赤い公園・歌川、森高千里、福田洋子……クールなプレイが光る女性ドラマー6選

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赤い公園『絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く(初回限定盤)』(ユニバーサル ミュージック)

【リアルサウンドより】  一昔前までは男性プレイヤーが圧倒的に多い印象の強かったドラマー。しかし現在の音楽シーンではガールズバンドはもちろんのこと、マキシマム ザ ホルモン神聖かまってちゃんなど、紅一点ドラマーを擁するバンドも珍しくはなくなった。元smorgasでコーネリアスやスガシカオなどのサポートを務める唯一無二ドラマーあらきゆうこ、YUIやBuono!、そのロックなスタイルが人気の高い元SUPER EGG MACHINEの今村舞、柴咲コウや八神純子、清春、歌モノからロックまでこなす元speenaのひぐちしょうこ……様々なアーティストのバックで女性ドラマーを目にすることも多くなった。それは何故だろう。J-Rockシーンを華やかに彩る、今注目しておきたい女性ドラマーたちをピックアップするとともに、その理由を考えてみたい。

不条理なポップドラマー 歌川菜穂(赤い公園)

赤い公園 - 今更

 中毒性の高い、ポップの中にある得体の知れない独特な匂いを醸し出すのは不協和音を奏でるギターであったり、グイグイと引っ張っていく印象的なベースラインにあると思うのだが、それに加えてこのバンドの“とっちらかってる”自由奔放さを演出しているのは紛れもなくドラムである。  気持ち悪くも心地よい寸止め具合を感じる独特なタメとキメ、重厚さと軽やかさの使い分け、歌心のあるドラミングで楽曲に表情をつけていく。前のめりだったり後ろ体重気味であったりのベースに呼応したり制御したり、その抑揚の付け方は聴けば聴くほど、見れば見るほど惹き込まれてしまう。

ストイックなビート 福田洋子

BOOM BOOM SATELLITES 『BACK ON MY FEET(from EMBRACE TOUR 2013)』

 2009年より参加しているBOOM BOOM SATELLITESにおいて、今やサポートという枠を越え、ブンブンの世界を共に作り出していると言ってもいいだろう。シーケンスに絡みついて駆け抜ける強靭なビートと、重厚な四つ打ち。畳みかけるスネア、凄まじいほどのブラストビートは、デジタルと融合して、というよりも闘っているという表現のほうがしっくりくるほどのストイックさを感じる。その相手がサムライ・ギタリスト、MIYAVIにしても同じだ。

歌うアイドルドラマー 森高千里

森高千里 『ザルで水くむ恋心』 (from Sava Sava Tour)

 コスプレと衝撃のミニスカートで一世を風靡したアイドルであると同時に、作曲や「日本語曲の作詞概念を変えた」と言われるシンガーソングライターとしての才能も開花させる。そしてなんと言ってもドラマーとしての顔だろう。“女性版リンゴ・スター”とも言うべき、シンプルながら何とも説得力のある8ビートと的確なフィル。その腕は日本を代表するドラマー、村上“ポンタ”秀一が大絶賛する程であり、吉田拓郎など、森高のドラムに惚れ込んだアーティストも多い。自身のアルバムはもちろん、様々なセッションや作品にドラマーとして参加、テイ・トウワはカイリー・ミノーグのバックに彼女のドラムを起用している。  同じく彼女のドラムに魅せられた泉谷しげるのバックで、昨年久方ぶりにドラマーとして表舞台に登場した。また、デビュー25年を期に本格的歌手活動を再開し、当時と全く変わらぬ歌声と脚線美、そしてドラミングを披露している。

森高千里 『17才』 【セルフカヴァー】

凛々しく美しく おかもとなおこ/岡本奈穂子(つばき)

つばき - 声の行方(PV)

 ファッションと髪形、同性を惹き付ける容姿と細腕からは想像出来ないような凛々しく強さを感じる正確なドラミング。心に沁みる切ないメロディーとシンプルな3ピースロックのカッコ良さを届けるつばきのドラマー。  日暮愛葉とのバンド、THE GIRL、新生SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER、そして驚異の11台ドラムバンド“DQS”でも活躍している。

DQS 『10 Drummers vs EARTH』 Trailer Movie

手数王の遺伝子 SATOKO(FUZZY CONTROL)

FUZZY CONTROL 最新DVD「10th Anniversary Party ~ ROCKS~」ダイジェスト!

 言わずと知れたトップドラマー、手数王・菅沼孝三を父に持つ。自身のバンドでは豪快でパワフルなロックドラマーとして見る者を魅了しているが、DREAMS COME TRUEのサポートでは卓越したテクニックに裏付けられた歌モノのドラマーとしても活躍。力強さを感じるとともに、時折垣間見える可憐さも魅力的である。  通常とは逆に左手でハイハット、右手でスネアを叩く“オープンハンド”という手をクロスさせないで叩くスタイルが印象的である。左利きであり、利き足での「黄金の左足」とも呼ばれるハイハットのペダル捌きは圧巻だ。

SATOKOの黄金の左足!!前半

リズムの鬼才 山口美代子(DETROITSEVEN)

DETROITSEVEN / LIVE@SHIMOKITAZAWA GARDEN 2012.Mar.28

 完全に日本人離れ、いや人間離れした別次元のグルーヴ。手足をはじめ、身体中からリズムが溢れ出し、研ぎ済ませれたスピード感としなやかさが共存する。ドラムのことが解らない人でも彼女の乱れ打つ様に釘付けになることだろう。野生なドラミング見えつつも、楽曲やライブのテンション、そのタイミングに合わせて絶妙なグルーヴを変幻自在にコントロールする。低めにセッティングしたシンバル、徹底的に無駄をそぎ落としたシンプルなドラムセットを両手両足、四股を駆使して演奏する姿は、ドラムを“操る”という言葉がよく似合う、まさにリズムの鬼才だ。  現在はギターボーカル、菜花知美の出産〜子育てにより活動休止中のDETROITSEVENであるが、R&B・ファンクインストバンド、BimBamBoomや、LOVEとTOKIEとのバンド、THE LIPSMAXをはじめ、tricotやPUFFYなど、数多くのサポート・セッションで活躍中である。

BimBamBoom ビンバンブーン「Big 'Uns Get The Ball Rolling」

 ドラムは体力を使う楽器である。男性バンドでも体格の良いメンバーがドラムを担当したり、「パワードラム」と呼ばれる迫力のあるプレイもある。だが、実際は力任せではなく、力の抜き方が肝であったりする。それはスリムで小柄な女性ドラマーたちが証明してくれている。  ガールズバンドの先駆け的存在であるSHOW-YAのドラマー、角田美喜は当時周りにドラムを叩く女性がいなかったこと、お手本にするようなプロの女性ドラマーもいなかった経験から、女性ドラマーを対象にしたレッスンを行なっているという。  女性が男性のようなプレイすることは可能であるが、男性が女性のようなプレイをすることは無理かもしれない。そういったプレイに求められるのは繊細さとしなやかさ、その感性であるからだ。多様化する音楽とともにプレイヤー、ドラマーにも個性が求められる昨今、その繊細かつ優美なプレイは武器になるのである。  これからも優れたプレイヤーたちがシーンを彩ってくれるに違いない。 ■冬将軍 音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

卒業発表の道重さゆみに見る、アイドルがブレイクに至る"物語”の重要性

 モーニング娘。'14(以下、モー娘)の道重さゆみが4月29日のコンサートにて、同グループを今秋のツアーを最後に卒業することを発表した。道重は2003年にモー娘の第6期メンバーとして加入し、2012年からは8代目リーダーとして活躍してきた、グループの重鎮。歴代メンバーの中で最もグループ在籍期間が長い、モー娘を象徴するメンバーといっても過言ではない存在だ。 【リアルサウンドより】

オリコン1位を連発できた理由

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モーニング娘。'14『時空を超え 宇宙を超え/Password is 0(初回生産限定盤A)(DVD付)』(UP-FRONT WORKS)

