もしかして、名曲? 剛力彩芽のセカンドシングルを音楽的に徹底解説

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剛力彩芽-『あなたの100の嫌いなところ(初回生産限定盤)(DVD付) [CD+DVD, Limited Edition]』

【リアルサウンドより】  昨年7月、本サイトがスタートしたばかりの頃に書かせてもらった【剛力彩芽のデビュー曲はなぜ炎上したのか?】は、長期間にわたって人気記事となり、現時点で数十万単位の人に読んでいただけたとのこと。まったくもって書き手冥利に尽きる話だが、前回の記事で「今からでも遅くない。アーティストとして迷走する前に早めの路線変更を期待したい」と締めたこともあるし、当然、彼女の次の作品についてスルーするなんて無責任なことは許されないだろう。  剛力彩芽のセカンドシングル「あなたの100の嫌いなところ」。デビュー曲から、たっぷり半年以上のインターバル。路線変更や仕切り直しをするには十分な時間だ。にもかかわらず、先行して公開されたビジュアルは相変わらず斜め上の野暮ったさで、曲のタイトルもなんだか挑発的。作家陣やミュージックビデオの方向性も前作を踏襲するという確信犯ぶりで、いささかウンザリしながら、どこからディスってやろうかと思いを巡らせていた……曲をフルで聴くまでは。  そう、今回の新曲、曲単体に関して言えば、全然悪くない。というか、むしろ相当いいのだ。というわけで、ここではゴリ推しだの炎上商法だのといったことは隅に置いておいて、それとミュージックビデオに出てくるなんだかイラつくアニメのキャラも見なかったふりをして、「あなたの100の嫌いなところ」の楽曲としての魅力について解説していきたい。

剛力彩芽「あなたの100の嫌いなところ」

 まず、この曲において圧倒的な存在感を誇っているのは、全編にわたって鳴り響いているぶっといベースライン。ぶっといベースといえば、今の流行り的につい手を出してしまいがちなのが、最近だと中田ヤスタカなどが非常に洗練された手法で導入しているダブステップ的な、あのちょっとつんのめった変拍子のリズム。しかし、この曲で用いられているのは、あくまでも平面的で無闇やたらにぶっといだけの、ニュージャックスウィング(テディ・ライリーが生み出したバウンシーなベース)以前、ハウスミュージック(ローランドTB-303由来の無機質なベース)以前の、80年代MTV的シンセベースのサウンドだ。

Nu Shooz 「I Can’t Wait」

 80年代MTV的シンセベースを最も印象づけた曲として、音楽ファンならまず思い浮かべるのは、Nu Shoozのヒット曲「I Can’t Wait」だろう。前作「友達よりも大事な人」の時は、「デビー・ギブソンやティファニーを思い出させるような野暮ったい80年代ガールズポップ」風アレンジをどうしてわざわざ採用したのかについて疑問を投げかけたが、同じ80年代でも、今やすっかりダンスクラシックにもなったこのNu Shoozのような「シンセベースが曲の骨格にして、そのすべて」という手法に目を付けた今作の編曲は、なかなか気が利いている。  そして80年代MTV的シンセベースの第一人者と言えば、何はともあれマイケル・ジャクソンだ。「Billie Jean」も「Beat It」も「Thriller」も、曲の中で最も「歌って」いるのはベースライン。楽曲の構造としては、ボーカルもビートもすべては極太のベースラインに引っぱられている。「あなたの100の嫌いなところ」を聴いて興奮したのは、まるでそんなマイケルの楽曲にオマージュを捧げるように、中盤のブレイク部分(2:15〜あたり)で唐突にロックンロール的なギターのリフが挿入されているところだ。

Michael Jackson「Black Or White」

 ブイブイ鳴り響くシンセベースとロックンロール的なギターリフの合体というのは、いわばマイケルの専売特許と言えるもの。その最も象徴的な曲である「Black Or White」は、かつて小沢健二が「さよならなんて云えないよ」で、近年ではLove PsychedelicoがSMAPに書き下ろした「This Is Love」で、重要なモチーフとしてきた名曲だが、いずれの曲でもリズムは生音風のサウンドでレコーディングされている。その点、「あなたの100の嫌いなところ」はマイケルの手法と同じくベースとビートのユニゾン感を際立たせている点において、あの80年代感をよりスポイルすることなく再現していると言っていい。  「マイケルとシンセベース」というテーマは、語るべきストーリーがいくつもあるのだが、ここで思い出してほしいのはマイケルがアルバム『Thriller』製作時にYMOにアプローチしていたという有名なエピソードだ。マイケルはYMOのセカンドアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』収録の「ビハインド・ザ・マスク」をいたく気に入って、そのカバーをレコーディング。『Thriller』に収録する予定だった(しかし、当時は条件が折り合わずに実現せず。マイケルが歌う「ビハインド・ザ・マスク」は、彼の死後に発表されたアルバム『Michael』に収録されている)。マイケルがYMOのどこに夢中になったのか。その一つは、彼が愛して止まなかったシンセベースのサウンド、その世界的な先駆者である細野晴臣の演奏にあったのではないか。そして細野晴臣こそは、シンセベースのサウンドを日本の歌謡曲に持ち込んだ第一人者でもあった。

