スピッツ田村、WRENCH松田、NoGoD華凛……実は凄腕なJ-ROCKベーシスト6選

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スピッツ『スピッツ』(ユニバーサルJ)

【リアルサウンド】より  リズム隊とも呼ばれるようにドラムとともにバンドを支える役割であると同時に、旋律楽器という面も持つベース。かつて、BOØWYの松井常松が直立不動のダウンピッキングでベーシストの渋さを確立した一方で、爆風スランプの江川ほーじんはファンクやフュージョンでの奏法であったスラップ(当時はチョッパー)をロックに持ち込み、派手なプレイを幅広く浸透させた。近年ではヴィジュアル系を土台としながらも卓越したテクニックでフュージョン界にもその名を轟かせるIKUOや、ロックバンドにおける若手実力派ベーシストとして注目を集めるOKAMOTO'Sのハマ・オカモトなど、そのプレイスタイルは様々である。  ファンにとっては凄腕として認知されているものの、ボーカリストの存在やギターヒーローがバンド内に居るために、外にはなかなか、それが伝わらないベーシストがいるのも現実である。そんなJロック界における隠れざるベーシストの名手を紹介していきたい。

実は一番目立ちたがり屋? 田村明浩(スピッツ)

スピッツ / 群青

 シンプルな歌メロと、アルペジオなどの雰囲気のあるギターが多い楽曲の中で、その合間を縫うようにうねるベース。歌モノバンドとしてのベースの役割を務めつつ、しっかりと自己主張を入れる。歌との絡み、ギターとの絡み、その聴けば聴くほど印象的なベースラインは、楽曲と同様に「田村のベースラインが好き」という楽器をやらないファンからも愛されており、スピッツの大きな魅力の一つになっている。  幅広い世代に愛されるバンド。そんな穏やかな印象とは裏腹に、彼らは実は元々パンクバンドだった。その名残(?)は一人だけ目立つルックスのギターの三輪テツヤ、ではなく、ベースの田村であることはファン以外にはあまり知られていないのかもしれない。  縦横無尽にステージを駆け巡り、シールドが抜けようが、ストラップが外れようがお構いなく飛び跳ねる。その姿は“田村ダンス”としてファンの間でも親しまれ、ライブの大きな見どころにもなっている。それはベーシスト仲間から「スピッツのライブにそこまで激しい動きは要らない」と笑いのネタにされたりするほどである。

“淫靡な誘惑”のピック弾き SEELA(D'ERLAGER)

D'ERLANGER - Beast in Me

 シンセベースを思わせる無機質なプレイからウッドベースかと耳を疑う柔らかな音、その全てを変幻自在のピック弾きで表現する。エフェクターは使用しない。胸をえぐられるような重低音を武器に、地を這うようなローポジションからしなやかに突き抜けていくハイポジションを何度も何度も行き来する。その指板上を踊るかのような左手のフィンガリングと超高速ダウンピッキングの右手とのコンビネーションは見ているだけでも美しい。  ステージ上での寡黙な佇まいと、CIPHER(Gt.)、TETSU(Dr.)という派手なカリスマプレイヤーに挟まれ、どうしても影になりがちである。だが、このバンドの耽美でデカダンスな世界観を大きく担っているのは、紛れもなくこの破壊力と美しさを兼ね備えた凄腕ベーシストである。

色気と狂気のベーシスト 松田知大(WRENCH)

WRENCH "kita" (Official Music Video)

 そのクールな風貌とは裏腹に、痙攣したような動きと地団駄を踏むようなステップから生み出されるグルーヴは唯一無二。それは押し寄せる音の洪水を引っかき回しているかのようである。WRENCHと並行してトランスバンド、strobo、2011年からはポストロックバンド、te'でも活動している。ラウドロックシーンから、レイブパーティーまで、ジャンルを飲み込む男前なベーシスト。そして、BUCK-TICKの櫻井敦司、ENDSの遠藤遼一(ex.SOFT BALLET)、キリト(ex.PIERROT)などの孤高のヴォーカリストたちの歌をも支える側面を持つ。

te' - 音の中の『痙攣的』な美は、観念を超え肉体に訪れる野生の戦慄。

 またグラフィックデザイナーとしても活躍中で、自身のバンドの他、BUCK-TICKやTHE BACK HORNなど数多くのアートワークも手掛け、自身のブランド「DRONE」を展開している。  さて、後半は視点を変え、見た目もスタイルも個性的なベーシストに注目してみたい。

テクニカルな女形 華凛(NoGoD)

FRONTIER (Short version)/NoGoD

 奇抜すぎるヴィジュアルからイロモノと見られがちであるが、ハードロック、メタルをベースとした音楽性、各々の演奏技術もハイレベル。まさに「もっと評価されるべき」という言葉が似合うバンドだろう。そんな強者どものメンバーの中で、笑顔で悠々と5弦ベースを弾く女形ベーシストである。人差指・中指・薬指を使った高速3フィンガーの指弾きを得意とし、随所に親指を加えた4フィンガーをも巧みに操るテクニカルプレイヤーだ。スラップは勿論、ギターのKyrie(キリエ)との“ピロピロ”(タッピング)対決もライブにおけるハイライトである。

karin(NoGoD)

 そんな長年親しまれた“女形”を先日卒業した。これからはイケメンベーシストとしての新境地開拓に期待したい。

異様なほどの中毒性 マーガレット廣井(八十八ヶ所巡礼)

八十八ヶ所巡礼「仏滅トリシュナー」

 サイケデリックでプログレッシブ? そんなジャンルなんてどうでもよくなる無稽ながらも中毒性の高い世界観。メディア露出もなければ宣伝もしない、ライブ活動とそのクチコミだけでカルト的な人気を誇る。表現のしがたいつかみどころのないプレイ。そのボーカルスタイルと共に、独創的なデザインで有名なハイエンドベース・アトランシアのオリジナルモデルも相俟って、ビジュアル面でも怪しさを醸し出している。

カオスティックなツインベース 猫田ヒデヲ・宇野剛史(GOLIATH)

GOLIATH - blackout - Official

 最後に紹介するのは、従来のバンド編成とは一味違うツインベースバンド、ART-SCHOOLとFOX LOCO PHANTOMのメンバーを中心に結成されたGOLIATH(ゴライアス)。ボトムを支えるという従来のベースの役割に加え、リードを弾くというギターの領域までを行き来する二本のベース。その複雑に音が絡み合う様はオリエンタルでジャンルが入り乱れた楽曲とサウンドのカオスティックさを演出している。  「縁の下の力持ち」などとも言われるベーシストであるが、土台を支えながらもそこに自分らしさを投じる。バンドのリズムとグルーヴを司り、場合によってはギタリスト以上に前へ出ることだって可能である。  歌はベースの音、フレーズが肝になる場合が多く、ライブではベース音の聞き取りやすさを重視するボーカリストも多い。新人ボーカリストの成長過程において腕の良いベーシストに巡り合うことが重要視されることもある。名作映画に主演を支える名脇役が居るように、良いバンドには良いベーシストがいるものだ。 ■冬将軍 音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

希美まゆ、早乙女らぶ、大塚れん……増加する音楽好きのセクシー女優たち

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RIO『アイム・セクシー~Da Ya Think I'm Sexy?~【初回限定盤A】』(ビクターエンタテインメント)