 道重自身の注目度もさることながら、最近はモー娘本体の活躍も目覚しい。一時期はメディア露出が減っていたが、シングルが5作連続オリコン1位を獲得したり、auのCMに出演したりと、"再ブレイク"を果たしたと報じるメディアも増えている。この再ブレイクの動きのきっかけは、やはりオリコン1位の連発にあるだろう。首位を獲得することでそのこと自体がプロモーションに繋がり、「モー娘健在」を世にアピールすることに成功した。そしてこのオリコン1位を取ることができた理由としては、個別握手会やチェキ会などの"接触"商法に力を入れたことが大きい。  今やライブ系アイドルにとって当たり前となっているこの接触商法についての是非はここでは問わないが、もちろん、話題性だけでは再ブレイクには至らなかっただろう。つんく♂の楽曲は、EDM路線に舵を切っても高いクオリティーとオリジナリティを誇っていたし、アイドルの中でも卓越したモー娘のパフォーマンスは「フォーメーションダンス」というキーワードを得て、分かりやすく新規のファンを取り込むことができた。  そして更に重要なポイントは、そこにファンやメディアが乗ることのできる「物語」があったということだろう。

アイドルがブレイクするための"物語"の重要性

 この物語を端的に表現すると「打倒AKB48」「かつての国民的アイドルが再び頂上を目指す」といったもの。そしてこの物語の中心に、今もいるのが、道重だ。  道重はモー娘の人気が落ち込んでいた頃にバラエティ番組で個人で活躍することで、グループの存在を世間へとアピールし続けていた。毒舌キャラを浸透させ、雑誌などの「嫌いな女性芸能人ランキング」の上位の常連になろうとも、それを徹底して続けた。結果、「モー娘の他のメンバーは分からないが、道重さゆみだけは知っている」というライトなファン層を広く獲得、今の状況へと繋げることができた。コアなファン層やライトなファン層、そしてモー娘を報じるメディアも含め、道重を中心とした「再ブレイク」という分かりやすい物語に引っ張られ、あるいは乗っかることができた。PerfumeやAKBやももいろクローバーZも、路上ライブから、あるいは客が数人のライブからの成功を目指すという、浪花節的な物語が多くの人を惹きつけ、メディアで紹介される際にキャッチコピーのように使われていたが、アイドルのブレイクには、そうした「物語」が重要な役割を担うことが多い。

プロモーションとコンテンツの両方の質を高めること

 モー娘再ブレイクの物語も、それが真実であれ、外側から見ればプロモーションの一環としても捉えることができる。つまり、道重のバラエティ番組での活躍やオリコン1位の連発、そして前述の物語という「プロモーション」と、EDM路線のつんく♂楽曲とフォーメーションダンスやメンバー自身の魅力などといった「コンテンツ」…この両輪がしっかりと働いていたからこそ、再ブレイクを果たすことができた、といえる。話題性だけで人を集めても中身がなければダメだし、曲やパフォーマンスだけが良くても世間に知られなければ、少なくともモー娘が目指したようなメジャーシーンでの再ブレイクは難しかっただろう。  しかし、再ブレイクしたとはいえ、モー娘の人気が最も落ち着いていた時期でさえ、東京厚生年金会館や中野サンプラザなどの2000人規模の会場でコンサートをやれていたわけで、モー娘より売れていないアイドルの方が圧倒的に多い。それらのアイドルからすれば、どの時期のモー娘も常に「ブレイク中」に見えただろう。そうした実際的な状況はさておき、前述の再度の成り上がり的ストーリーを前面にして見せたところに、プロモーションの上手さを感じる。そしてこのプロモーションとコンテンツの双方の質を高め展開するということは、アイドルを手掛ける上で、事務所の大きさを問わず重要なことだ。モー娘擁するアップフロントという大手事務所に限らず、中小規模のアイドル運営にとっても、このモー娘再ブレイクから、学ぶべき点は多いのではないだろうか。 ■道重さゆみ(みちしげ・さゆみ) 1989年7月13日、山口県生まれ。モーニング娘。の第6期メンバーであり、8代目リーダー。グループ在籍期間は4000日を超え、歴代メンバーの中でも最長記録を更新し続けている。アップフロントプロモーション所属。今年9月から行われる秋ツアーの最終日をもって、同グループ及びハロー!プロジェクトを卒業することが発表されている。 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/sayumimichishige-blog/ ■岡島紳士(おかじま・しんし)(@ok_jm) 1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。自身が手掛けるDVDマガジン『IDOL NEWSING vol.1』が5月21日に一般発売される。

卒業発表の道重さゆみに見る、アイドルがブレイクに至る"物語”の重要性

 モーニング娘。'14(以下、モー娘)の道重さゆみが4月29日のコンサートにて、同グループを今秋のツアーを最後に卒業することを発表した。道重は2003年にモー娘の第6期メンバーとして加入し、2012年からは8代目リーダーとして活躍してきた、グループの重鎮。歴代メンバーの中で最もグループ在籍期間が長い、モー娘を象徴するメンバーといっても過言ではない存在だ。 【リアルサウンドより】

オリコン1位を連発できた理由

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モーニング娘。'14『時空を超え 宇宙を超え/Password is 0(初回生産限定盤A)(DVD付)』(UP-FRONT WORKS)

 道重自身の注目度もさることながら、最近はモー娘本体の活躍も目覚しい。一時期はメディア露出が減っていたが、シングルが5作連続オリコン1位を獲得したり、auのCMに出演したりと、"再ブレイク"を果たしたと報じるメディアも増えている。この再ブレイクの動きのきっかけは、やはりオリコン1位の連発にあるだろう。首位を獲得することでそのこと自体がプロモーションに繋がり、「モー娘健在」を世にアピールすることに成功した。そしてこのオリコン1位を取ることができた理由としては、個別握手会やチェキ会などの"接触"商法に力を入れたことが大きい。  今やライブ系アイドルにとって当たり前となっているこの接触商法についての是非はここでは問わないが、もちろん、話題性だけでは再ブレイクには至らなかっただろう。つんく♂の楽曲は、EDM路線に舵を切っても高いクオリティーとオリジナリティを誇っていたし、アイドルの中でも卓越したモー娘のパフォーマンスは「フォーメーションダンス」というキーワードを得て、分かりやすく新規のファンを取り込むことができた。  そして更に重要なポイントは、そこにファンやメディアが乗ることのできる「物語」があったということだろう。

アイドルがブレイクするための"物語"の重要性

 この物語を端的に表現すると「打倒AKB48」「かつての国民的アイドルが再び頂上を目指す」といったもの。そしてこの物語の中心に、今もいるのが、道重だ。  道重はモー娘の人気が落ち込んでいた頃にバラエティ番組で個人で活躍することで、グループの存在を世間へとアピールし続けていた。毒舌キャラを浸透させ、雑誌などの「嫌いな女性芸能人ランキング」の上位の常連になろうとも、それを徹底して続けた。結果、「モー娘の他のメンバーは分からないが、道重さゆみだけは知っている」というライトなファン層を広く獲得、今の状況へと繋げることができた。コアなファン層やライトなファン層、そしてモー娘を報じるメディアも含め、道重を中心とした「再ブレイク」という分かりやすい物語に引っ張られ、あるいは乗っかることができた。PerfumeやAKBやももいろクローバーZも、路上ライブから、あるいは客が数人のライブからの成功を目指すという、浪花節的な物語が多くの人を惹きつけ、メディアで紹介される際にキャッチコピーのように使われていたが、アイドルのブレイクには、そうした「物語」が重要な役割を担うことが多い。

プロモーションとコンテンツの両方の質を高めること

 モー娘再ブレイクの物語も、それが真実であれ、外側から見ればプロモーションの一環としても捉えることができる。つまり、道重のバラエティ番組での活躍やオリコン1位の連発、そして前述の物語という「プロモーション」と、EDM路線のつんく♂楽曲とフォーメーションダンスやメンバー自身の魅力などといった「コンテンツ」…この両輪がしっかりと働いていたからこそ、再ブレイクを果たすことができた、といえる。話題性だけで人を集めても中身がなければダメだし、曲やパフォーマンスだけが良くても世間に知られなければ、少なくともモー娘が目指したようなメジャーシーンでの再ブレイクは難しかっただろう。  しかし、再ブレイクしたとはいえ、モー娘の人気が最も落ち着いていた時期でさえ、東京厚生年金会館や中野サンプラザなどの2000人規模の会場でコンサートをやれていたわけで、モー娘より売れていないアイドルの方が圧倒的に多い。それらのアイドルからすれば、どの時期のモー娘も常に「ブレイク中」に見えただろう。そうした実際的な状況はさておき、前述の再度の成り上がり的ストーリーを前面にして見せたところに、プロモーションの上手さを感じる。そしてこのプロモーションとコンテンツの双方の質を高め展開するということは、アイドルを手掛ける上で、事務所の大きさを問わず重要なことだ。モー娘擁するアップフロントという大手事務所に限らず、中小規模のアイドル運営にとっても、このモー娘再ブレイクから、学ぶべき点は多いのではないだろうか。 ■道重さゆみ(みちしげ・さゆみ) 1989年7月13日、山口県生まれ。モーニング娘。の第6期メンバーであり、8代目リーダー。グループ在籍期間は4000日を超え、歴代メンバーの中でも最長記録を更新し続けている。アップフロントプロモーション所属。今年9月から行われる秋ツアーの最終日をもって、同グループ及びハロー!プロジェクトを卒業することが発表されている。 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/sayumimichishige-blog/ ■岡島紳士(おかじま・しんし)(@ok_jm) 1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。自身が手掛けるDVDマガジン『IDOL NEWSING vol.1』が5月21日に一般発売される。

小室哲哉はJPOPのリズムをどう変えたか 現役ミュージシャンが「TKサウンド」を分析

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TETSUYA KOMURO『TETSUYA KOMURO EDM TOKYO』(avex trax)

【リアルサウンドより】  東京を拠点に活動するバンド、トレモロイドのシンセサイザー・小林郁太氏が、人気ミュージシャンの楽曲がどのように作られているかを分析する当コラム。今回はダンスミュージックをJPOPに取り入れ、日本の音楽シーンに多大なる影響を与えた小室哲哉の楽曲を読み解く。(編集部) 参考1:aikoのメロディはなぜ心に残る? ミュージシャンが楽曲の“仕組み”をズバリ分析 参考2:サザン桑田佳祐の名曲はなぜ切ない? ミュージシャンが"歌う和音"と"シンコペーション"を分析 参考3:中田ヤスタカはいかにしてエレクトロとJPOPを融合したか “緻密な展開力”と“遊び心”を分析 参考4:モーニング娘。楽曲の進化史ーーメロディとリズムを自在に操る、つんく♂の作曲法を分析 参考5:ユーミンのメロディはなぜ美しく響くのか 現役ミュージシャンが“和音進行”を分析  小室哲哉さんはJ-POPにダンスミュージックの要素を定着させた第一人者と言われています。TM NETWORKが台頭した80年代後半から、「小室ファミリー」がチャートの上位を賑わせた90年代後半までの10年間で、ダンスミュージックは広く世間に浸透し、JPOPシーンは大きく変化しました。そして今なお、小室さんはその音楽的探究心を失わず、超新星、SMAP、北乃きい、浜崎あゆみといったミュージシャンに楽曲を提供する一方、音楽フェスティバルなどではプレイヤーとしても活躍しています。5月1日には、日本レコード協会が運営する「STOP!違法ダウンロード広報委員会」の啓発活動の一環として、マウスのクリック音で作った新曲をライブ演奏するビデオ「グッド クリック クリエイツ グッド ミュージック!(GOOD CLICK CREATES GOOD MUSIC!)」をYouTubeで公開、大きな話題となりました。

GOOD CLICK CREATES GOOD MUSIC!

 さて、お馴染みの「TKサウンド」に対し、多くの人は「ノリノリ」で、「カラオケで歌いたくなるようなキャッチーな歌メロ」といったイメージを抱くのはないでしょうか。そこで今回は、「TKサウンドにおけるノリノリとは何か?」ということを紐解き、その音楽的特徴をダンスミュージック的な側面から考えてみたいと思います。

フックの効いたボーカルメロディ

 まずはわかりやすいボーカルの特徴から分析してみます。細かいことはおいおい語るとして、プロデュース作品(小室ファミリー)のボーカルメロディで、みなさんが印象に残るのは、例えば次のようなところではないでしょうか? TRF『CRAZY GONNA CRAZY』の歌い出し 「『ダ』イヤを『散』り『ば』めてるよう『な』 『夜』景を『く』るまから『見』てるよ」。 安室奈美恵『Your're my sunshine』の中頃 「1『にち』中 ゆ『めに』まで 楽『しい』 きお『くが』 よみ『がえ』ってたよ」。 華原朋美『Hate tell a lie』のサビ 「なにからなにまであなたがす『べ』て 私をどうにか輝かせる『た』め 苦しんだり悩んだり『し』て 『が』んばってる」。  これらのフレーズは「いかにも小室哲哉」という感じがします。『』の部分にアクセントがありますが、共通して言えるのは、ボーカルが強調して歌っているだけでなく、そこが各フレーズの一番高い音で、しかもその音だけが高くなることです。さらに言えば、アクセントの音程は1フレーズの中でほとんど同じです。  次に同じフレーズをリズム面から分解してみましょう。  『CRAZY GONNA CRAZY』は「『ダイ』『ヤを』『ちり』」というように、同じリズムを繰り返しながら「ばーめてる」のフックに向かっています。  『Your're my sunshine』では「いち『にーちぃー中』 ゆ『めーにーまで』」と1小節ごとのリズムを繰り返してから「たの『しーい』きお『くーが』」と先ほどのリズムの前半だけ、つまりループの単位を半分にします。スピード感が出ますね。  ラップの手法を取り入れている『Hate tell a lie』のこの部分はもっと単純で、ほとんど16分音符で、音階もアクセント以外ほぼ変わりません。「何から何まであなたがす『べ』て」のように、「4拍目にアクセント」という1小節ごとのループを繰り返して「がんばってる」に向かいます。  何となくお分かりでしょうか? ここで紹介したフレーズは全て、1小節以内で1単位となる短いフレーズのループでできているのです。メロディのアクセントが毎回同じ音階なのも、同じフレーズのループだからです。各ループはリズムかメロディ、あるいは両方による強いアクセントで明確に区切られていますし、その連続で出来ている大きな1フレーズも、後半に明確に向かう先があります。この傾向は歌謡曲として作られているプロデュース作品に顕著ですが、小室さんのメロディラインはとてもフックが強いのです。  「フックって何?」と思われる方も多いでしょうけれど、特にリズム的な変化による「強く耳に引っかかる部分」程度に考えてください。例に出したメロディを思い浮かべていただければ、だいたいわかりますね?  美しいポップソングはたいていメロディが印象的ですが、小室哲哉さんの歌は、フレーズがループで出来ていて、そもそもループの1単位ごとのフックが強いので、あまりコード進行とは関係なくメロディの印象の強さが作られています。つまり、よりリズム的なアプローチでボーカルメロディが考えられているということです。  では次に、それに何の意味があるのか、ということを紐解くためにも、一旦ボーカルパートから離れて、サウンドの全体像について解説します。

実は引き算で作られている「TKサウンド」の本質

 TKサウンドの重要な要素を最小限の音で体現している、という意味で、このコーナーにうってつけの曲があります。TM Networkの1987年のヒット曲『Self Control』です。

