嵐の“打たれ強さ”はどこから来る? メンバー間の関係性から読み解く

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体型の変化がたびたび話題となる櫻井翔だが、人気は衰えず。

【リアルサウンドより】  が12月4日に放送された『2013FNS歌謡祭』(フジテレビ)にて、口パクのパフォーマンスをしたという指摘が広まり、ネット上で話題となっている。また、櫻井翔が若干太ったことを指摘する声も散見される。嵐に対してこのような声が起こるのは特別珍しいことではなく、生歌を披露した際はその歌唱力が疑問視され、「スケルトン衣装」のような変わった衣装を着れば、やはり一定の批判的意見があがる。  しかしながら、嵐の人気は一向に衰える気配はなく、さまざまな歌番組で起用され、お茶の間の人気者であり続けている。いったいなぜ、嵐はあらゆる批判をものともせず、安定した人気を保ち続けているのか? その理由を、ジャニーズの内部事情に詳しい芸能ライター・ジャニ子氏は次のように分析する。 「嵐はジャニーズのグループには珍しく、メンバー間に“格差”がないんです。ジャニーズのグループは事務所の意向で、人気のメンバーにスポットを当てて、わかりやすく『今はこの子を推している』というのを提示する傾向が強いもの。最近だとKis-My-Ft2にその傾向が顕著ですが、Sexy ZoneやHey! Say! JUMPといった若手はもちろん、KAT-TUNやV6でも同様の“推し”はあります。ところが、嵐に関してはデビュー時から一貫して格差がなく、テレビに映るときもメンバーの誰かがないがしろにされるということはありません。それゆえ、ファンは嵐というグループ全体を応援することになり、彼らの安定した人気を支えているのです」  グループ内の“平等”は、嵐に別のメリットももたらしていると、ジャニ子氏は指摘する。 「メンバー同士には、フラットな関係性がうかがえます。たとえば相葉くんがちょっとふざけたことを言っても、メンバーはちゃんとそれに応え、みんなで笑っていたりします。嵐にはグループを脱退したメンバーがいませんが、それはメンバー同士が対等で、風通しの良い関係性を築けているからかもしれません。また、脱退したメンバーがいないということは、過去の写真や映像を使って『グループの歴史を振り返る』的な企画が作りやすくなり、ファンに与えられる情報量が多くなります。これは大きな強みではないでしょうか」  実際、嵐の場合はテレビ番組で過去のエピソードが語られたり、書籍や雑誌でヒストリー的な特集が組まれることも多い。この部分は、“脱退メンバー”話がタブーとなりがちな他のグループにない強みといえる。 「嵐の場合は、デビューから現在まで、グループのストーリーをしっかり読むことができます。感動のエピソードもあれば、ユニークなエピソードもたくさんあり、ファンはより深く嵐を好きになれる。そうすると、口パクや多少のルックスの変化といった、表層的な部分の批判で、ファンが彼らに幻滅することなどないのでしょう」  嵐がファンを魅了し続けている背景には、広く共有されてきたグループの歴史や、メンバー間のフラットなやりとりが、ファンとの絆をより強固にしている面もありそうだ。 (文=松下博夫)

アイドル界の主流は「グループ」から「ソロ」へ!? 飛躍間近のスター候補たち

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東京女子流『ROAD TO BUDOKAN 2013 ~ちいさな奇跡~ (CD+DVD)(Type-A)』(avex trax)