【リアルサウンドより】  アダルトビデオ業界は創世記の頃から、音楽業界との間に深く、そして秘めた関係性を維持しながら30年以上歩んできた。  古くは、1980年代のAV黎明期に活躍した伝説の監督・伊勢鱗太郎が、70年代後半から80年代にかけて活躍したロック・ファンクバンド「じゃがたら」の楽曲を全編に使用したAV作品『問題盗撮6』を発表している。  AV界の巨匠として名を馳せるカンパニー松尾監督も、オルタナティブな音楽作品で知られる孤高のミュージシャン、豊田道倫のドキュメンタリーを撮り続けるなど、エロと音楽をクロスオーバーするような活動を展開中だ。  近年では、人気女優のRioやつぼみなどが歌手活動を活発化させるなど、演者自身が音楽で自己表現するケースも目立つ。  そしてSNS時代ともいえる今日、Twitter等で自らの音楽的嗜好を明らかにする「音楽マニア」なセクシー女優達も増えている。  今回は「エッ!! この子こんな音楽が好きなんだ?」というサプライズを持った人気女優達の、もしかしたら彼女達が出演する作品と同じくらいおもしろいかもしれない、音楽系プロフィールをご紹介したい。

最も「エモい」セクシー女優!? 希美まゆ

 先日、ゲスの極み乙女。の公式アカウントからもフォローされ、ミュージシャンの間でもその「エモさ」がじわじわ話題となっているのが希美まゆチャン。2009年に「平成生まれのセクシー女優」としてデビューして以来、その愛くるしいルックスと物おじしない演技によって、2013年アダルトビデオ30周年記念企画AV30でもベスト女優ランキングにランクイン。人気女優としての地位を断固たるものにしている彼女。  ネット上のこころない中傷にも果敢に対応し続け、その「男気」にも多くの人々が共感を寄せているが、そんな彼女はエモコア系BANDの熱烈なファンでもある。彼女は自身のTwitterアカウントで、WHITE ASHUNCHAIN、そしてストレイテナーの楽曲に涙をこぼす。彼女の「エモい」Tweetで溢れかえっており、その生々しい人柄に共感する音楽ファンは多いはず。  ユニットとしてアイドル的な歌手活動も行っている彼女の、ますます本格的な音楽活動が待たれるところである。 希美まゆTwitter

あまちゃん激似セクシー女優は銀杏BOYZ好き!? 湊莉久

 今年の4月1日でまだデビュー1周年にもかかわらず、昨年週刊誌等で「あまちゃん似女優」として特集グラビアが組まれたり、そのショートカットでロリ系なイメージとは裏腹な大胆すぎるシーンによって、一躍人気女優に躍り出た彼女。  インタビューで銀杏BOYZファンを公言している彼女は「洋楽ハードロックマニア」でもある。  KISSのライブに狂喜乱舞、今月行われるDEEP PURPLEの来日公演を連続Tweet。その「洋楽好きオヤジキラー」なマニアックさには驚愕の一言だ。  彼女は昨年スタートした、多数のセクシー女優が音楽系パフォーマンスを行う「ハッピーアワーシアター」にて、音楽ユニット「クレイジートマト」の一員として月一でライブも行っている。  ナマの彼女を見てみたいという方は是非一度来場して、その魅力に触れていただきたい。 有名AV女優インタビュー 湊莉久 vol.1 ハッピーアワーシアター公式サイト 湊莉久Twitter

X JAPAN、HIDEコスプレ写真集まで出してしまった"運命共同体"女優 早乙女らぶ

 その華奢な「2.5次元」系たたずまいによって、コスプレ系作品で驚異的な売り上げを誇り、さらには近年その演技力を生かしてピンク映画にも進出している早乙女らぶ。  純愛☆妹アイドル「マシュマロ3D」として掟ポルシェ氏とのイベントに出演したり、セクシー女優のみが所属する音楽レーベル「MILKY POP GENERATION」にてCDを発売したりと、音楽関連の活動も活発な彼女は有名な"運命共同体"(X JAPANファンの名称)でもある。  彼女のTwitterアカウントを是非訪れてほしい、そこには有名なイエローハートギターを抱えてHIDEに扮した彼女の雄姿が! 「ロリロリのギターでゲロゲロのリフを弾く」という、HIDEによるイエローハートのコンセプトそのままに、2次元と3次元を行き交う早乙女らぶのセクシー女優としての心情の表れが見て取れるではないか。  ますます過激にそのXXXなロリセクシーさに磨きをかける彼女に、今年も注目していただきたい。 早乙女らぶTwitter

フェス&ライブ出没情報多し! "パーフェクトボディ"女優は「泣きメロ」マニア? 大塚れん

 もしアナタが「泣きメロ」好きで、ハード&メローな最新型のギターBANDを好きで、エロもお好きなら、真っ先にフォローすべきは大塚れんのTwitterアカウントだろう。  そのパーフェクトボディと本気すぎるシーンで、すでに100作品以上をリリースする大人気女優である彼女は、Nothing's Carved In Stoneの「きらめきの花」、そして韻シスト「哀愁のチューン」をモスト フェイバリット ソングに上げる、知る人ぞ知るロックマニアでもある。  夏フェスにも多数参戦、下北のライブハウスにもよく出没しているらしい彼女の現在の激推しBANDは、the brown、彼女 in the display、打首獄門同好会。このあたりからも彼女の「選曲(BAND)眼」の素晴らしさが伝わるのではないだろうか。  セクシー女優として、もっともマニアックなロックファンの一人といえるかもしれない。 大塚れんTwitter  「エモ系セクシー女優」「泣きメロ大好きセクシー女優」といったカテゴリーがあってもいいはずなのに、セクシー女優をカテゴライズするワードは21世紀の今日に至っても「巨乳」「美少女」などなど、すこぶる昭和的で旧態然としたまま。音楽に例えれば、それはEDM、JUKE、BROKEN BEATS……と、常にアップデートされているダンスミュージックを、いまだに「ディスコ」と言うようなもの。あるいは、1990年代に起きたインディーズ革命によって、21世紀以降、より多彩で自由な形態を謳歌しているオルタナティブミュージックを、惰性で全て「ロック」と一括りにするような怠惰さがあるように思える。  SNSを使って、作品では表現されない自らのナマの姿を音楽によって表明している彼女達。「どんな音楽が好きなんだろう?」といった音楽ファン的な、より近しい目線で接することで、彼女達に対する「INTIMACY(親密さ)」が湧いてくるのではないだろうか。 ■ターボ向後 AVメーカー『性格良し子ちゃん』を率いる。PUNPEEや禁断の多数決といったミュージシャンのMVも手がけ、音楽業界からも注目を集めている。公式Twitter

BABYMETAL、松井愛莉、武藤彩未…ブレイクアイドルの登竜門「さくら学院」に迫る

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数々の次世代アイドルを輩出する登竜門、さくら学院。

【リアルサウンドより】  サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティらを擁する大手芸能プロ・アミューズ所属のアイドルグループ・さくら学院が、人気タレントを輩出する育成機関として注目を集めている。

アイドル市場を突き抜けたBABYMETAL

 最も成果を上げているのはBABYMETALだ。メンバーはSU-METAL(中元すず香、2012年度卒業)、YUIMETAL(水野由結)、MOAMETAL(菊地最愛)の3人。2010年11月に「メタルとアイドルの融合」をコンセプトに掲げ派生ユニットとして結成されて以来、快進撃を続けている。今年2月には『ミュージックステーション』に出演。同月には女性アーティストとしては史上最年少の平均年齢14.7歳で日本武道館でのワンマン2days公演を開催し、2日間でのべ約2万人を集客、大成功を収めた。また、1stアルバム『BABYMETAL』は、オリコン週間チャートで4位、iTunes Storeでは、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、オーストラリア、カナダ、アイルランド、スウェーデンのロックチャートで1位を獲得。勢いに乗り、3月22日付けの全米ビルボードのアルバムチャートで187位に上昇。またその他のビルボードチャートでは、ハードロックアルバムカテゴリで12位、ワールドアルバムカテゴリで2位、新人(Top Heatseekers)カテゴリで4位という成績を残した。  YouTubeでの「ギミチョコ!!」のLive Music Videoは4月4日現在約480万回という驚異的な再生回数を叩き出している。コメント欄を見てもいかに海外から評価されているかが分かるだろう。  もはやPerfumeAKB48ももいろクローバーZと同様に、狭義のアイドル市場を突き抜けた存在になったと言っていいだろう。

BABYMETAL - ギミチョコ!!- Gimme chocolate!! - Live Music Video

松井愛莉、三吉彩花、武藤彩未......活躍の幅を広げる卒業生たち

 つい先日、プロ野球「ロッテ対西武」戦の始球式に登場し話題となった、2011年度卒業生の松井愛莉も好調だ。昨年2月より、結婚情報誌『ゼクシィ』(リクルート)のオーディションで応募者400人の中からグランプリを勝ち取り、1年間「ゼクシィ6代目CMガール」をつとめた。また同年には、過去に堀北真希、新垣結衣、北乃きい、川口春奈らがつとめた「全国高等学校サッカー選手権大会」の応援マネージャーに就任。今年に入ってからは、佐々木希やももクロZが出演していたロッテ「Fit's」のCMや、『週刊ヤングジャンプ』の表紙グラビアにも登場したりと、活躍の幅を広げている。  同じく2011年度卒業生の三吉彩花は、女優としてのキャリアを着実に積み上げている。ドラマ『高校生レストラン』(2011年5月~7月2日、日本テレビ)、『結婚しない』(2012年10月~12月、フジテレビ)、『ロストデイズ』(2014年1月~3月)などにレギュラー出演。映画『グッモーエビアン!』『旅立ちの島唄~十五の春~』などにも出演し、「第67回 毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞」や「第35回 ヨコハマ映画祭最優秀新人賞」を受賞。資生堂 「シーブリーズ」、森永製菓「ベイク」といったCM出演も増えており、メディア露出は多い。  さらに同じく2011年度卒業生にして初代生徒会長・武藤彩未も、80年代テイストなコンセプトを貫くソロ歌手として活動中だ。昨年9月にはSHIBUYA-AXや赤坂BLITZでワンマンライブを開催。今年に入ってからは伊勢丹のキャンペーン「花々祭」のビジュアルモデルに抜擢され、4月23日にはデビューアルバム『永遠と瞬間』をリリ-スするなど、精力的に活動を続けている。

"成長期限定"故の刹那的な美しさ、部活動の楽曲クオリティーの高さ

 ブレイクアイドルの登竜門的存在となったさくら学院。では、さくら学院とはどんなグループなのか。その特色は、まず「成長期限定」と謳われている通り、メンバーは中学生以下に限られ、中学卒業と同時にグループも卒業するというシステムがとられていることにある。このことにより、アイドル特有の刹那的な楽しさや美しさが強調され、ファンも期限付きで没入できる作りになっている。期限付きだからこそ、季節を感じながら、より深くファン活動を楽しむことができるのだ。  また"接触"と呼ばれる握手会などのファンとの直接交流をメンバーが行わないことも大きな特徴として挙げられる。現状のライブアイドルにとって、接触によって利益を上げ、ビジネスとして回して行くのは必須となっている。そこに頼らず、2010年から現在まで続けて来れたのは、冒頭にも書いた通り、所属事務所が大手芸能プロ・アミューズだからだろう。すぐに費用を回収できなくても、長い目で見て新人育成にたっぷりと先行投資することができるのだ。  ライブも独特だ。基本は椅子席のみで、「父兄」と呼ばれるファンたちは、そのほとんどが大人しく席について鑑賞している。サイリウムやペンライトよりも、公式グッズのフラッグを振る、という応援スタイルが定着している。接触がない分ステージ上のメンバーからのレスは貴重で、父兄に「お手振り」で返すさまは、皇室的な雰囲気すら醸し出している。学校設定のアイドルグループは少なくないが、さくら学院はその中でも特にお嬢様的で清楚な"校風"を感じさせる。

さくら学院 科学部 - サイエンスガール▽サイレンスボーイ

 楽曲もクオリティーが高い。前述のさくら学院の校風を壊さない、王道的な全体曲の他に、重音部として出発したBABYMETALなど、「部活動」と呼ばれるユニットの曲はどれもそれぞれにコンセプトが徹底していて、差別化ができている。特にテクノポップ風路線の科学部「科学究明機構ロヂカ?」や、渋谷系テイストなネオアコ感が面白い『予想以上のスマッシュ』を歌うテニス部「Pastel Wind」、沖井礼二によるバトン部「Twinklestars」は、単体でグループ活動ができるのではないかと思えるほど、よくできている。  3月30日には堀内まり菜、飯田來麗、杉﨑寧々、佐藤日向の最後の初期メンバー4人が卒業を迎えたさくら学院。そして、5月5日には生徒会長が発表され、転入生が迎え入れられる「転入式」が開催される。未来の人気タレント、アーティストを生み続けるさくら学院の動向に、是非注目して欲しい。 ■さくら学院 2010年4月に"開校"。成長期限定がコンセプトで、「アイドルを超えた、スーパーレディーになる」ことが目標。4月4日現在、メンバーは水野由結、菊地最愛、田口華、野津友那乃、磯野莉音、大賀咲希、白井沙樹、山出愛子の8人。最新アルバム『さくら学院 2013年度 ~絆~』が発売中。アミューズ所属。 オフィシャルサイト http://www.sakuragakuin.jp/ オフィシャルTwitter https://twitter.com/sakura_shokuin ■岡島紳士(おかじま・しんし)Twitter 1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。DVDマガジン『NICE IDOL (FAN) MUST PURE!!!』制作。現在は新シリーズ『IDOL NEWSING』を制作中。 http://idolnewsing.com/

CDチャートには反映されない、史上空前の『アナと雪の女王』旋風

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『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック』(WALT DISNEY RECORDS)

参考:2014年3月24日~2014年3月30日のCDアルバム週間ランキング(2014年4月7日付)(ORICON STYLE)  「♪レリゴオォーレリゴオォー」「♪ありのおぉーままのおぉー」というわけで、今週のアルバムチャートを紹介する前に、このタイミングでチャートの話をするなら『アナ雪』旋風のことに触れないわけにはいかない。本日(4月3日)のiTunesチャートを見てみると、ソングチャートの方は1位が松たか子「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」、2位がイディナ・メンゼル「レット・イット・ゴー」、3位が神田沙也加、松たか子「生まれてはじめて」、5位&6位がMay J.「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」(バージョン違い)、10位が神田沙也加、稲葉菜月、諸星すみれ「雪だるまつくろう」と、実にトップテンの6曲が『アナ雪』絡みという、まるで60年代のアメリカ上陸直後のビートルズ状態。もちろんアルバムチャートもダントツ1位は『アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック』で、6位にも同サントラ(バージョン違い)、10位には「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」収録のMay J.のカバーアルバムがランクインしている。現在日本全国の劇場で歴史的大ヒットを記録中の『アナ雪』。ヒットの最大要因はその歌の圧倒的なパワーにあると言われているが、まさにそれを証明する『アナ雪』のチャート完全制覇(iTunesだけでなく他の音楽配信サイトも含む)である。  さて、そこでオリコンのアルバムチャートに目を向けてみると。むむむむ。確かに『アナ雪』サントラはジワジワとランクアップしてきて今週は4位、May J.のカバーアルバムも6位に初登場と、それなりに『アナ雪』旋風の痕跡は確認できるけれど……。なんでも、「オリコンで邦洋通じて映画のサウンドトラックが2週連続TOP5入りしたのは10年9ヶ月ぶりの快挙」とのことらしいが、そんなことを「快挙」を言われても、何を今さら眠たいこと言ってるんだというのが正直なところ。ディズニー映画に限らず、日本でここまで映画の主題歌が爆発的に浸透したのは、それこそ20年以上前のホイットニー・ヒューストンの「♪エンダアアアアァァァァ」以来だろう。しかも今回は、松たか子、神田沙也加の日本語バージョンが海外でも話題になるほどの見事な仕上がりで、May J.のカバー曲も合わせて、その相乗効果は史上空前のとんでもない規模となっている。  そう考えてみると、つくづく「今、世の中でどんな音楽が流行っているか」のバロメーターとしてのCD売り上げチャートの役割は終わったのだということを痛感させられる。多くの人が指摘しているように、現在のCDチャートは「今、どんな音楽が流行っているか」ではなく「今、どんなミュージシャン/タレントに熱心なファンがついているか」を教えてくれるものでしかない。後世にその時代の正確な流行・風俗を伝えるためにも、CDの売り上げ以外の総合的なチャートの整備が一日も早く必要だ。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

KinKi Kids堂本光一の音楽的スタンスとは? 異彩を放つ「プロデューサー資質」

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【リアルサウンドより】  KinKi Kidsとしての音楽活動のみならず、10年以上続くミュージカル作品『SHOCK』シリーズでの主演や、テレビ番組のMC、さらには映画作品の声優と、幅広いジャンルで活躍を続ける堂本光一。  昨年末にはKinKi Kidsとして新アルバム『L album』をリリースしたほか、今年1月にはソロコンサートの映像作品 『KOICHI DOMOTO Concert Tour 2012 "Gravity"』をリリース。2月7日より公開された映画『ラッシュ/プライドと友情』 では、日本語吹替版声優として出演した。  その活動の幅広さと実力から、エンターテイナーとしての彼の資質と、仕事へのストイックさを称える声は多い。しかし、KinKi Kidsの相方である堂本剛がアーティストとしての活動に力を入れていることと、堂本光一が舞台などで華々しい結果を残していることが影響しているのか、彼の音楽的資質への言及は意外なほど少ない。  そこで、ジャニーズの動向に詳しいライターのジャニ子氏に、彼の音楽に向き合うスタンスについて、話を訊いた。 「光一さんは自身で作曲をすることも多いのですが、作詞に関してはほかの人に依頼することが多く、アイドルとしてはかなり変わったスタンスといえます。もともと寡黙なひとで、そのパーソナリティも影響しているのでしょう。彼は自分の中にある思いを吐き出すといったタイプのミュージシャンではなく、ダンスや音でひとつの世界観を完成させる、というタイプなのかと思います。そしてそのために、彼は自分以外のさまざまな人の表現を取り入れています。たとえば、今井翼さんが主演を務める『PLAYZONE』を鑑賞した後は、その振り付けを担当したトラヴィス・ペインさんに、自らのダンスの振り付けを依頼しています。トラヴィス・ペインさんはマイケル・ジャクソンの振り付けも担当した一流のコレオグラファーです。これは個人的な憶測なのですが、彼のそのような姿勢は恐らく、ジャニーさんに影響を受けたのかと。ジャニーさんはアメリカのショービジネスなどをどん欲に取り入れ、すぐに自分のプロデュースするショーに反映し、磨き上げていくというやり方をしています。とにかく新しい表現をキャッチして、それを消化していくスピードが早いんですね。そしてそういうやり方をコピーできるのは、やはり彼の仕事に対するストイックさがあるからかと思います」  自ら演者として表に立ちながらも、ある意味ではプロデューサー的な視点を持った堂本光一。彼のコンサートにも、その素質は見て取れるという。 「アルバム『Gravity』を提げたツアー『KOICHI DOMOTO 2012“Gravity”』で彼のコンサートを観たのですが、ジャニーズでは珍しく女性ダンサーも登場する、アダルトな雰囲気のショーでした。登場するJr.メンバーも舞台の選抜を集めた感じで、本格的なダンサー集団といった風情です。いわゆるアイドルのコンサートの感じではなく、完成されたショーとなっていて、女性ダンサーが彼の頬をなでるような振り付けも、落ち着いたトーンの音楽でちゃんとアーティスティックに見せることができる。ほかのジャニーズのコンサートだと、ファンから悲鳴さえ上がりそうな演出さえも、彼の場合は成立するんです。きっと彼は自分が作品を作るうえで何を大切にすべきかがちゃんと見えていて、ファンもそれをわかっているんでしょうね」  いわゆるアイドル的なスタンスとは一線を画し、常に新たな表現に挑み続ける堂本光一。彼が一線で活躍し続ける秘訣は、そのセルフ・プロデュース能力にもあるのかもしれない。 (文=松下博夫)

indigo/ゲス極のキーマン川谷絵音登場「バンドシーンを通過して、唯一の存在になりたい」

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indigo la End

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ゲスの極み乙女。

【リアルサウンドより】  美しいメロディを軸とした完成度の高い「歌」を作るロックバンドindigo la End。そしてプログレ、ヒップホップを基調としつつ刺激的なサウンドを生み出す、ゲスの極み乙女。。その両バンドで作詞作曲を手がける司令塔というべき存在が、ボーカル・ギターの川谷絵音だ。4月2日にindigo la End『あの街レコード』と、ゲスの極み乙女。『みんなノーマル』を同時リリースしてメジャーデビューを果たす彼が、自身の創作スタンスと、現在のバンドシーンについて語った。

「indigo la Endは、一度バンドシーンに入る必要があると感じた」

――indigo la Endの『あの街レコード』とゲスの極み乙女。の『みんなノーマル』は、同時に録っていたのでしょうか。 川谷:時期はズレていましたね。indigoは3月にインディーズで出すつもりで、先に作っていて、完パケしてからゲスの方を作っていきました。indigoとしては、1年間リリースをしていなかったので今回が勝負作のつもりで。それでindigoとゲスのレコーディングの狭間の12月あたりに「一緒に出したら、面白いんじゃない?」という話になったんですよね。 ――同時にかなり方向性の違う作品を出すところが面白いのですが、まずはindigo la Endの勝負作『あの街レコード』について。この作品は普遍性のあるポップソングを志向していて、粒ぞろいの楽曲が揃った印象です。 川谷:indigoでは前作のフルアルバムの『夜に魔法をかけられて』で、自分たちの中でやりたいことが出せたと感じていたんですけど、複雑なこともやっていたからか、あまり理解されなかったように思っていて。で、そのフラストレーションを感じつつ、この1年間ゲス(の極み乙女。)でたくさんCDを出しました。その中でいろいろと考えて、歌を伝える作品を作って、バンドシーンに一度しっかり入りたいと思ったんですよね。indigoは今のシーンから少し距離を置いた作品が多かったので、一度バンドシーンを通過する意味で、開けた作品を作るために歌を中心にしました。だからポピュラリティがあるんだと思います。 ――「バンドシーンに入っていく」というのは、具体的にはどういうイメージですか? 川谷:僕が思うindigoの最終目標はくるりクラムボンのように、ポップだけれど自分たちのやりたいことをやって唯一の位置づけになることです。彼らは一度、ライブ中心のバンドシーンを通過した上でそこにいると思うので、自分たちにもそれが必要だと思ったんです。それで押し出したindigoの強みは歌とギターでした。特に長田くんのここまで歌っているギターは、他であまりないと思うんです。その違いはわかってほしいですね。歌に関しては、1年間ゲスをやって、少し主観的な視点で自分を出したいと思って。明確に歌いたいものがあったわけではないですけど、そういう意味でストレートに伝わるものを作りました。indigoはゲスよりも歌を大事にしていて、言葉の伝わり方が疎かになるのは嫌だったんです。
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「大学に入ってバンドを始めてから自分の人生がスタートした」

――ゲスが打ち出している言葉の方向性は、散文的な批評性やユーモアではないかと思います。一方indigoの場合はもっとロマンチックな心象風景であったりしますよね。この2つの方向性がご自身の中で共存していることをどう捉えていますか? 川谷:最初は特に歌詞を書き分けている意識はなかったですね。ゲスは「ゲスの極み乙女。」というバンド名に引っ張られてそういう歌詞を書いていた、というのが結論です(笑)。indigoの場合は、ストレートなものより情景描写のような歌詞が好き、という元々の僕の性格や好みが出ています。それで方向性が分かれた、ということだと思いますね。 ――『あの街レコード』にあるどこかノスタルジックな風景描写は非常に魅力的ですが、あれはご自身の中に常にある風景ですか。 川谷:原点回帰という意味も含めて、出身地の長崎を思い浮かべながら書きました。でも高校までを過ごした長崎での生活は何もなかったというか。大学に入ってバンドを始めてから自分の人生がスタートしたようなものなので、あまりにも何もなかった自分への後悔もあって、10代までの風景が思い浮かぶのかもしれませんね。 ――なるほど。10代の頃も音楽は自分の身近にありましたか。 川谷:聴いてはいましたけど、オリコンに出てくるようなJ-POPしか聴いていませんでしたね。小学校の頃は、モーニング娘。やTM Revolutionとか。そこから大学で軽音部に入って、いろいろな音楽を知って音楽欲求のようなものが出てきたんです。例えば大学の時に聴いたのは、ゆらゆら帝国ですね。で、坂本(慎太郎)さんが聴いている音楽を聴いたりして、そこからはノイズ系や暗いものばかり聴いていました。日本人のまったく知られていないノイズ系の人とか、ですね。 ――ノイズは、ギターの音への興味から? 川谷:はい。坂本さんのギターがすごく好きで、そこからギターの音のかっこよさに惹かれて。ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトのギターも好きでした。で、ある時、ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)の「別にギターじゃなくてもいい」という発言に感銘を受けてしまって、段々ギターから離れていってノイズ系を聴くようになったんです。
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「ゲスの極み乙女。は、バンドシーンから抜け出す時期だと考えた」

――当時、ダンスミュージックへの興味は? 川谷:ダンスミュージックはあまり興味がなかったです。アンダーワールドも別に好きじゃなかったし、テクノなんて大嫌いでしたし。ノイズとか聴いてるくせに、テクノに「人間味がない」とか言ってて(笑)。今ではテクノも聴きますが、基本は人力の方が好きですね。 ――ではゲスでやっているような音楽性の追求は、ゲスを始めてからですか。 川谷:エレクトロとかは好きで聴いてましたけど、基本的には自分がやりたいことだけをやっているような感覚です。例えば、ファンクに影響を受けたバンドの黒いノリはすごく好きなんですけど、「どファンク」というような泥臭いものは嫌いなんですよね。だからゲスはメロウな部分、リスニングミュージック的な要素も持たせて泥臭くならないように気をつけました。 ――今度のゲスのアルバムでは、確かにメロウな要素が増えていますね。 一方で、ライブの盛り上がりを見ると、リスナーはテンポの早い曲を求めている面もありそうです。そのあたりのバランスはどう考えましたか。 川谷:前作が売れたこともあって、テンポが早いほうが受けるだろうな、ということは考えました。でも、indigoとは対照的にゲスはバンドシーンにもう入っているので、逆に言えば、必要なのは(バンドシーンから)抜け出す作業かな、と。早いテンポで売れるのはバンドシーンだけで、J-POPには全然関係ない。ここでより多くの人に聴いてもらうためには、テンポは落としたほうがいいんです。ここに居続けるとずっとバンドシーンの中のバンドにしかならないので「抜け出すなら今だ!」と考えて全体的にテンポを落としました。バンドシーンを変えたくて前作を作りましたけど、今考えてみるとそれも間違い。変える必要もないし、変わらないものは変えられないから、興味のないものには手を出さなければいいんです。 ――バンドシーンの中で支持を広げつつも、現状に危機感があると。 川谷:そうですね。CDが売れなくなっていることはしかたがないけれど、売れなくなっているからこそウェイトが大きくなっているライブで、画一的になってしまったら、これで大丈夫なのか? と。でもそれを変えることはできないことがわかったので、ゲスは抜け出す方向にいこうと思っています。
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「この1年間によって今後が決まる、と考えている」

――indigo la Endに関しては「バンドシーンに入っていく時期」、ゲスの極み乙女。に関しては「抜けだす時期」であると。どちらも最終的には、より広い意味でのポップミュージック、音楽シーンで自由にやる、ということでしょうか。 川谷:どちらも唯一無二の存在になりたいと思ってやっていますね。この1年間によって今後が決まる、というくらい今年は重要な年だと考えています。メジャーという状況で売れることに一喜一憂したり、浮わついたりしないで、しっかりと考えて地に足をつけて活動したいです。今までは、バンドが広がって伸びていくことに対していろいろ考えなければ、という感じでしたが、今はそれよりも、自分の中の音楽をしっかり考えなければ、と。 ――その点で言うと、『あの街レコード』は現時点でのご自身の方向性が反映されたものですか? 川谷:そうですね。とは言いつつも反応は気になります。次の作品にも向かっていますが、まだ方向性が見えない部分は多いです。 ――今のindigoの音楽は90年代後半のスピッツを思い起こさせる部分があります。 川谷:スピッツはindigo la Endのバンド名も『インディゴ地平線』から取っているくらい好きです。元々はスピッツが一番の理想なのかもしれません。 ――バンドという形態で、普遍性のあるポップスを作るという点で共通しているのかなと感じます。テレビでかかっても全然不思議ではないというか。 川谷:むしろこの作品はそういう風に聴かれるべきだと思います。インディーズで出すつもりではいましたけど、勝負をかけた作品なので、メジャーとして出すことにも全く抵抗はありません。今のシーンでは、「J-POPか、バンドか」という感じになってしまっていますね。それこそ、くるりやクラムボンはその中間にいると思う。今のくるりをロックバンドという人はいないと思うんです。そういうものがいいですね。まぁでも、特にindigoに関してはJ-POPと言われても別にかまわないので、そういう方向性もありだと思います。いい歌は届くので、それが何のカテゴリーでも伝わればかまいません。 ――今後は2つのバンドのスポークスマンとして発言する機会も増えると思います。SNSなども積極的に使っていますが、今後のメディア展開はどうお考えですか? 川谷:Twitterは割りとおちゃらけて、自分が見えないようにやっていますかね。でも今回のようにメディアでは自分が考えていることをちゃんと話そうと思っています。でもその結果、たまに言っちゃいけないこともけっこう言っちゃっているという。原稿チェックが大変になることに最近気が付きました(笑)。 (取材=神谷弘一)
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indigo la End『あの街レコード』(ワーナーミュージック・ジャパン)

indigo la End ■リリース情報 『あの街レコード』 発売:4月2日 価格:¥1,500(税抜き) 《収録曲》 •夜明けの街でサヨナラを •名もなきハッピーエンド •billion billion •あの街の帰り道 •染まるまで •ダビングシーン •mudai •アリスは突然に ■ライブ情報 『indigo la End TOUR 2014「夜明けの話」』 4月4日(金) 名古屋APOLLO BASE 4月6日(日) 梅田Shangri-La 4月12日(土) 仙台 enn 2nd 4月17日(木) 福岡graf 4月20日(日) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room 5月14日(水) 渋谷CLUB QUATTRO
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ゲスの極み乙女。『みんなノーマル』(ワーナーミュージック・ジャパン)

ゲスの極み乙女。 ■リリース情報 『みんなノーマル』 発売:4月2日 価格:¥1,500(税抜き) 《収録曲》 •パラレルスペック •サカナの心 •市民野郎 •ノーマルアタマ •song3 •ユレルカレル ■ライブ情報 『ゲスにノーマル』 6月7日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE 6月8日(日) 仙台 長町RIPPLE 6月14日(土) 広島CAVE-BE 6月15日(日) 名古屋CLUB UPSET 6月21日(土) 大阪Music Club JANUS 6月22日(日) 福岡DRUM SON 7月5日(土)、6日(日) 恵比寿LIQUID ROOM 『ゲスでいこか Vol.2』 ~東京編~ 6月28日(土) 恵比寿LIQUID ROOM ~大阪編~ 7月11日(金) 梅田CLUB QUATTRO ~名古屋編~ 7月13日(日) 名古屋CLUB UPSET ※『みんなノーマル』初回出荷分にCD先行予約チラシ封入

福山雅治『LIVE MONSTER』で下ネタ披露 アルバム予約特典に「下半身のMRI画像」!?

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福山雅治『HUMAN(通常版)』(ユニバーサルJ)

【リアルサウンドより】  4月2日にニューアルバム『HUMAN』をリリースする福山雅治が、3月30日の『LIVE MONSTER』(日本テレビ系)にゲスト出演。MCの中村正人(DREAMS COME TRUE)と、自身のルーツやデビュー前の秘話、海外進出への思いについて語り合った。  前回のゲストから出された質問をベースに、アーティスト同士ならではの裏話などを掘り下げていく同番組。今回は、前週のゲストである三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEからの「まだやっていないこと、これから挑戦したいことは?」という質問に沿って、20年というキャリアがありながらも、毎回新しい挑戦を続ける福山の活動について聞いた。  冒頭、中村は福山との接点について、ラジオをその最たるものとして挙げた。レギュラー番組を前後の時間帯で持っていたことなど、二人の接点は多かったようだ。また、福山が1991年から続けている『オールナイトニッポン』について中村が質問すると、福山は観客に「1991年より前に生まれた人は?」と問いかける。複数人の手が挙がったのを見ると「君たちが生まれる前から下ネタ言ってるんだぞ~」とおどけてみせた。  今年6月に台湾・香港で、自身初の海外公演を開催する予定だという福山。彼が2年前に初めて台湾に行った際は、多数のファンに出迎えられたそうで、「こんなに凄い反応があると思ってなかった」と、海外での人気が自身の想像を超えていたことを語った。  福山が今年4月からは初の全国5大ドームツアーを行う予定だと語ると、観客は「え〜」と反応。中村も「とっくにやってると思ってた」と驚きを隠せない様子だった。福山は「東京ドームと大阪ドームで、それぞれライブはしたけど」と語った上で、今回のツアーに関して「チケットが捌けるかどうかわからない」と不安を口にした。続いて、中村が「初の武道館ワンマンライブが2009年と、若干遅いよね?」と福山に質問。福山武道館公演まで19年の歳月を要した理由について「ステージが入らなかった。物理的に無理だということだけです」と、避けていた訳ではないことを明かした。  次に、中村から「バンド少年だったんだよね?」と聞かれた福山は、自身のルーツについて語った。長崎でTHE MODSやARBという、九州出身バンドのコピーをしていたという福山。当時は「新宿LOFTを満員にして、インディーズレーベルの人からスカウトされることを目指して東京に来た」そうだ。  さらに福山は、メジャーデビューするきっかけとなった、アミューズのオーディションについても言及。当時同居していた友人が原宿でスカウトされたことで焦りを感じた福山は、アミューズの10周年を記念したオーディションに応募。そこで合格し、現在までアミューズに所属していると語った。また、デビュー時の裏話として、本来は映画に出る役者をスカウトするためのオーディションだったため、会社としては音楽活動をする予定が無かったようだ。しかし、事務所に入った福山は「僕音楽やりたいんです」と譲らなかったため、現在の活動スタイルとなった。  役者としては2013年に初の父親役で第66回カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞した福山。その授賞式でカンヌを訪れた際に「(日本のものが世界の人に)こんな届くんだ」と感じ、自身の海外進出を考えたという。この体験から日本の音楽シーンについても「日本の音楽は自分たちで扉を閉めているところがある」と疑念を抱くようになったという。  また、父親役を演じたことや、年齢を重ねたことで、ラブソングに対する意識の変化もあったと福山はかたった。45歳になった彼は「甘いだけの歌じゃなんか嫌だなって思い始めて、自分の中で消化不良になり始めていた」という。「ポップスという音楽は、時代の中でどうオーディエンスに求められ、どういう風に機能しているのだろうか。自分が置かれた立ち位置の中で、どうポップスを鳴らしていくべきなのか」と考えた結果、ニューアルバムである『HUMAN』が完成したそうだ。同アルバムは、自身の脳をMRIで撮ったというジャケットが話題になっており、その試みについて中村が「裸を見せる以上のことだからね」と語ると、福山は「頭だけじゃなくて上半身も下半身も撮ってますけどね」と、ジャケット写真の撮影秘話を明かした。この下ネタに観客が反応するのを見た福山は、「じゃあ(下半身のMRI画像を)先行予約特典で付けちゃおっかなー」と悪ノリ。中村と無邪気にハイタッチをして見せた。  前半最後のライブでは、「惚れたはれたの感覚ではなく、『伝わらないこともあるけど伝えたい』『叶わない夢もあるけど叶えたい』という大人のラブソング」を作ったと紹介し、ニューアルバムから「暁」を歌い上げた。  後半のライブでは、観客からの黄色い声援に「俺こんな人気あったっけなー」と冗談を飛ばし、2012年に映画『ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマルアドベンチャー~』の主題歌となった「生きてる生きてく」を披露した。  番組の最後に中村から「他にやっていないことは?」と聞かれた福山は、「MCをやってみたい」と回答。これには中村も「じゃあ来週からここに座る?」と冗談を言い、スタジオが爆笑に包まれる中、番組が終了した。  次回、4月6日(日)のゲストは加藤ミリヤと清水翔太。コラボを完結させる二人のラストソングを作曲した槇原敬之が秘蔵エピソードを明かす予定だ。 (文=編集部)