【PV】SelfControl

 この曲は主に、「ドラム」「ベース」「シンセサイザー」「ボーカル」の4トラックでサウンドが構成されている、とてもシンプルな曲です。もちろん他にも、ストリングスやギターなどのトラックが入っていますが、それらは、「その音がないと曲が成立しない」というパートではないので、全て装飾的な「その他の音」とします。  この曲はとにかく軽快で、ビートが前に進む力が強いです。ざっと構造を書くと、ドラムはストレートな8ビートで、イントロや間奏などではキックの4つ打ちになります。ベースはコードの基音(ルート)から動かず、ひたすら8分音符を刻みます。シンセサイザーは複数入っていますが、サウンドの中核にあるのは、イントロから鳴り続けている印象的なテーマフレーズです。基本的にこの曲は、たったこれだけの要素で出来上がっているのです。  ここで、この構造を捉えるためのひとつのセオリーをご紹介します。それは「低い音ほどリズムに対する影響が大きい」というものです。  この曲でもっとも低い音はドラムのキック、次いでベースです。メインのトラックでは、だいぶ高くなってドラムのスネア、ボーカル、シンセサイザーという順番です。その他のトラックも含めて、低音と呼べる周波帯にあるのはキックとベースだけです。この曲の軽快なノリは、ドラムとベースというリズムに大きな影響を与える低音楽器が、両方ともごくシンプルでストレートな8ビートに徹していることによって作られているのです。  一方シンセサイザーのテーマフレーズは、はっきりとしたリズム的なフックを繰り返し提示しています。リズム的には「よっこいしょ感」を生みやすい重めのフックですが、なにぶん高音ですし、低音楽器で作るストレートなリズムのほうがはるかに影響が強いので、曲のスピード感には影響しません。  このように高音と低音ではっきりと役割が分かれたアレンジが、意識的かどうかはともかくはっきりと意図的に、そして非常に慎重にアレンジされていることは、イントロからのドラムパターンの遷移を聴けばわかります。 イントロ:キックの4つ打ち Aメロ:4拍目にスネア追加 Aメロ2週目:キックの4つ打ちをやめ、普通の8ビートパターンに となっています。ここにはそれぞれ、 イントロ:テーマフレーズのフックを重く聴かせないための最小要素としてキックのみ Aメロ:1小節ごとのリズム的な解決を提示する最小要素として4拍目のスネア Aメロ2週目:本来のビートの提示 という意味があります。  このような慎重なパターン進行からも、この曲のシンプルなリズムが「ただ疾走感があればいい」ということでぼんやりと作ったビートではなく、ストレートな8ビートの中でも、そのセクションで「何を聴かせたいのか」ということを意識して巧みにスピード感をコントロールしていることがわかります。また、ベースはときどき16分音符を混ぜることで、はっきりと分かれた高音と低音のリズムを、こっそりとつないでいます。  TKサウンドというと、ついつい派手なものを想像してしまいます。しかし『Self Control』からわかることは、小室さんが、論理的に配置した最少のトラックと最小のシーケンスで、曲が伝えたいリズムイメージを最大化する技術に非常に長けている、ということです。安易に音を増やさず、その曲が伝えたいことを最小限の音数で作る、という意味で、作曲やアレンジなどではよく「引き算が大事」と言われます。『Self Control』のグルーブはまさに、引き算によって作られています。

TRF楽曲に見る、足し算のアッパーチューン

 「低音楽器はシンプルに刻み、高音楽器がフックを入れまくる」という小室さんのアプローチを『Self Control』を題材に分析しました。そしてこの論理は、トラックも多く、より派手な印象のプロデュース楽曲にも応用できます。  例えばダンスミュージック的なサウンド構造がもっとも生かされているのはTRFの楽曲でしょう。『CRAZY GONNA CRAZY』『BOY MEETS GIRL』『EZ DO DANCE』『survival dAnce』などのヒット曲には、「キック4つ打ち」「ベースは動かずに細かい刻み」「シンセフレーズはリズミカル」という『Self Control』と同じようなサウンド構造でリズムの基本構造が作られています。では、それ以外のプラスアルファのトラックがどのような意味を持っているでしょうか。  『Self Control』の「その他のトラック」は、メロディ面ではもちろんそれぞれ不可欠なものですが、リズム的にはシンセサイザーのテーマフレーズが提示しているリズムを見事に踏襲していました。TRFの楽曲ではリズム的にも重要な役割を果たしている「その他のトラック」がいくつかあります。それらのトラックの役割を大雑把に言えば「埋めること」です。  まず、音符の長さが長いものと短いものに二極化される場合が多いです。多くの色を混ぜるとどの色でもなくなっていきますが、リズムもそれと同じで、細かい16分音符まで隈なくリズムを埋めていくと、それだけひとつひとつのアクセントが相対的に目立たなくなります。例えば『CRAZY GONNA CRAZY』では高音のシンセピアノリフとブラスフレーズが印象的ですが、どちらもリズムパターンとしては同じ位置にアクセントがあります。ハイハットは裏打ち(「ン チッ ン チッ ン チッ ン チッ」という裏拍の4つ打ち)です。普通に考えると、拍の裏に強いアクセントがあることになります。さらに、シンセサイザーが歌のないところで16分音符3つごとのアルペジオを奏でています。いくらキックが4つ打ちで、高音楽器はリズムへの影響が少ないとはいえ、流石にこれらのトラックを真面目に考えると「ゴチャゴチャ」としか言い様がないはずなのです。しかしそれでもこの曲のトラックが前に進む力を失わないのは、別のシンセサイザーがアクセントのない16分音符を刻んでいるからです。さらに言えばこのシンセサイザーは、「その他のトラック」の中ではもっとも音が低く、中低音域です。このトラックの「埋める役割」によって、相対的に他のアクセントやフックの強さが低下し、ゴチャゴチャすることなく曲のスピード感を上げています。基本的な考え方はベースの8分音符と同じで、これによってスピード感がさらに増し、いよいよ高音楽器が「何でもできる」ようになる、ということです。  同じようなことが長い音符でも言えます。小室さんは特にゆったりとした歌ものなどで、ギターやピアノのように強いアタック感を持たない、シンセサイザーやストリングスの長い音符で埋めるトラックを、よく使います。そこでは「ノリさえ良ければいい、というわけにはいかない」「歌を前に出すために、あまり細かい音符で埋めたくはない」という、アッパーなダンスチューンと違う条件があるので、ボーカルをでしゃばらずに補佐しつつ、リズム的な空白を埋めて曲に流れを与える、という役割の長い音符が効果的なのです。  『Self Controll』で、「小室さんは引き算が上手」と書きましたが、TRFの楽曲などからは「引き算が上手な人は足し算も上手」ということがわかります。

歌はシンセサイザー?

 ここまででTKフックとそれを支えるTKビートによってTKサウンドが作られている、という全体像は見えてきました。最後に、冒頭でやや宙吊りなまま終わったボーカルパートについて再び考えてみます。  冒頭では、ボーカルフレーズが短いフレーズのループで作られていることを説明しました。これは何かというとつまり、「リフ」なのです。  リフとはリフレインの略で、要するに繰り返しのことです。繰り返せば何でもいい、というわけではなく、一般的にリフと言う場合、「短いフレーズ」が繰り返されているものを指します。「コードは変わっても同じメロディが繰り返される」「メロディは変わってもリズムパターンが同じ」などというように、変化するものとしないものの対照がリフの気持ちよさ、という理屈になります。  そんなリフの典型的なものが、ご紹介した『Self Control』のシンセサイザーのテーマフレーズです。解説したように、このシンセリフとキックの4つ打ちからイントロが始まり、その後何度も登場します。コーラスと宇都宮隆さんの歌うボーカルフレーズはメロディもリズムもこのシンセリフそのままですし、他のセクションも基本的にこのリフのリズムパターンの派生です。ドラムとベースがごくストレートな8ビートを刻み続けているのは、フックの強いこのリフを活かすためです。つまりこの曲のサウンドデザインのテーマは、「シンセリフ激推し」ということだと言えます。もちろん歌ものですから一見歌のためのトラックのように聞こえますが、その歌もシンセリフのテーマに従って作られていることを考えると、実はこの曲の中では歌よりもリフの方が上位の存在です。このように「リフがサウンドデザインの最上位にあり、歌もリフである」というような曲の典型は他にも、同じTM Networkの『Come On Everybody』などがあります。  もちろん、より歌謡曲的な小室ファミリーの楽曲について、この理屈をストレートにつなげることはできません。ただ少なくとも、小室さんの楽曲のボーカルパートが、リフを作るのと同じ発想で作られているとは言えそうです。冒頭で解説したようにメロディ的なフックが強い理由もそこにあります。メロディの起伏が激しく、単純なボーカルメロディっぽくない違和感が、小室さんのボーカルメロディを印象的にしていますが、同じフレーズをシンセサイザーで弾いてみると、意外なほど違和感がありません。この要素をどのくらい色濃く出すかによって、ボーカルのノリがコントロールできます。引き算が上手な小室さんは足し算も上手、と書きましたが、同じように、サウンドデザインとリズムの受け渡しの妙によってトラック同士をつなげることが巧みな小室さんですから、当然ボーカルをトラックから離して浮き出すことも思いのまま、ということです。  小室さんがやったことを後追いで言葉にしているので簡単そうに聞こえますが、実際にイメージ通りの曲を作るのはとてもむずかしいことです。小室さんが当時日本の歌謡曲になかったダンスミュージックの要素を持込み、10年間で作り手ばかりか聴き手まで教育してしまった背景には、スピード感であれメロディの目立ち方であれ、聴き手に与えたい印象を実際に思いのままに表現できてしまう、小室さんの恐ろしいほどのリズム感覚とサウンド構成能力の高さがあるのでしょう。 ■小林郁太 東京で活動するバンド、トレモロイドでictarzとしてシンセサイザーを担当。 ブログ トレモロイドHP Twitter

