
「MOTOツーリング Vol.12」2013年8月号(内外出版社)
「若者のバイク離れ」なるものが深刻だという。日本自動車工業会の調査によれば、2003年度に39.9歳だったライダーの平均年齢は、11年度には48.5歳に上昇しているという。
新規ライダーがあまり増加しない中で、バイク雑誌も以前ほどは売れず、苦戦を強いられているという話も。
そんな中、一部のライダーの中で話題になったのが、バイクツーリング専門誌「MOTOツーリング」(内外出版社)が最新の2013年夏号から判型を変更したことだ。通例、雑誌が判型を変更するのは、結構な一大事。ありがちな理由は、雑誌が売れていなくてリニューアルを図る場合、もしくは値上げの言い訳というもの。やはり、ツーリング雑誌も苦境に立たされているのか?
ところが、バイク雑誌関係者の見方は違う。
「バイクツーリング雑誌は、今から20年ほど前の北海道ツーリングがブームだった頃に生まれたものです。当時はどの雑誌も、A5かA5変形判でした。というのも、ライダーは雑誌の地図を見ながら走ります。通常はタンクバッグに差し込むのですが、当時はA4サイズを差し込めるタンクバッグはありませんでした。ですから、サイズはA5で固定されていたんです」
ここ20年ほどの間にタンクバッグも進化し、主流はA4サイズへと変化した。それに加えてライダーも高齢化したので、文字が大きいほうが読みやすい。さらに、大判にすれば写真も大きく掲載したり、ビジュアル面でも読んで楽しめるレイアウトにすることができる。そこで、バイクツーリング雑誌も、伝統的なA5サイズからA4サイズへの移行を検討している。その先陣をきったのが「MOTOツーリング」というわけだ。
ただ、もちろん使いやすさばかりが理由ではない。
「判型を大きくすれば、値段を上げることもできます。でも、それで黒字が増えれば読者に還元できるわけですから、むしろいいことではないでしょうか」(同)
「MOTOツーリング」の場合、値段は490円から200円アップの690円。わずか200円で読みやすく使いやすくなるのなら、読者としても言うことはないだろう。
さて「若者のバイク離れ」が深刻とされ、新規登録台数だけで見るとライダーは減少しているように思えるが、実際には中古バイク市場は活発だという。つまり、ライダーは減少し高齢化する一方ではなく、若者も昔ほどではないにしても、一定数が参入を続けているのである。
そうした中で、バイクツーリング、あるいはバイクと共に旅することは、ライダーにとっては憧れの楽しみ方。いま最も売れているバイク雑誌といわれる「VIBES」(新アポロ出版)は、ハーレーを中心としたアメリカンバイク雑誌だが、バイクそのものではなく、バイクと共に旅する楽しみも数多く扱っている。
バイクは単にチューンナップしたり、街中で人に見せて楽しむだけのものではない。バイクをツールに使って、まだ見ぬ土地へと向かう、それこそがバイクの醍醐味だと、多くのライダーは知っているのだ。
さらに、バイクと旅こそが、これから先のライダーの増加のカギになるかもしれない。
「徒歩、自転車、バイクと、旅の楽しみ方はさまざまです。ところが、旅やツーリングを楽しむ人にはジャンルを超えた行き来があるんです。自転車で楽しんでいた人がバイクに乗り換えたり、その逆もあります」(同)
長らく旅は自転車と決めてきた筆者だが、この記事を書くために「MOTOツーリング」を購入してみたところ「バイク旅もよいのではないか」と考え始めた次第(なお、脚でこぐかエンジンがついているかの違いなので、自転車旅にも応用できるのが吉)。いずれにしても、旅はたとえ日帰りでも人生を豊かにしてくれるもの。まずは、バイクツーリング雑誌で机上旅行だけでも楽しんでみないか?
(文=昼間たかし)