SKE48、シングル1位獲得も「セールス下降トレンド」続く 人気安定への正念場に 

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SKE48『未来とは?(Type-A)(初回生産限定盤)』(avex trax)

【リアルサウンドより】 参考:2014年03月17日〜2014年03月23日のCDシングル週間ランキング(2014年03月31日付)(ORICON STYLE)  SKE48の初週40万枚弱という数字は前作の44.9万枚を下回るもので、これは昨年末に本欄で書いたような(参考:SKE48が初の「セールス下降トレンド」に直面 次回作以降の巻き返し策はあるか?)SKE48のセールス下降トレンドがより明確になったと見ることができるだろう。それでも長らくファンはグループを支えようという姿勢を見せていたが、大組閣などの影響もあって募った不満がセールスに影響し始めているとしたらちょっとまずいかもしれない。ファンと運営とメンバーが一体となって安定基調に乗せていくことができればいいのだが。  2位のタッキー&翼も同様というか、デビュー以来一貫して売り上げを落としている。このユニットそろそろ何らかのテコ入れとか、新機軸があってもいいかもしれない。とはいえジャニーズの場合はセールスが低下し続けても新規ファン層の開拓に積極的にもならず定期的なリリースが続けられることも多い。タッキー&翼もこの状態が維持される可能性もなくはない。また近年の滝沢秀明は舞台で積極的に活動しており、また今井翼もソロで安定したファン層を獲得しているため、タッキー&翼というグループの重要度は低くなっているのかもしれない。  Juice=Juiceについては、3位という順位よりも3.8万枚という初週売り上げ枚数が興味深い。これは昨年末にリリースされたスマイレージのシングルの累計売り上げをも上回るもので、Juice=Juiceが今のハロプロ内で新勢力のグループとして頭角を現していることがよりはっきりしてきたようだ。ファンも熱心に支持しており、モーニング娘。が低年齢化して以降のハロプロの新しい潮流を感じさせる。4万枚弱というセールス枚数は正直なところそんなに将来性の確かさを感じさせるものではないが、アイドルの中でも新しい可能性を感じるグループとして注目には値するに違いない。  9位のback numberは前作の1.7万枚という突出した売り上げに比べると、従来並みの枚数にとどまったと言える。しかしこのグループは丁寧な作りの3ピースバンドとして着実に支持を拡大しており、昨年には武道館公演も行っている。いわゆるロックのリスナー界隈では認知されつつあるはずで、ここからさらなるファン層の拡大を狙っていくのか、玄人好みの「アーティスト」として知られれば十分とするのか、そろそろ方向性が決まっていく頃ではなかろうか。しかし今どきのロックバンドはオリコン10位以内や武道館などである程度の箔を付けたら、あとはアーティスティックさを全面に出すことでアイドルやV系、EXILE、韓流などと一線を画した感を出していくことが多いように思う。個人的にはこういうロックバンドが10位以内に入れるほどまでに成長するのは喜ばしいことなので、ぜひもう少し上に挑戦してほしいところではある。 ■さやわか ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

セルフカバー集を発表する椎名林檎 作曲家としての特徴を現役ミュージシャンが解説

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椎名林檎『逆輸入 ~港湾局~(初回生産限定盤)』(ユニバーサルミュージック)

【リアルサウンドより】  椎名林檎が、5月27日にセルフカバーアルバム『逆輸入 ~港湾局~』をリリースすることを発表した。椎名はこれまで、SMAPTOKIOPUFFY広末涼子ともさかりえ栗山千明、真木よう子、野田秀樹らに楽曲を提供してきた。本作には、その中から選んだ11曲を収録。アレンジャーとして、小林武史、冨田恵一、前山田健一など錚々たるメンバーが名を連ねていることもあって、ファンからは期待の声が上がっている。  椎名が提供した楽曲は、いずれも一聴して彼女の作曲だとわかるほど“色”が強い。その理由とは何なのか。これまで当サイトで、aikoや松任谷由実などの楽曲を分析したロックバンド・トレモロイドのキーボード、小林郁太氏に話を聞いた。 「椎名さんの楽曲の特徴のひとつに、コードワークとメロディーラインといった曲の構成そのものが『派手』である、ということが挙げられるでしょう。まず、コードについて分析すると、椎名さんは『3度のメジャーコード』を多用していることがわかります。通常『ドレミファソラシド』(Cメジャー)のスケール(音階)で言う場合の3度は『ミ・ソ・シ』というマイナーコード(Eマイナー)になるところを、彼女の場合『ミ・ソ#・シ』にして、メジャーコードに変えているのです。具体的には、『歌舞伎町の女王』の『しわしわの祖母の手を離れ/ひとりで訪れた歓楽街』の『歓楽街』の部分。それから『丸の内サディスティック』の『報酬は入社後/平行線で』の『平行線』にも当てはまります。最近の楽曲では『いろはにほへと』でも、歌い出しの『青い空よなぜ』の『なぜ』にあたる部分など随所に使われています」  小林氏によると、スケールの中にない音をコードに含めると強い響きになり、「3度のメジャーコード」は、その“外した”コードの中でも非常にインパクトが強く、ドラマチックな展開によく使われるという。また、いい意味で違和感を覚えさせる使い方をしていることも、椎名の特徴と言える。 「たとえば松任谷由美さんは非常に多彩なコードワークを持っていますが、聞いたときのひっかかりは少ない。楽曲を紐解いてみて初めて、複雑なコード進行だったことがわかる……というのは、以前のコラム(参考:ユーミンのメロディはなぜ美しく響くのか 現役ミュージシャンが“和音進行”を分析)でも解説しました。椎名さんはそれとはまったく対照的で、一発で耳に残るコードワークを好んで使用しています。椎名さんと方法は違いますが、aikoさんにも同じことが言えますね(参考:aikoのメロディはなぜ心に残る? ミュージシャンが楽曲の“仕組み”をズバリ分析)」  その手法は、ともさかりえに提供した「カプチーノ」でも使われている。 「冒頭の『あと少し あたしの成長を待って』の『待って』が『3度のメジャー』です。これだけ多く『3度のメジャー』を使っていることを考えると、椎名さんは、曲によってはポップスやロックで一般的なメジャースケール(長音階)ではなく、ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)で書いている……と言ってもいいかもしれません」  椎名の楽曲に「派手さ」を付与するもうひとつの要素は、メロディラインに合わせた言葉の使い方だ。小林氏は「一つひとつの音が重く、ハッキリしている」と、その特徴を指摘する。 「英語だと、一小節にたくさんの音を入れることができます。たとえば『Tell』という言葉であれば、『T』だけを強く発音しますし、文字では表せない破裂音も含まれている。強弱がつけやすいので、発音だけでリズムのように聞かせることも可能です。一方、日本語で『テル』と発音すると、『te・ru』となり、英語に比べると音として聞いたときの重さが均一です。さらに椎名さんは、全ての言葉をハッキリと発音する傾向にある。先ほども例に出した『しわしわの祖母の手を離れ~』というフレーズもそうです。しっかり上下する音符を、ハッキリとした発音でなぞっているのがわかります。しかし英語の歌を歌うときには、この“ハッキリとした歌唱”はしていない。だから、もともとの作曲のクセではなく、意識的なものでしょう。おそらく、日本語の響きをどう表現するかということに苦心していて、ある意味、演歌的なアプローチをしているのかと思います。『津軽海峡冬景色』の「上野発の夜行列車/降りたときから」のフレーズなどは、椎名さんの楽曲と通じるものがありますよね。彼女は昭和歌謡などもお好きらしいので、そういったエッセンスを取り入れているのでしょう。  このように彼女の楽曲は非常に個性が強いため、誰がどういう風に歌っても、その特徴が薄らぐことはありません。松任谷由実さんの曲などは、別の人が歌うとその人の曲として聴こえる傾向がありますが、椎名さんの場合は楽曲の個性がそのまま残るのです。コードワークとメロディライン――椎名さんらしさを醸すこの2つの要素を、提供曲では自身のための楽曲ほど強く出してはいませんが随所に見て取れます。『カプチーノ』のサビのコード進行は、『丸の内~』のAメロとほぼ同じなのですが、『丸の内~』のほうがよりアクが強い。アレンジの問題もありますが、メロディ自体の上下が少なく、やわらかく仕上げてある印象ですね。その意味で、柔らかめなのは広末涼子さんの『プライベイト』です。この曲はコード進行を含め全体にアイドル楽曲的な雰囲気ですが、メロディラインのはっきりした上下は椎名さんらしさが表れています。どの曲にもしっかり“椎名節”が残っていることには違いないので、今回の逆輸入的なアプローチも、当然ながら椎名さんらしいサウンドに仕上がるはずです」  今回のアルバム『逆輸入 ~港湾局~』は、原曲と比較して聴きながら、改めて椎名節の個性を確認してみるのも良いかもしれない。また、気鋭のアレンジャーたちによって、楽曲にどんな変化が表れるのかも楽しみにしたいところだ。 (文=編集部)

