嵐とAKB48、音楽的アプローチの違いは? チャート上位2曲を洋楽の視点で読み解く

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AKB48-『ラブラドール・レトリバー Type-K(通常盤)(多売特典生写真なし) 』(キングレコード)

【リアルサウンドより】 参考:2014年05月26日~2014年06月01日のCDシングル週間ランキング(2014年06月09日付)(ORICON STYLE)  週間ランキングの1位はの『誰も知らない』。初週売り上げは46.2万枚を記録し、シングル40作目の首位を記録した。2位はAKB48の『ラブラドール・レトリバー』。このチャート分析の連載はシングルとアルバムのチャートを交互に掲載しているので先週には掲載されなかったのだが、選抜総選挙を控え5月21日に発売された同作は初週166.2万枚という売り上げを果たしている。おそらく今年の年間シングルランキングも1位になることが確実だろう。3位はアニメ『ラブライブ!』発のμ's、4位には7月に解散を発表しているBiSのラストシングルがチャートイン。トップ10までほぼアイドルとアニメ関係が占めるというチャート状況となった。  というわけで、今回では嵐『GUTS!』に込められた「音楽的仕掛け」を分析した前回に続き(参考:嵐『GUTS!』50万枚超えチャート1位に 楽曲に込められた「音楽的仕掛け」とは?)、『誰も知らない』と『ラブラドール・レトリバー』の2曲の楽曲を分析していこう。  まずは嵐『誰も知らない』について。『GUTS!』も独特な音階と転調のテクニックを駆使した曲だったが、これもかなり一筋縄ではいかない曲になっている。イントロからピアノやストリングスが壮大に鳴り響き、場面場面でアレンジがガラリと変わるミュージカル仕立ての曲調。ダンスビートとオーケストラが融合したサウンドに、チェンバロの音色がゴシック調のアクセントを加えている。メロディはキャッチーだが、コード進行はかなりクセのあるもの。不安をかき立てる和音をあえて盛り込んだ展開が刺激的だ。  この曲の作曲にクレジットされているのは「Takuya Harada・Joakim Bjornberg・Christofer Erixon・BJ Khan」の4人。Joakim BjornbergとChristofer Erixonは、ストックホルム在住のスウェーデンの若手作曲家/プロデューサーコンビだ。2012年にヨーロッパ最大の音楽コンテスト「ユーロビジョンコンテスト」のスウェーデン予選で好成績を収めたあと作家事務所に入ったキャリアの持ち主。嵐では「Breathless」もこのコンビが手掛けており、こういった類のヨーロッパ的なクールネスを持つダンスポップはグループの大きな武器になっている。ジャニーズ事務所がスウェーデンの音楽出版社に投資しているのはよく知られた話だが、日本のトップアイドルである嵐を支えているのも「音楽大国」スウェーデンの作曲家が持つヨーロッパ的な感性である、というわけだ。  そしてAKB48『ラブラドール・レトリバー』について。メンバー襲撃事件から選抜総選挙まで話題に事欠かないAKB48だが、過熱するメディア報道に比べてあまり語られていないのが、楽曲そのものについて。この曲、かなり良質なポップソングに仕上がっているのである。曲調は60’sモータウン、サウンドはかなり確信的にフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを狙っている。ストリングスの音色の選び方も、頭打ちのビートも、あえてのレトロ感。サウンドメイキングもかなり面白い。ヘッドフォンで聴くとよくわかるのだが、ドラム全体が明らかに左に寄っているのである。おそらくモノラル録音の時代を意識したのだろう。昨年の『恋するフォーチュンクッキー』がフィリー・ソウル〜筒美京平の「ディスコ歌謡曲」だとすると、この『ラブラドール・レトリバー』はフィル・スペクター〜大滝詠一の「ナイアガラ歌謡曲」。どちらも「指原期」のAKB48を代表する曲になるはずだ。  最先端のヨーロピアン・ポップをJ-POP化する嵐に、古き良きアメリカン・ポップへのオマージュを捧げるAKB48。今の日本を代表する2組のアイドルから欧米へのそれぞれ異なった視線を読み解くことができるのが、なかなか面白い。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

MC漢ら、レーベル始動会見でBEEF宣言も 宇川直宏「ミュージックビジネスに風穴開ける動き」

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D.O(左)と握手を交わす漢(右)。

【リアルサウンドより】  ヒップホップMCの漢(MSC)主宰のレーベル・鎖グループによる番組『9SARI OFFICE SPECIAL~鎖グループ&BLACK SWAN公開記者会見~』が6月4日、DOMMUNEにて生放送された。同番組内では、所属アーティストが鎖グループと契約書を交わすとともに、漢らが前所属レーベルであるLibra Recordsに対し、異例のBEEF(論争、喧嘩)宣言をした。  鎖グループは、2012年8月に漢がLibra Recordsから独立して立ち上げたレーベルで、2014年に事務所兼スタジオを東京・西早稲田にオープンさせたばかり。また、BLACK SWANは元・PヴァインのA&R/ディレクターで、アンダーグラウンドな日本語ラップシーンの構築に多大な貢献をしてきた故・佐藤将によるレーベル。2014年3月5日に佐藤将が急逝したことを受け、彼と旧知の間柄であった漢が、自身のレーベル内でBLACK SWANの存続を決意し、DARTHREIDERにレーベル代表就任を依頼。今回の放送は、両レーベルにとって新たな出発を意味するものだった。
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契約書にサインをするLIBRO。

 番組は、佐藤将の功績を辿るトークショーから始まり、その後、所属アーティストたちが報道陣の前でしっかりと契約書にサインを押印。始めに漢とDARTHREIDERが契約を交わした後、鎖グループとはD.O、HI-BULLET、DOGMA、LORD 8ERZ a.k.a. DJ GATTEMが、BLACK SWANとはGOKU GREEN、PONY、LIBROが契約を交わした。漢は「僕のマイメン(親友)である佐藤将と、水面下で会社を合併しようという計画を立てていました。そういう流れでスタジオや事務所を建設していたんですけど、途中で残念な事故がありました。しかしそれは、ひとりでもしっかりとやって、実力を付けろという佐藤さんのメッセージだと受け止めました。ただ、僕がBLACK SWANをやるのは、レーベルの色も違って違和感があるので、DARTHREIDERに頼みました」と、現体制の意図を明かした。  DARTHREIDERは「DARTHREIDERがいきなりBLACK SWANをやるのも、佐藤さんが常日頃言っていた『想定外のレーベルにしたい』という意味で意義があると思うし、単純に今、なにが起こるかわからないことをやったほうが面白い。MC漢と僕は10代の頃から知っていて、かつてはどこかの現場で会ったら絶対にMCバトルが始まる間柄で、基本的にはバッチンバッチンやっていました。そういう事を経ていっしょにやるのも、面白いかなと思います」と、レーベル代表就任への意欲を語った。
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イベント中では、漢のビートボックスに合わせてDARTHREIDERがフリースタイルを披露する一幕も。

 所属アーティストがそれぞれにライブを披露すると、最後に漢がフリースタイルで「今日はここから誰もが振り返る話の内容だ」と宣言した後、「俺らが頑張れば頑張るほど、関係ねぇとこに金が流れるっていうのもここら辺で終わりにしようと思っている。何より日本のヒップホップはなぁなぁすぎて、つまんねぇなーって思ってるから。その辺はっきりさせるBEEFだ。牛肉だ。がっつり食うぜ、骨までしゃぶってやるよ」と、前所属レーベルであるLibra RecordsへのBEEFを開始した。  漢らによると、2002年にLibra Recordsの社長と出会い、これまでMSC『帝都崩壊』や漢のソロアルバム『導~みちしるべ~』といったヒット作を生んできたが、その利益のほとんどを受け取っていなかったという。また、漢のアイデアで始まったMC BATTLE大会『ULTIMATE MC BATTLE』でも、あらゆる利権を社長に占有されていたとのことだ。漢は「日本式の先輩、後輩という間柄は嫌いではなかったから、頼れる人ができたら一緒にやるよ」と、かつてLibra Recordsで活動を開始した理由を説明。しかし、同レーベルの運営は、漢らによれば、杜撰でトラブルが絶えなかったという。同レーベルの所属アーティストは、契約書を交わすこともなかったとのことだ。会場に駆けつけたPRIMALやTAB001らも、同レーベルにおいて暴力行為やギャラの未払いが多々あったことを次々に証言した。  漢は続けて「俺たちは一度ブランドになって、夢を見た。日本一のアンダーグラウンドって自負していたくらい勢いがついていた。(中略)でも俺らはこれをやらないと、次のステップに行けない」と、今回訴訟を起こす決意をしたことを明かした。
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ライブパフォーマンスを披露するD.Oら。

 また、DARTHREIDERは『ULTIMATE MC BATTLE』について、「僕は毎年出ていて、負けたらバックステージレポートとかの仕事をしていた。それぐらい入れ込んでいる大会で、それこそPRIMALとかTAB001がフリースタイルして剥き出しのところを見ているから、これは持ち主の漢のところに返さなきゃいけないって思っていた」と、大会は改めて漢が主催すべきだと主張するとともに「全国のラッパーが頂点を目指す大会は必要。(中略)今、高校生ラップとかもやっているけれど、彼らが挑戦する大人の大会がちゃんと運営できていなければ先細りになってしまう」と、イベントの重要性を改めて指摘した。  また、イベントの最後にはDOMMUNEの主催者である宇川直宏氏が「今回の話っていうのは、ヒップホップだけじゃなくて。昭和の時代から続いてきた音楽のクリエイティブ・メディア全般に対して言えること。かつてレコードをリリースする場合、特権性がある立場の人がアーティストを抱えてリリースするっていう文脈があった。で、インターネット以降はミュージシャンが独自にリリースして、フックアップしたい人がそれを購入するというエネルギー循環ができてきた。(中略)リスナーとの直のコミュニケーションスタイルがきちんと確立されて、中間搾取がなくなった時代だと思うんですよ。中間搾取の話っていうのは、深く考えたら、演歌のドサ回りしていた演歌歌手が、場所代とかを払うようなもので、テキ屋文化だったと思うんですよね。で、そういう中間搾取業者がエネルギーをせき止めていて、アーティストが飼い殺しにされたりする。歌っても著作印税は入ってこなくて、ただ自分自身が存在しているっていうことの表明だけ。そういう歴史が長くあった。(中略)漢さんがDOMMUNEに出てくれた時のインタビュー(参考:ele-king「ヒップホップ・ドリーム・アゲイン」)の中で、『やっぱりプレイヤーがレーベルをやらないといけないだろう』っていう発言があったんですけど、これ、すごい説得力があるなと。今後は、プレイヤーへのリスペクトがレーベルに反映していく時代だと思うんですよね。だから漢さんが今回立ち上げた鎖グループの方法論っていうのは、まったく正しいと思うし、今後のミュージックビジネスに風穴を開ける歴史になるんじゃないかな」と、漢らの試みに期待を寄せた。
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フリースタイルでLibra Recordsへの怒りを表明する漢。

 日本のヒップホップ史上、類を見ない会見となった『9SARI OFFICE SPECIAL~鎖グループ&BLACK SWAN公開記者会見~』。鎖グループとBLACK SWANが今後、どのような活動を展開していくのか。そして漢らの訴えに対し、Libra Recordsはどう対応するのか。「リアルなラップ」をルールとして掲げる漢らだけに、作品とともにその動向を注視していきたい。 (取材・文=松田広宣)

BUCK-TICKサウンドはなぜ変貌し続ける? 大いなる実験作『或いはアナーキー』を紐解く

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【リアルサウンドより】  BUCK-TICKは我々の期待を裏切ってきたバンドだ。もちろん良い意味で。目まぐるしく移り行く音楽シーンの中で、次々と先進的な音楽と予想だにしない世界を見せてくれた。チャートやブームに影響されることなく、メインストリームからは離れた場所にいた。世間からは大きく注目されることは少なくとも、邦楽に興味のない洋楽ファンにだって誇れることが出来るバンド、それがBUCK-TICKである。そして今ここに、またとんでもない1枚が放たれた。『或いはアナーキー』約1年9カ月振りとなるニューアルバムである。  力の抜けたギターのカッティングで今作は幕を開ける。呪文のように連呼される“Gadji beri bimba - ガジベリビンバ -”が表すような、今井寿のナンセンスな言葉遊びが、櫻井敦司とのツインボーカルによって強烈なインパクトを与えるディスコナンバー「DADA DISCO」。そこから星野英彦作曲「宇宙サーカス」の流れは、ゴシックで妖艶なバンドイメージとは対照的な“ひねくれた”ポップ感が炸裂する。これもまた魅力の一つであるのだが、先行シングル「形而上 流星」のノスタルジックで優美な流れからは思いもつかなかった、予想の斜め上を行くものだ。まさに“GJHBKHTD”、そう、この“してやられた感”こそが、BUCK-TICK流の裏切りである。

森岡賢ら、多彩なアーティストの参加

 トリビュート盤『PARADE II』で、奇をてらったニュー・ウェーヴなセンスが今井のひねくれポップセンスと融合し、想像以上に相性抜群だったハヤシ(POLYSICS)を始め、今作には様々なアーティストがマニピュレーター、プログラミングとして名を連ねている。YOW-ROW(GARI)参加の「メランコリア」は先行リリースされたものとは一味違うエレクトロ要素があり、無機質ながら哀愁感を引き出している。Cube Juiceは「形而上 流星」のどこか和情緒漂う、わび・さびのコントラストをより色濃いものにして、今作の“死ぬほど美しい”最後を飾る。どの楽曲もクリエイター各々の個性が見え隠れするものの、打ち込み主体で引っ張るというより、あくまでBUCK-TICK世界の美をさらに強調するものになっている。  注目すべきはやはり、森岡賢の参加だろう。「VICTIMS OF LOVE with 黒色すみれ」では和風ゴシックの演出に貢献していたわけだが、今回はピアニストとしての参加だ。櫻井の歌と森岡のピアノ、合わないはずがない。「世界は闇で満ちている」という、暗さを連想させるタイトルを、ピアノを基としたストレートなアレンジで、艶めかしい歌とともに美しいものに浄化していく。SOFT BALLETとBUCK-TICK、80年代に前衛的なインダストリアルロックを提示してきた盟友の共演にも関わらず、シンプルで王道な歌謡曲のアコースティックなアレンジに仕上がっている、というのが実に面白い。とは言え、イントロの“いなたい”ギターとアウトロのポストロックアプローチの対比も注目すべきところである。

稀有なツインギター

 BUCK-TICKの世界を彩るギターに注目してみよう。いつになく、全編を通してクリーン/クランチを中心とした歪み成分も音数も少ないシンプルなサウンドとアレンジだ。左チャンネルに今井、右チャンネルに星野と振り分けられた曲も目立ち、初期によく見られたカッティングなどの絡みが多いことが興味深い。かつてはギターシンセやノイズを駆使し、エフェクタリストという異名を持った今井だが、そのトリッキーなプレイを除けば、従来のツインギターバンドにおけるリードといったような明確な役割がないのもこのバンドの特徴である。1曲の2人分のギターを1人で担当する場合もあるという稀有なツインギターバンドでもあるのだ。そして、前衛的な音楽性を持ちながらも決してギターの音圧で勝負するようなバンドではなかったことに改めて気付く。  「疲れるギターは星野、楽でおいしいフレーズは今井」は、お馴染みのBT流ツインギターの様式美。シンセベースとテンポ感が往年の名曲「M・A・D」をどこなく彷彿とさせる「Devil'l Angel」で聴くことが出来る、巧みに心地よく入る右チャンネルのカッティングとは裏腹に、自由奔放に弾いている左チャンネルのギター。弾きまくるわけでも音数も多くないのに、やけに耳に残るのは流石としかいいようがない。

BUCK-TICKという特異性

 スタジオに集まって楽曲を持ち寄る、アレンジを煮詰めるといった通常のロックバンドの作業はしない。作曲者が楽曲のイニシアチブを持つ。すなわち、それは多くの作曲を手掛ける今井寿によるところが大きく、方向性やサウンドアプローチにも大きく影響を与える。だが、作品毎に変貌する音楽性にも関わらず、ファンは離れることなく、長年追っている場合が多い。そこから音楽ジャンルの幅広さと奥深さを教えられたこともあるだろう。ファンのバンドへの信頼が厚いのである。  楽曲、アレンジ、演奏はもちろん、バンドの方向性さえもレコード会社やプロデューサーにより、手を加えられることが珍しくなかった時代に、それらを一切拒絶することを条件にメジャーデビューしている。今でこそ、セルフプロデュースのバンドも珍しくはないが、その先駆けでもあった。それ以降、四半世紀以上に渡る活動の中で、そのスタイルを今でも貫き通している。デビューに際し、決してお世辞にも上手いとは言えなかった当時の演奏力よりも、彼らの才能とセンスを見抜き、それを開花させた田中淳一氏が今作にも関わっていることも付け加えておこう。理解あるスタッフと制作陣営に恵まれたことも、長きに渡るバンド継続の大きな要素の一つと言えるだろう。  近年はそのキャリアと、影響力を含めた大きな存在感が話題に上ることが多かったが、こうしてニューアルバム『或いはアナーキー』を聴くと、本質にあるバンドとしての特異な魅力を改めて感じることができる。言わば、BUCK-TICKというフィルターを通して、世の中のありとあらゆる音楽の全てをブチ込んでくる姿勢である。そして何よりも、マニアックさを匂わせながらも根底にあるものは、歌モノロックだということを特筆したい。今井寿がどんなジャンルの曲を書くときも、変態なサウンドを持ち込むときも、櫻井敦司の歌ありきで成立させるのである。それは今も昔も変わらない。そしてこれからも常にBUCK-TICKはBUCK-TICKであり続けるだろう。さらなる進化と、聴く者を捩じ伏せる説得力とともに。魔王が「踊れ踊れ」と歌えば、我々は踊るしかないのである。 ■冬将軍 音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter
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BUCK-TICK『或いはアナーキー』(徳間ジャパンコミュニケーションズ)