【リアルサウンドより】  今回は「ソロ・アイドル」について書きたいと思います。女の子のことしか書きません。ご容赦ください。  2007年以降、Perfumeがアイドル復権の旗印を掲げ、AKB48グループがブームを作り、ももクロがブレイク、ハロプロ系も大逆襲、その他バラエティに富んだ新興勢力が台頭し、群雄割拠のアイドル戦国時代はいまだ活況を呈しています。モーニング娘。が2013年の紅白歌合戦出場に落選したことで、「アイドル・ブームは1年延命した」という識者の見解もあります。  でも、ほんの6~7年前までは「アイドル=グラビア・アイドル」で、みんな乙葉のカレンダーとかアッキーナの写真集とか買って、それをアイドルと呼んでいましたよね。それが今では「アイドル=集団で歌い踊る女の子たち」というイメージに変容しました。世相は移ろいやすく、諸行は無常でございます。  もし、このグループ・アイドル・ブームが終息するなら、次は「ソロ・アイドルの時代」が来るような予感がします。  時代を遡ると「アイドル=ソロ」が当然の時代がありました。キャンディーズやピンクレディーといったモンスター・ユニットは別として、おニャン子クラブのブレイク以前は基本的に「アイドル=フリフリの衣装で歌う1人の女の子」という図式でした。資料を紐解きますと、80年代に大ヒットしたおニャン子関係以外のアイドル・グループはWinkぐらいのようです。  それに、大勢のメンバーを抱えているアイドル・グループはいろいろな面で運営が大変だろうと思います。学業と両立しているメンバーも多いでしょうから、所属事務所は試験シーズンのブッキングなどに苦心されているのではないでしょうか。そして、なにより人数が多ければ多いほど経費がかさむでしょうから、財務的にも苦労が多いはずです。  これは仮説ですが、今後、グループの中でサバイバルが起こって「本当に能力が高くて人気のあるメンバー」だけが生き残り、自然淘汰的にグループ・アイドルからソロ・アイドルの時代に移り変わる時期がやってくるのではないでしょうか。この仮説はいま私が考えたものですが、それほど荒唐無稽だと思いません。  たとえば、私は以下のメンバーがソロで活躍するステージを見てみたいです。 ■新井ひとみ(東京女子流)  年齢非公表でデビューした東京女子流ももうすうぐ結成4年。ひーちゃんは最年少で現在15才と発表されました。めきめきと色っぽくなっていく女子流の中でも圧倒的なキュートさでセンターを張り続け、特徴のある甘い歌声をもってすれば、ソロ・シンガーとしてもじゅうぶん売れるでしょう。 ■和田彩花(スマイレージ)  相変わらずシャッフル・ユニットが活発なハロー!プロジェクトですが、ソロへ転向というケースは少なくなりました。もちろんグループでしかできない表現がたくさんあり、それはそれで実に強力ですが、あやちょや矢島舞美(℃-tue)といったリーダー級は、将来を考えると、そろそろソロ・デビューしたほうがいいのではないかと思ってしまいます。 ■外崎梨香(Doll☆Elements)  今年7月にメジャー・デビューした5人組「どるえれ」ことDoll☆Elements。人気急上昇のグループの中でひときわ目立つ美女です。アイドルというよりも女優のような顔立ちで、歌声も大人っぽく、ソロ歌手としてもぜひ見てみたい逸材です。 ■平祐奈(おはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!)  テレビ東京系『おはスタ』をベースにするグループのメンバー。15歳とは思えない大人びた美貌と、アイドル・テイスト全開キャラのギャップが魅力です。姉である女優、平愛梨を超えるような大スターになる予感がします。 ■中西悠綺(Tokyo Cheer2 Party)  関西訛りが可愛いゆうきの太陽のような笑顔は、チアチアのシンボル的存在です。20人ものメンバーがいるチアチアでも常に目立っていて、ステージを見ていても、ついつい彼女の姿を追いかけてしまいます。 ■増井みお(PASSPO☆)  あらゆる面でハイクオリティなPASSPO☆はアイドルのすべてを備えたスーパー・グループだと思います。グラビアなどではすでに単体の活動が始まっていますが、特にみおみおはソロでじっくり鑑賞したいと思わせるキュートなスターです。 ■高月彩良(bump.y)  もともと女優として活動している5人組で、すでに全員がソロ・アーティストだと考えてもよいbump.y。中でも見るたびに美しくなっていくのが高月彩良です。16才とは思えない彼女の風格に、底知れぬポテンシャルを感じます。 ■荻野可鈴(夢みるアドレセンス) 「国民的大女優を目指す下積みガールズユニット」というキャッチフレーズ通り、将来的なソロ活動ありきで出発している「夢アド」は、当然アベレージ以上の美少女揃い。18才とは思えないロリータっぷりが超絶キュートなかりんちゃんのスター性に注目です。 ■信岡ひかる(ライムベリー)  3人のラッパーを擁するアイドル・ユニットでDJ役を務める彼女ですが、その母体であるusa☆usa少女倶楽部で見せたソロ・シンガーとしての実力は忘れがたいものがあります。ライムベリーでのクールさと、アイドル然とした歌声の美しさのギャップが魅力的です。 ■廣田あいか(私立恵比寿中学)  エビ中は全員が高いポテンシャルを持っています。鈴木裕乃は女優として大成しそうですし、松野莉奈の美貌は国際的に通用しそうです。ソロ・アイドル歌手として可能性を感じさせるのは「ぁぃぁぃ」こと廣田あいか。彼女のとびきり個性的かつパワフルな歌声がJ-POP界を席巻するのを見たいです。   もちろん、今、活躍しているソロ・アイドルもたくさんいます。ハロプロ系列の真野恵里菜、吉川友、田崎あさひ。先鋭的なテクノ・サウンドとキュートなキャラクターの、いずこねこ。ニコ生からブレイクした、なあ坊豆腐@那奈。インディー・アイドルの女王と呼ばれこの夏メジャー・デビューしたピン・アイドルの鑑、小桃音まい。圧倒的な存在感で古き良きアイドルを彷彿させる武藤彩未は、元さくら学院の初代生徒会長です。  虎視眈々と次世代を狙うソロ・アイドルたちと、人気グループから独立してデビューする猛者たちがしのぎを削る、そんな「ソロ・アイドル戦国時代」はやってくるでしょうか。アイドルファンのみなさんはどう思われますか? ■山口真木(やまぐち・まき) 大阪出身の27才、OL。ポップスとロックと女の子をこよなく愛する。何かに毒づいてばかりの思春期まっただ中。会社の仕事が忙しくて集中力が切れ気味。「集中力売ってる自販機ないかなぁ」とつぶやいたら、同僚が「ポ○リスエット500mlを半分飲んでからレッ○ブルを注ぎ足してチビチビ飲むといいよ」と教えてくれました。確かに翼を授けられた気分。でも糖分も高いから飛べないよー。

『FNS音楽祭』で三谷幸喜が見せた狂気 カンパニー松尾監督が“リアルの凄み”を指摘

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華原朋美『DREAM-Self Cover Best-(初回限定盤)』(ユニバーサルJ)

