横山健と俺の11年半ーーPIZZA OF DEATH元名物社員がつづる「疾風勁草」番外編

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『横山 健 -疾風勁草編-』(PIZZA OF DEATH RECORDS)

【リアルサウンドより】  自分は1999年6月から2011年1月まで約11年半の間、横山健率いるPIZZA OF DEATH RECORDSの社員だった。PIZZAが法人化したのは1999年1月なので、ほぼオープニングスタッフである。    横山と初めて出会った場所は、アメリカ・オハイオ州コロンバスの学生街にあるライヴハウス。1998年4月21日のことだった。当時、テネシー州の大学に留学中で、タイミングよくHi-STANDARDがツアーでやってきたのだ。将来、音楽業界で働きたいと思っていた自分は、ライヴ終了後にメンバーを捕まえて己の夢をアピール。すると、ちょうど独立を考えていた彼らの思惑とハマったようで、ボーカルの難波からその場で社員として誘われ、入社が内定。ちなみに、1999年6月8日の出勤初日まで窓口になってくれていたのは難波で、横山がどういう人間なのかは全く分からないままだった。スタッフになった後もしばらくの間、彼は怖い存在だった。後日、本人から聞いたところ、どこの馬の骨かも分からない自分のような人間と一緒に仕事をするのは内心、かなり嫌だったらしい。そういう思いがあからさまに態度に現れていたところに当時の彼の一面が垣間見える。  入社当時の横山との仕事で印象に残っているのは、イギリスのパンクバンドSNUFFのアルバムの日本盤をPIZZAからリリースさせて欲しいとお願いしに行ったときのこと。1999年8月の話だ。来日中だったSNUFFのメンバーが宿泊するホテルを訪ねる道中、横山は興奮を抑えきれずにいた。「うちからSNUFFのアルバム出せたらヤバくない!?」完全にキッズだった。SNUFFとの話し合いは大して込み入った内容でもなく、バンドの前向きな気持ちを確認して終了。それでも、帰りの車内は何か大きなことを成し遂げたような高揚感に包まれていた。今思えば、あの時の興奮が自分と横山の距離を縮めてくれたような気がする。  元々、海外渉外担当として採用されたのだが、翌年4月のSNUFF「NUMB NUTS」とHi-STANDARD「Love is a Battlefield」同時リリースに関する全ての業務、宣伝、販促、制作、ジャケット進行等を彼は自分に担当させてくれた。それだけではない。こんな完全なる素人を音楽業界の様々な先輩のところへ連れて行き、アドバイスをくれるよう頭を下げてくれた。自分の会社のためとはいえ、かなり面倒をみてくれた。このことがきっかけで、その後のPIZZAにおける自分の担当は“リリースに関わる業務すべて”となり、自分一人がいれば何でもリリースできるというところまで鍛えてもらった。  こんな風に社長として様々な業務を持ち前の責任感でこなしつつ、人気絶頂だったHi-STANDARDの活動も続けていたのだから、2000年初頭に彼が抑うつ状態に陥ってしまったのは無理もなかったのかもしれない。ちなみに、SNUFFのメンバーに会いに行ったのは、Hi-STANDARDの大ヒットアルバム「MAKING THE ROAD」のレコ発ツアー真っただ中のことだった。  2000年夏、千葉マリンスタジアムで開催された「AIR JAM 2000」を何とか乗り越えた後、横山は病気療養のため会社に来なくなった。当然のことながら、船頭のいない船は不安定にならざるを得ない。社内は徐々に混乱した。あの頃のことはあまり覚えていない。人間の脳というのは、辛いことほど忘れやすくなる仕組みになっている。だけど、皆、「Hi-STANDARDのためになんとかここを守らなきゃいけない」という一心だったはずだ。そのうち、ポツポツと会社に顔を見せるようになった横山だが、そんな自分たちの想いは全く届いていなかった。彼はふざけていた。会社に来てもすぐにいなくなることもしばしば。そんな振る舞いをした彼の気持ちは今なら理解できる。だけど、当時は勘弁ならなかった。  真面目な話をのらりくらりとかわし続ける社長と、遂に話し合いの場を持つことになった。自分を含むPIZZAの主要スタッフ3人対横山1人。いつ頃のことだったか、どんな話をしたかはあまり覚えていない。ただ、スタッフと横山で見ている方向が異なり、全く話が噛み合わなかったことはたしかだ。しかし、それでは終わらなかった。解決策が見つからないまま話し合いが膠着状態に陥った時にスタッフ側が発した「俺たちはみんな幸せになりたいんです!」という言葉が響いたのか、その日以降、少しずつ事態が好転していったような気がする。改めて文章にするとクサいドラマのようだけど、こっちだってそれだけ必死だったのだ。  最近のファンからすると意外かもしれないが、10年前の彼はまだ一国一城の主としては頼りなかった。そもそも、PIZZA OF DEATH自体がまともなレーベルとして認知されていなかったし、アンダーグラウンドの人間からは陰口も叩かれていた。インディーの規模でありながら、メジャー的な展開をするレーベルというのは今でこそ珍しくないが、当時は皆無だったのだから仕方がない。しかし、2003年8月にリリースしたHAWAIIAN6「SOULS」のヒットを機に、社内の空気はすこぶる良くなった。  横山健という男は基本的に頭が良いし、感覚も鋭く、人間的にも熱い。件の話し合い以降も問題がなかったわけではないが、彼はメキメキと社長らしい包容力や決断力を身につけていった。スタッフのことを気にかけるようになった。恐らく、とことん深いところまで自分自身と向き合い、スタッフと頻繁に会話を交わし、トライ&エラーを重ねながら彼なりの社長哲学を構築していったのだと思う。もちろん、創作活動も並行しながら、だ。  2006年9月、レーベル初となるコンピレーションアルバム「The Very Best of PIZZA OF DEATH」を発表。この頃には、言い方は変だけど、どこに出しても恥ずかしくないレーベルオーナーに横山は成長していた。そして、このタイミングで彼は、オリコンが発行する業界紙をはじめとする様々なメディアで、アーティストとしてではなくレコード会社の代表取締役として初取材を受けることになる。もちろん、ブッキングしたのは自分だ。Ken Yokoyamaとして前年に発表した2ndアルバム「Nothin’ But Sausage」もヒットを記録。社長業とアーティスト業のバランスが取れてきたのはこの頃からかもしれない。その後も作品を重ね、2008年1月には日本武道館公演、2010年10月には幕張メッセ&神戸国際展示場公演を成功させた。当時は考える余裕もなかったが、こうして振り返ってみると、改めてすごい男だなと思う。  社長として、彼が最も素晴らしいのはスタッフをとことん信じるところ。これを「信じて任せるの精神」と呼んでいるのだけど、彼は一度任せた仕事に対してほぼ口を挟まない。スタッフのやりたいようにやらせてくれる。その分、スタッフ一人ひとりにのしかかる責任は甚大になるのだけど、それ以上にモチベーションにつながる。これは並みの精神では出来ないことだと思う。常識的に考えたら、新卒のペーペーに100万枚を売るアーティストのリリースに関わる一切合切は任せられないでしょう。「横山健は常識的な人間ではない」と言われてしまえばそれまでだけど。  ここ数年で、横山健という男はパンクの枠を越えて、多くの音楽ファンから支持を受ける存在になった。彼が起こす行動に対して投げかけられる「さすが健さん!」なんて言葉もよく見かけるし、「これは横山健だからできるんだ」という空気すら感じることもある。でも、それは違う。なぜなら、ここまで語ってきた通り、彼は最初からデキる社長だったわけではないからだ。もちろん、音楽家としての才能は元々あったのだろう。しかし、それ以上に彼は努力を重ねてきた。挫折を味わいながら、曲がりくねった道を走り抜けてきた。自分は今、PIZZA OF DEATHを離れ、別の場所で活動しているけれど、俺はそんな彼のことが今でも大好きだし、尊敬している。  今月24日にリリースされるDVD「横山健―疾風勁草編―」は、昨年秋に劇場公開された横山健初のドキュメンタリーフィルムだ。全国60の劇場で上映され、期間限定にも関わらず、3万人の動員を記録したという。しかも、配給会社を一切通さずに、だ。今年6月に開催されたPIZZA OF DEATH主宰の大型パンク/ラウドロックフェス「SATANIC CARNIVAL」も、なんとイベンターの力を借りずに成功へと導いた。この事実はあまり周知されていないが、イベント制作部門を持たないレコード会社が主宰する万人規模のイベントとしてはかなりの偉業である。「自分たちで出来ることはやれる範囲で全部やる」というインディペンデント精神は昔から全く変わらない。  世間がどう思っているかは分からないが、自分は横山健という人間にまだまだ可能性を感じている。やって欲しいことがたくさんある。オンステージ以上に強烈なセンスを発揮するトークスキルは地上波のバラエティ番組に送り出したいぐらいだし、他のアーティストへの楽曲提供も積極的にやって欲しい。だけど以前、インタビュー中にそう訴えたらこう返された。「でも、一人の人間が生きてるうちに発せることってこんなもんだと思うよ?」そんなクールな物言いをしながらも、きっとまんざらでもないはず。「着地点を決めない、目標設定をしない」と常々語っている彼のことだ。何かやってくれると信じている。 ■阿刀 "DA" 大志 75年生まれ。PIZZA OF DEATHにて宣伝制作を10年以上務めた後、12年からフリーランスに。現在は執筆業を中心に、プロモーター、音楽専門学校講師など、音楽に関わるあらゆる分野で雑食的に活動中。 ■リリース情報 『横山 健 -疾風勁草編-』 発売日:9月24日 価格:3,800円(税抜) 収録分数:本編 117分 + 特典映像 37分 発売元:PIZZA OF DEATH RECORDS 特典:DVDでは劇場本編には収録されていない特典映像も収録のほか、 Ken Yokoyamaの新曲を収録したシングルCD付き。

