹の「レイザーラモンHG」というキャラが大ブレークしたため、出渕誠がそのキャラをパクリ、「RG」となって便乗した。「お荷物」などと揶揄されながらも強心臓を武器に「あるある」を歌い続け、いつしかRGは「市川AB蔵」などのキャラでプチ・ブレークを果たした。ちょうどその頃になると、「HG」の人気は低迷。今度は「市川AB蔵」に便乗するように、HGが「市川CD蔵」に扮したのだ。それはまさに、「人生すごろく」と呼ぶにふさわしい変遷だった。  RGはその後も、「あるあるバスツアー」や「あるある」をオールナイトで歌い続けるライブなど個性的で精力的な活動で話題を振りまき続け、テレビでもワンポイントの切り札的出演でその場を「楽しい」空間に変えていった。一方、HGは持ち前の端正なルックスと肉体美でモデルとしても活動を開始。また、『バカソウル』(テレビ東京系)などで「吉本三大蜃気楼」として「一発屋」をネタにし始めていた。  そんな頃、大阪時代からレイザーラモンをよく知る構成作家に「2人で絶対漫才してください」と説得された。「俺らの漫才なんて、誰も見たないやん」というRGに、彼は「いや、やってください」と食い下がった。  漫才師に憧れていた。けれど、RGは「僕らはできるわけないと思って、ずっと逃げてた」。だが、HGも「やろうや」と言ってくれた。そしてレイザーラモンはキャラを脱ぎ捨て、スーツに着替え、再び漫才で勝負し始めたのだ。 「HGやりました、あるあるやりました、プロレスやりました。全部漫才のためだったのかなと」(「お笑いナタリー」インタビューより)  17年間、さまざまな変遷を経てきたレイザーラモン。決してお笑い芸人の「王道」とはいえない道を歩んできた。 「レイザーラモンとして求められてるものって、ぶっ壊すことだと思うので。漫才というフォーマットの中で、ぶっ壊すようなことをやりたいと思います」(同)  その言葉通り、レイザーラモンは日本一の漫才師を決める『THE MANZAI』で、モデルに扮したHGの服を脱がし、パンツ一丁にした。それはいま主流の、ボケの手数を詰め込んだ緻密な漫才とはまったく違っていた。センスのある発想とも無縁だった。レイザーラモンの17年間が凝縮された漫才は、ただ「楽しい」だけの漫才だった。  その漫才を見て、審査員のひとりであるオール巨人は「レイザーラモン君はね、個人個人でやってく力あるんですよ。そのほうが楽なんですよ。でも漫才で頑張って、漫才のキャリアとしては2~3年やと思うんですよ。正直、劇場でもウケてなかった(笑)。でもここまで来た。言うたやろ、舞台で裸になったら誰かに怒られるって。俺が怒る!」と、優しさあふれる言葉をかけた。  HGは漫才の最後、RGのボケに「セイでしょー!」とツッコんだ。「セイでしょ-!」というツッコミの、意味のわからなさ。けれど、そのわからなさの分だけ幸福感がにじみ出てくる。 「反則だろ! フランス座じゃないんだから」と相好を崩す最高顧問のビートたけしも楽しげだ。  「楽しい」という概念を人の形にするとレイザーラモンができあがる。そんな気さえしてしまうほど、バカバカしくてくだらない、そして愛おしい漫才だった。2人の漫才は、『THE MANZAI』を嫌な緊張感とは無縁の楽しい空間にしてくれたのだ。  トップバッターとしての役割を果たしたレイザーラモン。最後の優勝決定の瞬間、チラッと画面の片隅に映ったHGはまだ裸のままだった。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから