解散直前のBiS、音楽シーンに与えた影響は? その型破りな活動を振り返る

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BiS『うりゃおい!!! (CD2枚組+DVD) (DELUXE盤)』(avex trax)

【リアルサウンドより】  アイドルグループのBiSが7月8日、横浜アリーナにて解散ライブ『BiSなりの武道館』を開催する。  BiSはこれまで、2011年7月に全裸でダッシュするMVを公開したのを始め、メンバー間の不仲騒動さえもコンテンツにしたり、スクール水着姿で客席にダイブしたりと、アイドルらしからぬ活動で注目を集めてきた。また、世界的ノイズバンドである非常階段とのコラボを展開、さらにはファッションデザイナー・コシノジュンコを加入させるなど、予測不可能な企画の数々は、アイドルシーンだけではなく、音楽シーン全体にも大きな衝撃を与えた。  BiSの映像コンテンツに携わる、スペースシャワーTVの映像プロデューサー・高根順次氏は、その活動は従来のアイドルファンのみならず、多くの音楽ファンの耳目を集めたと語る。 「BiSの活動は、まず面白い企画ありきで展開しており、メンバー自身も参加してそれをどう作り上げるかという点にポイントがありました。たとえば『バックステージ・アイドル・ストーリー』という下ネタのアニメなどは、以前のアイドルならばやらなかったことでしょう。普通ならやっちゃいけない企画を面白く表現できるのが、彼女たちのすごさなんですよね。そうやってことごとく従来のアイドル像を破壊すると共に、新しいアイドル像を提示してきた。言い方を変えると、彼女たちの存在がアイドルシーンに対してのある種の批評として機能してきたのではないでしょうか。そういう姿勢は従来のアイドルファン以外も魅了していて、途中からはライブ現場でパンク系のファンなどを見かけることも増えました」  実際、BiSが約一ヶ月前から行っている『日本エヴィゾリ化計画』という、代表曲「nerve」のダンス動画募集企画には、東京女子流やEspeciaといったアイドルグループだけではなく、サイプレス上野や忘れらんねぇよ、vampillia、大森靖子といった幅広いジャンルのミュージシャンが参加し、大きな盛り上がりを見せている。

大森靖子 / nerve "日本エヴィゾリ化計画"

サイプレス上野 / nerve "日本エヴィゾリ化計画"

ピエール中野(凛として時雨) / nerve "日本エヴィゾリ化計画"

 「nerve」という楽曲そのものには、アイドルソングとしての普遍性があると高根氏。従来のアイドル像を破壊してきた彼女たちのレパートリーの中で、「nerve」は最もアイドル的な魅力にあふれた楽曲であるという見方だ。 「『nerve』はいつの間にか代表曲になっていたという印象で、それは曲自体がやはり良かったからなんだと思います。メロディーも良いですし、歌詞も面白い。女の子が男の子を誘うんだけど、男の子がついてこないという内容で、松田聖子の『赤いスイートピー』を連想させます。そういう意味で、アイドルソングとして非常に普遍性がある楽曲でもあった。また、曲中にはファンの方と人差し指で触れ合うパフォーマンスがあって、それも人気の要因になっているのかと思います」  今月2日には、横浜アリーナ公演のチケットが約1万枚あまっているとのことで、新宿ステーションスクエアでフリーライブイベント「最後のお願い」を行ったBiS。以前、BiSのマネージャーであるジュンジュンこと渡辺淳之介氏は、当サイトの取材に対し、「横浜アリーナに関しては、多くのファンが応援してくれていると思いますが、実際に埋まるとは考えていないと思います。以前に国技館でライブをやったときも、2階は全部空席でした。でも、今度の横浜アリーナは頑張って客席を埋めたいと思います」と語っていたが、果たして実際にどれくらいの人数が集まるのか。BiSが最後に驚くべき結果を残すことを期待したい。 (文=編集部)

音楽シーンとタトゥー文化はどう関わってきたか 専門家に聞いてみた

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『KING OF TATTOO2014』公式ホームページ。

【リアルサウンドより】  現在、海外はもちろん、日本でもタトゥーを入れているミュージシャンは少なくない。彼らの影響もあり、ファッションの一部として気軽にタトゥーを入れる一般人も増えた。音楽シーンではもはや当たり前のように浸透しているタトゥー文化は、どのように音楽文化と関わりを持ってきたのか。  東京高円寺にあるタトゥーショップTOKYO HARD CORE TATTOOのオーナーKATSUTA氏協力の元、近年の音楽シーンとタトゥーの関係について、取材と調査をした。

タトゥーを入れ始めたミュージシャンたち

 刺青文化の歴史は紀元前にも遡り、日本にもまた長い歴史があるが、本稿ではロック以降のポップミュージックとの関わりについて記したい。  ロックシーンの中でタトゥー文化が盛り上がりを見せたのは、ロックが世界的に普及した1960年代頃から。イギリスのヘヴィメタルミュージシャン、オジー・オズボーンは1960年代半ば、17歳頃に微罪により逮捕され収監された際に、刑務所内にて小さなニコちゃんマークのタトゥーを入れ、それをきっかけに多数のタトゥーを入れ始めている。また、イギリスのサイケデリックロックバンド、ホークウインドのデイヴ・ブロックや、アメリカのロックバンド、オールマン・ブラザーズ・バンドのグレッグ・オールマンなども1969年〜1970年に入れている。また、女性ではジャニス・ジョプリンが早くからタトゥーを入れていた。彼女は1970年に27歳で亡くなっているので、やはり60年代に入れたようだ。  一方、日本では70年代後半から80年代にかけてタトゥーを入れるミュージシャンが増加し始めた。有名ミュージシャンではARBのドラムのキースが70年代後半から80年頃に入れている。その後、アンダーグラウンドシーンでGAUZEのドラムだったヒロがイギリスで入れて来たのを初め、LIP CREAMのジャジャが横須賀で入れるなど、ハードコアパンクシーンにタトゥー文化が広まった。ロカビリーバンドのブラックキャッツもこの頃にエド・ハーディーに入れてもらっている。KATSUTA氏もこの頃ハワイで最初のタトゥーを入れている。  女性では80年代に原宿にあるショップ「ピンクドラゴン」の社長がエド・ハーディー(セイラ・ジェリーの弟子で、多くの海外ミュージシャンにタトゥーを入れている有名タトゥーアーティスト)を呼んだ際に、アン・ルイスがタトゥーを入れている。  KATSUTA氏によると、当時はまだ西洋風のタトゥーをやっているショップが横須賀に一件あっただけなので、ほとんどの場合は和彫の彫師にドクロなどのワンポイントのデザインを持ち込み「こんなもの彫れるか!」と怒られながらも、なんとか入れてもらっていたそうだ。それ以外だと、海外で入れてくるしか方法が無かったとのこと。その後、西洋のタトゥーと日本の刺青が融合し始め、独自の手法が生み出されていった。  現在の海外の女性ミュージシャンでは、レディー・ガガやアヴリル・ラヴィーンといったポップスターがタトゥーを入れている。彼女たちのように影響力の強いミュージシャンがタトゥーを入れていることで、最近は一般の若い女性がファッションの一部としてタトゥーを入れるケースも見受けられる。そういった場合、耳の後ろや耳たぶ、手首等の見える場所にアクセサリー感覚で入れることが多いようだ。

タトゥーのデザインと音楽ジャンル

 タトゥーのデザインには現在、アメリカントラディショナル、ジャパニーズトラディショナル、ブラック&グレイ、トライバルなど様々なタイプがあり、一概には言えないが、音楽のジャンルによって好む絵柄が別れる傾向がある。ロカビリー系のミュージシャンはアメリカントラディショナルを好み、50年代スタイルの絵柄が多くみられる。  メタル系ミュージシャンはトライバルやブラック&グレイなどが多く好まれ、ヒップホップになるとL.Aスタイルと言われるメキシカンギャングなどが入れる絵柄や、文字などのタトゥーを好む傾向があるようだ。  パンクになるとオリジナルスタイルが多く見られ、バンドのロゴなどの他に、社会や体制に対するメッセージを絵柄や言葉にして入れる事が多い。  レイヴやクラブなどのカルチャーでは、トライバルなどのほか、最近の若い女の子が入れる模様などの柄も多く、アクセサリーの一部としてのタトゥーも人気だ。  最近では海外でもジャパニーズトラディショナル、いわゆる和彫が流行していて、アメリカントラディショナルが主流だった日本のタトゥー業界も、今やジャパニーズトラディショナルが主流になりつつあるようだ。

タトゥーという表現方法

 ミュージシャンはステージに立ち、ファッションや髪型、メイクなど身体全体で表現するのは当然のことで、彼らは自分の意志を伝える手段としてタトゥーを用いている。だからこそ、タトゥーに憧れを持つファンも増えたし、ひとつのカルチャーとして一般層にも広まってきたのではないだろうか。  刺青は、過去には罪人の証となっていたこともある。また、職人や火消し、鉱夫などが死んだ時に身元が判るように入れられていた時代もあったが、明治時代以降に禁止され、その後、ヤクザしか入れなくなった時期も長かった。そのため、イメージが悪くなったのではないかとKATSUTA氏は指摘している。  タトゥーを入れることに対する社会的な抵抗感は現在も残っており、KATSUTA氏は「ほとんどの温泉やプールには『暴力団・タトゥー・刺青、タトゥーシールお断り』と書かれています。また、生命保険に入れなかったりするほか、最近では海でもタトゥー禁止になっている場所もあります。若者にも浸透してきていて、文化として、ファッションとして定着しているタトゥー文化への理解が、もっと一般にも広がるようにしたいですね」と、その心情を語っている。  タトゥーに興味がある、または興味を持った方は、今年で9回目を迎える日本最大のタトゥーイベントKING OF TATTOO2014へ足を運んでみてはいかがだろう。10月11、12、13日に代官山THE ROOMにて行われるこのイベントは、世界各国からタトゥーアーティストが集まり様々なパフォーマンスが行われる。タトゥー文化の奥深さを味わえるはずだ。 ■ISHIYA アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。 FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

