
(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
日本最大級のアニソンライブイベント「Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-」が、8月23日から25日の3日間にわたって、埼玉県・さいたまスーパーアリーナにて開催された。2005年にスタートした「Animelo Summer Live(以下、「アニサマ」)」だが、年々規模を拡大。今年は3日連続開催、そして61組(セッション、ゲスト含む)ものアーティストが出演と過去最大のスケールに到達。まさに日本のアニメソングの「今」を象徴するステージが繰り広げられた。
今回はこのライブの模様を、各日ごとに振り返ってみたい。
■フレッシュな歌声が響く初日
アニサマ2013初日となる23日を一言で例えるなら、「アニメソングの最先端」だろう。毎年、フレッシュな人材が続々と誕生するアニソン界。その中でも、いま最も勢いのあるメンバーがスタートダッシュを飾った。
オープニングを飾ったのは茅原実里とALI PROJECTの宝野アリカという異色の豪華コラボ。彼女たちに続いて登場したのは、いまやアイドル界の頂点に君臨したといっても過言ではない「ももいろクローバーZ」だ。2年ぶり2度目の参加となる彼女たちが、アニサマ本編のトップバッターを飾った。
デビュー以来、頻繁にアニメタイアップ曲を歌ってきたものの、実際にアニメファンの前で歌う機会は、そんなになかった彼女たち。この日のステージも、正直いってかなりアウェーな現場ではあったが、来年劇場版公開が決定しているアニメ『モーレツ宇宙海賊』のOP主題歌「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」の全力パフォーマンスが披露されると、フロアのテンションは一気にヒートアップした。
その後も、フレッシュなアーティストの出演は続く。
Ray、三澤紗千香、ZAQ、earthmindなど、ここ1~2年のデビュー組が続々と登場し、フロアを盛り上げる一方、アニソンシンガーとしての30年以上のキャリアを誇りつつも、一向に衰えることのないフレッシュなシャウトを聴かせる串田アキラが登場。
現在放送中のアニメ『トリコ』主題歌や、特撮ソングのスタンダード「宇宙刑事ギャバン」を熱唱する。さらに、ここで再びももクロが登場! 『キン肉マン』キャラのコスプレで登場した5人は、アリーナのサブステージ上に作られたリングで、激しいバトルを繰り広げつつ「キン肉マンGo Fight!」(アニメ『キン肉マン』OP)をコラボ。熱いパフォーマンスに、会場は大きな盛り上がりをみせた。
後半のトップバッターは、2013年最大のブレイク作『ラブライブ!』から生まれた声優アイドルユニット「μ’s(ミューズ)」。アニメPVとまったく同じ振り付けで踊る9人に、フロアの声援も割れんばかり。二次元と三次元がクロスオーバーするステージに、会場は大きな感動に包まれた。
そして、この日のMVPを進呈したいのが、鈴木このみだ。弱冠16歳、デビュー2年目という彼女だが、伸びやかなボーカルと堂々たるステージングでフロアを圧倒。特にキバオブアキバのボーカルふとし、ZAQとのコラボで披露した最新曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」(アニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』OP)の力強さは、特筆すべきだろう。超ラウドなバンドサウンドに負けない透明感あふれる歌声には、彼女の持つ無限の可能性を感じずにはいられない。
この日のトリを務めたのは、茅原実里である。今年、個人事務所を立ち上げ、声優としても歌手としても心機一転し、新たなスタートを切った彼女は、10月スタートの新アニメ『境界の彼方』OP主題歌「境界の彼方」を初披露。爽快なロックサウンドに乗せて、みずみずしい歌声を会場に響かせた。

(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
■バンドサウンドと熱いパフォーマンスで、ガッツリ盛り上がった2日目