松田聖子「Rock'n Rouge」

  というわけで、ここで細野晴臣の手がけた松田聖子の代表曲あたりを挙げれば論旨はキレイにまとまるのだが、歌謡曲×シンセベースの最強トラックといえば、同じ松田聖子でも「Rock'n Rouge」にトドメを刺す。作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂(松任谷由実)のこの曲、編曲を手がけているのは松任谷正隆。80年代半ば以降のユーミンの作品でも顕著だが、松任谷正隆の編曲は(ご本人はとてもお洒落な方なのに)いつもどこか垢抜けない。正直に言うと、中学生時代にリアルタイムで初めて「Rock'n Rouge」を聴いた時でさえ、「今度の松田聖子の新曲、ちょっとダサいな」と思ったくらいだ。でも、その垢抜けなさこそが、年月を経ると愛すべきサウンドとして、いい感じに熟成されてくるのだ。  剛力彩芽の「あなたの100の嫌いなところ」。現時点でもかなり気に入っているが、ひょっとすると10年後や20年後、「Rock'n Rouge」のようにさらに味わいが増してくるんじゃないか。そんなことを思わせてくれる、愛さずにはいられない楽曲なのである。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

モー娘。に続いてブレイクするのは? 2014年、ハロプロの勢力図を読む

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モーニング娘。'14 - 『笑顔の君は太陽さ/君の代わりは居やしない/What is LOVE? 初回版C [Single, CD+DVD, Limited Edition]』

【リアルサウンドより】  先日2月11日に、カントリー娘。が里田まいの渡米に伴って、新メンバーを募集することを発表して話題を呼んでいる。3月31日まで、特設サイトでオーディションの参加者受付が実施されているようだ。他にも、2月22日のテレ東系『ウレロ☆未体験少女』では、℃-uteの矢島舞美が元ももいろクローバーの早見あかりと共演を果たすなど、今月もハロプロ勢の活躍が目立つ。  昨年大躍進を遂げたモーニング娘。は2014年に入ってもその勢いを落とすことなく活躍しているが、ハロプロ全体としての売り出し方、次なる戦略とは一体どういうものであろうか? ハロプロの熱烈フォロワーである雑誌編集者の吉住哲氏は次のように語る。 「2013年のハロプロとして、一番大きな動きは℃-uteとBerrys工房の武道館ライブでしょう。℃-uteの二日間に対し、Berryz工房は一日だけと、去年は℃-uteの方が勢いはあったと思います。ですが、当初はBerryz工房の方が勢いはありました。ハロプロキッズの中から精鋭メンバーとして、先にデビューしたのは彼女たちですし。頭角を現してきた℃-uteに負けないように、今年1年は勝負の年だといえるのかもしれないですね。」  新曲のリリースにテレビ出演と、話題の尽きない℃-ute。1月2日のイベントでもつんく♂に「機は熟している」といわせただけあり、今年も快進撃が続きそうだ。そしてBerryz工房も℃-uteに負けじと切磋琢磨しているので、大きく飛躍する1年となるかもしれない。  また、若手の中で2013年に大躍進を遂げたJuice=Juiceに関しては、次のように語った。 「現状、彼女たちはハロプロ内でモー娘。の次に一番推されているのではないでしょうか。プロモーションも熱いし、曲もいいですし。今年はどこかで単独ツアーをやるのではないかとヲタの中で噂されています。実際この勢いで人気が出てしまえば、スマイレージは抜けるかもしれません」  さらに、ハロプロ研修生の勢いからも目が離せないという。 「去年はJuice=Juiceがデビューしましたが、今年も1組研修生からデビューさせるのではと思います。ハロプロのオーディションで、いきなり既存のグループに入れる力は無くても、才能のある人間は研修生として育てられるんですね。実際にモー娘。オーディションなどの落選組がいっぱいいます。研修生という場所であらかじめ温めておいて、Juice=Juiceみたいな形でデビューさせようという目論みでしょう。昨年、Juice=Juice以外にもう一組、研修生発のグループがデビューするのではという噂もありましたが、結果としてそれもありませんでした。今は研修生だけのライブも人気があったり、人気メンバーもいたりします。その中でも期待されている子は、モー娘。のバックダンサーや、正月のハロプロコンサートのバックダンサーとして出演したりするんです。もしかすると、蓋を開けてみて一番勢いがあったのはここから出たグループだった、なんてこともあるかもしれませんね」  昨年は特にグループとして目立った活動はしていないというスマイレージにも、今年こそは躍進してほしいと、同氏は期待を寄せる。 「スマイレージは僕が一番好きなグループなんですが、今の状況は少し不遇だと思います。動員はまずまずだと思うのですが、狭いライブハウスを中心に、ドサ周り的なツアーをさせられていたり……彼女たちは、不祥事などでメンバーの増減もあったりと、苦労してきたグループです。曲としてはフレッシュな良い曲も多いし、田村芽実なども伸びてきているし、センターの和田彩花は、美術好きキャラを開花させ、PHPビジネスオンライン衆知では『乙女の絵画案内』という連載を持っています。彼女たちにはこの逆境を跳ね返してもらいたいですね」  グループとしては若手〜ベテランまで、ブレイクする要素はどのグループにも存在するので、蓋を開けてみて予想だにしない結果になることもあるかもしれない。 (文=編集部)

ここには愛しかないーーbloodthirsty butchersのトリビュートアルバムを聴く

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V.A - 『Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~Abandoned Puppy』(日本クラウン)

【リアルサウンドより】  bloodthirsty butchersのトリビュート『Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~Abandoned Puppy』『Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~ Mumps』が発売された。全24バンドが集まった2枚のディスクを聴きながら、このタイトルしかなかったのだなと理解する。「そう、僕たちはブッチャーズが大好き」。その最後に「でした」を付けなければいけないのか、という現実は、今はちょっと保留しておきたい気分だ。  偉大なオルタナティヴ先駆者であり、多くのバンドマンから慕われるミュージシャンズ・ミュージシャン。過去26年間のブッチャーズの評価は、セールスや動員ではなく、心ある音楽家/音楽リスナーが絶賛する孤高のバンドとして語られてきたように思う。リーダーの吉村秀樹はそれが不本意で、もっと認められたい、ただの伝説になっちゃダメだと口を曲げていたが、改めて聴くとよくわかる。彼らのサウンドは一般的な売れ線とは程遠いところにあるだけでなく、オルタナティヴの世界であっても主流になり得ないものだ。多くのバンドマンが手放しで「絶賛する」のは、裏を返せば「ライバル視しない(できない)」存在だったから。吉村の想いとは裏腹に、「孤高」というポジションから動くことのできないバンドでもあった。  理由はシンプル。吉村秀樹のギターと歌が、簡単には、いや絶対に、真似のできないものだったからだ。脳を揺さぶるようにうねる轟音ギターと、音程やリズム感をすっ飛ばして心のままに吠える歌唱法。常識は通じない。小手先で小利口に考えているうちはまったく太刀打ちできないスケールのデカさというものが、いつだってブッチャーズの音楽を「規格外」に見せていた。  違うメーカーのギターアンプを二台使い同時にモノラルで鳴らすことで、エフェクターを踏まずとも奇妙な音響効果を生むという出音の「発明」は、かなり昔、札幌時代から実践されていたという。お菓子の缶でファズを作ったというエピソードも怒髪天の増子氏から聞いたことがあるが、彼ならありえると納得する。楽器屋のカタログには絶対に書かれない発想の数々が、昔から同業者を驚かせていたのだ。曲の構成しかり、コードの押さえ方しかり。技術論ではない。「なんでそんな音が出るの?」の問いを突き詰めると、「なんでそんなこと思いつくの?」という彼の脳内にぶちあたる。そういえばNUMBER GIRL時代の向井秀徳は「Abstract Truth」の歌詞にこう書いていた。〈禅問答 YOSHIMURA HIDEKI 禅問答 答えはいらん〉。
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V.A - 『Yes, We Love butchers ~Tribute to bloodthirsty butchers~ Mumps』(日本クラウン)

 音程やリズムをすっ飛ばす歌唱法、と書いたが、つまりは調子外れの、失礼ながら音痴の部類に属するようなシンガーでもあった。そして、というか、それなのにというか、恥ずかしそうにボソボソ呟くことがまったくない、堂々と一語一句を唄い上げる大声のシンガーでもあった。メロディ自体は美しい。鍵盤で追ってみれば童謡のように優しい旋律だとわかる。ただ、それを丁寧に届けるよりも、心に渦巻く切なさや苛立ちをドーンとぶっ放すことに本人の意識は集中していたと思う。とてつもなくノイジーな轟音ギターに乗って、やたら大声のエモーションが飛び込んでくるバンド。すべて音符にならない部分が最大の魅力だったわけである。  演奏が上手か下手か、方向がポップかアングラか、音がローファイかハイファイか。そういう区分ができないし、最大の魅力が音符にならない=再現できないところなのだから、ブッチャーズをカバーしたバンドは過去にほとんどいない。LOST IN TIMEは彼らの曲名からバンド名を決め、前述のようにNUMBER GIRLは吉村の名前を歌詞にもしたが、カバーというのはよほどハードルが高いのだろう。例外は、1999年に出たトリビュート『We Love buthchers』。メジャー盤とインディ盤の2枚が同時発売され、前者にはGREAT3や曽我部恵一、後者にはHi-STANDARDやカウパァズらが参加した。あれは名盤『kocorono』がすこぶる高い評価を受け、日本のオルタナティヴ・ブームがピークに達しようとしていた時期。ここでトリビュート盤の企画をしなければ次は二度とない、というディレクターの思惑があったのかもしれない。  その例外第二弾が、今回のトリビュートだ。言うまでもなく、きっかけは吉村秀樹の死。集まったバンドたちは、ブッチャーズを絶賛し、しかし太刀打ちできない、ライバル視もできない、カバーなんて到底ムリだと思っていたミュージシャンばかりだと思う。だが、彼らはディレクターのオファーに快諾してみせた。ここでやらなきゃ次はない。真似できないけどやるしかない。だって俺たちはこんなにブッチャーズが好きだった。そんな思いを皆が共有していたのではないかと思う。  果たして、本当に愛の結晶のようなカバーばかりである。あえて自己流の解釈をしてみせたのはLOW IQ 01とTHE STARBEMSくらいで、ほとんどのバンドがド直球のカバーである。同じコードを押さえてもあのうねりは出ない。同じメロディを追ってもあのニュアンスに届かない。それをわかっていてもなお、同じ曲を同じように再現する。そこにあるのは間違いなく愛だろう。  日本屈指のハードコア・バンドであるスラングが、初めてツービートもディストーションもない演奏をする。向井秀徳と八田ケンヂは、バンド編成の原曲を弾き語りにすることで言葉やメロディのひとつひとつを慈しむ。なんでも破壊してナンボの暴れ馬であるKING BROTHERSや、歌メロなんて概念があるのかわからないロマンポルシェ。でさえ、驚くほど真剣に原曲を再現している。いまやパンクシーンの「鬼」と怖れられるBRAHMANのTOSHI-LOWが、あえて歌詞を変えて〈いつの日かまた僕を連れてって〉とメッセージを届ける。愛だなぁと思う。愛しかない。  第三弾として、eastern youthやCOPASS GRINDERZなどが参加したトリビュートは3月26日に発売されるという。ずっと「孤高」というポジションで絶賛され続けたブッチャーズの楽曲が、今、これだけ具体的な愛にまみれて世の中に流れ出していることを、吉村はどう思っているだろうか。 ■石井恵梨子 1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