A.B.C-Z・戸塚祥太の“奇行伝説”とは? 純粋ゆえの魅力と実力を検証

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A.B.C-Z公式HPより。

【リアルサウンドより】  6月より『魔法☆男子チェリーズ』で、グループとして初の連ドラ主演を務めているA.B.C-Z。7月9日には、ドラマの主題歌を含む新作DVD『Legend Story』を発売。さらに、A.B.C-Zは今月から個人単位での舞台出演が続き、勢いに乗っている。  偶然にも、DVDの発売と同じ日に初日を迎えるのが、戸塚祥太が出演する舞台『出発』。Jr.時代から数えると相当な舞台経験を持つ戸塚が、初めて単独座長となった記念すべき舞台だ。しかも、本人が尊敬してやまない錦織一清が脚色演出を担当しているとあり、気合も十分。錦織からは「彼の腕を買っている」と、その演技力に期待が寄せられている。  戸塚には、まっすぐという言葉がよく似合う。どんな過酷なバラエティ番組の企画にも、真正面から取り組む姿が印象的だ。また、天然キャラの多いグループで、まっとうな意見を言うポジションにもいる。だが、まっすぐがゆえに突拍子もない行動に出ることもしばしばあるのが、彼の面白いところ。  役作りのためでもなんでもなく急に坊主にしてみたり、バンダナに丸メガネという奇抜なファッションで音楽番組に出演したりと、周囲を驚かせた過去も少なくない。ファンの間では“奇行王子”とささやかれることもあるが、彼の中では大真面目なのだ。悩みの多い現状から打破するための断髪であったり、どんなファッションでも似合う大人の男をめざしたがゆえの格好だったり。「喋りが苦手」という彼にとって、言葉よりも先に行動が出るようだ。だが、それもすべてまっすぐに自分の思うものを追いかけた結果。その素直に突き進む姿勢こそ、戸塚の最大の魅力とも言える。  とはいえ、戸塚の行動はときに大きな波紋を呼ぶ。その波紋を、真正面から受け止める素直さも持ち合わせている。これだと思ったら迷わないタイプではあるが、周囲の意見にもしっかり耳を傾ける柔軟性を持ち合わせている珍しいタイプなのだ。  踏み出しに対する潔さ、その反応を振り返る吸収力。そうした好循環から、最近では作詞活動や文芸誌『ダ・ヴィンチ』の連載といった新しいジャンルへの挑戦も多い。本人が「想像していたよりも早く、このようなチャンスに巡り会えた」というのも、納得だ。  一見、誠実を絵に描いたような美しい青年だが、何を発見し、どのように表現するのかは予測不可能。そんな戸塚から、今後も目が離せない。 (文=ジャニ子)

川本真琴、13年ぶり地上波テレビ出演で本音「取材で『最後に一言』と言われると困る」

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川本真琴『川本真琴』(ソニー・ミュージックダイレクト)

【リアルサウンドより】  7月4日放送の『僕らの音楽』(フジテレビ系)は「僕らのGiRLPOP」。1992年創刊された雑誌『GiRLPOP』と、同誌をきっかけの一つとして始まった「ガールポップ」ムーブメントについて、森高千里、渡瀬マキ、谷村有美、加藤いづみ、川本真琴、中川翔子、きゃりーぱみゅぱみゅが語り合った。  冒頭、『GiRLPOP』の創刊号で表紙を飾った渡瀬マキが、同雑誌について「その当時はバンドブームの中で、女子がほとんどいなくて。女の子の力強さ、優しさが表れたナイスなものが出てきたと思った」と、女性アーティストにとっては大きな存在だったと語った。続いて森高千里が、当時のパフォーマンスについて「どういう風にしたら私の存在が伝わるかと考えていて、コンサートで一番後ろのお客さんにもはっきり分かる格好をしていた。そうしたらどんどん派手になっていって」と、ユーモアを交えて当時の衣装事情を明かした。  また、川本真琴は、この日が13年ぶりの地上波テレビ出演。共演した中川翔子から「生まれて初めて買ったCDが川本真琴さんの『1/2』で。毎日何十回も聴いて、いつかどこかでコラボレーションできたらというのが夢でした」と言われ、川本は少し照れたような表情を見せた。続いて、番組から「対談や取材で困ることは?」と聞かれた川本は、「『最後に一言お願いします』と言われると、『そこまでさんざん話してきたのに…』って困ります」と明かし、スタジオの共演者を爆笑させた。  渡瀬は、川本と同じ「対談や取材で困ることは?」という質問に対し、「『好きな曲を1曲挙げてください』と言われると困る。その日の気分で答えちゃう」と語ると、森高は「全部かな?」と、質問に対して言及しない方法を取ることを明かした。きゃりーはこの2人とは対照的に、「私は『ファッションモンスター』という、自分の中でもかなりロックな方の曲があって、イメチェンが出来たきっかけなので。私は結構『「ファッションモンスター」です』って言ったりしますね」と、自身の転換点である楽曲を答えるようにしていると明かし、加藤らを「しっかりしてるなぁ~」と感心させる一幕も。  ライブのコーナーでは、森高千里の「ララサンシャイン」や、谷村有美の「がんばれブロークン・ハート」、川本真琴「愛の才能」を、それぞれ本人が新たなアレンジバージョンで披露。豪華な番組の最後を締めくくった。  一時代を築いた、様々な女性アーティストが出演した今回の『僕らの音楽』。次回は「未公開トーク総集編」が放送される予定だ。 (文=向原康太)

DJ和が語る、J-POP&アニソンDJの可能性「日本発祥の楽しみ方で海外に負けない規模を作る」

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【リアルサウンドより】  DJ和が7月2日、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の10周年を記念したMIX CD『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』をリリースする。  「ノイタミナ」の10年史であると同時に、「J-POP・ロック」の10年史でもある今作。制作する中で感じた10年間での音楽の変化や音楽を聴く環境、さらにはDJやMIX CDにおける今後の可能性についても深く語ってもらった。

「ノイタミナはアニメを『全員ごと』にした」

――『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』は、ノイタミナというアニメ番組枠の10年史であると同時に、J-POP、ロックの10年史にもなっています。制作にあたってどんなコンセプトを立てましたか。 DJ和:今までは企画からコンセプト、選曲も曲数も自分たちで作っていくのが普通でした。でも今回はノイタミナ10周年っていうことと、これだけの楽曲がある、という提案からいただいたので、いつもとは取り掛かり方が違っていたんですよね。それに、ノイタミナには作ってこられた方やファンの方のいろいろな気持ちがあるので、「いつもより責任重いな」と思っていました(笑)。僕自身、ノイタミナはずっと見ていましたし、他のアニメも好きです。アニソンというジャンルで見ると、ノイタミナの作品のオープニングやエンディングは、オシャレというかJ-POP寄りというか、すごくロックだったり青春モノだったり、他のアニメとは違うブランディングが確立されていると思っていて。だから、単純に良い曲の詰まった、1枚のミックスとして楽しめるものになると思っていましたね。 ――これまでDJ和さんは、アニソンをまとめたDJ MIXもリリースしていますが、今回はそれともスタンスが違いますよね。 DJ和:そうですね。アニソンのようなテンポが早くていわゆる萌え系みたいな曲は、クラブでも流れるんですけど、そういうものは、お客さんはワッと反応するんですよね。でもノイタミナMIXの場合は、みんなもっと思い出に浸ったりして、じっくり聴くようなところがあります。そこは違いますね。 ――たしかに、最初に「ハチクロ」のオープニング曲になっていたYUKIさんの「ドラマチック」が流れてくると懐かしい気持ちになります。ノイタミナはずっとご覧になっていたということですが、ノイタミナについてはどんな印象を持っていますか? DJ和:一際目立っていたというか尖っていた印象がありますね。何か新しい感覚で「こういう枠があるのか」と新鮮に思った記憶があります。最初にちゃんと観たのは「のだめカンタービレ」かな? 最初の方の「のだめ」や「ハチクロ」の雰囲気で「こういう感じ」というノイタミナのイメージを僕は持ったし、観ている人もわかったんじゃないかなと思います。 ――スタイリッシュな絵柄で、他のカルチャーが好きな人も楽しんできた印象です。 DJ和:そうですね。「アニメ好きの枠を広げようとしている」という感じはノイタミナさんにすごく感じます。アニメっていうものを「全員ごと」にしたというか、誰にでも当てはめられるようにしたと思います。

「バラードの曲が最近なくなってきた」

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――今回のミックス作業を通して、10年間におけるサウンドや作風の変化のようなものは感じましたか? DJ和:ノイタミナでいうと、2010年以降はエンディングを声優さんが歌う流れが入ってきました。それから「すごくバラード」というのは最近なくなってきたように思います。2007-2008年あたりは、ここに入っているものでは中 孝介さんとか元ちとせさんのような、壮大なバラードがありましたが、最近はなくなってきましたね。そういう曲ってゆっくり座って聴くような音楽で、今はじっくり聴くことが少なくなってきているのかな?と思います。10年前より人がせっかちになって、何でも検索すれば5秒で出ます。いろんなものが早いのが当たり前というか、情報量が詰め込まれるようになってきた。速い曲で歌詞もたくさん入れて、というような。ゆったりした曲は初期のほうがあったと思いますね。 ――和さんの場合は、一曲の情報量が多いということをポジティブに捉え、小気味よくつないでいる印象です。 DJ和:「CDが売れない」っていうことはあんまり言いたくないんですけど、そんな中で、ミックスCDを作る役割としては、僕が選んだものをドンと渡せるというか。お客さんにとっては「選ぶ」という部分を簡略化できるので、そういう部分は良いところだろう、とは思っています。ただ、僕が1枚目を出した時と比べると、今はもう少し細分化してミックスを作るようにはしています。一番最初にリリースした『J-ポッパー伝説 [DJ和 in No.1 J-POP MIX]』って「懐かしいJ-POP」っていうかなり大きな括りでした。逆にそれが良かったところもあると思うんですけど、今は「神曲祭り」も2010年以降くらいに年代を絞っています。この先もそういう風に、ジャンルの中でさらに絞ったようなものを作っていくと思います。今の時代は特に、その方がお客さんも聴きやすいと思うんです。 ――なるほど、ジャンルを絞り込んだほうがより多くのリスナーに届くというのは面白いですね。その点、今回のノイタミナMIXは幅広い楽曲を対象としていますが、一番意識した点は? DJ和:曲順が一番重要だなと懐いました。はじめは「新しいものから古いものへ」という案もあったんですけど、10周年を振り返るということを考えたときに、やっぱり懐かしいものから入れようと思いました。ある程度みんな、アニメを観た上で曲を聴いていると思うので、そういう意味でアニメで流れている箇所をできるだけ使っています。基本的にはオリジナル音源を使っているんですけど、歌始まりで流れるTVサイズにできるだけ近づけるような形でつないだりしていますね。1分半くらいでバンバンつないでいくのは「神曲祭り」っていうシリーズとかとそう変えていません。あと、キリが良い数字にしたくて最初に収録曲を50曲って決めちゃったんです。でもいざつないでみると、「これ入るかな?」と尺がギリギリになってきて、やってみたら79分50秒くらいで、リアルにギリギリでした(笑)。

「日本の曲をかけて、世界のトップクラスのDJに負けない規模を目指したい」

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――さて、『J-ポッパー伝説』から6年ほど経ちました。先ほど話に出た「ジャンルの細分化」を感じるようになった時期とは? DJ和:2010~11年あたりでいろいろ変わりつつある、と感じていました。何かに属さないと音楽として聴いてもらえない感じになってきているように感じますね。どういうジャンルに属していて、どういうところでライブをやっていて、とか、アニメなのか、ボカロなのか、とか。みんな、何が好きか、ということをすでに決めていると思うので、その中に入っていくことが重要なのかなと思っています。 ――その変化はDJをやっていて感じることですか? DJ和:そうですね。特にDJをやっている中では、「みんなの共通の音楽」というのが最近なくなっているような気がします。J-POPのDJを始めたくらいの頃は、「この曲をかければ全員がひとつになれる」というような曲がありました。スマホやネットがそこまで普及していたわけではないので、みんな聞いている音楽がだいたい近い感じではありましたけど、今は広すぎて、全然知らないものを誰かがすごく好きだったりします。全員が好き、という音楽がなくなってきたことはすごく感じますね。 ――今作のノイタミナMIXは、バンドものが多いのもひとつの特徴かもしれません。バンドの曲をつなげるのは難しい面もありますか? DJ和:テンポが一定じゃないので単純につなぐのが難しい、というところはありますけど、ロック系のほうが曲が変わったときに音圧も含めて変化を感じやすいですね。打ち込み系はある程度近いというか、元々DJでつなぎやすいようになっているので。これは、おそらくJ-POPやロックのDJしか味わえない面白みでもあります。 ――DJ和さんはJ-POPを回すDJの草分け的な存在のひとりですが、いまや一つのジャンルとして定着した感もありますね。 DJ和:最初に始めたときには「クラブでJ-POPが流れないから自分がやろう」みたいな気持ちでした。普段みんなが聴かない場所でそういうものを聴くのは、すごく楽しいことなんだってずっと言ってました。やっぱり歌詞がわかると違うだろうと。たとえば日本人のDJで、世界のトップクラスのDJのように何十億と稼いでいる人はいません。しかも日本の曲で、となるともっといません。当時はなぜか根拠もなく「なれるでしょ」って思っていましたね(笑)。でも、絶対にそこにたどり着ける人はいるはずです。アニメ、アイドル、ボカロと、これだけ日本の音楽や文化が世界で注目されている中で、日本人のDJとして始めたならば、日本の曲の良さを広げていくべきだと思っています。まだ全然小さな規模ですけど、そういう気持ちでやっています。……クラブ文化ははるかにヨーロッパやアメリカの方が進んでいると思うけど、その代わり、アニソンやオタゲーやサイリューム、そういうものは日本発祥です。違う楽しみ方を通して、負けない規模を作ることはできそうだと思っています。

「ミックスCDが飽和しつつあると思うので、ここからが難しい」

――ここ数年で、音楽のリスニング環境も大きく変わりました。 DJ和:一番大きいのは、若い友達の家に行っても、みんな家にコンポやラジカセを持っていないということです。全部PCなんです。テレビすらない子もけっこういます。CDを買ってCDプレイヤーに入れる、という行為がなくなったのは、必要がなくなった、ということでもあると思いますけど、聴くものが変わるというのは大きいことです。コンポで聴くって、家でゆったり聴く感じじゃないですか?でも外出中にiphoneで聴くって聴き方がぜんぜん違うことです。落ち着いて聴けないだろうし、そこで好きなジャンルや音楽が変わってくるような気もします。PCでの鳴りが良い音楽を好んでしまうとか。PCでクラシック聴こうと思う人はあまりいないと思います。 ――作り手としてはリスニング環境の変化にどう対処していきますか。 DJ和:ちょっと心配なのは、今の10代の子たちはすでにマイパソコン、マイスマホを持っているとして、その2つで良く聴こえる音楽ばかり聴くようになるのかな、という点ですね。でも、もっと新しいものが生まれる可能性もある。たとえば「CDがなくなった先に全部がデータ化されるとしたら、もう尺は関係なくなるな」とも思います。今回もCDなので80分で限界ですけど、その制約がなくなれば、2時間くらいのミックスだったり、逆にすごく短いものだったりが出て来るかもしれません。 ――新しいミックスを作る企画はどのように練っていくのでしょう? DJ和:企画のメモ帳に、細かいものから無茶なものまでいろいろ書き溜めています。時代によって必要とされるものが変わってきます。おそらく10年前にアニソンミックスを出しても、ここまで売れなかったでしょう。やっぱり今、アニメとアニソンが世間に定着しつつあるからこそですね。これから5年くらいしたらまた変わっているかもしれないので、そのときには新しいものが作れるようになっているかもしれません。逆に4~5年前に考えたことは今はできなそうな雰囲気もあります。毎年新しいことを考えなきゃいけないと思います。良い曲はたくさんあるので、どういう切り口でやっていくか、ということですね。ここ数年でミックスCDやカバーもかなりたくさん出ましたし、ミックスCDが飽和しつつあると思うので、ここからが難しいですね。 ――時代の流れを見ながらどんどん企画を立てていく、ということですね。 DJ和:ここはまだ自信を持って言えないんですけど、ミックスCDの評価は、人に求められているものを出して初めて売れる、という感じなので、あまりに見当違いの方向に行くと、それが、ある時代やジャンルにドンピシャであったとしても、時代の流れがそっちに向いていなければ聴いてもらえません。音楽を聴いている人も時代の風潮を意識したうえで、「その中でこれを聴いている自分」を意識していると思います。音楽にはやはり、そういうファッション的な要素もかなりあります。だから再来年くらいに何をやっているかは本当にわからないですね(笑)。僕の場合は「人の曲をかける」という二次的な仕事なので、この先どうなっていくかは、アーティストさんを見て考えているところもあります。逆に僕はお客さんに近い立場でもあるので、今のお客さんの好みやどういうイベントに人が集まるか。この両方を見てそこが交わる場所を考えています。 (取材=神谷弘一/構成=高木智史)
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DJ和『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』(SMAR)

■リリース情報 『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』 発売:2014年7月2日 価格:¥2,400(税抜) 【収録楽曲】アーティスト / 楽曲 / アニメ作品 1.YUKI「ドラマチック」 / ハチミツとクローバー -OP- 2.SUEMITSU & THE SUEMITH「Allegro Cantabile」/ のだめカンタービレ -OP- 3.abingdon boys school「キミノウタ」 / 東京マグニチュード8.0 -OP- 4.NICO Touches the Walls「マトリョーシカ」 / C -OP- 5.school food punishment「futuristic imagination」 / 東のエデン -ED- 6.EGOIST「The Everlasting Guilty Crown」 / ギルティクラウン -OP- 7.BUCK-TICK「くちづけ」 / 屍鬼 -OP- 8.フジファブリック「徒然モノクローム」 / つり球 -OP- 9.スネオヘアー「ワルツ」 /ハチミツとクローバー -ED- 10.ダイスケ「いつだって。」 / 放浪息子 -OP- 11.Galileo Galilei「青い栞」 / あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。-OP- 12.チャットモンチー「シャングリラ」/ 働きマン -ED- 13.チャットモンチー「テルマエ・ロマン」 / テルマエ・ロマエ -OP- 14.PUFFY「SWEET DROPS」 / うさぎドロップ -OP- 15.Tommy february6 「Lonely in Gorgeous」 / Paradise Kiss -OP- 16.CHEMISTRY「Life goes on 〜side K〜」/ 西洋骨董洋菓子店 〜アンティーク〜 -OP- 17.電気グルーヴ「Upside Down」 / 空中ブランコ -OP- 18.電気グルーヴ「モノノケダンス」 / 墓場鬼太郎 -OP- 19.AZUMA HITOMI「ハリネズミ」 / フラクタル -OP- 20.LAMA「Fantasy」 / UN-GO -ED- 21.いしわたり淳治&砂原良徳+やくしまるえつこ「神様のいうとおり」 / 四畳半神話大系 -ED- 22.Rake「all I need is...」 / さらい屋 五葉 -ED- 23.サンボマスター「きみのキレイに気づいておくれ」 / 海月姫 -ED- 24.高橋 瞳「あたしの街、明日の街」 / 図書館戦争 -OP- 25.中 孝介「恋」 / 源氏物語千年紀 Genji -ED- 26.元ちとせ「春のかたみ」 / 怪 〜ayakashi〜 -ED- 27.JUJU「ナツノハナ」 / モノノ怪 -ED- 28.Aimer「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」 / 夏雪ランデブー -ED- 29.supercell「僕らのあしあと」 / ブラック★ロックシューター -ED- 30.いとうかなこ「トポロジー」 / ROBOTICS;NOTES -ED- 31.中川翔子「snow tears」 / 墓場鬼太郎 -ED- 32.ユンナ「手をつないで」 / 獣王星 -ED- 33.Real Paradis with のだめオーケストラ「風と丘のバラード」 / のだめカンタービレ フィナーレ -ED- 34.スキマスイッチ「Hello Especially」 / 銀の匙 Silver Spoon -ED- 35.ASIAN KUNG FU GENERATION「迷子犬と雨のビート」 / 四畳半神話大系 -OP- 36.earthmind「イノセント」 / ガリレイドンナ -ED- 37.ClariS「Wake Up」 / もやしもん リターンズ -OP- 38.LAMA「Spell」 / NO.6 -OP- 39.ねごと「シンクロマニカ」 / ガリレイドンナ -OP- 40.ミネラル★ミラクル★ミューズ「デートTIME」 / サムライフラメンコ -ED- 41.SPYAIR「JUST ONE LIFE」 / サムライフラメンコ -OP- 42.supercell「拍手喝采歌合」 / 刀語 -OP- 43.凛として時雨「abnormalize」 / PSYCHO-PASS サイコパス -OP- 44.school food punishment「light prayer」 / 映画『東のエデン 劇場版I The King of Eden』-ED- 45.Zwei「純情スペクトラ」 / ROBOTICS;NOTES -OP- 46.EGOIST「名前のない怪物」 / PSYCHO-PASS サイコパス -ED- 47.supercell「My Dearest」 / ギルティクラウン -OP- 48.EGOIST「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」 / ギルティクラウン -ED- 49.秦 基博 meets 坂道のアポロン「アルタイル」 / 坂道のアポロン -ED- 50.本間芽衣子(茅野愛衣)、安城鳴子(戸松 遥)、鶴見知利子(早見沙織) 「secret base~君がくれたもの~(10 years after Ver.)」 / あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。-ED- 全50曲ノンストップ収録 ■ライブ情報 『ノイタミナイトツアー in Nagoya』 2014年8月2日(土) START 14:00 / END 20:00予定 会場:sound bar P.O.d 住所:名古屋市東区泉1-23-1 VOICEビル4F (問)TEL:052-953-0393 チケット Door:\2,000 (+1Drink代別)  ※コスプレ入場(ノイタミナ作品only)or学生証掲示で +1ドリンクサービス 【出演者】 DJ:DJ和、サオリリス、DJじん(アニメソング中毒)、lolipop(2D M3NTiON)、ぽる(DOQQUNE)、S☆N(2D M3NTiON) and more... VJ:KITUNE and more... 『ノイタミナイトツアー in Osaka』 2014年8月3日(日) START 14:00 / END 20:00予定 会場:南船場 CELL (CELL COMPLEX内) 住所:大阪市中央区南船場1-16-2 ふぁみーゆ南船場 B1 (問)TEL:06-6561-6177 チケット Door:\2,000 (+1Drink代別)  ※コスプレ入場(ノイタミナ作品only)or学生証掲示で +1ドリンクサービス 【出演者】 DJ:DJ和、サオリリス、tamu(MIX☆BOMB)、lolipop(2D M3NTiON) and more... VJ:KITUNE(こす☆ボウル) and more.., 詳細は、決定次第随時更新いたしますので、公式サイトをご確認ください。 www.noitamina-mix.jp 『ノイタミナイト』 2014年8月22日(金) 会場:渋谷WWW 開場:18時 開演:19時 チケット:前売り¥2,500/当日¥3,000(ドリンク別) 出演:MC&DJ:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー) DJ:DJ和 and more スペシャルゲスト 内山昂輝  SOLD OUT 主催:Sony Music Labels ■「ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和」特設サイト www.noitamina-mix.jp

