
イメージ画像(「足成」より)
数年前から続く登山ブームに伴って、登山者は増加の一途をたどっている。特に「名山」といわれる山々では、経験の浅い登山客も増えている。長野県山岳総合センターが今年7~9月に行った調査では、北・中央・南アプルスでは入山した人の3割が登山歴2年未満という調査結果も出ている。また、今年世界遺産に認定された富士山ではピーク期に入山料を徴収する施策を行ったが、登山客は前年比の135%増と、大勢の登山客で混雑した。
これに比例して、山岳遭難の発生件数も過去最悪を毎年更新している。登山のメッカともいえる長野県では、10月時点で遭難件数が257件と、前年の254件を早くも超えており、新たな対策が検討されている。
遭難の時にやはり問題になるのが、捜索・救助費用である。警察などの行政機関による捜索や、ヘリコプターで救助された場合には、料金は無料。しかし、各地の県警が山岳救助のために準備している人数では、手が回らない。そのため、民間の山岳遭難防止対策協議会などの団体に協力を要請することになる。これらの組織は、地元の登山家や山小屋従業員など、地域の山や気象に詳しい人々で構成されている。ただし、この部分は有料。しかも、遭難救助は危険が伴う作業なので、高額な日当が設定されている。一人当たりの日当は夏山でも3万円あまり。冬山だと5万円あまりになる(もっとも、二重遭難の可能性も高い冬山でも5万円で駆けつけるのだから、むしろ安い)。
さらに、状況によっては民間のヘリコプターによる救助が必要となるが、こちらはさらに高額で「1分当たり1万円」が相場だとされている。
つまり、一度遭難すると、場合によっては数百万円の費用がかかってしまうこともあるのだ。無事に救助されて、自分で支払うのもキツいが、最悪の場合には遺族に多大な負担を強いてしまうことにある。
楽しい登山が最悪の状況になってしまうのを防ぐ方法は、登山保険に加入することだ。
登山ブームに伴って、山岳保険の数は増えている。例えば、アウトドアメーカーのモンベルでは、ハイキングやトレッキングなどの軽い登山から、本格的な登山まで各種の保険を販売している。また日本山岳会でも、入会すれば会員向けの山岳保険に加入できる。この保険は「おおむね6000メートルまでの山およびトレッキングの場合は、死亡・後遺障害および入・通院保険金は支払いの対象」と、カバーしている範囲は広い。
ただ、こうした本格的な登山を前提とした登山保険の保険料は、値段も高い。ハイキングからスタートして、ちょっと高い山も目指してみようと考えている登山者は、加入に躊躇することもあるだろう。
そうした場合に考えたいのが、日本山岳救助機構が行っている会員制度。これは、国内の山に限定して、捜索・救助費用を会員の分担でまかなうというシステムである。保障の上限額は330万円と定められていて、相当ひどい遭難をしなければ、カバーできる。おまけに、年会費も2,000円+事後負担金(前年にかかった費用に応じて600~900円程度)と、極めて安い。筆者もこの会員になっているのだが、毎年更新時期になると、案内と共に費用を負担した救助の事故状況と結果のリストが送られてくる。このリスト、淡々と事故状況と結果が書かれているのだが、中には当然「死亡」と記されているものも。いくら、遺族に負担をかけないとしても、わざわざ救助に来てもらって、助からないと救助してくれた人にも悪い……。
山に行くなら、まず遭難対策は当然だね。