華やかなステージが展開した初日に対し、2日目のテーマは「パワフルなパフォーマンスと、バンドサウンドによる見ごたえあるライブ」だったのではないだろうか。その方向性は、angelaとZweiのコラボによるオープニングアクト「バリバリ最強No.1」(アニメ『地獄先生ぬ~べ~』OP)で明確に示されていた。
続いて登場したのは、2年ぶりの出演となるflipSideだ。出世曲「only my railgun」(アニメ『とある科学の超電磁砲』OP)をラッパー・motsuとコラボし、会場を大きく盛り上げた。
さらにサブカル趣味全開の個性派声優・上坂すみれ、「蟹蟹蟹蟹!」という謎の蟹押し曲「カニ☆Do-Luck!」(アニメ『あいうら』OP)を引っ提げて登場した「あいう(はーと)らぶ」、「ニコニコ動画」からデビューを果たした男性シンガー・Geroなどがノンストップで登場し、力強いライブを展開した。
怒涛の序盤戦を終え、中盤に差し掛かると、今度はハードなバンドサウンドによるステージが続く。
まずは、オープニングでも活躍した女性2人組のロックユニット・Zweiが、アニメ『ROBOTICS;NOTES』OP「純情スペクトラ」を叩き込むと、意外にもアニサマ初出演の中島愛がパンキッシュなガールズポップ「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」(アニメ『琴浦さん』OP)でキュートな歌声を聴かせる。
また、タイムボカンシリーズでおなじみのシンガーソングライター・山本正之が、女性声優ユニット「七森中☆ごらく部」やアイドルグループ「アフィリア・サーガ」とのコラボで「逆転イッパツマン」「ヤッターマンの歌」でオールドアニメファンを感涙させたかと思えば、声優・鈴木達央ことTa_2とペインター・Yorke.による異色のロックユニット・OLDCODEXが現在話題沸騰の水泳アニメ『Free!』OPテーマ「Rage on」で最高にエモーショナルなバンドサウンドを披露した。
「プロデューサーさん! アニサマですよ、アニサマ!」
中村繪里子の元気な声がアリーナに響き渡る。
ゲーム『アイドルマスター』から生まれたユニット「アイドルマスターミリオンスターズ」が8年間かけて培ってきた匠のライブで会場を盛り上げた後、今年メジャーデビュー10周年のangelaが「僕じゃない」(アニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』ED)、「KINGS」(アニメ『K』OP)のほか、デビュー曲をはじめとする代表曲5曲のメドレーを演奏。ハードロックとシンフォニックなアレンジが融合した、angelaサウンドがアニサマ2013全体の折り返し地点を壮大に盛り上げた。
2日目終盤戦には、シークレットゲストとして土屋アンナが出演。『仮面ライダーフォーゼ』OPテーマ「Switch On!」を熱唱したほか、アニソン界の誇るロックディーヴァ・LiSA。そして武道館、横浜アリーナを制覇し、来年にはアニサマ2013の会場であるさいたまスーパーアリーナをワンマンで埋めてしまおうという最強のアニソンロックユニット・GRANRODEOがヒット曲を立て続けにドロップする。
クライマックスでは、GRANRODEOのライブでは定番となっているデビュー曲「Go for it!」における「I.G.P.X」コールが何度も炸裂。名実ともにアニソン界随一のライブバンドとして君臨する彼らの、王者の風格を感じさせるアクトであった。

(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
■問答無用のヒットチューンが連発! 3三日目
「アニソン&声優ソング ヒットパレード in 2012~2013」
アニサマ3日目を例えるならば、そんなところだろうか。
宮野真守、水樹奈々という声優界のツートップのコラボでスタートした3日目。本編の一番手は、12年、13年と電波な主題歌でアニソン界の話題を席巻したアニメ『這いよれ! ニャル子さん』シリーズの主題歌を歌う声優ユニット「後ろから這いより隊G」だ。「太陽曰く燃えよカオス」「恋は渾沌の隷也」とヒットナンバーを連発すると、フロアからは「うー!にゃー!」「SAN値!ピンチ!」の合唱がスタート! 驚異の一体感がさいたまスーパーアリーナを包み込んだ。
その後も、ゆいかおり、鈴村健一、小松未可子、日笠陽子ら人気声優や、いとうかなこといった人気シンガーが続々登場。