BiS、新宿フリーライブで衝撃の解散宣言 7月8日の横浜アリーナで有終の美を目指す

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BiS『STUPiG』(avex trax)

【リアルサウンドより】  アイドルグループのBiSが、2月12日の16時より新宿ステーションスクエアで行われたフリーライブ「伝えたいことがあるんだ」にて、解散ライブの日時を発表した。リーダーのプー・ルイによると、解散ライブは7月8日(火)に横浜アリーナで行われるという。  今回の会場となった新宿ステーションスクエアには、ライブ開始前から多くのファンが集結。「nerve」など2曲を披露した時点で、あまりにも観客が集まりすぎたためにライブは終了。BiSの勢いを感じさせるパフォーマンスとなった。  BiSリーダーのプー・ルイは、2月11日の「BiS after all」宮城公演の開始前に、これまで同グループのMVを手がけてきた映像ディレクターの丹羽貴幸氏より「今日のライブで全裸でダイブしてほしい」と依頼されたことをツイートし、大きな話題となったばかり。リーダーのプー・ルイは「いろんなことをたくさんやってきたけど、ここに来るためにやってたんだとしたらもうなんか滑稽だなぁ。みんなこんな悲しいならBiSってなんのためにあるのだろうか」と、複雑な心境を明かしていた。しかし、今回のフリーライブの集客力を見る限り、話題性を集めるための過激なパフォーマンスは、もはや必要なかったのかもしれない。  これまで日本武道館での解散ライブを目標に活動をしてきたBiSだが、武道館公演は断念した形となる。しかし収容人数では、武道館よりも横浜アリーナのほうが多い。より大きな舞台で有終の美を目指すBiSを最後まで見届けたい。 (文=松下博夫)

SUPER☆GiRLS、リーダー八坂沙織が卒業へ グループが継続するために必要なものは?

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SUPER☆GiRLS『空色のキセキ(CD+DVD)』(iDOL Street)

【リアルサウンドより】  SUPER☆GiRLS9枚目のシングル『空色のキセキ』が2月12日にリリースされる。このシングルは、2月23日のパシフィコ横浜でのライブで卒業を迎える、SUPER☆GiRLSリーダー八坂沙織が参加するラストシングルとなる。  SUPER☆GiRLSは2009年、エイベックスとしては初となるアイドルグループの結成を目的とした大規模一般オーディション『avex アイドルオーディション 2010』が開催され、2010年に結成、同年8月に行われたa-nation愛媛会場で初お披露目。その翌日、Tokyo Idol Festival2010の品川ステラボールでのステージが東京初登場となった。その後、CD売上でもコンスタントに上位を記録し続けた。ある意味では現在のアイドルブームと共に生まれ、成長していったグループといえよう。また、AKB48以降、多数存在するグループアイドルの中でも、様々なグループの良い部分を集約し、現在のグループアイドルのフォーマットとして最大公約数的にまとめあげたグループともいえるかもしれない。それ故に、AKB48以降でアイドルファンとなった層にとっては、非常に入りやすいアイドルとして人気を獲得して行った背景もある。  ただ、SUPER☆GiRLSに先駆けたグループアイドルである、モーニング娘。やAKB48、アイドリング!!!が経験したものの、まだSUPER☆GiRLSが経験していないことがある。それが、新メンバーの加入と実質的リーダーの交代である。  モーニング娘。は結成から約9ヶ月後に新メンバーが加入。また、アイドリング!!!は2年半の時間は要しているものの、菊地亜美ら2期生が加入。AKB48にいたっては結成からわずか3ヶ月で大島優子ら2期生を加入させている。どのグループも卒業と加入を繰り返しながら活動しているのは御存知の通りである。現在のグループアイドルにとって、グループを“箱”として捉え、新陳代謝を繰り返しながらその箱を永久機関化させていくシステムがひとつの形となっている。そして、その間に実質的なリーダーが卒業などをキッカケに交代している。モーニング娘。なら強烈なインパクトを残した中澤裕子から、現在の道重さゆみで8代目。アイドリング!!!については、初代は“自称”リーダーだったものの、加藤沙耶香から遠藤舞へと受け継がれ、今月14日に遠藤は卒業を控え、次はだれがそのバトンを受け取るのかにも注目が集まっている。AKB48の実質的リーダーは現在では総監督である高橋みなみだが、最初期のリーダー的ポジションは折井あゆみであった。折井の卒業によりバトンタッチされ、高橋が現在のポジションまで作り上げた。  SUPER☆GiRLSは、2月23日にリーダー八坂の卒業。そして元ストリート生3期生で、TOKYO TORiTSU これで委員会でも活動していた浅川梨奈、内村莉彩の2人の加入が決定している。先駆となったグループたちは、こうした新陳代謝を繰り返しながらも、グループとして“箱”のカラーを継承し、ひとつのグループの形を作り上げてきた。  SUPER☆GiRLSは、最大公約数的であるが故に、グループの特徴的な色が存在しない。明確な方向性を示さなかったことが今まではある意味カラーとなっていたように考えられる。それが、多くのファンを受け入れる窓口としては非常によく機能していたのかもしれない。しかし、これからグループとして継続するために新陳代謝が行われて行くのであれば、どこかで明確な名刺代わりとなり、メンバー間で継承され続ける、グループの“色”の提示が求められるのかもしれない。誰がリーダーを務めても、誰がメンバーとなっても、継承すべきグループの“色”。  弦楽が印象的で美しさと爽やかさを兼ね備えた『空色のキセキ』を聴いた時、ふと見えた真っ白なキャンパスの様な景色。この景色を何色に染めるのか? SUPER☆GiRLSがたくさんの少女たちを未来へと誘う箱舟となるのであれば、染めるのではなく、その真っ白なキャンパスからにじみ出てくるような“色”が生まれてくる必要があるのかもしれない。 ■エドボル 放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

AKB48運営は「大組閣」で何を狙うのか 反対論を押し切って強行する意図を読む

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AKB48『前しか向かねえType A』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  『AKB48グループ大組閣祭り~時代は変わる。だけど、僕らは前しか向かねえ!~』が2月24日(月)、ZeppDiverCityTOKYOにて開催されることが決定し、ファンはもちろん、メンバー間でも波紋が広がっている。HKT48は今月11日に新チームIVを発足させ、多田愛佳は新チームのキャプテンに就任したばかり。また、昨年にはドラフト会議も行われ、これから新体制で本格的に活動していこうと考えていた新人メンバーも少なくないだろう。『大組閣』が決定した1月26日の『AKB48リクエストアワーセットリスト2014』では、大島涼花、岡田奈々といった若手メンバーが、涙をこぼすシーンも見られた。  ファンの間でも、今回の『大組閣』への反発は少なくない。ネット上では「本店(AKB48)の都合に支店(SKE48、NMB48など)を巻き込まないでほしい」「そんなことをする前に各チームの新公演をちゃんとやるべき」「メンバーを悲しませるような運営に失望すら感じる」と言った厳しい意見も散見される。  一方、運営側は公式サイトにて「今回の大組閣は、世間をにぎわすのが目的ではありません。(中略)すべてのメンバーの夢の実現にとってプラスになる組閣を行ないます」と宣言している。その真意とは何だろうか。  アイドルカルチャーに詳しいライター・物語評論家のさやわか氏は、今回の大組閣について次のように分析する。 「AKB48グループはここ最近、HKT48やNMB48といった地方のグループがそれぞれ活躍して競い合うという、いわばスポーツ界のような仕組みの構築を目指していました。しかし現実的には、AKB48やSKE48に人材が集中しがちで、全チームが切磋琢磨しあうようなバランスはなかなか生み出せていません。これまでドラフトやレンタル移籍といった施策を行ってきましたが、それも運営が思うほどの効果は挙がっていないと思います。また、運営が望むような人材移動が必ずしもできていないはず。そこで思い切って“大組閣”と銘打って人材の移動を行うことによって、それ自体をイベント化して人々の関心を集めるとともに、大島優子脱退以降、各グループの力関係が一新したAKB48グループの体制を打ち出していこうという狙いがあるのではないでしょうか」  また、公式サイトの発表については「マイク・パフォーマンス的な意味合いもあるのでは」とさやわか氏。 「AKB48グループは、批判も含めてエンターテイメントとして機能させ、発展してきた部分が大きいグループです。組閣に関しても、批判が起こることも前提として考えているのは間違いないでしょう。もちろん運営側の発言には本音もあるかと思いますが、話題性を意識していない、ということはないはず」  いっぽう、これからのAKB48グループの発展を考える上で、今回の大組閣には良い面も期待できるという。 「HKT48やNMB48のメンバーにとって、地方にいながら全国的なスターを目指せる状態にしていくのは大事なことかと思います。メンバーにとっても、その方が刺激になるでしょう。また、少し早すぎる感もありますが、今のタイミングでサプライズを起こすことによって、今年のシングル選抜総選挙が世間で大きな話題となる可能性は高まるかと思います」  賛否両論となっている今回の大組閣。その決断が本当に正しかったかどうかは、次のシングル総選挙でこそ判明するのかもしれない。 (文=編集部)