AKB48渡辺麻友ら中心メンバーが明かす、最新グループ事情「大組閣後、良い方向に向かっている」

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【リアルサウンドより】  AKB48のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』が、7月4日に公開される。同作はAKB48グループの1年間に渡る軌跡を綴った『DOCUMENTARY OF AKB48』シリーズの最新作で、初期メンバーの卒業や次世代メンバーの成長によって加速する世代交代、大波乱の結果に終わった2013年の選抜総選挙、2014年の大組閣、そして先日行われた「37thシングル選抜総選挙」も収録された密度の濃い内容となっている。  今回リアルサウンドでは、同グループの中心メンバーである柏木由紀、島崎遥香、高橋みなみ、渡辺麻友の4人にインタビューを実施。前作から1年半にかけて起こった出来事や、撮影現場の裏話、姉妹グループの躍進とそれに対する危機感について、大いに語ってもらった。

前作からの1年半を振り返って

――前作『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』から現在まで1年半を振り返って、特に印象に残っている出来事は? 柏木:この1年半では、2013年の『AKB48 2013真夏のドームツアー ~まだまだ、やらなきゃいけないことがある~』が印象に残っています。というのも、私は2012年の年末に『ミュージックステーションスペシャル スーパーライブ2012』で「来年の目標は?」って聞かれて、「夢は大きくドームツアーです!」と答えたのですが、それが本当に叶ったのですごく嬉しかったです。 渡辺:すごい! ゆきりんが言ってくれたおかげでもあるかもしれないね! 私は、2月に行った『AKB48グループ大組閣祭り』が印象に残っています。グループ全体のメンバーがガラっと変わったことによる衝撃はかなり大きくて、私も数日ショックが消えませんでした。でも、“大組閣”を経験したことによって、グループは良い方向にいったと思うので、あれはあれでよかったんだと感じています。 島崎:私は、今年の1月に成人式を迎えたことが強く印象に残っています。 渡辺:私も含めて、今年20歳を迎える年齢のメンバーがすごく多いんですよ。グループ内にも30人くらいは在籍していると思います。 高橋:私と同じ91年生まれのメンバーって、数年前まではかなり多かったんです。でも、先日の味の素スタジアムの公演では、年齢別に分かれて歌う曲のときに、7人くらいしか同い年のメンバーがいなくて改めてビックリしました。 島崎:私たちの世代も、3、4年経ったら麻友さんしかいないかも(笑)。 高橋:(笑)。私は3月に行われた『AKB48単独&グループ 春コンin 国立競技場~思い出は全部ここに捨てていけ!~』がすごく印象に残っています。1日目は、AKB48が単独でライブをやらせていただいて、あの場所に立たせていただけたことが自分たちにとってはいい経験をさせて頂いたと思いました。でも、2日目の大島優子卒業ライブは、まさかの天候不良で中止という……前代未聞の状況でした。優子もあの日に重きを置いて頑張っていたのに、誰のせいでもなく、天気の影響で中止になって。全員、あのライブに対してはやり場のない悔しさを経験したので、味の素スタジアムでの卒業公演がすごくいい形で終えることができたのは本当に良かったと思います。
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メンバーにとっての『DOCUMENTARY OF AKB48』シリーズ

――今回で4作目となる『DOCUMENTARY OF AKB48』シリーズは、みなさんにとってどういう意味を持つものですか? 柏木:裏でカメラが回っていなくても泣いたり怒ったりとかしないので、小嶋(陽菜)さんと私はドキュメンタリー映画ではあんまり出番がないんですよね。観ると自分たちのグループなのに発見が多くて、「あ、この子はあの時、こんなに悩んでたんだ」とか、「こんなに頑張ってたんだ」とか。映画をご覧になる方と同じように、初めて見るシーンもあります。怖くもあり、楽しみでもありますが、いずれにしてもメンバーのことを知ることができるいい機会だと思います。 渡辺:AKB48グループって、メンバーの裏側すべてもさらけ出してるんですよ。アイドルの分野では前代未聞だと思います。アイドルとして、そういった裏側の部分を見せるべきかどうか、という部分はともかくとして、そうしてきたことによって注目され、今のAKB48グループがある、というのは事実だと思います。私自身、毎年複雑な気持ちになるし、涙することもありますが、でもその裏側も全てあってこそのAKB48だと思うので。今まで自分たちや姉妹グループが歩んできたことを、しっかりとこの目で見ることができるので、メンバーにとっても毎回大事な作品のひとつだと思います。 高橋: 1年で目まぐるしく環境も変わりますので、振り返る時間がなかったりもします。でもこの映画を観ると、「あ、こんなことあったね」って思い出すんです。先日、ダイジェスト映像を少しだけ観たのですが、改めて振り返ると「こんなキツイことあったな」っていう出来事の方が多いんです。でも、今は楽しく笑ってたりとか、ライブを終えて次に向かって歩きだそうとしている自分がいて、改めて観ると切なくなる映像もあるけど、それを含めてAKB48だということをわかっていただければと思っています。
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メンバーから見た高橋栄樹監督

――撮影も手掛けている高橋栄樹監督は、舞台裏に潜入したり、素顔を撮るために色んな現場にいると思うのですが、それについて違和感はないのでしょうか? 渡辺:日常の風景のひとつとして栄樹監督がいらっしゃるので、特に違和感はないですね。 高橋:監督は多分、「自分は空気だ」ってスタンスかもしれないですね。でも、グイグイ迫ってくるときもあるんです。映画を作るうえで、監督として「ここが欲しい」って思っていらっしゃるからだと思うんですが、メンバーとして来て欲しくないときもあるんですよねぇ(笑)。 柏木:遠くから撮ってくれればいいのに…って感じるときもありますね(笑)。 ――撮影中、素のメンバーに対して監督から「こうして欲しい」などのリクエストはありますか? 渡辺:特にないです。監督はカメラをひたすら回していらっしゃるだけで……。 高橋:でも、栄樹監督から何かに対して「どう思ったの?」って聞かれたときに「こうだったんです」って話すと、実はそれがそのまま映画の1コマになっていたりします。去年は『第64回NHK紅白歌合戦』の前に、マッサージをしながらスタッフさんと話してたのを引きで撮っていらしたみたいで、その時の映像が使われているんです!
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大組閣・総選挙について

――今回の総選挙では渡辺さんが1位を獲得し、AKB48が首位奪還となりましたが、姉妹グループの勢いからも目が離せません。『AKB48グループ大組閣祭り』でNMB48との兼任になった柏木さんは、実際に活動してみてどういった感想を? 柏木:NMB48だけじゃないかもしれないんですが、すごくストイックで。常に全員が「AKB48を越える」という意識で活動しているんですね。個人としてではなく「NMB48全員が一丸となって頑張ろう」って気持ちを強く感じました。NMB48は、ひとつの劇場公演にしても、早く入ってリハ―サルをして、本番が終わったらレッスン着に着替えて集まったかと思えば、メモを取って「じゃあ今から鏡の前で合わせましょう」って1、2時間練習するんですよ。それを見て「あ、これだけ頑張っている姉妹グループがいるなら、AKB48は危機感を感じないと…」と思いました。その結果が選挙にも出ていますし。グループ全体としては嬉しいことですよね。 渡辺:総選挙では、(松井)珠理奈だったり、さや姉(山本彩)や指原(莉乃)が、スピーチで1位に対する思いを明確に語っていて。姉妹グループからライバルが出てきたことは嬉しくもあり、危機感を感じます。 高橋:今回の大組閣では、各チームのパワーバランスが変わってきているなかで、その力関係を保つために、兼任や移籍があったのだと思います。映画では、そこで言い渡された突然の異動に対し、“学業の関係で、実際は異動できない状況のメンバーたち”の葛藤もが描かれています。一般社会でも、サラリーマンの方が突然、例えば「大阪赴任です」って言われるような状況があったりすると思うので、覚悟を決めてやっていくメンバーの気持ちと重ねあわせて観て頂ければと思います。

地方出身メンバーの「パワー」

――AKB48グループは、地方出身者もたくさんいらっしゃると思うのですが、メディアに出る際に、地元を背負っている意識を持ったり、応援されていることを感じたりすることはありますか? 柏木:私は鹿児島県出身なんですけど、地元のテレビ局のスタッフの方々は、総選挙も毎年わざわざ来てくれださるので、とても感謝しています。観光大使にも指名していただいているので、地元に何かしらで恩返ししたいって気持ちは常にあるんです。なので、総選挙で3位に入れたことで、少しは恩返しできたのかなって思います。 島崎:私の生まれた埼玉県は、スーパーアリーナとレイクタウンくらいかな? 特に方言もないし。ただ、千葉県や神奈川県に負けたくない思いはあります。東京都には負けちゃうけど(笑)。 高橋:私は東京都出身なんですが、大阪で出演させていただいている番組のスタッフさんが総選挙を見に来てくれていて、それが鹿児島のテレビでもちょっと映ったそうで、「高橋みなみさんの順位に感動する、高橋さんの番組のスタッフ」って出てたらしいんです! こうやってみなさんが家族みたいに一緒に応援して下さっていることがありがたくて。各地から出てきたメンバーに対する、地元からの応援もそうだと思いますし、だからチーム8(「会いに行くアイドル」をコンセプトに、全国47都道府県から各1人ずつ選出された)も必要なんだと思います。なので、その土地を背負って頑張ってくれるメンバーが増えて、日本全体の活性化に繋がればいいなと思っています。 (取材・文=中村拓海)

大人AKB=塚本まり子がぶりっ子疑惑を釈明「みんなのテンションに乗ろうと…」

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AKB48-『ラブラドール・レトリバー Type-A(通常盤)(多売特典生写真なし) 』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  『AKBINGO!』の7月2日放送分は、AKB48のメンバーがハンバーガーショップの店員風コスプレに扮し、様々なゲームに挑戦する企画「バトルバーガーショップ」。  メンバーは「総長(ボス)バーガー」「キヨタッキー」という2チームに分かれて、お題を見て5秒以内に連想するものを5人が続けて答え、6人目がそのお題を当てるというゲーム「コトバーガー」にチャレンジした。まず、「キヨタッキー」は大和田南那を回答者に据え、小嶋真子、朝長美桜、島崎遥香、高橋朱里、田野優花の5人が順番にヒントを与えた。出されたお題は「ナポレオン」。小嶋が「歴史上」、朝長が「馬」とそれぞれ近いヒントを出すものの、田野はナポレオンの出身国を間違えて「ブラジル」と発言し、高橋は馬と象を間違えて「パオーン」と回答。さらに島崎は「スパゲティ」と、「ナポリタン」と間違えるというトリッキーなヒントを大和田に与えてしまった。もちろん正解とはならず、島崎が「ダメみたいです…」とこぼす一幕も。  対する「総長(ボス)バーガー」は、“大人AKB”の塚本まり子を答者に据え、岡田奈々、小笠原茉由、朝長美桜、向井地美音、西野未姫の5人が順番にヒントを出した。彼女たちには「塚本まり子」というお題が出され、「大人」がNGワードに設定されるなか、岡田が「パピコ」、向井地が「茶色の衣装」と回答し、小笠原は「んっ! えーえー!」と塚本のマネを披露。そして朝長は「ちょっと年取ってる」、西野は「ぶりっ子」と悪気はないが少々手厳しい発言をし、塚本は「大人AKB」と不正解に終わってしまった。問題終了後、MCのバッドボーイズ佐田から「ぶりっ子ってどういうこと?」と聞かれた西野は「(岩立)沙穂さんよりもぶりっ子じゃないかな…喋り方もぶりっ子だから」と追撃の手を緩めなかった。これに対し塚本は「ぶりっ子してるつもりはない。みんなのテンションに乗ろうと…」と、自身の努力の一環であることをアピールし、メンバーからは「すごーい」と感嘆の声が上がった。  その他にも、流れてくるトレイに5人がお題を元に一筆ずつ紙に書き、6人目が何が書かれてるかを答える「イラストレイ」では各メンバーが機転を利かせながら、それぞれの画力を披露した。  メンバーがゲームを通して、お互いに不満をぶつけあった今回の放送。次回7月9日の放送では、「私服ファッションショー」を放送する予定だ。 (文=向原康太)

乃木坂46松井玲奈、松村沙友理への不安漏らす「喋ったあとに『ウフフ』って、大丈夫かな…」

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乃木坂46『夏のFree&Easy(初回仕様限定Type-A(CD+DVD)』(ソニー・ミュージックレコーズ)

【リアルサウンドより】  『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京)の6月30日分にて、乃木坂46のメンバーが学力テストに挑戦する企画「乃木坂頭脳王決定戦!」が放送された。  同企画は、「乃木坂46がクイズ番組にキャスティングされた際に、どのメンバーが代表として選出されるべきなのか?」を決めるために、生田、樋口、市来の3名を除く31名に学力テストを実施。その中から上位17名の「頭イイ選抜」を発表するというもの。  冒頭、MCのバナナマン設楽統が、SKE48と兼任を務める松井玲奈に「外から見たときに『この子もしかしたらおバカなのかな?』って思う子はいる?」と質問。松井は松村沙友理を指して「喋ったあとに『ウフフ』っていうから、大丈夫かなって…。バカっぽいですね!」とばっさり切り捨てたあと、発表がスタートした。  17位・永島聖羅、16位・生駒里奈、15位・桜井玲香、14位・斉藤優里、13位・深川麻衣と次々に順位が発表されていくなか、一部メンバーには珍回答も見受けられた。「My mother in the busiest in my family」を英訳する問題では、「私の母は家族のなかで一番忙しい」という訳が正解。ところが12位の伊藤寧々は「私の母は私の家族のなかでなかなかのブスです」、11位の衛藤美彩は「私の母は私の家族のなかで最上級のブスです」と互いに「busiest=ブス」として解釈し、スタジオを爆笑させた。  その後、10位・若月佑美、9位松井玲奈、8位高山一実、7位新内眞衣、6位斎藤ちはるなどの成績上位者が発表された。そして5位にランクインしたのは、なんと冒頭で松井から「バカっぽい」と評された松村。ただし、松村は同時に珍回答も出しており、「足下を見るを使って文章を作りなさい」という問題に対し「以前お金を貸してあげた足下を見て、身体を要求する」と答え、設楽から「溜まってんのか?」と心配された一幕も。  発表も終盤に差し掛かり、4位に中元日芽香、3位には橋本奈々未がそれぞれランクイン。そして、1位には同点を獲得した中田花奈と秋元真夏の2人が輝いた。この結果に対し、設楽から「頭良いんだな」と褒められた秋元が「私、昔から勉強すごい嫌いで…」と謙遜すると、白石麻衣は低い声で「あん?」と威嚇。同番組で生まれた”黒石さん”キャラを発揮した白石に対し、設楽は「勉強の順位が高いからって、にらむのは最低な人ですよ」と注意し、メンバーを爆笑させた。その後、中田が上位5人による早押しクイズで圧倒的な実力を発揮し、見事「乃木坂頭脳王」の称号を獲得。最後に設楽が18位以下のメンバーを2週間後に発表すると明かし、番組は終了した。  中元や松村、秋元などが、普段のキャラクターからは想像もつかない頭の良さを披露した今回の放送。次回はメンバーによる「9枚目シングルのヒット祈願企画」が放送される予定だ。 (文=向原康太)

「嵐には理想的な人間関係がある」明治大学の名物講師がグループの魅力を語る

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関修『隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像』(サイゾー)

【リアルサウンドより】  明治大学法学部にて、を題材にした講義を行っている関修氏が、書籍『隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像』を6月4日に上梓した。同書は、フランス現代思想や精神分析学といった学識を基に、メンバーの関係性やその魅力を多元的に読み解いた意欲的な一冊だ。熱心な嵐ファン=アラシックであり、特に相葉雅紀がお気に入りだという同氏は、嵐をどんな眼差しで見つめているのか。そして、アカデミックな考察から見えてくる嵐像とはいかなるものなのか。インタビュー前編では、同氏が嵐に魅せられたきっかけから、SMAPと嵐の違い、そしてフランスの精神分析家、ジャック・ラカンが提示した「四つのディスクールと資本のディスクール」から見えてくるメンバーの関係性まで、じっくりと語ってもらった。

SMAPと嵐、グループとしての違いは?

――関さんが嵐に興味を持ったきっかけを教えて下さい。 関:きっかけは『ひみつの嵐ちゃん!』です。今までと雰囲気が違う番組で、面白いコーナーがいろいろとあり、特に僕は「マネキンファイブ」というコーナーが好きでした。5人がテーマごとに自分のファッションを披露するコーナーでして、彼らのいいところは芸能人的な服装じゃないことなんですよね。5人がそれぞれ個性を出して、普通の男の子がデートに着ていくような服を自分なりのセンスで選ぶんです。それを観ていて「この人達は今までのジャニーズやアイドルというものとは少し違うな」と思って好感を持ちました。テレビドラマなどではときどき嵐を見ていましたが、グループとしての5人を意識して見るようになったきっかけはあの番組です。 ――本書では嵐のブレイクの最大の理由を「バーチャルな最良の隣人であるから」としています。これはどういう意味でしょう。 関:ジャニーズのファンはすごくパイが大きいですが、SMAPは別として、基本的には女性の一定の年齢層が大きなファン層です。しかし嵐はそこに収まらず、本当に老若男女に好かれています。その理由は、恐らく圧倒的にテレビで観る機会が多いからだと思います。テレビCMには数多く出演しているし、バラエティでは相葉くんが、MC番組では櫻井くんが、というようにメンバーの誰かがいつも活躍していて、視聴者は自然に嵐と接することになります。ジャニーズファンか否かに関係なく、一般の人が身近なものとして嵐を感じられることが嵐の凄いところです。世情的に見て、都会の独居老人や過疎化が進んでいますが、そういう人達にとってはテレビというツールがすごく重要です。テレビをつけると必ず嵐の誰かが映っている、という状況は、彼らにとって心のやすらぎになっているような気がします。 ーー嵐が出演するCMの内容にも、親しみやすさを抱かせる要因があると、本書では指摘しています。 関:彼らは電化製品やビールなど、私たちが日常的に使うもののCMに出演しており、それが親しみやすさに繋がっていると考えられます。例えばビールのCMであれば、普段はジャニーズの番組を観ない父親層の認知度が上がります。そうなると、嵐が家族共通の話題として機能する、ということも増えるでしょう。実際、嵐をCMに起用する企業にはJALや日産など、家族で利用するサービスを提供しているところが目立ちます。従来のアイドルは、カリスマティックなイメージが先行していましたが、嵐の場合は同じ目線で行くところに皆が親しみを感じて、人気が高まったのではないでしょうか。 ――親しみやすさという意味ではSMAPも、カジュアルダウンして成功した例と言われています。SMAPと嵐の違いについて、改めて教えてください。 関:SMAPの場合は、親しみやすさを抱かせる中居くん、香取くん、草彅くんら「バラエティ班」と、伝統的なアイドル感を保つキムタク、稲垣くんら「ドラマ班」のコントラストが魅力となっていると思います。一方、嵐の場合は、少なくともキムタクたちに当たる伝統的なアイドル像はあまり見られませんし、中居くんほど庶民的なわけでもありません。つまり「庶民対セレブ」という対立項のコントラストの面白さではなくて、むしろ「普通」なんだと思うんです。しかし、普通の人も皆同じなわけではなく、いろいろな人がいてそれぞれの個性がありますよね。嵐はそのひとつの典型のようなもので、SMAPのような分類もなく5人はそれぞれバラバラですが、それでトータルな嵐でもあります。そういった関係性を象徴するのが『紅白歌合戦』の司会で、SMAPの場合は中居くんが1人で務めましたが、嵐は全員でやりました。そこがパブリックイメージの違いだと思います。実際、紅白の歴史の中でもグループで司会をしたのは嵐だけですし、逆に嵐のメンバーが一人で紅白の司会を務めるというのは、しっくりこないのではないかと思います。嵐はあまりにも「普通」なので、なかなか気付きにくいところではあるのですが、そういった意味で今までのアイドルの既成観念を打ち破っているんです。 ――たしかに嵐は「普通」な印象が強くて、いつの間にかブレイクしていた感じがします。 関:そこが嵐の嵐たる所以です。嵐がデビューしたのは、光GENJIも終わってジャニーズ人気が落ち着き、安室奈美恵さんなどが出てきた頃です。彼らの作品を見ていると、デビュー作は伝統的なジャニーズ系ですが、その後、DA PUMPなどのようなブラック系の要素を取り入れた作品を出したりしています。すごく試行錯誤している様が見えますね。伝統的なジャニーズアイドル路線を極めたのが『Happiness』あたりで、もう少し成熟した、隣人的な路線――つまりは現在の嵐のスタイルが完成したのは『truth』のあたりからだと思います。それ以降の曲は非常にうまくできていて、パート分けが均等になっていたり、必ず全員がきちんと前に出るようになっています。そのように成熟して、いわゆるアイドルっぽさを抑えた良質なポップスを提供できるようになったことで、ジャニーズに関心の低いリスナーにも届くアーティストになったのではないでしょうか。

