ももクロ、AKB48、BABYMETALらの動員はどうなる? 2015年、注目グループアイドルの展望

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AKB48『ここがロドスだ、ここで跳べ! (Type A)』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  前回(http://realsound.jp/2014/12/post-2117.html)は2014年のアイドルシーンの動きについて振り返ってみた。では今回は、2015年の注目すべきグループアイドルシーンのポイントについて、紹介して行こう。

ももクロがAKB48の動員力を超える!?

 まず最初に挙げたいのは、AKB48を筆頭とする48系グループについて。雑誌『日経エンタテインメント 2014年12月号』には、2014年のアーティスト別年間ライブ動員数を独自データとして算出しランキング化した記事「コンサート動員力ランキング」が掲載された。その中ではAKB48は14位、ももいろクロ-バーZが9位と、ももクロが女性アイドルグループとしてはAKB48を抜きトップの動員力があるとされている。が、SKE48などの48系グループを加えると、ゆうにその動員数はももクロを超える。今年は結成10周年や総監督の高橋みなみの卒業など話題性の高いイベントも多いため、48系グループの代表であるAKB48のトップアイドルとしての地位は依然揺るがないだろう。とはいえ一時期のブームは過ぎ、これからは緩やかに安定期に入って行くのではないだろうか。  ももクロは平田オリザによる『幕が上がる』の映画の公開&舞台の公演(どちらも本広克行が監督・演出を担当)を今年に控えている。昨年通りライブも続けながら、個々のタレント力を高め、従来より目標に掲げている女版ドリフターズ、SMAP、嵐のようなグループを目指して行くようだ。

「坂本九以来の成功」と言われたBABYMETAL

 続いて昨年大きく規模を上げたBABYMETALとでんぱ組.incについて。BABYMETALは今月10日にさいたまスーパーアリーナでワンマンライブを開催、約2万人を動員した。ライブの最後には5月に「BABYMETAL WORLD TOUR 2015」がスタートし、6月に幕張メッセ展示ホールで彼女たちにとって過去最大規模のMOSH'SH PIT ONLYライブが開催されると発表された。昨年は海外フェスへの参加やレディーガガのツアー帯同など、「坂本九以来の成功」と言われるほどの世界的な活躍だった。さすがにアメリカのビルボード3週連続1位を成し遂げた坂本九の偉業を超えるのは至難の業だが、今年も彼女たちの勢いは更に加速しそうだ。  一方でんぱ組は2月に代々木第一体育館で2daysのワンマンを開催。国内でのタレント仕事に重点を置きつつ、活躍の場を増やして行くのだろう。

エイベックスが手掛ける2つの"アイドルのファミリー化"プロジェクト

 道重さゆみのモーニング娘。卒業、スマイレージがアンジュルムに改名、Berryz工房が3月で未期限活動休止と、最近トピックの多いハロー!プロジェクト。現在のアイドルブーム以前から安定した人気を保っていたアイドル集団だが、今年は内部での世代交代を余儀なくされる。そこでどのようなドラマを見せてくれるのか、楽しみだ。  SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、GEMが所属する、エイベックスのアイドルレーベル&プロジェクト「iDOL Street」が、昨年エイベックス外のアイドルグループにも開けたものになることが発表された。さらに今月、このアイストによる新プロジェクト「Girls Street 2020」の開始も告知された。元・Folder5のAKINAも参加するこのプロジェクトには、女性パフォーマーだけでなく、女性クリエーターも所属できるという。  また、同じくエイベックスから、昨年「アーティストを志向し、良質な音楽とライブパフォーマンスを届け、J-GIRL POPの新しいシーンを作って行こうとする女性グループ」の集合プロジェクト「J-GIRL POP WAVE」が発表された。現在、所属が発表されているのは東京女子流、Dorothy Little Happy、GALETTeの3組。同じ事務所、レーベルでありながら、「iDOL Street」と「J-GIRL POP WAVE」という2つの「アイドルのファミリー化」を目指すプロジェクトが同時に進行していることは、とても興味深い。  エイベックスと言えば昨年「ようかい体操第一」でブレイクし、紅白歌合戦にも出場したDream5の動きも見逃せない。

仮面女子、Negicco、リリスク、せのしすたぁ… インディーズ系にも注目

 その他では、オリコン週間チャートで1位を獲得し、11月にさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブが決定している仮面女子が、様々なゴシップに負けずどこまで人気を集められるかも、注目ポイントのひとつ。またNegicco、ゆるめるモ!、BELLRING少女ハート、lyrical schoolなど、インディーズ系でありながらワンマンの動員数が1000人規模であるグループの動向も極めて重要だろう。大手芸能プロなどの大資本に関わらずにどこまで人気を伸ばせるのか、あるいはどこかでメジャーレーベルなどと契約するのか、気になる点は多い。  飛躍が期待されるのは東京パフォーマンスドール。昨年ガールズグループとしては史上最速でZeppツアーを開催するなど、成長著しい。やっていることはパフォーマンス重視のグループとしては王道だが、映像演出などは最先端の技術を駆使していて、観るものを飽きさせない。  個人的に注目したいのは、アイドルネッサンス、せのしすたぁ、Peach sugar snowの3組だ。  アイドルネッサンスは、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)が初めて手掛ける7人組。コンセプトは、新曲問わず名曲をカバーする「名曲ルネッサンス」で、ユニコーン「PTA~光のネットワーク~」、大江千里「夏の決心」、岡村靖幸「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」など、アイドルとしては独特の選曲なのが特徴だ。1stシングルとしてリリースしたBase Ball Bearの「17才」は、筆者もスタッフとして参加している「アイドル楽曲大賞2014」でインディーズ部門1位を獲得した。  せのしすたぁは福井県、Peach sugar snowは山梨県と、2組ともロコドル。せのしすたぁはアジテーションを巧みに盛り込んだライブパフォーマンスが面白く、Pssはアンニュイな歌詞をウィスパーボイスで歌うのが特徴。どちらも楽曲のクオリティーが高い上にオリオジナリティーがあり、もっとより多くの層に届くべきアイドルだ。  今回挙げた以外にも、メジャー、インディーズを問わず、注目すべきアイドルは数多い。昨年以上に、2015年もアイドルシーンから目が離せそうにない。 ■関連記事 岡島紳士のアイドル最新マッピング 第14回:2014年グループアイドルシーン振り返り BABYMETAL、でんぱ組.inc、乃木坂46、モーニング娘。… 2014年グループアイドルシーン振り返り 第13回:動員力 ももクロ、モー娘。から、リリスク、ベルハーまで…動員力から考察するアイドル界の現在 第12回:吉木りさ 『怒られたい』で話題の吉木りさ 天性のグラドルが持つ音楽活動の可能性とは? 第11回:lyrical school ユルさとアツさで独自の進化 清純派ヒップホップアイドルグループlyrical schoolはブレイクするか? 第10回:橋本甜歌 tofubeats楽曲でデビュー 子役・ギャルモデルを経た橋本甜歌は「真のアイドル」を目指す? 第9回:篠崎愛 高い歌唱力を誇るカリスマグラドル 篠崎愛のソロ歌手活動を夢想する 第8回:いずこねこ 笑顔でネガティブな気持ちを歌うアイドル いずこねこの「終わらせ方」を読む 第7回:東京パフォーマンスドール 初代から受け継ぐ、東京パフォーマンスドールの先進性とは? 楽曲とライブから読み解く 第6回:道重さゆみ 卒業発表の道重さゆみに見る、アイドルがブレイクに至る"物語”の重要性 第5回:緑川百々子 ネットカルチャーのニューアイコン 緑川百々子はアイドルのボーダレス化を象徴する 第4回:さくら学院 BABYMETAL、松井愛莉、武藤彩未…ブレイクアイドルの登竜門「さくら学院」に迫る 第3回:せのしすたぁ SMAPに影響されたリアルGMT!? 福井県のロコドル せのしすたぁ登場 第2回:BABYMETAL BABYMETALが“接触なし”で快進撃  Perfumeに続くアミューズ系アイドルの行方 第1回:倉持由香 TMR西川貴教も賛同! グラドル自画撮り部部長・倉持由香が「グラドル界」を革新する ■岡島紳士(おかじま・しんし)(@ok_jm) 1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。DVDマガジン『IDOL NEWSING vol.1』を手掛けている。 オフィシャルサイト

「大病で引退寸前」から「カバーブームの牽引者」へ 徳永英明の波瀾に満ちたキャリアとは?