【リアルサウンドより】  『2013FNS歌謡祭』(フジテレビ系)が12月4日19時から4時間生放送され、その内容の濃さが各方面で話題となっている。  同番組は、きくち伸プロデューサーが率いるフジテレビバラエティ制作センターの音楽番組制作スタッフ班「音組」が手がけた年末特番。生歌によるパフォーマンスや異色のコラボレーション、ミュージシャンたちの背景まで盛り込んだ内容で、視聴者を惹きつけた。  とくに、華原朋美小室哲哉が15年ぶりに共演を果たしたシーンと、それに続く三谷幸喜の爆笑パフォーマンスの“テンションの差”には注目が集まり、ネット上では「せっかくの感動のシーンが台無し。ほとんど放送事故(笑)」「これはどこまで演出?」「三谷幸喜ってすごい人なんだな」と、さまざまな感想が上がっている。  カンパニー松尾監督もまた、同番組に感銘を受けたひとり。ツイッターでは、映像作家ならではの視点で、同番組を称えていた。そこで急遽、編集部では監督に取材、番組の魅力について語ってもらった。 「『FNS歌謡祭』は好きな番組なので、毎年観ているんですけど今年はすごかったですね。この番組の何が面白いかというと、なんと言っても生放送なところ。しかも実際に生歌を披露するから、歌手によってはあまり歌が上手ではない場合もあるのですが、それも面白いところです。アイドルが実は音痴だったりするのは、魅力のひとつでもありますから。また、普段はあまりテレビに出ないロック系のひとが、ふと登場したりするのもいいです。個人的な話になりますが、田島貴男さんのファンなので、彼の姿を生放送で観ることができたのは素敵でしたね」  また、華原~三谷のシーンについて監督は、「奇跡的なシーンだった」と熱弁する。 「小室さんと華原さんの組み合わせは事前から発表されていたので、注目していたのですが、まさかあんなシーンが観られるとは。小室さんの歌詞には昔からぶっ飛んだところがあって好きなんですが、今回披露した『I'm proud』と『I BELIEVE』の歌詞は、10数年の時を経て見事にハマっていました。当時は『愛人に提供した曲』として色眼鏡で見られていたところもありましたが、紆余曲折を経た今の彼らが歌うと感動的です。しかも、華原さんの美貌は相変わらず。二人の歩んできた数々のドラマが、こういう風に結実するとは、芸の世界は懐が深いですね。人間の凄みを見ました」  感動のシーンの直後、三谷が調子はずれに歌い始めたことについても、監督は絶賛している。 「あのまま進んでいたらお涙ちょうだい的な感じになったかと思うんですけど、そこに三谷さんが出てきてすべてをぶち壊してくれた。三谷さんは演出家なので、なにをどうしたら面白いか、自分で演出していると思うんです。ただの美談で終わらせないところが、芸能界の奥深さを感じさせて良かったですね。制作側もある程度展開を予想して構成しているのでしょうが、あのシーンの“落差”は予期せずして起こっちゃった感じ。たぶん、華原さんが小室さんに述べた言葉は、台本のない素直な言葉だったと思うんですよ。だから人の心を打つものがあったし、予想以上に感動のシーンになった。そして、その後に三谷さんが振り切ったパフォーマンスをしたから、みんなビックリしたんじゃないでしょうか。今回の『FNS歌謡祭』には、演出や構成を越える、リアルの凄みを感じました。もはやドキュメンタリーですよね」  話題性のあるコラボレーションに加え、予想外の展開にも注目が集まった『2013FNS歌謡祭』。同番組が人々を惹きつけてやまないのは、その番組の中でしか起こりえないドラマがあるからかもしれない。 (文=編集部)