EXILE弟分ユニット・GENERATIONS躍進の理由は? “総合エンタメ”としての可能性を分析

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【リアルサウンドより】  EXILEの弟分として現在売出し中のGENERATIONS from EXILE TRIBEが、9月5日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、新曲「Always with you」を披露する。  同グループは、2010年に行われた三代目J Soul Brothersのボーカルを決めるためのオーディション『VOCAL BATTLE AUDITION 2』で、ファイナリストに残った数原龍友と片寄涼太の2人に対し、EXILEのリーダーであり、事務所社長のHIROが「この2人を含めた若いグループを結成したい」という提案をしたことからスタート。2011年の4月にはEXPG(EXILE PROFESSIONAL GYM)内でのオーディションで小森隼・佐野玲於・関口メンディーが選出され、劇団EXILEのメンバーであった白濱亜嵐・町田啓太を加えた7人が「メンバー候補生」として同年7月に発表された。その後、同グループはマイクロバス1台で日本全国を移動してライブをする「夢者修行」などを行い、2012年2月に町田が役者の道を志すためにグループを脱退。同年9月にサポートメンバーの中務裕太が加入し、11月21日にシングル『BRAVE IT OUT』でデビューを飾った。  今回はそんな彼らを、「音楽・ダンス」「クリエイター陣」「メディア戦略」という3つの視点から分析したい。

“K-POP風”から“J-POPでありながらソリッドな音楽性”への変化

 GENERATIONS from EXILE TRIBEは、これまでシングル5枚とアルバム1枚をリリースしており、デビュー作『BRAVE IT OUT』から最新作『Always with you』に至るまで、その音楽性やパフォーマンスは少しずつ変化を見せている。1stシングル『BRAVE IT OUT』、2ndシングル『ANIMAL』ではドープな低音とソリッドなトラックにキレのあるダンスを組みあわせ、K-POPと親和性のあるアプローチを見せたかと思えば、3rdシングル『Love You More』では流麗なジャズ・ヒップホップのトラックに、片寄のフレッシュな声質と数原の厚みを持ったボーカルを乗せた壮大なバラードを展開。4thシングル『HOT SHOT』と5thシングル『NEVER LET YOU GO』では、立体的なトラックや高度なパフォーマンスを保ちつつもマイルドに仕上げ、“J-POPでありながらソリッドな音楽性”というGENERATIONSのカラーを打ち出した。そして最新シングル『Always with you』では、ソフトEDM的なシンセで楽曲を引き締めつつも、初期EXILEの「Together」や「Carry On」を連想させるポップな楽曲で、片寄と数原のボーカルの魅力を最大限に演出。ダンスにも徐々に余裕も見え始め、次第にその実力を開花させている。

現在のグループを形作った強固なクリエイター陣

 EXILEから続く流れとして、製作陣には一流のトラックメイカー、クリエイターが集結。当初はKis-My-Ft2などを手掛けるDrew Ryan Scottを起用したものの、Erik LidbomやBACHLOGICなど、徐々に先輩グループであるEXILEや三代目J Soul Brothersと同じ作家陣に移行していく。特にSKY BEATZは、GENERATIONS from EXILE TRIBEの現在形を作ったといっても過言ではないトラック・メイカー。彼はSEEDAやRHYMESTERなどのジャパニーズ・ヒップホップ界隈でトラック・メイカーとして名を挙げたが、一方で西野カナや加藤ミリヤ、三浦大知などを手掛けるなど、J-POPシーンにおいてもその実力を発揮している。『NEVER LET YOU GO』『Always with you』という直近のシングル2作では表題曲を続けて手掛けており、この先も彼らの色を余すところなく発揮するトラック・メイカーとなりそうだ。  ダンス面では、EXILE一族に共通する“高難度だが振り付けを見やすいPV”を毎回手掛ける久保茂昭の存在も見逃せない。彼はEXILE一族におけるほぼ全てのPVで監督を務めているほか、AKB48グループや山下智久なども手掛け、2014年には『MTV Video Music Awards Japan2014』で、「最優秀ビデオ賞(EXILE『EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~』)」、「最優秀R&Bビデオ賞(三浦大知『I'm On Fire』)、「最優秀振り付け賞(E-girls『ごめんなさいのKissing you』)」を獲得、3部門制覇を成し遂げている。

絆深める「修行」でファンと成長過程を共有

 「夢者修行」は、GENERATIONS from EXILE TRIBEを含む、EXILE一族の成長過程を語る際に欠かすことの出来ないキーワードの一つだ。メンバー全員が1台のマイクロバスに乗り込んで、日本全国を移動。その中で生まれるパフォーマンスの向上やメンバー間の絆がグループの一体感をより強固なものにしているのだ。これは2006年、LDH所属アーティスト・ユニットの総称を「EXILES」としていた頃に彼らが行った「武者修行」を原点としており、その後は(二代目)J Soul Brothers、Dream、Happiness、Flower、そしてGENERATIONS from EXILE TRIBEに引き継がれた。そして現在は今春発足したプロジェクト「THE RANPAGE」が「夢者修行」を行っている。この模様は逐一『週刊EXILE』(TBS系)で放送され、ファンは毎週彼らの活躍や苦悩など、ステージでは見せない姿から、その人となりや成長ぶりを実感することができる。「夢者修行」を通して、GENERATIONS from EXILE TRIBEを応援するようになったというファンも少なくないだろう。  音楽やパフォーマンスの面だけではなく、クリエイションやメディア戦略も含めて総合的なエンターテイメントを展開しているEXILE一族。リーダーの白濱亜嵐は今回の『ミュージックステーション』出演に際し「まだ僕達を知らない方もいると思うのでこの機会に知っていただければと思います」と意欲を語っている。今回『Mステ』で披露される新曲「Always with you」によって、GENERATIONS from EXILE TRIBEはさらに大きなステージへと飛躍しそうだ。 (文=中村拓海)
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GENERATIONS from EXILE TRIBE『Always with you (CD+DVD)』(rhythm zone)

■リリース情報 『Always with you』 発売:2014年9月3日(水) 価格:CD+DVD 1,800円+税    CDのみ 1,000円+税    1CoinCD 463円+税    Music Card(全8種共通) 463円+税 <CD収録内容> M1.Always with you M2.花 M3.Always with you(Instrumental) M4.花(Instrumental) ※Special bonus track NEVER LET YOU GO(English Version) <DVD収録内容> Always with you(Music Video)