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【リアルサウンドより】  「僕はこれを機に、しばらく『VOCALIST』からは離れることを決めたよ」。徳永英明は先日、自身のブログで1月21日に発売される最新作『VOCALIST 6』の告知を行うと同時に、今作で一区切りつけることを示唆する言葉を書き込み、ファンや関係者を大いに驚かせた。  何と言っても、2005年に始まった『VOCALIST』シリーズは、累計セールスが600万枚を超える大ヒット企画。女性アーティストのバラ−ド系名曲を次々と歌い、その後のJUJUやMay J.などへと続く、J-POP界のカバーブームの先駆けとなった。事実、シリーズ開始以降の徳永は、まさに“名曲を歌う”技術を磨き上げることに精魂を傾けてきたし、『VOCALIST 6』はその集大成といえる高い完成度を示している。同作は1月14日よりiTunesでの音源配信も始まり、早くも1位を獲得。10周年という記念すべき時期に、同シリーズと徳永自身に一体どんな変化が訪れたのだろうか?  もっとも、徳永英明のキャリアは波瀾万丈そのもの。長い下積みを経てデビューを果たし、20代でヒットを連発してシンガーソングライターとして頂点を極めたが、長いスランプや度重なる闘病を経て、一時は音楽界で「過去の人」扱いとなり、再起不能と見られた時期もある。今回のコラムでは『VOCALIST』で劇的な復活を遂げるまでの道のりを振り返ってみたい。  中学時代から歌手を目指していた徳永英明は、デビューのチャンスになかなか恵まれなかった。高校卒業後はアルバイトを転々としながらTBS「緑山塾」に所属し、俳優業に活路を見出そうとしたこともある。音楽業界関係者に近づこうと、レコード会社が入居するビルにある喫茶店でアルバイトしていた逸話は、ファンにはよく知られている。  25歳直前でようやくデビューを果たした徳永は、瞬く間に人気歌手の仲間入りを果たす。デビュー曲は今なお代表曲の一つである「レイニーブルー」。甘いルックスゆえにアイドル的人気もあり、テレビ出演も多かったが、彼の中では葛藤もあったようだ。大ヒット曲「輝きながら…」は自身の作詞作曲による作品ではなかったからだ。本人が同曲のヒットを「素直に喜べなかった」と述懐しているように、哀切なバラードを得意とするシンガーソングライターとしての自負心と、きらびやかな世間的イメージは相容れないものがあったようだ。そんな葛藤を乗り越えて生み出された徳永の自作曲が「壊れかけのRadio」。徳永自身が「中学生の頃の音楽にワクワクする気持ちを思い出しながら作った」と振り返る同曲は、シンガーソングライターとしての彼の作家性が、もっとも純粋に表現された楽曲といえる。  その後、個人事務所のマゼランを設立するなど、意欲的に活動を展開しようとした徳永だったが、度重なる体調不良に悩まされるようになる。93年には声帯ポリープを患い、同時に手のしびれや目眩に襲われることもあったという。徳永自身、「歌手になるという夢を果たし、次の目標が見つからなかった」と後に語っているが、この時期以降は楽曲のリリースペースも落ち、90年代後半のバンド全盛の音楽シーンの中で、徳永英明の存在感も薄れがちになっていく。  もっとも大きなダメージは、2001年に徳永を襲った脳血管疾患だ。2001年5月のコンサート中に倒れるというハプニングがあり、その後の検査で「もやもや病」であることが判明する。多くの症例で意識障害や言語障害を伴い、場合によっては生命にかかわる難病である。1年半ほどの完全休養を経て、復活の記者会見を行った徳永だったが、その声は弱々しく、マスコミを含めて「完全復帰は難しいのではないか」という見方が大勢だった。  医師からは「声を出してはいけない」と忠告されている。ステージに立つメドはない。しかし徳永は諦めることなく、楽曲を作り続けた。そんな中で、音楽に対する考え方に変化が生まれたという。「病気をする前は我がために歌っていたけど、今はより多くの人に聴いてもらいたい。僕の歌う言葉とメロディがその人のプラスアルファの命になったらいいな、と。そう思って、時代の名曲を歌おうと思ったんです」(2007年12月『中居正広の金曜日のスマたちへ』での発言)  そのような経緯の後に誕生したのが、2005年の『VOCALIST』第1作だ。中島みゆきをはじめとする女性アーティストの名曲を丁寧に歌い上げた同作は、シンガーソングライターとしての徳永を愛するファンからの反発もあり、当初はセールスも芳しくなかった。しかし第2弾、第3弾と作品を重ねるうちに評判が高まり、日本の音楽シーンに一大カバーブームを巻き起こすことになる。  ドン底から不死鳥のように蘇った徳永英明。後編では、冒頭のブログ書き込みへの推察を含め、『VOCALIST』シリーズの変遷と音楽的功績について振り返る予定だ。 (文=編集部)
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徳永英明『VOCALIST 6(通常盤)』(ユニバーサルミュージック)

■リリース情報 『VOCALIST 6』 発売:1月21日 価格:¥ 3,240 〈収録曲〉 1. さよならの向う側 2. Woman“Wの悲劇”より 3. サンキュ. 4. 寒い夜だから・・・ 5. 桜色舞うころ 6. 風立ちぬ 7. スローモーション 8. やさしい悪魔 9. 想い出のスクリーン 10. かもめが翔んだ日 11. 告白 12. 春なのに 13. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ

元BiSマネージャーが新グループ・BiSHを始動させる真意とは?「横浜アリーナは超えたい」

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BiSHロゴ。

【リアルサウンドより】  元BiSのマネージャーであり、現在はミュージシャンのA&Rやマネジメントを行う事務所・WACKの代表取締役である渡辺淳之介氏が、新たなアイドルグループ・BiSH(ビッシュ)を始動させると発表した。  同グループは、メンバーこそ決まっていないものの、楽曲プロデュースはBiS同様、松隈ケンタが担当することが決定している。また、すでに5月にCDを発売することがアナウンスされているほか、17歳から28歳までの女性を対象としたメンバーオーディションも1月14日より開催している。  BiS解散から半年が経過し、残ったメンバーたちが別々の道を歩むなか、なぜこのタイミングでBiSHをスタートさせたのか。リアルサウンドでは「BiSをもう一度始める」とコメントした渡辺氏自身に直撃し、その真意を訊くことに成功した。 「まだ、BiSが解散してから半年しか経ってないんですけど、僕のなかでは10年前みたいに長く感じて。『ドラゴンボール』が『ドラゴンボールZ』として返ってきたりすると嬉しいじゃないですか。そういう続編って大体3年後とか5年後だったりするんですけど、我慢できなくて(笑)。プー・ルイはLUI◇FRONTiC◆赤羽JAPANでメジャーデビューを発表したり、僕のプロデュースするBILLIE IDLE(ヒラノノゾミとファーストサマーウイカが所属)のお披露目も終わり、プラニメ(カミヤサキが所属)も代官山UNITでワンマンをするところまでいきました。テンテンコは自主制作CD『Goodbye Goodgirl EP』をリリースし、コショージメグミもMaison book girlとして活動をしています。こうしてBiSに最後までいた6人に関しては、一通り次の道に進みました。だから僕も!って思った時に、やっぱBiSだなって思ったんですよね」
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渡辺淳之介氏。

 また、今回のプロジェクト始動にあたり、スタッフにはBiS最初期のメンバーを集めたという。 「これまで関わってくれた仲で、『やりたい』っていう人と一緒にできればと思うんですけど、とりあえず声をかけたのは、インディー時代のアートディレクター・真田礼や衣装デザイナー・外林健太で。今のところ、そこに僕と松隈ケンタを加えた4人の最初期メンバーだけがこのプロジェクトに関わっています」  BiSはこれまで時に奇抜なプロモーションで世間の目を集めてきたが、その手法をBiSHでも踏まえていくのだろうか。同氏はBiSの手法が「その場で考えてきたもの」であることを語ったうえで、こう続けた。 「どちらかというとお客さんとか本人たちとかをアッと驚かせたいって思ってやってきただけで、そのスタンスは変わらないです。あとは集まったメンバーを見て色々考えていきます。BiS自体も全員未経験の素人から始まってますし、プロはプロでカッコいいけど、素人には何をやるかわからない面白さがある。基本的にはメンバーの可能性をつぶしたくないんです」  最後に、同氏はBiSHが目指す場所についてこのように述べた。 「メンバーが集まってから、いろいろ相談したいとは思うんですが、せっかく『BiSをもう一度始める』と言ってるくらいなので、BiSの最終地点だった横浜アリーナは超えたいと思ってます。それ以外のところは、『とりあえずアイドルになりたいっす!』みたいな人を僕や松隈が見て決めていきます」  オーディションを経て、一体どのようなグループが誕生し、アイドルシーンを盛り上げるのか。続報を待ちたい。 (文=中村拓海) ■BiSHオーディション情報

嵐が<崖っぷち>アイドルだった頃(前篇)+市川哲史がTOKIOへ“ごめんなさい”

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市川哲史『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』(シンコーミュージック刊)

【リアルサウンドより】  やっぱりジャニーズの2014年は、過渡期の始まりだったのかもしれない。  本人たちのジャニーさんへの直訴により、増員デビューとなったジャニーズWEST。しかもファン投票でデビュー曲が決定したり、これら一連のプロセスがその都度ファンに報告されたりと、AKB48グループに通ずる育成エンタテインメント的展開は「ジャニーズらしくない」フレキシビリティーに映った。  そして<従来型の5人組アイドル>だったはずのSexy Zoneが、Sexy Boyz・Sexy松・Sexy Zoneの3ユニットから成る<謎の人数流動型グループ>Sexy Familyに再編成されたのも、同様の可変性に他なるまい。  なんかAKB48グループ的方法論に乗っかっちゃった感もあり、個人的にはやっぱジャニーズらしい王道を貫いてほしかった私である。  自分より歳上のタレントを好きだった女子が、歳下のタレントに乗り換える――いわゆる<担下り>現象が過去最高に顕著だからこそ、昨今のジャニーズJr.ブームを下支えしている。対象が無名であればあるほど人気者になるまでの成長過程の愉しみがいがあるわけで、母親気分でJr.の子たちに目星をつけるファンが急増している。主役のタレントではなく、そのバックで踊る自分の担当Jr.の子を観るためにコンサートに通うわけだ。  事実、私の大学の教え子のジャニオタも『Endless SHOCK』福岡公演に、堂本光一ではなく脇のJr.の子目当てで何回も通っている。  こうしたジャニーズ女子の性癖は以前から確認されており、だからこそ40代50代女子のジャニオタが多数健在だったりする。いわばAKB48はそんな伝統的な育成目線をエンタテインメント・システム化したに過ぎないわけで、本家のはずのジャニーズが追随しちゃうのは本末転倒だろう。自分が特許を持ってるのに使用料を払ってどうする。  とはいえ、Hey!Say!JUMP以降のレギュラーグループの「小粒化」と過熱するJr.「青田刈り」による、次世代カリスマ不在の横一線混沌状態もまた、ジャニーズ帝国にとっては必然的な過渡期なのである。しばらく続くだろうなぁ。  それでも、そんな不安定な一年を支えたのが<トリプル・アニバーサリー>だった。TOKIOデビュー20周年・嵐結成&デビュー15周年・関ジャニ∞デビュー10周年である。  とりわけTVメディアに強い3組なだけに、連日大きく報道されることで彼らの周年現象はアナウンス効果で増量、いよいよ華々しく報じられたのも大きい。この3組がもたらした安心感に、昨年のジャニーズは救われたのだ。