復活エレカシが木村拓哉と共演 名曲『今宵の月のように』を高らかに歌い上げる

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『2013FNS歌謡祭』公式ホームページ

【リアルサウンドより】  年末恒例の音楽番組『2013FNS歌謡祭』(フジテレビ系)が、12月4日19時より生放送された。今年は、ジャニーズからはSMAP、、KinKi Kids、TOKIOなどのベテラン勢に加え、Sexy ZoneやKis-My-Ft2、Hey! Sey! JUMPなどの若手も登場。アイドルグループはAKB48グループ、ももいろクローバーZ、E-girls、乃木坂46などの人気グループが揃った。ダンス系では、EXILEやGENERATIONS、TRFなどが名を連ね、ロックバンドではLUNA SEA、スキマスイッチ、エレファントカシマシ、OKAMOTO’Sなどが出演した。ほか、きゃりーぱみゅぱみゅ、コブクロ、小室哲哉槇原敬之、和田アキ子など、ジャンルや世代の垣根を越えてさまざまなミュージシャンが集い、それぞれ趣向を凝らしたパフォーマンスを披露した。  『FNS歌謡祭』は、異色の組み合わせによる共演や、意表を突いた選曲、音楽監督である武部聡志氏を中心とする統一感のある演奏などが見どころ(参考:『FNS歌謡祭』にLUNA SEA、エレカシらが出演決定 まろやかな武部サウンドとの相性は!?)。「奇跡のコラボレーションメドレー」と題されたコーナーでは、80年代に一世を風靡した斉藤由貴とAKB48の渡辺麻友が「卒業」を共に歌ったり、西野カナが水樹奈々とともに「Always」を熱唱したり、郷ひろみがももいろクローバーZをバックに従えて「林檎殺人事件」を披露したりと、まさにこの番組でしか観ることができない組み合わせのメドレーが実現した。また演奏面では、水樹奈々とT.M.Revolutionが歌う「WHITE BREATH」のキーボードを浅倉大介が務めたり、AKB48の「ハート・エレキ」にTHE ALFEEの高見沢俊彦がギターとして参加したり、相川七瀬がSKE48と歌う「BREAK OUT!」のギターを音楽プロデューサーの織田哲郎が演奏したりといった豪華な演出も見られた。 華原朋美は、かつての恋人であり、ミュージシャンとしての道を歩むきっかけを作った小室哲哉と共演し、代表曲である「I'm proud」と「I BELIEVE」を続けて披露。華原は「どうしてあんなに素直に夢が見れなくなってた?」「会えなさそうで会えそな気がしてたから生きてた…」といった詞を、小室の顔をしっかりと見据えながら歌い上げた。華原は歌唱の後、声を震わせながら「小室さん、今まで迷惑と心配ばかりかけてすみませんでした。これからはちゃんと前を向いて歩いていけそうです。今日は本当に楽しかったです、ありがとうございました」と話し、小室はそんな華原に対し「頑張ってね」と声をかけた。華原にとっては、長年のわだかまりが解けた瞬間だったのかもしれない。  後半のハイライトは、木村拓哉とエレファントカシマシの名曲コラボだ。ボーカル宮本浩次の左耳疾患による1年近い休養を経て、今年9月の日比谷野外音楽堂公演で復活を果たしたエレファントカシマシ。彼らの1997年の名曲「今宵の月のように」を、ギターを抱えた木村拓哉がアカペラで歌い出す。そこに宮本の歌声とバンドの演奏が加わり、スタジオには張り詰めた空気が生まれた。バックには武田真治がサックスで加わり、演奏は次第に熱を帯びていく。木村拓哉のボーカルは、宮本への敬愛を感じさせるオーソドックスなもの。宮本もそれを受け止めながら、伸び伸びとした歌声を披露した。歌い終えて握手を交わした二人は、演奏中のシリアスな表情から一転、ホッとしたような笑顔を見せた。成熟した大人のシンガーふたりの、実りあるコラボレーションだったといえよう。 (文=編集部)

乃木坂46が新センター堀未央奈で快進撃 持ち味の”演劇性”はAKB48の“リアル性”を超える?

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乃木坂46『バレッタ』(SMR)

【リアルサウンドより】  乃木坂46の7枚目のシングル『バレッタ』が発売初日、11月27日に34.7万枚を売り上げ、今週のオリコン週間ランキングで1位が確実視されている。前週発売のSKE48『賛成カワイイ!』の初日売上に迫る勢いを見せる乃木坂46。以前、本連載でも書いた通り、加入直後であった乃木坂二期生である堀未央奈をセンターに据えるという、『大声ダイヤモンド』AKB48に松井珠理奈を起用した時のような劇薬投入を行った本作(参考:乃木坂46の新曲センターに堀未央奈を大抜擢 劇薬的人事は“妄想の女子高”をどう変える?)。この試みは結果的に成功したといえるだろう。  前作『ガールズルール』では、センターのポジションが、デビュー時より担当していた生駒里奈から、『Ray』のモデルやフジテレビ系の『うまズキッ!』などに出演している白石麻衣へとチェンジ。明るく快活な少女たちのキラキラした最後の夏の思い出を、AKBフォーマットに近いアップテンポなサウンドで歌った。少女から大人へ。ちょっと浮ついた世界の楽曲には、白石の存在が適任であった。  そして、本作『バレッタ』では、蝶を比喩的に使い昭和歌謡のようなメロディアスで幻想的な世界を描いている。この幻想的な世界をさらに奥深くしているのが、本作でセンターを務めた堀の存在である。黒髪ストレートのロングヘアーに色白の肌、一点をじっと見つめるような眼差しが印象的だ。他の乃木坂メンバーと違い、ファンがキャラクターを把握出来ていないこともあり、とにかくミステリアスな存在感を放っている。この『バレッタ』の世界を摩訶不思議に仕上げる主人公としてはうってつけの人材だった。  乃木坂46の作品は映像的で、一つ一つの楽曲を一本のショートムービーのように捉えて制作しているように感じられることがある。そして、乃木坂メンバーからも、アイドルであると同時に“演者”としてのマインドを感じることが多い。乃木坂46には結成後、グループ特有のイベントとして“お見立て会”というものがあった。メンバーは集まった観客を前にステージ上の何もない場所で自己表現をし、それを観てファンたちが握手をする相手を決める、という趣旨のイベントだ。ミュージカル公演『16人のプリンシパル』では、たくさんの人の前で演技のエチュード(台本を使わずその場の受け答えを基に役者が動作や台詞を創造していく芝居)を行い、それぞれ役を獲得していった。これはもう、完全に演劇のオーディションである。  近年、新生東京パフォーマンスドールがデビューより定期公演で演劇をおこない、SUPER☆GiRLSを中心としたiDOL Streetが演劇公演を行ったりしているが、自覚的に演じるという意識に関しては、乃木坂46のメンバーに一日の長を感じる。  楽曲を作品と捉え、一作ごとに主演を立てる。少女漫画の主人公のように真っ直ぐな生駒里奈。青年漫画のヒロインのように、快活でちょっと大人な雰囲気をもった白石麻衣。角川映画のSF作品の主人公のようにミステリアスな堀未央奈。まだセンターには立っていないが、天才的才女の生田絵梨花や、コメディリリーフなら誰からも愛されるおバカキャラの松村沙友理だっている。乃木坂46という女子校的モラトリアムの中であれば、様々な展開と作品が生まれる可能性が見いだせるだろう。  乃木坂46が、SKE48を追随するグループにまで成長できたのは、現在主流となっているAKB48やももいろクローバーZなどのように、リアルなドキュメントを追体験させるのではなく、創作された物語世界に身をまかせて楽しむことができるという、新しい基軸の体験を提示できているからではないだろうか。 ■エドボル 放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