嵐、大学講義の題材に ジャニーズの文化的側面を研究する意義とは

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今や日本で最も人気のあるグループといっても過言ではない嵐。

【リアルサウンドより】  この春から明治大学法学部で開講されたある講義がネットを中心に話題となっている。社会心理学の自由講座の枠内で行われているこちらの講義、なんと人気グループ「」を題材にして行われるという。講義を担当する関修氏は、シラバス(講義要項)に次のように記している。「社会心理学の講座として始まった本講義も今年で二十年の節目を迎えた。セクシュアリティについて講義して欲しいとの要望を、それなら楽しんでもらおうとSMAPなどを題材に用いたのが始まりである。今年は結成十五年を迎えた「嵐」を取り上げようと思う。時代は確実に嵐であるから。嵐ブレイクの理由などを考察してみたい。その際、もちろん映像を多用し、比較という手法を用いる。さらに、文化研究の基礎となる精神分析・現代思想について概説する」。  「時代は確実に嵐である」とする大学講師の存在にもまず驚かされるが、その授業内容がまた興味深い。シラバスによると全15回に渡る講義で「ジャニーズという文化」や「嵐のメンバーの比較」「嵐のPVの変遷、ブレイク以前/以後」「コンサートに見る嵐」「嵐とJ-POP」「嵐の時代は続くのか」といったテーマを分析していくという。嵐ファンでなくても、音楽ファンからしたら非常に惹かれる内容だ。  最近ではAKB48ももいろクローバーZでんぱ組.incなどのいわゆる「アイドル批評」が盛んだが、意外にもジャニーズを対象としたものは少ない。「ジャニーズ研究本」と名打った書籍は数あれど、その多くはメンバーのパーソナリティに焦点を置いたもので、彼らの音楽を真摯に分析したものや、文化的側面について扱ったものは数少ないのが現状だ。それではなぜ、ジャニーズはこれまであまり分析の対象とされてこなかったのだろうか。  ジャズミュージシャンの菊地成孔は大谷能生との共著『憂鬱と官能を教えた学校』のなかでジャニーズの音楽を「バークリーメソッドの極致」と表現している。SMAPの「胸さわぎを頼むよ」を例に出し、シンプルなペンタトニックで構成されるメロディラインの裏に鳴り響く高度に複雑化したコード進行を「20世紀商業音楽の到達点」と紹介、その完成度の高さを指摘している。実は海外のポップスやロックと比較しても非常に高い次元にある日本のJ-POP。しかしその代表格でありスタンダードを築いてきたのが「アイドル」のジャニーズであるため、正当な評価がされてこなかったのかもしれない。裏を返せば、あまりにもメジャーで世間一般まで浸透した「当たり前」の存在であったがゆえ、長らくジャニーズは研究の対象とならなかったのではないだろうか。  先述の関氏は嵐を通じて現代思想やカルチャーについても俯瞰していくという。当たり前すぎて普段目がいかなかったものを対象に行われる研究はカルチュラル・スタディーズの手法にも通ずる。この講義がいったいどのような方向へと進んでいくのか、また講義をきっかけにジャニーズを対象とした研究が盛んになっていくのか、個人的には非常に注目している。 (文=北濱信哉)

Not yet、1stアルバムにして最終作? 収録曲では大島優子ら各メンバーの個性が明らかに

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Not yet『already [通常盤Type-A]』(日本コロムビア)

【リアルサウンドより】  AKB48の派生ユニットで、大島優子、指原莉乃、横山由依、北原里英の4人で構成されるNot Yetが4月23日にリリースしたファーストアルバム『already』が、オリコン週間ランキングで1位を獲得し、シングルと合わせて通算5作目の1位獲得となった。  キャリア初のアルバムが上々な滑り出しを見せたNot Yetだが、大島優子の卒業が目前に迫っている今、同ユニットの“存続問題“は無視できない状況にある。  4月29日に行われたHKT48のアリーナツアー『HKT48アリーナツアー~可愛い子にはもっと旅をさせよ~』で、指原はNot Yetについて「事実上解散グループ!」と発言するなど、大島卒業後の見通しに関してはまだ不透明な部分が多い。そこで今回は“ファーストアルバムにしてラストアルバム”になるかもしれない今作を、それぞれの個性と共に振り返りたい。  Not yetの楽曲については、以前リアルサウンドでもエドボル氏が語っていた通り、ももいろクローバーを意識したかのようなMVとサウンドの『週末Not yet』でデビューしたが、すぐに『波乗りかき氷』などのAKBフォーマットの楽曲へ移行。その後、大島優子が一躍世間に広く知られ、AKB48の顔として活躍していたこともあってか、2013年には『ヒリヒリの花』という“ヘビロテ路線”のシングルをリリースしている。(参考:世間のAKB48離れを食い止めろ! 大島優子、指原莉乃らの“重役ユニット”Not yetへの指命

ヒリヒリの花 / Not yet

 同ユニットはメンバーの多忙などもあり、2012年以降は1年に1枚ペースでしか楽曲をリリースしていない。指原がHKT48の支配人となり、2013年の総選挙では1位を獲得したほか、横山はチームKのキャプテンとして大島の後を継ぐ存在となり、北原も『テラスハウス』出演以降、積極的にメディアへの露出を増やしている。そのためアルバムをリリースするまでに少し期間があったが、多忙の中制作された今作『already』は、新曲こそ少ないものの、各メンバーの個性がはっきりと見える内容だといえるのかもしれない。  まず、大島優子の色が強いのは、自身が出演するCMのタイアップに使用されている「次のピアス」と「世界の風を僕らは受けて」の2曲。“ヘビロテ路線”とも称される彼女の声を活かすギターロック路線の楽曲で、前向きな歌詞にも彼女らしさが表れている。

世界の風を僕らは受けて / Not yet

 横山は、昭和歌謡に似た節回しが特徴な「May」や、彼女を起用したユーキャンのCMで使用されていた「見えない空はいつでも青い」などで個性を発揮している。努力家キャラとして他のメンバーからも一目置かれる彼女らしく、様々なタイプの楽曲へ果敢にチャレンジする姿勢が伺える。  指原の色が強いのは「ハグ友」。同曲は、指原の総選挙1位獲得後初のセンター曲で、2013年のJPOPシーンを代表する楽曲といっても過言ではない「恋するフォーチュンクッキー」の作曲を務めた伊藤心太郎が、“恋チュン”以前に提供をしていた楽曲。また、北原里英に関しては、自身が作詞を務めた楽曲「guilty love」が収録されているなど、各メンバーにスポットが当たったラインナップとなっている。  トークを含めたパフォーマンスにおける表現力の高さを武器としている大島に目が行きがちだが、他のメンバーが個性を存分に発揮している分、このように楽曲にもそれぞれの色が際立っている。彼女の卒業後に関しては不安視する声も多いが、今の3人なら大島卒業後も地に足を着いた活動ができるのかもしれない。 (文=中村拓海)