乃木坂46が神宮公演で見せた“パフォーマンス力”の萌芽 メンバーの自信と自覚を読む

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【リアルサウンドより】  乃木坂46『真夏の全国ツアー2014』ファイナル東京公演が8月30日、明治神宮野球場で行われた。10thシングル『何度目の青空か?』でセンターとして復帰する生田絵梨花が同曲披露でステージに立ったほか、療養中の橋本奈々未もアンコールのMCで姿を見せ、またAKB48の握手会があったため東京公演に帯同できなかった松井玲奈も中継で登場、グループ全員が顔を揃える千秋楽となった。  今回のツアーで乃木坂46は5都市9公演を行ない、30日のライブでは約3万人を動員した。今夏で結成から3周年を迎えキャリアを重ねてきた乃木坂46だが、それぞれの本拠地に常設劇場を持つAKB48グループと違ってライブの経験に乏しいこともあり、ライブパフォーマンスについては課題でもあり続けている。しかし、この日のライブでは、その弱点を克服し、ライブグループとしてのレベルアップを目指すための萌芽も見てとることができた。ここではその萌芽のいくつかにクローズアップしたい。  まず特筆すべきは、アンダーメンバーの躍動である。この日最初のアンダー曲となった「生まれたままで」から、キレの良い動きで皆を引っ張る伊藤万理華を中心としたアンダーメンバーは、力強く堂々たる姿を見せる。選抜メンバーが固定されがちな乃木坂46の中で活路を見出しにくくもあった彼女たちが、ひとつ進化したレベルに立っていることをうかがわせた。それはグループ結成以来、アンダーメンバーの中でも決して恵まれた位置にいなかった斎藤ちはるの表情にもあらわれる。10月8日発売の『何度目の青空か?』でようやく初の選抜入りを果たす斎藤はこの3年間、目立つ場所を与えられる機会が少なく、思い悩む気持ちを吐露することもあった。しかし、神宮球場に立った彼女の顔には余裕の色さえ見え、以前よりくっきり大きくなったパフォーマンスが広い会場によく映えた。  このアンダーメンバーの頼もしさは、今年6~7月に行われ、引き続き10月にも公演が決まっているアンダーライブの成果によるものだろう。アンダーライブはメディア露出の限られている彼女たちにとって貴重な活躍の場だが、それにとどまらず、むしろ選抜常連メンバーには経験できない継続的なライブ活動の機会として、アンダーメンバーの大きな糧となっている。アンダーライブを経た現在の彼女たちは、単に選抜常連組の後塵を拝するような存在ではない。その経験を武器に、あわよくば選抜常連メンバーを喰わんとする勢いさえ見せていた。自信をつけてきた彼女たちのパフォーマンスは、グループ全体に厚みをもたらしている。  目覚ましい印象の変化を見せていたのは、『気づいたら片想い』『夏のFree&Easy』と直近の2作連続でセンターポジションを務めている西野七瀬だ。いわばこのライブ時点での、乃木坂46のセンターは彼女である。生駒里奈をはじめとするこれまでのセンター経験者や、他の福神(選抜メンバー前列ポジションの呼称)常連メンバーに比べて、西野は自身を強烈に押し出すことが少なく、センターに立ってなおその言動は控えめだった。
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 しかしこの日の西野は、一曲目の「夏のFree&Easy」から煽りにも表情にも、ひとつ殻を破ったようなパワーが見え、春から今回のツアーに至るまで選抜メンバーの中心として活動してきた証を見せつけていた。どこか不安げにしているような仕草は今も変わらぬ彼女の個性だが、この日のライブでの存在感は強く、支柱のひとつになっていることを示した。センターというポジションは、確実に彼女の自覚を引き出している。  そして生駒里奈。デビュー以来、乃木坂46のフロントに立つ者としてグループを背負ってきたのは彼女である。昨年夏の6thシングル「ガールズルール」以降、センターポジションから外れ、形式上は脇を固めるメンバーとして選抜に名を連ねてきた。  しかし、生駒はどのポジションに移ろうとも、常に乃木坂46の象徴として存在した。センターが別のメンバーに変わっていくたび、むしろ彼女が揺らぐことのない、グループの絶対的中心であることが浮き彫りになるようでさえあった。  それを物語るのはこの日のライブ終盤、「世界で一番 孤独なLover」から「制服のマネキン」への流れである。セットリストがクライマックスに近づくほどに、パフォーマンスの核が次第に生駒へと収斂していく。「制服のマネキン」でスクリーンに大写しになった生駒の表情は気高く、彼女がグループの屋台骨を引き受ける存在であることを強く示すかのようだった。
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 乃木坂46のパフォーマンスレベル向上の必要性やグループの対世間的な見え方に関して、常に人一倍自覚的な言動を行なってきた生駒だが、その責任感からくる孤軍奮闘は時に空回っているように見えることもあった。AKB48との兼任もあり、いまだ彼女が背負い込むものはあまりに大きい。  しかし今回のライブツアーで見えたのは、アンダーメンバーや、西野らセンター経験者など、生駒の周囲を固めるメンバーが獲得しつつある自信と自覚だった。その進化は、ライブパフォーマンスの端々で少しずつ実を結び始めている。それは、「魅せる」ことについての各メンバーの意識が、一段高まってきたことの証左でもあるだろう。  メンバーの技量の面でも、大会場を用いた演出の面でもステップアップすべき点は多く、まだまだライブ運びが巧みなグループとはいえないかもしれない。しかし、乃木坂46のメンバーは、次のレベルを見据える準備を少しずつ整えつつある。 ■香月孝史(Twitter) ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

在日ファンク・浜野謙太、“大人の意思表示”を語る「他の音楽よりも怒ってる自信がある」

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【リアルサウンドより】  俳優、タレントとしても多岐にわたって活躍する浜野謙太が率いる7人組ファンクバンド・在日ファンク。彼らが9月3日、メジャーデビュー作となるアルバム『笑うな』を日本コロムビアよりリリースする。“日本”に“在るところ”のファンクを主張する彼らの新作は、浜野のコミカルで楽しいイメージとは裏腹に、音楽的にはストイックで尖った仕上がりを見せている。今回、リアルサウンドでは浜野本人にインタビュー。新作に込めたファンクへの情熱から、SAKEROCKで活動を共にする星野源にも影響を受けたというバンド運営術、さらには多岐にわたる個人活動が在日ファンクに与える影響についても語った。

「リーダーシップはないけど、フォロワーシップはかなりある(笑)」

――今作『笑うな』は歌も演奏もソリッドで、全体的に尖った印象を受けました。とても音楽的で、ストイックな作品ではないでしょうか。 浜野: メジャーに行くってことは、「センセーショナルな感じにやってくれ!」という感じになるのかと思いきや、コロムビアの有名なディレクターさんに「ファーストみたいな曲を作ってくれ」と言われて。最初は「あんな荒削りの、痛々しい感じでいいのかな」と思ったんですけど、今までよりお金も時間もかけて、「原点回帰」というものを考えたんですよね。その結果として、サウンドも歌詞もどんどん削っていく方向になりました。最終的には「メンバーみんなにハマるかどうか」という言葉にならない基準でジャッジしましたね。 ――タイトルトラックの「笑うな」は、ミディアムなところもありつつ、ファンキーな要素が強いですね。こういう曲を日本語で表現するのは難しいと思うのですが。 浜野: この曲、メンバーからも初めてちゃんと歌詞をほめてもらったんですよ(笑)。制作期間の終わりの方に、「あ、歌から作らなきゃダメだ」と気づいて、作り方を変えようと。これまではカラオケボックスに閉じこもって一人で歌メロを吹き込んだりしていたんです。それをやめて、自宅がある砧から世田谷通りを通って、環七若林まで歩いて引き返すというウォーキングの間に作ってみたら、珍しくメンバーからの評判がよかったという(笑)。 ――トランペットなどのアレンジが、従来のジャズやファンクとは違う角度で入ってきます。 浜野: アカデミックな理論を持っているメンバーもいて、型破りなものを持っていくとよく苦笑いされちゃうんです。でも「絶対なんか言われるんだろうなー」と思うようなアレンジも、ハマると何も言われない。以前はけっこうぶつかっていたんですけど、僕の出し方が上手くなったのもあるし、メンバーの“クーデター”の起こし方もうまくなっていて(笑)。だから、メンバーの意見を聞いて「確かにこうして良かった!」と納得させられた部分もたくさんありますね。僕はリーダーシップはないんですけど、フォロワーシップはかなりある方だと思います(笑)。 ――浜野さんがいつも音楽的にグイグイ引っ張っている、というわけではないと。 浜野: そうですね。合議制になるときもありますよ。ただ、僕の歌詞が出始めたら、誰も邪魔しないですね。「これどういう意味なの?」なんていう人もいないし、ちょっとだけあるリーダーシップを大事にしてくれる(笑)。 ――バンドは上手くいっているように思えますが、運営上の悩みはあるのでしょうか? 浜野: やっぱりリーダーシップのあり方には悩みますね。例えば、ずっとメンバーとして活動している SAKEROCKで、星野源くんのリーダーシップを見ていると、「バンドってこういうものなんだ!」と学ぶところが大きいんです。SAKEROCKは「みんなで考えようぜ」ということからスタートして、最後はみんなが納得する形になるように星野くんが引っ張る。メンバーは「着いてきてよかったな」と思わせてくれるのが彼のすごいところなんです。サウンドも「こんなのありなのか?」って疑ったりするけど、やってみると「あ、これだ」って思いますから。  で、それを在日ファンクに導入しようとすると失敗する。(笑)。在日ファンクだと、僕が「これはすごいんだ!」と言っても「それは違うよ」と返されて、メンバーの言うとおりにすると「あ、そっか」って僕が納得させられる(笑)。 ――在日ファンクは、“上手く引き出すメンバー”と“上手く引き出されるリーダー”という関係性で成り立っているわけですね。 浜野: 大人じゃなかったら、こんなにミーティングやディスカッションを重ねるバンドは崩壊しちゃうと思うんですけど、そこは何とかいい塩梅でできていて。今回の音源に関しては、狭いレンジで一つひとつの音が分離していない“塊”のようなものを、メンバー全員が共通イメージとして持っていたんです。他でミーティングをやりまくっていたからなのか、これに関しては特に会話をせずとも共有できていたことに驚きでした。この7人による“塊”をどう伝えるか、今回はこれに定まっていたんです。 ――なるほど。今回のレコーディングでは、どのメンバーの存在感が強かったのでしょう? 浜野: ベースの村上(啓太)ですね。彼はサラリーマンをしながらバンド活動をしていて、プレイが下手というわけではなく、どこか不器用で無骨なんですよ。そして、村上はわかりやすくて、できないものはできない。だから、僕が必要以上に小難しいベースラインを持ってくると制作がストップしてしまうけど、村上が納得して演奏しているとバンドはものすごい勢いで回り続ける。『笑うな』の制作中は村上の反応を見て、彼にハマらない曲はガンガン捨てて行きました(笑)。もともと「在日ファンク」という名前を提案したのも村上だったし、このバンドのことを一番わかっている男だと言っても過言じゃないんですよね。 ――村上さんこそ在日ファンクであると。では、メンバー7人のファンクの原点とは。 浜野: 「聴いている音楽はバラバラだけど、JB(ジェームズ・ブラウン)は好きだよ」という感じですね。僕らは、よく「JBのマネじゃん」って言われるんですよ(笑)。ロックの場合は地平が広いから、「プレスリーのマネじゃん」とか、「結局、ビートルズだよね」なんて言われないですけど、ファンクはそうではなくて。一方で、「ファンクはそんなんじゃねぇ」とか言われる。そんななかで、これまでいろいろなアプローチで制作してきた結果として「何をやっても在日ファンクになるし、どんなやり方でも(カタカナで)ファンクと言っちゃえばいい」という結論になって(笑)。正直、洋楽至上主義みたいなのに嫌気が差しているところもあるので、「俺らは俺らの解釈をしようぜ」という形を作っていきたいです。
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「大人だってもっと怒っていい」

――「在日ファンク」という名前にも表れていると思いますが、 洋楽志向とは違う、独自のファンクを追求するということですね。 浜野: そうですね。いつだったか「ファンクはレベルミュージックだから、そんなにおちゃらけた歌を歌っちゃダメだ」と言われたこともあるんですけど、僕らはこんな歌詞でも、他の音楽よりも“怒ってる”自信があるんです。そういう意思表示としてのファンクというのもあって。「俺らファンクだし、もっと理屈っぽいこと言ってもいいんじゃないか!」とは思っています。 ――確かに、随所に社会的な事象を連想させるキーワードが散りばめられています。 浜野: でも、「社会派だ!」みたいに言われちゃうのは嫌だなって。こういうの、海外のアーティストはどうしてるんですかね?(笑)。よく「海外と違って日本って平和じゃん」という話題になることがあるんですけど、それって飼い慣らされてるだけのような気もして。例えば、テレビがお笑いに偏っているのもそう。本当はエンターテイメントってもっとバラバラで、政治が介在したりしているじゃないですか。でも、みんなテレビばっかを見ているし、みんな同じようなことをしていれば平和が保たれていると思ってる。だから、ちょっとでもKY発言をすると、一つになれない非国民め! ってなっちゃう。そういう風潮はどうかと思うんですよね…。 ――ファンクにおいては、Pファンクの「One Nation Under A Groove」みたいな思想があります。浜野さんが言う「今の日本におけるつながり方」と、ファンクが目指す連帯は違いますよね。 浜野: 僕も最近結婚して、子どもができました。そうなるとだいたい「大人になっちゃったよね。ハマケンも落ち着いちゃうんだ…」なんて言われるんです。でも、それはくだらない思い込みです。落ち着く=大人となってしまってる。それって上の世代が作ったくだらないセオリーじゃないですか。そのせいで、みんなが思ってる「怒り」とか「音楽」って、子どものためのものになってる気がするんです。でも大人だってもっと怒っていい。完成したアルバムを聴いたときに「あ、これが大人の怒りだ!」って思ったんです。 ――なるほど。ただ、俳優でも活躍中の浜野さんは、そのタレント性でいまや引く手あまたなわけですよね。その中で、在日ファンクの位置づけとは? 浜野: 怒りを出したい、今の自分を表現したい、という場ですね。ほかのいろいろな活動に関しては失敗することもたくさんあって、反省することが多い(笑)。その結果として、バンド活動の時間を圧迫してしまっているんですけど、刺激を受ける部分は本当に大きいから、メンバーには「自分の表現活動にとっては重要だから」と伝えて納得してもらっています。メンバーも良い仕事は良いと言ってくれますし、「あれはかっこ悪い」とか「あの仕事はない」と指摘を受けることもあります。
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「落ちこぼれやヤンキーじゃないやつらの方が、不条理を抱え続けている」

――メンバーのみなさんも、リーダーである浜野さんをシビアに評価していると。 浜野: 自分もアイデンティティをひとつにしたいという欲のようなものがあって、「在日ファンクじゃない仕事はやらない」「在日ファンクじゃない服は買わない」という思いはあるんですよ。それで、最近「俺は在日ファンクになりたい」という声明を出して、みんなから「ん?」と言われたんですけど(笑)。他のバンドに関しても、在日ファンクのメンバーが見に来てくれた他のライブがあって、そこで僕は大人しくしてたんです。「在日ファンクでは怒るけど、ここでは良いサウンドを作る」という風に空気に馴染んでいたんですが、後でメンバーから「あのハマケン、めちゃくちゃかっこ悪かったよ。もっと掻き乱してくれよ! あれをリーダーなんて思いたくない」って言われてしまって。 ――すごいツッコミですね(笑)。 浜野: ガンガン言いますからね。どんな場においてもフル回転して、刺激的な立ち回りをしないと、自分自身にも刺激が返ってこないんだと気付きました。 ――そういった意味では、ある価値観を共有しているという点で、在日ファンクは共同体として機能してますよね。 浜野: 好きな音楽はバラバラなんですよ。でも、みんな考えることが好きで、それぞれ型にハマっていきそうな真面目さがある優等生タイプなんです。僕が『鈴木先生』っていう映画に出演させていただいた際に、原作を読んで共感する部分が多かったんです。クラスの落ちこぼれやヤンキーって目に掛けられるし、社会に出てから学校に遊びにきたりするけど、僕みたいな人間は、そういうところに行きたくないし行けない。「おう、先生!」なんて言えないですよ(笑)。そういうやつらの方が、悩みがあるし、不条理をなんとなく抱え続けてるんですよね。僕もたまに「リア充」って言われると「ああ、そうだよ」って思うんですが、一方で「なんだこれは? お前ら、俺に対して優越感を持って『リア充』って言ってないか?」という考え方になるときがあります。 ――なるほど、ヤンキーでも落ちこぼれでもない人たちにとっての「怒り」の共同体というのは面白いコンセプトですよね。ただ繰り返しますが、メジャーデビュー以降は、ますますテレビからの出演依頼も増えそうです。 浜野: この間、広末涼子さんとドラマでご一緒した際に、僕は話しかけれなかったんですが、広末さんのほうから「爆弾、こわーい」って言ってくれたんです! 『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日系)に出演した際も、脚本家の金城一紀さんに「『はやりやまい』って曲が好きです」って言ってもらったり、話題に挙げてくれる現場の方が最近、増えてるんですよ。共演者が在日ファンクとして認識してくれてることが多くなってきたので、やっぱり俳優業も在日ファンクとして音楽に昇華しなきゃいけないと思います。僕はミュージシャンとして活動し始めてから役者としてオファーをもらっているので、何かを判断するときに「映画はミュージシャンでいうところのレコーディングなのかな。監督はバンドリーダーかな」とか、ミュージシャン的な考え方になるんですよね。  不器用だし、役者道を極めない、ずるい立場に自分を置けるからこそ、どっちにもフィードバックができる。極めすぎず、「どちらも面白い」と感じることが最高じゃないですか。惰性になってきたらやめた方がいいと思いますし。すごい役者の人に「え、役者じゃないの!? ミュージシャンとは思えない!」って言われると、してやったりですね(笑)。 ――ミュージシャン兼俳優の系譜といえば、泉谷しげるさんあたりが先駆者ですよね。 浜野: そこまでいけたら最高ですね! 役者さんを見ていると、「器用になるのはイヤだな」って感じるんです。主役をやるような人ってだいたい、器用じゃない何か、器用さを超えるオーラがあるというか。そういう意味ではミュージシャンっぽい感じが出ると最高だなって。泉谷さんも、彼がやってる音楽を知らなくても、「あ、何かやってるんだろうな」って思ったりするじゃないですか。そこらへんが素晴らしいなと思います。その位置まで在日ファンクが行けたら――「すごいディープな音楽やってるらしいよ」ってお茶の間に言ってもらえるようになりたいですね (取材=神谷弘一)
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在日ファンク『笑うな』(日本コロムビア)

■リリース情報 『笑うな』 発売:2014年9月3日(水)
 価格:初回盤(CD+DVD)¥3,500+税、通常盤(CDのみ)¥2,800+税、アナログ盤¥3,200+税 <CD収録内容> 1.大イントロ 2.根に持ってます 3.ちっちゃい 4.脈 5.不甲斐ない 6.場 7.パラシュート 8.恥ずかしい 9.断固すいません 10.産むマシーン 11.笑うな 12.百年 <アナログ盤収録内容> ・SIDE A 1.大イントロ 2.百年 3.根に持ってます 4.場 5.脈 6.不甲斐ない ・SIDE B 1.ちっちゃい 2.産むマシーン 3.パラシュート 4.恥ずかしい 5.断固すいません 6.笑うな <DVD収録内容>※初回盤のみ 「根にもってます」Short Movie(監督:荻原健太郎)、Making Movie   「在日ファンク【所信表明】コメント」Long Version(監督:山岸聖太) ※メンバーによるオーディオコメンタリー付き ■ライブ情報 在日ファンク 『笑うな』発売記念ツアー 10月4日(土)福岡 BEAT STATION  10月5日(日) 広島 NAMIKI JUNKTION  10月12日(日)梅田 CLUB QUATTRO  10月13日(月祝)名古屋 CLUB QUATTRO  10月18日(土)高松 DIME  10月19日(日)京都 MUSE  10月25日(土)松本 ALECX  10月26日(日)金沢 AZ  11月1日(土)仙台 CLUB JUNK BOX  11月2日(日)新潟 GOLDEN PIGS REDSTAGE  11月8日(土)盛岡 CLUB CHANGE WAVE  11月9日(日)秋田 CLUB SWINDLE  11月14日(金)札幌 PENNY LANE 24  11月16日(日)東京 EX THEATER ROPPONGI 

ドリカム、新作『ATTACK25』大ヒットの背景とは? “ヒットの方程式”に頼らない音作りに支持

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【リアルサウンドより】  DREAMS COME TRUEのニューアルバム『ATTACK25』が、大きなヒットを記録している。  デビュー25周年を迎え3年9ヶ月ぶりにリリースされた本作は、初週9.0万枚を売り上げ、オリコン週間アルバムチャート1位を記録。2週目となる9月8日付チャートでも2位となった。90年代、00年代、10年代と3年代にわたる首位獲得も実現し、この記録は、SPEED(90年代・00年代)、いきものがかり(00年代・10年代)らの2年代連続を上回り、女性ボーカルグループ史上初の記録となる。ロングヒットの兆しも見え、世代を超えて愛されるグループの人気を改めて示した形となった。  そして、ニューアルバムの内容が、かなり挑戦的なものになっていることも非常に興味深いポイントだ。タイトルにも「攻め」の姿勢を表した新作は、派手な活動が目立つアニバーサリー・イヤーだからこそ、「これまでの25年」の成果だけでなく、グループの「これからの25年」の可能性を示そうという意志が感じ取れるものになっている。ここでは、そんな今のドリカムの音楽的なビジョンと戦略を紐解いていこう。  まずは曲順を見ると一目瞭然なのだが、アルバムの構成が非常に挑戦的だ。後半8曲にドラマや映画やCMのタイアップソングを並べ、前半8曲には書き下ろしの新曲が並ぶという曲順。いわばA面とB面をきっちりわけた構成で、9曲目以降のB面はヒットメイカーとして、J-POPのメインストリームで求められる役割を100%果たしたドリカム流のポップソングが並んでいる。  一方、冒頭から8曲目までのA面は、ファンクやソウル・ミュージック、フュージョンのルーツを今のセンスで料理したドリカム流の「ネオ・コンテンポラリー」とも言うべき楽曲群が並ぶ。吉田美和と中村正人のミュージシャンとしての現在進行形の興味やセンスを示すこちらの8曲をあえて前半に持ってきたことに、まずは彼らの強い意志が表れていると言っていいだろう。 DREAMS COME TRUEのニューアルバム
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DREAMS COME TRUE『ATTACK25』(ユニバーサル・シグマ)

 筆者もサマーソニックで彼らのライヴを観たのだが、「うれしい!たのしい!大好き!」や「LOVE LOVE LOVE」「決戦は金曜日」「何度でも」などの人気曲で盛り上げつつ、新作からの「ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE」も披露。吉田美和の圧倒的な歌唱力を中心に、ホーン隊やダンサーも含めた派手なパフォーマンスで、気合いの入ったステージを見せていた。25年のキャリアを経て初の夏フェス出演となった今回も、ファンだけでなく広い層に自分たちの音楽が持つ「エンタメと先鋭性の共存」を見せようという意志があったはずだ。  そして、現在のドリカムの音楽性からは、様々なアーティストとの繋がりを見出すこともできる。  そもそも、ドリカムの登場が画期的だったのは、ソウルやファンク、R&Bやフュージョンのバックグラウンドを元に、80年代以降の日本の音楽シーンに新たなポップスの形をつくったこと。プリンスやアース・ウィンド&ファイアー、ジャコ・パストリアスなどをルーツに、独特のシンセサウンドやヒネりに満ちたコード進行を加えたサウンドは、J-POPシーンとアメリカのブラック・ミュージックを繋ぐリンクの一つとなった。  また、NHKの番組『SONGS』でも明かされた通り、シンガーやミュージシャンやダンサーが一つのチームとなって総合的なエンタテインメントを作るその精神性は、親交の深いHIROを通じてEXILEにも受け継がれている(参考:EXILE・HIRO、ドリカム中村と“苦難の時代”を語る「がむしゃらに売れたいと思った」)  そして、自らの音楽的ルーツへのリスペクトを示すことも今のドリカムの活動の大事な要素になっている。たとえば、中村正人と吉田美和がオーナーを務めるレーベル「DCT records」では、スティービー・ワンダーやジャクソン5の作品に参加しモータウン・サウンドを支えてきた73歳の名ギタリスト・デヴィッド・Tウォーカーのソロアルバムもリリース。彼は新作の“A面”収録の「MORE LIKE LAUGHABLE」にもゲスト参加し、円熟のギタープレイを聴かせてくれている。  一方、アルバムには最先端の音楽シーンとのリンクを感じさせる楽曲もある。同じく“A面”収録の「軌跡と奇跡」は、デビュー作が世界中でヒットしているスウェーデン発の3人組、ダーティー・ループスにも通じるテイストの楽曲。インタビューでは、ブレイク以前から吉田美和が彼らのことを気に入っていたことも明かされている。  カバー盤『私とドリカム-DREAMS COME TRUE 25th ANNIVERSARY BEST COVERS-』の豪華メンツが証明しているように、いまや下の世代のミュージシャンからも広く尊敬を集めるドリカム。吉田美和の“天才性”と中村正人の“職人魂”との絶妙なバランスが、これまで25年の活動を支えてきた。ニューアルバムでは、これまでのヒットの方程式を繰り返すのではなく新たな刺激を生み出そうとする意志も見せてくれた。  中村正人はデビュー当時も今も目標を「グラミー賞」に定めている。J-POPという特異な音楽シーンの礎となったその功績が、この先、海外からも認められる日が訪れるかもしれない。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

きのこ帝国、バックドロップシンデレラ、感覚ピエロ……今聴くべき若手実力派バンド12選

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きのこ帝国『ロンググッドバイ』(UK.PROJECT)

【リアルサウンドより】  レコード会社やレーベルに頼らずとも、ライブでの活動はもちろん、ネットなどをうまく使えば多くの人に自分の音楽を聴いてもらえる現代。情報も流行も音楽も与えられるものではなく、リスナーが選ぶ時代となっていて、その取捨選択の自由度はバンドの音楽性の多様化にも繋がっている。  特にインディーズ・シーンにおいては、ヒットチャートを席巻するようなポピュラティーを追求するのではなく、オリジナリティーを突出させたバンドも多い。そのどちらが正解でもないが、「何が出てくるか解らない」期待感は、インディーズ・バンドの魅力の一つだ。現在のシーンを引っかき回してくれそうな独創性があり、かつ実力派のバンドたちに注目してみたい。

きのこ帝国

きのこ帝国「海と花束」

 耳の早いギターロック好きに注目されてきたバンド。シューゲイザーやポスト・ロックの流れを汲んだオルタナティブ・ロック。淡々としながらも、どこか神々しさを感じる佐藤のボーカルと、狂気さえ漂うギターが鮮烈。轟音や爆音という言葉だけでは形容できないサウンドは、ふと聴き入ってしまうもので、時にハッとさせられる。実に不思議なバンドだ。

空きっ腹に酒

空きっ腹に酒「イマ人」

 今のシーンにおいて、変わったバンド名は珍しいわけでもなく、逆に突っ込んだら負けだとさえ思うのだが、その音楽を聞けば「狙っているわけじゃないのかも」と考えてしまう。楽曲ごとに印象が異なり、つかみどころのなく、バンドを表すのに適した言葉が見つからない。強いていうならばヒップ・ホップ調のボーカルと、心地良いカッティングギター、やけにグルーヴィーなリズム隊にただならぬモノを感じるわけだが、90年代のミクスチャーでもゼロ年代のオルタナティブ・ロックでもない。「空きっ腹に酒」というバンド特有の音楽性を持っており、その名称と同じようにとても“変わっている”のだ。

バックドロップシンデレラ

バックドロップシンデレラ「台湾フォーチュン」

 一聴してキワモノバンド?と思いきや、聴けば聴くほどパンクやハードコア、メタルをミックスして昇華し、オリジナルのものにしていることがわかる。自らの音楽性を「“ウンザウンザ”と呼ばれる祝祭感溢れる東ヨーロッパ民族的リズム」と、多くの人が首を傾げそうな言葉で説明しているが、何故か「ああ、東欧民謡ね」と妙に納得させられてしまう。得体の知れない中毒性とともに、気が付くと深みにハマっているタイプ。

ビレッジマンズストア

ビレッジマンズストア「夢の中ではない」

 ガレージロック、R&B、ブルース、パンクに歌謡曲的なユーモアを融合した名古屋発の5人組。ソウルフル剥出しなボーカルとキレッキレの演奏が男臭いロック。パフォーマンス、キャラ立ち含めて申し分ない“熱苦しさ”が特徴のバンドだ。

八十八ヶ所巡礼

八十八ヶ所巡礼「霊界ヌ〜ボ〜♨」

 奇妙なバンド名、形容し難い音楽性、インパクトのあるビジュアル、そして何よりも圧倒的な演奏力で不気味な存在感を放っているバンド。目立ったメディア露出もなく、クチコミとライブ活動のみでカルト的な人気を誇り、聴く者を恍惚状態に誘う魅力がある。

感覚ピエロ

感覚ピエロ「メリーさん」MV

 2013年7月に大阪で結成、活動開始とともに自主レーベルを立ち上げ、完全セルフプロデュースでじわじわと注目を浴びている新進気鋭のバンド。結成から約1年とは思えない演奏力と風格。奇を衒ったものからダンサブルなものまで悠々とこなしてしまう余裕にセンスの高さを感じる。

感覚ピエロ「Japanese - Pop - Music」

 「Japanese-Pop-Music」はスタイリッシュにまとめ上げられたポップミュージックという印象の楽曲だが、歌詞の内容は商業音楽を赤裸々に嘲笑う風刺。近年、こうした皮肉めいたことを歌うアーティストも少なくなり、場合によっては“イタさ”を感じることもあるが、それをポップミュージックに落とし込んでいる手腕は痛快だ。そしてこれほどまでにクオリティの高い楽曲とMVを制作しながらも、音源の配信はもちろん、流通すらしていない。音源の販売はライブ会場かオフィシャルサイトの通販のみという強気な姿勢に、インディーズからメジャーへの宣戦布告が読み取れる。

winnie

winnie「crash and burn」

 ioriの持つVギターのポルカドット柄がバンドのシンボルになっている、男女ツインボーカルの4人組。エモーショナルロックに分類される音楽ではあるが、疾走感ある楽曲ながらも譜割を大きめにとる優美なメロディーが印象的。時折見せるメタルなギターがサウンドに拡がりをもたらし、綿密なアンサンブルの要となっている。そして何よりもウィスパー気味の男女ボーカルの混ざり合いに淡い美しさが漂う。パンキッシュな攻撃性と、包み込むようなポップさを併せ持つ、独自のバランス感覚を持った実力派。

アンドロメルト

アンドロメルト「レスキューインフェルノ」

 インディーズながら、送ったデモをきっかけに「佐久間正英プロデュース」となり、予想外の広がりを見せているバンド。(参考記事:注目のインディーズバンド・アンドロメルトが語る、佐久間正英の「素材ありき」プロデュース術)。野太くも儚い青木凛の歌声と、爆音とエフェクトを巧みに使い分けるギター、駆け巡る電子音が融合。女性オルタナロックの“居そうで居なかった感”は、王道とも進化系とも捉えられそうだ。

puff noide

puff noide「Circle」

 一度聴いたら忘れられなくなる、榎園稔三の感情を叩きつけるような歌が印象的。真っすぐな歌詞とストレートなバンドサウンドに心を揺さぶられる。言葉で説明するよりも、ただ音と、その叫びを感じて欲しいバンドである。

ストロベリーソングオーケストラ

ストロベリーソングオーケストラ「臓物にジグソウ」

 通称「苺楽團」と呼ばれる彼らは、バンドと劇団を融合させたパフォーマンス集団。寺山修司、江戸川乱歩や夢野久作といった怪奇・奇譚ミステリーの世界を体現し、白塗り・昭和アングラな徹底したコンセプトと、高い演奏力で観客を魅了する。座長であり、怨歌担当(ボーカル)の鬼才・宮悪戦車(ミヤアク センシャ)に、ジャズ・シンガーの顔を持つ月影美歌(ツキカゲミカ)と異鏡朱音(イキョウアカネ)という二人の歌姫が脇を固める。メタルギターとピアノの旋律、演劇を交えたライブパフォーマンスはまさに、“世にも奇妙な見世物小屋”といったところである。

Liquid

Liquid「Indigo Harbor」Digest Movie

 ギター、ウッドベース、ドラムの3人組。編成を見れば、ルーツ・ミュージックを彷彿とさせるが、彼らが奏でるのは「古着屋でかかるような音楽」。ブルースでもあり、70年代のクラシック・ロックでもあり、固定的なジャンルというよりも雰囲気重視のセッションを織り交ぜたライブスタイルを重視している。結成は2003年、他アーティストサポートなどの個人活動も盛んに行なっており、そのキャリアとスキルに裏付けされた演奏力は本物。「ロック好きな男たちが自由気ままにやりたい音楽をやっている」バンドだ。

AJYSYTZ(アイシッツ)

Ajysytz「I know you, you know me.」

 音楽レーベルの在り方を問いただすような独自の美学で注目を浴びるKilk Recordsから。和製ビョークの異名を持つ、五阿弥瑠奈率いる5人組バンド。実力と技術に裏付けされた変幻自在な歌声と、生楽器と電子音の混ざったサウンドが、幻想的なノスタルジアを感じさせる。「日本人離れしたサウンド」と安易な言葉では片づけられない世界がそこにはある。英詞と日本語詞のコントラストも美しい。  ここにあげたバンドたちは言わば普遍的な「ポピュラリティー」とは少し離れたところにある音楽であり、クラシック音楽のような守るべき様式美があるわけでもない。しかし、その自由な音楽性の中には、ロックやポップスを進化させる可能性があるのかもしれない。 ■冬将軍 音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

合コンシェルジュ絵音が語る、クラシックから始まる恋「出会いの前夜にモチベーションを高める」

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『恋のスイッチをONするクラシック(V.A.)』(ワーナーミュージック・ジャパン)

【リアルサウンドより】  クラシック音楽は“恋”と“愛”、そして“ロマンス”の宝庫……恋愛力を高めるサプリのようにクラシック音楽を楽しんでもらいたい! そんな願いから生まれた“恋活支援”コンピレーションアルバム『恋のスイッチをONするクラシック』が8月27日、ワーナーミュージック・ジャパンからリリースされた。収録されている楽曲はいずれも恋と愛をテーマにしたクラシックの名曲ばかり全16曲だ。  今回このアルバムを監修したのは、日本合コン協会会長で“合コンシェルジュ”の絵音さん。タレントとして活躍する一方、これまで2000回以上の合コンに携わり様々な物語を見てきた、いわば“恋の始まりのプロ”。自身の経験を生かして数々の著書を出版し、テレビや雑誌など様々なメディアでも昨今の合コン事情やノウハウについて語っている。  そんな彼女が『恋クラ』に込めた想いとはどんなものだったのだろうか?今回は直接お会いしてお話を伺ってきた。エネルギッシュでチャーミングな彼女が語る“恋と音楽”の関係性とは。これまでクラシックに馴染みのなかった方にも、クラシックが身近に感じられるきっかけになるかも。

「クラシックの名曲は合コンの前夜に聴いてほしい」

――今回この『恋クラ』を監修するきっかけとは? 絵音:最初のきっかけは音楽ジャーナリストさんとのお酒の場で始まった話なんです。合コンに限らず恋愛する中では失恋で傷ついたとか、出会いがないとか、いろんな悩みがあるよねという話になって。特にパートナーがいない人は休日も一人でいることも多いだろうし、何か“恋活”をしている人たちを応援できることはないかな?って考えたときに、「音楽の力だ!」という話に広がっていったんですよね。 ――もともと絵音さんは音楽がお好きでいらっしゃったんですか。 絵音:合コンシェルジュというとすごく音楽からほど遠いと思われると思うんですけど(笑)、小さい頃からピアノをやっていて、小学校や中学校のときにはいわゆる“校歌を弾く女の子”でした。中学校のときはブラスバンド部でアルトサックスをやっていたり、高校大学のときは軽音部にいたりとか、ジャズバーで歌っていたこともあって、実は音楽が大好きなんですよ。名前にも“音”が入ってるし(笑)ふふ。 ――今回はクラシックをテーマにコンピレーションにしたということなんですが、絵音さんが思う、合コンに適している音楽ってどんな音楽でしょう? 絵音:私、“合コンは2時間の戦場”って言ってるんですけど。どんなに「ハズレだ~!」って思っても、出会いから最低でも2時間の猶予を与えられてるのが合コンで。やっぱりその中で合コンにはストーリー性があるので、例えば二次会でカラオケに行ったらノリの良い曲がいいと思いますけど、最初の出会い頭や合コン中盤まではクラシックが本当に向いてるなあって思います。ただ、一番思うのは、『恋クラ』に入っているクラシックの名曲は合コンの前夜に聴いてほしいんですね。“明日合コン行くよ”ってなったら、どんな人でもちょっと緊張感が出たりするものじゃないですか。そういう出会いの前夜に、モチベーションを高めて心のケアをするのに、すごく適しているんですよね。α波が出てリラックス効果もあるし、女子力を高めるのにもすごくいいなって。 ――『恋クラ』では16曲選ばれていますが、選曲のポイントとは。 絵音:音楽ジャーナリストの渡邊さんという方と一緒に選曲させていただいたんですけど、このアルバム一枚を通して、恋の始まり、恋っていいなっていうところから苦しみや失恋や立ち直り、そして結婚!みたいな(笑)。ストーリー性のあるアルバムになってます。

「男性のモテるキーワードは“モテる男の3G”。女性は“スナオ”」

――なるほどー。せっかくなんで合コンの心得も伺ってみたいと思うんですけど、初対面で絵音さんが一番男性を見るポイントって何ですか。 絵音:普通は優しい人がいい~とか、かっこいい人がいい~とか、それこそネームバリューのある人がいい~とか、やっぱり色々な欲や興味があると思うんですけど、私のように2000回も合コンやっていると、本当に色んなタイプの人に出会うので、何周もしちゃうんです(笑)。そして、そんな様々な男性と恋に落ちた女性たちを、合コンシェルジュとしてたくさん見てきたので、たとえどんな高スペックな人と付き合って、周りから羨ましがられたとしても、ひとつつひとつの恋愛に善し悪しがあると思います。そんな中で思うのは、ほんっとに、自分にとって普通の人がいいなって思います。価値観が近い……“家族を大事にする”とか、“食べ物の好みが近い”とかね、そういう等身大の自分と似てる人がいいなっていうのが結論です。 ―― 一番印象深い合コンとは? 絵音:様々あるんですけど……海外合コンですかね。日本人同士で、それぞれ待ち合わせしてる国に出発して、一日目の夜に現地で集合するんです。いろんな国でやったんですけど、それで二泊三日、一緒に楽しむ!っていう。なんか一晩で終わる普通の合コンと違って、変に焦らずゆっくりと大きな気持ちで出会えるんです。いいところも悪いところも見えて、海外合コンで知り合ったカップルはすごく長続きするので、おすすめですね。 ――では絵音さんが思う、合コンでモテるコツって? 絵音:男性は“モテる男の3G”っていうのがあります。ジェントル、ギャップ、強引っていう。それを上から順にやっていかなきゃだめです。紳士から入って、ギャップを見せて、強引にいくっていう。 ――うわあー、なるほど。それ超わかります。 絵音:でしょ。そして女性は、話を聞いてあげることと、愛嬌があること。だからリアクション命になってくるんですけど、キーワードは“スナオ”。『すごーい』『なるほどー』『おもしろーい』の頭文字ですね(笑)。どんなに話が盛り上がらなくても、これを言っていくことで、男性は気持ちよく喋ってくれるし、テンションも上がって信頼感が出てきますから。 ――なるほど……勉強になります!それでは、今回の『恋クラ』はクラシックですが、今後違うジャンルでコンピレーションを作ってみたいとかはありますか? 絵音:そうですね、そんなお話があれば嬉しいです!気持ちのスイッチが入る音楽って人によって絶対違うから、またいろんなジャンルで出来たら面白いなと思います。たとえばマンネリ解消のコンピだったら、刺激を与える曲ばっかりとか(笑)。 ――面白そうですね!それでは最後になりますが、今回制作されてみて、音楽って恋を促進させる効果があると思いましたか? 絵音:すごく思いました!恋愛って楽しいときも誰かに聞いてもらいたいし、辛いときも誰かに聞いてもらいたいですよね。でも、人からはあんまり応援されない恋……既婚者を好きになってしまったり、ダメンズにハマってるときなど、誰にも相談できなくてわかってもらえないという気持ちがあったときって、ネガティブな気持ちに自分を持っていっちゃうんですよね。だから、深刻な恋愛の悩みで鬱になったり病んでしまう人も多い。そんな時に、クラシックを聞いて、クラシックの音楽に同調して、泣きたいときはとことん泣く!そうすると気分がスッキリして良いと思います。自分にしかわからない気持ちも、音楽はきっとわかってくれるので、癒しの効果もあるし、恋愛力が高まりますしね。それに新しい恋を始めたり、新しい恋をつかみたいときっていうのは、“ありのまま”の自分じゃだめですよね。やっぱり恋活するときは、自分の一番ベストな状態で出会う人が最高の相手だと思うので、内面を磨くためにも『恋クラ』は絶対聴いてほしいですね!」 取材・文=岡野里衣子(https://twitter.com/Rinn_r) ■リリース情報 『恋のスイッチをONするクラシック(V.A.)』 発売:2014年08月27日 価格:¥2,000(税抜) iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/id906956959?at=10l6Y8
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合コンシェルジュ/一般社団法人日本合コン協会 会長・絵音氏

■プロフィール 絵音(えのん) 合コンシェルジュ/一般社団法人日本合コン協会 会長 タレントから5年間で2000回以上の合コンに携わる。2012年5月8日“コンパの日”に一般社団法人日本合コン協会を設立し、会長に就任。史上初となる海外での街コンを台湾にて開催するなど、時代とともに様々なスタイルの合コンをプロデュースする中で、男女の恋愛心理を分析し「合コンシェルジュ」として各種メディアで発信している。著書に『「急に熱が出た」と言いだす女の本音』(主婦の友社)など。 ・オフィシャルブログ「ENON'S BAR」 http://ameblo.jp/enon0820/ ・一般社団法人日本合コン協会 http://gokon-jpn.org/

アイドルが運営に恋をしてしまったら…? 姫乃たまがPIP総合プロデューサー濱野智史に問う

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地下アイドルとして活動を続ける姫乃たま。

【リアルサウンドより】  濱野智史さんは、近年のアイドルブームを終わらせます。少なくとも私はそう思っています。  夏のはじめ頃、濱野さんが「誰でもアイドルになれる」をコンセプトに、アイドルグループの運営を始めるらしいという話を聞きました。AKB48を発端とする「会いに行ける」アイドル戦国時代が幕をあけてから、アイドル人口は本人たちも把握できないほど、爆発的に増加しています。業界で埋もれないように、奇をてらったコンセプトのアイドルも次々に誕生しました。過激なパフォーマンス、奇抜な売り出し方、意外な分野とのコラボレーションも、もはや珍しくありません。  その中で、誰でもアイドルになれるというコンセプトには、個人的に引っかかるところがありました。いま、アイドルは本当に、誰でもなれます。それは、アイドルを志したことも、技術もない自分自身が、地下アイドルとして数年間活動できたことで痛感しています。続けることに比べれば、アイドルになるのはずっと簡単なことでした。  たとえば大学のゼミや、高校の同級生にも、もっと地下アイドルがいておかしくないのにと、ずっと不思議に思っていました。  スター不在の八十年代にアイドルの時代は到来しました¬。ブラウン管越しに一方的に見つめていたアイドルは、ゼロ年代に「会いに行ける」存在となり、空前のブームの中、数え切れないほどのアイドルが誕生しました。アイドルは誰かに人々に選ばれる存在ではなく、自ら進んでなるものになったのです。  以前のアイドルと比べて、人数が多いぶん、技術も容姿もクオリティは様々で、しばしば、「推しがアイドルじゃなくても好きでいられるか」という議論すら耳にします。アイドルの肩書きがなければ、普通の女の子だということです。  この状況の中で、濱野さんが掲げた「誰でもなれる」は、このアイドルブームのひとつの最終形態であるように思われました。  追い打ちをかけるように、濱野さん本人から「このグループに、僕の経験と知識と頭脳を全てかけます」と聞いて、一気に興味を惹かれました。アイドルブームの最終形態になりうるグループを、濱野さんはどうやって運営していくのでしょう。  しかも私はお披露目ライブで、コンセプトの達成を確信させられました。わずか21名のメンバーの中に、2名も高校の同級生と同姓同名の女の子がいたのです。偶然に重なる偶然ですが、高校の同級生が一気にふたりも地下アイドルになった気がして、私の中でグループは早くも、「誰でもアイドルになれる」を達成しました。  しかし、ここで気になるのが、アイドルファンが運営になると成功しないという風潮です。大きな原因は、濱野さん本人も指摘する通り、「好みの女の子ばかり採用したり、贔屓したり、オタクとしての私利私欲に走りがち」になるからです。うーん、周りでも見たことあります。  自他共に認める熱狂的なアイドルファンの濱野さんですが、「アイドルに関して僕は『好みのタイプ』とかないので大丈夫かな、と。もちろんグループ全体を見せていくために、どうしても推し方に偏りはでちゃいますけど」と、あっさりした答えが返ってきました。「むしろ見た目だけでいえば、もっと可愛い子もたくさんオーディションに来たんですよ。でもオーディションでは、歌唱審査の時、参加者全員に相互評価をしてもらって、『こんなのやってられない』とダルそうにしている子は全員落としました。性格が悪そうだったので」  これでは、「誰でもアイドルになれる」に矛盾しているようですが、濱野さんの手がけるアイドルグループPlatonics Idol Platform(以下、PIP)は、将来的にアイドルをプロデュースする側と、される側にわかれます。つまりPIPで育成されたプロデューサーのもとで、PIPには加入できなかった子もアイドルになる可能性があるのです。  ところで、私はPIPに入れません。なにせ気が小さいので、同世代の女の子たちと毎日のように顔を突き合わせて、誰が人気あるとか、誰々が悪口言ってたとか、推されてるとか干されてるとか、想像しただけで心もとなくなります。  一番、懸念されるのが、その緊張感が吊り橋効果となって、一番身近な異性である運営に恋心が向いてしまうことです(ソロ活動が長すぎて、グループに対する想像が激しい)。  濱野さんは、「それはないでしょ!」と笑っていましたが、ふと真面目な顔で「でも人は恋愛と尊敬を混同しがちですよね。運営としてはある程度、尊敬されることは必要ですが……。例えば女子高の生徒が先生と付き合っちゃうのもそういうことでしょうし」と考えていました。でも、いや、それはないなと言い直して笑っていました。  一方でファンからのトラブルに関しては、「まだできたばかりのグループなのでありません。普通の人も最初からストーカーしてやろうと思って、ストーカーになることは滅多にないですから」としながらも、「レスがほしいとか、認知されたいとか、最初はささいな承認欲求なんだけど、それをこじらせると厄介ヲタ化してトラブルになるので、運営がメンバーをちゃんと見守っているという態度はきっちり取ります。そのために、ブログのコメント欄も僕が全部チェックしてますから」と、きっぱりしていました。  アイドル側も見てほしい応援してほしいなどの欲求があるので、いかに両者が爽やかに欲求を満たしあえるかが重要なのだと思います。これはフリーで活動していくうえでも、一番重要であり難しいところです。  きっちり管理してくれる運営がいるのは羨ましいですが、自分の考えで活動しているフリーのアイドルが好きな層もあるので悩ましいのです。運営がついた途端にファンが離れていったという話はよく聞きます。  最後に、メンバーに恋愛が発覚した時はどうしますかと聞くと、「ぶっちゃけ、その子の人気によって対応は変わってくると思いますけど」と運営らしい発言の後、「うわあ、でも変な彼氏とか出てきたら嫌だなあ」と、お父さんのようなファンのような複雑な顔をしていました。 「PIPをやってて、とても楽しいですよ。楽しいだろうなと思って始めたらやっぱり楽しかった。将来の目標も今後の展開もありますけど、今はただ、メンバーたちがひたすら楽しいと思えるまま進んでいけたら、それが理想ですね」私もひとりのアイドルとして、最終形態のアイドルを見守っています。 ■姫乃たま 1993年2月12日下北沢生まれの地下アイドル。2009年より都内でのライブ活動を中心に地下アイドル活動を開始、2011年よりライターとしても活動している。他に司会やDJ、イベンターなど活動は多岐にわたる。 [twitter] [地下アイドル姫乃たまの恥ずかしいブログ] [姫乃たまのあしたまにゃーな]

金爆が“特典ゼロ”シングルでやろうとした本当の狙いとは? 歌謡ロック的サウンドから読み解く

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『情熱大陸×鬼龍院翔』

【リアルサウンドより】 参考:2014年08月18日~2014年08月24日のCDシングル週間ランキング(2014年09月01日付)(ORICON STYLE)  今週のオリコン週間シングルランキングは、EXILE TRIBEのニューシングル『THE REVOLUTION』が1位を記録。ゴールデンボンバー『ローラの傷だらけ』が約4.3万枚で2位となった。  EXILE TRIBEについては前回のチャート分析記事で触れたので(参照:EXILE、増員戦略でセールス倍増 総帥HIROの次なる一手とは?)、ここでは2位のゴールデンボンバー『ローラの傷だらけ』について詳しく掘り下げていきたい。というのも、このニューシングルは様々な面で今の音楽業界のシステムに対しての問題提起を投げかけた、非常に挑戦的な一枚になっていたのである。  すでに各方面で報じられている通り、真っ白なジャケット写真に、握手券やDVD、写真などの販促特典を一切付けない異例のパッケージで販売された今回のシングル。初回盤・通常盤などの複数仕様も存在しない。鬼龍院翔は「どこまで音楽以外の要素を削ぎ落とすことができるのかを考えた」と、オフィシャルYouTubeチャンネルのインタビューで語っている。

シングル「ローラの傷だらけ」鬼龍院翔インタビュー

 「こういう売り方をしたらCDの売り上げがどれだけ下がるのかをハッキリさせたかった」と語っていた鬼龍院翔だが、結果は、前回のシングル「101回目の呪い」の約15.8万枚を大きく下回る数字となった。事務所やレーベル側が予測していた3万枚を大きく上回り、レコード店では品切れが相次いだのだが、それでも前回からは約11.5万枚のセールス減となった。  「この数字から今の音楽とは一体何なのか、音楽は一体どのように消費されているのか、それらが見えてくると思います。誤解を恐れず言うと、僕たちのCDの売り上げ枚数でいうと音楽は特典に勝てない」と、鬼龍院翔はブログ記事で今回の結果を分析。一方、今回とは別に握手会の特典付きの無音CDを発売しようと提案したが通らなかったことも明かしている。  というわけで、様々な波紋を呼んだ今回のニューシングルだが、では、肝心の楽曲はどういう内容なのだろうか?

ゴールデンボンバー/ローラの傷だらけ

 「ローラの傷だらけ」は、ヘヴィなギターリフから始まり、前のめりな高速ビートが疾走感をあおるアップテンポな「歌謡ロック」のナンバー。サビでは、タイトルのモチーフである西城秀樹「傷だらけのローラ」にも通じる、マイナー調の哀愁あふれるメロディが繰り出される。  つまり、この曲は、歌謡曲のDNAに、90年代のビジュアル系の王道、そして00年代以降のモダン・ヘヴィネスのテイストを融合させたナンバーと言える。彼らも得意とする路線で、代表曲の一つである「†ザ・V系っぽい曲†」に通じる位置付けの曲だ。  そして、そこから考えると、彼らが今回のニューシングルでやろうとしたことの本当の狙いを読み解くことができる。  「音楽“だけ”を売りたい」とインタビューなどで繰り返し語っていた鬼龍院翔だが、実はその言葉を額面通りに受け取るのならば、それは単に配信限定でリリースすればいいだけの話。そうではなく、むしろ「CDパッケージを取り巻く状況に一石を投じる」ことが今回の狙いと言っていいだろう。それによってセールスの数字が下がったとしても、そのこと自体がニュースになる。  そして、これらの状況が話題を呼ぶことが「音楽シーンのトリックスター」たるゴールデンボンバーのアイデンティティを改めて広く伝えるプロモーションとなっているわけだ。  「†ザ・V系っぽい曲†」という曲もまさにそういう意味合いを持った曲。王道V系のサウンドに乗せて「V系バンドあるある」を歌うという曲の内容は、自らの属するシーンを(愛情を持ちつつ)諧謔精神を持って外側からメタ的な視線で批評するという鬼龍院翔のスタンスを的確に示している。  鬼龍院翔にとっては、エアバンドというスタイルを選んだゴールデンボンバーのそもそもの成り立ちも、今回の「特典なしCD」をリリースしたという試みも、一つの共通する信念に基づくものなのだろう。それは、自らがトリックスターとして振る舞うことを通して「今の日本の消費社会においての“音楽”とは何か?」という問いを世の中に突きつけるということだ。そして、そういう批評性が内包された作品を「商品」として流通させるという意味で、ウォーホルのポップアートに近い精神性を感じたりもする。  とても興味深い。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

E-girls、新曲MVにエキストラ200人! 大人数ダンスの狙いを分析

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3ヶ月連続でシングルをリリースするE-girls。

【リアルサウンドより】  E-girlsのニューシングル『Highschool(ハート)love』(9月10日発売)のミュージックビデオが公開された。本作は、7月発売の『E.G. Anthem -WE ARE VENUS-』、8月発売の『おどるポンポコリン』に続く、3か月連続シングルリリースの最後を飾る作品で、「恋バナに花が咲くドキドキの同窓会」がテーマとなっている。  同楽曲は、関西テレビ・フジテレビ系列『GTO』の主題歌となっており、ミュージックビデオもドラマと同じ学校で撮影。教室や廊下、ホール、体育館などの見慣れた日常の学校風景が、E-girlsのパフォーマンスによってカラフルに彩られ、ポップで楽しい雰囲気となっている。誰しもがそれぞれに抱く思い出を、E-girlsメンバーと総勢200名以上のエキストラで賑やかに表現した作品だ。

E-girls / Highschool(ハート)love

 同グループの動向に詳しい編集者・ライターの中矢俊一郎氏は、このミュージックビデオの仕上がりについて次のようなコメントを寄せている。 「今回の作品は“中高生時代の同級生と久しぶりに会う女子大生”の視点で描かれており、10代後半から20代前半ーーつまりは彼女たちと同年代の女性の心情に寄り添った作品に仕上がっています。恋バナで盛り上がって彼氏の話などをするのだけど、結婚や出産といったシビアな話題にはまだ踏み込まない世代。そんな世代ならではのライトな友情や恋愛トークが表現されていますね。また、たくさんのエキストラが出演していて、E-girlsが“参加型エンターテイメント”であることを強く印象づけるような映像であることもポイント。衣装もカラフルかつバリエーション豊かで、“いろんな女の子が参加している”ということをアピールしています。同世代の女性が親近感を抱き、いっしょに踊ってみたくなる作品になっているのではないでしょうか」  また、パフォーマンス的にも面白い試みがなされていると、同氏は指摘する。 「ダンス自体はものすごくテクニカルというわけではないのですが、廊下の鏡や教室の長机をうまく利用した振り付けは、ユニークで面白いですね。また、MV後半の英語による軽快なラップは楽曲全体の良いアクセントになっているかと思います。個人的には彼女たちのラップをもっと聴いてみたいですね。今後の作品でラップに重きをおいた作品が出ることも期待したいです」  7月24日には初の日本武道館公演も成功させ、勢いに乗っているE-girls。3ヶ月連続リリースの最終作となる本作で、より多くの女性ファンを獲得しそうだ。 (文=編集部)
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E-girls『Highschool(ハート)love』(rhythm zone)

■リリース情報 『Highschool(ハート)love』 発売日:2014年9月10日 レーベル:rhythm zone 【CD+DVD】¥1,800 (+税) DISC-1:CD 1. Highschool(ハート)love 2. Again 3. Highschool(ハート)love (Instrumental) DISC-2:DVD Highschool(ハート)love (Video Clip) 【CD】¥1,000(+税) DISC-1:CD 1. Highschool(ハート)love 2. Again 3. Highschool(ハート)love (Instrumental) 4. Again (Instrumental) E-girls official site レコチョクE-girlsアーティストページ