2PMの新作アルバムがチャート1位 「K-POP後発組」がセールスを伸ばす背景とは

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2PM - 『GENESIS OF 2PM(初回生産限定盤A)[CD+DVD+豪華BOX仕様, Limited Edition] [CD+DVD, Limited Edition]』

【リアルサウンドより】 参考:2014年1月27日~2014年2月2日のCDアルバム週間ランキング(2014年2月10日付)(ORICON STYLE)  先週1位のAKB48 『次の足跡』は初週で96万2000枚というミリオンギリギリの自己最高記録を更新しながら、今週は3位に後退。2週目でミリオン突破未遂(発売16日目で達成)に終わるという、いかにもAKBらしいセールス高低差のあるチャートアクション。それにしても、シングルのタイトルはいつもそれなりに考え抜かれているのに、前作の『1830m』といい、本作の『次の足跡』といい、AKBのアルバムタイトルはいつも素っ気ない。そのタイトルの意味するところはファンにはすぐ分かるんだろうけど、「そもそも『次の足跡』って、日本語としての据わり的にどうなの?」と物書きの端くれとしては思ってしまう。しかも、ちょっと変わった用語だからといって、それが特に印象に残るわけでもないし。5年後や10年後、もしAKBのことが人々の記憶に残っているとしたら、それはシングル曲であって、決してアルバムではないということを、作り手側が最初から見切っている感じがするし、実際にそうなるのだろう。  そして、今週1位となったのは、K−POP男性アイドルグループ2PMの日本におけるサードアルバム『GENESIS OF 2PM』。6万3000枚というセールスは、同じく1位を獲った昨年のセカンドアルバム『LEGEND OF 2PM』の5万1000枚を軽く上回っている。約3年半前、「野獣系アイドル」というマスコミの触れ込みとともに日本に上陸、東京ドーム公演を成功させるなどしてきた彼らにとって、一見、現在の韓流ブームに吹く逆風など、まったく無関係のようにも見える。  「韓流ブームの終焉」といえば、つい先日もサンケイスポーツが発刊していた有力韓流エンターテイメント誌『韓Fun』が突然休刊を発表して話題となったばかり。ネット上に読者へ向けた「休刊のお知らせ」の文面がそのままアップされていたが、休刊の理由が「韓流ブームが一段落したことに加え、諸般の事情により」と、ブームの立役者に「一段落」認定されてしまうという事態にまでなっている(散々商売してきたんだから、もうちょっと他の言い方はないのかよと思うけど)。  その一方、東方神起や少女時代を筆頭に、一部のK-POPグループには今でも日本で根強い人気があることは本チャート分析でも度々指摘されてきているが、それにしても、後発グループにして、ここにきて売り上げを伸ばしている2PMはやはり異色の存在だ。その背景には、周囲に反対されれば反対されるほど燃え上がっていく恋愛心理、さらに言うなら、世の中の熱が冷めていけばいくほど組織内の締め付けが強まっていく、まるで学生運動のピークが過ぎた後の連合赤軍的な心理状態があるのではないだろうか(ちょっと大げさ?)。  ファンの間ではよく知られているように、数々のスキャンダルやトラブルが続いてきた2PMに対して、現在、韓国国内における風当たりは非常に強いものがある。それもあって、ここ数年、他のK-POP勢と比べても、日本での活動にかなり精力を注いできた2PM。そんな追いつめられた者同士の強い結束が、今回の1位という結果になったのではないか。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

佐村河内守の別人作曲騒動が浮き彫りにした、「音楽」と「物語」の危うい関係

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『バンド臨終図巻』(河出書房新社)