ジャニーズWESTの魅力はコテコテ感? デビュー曲「ええじゃないか」に見るメンバーの個性

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日生劇場『なにわ侍 ハローTOKYO!!』公式ホームページより。

【リアルサウンドより】  ジャニーズWESTのデビューシングル『ええじゃないか』が4月23日に発売され、約26万枚のセールスを達成、2014年04月21日~2014年04月27日のオリコンCDシングル週間ランキング(2014年05月05日付)で1位にランクインしている。同シングルは、「なにわ侍盤」「忍ジャニ盤」「WEST盤」という三種類の初回盤に加え、通常盤、購入者がジャケットと収録曲を選べる「MY BEST CD」という、多様な販売形式でも話題を呼んでいる。  ジャニーズWESTは、関ジャニ∞以来10年ぶりに関西ジャニーズJr.出身者で構成されるグループで、2013年末に東京ドームで行われた『ジャニーズカウントダウンライブ』にて結成が発表された。当初は「ジャニーズWEST4」というグループ名で中間淳太、桐山照史、重岡大毅、小瀧望がメンバーとなっていたが、後に濱田崇裕、神山智洋、藤井流星の3名が加えられた。  同グループの特色やその音楽性について、ジャニーズの動向に詳しい芸能ライターのジャニ子氏は、次のように分析する。 「デビュー作となった『ええじゃないか』は、主演舞台『なにわ侍 ハロー東京!!』で披露された楽曲の中からファン投票で選ばれた作品で、関西ジャニーズJr.出身である彼らのキャラクターを前面に押し出した“お祭り感”溢れる一曲に仕上がっています。メンバーそれぞれに注目すると、まずは桐山さんの特徴のある声に耳がいきます。関ジャニ∞でいうところの渋谷すばるさんのような立ち位置で、小節を効かせた歌い回しとメンバー随一の声量で、同曲にコテコテの“なにわっぽさ”を与えています。一方、桐山さんとシンメトリーで歌う中間さんは甘い声質が特徴的。歌においてはこの二人が軸となっている印象ですね。また、センターの重岡さんは少し鼻にかかったような声をしているのですが、それがかえって面白い効果になっていて、楽曲に色を添えています。セクシーさやかっこよさという面においては、ツインタワーと呼ばれる藤井さんと小瀧さんが担っている感じで、特に女性ファンが夢中になりそうです。濱田さんと神山さんはアクロバットが得意で、テレビの音楽番組などに出演する際は大きな見どころとなるでしょう。Jr.時代を通し、メンバーそれぞれが一芸を磨いてきているので、切り取り方によって様々な表情が見えるグループという印象ですね」  同じく関西ジャニーズJr.出身である関ジャニ∞との違いについては「よりお笑い要素が強いのでは」とジャニ子氏は指摘する。 「関ジャニ∞がバンド演奏を得意としていて“ライブ慣れ”しているのに対し、ジャニーズWESTは“舞台慣れ”している印象です。舞台ではコントなども披露しており、お客さんを楽しませるためのコツを掴んでいる感じで、そういう意味では関ジャニ∞よりもお笑い路線は得意かもしれません。また、先に言ったように同グループはアクロバットも披露するので、その辺でも関ジャニ∞との差別化が図られているかと思います。次回作以降では、さらに方向性が明確になっていくのでは」  デビュー前より、グループ名の変更やメンバーの追加などで何かと話題となることの多かったジャニーズWEST。個性的なメンバーが揃っているだけに、彼らが今後、多方面で活躍する姿を目にする機会が増えそうだ。 (文=松下博夫)

武藤彩未はアイドルシーンの見取り図を変える? 18歳バースデイライヴで見せた「大器」の片鱗

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デビューアルバム『永遠と瞬間』をリリースしたばかりの武藤彩未。

【リアルサウンドより】  2014年4月29日に開催された武藤彩未のワンマンライヴ「DEBUT LIVE『BIRTH』」は、彼女が日本のアイドルシーンを不可逆にさせてしまったライヴだった。グループアイドル全盛のシーンをソロアイドルで塗り変えてしまう予感? いやそれどころか、ソロアイドルも含めてアイドルシーン全体の見取り図を変えてしまう予感さえしたのだ。  この日、18歳の誕生日を迎えた武藤彩未は、8歳でモデルデビューし、ユニット「可憐Girl's」を経て、中学卒業まで成長期限定ユニット「さくら学院」のリーダーを務めていた存在だ。さくら学院卒業後はソロ・プロジェクトをスタートし、錚々たるアレンジャーとミュージシャンによるバンド演奏で80年代の楽曲をカヴァーしたCD『DNA1980 Vol.1』『DNA1980 Vol.2』をリリースしてきた。  そして2014年4月23日、オリジナル曲によるソロ・デビュー・アルバム『永遠と瞬間』を発売。三浦徳子や森雪之丞といった大物作詞家を迎え、さらにポルノグラフィティのプロデュースで知られる本間昭光が大半の楽曲を書いたアルバムだ。「DEBUT LIVE『BIRTH』」はその『永遠と瞬間』の発売を受けたバースデイ・ライヴだった。  ステージ上には、正方形を積み上げたセットが床から天井まで壁一面組まれており、そこにさまざまな映像がVJで投影される。開演前からフロアの熱気が吹き上がって、2階は異常な暑さになっていた。セットの映像にはパペットが登場して前説を始め、さらに「実体」として馬のかぶりものをしたスーツの男まで登場した。
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セットのボックスには様々な映像が投影された。

 そしていよいよ武藤彩未が登場。まさに後光を浴びながら現れた。しかも、『永遠と瞬間』の8曲、その「セブンティーン盤」の1曲を含めても、オリジナルは9曲のみなので、当然80年代カヴァーもあるのだろうと思っていたところ、新曲を4曲も用意し、すべてオリジナル曲のみでライヴをしてしまったのだ。並々ならぬ気合いの入り方だ。  冒頭の「Are You Ready?」も新曲ながら、武藤彩未には不安定さというものがない。「女神のサジェスチョン」では、振り付けで歌詞の世界を表現しながら、不意に指さしなどでファンを刺激して盛りあげていく。「Seventeen」を歌う武藤彩未は、前述のように18歳になったばかりだった。  そして最初のMC。セットからステージ上に降りてきただけでファンから歓声が上がる、という光景を非常に久しぶりに見た気がする。こんなセットが用意されるアイドルなど、いまどきそうそういないのだ。
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リボンのようなスカートが印象的な2回目の衣装。

 「時間というWonderland」では、手足が大きな動きを見せる一方、指先まで意識が届いているのが遠目にもわかる。「桜 ロマンス」で使われている80年代的なマイナーコードも心地いい。「とうめいしょうじょ」では、バラードでの歌唱の安定感が光っていた。「A.Y.M.」は、キャッチなメロディー、打ち込みのビート、そして森雪之丞の手による武藤彩未のイニシャルが織り込まれた歌詞から構成された楽曲だ。振り付けでも武藤彩未が身体で「A」「Y」「M」を表現する。ファンの歓声もひときわ大きかった。  2回目のMCでは、伊勢丹の「花々祭」のモデルに抜擢されたことや、グリコの「セブンティーンアイス」とのコラボによるオリジナル自販機のことが話題に出た。「夢みたいな世界が広がっていて……でも本当なんですよね!」と語る武藤彩未は、たしかに破格の待遇でソロ・デビューをしているアイドルだ。グループからソロになるアイドルは少なくないが、ここまで環境に恵まれているアイドルは武藤彩未しか思いつかないほどだ。  新曲「RUN RUN RUN」では、リズムに乗せてファンの身体を動かしたりタオルを回させたりする。これはPerfumeのライヴにおける「PTAのコーナー」を継承したもので、同じ事務所・アミューズの先輩が得たナレッジが惜しげもなく使われているのだ。「A」「Y」「M」のポーズをファンにもさせ、さまざまなコール&レスポンスが繰り出される、いわば機能性重視の楽曲だ。続く「交信曲第1番変ロ長調」も新曲で、テクノポップ色が強い。とはいえ前述のPerfumeとまったく雰囲気が異なるのは、80年代へのノスタルジーがあり、さらに本人の生のヴォーカルを非常に重視しているからだ。「永遠と瞬間」のリードチューン「宙」では、歌の世界を指先と両腕で表現するイントロでの姿が神々しいほどだった。
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レーザーの演出にも力が入っていた。