嵐メンバーの関係性を精神分析学で分析

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美男論の提唱者として、日本のジャニーズウォッチャーの第一人者との呼び声もある関修氏。

――本書では、フランスの精神分析家、ジャック・ラカンが提示した「四つのディスクールと資本のディスクール」という“言説のネットワーク”を使って、嵐メンバーの関係性を読み解いています。関さんが考えるメンバーそれぞれの特徴を改めて教えてください。 関:まず櫻井くんについては、僕は「大学のディスクール」と位置付けています。彼は物事を理路整然と考えるタイプで、嵐においては5人の個性をうまく引き出す“言葉”を紡いでいる人だと思います。彼はキャスターもやっているし、性格的にも真実というものに対して几帳面な人らしいです。きちんと物事を考え、きちんと伝えるという意識が強いので、逆に言えばそのように物事を差配することもできます。いわば、言葉を使って5人の個性の秩序を作り出す基底になっている人ではないかと。例えばMCをするときに、他のメンバーのことも考えながら話を回していけるのが、彼の特徴かと思います。 ――相葉くんについては、櫻井くんと同じように「語る人」と位置付けながらも、話す内容は対照的だと指摘しています。 関:相葉くんは、櫻井くんとは違って予測不可能な語りが特徴です。それは精神分析学のカウンセリングにも似ていて、カウンセラーからすると患者の言葉は予測できないものなんですね。しかしながら、そこには人間の心の豊かさもあります。だから相葉くんを「精神分析のディスクール」と位置付けました。その場に新しいものが必要なときは、知識の積み重ねとは異なるアプローチが大切で、相葉くんの言葉にはそれがあります。それによって皆が新しいことに気付きます。知識の積み重ねとクリエイティブなものは両方必要で、その言説の両翼を担っているのが、櫻井くんと相葉くんというイメージですね。 ――では、松本くんと二宮くんはどういう役割でしょう。 関:櫻井くんと相葉くんが「語る人」であるのに対し、松本くんと二宮くんは「演技」に重きをおいた役割を担っています。まず松本くんは「主のディスクール」と位置付けました。松本くんは5人の中では一番カリスマ性を持っていて、主役的な立ち位置がしっくりくる人です。『VS嵐』などでは、メンバーが最後に松本くんに意見を聞くシーンがよく見られますが、これは彼が最終的な決定権を持っている「主」であることの現れでしょう。また、ドラマなどでも主役がよく似合うタイプで、逆にいうと、申し訳ないですが目立ちすぎて主役以外はあまりできないのではないかとも思います。一方、二宮くんはそれとは対照的で、あらゆる役柄を演じわけることができるタイプ。周りを活かすタイプとでも言いましょうか。たとえばドラマ『Stand Up!!』では、二宮くんが主役でしたが、その際もヤマピーや小栗旬さんといった他の役者を引き立てていました。精神分析学では、ヒステリーという病は「無意識の演技」であるとされています。演技には「観る者に演技と悟られず、また、意識的に演じてもいけない」という教訓がありますが、あらゆる役柄に馴染む彼の演技は、そんな「無意識の演技」に通じるものがあるのではないでしょうか。そこで彼のことは「ヒステリーのディスクール」と位置付けました。ヒステリーというとネガティブなイメージがありますが、その病は社会的に抑圧されていた女性や子どもの欲求不満が引き起こすものであるということが後に知られ、女性の地位の向上やさまざまな解放運動にも繋がりました。つまり、世の中のバランスを取ることにも繋がったということです。そういった意味でも、全体のバランスを取るのに秀でた二宮くんの役割と通じるものがあるかと思います。 ――4人が相互に作用しあって嵐の関係性が成り立っていると。 リーダーの大野くんはどうでしょう。 関:大野くんは「資本のディスクール」で、4人にとって「+α」の存在にあたります。パッとみた感じは「4つのディスクール」が表現全般を担っていて、大野くんの役割は不明瞭に思えます。しかしながら、彼がリーダーであることはメンバーみんなが知っている。4人が相互作用している後ろで、大野くんが見ているという構図がわかりやすいでしょうか。実際に彼は、デビュー当時から他のメンバーより年上で、独特のポジションを担ってきました。歌やダンスのスキルが非常に高いだけではなく、芸術的な才覚も持ち合わせているにも関わらず、なぜかグループの中で突出して目立つわけではない。普通、それだけの能力があれば、その威光を使ってメンバーをコントロールするのが通常のやり方ですが、大野くんはあえてそれをしません。決して能力を誇示することなく、しかしその存在感でメンバーを統率するというか。こういうと語弊があるかもしれませんが、精神分析学でフロイトが言うところの「不気味なもの」に相当するポジションで、ミステリアスな魅力を放っています。実際、彼はドラマでも普通の存在ではない役柄が多いです。『死神くん』などはハマり役で、彼は死神として生きている人の背後にいて、その人生の終焉を見ている。この「いないように思えて、実はすべてを統率している」というのが、大野くんのリーダーとしてのあり方なんだと思います。 ――なるほど。いったいなぜ我々は彼らの関係性に惹かれるのでしょうね? 関:テレビで彼らが会話しているのを聞くと、私たちの日常的な会話の延長線のように感じます。「芸能人が我々と違う特殊な世界の会話をしている」と感じることもテレビの魅力ではありますが、嵐の5人の会話は、我々が友達と普通に会話しているのとあまり変わりません。しかしその中で、メンバーがお互いの個性をよくわかっていて「ここで相葉くんに振ってみよう」という感じで話がどんどん進んでいきます。5人のディスクールがうまく作用しあっているんですね。そこに、我々はある種の理想の人間関係を見るのではないでしょうか。今の世の中は、友達や同僚など、身近で日常的な人間関係がうまく形成できないところがあるように思います。だからこそ、自分たちと同じレベルでありながら、たがいにリスペクトしつつ言いたいことが言える彼らの関係に、好感を抱いてしまうのだと思います。 後編につづく (取材・文=松田広宣)

今年のフジロックで見逃せないステージは? 小野島大が50組の洋楽出演者を解説

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FUJI ROCK FESTIVAL'14公式HP

【リアルサウンドより】  いよいよ夏が近づいてきました。夏と言えばフェスの季節。今回は7月末に開催されるフジ・ロック・フェスティヴァルを、出演ラインナップの映像を交えてご紹介しましょう。  フジロックは今年で18回目を迎える老舗の野外フェスティヴァル。現在のフェス全盛のシーンを作り上げた先駆けであり、今もなお他を寄せ付けない独自の個性と存在感を放っています。山の中のスキー場を切り開いた会場は豊かな自然に囲まれ、そこだけ別の時間が流れているような、浮世の現実をひとときでも忘れられる非日常感はほかの都市型フェスでは得られないものです。洋邦・ジャンル・地域・民族・新旧を問わない実にさまざまなアーティストが出演しているのも魅力で、思いもかけないアーティストや音楽と出会える可能性が高いのフジの魅力です。  また会場でゴミを投げ捨てする人がほとんどおらず「世界一クリーンなフェス」の異名をとるのは、観客全員が「自分たちのフェスを盛り立てていこう」という意識を持っているからでしょう。そういう親密な仲間意識があるものの、決して排他的にはならず誰にでも楽しめる。それがフジロックの最大の魅力でしょう。世界各国の料理が手軽に楽しめるさまざまな飲食ブースも楽しみにしている人は多いはず。音楽だけではないさまざまなアトラクションやディスカッション・ブースなども見逃せません。  新潟県苗場というロケーションは、東京・大阪などの大都市からはかなりの距離があり、それなりの時間と労力がかかります。宿泊場所の確保は来場者が毎年苦労するところ。入場料だけでなく交通費や宿泊代をあわせるとお金もかかりますし、フルで参加しようと思ったら会社も休まなければならない。さらに山の中の開催ゆえ天候は不安定で、雨具などの備えも必要。ということで初心者にはハードルが高いことは否定しませんが、一度訪れてみれば、必ずその魅力に取り憑かれるはずです。  さて、もちろんフェスの目玉は内外の音楽家たちです。大小あわせ10以上ものステージが同時進行するので、全部を見ることは不可能。といってガチガチにスケジュールを決めて動いても窮屈なだけで、このフェス本来の魅力である自由さと開放感が損なわれるだけ。各ステージの間は距離もあり、高低のある山道なので、途中の人の流れ次第では一番遠いステージには1時間近くかかることも。適度に余裕をもって行動しましょう。何の気になしに通りすぎようとしたステージに、思わぬ発見と出会いがあるかもしれません。  では、開催日、ステージごとに主な出演者を紹介していきましょう。今回は洋楽のみです。

25日

<GREEN STAGE>

フランツ・フェルディナンド

Franz Ferdinand - Right Action (Official Video)

 今や英国を代表する存在となったフランツ・フェルディナンドは、通算3回めのグリーン・ステージのヘッドライナー。デビュー・アルバム『フランツ・フェルディナンド』からちょうど10年にあたる今年は、彼らの集大成的なライヴになりそうです。

フォスター・ザ・ピープル

Foster The People - Best Friend

 「パンプト・アップ・キックス」のヒット一発で世界の寵児になってしまったフォスター・ザ・ピープル。この3月に3年ぶりのセカンド・アルバム『スーパーモデル』をリリースして、メロウで陰りを帯びた一面を披露しています。この曲はファーストに近い路線ですが、おそらくライヴはフェス向けのこうしたポップでダンサブルな楽曲でアゲてくるのではないでしょうか。フォスターから電気グルーヴをはさんでフランツというポップ&ダンサブルな流れは、かなり楽しめそうです。