スケルトン、ふんどし、サンタ…ジャニーズの珍衣装は“芸の修業”の一環だった!?

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関ジャニ∞は「ふんどし」以外にもユニークな衣装を多々、披露している。

【リアルサウンドより】  が上半身が透けて見える「スケルトン衣装」を、11月29日放送の『ミュージックステーション』で披露した。関ジャニ∞もまた、ライブツアー『JUKE BOX』でふんどし姿を披露し、大きな反響を呼んでいる。いっぽうで、Kis-My-Ft2内のユニットである舞祭組(ブサイク)は、地味なスーツ姿で自虐的な歌を披露するパフォーマンスが、ファンの間で話題となっている。  ジャニーズといえば、華麗な衣装も魅力のひとつだが、最近では上記のようなユニークな意向を凝らしたケースも目立つ。ジャニーズの内部事情に詳しい芸能ライター、ジャニ子氏によると、そういった衣装を着るケースはほかにもあるという。 「今年の紅白出場が決まっているSexy Zoneの場合、『Sexy Summerに雪が降る』という曲で、残暑が残る時期からサンタクロースの衣装でパフォーマンスをし続け、ファンやほかのジャニーズ・グループからイジられていました。最近、事実上の解散となったNYCは、『ハイナ!』という盆踊り調の曲で、えらく地味なハッピ姿で歌い踊り、ファンの間で話題となったことがあります。Hey! Say! JUMPは、グループ内ユニットであるHey! Say! BESTが、「School Days」という曲のパフォーマンスの際に、黒縁メガネと学ランで“ガリ勉風”の衣装になっています。突っ込みどころのある衣装を着るのは、若手ジャニーズの間ではある種の“お決まり”になっているのではないでしょうか」  肌を露出するのも、若手のジャニーズの間ではさして珍しくないパフォーマンス だ。 「とくに関西ジャニーズJr.にその傾向が強いのですが、衣装が葉っぱ一枚だったり、下半身を曇りガラスで隠して、ステージの上で“全裸生着替え”にチャレンジするなど、肌を見せるパフォーマンスは多いです。ファンは女性がほとんどなので、そういったシーンで『黄色い声』を上げるのもお約束。メンバー同士がイチャイチャするシーンとともに、ファンの間では見どころのひとつとなっています」  ジャニーズがそういったお笑い的要素の強いパフォーマンスをする背景には、別の狙いもあると、ジャニ子氏は指摘する。 「そういったおどけたパフォーマンスは、ファンの間で人気が高いということもありますが、バラエティ番組でも通用するスキルを養おうとしている、という面もあるのではないでしょうか。たとえばSMAPのように、アイドルの枠を越えて活動するには、ただ美形でカッコイイだけでは足りません。面白みや人間味も必要になります。突っ込みどころの多い衣装や、身体を張ったパフォーマンスをすることで、芸に深みを出している、と言っても良いかもしれません」  SMAPのような国民的スターを目指すには、歌やダンスだけではなく、トークやお笑いのスキルも必要ということだろう。いまやアラサーとなった嵐が、ふたたび「スケルトン衣装」に挑戦したのも、本格的にバラエティ番組に進出し、SMAPに続くスターとなるための布石なのかもしれない。 (文=編集部)

アニソンがレコード会社の命運を握る!? 各社別のアーティスト勢力マップ

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Linked Horizon『自由への進撃 (通常盤)』(ポニーキャニオン)

【リアルサウンドより】  今年も紅白歌合戦の出場歌手が発表された。サカナクションら9組の初出場アーティストが出そろったわけだが、その中にLinked Horizonがいたことに驚いた人も多いのではないだろうか。彼らはサウンドクリエーター・Revo(幻想楽団 Sound Horizon)の別名義ユニット。深夜アニメ『進撃の巨人』のOPテーマ『紅蓮の弓矢』が大ヒットし、「今年最も売れたアニメソング」となっての出場だ。  これに限らず、近年アニメソングが注目を浴びる機会は増えてきている。それを受けて大手芸能事務所ホリプロは、昨年、声優やアニソン歌手の育成を目的とした「アニメビジョン開発室」を設置。他の大手事務所にも続く動きがあると見られる。今やアニソンは、レコード会社や芸能事務所にとっても重要なジャンルなのは明らか。そこで、どこにどんなアーティストが所属しているのか、改めて見ていきたいと思う。