嵐がトップアイドルの“襲名披露”をした2014年

 中でも最大のトピックは、やはり嵐の結成15周年になるのだろう。  3万人を動員した記念ライヴ@ハワイは、22億円の経済効果と共に連日メディアを賑わせたし、NHKのドキュメント番組を筆頭に15年間の歩みを語る嵐の姿を、こぞってTV各局が「広報」した一年だった。  そして、いまやジャニーズ系のみならず日本のアイドル業界の頂点に君臨しているのが嵐だということが、ようやく日本人の共通認識として成立した年でもあった。  実際、彼らはデビュー10年目の2008年に、国立霞ヶ丘陸上競技場ライヴをSMAP・ドリカムに次いで実現させると、2014年の競技場解体までに最多の15公演を開催した。セールス的にもその08年、『truth/風の向こうへ』『One Love』で年間シングルチャートの1位2位を独占すると、翌2009年にはシングル・アルバム・DVD・総売上金額と史上初の年間チャート4冠を達成。さらには同2009年から2013年の年間アルバムチャート1位を、2012年を除いて毎年獲得しているのだから、実績は問答無用だ。  もちろんシングル3Wが全て年間トップ5入りし、最新アルバム『THE DIGITALIAN』は『アナ雪』サントラ盤に次ぐ年間2位と、節目の2014年も他を圧倒した嵐である。  けれども一般の人々から見れば、王座は知らない間にSMAPから嵐に禅譲されていた印象が強い。前述したデビュー10年目の2008年にau、2010年からキリンビール・任天堂・日立・JAL、2012年から日産と、気がつけば嵐はTVCM常連のナショナル・クライアントを抱えていた。『紅白歌合戦』の司会も2010年を機に、中居正広から嵐にバトンタッチ――その交替劇はあまりにスムーズすぎて、印象的には未だSMAPがナンバーワンだと思い込んでるお茶の間がまだまだ多い、と推察できる。  それだけに、「いやいや、実は嵐がトップアイドルなんですよSMAPじゃなくて」と説明・普及に努めるのに最適な機会が、この結成&デビュー15周年だったのだ。一度は通らねばならない手続きというか、まさに嵐にとってのラストピースである<ハクづけ>の一年。<襲名披露の一年>。  涙ながらに心情を語るリーダーの姿や「突然のデビュー会見@ハワイ」話が、どれだけ茶の間に流れただろうか。いやーめでたいめでたい。  とはいえ、デビュー曲の『A・RA・SHI』がほぼミリオンセラーだったにもかかわらず、初アルバムを出してもらえるまで2年懸かったのもまた、嵐だ。そして長く商業的成功に恵まれず、後続のグループに次々と追い抜かれる憂き目を見た。 たとえば嵐の初ドーム公演はデビュー9年目でようやく実現したが、デビュー4年目の後輩・NEWSと同じ2007年だった。KAT-TUNなんてその1年前の06年デビュー公演が、いきなり東京ドームときたもんだ。不遇というか、最初の6~7年は15周年なんて夢のまた夢の、超<崖っぷちアイドル>だったのである。  私が嵐と特に頻繁に逢っていたのがデビュー5周年の2004年から06年頃だったりするから、そんな当時の彼らの姿がなおさら懐かしい。

デビュー20周年のTOKIOに謝りたいこと

 と<あのころの嵐>を振り返る前に、昨年デビュー20周年を迎えたTOKIOにもどうしても触れておきたい。というかこの機会に、積極的に謝りたいのである。  2014年のバラエティ番組平均視聴率ランキング年間1位がなんと『ザ!鉄腕!DASH!!』だったりするように、実はTOKIOはいまや<お茶の間キング>なのだ。  そんなTOKIOのCDデビューより1年早い1993年暮れに、私もロッキングオン社から独立して新雑誌『音楽と人』を創刊した。もちろん日本のロックがメインのインタヴュー誌だったのだけど、まず各レコード会社に対して「『ロッキングオンジャパン』へのプロモーションを自粛していたアーティストも、遠慮せずどうぞ」と鎖国を解いたため、ユーミンからガールポップ(←死語)からソニマガ系から、なんでもありのラインナップだった。  折りしも日本のロックとJポップ一色に染まった、まさにアイドル冬の時代。当時はソニーレコード所属ということもあり、ジャニーズ起死回生のアイドルバンド・TOKIOのプロモーションを『音人』も受けた。たしか94年12月リリースの2ndシングル『明日の君を守りたい~YAMATO2520~』のときだと思う。当然それまでジャニーズとは無縁だったのだが、虫の報せか取材することにした。  ところが取材直前になり、ドラマ撮影の都合から長瀬+山口の欠席が判明。そこで私が面白がって企画したのが、城島茂(g)+松岡昌宏(ds)+国分太一(kb)+筋肉少女帯の大槻ケンヂ(vo,b)という、《TOKIO with 大槻ケンヂ》バンド座談会だったのだ。邪道とはいえ経験豊富なロッカー・大槻が、まだまだ青い果実のTOKIOにロック道を説く。しかもわざわざ楽器をセッティングして、スタジオ・ライヴの模様を撮影(失笑)。そのくだらなさに大いに納得した私は、撮影だけで現場をあとにした。  それから半月。掲載号の発売日、我々はジャニーズ事務所からいきなり出禁を食らった。その理由はただひとつ――大槻の素敵な教えの数々であった。 1.ロックバンドは各自のエゴのぶつかり合いだ! 2.女のことでモメなきゃ駄目だ! 3.少なくとも3回、朝4時のデニーズで誰かを辞めさせる密談をしないと、ロックじゃない! 4.どうせバンドはモメるから、もう売れてる時にこそピンでやる時のことを考える! 5.生き残りたかったら、友情なんか三の次、四の次! まずはピンでやる時の根回し! もう売れるほど、伸びるほど頭の垂れる稲穂かな。 6.アイドルとロックの中間のTOKIOは、そのうちどちらの路線を選ぶか悩むはず。しかしロックを突き詰めようとすれば、絶対解散する! 7.ロックはワンフをパックンしてなんぼ! 8.あとドラッグ。  おいおい。松岡は当時、まだ17歳だっつうの。ちなみに城島は大槻稀代の名曲「ボヨヨンロック」が好きで、昔から国分とコピーしていたらしい。  というわけで嵐の話は後編につづく(苦笑)。 ■市川哲史(音楽評論家) 1961年岡山生まれ。大学在学中より現在まで「ロッキング・オン」「ロッキング・オンJAPAN」「音楽と人」「オリコンスタイル」「日経エンタテインメント」などの雑誌を主戦場に文筆活動を展開。最新刊は『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』(シンコーミュージック刊)

J−POPの歌詞は本当に劣化したのか? 磯部涼×中矢俊一郎が新たな価値を問う

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『新しい音楽とことば』(スペースシャワーネットワーク)

【リアルサウンドより】  音楽ライターの磯部涼氏と編集者の中矢俊一郎氏が、音楽シーンの“今”について語らう新連載「時事オト通信」第3回の後編。磯部氏が編者を務めた書籍『新しい音楽とことば――13人の音楽家が語る作施術と歌詞論』が11月14日に発売されたことを受け、同書のテーマである、J-POPを中心とする歌詞について、そのありかたを考察した前編【J-POPの歌詞を今どう語るか? 磯部涼編著『新しい音楽とことば』が提示する新たな歌詞論】に続き、後編では“歌詞フィリア”や“ポストラップ”、“マイルド・ヤンキー”といったキーワードを軸に、さらに議論を深めた。(編集部)