 「宙」を当初音だけ聴いたときには「古いのでは?」と感じたキーボードの音色が、ライヴでは心地いい。適度に耳に引っかかるのだ。今風のEDMなら聴き流して終わりだが、ライヴで聴くときにその「今っぽくない」部分が意図的なものだったのだろうと理解できる。時代性を意図的に攪乱して、現在の武藤彩未へと向かわせているのだ。ステージ上では2台のミラーボールが回転し、何本ものレーザー光線がステージから放たれ、大歓声とともに「宙」は終わった。
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ミラーボールの光線で会場は幻想的な雰囲気に。

 本編最後のMCで武藤彩未は「他のイベントに出ても、ここがあるから頑張れる、ここに戻って来たいから頑張れます、私、もっと大きくなって帰ってくるからね!」と語った。そう、彼女はまだまだ「大きく」なる気なのだ。きっと、そうなるに違いない。  本編ラストの楽曲は、アルバムのタイトル曲「永遠と瞬間」。自転車の運転を身体で表現する振り付けが意外と激しいこと、それでも歌は安定していることに軽く驚いた。
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バースデーケーキのサプライズに喜ぶ武藤。ケーキの写真はオフィシャルInstagramに掲載中。

 ファンの大きな「彩未」コールからアンコールへ。そのタイミングで、サプライズとしてバースデーケーキを馬のかぶりもののスーツ男が運んできた。「世界で一番幸せ者です!」と武藤彩未。そして歌われた「彩りの夏」は、彼女の楽曲の中でももっともキーボードの音色の80年代オマージュが顕著なサウンドだ。2014年のリリース作品なのに、もはやエヴァーグリーンな香りさえ漂わせている。最後に歌われた新曲「明日の風」は、今日のために作ったというバラード。未来へ向かう歌詞が、武藤彩未が短期的なプロジェクトではないことをナチュラルかつ鮮烈に印象づけた。  武藤彩未のライヴは奇をてらったところはないのに、現在のアイドルシーンの中で非常に特異だ。武藤彩未があっというまに着替えた衣装は3着。ライヴ中は、2階席の筆者の前でカメラのクレーンが動き続けていた。セットやVJも含めて、武藤彩未に対して大量の資本がアミューズから投入されているのは誰の目にも明らかだ。しかし感心すべきなのは、それがゴリ押しに見えない上品さを生み出している点なのだ。CDやステージのゴージャスさも、すべてが武藤彩未の魅力を浮き上がらることに集約されている。どんな演出が施されていても、私たちが最終的に意識することになるのは武藤彩未の歌声と存在なのだ。そのようにすべてが丁寧に運営されている。  そして、「武藤彩未的なるもの」が実はそうそう存在しないことも痛感したライヴであった。80年代の芸能界が生み出したエンターテインメントが持っていたファンタジー。それを受け止め、体現できる実力と個性を持つ大器が武藤彩未なのだ。武藤彩未がすでに熱狂的なファンを獲得し、注目を浴びているのはそのためだろう。  武藤彩未はライヴの最後にこう言った。「また4月29日にやりたいです、来年も絶対空けといてくださいね!」。彼女は今後も歌っていきたいと語っていたし、「武藤彩未」は短期的なプロジェクトではなく、今後も継続していくだろう。より大きな規模で。  そうした意味で「DEBUT LIVE『BIRTH』」は、オリジナル曲を歌うようになった武藤彩未という歌手のまさにオープニングのようなステージだった。「永遠」へとつながるかと思わせるような「瞬間」の連続だったのだ。それは盛大にして華やかで、なにより非常に力強いものだった。 ■宗像明将 Twitter 1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。 武藤彩未オフィシャルサイト オフィシャルInstagram
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武藤彩未『永遠と瞬間 【永遠盤】』(SHINKAI)

■イベント情報 610の日 Special LIVE「A.Y.M Ballads」 (読み:ムトウノヒ スペシャルライブ エーワイエム バラッズ) 日時:2014年6月10日(火) OPEN19:00/START19:30 会場:Shibuya duo MUSIC EXCHANGE チケット一般発売:5/24(土)12:00~ ■リリース情報 『永遠と瞬間』 発売:4月23日 価格:永遠盤【CD】 ¥1,800(税別) セブンティーン盤 【CD+DVD】 ※初回限定盤 ¥3,680(税別) 瞬間盤【CD+カード17枚】¥2,500(税別) ※タワーレコード/HMV限定商品(数量限定) M1. 「宙」 M2. 「時間というWonderland」 M3. 「彩りの夏」 M4. 「桜 ロマンス」 M5. 「とうめいしょうじょ」 M6. 「A.Y.M.」 M7. 「女神のサジェスチョン」 M8. 「永遠と瞬間」

EXILE、なぜ一気に5人増加? グループ拡大戦略の背景を読み解く

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EXILE『EXILE LIVE TOUR 2013 “EXILE PRIDE" 9.27 FINAL』(rhythm zone)

【リアルサウンドより】  EXILEの新パフォーマーを決める「コカ・コーラ ゼロ プレゼンツ EXILEパフォーマー・バトル・オーディション」の最終選考が27日、東京・日本武道館で行われ、新メンバーの5人が決定し、大きな話題を呼んでいる。  今回のオーディションで、同グループはプロデューサーのHIROを含めて過去最多の19人組となり、今後のパフォーマンスはHIROを除いた18名で行われるとのこと。新メンバーには、後輩グループの三代目 J Soul Brothersから岩田剛典が、GENERATIONSから白濱亜嵐と関口メンディーが、また、一般参加者から山本世界と佐藤大樹が選ばれた。  EXILEが一挙に5名の新メンバーを加えた意図について、同グループの動向に詳しいライターの中西英雄氏は以下のように語る。 「メンバー増加の報道が出たときは、HIROが空いた穴を埋める意味合いを強く感じましたが、実際には常にEXILEのフレッシュさを保つための措置であることは間違いないと思います。LDHの稼ぎ頭であるEXILEは個々のマンパワー重視のため、多人数化することによって、さまざまな分野からの支持を集めることが可能です。白濱亜嵐と岩田剛典の加入は、結果発表前から“すでに決まっていること”とアンチの間では話題になっていましたが、そういったネタが出ること自体、EXILEの人気を証明しているように思えます」  また、今回加えられたメンバーたちは、EXILEに次のようなメリットをもたらすことが期待できると同氏は続ける。 「TAKAHIROやNAOTOが『バイキング』(フジテレビ)の進行役に抜擢されたことを考えれば、今後EXILEのメンバーが他局で活躍するのは容易に想像がつきます。個々のメンバーが活躍するシステムは、ジャニーズとの動きにも似通う部分がありますが、ジャニーズのように制約を設けていないEXILEメンバーのほうが、テレビやラジオにおけて起用しやすい面もある。関口メンディーはバラエティ部門の突破口として、岩田と白濱、佐藤は俳優部門として名を馳せていくことでしょう。特に、三代目 J Soul Brothersの岩田剛典、GENERATIONSの白濱亜嵐と関口メンディーは、もともとEXILE TRIBEのメンバーだった経歴と、EXILEの冠番組以外でも話題を提供してきたメンバーですから、新生EXILEに化学反応をもたらすのは約束されたようなものです。  EXILE初代メンバーであるMATSUとUSAの卒業がささやかれていますが、山本世界の加入は、『風貌がEXILEっぽく、パフォーマンスに並々ならぬセンスがある』という、まさに初期EXILEの原点をまかなえる人材としての採用だったと思います」  ただ、今回の増員に関しては、懸念点もあるという。 「EXILEの弟分グループからEXILEに昇格する、というセオリーが当たり前になってくると、次のオーディションのときも『バラエティ番組で活躍していたり、キャラが立っているメンバーが、また弟分グループから選ばれるのだろう』という、各グループのファンにとっての懸念材料が生まれます。岩田・関口・白濱の加入は、三代目 J Soul BrothersとGENERATIONSファンからは『ずっと応援していたのにエースを取られた』と嘆かれているのも事実。それは、二代目 J Soul BrothersがEXILEに吸収されたときに抱いたファンのストレスと似たものですが、さらに厳しいのは、今回の加入劇によって、元二代目(現・THE SECOND)メンバーの存在感が薄まってしまうことです。これにはやきもきしているファンの声が多方面から聞こえてきています。  しかし、そこにはプロデューサーHIROの思惑もきっと働いているのでしょう。弟分グループのメンバーに『EXILEのメンバーになるのが最終目標』というよりも、『EXILEを抜くことが自分の使命』と発奮させる効果も生んでいるのではないでしょうか。メンバーがEXILE入りしたからこそ、かえって自分たちのグループの存在感を増そうという気持ちが高まるというか。その競争意識が、ファンだけでなく一般層へも広まれば、仮にEXILEの人気が低迷しても、三代目やGENERATIONSがその人気を引き継ぐこともできないわけではありませんから」  EXILEの第四章の幕開けとなった今回のメンバー増員によって、今後、同グループはどのように変化していくのか。新メンバーが切り開く新境地に期待するとともに、三代目 J Soul BrothersやGENERATIONSといった弟分グループが、さらに切磋琢磨することを願いたい。 (文=松下博夫)

乃木坂46、イジリー岡田の寝起きドッキリに悲鳴 秋元真夏の寝姿に”ケツ出し疑惑”も

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乃木坂46『気づいたら片想い(DVD付A)』(ソニー・ミュージックレコーズ)

【リアルサウンドより】  2014年4月28日放送の『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京)にて、乃木坂46の寝起き姿を見ることが出来る企画「セミリアル寝起きドッキリ選手権」が放送された。  今回、同番組では「寝起きドッキリ」が事務所NGとなっている乃木坂46のメンバーに対し”事前告知あり”の「セミリアル寝起きドッキリ」を敢行。  冒頭、番組MCであるバナナマンの設楽統から、「今回の寝起きドッキリはリアルではありません」と事前説明をしたうえで、「メイクや服装など、オンエアOKの範囲内で可能な限り普段の寝姿を再現し、”アイドルとしての寝起きドッキリ”を再現してもOK」という今回の企画内容が発表された。  番組には寝起きドッキリのプロとして、『NOGIBINGO!』シリーズでMCを務めていたイジリ―岡田が登場。乃木坂46の看板番組で司会を務める3人が勢揃いしたのを見たメンバーも思わず大喜びした。  一人一人のVTRを見た後に、その演技を振り返る形で進行していった今回の放送。最初に放送されたのは白石麻衣の寝起きドッキリ。彼女の部屋に潜入したイジリ―は、口紅のついた飲みかけのコップを手に取って興奮。カメラにコップを回して見せたあとは、持ち込んだ歯ブラシで足の裏をくすぐって彼女を起床させた。VTRを見たバナナマンは、丁寧に口紅を付けておいた白石の「セミリアル」な演出に感心。また、寝る際の衣装に関しては、VTRでズボンを履いていた白石が、普段はズボンなどを履かず、パンツにメディキュットという姿で寝ていることを告白し、日村が思わず興奮する一面も。  二人目に放送された和田まあやの部屋では、イジリ―が彼女のベルトを発見し、あまりのウエストの細さに驚いた。そして自身の頭に合わせると、なんとジャストフィット。これを見たスタジオは大爆笑に包まれた。バナナの抱き枕を抱えて眠っていた和田は、スタジオで「上京してきて、バナナマンさんと番組をやると決まった際に購入した」と、バナナマンにちなんで枕を購入したと明かした。これに対し、設楽が「じゃあその枕に日村さんの画像をプリントしてあげよっか?」と提案すると、和田は即座に否定し、日村からも悲しい顔をされてしまう。  三人目に放送された西野七瀬の部屋では、脱ぎ捨てられた靴下を発見したイジリー。早速その靴下を履いてみせると、VTRを見ていたメンバーから悲鳴が上がる。枕元にぬいぐるみを多数置いていることについて、イジリーから触れられた西野は、幼少期からずっと枕元に置いている鮫のぬいぐるみ、コケタニくんを紹介。名前の由来については「ダサい名前を付けたかったから」と、風変わりな愛情を持っていることを明らかにした。VTR終了後、上手く寝起きを演じきれなかった西野に対し、イジリ―は「目を開けて寝ているのがわかりづらい」と演技指導をし、”分かりやすい目の開け方”を伝授した。  四人目の生田絵梨花は、布団を全部剥ぎ取ったスタイルでイジリーを出迎えた。寝ている彼女に対し、イジリーは靴下を脱がせようとするも、必死に抵抗される。いつまで経っても起きないというくだりを何度か繰り返すなど、サービス精神旺盛な生田だったが、VTRを見たイジリーから、「部屋にあった足裏マッサージ機は、『絶対に舐めないでください』と最初にお叱りを受けた」と、収録の際に”高速ベロNG”が出されたことが明かされた。また、部屋にあったオーバーオールを履かず、カメラで中を撮影させたことに日村が感心。これに対しイジリーは「『ここに足を通すんだな』っていう想像の入り口を作った」と、レポーターとしてのレベルの高さを見せつけた。  五人目の堀未央奈の部屋では、イジリ-が部屋で食べかけのイカの塩辛を発見。さらに、目に紅茶のティーバックを乗せて寝るという行き過ぎた仕掛けにはスタジオが爆笑した。堀は「イカの塩辛は大好きなので寝る前に1パック食べます。紅茶のティーバックは使ったものを冷蔵庫で冷やしてから目の上に乗せて、むくみを取っています」と、VTRに登場したアイテムは実際に使っているものであることを説明。これに対し、設楽が「でも紅茶のティーバックを乗せて寝てると、寝返り打ったら落ちるでしょ?」と質問すると、「起きたら枕が紅茶色になってることが多いです。でもホテルなんで…」と答え、全員から「余計に迷惑でしょ」とツッコまれた。  最後に放送された秋元真夏の部屋では、汚い手鏡を発見したイジリー。彼のお家芸でもある”高速ベロ”で鏡を舐め回し、綺麗に掃除すると、スタジオのメンバーからはこの日一番の悲鳴が上がった。VTRが終わると、寝返りを打って生足を出した秋元の演技力に対し、イジリーが「寝返りを打つ前にモゾモゾしてカメラに『今から寝返りを打ちますよ』と予告するのが素晴らしい」と絶賛。また、設楽は生足に緩めのショートパンツというキワどい姿を披露した秋元の寝姿に「あれはもうケツ出てるでしょ」と指摘。「出てないです」と返した彼女に対し、「ケツか足かの区別は見る方がするんだから」と、受け手の想像力次第であることを語った。  番組の最後には今回のMVPとして”イジリー賞”の受賞者を発表。見事イジリー賞に輝いた和田まあやは、抱き枕を使った演技を評価され、イジリーから「ファンは抱き枕に自分を置き換えるんじゃないか」といったファン目線での感想を述べられて、番組は終了した。  「セミリアル寝起きドッキリ」ではあるものの、メンバーの貴重な寝姿がオンエアされた今回。次回、5月11日の放送では、9枚目シングルの選抜メンバー発表を放送する予定だ。 (文=向原康太)