ランティス

 アニソンと言えばここ!と言っても過言ではないほど、多くのアーティストが所属。また、ここから楽曲をリリースする声優も非常に多い。影山ヒロノブやJAM Projectら古参の面々から、スフィアやμ's(アニメ『ラブライブ!』の劇中にユニット)などのアイドル組、nano.RIPEらのバンド系までと、実にさまざなまジャンルのアニソンアーティストを輩出している。いまや人気プロデューサーとなったヒャダインも自身の音楽活動はランティスで行っている。

ポニーキャニオン

 古くからアニメ制作にも関わってきた同社。声優陣が担当キャラクターに成り代わって歌を歌う、いわゆる“キャラソン”にも強く、アニメ『けいおん!』の劇中ユニット「放課後ティータイム」の楽曲がアニソンの枠を越え、広く知られたことは記憶に新しい。冒頭でも触れたLinked Horizonもここに所属。人気声優の竹達彩奈、アニソン界では絶大な支持を誇る元チェキッ娘・下川みくにを擁する。

ソニーミュージック

 『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』などでJPOP起用を行い、アニソン界に新たな流れを作り出した。アジカンやL'Arc~en~Cielを起用した『鋼の錬金術師』以降は、傘下のアニプレックス制作のアニメで、自社系列のアーティストを起用することが多い(『宇宙兄弟』の奥田民生や秦基博もそう)。そういう意味で、ソニーに関してはアニソンとJPOPの差があいまいになっている感もあるが、ClariSやSupercell、Kalafinaなど、新時代のアニソン系アーティストとも呼べる気鋭も揃っている。注目は美少女シンガー・藍井エイル。歌唱力とビジュアルを兼ね備え、May’nや水樹奈々に匹敵するアーティストに大化けする逸材と見られている。

ビクターエンタテインメント

 アニメソングに特化したレーベル・flyng Dogを設立。アニソン界の巨匠・菅野よう子や梶浦由記ら、独創的な音楽世界を持つ作曲家を擁している。歌い手として人気が高いのは声優・坂本真綾や『マクロスF』のシェリル・ノームの「歌パート」を担当してブレイクしたMay’n、かつて梶浦とユニット「See-Saw」を組んでいた石川智晶など。

キングレコード

 水樹奈々や田村ゆかり、宮野真守ら音楽活動に積極的な人気声優たちのほか、アニメソングのカラオケランキング不動の1位となっている『残酷な天使のテーゼ』を歌った高橋洋子らが所属している。意外なところだと、相対性理論のやくしまるえつこ。彼女もソロとしていくつかアニソンをリリースしている。また、今年ここから歌手デビューした人気声優の上坂すみれは、個性的なロリータファッションやロシア好きという変わった趣味で今後の台風の目になりそうな予感。  アニソンに積極的なレコード会社をいくつかピックアップして見てきたが、このほかにも多くのレコード会社やレーベルがひしめきあっており、時代はまさにアニソン戦国時代とも呼べる活況ぶり。そこにきて重要視されるポイントが「いい人材を発掘する」ということから、「彼らをどう育てていくか」に移りつつあるように思う。人気のアニメ作品とのタイアップが取れるか、手厚いバックアップができるか、そのあたりがアニソンで成功するには必須というわけだ。アニソンとJ-POPとの垣根がどんどん取り払われている今だからこそ、売れるアーティストを生みだすための各社の手腕が問われる。 (文=板橋不死子)

SKE48が初の「セールス下降トレンド」に直面 次回作以降の巻き返し策はあるか?

【リアルサウンドより】

2013年11月18日~2013年11月24日のCDシングル週間ランキング

1位:賛成カワイイ!(SKE48) 2位:クルクル(E-girls) 3位:黒猫 ~Adult Black Cat~(Acid Black Cherry) 4位:未確認中学生X(私立恵比寿中学) 5位:Pinky Santa(BOYFRIEND) 6位:Re:(9nine) 7位:Shirayuki(MYNAME) 8位:SNOW DOMEの約束/Luv Sick(Kis-My-Ft2) 9位:Believe in Yourself!(palet) 10位:クリスマス・イブ(30th ANNIVERSARY EDITION)(山下達郎)  1位のSKE48は初週の推定売り上げ枚数が44.9万枚。これはこれで立派な数字だが、7月にリリースされた前作「美しい稲妻」が51万枚だったのに比して、大きく数字を落としていると言わざるを得ない。以下、過去作品の傾向を見ると1月リリースの前々作「チョコの奴隷」は53万枚、その前作にあたる昨年9月の「キスだって左利き」は51万枚といずれも50万枚を超えており、それを踏まえれば今作の下落ぶりはより目立つ。もっと言うとSKE48の初週売り上げ枚数が2作連続で前作割れとなったのは初めてのことで、つまりこのグループはCD売り上げ枚数において、結成以来初めての下降トレンドと言える事態に直面したことになる。  にもかかわらず多くのメディアは今作の結果について、「SKE48は今作で9作連続シングルチャート1位。これはピンク・レディーと並ぶ記録で、AKB48に続く歴代2位タイ」などと楽観的な話題を喧伝しているようだ。これはおそらく運営サイドからの売り文句をそのまま使っているだけなのだろうが、そうして単純なチャート順位だけに注目した情報を右から左に流してみても、グループがどんな状況にあるか正確に伝えているとは言えないのではなかろうか。  もちろんSKE48の運営サイドは、内部的にはこの結果を重く受け止めているはずだ。だからメディ アやファンとしてはシングル9作連続1位などというさして意味深くもない記録に興味を持つフリをするよりは、むしろ次回作以降に講じられるであろう巻き返し施策を期待して待つべきだろう。グループ自体がメンバー構成の移り変わりなどを経た変革期を迎えているのも事実で、それも勘考した次の一手をどう出すかが楽しみなところだ。  2位のE-girlsは初週売り上げ枚数が6.9万枚で、1位に比べると数字に開きがある。しかしEXILEグループの一角を担うグループとして共通する販売施策を豊富にそろえているのは注目に値するだろう。 特にEXILE系のグループはイベント会場などでカードを購入すると楽曲のダウンロード権が得られる「ミュージックカード」を使った販売数増を積極的に推し進めており、今作もメンバー別に全29種類ものカードが販売されている。複数形態のCDを販売するよりもはるかに安価に商品のバリエーションを取りそろえることができて大変にエコであり、ファンとしても買った後で置き場所に困ることもない。大手の音楽チャートがこのミュージックカードを売り上げとして積極的にカウントしていくのであれば、複数形態のCD販売が常態化しているアイドルシーンなどへますます普及していくかもしれない。  ほか今週のチャートで少し気になるのは3位のAcid Black Cherryと4位の私立恵比寿中学であろうか。特に前者はJanne Da Arcのyasuによるソロプロジェクトで、近作は4作連続で初週売り上げが5万枚を突破、累計でも最高8万枚に届いていた。今作は初週で既に6万枚近く売り上げている。これはいわゆる(広義の)V系ミュージシャンとしてはなかなか堅調かつ好調な数字であり、今後は10万枚台を狙っていく可能性もある。販売施策やメディア露出が目立って展開され、ファンや一見さんを楽しませてくれるかもしれない。 ■さやわか ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