中矢「『最近のJ-POP、翼広げすぎ、瞳閉じすぎ』というような揶揄がウケるのはなぜ?」

中矢:それにしても、歌詞フィリア(前編参照。歌詞に過剰に感情移入するタイプのリスナー)が増える一方、「最近のJ-POP、翼広げすぎ、瞳閉じすぎ」(もともとはネットで広まったテンプレートで、『朝日新聞』2012年4月4日付け朝刊の記事「Jポップ歌詞、瞳閉じすぎ? 目立つ紋切り型に批判も」でも取り上げられた)というような揶揄がウケるのはなぜなのでしょう? “新しい音楽とことば”を良いと思う人と、悪いと思う人との間の断絶が深まっているということでしょうか? 磯部:前編でも言ったように、『新しい音楽とことば』の前作にあたる『音楽とことば』の監修者・江森丈晃は、同書の前書きで、制作動機について〈「10年前までは、まったく日本語の音楽を聴くことがな」かった「自分にも、確実に刺さり、気持を揺さぶられ、“この歌詞を書いた人は、いったいどんな回路を持っているのだろう?”と興味の湧く言葉というのが増えてきた」〉と書いていたわけだけれど、実際は、『音楽とことば』が刊行された09年の10年前――つまり、00年前後と言うと、日本のポピュラー音楽の歌詞が劣化したと盛んに言われた出した時期なんだよね。その延長に「最近のJ-POPの歌詞、翼広げすぎ」という物言いもある。  例えば、歌詞フィリアと歌詞フォビアという二項対立についての北田暁大の論考「ポピュラー音楽にとって歌詞とは何か――歌詞をめぐる言説の修辞/政治学」が掲載された『ユリイカ』の〈特集「Jポップの詩学――日本語最前線」〉における、近田春夫といとうせいこうによる対談でも、冒頭から“最近のJ-POPの歌詞”は以下のようにディスられまくっている。 近田 …Jポップ以前の、たとえば「はっぴいえんど」や松本隆の時代は…楽曲と歌詞の問題を構造的に捉えていて…どうやって日本語独特の言い方を組み込んでいけるかトライしていたはずなんだ。 いとう どんな内容をどう歌うかについて、問題意識を持っていたということだよね。 近田 それが、ある時点以降、そうしたポップスの大前提の問題解決をまじめに考えなくなってきた。歌詞の、表現としての価値が問われないシステムができあがったんだよ。 いとう 要するに、歌詞のレベルが全体的に低い、低くても許されている、と。 近田 そうそう。ひとつ例を言うと、Jポップの歌詞で「季節のなかで」ってコトバがしばしば使われるんだけど、よく考えてみれば日本語にこんな表現はないでしょう。だって、具体的にどういう意味かわかる? 聞き流すとなんとなく分かった気にはなるんだけど、やっぱりヘンだよね。 (『ユリイカ』03年6月号、青土社より)  また、同誌に栗原裕一郎が寄稿した論考「“文学的内面”の呪縛を清算しても、“文学”として“Jポップ”を読むことは可能か、についての試論」では、湯浅学による一青窈「もらい泣き」(02年)についての以下のような酷評が引用されている。 こういう意味のわからない歌でも泣けてしまうのは、いかに自分が不安定であるか、という証拠。ちょっとした型があればそこにハマってしまう。だからそいつらに向けた言葉もゲル状になって、日本語がドロドロになるんだよ。 (『SPA!』03年4月29日/5月6日合併号、扶桑社より)  一方、『新しい音楽とことば』では、七尾旅人が、98年にデビューし、それこそ、“ゲル状”の、“日本語がドロドロにな”ったような歌詞を書いていた当事者として、以下のように語っているんだよね。 ――デビュー当時、旅人さんの歌詞は意味深長なものとして受け取られて、分析されることも多かったんじゃないですか? ●それはありましたね。まあ、「意味わかんねぇ」みたいに揶揄されることも多かったですが、面白いと思って深み読みしてくれるひともいました。でも、あれから15年経って、我ながら「なんであんな歌詞書いたんだろう」って思います(笑)。今はまたアプローチが変わってますからね。 (磯部涼・編『新しい音楽とことば~13人の音楽家が語る作詞術と歌詞論』、P221) ――以前、デビュー当時を振り返って「世界が多層化して軸を失っていく中で、若者たちの主体がさまよっていた時代だった……」というようなことを話してくれましたよね。 ●…そもそも、友達がいなかったから、他の若者の主体がどれぐらいさまよっていたか正直わからないんですけど、「自分はこんな時代に何を言葉にしたらいいんだろう」ということはすごく執拗に考えていて。 (中略) それは個人的な未熟さも大いに関係してるから、時代のせいにばかりはできないけど……。同時期に出てきたミュージシャンの歌詞を見ると、そういう感覚は僕以外にもあったんじゃないかな。 ――その当時、作詞で注目されていたシンガーソングライターというと、中村一義や椎名林檎あたりでしょうか。 ●うん。あと、スーパーカーや国府達矢もそうですけど、それ以前の歌詞とはガラッと変わったようなところがあったんじゃないかな。みんな、アプローチは違いましたけど。僕より10歳くらい上のバンドと比べて、主体が明確じゃなくなったというか。思うに、“私”というものがすごく希薄化したんです。当時デビューした中でそれが一番極端なのが、僕だったと思います。一曲ごとに登場人物も声色もコロコロ変わって主体がさまよってた。 ――いわゆる当時のJ-POPに目を向けても、小室哲哉や宇多田ヒカルの歌詞もどこか不安定な印象がありますよね。 ●そうですね。僕自身、主体がうっすらとしていることはコンプレックスでもあったけど、その希薄さは自分たちの世代の新しさかもしれないと考えてもいました。たとえば、フォークの世代の人たちって主体が太くてはっきりしてると思うんです。団塊世代の歌詞を見返してみると、筆で書いたみたいに主体が太いでしょう(笑)。彼らが歌い始めた60年代や70年代はそれくらいの主体を獲得できた時代だったのかもしれないですよね。さらに上の世代になると、もっと太くて明解になる。逆に言うと、今の若い子が聴いたら素朴に思えちゃうくらい。僕はどうしてもそこまで主体を単純にはできないんです。何を書くにも必死に綱渡りしている感覚がつきまとうというか。明確なポジションから、明解な口を利くということが難しい。 (同上、P219)  つまり、旅人くんは、J-POPの歌詞が“劣化”したわけではなく、むしろ、社会の流動化に合わせて“変化”したのだと考えている。そして、湯浅さんが指摘するところの“ゲル”化が進んだ――リスナーが置かれている状況の不安定さに合わせて、歌詞も不安定になった結果、リスナーが「この歌詞を他の人は意味がわからないというけれど、私にはわかる」「これは私の歌だ」というふうに思い込んで歌詞との共依存が深まり、歌詞フィリアが増えたと考えられるんじゃないかな。あるいは、ひとくちに“劣化”と言っても、“ゲル”化と、「翼広げすぎ、瞳閉じ過ぎ」と揶揄される“テンプレ”化は区別したほうが良くて、社会のあり方が複雑になったことによってかつてのようなわかりやすい国民歌謡が生まれにくくなり、“ゲル”化が進んだのだとしたら、それでもなお、多くの人が共有できるポピュラー音楽をつくるために試みたのが“テンプレ”化だと言えるのかもしれないね。

磯部「現代においてすべての表現は“ラップを通過したもの”という形でしかあり得ない」

中矢:なるほど。ところで、『新しい音楽とことば』では、いわゆる“ラッパー”には取材をしていないんですよね。磯部さんのファンはちょっと不思議に思ったかもしれませんが、同じ版元から日本語ラップの“歌詞”に焦点を当てたインタヴュー集『ラップのことば』(2010年)と続編『ラップのことば2』(14年)が過去に刊行されていたという事情があり……。  それはともあれ、今回の本の中でもラップの話題は度々出てきていて、例えば、JAZZ DOMMUNISTERSで同ジャンルにアプローチしている菊地成孔さんは、「ポップスとラップは言葉の数が一番の違い」「ポップスにおける歌のフローや音程がラッパーのライムと同じくらいの細やかさで動いていくと」「(歌詞も)ある種のネクスト・レベルになると思うんです」と語ってくれました。実際、USでは、ドレイク以降、ラップと歌の間を行き来するようなフロウが流行っているわけですが、菊地さんに言わせるとドレイクは「メロディが素朴」「僕が言っているのはそういうことではなくて、ラップのフローをトレースして、打点を全部譜面に起こして、そこに音程をつけて歌っていくということ」。そういう意味では、「ヤング・サグはいいですよね。ジャズのスキャットに近い。ラップしながらメロディを生成していく」点に可能性を見ていると。日本でもそろそろ似たようなアプローチをするラッパーが登場するのかもしれませんし、そういった動きの中から従来とは異なる構造の歌詞が出現してくる可能性は確かにあると思います。 磯部:この前、岡田利規(チェルフィッチュ)の新作パフォーマンス「ポストラップ」を観に行ったのね(2014年12月23日、東京都現代美術館)。それは、岡田さんが、SOCCERBOYというラッパーがラップしているところに振り付けをするというもので、“ラップを越えるもの”みたいなニュアンスを感じさせるタイトルや、告知にあった「ありがちなラッパーのからだの動きを更新すべく…」って一文にちょっとカチンときて、「お手並み拝見」ぐらいの気持ちで足を運んだんだ。だって、わざわざそんなことやってもらわなくても、ラップ・ミュージックでは、日々、音も動きも更新されているし、世界的に見れば今や同ジャンルこそが文化全般を引っぱっているわけだし、SOCCERBOYこそが日本におけるそのカッティング・エッジなわけだからね。果たして、「ポストラップ」は、振り付けが大した効果を発揮しているとも思えず、「SOCCERBOYのラップはやっぱりすげぇなぁ」という感想しか浮かばなかった。ただ、タイトルの“ポスト・ラップ”を、“ラップを越えるもの”ではなく、“ラップを通過したもの”と捉えるならば、現代においてすべての表現はそういう形でしかあり得ないということを再確認させてくれる機会ではあったかなと。  例えば、現在のポップ・ミュージックを代表するスター=テイラー・スウィフトの近作にしても、ループ感のあるバックトラックや、ライミングを意識したヴォーカルはポスト・ラップ的だとも言えるんじゃないかな。もちろん、後者は、彼女の出自であるカントリーの要素でもある。また、プライヴェートやパブリックイメージとフィクションが交差する歌詞は、前編でも話題に出た、シンガーソングライターの楽曲における私小説性という古典的な問題を内包している。ただ、それらの手法は、近年、他でもないラップ・ミュージックが発展させてきたものだし、テイラーは絶対その辺りも踏まえていると思う。そういう意味では、日本だと、『新しい音楽とことば』にも参加してもらった大森靖子はポスト・ラップ的な表現をしている人だと言えるんじゃないかな。最近は、J-POPでもライミングをするのが当たり前になってきたけど、意味ではなく韻律に偏ったナンセンスなものになりがちで、それに比べて、大森さんの「ノスタルジックJ-POP」ではライミングならではの文学性が表現されている。  ただ、日本ではストレートなラップの面白さが世間一般でなかなか理解されないという状況があって、その対策としてドレイクなんかとは別の文脈から、歌とラップの中間のようなフロウが開発され、FUNKY MONKEY BABYSみたいなガラパゴスなポスト・ラップ・グループが人気を得たものの、もともとは、ハードコア・ラップ・グループ=MSCと共演していたファンキー加藤も、今や彼の歌からルーツはまったく窺い知れないようになってしまっていて……そんなJ-POPにおいて、コマーシャリズムとポスト・ラップ的な歌詞の面白さを両立させているのが、例えば湘南乃風なんじゃないかな。もちろん、彼らのルーツはダンスホール・レゲエだけど、同ジャンルはヒップホップとは密接な関係にあるので、湘南乃風もポストラップ・グループと言ってもあながち外れてはいないと思うんだよね。

磯部「湘南乃風も泣かせる歌をつくっているものの、それは、単なる“しのぎ”ではなく、“ほんき”でもあると思う」

中矢:そういえば、『新しい音楽とことば』の校了後、〈パシフィコ横浜〉で行われた湘南乃風のメンバー=HAN-KUNのソロ・ライヴに伺ったんですけど、マイルドヤンキーがメインといえる客層で、まるで郊外の巨大ショッピングモールにいるような感覚になりました。しかも、小学校低学年くらいの子連れ客も多かった。それは、湘南乃風の大出世曲「純恋歌」が2006年の発表後に結婚式の定番ソングになったことと関係しているのかもしれません。また、年末には〈さいたまスーパーアリーナ〉であった湘南乃風のライヴに磯部さんと行きましたが、やはり会場は似たような客層と雰囲気でした。  今回の本の中で、その「純恋歌」について若旦那さんに深く訊いたところ、若者だった自分たちの生活を描写することで時代を切り取ろうとしたラヴ・ソングだと言っていましたよね。「大親友の彼女の連れ/おいしいパスタ作ったお前」とか「パチンコ屋逃げ込み/時間つぶして気持ち落ち着かせて/景品の化粧品持って 謝りに行こう」といったラインがあるあの曲は、ネット上で“DQNソング”などとネタにもされてきましたが、マイルド・ヤンキーという用語が登場するはるか前に、彼はそう括られる若者がリアルだと思えるよう、極めて戦略的に一語一語を身のまわりから探し出し、歌にしていった。そして見事、大ヒットした。つまり「純恋歌」の歌詞は、ある種の私小説性も備えていると同時に、マーケター的な視点によって書かれたものとも言えますよね。 磯部:「純恋歌」の若旦那のヴァースに出てくる“大貧民”はトランプのゲームで、全国的には“大富豪”と呼ばれているけど、地元では“大貧民”だったので、歌で使うのもその単語でなければいけなかったとか、“パスタ”に関しても、仲間内でイタリアン・レストランのことを“パスタ屋”と呼んでいたので、“スパゲッティ”ではなく“パスタ”でなければいけなかったとか、ローカリズムにこだわりつつ、アンダーグラウンドで生きてきた自分の経験を基に集団暴行のことを歌っても共感してくれる人は少ないだろうからラヴ・ソングをつくった……と言っていたよね。「ポップスに恋愛の歌が多いのは、万人がいちばん引っかかるからなんですよね。どんなヤクザの親分だって、どんな真面目なサラリーマンだって、キュンとするポイントが一緒だったりするでしょう。だから、ラヴ・ソングはヒットしやすい」と。  “マイルド・ヤンキー”というマーケティング用語についてどう思うか? という質問も、怒られるかなと思って恐る恐る訊いたんだけど、返ってきたのは意外にも「マイルドヤンキーみたいな層に目がけて曲をつくってきたようなところはありますね」「俺たちのターゲットは、仲間意識が強くて、純粋で、でもちょっとおバカさん、みたいな人たちなんですよ。みんなでワイワイするのが好きで、“ここに一生ずっとみんなでいられたら俺らは幸せだよな”って言ってるような。そこで鳴らす音楽は、湘南乃風がピッタリだって思う」というまさにマーケター的な答えだった。  ちなみに、『ヤンキー文化論序説』(河出書房新社、09年)に収録された「ヤンキー音楽の系譜」という論考で、近田春夫が「ヤンキーにとって、音楽は目的というよりむしろ手段であることが、結果的にみて多い…平ったくいえば、それは表現である前にまずビジネス(しのぎ)なのだ」と定義した上で、「いま(商売としての)音楽を取り巻く事情も加速度的に厳しさを増している。そんな中でヤンキー達はどう音楽と向き合ってゆくのか? ひとつだけ言えることがあるとするなら、彼らはますます安あがりに“感動”させることにスキルを特化させていくに違いない…泣かせる歌を作ることにそれこそ血道をあげることだろう。売れるのはそこだからだ」と予測していて、示唆に富んだ指摘だと思うけど、些かドライすぎる感じもするんだよね。だって、確かに、湘南乃風も泣かせる歌をつくっているものの、それは、単なる“しのぎ”ではなく、“ほんき”でもあると思うんだ。例えば、若旦那さんはこんなことも言っていた。 ●…俺が東京でそういう(引用者注:湘南乃風のような)歌に出会ってたら、もっとまっすぐな人間になれた気がするんです。「喧嘩は大人からしたら犯罪だけど、お前は仲間を守るためにやったんだろ?」とか、そうやって少しでも自分を肯定してくれる歌があったら、俺はもうちょっとマシな方向に進んだんじゃないかと思ってて。でも、あの頃(引用者注:若旦那の青春時代)の東京の不良にはそれがなかった。ホントにヤクザみたいな世界で、昨日まで友達だったヤツらにいきなりリンチされたり。そういう生活を振り返ったときに、不良の規範となるような音楽があればいいのにと思って、湘南乃風でそれを体現しようとしたんですよ。だからこそ、マイルドヤンキーの子たちにウケたんでしょうね。 (磯部涼・編『新しい音楽とことば~13人の音楽家が語る作詞術と歌詞論』、P342)  単行本にそのやり取りは収録されていないけど、この後、僕が「それって“キャッチャー・イン・ザ・ライ”ですね!」と言ったら、若旦那さんが「その小説は知らない。ただ、まさにそういうことがやりたいんです」と頷いていたのも印象的だった。00年代以降のJ-POPにおいて、“テンプレ”化と共に、“泣ける曲”や“アガる曲”みたいに楽曲の用途がはっきりとした“サプリメント”化が進んだという批判もあるよね。でも、湘南乃風はそれを承知の上で、自分たちの音楽や自分たちのライヴを不良の子たちのためのセーフティネットとして機能させようとしているんだと思う。年末に行われた〈さいたまスーパーアリーナ〉のライヴでもヤンチャそうな子たちがここぞとばかりに楽しんでいたし、若旦那さんもステージからフロアに対して「みんなおつかれさま。1年、頑張ったな」って繰り返し声をかけていた。その熱さを小馬鹿にするのは簡単だけど、日本ではアンダーグラウンドなヒップホップやダンス・ホールレゲエのシーンがコミュニティとして上手く機能していない現状にあって、湘南乃風はそれを一手に引き受けているようにも感じたな。 中矢:若旦那さんとターゲット層がまったく違いますが、やはり『新しい音楽とことば』に参加して頂いたじんさんも同じようなことを試みているのかもしれないですね。「ボーカロイドは歌でフィクションをやろうとしたときに、生ぐささをなくして他人に伝えられる絶好の機械だと思ったんですよ。カゲロウプロジェクトは僕個人が描かれた物語だとは思ってもらいたくなくて」などと冷静に語る一方、「僕は小さい頃、しゃべれるようになるのが普通の人より遅くて、勉強もできなくて……」「僕はバックホーンに救われましたから。歌詞カードを読みながら聴いて『カッコいい』と思って涙を流していました」「あの頃の僕みたいに、『ひとりぼっちだ』と思っている人を変えていけたらいいなと思って(自分の音楽を)つくっている」といったエモい発言もしていたのが印象的で。 磯部:そこで、湘南乃風とじんがつながるのが面白いよね。あるいは、じんさんと、『新しい音楽とことば』にも参加してくれた高城晶平のグループ、ceroを比較してみるとする。後者は、佐々木敦が『ニッポンの音楽』(講談社現代新書、14年)で取り上げたようなリスナー型ミュージシャンでもあるので、いわゆる音楽ファンはコンテクストがわかりやすいと思う。一方、前者はそういう人たちからは音楽的に面白くないなどと批判されがちで。でも、両者を歌詞という観点から捉え直してみると、物語性という点でつながっている。ここで、最初の問いに戻ると、本書の制作を通して見えてきた、“新しさ”とは何か? それは、結局のところそれぞれだというつまらない答えしか言えないんだけど、“メルト”化や“サプリメント”化といった批判に対する反論だったり、“ポスト・ラップ”や“物語”といったテーマだったりをキーワードにすることによって、共通点も見えてくるんじゃないかな。ただ、それは、「最近のJ-POPの歌詞、翼広げすぎ」とひと括りで片付けられるような単純なものでもない。 中矢:私としては“新しい音楽とことば“がそのように単純じゃないことをヴィジュアル面でも表わそうと思って、江森丈晃さんに今回の本をデザインしていただきましたが、磯部さんとしては例えばこの表紙から読者のみなさんに何か感じ取ってほしいことはありますか? 磯部:表紙の模様はよく見ると鉛筆だということがわかると思うんだけど、それが未使用のままずらっと並んでいるというのは、これからこの鉛筆たちが新しい歌詞を生み出すのかもしれないし、もはや歌詞を書くのに鉛筆を使う時代ではないので、墓場のようなものだと言えるのかもしれない。ちなみに、この大量の鉛筆は、江森くんがアメリカで安く買ってきたアウトレットなんだよね。それを“和”のテイストが出るような配置で並べている。そこから、アメリカと日本の関係という、日本のポピュラ―音楽における重要なテーマを読み取る人もいるだろうね。あるいは、この本に栞紐が2本付いているのは、繰り返し言っているように、参加している様々なタイプのアーティストのリンクするところを探してほしいということでもある。そんなメッセージを意識しながら読むと、より楽しんでもらえるんじゃないかと思います。 ■磯部 涼(いそべ・りょう) 音楽ライター。78年生まれ。編著に風営法とクラブの問題を扱った『踊ってはいけない国、日本』『踊ってはいけない国で、踊り続けるために』(共に河出書房新社)がある。4月25日に九龍ジョーとの共著『遊びつかれた朝に――10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』(Pヴァイン)を刊行。 ■中矢俊一郎(なかや・しゅんいちろう) 1982年、名古屋生まれ。「スタジオ・ボイス」編集部を経て、現在はフリーの編集者/ライターとして「TRANSIT」「サイゾー」などの媒体で暗躍。音楽のみならず、ポップ・カルチャー、ユース・カルチャー全般を取材対象としています。編著『HOSONO百景』(細野晴臣著/河出書房新社)が発売中。余談ですが、ミツメというバンドに実弟がいます。

LAMP IN TERREN、きのこ帝国、トリプルファイヤー……2015年、期待のバンドまとめ

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LAMP IN TERREN

【リアルサウンドより】  4つ打ちのロックを筆頭に、さまざまなバンドが元気だったここ数年。CDのセールス不況の話もいい加減に聞き飽きたが、ライヴ・シーンは相変わらず活況を呈しており、新しいバンドが次々に登場している。今回は昨年までの動きを加味しながら、2015年に大きな活躍を期待したいバンドたちを紹介しようと思う。

LAMP IN TERREN

LAMP IN TERREN「緑閃光」Music Video

 このトリオの魅力は、ヴォーカル&ギターの松本 大が書く曲の文学性と、それを昇華するバンド・サウンドとの融合にある。メジャー初アルバムの『silver lining』には彼らにとっては古い曲が多く、そのぶん、10代の頃の松本の気持ちが垣間見える。当時、学校生活になじめなかった彼の歌には、どこか自分の居場所を求めていたり、自分の行く道を探しているかのような描写が多い。ただ、そんな混沌の中でも、なんとか光を見つけようという思いがバンド名にも作中にもうかがえる。リード曲の「緑閃光」は、そんな魅力が集約されたナンバーだ。  2011年に現編成となり、翌2012年にバンド名を今のものに決定。ただしバンドの母体はメンバーが上京するはるか以前、長崎県での中学時代の2007年に結成されており、3人とも同学年である。お互いをよく知るだけに、心の絆は固そうだ。  あくまで松本の歌が中心の、オーソドックスなギター・バンドである。その意味では決してエッジーな音楽性ではないが、このバンドの歌心には多くの人々が心を震わせられるような予感を覚える。また、僕が年末に観たワンマンライヴでは、松本がオーディエンスに向かって「アゲられますか!?」と煽ったと思いきや、すぐに「……そんなバンドじゃないけどね」と自分にツッコむ場面があった。こういうひと筋縄ではいかないところも、このバンドらしさのように感じる。

きのこ帝国

きのこ帝国 - 東京 (MV)

 昨年はとくに進境著しく、バンド・シーンにおいて一気に最注目の存在にのし上がった感があるのがきのこ帝国だ。ファンや関係者の間で名曲の誉れが高かった「東京」を1曲のみ収録のシングルとして5000枚限定リリースすると、各所で品切れが続出し、追加プレスが出る事態に。それに続いて登場した2枚目のフルアルバム『フェイクワールドワンダーランド』は、やわらかで透明な声質を持つ佐藤のヴォーカルの魅力と、バリエーションを見せるサウンドが結晶した一作となった。  2008年からライヴ活動を始めたきのこ帝国は、当初はシューゲイザー系のバンドと認識されていた。この初期の頃は佐藤個人がネガティヴな心情を書き綴った曲が目立っており、僕が2010年にライヴを初体験した時は、暗い照明の下で彼女が涙を流しながら叫び、バンドはそれに壮絶な轟音をかぶせていたものだ。沈痛にしてダウナーなその世界観は、過去の作品から感じてもらえるはず。そんな作風が一昨年末のEP『ロンググッドバイ』の頃から確実な変化を見せはじめ、幸福感の漂う表現も出てくるようになった。去年は曲がアパレルブランドのCMに起用されるなど、反響は広がりを見せつつある。  最新アルバムでは4つ打ちやヒップホップ的なアプローチも見せているが、このバンドが高みに差しかかるのはおそらくこれからだろう。深いネガティヴィティを乗り越えた佐藤の歌声は今、最高に優しく、美しく、心地良く響いてくる。

トリプルファイヤー

トリプルファイヤー "スキルアップ"(Official Music Video)

 ダークホース的なイメージだったトリプルファイヤーだが、去年は意外な方面からリアクションを得ることが多かった。2006年に大学のサークルで結成。昨年、サウンド・プロデュースにPANICSMILEの吉田肇を迎えた2作目の『スキルアップ』を発表した4人組である。「高田馬場のJOY DIVISION」「だらしない54-71」という異名のとおり、ポスト・パンクをベースにした音楽性だ。演奏自体はムダのない、ストイックなものだが、そこに吉田靖直の歌が乗ると異化作用のような感覚が増大する。「次やったら殴る」の、つい笑ってしまう、それでいて逆に攻撃的ですらあるような不可思議なノリ。「スキルアップ」の、シュールさ満載のままアグレッシヴに駆け抜けていく速度感。異端だが、最高にクールである。  2014年は、今泉力哉監督の映画『サッドティー』の音楽を担当。フジテレビの深夜枠『未来ロケット』では「くるくるミュージシャン」として紹介され、同番組のイベントにも出た。ギターの鳥居真道はトクマルシューゴPlusに参加(トクマルは去年最も聴いたアルバムに『スキルアップ』を挙げている)。また吉田は大喜利の才が買われ、この1月2日にOAされたテレビ東京の番組『共感百景』に大森靖子らと出演し、その言葉のセンスで見事、「最優秀共感詩」に輝いている。  とはいえ、特定のシーンに居場所を見出すことなく、あくまで自分たちのスタンスで活動するさまは、集団的な狂騒から距離を置くかのような作品性とつながっている。

Shiggy Jr.

Shiggy Jr. / LISTEN TO THE MUSIC

 インディ・ポップ・ファンの間での人気者となったShiggy Jr.は、結成からまだ2年しか経っていない。下北沢のmona records周辺を中心に活動をしていたが、昨年はヴォーカルの池田智子がラブリーサマーちゃんとともにtofubeatsの「ディスコの神様」にコーラスで参加し、バンドの名が広く知られることとなった。その後にリリースした『LISTEN TO THE MUSIC』は、池田のキュートなヴォーカルと突き抜けるようなポップ感が鮮やかにブレンドした良作。幅広い層にアピールする可能性を大いに感じるバンドである。

Awesome City Club

Awesome City Club "Lesson"

 現在の音楽シーンの潮流のひとつであるシティ・ポップ的な空気感を語る際に名前が挙がることが多いバンド。タヒチ80など洋楽バンドとの共演も多く、そちらで知ったリスナーもいるだろう。ただ、シティ・ポップとは言っても、それぞれに活動歴を持つ男女混成のメンバーで結成されており(たとえばベースのマツザカタクミはラップ・ユニットのTHIS IS PANICの中心メンバーだった)、決してスマートなポップネスに収まっていないあたりも特徴。現在はYouTubeへのアップで楽曲を発表するスタンスを続けているが、いずれまとまった形での作品リリースを期待したいところ。このバンドも結成から2年経っていない。

Yogee New Waves

Yogee New Waves / CLIMAX NIGHT (New Version)

 歌もの系のバンドの中でも、とりわけ強い個性を放っているのがヨギーだ。それはヴォーカルの角舘健悟のパーソナリティによるところが大きく、このバンドの歌にはどこか放浪するような心模様が漂っているように感じる。角舘の歌も声も人となりも、そして楽曲自体も、まるで昔のフォーク・シンガーに通じるような自由さを標榜しているかのような感覚があり、その世界がルーツ音楽をしっかり吸収したバンドの音でのびやかに表現されている。この手のアーティストは久しくいなかったので、とりわけ若い世代には新鮮な存在として映るのではないだろうか。そして彼らもまた結成から2年である。  ほかにも気になるバンドはたくさんいる。ヴォーカルのコムアイのキャラクターが人気の水曜日のカンパネラ、昨年のアルバムで注目を浴びたTHIS IS JAPAN。メジャーに進出した組で精力的なのは、永原真夏のパワーが魅力のSEBASTIAN X、ヴォーカル・理姫の艶やかさも最高なアカシック、「ネトカノ」がヒットしたSugar’s Campaign、こちらもシティ・ポップの現代版といえるボールズ、洋楽ロックの影響をダイレクトに展開しているgo!go!vanillasといったところ。HAPPY、The fin.、Homecomings、my letterといったあたりも洋楽色濃厚、さらに言えば、しかもいずれも関西勢だ。  シーン全体としては、パーティー感や爆音で盛り上げるよりも、徐々に歌に比重が傾いていて、その結果、ポップなメロディを唄うバンドが増えている気配を感じる。現在の20代は90年代に隆盛を極めたJ-POPを幼少期から当たり前に浴び、そこから過去の音楽や洋楽に入った人が多いだけに、ポップな歌メロへの抵抗がない。さらに言えば、現代のアイドル文化への偏見も少ないだろう。それに加えて、女の子が重要な役どころを務めているバンドも目につく。そうしてみると、ポップであることがキーワードのひとつになりそうな予感がする、今年以降のバンド・シーンなのである。 ■青木優(あおきゆう) 1966年、島根県生まれ。1994年、持ち込みをきっかけに音楽ライター業を開始。現在「テレビブロス」「音楽と人」「WHAT's IN?」「MARQUEE」「オリジナル・コンフィデンス」「ナタリー」などで執筆。 ブログ:子育てロック

“次に来るアイドル”をどう発掘? 業界関係者も注目の番組『アイドルお宝くじ』とは

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『アイドルお宝くじ』ロゴ。

【リアルサウンドより】  毎週金曜日の深夜より放送されている、“次に来るアイドル”たちが投票形式のライブで順位を争うテレビ番組『アイドルお宝くじ』(テレビ朝日系)が、アイドル評論家や業界関係者から注目を集めている。  同番組は、毎回5組のアイドルが「この日のために仕上げてきたライブ」を150名のファンに披露。観客投票の集計結果に応じて順位が決定されるもの。1位から3位は勝ち残りとして次週も出演、4,5位は脱落となる仕組みだ。ここ最近の放送では、アップアップガールズ(仮)が6週勝ち抜き、THE ポッシボーが3週連続勝ち抜きと、この2グループの強さが目立っている。  また、地方アイドルやインディーズの注目株などもいち早くフックアップし、テレビ出演の機会を与える番組となっており、放送時間には出演アイドルのファンやアイドル評論家、業界関係者などが、次世代アイドルの戦いを手に汗を握って見つめている様子がTwitterなどでも散見される。  深夜音楽番組の枠で、ここまで実験的な企画をなぜ実行に映したのか。今回は同番組プロデューサーの緒方彰大氏にメールインタビューを実施し、番組を立ち上げたきっかけや今後の展開について語ってもらった。 ーー番組を立ち上げようと思ったきっかけはなんでしょうか。 緒方彰大(以下:緒方):全国で様々なアイドルが乱立する時代に突入している中、AKB48やももいろクローバーZに続く、“次に来る”アイドルを視聴者と一緒に発掘できないかと思い、企画しました。番組側が順位を決めるのではなく、その日のアイドルのパフォーマンスの仕上げ度を見て、ファンの皆様が直接評価して順位を決めるシステムをとっているのがポイントです。5組中3位以内に入らなければ、翌週以降は収録に参加できないため、アイドルにとっては毎回毎回が生き残りをかけたサバイバルライブとなっています。ファンや視聴者にとって、本気のパフォーマンスを見ることができるのでお得感のある番組に仕上がってきているのかなと思います。 ーーアイドルのキャスティングに際して心がけていることはありますか? 緒方:毎回投票用紙に“出演させて欲しいアイドル”をファンの方に記入して頂いているので、なるべくその要望に応えるべくキャスティングしています。 ーー番組内では、漫画風のイラストで出演アイドルの解説をするキャラクター“長宗我部一”のコーナーがあります。この解説はどういう形で作られているのか教えてください。 緒方:長さんのコメントは、実はファンの感想から抜粋したものを反映していて、実際に生でライブを見た代表的な感想を代弁させています。 ーー連続勝ち抜きをつづけるアイドルも出てくるなか、それらを打ち破る無名の地方アイドルが現れて番狂わせを起こすのも同番組の楽しさです。このあたりのアイドルを並列に戦わせるにあたり、苦労していることなどがあれば教えてください。 緒方:徹底的にライブを“仕上げ”て来てもらいます。歌や踊りの完成度はもちろんですが、目の前にいるファンとどう一緒に盛り上がっていくかという一体感も重要ですので、みんなで楽しめる要素を加えたり工夫してもらっています。 ーー昨年末にはカバー曲でのスペシャル企画を放送したり、3月12日にはEXシアター六本木でライブイベント『アイドルお宝くじ パーティーライヴ』も開催されるなど、新たな広がりを見せ始めていますが、今後の展望について考えていることはありますか。 緒方:単なるアイドル番組を放送するのではなく、ファンとより時間を共有できるものにしていきたいと思っています。地上波では放送時間に限りがあるため、CS放送でノーカットLIVE版を放送したり、BS版では全アイドルの中でも一番輝いていたMVPをファンの投票で決めて、そのMVP中心のカット割りに変えて放送しています。  3月にライブイベントを初めて開催しますが、テレビと視聴者の壁をもっと取り払って、アイドルとファンが楽しめる時間を一緒に共有したいと思っています。『アイドルお宝くじ』のイベントだからこそできる、ファンとの交流イベントやお宝くじ抽選会など、様々な企画を用意していますので楽しみにしていてください!  アイドルの新たな楽しみ方をテレビ側から提案する試みが、今後ファン層にどう浸透していくのか期待したい。 (文=中村拓海) ■番組概要 『アイドルお宝くじ』 テレビ朝日 毎週金曜 深夜 2:50 ~ 3:20 BS朝日 毎週土曜 深夜 2:30~3:00 ※毎週MVPに選ばれたアイドル(個人)のオリジナルVTR(約2分)を放送 CSテレ朝チャンネル1 毎週金曜 深夜0:00~1:00 ※ライブパフォーマンスの完全版を放送 ■イベント情報 『アイドルお宝くじ パーティーライヴ』 日時:3月12日(木) 開場17:30/開演18:30 場所:東京・EXシアター六本木(http://www.ex-theater.com/) 住所:〒106-0031 東京都港区西麻布1-2-9 電話番号:03-6406-2222(代表) <出演アーティスト> まなみのりさ/アップアップガールズ(仮)/GEM/Negicco/Palet/東京パフォーマンスドール/ ・アクセス方法 日比谷線&大江戸線 六本木駅から徒歩5分 千代田線 乃木坂駅から徒歩8分 南北線 麻布十番駅から徒歩11分 都バス 渋谷⇔新橋 都01系統『EXシアター前』降りてすぐ ・チケット 〈アリーナ〉スタンディング4,000円 〈スタンド〉指定席4,000円(税込) <イープラス1次プレオーダー> 2014年12月28日(日)18:00~2015年1月11日(日)18:00まで http://eplus.jp/idol-treasure/ <一般チケット販売>2月14日(土)10:00~ イープラス http://eplus.jp チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:252-579 ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:76432 イベント特設ホームページ

謎多きスペシャルユニット、THE TURTLES JAPANの「意志と意義」を見た30分

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【リアルサウンドより】  flumpoolの山村隆太(YAMAMURA)と阪井一生(SAKAI)が、新たな音楽表現を追求するために国内屈指の音楽プロデューサーである亀田誠治(KAMEDA)に声をかけ結成されたスペシャルユニット、THE TURTLES JAPAN。flumpoolのパブリックイメージにとらわれない自由な音楽性を追求したいというYAMAMURAとSAKAIの思いにKAMEDAが共鳴し、KAMEDAもまたオファーを受け「プロデューサーではなく、ミュージシャンとしての血が騒いだ」と筆者が行ったオフィシャルインタビューで語っていた。ユニット名にTURTLE=亀を冠しているあたりもKAMEDAがこのバンドに賭ける本気度がうかがえる。  2014年11月に1stシングル“It’s Alright!”をリリース。EDMのエッセンスをオープンマインドなポップソングに昇華しているこの楽曲のアプローチは、サウンドもYAMAMURAのソングライティングもフレッシュな生気に満ちている。なるほど、THE TURTLES JAPANの「自由を謳歌するポップミュージック」は、これから興味深い展開を見せてくれそうだと思わせてくれる。一方で、ライヴはまだ限られた数しか行っていないためその実体はベールに包まれている部分も多い。そんな彼らが12月28日から12月31日まで幕張メッセ国際展示場にて開催された「COUNTDOWN JAPAN 14/15」の初日に登場した。  舞台は17時30分のCOSMO STAGE。エレクトロニックなSEをバックにステージに現れたKAMEDA、YAMAMURA、SAKAI、そして年末のフェスからバンドに合流するドラムのJINGUJI(レミオロメン・神宮司治)とピアノ&キーボードのISOGAI(磯貝サイモン)の5人。“It’s Alright!”のレコーディングにはピアノにSUGIMOTO(WEAVER・杉本雄治)、ドラムにTAMADA(玉田豊夢)が参加していたが、THE TURTLES JAPANは、KAMEDA、YAMAMURA、SAKAI以外のメンバーは固定せずにさまざまなミュージシャンをバンドに招いていくのもひとつのコンセプトだという。インディアン調の衣装を身にまとった5人は、挨拶代わりに“It’s Alright!”をプレイする。解放的かつ扇動的なシンセのリフと4つ打ちのビートがオーディエンスを踊らせ、YAMAMURAの伸びやかなヴォーカルがフロアに広がっていく。KAMEDA曰くTHE TURTLES JAPANのテーマは「“心の表面張力”を突き破ること」。その核心がこの楽曲に込められているのがわかる。  まるで楽曲と楽曲をミックスするようにシームレスに鳴らされた2曲目は一転して、イントロからダークなムードが際立っていく。ちなみにここから4曲目までは未発表の新曲だ。KAMEDAのうねるようなベースラインがサウンドを先導し、デジタルの要素を担う同期も駆使しながらロックバンドとしてのダイナミズムをあらわにするスリリングなアンサンブルが交わされていく。3曲目はポストロック的な趣を感じさせる幻想的なバラード。アッパーなハウストラックをインタールードにし、80sフレイバーが漂うダンスポップナンバーの4曲目へ。YAMAMURAが「もっと楽しみたい人は一緒に歌おう!」と「ダンス ダンス ダンス レディゴー!」というメインコーラスのコール&レスポンスを求める。この日のライヴでMCらしいMCは一切なかったが、だからこそフロアは楽曲そのものが持つ求心力にストレートに反応していた。ノンストップで駆け抜けていったライヴは早くもラストナンバーを迎える。ニューウェイヴに和のテイストを織り交ぜた楽曲“JAPANESE SPIRITS pile-up”のサビでは「日本晴れ」というフレーズが印象的に放たれ、YAMAMURAは性急なサウンドをバックに日の丸があしらわれた扇子を優雅に振ってみせた。  あっという間の30分だったが、確実にTHE TURTLES JAPANの「意志と意義」が伝わるインパクトをオーディエンスに残したと思う。この続きを目撃できるのは、4月に東名阪で開催される3日限りのZeppツアーだ。初のワンマンライヴとなるこのツアーで、彼らはどんなステージを見せてくれるのか。まさしくプレミアムなLIVEになるかどうか、おおいに期待したいと思う。 (文=三宅正一) ■ライブ情報 東名阪Zepp Tour 4月15日(水) 名古屋 Zepp Nagoya ※INFORMATION:サンデーフォークプロモーション (052-320-9100) 4月17日(金) 大阪 Zepp Namba ※INFORMATION:キョードーインフォメーション (06-7732-8888) 4月21日(火) 東京 Zepp DiverCity Tokyo ※INFORMATION:ディスクガレージ (050-5533-0888) 開場18:00 開演19:00 ※チケット一般発売 1月10日(土)10:00~ 料金5,800円(税込) THE TURTLES JAPAN Official HP THE TURTLES JAPAN Official FACEBOOK

エレファントカシマシ新春武道館ライヴに見た、新しき音楽世界

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【リアルサウンドより】  昨年末から今年にかけて、the telephonesとThe SALOVERSといった若手バンドの活動休止の発表が相次ぎ、若い音楽ファンにとってはショックが大きい年末年始となったが、一方でサザンオールスターズ、DREAMS COME TRUEがカウントダウンライブで大観衆を集めてさすがの人気ぶりを見せるなど、ベテランバンドの安定した活躍が目立つ。1月3日、4日の2日間にわたり『新春日本武道館公演』をおこなったエレファントカシマシもそうしたベテランバンドのひとつだ。  25周年を迎えさらに精力的な活動を続けるエレカシ。武道館公演では、バンドの演奏クオリティの高さと放出されるエネルギーの強烈さで、時に優しく時に傍若無人に観る者をグイグイ引っ張りながら3時間超、あらゆる時代からチョイスされたセットリストで初日は34曲、2日目には37曲を演奏。日本中から駆け付けたであろうファンを大満足させた。そして、それは現在のエレカシが2つの音楽的世界観を確立していることが良くわかるライヴとなっていた。
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 そのひとつが、デビュー当時から不動のメンバー、宮本浩次(Vo.G)石森敏行(G)高緑成治(B)冨永義之(Dr)にサポートメンバーでありプロデューサーでもある蔦谷好位置(Key,Cho)とヒラマミキオ(G)を加えたシンプルかつタイトなバンドサウンド。古くからのファンにとっては4人でエレファントカシマシという思い入れはもちろん強いだろうが、現在のライヴにおいては蔦谷・ヒラマの2人を含めてのステージが定着している。「ファイティングマン」「悲しみの果て」「ガストロンジャー」「花男」「待つ男」などに代表されるストレートで武骨な音は彼らが加わることでより強度を増し、感情表現豊かな宮本のボーカルと共に、ライヴで披露されるたびに常に新鮮な興奮を与えてくれる。熟成されるどころかスパッと斬れば真っ赤な血が噴き出しそうな生々しく脈を打つバンド・サウンドこそがエレカシの魅力だ。
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 その一方で、ユニバーサル移籍以来の傾向であるストリングスを加えたスケールの大きな楽曲たちも近年のエレカシの大きな特徴となっている。「笑顔の未来へ」「新しい季節へキミと」「桜の花、舞い上がる道を」等、プロデューサー・アレンジャーの亀田誠治や蔦谷との共同作業から生み出された楽曲たちは新しいエレカシのスタンダード・ナンバーとなっただけでなく、宮本の生み出す楽曲の方向性にも大きな影響を及ぼした。その後も「明日への記憶」「彼女は買い物の帰り道」、ストリングスは入っていないものの壮大なテーマと曲調の「大地のシンフォニー」といった曲にその傾向が顕著となっている。このように曲のタイプが明確に分かれてきているのが現在のエレカシの姿といえる。  新春の武道館ライヴでも、おなじみの金原千恵子ストリングスチームが参加して多くの楽曲で彩りを加えていたが、驚かされたのが「なからん」(仮)に続き演奏された新曲「雨の日も」(仮)だ。この曲ではストリングスがド迫力な音の塊となり、おどろおどろしい音像となって武道館中を包み込んだ。不穏な空気すら感じさせるスローな演奏の中で延々と絶叫する宮本。これまで楽曲にポップネスを与えるヴェール的な役割を果たしてきたストリングスの新しい使い方、そしてすべてはハッキリと聴き取れなかったものの、宮本らしい内省的な思想を突き詰めたような歌詞の世界が結びついたプログレッシヴな楽曲に圧倒されてしまった。『生活』(1990年の4thアルバム)meets『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~』(2010年の20thアルバム)といった感触だろうか。  こうした曲が生まれた背景には休養明け以降の宮本のボーカルの調子の良さも影響しているのではないだろうか。この日も声の出かたは絶好調だっただけに、より声の伸びを活かしたこれまでにない楽曲がどんどん生み出されているのかもしれない。旧来の叩きつけるようなギター・ロックとストリングスが融合した楽曲で新しい世界を垣間見せてくれたエレカシ。今年リリースが期待される2012年以来のオリジナル・スタジオアルバムでどんな楽曲を聴かせてくれるのか、今から待ち遠しい。 (文=岡本貴之/写真=岡田貴之) ■セットリスト 2015年1月4日(日)@日本武道館 ・第一部 1.夢のちまた 2.DEAD OR LIVE 3.ココロのままに 4.今はここが真ん中さ! 5.悲しみの果て 6.デーデ 7.おかみさん 8.風に吹かれて 9.精神暗黒街 10.ジョニーの彷徨 11.真冬のロマンチック 12.リッスントゥザミュージック 13.昔の侍 14.普通の日々 15.明日への記憶 16.あなたへ 17.赤い薔薇 18.今宵の月のように 19.I don’t know たゆまずに 20.赤き空よ! 21.ズレてる方がいい 22.俺たちの明日 第2部 23.大地のシンフォニー 24.Destiny 25.桜の花、舞い上がる道を 26.(仮)なからん(新曲) 27.(仮)雨の日も(新曲) 28.明日を行け 29.新しい季節へキミと 30.FLYER 31.ガストロンジャー 32.ファイティングマン アンコール 33.平成理想主義 34.笑顔の未来へ 35.ハナウタ ~遠い昔からの物語~ 36.涙 Wアンコール 37.待つ男

東京女子流“アーティスト宣言”が起こした波紋 岐路に立つグループの戦略を読む

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東京女子流『Say long goodbye / ヒマワリと星屑 -English Ver.-(CD+DVD) (TypeA)』(avex trax)

【リアルサウンドより】  東京女子流が、1月5日に放送したUstream番組『アーティスト東京女子流 宣言へ』にて、今後はアイドルフェスへ出演をしないことや、アーティストとして活動していく旨などを語った。  同放送には、体調不良の中江友梨を除く全メンバーと、プロジェクトディレクターの佐竹義康氏が出演。2014年12月に行われた『CONCERT*05 ~カワイイ満載見納めPARTY~』『CONCERT*06 ~STEP UP TO THE NEXT STAGE~』でのMCや、メンバーのブログにて以前より言及していた内容について、改めて説明がなされた。  今回の発表について、コラム【東京女子流の2014年は“ネクストステージ“への助走期間だった? グループの長期戦略を読む】でいち早くその可能性に言及したライターの香月孝史氏は、“アーティスト宣言”の意図について下記のように推察する。 「東京女子流は、活動開始からいままで“アイドル”を名乗ったことはなく、ダンス&ボーカルグループとして、アイドルシーンのなかで活動していくことに対してはウエルカムという形でした。一方で、アイドルシーンのスタンダードを極める方向は目指しておらず、長期的に芸能活動を継続していくスターを育て上げるためのプロジェクトだったため、アイドルシーンの中で活動し続けることに無理を感じて、アーティストとして純化していく方向に区切りを付けたということなのだと思います。アイドルシーン自体は雑多に色んなものを飲みこんでくれるシステムではあるのですが、ずっとその中で受容してもらうというよりは、目指したいジャンル側の目線から見てもらうために宣言したのではないでしょうか」  同放送で発表された、作品の複数売りからの脱却や、アイドルフェスへの出場辞退、一部楽曲の“封印”についてはこう続ける。 「複数売りなどに関しては、アイドルシーンへの反抗や疑念というよりは、音楽シーン全体に対する問題提起であり『純粋に音楽を聞かせたいので売り上げに固執せず、上手く浸透する方法』を探していると取れます。『おんなじキモチ』や『頑張って いつだって 信じてる』など、今回“封印“することが発表された楽曲たちは、アイドルシーンにおいて人気の楽曲です。今後重点を置きたいパフォーマンスや楽曲の方向性がブレることで、受け手から言及されることを避けるため、しばらくは披露することを避けるという決断にみえます。表現の幅が広がり、来るべき時には違った形で再演ということもあるでしょう」  同氏は、一部で批判も起こっている“アーティスト宣言”については「運営による追い込み・成長への意思」ではないかと分析する。 「今回の宣言とそれに対する疑問視や批判の背景には、アーティストという言葉がアイドルを語る際に、“アーティストが上でアイドルが下”という前提を持つものとして受け取られやすいことがあります。また彼女たちはこれまで、アイドルシーンの中で成果をあげてファンを獲得してきたため、ファン層の相当数はアイドルファンと考えられるので、そうしたファンに向けての“アーティスト宣言”に対しては、ファンから疑念が挙がって当然だと思います。実際、昨年末のライブにおけるMCですでに宣言に近いものはありましたが、次の段階に行くための猶予を設ける選択もできたはず。そういった意味では、退路を断って自分たちを追いこみ、グループの成長をスピードアップさせる運営の意思も感じ取れますね」  最後に、東京女子流の今後についてこう語った。 「彼女たちが所属しているavexには、AAAやE-girlsなど、過去にアイドル的な扱いも受けつつ、現在はパフォーマンス集団やダンスボーカルグループとして評価されている先輩アーティストも多いので、彼らの意思を継ぐという意味で取れば、この発言も必然といえるでしょう。東京女子流はK-POPアーティストのカバーを披露していたことから、佐竹氏が具体名を挙げて彼女たちの理想像とした同レーベルの先輩・BoAを目指すのにも納得はできます。しかし、彼女たち自身のスキルは、現段階では“アーティスト宣言”にすぐさま対応できるレベルに達しているわけではないため、“宣言”によってよりスキル面に関しても厳しい目で見られる今後についてはまだ心配な部分もあり、この先の長期的な成長を見守りたいです」  1月6日に行われた“アーティスト宣言”後初の定期公演『TGSアコースティック Vol.1』では、ギターの弾き語りのみで楽曲を歌い上げた東京女子流。パフォーマンスはこれから試行錯誤していくようだが、2015年は彼女たちにとって試練の一年となりそうだ。 (文=編集部)