結成4年で東京グローブ座を埋めたお笑いコンビ・ラブレターズが確かににおわせる「来てる感」の正体

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塚本直毅(左)、溜口佑太朗(右)
 11月27日、ラブレターズにとって初めてのDVD『ラブレターズ単独ライブ LOVE LETTERZ MADE 「YOU SPIN ME ROUND」&ベストネタセレクション』(コンテンツリーグ)がリリースされる。このDVDには、8月に東京グローブ座で行われた単独ライブ「YOU SPIN ME ROUND」に加えて、これまでのベストネタが収録されている。  「キングオブコント2011」では決勝に進み、東京グローブ座での単独公演は大盛況。新世代コント芸人として進化を続けるラブレターズの2人を直撃した。 ――東京グローブ座という大きな劇場で単独ライブを行ったきっかけは、なんだったんですか? 溜口 最初は、事務所の社長に言われたんです。それで、このタイミングでやらせてもらえるなら、やるしかないな、と。やっぱり僕らは「来てる感」をどんどん出さないといけないなと思っていて。ライブシーンで勝っていくのはもちろん大事なんですけど、自分たちからいろいろ仕掛けていって、“あっ、なんかこいつら勢いあるな”っていうのを見せないといけない。 ――確かに「来てる感」は大事ですよね。 溜口 周りにそういうふうに思わせることができたら、自分たちのやる気にもつながるし、頑張れる。そこを出したかったんで、グローブ座では絶対やりたいなと思いましたね。 ――でも、そんなに大きな箱で客席が埋まるかどうかという不安はありませんでしたか? 塚本 めちゃくちゃ怖かったですね。僕は消極的な部分もあるので、“えっ、そんなに入るかな?”って思ったんですけど、相方が「いや、そこはやったほうがいい」って。 溜口 僕も怖かったですけど、事務所が「やってみればいいじゃん」と言ってくれたので。たぶん、失敗しても失敗にならないような気がしたんですよね。たとえお客さんが入らなくても、ああ、こいつら無茶したな、っていう笑いにもなりますし。どっちにしても、面白くはなると思うんで。僕は、自分たちのハードルをどんどん上げたいんですよね。僕らは2人とも、プレッシャーがないとだらけちゃうんで。 ――私も伺いましたが、結果的には大盛況でしたね。 塚本 はい、ありがたいことに。まさか、ですよね。埋まるとは思ってなかったですから。 ――ライブの準備は大変でしたか? 塚本 そんな大きいところでやったこともなかったので、だいぶしんどかったですね。 溜口 本番の1週間前に事務所の人とかスタッフさんに通し(稽古)を見せるんですけど、そのとき本(台本)があまり上がっていない状態で。それを見せたら、いろいろなスタッフさんからバーッと意見を言われたんです。「演出が全然ダメだ」「今までの小さい小屋のスケールでやってるから面白くない」とか。社長からも「このままじゃ、絶対失敗する」って。 塚本 今までの単独ライブと違って、関わる大人が一気に増えたんですよ。 溜口 今までは3~4人くらいしかいなかったのに、今回はDVD収録もあったりして、裏方さんの人数も莫大に増えていて。次の日の稽古場で2人きりだったんですけど、塚本がパイプ椅子をぶん投げてキレてましたね。 塚本 そのときは「あの人たち、なんなんだよ!?」って思ってました。でも、僕、今まで椅子なんか投げたことないんで、緊張しちゃって……(笑)。上手に投げられてなかったでしょ? 溜口 ダサかったよ。 塚本 うまく投げられなかったんです。投げる瞬間の3秒くらい前から心臓もバクバクいってて、緊張しちゃって。 IMG_41249.jpg 溜口 それで2人で大げんかして。僕もどちらかというと社長側というか、そういう意見を持ってたんで。 塚本 それまでの単独をやるときには、結構僕らに委ねてくれてたんですよ。でも、1週間前になって、社長とかがバーッと意見してくれたときに、一気に相方がそちら側の意見に同調しだして。“お前までなんなんだよ!?”ってなった。あれはびっくりしたなあ。 ――溜口さんは、そのときはどういう心理だったんですか? 溜口 何よりも丸く収めて成功させたいっていうのはあったんですけど、でも、“今言わないとこのライブ自体がぐちゃぐちゃになるだろうなあ、って。僕もやっていて気持ち悪い部分があって、どこが面白いのかわからない状態だったので、ここで一度スッキリさせて2人の意見を言い合わないと、本番でただ恥かくだけだな、って思って。それで1回ケンカしてリセットさせたんです。 塚本 そこからの1週間はスムーズにいきました。 ――このライブでやったネタの中で、印象に残っているものはありますか? 塚本 そうですね、「My name is...」っていうキラキラネームのネタとか。キラキラネームって、今あふれてるじゃないですか。僕はバイトでお店の受付みたいなのをやってるんですけど、本当に全然わかんない名前の人が来るんですよ。それを見るたびに「なんなんだよ」って思うんですよね(笑)。「月」と書いて「ライト」と読む、みたいな。キャバクラ嬢とか、ホストの名前みたいなのが多いから。社会派コントを作りたかったんです。そういえば、今回は社会派のやつが多いですね。パンツのネタ(「秘密の青春~僕らのPNT大作戦~」)とか。 溜口 パンツ? 塚本 やっぱり男子はみんな、パンツが見たくてしょうがないでしょう。で、見られる方法を必死で探すじゃないですか。……あれ、これ僕だけなんですか? 溜口 いや、お前の趣味だよ。社会は関係ないよ(笑)。でも、パンツのネタは2人で作っていてすごい盛り上がったんです。学生時代、僕らはイケてなかったんですけど、イケてるやつらって、冗談で女子のパンツを見ようとできる人たちなんです。 塚本 あー、わかるわかる! 溜口 同じクラスの女の子が階段上ってるときに、イケてるやつってこうやって(かがんで)覗けるじゃないですか。それで女の子もそれを見て「ちょっと、やめてよ!」みたいな。僕らもそれをやりたかったんですよ。 ――同じことを自分たちがやったら、本気で引かれてしまうと。 塚本 そう、“何あいつ!?”みたいな感じになるので。 溜口 それで実際パンツを見てるわけだから、イケてるやつはいい思いしかしてないんですよ。その分、僕らは頭を使って、どうにかしてパンツを見ようと。そこは2人の意見が一致したよね。 ――お2人のイケてない学生時代の経験が、ネタに反映されてるんですね。そう言われてみると、ラブレターズは学生コントが割と多いですね。 塚本 そうですね、結構多いですね。学生時代より、コントで学ラン着てたほうが楽しいですからね。いつも高校当時の学ランを着てるんですけど、学ランも喜んでますよ。 ――お2人とも学生時代は、そんなにイケてなかったんですか? 塚本 高校はまだマシだったんですけど、中学がつらくて。そのために一生懸命勉強して、ヤンキーのいない高校に行ったんです。 溜口 僕らは、どっちかがイケてたらたぶん長続きしなかったでしょうね。 塚本 そうだね。イライラするだろうし。 IMG_14248.jpg ――そういうところで話が合うんですね。 溜口 ありますね。こういうやつ嫌いだよね、とか。 ――ラブレターズのネタの特徴を一言で表すとしたら、どういう感じになりますか? 塚本 どうなんだろう、えーっと……「ねじれた青春コント」ですかね。明るい青春ではないです。 ――ちょっと心の闇を感じさせるような。 溜口 共感してほしい部分があるんです。僕らはこんなやつなんで、どうか皆さん応援してください、って。笑わせたいっていうより、こういう人もいるよ、僕らを見てくれよ、っていう感覚のほうが強い。教室の隅っこで頑張ってるやつもいるんだよ、っていうのをアピールしたいためのコントなのかもしれないですね。 塚本 だからやっぱり、僕らを好きって言ってくれる人はどこかねじれてるんですよ。 溜口 ネタを書くとき、「ラブレターズっぽい」とか考える? 塚本 考えるよ、一応。行きすぎたら、ああ、やばいやばい、ってなるし。ネタを考えるときには、溜口佑太朗というフィルターを通してどれだけマイルドに届けられるかな、っていうのを考えるんですよ。たぶん、ほかの人がこのセリフを言ったら引くだろうな、っていうところを溜口さんがキャラとか演技で笑える感じにしてくれるんで。それに頼りつつ、自分の言いたいことを代わりに言ってもらおうと思ってるんですけど、たまに「あっ、これを言わせたら、いよいよ僕は人としてダメだな」っていうのがあって。たまにあるでしょ? 溜口 あるね。マジでやばいよ、って。このDVDに収録されているネタでいうと「あの娘ぼくが笑顔見せたらどんな顔するだろう」とかは、特にそうですよね。 ――そのネタは、台本を渡されて溜口さんがドン引きしたそうですね。 溜口 ドン引きしました。ああ、もう終わりだな、って。行くとこまで行ったな、っていうのがありますよね。僕のフィルターをどんなふうに見てるのかわかんないけど、僕もそんなに分厚くないですから。 ――まあ、でも、かなり分厚いほうだと思いますよ。何を言ってもちょっとかわいく見える、みたいなところがありますからね。 溜口 いやいや、そのフィルターも今はこしすぎてカスカスになってますよ(笑)。 ――でも、「あの娘ぼくが……」のネタは、キングオブコントの予選でも披露されていたし、そこでも爆発的にウケていたし、結果的にラブレターズの代表作みたいになってますよね。 塚本 そうですね。だからもう、味しめちゃいますよ。 溜口 こういうのでお客さんが笑うからダメですよね。そうすると、塚本がまたこういうのを書いちゃいますから。お客さんも笑わずに、これはダメなんだって思わせないと。ああ、やっぱポップじゃないとダメなんだ、っていう考えにしないと。 ――最後に、このDVDのおすすめポイントを教えていただけますか。 溜口 100%ラブレターズのDVDなので、これで面白くないって言われたらそれはもうしょうがないな、っていう感じです。ハマる人はかなりハマってくれるという自信はあります。面白いっていうか、こういう人たちもいるよ、って伝えたいですね。 塚本 親戚がみんなDVD買いたいって言ってくれてるんですけど、ちょっと怖いんですよね。僕のヤバいとこがバレちゃうよ、って(笑)。 (取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田/撮影=名鹿祥史) ●ラブレターズ 塚本直毅と溜口佑太朗からなるお笑いコンビ。2009年結成。活動2年目の「キングオブコント2011」でファイナル進出、7位入賞。