<WHITE STAGE>

ベースメント・ジャックス

Basement Jaxx - Sereia de Bahia (Mermaid of Bahia)

 英国きってのハウス・アクト。徹底的に享楽的で快楽主義に徹したダンス・ビート、そして盛りだくさんのなんでもアリ、お祭り騒ぎのステージ・パフォーマンスはフジロックでもおなじみでしょう。この曲は5年ぶりの新作『Junto』に収録される予定の新曲「Mermaid of Salinas」の別ヴァージョンで、ブラジルW杯に向けて「サリナス(カリフォルニアのヒスパニック系都市)」を「バイーア(ブラジルの州名)」に変え、ブラジルのシンガー、ニーナ・ミランドをフィーチュアした特別ヴァージョンです。彼ららしい最高のラテン・ハウスで、ライヴそしてニュー・アルバムへの期待が高まります。

ディスクロージャー

Disclosure x Friend Within - The Mechanism

 近年最大の話題のユニットです。若き天才兄弟ふたりによるオーセンティックなハウス/ガラージですが、この5月に行われた単独来日公演では、レコードのクールで整った、アダルトな香りすら漂うサウンドの完成度を軽く凌駕する、おそろしく躍動的でフィジカルなダンス・グルーヴでフロアを沸かせ、もしかしたら今年のベスト・ライヴかもと思わせてくれました。ディスクロージャーとベースメント・ジャックスというこの日のホワイト・ステージの並びは、今年のフジロック1,2を争うアゲアゲ度になりそうです。

<Red Marquee>

ボンベイ・バイシクル・クラブ

Bombay Bicycle Club - Come To

  北ロンドン出身の4人組。初の全英チャート1位に輝いたアルバム『So Long See You Tomorrow 』を引っさげてのフジロック凱旋です。新作はかってなくダンサブルでサイケデリックな陶酔感を打ち出して一皮剥けた感じのある傑作だけに、ライヴも大いに期待できそう。

テンプルズ

Temples - Colours To Life

 レトロ・モダンな新時代のサイケリックを目指すのがUKミッドランズ出身のテンプルズ。ノエル・ギャラガーやジョニー・マー、はてはローリング・ストーンズまでもが絶賛、楽曲はキャッチーでポップ、ルックスはフォトジェニック、待望のデビュー・アルバム『サン・ストラクチャーズ』は大好評、初の単独日本ツアーはソールド・アウトと、いまやUKロック最大の注目株と言っていい若手です。

スロウダイヴ

Slowdive - Alison

 そして後述するスリー・オクロックと並んで、ある意味で今回のフジロック最大のエポックは、再結成スロウダイヴの出演です。90年代英国シューゲーザーの代表格だった稀代のカルト・バンドの19年ぶりの再結成と、まさかのフジロック登場は、もうそれだけで苗場くんだりまで足を運ぶ価値がある、と断言しておきましょう。スロウダイヴ⇒テンプルズ⇒ボンベイ・バイシクル・クラブと続く新旧英国サイケデリア・タイムは、まさに至福の時になるはず。

<Planet Gloove>

ジャングル

Jungle - Platoon

 レッド・マーキー・ステージの深夜興行となるプラネット・グルーヴ。まずはロンドン出身の謎のデュオ、ジャングル。昨年6月に発表したこのデビュー曲「Platoon」のMVをジャスティン・ティンバーレイクが絶賛して大きな話題になりました。フジ直前にはファースト・アルバム『ジャングル』がリリースされます。粘り気のある漆黒のエレクトロ・ファンクと、ファルセットを効果的に使ったソウルフルなヴォーカルと粘っこい黒いグルーヴが織りなす世界はミステリアスな魅力があります。

ダークサイド

DARKSIDE - Golden Arrow

 ニコラス・ジャーとデイヴ・ハリントンによる暗黒ダークサイケ音響。昨年出たアルバム『サイキック』はミステリアスでスペイシーで深遠な暗黒エレクトロニカは、深夜のプラネット・グルーヴにぴったりでしょう。

ジャックス・グリーン

Jacques Greene - No Excuse (Official)

 まだ20歳前半という、カナダ出身のDJ/プロデューサー、ジャックス・グリーン。ベース・ミュージック以降を明確に意識させるクールで詩的なディープ・ハウスは最高にスタイリッシュ。MVもセンスを感じさせますね。

<Field of Heaven>

モー

moe. - "Annihilation Blues" Lyric Video

 アメリカのジャム・バンド・シーンの頂点に立つ大物が2010年以来4年ぶりにフジに帰還。新作『No Guts, No Glory!』を引っさげての登場です。雄大なスケールのアメリカン・ロックから、ピンク・フロイドばりのサイケ曲、ポップな歌もの、インスト主体のグルーヴ重視の曲などバラエティに富んだ内容の同作は彼らとしても屈指の傑作。しかしライヴではそれを超える体験を味あわせてくれるのは間違いないでしょう。

Rovo and System 7

Rovo and System 7 - Hinotori (Official Video)

 フジロック最多出演数を誇る日本を代表するトランス・ロック・バンド、ROVOと、スティーヴ・ヒレッジ率いるシステム7という日英の雄の合体ユニット。アルバム『Phoenix Rising』も、日本・アジア・ヨーロッパとおこなわれたツアーも壮絶なものでした。宇宙まで鳴り響くダンサブルかつ壮大・幻想的なサイケデリック絵巻です。

ガーランド・ジェフリーズ

Collide the Generations - Garland Jeffreys

 一時はブルース・スプリングスティーンと並び称された生粋のニューヨーク・ロッカー、ガーランド・ジェフリーズがフジロック初出演。新作『Truth Serum』を引っさげての登場です。70歳とは思えない力強い歌とノイジーな演奏は素晴らしい。

<Orange Court>

タルコ

TALCO - L'odore della morte - Official Video HD

こういうバンドがガンガン登場するのがほかのフェスにはないフジだけの魅力。イタリアはベネチア出身のスカ・パンク・バンド。アンチ・ファシズム、アンチ・レイシズムを訴える労働者階級のバンドです。見ての通りライヴはパワフルでエネルギッシュ。男臭く実直で飾らないライヴは今から会場の熱狂が想像できますね。

ジェームス・イハ

James Iha - Speed Of Love

 元スマッシング・パンプキンズのイハ君もフジ登場。2年ぶりの出演ですが、今回はホワイトステージに出演する高橋幸宏 with In Phaseのギタリストとしても登場することが決まっています。

<オールナイトフジ>

ジ・オーブ

The Orb - Little Fluffy Clouds Live from Glastonbury June 26th 1993 !

 オレンジコートのオールナイト興行が「オールナイトフジ」。ぜひとも晴れてほしい深夜の祭典ですが、目玉はUKアンビエント・テクノの老舗ジ・オーブです。これは文句なしの彼らの代表曲を演奏した1993年グラストンバリーでのライヴ映像。珍しいバンド形態でのライヴですが(たぶんフジではアレックス・パターソン、トーマス・フェルマンの2人)、こんな素晴らしい幸福感に満ちたライヴを期待したいですね。

ゴールディ

GOLDIE FEAT. NATALIE DUNCAN - FREEDOM

 ジャングル/ドラムンベースの暴れん坊ゴールディ。ドラムンのブームが去って以降なんとなく彼の活動も地味になってしまいましたが、相変わらずのビッグマウスと、シャープでキレのいいビートは健在です。

26日

<Green Stage>

アーケイド・ファイア

Arcade Fire - We Exist - Later with Jools Holland,

 もはや欧米オルタナティヴ/インディ・ロックの最大の顔役と言っていいアーケイド・ファイア。最新作『リフレクター』は世界各国で1位を獲得。6年ぶりの来日で、フジロック初出演は堂々グリーン・ステージのトリで登場です。

デーモン・アルバーン

Damon Albarn - Mr Tembo (Official Video)

 ブラーのデーモンが初ソロ・アルバム『エヴリデイ・ロボッツ』を引っさげて登場。デーモンらしいメランコリックなメロディが満載のミニマル・ポップ作となった同作は、アフリカ音楽、ゴスペルやソウル、フォークといった多彩な音楽性を内包しつつも、基本的にはシンガー・ソングライター的な内省的作品に仕上がっています。デーモンのスマートな知性と感性が煌めく佳作といえるでしょう。どちらかといえばフィールド・オブ・ヘヴンあたりでゆっくり聞きたい音楽ですが、これがグリーンの大舞台でどのように展開されるのか。見逃せません。

トラヴィス

Travis - Mother

 もはや英国を代表するバンドとなった。誠実な歌心を感じさせる実直で堅実な音楽は健在です。

ザ・ウォーターボーイズ

The Waterboys: "Fisherman's Blues"

 結成31年。誰も想像していなかった初来日がまさかフジロックになるとは。長生きはするものです。スコットランドきっての情熱の吟遊詩人、マイク・スコットの歌声を聞かないと苗場くんだりまで行った甲斐がありません。マムフォード&サンズの世界的ブレイクで再評価の機運高まる中、絶好のタイミングです。

ザ・ヘヴィー

The Heavy - What Makes A Good Man?

 ペプシ・コーラのCM曲で突如ブレイクしたザ・ヘヴィーですが、ボビー・ウーマックがどすこいなハード・ロックをやっているような、泥臭く熱いグルーヴは最高です。

マニック・ストリート・プリーチャーズ

Manic Street Preachers - Walk Me to the Bridge

 新作『Futurology』発表を目前に控えたマニックスもフジに登場です。

ケミスツ

The Qemists Live - Stompbox + Spor remix - Woodstock 2012

 マン・ウィズ・ザ・ミッションとケミスツが並ぶこの時間帯のホワイトは今回のフジ最大の「暴れどころ」でしょうか。ポスト・プロディジーの最右翼ケミスツはもうすぐ新作も登場予定。

ホワイト・ラング

White Lung - Drown With The Monster (Official Video)

 カナダ出身のパンク・バンド。これまで徹底してアンダーグラウンドな活動をしてきましたが、この曲が収録された3作目『Deep Fantasy』から英国の大手インディ<DOMINO>とまさかの契約。おかげで日本盤も出てフジロックで見られるというありがたい状況になりました。閃光のように鋭い気合いと気迫のパンク・ロック。ホワイト・ステージというよりはレッド・マーキー向けという気もしますが…

<Red Marquee>

ヨーコ・オノ・プラスティック・オノ・バンド

YokoOno PlasticOnoBand & IggyPop: Waiting For The D.Train

 ついにヨーコ・オノもフジロック登場。多くの説明は不要でしょう。淫力魔人イギー御大との壮絶なデュエットをお楽しみください。

セイント・ヴィンセント

ST. VINCENT / kerosene

 モデルみたいな細面の美人。デヴィッド・バーンとの共演で一気に名をあげ、いまやオルタナのトレンド最先端を軽やかに舞っているようなオシャレなイメージすらある彼女ですが、ステージ上でいつぶちきれてもおかしくない、ギリギリに危うい崖っぷちに立っているような緊張感や不安感や孤立感こそが彼女の本領だと思います。スティーヴ・アルビニのビッグ・ブラックをカヴァーしたこのライヴは、彼女のそんな狂気を強く感じます。

スリー・オクロック

The Three O'Clock - Jet Fighter

 いくつものサプライズがある今回のフジロックですが、先日発表されたばかりのスリー・オクロックもそのひとつ。80年代の米西海岸のガレージ/サイケ・シーン、通称「ペイズリー・アンダーグラウンド」の代表的バンドです。プリンスがこのシーンに傾倒し、スリー・オクロックのアルバムを自分のレーベルから出したり、挙句は「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」というサイケ・ポップ・アルバムを作ったのは有名な話。

ザ・インスペクター・クルーゾ

The Inspector Cluzo "The Inspector Cluzo" Live @ Fuji Rock Festival 2009

 フランス出身の2人組が5年ぶりのフジ登場。これはもう、私の拙い説明よりも、前回フジロックの映像を御覧になったほうが早いでしょう。こういうバンドは、なぜかほかのフェスにはなかなか出ませんね。

<Trival Circus>

ブラッディー・ビートルーツ

The Bloody Beetroots feat. Paul McCartney and Youth - Out of Sigh

レッドマーキー2日目の深夜興行。 マスクをかぶったEDM界の暴れん坊、イタリア出身のブラッディー・ビートルーツです。昨年<ULTRA>からリリースしたアルバム『ハイド』にはポール・マッカートニーも参加しています。

シリル・ハーン

Cyril Hahn - Perfect Form ft. Shy Girls

 スイス出身、ヴァンクヴァー在住のDJ/プロデューサー、シリル・ハーン。マライア・キャリーやディスティニーズ・チャイルドのリミックスを手がけたこともあります。クールで清涼感のあるディープ・ハウス。

<Field Of Heaven>

ザ・ルミニアーズ(25日のGreen Stageにも出演)

The Lumineers - Ho Hey (Official Video)

 今年2月、ついに初の日本ツアーを実現させたネオ・フォーク・ロックの筆頭格。あまりにも有名なこの曲の大合唱が苗場に響き渡る日も近いですね。

<Orange Court>

 この日のオレンジコートは、まさしくフジロックならでは。フジロックのもっともフジロックらしいステージ・ラインナップと言えます。他のフェスではなかなか見られないアクトが目白押しです。

ファンファーレ・チョカルリア

FANFARE CIOCARLIA "BORN TO BE WILD"

 ルーマニア出身のストリート発ジプシー・ブラス・バンドであります。東欧の伝統音楽と世界各地の大衆音楽を節操なく融合して加速したような最強のストリート・ミュージック。これはもちろんステッペン・ウルフのカヴァー。

プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド

Preservation Hall Jazz Band - That's It! (live from Brooklyn Bowl)

 ジャズの発祥地ニューオリンズを代表するジャズ・バンド。1961年結成というからビートルズやローリング・ストーンズとほぼ同期ということになりますが、この現代性とグルーヴ感、エネルギーは凄いですね。まさしく大衆音楽、ダンス・ミュージックとしてのジャズ。その伝統がフジと接続することで、音楽の未来すら見えてくるかもしれません。

ナラシラト

Narasirato Live - Tetowa @ Sziget 2012.

 ソロモン諸島出身、16人編成の民族楽器&ダンサーが歌い叩き吹き踊る。このシンプルにして力強い演奏は音楽の原点とも言えるでしょう。会場のあちこちに出没して演奏した2010年フジロック、こごえる寒さの中半裸の民族衣装で熱演した2012年朝霧JAMに続き今年も伝説的ライヴが期待できそうです。

フンフルトゥ

Huun-Huur-Tu - Live

 ロシア連邦トゥバ共和国の生んだ驚異のホーメイグループです。実際にライヴで見るとその人間離れした驚異的な声のマジックに、異世界に迷い込んだような衝撃を受けることは間違いなし。日本のホーメイの第一人者巻上公一率いるヒカシュー・フリー・インプロヴィゼーション・サミットと続けて見るのも一興です。

27日

<Green Stage>

ジャック・ジョンソン

Jack Johnson - I Got You

 3年前の3月、東日本大震災で日本ツアーの中止を余儀なくされたジャック・ジョンソン。ついに実現したフジロック出演です。

フレイミング・リップス

The Flaming Lips - Be Free... A Way [Lyric Visualizer]

 アメリカン・オルタナティヴ/インディー・ロックの象徴的人物、ウエイン・コイン率いるフレイミング・リップス。とにかく思いつくままにいろんなことをやっている人たちで、ともすれば印象が散漫になってしまいがちなんですが、ライヴはエンタテイメント精神たっぷりの楽しめるものです。秋にはビートルズの『サージェント・ペパー』を全曲カヴァーしたアルバムが出るということで、そこからの曲もやるかもしれません。

ザ・ストライプス

The Strypes / You Can't Judge a Book by the Cover -- Acoustic (Summer Si...

 60年代の最初期ローリング・ストーンズと、70年代の最初期ドクター・フィールグッドと、最初期ルースターズが合体してピチピチの10代の美少年に変身して蘇ったようなアイルランドの4人組。当然御大ルースターズと続けて見るべきです。ロックの歴史の厚みを感じながら、それを打ち破ろうとする気概が嬉しいですね。

ジョン・バトラー・トリオ

John Butler Trio - Ocean (Live @ Fuji Rock Festival '10).

 新作『フレッシュ&ブラッド』がリリースされたばかり。フェスの大舞台に慣れている人たちなので、今回も間違いないステージを見せてくれるはず。

オゾマトリ

Ozomatli "Brighter" Official Music Video

 フジロックの顔とも言うべきLAのハイブリッド・ミクスチャー6人組。今回で5度目の出演です。

ポーグス

The Pogues Featuring Kirsty MacColl - Fairytale Of New York

  もはや説明の要もないポーグス。2005年に続く9年ぶりのフジロック出演です。最近のライヴ映像を見るとすっかりオッサンになってますが、それがまたいい味になっています。シェイン・マガウアンは以前ほど酔っ払ってステージに登場しない、との声も。フェスの大団円にふさわしい人たちです。

<White Stage>

アウトキャスト

OutKast - B.O.B.

  今年4月のコーチュラで10年ぶりに二人揃ってのライヴを敢行、世界各地のフェスを40箇所以上回るというツアーのまっただ中の再結成アウトキャスト。新作の発表の予定はないそうですが、昨年のジュラシック5同様、ヒット曲連発のエンタテイメント精神たっぷりのライヴになるに違いありません。

ケリス

Kelis - Rumble (Official Video)

 TV オン・ザ・レディオのデイヴ・シーテックをプロデュースに迎え、なんとニンジャ・チューンからリリースされた新作「Food」を引っさげてのフジ登場です。前作で残念だったエレクトロ/EDM風味は綺麗に払拭され、アフロ・ファンク/ソウル/ゴスペル/ジャズという黒人音楽の基本に立ち戻った堂々たるR&Bを披露していただけに、当然ライヴは大期待ですね。

アウスゲイル

Ásgeir - Going Home (Official Video)

 アイスランドの孤高のシンガー・ソングライター、アウスゲイル。楽曲も音楽スタイルもきわめてオーソドックスでシンプルですが、鳴りと響きを重視した録音、そしてアイスランドという土地柄のもたらす空気感が、彼の音楽を非凡なものにしています。さて、ライヴではどうなるのか。

<Red Marquee>

ロード

Lorde - Royals @ Lollapalooza Brasil 2014

  ゲスト満載のダフト・パンク、ポール・マッカトニー&リンゴ・スターなど、見どころ満点だった今年のグラミー賞受賞式で、ひときわ鮮烈な印象を残したのがロードの「ロイヤルズ」でした。黒く塗られた唇、大柄な肢体、ひ弱さや繊細さというよりも、毅然とした意志の強さと自立した逞しさを感じさせる存在感は圧倒的でしたし、必要最低限の音しか鳴っていない、シンプルでミニマルなアレンジは、何事もサービス過剰で装飾過多な昨今のポップスのアンチテーゼのようでもあります。まだ17歳。末恐ろしい「神童」の降臨を熱烈に待ちましょう。

サブトラクト

SBTRKT - Live at Reading & Leeds

 覆面DJサブトラクト。ダブステップを基調にガラージ、ファンキー、トリップホップといった要素を溶かしこみながら、ダークでメランコリックなソウル・ミュージックに仕上げる手腕は現役屈指のものです。もちろん時間帯からいってもアゲアゲでくるでしょうが、今年発売予定のセカンド・アルバムからの新曲も期待したいところです。

オーウェン・パレット

Owen Pallett - The Riverbed (Official Video)

 4年ぶり4作目となるニューアルバム『イン・コンフリクト』を発表したばかりのオーウェン・パレット。アーケイド・ファイアの片腕にして、映画音楽作家としても活躍の場を広げてきた彼も、前作『ハートランド』が素晴らしかっただけにかなりハードルは高かったんですが、見事なモダン・チェンバー・エレクトロ・ポップ・アルバムで楽々と乗り越えてくれました。ライヴも大期待です。

<Sunday Session>

チェット・フェイカー

Chet Faker - Talk Is Cheap

 いよいよフェスも大詰め。レッドマーキー3日目の深夜興行は、まだまだ遊び足りない人のための「Sunday Session」です。メルボルン出身のチェット・フェイカーは、ポスト・ダブステップ以降の音響感覚をもった新しい世代のシンガー・ソングライターです。The Weekndやジェイムス・ブレイクに近いといえるでしょう。髭面でえらいおっさんに見えますがまだ23歳です。

ミスター・スクラフ

Mr Scruff - Render Me (feat. Denis Jones) - Official video

 ニンジャ・チューンを代表する鬼才が新作『フレンドリー・バクテリア』を携え、フジに初登場。ユーモアとウィットに富んだハイブリッドなエレクトロニカはこの人ならでは。  カニエ・ウエストの出演キャンセルは残念でしたが、こうして見ると実にバラエティに富んだ顔ぶれですね。今回は「洋楽キュレーション」ということで触られませんでしたが、邦楽もかなりの充実度。もうすぐ発表されるはずのタイムテーブルをチェックしながら、7月25日(前夜祭から見るなら、24日)を待ちましょう。 ■小野島大 音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter ■ライブ情報 『FUJI ROCK FESTIVAL'14』 7月25日(金)26日(土)27日(日) 新潟県 湯沢町 苗場スキー場 http://www.fujirockfestival.com