■リリース情報 『或いはアナーキー』 [初回限定盤A[DELUXE EDITION] 価格:¥8,500+税 豪華アナログLPサイズBOX仕様(シリアルナンバー入り) Blu-spec CD+Blu-ray&DVD+特大PHOTO BOOKLET+BUCK-TICKオリジナルグッズ Blu-spec CD〉全14曲収録 Blu-ray/DVD「形而上 流星」MUSIC VIDEO ※Blu-rayとDVDの映像は同一内容 ●DELUXE EDITION:7大特典 豪華アナログLPサイズBOX仕様(シリアルナンバー入り) BUCK-TICKオリジナルグッズ(ロゴ入りレッド・クロス40cm×40cm)付 特大PHOTO BOOK(アナログLPサイズ / 24P)付 Blu-spec CD:(お手持ちのCDプレーヤーで再生可能な高品質CD) Blu-ray&DVD:「形而上 流星」MUSIC VIDEO ※Blu-rayとDVDの映像は同一内容 ピクチャーレーベル(Blu-spec CD・Blu-ray・DVD 3種のデザイン) プレミアム・グッズ応募券封入 1.シリアルナンバーで豪華特典が当たるキャンペーン 2.シングル&アルバムW購入ポイントラリー応募キャンペーン (対象商品:MAXI SINGLE「形而上 流星」& ALBUM「或いはアナーキー」) [初回限定盤B]CD+Blu-ray 価格:¥3,700+税 [初回限定盤C]CD+DVD 価格:¥3,300+税 CD:全14曲収録 Blu-ray/DVD「形而上 流星」MUSIC VIDEO ※Blu-rayとDVDの映像は同一内容 特製スリーブケース仕様 シングル&アルバムW購入ポイントラリー応募キャンペーン (対象商品:MAXI SINGLE「形而上 流星」& ALBUM「或いはアナーキー」) [通常盤]CD 価格:¥3,000+税 CD:全14曲収録予定(限定盤CDと同一内容) シングル&アルバムW購入ポイントラリー応募キャンペーン(初回プレス分のみ応募券封入) (対象商品:MAXI SINGLE「形而上 流星」& ALBUM「或いはアナーキー」) 〈収録曲〉 1.DADA DISCO –G J T H B K H T D- 作詞:今井寿 作曲:今井寿 2.宇宙サーカス 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦 3.masQue 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿 4.Devil’N Angel 作詞:今井寿 作曲:今井寿 5.ボードレールで眠れない 作詞:今井寿 作曲:今井寿 6.メランコリア 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿 7.PHANTOM VOLTAIRE 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿 8.SURVIVAL DANCE 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦 9.サタン 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦 10.NOT FOUND 作詞:今井寿 作曲:今井寿 11.世界は闇で満ちている 作詞:今井寿 作曲:今井寿 12.ONCE UPON A TIME 作詞:今井寿 作曲:今井寿 13.無題 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿 14.形而上 流星-metaform- 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿

AKB48劇場公演再開後に期待されることは? アイドル評論家「秋葉原にとって大切な場所」

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AKB48-『ラブラドール・レトリバー Type-A(通常盤)(多売特典生写真なし) 』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  岩手県滝沢市で開かれた握手会でメンバーらが切り付けられた事件を受けて、5月26日から休館していたAKB48劇場の公演が6月2日、再開された。  「NHK NEWS WEB」によると、AKB48劇場は警備体制を見直した結果、劇場内に刃物などを持ち込ませないよう金属探知機を導入したほか、ステージと客席の間に柵を設け、警備員を増やす対策を取ったという。また、再開初日の劇場内は、秋葉原を管轄する警視庁・万世橋警察署の警察官6人が特別に警戒に当たったとのことだ。(参考:NHK NEWS WEB「事件後初 AKB48が秋葉原で公演再開」)  ほか、公演終了後の定番となっていた、メンバーと観客とのハイタッチが行われなかったり、普段は自由に出入りができる劇場ロビーの入場が制限されたりと、これまでの公演とは異なる措置が取られ、残念がるファンの声もあった。  AKB48劇場公演の再開について、アイドルカルチャーに詳しい放送作家のエドボル氏は次のようにコメントを寄せる。 「劇場公演が再開されたのは喜ばしいことですが、現在はまだ入場できなかったファンのためのモニター観覧ができていない状況です。モニター観覧は、AKB48に興味を持ち始めたファンにとって入り口となるもので、秋葉原の観光名所としても機能していました。AKB48劇場は、今の秋葉原の文化を形作る、大きな要素のひとつであり、近隣の飲食店や施設などにも影響を与えています。安全性を確保することはもちろん大事だし、ファンもしばらくは大変な思いをするかもしれませんが、みんなで協力して、今まで築き上げてきたものを少しずつ取り戻していきたいですね」  AKB48に限らず、地域に根ざした活動を展開し、文化として定着しつつあるグループは少なくない。握手会での事件を受けて、いかに安全を確保しながらイベントを維持していくかが課題となっている現在のアイドルシーン。貴重な文化を守り育てていくためには、アイドル自身や運営側の気遣いはもちろん、ファンの理解と協力がいっそう大切になりそうだ。 (文=松下博夫)

セクシー女優・並木優がDTMとDJにのめり込んだワケ「いつも音楽のおかげで頑張れる」

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セクシー女優でありながら、幅広く音楽活動も展開している並木優。

【リアルサウンドより】  オリコンチャートを席巻した恵比寿マスカッツや、名曲「夢花火」をリリースしたつぼみなど、10年代に入っていわゆる「セクシー女優」による音楽活動は認知度、そしてその質においても驚くべき進化を遂げている。  古くは1980年代に天才クリエイター中村D児氏による「We are the world」へのアンサーソングや、孤高のドキュメンタリスト平野勝之監督とのコラボで数々の傑作生み出した故・林由美香嬢のカセットシングル曲など、アダルト業界は黎明期より音楽への興味深いアプローチを重ねてきたが、そのほとんどは彼女達をシンガーとして起用した作品だった。  しかし、人気セクシー女優として活躍する並木優は、シンガーとしてだけではなく、自らDAW(音楽制作用のPCソフト)を駆使し、トラックメイクまで手がけている「DTMer」である。アダルトビデオの歴史30年近くを見渡しても、そんな女優は彼女の他に思い当たらない。  そこで今回は、日本最大のシンセサイザーメーカー(株)KORGのショールームにて、2014年より音楽活動を活発化させている彼女にインタビューを行った。

「なるべく人と関わらないで音楽がやりたかった」

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KORGのショールームはいたく気に入ったようで「ここに住みたい!」とのこと。

——並木さんの音楽体験は何歳ぐらいから始まったのでしょうか。 並木:4~5歳ぐらいの時からピアノを習い始めたのが最初ですね。幼馴染が習って弾いているのを見たりして、ものすごく羨ましくて「ワタシもやるー!」って自分から親におねだりしました。やり始めるとおもしろいし、弾けるようになると褒められるのもうれしくて、どんどんハマりました。 ——演奏するのが楽しいだけではなく、承認欲求も満たされたと。最初に買ったCDとかは覚えてますか? 並木:覚えてます! TVでやってたアニメで『ママレード・ボーイ』っていうのがあったんですが、そのオープニングテーマの「笑顔に会いたい」です。二枚目もアニメの曲で『魔法騎士レイアース』の「ゆずれない願い」という曲でした。 ——ここに並木さんの「ココロのベスト10」を記した資料があるんですけど、『マクロスF』の「ダイアモンド・クレパス」や「星間飛行」など、アニソンが多いですね。昔からアニソンが好きでしたか? 並木:そうですね。ずっとアニソンが好きで、アニメ作品自体を観ていなくても好きな曲もあります。曲で興味を持ってアニメを観るようになることも多いですね。ネットでDJの方とかがアニソンのミックスをアップしているのも、片っ端から聴いて常にチェックしています。 ーーそんなに音楽好きなら、中高生時代にバンドを組んでみようと思ったことはなかったんですか。 並木:そうですね、組んでみたいとは思っていたんですけど、実はあまりコミュニケーション能力がなくて……。学生時代って女子同士の派閥があって、誘われるがままに「ファッション大好き!」みたいな、いかにも女の子らしいグループに所属していたんですけど、同時にアニメイトに毎日行ってるようなヲタ系グループにもこっそり所属していて。で、ヲタ系の子たちとアニソンの話をしてる時の方が楽しかったんですよね。明るくてイケイケのグループにいる時より。でバンドも密かにやりたいなぁ…とは思っても、実際は生身の人ととやりとりとか怖くてそんなことは全然できなかったですね。でも、そんな高校生だった時に初めてDTMに出会うんです。インターネットでたまたまフリーのソフトを見つけて、「へぇー、こういうのだと一人でもバンドみたいなことできるのかな?」みたいな感じで興味を持ちました。
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ヘッドホンはAudio-Technicaで、特注でスワロフスキーをデコレーションしたもの。

ーーなるべく人と関わらない方向で音楽がやりたかったと。 並木:はい(笑)、それでその頃から作曲を始めるようになりました。最初はDTMじゃなくて、当時所有していたカセットテープに、自分の声で唄メロとピアノの伴奏を吹き込むみたいなスタイルで。 ーーますます音楽仲間を見つけるというより個人的な方向へ……。 並木:でもこれが始めるととにかく楽しいんですよ。「 あれ? 私の作るメロディーって案外良いかも」って(笑)。で、その少し後くらいからシンセサイザーも始めるんです。ピアノを習いに行ってたスクールの、シンセのコースがものすごく羨ましくて「わたしもピアノ以外の音を鳴らしてみたい!」って。 ーー幼い頃からの並木さんの「欲しがり癖」がまた(笑)。 並木:でオールインワン型のROLAND PHANTOM(ラッパーのKREVA氏もトラックメイクに愛用していたシンセ)を貰うんです。 ーーいきなり名機ですね! 並木:オールインワンなので、ドラムやベースの音源も入っているんですよね。そこからトラックメイクも始めました。 ーー念願の「バンド体験」が!  一人バンドですけど(笑)。 並木:(笑)で、ちょっと自信がついたりしてネットでバンドのメンバー募集サイトを見るようになったんですね。それでいくつか募集してる方々にアプローチして会ったりしたんですが、何故かその後連絡が無かったりして、結局バンド活動はできずじまいっていう……何が悪かったんでしょうね(笑)? ーーコミュ力がまだ足りなかったのかもしれませんね(笑)。 並木:でもその後、今のお仕事を始めるようになって、お休みの時なんかにDTM熱が再燃しはじめて、DAWソフトのCUBASEを購入したんですよね。それで、だんだんのめりこむようになりました。

「アジア諸国ではセクシー女優のライブやイベントに対する需要が増えている」

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タンテに針を落とす並木優。機材は名機と名高いスタントンのもの。

ーーその後、自ら作曲した『トキメキ☆インストール』をリリースや、セクシー女優による本格音楽レーベル『Milky Pop Generation』での活動に繋がっていくわけですね。さらにおもしろいのは、並木さんは最近DJとしての活動も活発です。 並木:そうですね。実はDJを開始したのには理由があって、去年ぐらいから台湾とかを含めてアジア各国から、色々なオファーがくるようになったんですよ。今、とにかくアジア諸国では日本のセクシー女優への関心が高くて、音楽イベントなどの需要も増えているみたいなんです。 ーーCOOL&SEXY JAPANの女神がやってきたー!的な? 並木:実際に現地のファンの皆さんに会いに行くと、熱量がすごいんですね。で、そういう方々が口々におっしゃるのは、セクシー女優としてだけではなく、並木優としての活動をもっといろいろやって欲しい、ということなんです。それはCDなどのリリースも含めてのことだと思うんですけど、パッケージされたコンテンツ以外にも、ライブやイベントを行ってほしいということみたいです。 ーーなるほど。今、日本のアイドルグループがさかんにアジア各国でイベントやライブをやっていますけど、その流れですかね。 並木:それで、とにかく「自分の好きなことをやっていい」と言われているので、それなら大好きな音楽でいろいろやってみようと。 ーー並木さんのクリエイター魂に火が! 並木:ビデオのお仕事ももちろん楽しいし、そこを洗練させていくのもやりがいがあるけれど、やっぱり求められる事の幅は限られてくるじゃないですか。自由度が低いというか。 ーー今のアダルト業界は、営業&制作含めて大勢の企画会議で内容を決めて、そこからいかにはみださないようにするか、という作り方になっている面はありますね。 並木:でも、アジア系のオファーだと自分で一から考えて活動できる。それがめんどくさいっていう人もいるかもしれませんが、わたしはすごく楽しいですね。今はDJで大好きなアニソンをかけまくっているんですけど、今後は自分の曲をフロアー向けにリミックスしてかけたいと思っています。 ーーああ、中田ヤスタカ氏みたいなトラックメイカーDJ的に? 並木:「クラブでの鳴り方」を意識して音作りをするのに、今はハマっている感じですね。
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クラブに行くと「ずっとスピーカーの前にいる」という彼女。

ーーどうりで最近、並木さんのTweetにクラブミュージック制作に関するつぶやきが多いと思いました。セクシー女優さんのTweetで「サイドチェインコンプ」っていうフレーズ、初めて見ましたよ(笑)。クラブを意識するようになって制作のスタイルは変わりましたか? 並木:今までは唄メロから作曲することが多かったんですけど、DJをやるようになってからトラックから作る事が増えました。自分なりにミキシングとかも追求しています。 ーーそんなセクシー女優さん、世界中見渡しても並木さんだけですよ! でも並木さんが作ったそういうフロアー向けのトラックって、アジアのクラブでしか聴けないわけですよね。Sound Cloudとかでアップしないんですか? 並木:あっそうか! 実は、VOCALOIDを使ったボカロ曲もいっぱい作っているんですよ。 ーー完全にボカロP状態じゃないですか! それサンクラも含めてニコ動とかになんでアップしないんですか 並木:(マネージャーを見て)やってもいいですかね? マネージャー:おまかせします(笑)。 ーー是非やってください! それ聴きたい人いっぱいいると思います。では最後に、今後の音楽活動についてはどんな方向性を目指していますか。 並木:実はわたし、音楽に関しては裏方的な立ち位置が一番楽しいんです。歌うことに関してはコンプレックスがあって。 ーーえ!?  ボーカリストとしての並木さんも最高じゃないですか? 並木:もともと地声が低いので高音がなかなか出ないんですよね。中高校生の頃は浜崎あゆみさんが全盛期だったんですが、キーが高すぎて歌えなかった。だからこそというか、自分が作る曲は音域をあえて広くして、ファルセットで歌うようなハイトーンを含んだメロディを作ってしまうんです。ファルセットで頑張って高いキーを使うというか。高音が出る人がうらやましくて。ほしのあすかサンに提供させてもらった「カシオペア」でも自分の曲でもその理想に近づこうとすると自然にそういうメロディーになるんですよね、コンプレックスの裏返しで。 ーーリベンジ的な意味合いでのあのメロディーだと(笑)。 並木:あぁ……確かに! 今でも初音ミクちゃんみたいな声になりたいって、日々思っています(笑)。でも、そうはなれないので、ボカロとかで曲を作るのが楽しいんですよね。音楽に関しては自分の理想があって、そこへたどり着くにはどうすれば良いのかを考えるのが好きだし、その作業をしてるのは楽しいんです。いつも音楽のおかげで頑張れるっていう感覚がありますね。
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 昨年DAFT PUNKが Random Access Memoriesでオマージュを捧げた70〜80年代のヴィンテージディスコ期の名曲に「Last Night a D.J. Saved My Life」という楽曲がある。音楽はもちろん一瞬の享楽を与えてくれて自分自身を忘れさせてくれる「娯楽」でもあるが、同時にその音と言葉で聴く者を「救って」くれるものでもある。  ビデオ作品上での「セクシーでイケてるお姉様」といったキャラクターとは全く異なり、慎重に言葉を選びながら、音楽に対しての深い愛情を語ってくれた彼女。その姿はミューズとエロスがクロスオーバーした、新しいセクシー女優のあり方を体現しているように思えてならない。 (取材・写真・文=ターボ向後) 『並木優のヒミツ日記』 並木優Twitter KORGホームページ

W杯開幕直前! 各種公式ソングや応援歌を比較してみた

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ピットブル『We Are One (Ole Ola): The 2014 FIFA World Cup Official Song』

【リアルサウンドより】  間もなく開幕する「2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会」。4年に一度のサッカーの祭典に向け、日夜関連ニュースが巷を席巻しているが、その盛り上がりは音楽界にも波及している。続々とリリースされる応援歌やテーマソングは後を絶たず、中にはミュージシャンらが非公式でリリースする楽曲もあるほど。そこで今回は、現在リリースされているものの中から注目の楽曲をピックアップして紹介していきたいと思う。  まずは、FIFAから公式認定を受けた今大会のテーマソング、『We Are One (Ole Ola)』から。手がけたのはクラブ・シーンで話題のラッパー、ピットブル。ジェニファー・ロペスとブラジルのシンガー、クラウディア・レイチをフィーチャーした楽曲は、ラテンビート全開の仕上がり。“お祭り男”の異名をとるピットブルらしいアガる1曲となっている。しかし、これに異を唱えたのがブラジルの英雄でありサッカーの神様ペレ。氏はこの曲が気に入らず、オリジナルの楽曲を制作中とのことだが、果たして……?

『We Are One (Ole Ola)』

 もうひとつ、公式認定を受けているのが全世界でブレイク中のイケメンDJアヴィーチーと、“泣きのギター”でおなじみカルロス・サンタナという異色のコラボが実現した『Dar um Jeito (We Will Find A Way)』。こちらは名義上オフィシャル・アンセムという立ち位置となっており、7月13日の閉会式で実際にパフォーマンスされることも決定している。しかし、このオフィシャル・アンセム、先の公式ソングより実際に耳にする機会はかなり少ない模様。前回の2010年大会でも公式ソングだったシャキーラ feat. Freshlyground 『WAKA WAKA (THIS TIME FOR AFRICA』に比べて、ソマリア出身アーティスト、ケイナーン『Wavin' Flag』はそれほど耳にしなかったという人も多いのではないだろうか。EDMサウンド全盛の今、こちらのアヴィーチー版のほうがシーン受けしそうな印象も受ける。

『Dar um Jeito (We Will Find A Way)』

 公式と言えば、FIFAと長くパートナーシップ関係にある、コカ・コーラ社がこの時期CM用に起用する楽曲も公式アンセムの名で呼ばれている。今年選ばれたのはブラジル出身アーティスト、デヴィッド・コーリーが歌う『The World is Ours』。この曲を原曲に、各国のアーティストがコラボし、それぞれの国のバージョンがリリースされるという。今回日本版を担当するのはナオト・インティライミ。各国バージョンを聴き比べできるという意味では、大ヒット中の映画『アナと雪の女王』の『Let It Go』と同じ楽しみ方ができる楽曲と言えるのかもしれない。  一方、日本はというと、これまた多くのW杯がらみの楽曲がリリースされている。まず話題となったのが、全64試合のうち32試合を地上波で放送するNHKのテーマソング。手がけたのは椎名林檎で、タイトルも『NIPPON』とド直球だ。また、Mr.Childrenの桜井和寿とGAKU-MCのユニット「ウカスカジー」による『勝利の笑みを 君と』にも注目が集まっている。こちらは日本代表への応援ソングということで、すでに各所でヘビロテ中。もともとサッカーが縁でユニットを組んだふたりだけに、今大会、ひいては日本代表への思い入れの強さも感じ取れる。

『勝利の笑みを 君と』

 加えて、中島美嘉と加藤ミリヤという女性歌手ふたりがコラボした『Fighter (Tachytelic World Cup Brazil 2014 Remix)』は、2014 FIFAワールドカップ公式アルバムアジア代表ソングに決定。開催期間中は日本という枠を超えてアジア全土でこの楽曲が鳴り響くかと思うと胸熱だ。  また、公式なものではないものの、自国代表へ向けた応援ソングを、ミュージシャンが独自に発表するパターンも多い。前大会では、Weezerがアメリカ代表のために『Represent! 』をリリース。イギリスでも、ラッパーのデイジー・ラスカルとTVタレント・プロデューサーのジェイムズ・コーデンによる即席ユニット、Shout for Englandの『Shout』がチャートを大いに賑わせた。これらの楽曲は、会期直後などギリギリで発表されることも多いので、今後の動向に期待が高まる。  こうしてみても、ワールドカップでは1度の大会に際し、数多くの楽曲が生み出されている。これは、オリンピック含め、ほかのスポーツでは見られないこと。サッカー及びワールドカップというお祭りがもたらす独特の状況とも言えるだろう。事実、音楽によって選手の士気があがることもあれば、応援する観客の一体化もより強まることもある。また音楽業界サイドにしても、大会の盛り上がりとともに、楽曲も広く知れ渡るのだとしたら、相当な宣伝効果となるだろう。開幕後の動きも含め、音楽面からワールドカップに注目するのも新しい楽しみ方かもしれない。 (文=板橋不死子)

乃木坂46、プリンシパル公演初日レポ 最も演技力を発揮したメンバーは?

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初日公演で見事主役のポリン姫を演じきった生田絵梨花。

【リアルサウンドより】  5月30日、乃木坂46が東京・赤坂ACTシアターで『「16人のプリンシパル」trois』の初日公演を行った。  同公演は”キャスティング参加型演劇”と呼ばれる方式で行われ、1幕、第2幕の2部で構成される。第1幕にて全キャストが立候補した役柄を勝ち取るため自己PRを行い、終了後にそれを受けて観客がキャストを対象に投票を行う。その結果として選出された10名と、選からは漏れたものの得票数の多い6人が”アンサンブル”として第2幕のコメディ『レッツゴーっ! ポリン姫』に出演。今回は脚本・演出を『勇者ヨシヒコ』シリーズや『指原の乱』などで知られる福田雄一が務め、「コントを演じることによる笑いのセンス」を競い合う趣向だ。  冒頭、『勇者ヨシヒコ』シリーズの「仏」役でお馴染みの佐藤二朗が、”ソニーのコンノ”役として説明VTRに出演。スクリーンに映し出された佐藤は次々とボケを繰り出しながら、観客への注意事項を説明した。  その後、1幕がスタート。各メンバーが『レッツゴーっ! ポリン姫』の中から役柄を決め、立候補したもの同士で即興コントを披露し合った。立候補者と配役は以下の通り。 ・ポリン姫(主役)ーー生田絵梨花、能條愛未 ・ロザリオ(ポリン姫の父・唯一の男役)ーー生駒里奈、斎藤ちはる ・クリスティーヌ(ポリン姫の母)ーー星野みなみ、深川麻衣、和田まあや ・エルザ(教育係)ーー伊藤かりん(研究生)、齋藤飛鳥、寺田蘭世(研究生)、 ・キャサリン(司令官)ーー白石麻衣、新内眞衣 ・ベル(しもべのリーダー)ーー中田花奈、樋口日奈、西野七瀬 ・マキア(天然なしもべ)ーー秋元真夏、斉藤優里、高山一実、中元日芽香、畠中清羅、堀未央奈 ・パム(病弱なしもべ)ーー桜井玲香、大和里菜、松村沙友理 ・ルイーダ(悪役)ーー衛藤美彩、川村真洋、若月佑美 ・エステル(悪役)ーー伊藤万理華、井上小百合、川後陽菜、北野日奈子、永島聖羅、松井玲奈
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左から、北野日奈子、松井玲奈、永島聖羅。第1幕のオーディションでエステル役を競い合った3人。

 今回はコントの設定を抽選で決めていたことや、3人の立候補者がぶつかり合う場面が多かったため、設定が何度も被る場面が見受けられた。同一設定が重なるほど、演技の仕方に変化が求められるため、後半のグループになればなるほど、強いキャラを作りこんで挑むメンバーの姿があった。
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2幕公演中の1シーン。左から生駒里奈、中田花奈、高山一実、西野七瀬、桜井玲香、生田絵梨花。

 昨年、一昨年と圧倒的な演技力で舞台に上がり続けた生田絵梨花は今年も健在。緊張している能條を尻目に、コントの設定にすぐさま適応した演技を見せ、見事主役の座を射止めた。公演前の会見で要注意人物として挙げた斎藤(参考:乃木坂46、プリンシパル公演でコントに挑戦 桜井玲香「室内でオナラしてもよろしいですか!?」)と初日でぶつかることになった生駒は、ハキハキと自分の役柄を演じきるものの、マイペースな演技で観客を笑わせた斎藤がロザリオ役を射止めた。    普段、『乃木坂って、どこ?』や。他のバラエティ番組などで卓越した笑いのセンスを発揮している高山、永島も今回2幕の常連になるであろう二人だ。初日公演では、高山はコント「不動産屋」で完成度の高いギャル男役を熱演し、マキア役に抜擢。同じ舞台で見ていたメンバーや客席から、この日一番の笑いが生まれていた。
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初参加の松井玲奈は、見事女戦士役を演じきった。

 また、この日は初日公演と言うこともあり、プリンシパル初参加のメンバーには若干の緊張が見られたものの、演技では奮闘していた。松井は「今回の立候補した役は女戦士です。幾多の戦を勝ち抜いてきた私にピッタリの役なので」とコント前に意気込みを語り、これまでSKE48での活動でも見せたことの無いような、コミカルな演技や変顔などを披露し、エステル役に選ばれた。その他にも伊藤かりんが初めてとは思えないハジケっぷりを見せ、アンサンブルに選出されるなど、研究生の活躍も目立った公演だった。  ほか、エルザ役には研究生二人を圧倒する演技を披露した齋藤、キャサリン役には”楽屋ノリ”で挑んだ白石、ベル役には映画『デスブログ』の主演を務める中田、パム役には大和&松村の天然コンビを冷静に対応した桜井、ルイーダ役には新境地の”ぶりっ子キャラ”を開拓した若月佑美がそれぞれ選ばれた。また、アンサンブルの6名には伊藤の他に、生駒里奈、西野七瀬、能條愛未、星野みなみ、松村沙友理が選出され、劇中ではさまざまな役柄を演じきった。  投票時にはシステムに不具合が生じ、一時現場が混乱するというアクシデントがあったが、その後の待ち時間では舞台裏の様子がスクリーンに映し出された。松井・堀・生駒の3人からは、時間が押したことによる謝罪やクロストークが繰り広げられたほか、怪我と体調不良で公演を欠席した橋本奈々未、伊藤寧々が中継に生出演。全身の肉離れ・筋断裂で公演を欠席した橋本は、松村・和田とともに中継の場に現れ、あまりに痛々しい姿のため、買い物にも行けないことや、昨日の夕食がカップラーメンと”お湯に浸したパン”であることを明かし、会場の笑いを誘うなど、精神的には元気であることをアピールし、会場の笑いを誘った。また、声帯炎により欠席した伊藤は、筆談でファンに向けて謝罪の言葉とともに早期の復活を誓い、客席からは激励の言葉が彼女に贈られた。  この後の公演もあるため2幕の詳細は語らないが、有名作品や時事ネタのパロディが数多く繰り広げられるなど、脚本には『勇者ヨシヒコ』シリーズを手掛ける福田雄一ならではの演出が随所に見られた。メンバーも恥じらいのあるネタを全力で披露しており、若月・斎藤の二人は、他メンバーの台詞が飛ぶアクシデントに対しても全力でアドリブを使いこなし、笑いに変えた姿が印象的だった。  劇場公演後にはメンバーによるミニライブがスタート。ライブは当初の予定を1時間ほどオーバーし、22時を過ぎてからスタートしたため、18才以下のメンバーを除く編成で「気づいたら片想い」「ロマンスのスタート」を披露した。2曲の間に行われたMCでは、サプライズとして『真夏の汗は気にしない!』という煽り文とともに、夏の全国ツアー開催が発表された。ツアーは大阪、福岡、宮城、愛知の4都市で開催されるほか、ファイナルの舞台として、彼女たちの単独ライブとしては最大規模の東京・明治神宮野球場での公演が決定した。この発表に桜井は「初日にこんなサプライズがあると思わなかった!」と歓喜するなど、ファンも一体となってこのサプライズを祝福。4時間半に及んだ波乱の初日公演は幕を下ろした。 (文=中村拓海)

49歳にして連続1位の自己記録更新! 「稲葉浩志を生きる」ということ

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稲葉浩志『Singing Bird(初回限定盤)(DVD付)』(バーミリオンレコード)

【リアルサウンドより】 参考:2014年05月19日~2014年05月25日のCDアルバム週間ランキング(2014年06月02日付)(ORICON STYLE)  78.196枚と77.698枚。僅か約500枚の差で『アナ雪』サントラの4週連続1位を阻止したのは稲葉浩志、約4年ぶり、5作目のオリジナルアルバム。男性ソロアーティストによる1stアルバムから5作連続のアルバム1位は、93年に氷室京介が記録して以来、21年4ヶ月ぶりとのこと。ちなみに氷室京介の記録は97年の7作目のソロアルバムまで続いたので、まだまだ先は長い。と言える一方で、93年の時点で氷室京介はまだ33歳。稲葉浩志は現在49歳。記録達成時点で16歳という大きな歳の開きがあることを考えると、稲葉浩志の記録の凄味がよくわかります。  グループ活動と並行してのソロと、バンドが解散してからのソロではもちろん意味合いが違ってきますが、それにしてもこの領域までいくと、「新たな音楽的新境地を開拓」だとか、「同時代の音楽シーンから刺激を受けて」だとか、そういう段階はとっくに通り過ぎて、「稲葉浩志をいかに生きるか」というテーマと常に向き合い続けなくてはいけないわけで。そこには、凡人には計り知れない相当なしんどさがあるはず。極度にストイックであることで知られている稲葉浩志。先日のミュージックステーションでタモリに「最近何してるの?」と訊かれて、「……散歩」と答えている姿を見て、底知れない闇の深さを感じずにはいられなかったわけですが、ちょうど昨日(5月29日)ホームページで公開された福山雅治との対談(YouTubeで見れます)でUFCへの愛を無邪気に語る姿を見て、「稲葉浩志も格闘技好きの普通の男だったんだ」と、ちょっとホッとしました。

福山雅治 × 稲葉浩志 / UFC対談

 今週のチャートで他に注目したいのは、初登場4位のマイケル・ジャクソン、初登場7位のコールドプレイ、4週目にしてまだ9位に踏みとどまっているファレル、さらに新しいタイプの洋楽コンピレーションアルバムと言える『TERACE HOUSE TUNES』に『アナ雪』サントラを加えると、実質上、トップ10の半分が洋楽だということ。  「最近の若い子は洋楽を聴かなくなった」というありがちな言説に触れるたびに自分がよく思うのは、「それって『洋楽』じゃなくて、『洋楽ロック』のことでしょ?」ということ。今週のトップ10の洋楽5枚のうち、ロックと言えるのはコールドプレイだけで、そのコールドプレイだってロックの中では極めてポップ寄りのバンド。確かに、洋楽ロックは以前ほど聴かれなくなったし、日本の若いバンドには洋楽ロックからの影響を感じさせないバンドが増えてきた。でも、『TERACE HOUSE TUNES』におけるマニアックな洋楽曲の受容のされ方とか、ファレルの売れ方とかを見てると、そのファッション性において若者を引きつける洋楽の魅力というのは、昔も今も、それほど変わりはないと思うのです。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

ORANGE RANGEからdelofamiliaまで…変化し続けるコンポーザー=NAOTOの実力とは?

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delofamilia『Carry on Your Youth [国内盤CD]』(SUPER ((ECHO)) LABEL)

【リアルサウンドより】  ORANGE RANGEのリーダーでほとんどの曲の作曲やアレンジを手がけるギタリストNAOTOこと廣山直人と、メジャーから独立し独自の音楽を追求するシンガーソングライターのRie fuによるユニットdelofamiliaが6月11日にアルバム『Carry on Your Youth』をリリースする。元々NAOTOのソロ活動として2007年にスタートしたdelofamilia。昨年3月にリリースされた前作『archeologic』以来、通算5枚目のアルバムとなる本作には元HIGH and MIGHTY COLORのmACKAzやSASSYも参加。インスト2曲を含むバラエティ豊かな作品に仕上がっている。

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 シングル9作連続でオリコン1位を獲得。2004年にリリースしたセカンドアルバム『musiQ』では累計265万枚以上を売り上げ、日本ゴールドディスク大賞でアーティストオブザイヤーを獲得するなど2000年代のJ-POPを代表するバンドのひとつであるORANGE RANGE。その屋台骨を支えるNAOTOが音楽人としてのキャリアを歩むきっかけとなったのは電気グルーヴとの出会い。シンセから発せられる変幻自在のサウンドに魅了され、その後はYMOやハウスミュージックにのめり込んでいったという。そのため現在でも曲作りはギターではなくシンセが中心。プライベートスタジオで曲を作ったりミックス作業をするのが好きで「今でも机に座って延々と作業したりマイクを立てている時間の方が圧倒的に多い」という。ORANGE RANGEといえばキャッチーなバンドサウンドが印象的だが、2010年には全編ほぼ打ち込みで制作されたアルバム『orcd』もリリースしている。  好きなモノは何でも取り入れ、自己流に仕上げるまるで「おもちゃ箱」のような作風。他の類を見ないNAOTOの音楽性は以前からミュージシャンや音楽関係者の間でも評価が高い。事実、SCANDALHOME MADE 家族、でんぱ組.incなど人気ミュージシャンに楽曲提供やプロデュースを行っていることが何よりの証明だろう。元ストーン・ローゼスのシンガー、イアン・ブラウンはロンドンで行われた自身のソロツアーにNAOTOを招き入れ「今夜はスペシャル・ゲストを呼んでいるんだ。はるばる東京から、日本一の音楽スター、ナオトだよ」と紹介し共演も果たしている。ORANGE RANGEはあくまで「歌が中心」と公言し、バンドでの響きや組み立てを重視している彼だが、ソロ・プロジェクトとして始まったDelofamiliaでは才気煥発。これまでリリースされた4枚のアルバムでも何が飛び出すか分からないその「変態性」を遺憾なく発揮してきた。本作でもそれは変わらず、さらに進化したNAOTO流ポップミュージックを堪能できるだろう。  Delofamiliaはアルバム『Carry on Your Youth』のリリースに合わせ6月から7月にかけ全国5カ所で行われるトリオ編成でのプライベイトなツアー、そして9月に東名阪3カ所で行われるフル・バンド編成のツアーが決定している。NAOTOの「いま」を生で観ることのできるチャンス、ファンはこちらもぜひチェックしておこう。 (文=北濱信哉)

細野晴臣が語る“音楽の鉱脈”の探し方「大きな文化の固まりが地下に埋もれている」

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【リアルサウンドより】  はっぴいえんど、YMOなどで活躍した日本を代表するミュージシャンであり、今もなお第一線で作品を発表し続ける細野晴臣。彼がLA、ハワイからロンドン、パリ、東京まで、世界各地の土地柄と音楽について語り尽くした書籍『HOSONO百景』(河出書房新社)が評判を呼んでいる。雑誌『TRANSIT』人気連載を元にした同書は、氏の旅行記の体裁を取りつつ、随所で音楽に関する深い考察が披露されており、音楽ファンにとっても必読の一冊といえる。今回、リアルサウンドでは同書の刊行を期にインタビューが実現。聞き手に音楽評論家の小野島大氏を迎え、現在の音楽観や、ルーツに対する考え方を中心にじっくりと話を聞いた。(編集部)

「知れば知るほど、自由が効かなくなるっていうのはある」

――非常に楽しく拝読させていただきました。興味深い記述はいくつもあったんですが、まずニュー・オリンズの音楽の話のところで(「ニュー・オリンズの”ガンボ”に誘われて」144P)、ニュー・オリンズの音楽に惹かれたのならニュー・オリンズ詣でしようと思わなかったのか、と問われて「レコードがすべてを与えてくれるから。何かと何かが交じり合ったところにいつもおもしろい音楽ができる。それはある特定の場所ではなく、音楽家の頭の中でごった煮になるんだ。だから、どこへ行って録音しようとかは全然思わない」と答えられているくだりです。非常に印象的なご発言であると同時に、細野さんの音楽家としての基本的なスタンスを表していると思いました。 細野:あのね、自分の好きな音楽って漠然と聴いてたんですけど、聴いていくうちに、やはり混じりあった音楽がとても面白く聴こえるんです。それはいろんな混じり方があって、西と東だったり、時間軸でも混じりあってるし。過去と未来とか。あるいは人種間だったりね。もちろんそれも文化ですけど。で、自分自身も、音楽に限らず、混沌として混じりあったものが好きなんだってことが、だんだんわかってきたんですね。たとえば、東京で言えば下町の商店街の混沌とした感じとか。阿佐ヶ谷の街の作り具合とかね。そういうのを整理しちゃってる港区がほんとうに面白くないな、と。港区に住んでますけど(笑)。綺麗になりすぎてて。歩いてて楽しいのはビルの下じゃない。そのまま入っていけるような小さな商店が並んでいる道が面白いんで。ビルばっかりになっちゃったのが、あまり好きじゃない。そういう混沌としたところが好きなんですね。
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細野 晴臣 (著)中矢 俊一郎 (編集)『HOSONO百景』(河出書房新社)