この盛り上がりは、『ジョジョの奇妙な冒険』第1部OPテーマを歌った富永TOMMY弘明の登場で、最高潮に達する。王道のヒーローアニメソングを思わせる疾走感あふれるサウンドと、ソウルフルな富永のボーカルが冴えわたる中、曲クライマックスでは観客全員を巻き込んだ「ジョオオオオォォォォォォジョオオ!」の大合唱が発生。「誰もが知っている」アニメソングを「みんなで歌う」感動と興奮に、誰もが酔いしれた。
ゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズから生まれた「平均年齢36歳」(一十木音也役・寺島拓篤のMCより)の男性アイドル声優ユニット「ST☆RISH」が登場した辺りから、グランドフィナーレに向けて会場の熱気はさらに上昇し始める。爆音と共にST☆RISHが登場すると、「こんなに会場に女性がいたの!?」と思うほど、かつてない黄色い歓声が響きわたる。
そんな彼らは、「マジLOVE2000%」「マジLOVE1000% -RAINBOW STAR ver-」を披露。先日テレビ放送を終えたばかりのアニメ第2期最終話を思わせる粋なセットリストに、いつしか女性のみならず男性客もノリノリに! さらに畳み掛けるように喜多村英梨、南里侑香、宮野真守、スフィア(豊崎愛生、戸松遥、寿美菜子、高垣彩陽による女性声優ユニット)と人気声優が続々登場。
この盛り上がりがピークに到達したのが、ゆかり王国のお姫様にして永遠の17歳・田村ゆかりのステージだ。彼女が登場すると、会場のサイリュームはたちまちピンク一色に! 彼女がしゃべれば、「ゆかりーん!」「ゆか!ゆかーーーーー!」と王国民(田村ゆかりのファンのこと)が声を張り上げる! 彼女が歌うと、リズムに合わせて観客も一斉にジャンプ!(そして、さいたまスーパーアリーナが揺れる!) とにかく、会場の一体感がハンパない。ゆかり王国、今年もさいたまスーパーアリーナを完全制圧である。
アニサマ2013の大トリを務めたのは、もちろんアニソン界のトップシンガー・水樹奈々だ。雄大なスローバラード「愛の星」(劇場版『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章』ED)で、フロアを一旦クールダウンさせた彼女は、ここからラストに向けて「Vitalization」「Synchrogazer」と、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの主題歌を立て続けに披露。ツインドラムがズンズンと刻む力強い音圧と、ストリングスによるシンフォニックな旋律が、ドラマティックなサウンドスケープを描き出す。その中でも水樹のボーカルは、凛と響きわたり、大きな存在感を示す。どんな楽曲、どんなサウンドの中にあっても決して埋もれることのないワン・アンド・オンリーな彼女のアクトは、アニソン界を背負って立つ歌姫としての自信に満ちあふれていた。
かくして各日およそ5時間。累計15時間に及んだアニサマ2013は、連日2万7000人のオーディエンスの声援に支えられながら見事フィナーレを迎えた。
***
個人的に印象深かったのが、初日、ももクロから次の「アイドルマスターシンデレラガールズ」へのつなぎである。「今何時?」と、ももクロが話題を振ると、ステージ上のスクリーンに11時55分を指す時計が出現。やがて時計の針が12時を指すと、間髪入れずにアイドルマスターシンデレラガールズが登場したのだ。「シンデレラ」というネーミングにひっかけたネタなわけだが、今回のアニサマはこんな具合に幕間の演出にも強いこだわりが感じられる場面が頻出していたような印象を受ける。
そのほか、場面転換の際に、各アーティストのワンマンライブで使用されているSEや映像を多く取り入れていた点も素晴らしかった。そのおかげで、まるで各アーティストのワンマンライブを立て続けに見たかのような(実際には、2~3曲のステージなのだが)充実感を得ることができたのは、筆者だけではないだろう。
各日ともそれぞれ明確にテーマを打ち出し、「新旧のアニメソング」のパワーを再確認しつつ、各アーティストの魅力を限界まで引き出した今年のアニサマは、今後の同イベントにおける新たなスタンダードとなることだろう。終演後、来年も8月29~31日にかけて、同会場でアニサマ2014が開催されることが発表されたが、今年以上に熱いライブが炸裂することは間違いない。そんな確信と期待を覚えずにはいられない、最高の3日間であった。
(取材・文=有田俊)