でんぱ組.inc『カップヌードル』CM出演で知名度拡大 次のステージは“本格エンタメ路線”か

 
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今回、カップヌードルのCMに起用されたでんぱ組.inc。

【リアルサウンドより】  でんぱ組.incが出演する日清カップヌードルの新CM「現代のサムライ(=オタク)篇」が3月27日より放送され、話題となっている。同CM は、クールジャパンと称される日本のポップカルチャーを、外国人的な視点から紹介するというユニークな作品。ナレーションでは、ライブをするでんぱ組.incを主君、アイドルヲタクたちをサムライと見立て、サイリウムを振り回す「ヲタ芸」は主君に忠誠を誓う儀式だと説明している。同CMに対しネット上では、「とうとうでんぱ組.incがCMに!」「ちいさなステージで歌っていたアイドルたちが、こうして有名になっていくのを見ると嬉しい」といったグループの躍進を賞賛する声のほか、「(外国人に)本当にそう思われていてもおかしくないかも」「今回のCMも発想が素晴らしい」といったCMそのものに対する言及も多く、これまでのファン以外のユーザーも楽しんでいることが伺える。

日清カップヌードル新CM「現代のサムライ篇」

 2013年は、日比谷野外音楽堂でのワンマンを成功させ、台湾やシンガポールでも公演を行うなど、その活動の幅を次第に広げていった彼女たち。2014年は、年始から『ワールドワイド☆でんぱツアー2014』と題した全国ツアーを成功させ、2月には「東アジア文化都市」の広報親善大使に任命、式典でパフォーマンスを披露した。5月6日には武道館にて『ワールドワイド☆でんぱツアー2014 in 武道館〜夢で終わらんよっ!〜』を開催、チケットは即日完売となった。  そんな彼女たちがCMに進出したことには、どのような意味合いがあるのか。アイドルやポップミュージックに詳しいライターの田口俊輔氏は、彼女たちの戦略について次のように語る。 「でんぱ組.incはイメージ戦略に優れたアイドルグループです。衣装デザインには、MIKIO SAKABEやクリエイト集団の最前00(ゼロゼロ)といった最先端のクリエイター起用して、洗練されたビジュアルイメージを打ち出しました。それにより、アイドルヲタクではない層にも訴求することに成功しています。ブレイク前夜のPerfumeのような感じで『聴いているとオシャレ』な、一種のファッションアイテムとして機能している部分もあるのでしょう。また、2011年の最上もがの加入も、彼女たちにキャッチーさをもたらした要因ではないかと。最上もがはグラビアアイドルとしても人気を誇っていて、いわゆるアイドル雑誌以外でも活躍しています。つまり、彼女たちが人気アイドルグループとなった背景には、アイドルカルチャーとは異なる文化圏にも受け入れられる要素を持っていたことが挙げられるんですよね。今回のCMでは、さらに一般的な層にも自分たちの存在感をアピールすることができたのではないでしょうか」
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CMでは未公開の新曲も披露しているでんぱ組.inc

 また、昨年9月にリアルサウンドにて、プロデューサーのもふくちゃんにインタビューをした際、彼女はでんぱ組.incについて以下のように語っていた。 「(アイドルイベントではなく)ロックバンドが出るような普通のライブイベントに出演したら、想像よりずっと反応がよかったんです。これはもう何年か前の話ですが、その当時から『おや!? このリアクションなら……』という確信めいた予感がありました。だから、本人たちのキャラクターや楽曲の方向性は変えないで、狙う場所を変えたんです」(参考:「でんぱ組.incはルサンチマンに火を付けて飛んでいる」メンバーを奮起させた“屈辱”とは?)  現在のでんぱ組.incの活躍を見る限り、その戦略は功を奏してきたといえるだろう。さらに、『「物語性の先に辿りつきたい」でんぱ組.incのプロデューサー・もふくちゃんが語るアイドル論』と題されたインタビューでは、でんぱ組.incの次なる目標についても明かしていた。 「でんぱ組.incについて考える際、自分の趣味や好みを入れつつも、かなり世間の動向を見て決めているんです。だから、世の中が物語を求めているのなら、物語を作らないといけないと思う。でも理想を言えば、物語性を乗り越えた先にある領域に辿りつきたい、本当の意味でエンターテインメント性の高いものや楽曲の力で勝負したい、という希望はありますね」  武道館公演の達成など、アイドルにとっての夢物語を次々と現実のものにしてきたでんぱ組.inc。現在はより幅広い層に向けて、物語性ではなく、エンターテイメント性の高さで訴求する段階に入っているのかもしれない。カップヌードルのCMに出演したことは、その第一歩といえそうだ。 (文=編集部)