嵐の衣装がガガよりキワどい? 『MステSP』で伝説の“スケルトン衣装”ふたたび

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レディー・ガガ『アートポップ-デラックス・エディション』(ユニバーサルミュージック)

【リアルサウンドより】  『ミュージックステーションスペシャル 超豪華アーティストプレミアムライブ』(テレビ朝日)が11月29日19時から3時間にわたって生放送され、AKB48EXILE、KAT-TUN、きゃりーぱみゅぱみゅ、ポルノグラフィティ、ゆず×JUJU、そして11月6日にニューアルバム『アートポップ』をリリースし、一年半ぶりに来日中のレディー・ガガが出演した。  番組では「大公開!半世紀のNo.1ソング&スター映像」と題された、番組開始からの日本を彩った名曲を紹介するVTRとともに、アーティスト達のエピソードが語られた。AKB48高橋みなみは米米CLUBの『君がいるだけで』のVTRに「親が(米米CLUBが)大好きでいつも車の中で流れていたので、カールスモーキー石井さんが私の理想の男性なんですよ」と告白。番組で共演したときに直接その話を本人にして、サイン入りのCDをもらったことを嬉しそうに語った。AKB48史上一番長いタイトルの新曲「鈴懸の木の道で『君の微笑みを夢に見る』と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」を披露するにあたり「ちゃんと言えるの?」と司会のタモリに言われた小嶋陽菜は「鈴懸の木の道で『君の微笑みを夢に見る』と言ってしまったら僕たちの……なんちゃらです」と本人達も苦戦している様子を見せた。  そしてこの日は嵐がMステ99回目の出演ということで、デビュー当時からの秘蔵映像とともにスペシャルメドレーを披露。デビューシングル『A・RA・SHI』でMステに出演した際のスケルトン衣装が話題になり、「実はリハーサルまでは下にインナーをちゃんと着てたんですよ」と櫻井翔。でもパンチが足りないということで下が裸になってしまったんだとか。KAT-TUN田口淳之介がスタジオでVTRを見ながら笑っていたということで、二宮和也が「後で怒ります」と突っ込む一幕も。そしてその後実際にライブで当時と同じスケルトン衣装を着用して登場し、二宮が「恥ずかしくないよー!」と叫ぶと、会場から大歓声が起きた。  最後のゲストはレディー・ガガ。山本寛斎デザインの衣装で登場し相変わらずの親日家ぶりを覗かせると、ニューアルバムから新曲『アプローズ』を披露。彼女が大好きだというキティーちゃんのような、大きなピンクのリボンヘアーに、瞼の上に目をペイントした、ファンにはお馴染みのガガ・スタイルに加え、今回はガガなりに解釈した“日本風”の超ミニをまとって登場。そのパフォーマンスには、スタジオで見ていたAKB48大島優子も大興奮。嵐の松本潤が「リハーサルはどのくらい前からやるんですか?」と質問すると、「ミュージックステーションの豪華なセットに合わせて3時間リハーサルをしてパフォーマンスを作っていきました」と笑顔でコメントした。  日本を代表するアーティスト達と世界を代表するスーパースター、レディー・ガガの熱気溢れるステージが印象的だった今夜のミュージックステーションスペシャル。その派手な演出の数々は、多くの視聴者を驚せたのではないだろうか。 (文=岡野里衣子)

レディー・ガガは大成功した今も、なぜ奇抜な格好をし続けるのか?