【リアルサウンドより】  バンドは解散できてもソロ・アーティストは解散できないという冗談があるけれど、「佐村河内守」は解散するのか。『週刊文春』2月13日号の告発記事や、6日に行われた新垣隆の記者会見の報道をみて、そう思った。  広島生まれで被爆二世の全聾の作曲家・佐村河内守のゴーストライターを、新垣が引き受けていたわけである。佐村河内は曲のコンセプトやイメージを新垣に伝える。桐朋学園大学非常勤講師で現代音楽家の新垣は、それを自らの音楽的教養を用いて具体的な曲にした。実態としては2人のユニットだった。そのユニットも、新垣の謝罪会見によって終止符が打たれた。  私は、国内外200のバンドやユニットの解散理由をまとめた『バンド臨終図巻』(2010年。速水健朗、大山くまお、栗原裕一郎、成松哲との共著)という本の執筆に参加したことがある。そこでは、誰が「作曲者」かということが、メンバー間の緊張が高まる理由として散見された。「あいつはアイデアを出さないくせに作曲者のクレジットばかり欲しがる」、「私も曲作りに貢献した」という見解の相違があったり、ある曲の演奏に参加しなかったメンバーが無音を提供したとしてあえて作曲者の一人にカウントされたり。音楽制作の多くは共同作業だから、誰が作曲者を名乗るかは、当事者たちの認識や合意、そして契約で決まる。認識にズレがあれば、争いのもとになる。  「佐村河内守」の場合、佐村河内がプロデューサー、新垣が実作担当の職人という役割分担で当初は二人とも納得していたらしい。彼らが初めからユニットとして活動していれば、問題ではなかった。だが、共同作業の実態を隠したうえで、佐村河内はプロモーションのために苦悩する孤高の天才というキャラ作りに邁進した。これでは詐欺と批判されて当然だ。  バンドやユニットのメンバーが作曲者のクレジットを欲しがるのは、金銭の配分のためだけではない。自分は価値のある人間だと、対外的に誇りたい気持ちもある。自尊心がからむから話がややこしくなる。「佐村河内守」の場合、新垣は名前の出ない裏方の立場に満足していたのに、佐村河内が作曲者である自分の名を高めようとキャラ作りを暴走させたため、2人のバランスが崩れた。佐村河内の聴覚の状態には疑念が出されているし、彼のプロフィールや共同作業の実態についてもこれからいろいろ調べられるだろう。彼らの件がこの先、どう転がるかわからない。  今回の騒動を機に、音楽家をめぐる物語やキャラクターに注目して音楽を楽しむことを批判し、ただ純粋に音楽を聴くべしとする批判もみられる。ただ、アイドルの流行に象徴される通り、近年の音楽で物語やキャラクターのウエイトが上がる一方、それらを脇にのけて曲の一部を抜き出し、別の文脈でネタに使うことも盛んにされている。その意味では、物語は中和されている。クラシックに関しても、ベートーベンのような古典であれば大曲のごく一部をバラエティやCMで使い、ギャグにすることはある。しかし、広島や東北の被災地のために曲を書いた、全聾の「現代のベートーベン」によるシリアスなクラシックに対しては、ネタにして物語を中和することはしにくかったということだろう。それだけに実態が暴露された時の反発が大きい。  東日本大震災と原発事故の発生直後のことを思い出してみよう。あの頃は、歌舞音曲の娯楽がはばかられるムードになっていた。音楽家たちは、被災地に寄り添う、がんばれ日本、絆といった姿勢を示すことで、おずおずと活動を再開していったのだ。  公共放送という意識もあるのだろうが、NHKではその傾向が長く続き、音楽番組「MUSIC JAPAN」ではAKB48の被災地訪問の模様を追い続け、東北ゆかりの歌手・有名人に「花は咲く」を歌わせ、三陸のご当地アイドルを描いたドラマ『あまちゃん』を放送した。(今後制作時の状況が再検証されるだろうが)NHKが佐村河内をドキュメンタリーで特集したのもその一貫だっただろう。  2011年3月11日以後は、震災をめぐる物語抜きに日本で音楽を回復することは難しかったし、純粋にただ音を楽しむという態度は力を持ちえなかった。「佐村河内守」という作曲家への注目の高まりと虚飾の暴露が、そうした時代推移のなかで起きたことは覚えておこうと思う。 ■円堂都司昭 文芸・音楽評論家。著書に『エンタメ小説進化論』(講談社)、『ディズニーの隣の風景』(原書房)、『ソーシャル化する音楽』(青土社)など。

前田敦子、中川翔子、壇蜜……アイドル女優が「特撮ヒロイン映画」に出演するワケ

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特撮×中川翔子『ヌイグルマーZ』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  前田敦子が今夏に公開される関ジャニ∞の主演映画『エイトレンジャー2』のヒロイン役に決定した。同作は、2012年に公開された映画『エイトレンジャー』の続編で、関ジャニ∞扮するエイトレンジャーに加え、前田敦子が週刊誌記者・西郷純役として登場。前田は、八萬市(エイトシティ)で多発する失踪事件とエイトレンジャーとの関連を、記者として追っていくという役柄だ。  前田のほかにも最近、いわゆる「特撮ヒーロー・ヒロインもの」に出演するアイドル・女優は少なくない。中川翔子が主演を務める『ヌイグルマーZ』は、大槻ケンヂ原作『裁縫人間ヌイグルマー』を実写映画化した特撮アクションコメディ。中川演じる冴えないロリータファッションの少女・鮎川夢子(通称:ダメ子)が、ピンクのテディベア、ブースケと合体することにより「ヌイグルマー」へと変身。悪の軍団と激闘を繰り広げるという内容だ。壇蜜主演の映画『地球防衛未亡人』もまた、特撮ヒロイン映画として注目を集めている。地球防衛軍のエースパイロット・ダン隊員が、地球を守るために怪獣と戦う姿を描いた作品だ。でんぱ組.incが主演を務めた『白魔女学園』も、広義の意味では特撮ヒロインものと言えるだろう。白魔女に変身した最上もがは、激しいアクションシーンにも挑戦している。  このように、アイドルや女優が「特撮ヒーロー・ヒロインもの」に出演するケースが目立っている背景には、どのような事情があるのか。アイドルやポップカルチャーに詳しい芸能ライターは次のように分析する。 「まず、アイドルグループの場合は、映画の中でメンバーそれぞれの個性を際立たせるのに、戦隊ものの作品が適しているということが挙げられると思います。チームの中で起こるすれ違いや葛藤、そして絆といった関係性を描くのに、群像劇の性質を持った戦隊ものは、青春学園ドラマと匹敵するくらい相性が良いのです。そもそも、ももいろクローバーZなどのグループは、戦隊ものから着想を得ているような部分もあるので、相性が良いのはある意味、当然ではないでしょうか。でんぱ組.incの『白魔女学園』などは、そういったケースの典型かと思われます」  また、アイドルや女優自身が戦う描写が増えていることについては、「映画業界全体の流行とも関わっているのでは」と同氏。 「80年代から90年代前半に増加した、セーラームーンなどに代表される『戦闘美少女もの』は、日本のアニメや漫画に顕著な表現でした。しかし、最近では海外の映画を見ていても、ヒロインが積極的に戦う作品が増えています。たとえば2012年に公開された『白雪姫と鏡の女王』では、リリー・コリンズ演じる白雪姫が、小人たちとともに戦闘の訓練をして、自ら剣を振るって女王と戦うという、これまでの白雪姫像を塗り替えるような作品でした。同じく2012年に発表されたディズニー映画『メリダとおそろしの森』も、プリンセスが弓矢で戦う作品です。ヒロインが戦う映画は過去にもありましたが、ここにきてひとつの大きな潮流となっているように感じます。アイドルや女優が戦う作品が目立つのは、そのような映画業界全体の流れも影響しているのかもしれません。加えて、日本の『戦闘美少女もの』というジャンルが成熟し、そういった作品が幅広い層に受け入れられているから、という側面もあるかと思います。『ヌイグルマーZ』はサブカル色の強い作品ですが、ヒロインが変身して悪と戦うというストーリーは、現在20代後半~30代となっているセーラームーン世代にとってはもちろん、いまの子どもたちにとっても馴染みやすいのではないでしょうか」  さらに、アイドルや女優にとっても「特撮ヒーロー・ヒロインもの」に出演するメリットはあるという。 「アイドルや女優のファンと『特撮ヒーロー・ヒロインもの』の映画のファンは、決してイコールではありません。そのため、アイドルや女優にとってそのような作品に出演することは、ファン層を拡大するきっかけになります。前田敦子の場合は積極的に戦う主人公ではありませんが、関ジャニ∞との共演によって、これまでのファンとは異なる層に存在感をアピールできる可能性が高いでしょう」  幅広い層のユーザーが楽しめ、なおかつアイドル・女優の新たな魅力を照らし出す「特撮ヒーロー・ヒロインもの」映画。これらの作品への出演をきっかけに、活動の幅を広がるアイドル・女優は今後も増えそうだ。 (文=編集部)

ジャニーズWESTはなぜメンバーを増員? グループ運営方針に“柔軟化”の兆し

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『なにわ侍 ハローTOKYO!!』 公式ホームページ

【リアルサウンドより】  4月にデビューするジャニーズの新ユニット「ジャニーズWEST」が2月5日、東京・日比谷の日生劇場で「なにわ侍 ハローTOKYO!!」の初日を迎え、公演中に濱田崇裕、神山智洋、藤井流星の3人が新たに加わることを発表した。  ジャニーズWESTは、昨年末大晦日から今年元旦にかけて行われた「ジャニーズカウントダウンライブ」でデビューが発表され、当初は「ジャニーズWEST4」というグループ名だった。しかし、その後に発売された各スポーツ誌では「ジャニーズWEST」という呼称に変更されていた。  ジャニーズに詳しい芸能ライターは今回の経緯について次のように語る。 「ジャニーズWESTについては、デビュー発表時からファンの間で人選を残念がる声が多かったグループです。というのも前身のひとつである、関西ジャニーズJr.内のユニット『7WEST』のメンバーがもれる形になっていたからです。デビュー発表後の1月4、5日に行われた関西Jr.の新春コンサートでは、名称を変更した理由については特に触れずにパフォーマンスをしていましたが、納得がいかないファンも少なくなかったようで、盛り上がりにやや欠けるステージとなりました。今回の増員は、メンバーがジャニー氏に直談判した結果とされていますが、事務所側がファンの声を汲んだという側面も大きいのではないでしょうか」  また、ジャニーズのグループ運営方針についても、変化が見られるとの指摘も。 「もともとジャニーズは事務所主導型のグループ運営を特徴としています。“今は誰を推している”というのをわかりやすく提示する傾向が強く、当初発表されたジャニーズWESTの人選も、ダンスパフォーマンスを重視した、ある意味ではジャニーズらしいといえるものでした。しかし近年はネットなどでファンの声が力を持っており、運営側もそれに応じて柔軟な姿勢を示し始めた面もあるのではないでしょうか。同グループに関しては、今後もファンの声が反映されやすいかもしれません」(前述の芸能ライター)  7人体制となっていよいよ本格的にデビューへの道を歩み始めたジャニーズWEST。結成発表時から切望されていたメンバーの増員が実現したことは、ファンにとっても、メンバーにとってもグッドニュースといえそうだ。 (文=松下博夫)