――その土地のことは現地に行かないとわからない、というのが一般的な考えなのかもしれませんが、細野さんは、現地に行かなくても、音楽家が自分の頭の中でイマジネーションを働かせることで、ミクスチャーされた音楽ができるんだというお考えですね。 細野:そうですね。そうやって作ってきましたから。たとえば『トロピカル・ダンディー』(1975年)ってアルバムを作ったのは六畳一間の…一間じゃないか。二間ぐらいあったかな(笑)…アパートですよ。エアコンもない。夏になると熱帯夜に襲われる部屋で「熱帯夜」って曲を作ったりね。 それでイマジネーションが湧いてくるわけですよ。実際に見るとイマジネーション湧かないですから。固定されちゃうんで。自由にならなくなっちゃう。知れば知るほど、自由が効かなくなるっていうのはあるんですね。 ――なるほど。しかしそうは言っても、この本にもある通り、世界中いろいろな場所を訪ね歩いておられるわけです。事前に思い描いていたイメージと、実際に見聞きするもののギャップを感じることもおありになる。 細野:うん、だいたい行くときはね、あまり音楽的なことは考えないで行くんです。さっき言ったように、街を歩いて楽しいかどうかが僕の基準。だからヨーロッパの都市は面白いですよね。なんかこう…想像以上でも以下でもない。ここに僕は住めるなっていう等身大の感覚があって、唯一例外がインドですかね。インドは…僕にはとても巨大なエキゾティシズムの固まりの国だったんですけど、そこに行っちゃうと、呑まれちゃうぞと。本体のエネルギーにね。楽しめないんじゃないかと、行くなら最後だろうと思ってたんですけど、早々に行っちゃいましたね、横尾(忠則)さんに誘われて。(1978年。本書184ページ) ――インドは合う人と合わない人がはっきりしてるって言いますよね。 細野:横尾さんや三島由紀夫がそんなことを言ってたんですけど。で、誘われるままに行って、病気になっちゃって。 ――そのエピソードも本に登場しますね。この本の冒頭で「本当は地球上で誰も訪れたことがない場所に行ってみたいんだ。でも、そこは必ずしも辺境の地とは限らなくて、都会にも人を寄せ付けない場所がある」(19P)と述べられてますね。これはすごく至言だと思ったんですが、音楽への接し方にしても、誰も知らない辺境の音楽だけではなく、人が見過ごしがちな、たとえば過去の音楽とか、そういうものを見つけ出してくるのも、ひとつの新しいものとの出会いに繋がるのかなと。 細野:うん、うん。最近特にそうですね。まだまだ知らない音楽がいっぱいある。なんかこう…鉱脈っていうのがあって。昔の森が埋没して地下に埋まっているような。それを掘るとエネルギーが出てくるわけですけど、それに近いことですね。音楽の鉱脈が埋もれている。それはひとつやふたつじゃなくて、大きな文化の固まりが地下に埋もれている。 ――文化の固まり。 細野:ええ。50’sとか。20世紀のど真ん中の時代の文化っていうのが、すごいなと、今思うんですよ。エネルギーがね。うるさいぐらい騒々しかったので、一時期僕は苦手だったんですけどね。今はそれが貴重なエネルギーに思えてね。 ――本書でも、50年代から60年代初頭までの――とは、ビートルズ登場までの、ということだと思うんですが――ポピュラー・ソングは、印象が変わらず飽きないと。そして特に50年代の歌詞は特殊で「世界を信じていた時代のものだった」と語られているのが印象的でした(50P)。やはりそのあたりを境にポピュラー音楽の質が変わっていったとお考えですか。 細野:うん、その頃は毎年劇的に変わっていったんですけどね(笑)。 ――特にロックに関しては60年代後半以降、「悩みながら聴くもの」というものになっていきましたね。 細野:うん、そういう時代も経験してますね。ヒッピー・カルチャーが出てきてサイケデリックが出てきて。踊らせない音楽っていうのが出てきたんですね。それまではたぶん踊ってたんですね。 ――ロックはそもそもダンス・ミュージックだった。 細野:ええ。それが座って聴く音楽になった。それを日本ではアート・ロックと言ってたりね。そんな時代を20代の前半で経験してますから。それに影響されてそういうバンドを作ったりしてましたからね。はっぴいえんどもそうですし。

「1940年代の音楽は洗練されていて、今の僕にも真似ができない」

――それが今になって、それ以前の音楽に惹かれるようになった。 細野:うんうん。まったく知らない音楽じゃなくて、とてもわかりやすい、知ってる音楽。聴いたことないけど、構造がほかと同じだし。サウンドも似てるし。でも知らない未知の部分が入ってる…という音楽が面白くてね。それを最近またライヴでやりだしたりしてるんですけど…。40年代の音楽について言うと、それは本当に知らない音楽だったんです。日本とアメリカが戦争をしてたんで、日本には一切入ってこなかった。そういう音楽を20年ぐらい前に聴きだして。こんなに面白い音楽があったんだって発見があった。 ――何が面白かったんですか。 細野:洗練されてますね。30年代っていうのは非常にプリミティヴな音楽がいっぱい生まれた時代だったんです。ラグタイムとかブギとか、あるいはブルースとか、ジャズの初期のころとか。それが40年代に録音技術が、たぶん軍事技術から転用していったようなハイファイ技術とかね。そういう録音技術が向上したんですね。だから音が良くなったんです。音が良くなったし、演奏者のテクニックがモロに出てくるようなレコーディングになってきて。歌手もほんとにうまい人が出てきたわけですね。クルーナーっていう、マイクを使って歌う唱法ですね。シャウトしない。マイクがあるからこそできる。静かに歌う。そんな時代が40年代に始まって。洗練の度合いがかなり飛躍的に高まったんです。それは今の僕にも真似ができない。 ――今となっては機材も揃わないし、録音技術も含め作り方もわからない、だから同じ音が出せない、ということですか。 細野:そういうことです。もちろんその時代の生活とか空気とか、そういうことも再現できないわけで。その中にさっき話に出た、歌詞の話もあるし。 ――細野さんぐらいになると、だいたい巷に流れてる音楽がどうやって作られたか、構造まで一発でわかってしまうんじゃないかと思うんですけど(笑)。 細野:それはね、70年代以降ですね(笑)。途切れてるんですよ。ビートルズが変えちゃったということもあるんでしょうけど。専門的になっちゃいますけど、マルチ・レコーディングといって、音を一個一個録っていく時代になったんですね。トラックがいっぱいあって、16とか24とか。バラバラに録っていける時代になって、そこから音が変わっちゃったんですよ。僕たちはそういう時代に音楽をやり始めたんで、それが当然だと思ってやってたんですけど、今思えば、特殊な時代なんですね。今はマルチ・トラックって概念が崩壊してますから。ていうのは、デジタル・レコーダーで、好きなだけ録れるし、一発でも録れるし、どうにでもできるって時代になった。なんでもありになっちゃったんですね。 ――トラックの制限がないし。 細野:ないし。逆にトラックのことを考えなくなっちゃったんですね。ある種、マルチ・トラックの時代が終わったと思うんですよ。だからこそ過去の音に惹かれて、これどうやって録ったんだろうなって好奇心が出てくるわけですね、今は。 ――それはさきほどの、見過ごされているものにこそ価値がある、というお考えにも通じますね。 細野:そうですね。みんな、そこに興味持ってる人が少ないんで(笑)。少なくとも自分は持ってるんだから、やんなきゃなと(笑)思うわけですね。 ――「ポップスの真髄は常に新鮮な驚きがなきゃいけない」と述べられてますね(51P)。 細野:あのね、8割方は新しくないんですよ。僕が中学校の頃に聴いてたヒット曲はアメリカ製が多いんですけど、8割方は、勝手知ったるパターンなんです。でも2割ぐらい、プラスアルファの未知の領域があって、これなんだろうって思わせるんです。それがね、子供を興奮に掻き立てる(笑)。頭で考えるより先にカラダが反応しちゃうんですね。ゾクゾクっとくるわけですよ。それがヒットの要因なんですね、実は。 ――8割はよく知ってるものだけど、2割だけ新しいものが入っている。 細野:数字に特に意味はないけど、まあそういうことです。それがポップ・ミュージックの醍醐味なんですね。だからみんながまったく知らない音楽はダメなんです(笑)。 ――まったく知らないのもダメだし、全部わかっちゃうのも面白くない。 細野:うん。今でいう「予定調和」とか言われるようなことになるんですよね。そういうものはやっぱり退屈なんです。その点、今の人たちは違う聴き方をしているような気がするね。 歌詞で反応したり。「共感」っていうことで聴いてるような気がしますね。 ――それは私も感じるところですが、そういう傾向はいつごろから顕著になったんでしょうか。 細野:うーん…いつからだろう? 70年代のころからそういう兆候はありましたね。はっぴいえんどをやってるころは、ほんとうに次から次へと、さっき言ったような新しいものが出てきて。これどうやって作ったんだろう、みたいなことばかりですけど。そういうものが西海岸あたりからいっぱい出てきてね。それに強く影響されてやってきたんですけど。はっぴいえんどが終わったあとぐらいから、なんかこう…変わってきた。それを変えたのはイーグルズかな。『ホテル・カリフォルニア』あたりから。 ――それはどういう意味でですか。 細野:うーん、新しくないな、ってことですね(笑)。完成度が高くて、綺麗で。わかりやすくて。その分、さっきの「2割」がないっていうか。 ――マルチトラック・レコーディングの技術の粋を尽くした音作りという印象ですね。 細野:そうそう。洗練の極みですね。 ――音楽のマジックというか、そういうものが、マルチトラックによってクリアになってしまった分、なくなってしまったと。 細野:ないですね。そこから先、ずっとないですね。うん。 ――あ、ずっとないですか? 細野:まああの…「主流」はね。ふふふふ。

「僕はどっちかというと不況に強い音楽です(笑)」

――逆に言えば、細野さんのリスナーとしての人生は、そこから隠れた薄暗がりというか、残りの2割の見えない謎を探す旅でもあったと。 細野:ええ。実はそういう音楽やってる人も聴いてる人もいっぱいいてね。世界中に。表にはあまり出てこないだけなんですね。主流じゃないから。メディアに乗れない音楽っていうのがあるわけで。そこがやっぱり「宝物」の山なんですね。昔はそうじゃなかったんですよ。単純だったんです。そういうものがヒットしてたから。ヒットしない曲はやっぱりつまんなかったんですね。フックがないんです。さっき言った「2割」っていうのはフックってことでしょうね。鈎っていうかひっかけというか。高尚なことではなくてフィジカルなことだし、下世話なことかもしれないんですけど、そのフックっていうのが大事なんですね。最近そのフックが変わってきたんです。言葉だったり、歌手のキャラクターだったり。うん…最近の音楽のことは僕はわかんないんで語れないや(笑)。 ――昔の音楽に興味を持つことは決して懐古趣味ではない、と。細野さんも「江戸時代にタイムスリップしてみたいという気持ちは誰にでもあるけど、それは決して懐古趣味じゃない」とも仰ってますね(24P)。確かに江戸時代をリアリタイムで知ってる人なんて誰もいないんだから、ノスタルジーにはなりようがないし、むしろ新鮮ですらある。 細野:若い人がそういうのに憧れるのは…楽な生活っていうのか、楽しく、楽な生活を求めてるからだと思う。たとえば職人たちがいっぱいいて、月に何日しか働かないで、あとは遊んでるとかね。そこの根底にあるのは、お金がなくても幸せになれるんじゃないかっていう願いがあると思うんですよね。バブル崩壊以降の世代ですから。そういうことが身についてる世代だと思うんですよ。これからの時代も、決して豊かな未来像はないわけでね。そういうことに対する免疫っていうのかな、もっといい生活、スタイル、あるいは文化のあり方があるんじゃないかなってことじゃないかな。 ――経済状況と文化状況は実は密接に繋がっていて、たとえばワールド・ミュージックのブームはバブル経済の隆盛と無関係ではなかったし、そのいっぽうで、特にイギリスなどは経済状況が悪くなって、政府が抑圧的になればなるほど面白い音楽が出てくるという現実もある。 細野:両方ありますよね。 ――細野さんは、今はどういう時代だとお考えですか。 細野:うーん、どっちもないなあ(笑)。狭間っていうか。停滞感があるなあ…ええとね、今世紀初頭にエレクトロニカという音楽のスタイルのブームがあって、その中心にいたのがアイスランドなんですね。北にいくほど面白い音楽があったっていう印象だったんです。最初はわかんなかったんだけど、当時アイスランドはバブルだったんですね。それが破綻して以降、面白いものが出てこなくなっちゃった。すごく関係があると思いますね。自分にはバブルは無縁なんですけど…うーん、どうなんだろ。YMOっていつやってたんだろうな(笑)。バブル関係あるの? ――86年~87年ぐらいからバブルは始まったとされてますから、YMOはその前ですね(YMOの散開は83年)。 細野:そう、バブルの登場と共に消えたんですよ(笑)。だから僕はどっちかというと不況に強い音楽です(笑)。たとえば3.11の年ね。その時CDの新譜が出ちゃったんですよ(4月。『HoSoNoVa』)。自分としてはそんな時に出すつもりなかったんだけど、予定通り出ちゃったんですね。特殊な時にCD出しちゃったんで、その印象がすごい強くて。でもそういう時にできる音楽ってあるかもしれないなって、うすうす感じたことはあったんです。 ――というと? 細野:僕は3.11の時にCDが出ちゃったというのが、すごく負い目だったんですね。 ――負い目ですか。 細野:こんな時にどうやって聴かれるんだろうって。ていうのは、自分でも音楽聴きたくないし…演奏する人たちもみんなキャンセルしたりライヴがなくなったりとか、ちょっと消沈しちゃったんですね。でも出ちゃったんで。それで、聴いてる人もいて、あとでみんなに「助けられた」って言われたんで、出してよかったんだと思ったことがあった。逆に、あれから3年たった今の時代に出すのが難しいっていうかね。

「ノリが伝染していくのがポップ・ミュージック」

――ああ、なるほど。 細野:ええ。だから…非常時に強いミュージシャンですね、僕は(笑)。考えてみると、アメリカで大恐慌っていうのが1930年前後に起こりますよね(1929年にウォール街大暴落)。その頃の音楽が豊かなんですよ。ガーシュインが名曲をいっぱい書いたり、アーヴィング・バーリンもいて。名曲が出揃ったんですね。そういう時に人々は音楽に何かを求めたんでしょうね。癒やしをね。現実逃避なのかわかんないけど。でもバブルの時は商業主義的な音楽が豊かになるし、捨てたもんじゃない。アイスランドの音楽は素晴らしかったですからね。ふだん出てこられないものが出られる時代がバブルで。それはそれで素晴らしいなと思いますね。不況の時はもっとこう…本質的なものが出ざるをえないというか。ガーシュインみたいな人がね。そういう風にはなりたいと思うんですけど。 ――今はどういう音楽が求められているとお感じですか。 細野:求められてるとは思わないんですね。自分で勝手にやってるだけで。若い人は若い人たちの音楽聴いてるからそれでいいじゃん、と思いますよね。で、僕の世代はみんなポール・マッカートニーを見に行く(取材は5月15日)、それでいいじゃん、と思いますね。僕は何をやってるかっていうと、周りのミュージシャンに何かを伝えたいから、演奏をやってる。かっての40年代50年代のノリを…自分の中にもあるノリを、表現して、ミュージシャンに伝えたいっていう。いわばプレイヤーですね。それまで僕はかなり脳みそで音楽を作っていて、ひとりでここ(白金のオフィス)で、コラージュしたり電子的に作ってたんですけど、今は身体感覚で伝えていかないと残らないんです。ノリっていうんですかね、ほんとにずーっとやってないと伝わっていかない。それをやってるんです。 ――そういえば最近カヴァー曲を歌われるケースが非常に増えてますよね。 細野:そう、それもそうなんです。 ――何か関係してますか。 細野:ええ。自分で作るよりもそっちのほうが大事なんですね。 ――「自己表現」よりも「伝える」こと。 細野:うん。…ちょっとまじめに聞こえるけど…ノリが伝染していくっていうか。それがポップ・ミュージックなんで。自分もそういうとこに生きて育ってきたから。 ――以前キース・リチャーズが、自分たちの役目は先人から伝統を受け継いで後輩に渡していくことなんだと言ってました。 細野:長くやってる人はみんなそこに気がつくんですね。自分はその中の「繋ぐ存在」に過ぎない…っていうか。そこにプラスαを付け加えていくっていう、ね。 ――それに気づいたのはいつごろなんですか。 細野:うーん…60歳前後ですね(現在、細野氏は66歳)。歳とってから。ははははっ。 ――じゃあそこに気づくまでは、伝えるというよりは、自分がオリジンになってやろうという。 細野:うん、それも強いですよね。曲作らなきゃ!とかね。ソロ・アルバムっていうリクエストがあるわけで。するとやっぱり全曲オリジナルを求められてるんですよね。カヴァー入れるといやがられる(笑)。めんどくさいですからね。版権とか。 ――ああ、著作権の処理がめんどくさいと(笑)。 細野:ええ。大変なんですこれが(笑)。 (後編に続く) (取材・文=小野島 大)
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細野 晴臣 (著)中矢 俊一郎 (編集)『HOSONO百景』(河出書房新社)

■リリース情報 『HOSONO百景』(河出書房新社) 発売:3月25日 価格:1,836円