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レディー・ガガ『アートポップ-デラックス・エディション』(ユニバーサルミュージック)

【リアルサウンドより】  レディー・ガガが、新作アルバム『ARTPOP』のプロモーションのため、一年半ぶりの来日を果たした。  新作がオリコン初登場1位、全米・全英チャートでも1位を記録し、またもや世界的な旋風を巻き起こしているガガ。11月29日にはテレビ朝日系『ミュージックステーション スペシャル 超豪華アーティスト プレミアムライブ』への生出演も決定している。こちらでも相当に力の入ったパフォーマンスを見せてくれるはずだ。  さて、ここで考えたいのが、何故ガガは奇抜な格好をするのか? ということ。  これまでもガガは数々のエキセントリックなファッションで話題を呼んできた。生肉ドレスやセクシーなシースルー、さらにはシュールな衣装まで。オンでもオフでも数々の度肝を抜く格好をしてきた。最新シングル「アプローズ」のミュージックビデオでも過激な貝殻ビキニをまとっている。

Lady Gaga「Applause」

 なぜ彼女は毎回奇抜なファッションをしているのか。「話題作りのため」と思う人もいるかもしれない。でも冷静に考えたら、今のガガほどの人気とステータスを持ったアーティストが身を削ってわざわざ「話題作り」をする必要はないはず。明らかに「やりたいからやっている」たぐいのパフォーマンスなわけである。そして実は、そこから深いメッセージ性を読み解くこともできるのだ。  実は、ガガ自身、先日に放映されたイギリスの人気トーク番組「The Graham Norton Show」の中で、自分が奇抜な格好をする理由について語っている。それは「自分の狂気と闘うため」なのだという。幼少期から「頭の中の声」に悩まされ、そのせいでアルコールやドラッグにハマったこともあったけれど、そんな自分を救ってくれたのが服飾とアートだったと告白している。  また、筆者は昨年5月12日にさいたまスーパーアリーナで行われた来日公演にも足を運んだのだが、そのライヴ中のMCでもその理由の一端を明かしていた。ステージ上で「生肉ドレス」を身にまとったガガは、「私がこのドレスを好きなのは、何を着ていようが結局私たちは肉と骨からできているから。私たちは同じ。同じなの」と語っていた。ステージ上のMCで、彼女は、スーパースターである自分と目の前にいる数万人のオーディエンスが「同じ」なんだと、繰り返し伝えていた。  振り返ってみれば、2011年にリリースされた彼女の前作『Born This Way』は、まさにそういうメッセージを込めた作品だった。「生まれながらにして私はこうなの」と歌い、あなたも同じでしょう?と呼びかけたアルバムだった。とはいえ、ガガはただ単に「世界人類みな平等」みたいなことを歌ったわけじゃない。果たして彼女は誰に向かって「あなたと私は同じだ」と呼びかけたのか? それは前述のエピソードを踏まえて考えるとハッキリする。それは周りから「変わってる」と指さされるようなタイプの人たちだ。レズビアンやゲイのような性的マイノリティーや、人種的なマイノリティもそうだろう。実際、ガガは自身がバイセクシュアルであることを公言している。そうでなくとも、風変わりな特徴や志向を持っていたり、どんな理由であれ、いじめられたり、仲間はずれにされたり、周囲に馴染めない人たち、そのせいで自分のことを肯定できない人たちに向けて「あなたは私と同じだ」と呼びかけたわけである。  ファンの呼称からもそのことが伺える。ガガは自分自身を「マザー・モンスター」、ファンを「リトル・モンスター」と呼んでいる。「モンスター」という言葉からは、人間社会に馴染めない「怪物」という意味を読み取ることもできる。日本に限らず、世界中に、周囲にあわせることができずに辛い思いを抱えている人は多いはずだ。でも、ガガほど突き抜けて奇抜になってしまえば、それは逆にエンターテイメントになる。勇気づけられる。ガガの奇抜なファッションを見て思わず笑ってしまう、というのも実は重要だ。実はガガは「笑えるほど格好いい」という意味で、いわゆるロックスターの条件も兼ね備えているのである。  昨年5月の来日公演では、ガガは最後のMCで「私を愛するためにじゃなくて、自分自身を愛するためにショウに来てほしいの。それが、私にとって世界を変えるということ。いつか落ち込んだ時、どうしようもなくなった時に、思い出してほしい。私はやり遂げたって!」――と語り、ステージを去っていった。それはとても感動的な光景だった。  そして、新作『ARTPOP』の内容も、『Born This Way』から地続きのものになっている。日本盤の特典DVDに収録されたインタヴューで、ガガはこう語っている。 「『ARTPOP』では、『Born This Way』の勝利を祝いたかったの。『Born This Way』が深く密接にファンに届いたことは、私にとって勝利だった。だから今度は、みんなが踊り、『Born This Way』で流した涙をふき取り、紙ふぶきを撒いて、キスして、お互いを称え合うことができるようなアルバムを作ったの」  新作はガガの言う通り、ハイテンションで開放感ある方向性の一枚。特にアルバム後半の「Gypsy」から「Applause」は迫力満点の流れになっている。現代アートの重要人物ジェフ・クーンズの手掛けたアートワークや、アンディ・ウォーホルの「ポップアート」を踏まえてそれを逆転させたコンセプトも話題を集めているが、とはいえ、小難しいことを考えなくとも楽しめるアルバムになっている。それにしても、やはり驚くのはこれが3枚目、27歳の作品である、ということ。  やはり、レディー・ガガは21世紀のもっとも刺激的なアーティストだと思う。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter